説明

ルーフパネル構造

【課題】エネルギ吸収効果を十分に得ることができ、さらに、ルーフパネルの剛性を向上できるルーフパネル構造を提供する。
【解決手段】ルーフパネルの開口縁部6aは、前記ウェザーストリップ12が取り付けられる縦壁部11cを有し、該縦壁部11cの車室側部分に、前記ウェザーストリップ12側に突出するオフセット部16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフパネルと該ルーフパネルの開口縁部に取り付けられたウェザーストリップとを備えたルーフパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のルーフパネル構造として、例えば、特許文献1には、樹脂製のアウタパネルと樹脂製のインナパネルとからなるルーフパネルを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2002−127944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ルーフパネルのドア開口縁部に昇降ガラスとの間をシールするウェザーストリップをチャンネル材を介して取り付けられている場合がある。一方、特にスポーツカーやオープンカーのようにルーフの低い車では、例えば、車両衝突時に乗員の頭部がルーフパネルのドア開口縁部に当たるおそれがあることからエネルギ吸収効果の高いルーフパネル構造が要請される。
【0005】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、エネルギ吸収効果を十分に得ることができ、さらに、ルーフパネルの剛性を向上できるルーフパネル構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、アウタパネルとインナパネルとからなるルーフパネルと、該ルーフパネルの開口縁部に取り付けられたウェザーストリップとを備え、該ウェザーストリップのシール部に他部材を当接させるルーフパネル構造において、前記ルーフパネルの開口縁部は、前記ウェザーストリップが取り付けられる縦壁部を有し、該縦壁部の車室側部分に、前記ウェザーストリップ側に突出するオフセット部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦壁部の車室側部分に、ウェザーストリップ側に突出するオフセット部を設けたので、例えば乗員の頭部が当たることによる荷重が車室内側からルーフパネルの開口縁部付近に入力された場合、該荷重が前記オフセット部を介して前記縦壁部にオフセット荷重として作用し、該縦壁部及び前記オフセット部がウェザーストリップを車外側に倒し込むように変形する。このようにルーフパネルが変形し、さらにウェザーストリップが押し潰されることにより高いエネルギ吸収効果が得られ、乗員の頭部を保護することができる。
【0008】
また、ルーフパネルの縁部に形成した前記オフセット部がルーフパネルの剛性向上に寄与することから、特に剛性確保が困難な樹脂製ルーフパネルにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1による電動開閉式ルーフ装置を備えた自動車の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1によるルーフパネルの断面図(図1のII-II線断図)である。
【図3】本発明の実施例1による前記ルーフパネルの変形状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例2による前記ルーフパネルの断面図(図1のII-II線断図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1ないし図3は、本発明の実施例1によるルーフパネル構造を説明するための図である。
【0012】
図において、1は本実施例1のルーフパネル構造を有する開閉式ルーフ装置2を備えた自動車の車体を示している。この車体1は、左,右のサイドパネル3と、該左,右のサイドパネル3の前部間に配設された略門型状のフロントピラー4と、後部間に配設されたバックパネル5と、前記フロントピラー4とバックパネル5との間に配設されたルーフパネル6とで車室を形成した構造を有する。
【0013】
前記フロントピラー4の前側には、エンジンルームを開閉するフード7が配設され、前記バックパネル5の後側には、ラゲージルームを開閉するラゲージドア8が配設されている。
【0014】
前記左,右のサイドパネル3には、これのドア開口を開閉するドア9が配設されている。このドア9は、中空状をなすドア本体9a内にウインドガラス(他部材)9bを昇降可能に収容した構造を有する。
【0015】
該ウインドガラス9bは、前記ドア本体9aの上縁,フロントピラー4,バックパネル5及びルーフパネル6で囲まれた窓開口を閉塞する全閉時位置と、ドア本体9a内に没入する全開時位置との間で昇降駆動される。
【0016】
前記開閉式ルーフ装置2は、前記ルーフパネル6と、前記バックパネル5とを折り畳み可能に連結し、前記ルーフパネル6に開閉リンク機構(不図示)を連結した概略構造を有する。
【0017】
前記ルーフパネル6は、大略平板状の樹脂製アウタパネル10と樹脂製インナパネル11とを有し、前記アウタパネル10の前記ウインドガラス9b側の縁部10aと前記インナパネル11の前記ウインドガラス9b側のフランジ部11aとを接着剤13により接着固定した中空状を成している。
【0018】
前記ルーフパネル6の前記ドア開口の一部を構成する開口縁部6aは、前記インナパネル11の一般部11bから車外側に屈曲する縦壁部11cを有し、該縦壁部11cに、前記ウェザーストリップ12が配設されている。このウェザーストリップ12は板金製のチャンネル15内に固定されており、該チャンネル15が前記縦壁部11cに取り付けられている。
【0019】
前記ウェザーストリップ12は、前記アウタパネル10の開口側先端部10bに弾性変形状態で当接する外側シール部12aと、前記ウインドガラス9bに弾性変形状態で当接する内側シール部12bとを有する。このようにして、前記アウタパネル10の先端部10bと、前記全閉時位置のウインドガラス9bとの間がシールされている。
【0020】
前記縦壁部11cの車室側部分には、オフセット部16が形成されている。このオフセット部16は、前記縦壁部11cから寸法t1だけ前記ウェザーストリップ12側に突出している。このオフセット部16は、これに車室内側からの荷重Fが作用した場合、該荷重Fを前記縦壁部11cに対してオフセット荷重として作用させるように機能する。
【0021】
また前記縦壁部11cの車外側部分には、該縦壁部11cよりルーフパネル6の内側に入り込むように屈曲する屈曲部17が形成されている。この屈曲部17は、前記荷重Fが前記縦壁部11cに入力された場合、該屈曲部17を折れ変形させるように機能する。
【0022】
前記屈曲部17は前記フランジ部11aに続いて前記縦壁部11cより上方に寸法t2だけ入り込むように延びる延長部17bと、該延長部17bの延長端から前記縦壁部11cに連なるよう折り返された傾斜部17aと、該傾斜部17aと前記延長部17bとの接続部17cとで構成されている。
【0023】
前記延長部17bの一部は、前記フランジ部11aと共に接着剤13によりアウタパネル10の縁部10aに接着固定されている。
【0024】
乗員の頭部Hによる荷重Fが、車室内側から前記ルーフパネル6の開口縁部6a付近に入力された場合、該荷重Fは前記縦壁部11cに寸法t1だけオフセットした状態で入力され、さらにこのオフセット荷重が前記屈曲部17に対してこれを折れ変形させるように作用する。
【0025】
このようにして前記接続部17cを中心として、前記縦壁部11c及びオフセット部16がウェザーストリップ12を車外側に倒し込むように変形する(図3参照)。
【0026】
このように本実施例1では、縦壁部11cの、車室側部分に、ウェザーストリップ12側に突出するオフセット部16を設けたので、車室内側から荷重Fが入力された場合、前記縦壁部11c及びオフセット部16が前記ウェザーストリップ12を車外側に倒し込むように変形する。さらに本実施例1では、前記縦壁部11cの車外側部分に該縦壁部11cよりルーフパネル6の内側に入り込むように屈曲する屈曲部17を形成したので、前記荷重Fにより前記屈曲部17の接続部17cが折れ変形の中心となって該屈曲部17が折れ変形し、より確実にウェザーストリップ12を押し潰すように変形させる。このインナパネル11の変形及びウェザーストリップ12の押し潰しにより高いエネルギ吸収効果が得られ、乗員の頭部Hを保護することができる。
【0027】
また、前記ルーフパネル6の開口縁部6aに前記オフセット部16及び屈曲部17を形成したので、前記荷重Fに対するエネルギ吸収効果を高めつつ、前記ルーフパネル6自体の剛性を向上することができる。
【実施例2】
【0028】
図4は、本発明の実施例2によるルーフパネル構造を説明するための図である。 図中、図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0029】
本実施例2では、ルーフパネル26は、大略平板状の板金製アウタパネル20と板金製インナパネル21とを有し、前記アウタパネル20のフランジ部20aと前記インナパネル21のフランジ部21aとを溶接固定した中空状を成している。
【0030】
前記ルーフパネル26の開口縁部26aは、前記アウタパネル20の一般部20bから室内側に屈曲する縦壁部20cを有し、該縦壁部20cにウェザーストリップ22が配設されている。このウェザーストリップ22はチャンネル25を介して前記縦壁部20cに取り付けられている。
【0031】
前記ウェザーストリップ22は、前記アウタパネル20のフランジ部20aに弾性変形状態で当接する内側シール部22aと、前記ウインドガラス9bに弾性変形状態で当接する外側シール部22bとを有する。
【0032】
前記縦壁部20cの車室内側部分には、オフセット部23が形成されている。このオフセット部23は、前記縦壁部20cから前記ウェザーストリップ22側に寸法t1′だけ突出している。
【0033】
本実施例2では、縦壁部20cの車室側部分に、ウェザーストリップ22側に突出するオフセット部23を設けたので、前記オフセット部23近傍部分に荷重Fが車室内側から入力された場合、前記荷重Fは前記縦壁部20cにオフセット荷重として作用し、前記オフセット部23及び縦壁部20cが前記ウェザーストリップ22を車外側に倒し込むように変形するので、エネルギ吸収効果を高めることができ、乗員の頭部Hを保護することができる。
【0034】
また、前記ルーフパネル26の開口縁部26aに前記オフセット部23を形成したので、前記荷重Fの吸収効果を高めつつ前記ルーフパネル26自体の剛性を向上することができる。
【0035】
なお、前記実施例1では、開口縁部6aに屈曲部17を設けたが、本発明では、屈曲部17は必須ではなく、要は、オフセット部を設ければ良い。
【0036】
また、前記実施例1及び実施例2では、他部材がウインドガラスである場合を説明したが、本発明の他部材はウインドガラスに限らず、例えばサッシであっても勿論構わない。
【符号の説明】
【0037】
6,26 ルーフパネル
6a,26a ルーフパネルの開口縁部
9b ウインドガラス(他部材)
10,20 アウタパネル
11,21 インナパネル
11c,20c 縦壁部
12,22 ウェザーストリップ
12b,22b ウェザーストリップのシール部
16,23 オフセット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルとインナパネルとからなるルーフパネルと、該ルーフパネルの開口縁部に取り付けられたウェザーストリップとを備え、該ウェザーストリップのシール部に他部材を当接させるルーフパネル構造において、
前記ルーフパネルの開口縁部は、前記ウェザーストリップが取り付けられる縦壁部を有し、
該縦壁部の車室側部分に、前記ウェザーストリップ側に突出するオフセット部を設けた
ことを特徴とするルーフパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−201211(P2012−201211A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67401(P2011−67401)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】