説明

レジストパターン形成方法

【解決手段】(A)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物
を含有するポジ型である化学増幅型レジスト組成物のレジスト膜を得る工程と、パターン露光する工程と、現像する工程と、更に現像により得られたパターンの線幅を10%以上変化させない範囲で加熱によるパターン形状補正を行う工程を含むパターン形成方法において、上記組成物は、酸不安定基で保護された酸性官能基を有する分子量800以下の軟化促進剤を2.5〜20質量%で含有する組成物であるレジストパターン形成方法。
【効果】本発明のレジストパターン形成方法では、現像により得られたパターンを熱変形させて、パターンの線幅を10%以上変化させない範囲でレジストパターン形状の微細な荒れの修正を安定して行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学増幅型レジスト組成物を用いたパターン形成方法に関し、特に現像工程で形成したレジストパターンの形状補正に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、微細加工技術としてKrF及びArFエキシマレーザーを使用する遠紫外線リソグラフィーがその主流の技術として使用されている。化学増幅型レジスト組成物を使用した遠紫外線リソグラフィーでは、0.2μm以下の加工が可能であり、既に、パターンサイズが65nmより小さなパターンの加工も工業的に行われている。また、電子線リソグラフィーにおいても、化学増幅型レジスト組成物を用いることで、より高エネルギーの電子線を用いても実用感度が得られるようになり、より微細な加工が可能になってきている。また更にEUV光を用いたリソグラフィーにおいても、実用的な感度を得るためには化学増幅型レジスト組成物の使用が必須と考えられている。
【0003】
上記のような化学増幅ポジ型レジスト組成物が開発される過程において、解像性、感度、パターン形状、PED(露光後引き起き時間に対するパターンの形状変化)及び基板依存性の問題などを改善するため、種々のレジスト成分の添加やその改善の提案がされてきた。特に現像後に得られるレジストパターンの端部形状が荒れる問題はラインエッジラフネス(以下、LERと表記する)と呼ばれ、改善の要求がされてきた。特に光リソグラフィーに用いるフォトマスクの加工では、光の回折により照射されるパターン形状のコントラスト劣化を抑制するため、いわゆるOPC(光学近接効果補正)などを適用した形状に加工する必要が生じ、加工時のパターン形状はラインエッジラフネスを強く抑制することが要求される。
【0004】
初期のLERの改善は、酸発生剤量を増加させると共に、塩基性物質添加量を増加させることで行われたが、パターン線幅が65nm以下となるような微細パターンを得ようとした場合には、この方法だけで対処することは難しくなってきた。また、レジストパターンを得るためのレジスト膜厚が150nm以下、特に100nm以下となった場合には、マイクログレインと呼ばれる膜中に不均一な領域が形成されてしまう場合があり、これもLERの原因となることが判明した(特許文献1:特開2010−243873号公報)。
【0005】
このようなLERの改善方法として、現像後にパターン補正を行う試みとしては、例えば特開2005−19969号公報(特許文献2)では、現像処理により形成されたレジストパターンに溶剤気体を供給し、レジスト表面を溶解させる方法が提案されている。また、現像後のパターンに溶剤気体を供給する装置及びそれを回収する装置を現像装置に取り付ける必要がない方法としては、レジスト組成物に高沸点溶剤を少量添加しておき、パターン形成後に加熱することで形状補正を行う方法も提案さている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−243873号公報
【特許文献2】特開2005−19969号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第2256551号明細書
【特許文献4】特開2008−111103号公報
【特許文献5】特開2010−164933号公報
【特許文献6】特開2009−269953号公報
【特許文献7】特開2001−226430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような集積回路の高集積度化に伴い、より高精度のレジストパターンを形成することが要求されてきており、LERの更なる改善は一つの重要なターゲットである。
特許文献1に開示されたLERの改善方法は、レジスト組成物の軽微な変更によって実施可能となる有効な方法であるが、レジスト膜の成膜条件や、パターン形成条件によって効果が変化する可能性があり、特許文献1とは異なる方法の選択肢もあることが望ましい。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、微細加工のためのフォトリソグラフィー、特にKrFレーザー、ArFレーザー、F2レーザー、極端紫外線、電子線、X線などを露光源として用いたリソグラフィーにおいて、良好なパターン形状を与えつつ、上記ラインエッジラフネスを改善することが可能な化学増幅型レジスト組成物によるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、レジスト組成物に軟化促進剤を加えることにより、現像によりパターン形成した後、更に加熱処理をすることにより安定してラインエッジラフネスを改善できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記のレジストパターン形成方法を提供する。
請求項1:
(A)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物
を含有するポジ型である化学増幅型レジスト組成物を被加工基板上に塗布し、塗布膜に残存する過剰の溶剤成分を加熱により除去してレジスト膜を得る工程と、高エネルギー線によりレジスト膜をパターン露光する工程と、必要に応じて露光後加熱処理を行い、続いて現像液を用いて現像する工程と、更に現像により得られたパターンの線幅を10%以上変化させない範囲で加熱によるパターン形状補正を行う工程を含むパターン形成方法において、上記化学増幅型レジスト組成物は、酸不安定基で保護された酸性官能基を有する分子量800以下の軟化促進剤を、上記化学増幅型レジスト組成物を構成する全固形分に対して2.5質量%以上20質量%以下で含有する組成物であることを特徴とするレジストパターン形成方法。
請求項2:
上記軟化促進剤が、2個以上の5又は6炭素による環と、2個以上の炭素原子を含む自由回転可能な炭素鎖を有する化合物である請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
請求項3:
上記軟化促進剤は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は、炭素原子数2〜20の酸素原子を含んでいてもよい、酸の作用により−COOR1が分解してカルボキシル基を生じる酸不安定基を表す。Xはそれぞれ独立に、カルボニル基(−CO−)又はメチレン基(−CH2−)を表す。Yはそれぞれ独立に、単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。nは0〜2の整数である。)
で表される化合物である請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
請求項4:
上記一般式(1)中のR1が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、破線は結合手を示し、R01、R02はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を表す。また、R01、R02が結合してこれらが結合する炭素原子と共に環構造を形成してもよい。更に、Zは炭素原子数1〜20の酸素原子を有してもよい1価の炭化水素基である。)
で表されるアセタール基である請求項3に記載のレジストパターン形成方法。
請求項5:
上記軟化促進剤が、下記一般式(3)
【化3】

(式中、R2は、炭素原子数と酸素原子数の和が1〜15の、直鎖状、分岐状又は環状の酸素原子を有してもよい1価の炭化水素基を表す。)
で示される化合物である請求項3に記載のレジストパターン形成方法。
請求項6:
被加工基板がフォトマスクブランクである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のレジストパターン形成方法では、現像後に得られるレジストパターン中に、分子量800以下の軟化促進剤が含有されており、実用に適した温度範囲による加熱で、現像により得られたパターンを熱変形させて、パターンの線幅を10%以上変化させない範囲でレジストパターン形状の微細な荒れの修正を安定して行うことができる。この方法を用いることによって、OPCパターンのようなより厳密な形状が要求されるレジストパターンの好ましい形状を容易に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特許文献1でも説明されているが、例えば直接パターンを形成することが難しい微小なホールパターンを得るため、一旦目標のパターンより大きなレジストパターンを形成しておき、レジストポリマーの熱流動温度以上に加熱して、パターンの大きさを変化させる方法はサーマルフロー法として知られている。本発明のレジストパターン形成方法は、レジストパターンの大きさを実質的に変化させない、即ち、現像により得たレジストパターンの線幅を10%以上、より好ましくは5%以上変化させない程度に加熱することにより、パターン形状を劣化させることなくLERのみを改善する方法であり、上記サーマルフロー法とは異なる方法である。
【0013】
本発明のレジストパターン形成方法を実施するためには、目標とするレジストパターンに対する十分な解像性が確保されるものである必要があり、適度な温度範囲で安定したパターン変形を起こす必要がある。そこで、この熱変形を起こすために適した材料の選択を行うことなく加熱のみによる熱変形を試みた場合には、パターン線幅を始めとするパターン形状の重大な劣化を伴わずにLERを改善することは難しい。
【0014】
本発明者らは、特許文献1のようなパターン形成後の加熱によるLERの改善方法を、ポリマーの熱変形により行う方法の検討を行った。しかし、例えばポリヒドロキシスチレンベースのフォトレジスト組成物では、分子量分散度の大きなポリヒドロキシスチレンを材料に用いた場合には、熱流動温度が下がることが知られていたが、レジスト用ポリマーの分散度を大きくした場合には、解像性やパターン形状が劣化することも知られている。そこで、本発明者らは、ポリマーと適度な相互作用を持ち、分子量がポリマーより低い化合物を軟化促進剤として添加して、高解像性を与えるレジストポリマー系の熱変形温度の調整を試み、下記のような軟化促進剤をレジスト組成物中の固形分に対して2.5質量%以上20質量%以下となるように添加したレジスト組成物を用いたところ、制御可能な温度幅で、高解像性を損なうことなく、LERの高度な改善が可能であるレジスト組成物を得た。
【0015】
本発明で用いる軟化促進剤は、酸不安定基で保護された酸性官能基を有する分子量800以下の化合物であり、特に、2個以上の5又は6炭素による環を持つ化合物である。このような材料としては、ノボラックレジスト組成物においてキノンジアジドと共に用いるバラスト分子として知られた2個以上のフェノール骨格を持つ分子に酸不安定基保護を行ったものや、化学増幅型レジスト組成物でDRI(溶解阻止剤)として用いられた分子が好ましく選択される。これらの材料は、炭素による環構造によって、ポリマーに対して比較的高い相互作用を持つことから、レジストパターン形成時に大きな解像性劣化を与えず、かつ適度な温度範囲でパターンの熱変形を起こすことができる。
【0016】
上記軟化促進剤の好ましい選択としては、芳香族骨格を持つものとして、ビスフェノール類、分子量800以下の低分子量ポリヒドロキシスチレン、ビスフェノール酸エステル等の酸不安定基保護された化合物を挙げることができ、また、芳香族骨格を持たないものとしては、2個以上の環と酸不安定基保護されたカルボン酸を有するセスキテルペン類、ジテルペン類、トリテルペン類及びその誘導体を挙げることができる。特に、上記化合物のうち、更に、2個以上の炭素原子を含む自由回転可能な炭素鎖を持つ誘導体である場合、レジストポリマー系の熱流動温度を適度に低下させるのに有効である。
【0017】
特に好ましい軟化促進剤としては、下記一般式(1)
【化4】

(式中、R1は、炭素原子数2〜20の酸素原子を含んでいてもよい、酸の作用により−COOR1が分解してカルボキシル基を生じる酸不安定基を表す。Xはそれぞれ独立に、カルボニル基(−CO−)又はメチレン基(−CH2−)を表す。Yはそれぞれ独立に、単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。nは0〜2の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0018】
一般式(1)中、R1は、炭素原子数2〜20の酸素原子を含んでいてもよい、酸の作用により−COOR1が分解してカルボキシル基を生じる酸不安定基を表し、多重結合、水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基を含んでもよい。特に、R1の炭素原子数と酸素原子数の和が6以上の場合、解像性の向上効果や、高い塗布性を得ることができる。一方、R1の炭素原子数と酸素原子数の和が20を超える場合、酸拡散を過大にしてしまうなどの好ましくない効果が生じることがあり、解像性が劣化したり、パターンの矩形性に劣る場合がある。R1として、具体的には、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、t−ブチル基、t−アミル基等の常用のものを挙げることができるが、上述の炭素原子数と酸素原子数の和が6以上20以下である酸不安定基の好ましい構造を下記に例示する。なお、下記式中の破線は結合手を表し、以下同様である。
【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
【化7】

【0022】
【化8】

【0023】
一般式(1)中、Xはそれぞれ独立に、カルボニル基(−CO−)又はメチレン基(−CH2−)を表し、二つのXが共にカルボニル基(−CO−)であることがより好ましい。Yはそれぞれ独立に、単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表し、単結合がより好ましい。Yとして具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、プロピレン基、エチルエチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基を例示できるが、これらに限定されない。nは0〜2の整数であり、n=0又は1がより好ましく、n=0が更に好ましい。
【0024】
また、軟化促進剤として用いる際、上記一般式(1)中のR1がアセタール基、即ち下記一般式(2)
【化9】

(式中、破線は結合手を示し、R01、R02はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を表す。また、R01、R02が結合してこれらが結合する炭素原子と共に環構造を形成してもよい。更に、Zは炭素原子数1〜20の酸素原子を有してもよい1価の炭化水素基である。)
で表されるアセタール基であることが好ましい。既にいくつかの好ましいアセタール基の具体例を上記構造式群中に示したが、上記一般式(2)中、R01、R02はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を表す。R01、R02がアルキル基である場合の好ましい例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができ、また、R01、R02が結合してこれらが結合する炭素原子と共に環構造を形成してシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環を形成したものを挙げることができる。
【0025】
また、Zは炭素原子数1〜20の酸素原子を有してもよい1価の炭化水素基を示すが、好ましい脂肪族炭化水素基としては、アルキル基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基やその構造異性体、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基のような単環性環状脂肪族基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、テトラヒドロフルフリル基のような多環性環状脂肪族基が挙げられ、また、ベンジル基、フェネチル基のような芳香環含有炭化水素基も例示することができ、更に、上記炭化水素基は、酸素原子を含有して、エーテル鎖やエーテル鎖を含む環を形成してもよく、エステル構造やエステル構造を含んでラクトン環等を形成してもよい。また、特に、R01、R02が共に水素原子でない場合、即ちR01、R02が結合する炭素がメチンである場合、レジスト組成物の高い保存安定性が確保されるため、特に好ましい。
【0026】
前記一般式(1)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物として、具体的には、後述する(1a)、(3)の具体例に加えて、以下の化合物を例示できるが、これらに限定されない。
【0027】
【化10】

【0028】
ここで、本発明のポジ型化学増幅レジスト組成物に1種又は2種以上配合される前記一般式(1)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物は、下記一般式(1a)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物であることがより好ましい。
【0029】
【化11】

(式中、R1は、炭素原子数と酸素原子数の和が6〜20の、酸の作用により−COOR1が分解してカルボキシル基を生じる酸不安定基を表す。)
【0030】
一般式(1a)中、R1は前記と同様である。
一般式(1a)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物として、具体的には、後述する一般式(3)の具体例に加えて、以下の化合物を例示できるが、これらに限定されない。
【0031】
【化12】

【0032】
ここで、本発明のポジ型化学増幅レジスト組成物に1種又は2種以上配合される前記一般式(1)又は(1a)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物は、下記一般式(3)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物であることが更に好ましい。下記一般式(3)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物は、現像により得られるレジストパターン形状でのLER向上、解像性向上などの配合効果が特に優れ、本発明のパターン形成方法を適用した場合には特に高精度のパターン形状が得られる。
【0033】
【化13】

(式中、R2は、炭素原子数と酸素原子数の和が1〜15の、直鎖状、分岐状又は環状の酸素原子を有してもよい(アルキレン鎖中に酸素が介在していても、カルボニル基の形態で酸素が含まれていてもよい)1価の炭化水素基を表す。)
【0034】
一般式(3)中、R2は炭素原子数と酸素原子数の和が1〜15の、直鎖状、分岐状又は環状の酸素原子を有してもよい(アルキレン鎖中に酸素が介在していても、カルボニル基の形態で酸素が含まれていてもよい)1価の炭化水素基を表す。R2として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ペンタデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ベンジル基、テトラヒドロフルフリル基を例示できるが、これらに限定されない。
【0035】
前記一般式(3)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物として、特に好ましいものとして以下の化合物を例示できるが、これらに限定されない。
【0036】
【化14】

【0037】
本発明で使用される、一般式(1)、(1a)、(3)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物において、ステロイド骨格の存在は十分な溶解阻止性、エッチング耐性の発現に寄与しているものと考えられる。ケト基(カルボニル基)の存在は分子に適度な極性・親水性を付与し、ベース樹脂との親和性・相溶性を確保することにより、LERの向上に寄与していると考えることができる。更に、ケト基は酸発生剤からの発生酸と適度な親和性を有するために酸拡散制御にも相当の効果があるものと考えられる。ケト基がなく、代わりにメチレン基、又は、エステル基が存在する場合は、酸拡散の制御が不十分となり、微細化が進むにつれ解像性が劣化し易くなる場合が多い。ケト基の代わりに水酸基が存在する場合は、親水性過大となることにより溶解阻止性が低下し、溶解コントラスト低下、解像性劣化につながり易い。分子内の酸分解性基の存在は溶解コントラスト発現のために必須であり、レジスト膜の露光部において酸発生剤からの発生酸の作用により酸分解性基が分解してカルボン酸を発生し、アルカリ現像液への溶解性が増大することにより、解像性向上に寄与するものである。前記一般式(1)、(1a)、(3)中のR1、R2、Y、nの可能な選択肢の中から適切なものを選ぶことにより、本発明で使用されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物の、溶解阻止性、溶解コントラスト、分解反応性、極性、親水性、拡散速度、溶剤溶解性、酸との親和性、ベース樹脂との相溶性などの特性を、用いるレジストベース樹脂、酸発生剤、露光方法などに応じて調節することができ、ひいてはパターン形状などのレジスト組成物の性能を最適に調整することができるものである。
【0038】
本発明で使用される、一般式(1)、(1a)、(3)で表されるステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物は、このものをベースとした分子レジストとして用いてもよいし、酸不安定基を有し酸によってアルカリに溶解する高分子化合物をブレンドして溶解阻止剤として用いてもよい。
【0039】
上記一般式(3)で示される本発明のステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物は、化合物の構造に応じて最適な方法を選択して製造される。具体的には、ハロゲン化物を用いたデヒドロコール酸のO−アルキル化反応、及び、デヒドロコール酸のビニルエーテル化合物への付加反応を用いる方法を例示できるが、これらの方法に限定されない。以下、詳しく説明する。
【0040】
まず、第1の方法として、下記式に示す、ハロゲン化物を用いたデヒドロコール酸のO−アルキル化反応が挙げられる。
【化15】

(式中、R2は、前記の通り。X’はハロゲン原子を表す。)
【0041】
本反応のO−アルキル化剤であるハロゲン化物(5)中のハロゲン原子Xとしては、ハロゲン化物(5)の保存安定性の観点から、塩素原子が最も工業的に好ましい。ハロゲン化物(5)の使用量は、デヒドロコール酸(4)1モルに対し、0.5〜5モル、特に0.9〜2モルとすることが望ましい。反応は溶剤中で行うことが望ましく、反応溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶剤類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類、ピリジン、トリエチルアミンなどのアミン類、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、水の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。反応温度は反応速度に応じて0℃から溶剤の還流温度までの範囲で選択する。必要に応じて反応に塩基を添加してもよく、その場合の塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾールなどのアミン類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの炭酸塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物類、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどの金属水素化物類、ブチルリチウム、エチルマグネシウムブロミドなどの有機金属類、リチウムジイソプロピルアミドなどの金属アミド類の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。塩基の使用量はデヒドロコール酸(4)1モルに対し、0.1〜10モル、特に0.9〜5モルとすることが望ましい。
【0042】
反応には反応速度向上のために触媒としてヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどのヨウ化物、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化テトラブチルアンモニウムなどの臭化物を加えてもよい。触媒を加える場合の添加量は、デヒドロコール酸(4)1モルに対し、0.001〜2モル、特に0.005〜0.5モルとすることが望ましい。反応時間は液体クロマトグラフィー(LC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜24時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的物である(3)を得る。必要があれば化合物(3)はクロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することができる。あるいは水系後処理(aqueous work−up)を行わず、反応で生じた塩を濾別後又は反応液を直接精製にかけることが可能な場合もある。
【0043】
第2の方法として、下記式に示す、デヒドロコール酸のビニルエーテル化合物への付加反応を用いる製造法を挙げることができる。
【化16】

(式中、R2は、前記の通り。)
【0044】
本反応におけるビニルエーテル化合物(6)の使用量は、デヒドロコール酸(4)1モルに対し、0.5〜10モル、特に0.9〜5モルとすることが望ましい。反応は溶剤中で行うことが望ましく、反応溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジグリムなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレンなどの塩素系溶剤類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、アセトニトリルなどのニトリル類の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。反応温度は反応速度に応じて0℃から溶剤の還流温度までの範囲で選択することが望ましい。必要に応じて反応に酸触媒を添加してもよく、その場合の酸触媒としては、硫酸、塩酸、リン酸、過塩素酸などの鉱酸類、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ジブチルスズオキシド、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、テトラクロロチタン、テトラメトキシチタンなどのルイス酸類、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸類、硫酸水素カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、p−トルエンスルホン酸ピリジニウムなどの塩類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸などのカルボン酸類、陽イオン交換樹脂などの酸性樹脂類の中から反応条件により選択して単独又は混合して用いることができる。酸触媒の使用量はデヒドロコール酸(4)1モルに対し、0.1〜10モル、特に0.9〜5モルとすることが望ましい。
【0045】
反応時間は液体クロマトグラフィー(LC)や薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応を追跡して反応を完結させることが収率の点で望ましいが、通常0.5〜24時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)により目的物である(3)を得る。必要があれば化合物(3)はクロマトグラフィー、再結晶などの常法により精製することができる。あるいは水系後処理(aqueous work−up)を行わず、反応液を直接精製にかけることが可能な場合もある。
【0046】
なお、レジスト組成物を調製する際に使用する軟化促進剤は2種以上を混合して用いることもできる。また軟化促進剤の使用量は、目的とするレジスト膜の現像後の加熱温度にもよって適宜調整が必要であるが、レジストのその他の材料にダメージを与えない温度である加熱温度150℃以下の加熱温度で良好なラインエッジラフネスを得るためには、化学増幅型レジスト組成物を構成する全固形分に対して2.5質量%以上20質量%となるような添加が好適である。軟化促進剤が少ない場合、加熱温度を上昇させてもラインエッジラフネスを改善できず、逆に多くなるとパターン形状が悪くなる、加熱後のパターン寸法制御が困難になる場合がある等の問題を生じる。
【0047】
本発明レジストパターン形成方法に用いるレジスト膜の形成に用いるレジスト組成物は、上述した軟化促進剤を含むものであるが、その他の材料は基本的には公知のレジスト組成物形成用材料から選ばれ、典型的には下記の組成
(A)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物、
(D)有機溶剤
のポジ型化学増幅レジスト組成物とすることが好ましい。
【0048】
本発明で使用されるレジスト組成物に含まれる(A)ベースポリマー(ベース樹脂)は、KrFエキシマレーザー用レジスト組成物としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)、及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル、その他の重合性オレフィン化合物などとの共重合体、ArFエキシマレーザー用レジスト組成物としては、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー、シクロオレフィンと無水マレイン酸との交互共重合系ポリマー及び更にこの交互共重合系ポリマーにビニルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステルを共重合した共重合系ポリマー、ポリノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン開環メタセシス重合系、F2レーザー用として上記KrF、ArF用ポリマーのフッ素置換体のほか、フッ素化ジエンを用いた閉環重合系ポリマーなど、2層レジスト用としては上記ポリマーの珪素置換体及びポリシルセスキオキサンポリマーなどが挙げられるが、これらの重合系ポリマーに限定されることはない。上記ベースポリマーの重量平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定法でポリスチレン換算2,000〜100,000とすることが好ましく、2,000に満たないと成膜性、解像性に劣る場合があり、100,000を超えると解像性に劣るかあるいはパターン形成時に異物が発生する場合がある。また、上記ベースポリマーは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。ポジ型レジスト組成物の場合、フェノールあるいはカルボキシル基あるいはフッ素化アルキルアルコールの水酸基を酸不安定基で置換することによって、未露光部の溶解速度を下げる場合が一般的である。
【0049】
本発明のポジ型レジスト組成物をArFエキシマレーザー用レジスト組成物として用いる場合に、特に好適に用いられるベース樹脂としては、特開2008−111103号公報(特許文献4)の段落[0072]〜[0121]に記載されている樹脂を挙げることができるが、これらのベースポリマー系に好ましい代表的な繰り返し単位としては、ArF用ポリマーとして下記(R1)として示された繰り返し単位が挙げられ、KrF、電子線、EUV用としては下記(R2)として示された繰り返し単位が挙げられる。
【0050】
【化17】

【0051】
上記式中、R001は、水素原子、メチル基又は−CH2CO2003を示す。
002は、水素原子、メチル基又は−CO2003を示す。
003は、炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基等を例示できる。
【0052】
004は、水素原子、又は炭素原子数1〜15の含フッ素置換基、カルボキシル基及び水酸基から選ばれる1種以上を含有する1価の炭化水素基を示し、具体的には水素原子、カルボキシエチル、カルボキシブチル、カルボキシシクロペンチル、カルボキシシクロヘキシル、カルボキシノルボルニル、カルボキシアダマンチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシシクロペンチル、ヒドロキシシクロヘキシル、ヒドロキシノルボルニル、ヒドロキシアダマンチル、ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルシクロヘキシル、ジ(ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシル等が例示できる。
【0053】
005〜R008の少なくとも1個は炭素原子数1〜15の含フッ素置換基、カルボキシル基及び水酸基から選ばれる1種以上を含有する1価の炭化水素基を示し、残りはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。炭素原子数1〜15の含フッ素置換基、カルボキシル基及び水酸基から選ばれる1種以上を含有する1価の炭化水素基としては、具体的にはカルボキシ、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシブチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシブチル、2−カルボキシエトキシカルボニル、4−カルボキシブトキシカルボニル、2−ヒドロキシエトキシカルボニル、4−ヒドロキシブトキシカルボニル、カルボキシシクロペンチルオキシカルボニル、カルボキシシクロヘキシルオキシカルボニル、カルボキシノルボルニルオキシカルボニル、カルボキシアダマンチルオキシカルボニル、ヒドロキシシクロペンチルオキシカルボニル、ヒドロキシシクロヘキシルオキシカルボニル、ヒドロキシノルボルニルオキシカルボニル、ヒドロキシアダマンチルオキシカルボニル、ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルシクロヘキシルオキシカルボニル、ジ(ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)シクロヘキシルオキシカルボニル等が例示できる。
炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては、具体的にはR003で例示したものと同様のものが例示できる。
【0054】
005〜R008のうち2個(例えばR005とR006、R006とR007)は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与するR005〜R008の少なくとも1個は炭素原子数1〜15の含フッ素置換基、カルボキシル基及び水酸基から選ばれる1種以上を含有する2価の炭化水素基を示し、残りはそれぞれ独立に単結合又は炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。炭素原子数1〜15の含フッ素置換基、カルボキシル基及び水酸基から選ばれる1種以上を含有する2価の炭化水素基としては、具体的には上記含フッ素置換基、カルボキシル基及び水酸基から選ばれる1種以上を含有する1価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等を例示できる。炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基としては、具体的にはR003で例示したものから水素原子を1個除いたもの等を例示できる。
【0055】
009は、炭素原子数3〜15の−CO2−部分構造を含有する1価の炭化水素基を示し、具体的には2−オキソオキソラン−3−イル、4,4−ジメチル−2−オキソオキソラン−3−イル、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルメチル、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル等を例示できる。
【0056】
010〜R013の少なくとも1個は炭素原子数2〜15の−CO2−部分構造を含有する1価の炭化水素基を示し、残りはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。炭素原子数2〜15の−CO2−部分構造を含有する1価の炭化水素基としては、具体的には2−オキソオキソラン−3−イルオキシカルボニル、4,4−ジメチル−2−オキソオキソラン−3−イルオキシカルボニル、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イルオキシカルボニル、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルメチルオキシカルボニル、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イルオキシカルボニル等を例示できる。炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては、具体的にはR003で例示したものと同様のものが例示できる。
【0057】
010〜R013のうち2個(例えばR010とR011、R011とR012)は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく、その場合には環の形成に関与するR010〜R013の少なくとも1個は炭素原子数1〜15の−CO2−部分構造を含有する2価の炭化水素基を示し、残りはそれぞれ独立に単結合又は炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。炭素原子数1〜15の−CO2−部分構造を含有する2価の炭化水素基としては、具体的には1−オキソ−2−オキサプロパン−1,3−ジイル、1,3−ジオキソ−2−オキサプロパン−1,3−ジイル、1−オキソ−2−オキサブタン−1,4−ジイル、1,3−ジオキソ−2−オキサブタン−1,4−ジイル等の他、上記−CO2−部分構造を含有する1価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等を例示できる。炭素原子数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基としては、具体的にはR003で例示したものから水素原子を1個除いたもの等を例示できる。
【0058】
014は、炭素原子数7〜15の多環式炭化水素基又は多環式炭化水素基を含有するアルキル基を示し、具体的にはノルボルニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル、アダマンチル、エチルアダマンチル、ブチルアダマンチル、ノルボルニルメチル、アダマンチルメチル等を例示できる。
【0059】
015は、酸不安定基を示し、具体例については後述する。
Xは、−CH2又は酸素原子を示す。
kは、0又は1である。
016は、水素原子又はメチル基を示す。R017は、炭素原子数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。
【0060】
(R1)において、a1’、a2’、a3’、b1’、b2’、b3’、c1’、c2’、c3’、d1’、d2’、d3’、e’は0以上1未満の数であり、a1’+a2’+a3’+b1’+b2’+b3’+c1’+c2’+c3’+d1’+d2’+d3’+e’=1を満足する。
(R2)において、f’、g’、h’、i’、j’は0以上1未満の数であり、f’+g’+h’+i’+j’=1を満足する。x’、y’、z’は0〜3の整数であり、1≦x’+y’+z’≦5、1≦y’+z’≦3を満足する。
【0061】
015の酸不安定基としては、種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素原子数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素原子数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素原子数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0062】
【化18】

【0063】
上記式中、破線は結合手を示す。
また、式(L1)において、RL01、RL02は水素原子又は炭素原子数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上記RL01、RL02と同様のものが例示でき、置換アルキル基としては下記の基等が例示できる。
【0064】
【化19】

【0065】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0066】
式(L2)において、RL04は炭素原子数4〜20、好ましくは炭素原子数4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素原子数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素原子数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0067】
式(L3)において、RL05は炭素原子数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素原子数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。mは0又は1、nは0,1,2,3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0068】
式(L4)において、RL06は炭素原子数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素原子数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜15の1価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16は互いに結合して環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には環の形成に関与する基は炭素原子数1〜15の2価の炭化水素基を示し、具体的には上記1価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0069】
特にEUV用や、フォトマスクパターンの形成に用いるレジスト組成物では、薄膜でエッチング耐性の高い材料であることが好ましく、ポリヒドロキシスチレン誘導体単位や、ポリヒドロキシスチレン誘導体のベンゼン環がナフタレン環やアントラセン環となった単位、(メタ)アクリル酸ヒドロキノンエステル誘導体単位や、ヒドロキノンエステル誘導体単位のベンゼン環がナフタレン環やアントラセン環となった単位を含むことが好ましい。また、更にインデン、アセナフチレン誘導体を含むことで、より高いエッチング耐性を得ることができる。これらの単位の好ましい構造を下記に例示する。
【0070】
【化20】

(式中、Rp1は水素原子又はメチル基を示し、sはそれぞれ独立に0又は1を表す。tはそれぞれ独立に0〜2の整数を表す。Rp5はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基を示す。B1は単結合、又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数である。)
【0071】
【化21】

(式中、Rp1及びRp5は上記と同じであり、uは0又は1を表す。vは0〜2の整数を表す。B2は単結合、又は鎖の中間にエーテル結合を含んでもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示す。aは0〜3の整数、bは0又は1であり、cは1〜3の整数である。Wはcが1の場合には酸不安定基を、cが2以上の場合には水素原子又は酸不安定基を表すが、少なくとも1つは酸不安定基である。)
【0072】
【化22】

(式中、dは0〜4の整数であり、Rp6及びRp7はそれぞれ独立に、ハロゲン置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基又は一級もしくは二級アルコキシ基、炭素原子数2〜7のハロゲン置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ基、水酸基、又は酸不安定基保護された水酸基を表す。)
【0073】
上記に例示した芳香環を有する繰り返し単位のうち、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位は、ポリマーを構成する全繰り返し単位中、35〜90モル%であることが好ましい。この繰り返し単位が35モル%より低い場合、基板密着性が不足する場合があり、また90モル%より高い場合、現像後の未露光部の膜減り量が大きくなりすぎる場合がある。また、酸不安定基で保護されたフェノール性水酸基もしくは酸不安定基で保護されたカルボキシル基を含む繰り返し単位は、全繰り返し単位中5〜50モル%であることが好ましい。5モル%より少ない場合、溶解コントラストが不足する場合があり、50モル%より多い場合には基板密着性が損なわれる場合がある。更に、酸性基も保護された酸性基も持たない繰り返し単位は、全繰り返し単位中0〜35モル%であることが好ましい。この単位が多すぎる場合には基板密着性が損なわれる場合がある。また、ポリマーには上述した4つの繰り返し単位の他、芳香環を含まない(メタ)アクリル酸誘導体に由来する繰り返し単位、例えば上記(R2)の中に含まれる芳香環を含まない繰り返し単位を含むことができるが、全繰り返し単位中30モル%以下であることが好ましい。30モル%を超えた場合、エッチング耐性が十分に得られない場合がある。
【0074】
ベースポリマーの酸不安定基は、種々選定されるが、特に下記式(C1)、(C2)で示される炭素原子数2〜30のアセタール基、炭素原子数4〜30の三級アルキル基等であることが好ましい。
【化23】

【0075】
上記式(C1)、(C2)においてR11、R12は水素原子又は炭素原子数1〜20、特に1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R13、R14、R15、R16は炭素原子数1〜20、特に1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。またR11とR12、R11とR13、R12とR13、R14とR15、R14とR16、R15とR16はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に炭素原子数3〜20、特に3〜12の非芳香環を形成してもよい。
【0076】
式(C1)で示されるアセタール基として具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキメチル基、t−ブトキシメチル基、ネオペンチルオキシメチル基、(1−メチルシクロヘキシル)メトキシメチル基、2−アダマンチルオキシメチル基、(1−アダマンチル)メトキシメチル基、フェンキルオキシメチル基、(2−メチル−2−ノルボルニル)メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−メトキシブチル基、1−エトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−エトキシブチル基、1−プロポキシエチル基、1−プロポキシプロピル基、1−プロポキシブチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−メトキシイソプロピル基、2−エトキシイソプロピル基、1−フェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−フェノキシプロピル基、1−ベンジルオキシプロピル基、1−アダマンチルオキシエチル基、1−アダマンチルオキシプロピル基、2−テトラヒドロフリル基、2−テトラヒドロ−2H−ピラニル基、1−(2−シクロヘキサンカルボニルオキシエトキシ)エチル基、1−(2−シクロヘキサンカルボニルオキシエトキシ)プロピル基、1−[2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)エトキシ]エチル基、1−[2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)エトキシ]プロピル基を例示できるが、これらに限定されない。
【0077】
式(C2)で示される三級アルキル基として具体的には、t−ブチル基、t−ペンチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−アダマンチル−1−メチルエチル基、1−メチル−1−(2−ノルボルニル)エチル基、1−メチル−1−(テトラヒドロフラン−2−イル)エチル基、1−メチル−1−(7−オキサナルボルナン−2−イル)エチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−プロピルシクロペンチル基、1−シクロペンチルシクロペンチル基、1−シクロヘキシルシクロペンチル基、1−(2−テトラヒドロフリル)シクロペンチル基、1−(7−オキサナルボルナン−2−イル)シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−シクロペンチルシクロヘキシル基、1−シクロヘキシルシクロヘキシル基、2−メチル−2−ノルボニル基、2−エチル−2−ノルボニル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、3−メチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、3−エチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−3−オキソ−1−シクロヘキシル基、1−メチル−1−(テトラヒドロフラン−2−イル)エチル基、5−ヒドロキシ−2−メチル−2−アダマンチル基、5−ヒドロキシ−2−エチル−2−アダマンチル基を例示できるが、これらに限定されない。
【0078】
また、ベース樹脂の水酸基の一部が下記一般式(C3a)あるいは(C3b)で表される酸不安定基によって分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化24】

【0079】
上記式中、R17、R18は水素原子又は炭素原子数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R17とR18は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR17、R18は炭素原子数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R19は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、bは0又は1〜10の整数である。Aは、a+1価の炭素原子数1〜50の鎖状もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又は水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。aは1〜7の整数である。
【0080】
一般式(C3a)、(C3b)に示される架橋型アセタールとして、具体的には下記(C3)−1〜(C3)−8が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
【化25】

【0082】
本発明レジストパターン形成方法に用いるレジスト膜の形成に用いるレジスト組成物に添加される(B)成分の酸発生剤は、既に多数のものが化学増幅型レジスト組成物に用いられるものとして公知(例えば特許文献1〜6にも多数例示されている)であり、それらは基本的には全て使用可能である。特に電子線露光用や、EUV露光用としては、スルホニウム系の酸発生剤が有用であり、これらについても同様に多数のものが公知である。更に、このスルホニウム系の酸発生剤は、特許文献7(特開2001−226430号公報)のように高分子化合物の繰り返し単位中の側鎖に組み込まれたものでもよい。下記に好ましい酸発生剤を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0083】
酸発生剤が繰り返し単位からなる高分子化合物でない場合の好ましい例を下記に示す。
【化26】

【0084】
【化27】

【0085】
酸発生剤が高分子化合物である場合の好ましい例を下記に示す。
【化28】

【0086】
【化29】

【0087】
【化30】

【0088】
【化31】

【0089】
(光)酸発生剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲であればいずれでもよいが、レジスト組成物中のベース樹脂100質量部に対し0.1〜80質量部、好ましくは1〜40質量部である。(光)酸発生剤の割合が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト膜剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記(光)酸発生剤は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い(光)酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0090】
更に、本発明レジストパターン形成方法に用いるレジスト膜の形成に用いるレジスト組成物には(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物を1種又は2種以上配合される。上記塩基性成分として窒素を含有する化合物を添加することによって酸発生剤より発生する酸などがレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を制御することが可能となり、また、この配合により、レジスト感度の調整が容易となる。これによって、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0091】
このような塩基性成分(クエンチャー)としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、N−オキシド類、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニウム塩類等が好適に用いられる。
【0092】
塩基性成分としての窒素を含有する化合物は既に多数の有用な材料が開示されており、例えば特開2010−164933号公報(特許文献5)に多数の具体例が開示されているが、基板やプロセス条件やその他のレジスト組成物と組み合わせた場合の特性等を元に適宜選択して使用される。
【0093】
好適に用いられる塩基性成分としての窒素を含有する化合物を更に具体的に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0094】
第一級の脂肪族アミン類として、セチルアミン、テトラエチレンペンタミン等、第二級の脂肪族アミン類として、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、第三級の脂肪族アミン類として、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミンが例示される。
【0095】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン)、ピロール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体(例えば、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール)、ベンズイミダゾール誘導体(例えばベンズイミダゾール、2−メチルベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体、ピロリジン誘導体、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばジメチルアミノピリジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体が例示される。
【0096】
カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸誘導体(4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジブチルアミノ安息香酸)、アミノ酸誘導体が例示され、水酸基を有する含窒素化合物としては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、3−クイヌクリジノールが例示される。N−オキシド類としては、トリブチルアミン−N−オキシド、N−メチルモルホリン−N−オキシド、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン−N−オキシドが例示される。アミド類としては、1−シクロヘキシルピロリドン、N−ピバロイル−2−フェニルベンズイミダゾールが例示される。イミド類としては、フタルイミドが例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−ベンジルオキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−アリルオキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾールが例示される。
【0097】
アンモニウム塩類としては、トリエチルアンモニウム=カンファースルホナート、酢酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=カンファースルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=カンファースルホナート、トリメチルオクタデシルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、4−(2−シクロへキサンカルボキシエチル)モルホリニウム=カンファースルホナートが例示される。
【0098】
更に、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ベンゾイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−ドデシルピペリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、4−ドデシルモルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、4−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−ピペリジノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−ピペリジノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチル、ベヘン酸2−モルホリノエチル、コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−アセチル)コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−ホルミル)コール酸2−モルホリノエチル、デヒドロコール酸2−モルホリノエチル、シクロペンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、シクロヘキサンカルボン酸2−モルホリノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−モルホリノエチル、が例示される。
【0099】
なお、塩基性成分としての窒素を含有する化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部、特に0.1〜10質量部が好適である。配合量が0.01質量部より少ないと配合効果がなく、20質量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0100】
本発明レジストパターン形成方法に用いるレジスト膜の形成に用いるレジスト組成物に使用される(D)成分の有機溶剤としては、上述の軟化促進剤、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、アニソール、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−t−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中のベース樹脂、酸発生剤の溶解性に優れるプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0101】
有機溶剤の使用量は、目標膜厚などに応じて設定すべきものであるが、概ねベース樹脂100質量部に対して200〜15,000質量部、特に400〜8,000質量部が好適である。
【0102】
更に、本発明レジストパターン形成方法に用いるレジスト膜の形成に用いるレジスト組成物には、任意成分として、界面活性剤を添加することができる。上記界面活性剤としては、特に限定されず、広範な公知物質を使用可能であるが、例えば、特開2009−269953号公報(特許文献6)の段落[0142]〜[0149]を参照することができる。レジスト組成物に添加される界面活性剤には大きく分けて2種類あり、一つは、塗布性を向上させるために慣用される界面活性剤(F1)であり、いま一つは、特に水を用いた液浸露光においてレジスト保護膜を用いない場合などに添加される界面活性剤(F2)である。
【0103】
本発明においては、界面活性剤(F1)の中で、FC−4430(住友スリーエム株式会社製)、サーフロンS−381(AGCセイミケミカル株式会社製)、サーフィノールE1004(AGCセイミケミカル株式会社製)、KH−20(AGCセイミケミカル株式会社製)、KH−30(AGCセイミケミカル株式会社製)、及び部分フッ素化オキセタン開環重合物が特に好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0104】
本発明の化学増幅型レジスト組成物中の界面活性剤(F1)の添加量は、レジスト組成物中のベース樹脂100質量部に対し2部以下、好ましくは1質量部以下である。
【0105】
界面活性剤(F2)としては、レジスト組成物に配合された場合に、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって水液浸露光時のレジスト膜への水のしみ込みやレジスト膜からのリーチングを低減させる機能を有するものであれば特に限定されず、広範な公知物質を使用可能である。この界面活性剤は高分子型の界面活性剤であって、水に溶解せずアルカリ現像液に溶解する性質を有し、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。
【0106】
本発明の化学増幅型レジスト組成物中に界面活性剤(F2)を添加する場合の添加量は、レジストのベースポリマー100質量部に対して0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部の範囲である。
【0107】
本発明のパターン形成方法における被加工基板上へのレジスト膜の形成は、被加工基板上へのレジスト組成物の塗付工程、ついでプリベーク工程を経て行うが、これらはいずれも公知の方法を用い、目的に応じて、膜厚が10〜2,000nmのレジスト膜を形成することができる。更に、レジスト膜厚が150nm、特に100nm以下である場合、LERの小さなパターンを得ることは難しく、本発明のパターン形成方法が特に有用に適用される。
【0108】
塗付工程は、スピンコーティング以外にもいくつかの方法が知られているが、レジスト膜厚が150nm程度、あるいはそれよりも薄い膜を形成する場合、均一な膜厚を得るためにはスピンコーティングが最も好ましい。
【0109】
被加工基板が半導体ウエハーである場合、スピンコーティング時の塗布条件はウエハーの大きさ、目標の膜厚、レジスト組成物の組成等により条件を調整する必要があるが、8インチウエハーを用いて、レジスト膜厚が100nm程度のものを得る場合には、レジスト組成物をウエハー上にキャストした後、回転数4,000〜5,000rpmで40秒間回転させることで、均一性の高いレジスト膜が得られる。ここで、レジスト組成物を調製する際に使用する溶剤の使用量は、ベース樹脂100質量部に対して1,400〜3,000質量部である。
【0110】
また、被加工基板がフォトマスクブランクである場合、同様に塗布条件はブランクの大きさ、目標の膜厚、レジスト組成物の組成等により条件を調整する必要があるが、15.2cm×15.2cmの角型ブランク上でレジスト膜厚が100nm程度のものを得る場合には、レジスト組成物をブランク上にキャストした後、回転数1,500〜3,000rpmで2秒間、その後800rpm以下で30秒間回転させることで均一性の高い膜が得られる。ここで、レジスト組成物を調製する際に使用する溶剤の使用量は、ベース樹脂100質量部に対して2,000〜4,500質量部である。
【0111】
更に、上記の方法で得られたレジスト膜は、膜中に残存する過剰の溶剤を除去するため、プリベークが行われる。被加工基板が半導体ウエハーである場合、プリベークの条件は、ホットプレート上で行った場合、通常80〜130℃で1〜10分間、より好ましくは90〜110℃で3〜5分間行われる。
【0112】
一方、被加工基板がフォトマスクブランクである場合、膜中に残存する過剰の溶剤を除去するためのプリベークの条件は。ホットプレート上で行った場合、通常80〜130℃で4〜20分間、より好ましくは90〜110℃で8〜12分間行われる。
【0113】
次いで上記で得たレジスト膜に対し、目的のパターンを形成するためにパターン露光を行う。露光方法としては、半導体加工を行う場合には、目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜100μC/cm2、好ましくは10〜100μC/cm2となるように照射する。露光は通常の露光法の他、必要に応じて投影レンズとレジスト膜の間を液浸するImmersion法(液浸露光法)を用いることも可能である。また、フォトマスクブランクの加工を行う場合には、加工によって同一のものを多数製造するものではないため、通常ビーム露光によってパターン露光が行われる。使用される高エネルギー線は一般的には電子線であるが、上述のその他の光源をビームとしたものも同様に使用可能である。
【0114】
通常露光後に、酸を拡散させて化学増幅反応を行うため、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行う。被加工基板が半導体ウエハーである場合、例えばホットプレート上で、60〜150℃、0.1〜5分間、好ましくは80〜140℃、0.5〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。一方、被加工基板がフォトマスクブランクである場合、例えばホットプレート上で、60〜150℃、4〜20分間、好ましくは80〜140℃、8〜12分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。
【0115】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは、2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上にパターンが形成される。
【0116】
この現像後に、更に加熱処理を行ってポリマーを熱変形させることにより、ラインエッジラフネスの改善を行う。この熱変形を行う温度は、レジストパターン中の最小線幅部分のパターン線幅を10%以上変化させない、好ましくは5%以上変化させない温度である。パターン線幅を10%以上変化させない範囲で熱変形を行うことによって、レジスト膜厚のロスやパターン形状の大きな劣化を生じることなくLERの改善が可能であり、更に5%以上変化させない範囲で熱変形した場合には、パターン形状をほとんど劣化させずにLERを改善することができる。
【0117】
ここでの熱変形温度は、通常、PEB温度以上である。これは熱変形が起こるような温度にポリマーが加熱された場合、レジスト膜中での物質の移動、特に酸の拡散が大きくなりすぎ、現像時に得られるパターン形状の劣化が起こる。そこで、逆に、レジストパターンを形成する際の定法として最適なプリベーク温度とPEB温度が求められるが、本発明における現像後のポリマーの熱変形を起こすための温度は、ここで得た最適PEB温度より高い温度範囲、目安として10℃以上に見出され、かつピンポイントではなく、10℃程度以上の幅をもって見出すことができる。
【0118】
本発明のレジストパターン形成方法における現像後の加熱処理条件は、被加工基板が半導体ウエハーである場合、一般的には、ホットプレート上で、90〜190℃、好ましくは110〜160℃で、0.2〜10分間、好ましくは0.5〜5分間加熱を行う。一方、被加工基板がフォトマスクブランクである場合、一般的には、90〜190℃、好ましくは110〜160℃で、0.2〜20分間、好ましくは0.5〜15分間加熱することにより行うことができる。但し、上記現像後の加熱条件は、レジストパターン形成に用いたレジスト組成物の構成材料やその量比によって最適値が変化する。そこで、全く初めて用いるレジスト組成物や被加工基板である場合、予めターゲットとなるパターンのモデルパターンを被加工基板のモデルとすることができる基板上に形成して、それに対してPEB温度以上の何点かの温度で加熱を行い、線幅変化量とLERの改善の確認を行う必要がある。
【0119】
なお、本発明のパターン形成方法は、特に高エネルギー線の中でも120〜250nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、極端紫外線、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。
【実施例】
【0120】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0121】
本発明のパターン形成方法で使用したレジスト組成物構成材料、ベースポリマー(Polymer−1)、酸発生剤(PAG−1,2)の構造式を以下に示す。Polymer−1のMw、Mnは、溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲル浸透クロマトグラフフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。Mw=5,100、Mw/Mn=1.7
1H−NMRによるヒドロキシスチレン(A):アセナフチレン(B):4−トリシクロデカンオキシイソブトキシスチレン(C)の組成比率(モル比)は80:10:10である。
【化32】

【0122】
また、使用した溶剤及び窒素含有化合物(塩基性化合物)は下記の通りである。
溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
溶剤B:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
溶剤C:乳酸エチル(EL)
窒素含有化合物A:トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミン
窒素含有化合物B:トリス(2−(メトキシメトキシ)エチル)アミンの酸化物
界面活性剤A:PF−636(オムノバ社製)
【0123】
[実施例1、比較例1〜3]
本発明の下記表1に示す化学増幅ポジ型レジスト組成物を調製し、次いで本発明のパターン形成方法を実施して、その解像性及びパターン形状の評価を行った。下記表1の最下行には現像後の加熱処理の有無も記載した。
軟化促進剤としては、以下の軟化促進剤1を使用した。
【0124】
【化33】

【0125】
【表1】

【0126】
得られたレジスト組成物を0.04μmのナイロン樹脂製フィルターで濾過した後、このレジスト液を152mm角の最表面が酸化窒化クロム膜であるマスクブランク上へスピンコーティングし、厚さ150nmに塗布した。塗布条件を以下に示す。
1,000rpm×1秒
2,500rpm×1.5秒
800rpm×5秒
100rpm×30秒
2,000rpm×30秒
次いで、このマスクブランクを90℃のホットプレートで10分間ベークした。
【0127】
膜厚の測定は光学式測定器ナノスペック(ナノメトリックス社製)を用いて行った。測定はブランク外周から10mm内側までの外縁部分を除くブランク基板の面内81箇所で行い、膜厚平均値と膜厚範囲を算出した。
【0128】
更に、電子線露光装置(NuFLARE社製 EBM5000 加速電圧50keV)を用いて露光し、110℃で10分間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンが得られ(実施例1、比較例1〜3)、更にその現像後のパターンを130℃で10分間ベークした(実施例1、比較例2)。
【0129】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
200nmのライン・アンド・スペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているライン・アンド・スペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面を観察した。
ラインエッジラフネスは100nmのラインパターンの長手方向5μmを50ポイント測定((株)日立製作所製S−8840)し、3σを算出した。値が小さいほど良好性能であることを示す。
塗布性の評価は、上記の膜厚範囲を基に行った。
解像性及びパターンの断面形状、ラインエッジラフネス、塗布性の評価結果を表2に示す。
【0130】
【表2】

【0131】
上記の結果より、実施例1は、現像後の加熱処理がない比較例1に対して、ラインエッジラフネスが1.5nm改善されている。軟化促進剤1を含有しない比較例2と比較例3は比較例1よりラインエッジラフネスが大きいことから軟化促進剤はラインエッジラフネスの低減に効果がある。また、軟化促進剤1を含有しない比較例2は現像後に熱処理してもラインエッジラフネスが改善されないので、ラインエッジラフネスを改善するためには低分子量である軟化促進剤1が不可欠なことが判る。
【0132】
[実施例2〜7、比較例4〜9]
実施例1に対して軟化促進剤を下記軟化促進剤2から軟化促進剤7の化合物にそれぞれ変えたレジスト組成物(表3、表4参照)を調製し、現像後に加熱を行った場合及び行わなかった場合につき、その解像性及びパターン形状の評価を行った。
パターン形成方法については、このレジスト液をマスクブランク上へスピンコーティングし、実施例1と同様に行った。現像後のパターン加熱条件は130℃で10分間で行い、加熱処理の有無を記載した。
解像性及びパターンの断面形状、ラインエッジラフネス、塗布性の評価結果を表5、表6に示す。
【0133】
【化34】

【0134】
【表3】

【0135】
【表4】

【0136】
【表5】

【0137】
【表6】

【0138】
上記の結果、実施例1に対して軟化促進剤2〜軟化促進剤7に変えた場合にも、実施例1と同様、良好なパターンが得られ、ラインエッジラフネスの改善効果が得られることが示された。現像後のパターンの加熱処理がない比較例より実施例2〜9の全てにおいて、ラインエッジラフネスが1.5nm改善されている。
【0139】
[実施例8〜14、比較例10,11]
レジスト膜厚を薄くするため、溶剤としてPGMEを加えて濃度を低くした表7に示すレジスト組成物を調製し、その解像性及びパターン形状の評価を行った。
パターン形成方法については、このレジスト液をマスクブランク上へスピンコーティングし、実施例1と同様に行った。レジスト濃度が薄くなったので、塗布膜厚は同じ塗布条件で90nmであった。
解像性及びパターンの断面形状、ラインエッジラフネス、塗布性の評価結果を表8に示す。膜厚が薄くなったので、40nmのパターンが倒壊することなく解像できた。
【0140】
【表7】

【0141】
【表8】

【0142】
上記の結果より、従来のレジスト組成物(比較例11)においては、薄膜化することによって、ラインエッジラフネスが増大するという問題が発生したが、低分子量の軟化促進剤を添加するレジスト組成物では、100nmより薄い膜を成膜した場合においても成膜性が確保されると共に、ラインエッジラフネスが現像後の加熱処理で、いずれも加熱しない場合のラインエッジラフネス4.5より改善されることが確認できた。
【0143】
[実施例15,16、比較例12〜14]
現像後の加熱処理温度とパターン寸法変化、ラインエッジラフネスなどの関係を評価するため、表1の実施例1と比較例2に示すレジスト組成物を調製し、そのパターン寸法変化量及びラインエッジラフネスと加熱処理によるレジストパターンの膜減りの評価を行った。
パターン形成方法については、このレジスト液をマスクブランク上へスピンコーティングし、実施例1と同様に行い、50nm幅のパターンを形成した。現像後の加熱処理条件は温度が120℃、130℃、140℃、150℃、160℃で各10分間で行った(表9)。
パターン寸法変化量及びパターンの断面形状、ラインエッジラフネス、レジストパターンの膜減り量及びパターン寸法変化量の評価結果を表10に示す。
【0144】
【表9】

【0145】
【表10】

【0146】
実施例1で用いたレジスト組成における現像後の熱処理なしの場合のラインエッジラフネスは4nmであることから、PEB温度より10℃高い120℃での現像後加熱(実施例15)では、ラインエッジラフネスの減少は0.5nmと小さめの値であるが、パターン形状の劣化を起こすことなくLERが改善されている。実施例1の130℃ではラインエッジラフネスが1.5nm改善されるが、膜減り量は1nmに抑えられ、膜減り量と関係しているパターン寸法変化量は1.5nmに抑えられており、パターン形状の実質的劣化なくLERが改善されていることが判る。
【0147】
加熱処理温度が140℃と高くなると膜減り量とパターン寸法変化が大きくなるが、ラインエッジラフネスは改善(実施例16)される。パターン寸法変化率は5%以内であり十分許容でき、パターン形状も矩形を保った。また、150℃では、50nmのパターンのパターン寸法変化は3nmとパターン寸法変化率は5%を超え、パターン形状もわずかに頭が丸くなる傾向を示した。これは若干好ましくない変化であるものの、このレジストパターンを用いた被加工基板のエッチング加工に全く耐えないという形状ではなかった。
【0148】
160℃の加熱では、線幅変化量が10%を超え、この場合にはパターン形状においてレジストパターンの頭が丸くなってしまう結果となった。そこで、現像時に得るレジストパターンを予め線幅増加を見込んだ形とした場合にも、その後のエッチングには好ましくないものであった。一方、軟化促進剤を含まないレジスト組成物を用いた比較例13では、130℃では全くLERが改善されず、160℃ではレジストパターン形状が劣化してしまうにも関わらず、LERの改善は不十分であった。また、パターン形状の劣化を伴うことなくLERを改善するための温度の幅も狭いことが判明した。
【0149】
[実施例18〜20、比較例14,15]
レジスト組成物中の軟化促進剤の量とラインエッジラフネスが改善できる加熱処理温度の関係を評価するため、表11に示すレジスト組成物を調製し、ラインエッジラフネスが改善できる加熱処理温度とパターン寸法変化量の評価を行った。
パターン形成方法については、このレジスト液をマスクブランク上へスピンコーティングし、実施例1と同様に行い、50nm幅のパターンを形成した。現像後の加熱処理温度は表12に示す温度で各10分間で行った。
パターン寸法変化量及びパターンの断面形状、ラインエッジラフネス、ラインエッジラフネスが改善できる加熱処理温度の評価結果を表12に示す。
【0150】
【表11】

【0151】
【表12】

【0152】
実施例1のラインエッジラフネスが改善できる現像後の加熱温度は130℃であるが、軟化促進剤1が増えると加熱処理温度を低くできることが判る。しかし、レジスト組成物中の全固形分に対する軟化促進剤の添加量が20質量%(比較例14)を超えると、パターン形状にくびれが発生し、パターン形成時に強い影響がでてしまう結果となった。逆に軟化促進剤1の添加量がレジスト組成物中の全固形分に対して2.5質量%(比較例15)より少ない場合、加熱処理温度は140℃でもラインエッジラフネスが改善できず、軟化促進剤の効果がほとんど得られないことが判明した。
【0153】
次に、ステロイド骨格を有する酸分解性ケトエステル化合物の合成例を参考例として示す。なお、下記例中Meはメチル基を示す。
[参考例1]デヒドロコール酸(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル)(A−1)の合成
【化35】


デヒドロコール酸(S−1)4.0g、クロロ酢酸(1−エチルシクロペンチル)(S−2)2.9g、トリエチルアミン1.2g、ヨウ化ナトリウム0.2g、ジメチルホルムアミド24gの混合物を80℃で48時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈、通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、4.3gのデヒドロコール酸(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル)(A−1)を得た。
【0154】
[参考例2]デヒドロコール酸(1−エチルシクロペンチル)(A−2)の合成
【化36】


デヒドロコール酸クロリド(S−3)4.2g、1−エチルシクロペンタノール(S−4)1.7g、4−ジメチルアミノピリジン0.1g、ピリジン16gの混合物を60℃で16時間撹拌した。反応混合物を塩化メチレンで希釈、通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った後、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、3.5gのデヒドロコール酸(1−エチルシクロペンチル)(A−2)を得た。
【0155】
[参考例3]デヒドロコール酸(1−メトキシ−2−メチルプロピル)(A−3)の合成
【化37】


デヒドロコール酸(S−1)20.0g、トリエチルアミン6.0g、テトラヒドロフラン100gの混合物に、(1−クロロ−2−メチルプロピル)メチルエーテル(S−5)6.1gを室温で滴下し、1時間撹拌した。反応混合物をトルエンで希釈、通常の水系後処理(aqueous work−up)を行った後、溶剤を減圧留去した。生じた固体をイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥し、21.9gのデヒドロコール酸(1−メトキシ−2−メチルプロピル)(A−3)を得た。
【0156】
得られた目的物の赤外吸収スペクトル(IR)及び核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)の測定結果を下記に示す。なお、本化合物は、存在比1:1の2種のジアステレオマー混合物である。
IR(D−ATR):ν=2964、2931、2872、1740、1720、1705、1470、1426、1384、1314、1299、1277、1250、1220、1170、1138、1120、1097、972、946、911cm-1
1H−NMR(600MHz、THF−d8):δ=0.86(3H,d,J=6.4Hz)、0.88−0.92(6H,m)、1.08(3H,s)、1.22−1.42[1.40(3H,s)を含む7H,m]、1.55(1H,dt,J=14.7,4.1Hz)、1.76−2.06(9H,m)、2.09(1H,dd,J=12.4,5.5Hz)、2.20(1H,t,J=13.2Hz)、2.23−2.52(6H,m)、2.86(1H,t,J=12.8Hz)、2.96(1H,dd,J=13.3,5.5Hz)、2.99(1H,t,J=11.9Hz)、3.32(1.5H,s)、3.33(1.5H,s)、5.52(1H,d,J=5.0Hz).
【0157】
[参考例4]デヒドロコール酸[2−メチル−1−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)プロピル](A−4)の合成
【化38】


(1−クロロ−2−メチルプロピル)メチルエーテル(S−5)の代わりに同モルの(1−クロロ−2−メチルプロピル)(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)エーテル(S−6)を用いた以外は、[参考例3]に準じた方法により、デヒドロコール酸[2−メチル−1−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)プロピル](A−4)を合成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベース樹脂、
(B)酸発生剤、
(C)塩基性成分として窒素を含有する化合物
を含有するポジ型である化学増幅型レジスト組成物を被加工基板上に塗布し、塗布膜に残存する過剰の溶剤成分を加熱により除去してレジスト膜を得る工程と、高エネルギー線によりレジスト膜をパターン露光する工程と、必要に応じて露光後加熱処理を行い、続いて現像液を用いて現像する工程と、更に現像により得られたパターンの線幅を10%以上変化させない範囲で加熱によるパターン形状補正を行う工程を含むパターン形成方法において、上記化学増幅型レジスト組成物は、酸不安定基で保護された酸性官能基を有する分子量800以下の軟化促進剤を、上記化学増幅型レジスト組成物を構成する全固形分に対して2.5質量%以上20質量%以下で含有する組成物であることを特徴とするレジストパターン形成方法。
【請求項2】
上記軟化促進剤が、2個以上の5又は6炭素による環と、2個以上の炭素原子を含む自由回転可能な炭素鎖を有する化合物である請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項3】
上記軟化促進剤は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は、炭素原子数2〜20の酸素原子を含んでいてもよい、酸の作用により−COOR1が分解してカルボキシル基を生じる酸不安定基を表す。Xはそれぞれ独立に、カルボニル基(−CO−)又はメチレン基(−CH2−)を表す。Yはそれぞれ独立に、単結合、又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す。nは0〜2の整数である。)
で表される化合物である請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
上記一般式(1)中のR1が、下記一般式(2)
【化2】

(式中、破線は結合手を示し、R01、R02はそれぞれ水素原子、又は炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を表す。また、R01、R02が結合してこれらが結合する炭素原子と共に環構造を形成してもよい。更に、Zは炭素原子数1〜20の酸素原子を有してもよい1価の炭化水素基である。)
で表されるアセタール基である請求項3に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項5】
上記軟化促進剤が、下記一般式(3)
【化3】

(式中、R2は、炭素原子数と酸素原子数の和が1〜15の、直鎖状、分岐状又は環状の酸素原子を有してもよい1価の炭化水素基を表す。)
で示される化合物である請求項3に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項6】
被加工基板がフォトマスクブランクである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレジストパターン形成方法。

【公開番号】特開2012−159585(P2012−159585A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17840(P2011−17840)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】