説明

レチクル検査装置及びレチクル検査方法

【課題】ヘイズのような微小な段差の異物を簡素な構成の装置により正確に検出する。
【解決手段】レチクル検査装置100は、レチクル3に照射される照射光10を発光する光源(例えばレーザ1)を有する。レチクル検査装置100は、レチクル3の表面3aにおける照射光10の照射位置Pを調整し、該照射光10をレチクル3上で走査させる照射位置調整部と、レチクル3の表面3aからの正反射光11を受光する受光部(例えばフォトマル8)とを有する。レチクル検査装置100は、受光部により受光される正反射光11の光量の変動に基づいてレチクル3の表面3aの異物(例えばヘイズ)の有無を判定する判定部(制御部9)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチクル検査装置及びレチクル検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置におけるパターンの微細化に伴い、半導体装置の製造工程に含まれるフォトリソグラフィー工程で用いられる露光光の短波長化が進行している。
【0003】
しかしながら、その弊害で、フォトリソグラフィー工程で用いられるレチクル(マスク)の表面が活性化されやすくなっている。このため、レチクルの表面に付着しているケミカルコンタミネーションが結晶成長することにより、該表面にヘイズ(曇り)等の異物が生じることがある。
【0004】
表面にヘイズ等の異物があるレチクルを用いて露光を行うと、異物の形状がフォトレジスト膜に転写されることに起因して、製造される半導体装置に欠陥が生じることがある。
【0005】
このため、レチクルのヘイズ等を検出できるようにすることが望まれている。
【0006】
特許文献1には、レチクルの表面に対してレーザ光を照射し、その表面からの反射散乱光の強度を光検出器によって検出し、その検出結果に基づいてレチクル表面における異物の有無を判別することが記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、レチクルにビームを照射し、レチクルからの反射出力及び透過出力をそれぞれ検出し、それら反射出力と透過出力とを比較してレチクルの欠陥を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平04−134254号公報
【特許文献2】特開昭58−162038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、反射散乱光を用いて異物の有無を判別するが、ヘイズのような微小な段差の異物からは散乱光が発生しにくいため、そのような異物はほとんど検出することが不可能である。
【0010】
また、特許文献2では、レチクルからの反射出力と透過出力とを検出するための手段をそれぞれ設ける必要があるため検査装置の構成要素が多くなり、装置が大型になるとともに高コストになる。また、同文献には不透過性のゴミ等の検出を行うことは記載されているが、ヘイズのような微小な段差の異物を検出する点については記載されておらず、そのような異物を検出できるかどうかは不明である。
【0011】
このように、ヘイズ(曇り)のような微小な段差の異物を簡素な構成の装置により正確に検出することは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、レチクルに照射される照射光を発光する光源と、
前記レチクルの表面における前記照射光の照射位置を調整し、該照射光を前記レチクル上で走査させる照射位置調整部と、
前記レチクルの表面からの正反射光を受光する受光部と、
前記受光部により受光される前記正反射光の光量の変動に基づいて前記レチクルの表面における異物の有無を判定する判定部と、
を有することを特徴とするレチクル検査装置を提供する。
【0013】
このレチクル検査装置によれば、レチクルの表面からの正反射光の光量の変動に基づいてレチクルの表面の異物の有無を検出する。このため、反射散乱光に基づいてレチクルの表面の異物を検出する場合とは異なり、ヘイズのような微小な段差の異物も正確に検出することが可能となる。また、1つの受光部を用いて正反射光を受光すれば良いため、例えばレチクルからの反射出力と透過出力とを検出するための手段をそれぞれ設ける場合と比べて検査装置の構成要素を少なくでき、検査装置を小型かつ低コストに構成することができる。
このように、ヘイズのような微小な段差の異物を簡素な構成の装置により正確に検出することができる。
【0014】
また、本発明は、レチクルに照射光を照射しながら前記レチクルの表面における前記照射光の照射位置を動かして、該照射光を前記レチクル上で走査させる工程と、
前記レチクルの表面からの正反射光を受光する工程と、
受光される前記正反射光の光量の変動に基づいて前記レチクルの表面における異物の有無を判定する工程と、
を有することを特徴とするレチクル検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヘイズのような微小な段差の異物を簡素な構成の装置により正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るレチクル検査装置の構成を示す模式的な側面図である。
【図2】実施形態に係るレチクル検査装置の構成を示す模式的な平面図である。
【図3】実施形態に係るレチクル検査装置のブロック図である。
【図4】実施形態に係るレチクル検査装置における信号処理の流れを示す信号処理系統図である。
【図5】レチクルに照射光が照射される様子を示す模式的な側面図である。
【図6】実施形態に係るレチクル検査装置の判定動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0018】
図1乃至図3は実施形態に係るレチクル検査装置100の構成を示す図であり、このうち図1は模式的な側面図、図2は模式的な平面図、図3はブロック図である。
【0019】
本実施形態に係るレチクル検査装置100は、レチクル3に照射される照射光10を発光する光源(例えばレーザ1)と、レチクル3の表面3a(図4参照)における照射光(反射光10a)の照射位置Pを調整し、該照射光をレチクル3上で走査させる照射位置調整部(例えば、スキャナーミラー移動部13及びステージ移動部12)と、レチクル3の表面3aからの正反射光11を受光する受光部(例えばフォトマル8)と、受光部により受光される正反射光11の光量の変動に基づいてレチクル3の表面3aの異物(例えばヘイズ19)の有無を判定する判定部(制御部9)と、を有する。
また、本実施形態に係るレチクル検査方法は、レチクル3に照射光(反射光10a)を照射しながらレチクル3の表面3aにおける照射光の照射位置を動かして、該照射光をレチクル3上で走査させる工程と、レチクル3の表面3aからの正反射光11を受光する工程と、受光される正反射光11の光量の変動に基づいてレチクル3の表面3aにおける異物(例えばヘイズ19)の有無を判定する工程と、を有する。
以下、詳細に説明する。
【0020】
図1に示すように、レチクル検査装置100は、光源としてのレーザ1と、レーザ1から照射される照射光10をレチクル3側に反射させるスキャナーミラー2と、レチクル3を保持するステージ4と、を有している。
更に、レチクル検査装置100は、ハービングミラー5と、折り返しミラー6と、受光スリット7aを有する遮光体7と、フォトマル8と、制御部9と、を有している。
【0021】
図3に示すように、レチクル検査装置100は、更に、ステージ移動部12と、スキャナーミラー移動部13と、ハービングミラー移動部14と、プリアンプ15と、オートゲインコントローラー16と、A/D変換器17と、表示部18と、を有している。
【0022】
レーザ1から発せられたレーザ光、すなわち照射光10は、スキャナーミラー2に入射し、このスキャナーミラー2からレチクル3側に反射光10aとして反射される。この反射光10aは、所定の入射角αでレチクル3の表面3aに入射し、この表面3aにて正反射(鏡面反射)し、正反射光11となる。
【0023】
ここで、反射光10aは、例えば、表面3aにて正反射光11となる成分と、表面3aからレチクル3内に進入する成分とに分かれる。上記入射角αは、このレチクル3内に進入する成分がレチクル3の面3bにて全反射しないような角度に設定されていることが好ましい。逆に言えば、レチクル3内に浸入する上記成分のうちの少なくとも一部の成分が、面3bからレチクル3の外側に抜け出るように、入射角αが設定されていることが好ましい。このようにすることにより、正反射光11以外の成分がフォトマル8に入射してしまうことを抑制でき、検出精度を高めることができる。
また、面3bにて表面3a側に反射する成分は、表面3aにて再び面3b側に反射する成分と、表面3aからレチクル3の外側に抜け出る成分と、に分かれる。上記のように入射角αを設定することにより、これらのうち表面3aからレチクル3の外側に抜け出る成分の割合を減らし、表面3aにて再び面3b側に反射する成分の割合を高めることができるので、このことによっても反射光11以外の成分がフォトマル8に入射してしまうことを抑制でき、検出精度を高めることができる。
【0024】
なお、レチクル3は、例えば石英ガラス等の光透過性の材質により構成されている。
【0025】
ステージ4には、レチクル3が載置されるようになっている。ステージ移動部12は、このステージ4をレチクル3ごと一方向(図1及び図2の矢印A方向)及びその反対方向(図1及び図2の矢印B方向)に移動させることができるように構成されている。ステージ移動部12は、例えば、モータ等の駆動源と、この駆動源の動力を直線動作に変換してステージ4を矢印A方向又はB方向に直線移動させる駆動伝達機構と、を有している(何れも図示略)。
【0026】
このようにステージ移動部12によってステージ4及びレチクル3を移動させることにより、スキャナーミラー2からの反射光10aがレチクル3の表面3a上に照射される照射位置Pを、図1及び図2の矢印B方向及びA方向に走査させることができる。以下、表面3a上において、矢印A方向又はB方向での照射位置PをX座標と称する。
【0027】
スキャナーミラー移動部13は、スキャナーミラー2を移動させることによって、該スキャナーミラー2からの反射光10aをレチクル3の表面3a上において走査させる。より具体的には、スキャナーミラー移動部13による走査によって、反射光10aは、レチクル3の表面3a上で、上記一方向及び反対方向(矢印A方向及びB方向)と直交する方向(図2の矢印C方向及びD方向)において、図2に示す範囲H内で反復的に走査される。具体的には、スキャナーミラー移動部13は、スキャナーミラー2を定位置で首振りさせることによって、反射光10aをこのように走査させる。以下、表面3a上において、矢印C方向又はD方向での照射位置PをY座標と称する。
【0028】
そして、ステージ移動部12による走査とスキャナーミラー移動部13による走査とを組み合わせて行うことによって、反射光10aをレチクル3の表面3a上における任意の位置に走査させることができる。すなわち、反射光10aが表面3a上に照射される照射位置Pを、表面3a上における任意の位置に移動させることができる。
【0029】
反射光10aがレチクル3の表面3a上で正反射することによって得られる正反射光11は、ハービングミラー5に入射し、該ハービングミラー5から折り返しミラー6側に反射する。折り返しミラー6は固定されている。ハービングミラー5により反射された正反射光11は、折り返しミラー6に入射し、該折り返しミラー6からフォトマル8側へ反射する。この正反射光11は、遮光体7の受光スリット7aを介してフォトマル8により受光される。
【0030】
ここで、ハービングミラー移動部14は、スキャナーミラー2の移動(首振り)に同期させて、ハービングミラー5をスキャナーミラー2とはほぼ面対称に移動(定位置で首振り)させる。これにより、表面3a上における照射位置Pにかかわらず、折り返しミラー6のほぼ同じ位置に常に正反射光11が入射するようになっている。そして、表面3aにヘイズ19等の異物が存在しない場合には、表面3a上における照射位置Pにかかわらず、フォトマル8はほぼ同じ強度の光を受光するようになっている。
【0031】
なお、反射光10aは、レチクル3の表面3a上において正反射する以外に散乱もするが、正反射する成分(正反射光11)が最も強い成分となる。
【0032】
フォトマル(光電変換素子)8は、正反射光11を受光すると、該正反射光11を光電変換する(正反射光11を電気信号に変換する)。すなわち、フォトマル8は、正反射光11の光量に応じた大きさの電流を出力する。この電流は、プリアンプ15に入力される。プリアンプ15は、入力される電流を電圧に変換するとともに増幅した後で、オートゲインコントローラー16に出力する。オートゲインコントローラー16は、入力される電圧をゲイン調整し、A/D変換器17に出力する。A/D変換器17は入力されるアナログ信号、すなわち電圧値をデジタル値に変換し、該変換後のデジタル値を制御部9に出力する。
【0033】
制御部9は、正反射光11の光量と相関する値、すなわちA/D変換器17から入力されるデジタル値をモニターし、このデジタル値の変動に基づいてレチクル3の表面3aにおけるヘイズ19等の異物の有無を判定する。すなわち、レチクル3の表面3a上において照射光(反射光10a)を走査させながら、該表面3aからの正反射光11の光量の変動をモニターし、光量の変動に基づいてレチクル3の表面3aにおける異物の有無を判定する。
【0034】
このように、本実施形態では、受光部は、正反射光11を電気信号に変換する光電変換素子(例えばフォトマル8)であり、判定部としての制御部9は、光電変換素子により変換された電気信号の変動に基づいてレチクル3の表面3aにおける異物の有無を判定する。
【0035】
なお、制御部9は、異物の有無の判定の他に、レーザ1、ステージ移動部12、スキャナーミラー移動部13、ハービングミラー移動部14及び表示部18の動作制御を行う。
【0036】
以下、レチクル検査装置100の動作をより詳細に説明する。
【0037】
図4はレチクル検査装置100における信号処理の流れを示す信号処理系統図である。図5はレチクル3に照射光(反射光10a)が照射される様子を示す模式的な側面図である。このうち(A)はヘイズ19等の異物がない位置に照射される状態を、(B)はヘイズ19がある位置に照射される状態を、それぞれ示す。図6はレチクル検査装置100の判定動作を説明するための図であり、照射光の照射位置(横軸)とA/D変換器17から出力されるデジタル値(電圧値)(縦軸)との関係を示す。このうち(A)はヘイズ19等の異物がない場合を、(B)はヘイズ19がある場合を、それぞれ示す。
【0038】
レーザ1により発光されスキャナーミラー2によりレチクル3側に反射された照射光(反射光10a)を、レチクル3の表面3a上において走査させながら、フォトマル8で正反射光11を受光する。フォトマル8は、正反射光11を光電変換し、正反射光11の光量に応じた電流値をプリアンプ15へ出力する(図4のステップS1)。
【0039】
ここで、レチクル3の表面3aとは、例えば、図5に示すように、露光により転写される所定のパターン20が形成されている面3bとは反対側の面である。
【0040】
プリアンプ15は、フォトマル8から出力された電流を電圧に変換するとともに増幅し、オートゲインコントローラー16へ出力する(図4のステップS2)
【0041】
オートゲインコントローラー16は、プリアンプ15から出力された電圧のゲイン調整を行った後に、該電圧をA/D変換器17へ出力する(図4のステップS3)。
【0042】
A/D変換器17は、オートゲインコントローラー16から出力された電圧、すなわちアナログ信号をA/D変換し、該A/D変換後のデジタル信号を制御部9へ出力する(図4のステップS4)。
【0043】
ここで、照射光(反射光10a)の照射位置Pを表面3a上で走査させる際に、ステージ移動部12は、矢印A方向又はB方向におけるステージ4の位置を示す情報を照射位置PのX座標を示す情報(以下、X座標位置情報)として制御部9に随時に出力する。同様に、ハービングミラー移動部14は、ハービングミラー5の角度を示す情報を照射位置PのY座標を示す情報(以下、Y座標位置情報)として随時に制御部9に出力する。
【0044】
制御部9は、X座標位置情報及びY座標位置情報と、A/D変換器17から出力されるデジタル信号と、を用いて、フォトマル8が受光する光量と、照射光(反射光10a)の照射位置Pと、の関係を求めるためのデジタル波形処理を行う(図4のステップS5)。すなわち、制御部9は、A/D変換器17から出力されるデジタル信号を、X座標位置情報及びY座標位置情報が示すX−Y座標系における座標毎にプロットする。
【0045】
図6は、照射位置Pを一方向(例えば図2の矢印D方向)に走査したときに、A/D変換器17から出力されるデジタル信号をプロットした結果を示す。
【0046】
制御部9は、上述のデジタル波形処理により得られた照射位置(横軸)と電圧値(デジタル信号の値)(縦軸)との関係に基づいて、ヘイズ19等の異物の有無を判定する(図4のステップS6)。
【0047】
図6(A)に示すように、ヘイズ19等の異物が存在しない場合(図5(A)に対応)には、電圧値の最大値(MAX)と最小値(MIN)との差が所定の閾値T未満となる。このため、制御部9は、異物が存在しないと判定する。
【0048】
一方、図6(B)に示すように、ヘイズ19等の異物が存在する場合(図5(B)に対応)には、電圧値の最大値(MAX)と最小値(MIN)との差が所定の閾値T以上となる。なぜなら、図5(B)に示すようにヘイズ19等の異物に照射光(反射光10a)が照射されると、異物が存在しない場合(図5(B)に二点鎖線で示す正反射光11)と比べて正反射光11の光路が変動することにより、受光スリット7aを介してフォトマル8により受光される正反射光11の光量が減少するためである。そして、この光量の減少により、フォトマル8から出力される電流値、ひいてはA/D変換器17から出力されるデジタル信号(電圧値)の値も小さくなる(図6(B)の光量減少箇所R参照)。このため、制御部9は、異物が存在すると判定する。
【0049】
なお、制御部9は、例えば、判定結果を表示部18に表示出力させる(図4のステップS7)。すなわち、異物がない場合には異物がない旨を、異物がある場合には異物がある旨を、それぞれ表示出力させる。
【0050】
以上のような実施形態によれば、レチクル3からの正反射光11の光量の変動に基づいてレチクル3の表面3aの異物の有無を検出する。このため、反射散乱光に基づいてレチクルの表面の異物を検出する場合とは異なり、ヘイズ19のような微小な段差の異物も正確に検出することが可能となる。また、1つの受光部(フォトマル8)を用いて正反射光11を受光すれば良いため、例えばレチクルからの反射出力と透過出力とを検出するための手段をそれぞれ設ける場合と比べて、レチクル検査装置100の構成要素を少なくでき、レチクル検査装置100を小型かつ低コストに構成することができる。
このように、ヘイズ19のような微小な段差の異物を簡素な構成のレチクル検査装置100により正確に検出することができる。
【0051】
また、レチクル検査装置100は、レーザ1からの照射光10をレチクル3側に反射させるミラー(スキャナーミラー2)と、レチクル3を保持するステージ4と、を有し、照射位置調整部は、ステージ4を一方向及びその反対方向(矢印A方向及びB方向)に移動させることによって、ミラーからの反射光10aがレチクル3の表面3a上に照射される位置(照射位置P)を反対方向及び一方向に走査させるステージ移動部12と、ミラーの向きを調節することによって、ミラーからの反射光10aがレチクル3の表面3a上に照射される位置を一方向及び反対方向に対して直交する方向(矢印C方向及びD方向)において走査させるミラー移動部(スキャナーミラー移動部13)と、を含む。ここで、ステージ4の位置調整による照射位置Pの走査は、一般に、照射位置Pを高精度に制御できるというメリットがある反面、レチクル検査装置100が大型化するというデメリットがある。一方、ミラー(スキャナーミラー2)の向きを調節することによる照射位置Pの走査は、一般に、レチクル検査装置100をさほど大型化させずに済むというメリットがある反面、ステージ4の位置調整による走査に比べて精度が劣るというデメリットがある。そこで、本実施形態の様に、ステージ移動部12による走査とスキャナーミラー移動部13による走査とを組み合わせて行うことによって、レチクル検査装置100の大型化を抑制しつつ、極力高精度に照射位置Pを制御できるようになる。
【0052】
なお、上記の実施形態では、制御部(判定部)9は、レチクル3の表面3aからの正反射光11の光量の最大値(MAX)と最小値(MIN)との差が所定の閾値T以上となった場合に、レチクル3の表面3aに異物があると判定する例を説明したが、本発明はこの例に限らない。例えば、制御部(判定部)9は、レチクル3の表面3aからの正反射光11の光量が所定の閾値以下となった場合に、レチクル3の表面3aに異物があると判定するようにしても良い。
【0053】
また、上記の実施形態では、受光部がフォトマル8である例を説明したが、フォトマル8以外の光電変換素子(例えば、CCD(Charge Coupled Device))を用いても良い。
【0054】
また、上記の実施形態では、照射位置PのY座標を示す情報として、ハービングミラー5の角度を示す情報を用いる例を説明したが、スキャナーミラー2の角度を示す情報を照射位置PのY座標を示す情報として用いても良い。
【0055】
また、上記においては、スキャナーミラー2の向きを変えることによって照射位置Pを矢印C方向及びD方向において走査させる例を説明したが、スキャナーミラー2の向きを変える代わりに、ステージ4を矢印C方向及びD方向にも移動できるように構成し、ステージ4を矢印C方向及びD方向に移動させることによって、照射位置Pを矢印C方向及びD方向において走査させるようにしても良い。
或いは、逆に、ステージ4を固定とし、スキャナーミラー2の移動(スキャナーミラー2の向きの変更)のみにより、照射位置Pを矢印A方向、B方向、C方向及びD方向に走査できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 レーザ(光源)
2 スキャナーミラー(ミラー)
3 レチクル
3a 表面
3b 面
4 ステージ
5 ハービングミラー
6 折り返しミラー
7 遮光体
7a 受光スリット
8 フォトマル(受光部、光電変換素子)
9 制御部(判定部)
10 照射光
10a 反射光(照射光)
11 正反射光
12 ステージ移動部(照射位置調整部)
13 スキャナーミラー移動部(照射位置調整部)
14 ハービングミラー移動部
15 プリアンプ
16 オートゲインコントローラー
17 A/D変換器
18 表示部
19 ヘイズ(異物)
20 パターン
100 レチクル検査装置
H 範囲
P 照射位置
R 光量減少箇所
T 閾値
α 入射角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルに照射される照射光を発光する光源と、
前記レチクルの表面における前記照射光の照射位置を調整し、該照射光を前記レチクル上で走査させる照射位置調整部と、
前記レチクルの表面からの正反射光を受光する受光部と、
前記受光部により受光される前記正反射光の光量の変動に基づいて前記レチクルの表面における異物の有無を判定する判定部と、
を有することを特徴とするレチクル検査装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記光量の最大値と最小値との差が所定の閾値以上となった場合に、前記レチクルの表面に異物があると判定することを特徴とする請求項1に記載のレチクル検査装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記光量が所定の閾値以下となった場合に、前記レチクルの表面に異物があると判定することを特徴とする請求項1に記載のレチクル検査装置。
【請求項4】
前記光源からの照射光を前記レチクル側に反射させるミラーと、
前記レチクルを保持するステージと、
を有し、
前記照射位置調整部は、
前記ステージを一方向及びその反対方向に移動させることによって、前記ミラーからの反射光が前記レチクルの表面上に照射される位置を前記反対方向及び前記一方向に走査させるステージ移動部と、
前記ミラーの向きを調節することによって、前記ミラーからの反射光が前記レチクルの表面上に照射される位置を前記一方向及び前記反対方向に対して直交する方向において走査させるミラー移動部と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のレチクル検査装置。
【請求項5】
前記光源がレーザであり、前記照射光がレーザ光であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のレチクル検査装置。
【請求項6】
前記受光部は、前記正反射光を電気信号に変換する光電変換素子であり、
前記判定部は、前記光電変換素子により変換された前記電気信号の変動に基づいて前記レチクルの表面における異物の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のレチクル検査装置。
【請求項7】
レチクルに照射光を照射しながら前記レチクルの表面における前記照射光の照射位置を動かして、該照射光を前記レチクル上で走査させる工程と、
前記レチクルの表面からの正反射光を受光する工程と、
受光される前記正反射光の光量の変動に基づいて前記レチクルの表面における異物の有無を判定する工程と、
を有することを特徴とするレチクル検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−232088(P2011−232088A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101025(P2010−101025)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】