説明

レチノイドと組み合せたHDACインヒビターを含む組成物

本発明は、少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼインヒビター(HDACインヒビター)とレチノイドの組合せを含む組成物に関する。該組成物は、詳細には化粧品である。HDACインヒビターとレチノールまたはその誘導体の組合せは、しわの治療に特に有用だが、表皮の肥厚および育毛改善にも有用であった。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのヒストンデアセチラーゼインヒビター(HDACインヒビター)とレチノイドとの組合せを含む、組成物に関する。該組成物は、好ましくは化粧品である。HDACインヒビターとレチノイドとの組合せは、しわの治療や表皮の肥厚に、育毛改善に、そして皮膚を、肌の色さえも、明るくするのに、特に有用であった。
【0002】
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)とヒストンデアセチラーゼ(HDAC)は一緒に、ヒストン類のアセチル化状態を決定する。アセチル化は、遺伝子発現の制御に影響を及ぼす。HDACのインヒビターは、少数の遺伝子の転写を変えることが判明している。ヒストンタンパク質は、DNAを、クロマチンの規則的な反復構造であるヌクレオソームに構築する。該ヌクレオソームは、コアヒストン八量体の周りに巻付いた146bpのDNAを含む。該ヒストン八量体は、H3/H4四量体および2つのH2A/H2B二量体で構成される。これらのタンパク質は、非常に塩基性であり、かつ進化を通して高度に保存される。4つのコアヒストン全てが、アミノ末端尾部を有する。これは、リジンに富み、これらのヒストンの正電荷を持つ残基の約半分および翻訳後修飾部位の大部分を含む。該ヒストンのN−末端尾部は、包囲するDNA二重らせんおよびその周囲を貫通する。特異的遺伝子の転写活性を制御する、デアセチル化/アセチル化等の、N−末端尾部の特異的修飾によって定義される「ヒストンコード」または「エピジェネティックコード」があることが、提示されてきた。この修飾は、多タンパク質複合体が、転写活性化機構および転写抑制分子機構を形成するために必要とされる。
【0003】
クロマチンのアセチル化状態は、HAT活性およびHDAC活性の両者により異なる。HDACは主として、アセチル基を中和する電荷のヒストンN−末端尾部からの除去に伴うクロマチン構造のコンパクションにより、遺伝子転写の抑制に関与する。
【0004】
ヒトでは、主としてそれらの構造的相同性によって分類され、クロマチンの構造のモデリングに関与している可能性がある、3種類のHDACが同定されている。クラスI HDACは、HDAC1、HDAC2、HDAC3およびHDAC8を含み、クラスIIは、HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9およびHDAC10を含む。HDACクラスIおよびIIは、それぞれ異なる染色体上の位置にあり、かつインヒビターに感受性であることが知られている。第3のクラスのHDACは、活性に関してNADに絶対的に依存しており、かつ既知のインヒビターに非感受性である、タンパク質(SIRT1〜7)の保存SIR2ファミリーである。
【0005】
HDACインヒビターは、超アセチル化状態を延長するか、またはクラスIおよびII酵素を介して、かつHDACとHAT間の競合によって、特異的遺伝子の超アセチル化をヌクレオソームに誘導すると考えられる。それによって、HDACインヒビターは、特異的遺伝子の転写を誘導または刺激している。HDACのインヒビターは、少数の遺伝子の転写を変えることによって多くの腫瘍細胞の成長停止、分化およびアポトーシスを引き起こすことが判明しているため、癌の興味深い治療手段であることが分かっている。現在知られているHDACインヒビターの1つの優れた概説は、Expert Opin.Ther.Patents 2002,12(9),1375〜1384頁に見られる。
【0006】
国際公開第98/00127号パンフレットは、癌および他の増殖性疾患を治療するのに適していると言われる、ある種のレチノイルオキシ置換酪酸アルキレンおよびそれらの薬学的に許容可能な塩類を開示している。さらに、これらの化合物は、ヒストンデアセチラーゼを阻害する方法、皮膚科学的疾患を治療または改善する方法、創傷治癒を誘発する方法、皮膚潰瘍を治療する方法および胃腸疾患を治療する方法で有用であると言われる。酪酸とレチノイン酸の組合せは、癌治療用の分化誘導薬または抗増殖薬として知られていると言われる。HDACインヒビターとレチノールとの組合せは開示されていない。
【0007】
ヒトの皮膚は、皮膚にその特徴的な外見を与える、ある一定の正常な角質化過程を受ける。しかし、偶然の因子または外部要因たとえばじめじめして寒い気候、風、光損傷ならびに日光、雨および雪によって誘発される刺激等は、皮膚のこの正常な状態を乱し、また肌荒れ、鱗屑の形成(たとえば頭皮上)、過剰な角化および類似現象が現れる。さらに、皮膚の老化経過中に、ことに皮膚の構造および機能の変化によってもたらされる様々な徴候が現れる。これらの徴候の1つは、細い筋および深いしわの出現であり、そのサイズおよび数は、加齢に伴って増加する。皮膚の微起伏は、均一でなくなり、異方性である。年齢と並行して、皮膚は、内因性または外因性のいずれでも、障害性の影響に敏感になり、色素異常症が原因で、特に手および顔面野に、掻痒、発赤またはさらに濃い斑点を生じる結果となる。これらの好ましくない徴候は、人の望ましくない年齢判断につながる可能性がある。
【0008】
化粧品は、スキンケアに本質的に有用である。美容の意味で、スキンケアの1つの目的は、環境の影響(たとえば紫外線、汚れ、化学薬品および微生物)に対するバリヤーとしての、および内因性物質(たとえば水、天然脂質、電解質)の喪失に対するバリヤーとしての、皮膚の自然な機能を強化または回復することである。この機能が損なわれると、有毒物質またはアレルゲン性物質の吸収増加、または微生物による攻撃が結果として生じ、毒性またはアレルギー性の皮膚反応につながる可能性がある。
【0009】
スキンケアのもう1つの目的は、毎日洗うことに起因する、皮膚による脂質および水分の喪失を補うことである。自然の再生能が不十分な場合、これは、特に重要である。さらに、スキンケア製品は、環境の影響、特に日光および風から保護し、皮膚老化を遅らせなければならない。
【0010】
表皮の強化または肥厚は最適化された皮膚バリヤー脂質合成とともに、皮膚のバリヤー能を回復することができ、したがって、化粧品価値が非常に高い。経皮水分喪失(TEWL)減少は、無傷の脂質バリヤーの兆しである。このような無傷のバリヤーはまた、皮膚のしわが出現するのを防御するための第一防御線の役割を果たす。
【0011】
老化防止化粧品にとって特に重要なことは、皮膚細胞の通常の代謝レベルを、一定かつ有益なレベルに保つために、それらの老化を阻止することである。
【0012】
しわに対抗するもう1つの方策は、真皮におけるコラーゲン合成を刺激することである。多数の分解過程は、コラーゲンマトリクスに作用し、紫外線、一般的および特定のたばこの煙の汚染のような外部要因、または慢性および亜慢性炎症のような内部要因によって誘発される。破壊および/または低下した修復効果は、高密度で低弾性の、真皮マクロ構造へと導き、次には深いしわの形成へとつながる。真皮のコラーゲンまたは他の構造タンパク質のデノボ合成増進は、既存のしわを減らし、かつ新しいしわの出現を防御する価値ある治療法と考えられる。
【0013】
レチノイド類は、コラーゲン合成を刺激し、たとえば遺伝子レベルでマトリクス・メタロプロテアーゼ(MMP)の発現を減少させることによって分解過程の調節もすることが知られている。レチノイドはまた、TIMPと呼ばれる天然のMMPインヒビターの形成を刺激することも提示されてきた。さらに、レチノイド類は、細胞再生および分化を増進している。これらのメカニズムを利用して、レチノイド類は、真に皮膚老化防止成分となる。しかし、それらの効果が十分に立証されても、それらの利益をさらに最大化する要求が化粧品業界にある。
【0014】
したがって、様々な組合せが提示されてきた。EP−A 610 511号明細書は、ビタミンAと抗炎症薬との組合せを開示している。HDACインヒビターは、記述されていない。国際公開第02/02074号パンフレットおよび国際公開第98/13020号パンフレットは、ある種の化合物は、レチニルエステル類およびレチノールの、レチノイン酸への変換を増進し、レチノイド類との組合せで有用なことを開示している。該文献は、HDACインヒビターを対象にしていない。国際公開第01/74307号パンフレットは、プロスタグランジン誘導体とビタミンAとの組合せを開示している。HDACインヒビターは、開示されていない。国際公開第98/36742号パンフレットは、ヒトの皮膚に対する暦年加齢作用を治療するための、ビタミンAとMMP酵素インヒビターの組合せおよび使用を開示しているが、HDACインヒビターについては言及されていない。ある種の皮膚美白酸と組み合せたレチノールおよびその誘導体は、光損傷した皮膚の修復または紫外線への曝露に伴う皮膚への光損傷の防止に有用なことが知られており、たとえば国際公開第94/09756号パンフレットを参照されたい。国際公開第01/08650号パンフレットは、ある種のレチノイド類と一緒の、ある種の脂肪酸の使用を開示している。使用される脂肪酸は、米国公開特許第2003/0003068号明細書に記載の効果的なPPAR作用物質である。したがって、PPAR作用物質とレチノイド類との組合せもまた有用である。上記の全ての組合せは、最新技術であり、さらなる組合せであってもよく、レチノイドと本書に記載のHDACインヒビターの本組合せを用いて改良することができる。
【0015】
米国特許第6538030号明細書は、放射線線維症または皮膚潰瘍を治療するための、フェニル酪酸および誘導体の使用を開示している。該特許明細書には、局所用製剤も記述されている。しかし、該文献は、レチノイド類との組合せおよび加齢関連現象の治療には言及していない。
【0016】
米国特許出願第03/0206946号明細書は、皮膚の炎症を治療するためのHDACインヒビターの使用について報告し、結合組織病を治療するための治療法を提供している。該特許明細書はまた、局所治療用組成物も提供する。同書は、レチノイドとの組合せまたは皮膚加齢を治療するための使用は報告しなかった。
【0017】
抜け毛または脱毛症は、ヒトの共通した悩みである。男性および女性の両者の抜け毛の最も一般的な形態は、性型禿頭症(patterned boldness)またはアンドロゲン性脱毛症である。
【0018】
毛包は、小さい、表層性の、軟毛包から、大きい、深部の、終期毛包までのサイズ範囲である。毛包の周期的成長期は、休止期(静止)、成長期I−III(発育)、成長期IV−VI(成長)および退行期(退行)である。
【0019】
アンドロゲン性脱毛症の発症では、毛包サイズが漸減し、太い、色素性毛髪繊維(硬毛)を産生する大きい、終期毛包は、細い、非色素性毛髪繊維(軟毛)を産生する、小さい軟毛包に変化する。加えて、成長している成長期毛包の比率が低下する。
【0020】
化粧品、特にしわの治療用および育毛促進用の化粧品に関する多種多様な文献が存在する。広範な文献の例として、たとえばGB 906,000号明細書、EP−A 699429号明細書または国際公開第03/086342号パンフレットを参考にすることができる。
【0021】
国際公開第98/17273号パンフレットは、抜け毛防御のための、酪酸および誘導体の使用を報告している。該文献は、特定の酪酸誘導体がHDACインヒビターでもある必要性に言及しておらず、またレチノイドとの組合せにも言及していない。酪酸誘導体を含む組成物は、多くの場合、少量の遊離型酪酸を含むか、または、該組成物の保存中または使用中に、そのような少量の遊離型酪酸が発生する。このような組成物は、結果として生じる悪臭のため、皮膚および頭皮の治療に不都合である。
【0022】
本出願によって解決すべき問題は、特にしわの治療および予防、表皮の肥厚ならびに抜け毛の予防および治療のための化粧品の新規な組成物を、また環境の影響または他の外的影響に起因する、あるいは年齢に起因する、皮膚加齢とともに認められる他の症状に対して有用な製剤も、提供することである。該新規な組成物は、既知の化粧品の活性に匹敵するが、好ましくは先行技術製剤の活性よりすぐれた、活性を持たなければならない。
【0023】
この問題は、HDACインヒビターと、レチノイド、特にたとえば国際公開第97/27836号パンフレットおよびEP−A 391033号明細書に記載のレチナールまたはその前駆物質、レチノールまたはレチノール誘導体との組合せが、特に、皮膚のしわの治療および予防、抜け毛の予防および治療、皮膚美白および染みの予防および治療、ならびに表皮の肥厚および強化、セルライトの治療のための、また、外的または環境的危険によって、または皮膚の自然加齢によって、引き起こされる可能性がある皮膚の加齢の結果を改善するための、化粧品用途および関連薬学的用途で、相乗活性を示すという予期せぬ発見に基づいて解決される。
【0024】
HDACインヒビターは、特に皮膚のしわの治療および予防、抜け毛の予防および治療、皮膚美白および染みの予防および治療、ならびに表皮の肥厚および強化、セルライトの治療のための、また、外的または環境的危険によって、または皮膚の自然加齢によって、引き起こされる可能性がある皮膚の加齢の結果を改善するための、化粧品用途および関連薬学的用途で、優れた作用を有することが分かった。したがって、本出願は、一般に、レチノイドを含む、またはレチノイドを含まない、以下に定義する1つまたは複数のHDACインヒビターを含む、組成物、特に医薬組成物および化粧品組成物、好ましくは化粧品組成物に関する。しかし、該レチノイド類は、HDACインヒビターと相乗効果を示し、したがって、HDACインヒビターとレチノイドとの組合せが好ましい。以下で、本発明は、これらのHDACインヒビターとレチノイド類の組合せに関して述べるが、本明細書に記載の全ての組成物で、レチノイド類がないこともあり得ることを理解されたい。
【0025】
したがって、本出願は、レチノイドと組み合せた少なくとも1つのHDACインヒビター、および美容上または薬学的に許容可能な賦形剤または希釈剤を含む組成物を提供する。好ましいのは、レチノイン酸とは異なるレチノイド類である。
【0026】
HDACインヒビターは、当該技術分野で周知であり、多くの特許および特許出願に記述されている。本発明は、特定のHDACインヒビターに限定されない。既知のHDACインヒビターは、非ペプチドヒドロキサム酸、環状ペプチド類、ベンズアミド類、フェニルアルキルカルボン酸、酪酸類縁体および求電子ケトン類のサブクラスに大雑把に分類することができる。本発明によれば、非ペプチドヒドロキサム酸、およびフェニルアルキルカルボン酸が好ましい。酪酸類縁体は、本発明に従って使用することができるが、化粧品の製造中、保存中または使用中に、酪酸が形成されるという危険があり、これは、製品またはそれを使用した人の、許容できない臭いにつながる可能性がある。また、高い費用をかけて、原材から、遊離型酪酸をppmの範囲まで除かなければならない。したがって、酪酸類縁体、特に国際公開第98/00127号パンフレットに開示されているレチノイルオキシ(置換)酪酸アルキレン化合物および特に酪酸は、好ましくは、本発明の化粧品中に存在しない。
【0027】
HDACインヒビターの好ましいクラスは、たとえば国際公開第97/35990号パンフレット、米国特許第A 5,369,108号明細書、米国特許第A 5,608,108号明細書、米国特許第A 5,700,811号明細書、国際公開第01/18171号パンフレット、国際公開第98/55449号パンフレット、国際公開第93/12075、国際公開第01/49290号パンフレット、国際公開第02/26696号パンフレット、国際公開第02/26703号パンフレット、特開平10−182583号公報、国際公開第99/12884号パンフレット、国際公開第01/38322号パンフレット、国際公開第01/70675および国際公開第02/22577号パンフレットに開示されている、非ペプチドヒドロキサム酸インヒビターである。これらの公報に開示されている全てのHDACインヒビターを、参照により本明細書に援用する。
【0028】
本出願の組成物中に含むことができる他のHDACインヒビターは、環状ペプチドインヒビターであり、たとえば、米国特許第A 5,620,953号明細書、米国特許第A 5,922,837号明細書、国際公開第01/07042号パンフレット、国際公開第00/08048号パンフレット、国際公開第00/21979号パンフレット、国際公開第99/11659号パンフレット、国際公開第00/52033号パンフレットおよび国際公開第02/0603号パンフレットに言及されている。これらの公報に開示されている全てのHDACインヒビターを、参照により本明細書に援用する。
【0029】
適するHDACインヒビターはまた、たとえばProc.Natl.Acad.Sci.USA(1999),96:4592−4597頁に開示されているが、EP−A 847 992号明細書、米国特許第6,174,905号明細書、特開平11−269140号公報、特開平11−335375号公報、特開平11−269146号公報、EP974576号明細書、国際公開第01/38322号パンフレット、国際公開第01/70675号パンフレットおよび国際公開第01/34131号パンフレットにも開示されている、ベンズアミド構造に基づくものである。これらの文献に開示されている、全てのHDACインヒビターを、参照により本明細書に援用する。
【0030】
既知のHDACインヒビターである酪酸類縁体は、本発明によれば好ましくないが、それにもかかわらず、それらを本発明に従って使用することができ、適する酪酸類縁体が、たとえば国際公開第99/37150号パンフレット、EP−A 1 170 008号明細書、国際公開第02/07722号パンフレット、国際公開第98/00127号パンフレット、国際公開第98/39965号パンフレット、国際公開第98/39966号パンフレット、国際公開第98/40066号パンフレット、国際公開第98/40065号パンフレット号パンフレットおよび国際公開第98/40080号パンフレットに開示されている。これらの文献に開示されている全てのHDACインヒビターを、参照により本明細書に援用する。本発明の組成物は、好ましくは酪酸を含まない。
【0031】
本発明に従って使用することができる好ましいHDACインヒビターのさらなるクラスは、たとえば国際公開第01/18171号パンフレットおよび国際公開第02/46129号パンフレットに開示されている求電子ケトンインヒビターであり、これらの文献に開示されているHDACインヒビターを、参照により本明細書に援用する。
【0032】
たとえば国際公開第02/46144号パンフレット、国際公開第 02/22577号パンフレットおよび国際公開第02/30879号パンフレットに開示されているHDACインヒビターもまた特に好ましく、これらの文献の開示内容を、参照により本明細書に援用する。
【0033】
HDACインヒビターは、下記にも開示されている:
−マークス(Marks),P.A.,Richon,V.M.,Breslow,R.,Rifkind,R.A.,新規癌治療薬としてのヒストンデアセチラーゼインヒビター(Histone deacetylase inhibitors as new cancer drugs),Current Opinion in Oncology,2001,13,477−483頁;
−Jung,M.,新規抗癌剤としてのヒストンデアセチラーゼのインヒビター(Inhibitors of histone deacetylase as new anticancer agents),Current Medicinal Chemistry,2001,8,1505−1511頁;
−Vigushin,D.M.,Coombes,R.C.,癌治療におけるヒストンデアセチラーゼインヒビター(Histone deacetylase inhibitors in cancer treatment),Anti−Cancer Drugs,2002,13,1−13頁;
−Remiszewski,S.W.,小分子ヒストンデアセチラーゼインヒビターの発見における最近の進歩(Recent advances in the discovery of small molecule histone deacetylase inhibitors),Current Opinion in Drug Discovery & Development,2002,5,487−499頁;
−Meinke,P.T.,Liberator,P.,ヒストンデアセチラーゼ:増殖抑制薬および抗原虫薬の標的(Histone Deacetylase: A target for antiproliferative and antiprotozoal agents),Current Medicinal Chemistry,2001,8,211−235頁;
−Marks,P.A.,Rifkind,R.A.,Richon,V.M.,Breslow,R.,Miller,T.,Kelly,W.K.,ヒストンデアセチラーゼおよび癌:原因および治療法(Histone Deacetylase and Cancer: Causes and Therapies),Nature Reviews Cancer,2001,1,194−202頁;
−Marks,P.A.,Richon,V.M.,Rifkind,R.A.,ヒストンデアセチラーゼインヒビター:形質転換細胞の分化またはアポトーシスのインデューサー(Histone deacetylase inhibitors: inducer of differentiation or apoptosis of transformed cells),J.Nat.Cancer Inst.,2000,92,1210−1216頁
−Jung,M.,ヒストンデアセチラーゼ,癌化学療法の標的:転写因子および他の核タンパク質(Histone Deacetylases, Targets for Cancer Chemotherapy: Transcription Factors and Other Nuclear Proteins)(編集:La Thangue,N.B.,Bandara,L.B.),2002,123−144頁;
−De Ruijter,A.J.M.,van Gennip,A.H.,Caron,H.N.,Kemp,S.,van Kuilenburg,A.B.P.,ヒストンデアセチラーゼ(HDAC):古典的HDACファミリーの特性決定(Histone Deacetylases (HDACs): Characterization of the classical HDAC family),Biochemical Journal,2003,370,737−749頁;
−Kelly,W.K.,O’Connor,O.,Marks,P.A.,ヒストンデアセチラーゼインヒビター:標的から臨床治験まで(Histone deacetylase inhibitors: from target to clinical trials),Expert Opin.Investig.Drugs,2002,11,1695−1713頁。
−Curtin,M.,新規ヒドロキサマートおよび非ヒドロキサマートヒストンデアセチラーゼインヒビターの合成(Synthesis of novel hydroxamate and non−hydroxamate histone deacetylase inhibitors),Curr.Opinion in Drug Discovery & Development,2004,7(6),848−868頁。
−Monneret,C.,ヒストンデアセチラーゼインヒビター(Histone Deacetylase Inhibitors),Eur.J.Med.Chem.,2005,40,1−13頁。
−Suzuki,T.,Nagano,Y.,Kouketru,A.,Matsumura,A.,Marayama,S.,Kurotaki,M.,Nakagawa,H.,Miyata,N.,ヒト、ヒストンデアセチラーゼの新規インヒビター:SAHAベースの非ヒドロキサマートのデザイン、合成、酵素阻害、および癌細胞増殖インヒビター(Novel Inhibitors of Human, Histone Deacetylase: Design, Synthesis, Enzyme Inhibition, and cancer cell growth inhibitors of SAHA−based non−hydroxamates),J.Med.Chem.,2005,48,1019−1032頁。
【0034】
上記文献のHDACインヒビターもまた、参照により本明細書に援用する。
【0035】
フェニルアルキルカルボン酸の誘導体、特にエステル類が、特に好ましい。この群からの最も好ましいHDACインヒビターは、式
【化1】


(式中Rは、水素、またはC〜C30炭化水素、好ましくはC〜C20炭化水素である。好ましくはRは、水素、C〜C20アルキル、C〜C20アルケニル、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリール、C〜C20アリールアルキル、C〜C20アルキルアリールアルキル、C〜C20アルケニルアリール、C〜C20アリールアルケニル、C〜C20アルケニルアリールアルキル、C〜C20アルキルアリールアルケニル、C10〜C20アルケニルアリールアルケニルであり、上記好ましい各残基は、未置換であってもよく、C〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルで置換されていてもよく、
nは、1〜5の整数である)
を有する。
【0036】
Rは、レチニルであってもよいが、好ましくはレチニルではない。
【0037】
Rは、特に好ましくは、水素、C〜C20アルキルまたはC〜C20アルケニルである。
【0038】
本明細書との関連で、「アルケニル」基は、1個または複数、好ましくは1〜4個または1〜3個の二重結合を含むことができる。アルキル基およびアルケニル基は、直鎖であっても、分枝または環状であってもよく、または環状要素を含んでもよい。
【0039】
フェニルブチリルカルボン酸誘導体について特筆すべきである。該酸および酸誘導体は、遊離型酸の形で、または塩として、使用することができる。フェニルアセチル誘導体(n=1)は、遊離型酸の不快な臭いのため、好ましくない。該遊離型酸は、エステル中の不純物であることもあり、または製剤化の際に、該製剤の保存中または該エステル化合物の使用中に生じるであろう。
【0040】
別の好ましい実施形態は、Jungらにより、J.Med.Chem.2002,45,3296−3309およびBioorg.Med.Chem.Lett.1997,7,1655−1658頁に記載されているHDACインヒビターである。下記の構造:
【化2】


(Rは、−OEt、−NH、または−OHであり、Rは、−H、−NHCHPh、−CH(CHでありRはHまたは−NHCHPhである)
を有する分子が特に好ましい。
【0041】
さらに、Chenらにより、J.Med.Chem.2004,47,467−474頁に記載されたHDACインヒビターが特に有用である。式:
【化3】


(Rは、−CHCHCH、−CHPh、−CH(CHPhであり、mは、0または1であり、nは、0である)を有する分子が特に好ましい。バルプロ酸の誘導体は全て、好ましくない。
【0042】
もう1つの、本発明による使用に好ましいHDACインヒビターは、トリコスタチンAである。
【0043】
別の実施形態では、下記の式を有する、Jungらにより、J.Med.Chem.1999,42,4669−4679頁に記載されたHDACインヒビターが好ましい:
【化4】


R=OMeまたはHであり、n=5である分子が、特に適する。
【0044】
本発明によれば、別の実施形態では、国際公開第04/009536号パンフレットおよび国際公開第02/076941号パンフレットに記載のHDACインヒビターは、特に適する。殊に、下記の式
【化5】


を有する分子は、特に有用である。好ましい実施形態では、m=1〜3およびn=2を有するシクロヘキサン誘導体は、本発明による最も適するHDACインヒビターである。
【0045】
別の実施形態では、下記の式:
【化6】


を有する、Marksらにより、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 1991,88,5542−5546頁に記載されたHDACインヒビターが好ましい。
【0046】
上記文献は、本発明で有用なHDACインヒビターの多くの例を開示しているが、本発明は、これらの文献に開示されているHDACインヒビターに限定されず、他のHDACインヒビターも使用することができる。
【0047】
本発明の組成物中に存在し、かつ該HDACインヒビターの化粧品活性を驚くほど相乗的に高める他の有効成分は、レチノイド、特にレチナール、レチノールまたはそれらの誘導体、たとえばレチナールのアセタールまたはイミン等である。レチノールはまた、ビタミンAとしても知られ、下記の構造を有する。
【化7】

【0048】
本発明に従って使用することができるレチノールの誘導体は公知であり、好ましい誘導体は、β−カロチン、3,4−ジデヒドロレチノール(ビタミンA)、およびレチノール、特に9−シスレチノールおよび13−シスレチノールの立体異性体である。式
【化8】


(式中Xは、CORを表し、ここでRは、平均1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する、分岐したまたは分岐していない、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアルケニル基から選択され、平均約15個(パルミチル残基)の炭素原子も特に好ましい)のレチノールのエステル類もまたレチノールの好ましい誘導体である。上式は、レチノール誘導体の全ての立体異性体、特に1つまたは複数のC=C二重結合がシスである化合物を含むと理解すべきである。
【0049】
好ましいレチノイド類は、一般式
【化9】


(式中RおよびRは互いに独立して、水素またはヒドロキシであるか、またはRおよびRは一緒に酸素原子を形成し、
およびRは、水素であるか、またはRおよびR一緒に酸素原子を形成し、
10は、水素、ヒドロキシまたは残基OR11であるが、ただしRおよびRが一緒に酸素を形成するとき、R10はヒドロキシではない。
11は、C〜C20アルキル(好ましくはC〜Cアルキル)、C〜C20アルケニル(好ましくはC〜Cアルケニル)またはC〜C10アルキルアリール(好ましくはフェニル−(C〜C)−アルキル)残基−C(O)−R12であり、
12は、C〜C20アルキル(好ましくはC〜Cアルキル)またはC〜C20アルケニル(好ましくはC〜Cアルケニルである))
を有する。
【0050】
9位の二重結合は、シスまたはトランスであり、13位の二重結合は、シスまたはトランスである。全てトランスの化合物が最も好ましい。
【0051】
好ましいレチノール誘導体の例には以下のものがある:
酢酸レチニル
フェニル酪酸レチニル
プロピオン酸レチニル
オクタン酸レチニル
ラウリン酸レチニル
パルミチン酸レチニル
オレイン酸レチニル
リノール酸レチニル
アルキル炭酸レチニル
レチンオキシトリメチルシラン

オールトランス−レチナール

メトキシPEG−12レチンアミド。
【0052】
好ましくは該組成物は、レチノールを含み、最も好ましくは、該組成物は、レチノールのトランス−異性体を含む。
【0053】
用語レチノイド類は、レチノイン酸も含むが、本発明によれば、レチノイン酸は好ましくない。
【0054】
本発明の組成物は、好ましくは化粧品組成物または化粧品であるが、医薬組成物であってもよい。
【0055】
本出願で使用されるとき、用語「化粧品」または「化粧品組成物」は、Roempp Lexikon Chemie,第10版 1997,Georg Thieme Verlag Stuttgart,New Yorkの見出し「Kosmetika」で定義されている化粧品組成物を指す。
【0056】
本発明の組成物は、美容上または薬学的に許容可能な賦形剤または希釈剤とともに、該HDACインヒビターおよびレチノイドを含む。他に何も記述がなければ、以下で言及される該賦形剤、添加物、希釈剤等は、薬学的組成物および化粧品組成物の両方に適する。
【0057】
他に何も記述がなければ、この出願では、部およびパーセンテージは、重量基準であり、かつ組成物の重量に基づく。
【0058】
好ましくは、本発明の組成物は、ペンで、マスクとして、またはスプレーとしても使用することができる局所用組成物、たとえば水中液体油または固体油のエマルジョン、油中水のエマルジョン、多重エマルジョン、マイクロエマルジョン、PET−エマルジョン、ビッカーリングエマルジョン(bickering emulsion)、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル、または1相または多相溶液、フォーム、軟膏、プラスター、懸濁液、粉末、クリーム、クレンザー、石鹸および他の通常の組成物等である。
【0059】
本発明の組成物はまた、通常の化粧品または薬学的補助剤および添加物、たとえば保存剤/酸化防止剤、脂肪質の物質/油類、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、軟化剤、乳化剤、日焼け止め、消泡剤、保湿剤、香料、界面活性剤、充填剤、封鎖剤、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または両性ポリマーまたはそれらの混合物、噴霧剤、酸性化剤または塩基性化剤、色素、着色料、顔料またはナノ顔料、たとえば紫外線を物理的に遮断することにより光防護効果を提供するのに適しているもの、または化粧品または薬物に通常に製剤化される他成分等も含むことができる。
【0060】
追加量の酸化防止剤/保存剤は、概して好ましい。本発明に基づいて、化粧品または薬物に通常に製剤化される全ての既知の酸化防止剤を使用することができる。殊に好ましいのは、アミノ酸(たとえばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(たとえばウロカニン酸)および誘導体、ペプチド類たとえばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよび誘導体(たとえばアンセリン)等、カロテノイド類、カロテン類(たとえばα−カロテン、β−カロテン、リコピン)および誘導体、クロロゲン酸および誘導体、リポ酸および誘導体(たとえばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール類(たとえばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル−、N−アセチル−、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−およびラウリル−、パルミトイル−、オレイル−、y−リノリル−、コレステリル−およびグリセリルエステル)およびそれらの塩類、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド類、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド類および塩類)ならびに非常に低い適合用量(たとえばpmol〜μmol/kg)のスルホキシミン化合物(たとえばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミン等)からなる群から選択される酸化防止剤、さらに(金属)−キレート剤(たとえばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミン酸、フィチン酸、ラクトフェリン等)、α−ヒドロキシ酸(たとえばクエン酸、乳酸、リンゴ酸等)、フミン酸、没食子酸、没食子抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(たとえばγ−リノール酸、リノール酸、オレイン酸等)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(たとえばアスコルビルパルミテートおよびアスコルビルテトライソパルミテート、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、酢酸アスコルビルナトリウム等)、トコフェロールおよび誘導体(たとえばビタミン−E−酢酸等)、天然のビタミンE、ビタミンAおよび誘導体(ビタミン−A−パルミテートおよび−酢酸等)の混合物ならびに安息香酸コニフェリル、ルチン酸および誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリヒドロキシブチロフェノン、尿素およびその誘導体、マンノースおよび誘導体、亜鉛および誘導体(たとえばZnO、ZnSO)、セレンおよび誘導体(たとえばセレノメチオニン)、スチルベン類および誘導体(たとえばスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)および指名された有効成分の適する誘導体(塩類、エステル類、エーテル類、糖類、ヌクレオチド類、ヌクレオシド類、ペプチド類および脂質)である。1つまたは複数の保存剤/酸化防止剤が、本発明の組成物の総重量の約0.01重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。好ましくは、1つまたは複数の保存剤/酸化防止剤が、約0.1重量%〜約1重量%の量で存在する。
【0061】
一般的に、局所用製剤または、乳化剤、可溶化剤等のような界面活性成分も含む。乳化剤は、2つ以上の混和しない成分を、均一に混和させることができる。さらに、乳化剤は、該組成物を安定化する働きをする。O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/Wエマルジョン/マイクロエマルジョンを形成するために、本発明で使用することが可能な乳化剤には、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル類、ポリグリセリル−6 ヘキサリシノール酸、ポリグリセリル−4−オレイン酸、ポリグリセリル−4オレイン酸/PEG−8プロピレングリコールココエート、オレアミドDEA、TEAミリステート、TEAステアレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ナトリウムココエート、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、およびそれらの混合物などがある。さらなる適当な乳化剤は、リン酸エステル類およびそれらの塩類たとえばリン酸セチル(アムフィソール(Amphisol)(登録商標)A)、ジエタノールアミンリン酸セチル(アムフィソール(Amphisol)(登録商標))、リン酸セチルカリウム(アムフィソール(Amphisol)(登録商標)K)、オレイン酸グリセリルリン酸ナトリウム、水添植物リン酸グリセリド類およびそれらの混合物等である。さらに、1つまたは複数の合成ポリマーを乳化剤と使用することが可能である。たとえば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート類/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート類/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、およびそれらの混合物。好ましい乳化剤は、リン酸セチル(アムフィソール(Amphisol)(登録商標)A)、ジエタノールアミンリン酸セチル(アムフィソール(Amphisol)(登録商標))、リン酸セチルカリウム(アムフィソール(Amphisol)(登録商標)K)、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート類/C10〜30−アルキルアクリレートクロスポリマー、PEG−20イソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、およびそれらの混合物である。1つまたは複数の乳化剤は、本発明の組成物の総重量の約0.01重量%〜約20重量%の総量で存在する。好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤が使用される。
【0062】
局所用組成物の脂質相は、以下から有利に選択することができる:
鉱油類およびミネラルワックス類;
油類たとえばカプリニック酸またはカプリル酸のトリグリセリド類およびヒマシ油等;
油類またはワックス類および他の天然または合成の油類、好ましい実施形態では、脂肪酸とアルコール類たとえばイソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンとのエステル類または脂肪アルコール類とカルボン酸または脂肪酸とのエステル類;
安息香酸アルキル類;および/または
シリコーンオイル類たとえばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シクロメチコンおよびそれらの混合物。
【0063】
本発明のエマルジョン、マイクロエマルジョン、オレオゲル、水分散液または脂質分散の油相に組み入れることができる脂肪質の物質の好ましい例は飽和および/または不飽和の、3〜30個の炭素原子を有する直鎖および/または分岐したアルキルカルボン酸、および飽和および/または不飽和の、3〜30個の炭素原子を有する直鎖および/または分岐したアルコール類のエステル類、ならびに芳香族カルボン酸類および飽和および/または不飽和の、3〜30個の炭素原子を有する直鎖および/または分岐したアルコール類のエステル類から有利に選択される。かかるエステル類は、パルミチン酸オクチル、オクチルココエート、イソステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸セテアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、n−ヘキシルラウリエート、n−デシルオレアート、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、ヘプタン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、トリデシルステアレート、トリデシルトリメリテート、ならびに合成、半合成または天然の、このようなエステル類の混合物たとえばホホバオイルから有利に選択することができる。
【0064】
本発明の局所用組成物で使用するのに適する他の好ましい脂肪成分には以下のものがある;極性油類たとえばレシチン類および脂肪酸トリグリセリド類、すなわち飽和および/または不飽和の、8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する直鎖または分岐したカルボン酸のトリグリセロールエステル類であるが、脂肪酸トリグリセリド類は、好ましくは、合成、半合成または天然の油類(たとえばココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナツ油、菜種油、甘扁桃油、ヤシ油、ココナッツ油、ヒマシ油、水添ヒマシ油、小麦油、グレープシード油、マカダミアナッツ油等)から選択される;非極性油たとえば直鎖および/または分岐した炭化水素およびワックス類、たとえば鉱油類、ワセリン(流動パラフィン);パラフィン類、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン類、水添ポリイソブテン類およびイソヘキサデカン類、好都合なポリオレフィン類はポリデセン類である;ジアルキルエーテル類たとえばジカプリリルエーテル等;線状または環状のシリコーン油類たとえば好ましくはシクロメチコン類(オクタメチルシクロテトラシロキサン;セチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)およびそれらの混合物。
【0065】
本発明の局所用組成物に有利に組み入れることができる他の脂肪成分は、イソエイコサン;ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール;ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール;カプリル/カプリン酸/コハク酸ジグリセリル;ブチレングリコールカプリラット/カプラット;C12〜13−乳酸アリクル;ジ−C12〜13−酒石酸アルキル;トリイソステアリン;ジペンタエリスリチルヘキサカプリラット/ヘキサカプリレート;モノイソステアリン酸プロピレングリコール;トリカプリリン;ジメチルイソソルビッドである。殊に有益なのは、C12〜15−安息香酸アルキルおよびイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、C12〜15−安息香酸アルキルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物ならびにC12〜15−安息香酸アルキル、イソステアリン酸2−エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物の使用である。
【0066】
本発明の組成物の油性相はまた、天然の植物ワックス類または動物ワックス類たとえば蜜蝋、チャイナワックス、マルハナバチワックス等および他の昆虫のワックス類ならびにシアバターおよびカカオバターも含むことが可能である。
【0067】
水分の保持または皮膚の保湿のために、保湿剤を本発明の局所用組成物に組み入れることが可能である。保護被膜を提供することにより皮膚から水が蒸発するのを防止する保湿剤は、エモリエントと呼ばれる。さらに、エモリエントは、皮膚表面に軟化作用または鎮静作用を与え、一般に局部的使用には安全と考えられる。好ましいエモリエントには、鉱油類、ラノリン、流動パラフィン、カプリン/カプリルトリグリセルアルデヒド類、コレステロール、シリコーン類たとえばジメチコン、シクロメチコン、アーモンド油、ホホバオイル、アボカド油、ヒマシ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ココナッツ油およびグレープシード油、カカオバター、オリーブ油アロエエキス、脂肪酸たとえばオレイン酸およびステアリン酸、脂肪アルコール類たとえばセチルおよびヘキサデシルアルコール(ENJAY)、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル類、C9〜15−アルコール類の安息香酸エステル類、イソノナン酸イソノニル、エーテル類たとえばポリオキシプロピレンブチルエーテル類およびポリオキシプロピレンセチルエーテル類、およびC12〜15−安息香酸アルキル、およびそれらの混合物などがある。最も好ましいエモリエントは、ヒドロキシ安息香酸エステル類、アロエベラ、C12〜15−安息香酸アルキル、およびそれらの混合物である。エモリエントは、該組成物の総重量の約1重量%〜約20重量%の量で存在する。エモリエントの好ましい量は、約2重量%〜約15重量%、最も好ましくは約4重量%〜約10重量%である。
【0068】
水を結合し、それによって水を皮膚表面上に保持する保湿剤は、「湿潤剤」と呼ばれる。適当な湿潤剤、たとえばグリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸、ピロリドンカルボン酸、尿素、リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド類、レシチンソルビトール、PEG−4、およびそれらの混合物等を、本発明の局所用組成物に組み入れることができる。補足的な適する保湿剤は、水溶性および/または水膨潤性の仲間のポリマー保湿剤および/または水ゲル化多糖類たとえばヒアルロン酸、キトサンおよび/またはフコゲル(Fucogel)(登録商標)1000(CAS番号 178463−23−5)としてソラビア(SOLABIA)Sにより販売されている高フコース多糖体を含むポリマー保湿剤である。好ましくは、1つまたは複数の湿潤剤は、場合により、約0.5重量%〜約8重量%、好ましくは約1重量%〜約5重量%で、本発明の組成物中に存在する。
【0069】
本発明の好ましい局所用組成物の水相は、通常の化粧品添加物または薬学的添加物たとえばアルコール類、殊に低級アルコール類、好ましくはエタノールおよび/またはイソプロパノール、低級ジオール類またはポリオール類およびそれらのエーテル類、好ましくはプロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル−またはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル−または−モノエチル−または−モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル−またはモノエチルエーテルおよび類縁生成物、ポリマー、気泡安定剤;電解質および殊に1つまたは複数の増粘剤を含むことができる。製品の稠度を適切にするのに役立つように、本発明の製剤で使用することが可能な増粘剤には、カルボマー、二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムおよび/またはケイ酸アルミニウム、蜜蝋、ステアリン酸、ステアリルアルコール多糖類およびそれらの誘導体たとえばキサンタンガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリルアミド類、アクリレートクロスポリマー、好ましくはカルボマー、たとえばタイプ980、981、1382、2984、5984のカルボポール(carbopol)(登録商標)単独またはそれらの混合物などがある。乳化剤または起泡剤/気泡安定剤等の成分を中和するために、本発明の組成物に含むことが可能な適当な中和剤には、水酸化アルカリたとえば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム;有機塩基たとえばジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アミノメチルプロパノール、およびそれらの混合物;アミノ酸たとえばアルギニンおよびリジンならびに前述の任意の組合せなどがあるが、それらに限定されない。該中和剤は、本発明の組成物中に約0.01重量%〜約8重量%、好ましくは、1重量%〜約5重量%の量で存在することができる。
【0070】
電解質を本発明の組成物に添加することが、親水性乳化剤の挙動を変えるのに役立つ可能性がある。したがって、本発明のエマルジョン/マイクロエマルジョンは、好ましくは、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩およびアルミン酸塩等の陰イオンを含む、それらに限定されない、1種または数種の塩類の電解質を含むことが可能である。他の適する電解質は、たとえば、乳酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩およびクエン酸塩等の、しかしそれらに限定されない、有機陰イオンに基づくことができる。陽イオンとして、好ましくはアンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、マグネシウム−、鉄−または亜鉛−イオンが選択される。殊に好ましい塩類は、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛およびそれらの混合物である。該電解質は、本発明の組成物中に、約0.01重量%〜約8重量%の量で存在することができる。
【0071】
本発明の局所用組成物は好ましくは、ローション剤、濃厚ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、乳液、軟膏剤、散剤または固体のチューブスティックの剤形で提供することができ、また場合によりエアロゾルとしてパッケージ化することもでき、そしてムース剤、フォーム剤またはスプレー剤として提供することができる。本発明による組成物は、溶媒中または脂肪質物質中の懸濁剤または分散剤の形態、またはたとえばクリーム剤または乳液、小胞体分散液等の、エマルジョンまたはマイクロエマルジョン(特にO/WまたはW/O型、O/W/OまたはW/O/W型の)の剤形、軟膏剤、ゲル剤、固体のチューブスティックまたはエアロゾルムースの剤形であってもよい。該エマルジョンはまた、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性または両性の界面活性剤も含むことができる。
【0072】
局所使用は、好ましくは少なくとも1日1回、たとえば1日2回または3回である。通常、所望の効果が達成されるまでに、少なくとも2週間かかる。しかし、所望の効果が十分に最大化されるまでには、数週間または数ヶ月もかかる可能性がある。
【0073】
皮膚に使用すべき該局所用組成物の量は、該組成物中の有効成分の濃度、および所望の化粧品または薬学的な効果によって異なる。たとえば、使用は、クリームを皮膚に塗布するといった具合であってもよい。クリームは通常、クリーム2mg/皮膚cmの量で塗布される。しかし、皮膚に塗布される該組成物の量は重要ではなく、塗布した組成物のある量で所望の効果を達成できなければ、たとえばより多くの該組成物を塗布することにより、またはより多い有効成分を含有する組成物を塗布することによって、より高濃度の有効成分を使用することができる。
【0074】
該組成物を調製するための本発明によれば、該有効成分は、そのままで、またはカプセルに封入された形態で、たとえばリポソーム形で使用することができる。リポソームは、好ましくは、ステロール類またはフィトステロールを添加した添加しない、レシチン類で形成される。該有効成分のカプセル封入は、単独であっても他の有効成分と一緒であってもよい。該HDACインヒビターのみまたは該レチノールまたはその誘導体のみをカプセル封入することが可能であるが、該HDACインヒビターまたは該レチノールまたはその誘導体の両者を、一緒にまたは別々のカプセル内に、封入することも可能である。
【0075】
他の実施形態は、レチノイド類を分解から守るため、または調節された送達のために、固体または半固体のカプセルを含む。該カプセルは、該レチノイド類を単独でまたは該HDACインヒビターとともに、含んでもよい。適するカプセル化技術は、たとえば国際公開第0180823号パンフレット、国際公開第9903450号パンフレット、国際公開第9317784号パンフレットに、またはFragrance Journal(2001),29(2),83−90頁に、記述されている。
【0076】
2つ以上のHDACインヒビターとレチノイドとの組合せまたは2つ以上のレチノイド類の組合せもまた適する。
【0077】
本発明の組成物中に、該HDACインヒビターおよび該レチノールまたはその誘導体は、好ましくは、該組成物の総重量を基準にして0.0001重量%〜約50重量%の量で、独立して含まれる。より好ましくは、該HDADインヒビターおよび該レチノールまたはその誘導体は、該組成物の総量を基準にして、約0.01重量%〜約20重量%の量で、より好ましくは約0.01重量%〜約1重量%の量で、特に約0.1重量%の量で、該組成物中に独立して含まれる。
【0078】
該局所用調合薬の種類および該局所用調合薬の調製に関して、ならびにさらなる適当な添加物については、当該文献、たとえばNovak G.A.,Die kosmetischen Praeparate−Band 2,Die kosmetischen Praeparate−Rezeptur,Rohstoffe,wissenschaftliche Grundlagen(Verlag fuer Chem.Industrie H.Ziolkowski KG,Augsburg)を参考にすることができる。
【0079】
さらに、本発明の組成物は、経口用組成物として、たとえばピル剤、錠剤、顆粒またはペレットを含んでもよいカプセル剤の剤形で、液体の経口用製剤として、または当業者に一般に知られているような食品への添加物として、提供することが可能である。本発明の経口用組成物を調製するために有用な手順および有用な添加物は、標準的な文献Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincot,Williams & Wilking(Editors)2000(参照により本明細書に援用する)に開示されている。
【0080】
経口用組成物用の、特に錠剤用の通常の添加物として、通常の賦形剤たとえば微結晶性セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二ナトリウムまたはリン酸二カリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、グリシン等、崩壊剤たとえばデンプンまたはアルギン酸等、結合剤たとえばポリビニルピロリドン、サッカロース、ゼラチンおよびアラビカムゴム等、滑沢剤たとえばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、またはタルカム等を使用することができる。該組成物をゼラチンカプセルにファイルするのであれば、顆粒を調製するための通常の添加物は、乳糖または乳酸塩ならびに高分子量のポリエチレングリコールである。さらなる添加物および賦形剤ならびに他の経口用製剤用および食品添加物用の添加物および賦形剤は、当業者に周知であり、また当該文献、たとえば「Grundzuege der Lebensmitteltechnik」、Horst Dieter Tscheuschner(Editor)、第2版、Hamburg、Beers 1996年を参考にすることができる。
【0081】
さらに、本発明の組成物は、紫外線Aフィルターおよび紫外線Bフィルターを含むことが可能である。本発明の化合物との組合せに好ましい、紫外線Bまたは広域スペクトル遮断薬、すなわち約290〜340nmに吸収最大を有する物質の例は、下記の有機化合物および無機化合物である:
アクリレート類たとえば2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(オクトクリレン、パーソル(PARSOL)(登録商標)340)、エチル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等;
−−−ショウノウ誘導体たとえば4−メチルベンジリデンショウノウ(パーソル(PARSOL)(登録商標)5000)、3−ベンジリデンショウノウ、ショウノウベンザルコニウムメトサルフェート、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、スルホベンジリデンショウノウ、スルホメチルベンジリデンショウノウ、テレフタリデンジショウノウスルホン酸等々;
−−−ケイヒ酸誘導体たとえばオクチルメトキシケイ皮酸(パーソル(PARSOL)(登録商標)MCX)、エトキシエチルメトキシケイ皮酸、ジエタノールアミンメトキシケイ皮酸(パーソル(PARSOL)(登録商標)ヒドロ(Hydro))、イソアミルメトキシケイ皮酸等々ならびにシロキサン類に結合したケイ皮酸誘導体;
−−−p−アミノ安息香酸誘導体、たとえばp−アミノ安息香酸、2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノ安息香酸、N−オキシプロピレン化エチルp−アミノ安息香酸、グリセリルp−アミノ安息香酸、
−−−ベンゾフェノン類たとえばベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等々;
−−−ベンザルマロン酸のエステル類たとえばジ−(2−エチルヘキシル)4−メトキシマロン酸ベンザル等;
−−−2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸のエステル類たとえば欧州特許公報EP 0895 776号明細書に記載の2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステル等;
−−−欧州特許公報欧州特許第0358584 B1号明細書、欧州特許第0538431 B1号明細書および欧州特許出願公開第0709080 A1号明細書に記載のベンズマロネート基を含むオルガノシロキサン化合物;
−−−ドロメトリゾールトリシロキサン(メキソリル(Mexoryl)XL);
−−−顔料たとえば微粒子化TiO、等々。用語「微粒子化」は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。該TiO粒子はまた、金属酸化物たとえば酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム等で被覆されていてもよく、または有機コーティングたとえばポリオール類、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシラン等で、被覆されていてもよい。このようなコーティングは、当該技術分野で周知である。
−−−イミダゾール誘導体たとえば2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸およびその塩類(パーソル(PARSOL)(登録商標)HS)。2−フェニルベンズイミダゾールスルホン酸の塩類は、たとえばアルカリ塩類たとえばナトリウム−またはカリウム塩類、アンモニウム塩類、モルホリン塩類、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等々のような第一級、第二級および第三級アミンの塩類。
−−−サリチレート誘導体たとえばサリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸オクチル(ネオヘリオパン(NEO HELIOPAN)OS)、サリチル酸イソオクチルまたはサリチル酸ホモメンチル(ホモサラート、ヘリオパン(HELIOPAN))等。
−−−トリアジン誘導体たとえばオクチルトリアゾン(ユビヌル(UVINUL)T−150)、ジオクチルブタミドトリアゾン(ユバソーブ(UVASORB)HEB)、ビスエトキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブ(TINOSORB)S)等。
−−−カプセル封入された紫外線フィルターたとえばカプセル封入されたオクチルメトキシケイ皮酸(ユーソレクス(Eusolex)紫外線−パール)等。
【0082】
本発明の化合物との組合せに好ましい、広域スペクトルまたは紫外線A遮断薬すなわち約320〜400nmに吸収最大を有する物質の例は、下記の有機化合物および無機化合物である:
−−−ジベンゾイルメタン誘導体たとえば4−tert.ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(パーソル(PARSOL)(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタン等である;
−−−ベンゾトリアゾール誘導体たとえば2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(チノソーブ(TINOSORB)M)等;
−−−フェニレン−1,4−ビス−ベンズイミダゾールスルホン酸または塩類たとえば2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(ネオヘリパン(Neoheliopan)AP);
−−−アミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンたとえば欧州特許公報EP1046391号明細書に記載の2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル;
−−−顔料たとえば微粒子化ZnOまたはTiO等。用語「微粒子化」は、約5nm〜約200nm、特に約15nm〜約100nmの粒径を指す。該TiO粒子はまた、金属酸化物たとえば酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウム等で被覆されていてもよく、または有機コーティングたとえばポリオール類、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシラン等で、被覆されていてもよい。かかるコーティングは、当該技術分野で周知である。
【0083】
−−−ジベンゾイルメタン誘導体は、限られた光安定性を有するため、これらの紫外線A遮断薬を光安定化することが望ましいことがある。したがって、用語「従来の紫外線A遮断薬」はまた、たとえば、
−−−欧州特許公開EP−A 0 514 491号明細書およびEP−A 0 780 119号明細書に記載の3,3−ジフェニルアクリレート誘導体;
−−−米国特許第5,605,680号明細書に記載のベンジリデンショウノウ誘導体;
−−−欧州特許公報EP−A 0 358 584号明細書、EP−A 0538431号明細書およびEP−A 0709080号明細書に記載のベンズマロネート基を含有するオルガノシロキサン類;
で安定化したパーソル(PARSOL)(登録商標)1789等の、ジベンゾイルメタン誘導体も指す。
【0084】
本発明の組成物に添加することができる紫外線Aフィルターおよび紫外線Bフィルターの優れた概説は、DE−A 10327432号明細書でも見ることができる。この文献に開示されている全ての紫外線フィルター化合物もまた、本発明の組成物用の成分として有用であり、参照により本明細書に援用する。
【0085】
本発明の組成物はまた、特ににきび、しわ、筋、萎縮、炎症を予防または減少させるための、さらなる薬学的にまたは美容上有効な成分、ならびに局所麻酔薬、人工的日焼け剤および促進剤、抗菌薬、および抗真菌薬、および日焼け止め活性成分も含むことができる。
【0086】
例は、ペプチド類(たとえば、マトリキシル(Matrixyl)(商標)[ペンタペプチド誘導体])、ファルネソール、ビサボロール、フィタントリオール、グリセロール、尿素、グアニジン(たとえば、アミノグアニジン);ビタミン類およびそれらの誘導体たとえばアスコルビン酸等、ビタミンA(たとえば、レチノイド類誘導体たとえばレチニルパルミテートまたはレチニルプロピオン酸塩等)、ビタミンE(たとえば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB(たとえば、ナイアシンアミド)およびビタミンB(たとえば、オクチルパルミテートおよびトリベヘニンおよびイソステアリン酸ソルビタンおよびパルミトイル−オリゴペプチド)、にきび予防薬物(レゾルシノール、サリチル酸、等);酸化防止剤(たとえば、フィトステロール類、リポ酸);フラボノイド類(たとえば、イソフラボン類、フィトエストロゲン類);スキンスージングおよびヒーリング剤たとえばアロエベラエキス、アラントイン等;キレート剤および金属イオン封鎖剤;およびエステティック目的に適する作用物質たとえば精油、香料、スキンセンセート、乳白剤剤、芳香族化合物(たとえば、丁子油、メントール、ショウノウ、ユーカリ油、およびオイゲノール)、落屑活性成分、にきび予防活性成分、ビタミンB化合物、酸化防止剤、ペプチド類、ヒドロキシ酸、ラジカル・スキャベンジャー、キレート剤、ファルネソール、抗炎症薬、局所麻酔薬、日焼け活性成分、皮膚美白剤、抗セルライト剤、フラボノイド類、抗菌活性成分、および抗真菌活性成分、特にビサボロール、アルキルジオール類たとえば1,2−ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,2−オクタンジオール等、ビタミン類、パンテノール、フィトール、フィタントリオール、セラミドおよび擬似セラミド類、アミノ酸および生物活性ペプチド類、タンパク質加水分解物、AHA酸、ポリ不飽和脂肪酸、植物抽出物、DNAまたはRNAおよびそれらの断片化生成物、炭水化物である。
【0087】
ビオチン、リポ酸、複合脂肪酸、カルニチン、アシル−カルニチン、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンC、B3、B6、B12、パンテノール、K1、フィタントリオール、オリゴペプチド類、カルノシン、ビオチノネン、フィトフルエン、フィトエン、葉酸およびそれらの対応する誘導体もまた好ましい追加有効成分である。
【0088】
本発明の経口用組成物中の有効成分の含量は通常、約1%〜90%、好ましくは約10%〜80%、たとえば約50%以上である。適用は、所望の効果が起こるように、また患者および所望の効果によって左右される。通常の日用量は、約0.1μg/日〜50mg/日、たとえば約20μg/日〜2mg/日である。
【0089】
本発明の組成物はまた、特に該組成物が育毛促進用である場合、注射可能な組成物の形態であってもよい。注射可能な組成物の調製は、当業者に周知であり、当該文献、特に既載のRemingtonを参考にすることができる。
【0090】
本発明で使用されるとき、用語「組成物」はまた、該組成物が2つの別々の部分に存在し、一方の部分は該HDACインヒビターを含み、他方の部分は該レチノイド類を含む、実施形態も含む。該組成物の2つの別々の部分は、局所用組成物であっても、経口用組成物であってもよく、あるいは1つの組成物は局所投与用であり他方は経口投与用である。該組成物の別々の部分の調製、成分、含量および投与量に関しては、該HDACインヒビターおよび該レチノイド類の両者を混合状態で含む、本発明の組成物に関する上記開示内容を参考にすることができる。
【0091】
該HDACインヒビターと該レチノイド類との比率は、好ましくは1000:1〜1:1000、より好ましくは約100:1〜1:100および特に30:1〜1:30である。
【0092】
該HDACインヒビターまたは該レチノイド類はまた、水和物または溶媒和物として存在することもでき、該有効成分の水和物および溶媒和物もまた、本発明に含まれる。
【0093】
下記の実施例は、本発明のよい例であるが、本発明を限定すると考えてはならない。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
【表4】

【0098】
【表5】

【0099】
【表6】

【0100】
【表7】

【0101】
実施例57
ヒトケラチノサイトに対するレチノールおよびトリコスタチンAとの間の生物学的相乗作用
この実施例は、該HDACインヒビター・トリコスタチンAおよびレチノールが、いかにして相乗的に働くかを、例を挙げて説明する。ヒト初代ケラチノサイトのin vitro細胞培養を、テスト系として選択した。このin vitro細胞培養モデルは、分化過程を研究するのに有用であり、ヒトの皮膚におけるin vivo状況をシミュレートすることができる(Poumayら、1999)。in vitroおよびin vivoで分化過程をモニターするために、トランスグルタミナーゼ1は、周知のマーカー分子である(Polakowskaら、1999)。
【0102】
表皮ケラチノサイトの培養
表皮ケラチノサイトを、ヒト包皮生検から単離し、37℃および5%CO2の培養チャンバ内、ケラチノサイト無血清培地(GIBCO製KSFM)で培養した。第2継代で、細胞を6ウェル平板に移し、およそ50%表面集密に到達させた。
【0103】
ケラチノサイトの分化によるトランスグルタミナーゼ1(TG1)の発現
レチノールおよびTSAを、それぞれ、エタノールまたはエタノール/テトラヒドロフランに可溶化した。レチノール溶液は、黄色灯条件下のみで扱った。ケラチノサイト培養が適切な集密に達したとき、ケラチノサイト分化を誘導し、したがってTG1発現も誘導するために、1.3mMカルシウムをKSFM培地を加え、1×10−10Mの濃度のレチノールか10−9MのTSAのいずれか、または該2物質併用で、処理を開始した。各サンプルごとに、培地および処理物質を毎日2回変えた。
【0104】
処理の開始から72時間後、細胞を回収しRNAを抽出した。RNAをcDNAに逆転写した。対照対処理培養におけるTG1 mRNA転写レベルの相対定量化は、多重リアルタイムPCR分析を使用して決定した。抑制レベルは、非処理テスト細胞に対する乗法子として与えられる。結果を図1に示すが、ROHはレチノールを示す。
【0105】
レチノールおよびTSAは単独では、表皮ケラチノサイトで最終分化過程の弱い変調を示しただけであった。意外なことに、併用では、圧倒的な相乗作用が現れる。ヒト表皮ケラチノサイトにおける分化マーカーTG1は、超6倍、下方制御された。
【0106】
酵素トランスグルタミナーゼ1は、ヒト表皮細胞における、周知でかつ受け入れられた分化マーカーである。このマーカーを発現するケラチノサイトを用いた培養は、皮膚の分化過程をシミュレートするためのモデルである。この過程を減速した結果として改善された表皮厚さがもたらされる。本発明によれば、HDACインヒビターおよびレチノイドは、一緒に使用したとき、最大の効果で、該過程を減速する。
【0107】
コラーゲン産生、メラニン形成およびリポスタシスに関する評価
コラーゲン産生改善につながる相乗作用を、培養線維芽細胞で評価することができる。メラニン形成に対する影響を、培養メラニン細胞で調査することができ、また脂肪分解と脂質生成とのバランスの変化(リポスタシス)は、培養脂肪細胞で検出することができる。
【0108】
育毛促進および保護育毛の評価
本発明の化合物および組成物が、育毛を刺激または保護できる能力は、たとえば国際公開第9817273号パンフレットに記載のマウス・モデルで調査することができる。毛包を損傷させるためにシクロホスファミド(ファルマシアのネオスター(Neostar,Pharmacia))を使用する代わりに、マイトマイシン(Mitomycin)またはメトトレキサート(Methotrexate)を使用することができる。新生マウスで育毛加速を検出することも可能である。新生マウスは、同期化された毛髪周期を有し、およそ3週後に、全ての毛包が休止期に入る。次いで、該動物を処理し、いかに速く、またどの程度まで、毛髪が成長しているかを評価する。in vitroまたはin vivo設定を使用した同様のテストは、J.Invest.Dermato,Hair Research Societiesの第3回国際会議、シンポジウム会議録、8/1,39〜45頁(2003)にも見られる。
【0109】
R.Hoffmann,J.Invest.Dermato.Hair Research Societiesの第3回国際会議、シンポジウム会議録、8/1、109〜115頁(2003)に記載のトリコスキャン(TrichoScan)分析ツールを使用して、脱毛症に悩んでいる男性を含む臨床試験を実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】トランスグルタミナーゼ1の多重リアルタイムPCR。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチノイドと組み合せた少なくとも1つのHDACインヒビターおよび美容上または薬学的に許容可能な賦形剤または希釈剤を含む組成物。
【請求項2】
前記HDACインヒビターは、式
【化1】


(式中
Rは、水素またはC〜C30炭化水素残基であり、
nは、1〜5の整数である)
の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記Rは、水素、C〜C20アルキル基またはC〜C20アルケニル基である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記レチノイドは、式
【化2】


(式中RおよびRは互いに独立して、水素またはヒドロキシであるか、またはRおよびRは一緒に酸素原子を形成し、
およびRは、水素であるか、またはRおよびRは一緒に酸素原子を形成し、
10は、水素、ヒドロキシまたは残基OR11であり、
11は、C〜C20アルキル(好ましくはC〜Cアルキル)、C〜C20アルケニル(好ましくはC〜Cアルケニル)、C〜C20アリール、C〜C20アルキルアリールまたは残基−C(O)−R12であり、
12は、C〜C20アルキル(好ましくはC〜Cアルキル)またはC〜C20アルケニル(好ましくはC〜Cアルケニルである)
の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
局所用組成物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、前記組成物の重量を基準にして、0.001〜50重量%の濃度でHDACインヒビターを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記HDACインヒビターは、前記組成物の重量を基準にして、0.01〜1重量%の濃度で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記レチノイドは、前記組成物の重量を基準にして、0.001〜50重量%の濃度で存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記レチノイドは、前記組成物の重量を基準にして、0.1〜15重量%の濃度で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
記HDACインヒビターとレチノイドとの比率は、重量基準で、30:1〜1:30である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
化粧品組成物である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
化粧品効果を提供するための組成物を調製するための、HDACインヒビターおよびレチノイドの組合せの使用。
【請求項13】
前記化粧品効果は、しわまたは乾燥肌または敏感肌または健康な皮膚の生理的恒常性の消極的な現れに起因する症状の治療または予防、育毛促進、抜け毛防御、表皮の肥厚、にきび予防、皮膚細胞の老化阻止、光損傷の予防または治療、酸化的ストレス現象の予防または治療、セルライトの予防または治療、色素異常症および/またはさらに肌の色の予防または治療、セラミドおよび脂質合成の障害の予防および治療、過剰な皮脂産生の予防、マトリクス・メタロプロテアーゼまたは皮膚における他のプロテアーゼの活性低下、アトピー性湿疹、多形日光疹、乾癬、尋常性白斑を含む炎症性皮膚病の治療および予防、痒いまたはひりひりする皮膚の予防および治療である、請求項12に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−530487(P2007−530487A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504354(P2007−504354)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003115
【国際公開番号】WO2005/092283
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】