説明

レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートするためのコンピュータに実装された方法

【課題】レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出するためのコンピュータに実装された方法を提供する。
【解決手段】リソグラフィック変数の異なる値に対する該レティクルの画像を取得する工程において、画像は、ノミナル値で得られた二つまたはそれ以上の参照画像および一つまたはそれ以上の変調された画像を含む、該取得する工程と、該二つまたはそれ以上の参照画像から複合参照画像を生成する工程と、を含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートするためのコンピュータに実装された方法に関する。ある種の形態は、二つまたはそれ以上の参照画像から複合参照画像を生成する工程と、該複合参照画像を用いて、他のサンプル画像と比較することにより欠陥検出を行なう工程とを含むコンピュータに実装された方法に関する。他の形態は、優先順位、欠陥属性、欠陥外観およびバックグラウンド情報を用いて欠陥をソートする工程を含んでいる。追加の形態は、関連性があり、かつ、唯一性がある欠陥を摘出する際に、ウェーハの設計データおよびプロセス変調知識と組み合わせたバックグラウンドの外観および他の特性に基づいて、ユーザを補助する工程に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明および例は、それらがこのセクションに含まれているからといって、それらが先行技術である、と認められるものではない。
【0003】
半導体デバイスのリソグラフィック製造におけるk1(線幅=k1(λ/NA))の急速な低減により、解像度エンハンスメント法(RET)の使用が必要となった。これらのRETは、光近接効果補正(OPC)、位相シフトマスク(PSM)、およびアシストバー補正を含んでいる(しかしそれらには限定されない)。それらは、半導体デバイス設計で、低kリソグラフィを容易にするため実行されるが、これらのRETは、レティクルの製造をより困難に、したがって、より高価にしている。
【0004】
半導体デバイスの設計およびレティクル製造品質は、レティクルが半導体製造施設に入って、集積回路の生産が始まる前に、異なる手順で確認される。半導体デバイスの設計は、製造の際のリソグラフィ後に、全ての形体が、正しくプリントされることを確認するため、ソフトウェア・シミュレーションでチェックされる。このようなチェックは、一般に、「設計ルール・チェック」と呼ばれている。この設計ルール・チェックの出力は、潜在的に大きなクリティカル・ポイントのセット(レティクル・レイアウト上の「ホットスポット」と呼ばれることがある)を生ずる場合がある。このセットは、レビューSEMにおいてのように、ポイント・ツー・ポイント・インスペクターを案内するのに使用できるが、これは、クリティカル・ポイントの数により、非常に非能率的な場合がある。レティクルは、マスク工場で、レティクルの欠陥について検査され、かつ、形体が仕様内であることを確認するために測定される。シミュレーション・チェックでは気付かれない限界に近いRET設計は、ウェーハ製造における電気的な異常に翻訳され、歩留まりに影響し、かつ、可能的には、ウェーハ製造が終わるまで気付かれないでいる。
【0005】
複雑なマスク・パターンの検査で使用される伝統的な方法は、レティクル検査ツールに法外な要求を課するものである。画像検定を行なうための一つの技法は、フォーカス露光マトリックス技法を用いることを必要とする。従来のフォーカス露光マトリックスの検査を行なうと、どの露光視域も異なるという点で、複雑さが招来されることになる。隣接する局部露光視域の間でダイ対ダイの比較が行なわれる。したがって、物理的には、ノミナル露光視域から1露光視域より遠くに位置しているデフォーカス位置で生ずる場合がある任意のパターン変化が、異なるものとして検出されないことになる。なぜなら、ノミナル露光視域は、もはや比較の際に括り出されないからである。さらに、現在のレティクル検査技法では、設計データベース内のエラーの存在を検出することができない。先行技術のシングル・ダイのレティクル検査では、実際のレティクルから引き出される信号を、シミュレートされる設計参照から引く設計シミュレーション技法の実行が必要となる。
【0006】
したがって、必要なものは、シングル・ダイまたはマルチダイのレティクルでパターン異常を見出す工程、および設計データベースにおけるエラーから生ずるレティクル設計エラーを検出する工程において効果的な検査技法である。
【0007】
上記のニーズに取り組むために、いくつかの方法が発明された。これらの方法は、「プロセスウィンドウ検定」法または「PWQ」法と呼ばれることが多く、これらは、Peterson他の特許文献1(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)で、記述されている。Peterson他によって記述された方法などの方法を行なうよう構成されたソフトウェア・パッケージは、KLA-Tencor(登録商標), San Jose, Californiaから市販されている。一般に、該方法は、レティクルの通常のプロセス・ウィンドウ内に存在するリソグラフィック変数(例えば、フォーカス、ドーズ、など)と共に使用した場合、リソグラフィック処理で挫折することになるレティクルの設計要素を見出すのに使用することができる。
【0008】
PWQ法は、KLA-Tencorから市販されているウェーハ検査ツールのうちの任意のものなどのウェーハ検査ツールを用いて行なわれることが多い。一例では、ウェーハは、それぞれレティクル上の設計パターンを含むダイの列により、N−M−Nパターンでプリントされる。「N」ダイは、「ノミナル」リソグラフィック変数(これはまた、一般に、「ノミナル・リソグラフィ・パラメータ」、「ノミナル・リソグラフィック・プロセス・パラメータ、」または「ノミナル・プロセス条件」と呼ばれる場合もある)によりプリントされるダイである。「M」ダイは、ノミナル・リソグラフィック変数とは異なるリソグラフィック変数の値によりプリントされる。言い換えれば、Mダイは、変調されたリソグラフィック変数によりプリントされる。ノミナル・リソグラフィック・パラメータは、レティクルを有するウェーハの露光のための「最善条件」を表す既知のリソグラフィック・パラメータの値であってよい。別法として、ノミナル・リソグラフィックパラメータは、リソグラフィック・パラメータの異なるベースライン値を割り付けられてよい。リソグラフィック変数は、ウェーハ上にプリントされたダイの行におけるノミナル・リソグラフィック変数に対して、正および負に変調することができる。
【0009】
レティクルを有するウェーハの露光後、ウェーハは、変調されたダイを、変調されたダイのどちらかの側の二つのノミナル・ダイと比較することにより、検査される。隣接するダイ同士は、隣接するダイの両方が、イメージされた後で比較される。したがって、比較は、ダイがイメージされる順に、逐次行なわれる。隣接するダイ同士の間の差は、潜在的な欠陥として保存することができる。
【0010】
正に変調されたダイおよび負に変調されたダイは、分析の目的のためには、別個に処理してよい。また、変調されたダイで検出された欠陥は、分析して、欠陥の優先順位または関連性を判定してよい。その上、ユーザは、欠陥をレビューして、検出されたクリチカルもしくは重要な欠陥を見出すことができる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0091142号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のPWQ法は、上で概説したニーズを満たす点では成功であることが分かったが、これらの方法もまた、改良が可能である。例えば、検査プロセスでは、変調されたダイを、厳密に二つのノミナルまたは参照ダイと比較する。参照ダイのうちのどちらかまたは両方において、ランダムに発生する欠陥は、それらが、変調されたダイにおける欠陥の優先順位を下げることになる場合、結果に悪影響を及ぼす場合がある。また、三つのダイ比較(すなわち、それぞれの変調されたダイに対して二つの参照ダイ)を用いることは、参照ダイをプリントするためのウェーハ・エリアの大部分を使用することになる。
【0013】
今日使用されているPWQソフトウェアでは、設計パターンにおける潜在的な異常ポイントは、繰返し欠陥を捜すことによって識別される。残念なことに、まさにその性質によって、実験は、圧倒的な数の重要でない繰返し欠陥を生ずる場合があり、これは、特に高度に変調されたダイで言えることである。自動欠陥分類(ADC)は、候補欠陥の数を減らす一つの方途である。しかしながら、PWQに利用できるインラインADC(iADC)法は、欠陥それ自体についての追加の情報を使用し、かつ、この情報の大部分は、最もありそうな異常ポイントを見出すことに関連性のないものである。Huet他の米国特許出願番号10/954,968(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に説明されているiADC法のより新しいバージョンは、バックグラウンド特徴に焦点を合わせる機能を有するものである。しかしながら、これらの方法では、ユーザは、欠陥を分類するのに使用される利用できる特徴の完全なセットからバックグラウンド特徴を選択し、それによって、検査の段取りの際に、特別の工程を創成する。追加的に、欠陥をレビューするための現在の方法では、潜在的に興味有る欠陥の多重例を得ることは困難である。
【0014】
PWQ法はまた、保存された「ゴールデン・ダイ」画像を、変調された画像との比較に用いるため、変更することができる。「ゴールデン・ダイ」画像は、一般に、何らかのやり方で欠陥が無いことが既知であるレティクル上の設計パターン情報の画像として定義してよい。したがって、ゴールデン・ダイ画像を用いるこによって、ウェーハ上にプリントされたノミナル参照ダイの数を減らすこと、あるいは、無くすことすらもでき、それによって、より多くの変調されたダイをウェーハ上にプリントすることができる。しかしながら、このようなゴールデン・ダイ画像を用いることには、欠点が有る。例えば、詳細なゴールデン・ダイ画像は、数百ギガバイトの記憶装置を必要とする場合がある。他方、ゴールデン・ダイ画像の細部を減らすことはできるが、ゴールデン・ダイ画像の細部について妥協することは、検査方法の有効性を危うくすることになる。その上、ゴールデン・ダイ画像は、テスト・ダイと同じ処理条件下では形成されない可能性が非常に高く、これは、特に、ゴールデン・ダイ画像が、シミュレーションによって生成される場合、あるいは、ゴールデン・ダイ画像が、変調されたダイがプリントされているウェーハとは異なるウェーハから得られた場合に言えることである。ゴールデン・ダイと変調されたダイとの形成における差は、変調されたダイの検査中の擬似欠陥検出となる場合がある。さらに、ゴールデン画像を記憶媒体から読み取る工程は、画像コンピュータまたは別のコンピュータ・システムからゴールデン画像を再取得する工程より遅い場合がある。
【0015】
したがって、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートするためのコンピュータに実装された方法を開発して、比較的少数のノミナル参照ダイを用いながら、正確な欠陥検出を可能にし、ノミナル参照ダイにおける欠陥の、欠陥検出の正確さに対する悪影響を減らすことによって、欠陥検出の正確さを増大させ、迅速な識別および重要でない繰返し欠陥の除去を可能にして、これらの欠陥が、興味ある欠陥を覆い隠さないようにし、興味ある欠陥の多重例を比較的容易に見出すことができるようにし、実質的に自動化されたやり方で欠陥の分類ができるようにし、あるいは上記の改良のうちの一つまたはそれ以上を、設計パターンの保存されたゴールデン・ダイ画像をレティクル上で用いることなしに、成し遂げることが有利である、と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一形態は、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートするためのコンピュータに実装された方法に関する。該方法は、個々の欠陥と関連付けられる優先順位情報および欠陥属性を、個々の欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性および欠陥の一つまたはそれ以上の特性との組合せで用いて、検査データにおける興味ある欠陥をサーチする工程を含んでいる。検査データは、リソグラフィック変数の異なる値に対して生成されるレティクルの画像同士を比較することによって生成される。画像は、少なくとも一つの参照画像および少なくとも一つの変調された画像を含んでいる。該方法はまた、一つまたはそれ以上の識別子を興味ある欠陥に割り付ける工程を含んでいる。
【0017】
一形態では、優先順位情報は、検査された欠陥の間の関係およびそれらの対応する変調レベルから引き出される。別の形態では、欠陥属性は、場所、サイズ、強度の大きさおよび極性などの簡単な欠陥情報、並びに検査パラメータを含んでいる。欠陥は、欠陥優先順位および属性によって濾過される。濾過基準は、ユーザによって選択され得る。いくつかの形態では、欠陥に近接する領域の、かつ、欠陥上の、一つまたはそれ以上の特性は、それぞれ、参照および欠陥画像から計算される。
【0018】
別の形態では、該方法は、個々の欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性、または欠陥の一つまたはそれ以上の特性、またはそれらの組合せに基づいて、興味ある欠陥をグループ化する工程を含んでいてよい。グループ化で使用される特性は、ユーザによって選択される。異なる形態では、該方法は、与えられた欠陥に類似の欠陥を、欠陥外観、属性および欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性に基づいて、検索する工程を含んでいてよい。検索基準は、ユーザによって選択され得る。
【0019】
一形態では、一つまたはそれ以上の識別子は、欠陥分類を含んでいてよい。別の形態では、一つまたはそれ以上の識別子は、興味ある欠陥を、さらなる処理に使用すべきかどうかを識別するインジケータを含んでいてよい。一つのこのような形態では、一つまたはそれ以上の識別子を割り付ける工程は、優先順位情報および欠陥分類に基づいて自動的に行なわれる。
【0020】
追加の形態では、該方法は、潜在的な興味ある欠陥を、レティクルの設計パターン・データに対して行なわれる設計ルール・チェックによって生成された結果と比較して、興味ある欠陥が、設計ルール・チェックのクリティカル・ポイントに相関するかどうかを判定する工程を含んでいてよい。一つのこのような形態では、該方法はまた、クリティカル・ポイントと相関しない欠陥を、検査データから除去する工程を含んでいてよい。同様のやり方で、該方法は、潜在的な興味ある欠陥を、レティクルの設計パターン・データに対して行なわれるオプティカル・ルール・チェック(ORC)によって生成される結果と比較する工程を含んでいていよい。一般に、DRC結果の使用を伴うここで述べる工程は、ORC結果を用いて、別法として行なってよい。上記の方法の形態のそれぞれは、ここで述べる任意の他の工程(複数も可)を含んでいてよい。
【0021】
本発明の別の形態は、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出するためのコンピュータに実装された方法に関する。該方法は、リソグラフィック変数の異なる値に対してレティクルの画像を取得する工程を含んでいる。画像は、ノミナル値で得られる二つまたはそれ以上の参照画像、および一つまたはそれ以上の変調された画像を含んでいる。該方法はまた、二つまたはそれ以上の参照画像から複合参照画像を生成する工程を含んでいる。また、該方法は、画像のうちの少なくとも二つ同士を比較する工程を含んでいる。画像のうちの少なくとも二つは、複合参照画像を含んでいる。一形態では、ウェーハ・レイアウトまたはウェーハ上にプリントされたダイの知識を有するユーザは、参照(例えば、複合または非複合)のため、および比較のためには、どの画像を使用することになるかをシステムに知らせる。このやり方で、ユーザは、比較のために使用される画像を選択してよい。該方法は、レティクルの設計パターンに欠陥が存在するかどうかを、比較の結果を用いて判定する工程をさらに含んでいる。
【0022】
いくつかの形態では、領域の一つまたはそれ以上の特性は、ユーザによって選択されてよい。別の形態では、シミュレートされた画像(例えば、GDSまたはシミュレートされた架空の画像からのもの)が、レティクルにおける欠陥の場所に基づいて、バックグラウンドの特性(複数も可)を判定するのに使用される。領域の特性(複数も可)は、技術上既知の任意の技法を用いて、このような画像から抽出してよい。また、実験的に生成された架空の画像を、同様のやり方で使用してよい。異なる形態では、レティクルの高解像度画像を用いて、欠陥に近接するバックグラウンド領域の特性(複数も可)を、レティクルにおける欠陥の場所に基づき、判定してよい。レティクルの高解像度画像は、技術上既知の任意の適当な高解像度イメージング・システムを用いて得てよい。例えば、いくつかの市販のレティクル検査システムが、レティクル高解像度画像を形成するよう構成されている。
【0023】
また、あるいは、 別法として、ここで述べる「デフェクツ・ライク・ミー(私に似た欠陥群)」機能を用いて、クリティカル・ポイントを再グループ化するか、あるいは、濾過して、母集団を減らしてよい。このやり方で、類似のクリティカル・ポイントの検査、測定、および(または)レビューを減らし、あるいは、排除することが可能である。
【0024】
また、DRCによって識別されるクリティカル・ポイントは、ここで述べるように、生成された検査データでオーバレイしてよい。検査データは、一つまたはそれ以上の変調されたダイおよび一つまたはそれ以上の参照ダイがプリントされたウェーハをイメージすることによって生成されたデータであってよい。別法として、検査データは、シミュレーションまたは実験によって生成されたレティクル設計パターンの架空の画像を含んでいてよい。このやり方で、ここで述べるように見出された興味ある欠陥は、設計ルール・チェックによって生成された検査データと比較して、興味ある欠陥が、設計ルール・チェック欠陥に相関しているかどうかを判定してよい。興味ある欠陥と相関しない設計ルール・チェック欠陥は、次いで、設計ルール・チェック検査データから除去してよい。同様のやり方で、興味ある欠陥は、オプティカル・ルール・チェックによって生成されたデータと比較して、興味ある欠陥が、オプティカル・ルール・チェック欠陥と相関しているかどうかを判定してよい。
【0025】
さらなる形態では、画像は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされたダイのスウォス全体の画像を含んでいてよい。この形態では、比較に使用された少なくとも二つの画像は、スウォス全体におけるダイの全ての画像を含んでいてよい。別のこのような形態では、スウォス全体における変調されたダイは、リソグラフィック変数の同じ値を用いてプリントされ、これは、参照ダイがスウォス全体においてプリントされるリソグラフィック変数の値とは異なるものである。さらに別のこのような形態では、スウォス全体における変調されたダイは、リソグラフィック変数の異なる値を用いてプリントされる。この形態では、スウォス全体における参照ダイは、リソグラフィック変数の追加の異なる値を用いてプリントされる。
【0026】
いくつかの形態では、画像を取得する工程は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされた設計パターンの画像を取得する工程を含んでいる。他の形態では、画像は、架空の画像を含んでいてよい。上記の方法の形態のそれぞれは、ここで述べる任意の他の工程(複数も可)を含んでいてよい。
【0027】
別の形態は、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ、ソートするための異なるコンピュータに実装された方法に関する。この方法は、リソグラフィック変数の異なる値に対して、レティクルの画像を取得する工程を含んでいる。該方法はまた、画像のうちの少なくとも二つ同士を比較する工程を含んでいる。また、該方法は、個々のピクセルが、設計パターンにおいて異なっているかどうかを、比較の結果を用いて判定する工程を含んでいる。該方法はまた、少なくとも二つ画像におけるピクセル差が、リソグラフィック変数の異なる値に亘って、典型的なまたは非典型的なトレンドに従っているかどうかを判定する工程を含んでいる。
【0028】
ピクセル差が存在すると判定された場合は、該方法は、リソグラフィック変数の異なる値の関数としての欠陥の画像の一つまたはそれ以上の特性のプロットにおけるトレンドとの比較に基づいて、場所をグループに割り付ける工程を含んでいてよい。例えば、非典型的なトレンドは、潜在的に関連性のある欠陥場所として識別されてよい。該方法で使用される画像は、いくつかの形態では、リソグラフィック変数の異なる値でプリントされた変調されたダイの画像、およびリソグラフィック変数の追加の異なる値を用いてプリントされた参照ダイの画像を含んでいる。
【0029】
追加の形態は、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出するための、コンピュータで実行される別の方法に関する。この方法は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされたダイのスウォス全体の画像を取得する工程を含んでいる。ダイのうちの少なくとも二つは、リソグラフィック変数の異なる値でプリントされる。該方法はまた、スウォス全体の画像の取得に続いて、画像のうちの少なくとも二つ同士を比較する工程を含んでいる。また、該方法は、欠陥が設計パターンに存在するかどうかを、比較の結果を用いて判定する工程を含んでいる。
【0030】
一形態では、ダイは、変調されたダイおよび少なくとも一つの参照ダイを含んでいる。別の形態では、ダイは、検査レシピで定義された二つまたはそれ以上の参照ダイを含んでいてよい。この形態では、該方法はまた、二つまたはそれ以上の参照ダイの画像から複合参照画像を生成する工程を含んでいてよい。このような形態では、比較に使用された画像のうちの少なくとも二つのうちの一つは、複合参照画像を含んでいる。追加の形態では、ダイは、変調されたダイおよび少なくとも一つの参照ダイを含んでいてよい。上記の方法の形態のそれぞれは、ここで述べる任意の他の工程(複数も可)を含んでいてよい。
【0031】
さらなる形態は、ここで述べるコンピュータに実装された方法のうちの任意のものを行なうコンピュータ・システムで実行可能なプログラム命令を含むキャリア媒体に関する。追加の形態は、ここで述べるコンピュータに実装された方法のうちの任意のものを行なうよう構成されたシステムに関する。該システムは、ここで述べるコンピュータに実装された方法のうちの一つまたはそれ以上を行なうためのプログラム命令を実行するよう構成されたプロセッサを含んでいてよい。一形態では、システムは、スタンドアロン・システムであってよい。別の形態では、該システムは、ウェーハ・イメージング・システムまたは架空のイメージング測定システムなどの検査システムの一部であるか、あるいは、それに結合されていてよい。異なる形態では、該システムは、欠陥レビュー・システムの一部であるか、あるいは、それに結合されていてよい。更に別の形態では、該システムは、ファブ・データベースに結合されていてよい。該システムは、ワイヤ、ケーブル、無線伝送経路、および(または)ネットワークなどの伝送媒体によって、検査システム、レビュー・システム、および(または)ファブ・データベースに結合されていてよい。該伝送媒体は、「有線」および「無線」部分を含んでいてよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】リソグラフィック変数の異なる値に対するレティクルでウェーハ上にプリントされたダイの異なる構成の平面図を示す概略図である。
【図2】リソグラフィック変数の異なる値に対するレティクルでウェーハ上にプリントされたダイの異なる構成の平面図を示す概略図である。
【図3】リソグラフィック変数の異なる値に対するレティクルでウェーハ上にプリントされたダイの異なる構成の平面図を示す概略図である。
【図4】リソグラフィック変数の異なる値に対するレティクルでウェーハ上にプリントされたダイの異なる構成の平面図を示す概略図である。
【図4a】リソグラフィック変数の異なる値に対するレティクルでウェーハ上にプリントされたダイの異なる構成の平面図を示す概略図である。
【図5】リソグラフィック変数の異なる値の関数としての欠陥の画像の特性のプロットにおける異なるトレンドの例を示すグラフである。
【図6】検出された欠陥をソートするのに使用できる異なるユーザ・インタフェースの例を示すスクリーン・ショットである。
【図6A】検出された欠陥をソートするのに使用できる異なるユーザ・インタフェースの例を示すスクリーン・ショットである。
【図6B】検出された欠陥をソートするのに使用できる異なるユーザ・インタフェースの例を示すスクリーン・ショットである。
【図6C】検出された欠陥をソートするのに使用できる異なるユーザ・インタフェースの例を示すスクリーン・ショットである。
【図6D】検出された欠陥をソートするのに使用できる異なるユーザ・インタフェースの例を示すスクリーン・ショットである。
【図7】検出された欠陥をソートするのに使用できる異なるユーザ・インタフェースの例を示すスクリーン・ショットである。
【図8】コンピュータに実装された方法のうちの一つまたはそれ以上を行なうのに使用できるシステムの一実施形態の側面図を示す概略図である。
【図9】レティクルの設計パターンの架空の画像を取得するのに使用できる装置の側面図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の好適な実施形態の詳細な説明により、また、添付の図面を参照することにより、本発明のさらなる利点が、当業者には、明らかになるであろう。
【0034】
本発明は、各種の変更態様および代わりの形態が可能であるが、その特定の実施形態が、図面の例により示され、ここに詳細に記述されるであろう。図面は、一定の縮尺ではない場合がある。しかしながら、図面およびそれに対する詳細な説明は、本発明を、開示された特定の形態に限定することを意図したものではなく、反対に、添付のクレームによって定義された本発明の精神および範囲内にある全ての変更態様、同等物および代替物を包含することを意図していることを理解されたい。
【0035】
術語「欠陥」は、ここで使用される場合、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされた設計パターンにおける欠陥(例えば、過大なコーナー・ラウンディング、不満足な寸法、形体の欠落、形体間の橋絡、など)を生ずる場合があるレティクルの設計パターンにおける欠陥を指す。具体的には、ここで述べる方法は、設計パターンの解像度エンハンスメント法(RET)形体における欠陥を検出するのに特に適している。
【0036】
術語「レティクル」および「マスク」は、ここで可換的に使用される。レチクルは、一般に、その上に形成された不透明な材料の層を有する、ガラス、硼珪酸ガラス、および溶融石英などの透明基板を含んでいる。不透明な領域は、透明基板内にエッチングされた領域で置き換えてよい。
【0037】
多くの異なる種類のレティクルが、技術上既知であり、ここで使用される術語レティクルには、あらゆる種類のレティクルが包含されている。例えば、術語レティクルは、明視野レチクル、暗視野レチクル、バイナリ・レチクル、位相シフト・マスク(PSM)、オールタネーティングPSM、減衰またはハーフトーンPSM、およびターナリ減衰PSMを含む異なる種類のレティクルを指すが、これらに限定されない。明視野レチクルは、透明な視域またはバックグラウンド・エリアを有し、暗視野レチクルは、不透明な視域またはバックグラウンド・エリアを有している。バイナリ・レティクルは、透明または不透明どちらかのパターン形成されたエリアを有しているレティクルである。バイナリ・レチクルは、位相シフト・マスク(PSM)とは異なるものであり、その一種のものは、部分的にしか光を伝送しない膜を含んでいてよく、これらのレチクルは、一般に、ハーフトーンまたはエンベッデド位相シフト・レチクルと呼んでよい。フェーズ・シフティング材料が、レチクルの一つおきのクリア・スペース上に置かれている場合は、このレチクルは、オールタネーティングPSM、ALTPSM、またはレベンソンPSMとも呼ばれている。任意のレイアウト・パターンに適用されるフェーズ・シフティング材料の一種のものは、減衰またはハーフトーンPSMと呼ばれており、これは、不透明な材料を部分的に伝達可能なまたは「ハーフトーン」膜で置き換えることによって製造してよい。ターナリ減衰PSMは、完全に不透明な形体も同様に含んでいる減衰PSMである。
【0038】
ここで述べるレチクルは、ペリクルを含んでいてもいなくてもよく、これは、レチクル表面を空輸微粒子および他の形態の汚染物から遮断する光学的に透明な膜である。術語「レティクル」はまた、光近接効果補正(OPC)形体を含んでいるレティクルを指すのに使用してもよい。OPC形体は、光近接効果を低減することによって、レチクルを用いてプリントされる画像の歪みを低減するよう設計されている。術語「光近接効果」は、一般に、レチクル上の他の形体の近接性による、プリントされた形体の横方向寸法または形状のばらつきを指す。このような効果は、光近接効果による歪みを判定し、かつ、このような歪みを補償するようレチクル上の形体を変えることによって、低減してよい。
【0039】
OPCなどのRETは、露出光源として使用される光の波長より小さなデバイス・ウェーハ上に形体をプリントする目的で、集積回路(IC)設計にますます応用されている。これらのRETは、サブ・レゾリューション・アシスト・フィーチャ(SRAF)およびセリフを含む設計に特別な形体を付加し、その結果、ホトマスクまたはレティクル上の設計のレイアウトが、非常に複雑になることが多い。RET形体が、レティクル上に正しくプリントされ、かつ、SRAF形体は、ウェーハ上にプリントされないが、主要な形体は、ウェーハ上に正しくプリントされることを確認することは、ますます難しいタスクになりつつある。その上、マスク・エラーの増大因子(MEEF)などの光学効果は、ウェーハ・レベルにおける最終画像の追加の歪みを生ずることがある。MEEFは、一般にレジスト内にプリントされた形体のクリティカルな寸法とレティクル上に形成された構造物のクリティカルな寸法との比と定義されてよい。
【0040】
術語「ウェーハ」は、ここで使用される場合、一般に、半導体または非半導体材料から形成された基板を指す。このような半導体または非半導体材料の例としては、単結晶シリコン、砒化ガリウム、および燐化インジウムなどが挙げられるが、それらに限定されない。このような基板は、一般に、半導体製造設備において見出され、かつ(あるいは)、処理されてよい。
【0041】
ウェーハは、基板上に形成された一つまたはそれ以上の層を含んでいてよい。例えば、このような層は、レジスト、誘電体材料、および導体材料を含んでいてよいが、それらに限定されない。「レジスト」は、ホトリソグラフィー技法、電子ビーム・リソグラフィー技法、または、X線リソグラフィー技法によってパターン形成することができる任意の材料を含んでいてよい。誘電体材料の例としては、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、および窒化チタンなどが挙げられるが、それらに限定されない。誘電体材料の追加の例としては、「低K」誘電体材料(例えば、Applied Materials(登録商標), Inc., Santa Clara, Californiaから市販されているBlack Diamond、およびNovellus Systems, Inc., San Jose, Californiaから市販されているCORAL)、「超低K」誘電体材料(例えば、「キセロゲル」)、および「高K」誘電体材料(例えば、五酸化タンタル)などが挙げられる。また、導体材料の例としては、アルミニウム、ポリシリコン、および銅などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
ウェーハ上に形成された一つまたはそれ以上の層は、パターン形成されていてよい。例えば、ウェーハは、それぞれが繰り返し可能なパターン形体を有する複数のダイを含んでいてよい。材料のこのような層の形成および処理は、最終的に、完成した半導体デバイスをもたらしてよい。そのようなものとして、ウェーハは、その上に、完全な半導体デバイスの全ての層が形成されていない基板、または、その上に、完全な半導体デバイスの全ての層が形成されている基板を含んでいてよい。術語「半導体デバイス」は、ここで、術語「IC」と可換的に使用される。また、微小電気機械(MEMS)デバイスなどの他のデバイスを、ウェーハ上に形成してもよい。
【0043】
ここで図面に帰ると、図面は、一定の縮尺で描かれていないことに気が付く。具体的には、図の要素のうちのいくつかの縮尺は、要素の特性を強調するため、大きく誇張されている。また、図は、同じ縮尺で描かれていないことにも気が付く。同様に構成してよい二つまたはそれ以上の図内の要素は、同じ参照番号を用いて示した。
【0044】
図1は、リソグラフィック変数の異なる値に対してレティクルを有するウェーハ10上にプリントされたダイの構成の一例を示す。この例では、参照またはノミナル・ダイNが、評価されているリソグラフィック変数に対する参照値でウェーハ上にプリントされている。術語「参照ダイ」および「ノミナル・ダイ」は、ここで可換的に使用される。参照値は、リソグラフィック変数(例えば、ベスト・ドーズ、ベスト・フォーカス、など)に対する最良の既知の値である場合がある。別法として、参照値は、任意の予め決められたベース・ライン値であってよい。
【0045】
評価されているリソグラフィック変数は、レティクルによってウェーハ上にプリントされた設計パターンを変更できる任意のリソグラフィック・パラメータを含んでいてよい。このようなリソグラフィック変数の例としては、ベスト・ドーズ、フォーカス、部分コヒーレンス、数値アパーチャなどが挙げられるが、それらに限定されない。フォーカスの異なる値が、設計パターンに及ぼす影響を評価するのが特に望ましい場合がある。なぜなら、これは、一般に、あるリソグラフィ・プロセスに対して、時間に亘って変化することが最も多いリソグラフィック・パラメータであるからである。
【0046】
また、図1に示すように、ウェーハ上には、変調されたダイM1、M2、およびM3が、プリントされる。変調されたダイは、ノミナル・ダイがプリントされる参照値とは異なるリソグラフィック変数の値で、ウェーハ上にプリントされる。図では、M1、M2およびM3ダイは、異なる行に存在するが、これは、本発明の限定事項ではない。変調されたダイがプリントされる異なる値は、例えば、リソグラフィック変数を変化させ得る程度(例えば、リソグラフィ・ツールで為し得るリソグラフィック変数の最小増分変化)、リソグラフィック変数に対する典型的なプロセス・ウィンドウ、および(または)ウェーハ上にプリントされ得る変調されたダイの数(例えば、この例では、ウェーハ上にプリントされ得るダイの行数)により変化してよい。一つの特定の例では、設計パターンが、あるリソグラフィ・プロセスに対するリソグラフィック変数の典型的なプロセス・ウィンドウを横断して、どのようにプリントされることになるかを評価するのが望ましい場合がある。したがって、リソグラフィック変数の異なる値における適切な増分は、評価されるリソグラフィック変数の値の範囲を、ウェーハ上にプリントされ得る変調されたダイの数で割って、求めてよい。しかしながら、リソグラフィック変数の適切な値は、任意の他のやり方で求めてよい。
【0047】
図1では、ウェーハ上に、3行のダイがプリントされているが、ウェーハ上にプリントされたダイの行数は、例えば、ダイの寸法およびウェーハの寸法によって異なることを理解されたい。また、図1では、各行のダイは、2セットのダイ(各セットは、N−M−Nシーケンスのダイを含んでいる)で構成されているが、各行におけるダイのセット数は、ダイの寸法およびウェーハの寸法によっても異なることを理解されたい。
【0048】
設計パターンを検査するためには、行内のダイをスウォス内にイメージする。ダイは、例えば、ここで述べるウェーハ検査システム、または、KLA-Tencor, San Jose, Californiaから市販されているウェーハ検査システムなどの技術上既知の任意の他の適当なツールを用いてイメージしてよい。行内のダイは、図1に示すスウォス方向、または、反対の方向でイメージしてよい。
【0049】
ウェーハ上にプリントされた二つの隣接するダイをイメージしたのち、二つのダイの画像同士を、図1の矢印で示すように比較する。具体的には、第一のノミナル・ダイをスウォス内にイメージし、かつ、セーブする。隣接するM1ダイをイメージしたのち、ノミナル・ダイNの画像と隣接する変調されたダイM1とを比較し、かつ、二つのダイの間のいかなる差も、セーブ、もしくは、別様にノートし、記録し、格納する、などのことを行なう。次いで、ダイ内の欠陥の存在を、比較の結果を用いて判定してよい。例えば、二つのダイの間の差が、欠陥であるかどうかを判定するためには、閾値型欠陥検出アルゴリズムを、差データに適用して、差が欠陥を示しているかどうかを判定してよい。
【0050】
M1ダイの画像はまた、他の隣接するノミナル・ダイNとの比較のため、このノミナル・ダイをスウォス内にイメージしたのち、セーブしてよい。次いで、これら二つのダイの画像同士を上記のように、比較し、かつ、比較の結果に基づいて、上記のように欠陥を検出してよい。
【0051】
変調されたM1ダイは、二つの参照ダイと比較されるため、図1に示す構成により、M1ダイ内の欠陥のダブル検出が可能である。言い換えれば、第一の参照ダイ内に、ランダムに生じた欠陥が現れる場合は、たとえ欠陥が、第一の参照ダイ内に、実際に、存在しても、第一の参照ダイの画像とM1ダイの画像との間の差で、M1ダイ内の欠陥の存在が示される場合がある。しかしながら、ランダムに生じた欠陥が、第二の参照ダイ内の同じ位置に現れる確率は、実質的に低い。したがって、M1ダイの画像を、第二の参照ダイと比較する場合は、第一の比較で見いだされた欠陥が、第二の比較で見いださる可能性は、最も低い。そのようなものとして、二つの比較のうちの一つでのみ見出される欠陥は、擬似欠陥と呼んでよく、かつ、いかなるさらなる評価からも除外してよい。
【0052】
各変調されたダイと二つの異なるノミナル・ダイとの比較によって行なわれる欠陥の「ダブル検出」は、検出される擬似欠陥の数を効果的に減らすが、この方法には、いくつかの欠点が有る。例えば、ウェーハ上の相当量のスペースが、ノミナル・ダイをプリントするのに使用され、それによって、ウェーハ上にプリントされ得る変調されたダイの数が減少し、そのため、評価され得るリソグラフィック変数の異なる値の数が減少することになる。したがって、欠陥検出方法の正確さを減らすことなしに、ウェーハ上にプリントされる参照ダイの数を減らすのが有利であろう。
【0053】
以下、上記の欠陥検出方法に対するいくつかの改良について述べる。各改良は、単独で、または、他の改良のうちの一つまたはそれ以上のとの組合せで使用してよいことに注目することが重要である。
【0054】
一つの改良は、同時にイメージし、かつ、処理し得るダイの数を増大させることによって実現できる。例えば、上記のように、二つのダイをイメージし(ノミナル・ダイおよび変調されたダイ)、二つのダイの画像同士を比較して、画像同士の間の差を検出し、かつ、差を調べて、欠陥を示す差を識別する。したがって、一時に二つのダイのみを処理する。別法では、三つのダイをイメージしてよく(二つのノミナル・ダイおよび一つの変調されたダイ)、かつ、これらの画像を同時に、または、「リアルタイム」に処理して、変調されたダイ内の欠陥を検出してよい。
【0055】
しかしながら、より多くの画像データが、同時に処理できれば、有利であろう。例えば、一実施形態によれば、取得される画像は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされるダイのスウォス全体の画像を含んでいてよい。次いで、ダイのスウォス全体の画像を、検査アルゴリズムで調べてから、欠陥にフラグを立てることができる。言い換えれば、スウォス全体内のダイのうちの、任意のもの同士の間の任意の有用な、あるいは、有意味の比較を行なってから、画像の間の差を分析して、欠陥を検出してよい。また、スウォス内のダイ・レイアウトは、アプリオリに既知のものとなる。このやり方で、コンピュータに実装された方法は、適当なダイ画像を選択して、スウォス内のダイ画像の位置に基づく比較を行なってよい。別の実施形態では、ウェーハ上にプリントされたダイのレイアウトについて知識を有するユーザは、画像のうちのどちらかを選択して、比較に使用することができる。
【0056】
ダイのスウォス全体を一時にイメージすることは、相当量のデータを生成し、次いで、これをここで述べるように処理して、欠陥検出を行なわなければならないが、例えば、以下の米国特許出願番号、すなわち、2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,388、2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,397、2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,542、2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,419、2004年10月18日に出願されたBlecher他の10/967,375、2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,838、2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,500、2004年10月18日に出願されたDubiner他の10/967,376、2004年10月18日に出願されたMiller他の10/967,420、2004年10月18日に出願されたMiller他の10/967,832、および2004年10月18日に出願されたBhaskar他の10/967,418(これらは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に記載された画像コンピュータは、このような相当量のデータを処理するのに使用できる。
【0057】
ウェーハ上のダイのスウォス全体からの画像データを同時に処理することができることは、いくつかの利点を提供する。例えば、画像データは、ノミナル値で得られた二つまたはそれ以上の参照ダイおよび一つまたはそれ以上の変調されたダイを含むスウォス全体に対して、取得することができる。スウォスに二つまたはそれ以上の参照ダイが含まれている場合は、ここで述べる方法は、二つまたはそれ以上の参照画像から複合参照画像を生成する工程を含んでいてよい。例えば、図2に示すように、スウォス内に含まれている参照ダイの全4個から複合参照画像を生成してよい。しかしながら、複合参照画像は、スウォス内の参照ダイの全てより少ない数のものから生成してよい。また、図2に示すように、複合参照画像は、ウェーハ上の一つのスウォス内の参照ダイから生成してよく、かつ、ウェーハ上の他のスウォスに対して、他の複合参照画像を生成してよい。このやり方で、複合参照画像は、各スウォスをイメージした後で、リアルタイムに生成してよい。しかしながら、複合参照画像は、別法として、二つまたはそれ以上の参照ダイから生成してよく、かつ、同じ複合参照画像を用いて、ウェーハ上の同じまたは異なるスウォス内の変調されたダイ内の欠陥検出を行なってよい。
【0058】
複合参照画像は、技術上既知の任意のやり方で生成してよい(例えば、二つまたはそれ以上の参照ダイの画像データの平均を取る)。また、複合参照画像を生成する前に、個々の参照ダイ画像を位置合わせすることが望ましい。一例では、スウォス内の参照ダイ画像フレームは、共通の座標基準に対して、位置合わせしてよく、かつ、フレーム内のミスアラインメントは全て、ピクセル値のサブピクセル補間によって補正してよい。変調されたダイは、同様のやり方で位置合わせしてよい。
【0059】
いかなる場合でも、複合参照画像は、図2の矢印で示したスウォス内の変調されたダイとの比較に使用してよい。言い換えれば、比較に使用される少なくとも二つ画像のうちの一つは、複合参照画像を含んでいてよい。複合参照画像を用いて欠陥検出を行なう工程は、変調されたダイのそれぞれを比較する参照画像の安定性を向上させるため、スウォス内の多重ノミナル・ダイの存在を利用する。複合参照画像の使用はまた、個々の参照ダイ画像に存在する場合があるランダムなノイズの影響を低減することによって、検出の感度を向上させることができる。言い換えれば、ここで述べる方法は、欠陥検出に使用されるデータの信号対雑音比を増大させることができ、したがって、最も関連性が高そうな欠陥を分離する能力が得られる点で有利である。
【0060】
複合参照画像を用いて変調されたダイ画像との比較を行なう工程はまた、スウォスに含まれる参照ダイの数を減らすことができる点で有利である場合がある。例えば、上記のように、ダブル欠陥検出は、変調されたダイの代わりに、参照ダイ内の欠陥によって生ずる擬似欠陥を、検出結果から排除し、それによって、欠陥検出方法の正確さを増大させることができる点で有利である。しかしながら、複合参照画像が、二つまたはそれ以上の参照画像から生成される場合は、参照画像同士の間のいかなる差も検出することができ、かつ、これらの差を分析して、参照画像内に欠陥が存在するかどうかを判定することができる。次いで、参照画像のうちの一つまたはそれ以上に存在すると判定されるいかなる欠陥も、個々の参照ダイの画像データから除去することができる。「洗浄された」画像データは、次いで、複合参照画像を生成するのに使用してよい。
【0061】
ここで述べる方法において、ダイ画像のスウォス全体を同時に生成し、かつ、処理することができる場合は、比較に使用される参照画像は、ここで述べる複合参照画像または個々の参照画像であってよいことに注目することは、重要である。二つまたはそれ以上の非複合参照画像を、変調されたダイとの比較に使用する場合でも、スウォス内の参照ダイの数を、現在N−M−N構成内で使用されている数から減らすことができるが、これは、スウォス内の参照および変調されたダイ画像の位置とは無関係に、個々の参照ダイ画像を、変調されたダイ画像との比較に使用し、かつ、再使用することができるためである。
【0062】
ウェーハ上で用いられるノミナルダイの数が減ることは、変調されたダイに対して、ウェーハ上でより多くのスペースが使用できる点で有利である。したがって、データをより能率的に、かつ、徹底して用いることによって、ここで述べる方法は、変調されたダイのより多くの例、および、参照ダイのより少ない例を検査することが可能である。ウェーハ上にプリントされた参照ダイの数を減らすのに使用できる一つの他の検査技法は、変調されたダイを、設計情報またはプライア・スキャニングから構成され、次いで、データベースなどの何らかの媒体に保存されたゴールデン・ダイ画像と比較するものである。しかしながら、ここで述べるような能率的なデータ利用は、データベースからのゴールデン・ダイ画像を用いることより、潜在的には、原価効率がよりよく、より正確で、より迅速な方法である。
【0063】
図1および2に示すダイの構成とは異なって、検出方法の正確さを減らすことなく、より少ない数のノミナル・ダイが使用できる場合は、変調されたダイの数を増大させることができる。図3は、一つのこのような構成を示す。この構成では、スウォス内の変調されたダイの数は、スウォス内の参照ダイの数に等しい。また、どの他のダイ位置も、N−M−N−M構成内に異なる種類のダイを含んでいる。しかしながら、変調されたダイおよびノミナル・ダイは、任意の他のやり方でスウォス内に配列してよい。例えば、スウォス内の第一の二つのダイは、参照ダイであってよく、かつ、スウォス内の他の全てのダイは、変調されたダイであってよい。いかなる場合でも、この方法によって使用されている参照ダイの数を減らすことは、より多くの変調されたダイをウェーハ上にプリントすることを可能にし、それによって、変更されているリソグラフィック変数のより多くの値における欠陥について、レティクルの設計パターンを調べることを可能にする。
【0064】
図3に示すように、スウォス内の参照ダイ画像は、複合参照画像を生成するのに使用してよい。複合参照画像は、上記のように生成することができる。また、複合参照画像は、上記のように、変調されたダイの取得された画像との比較に使用してよい。また、図3に示すように、スウォス内全体の参照ダイのそれぞれの画像を使用して、複合参照画像を生成してよい。別法として、スウォス内全体の参照ダイの全てより少ない数の画像を使用して、複合参照画像を生成してよい。その上、上記のように、イメージされたウェーハ上の各スウォスに対して、複合参照画像を生成してよい。別法として、一つの複合参照画像を生成し、ウェーハ上の二つまたはそれ以上のスウォス内の、変調されたダイの画像との比較に使用してよい。
【0065】
図3の構成でさらに示すように、スウォス内全体の変調されたダイは、リソグラフィック変数の同じ値を用いてプリントしてよい。具体的には、一つのスウォス内の変調されたダイのそれぞれは、M1変調されており、別のスウォス内の変調されたダイのそれぞれは、M2変調されている、などである。言い換えれば、評価されているリソグラフィック変数が、フォーカスである場合は、M1変調されたダイのそれぞれは、同じフォーカス値でプリントしてよく、M2変調されたダイのそれぞれは、各M2ダイについては同じである異なるフォーカス値でプリントしてよい、などである。各スウォス内のダイをプリントするのに使用されるリソグラフィック変数の値はまた、参照ダイをプリントするのに使用されるリソグラフィック変数の値とは異なり、したがって、変調されたダイと参照ダイとの間に有意味の比較を行なうことができることが好ましい。
【0066】
図3に示す構成を有するスウォス全体をイメージし、かつ、上記のように欠陥検出を行なう工程は、多重の同様に変調されたダイを同時に検査することを可能にする。同様のやり方で変調された二つまたはそれ以上のダイに対して欠陥検出を行なう工程は、設計パターンおよび設計パターン内で検出された欠陥について、より多くの情報をもたらす。例えば、欠陥が、同様に変調されたダイの全てよりも少ない数で現れる場合には、欠陥は、ランダムに発生する欠陥として識別することができる。したがって、図3に示す構成を用いて、スウォス全体をイメージすることができ、かつ、これらの画像を用いて、変調されたリソグラフィック変数の同じ値を有するダイ内の欠陥を検出することができる。
【0067】
図4は、異なる構成を示し、この構成では、一つのスウォス内の変調されたダイは、変調されたリソグラフィック変数の異なる値を有している。言い換えれば、ダイは、変調が、図1〜3に示すように列内ではなく、行に沿って変わるように、レイアウトされている。具体的には、一つのスウォス内の変調されたダイは、M1変調、M2変調、M3変調されている、などであってよい。このやり方で、評価されているリソグラフィック変数が、フォーカスである場合は、M1ダイがプリントされるフォーカスは、0.1μmであってよく、M2ダイがプリントされるフォーカスは、0.2μmであってよく、M3ダイがプリントされるフォーカスは、0.3μmであってよい、などである。これらのフォーカス値は、単に、説明のための変調されたフォーカス値の例であることを意図したものに過ぎず、かつ、限定または別様の模範例として解釈されるべきでないことを理解されたい。各スウォス内の変調されたダイをプリントするのに使用されるリソグラフィック変数の値はまた、好ましくは、参照ダイをプリントするのに使用されるリソグラフィック変数の値とは異なり、したがって、変調されたダイと参照ダイとの間で、有意味の比較が可能である。
【0068】
図4に示す構成を有するスウォス全体をイメージし、かつ、上記のように欠陥検出を行なう工程は、別様に変調されたダイを同時に検査することを可能にする。したがって、この構成は、一つのスウォス内のリソグラフィック変数の値の範囲全体を横断する設計パターンにおける欠陥を調べるのに有利に使用できる。そのようなものとして、一つのスウォスをイメージすることができ、かつ、相当量の欠陥データを、比較的短時間で、イメージされたスウォスから生成することができる。また、スウォスは、変調されたダイを、以前に利用できたものより実質的により多く含むことができるので、一つのスウォス内の変調されたダイは、レティクルに対する典型的なプロセス・ウィンドウ全体に亘るリソグラフィック変数の値でプリントすることができる。このやり方で、一つのスウォスをイメージすることができ、かつ、スウォス画像を使用して、特に、以前に使用されたプロセス・ウィンドウ検定法に比べて、実質的に短時間で、レティクルのプロセス・ウィンドウを調べることができる。
【0069】
図4に示す構成はまた、任意のピクセル属性の全体のトレンドを、各ピクセル場所(x、y)における変調の関数として、調べるのに使用してよい。「トレンド」は、一般に、特定のピクセル場所におけるピクセル強度などの画像の特性が、リソグラフィック値の異なる値の関数として変化するその変化の仕方として、定義してよい。そのようなものとして、特定のピクセル場所におけるトレンドは、例えば図5に示すプロットなどのプロットで表してよい。図5に示すように、変調の関数としてのあるピクセル場所における特定の属性に対する比較的類似の多数のトレンドを、「典型的なトレンド」と定義してよい。これらの「典型的なトレンド」が、非欠陥性ピクセルの属性を示しているかどうかは、前もって、別の方法(例えば、欠陥レビュー)で設定してよい。「典型的なトレンド」は、ウェーハまたは架空の画像実験を介して、実験的に、あるいは、シミュレーション(例えば、架空の画像シミュレーション)を介して、経験的に、設定してよい。
【0070】
非典型的であるように見えるトレンドは、潜在的な興味ある欠陥、または、潜在的に関連性のある欠陥場所としてフラグを立ててよい。別の実施形態では、欠陥は、リソグラフィック変数の異なる値でプリントされ、あるいは、取得された少なくとも二つ画像同士を比較することによって検出してよい。画像は、リソグラフィック変数の異なる値でプリントされた変調されたダイの画像、および、ここで述べるリソグラフィック変数の追加の異なる値を用いてプリントされた参照ダイの画像を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、欠陥が存在すると判定された場合は、該方法は、欠陥の画像の一つまたはそれ以上の特性のプロットにおけるトレンドに基づいて、欠陥をリソグラフィック変数の異なる値の関数として、グループに割り付ける工程を含んでいてよい。
【0071】
上記のトレンドベースの欠陥検出方法の基礎は、変調の関数として生ずる線幅のばらつきおよび線端プルバックは、より大きなの数のピクセルに影響し、かつ、ある種のトレンドに従い、一方、時たまの「ショート」または他の異常な事象は、より小さな数で生じ、かつ、異なるトレンドに従う、という仮定である。したがって、ここで述べる方法では、異なる欠陥検出方法を使用して、シングル・スウォス内の多重の変調されたダイからの情報を利用してよいことは、明らかである。また、上記のトレンド・ベースの欠陥検出方法は、シングル・スウォス内の別様に変調されたダイ、または、異なるスウォス内の別様に変調されたダイに対して、行なってよい。言い換えれば、トレンド・ベースの欠陥検出方法は、ウェーハ上のダイ構成を問わず、使用してよい。その上、トレンド・ベースの欠陥検出方法は、有利には、興味ある欠陥(DOl)を検出することができるが、リソグラフィック変数を変調するにつれて生ずる多数の重要ではない画像差(例えば、線幅のばらつき、線端プルバック、など)を無視することができる。
【0072】
トレンド・ベースの欠陥検出方法の別の例では、クリティカル寸法走査電子顕微鏡(CDSEM)またはレビューSEMなどの比較的高解像度のツールによるポイント・ツー・ポイント検査を採用して、変調されたダイにおけるノミナル・ダイの外形から、測定および(または)欠陥検出を行なうことができよう。言い換えれば、PWQタイプの欠陥の検出結果に基づくポイント・ツー・ポイント検査を行なうことができる。PWQタイプの欠陥のこの検査は、ノミナル・ダイおよび変調されたダイに対して、設計パターンにおける欠陥のポイントまで行なうことができる。通常の、または、予想されるばらつき、あるいは、劣化を示すノミナル・ダイおよび変調されたダイにおける対応ポイントは、非欠陥性または関連性のないものとして、濾過して取り除くことができる。これらのポイントにおける任意の残りの欠陥は、(例えば、自動欠陥分類(ADC)を用いて)分類して、プロセス・ウィンドウ・エラーと関連性のある橋絡または他の欠陥タイプを探すことができる。例えば、CD測定などの測定に対して、該方法は、CD測定における「通常の」ばらつきが存在するかどうかを判定する工程を含んでいてよい。この判定は、支配的な形体方向(測定されている形体特性における支配的なトレンド)に基づくレシピを用いて行なうことができる。そのようなものとして、形体における関連性のあるばらつきは、形体における関連性のないばらつきから弁別することができよう。さらなる例では、欠陥検出に対して、ADCタイプの検査を採用して、橋絡形体などの設計パターンにおける古典的な種類の異常を探索できよう。
【0073】
図4aは、ここで述べるように使用できる別のダイ構成を示す。この構成では、露光ドーズ、E、は、列2内で変調できる。PWQタイプの欠陥は、列2内のダイと、列0、1、および(または)3内の対応するダイとの比較によって検出できる。露光ドーズはまた、列5内で変調できる。欠陥は、列5内のダイと、列3および(または)4内の対応する参照ダイとの比較によって検出できる。また、露光およびドーズ変調は、一つのウェーハ上で調べることができる。例えば、図4aに示すように、フォーカス、F、はまた、ウェーハ上の列7および10内で変調できる。これらの変調されたダイ内では、欠陥は、ダイと、列8、9、および(または)11の対応する行における参照ダイとの比較によって、検出できる。このやり方で、露光ドーズおよびフォーカスの変調は、一つのウェーハ上で別個に調べることができる。図4aに示すダイ構成は、さらに、ここで述べるように構成することができる。
【0074】
ここで述べるダイ構成のそれぞれは、コンピュータに実装された方法で使用して、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートしてよい。具体的には、ここで述べるダイ構成は、PWQタイプの欠陥検出法で使用してよい。例えば、上記のように、リソグラフィック変数の異なる値に対するレティクルの画像を取得することができる。具体的には、画像を取得する工程は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされた設計パターンの画像を取得する工程を含んでいてよい。これらの画像は、例えば、ここで述べるシステムを用いて取得することができる。また、画像のうちの少なくとも二つ同士を、比較することができる。該方法はまた、欠陥がレティクルの設計パターンに存在するかどうかを、比較の結果を用いて判定する工程を含んでいる。
【0075】
しかしながら、上で注目したように、比較的多数の重要ではない、あるいは、関連性のない画像差が、まさにここで述べる方法の特性によって検出される場合がある。多数の重要ではない差は、比較的多数の関連性のない欠陥および擬似欠陥が検出される原因となる場合がある。このような多数の、関連性のない欠陥および(または)擬似欠陥の検出は、いくつかの欠点を有している場合がある。例えば、興味ある欠陥を識別するためには、ユーザまたはソフトウェア・プログラムは、関連性のない欠陥および(または)擬似欠陥の全てをソートしなければならないであろう。明らかに、検出された欠陥をこのようにソートする工程は、興味ある欠陥を見出すプロセスのスループットを減らすであろう。
【0076】
上でさらに注目したように、トレンド・ベースの欠陥検出方法は、有意味の欠陥(または興味ある欠陥)と関連性のない欠陥とを区別するのに使用できる。また、欠陥検出が行なわれたのち、興味ある欠陥と関連性のない欠陥とを迅速かつ正確に区別するのが有利な場合もある。言い換えれば、欠陥分類を行なって、興味ある欠陥と関連性のない欠陥とを区別するのが望ましい場合がある。ここで述べるように生成されるタイプの欠陥データに対して、現在使用されている欠陥分類方法の一つの問題は、該欠陥分類方法が、欠陥それ自体の特性に焦点を合わせて、欠陥が所属する分類を識別する傾向があることである。具体的には、リソグラフィック変数の変調により、同じ欠陥が、別様に変調されたダイにおいては、別様に表れる場合がある。したがって、一つの欠陥が、それが検出されたダイにより、異なる分類を割り付けられる場合がある。
【0077】
一実施形態によれば、ここで述べるPWQベースの欠陥検出方法に対するより正確かつ有用な欠陥分類方法は、欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性(すなわち、「バックグラウンド」情報)を用いて、欠陥を分類してよい。例えば、該方法は、バックグラウンドの直近傍(これは、「マイクロ領域」と呼ぶことができよう)を分離する工程、および該直近傍を標準の相関関係およびテンプレート・マッチング・アルゴリズム(これは、技術上既知の任意の適当な画像処理のアルゴリズムであってよい)を用いて他と比較する工程を含んでいてよい。領域は、欠陥に中心を置く、あるいは、欠陥を含む16×16ピクセル画像によって定義してよい。別法として、マイクロ領域は、欠陥に中心を置く、あるいは、欠陥を含む32×32ピクセル画像によって定義してよい。いくつかの実施形態では、欠陥に近接する領域は、約64ピクセル×64ピクセルの「より大きな近傍」領域であってよい。
【0078】
別の例では、取得された画像データを用いて欠陥に近接するバックグラウンドを定義する代わりに、設計パターン(RET形体で装飾されている、あるいは、装飾されていない)のGDSファイル内で、欠陥場所を判定してよい。欠陥に近接するGDSファイル内の設計パターン・データの一部分は、選択可能である。GDSファイル内のバックグラウンドは、参照ダイ画像で行なわれるように、他の欠陥のある場所と比較してよい。次いで、追加の場所を、オリジナル検査からの欠陥場所に関連付けてよい。追加の場所はまた、レビュー用に指定してよい(例えば、SEMによって)。
【0079】
また別の例では、欠陥に近接する領域は、架空の投影を介して生成してよい。一つのこのような例では、架空の画像データは、例えば、Stokowski他によって2003年10月6日に出願された共有、同時係属米国特許出願番号10/679,857(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に記述された架空のセンサーなどの架空のセンサーから取ってよい。別法として、架空の画像データは、Ye他への米国特許番号6,803,554およびYe他の6,807,503(これらは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)、およびYe他による米国特許出願公開第2003/0226951(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に記述されたタイプの架空の画像センサーによって生成することができよう。
【0080】
欠陥の周りの、および、「後ろの」バックグラウンド特徴を用いることによって、ここで述べる方法は、他の方法では関連性のない欠陥中に喪失する可能性の有るリソグラフィック特徴の関連性のある変化を見出すことができる。術語「バックグラウンド」は、ここで使用された場合、欠陥画像(すなわち、変調されたダイの画像内の欠陥と同じピクセル場所に在る参照画像の特徴または設計パターンデータ)の直ぐ「後ろの」参照画像の特徴、および、欠陥画像の周りの領域(すなわち、欠陥に近接する変調されたダイの画像の特徴)を指す。このやり方で、「バックグラウンド・ビンニング」の結果(例えば、欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性に基づくグループ化欠陥)と繰返し欠陥検出アルゴリズムの結果および優先化ダイ情報をオーダーするためのPWQタイプの欠陥検出方法とを組み合わせることによって、ここで述べる方法は、クリティカルな、あるいは、関連性のある欠陥を既存の欠陥検出方法よりも速く見出すのに使用できる情報をユーザに提供することができる。
【0081】
したがって、一実施形態によれば、レティクルの設計パターンにおける欠陥をソートするためのコンピュータに実装された方法は、個々の欠陥と関連付けられる優先順位情報を、個々の欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性との組合せで用いて、検査データにおける興味ある欠陥を、サーチする工程を含んでいる。該領域の一つまたはそれ以上の特性(すなわち、バックグラウンド情報)は、ユーザが選択してよい。検査データは、リソグラフィック変数の異なる値に対して生成されたレティクルの画像同士を比較することによって生成される。該画像は、少なくとも一つの参照画像および少なくとも一つの変調された画像を含んでいる。このやり方で、該方法は、PWQタイプの検査によって生成された優先順位情報を、バックグラウンド情報との組合せで用いて、興味ある欠陥に対する比較的大量の欠陥情報をサーチする工程を含んでいる。該優先順位情報は、個々の欠陥と関連付けられる変調レベルに対応する。
【0082】
該方法はまた、一つまたはそれ以上の識別子を興味ある欠陥に割り付ける工程を含んでいる。一実施形態では、該一つまたはそれ以上の識別子は、興味ある欠陥をサンプリングすべきかどうかを識別するインジケータを含んでいてよい。一つのこのような実施形態では、識別子(複数も可)を割り付ける工程は、優先順位情報および個々の欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性に基づいて自動的に行なわれてよい。別の実施形態では、識別子は、一つまたはそれ以上の欠陥分類を含んでいてよい。該分類は、いくつかの実施形態でユーザ定義された名称を用いて、欠陥の種類を区別してよい。識別子(複数も可)を欠陥に割り付ける工程は、ここでさらに述べるように行なわれてよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、該方法は、優先順位情報、個々の欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性、またはそれらの組合せに基づいて、興味ある欠陥をグループ化する工程を含んでいてよい。別の実施形態では、該方法は、個々の欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性に基づいて、興味ある欠陥の一つまたはそれ以上の特性との組合せで、興味ある欠陥をグループ化する工程を含んでいてよい。これらの実施形態における欠陥をグループ化する工程は、ここでさらに述べるように行なわれてよい。
【0084】
このやり方で、ここで述べる方法は全て、大量の候補欠陥から比較的少数の興味ある欠陥を見出すのに使用してよい。該方法への入力は、欠陥優先順位、欠陥属性、DRCとクリティカル・ポイントとの相関関係、欠陥のある画像および参照画像を含んでいてよい。候補欠陥は、欠陥優先順位および(または)属性に基づいて濾過し、サーチする候補欠陥の数を減らしてよい。いくつかの実施形態では、欠陥の特徴およびバックグラウンドを得、かつ、圧縮してサーチを行なってよい。該方法の出力は、クラス・コードおよびレビュー・サンプル・フラグまたは技術上既知の任意の他の識別子を有する興味ある欠陥を含んでいてよい。興味のない欠陥は、検査データから除外して、サーチする欠陥候補の数を減らしてよい。
【0085】
上記の方法の実施形態は全て、ここで述べる任意の他の工程を含んでいてよい。例えば、該方法は、サーチ基準および与えられた欠陥例に基づいて、類似の欠陥を検索する工程または見出す工程を含んでいてよい。また、該方法は、ステータスおよびフィードバックをユーザに与える機能、グループ、クラス、および(または)優先順位の点から欠陥母集団についてのチャートを生成する機能、欠陥優先順位およびレビュー・サンプルに対するタグを生成する機能、欠陥情報を有する欠陥リストを生成する機能、および分類された、あるいは、除外された欠陥に対してフォルダーを生成する機能、などの多数の機能を行なって、欠陥レビューに対して準備する工程を含んでいてよい。また、該方法は、ここで述べるように行なってよく、かつ、レビューされる、あるいは、処理される欠陥サンプルの数を減らすことができる後処理に対して、欠陥をサンプリングする工程を含んでいてよい。その上、ここでさらに述べるように、方法は全て、例えば、興味ある欠陥によって、濾過、グループ化、検索、分類、サンプリング、自動化された作業の結果の手動オーバーライディング、および任意の時点における任意の工程(複数も可)の繰返しに対する基準を変えることによって、ユーザがカスタマイズしてよい。
【0086】
例えば、一実施形態では、欠陥が、レティクルの設計パターンに存在すると判定された場合は、ここで述べるコンピュータに実装された方法は、欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性に基づいて、欠陥をグループに割り付ける工程を含んでいてよい。グループ化は、管理された、または、管理されていない、パターン認識の技術上既知の分類技法によって行なってよい。欠陥をグループに割り付けるのに使用される領域の一つまたはそれ以上の特性は、領域内の設計パターンの一つまたはそれ以上の特性を含んでいてよい。また、欠陥をグループに割り付けるのに使用される領域の一つまたはそれ以上の特性は、比較のために使用される一つまたはそれ以上の画像内の領域の一つまたはそれ以上の特性を含んでいてよい。言い換えれば、領域の特性(複数も可)は、変調されたダイと比較された一つまたはそれ以上の参照ダイ内の対応する領域の特性(複数も可)に加えて、欠陥が検出された変調されたダイ内の領域の特性(複数も可)を含んでいてよい。欠陥をグループにソートするのに使用される領域の特性(複数も可)はまた、ユーザが選択してよい。ユーザは、ここでさらに述べるように欠陥をグループ化する前に、特性(複数も可)を選択してよい。
【0087】
一実施形態では、欠陥をグループに割り付ける工程は、欠陥に近接する領域の画像を、設計パターン内で検出された他の欠陥に近接する領域の画像と比較する工程を含んでいてよい。別の実施形態では、欠陥に近接する変調されたダイ画像の一部は、設計パターンのGDSファイル画像内に在ってよい。欠陥に近接する変調されたダイ画像の部分に対応するGDSファイル画像の部分は、変調されたダイ画像内の他の同様の場所と比較してよい。
【0088】
また、欠陥に写像されたGDSファイル画像または他の設計レイアウトの部分は、欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性を判定するのに使用してよい。これらの特性は、レティクルの設計パターンの高解像度画像などの任意の他の画像またはデータを用いて、判定してよい。設計パターンの高解像度画像は、技術上既知の任意の高解像度レティクル・イメージング・システムを用いて、得てよい。別の実施形態では、レティクルの設計パターンのシミュレートされた架空の画像を使用して、欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性を判定してよい。シミュレートされた架空の画像は、技術上既知の任意の適当なシミュレーション・プログラムを用いて生成してよい。異なる実施形態では、欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性は、ここでさらに述べるように、架空のイメージングおよび測定システム(AIMS)を用いて得られたレティクルの架空の画像から判定してよい。
【0089】
欠陥の分類に使用できる方法の例は、2004年9月30日に出願されたHuet他の米国特許出願番号10/954,968(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に説明されている。欠陥をソートし、かつ、分類するのに使用できる追加の方法の例は、2004年10月12日に出願されたTeh他の米国特許出願番号60/618,475(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に説明されている。
【0090】
欠陥をグループにソートする工程の後で、該方法は、一つまたはそれ以上の欠陥またはグループ全体に、欠陥分類を割り付ける工程を含んでいてよい。異なるグループ内の欠陥に対して、同じ分類を割り付けることが可能である。異なる欠陥グループの分類は、グループ内の一つまたはそれ以上の欠陥の一つまたはそれ以上の特性を分析する工程を含んでいてよい。例えば、該方法は、グループ内の一つまたはそれ以上の欠陥の一つまたはそれ以上の特性を分析して、欠陥のグループが、関連性のない欠陥グループであるかどうかを判定する工程を含んでいてよい。該方法はまた、グループ内の一つまたはそれ以上の欠陥の一つまたはそれ以上の特性を分析して、グループが、設計パターンにおける異常を示しているかどうかを判定する工程を含んでいてよい。異なる欠陥グループを分類する工程はまた、あるいは、別法として、欠陥の周りの、および、後ろのバックグラウンド特徴の一つまたはそれ以上の特性を分析する工程を含んでいてよい。
【0091】
ここで述べる方法はまた、多数の他の濾過および(または)ソート機能を含んでいてよい。例えば、該方法は、興味あるを欠陥をレティクルの設計パターン・データに対して行なわれる設計ルール・チェック(DRC)によって生成される検査データと比較して、興味ある欠陥が、DRC欠陥に相関するかどうかを判定する工程を含んでいてよい。一つのそのような実施形態では、該方法は、検査データから、興味ある欠陥と相関しないDRC欠陥を除去する工程を含んでいてよい。
【0092】
そのような実施形態では、欠陥の場所は、DRCの結果に基づいて、既知の脆弱なポイントに関連付けられる。DRCは、クリティカル・ポイント(これは、「ホット・スポット」と呼ばれる場合がある)のリストを作り出すことができる。これらのポイントは、レティクル設計パターンの検査および(または)測定の案内として、単独で、直接使用することができる。しかしながら、DRCは、検査および(または)測定に対して、あまりにも多くのポイントを作り出すことが多い。したがって、DRCによって識別されるクリティカル・ポイントは、クリティカル・ポイントに近接する領域の一つまたはそれ以上の特性を単独で用いて、クリティカル・ポイントの母集団を減らすことにより、ここで述べるように濾過することができる。また、あるいは、別法として、クリティカル・ポイントは、ここで述べる「デフェクツ・ライク・ミー(私に似た欠陥群)」機能を用いて濾過し、母集団を減らすことができる。このやり方で、類似のクリティカル・ポイントの検査、測定、および(または)レビューを減らし、かつ、排除することすらも可能である。
【0093】
また、DRCによって識別されるクリティカル・ポイントは、ここで述べるように生成される検査データでオーバレイしてよい。該検査データは、一つまたはそれ以上の変調されたダイおよび一つまたはそれ以上の参照ダイがプリントされたウェーハをイメージすることによって生成されるデータであってよい。別法として、該検査データは、シミュレーションまたは実験によって生成されるレティクル設計パターンの架空の画像を含んでいてよい。このやり方で、ここで述べるように見いだされる興味ある欠陥は、興味ある欠陥が、設計ルール・チェック欠陥に相関するかどうかを判定するための設計ルール・チェックによって生成される検査データと比較してよい。DRC結果と相関しない検査された欠陥は、次いで、検査データから除去してよい。上記の例のそれぞれでは、DRC結果の代わりに、ORC結果を用いてよい。
【0094】
上記のバックグラウンド・ビンニング法は、関連性のある欠陥がより速く見出されるよう、効果的に欠陥をグループ化するよう示してある。PWQ法の場合は、バックグラウンドは、関連性のある特徴グループのみである場合があり、したがって、PWQ実験中は、該システムは、この特徴セットを用いて、同様のバックグラウンドを有する欠陥を同じビンにグループ化することができる。これらのバックグラウンド特徴は、多数の異なるサブグループ(例えば、三つのサブグループ)に分割してよく、これは、ここで述べるようなグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)上でユーザに提供してよい。異なるサブグループは、例えば、画像強度の統計的な目安、画像強度ばらつきの統計的な目安、および基本的な画像構成の目安を含んでいてよい。ユーザは、PWQビンニングで使用すべきバックグラウンド・サブグループの組合せを選択することができる。
【0095】
図6は、ここで述べる方法によって検出された欠陥をソートするのに使用できるユーザ・インタフェースの一例を示すスクリーン・ショットである。具体的には、ユーザは、欠陥のビンニングのために使用すべきバックグラウンドのサブグループを選択することができ、かつ、図6は、サブグループを選択するための一つの可能的なユーザ・インタフェースを示している。図6に示すように、ユーザ・インタフェースは、「欠陥フロー」ボックス12を含んでおり、これは、ユーザ用の多数のオプションを含んでいる。例えば、「欠陥フロー」ボックス12は、「優先順位別の濾過」セクション14を含んでいる。このセクションでは、ユーザは、濾過に使用すべき欠陥優先順位を選択することができる。優先順位は、優先順位番号の次のボックスをクリックすることによって、個々に選択することができる。別法として、ユーザは、個々の優先順位のリストの下のボタンのうちの一つをクリックすることによって、全ての優先順位を選択することができるし、あるいは、優先順位のうちのいずれも選択しないこともできる。
【0096】
PWQ欠陥は、それらが、(実験のセットアップで決定されたとおり)最初に検出された変調レベル(例えば、M1、M2、M3など)によって、かつ、同じ変調方向(ノミナルからの正または負)における欠陥の全てのリピータ・スタッキングを介して、全ての変調されたダイで見出された欠陥の発生数による変調内で、優先化される。欠陥のこのような優先化は、Peterson他の米国特許出願公開第2004/0091142(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)で、さらに記述されている。ユーザ・インタフェースでは、ユーザは、この優先順位別に欠陥を濾過し、あるいは、一定の優先順位で欠陥を選択して、「優先順位別の濾過」セクション14で処理することができる。選択された優先順位内に入らない欠陥は、欠陥データから排除してよい。
【0097】
別の実施形態では、欠陥は、一つまたはそれ以上のルールを用いて、濾過してよい。該一つまたはそれ以上のルールは、例えば、欠陥の一つまたはそれ以上の特性に基づいていてよい。一実施形態では、ユーザは、欠陥を濾過するのに使用されるルールを創成してよい。例えば、図6aに示すように、ユーザ・インタフェースは、「濾過ルール」ボックス13を含んでいてよい。「濾過ルール」ボックスは、ユーザが、多数の異なるやり方で、濾過ルールを創成することを可能にする。例えば、ユーザは、ルールの定義を、「濾過ルール」ボックスの「ルール定義」セクション13aに入れてよい。また、ユーザは、「ルールを構築」セクション13cで、欠陥を濾過するのに使用される要素のそばのボックスをチェックすることによって、一つまたはそれ以上の要素13bを選択してよい。図6aには、多数の異なる要素が示してあるが、「ルールを構築」セクションで表示されている要素は、例えば、興味ある欠陥特性によって、異なる場合があることを理解すべきである。
【0098】
「オペレータ」セクション13dでは、選択される要素によって、多数の異なるオペレータを表示してよい。ユーザは、選択された要素と共に使用されるべきオペレータを選択してよい。ユーザは、オペレータをクリックすることによって、あるいは、技術上既知の任意の他のやり方で、オペレータを選択してよい。また、ユーザは、「バリュー」セクション13eに、選択された要素およびオペレータと共に使用されるべき値を入れてよい。選択に利用できる値は、以前に選択された要素およびオペレータによって、異なる場合がある。ユーザが、ひとたび要素およびオペレータを選択すると、「ヒストグラム」13fが、「濾過ルール」ボックスに表示されてよい。「ヒストグラム」13fは、要素およびオペレータの異なる値に対する欠陥の数を示してよい。このやり方で、ユーザは、欠陥についての情報を提供されながら、ユーザが、ルールを調整して欠陥を能率的に濾過できるように、ルールを構築してよい。
【0099】
図6でさらに示すように、「欠陥フロー」ボックス12はまた、「グループ化ルール」セクション16を含んでいる。「グループ化ルール」セクションは、ユーザが、欠陥のグループ化またはソートに使用されるべきバックグラウンドおよび(または)欠陥の特性を選択することを可能にする。例えば、「グループ化ルール」セクション16に示すように、ユーザは、一つまたはそれ以上のバックグラウンド特徴または「コンテキスト特徴」18を選択して、グループ化してよい。図6に示すように、「コンテキスト特徴」は、輝度、粗さ、およびパターンを含んでいてよいが、ユーザに利用できる「コンテキスト特徴」は、技術上既知の任意の他のバックグラウンド特徴を含んでいてよい。また、図6では、全三つの「コンテキスト特徴」が選択されるよう示されているが、ユーザは、利用できる「コンテキスト特徴」の全てよりも少ない特徴、あるいは、利用できる「コンテキスト特徴」の任意の組合せを選択してよく、あるいは利用できる「コンテキスト特徴」のうちのいずれも選択しなくてよいことが、理解されるべきである。
【0100】
ユーザはまた、あるいは、別法として、一つまたはそれ以上の「欠陥特徴」20を選択して欠陥のグループ化に使用してよい。図6に示すように、「欠陥特徴」は、サイズ、形状、輝度、コントラスト、およびバックグラウンドを含んでいてよい。しかしながら、ユーザに利用できる「欠陥特徴」は、これらの特徴の全てよりも少ない特徴を含んでいる場合がある。また、ユーザに利用できる「欠陥特徴」は、グループ化に使用できる任意の他の適当な欠陥の特徴(複数も可)を含んでいる場合がある。図6にさらに示すように、ユーザは、欠陥のグループ化のためには、「欠陥特徴」のうちのいずれも選択しなくてよい。具体的には、「欠陥特徴」は、ここで述べるPWQタイプの方法で検出された欠陥のグループ化には、必ずしも有用でない場合があるので、ここで述べるPWQタイプの方法に対しては、ユーザは、「欠陥特徴」のうちのどれも選択しなくてよい。しかしながら、ユーザは、別法として、「欠陥特徴」のうちの一つまたはそれ以上を選択して、欠陥のグループ化に単独で使用してよく、あるいは、「コンテキスト特徴」との組合せで使用してグループ化を行なってよい。
【0101】
「グループ化ルール」セクションはまた、「グループ数」オプション22を含んでいる。ユーザは、欠陥をソートするグループの数を、「グループ数」オプションを用いて、選択または変更してよい。この例では、ユーザは、ボックスにグループの数をタイプするか、選択した数が現れるまで、ボックスの隣の矢印をクリックするか、あるいは、選択した数がボックスに現れるまで、スケールに沿って矢印を動かす。選択されるグループの数は、欠陥および(または)コンテキスト特徴が、グループ間で分割される細かさの程度に影響することになる。したがって、グループの数を増大させると、各グループに割り付けられる欠陥が少なくなり、また、類似の欠陥が増えることになる。グループの数は、ユーザが指定しなくてよいことに注目されたい。代わりに、アルゴリズムが、適当なグループの数を自動的に決定することができる。
【0102】
「欠陥フロー」ボックス12はまた、図6に示すように、「サンプリング」セクション24を含んでいる。「サンプリング」セクションは、レビューする「欠陥数」オプション26を含んでおり、これによりユーザは、レビューのための合計の欠陥数を選択することができる。欠陥のレビューは、SEMツールなどの技術上既知の任意の適当な「欠陥レビュー」ツールを用いて行なってよい。「サンプリング」セクションはまた、「サンプリングする欠陥優先順位」オプション28を含んでおり、これにより、ユーザは、レビューすべき個々の欠陥の優先順位を選択することができる。欠陥優先順位は、レビューのため、図6に示すように、個々に選択してよい。しかしながら、欠陥優先順位は、技術上既知の任意のやり方で選択してよい。また、「サンプリング」セクションは、「サンプリングする欠陥クラス」オプション30を含んでおり、これにより、ユーザは、レビューすべき個々の欠陥のクラスを選択することができる。欠陥クラスは、レビューのため、図6に示すように、または、技術上既知の任意の他のやり方で個々に選択してよい。また、自動サンプリング・アルゴリズムを使用して、欠陥を選択し、バックグラウンドおよび優先順位情報を用いて、サンプリングを行なってよい。いくつかの実施形態では、レビュー中に訪問および(または)測定すべきサンプルサイトのリストを、変調されたダイ(複数も可)内の欠陥の場所に基づいて、創成してよい。これらの場所は、該場所が、レビュー・ツールによって自動的に見出されるように、レティクル内の場所に関連付けてよい。
【0103】
図6にさらに示すように、「欠陥フロー」ボックスはまた、多数のボタン32を含んでおり、ユーザは、これらを選択して、濾過、グループ化、およびサンプリング作業を欠陥データに適用することができる。ユーザは、これらの作業を任意の順序で適用することができる。しかしながら、一般に、ユーザは、欠陥を選択して濾過してからそれらをグループ化してよく、かつ、欠陥をグループ化してからそれらをサンプリングしてレビューしてよい。このやり方で、バックグラウンド・ビンニングの結果は、優先化された濾過の結果と組み合わされ、したがって、ユーザは、サンプリングされた欠陥を、バックグラウンドおよび優先順位の組合せによって見ることができる。また、濾過およびグループ化作業は、固定されたビンニング作業によってではなく、反復的に行なうことができる。
【0104】
図6のスクリーン・ショットに示す残りのボックスは、濾過、グループ化、および(または)サンプリング作業の結果を表示するのに使用できる。しかしながら、これらのボックスはまた、さらに欠陥を処理するのに使用できる。例えば、図6に示すユーザ・インタフェースは、「欠陥ランおよびクラス」ボックス34を含んでおり、これにより、濾過およびグループ化作業の結果が、累積カラー・バー・チャートで示される。累積カラー・バー・チャートは、欠陥グループおよび優先順位を共に表示し、かつ、処理するためのメカニズムとして使用することができる。各バーは、欠陥のグループを表す。色は、欠陥優先順位を示す。このようなチャートは、欠陥についての相当量の情報を、比較的分かりやすいやり方で、有利に示すことができるが、任意の方法またはグラフィカル構成を使用して、濾過および(または)グループ化作業の結果を示してよいことを理解すべきである。
【0105】
例えば、図6に示したバー・チャートは、「グループ化欠陥」オプション34aが選択されたため、表示されたものである。しかしながら、「濾過された母集団」および「欠陥グリッド」オプションが選択された場合は、異なるグラフィックスが表示されることになる。例えば、図6bは、「欠陥グリッド」オプション34bが選択された場合に、濾過およびグループ化の結果が表示できる別のやり方を示す。図6bに示すように、「欠陥ランおよびクラス」ボックス34は、優先順位およびグループの関数として見出された欠陥の数を示すグリッド34cを含んでいてよい。図6bには、ある一定の優先順位およびグループの数を示してあるが、優先順位およびグループの数は、明らかに、濾過およびグループ化に使用されるパラメータによって異なることになる。
【0106】
図6cは、「濾過された母集団」オプション34dが選択された場合に、濾過およびグループ化の結果が表示できる異なるやり方を示す。図6cに示すように、優先順位の関数として見出された欠陥の数は、バー・チャート34eで示してある。しかしながら、優先順位の関数としての欠陥の数は、技術上既知の任意の他のやり方で示してよいことを理解すべきである。また、図6cでは、三つの異なる優先順位が示してあるが、優先順位の数は、濾過に使用されるパラメータによって異なるものであることを理解すべきである。
【0107】
図6に示すユーザ・インタフェースはまた、「利用できる欠陥」ボックス36を含んでいてよい。「利用できる欠陥」ボックスは、確認欠陥を示してよい。例えば、「利用できる欠陥」ボックスは、濾過、グループ化、および検索の結果を示してよい。分類されていない、あるいは、分類された欠陥フォルダー内にない欠陥は全て、一つのエリアに表示することができる。図6に示すように、「利用できる欠陥」ボックスは、欠陥の画像を示してよい。別法として、「利用できる欠陥」ボックスは、技術上既知の任意の適当な方法を用いて、結果についての情報を提供してよい。また、ユーザは、利用できる欠陥に対して、「利用できる欠陥」ボックスを用いて、一つまたはそれ以上の機能を行なってよい。
【0108】
ユーザ・インタフェースは、濾過およびグループ化の結果を、上記のように、かつ、サンプリングのために選択された欠陥の画像と共に、グラフィカルに示してよい。例えば、「欠陥をサンプリング」ボックス38に示すように、ユーザ・インタフェースは、欠陥が分類されたフォルダーを示してよい。また、欠陥がフォルダーに割り付けられている場合は、フォルダーの前に、代表的な欠陥画像を示してよい。ユーザは、「欠陥をサンプリング」ボックス内に示されている欠陥画像に対して、多数の機能を行なってよい。例えば、ユーザは、欠陥が割り付けられているフォルダーのうちの一つを選択してよい。フォルダーのうちの一つを選択する工程は、異なるフォルダーの表示の下のボックス40内の選択されたフォルダーに、欠陥画像が表示される結果となってよい。ボックス40に示すように、欠陥画像はまた、数と共に表示してよい。数は、各欠陥画像に割り付けられた優先順位を示してよい。
【0109】
ユーザは、一つのフォルダーから別のそれに欠陥を移動させて、欠陥分類を変えることができる。ユーザはまた、欠陥を、「利用できる欠陥ギャラリー」に移動して、非分類を行なうことができる。ユーザは、フォルダーを追加し、フォルダーを削除し、かつ、フォルダーを命名し直すことができる。フォルダーを削除すると、そのフォルダー内の欠陥は全て非分類となる。左方の第一のフォルダー(「無視すべき欠陥」と呼ぶ)は、濾過、グループ化およびサンプリングから除外される全欠陥に対するフォルダーである。このようなフォルダーは、一つまたはそれ以上、存在することができる。欠陥を、分類されたフォルダーに移動する工程は、選択した後で欠陥をフォルダーにドラグおよび落し込むことによって、あるいは、選択した後で、「無視すべき欠陥」ボタンのようなボタンをクリックすることによって(やり方はこれらに限定されない)、行なうことができる。図6には、ユーザにサンプル画像を示す一つのやり方が示してあるが、サンプル画像を示す任意の他のやり方が、ここで述べるユーザ・インタフェースおよび方法で使用してよいことを理解すべきである。
【0110】
図6dは、「欠陥をサンプリング」ボックス38の別の例を示す。図6dの「欠陥をサンプリング」ボックス38に示すように、欠陥のうちの「クラス2」用のフォルダーを選択すると、異なるフォルダーの表示の下のボックス40内の「クラス2」フォルダー内の欠陥画像が表示される。サンプリングは、自動または手動のいずれかで行なうことができる。図6に示したボタン群32のうちの「アプライ・サンプリング」ボタンをクリックすると、分類されたフォルダー内の欠陥が、サンプリングのための基準セットに従ってサンプリングされる。ユーザはまた、分類されたフォルダー内の一つまたはそれ以上の欠陥を選択し、かつ、図6dに示す「選択したものをマーク」または「全てをマーク」をクリックすることによって、それらを、サンプリングされた欠陥としてマークすることができる。サンプリングされた欠陥は全て、マーカーでタグを付けてよい。図6dにさらに示すように、ユーザは、ボタン(「選択したものをアンマーク」または「全てをアンマーク」)を用いることによって、一つまたはそれ以上の欠陥に対するサンプル・ステータスをターン・オフすることができる。
【0111】
サンプル画像はまた、他のやり方でユーザに示してよい。例えば、ユーザ・インタフェースは、欠陥のうちの任意のもの、または、欠陥画像に対応する参照画像と共にサンプル画像のみを断続的に表示するよう構成してよい。このやり方で、画像は、ユーザ・インタフェース内で、繰り返し、次々と、点滅するように現れてよい。ユーザは、画像のこのような「点滅」で、画像の間の差の追加の理解が得られる場合がある。同様のやり方で、別様に変調されたダイのサンプル画像をユーザ・インタフェースで点滅させてよく、これは、ユーザが欠陥のトレンドを理解するのに役立つ場合がある。
【0112】
図6において、ユーザ・インタフェースは、4個の異なるボックスを含んでいるように示してあるが、ユーザ・インタフェースは、3個以下の情報ボックスまたは5個以上の情報ボックスを含んでいてよいことを理解すべきであることにも注目されたい。一般に、ユーザ・インタフェースに示す情報の量および構成は、出来る限り管理しやすく、かつ、分かりやすいやり方で、最大量の情報をユーザに提供するよう、設計してよい。
【0113】
ここで述べるユーザ・インタフェースは、検査結果を処理するのに現在使用されている他のユーザ・インタフェースに比べて、多数の利点を有している。特に、上でさらに述べたように、該ユーザ・インタフェースは、予備濾過機能を有しており、これは、優先順位および(または)ルールに基づいて行なわれてよい。予備濾過のパラメータは、上でさらに述べたように、ユーザが選択してよい。また、グループ化に使用されるバックグラウンド特性(複数も可)はまた、ここで述べるように選択してよい。バックグラウンド特性(複数も可)はまた、上記のように、他の欠陥属性と共に使用して、グループ化を行なってよい。その上、ユーザ・インタフェースは、固定されたビンニングではなく、反復的なグループ化を行なうのに使用できる。自動サンプリング・アルゴリズムを、バックグラウンド・グループ化および優先順位濾過の結果と共に使用してもよい。ユーザ・インタフェースの機能性はまた、例えば、変調されたダイの場所に基づいて訪問および(または)測定すべきサンプル・サイトのリストを創成し、次いで、使用すべき「見せ掛けの」結果を作るよう拡張してよい。
【0114】
興味ある欠陥が見出されるにつれて、ユーザはまた、異なるユーザ・インタフェースを用い、「デフェクツ・ライク・ミー(私に似た欠陥群)」機能と呼ばれる欠陥検索機能を用いて、興味ある欠陥と同様の他の欠陥の例を見ることもできる。ユーザはまた、この機能を用いて、関連性のない欠陥のグループを除去し、多数の欠陥を迅速に通過できるようにすることもできる。図7は、同様の欠陥を示すのに使用できるユーザ・インタフェースの一例を示す。図7に示すように、該ユーザ・インタフェースは、欠陥を「サンプリング」ボックス42を含んでおり、これは、ユーザが選択した欠陥を示す。ユーザは、図6に示したユーザ・インタフェースなどの、別のユーザ・インタフェースに示されている欠陥からこの欠陥を選択してよい。また、図7にも示すように、ユーザは、アイコン44を用いて、選択された欠陥の画像に対して一つまたはそれ以上の機能を行なってよい。
【0115】
ユーザ・インタフェースはまた、「サーチ基準」ボックス46を含んでおり、これにより、ユーザは、選択された欠陥と同様の欠陥をサーチするための一つまたはそれ以上のパラメータを選択することができる。具体的には、「サーチ基準」ボックス46は、「手動特徴選択」セクション48を含んでいる。「手動特徴選択」セクションでは、ユーザは、一つまたはそれ以上の欠陥特徴を選択して、類似の欠陥をサーチするのに使用することができる。図7に示すように、選択できる特徴は、サイズ、輝度、形状、コントラスト、極性、およびコンテキストを含んでいる。しかしながら、選択に利用できる特徴は、技術上既知の任意の適当な特徴を含んでいてよいことを理解すべきである。
【0116】
「手動特徴選択」セクション48に示すように、ユーザはまた、適当なボタンをクリックすることによって、特徴の全てを選択するか、あるいは、特徴のうちのいずれをも選択しなくてよい。別法として、ユーザは、特徴名称の次のボックスをクリックすることによって、個々の特徴を手動で選択してよい。図7では、コンテキスト特徴のみが選択されたように示してあるが、別法として、他の特徴のうちの任意のものを、選択してよく、あるいは、特徴の組合せを選択してよいことを理解すべきである。上記のように、欠陥特徴それ自体は、実際には、一つの変調されたダイから別のダイに大きく変化する場合があるため、欠陥のコンテキストまたはバックグラウンドを、グループ欠陥に対して、有利に使用することができる。したがって、選択されたコンテキスト特徴は、類似の欠陥をサーチするのに使用できる場合が多い。
【0117】
図7にさらに示すように、類似の欠陥をサーチするのに使用すべき特徴のそれぞれに重みを割り付けてよい。各特徴に割り付けられた重みは、自動的または適当なボタンの選択で割り付けられたデフォルト重みであってよい。デフォルト重みのそれぞれは、同じであるように示されているが、個々の特徴に対するデフォルト重みは、異なっていてよいことを理解すべきである。ユーザは、個々の特徴に、多数の異なるやり方で、異なる重みを割り付けてよい。例えば、ユーザは、重みに対する数をボックスにタイプするか、ボックスの次の矢印を、選択された重みが現れるまでクリックするか、あるいは、選択された重みがボックス内に現れるまで、スケールに沿って、矢印を動かしてよい。
【0118】
図7に示すように、「サーチ基準」ボックス46はまた、「感度」セクション50を含んでおり、それにより、ユーザは、サーチすべき欠陥と共に感度を選択することができる。感度は、異なるやり方で選択してよい。例えば、図7に示すように、感度は、サーチ結果が限定される欠陥の数によって定義してよい。言い換えれば、「感度」セクション50に示す欠陥の数は、コンピュータに実装された方法に対して、サーチ結果を、選択された欠陥に最も類似している50個の欠陥(または何らか他の欠陥の数)に限定すべきことを示していてよい。別法として、ユーザは、サーチのために選択された特徴に閾値を割り付けることによって、サーチの感度を定義してよい。図7には、一つの閾値しか示していないが、図7に示す閾値オプションの数はサーチのために選択される特徴の数により、異なっていてよいことを理解すべきである。
【0119】
「サーチ基準」ボックス46はまた、「サーチ基準」ボックスでひとたび適当な選択が行なわれたら、ユーザがクリックできる「サーチ開始」ボタン52を含んでいる。サーチ中、または、サーチ後、サーチ基準に基づいて、選択された欠陥に類似していると判定された欠陥の画像は、ユーザ・インタフェースの「見出された欠陥」セクション54に示してよい。図7に示すように、ユーザは、アイコン56を用いて、欠陥画像に対して、多数の異なる機能を行なってよい。また、ユーザは、「アクセプト」ボタン58を用いて、見出された欠陥を受け入れるよう選択してよい。別法として、ユーザは、「クイット」ボタン60を用いて、「デフェクツ・ライク・ミー(私に似た欠陥群)」機能をクイットするよう決定してよい。
【0120】
図7では、ユーザ・インタフェースは、三つの異なるボックスを含んでいるように示してあるが、ユーザ・インタフェースは、2個以下の情報ボックスまたは4個以上の情報ボックスを含んでいてよいことを理解すべきである。一般に、ユーザ・インタフェースに示す情報の量および構成は、出来る限り管理しやすく、かつ、分かりやすいやり方で、最大量の情報をユーザに提供するよう、設計してよい。
【0121】
追加の実施形態では、ここで述べる方法は、欠陥検出の結果および(または)ここで述べるソート方法に基づいて、レティクル上の設計パターンを変更する工程を含んでいてよい。具体的には、ここで述べる方法の結果を用いて、レティクルが、レティクルに対する検定基準に合格するかどうかを判定してよい。レティクルが、検定に合格しない場合は、レティクル設計パターンを変更してよい。好ましくは、レティクル設計パターンは、ウェーハ上にプリントされた設計パターン内に、より少ない設計パターンの欠陥が生ずるよう変更する。次いで、変更された設計パターンで、新しいレティクルを製造してよい。別法として、いくつかの例では、レティクルを物理的に変更して、レティクル上の設計パターンを変更してよい。レティクルを物理的に変更する工程は、収束イオン・ビーム修理法などの技術上既知の任意の修理法を用いて行なってよい。
【0122】
別の実施形態では、ここで述べる方法は、欠陥検出の結果および(または)ここで述べるソート法に基づいて、レティクルに対して異なる設計パターンを生成する工程を含んでいてよい。具体的には、検査された設計パターンが、相当大量の欠陥、固定することができない比較的多数の欠陥、および(または)、固定することができず、かつ、ウェーハ上にプリントされることになる設計パターンに致命的な傷を生じることになる欠陥を有していることが分かった場合は、新しい設計パターンを生成してよい。さらに別の実施形態では、ここで述べる方法の結果は、他のレティクルの設計プロセスにフィードフォワードしてよい。具体的には、ここで述べる方法の結果は、他のレティクル内のRET形体を設計するのに使用してよい。
【0123】
該方法のいくつかの実施形態では、レティクルのプロセス・ウィンドウを判定する工程を含んでいてよい。例えば、検査したリソグラフィック変数の値のいくつかのより小さな範囲を用いて、ウェーハ上に設計パターンを適切に再生できるかどうかが判定される。このやり方で、該レティクルは、通常より小さなプロセス・ウィンドウでの使用について適格としてよい。プロセス・ウィンドウを受容できるやり方で狭めることができる程度は、例えば、レティクルを使用することになるリソグラフィ・システムに対して予想できるリソグラフィック変数のドリフトにより、異なることになる。このやり方で、欠陥のあるレティクル設計パターンは、レティクル設計パターン内の欠陥を固定することなしに、使用してよい。
【0124】
該方法(例えば、ここで記述する方法)を実行するプログラム命令は、キャリア媒体を越えて伝送され、あるいは、キャリア媒体上に格納されていてよい。キャリア媒体は、伝送媒体(例えば、ワイヤー、ケーブル、または無線伝送リンク)、またはそのようなワイヤー、ケーブル、またはリンクを伝わる信号であってよい。キャリア媒体は、記憶媒体(例えば、読取り専用メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、磁気または光ディスク、あるいは、磁気テープ)であってもよい。
【0125】
プログラム命令は、とりわけ、手続きベースの技法、コンポーネント・ベースの技法、および(または)、オブジェクト指向技法を含む、各種のやり方のうちの任意のやり方で、実行されてよい。例えば、プログラム命令は、必要に応じて、Matlab、Visual Basic、 ActiveXコントロール(登録商標)、C、C++オブジェクト、C#、JavaBeans(登録商標)、Microsoft Foundation-Classes(「MFC」)、あるいは、他の技術または方法論を用いて、実行されてよい。
【0126】
プロセッサは、パーソナル・コンピュータ・システム、メイン・フレーム・コンピュータ・システム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器、パーソナル・デジタル・アシスタント(「PDA」)、テレビジョン・システムまたは他のデバイスを含む、各種の形態を取ってよい。一般に、術語「コンピュータ・システム」は、一つまたはそれ以上のプロセッサ(これは、メモリ媒体からの命令を実行する)を有する任意のデバイスを包含するよう広く定義されてよい。また、該プロセッサは、参照によって上記に組み込まれた特許出願(これらは、比較的大量の画像データを実質的に同時に処理するのに特に適している)に記述されているプロセッサを含んでいてよい。
【0127】
図8は、欠陥を検出する工程および(または)ソートする工程のための、ここで述べるコンピュータに実装された方法のうちの一つまたはそれ以上を行なうよう構成されたシステムの一実施形態を示す。図8に示すシステムは、ウェーハを検査するよう構成されている。図8では、該システムは、光学ベースのイメージング・システムであるよう示してあるが、図8に示すシステムは、異なるやり方でウェーハをイメージするよう構成してよい。例えば、該システムは、ウェーハを電子ビーム(すなわち、電子ビーム・ベースのイメージング・システムまたはSEM)でイメージすることによってウェーハを検査するよう構成してよいことを理解すべきである。
【0128】
該システムは、プロセッサ62を含んでいる。該プロセッサは、技術上既知の任意の適当なプロセッサを含んでいてよい。例えば、該プロセッサは、画像コンピュータまたはパラレル・プロセッサであってよい。また、プロセッサは、上記のように構成してよい。該システムはまた、キャリア媒体64を含んでいる。該キャリア媒体は、上記のように構成してよい。例えば、上記のように64は、プロセッサ62上で実行できるプログラム命令66を含んでいる。該プログラム命令は、上記の方法の実施形態のうちの任意のものを行なうよう実行可能であってよい。該プログラム命令は、さらに上記のように構成してよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、該システムはまた、検査および(または)レビュー・ツール68を含んでいる。ツール68は、ウェーハ70をイメージし、かつ、レティクルによってウェーハ上にプリントされた設計パターンについての情報を含むウェーハに対して画像データを生成するよう構成してよい。ツール68は、プロセッサ62に結合してよい。例えば、ツール68の一つまたはそれ以上の構成要素を、伝送媒体(図示せず)によって、プロセッサ62に結合してよい。該伝送媒体は、「有線」および「無線」部分を含んでいてよい。別の例では、ツール68の検出器72は、出力74を生成するよう構成してよい。該出力は、検出器72からプロセッサ62へ、伝送媒体を越えて伝送してよい。いくつかの実施形態では、該出力はまた、検出器とプロセッサとの間に結合された一つまたはそれ以上の電子構成要素を介して伝送してよい。したがって、出力74は、ツールからプロセッサに伝送され、かつ、プログラム命令66は、プロセッサ上で実行して、ここで述べるように、出力74に含まれている画像データを用いて、ウェーハ上の欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートすることが可能であってよい。プログラム命令66は、さらにプロセッサ上で実行して、ここで述べる他の機能(例えば、「デフェクツ・ライク・ミー(私に似た欠陥群)」サーチ機能、優先順位別に欠陥をソートする機能、サンプリングのために欠陥を選択する機能、など)を行なうことが可能であってよい。
【0130】
検査および(または)レビュー・ツール68は、技術上既知の任意の技法を用いてウェーハの画像を生成するよう構成されていてよい。また、該ツールは、イメージングまたは測定中にウェーハ70を配設してよいステージ76を含んでいる。このステージは、技術上既知の任意の適当な機械的またはロボチック・アセンブリを含んでいてよい。このツールは、光源78も含んでいる。光源78は、技術上既知の任意の適当な光源を含んでいてよい。また、このツールは、ビーム・スプリッタ80を含んでいてよく、これは、光源78からの光を、ウェーハ70の上面に略垂直な角度で、ウェーハ70に向けるよう構成されている。このビーム・スプリッタは、技術上既知の任意の適当なビーム・スプリッタを含んでいてよい。このツールは、さらに、検出器72を含んでおり、これは、ビーム・スプリッタ80によって伝送される光を検出するよう構成されている。この検出器はまた、出力74を生成するよう構成されている。この検出器は、技術上既知の任意の適当な検出器を含んでいてよい。
【0131】
図8は、検査および(または)レビュー・ツールの一つの一般的な構成を示すが、このツールは、技術上既知の任意の適当な構成を有していてよいことを理解すべきである。例えば、該ツールは、図8に示すように、シングル・チャネル・イメージング技法を行なうよう構成してよい。別法として、該ツールは、マルチ・チャネル・イメージング技法を行なうよう構成してよい。また、該光学ツールは、CDSEMおよびeS25およびeS30システム(KLA-Tencorから市販されている)などの電子ビーム検査ツールと置き換えてよい。このようなツールは、上記のように、プロセッサに結合してよい。
【0132】
別の実施形態では、上記のコンピュータに実装された方法は、架空の画像を用いて行なってよい。例えば、ここで述べる方法は、架空の画像測定システム(AIMS)技法(これは、図9を参照することによってよりよく理解できる)を用いて実行してよい。図9では、三つの検出器、すなわち、検出器101、102および103を有するシステムを示してある。これらの検出器のそれぞれは、好ましくは、異なる焦点位置にセットしてよい。例えば、検出器101は、ゼロデフォーカスに、検出器102は、+0.2デフォーカスに、そして、検出器103は、-0.2デフォーカスに、それぞれセットすることができよう。もちろん、これらのデフォーカス・レベルは、例にすぎない。デフォーカスの任意の適当な範囲またはレベルを使用することができるであろうし、かつ、このようなレベルは、経験的に最適化することができよう。例えば、ゼロデフォーカスを有する検出器を使う必要はなく、かつ、検出器の全てを正のデフォーカスの異なるレベルに、あるいは、正および負のデフォーカスの混合レベルにセットすることができよう。
【0133】
サンプル104は、好ましくは、マスクまたはレティクルである。サンプル104が、光源105に露光されると、三つの検出器で架空の画像が検出される。それらは、焦点位置が異なるため、各検出器における架空の画像は、異なるデフォーカス・レベルを有することになる。異なるデフォーカス・レベルを有する画像は、ここで以前に記述した技法のうちの任意の技法を用いて、相互に比較し、かつ、分析してよい。好適な実施形態では、検出器101などの第一の検出器から取り出された信号は、検出器102などの第二の検出器から取り出された信号と比較され、これは、サンプル104が検査されるにつれて、連続的に行なわれる。これは、もちろん一例にすぎず、任意の検出器対群からの画像が比較できよう。別法として、検出器と数学的組合せの他の検出器との間で比較を行なうことができよう(例えば、一対の検出器同士の間のピクセル・バイ・ピクセル平均、または、別の一対の検出器同士の間の差)。好ましくは、デフォーカスのレベルおよび(または)各種の検出器(またはそれらの組合せ)からの信号の間の比較の種類を選択して、RET欠陥およびプロセス・ウィンドウを横切るそのような欠陥の外観についての情報をユーザに与える。
【0134】
図9に示す実施形態では、従来の検査およびプロセス・ウィンドウ検定を同時に行なうことが可能である。プロセス・ウィンドウ検定(RET欠陥などを見出すための)の目的および方法論は、ここで述べた。従来の検査の目的は、レティクル製造誤差および(または)レティクル上の汚染物から生じる欠陥などの他の種類の欠陥を見出すことであった。このような従来の検査方法は、Kenan他の米国特許番号6,268,093(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に記述されている。このような検査を行なう他の適当な方法は、2003年10月6日に出願された、米国特許出願番号10/679,617を有する、Stokowski他による、本発明の譲受人に譲渡された同時係属出願(これは、ここで引用によってその全体が、かつ、全ての目的のために、組み込まれている)に、より詳細に記述されている。このような適当な方法には、レティクル創成の出発点となったレンダリングされたデータベースに対して、レティクルを比較により検査するダイ対データベース検査が、限定なく、含まれている。
【0135】
一好適な実施形態では、従来の検査は、異なるダイのノミナルに同一な部分で採取された同じ検出器からの信号同士を比較することによって行なわれる。この検査プロセスは、マルチ・ダイ・レティクルに対しては、十分に作用する。プロセス・ウィンドウ検定は、実質的に同時に行なわれ、かつ、ここで既に述べたように、各ダイに対するデフォーカスの異なるレベルで画像を比較することによって成し遂げることができる。したがって、従来の検査は、サンプル104上の第一のダイからの画像を、サンプル104上の第二のダイの画像と比較することによって成し遂げることができ、ここで、各画像は、検出器101を用いて検出される。このようなダイのそれぞれの画像が、従来の検査目的のために収集されるのと、ほとんど同時に、このようなダイのそれぞれについて、検出器101および(または)検出器102、または、検出器103からの画像がまた、その同じダイの、異なる焦点位置で採取された(例えば、検出器101、102のうちのもう一方、および(または)103、または、それらの任意の数学的組合せからの)画像に比較される。したがって、従来の検査およびプロセス・ウィンドウ検定は、実質的に同時に行なうことができる。
【0136】
所望なら、従来の検査によるデータ、および、プロセス・ウィンドウ検定によるデータの処理は、同じコンピュータで、並列処理を用いて行なってよい。適当なアーキテクチャおよび方法論は、1999年11月24日に出願された、米国特許出願番号09/449,022を有する、Goldberg他による、本発明の譲受人に譲渡された同時係属出願(これは、ここで引用によってその全体が、かつ、全ての目的のために、組み込まれている)により詳細に記述されている。
【0137】
本発明のさらに別の実施形態では、図9に示した例の上記の説明に従って、シングル・ダイレティクルを、サンプル104として設けることができ、かつ、プロセス・ウィンドウ検定のみを、図9に示した装置を用いて行なうことができる。このような技法は、あらゆる種類のレティクルに対して望ましい場合があり、かつ、シングル・ダイ・レティクルに対しては、特に望ましい場合がある。これは、図9に示した装置が、他の種類の検査システム(例えば、KLA-Tencor Corporationから市販の3XXおよび5XXシリーズ)に比べて、多くの点で劣るためである。したがって、KLA-Tencorツールを用いて、従来の欠陥を見出し、次いで、同じレティクルを再度、架空の画像モードで検査して、プロセス/ウィンドウを変えることにより、RET欠陥を摘出するのが望ましい場合がある。上記のように、これは、サンプル104が、シングル・ダイ・レティクルの場合に特に望ましい場合がある。これは、架空の画像に対する比較に適したモードで設計データベースをレンダリングする必要をなくすためである。代わりに、架空の画像は、RET欠陥を見出すという目的にのみ使用し、かつ、レティクルの実際の画像を、レンダリングされたデータベース(そこに存在するOPC形体を含む)と直接比較することができる、より正確なツールを用いて従来の検査を行なう。
【0138】
もちろん、適当にレンダリングされたデータベースが、AIMS画像(例えば、上記のStokowski他による応用例で説明した技法を用いてレンダリングされている)に対する比較に利用できる場合は、例えば図9に示すAIMSツールを用いて、ダイ対データベース検査を行なうことができよう。このような場合は、レンダリングされたデータベースに対する比較を用いることによって、RET欠陥に対する検査を行なうこともできる。例えば、従来の検査は、ゼロ・デフォーカスでの検出器からの画像を、同様にゼロ・デフォーカスでデータベースからレンダリングされた画像と比較することによって、行なうことできよう。そこで、RET欠陥は、異なるレベルのデフォーカスでの一つまたはそれ以上の検出器からの画像を、ゼロ・デフォーカスでレンダリングされたデータベースと比較することによって見出すことができよう。あるいは、データベースはまた、シミュレーションを介して、与えられたレベルのデフォーカスと両立するやり方でレンダリングすることができよう。どちらの場合においても、ここで述べる方法は、RET欠陥を見出すのに応用することができよう。
【0139】
本発明は、デフォーカスのレベルを変えることによってRET欠陥を見出すことだけに限定されない。上で注目したように、異なるシグマおよび(または)システムの数値アパーチャ(NA)はまた、プロセス・ウィンドウに関連性がある。したがって、これらのパラメータを変える手法を用いて、RET欠陥を見出すことができる。これを成し遂げる一つの方法は、第一の条件セット(すなわち、シグマ、NAおよびデフォーカスの第一のセット)下での検査を用いて得られた画像を採取し、次いで、第二の条件セット(すなわち、NA、シグマおよびデフォーカスのうちの異なる一つまたはそれ以上)の下で同じレティクルの画像を採取し、そして、結果として生じた画像同士を比較することである。このような方法は、例えば、図9に示す装置を用いて、第一の条件セット下でのレティクルの第一の検査から採取されたデータを保存し、シグマ、NAおよび(または)デフォーカスなどのパラメータを装置上で変え、次いで、新しいパラメータ設定値により、同じレティクルを適所で再検査するだけで実行することができる。画像は、比較の前に位置合わせされる。保存されるデータは、レティクル全体の検査から採取することができ(かつ、光ディスクまたは適当な記憶スペースを有する他のメディア上に保存することができ)、あるいは、レティクルの一部(一つまたはそれ以上のスウォスなど)だけを横切って採取することができよう。レティクル検査データの一部しか保存しない場合は、保存は、メモリバッファなどで適当に行われることもあろう。いくつかの実施形態では、保存されたデータは、「参照レティクル視域」、すなわち、最善の既知のプロセス条件で生じるであろうレティクルの架空の画像を表すことができ、これは、過渡繰返し欠陥検出および(または)非過渡欠陥検出に後で使用できるよう保存してよい。
【0140】
別の実施形態では、保存されたデータは、ダイ全体またはダイの一部だけの検査から採取することができよう。一つのこのような実施形態では、ダイまたはダイの一部は、リソグラフィック変数の参照値(これは、いくつかの実施形態では最善の既知の条件であってよい)を用いてウェーハ上に形成された設計パターンに対応してよい。このやり方で、保存されたデータは、「参照ダイ」を表してよい。別の実施形態では、保存されたデータは、シミュレートされた画像であってよい。例えば、シミュレートされた画像は、参照メンバー値でウェーハ上にプリントされるであろう画像であってよい。一実施形態では、シミュレートされた画像は、レティクル設計データから生成されてよい。レティクル設計データは、レティクルのシミュレートされた架空の画像を生成する参照値に基づいて変更してよい。異なる実施形態では、シミュレートされた画像は、レティクル検査によって取得されたレティクルの架空の画像から生成してよい。シミュレートされた架空の画像または取得された架空の画像は、レジスト・モデルを用いて、参照値でウェーハ上にプリントされるであろうレティクルの画像を生成することにより変更してよい。
【0141】
保存されたデータは、ウェーハ上の他のダイまたはダイの部分と比較して、ウェーハ上の欠陥の存在を判定してよい。いくつかの実施形態では、保存されたデータと比較されたダイは、異なる条件(すなわち、参照値ではない)でプリントしてよい。そのようなものとして、保存されたデータを用いて、ウェーハ上のダイまたはダイの部分における過渡繰返し欠陥の存在を判定してよい。別法として、保存されたデータと比較されたダイは、保存されたデータ(すなわち、参照値)と同じ条件でプリントしてよい。したがって、保存されたデータを用いて、ウェーハ上のダイまたはダイの部分における非過渡欠陥の存在を判定してよい。
【0142】
図9に示すように、システムは、ホモジナイザー106、アパーチャ107、集束レンズ108、ステージ109、対物レンズ110、アパーチャ111、レンズ112、ビームスプリッター113、およびプロセッサまたはコンピュータ114を含む(しかしこれらに限定されない)多数の他の構成要素を含んでいてよい。該構成要素は、2003年10月6日に出願された、米国特許出願番号10/679,617を有する、Stokowski他による、本発明の譲受人に譲渡された同時係属出願に、より詳細に記述されているように構成してよい。これらの構成要素は、シグマ、NA、照明の種類、およびビームの形状などの異なるパラメータを与えるよう変更してよい。例えば、アパーチャ107は、シグマ、NA、照明の種類、およびビームの形状を変えるよう変更してよい。
【0143】
一好適な実施形態では、各検出器からの(および(または)レンダリングされたデータベースからの)生のデータ同士を直接比較するのではなく、比較に先立ってデータを前処理するのが望ましい場合があるが、これは、Peterson他の米国特許出願公開第2004/0091142(これは、あたかもここで完全に記述されているかのように、引用によって組み込まれている)に記述されている。
【0144】
別の好適な実施形態では、ここで述べる任意の方法による検査(例えば、架空の画像を用いる検査、ウェーハ上にプリントされた画像の検査、DRC技法による、シミュレートされた画像の検査、など)から採取されたデータを用いて、レティクルまたはウェーハの領域にフラグを立てて、レビューしてよい。欠陥は、上記のように選択してレビューしてよい。このようなレビューのための座標は、検査装置によって保存し、かつ、レビュー・ツールに渡す(または検査装置と一体化されたレビュー・ツール上で実行する)ことができよう。一好適な実施形態では、レビュー・ツールは、Carl Zeiss, Inc., Germanyから市販されている種類の架空の画像のレビュー・ツールである。レティクル上の潜在的なRET欠陥の場所が、識別され、かつ、座標が、Zeissツールに渡される。このような潜在的な各欠陥(またはこのような欠陥のグループから統計的に選択されるサンプル)を、次いで、異なるレベルのデフォーカス(またはシグマまたはNAなどの他の光学条件)でレビューして、可能的な欠陥およびその潜在的な有意性をさらに研究する。
【0145】
架空の画像を用いる上記の方法はまた、シミュレートされた画像(例えば、DRC技法またはORC技法を用いて取得された画像)を用いて、同様のやり方で行なってよいことに注目すべきである。
【0146】
さらに、この説明を考察すれば、本発明の各種のアスペクトの変更態様および代わりの実施形態が、当業者には明らかであろう。例えば、レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ(あるいは)ソートするためのコンピュータに実装された方法が得られる。したがって、この説明は、単に説明的なものと解釈すべきであり、また、本発明を実施するための一般的なやり方を当業者に教示するのが目的である。ここで図示し、説明した本発明の形態は、現在好適な実施形態である、と取るべきであることを理解されたい。ここで図示し、説明した要素および材料の代わりに、他の要素および材料を用いてよく、部分およびプロセスを逆にしてよく、また、本発明のある形体を独立的に利用してよく、これらのことはすべて、本発明のこの説明を読んだ当業者には明らかであろう。ここで説明した要素は、以下のクレームに記述する本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、変更してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出するコンピュータに実装された方法であって、
リソグラフィック変数の異なる値に対する該レティクルの画像を取得する工程にて、画像は、ノミナル値で得られた二つまたはそれ以上の参照画像および一つまたはそれ以上の変調された画像を含む、該取得する工程と、
該二つまたはそれ以上の参照画像から複合参照画像を生成する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、欠陥が存在すると判定された場合、該方法は、該欠陥に近接する領域の一つまたはそれ以上の特性に基づいて、該欠陥をグループに割り付ける工程をさらに含むこととする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
領域の一つまたはそれ以上の特性は、二つまたはそれ以上の参照画像のうちの少なくとも一つの該領域における設計パターンの一つまたはそれ以上の特性を含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
領域の一つまたはそれ以上の特性は、比較する工程に使用された画像のうちの少なくとも二つにおける該領域の一つまたはそれ以上の特性を含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
領域の一つまたはそれ以上の特性は、GDSまたは架空の画像から抽出された該領域の一つまたはそれ以上の特性を含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
領域の一つまたはそれ以上の特性は、高解像度画像から判定された該領域の一つまたはそれ以上の特性を含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
グループにおける一つまたはそれ以上の欠陥の領域の一つまたはそれ以上の特性を分析して、該グループが、関連性のない欠陥グループであるかどうかを判定する工程をさらに含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
グループにおける一つまたはそれ以上の欠陥の一つまたはそれ以上の特性を分析して、該グループが、設計パターンにおける異常を示しているかどうかを判定する工程をさらに含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
画像は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされたダイのスウォス全体の画像をさらに含み、かつ、比較する工程に使用された画像のうちの少なくとも二つは、該スウォス全体における全てのダイの該画像をさらに含むこととする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
スウォス全体における変調されたダイは、リソグラフィック変数の同じ値を用いてプリントされ、これは、参照ダイが、該スウォス全体にプリントされたリソグラフィック変数の値とは異なることとする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
スウォス全体における変調されたダイは、リソグラフィック変数の異なる値を用いてプリントされ、かつ、該スウォス全体における参照ダイは、リソグラフィック値の追加の異なる値を用いてプリントされることとする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ウェーハ上にプリントされたダイのレイアウトの知識を有するユーザが、画像のうちの少なくとも二つのうちのどちらかを選択して、比較する工程に使用することとする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
取得する工程は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされた設計パターンの画像を取得する工程を含むこととする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出するコンピュータに実装された方法であって、
該レティクルを用いてウェーハ上にプリントされたダイのスウォス全体の画像を取得する工程にて、該ダイのうちの少なくとも二つは、リソグラフィック変数の異なる値でプリントされる、該取得する工程と、
該取得する工程に引き続いて、画像のうちの少なくとも二つ同士を比較する工程と、
欠陥が設計パターンに存在するかどうかを、比較する工程の結果を用いて判定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ダイは、変調されたダイおよび少なくとも一つの参照ダイを含み、かつ、スウォス全体における該変調されたダイの数が、該スウォス全体における少なくとも一つの参照ダイの数より大きいかあるいはそれに等しいこととする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項32に記載の方法において、ダイは、二つまたはそれ以上の参照ダイを含み、該方法は、該二つまたはそれ以上の参照ダイの画像から複合参照画像を生成する工程をさらに含み、かつ、比較する工程に使用される画像のうちの少なくとも二つのうちの一つは、該複合参照画像を含むこととする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ダイは、変調されたダイおよび少なくとも一つの参照ダイを含み、かつ、該変調されたダイは、該変調されたダイのそれぞれについて同じであるが、該少なくとも一つの参照ダイがプリントされているリソグラフィック変数の値とは異なるリソグラフィック変数の値でプリントされていることとする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
ダイは、変調されたダイおよび少なくとも一つの参照ダイを含み、かつ、該変調されたダイは、該変調されたダイのそれぞれについて異なり、かつ、該少なくとも一つの参照ダイがプリントされているリソグラフィック変数の値とは異なるリソグラフィック変数の値でプリントされていることとする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
レティクルの設計パターンにおける欠陥を検出し、かつ、ソートするためのコンピュータに実装された方法であって、
リソグラフィック変数の異なる値に対して該レティクルの画像を取得する工程と、
該画像のうちの少なくとも二つ同士を比較する工程と、
該画像のうちの少なくとも二つにおけるピクセル差が、該リソグラフィック変数の該異なる値に亘って、典型的な、あるいは、非典型的なトレンドに従っているかどうかを判定する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
非典型的なトレンドは、潜在的に関連性のある欠陥場所を示すこととする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
画像は、リソグラフィック変数の異なる値でプリントされた変調されたダイの画像、および該リソグラフィック変数の追加の異なる値を用いてプリントされた参照ダイの画像を含むこととする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
取得する工程は、レティクルを用いてウェーハ上にプリントされた設計パターンの画像を取得する工程を含むこととする請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−15529(P2012−15529A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157573(P2011−157573)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【分割の表示】特願2007−545680(P2007−545680)の分割
【原出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】