説明

レーザシステムのための角度ビーム調整システムおよび方法

実施形態は、レーザキャビティ内のレーザビームの横方向および角度の変位を補正するためのシステムおよび方法に向けられている。いくつかの実施形態に対し、このようなシステムおよび方法は、可変レーザシステムにおけるレーザ発振波長の変化に起因する、レーザキャビティ内のレーザビームの角変位を補正するように使用される。例えば、上記システムは、レーザキャビティと、利得媒質と、ポンプ源と、ビーム角補正装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年8月20日にRichard Boggyによって出願された米国仮特許出願第61/235,671号(名称「ANGULAR BEAM ADJUSTMENT SYSTEMS AND METHODS FOR LASER SYSTEMS」)に対する優先権を主張し、この米国仮特許出願は、また、本明細書において参照によりその全体が援用される。
【0002】
発明の分野
いくつかの実施形態は、一部、レーザ出力ビームを生成するための光学システムおよび方法に関する。いくつかの実施形態は、より具体的には、可変波長を伴い安定的な超短パルスレーザ出力を生成するための、光学システムおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
背景
レーザシステムは、多くの異なる用途に対して有用である場合がある。より具体的には、波長の範囲にわたって1つ以上の光学ビームを出射することができる可変レーザシステムは、現在、限定するものではないが、多光子顕微鏡法、光干渉断層法、および高調波発生を含む用途に使用される。いくつかのこのような用途には、レーザ発振波長の範囲にわたって可変である超短パルス幅を有するレーザが望ましい場合がある。このような属性が望ましい場合がある一方で、これらの特徴を生成するレーザシステム内で利用される様式は、実用的な障害を作り出す場合がある。例えば、レーザ発振波長の範囲にわたって動作するように構成される可変レーザは、システムのレンズとのレーザ光の相互作用が波長依存であるため、全同調範囲にわたって安定させるのは困難である場合がある。この現象は、光学システムの分散特性の影響を受けやすい、超短パルスを生み出すレーザシステムで悪化する場合がある。
【0004】
超短パルス幅を有する波長同調可能レーザシステムが使用され、概して知られている。しかしながら、必要されてきているのは、超短パルス幅で動作し、動作波長の広い範囲にわたって可変である、安定した信頼性の高い可変レーザシステムである。また、必要とされているのは、外部調整を必要とせずに波長の作動範囲全体にわたって安定し、可変範囲全体にわたって安定的なパルスを維持することができる、出力ビームを伴うこのような可変レーザシステムである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
いくつかの実施形態は、レーザキャビティの第1の端部に配置される端部ミラー、およびレーザキャビティの第2の端部に配置される出力カプラによって規定される、レーザキャビティを含む、波長同調可能レーザシステムに向けられている。利得媒質が、レーザキャビティ内に配置され、対向する1対のビーム入力面を含み、ビーム入力面のうちの少なくとも1つが、利得媒質内のレーザビーム経路と非垂直である角度で形成される傾斜ビーム入力面を備えてもよい。ポンプ源は、利得媒質内のレーザビーム経路に沿って利得媒質を通過する、ポンプビームを生成するように構成される。波長同調装置は、所定の波長範囲にわたって制御可能に変化することができる、所定の波長を中心とする帯域にレーザを放つよう、レーザシステムを同調させるように構成される。少なくとも1つのビーム角補正装置は、レーザキャビティに結合され、波長同調要素の所定の波長の変動による、角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態は、レーザキャビティの第1の端部に配置される端部ミラー、およびレーザキャビティの第2の端部に配置される出力カプラによって規定される、レーザキャビティを含む、波長同調可能レーザシステムに向けられている。利得媒質は、レーザキャビティ内に配置されてもよく、所定範囲の波長内の波長を中心とする帯域に同調するレーザビームに対して、利得媒質内のレーザビーム経路に対するブルースター角の傾斜面を備える、対向する1対のビーム入力面を含む。ポンプ源は、利得媒質内のレーザビーム経路に沿って利得媒質を通過する、ポンプビームを生成するように構成されてもよい。波長同調要素は、所定の波長範囲にわたって制御可能に変化することができる、所定の波長を中心とする帯域にレーザを放つよう、レーザシステムを同調させるように構成される。第1のビーム角補正要素は、利得媒質と端部ミラーとの間のレーザキャビティ中に配置され、波長同調要素の所定の波長の変動による、角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される。第2のビーム角補正要素は、利得媒質と出力カプラとの間のレーザキャビティ中に配置され、波長同調要素の所定の波長の変動による、角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態は、第1のビーム経路と共に第1の波長を有するレーザキャビティ内にレーザビームを生成するように、可変レーザシステムのレーザキャビティ内に配置される利得媒質を汲み出すステップを含む、可変レーザのビーム経路の角度安定化の方法に向けられている。その後、レーザシステムは、第1の波長とは異なり、かつ第1のビーム経路とは異なる第2のビーム経路上の利得媒質から退出する第2の波長に同調する。次いで、第2の波長のレーザビームは、第1のビーム経路と実質的に平行な光学経路にレーザビームを屈折させる、少なくとも1つの角度ビーム位置補正要素を通過する。
【0008】
特定の実施形態が、以下の説明、実施例、および図表においてさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ビーム角補正装置を含むレーザシステムの実施形態の略図を示す。
【図2】図2は、2つの異なる波長の光線追跡が、利得媒質から出射されている、図1の利得媒質の拡大図を示す。
【図2A】図2Aは、図1の線2A〜2Aに沿って切り取られた、図1の利得媒質の横方向断面図である。
【図3】図3は、2つのレーザビームの、利得媒質、視準反射レンズ、およびビーム角補正要素との相互作用を示す。
【図3A】図3Aは、図3の線3A〜3Aに沿って切り取られた、図3の楔レンズの横方向断面図である。
【図4】図4は、レーザシステム実施形態の概略図である。
【図4A】図4Aは、図4の線4A〜4Aに沿って切り取られた、図4の逆行性レンズの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図表は本発明の実施形態を図示し、限定するものではない。図解を明確および容易にするために、図表は正確な縮尺にはなっておらず、いくつかの例では、種々の側面が、特定の実施形態の理解を容易にするように、強調または拡大されて示される場合がある。
【0011】
詳細な説明
図1は、可変レーザシステム10の実施形態を示す。レーザシステム10は、第1の反射鏡12、および出力カプラの形態であってもよい、少なくとも1つの第2の反射鏡14を含み、レーザキャビティを作成するように整列する。図示する実施形態では、第1の反射鏡12または端部ミラーは、波長の範囲内の実質的に全ての入射光学ビームを反射するように構成される、反射性の高い光学要素を含む一方、第2の反射鏡または出力カプラ14は、入射光学ビームの少なくとも一部を伝送するように構成されてもよい。レーザビーム16は、第2の光学ビームを第1の反射鏡に方向付ける、レーザキャビティ内に設置される第2のダイクロイックミラーに入射してもよい。第1の反射鏡12は、レーザビーム16を反射して、レーザキャビティおよび利得媒質18を通って出力カプラ14に戻す。図1は、第2のダイクロイックミラーを通過してビームダンプ21へ行く、残留非吸収ポンプビーム20を示す。いくつかの実施形態に対して、第1の反射鏡12および第2の反射鏡または出力カプラ14の位置は、交換されてもよい。第1および第2の反射鏡12および14は、レーザキャビティを規定するように、他のキャビティ内光学要素に沿って整列する。
【0012】
少なくとも1つの利得媒質18は、第1および第2の反射鏡12と14との間に位置付けられてもよい。ポンプビーム源22は、レーザキャビティの中へ、および利得媒質18内のレーザビーム経路16に沿って利得媒質18の中へ、ポンプ波長でポンプビーム20を出射する。利得媒質18は、ポンプ波長でのポンプビーム20の吸収によって励起される時に、ポンプビーム20のそれと異なる波長で、光学ビームに利得を提供するように構成される材料から構築されてもよい。図示する通り、利得媒質18は、広い範囲の波長にわたり反射による光学損失を最小化するように、入射レーザビーム経路16に対して、ブルースター角等、非垂直角度で形成される、1つ以上のビーム入力面24および26を含んでもよい。この波長の範囲は、多くの市販される反射防止膜が効率的である波長の範囲と比較した時に広くてもよい。
【0013】
示すレーザシステム10は、所定の波長範囲にわたって制御可能に変化することができる、所定の波長を中心とする帯域にレーザを放つよう、レーザシステム10を同調させるように構成される、波長同調装置28を含む。いくつかの場合、このような構成は、赤外線スペクトルにおいて、超短パルス幅のモードロックされたレーザ出力を生み出すのに有用である場合がある。いくつかの実施形態に対して、レーザシステム10は、多光子顕微鏡法を含む、種々の用途に対して有用である場合がある、約50フェムト秒から約150フェムト秒のパルス幅を生み出してもよい。しかしながら、このような構成により、レーザシステム10が異なる波長にわたって同調するため、レーザビーム位置に対して不安定性を引き起こす場合がある。特に、利得媒質18の傾斜面24および26は、レーザシステム10が異なる波長を通って同調するために、ビーム偏差を引き起こすであろう。
【0014】
また、図1に示すレーザシステム10は、利得媒質18と端部ミラー12との間に配置される第1の視準レンズ30、および利得媒質18と出力カプラ14との間に配置される第2の視準レンズ32を含む。視準レンズ30および32は、利得媒質18からそれぞれの視準レンズ中に出射される、レーザビーム16の視準を高めるように構成される。いくつかの実施形態に対して、第1および第2の視準レンズ30および32は、焦点距離を有する凹面反射レンズを含んでもよい。このような実施形態に対して、各視準レンズ30および32は、利得媒質18から、それぞれの視準レンズの焦点距離と略同じ距離に配置されるのが望ましい場合がある。視準レンズ30および32は、利得媒質18から出射されるレーザビーム16の視準を向上させるように構成されるが、視準レンズ30および32は、レーザビーム16を完全には平行にせず、レーザビーム16はまださらなる角度補正を必要とする場合がある。さらなる補正がない場合、最大約600マイクロラジアン以上、より具体的に言うと、最大約400マイクロラジアンの角度偏差が、このようなレーザシステム10の中に存在する場合がある。
【0015】
したがって、レーザシステム10はまた、波長同調装置28の所定の波長の変動による角度のレーザビーム偏差を、受動的に補正するように構成される、少なくとも1つのビーム角補正装置も含む。示す実施形態に対して、ビーム角補正装置は、レーザビーム経路16中に配置される屈折楔レンズを含む第1のビーム角補正要素34、およびまたレーザビーム経路16中にも配置される楔レンズを含む第2のビーム角補正要素36を含む。第1のビーム角補正要素34は、利得媒質18と端部ミラー12との間のレーザキャビティ中に配置され、第2のビーム角補正要素36は、利得媒質18と出力カプラ14との間のレーザキャビティ中に配置される。楔レンズ34および36は、ビーム経路16に対して、楔レンズの単一軸上に傾きを伴い位置付けられる。単一軸の傾きは、屈折楔レンズの一定の厚さ軸が、レーザビーム16の角度偏差の方向に対して実質的に直角に配向するように構成される。一定の厚さ軸は、一定の厚さのポイントで楔レンズを横断して延在する直線として規定される。一定の厚さ軸の例を図3に示し、図3Aには矢印38として示す。レーザビーム16の角度偏差の方向は、図3において矢印40によって示す通り、波長変動に応じて角度偏差によって決定される。楔レンズ34および36はまた、利得媒質18から出射される第1および第2の波長のうちのより短い波長が、第1および第2の波長のより長い波長よりも、屈折楔レンズ36のより細い末端42を通過するように、配向または位置付けられてもよい。
【0016】
図2は、利得媒質18から出射されている第1の波長λ1を有する、第1のレーザビーム44を示す、利得媒質18の実施形態の拡大図を示す。また、第2の波長λ2を有する第2のレーザビーム46も、利得媒質18から出射されて示されている。示す例に対して、λ1は、λ2の波長より小さい波長を有する。2つのレーザビーム波長間の違いは、同調装置28とのレーザシステム10の同調によって達成されてもよい。ポンプビーム20は、利得媒質18を通って伝播する時に、利得媒質18によって実質的に吸収される。ポンプビーム20によって生成されるレーザビーム16は、レーザビーム波長にかかわらず、ポンプビーム20によって形成される直線に実質的に重なり、そのため、利得媒質18内のレーザビーム経路16は、全波長に対して同じである。しかしながら、レーザビーム16は、利得媒質18から退出する時に、利得媒質18の傾斜面24または26によって屈折する。誇張された形式の図2から分かり得る通り、より短い波長λ1は、より短い波長での利得媒質18の効果的な屈折率の増加、および全波長の利得媒質18内の共通ビーム経路16のため、波長λ2より大きく屈折する。図3は、レーザシステム10が、所定範囲の動作波長にわたって変化する所望の波長に同調する時、楔レンズ36の形態を取る角度ビーム補正要素の実施形態が、レーザ発振波長における変動による角度変動を補正する方法を図示する。
【0017】
示す通り、より短い波長λ1を有するレーザビーム44は、利得媒質18から出射され、凹面反射レンズ32から反射し、その後、楔レンズ36のより細い末端42で、楔レンズ36に入射する。次いで、レーザビームλ1は、楔レンズ36を通って屈折し、入射ビーム44に対して角度α1を形成するようにそこから出射される。λ1より長い波長λ2を有するレーザビーム46は、楔要素36によって屈折し、入射ビーム46に対して角度α2を形成するように、そこから出射される。図示する通り、λ1は、より短い波長での楔要素材料のより高く効果的な屈折率のため、楔レンズ36によってλ2より大きく屈折する。結果として、α1はα2より大きく、楔レンズは、2つのビームが互いと実質的に平行であるような角度方向に、2つのレーザビーム44および46を収束する働きをする。楔要素36の材料および角度は、可変システム10の波長の作動可能範囲にわたって、実質的に平行なレーザビームを達成する所望の効果を達成するように選択されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態に対して、屈折楔レンズ34および36は、約1度から約2度、より具体的に言うと、約1.4度から約1.6度の包括的楔角度47を含んでもよい。いくつかの実施形態に対して、屈折楔レンズ34および36は、石英ガラス、ガラス、クオーツ、またはレーザシステムの動作波長の所定範囲にわたって有用な、いかなる他の好適な屈折性光学材料を含む材料から作られてもよい。また、屈折楔レンズ34および36は、光利得媒質18に面する屈折楔レンズの面法線が、レーザビーム軸に対してブルースター角と実質的に等しい角度を形成するように、レーザビーム軸16に対して傾いていてもよい。このような傾斜角度48を図3に図示する。ビーム角補正装置のこのような実施形態は、最大約1.3ミクロンの波長に対して有用である場合がある。
【0019】
上の方法および装置は、角度ビーム補正に対処するが、波長変動によるレーザビームの横方向変位の偏差を補正するのにも望ましい場合がある。したがって、その例が図1に示される、少なくとも1つの横方向変位補正装置50は、レーザキャビティ内に位置付けられ、レーザシステムが同調器28と同調する時に、レーザビームの波長の変化による、レーザビーム16の横方向の空間変位を受動的に補正するように構成されてもよい。上で議論した通り、1つ以上のビーム角補正装置と連携して使用する場合、レーザシステム10は、所定範囲内の全波長のレーザビームが、実質的に同じレーザビーム経路16を有するよう、レーザビーム16の横方向位置を受動的に調節するように構成されてもよい。図示する実施形態では、横方向変位補正装置50は、プリズムの形態を取る第1の補正要素52、および同様にプリズムの形態を取る少なくとも1つの第2の補正要素54を含む。横方向変位補正装置50のプリズム対は、レーザビーム16が、レーザキャビティ内のそれらの位置に対応する量分、横方向に変位するように、レーザシステム10の同調によって、異なる波長のレーザビーム16を選択的に屈折させるように構成されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1および第2の補正要素52および54は、所与のプリズム対等に対する横方向補正の量を調整するように、使用することができる所定の距離の間隙を介する。また、1つ以上のビーム角補正装置要素52および54の角度補正機能は、横方向変位補正装置の1つ以上の要素の中に組み込まれてもよい。例えば、図1に示すビーム角補正装置の楔要素34および36のうちの1つは、横方向変位補正装置50のプリズムのうちの片方または両方の楔角度を変化させることによって置き換わってもよい。いくつかの実施形態に対して、第1および第2の補正要素52および54は、約0.25インチから約12インチの間隙を介する。いくつかの実施形態では、第1および第2の補正要素52および54は同じであってよく、他の実施形態では、第1および第2の補正要素は異なってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態に対して、横方向変位補正装置50の補正要素52および54は、限定するものではないが、楔、ガラス板、導波管、回折格子等を含んでもよい。第1および第2の補正要素52および54は、利得媒質、またはビーム変位の一因となる場合があるレーザキャビティ内のいずれのさらなる光学要素の、ブルースター角または他の非法線傾斜ビーム入力面に起因する、横方向のビーム変位または片寄りを協調的に排除するように構成される。結果として、レーザビーム16は、レーザシステム10の波長の可変範囲にわたって、横寸法を安定的に維持する。
【0022】
同じ同調装置28は、図1に示す通り、複屈折フィルタを含んでもよい。このような複屈折フィルタは、レーザシステム10を所望の波長に同調させる働きをしてもよく、また、選択された波長の帯域幅または線幅を制御する働きをしてもよい。複屈折フィルタ28の調整は、複屈折フィルタの回転の調整、またはいかなる他の好適な方法によって実行されてもよい。図4に示す実施形態等、いくつかの実施形態に対して、波長同調装置28は、レーザビーム経路中に配置され、波長に従ってレーザビームを空間的に拡散させるように構成される、屈折プリズムを含んでもよい。その後、空間拡散の方向に沿う方向に並進可能な狭スリットは、所望の動作波長を中心とする波長を選択するように使用されてもよい。いくつかの実施形態に対して、図4に図示する通り、狭スリットは制御可能モータによって遠隔作動されてもよい。いくつかの実施形態に対して、同調装置28は、約500nmの波長範囲にわたって可変であってもよい。いくつかの実施形態に対して、同調装置は約650nmから約1100nmの波長にわたって可変である。本明細書で図示し議論するレーザシステムの実施形態は、概して、可変レーザシステムに向けられており、同調装置を含むが、また、ビームの安定性を制御するこのようなレーザシステムおよび方法は、このような同調性または同調装置なしで使用されてもよい。より具体的に言うと、レーザシステムのうちのいくつかの実施形態は、同時に広範囲の波長にわたって動作することができる、安定的なレーザビーム経路と共に、超短レーザパルスを生成するように構成されてもよい。ビーム角補正装置、横方向変位補正装置、および本明細書で各々議論する関連方法の使用により、このようなレーザシステムが、安定的なビーム位置に維持しながら動作することを可能にする場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態に対して、利得媒質18の対向するビーム入力両面24および26は、波長の所定範囲内の波長を中心とする帯域に同調するレーザビーム16に対して、利得媒質18内のレーザビーム経路に対するブルースター角の傾斜面を含む。いくつかの実施形態に対して、利得媒質18のビーム入力面24および26に対するブルースター角は、波長同調要素の所定の波長の範囲の略中間の波長によって決定されてもよい。図示する実施形態では、単一の利得媒質18は、レーザキャビティ内に位置付けられる。随意に、1つより多い利得媒質装置18は、レーザキャビティ内に位置付けられてもよい。利得媒質18は、少なくとも1つの分散性材料から形成されてもよく、入射するキャビティ内光学ビームに対して、ブルースター角または他の非法線ビーム入力角度で形成される、1つ以上の表面を含んでもよい。したがって、示す実施形態に対して、キャビティ内レーザビーム経路16は、利得媒質18の第1のビーム入力面24または第2のビーム入力面26と垂直ではない。
【0024】
使用中、利得媒質18は、ポンプビーム20の少なくとも一部分を吸収する。示す通り、利得媒質18のビーム入力両面24および26は、ブルースター角で形成される傾斜面を含む。いくつかの実施形態に対して、入射ポンプビームに対する他の非法線角が使用されるだけでなく、利得媒質18の垂直表面と組み合わせて1つの傾斜入力表面が使用されてもよい。さらに、利得媒質18は、種々の長さ、形状、厚さ、横寸法等から構築されてもよい。利得媒質に対して有用な材料には、限定するものではないが、Ti:サファイア、Nd:ガラス、Nd:KYW、Nd:KGW、Nd:YVO4、Nd:GdYVO4、Cr:LiCAF、Cr:LiSAF、Cr:フォルステライト、Yb:ガラス、Yb:KGW、Yb:KYW、Yb:YVO4、Yb:CaF2、アレキサンドライト、流体溶媒中の色素レーザ、非線形光学結晶等を含んでもよい。ポンプビーム20によって照射される時に、利得媒質18は、ポンプビーム20による利得媒質18の励起に応じて、ポンプビーム20と異なる波長を有するレーザビーム16に利得を提供する。いくつかの実施形態に対して、利得媒質18は、約10mmから約30mmの長さを伴う円筒形状を有してもよい。利得媒質として非線形結晶を使用する場合、ポンプビームが結晶中に存在する時にのみ、利得が利用可能である。このような非線形利得媒質に基づくシステムは、一般に光学パラメータ式発振器と呼ばれる。また、レーザにおけるビーム補正装置および方法に言及してきた本明細書における議論は、光学パラメータ式発振器に適用されてもよい。光学パラメータ式発振器中の利得媒質として有用な材料の例は、限定するものではないが、三ホウ酸リチウム(LBO)、β‐ホウ酸バリウム(BBO)、ホウ酸ビスマス(BiBO)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸リチウム、周期分極ニオブ酸リチウム(PPLN)、KTP、周期分極KTP、CLBO、KDP、KDP等の結晶を含む。
【0025】
図示する実施形態では、ポンプ源22は、レーザキャビティの外部に設置される。例示的ポンプ源22は、限定するものではないが、ダイオードレーザ、ガスレーザ、固体レーザ、電磁放射線源等を含んでもよい。図示する実施形態では、ポンプ源22は、ポンプビーム20の伝送光を除いて、レーザシステムのレーザ発振波長で光を反射するように構成される、ダイクロイックミラー32を用いて、利得媒質18中に方向付けられるポンプビーム20を出射する。ポンプ源22は、限定するものではないが、電磁放射線等を含み、利得媒質18へのいかなる種々のポンプ信号を生み出すように構成されてもよい。いくつかの実施形態に対して、ポンプ源22はレーザを含んでもよく、より具体的に言うと、ポンプ源22はダイオードレーザを含んでもよい。いくつかのポンプ源の実施形態22は、LBO結晶等のキャビティ内周波数逓倍器と共に、バナジン酸ネオジムレーザ等のレーザを含んでもよい。このようなポンプ源22は、いくつかの実施形態に対して、約360ナノメートルから約1100ナノメートル、より具体的に言うと、約400ナノメートルから約700ナノメートル、さらにより具体的に言うと、約523ナノメートルから約533ナノメートルの波長でCWポンプビームを生み出してもよい。
【0026】
1つ以上のフォールドミラーは、ポンプビーム20をレーザキャビティ中に方向付けるように使用されてもよい。図示する実施形態では、第1のフォールドミラー56は、ポンプビーム20をレーザキャビティの第2のダイクロイックミラー32を通って、レーザキャビティ内の利得媒質18中に方向付ける。ダイクロイックミラー32は、ポンプビーム20のそれとは異なる波長を有する、利得媒質18からレーザビーム16を反射する一方で、ポンプビーム20を伝送するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプビーム20は、ダイクロイックミラー32を通過することなく、利得媒質18中に方向付けられてもよい。これらの実施形態に対して、ポンプビーム20およびキャビティ内レーザビーム16の角度分離は、ポンプビームがミラーの縁を通り過ぎるのを可能にする一方で、ミラーがキャビティ内レーザビームを反射することができるように、キャビティ内折り畳みミラーで使用される。いくつかの実施形態では、ポンプビーム20とキャビティ内レーザビーム16との偏光間の違いは、1つの偏光の光学ポンプビームが伝送され得て、かつ対向する偏光のキャビティ内ビームが反射され得るように、キャビティ内ダイクロイックミラー32の代わりに、偏光立方体または薄膜偏光子を位置付けることによって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプビーム20は、プリズムまたは回折格子、あるいは他の分散光学要素の使用によって、利得媒質18中に結合されてもよい。
【0027】
1つ以上のさらなる構成要素は、レーザキャビティに進入する前に、ポンプビーム20を条件付けるか、方向付けるか、そうでなければ変更するように使用されてもよい。いかなる種々の装置は、限定するものではないが、信号変調器、チョッパ、音響光学装置、Qスイッチ、回折格子、空間フィルタ、波長フィルタ、体積ブラッグ(Bragg)回折格子、パルスストレッチャ等を含み、ポンプビーム20を変更するか、そうでなければ条件付けるように使用されてもよい。いくつものおよび/または種々の光学要素は、レーザキャビティ内に位置付けられ、レーザビーム16を調節するか、そうでなければ条件付けるように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態に対して、1つ以上のQスイッチ、モードロッカー、電気光学装置、または音響光学装置は、レーザキャビティ内に位置付けられ、レーザキャビティまたはレーザビーム16を調節するか、モードロックするか、そうでなければ同調させるように構成されてもよい。いくつかの実施形態に対して、レーザシステム10は、種々の影響によるビーム経路中における変動に順応するよう、少なくとも1つの軸に沿って自動的に調整可能であるように構成される、1つ以上の反射要素を含んでもよい。いくつかの実施形態に対して、レーザキャビティの光学要素は、レーザキャビティが、波長同調要素28の波長範囲にわたって、異なる波長のビームに対して実質的に同じ効果のレーザビーム経路を有するように構成されてもよい。いくつものさらなる光学要素は、限定するものではないが、さらなるフォールドミラー、同調スリットまたは隙間、Qスイッチ、水晶体、楔、回折格子、ブラッグ回折格子、高調波発生結晶、非線形光学材料、ニオブ酸リチウム結晶、周期分極ニオブ酸リチウム結晶、周期分極ニオブ酸リチウム結晶等を含み、レーザキャビティ内に位置付けられてもよい。図1に示すレーザキャビティは、折り畳まれたレーザキャビティを備えるが、しかしながら、レーザキャビティは折り畳まれたキャビティを含む必要はない。したがって、図1に含まれる種々の光学要素は、図示するレーザシステム10の性能に影響することなく排除されてもよい。
【0029】
使用において、ポンプビーム20は、ポンプ源22によって生成され、利得媒質18を通過する。ポンプビーム20は、レーザキャビティによって少なくとも一部閉じ込められる、レーザビーム16を出射し始める、利得媒質18を励起する。レーザビーム16が利得媒質18によって増幅されると、ビーム16は、レーザシステム10の同調装置28によって決定された第1の波長で、レーザキャビティ内を往復振動するレーザビームパルスを形成し始める。その後、第1の波長のレーザビームは、第1のビーム経路上で、利得媒質から出射されてもよい。次いで、レーザシステム10は、第1の波長とは異なる第2の波長に同調してもよい。第2の波長でのレーザビームは、第1のビーム経路とは異なる第2のビーム経路上で、利得媒質18から退出する。次いで、第2の波長のレーザビームは、第1のビーム経路と実質的に平行な光学経路に、第2の波長のレーザビームを屈折させる、少なくとも1つの角度ビーム位置補正要素34または36を通過する。
【0030】
図4は、図1に示し上で議論した、可変レーザシステム10に類似の方法で動作する2つのレベルまたは光学平面上に構成される、可変レーザシステム60の実施形態を示す。図4に示すレーザシステム60は、図1に示すレーザシステム10と同じ特徴、寸法、および材料のうちのいくつかまたは全てを有してもよい。レーザシステム60は、第1の反射鏡62、および出力カプラの形態であってもよい、少なくとも1つの第2の反射鏡64を含み、レーザキャビティを作成するように整列する。少なくとも1つの利得媒質18は、第1および第2の反射鏡62と64との間に位置付けられてもよい。ポンプビーム源66は、レーザキャビティの中へ、および利得媒質18内のレーザビーム経路70に沿って利得媒質18の中へ、ポンプ波長でポンプビーム68を出射する。図示する通り、利得媒質18は、反射による光学損失を最小化するように、入射レーザビーム経路70に対して、ブルースター角等、非垂直角度で形成される1つ以上のビーム入力面24および26を含んでもよい。
【0031】
示すレーザシステム60は、所定の波長範囲にわたって制御可能に変化することができる、所定の波長を中心とする帯域にレーザを放つよう、レーザシステム60を同調させるように構成される、波長同調装置を含む。また、図4に示すレーザシステム60は、利得媒質18と端部ミラー62との間に配置される第1の視準レンズ30、および利得媒質18と出力カプラ64との間に配置される第2の視準レンズ32を含む。視準レンズ30および32は、利得媒質18からそれぞれの視準レンズ中に出射される、レーザビーム70の視準を高めるように構成される。いくつかの実施形態に対して、第1および第2の視準レンズ30および32は、焦点距離を有する凹面反射レンズを含んでもよい。このような実施形態に対して、各視準レンズ30および32は、利得媒質18から、それぞれの視準レンズの焦点距離と略同じ距離に配置されるのが望ましい場合がある。視準レンズ30および32は、利得媒質18から出射されるレーザビームの視準を高めるように構成されるが、視準レンズはレーザビーム70を完全には平行にせず、レーザビームはまださらなる角度補正を必要とする場合がある。
【0032】
したがって、レーザシステム60はまた、波長同調装置76の所定の波長の変動による、角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される、少なくとも1つのビーム角補正装置も含む。示す実施形態に対して、ビーム角補正装置は、レーザビーム経路中に配置される屈折楔レンズを含む第1のビーム角補正要素34、およびまたレーザビーム経路中にも配置される楔レンズを含む第2のビーム角補正要素36を含む。第1のビーム角補正要素34は、利得媒質18と端部ミラー62との間のレーザキャビティ中に配置され、第2のビーム角補正要素36は、利得媒質18と出力カプラ64との間のレーザキャビティ中に配置される。楔レンズ34および36は、上で議論した通り、ビーム経路70に対して、楔レンズの単一軸上に傾きを伴って位置付けられてもよい。また、楔レンズ34および36は、利得媒質から出射される第1および第2の波長のうちのより短い波長が、第1および第2の波長のより長い波長よりも、屈折楔レンズのより細い末端42を通過するように、配向または位置付けられてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態に対して、屈折楔レンズ34および36は、約1度から約2度、より具体的に言うと、約1.4度から約1.6度の包括的楔角度47を含んでもよい。いくつかの実施形態に対して、屈折楔レンズ34および36は、石英ガラス、ガラス、クオーツ、またはレーザシステム60の動作波長の所定範囲にわたって有用な、いかなる他の好適な屈折性光学材料を含む材料から作られてもよい。また、屈折楔レンズ34および36は、光利得媒質18に面する屈折楔レンズの面法線が、レーザビーム軸に対してブルースター角と実質的に等しい角度48を形成するように、レーザビーム軸70に対して傾いていてもよい。
【0034】
少なくとも1つの横方向変位補正装置は、随意に、レーザキャビティ内に位置付けられ、レーザシステム60が同調装置76と同調する時に、レーザビームの波長の変化によるレーザビームの横方向の空間変位を、受動的に補正するように構成されてもよい。上で議論した通り、1つ以上のビーム角補正装置と連携して使用する場合、レーザシステム60は、所定範囲内の全波長のレーザビームが、実質的に同じレーザビーム経路を有するよう、レーザビーム70の横方向位置を受動的に調節するように構成されてもよい。図示する実施形態では、横方向変位補正装置は、プリズムの形態を取る第1の補正要素72、および同様にプリズムの形態を取る少なくとも1つの第2の補正要素108を含む。これらのプリズムの各々は、独立してプリズム74と共にプリズム対を形成し、2つのプリズム対、すなわち、72と74との対および74と108との対の光学経路長の違いは、同調機構76を使用して、波長の同調によって引き起こされる出力カプラ64での横方向ビーム移動を最小化するのを保証することを必要とする、横方向のビームの片寄りを提供する。図4に図示される構成では、横方向ビームの片寄り補正の量は、プリズム72と108との間隔の調整によって、必要とされるように変化することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の補正要素72および108は、所与のプリズム対等に対して、横方向補正の量を調整するように使用することができる所定の距離の間隙を介する。また、1つ以上のビーム角補正装置要素34および36の角度補正機能は、横方向変位補正装置の要素のうちの1つ以上に組み込まれてもよい。例えば、図4に示すビーム角補正装置の楔要素34または36のうちの1つの機能は、プリズム72または108のうちの片方または両方の楔角度を変化させることによって置き換わってもよい。いくつかの実施形態に対して、第1および第2の補正要素72および108は、約0.25インチから約2インチの間隙を物理的に介する。第1および第2の補正要素は、利得媒質、またはビーム変位の一因となる場合があるレーザキャビティ内のいずれのさらなる光学要素の、ブルースター角または他の非法線傾斜ビーム入力面に起因する、横方向のビーム変位または片寄りを協調的に排除するように構成される。結果として、レーザビーム70は、レーザシステム60の波長の可変範囲にわたって、出力カプラ64の横寸法を安定的に維持する。
【0035】
図4の実施形態に対する波長同調装置76は、図1に示す複屈折フィルタ等の装置を含んでもよい。しかしながら、図4に示す同調装置は、レーザビーム経路70中に配置され、波長に従いレーザビームを空間的に拡散するように構成される、屈折プリズム74を含む。矢印80によって示す通り、その後、空間拡散の方向に沿う方向に並進可能な狭スリット78は、所望の動作波長を中心とする波長を選択するように使用されてもよい。いくつかの実施形態に対して、狭スリット78は、モータに結合されるコンピュータプロセッサによって制御されてもよい、モータ82によって遠隔作動されてもよい。いくつかの実施形態に対して、同調装置76が、約500nmの波長範囲にわたって、レーザシステム60の波長の同調を提供してもよい。いくつかの実施形態に対して、同調装置76は、約650nmから約1100nmの波長にわたって、レーザシステム60の波長の同調を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態に対して、同調装置76の屈折プリズム74は、レーザビーム70が通過する屈折性材料の量を制御することによって、レーザキャビティ内で屈折波長分散の制御量を維持するように、そのテーパ軸86に沿って並進可能であってもよい。プリズム74の材料が空気より分散するため、プリズム74を通るレーザビーム経路長を増加することにより、レーザビーム70によって見える正の材料分散を増加するであろう。言い換えると、プリズム74の楔形状部が、動作中にレーザビーム中へさらに挿入される場合、プリズム材料の分散性により、レーザシステム全体の正の材料分散量が増加するであろう。プリズム楔74が、レーザビーム70から引き抜かれる場合、レーザシステムにおける正の材料分散の量は減少するであろう。レーザシステム60における正の材料分散は、プリズム対72および74ならびにプリズム対74および108により提供される負分散によって、平衡が保たれる。いくつかの実施形態に対して、屈折プリズム74の並進は、モータ88に結合されるコンピュータプロセッサによって制御されてもよい、モータ88によって遠隔作動されてもよい。概して、レーザシステム60は、フィードバックを受信し、フィードバックに応じて信号を生成するように、1つ、2つ、3つ、または4つ以上のコンピュータプロセッサ84および関連回路基板を含んでもよい。例えば、第3のフォールドミラー90は、出力カプラ64の向こう側に配置される、レーザパワー検出器からのフィードバックを基に調整することができる、圧電性調整可能レンズであってもよい。第3のフォールドミラー90の圧電性調整器へのディザー信号、およびレーザパワー検出器からのフィードバックの用途に基づき、コンピュータプロセッサ84は、レーザシステム60等内のレーザビーム経路70に対するポンプビーム68の不整合を補正するよう、第3のフォールドミラー90の調整圧電アクチュエータへの信号を生成するように構成されてもよい。加えて、視準ミラー32は、出力カプラ64の向こう側に設置される、位置敏感型検出器または4象限検出器からのフィードバックに基づき調整することができる、圧電性調整可能レンズであってもよく、出力カプラは、レーザシステム60内におけるレーザビーム経路70の残留不整合を補正するように、視準ミラー32の調整圧電アクチュエータへの信号を生成することができる、コンピュータプロセッサ84によって処理することができる。いくつかの実施形態に対して、プリズム74は、ガラス、クオーツ、石英ガラス、またはいかなる他の好適な屈折性材料を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態に対して、利得媒質18の対向するビーム入力両面24および26は、波長の所定範囲内の波長を中心とする帯域に同調するレーザビーム70に対して、利得媒質18内のレーザビーム経路70に対するブルースター角の傾斜面を含む。いくつかの実施形態に対して、利得媒質18のビーム入力面24および26に対するブルースター角は、波長同調要素の所定の波長の範囲の略中間の波長によって決定されてもよい。図示する実施形態では、単一の利得媒質18は、レーザキャビティ内に位置付けられる。随意に、1つより多い利得媒質装置18は、レーザキャビティ内に位置付けられてもよい。利得媒質18は、少なくとも1つの分散性材料から形成されてもよく、入射するキャビティ内光学ビームに対して、ブルースター角または他の非法線ビーム入力角度で形成される、1つ以上の表面を含んでもよい。
【0038】
図示する実施形態では、ポンプ源66は、レーザキャビティの外部に設置される。例示的ポンプ源66は、限定するものではないが、ダイオードレーザ、ガスレーザ、固体レーザ、電磁放射線源等を含む。図示する実施形態では、ポンプ源66は、ポンプビーム68の伝送光を除いて、レーザシステムのレーザ発振周波数で光を反射するように構成される、ダイクロイックミラー32を用いて、利得媒質18中に方向付けられるポンプビーム68を出射する。ポンプ源66は、限定するものではないが、電磁放射線等を含み、利得媒質へのいかなる種々のポンプ信号を生み出すように構成されてもよい。いくつかの実施形態に対して、ポンプ源66はレーザを含んでもよく、より具体的に言うと、ポンプ源はダイオードレーザを含んでもよい。いくつかのポンプ源の実施形態66は、LBO結晶等のキャビティ内周波数逓倍器と共に、バナジン酸ネオジムレーザ等のレーザを含んでもよい。このようなポンプ源66は、いくつかの実施形態に対して、約360ナノメートルから約1100ナノメートル、より具体的に言うと、約400ナノメートルから約700ナノメートル、さらにより具体的に言うと、約523ナノメートルから約533ナノメートルの波長でCWポンプビームを生み出してもよい。
【0039】
1つ以上のフォールドミラーは、ポンプビームをレーザキャビティ中に方向付けるように使用されてもよい。図示する実施形態では、第1のフォールドミラー92は、ポンプビーム68をレーザキャビティの第2のダイクロイックミラー32を通って、レーザキャビティ内の利得媒質18中に方向付ける。第2のフォールドミラー94および第3のフォールドミラー90は、ポンプ源66から第2のダイクロイックミラー32へ、ポンプビーム68を方向付けるように使用される。第4のフォールドミラー96、第5のフォールドミラー98、第6のフォールドミラー100、および第7のフォールドミラー102は、所望の光学要素を含む所望の長さのレーザビーム経路70を規定するように、利得媒質18と出力カプラ64との間で使用される。ダイクロイックミラー32は、ポンプビーム68のそれとは異なる波長を有する利得媒質18からレーザビーム70を反射する一方で、ポンプビーム68を伝送するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプビーム68とキャビティ内レーザビームとの偏光間の違いは、1つの偏光の光学ポンプビームが伝送され得て、かつ対向する偏光のキャビティ内ビームが反射され得るように、キャビティ内ダイクロイックミラーの代わりに、偏光立方体または薄膜偏光子を位置付けることによって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプビーム68は、プリズムまたは回折格子、あるいは他の分散光学要素の使用によって、利得媒質18中に結合されてもよい。
【0040】
1つ以上のさらなる構成要素は、レーザキャビティに進入する前に、ポンプビーム68を条件付けるか、方向付けるか、そうでなければ変更するように使用されてもよい。いかなる種々の装置は、限定するものではないが、信号変調器、チョッパ、音響光学装置、Qスイッチ、回折格子、空間フィルタ、波長フィルタ、体積ブラッグ(Bragg)回折格子、パルスストレッチャ等を含み、ポンプビーム68を変更するか、そうでなければ条件付けるのに使用されてもよい。いくつものおよび/または種々の光学要素は、レーザキャビティ内に位置付けられ、レーザビーム70を調節するか、そうでなければ条件付けるように構成されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態に対して、1つ以上のQスイッチ、モードロッカー、電気光学装置、または音響光学装置は、レーザキャビティ内に位置付けられ、レーザキャビティまたはレーザビーム70を調節するか、モードロックするか、そうでなければ同調させるように構成されてもよい。図4は、出力カプラ64に隣接するレーザキャビティ中に配置される、音響光学変調器(AOM)104を示す。AOM104は、レーザシステム60にモードロック機能を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態に対して、レーザシステム60は、種々の影響によるビーム経路中の変動に順応するよう、少なくとも1つの軸に沿って自動的に調整可能であるように構成される、1つ以上の反射要素を含んでもよい。調整可能な反射鏡またはミラーは、いくつかの実施形態では、ポンプビーム68の整合を維持するのを援助するように、第3のフォールドミラー90に使用される。いくつかの実施形態に対して、レーザキャビティの光学要素は、レーザキャビティが、波長同調要素76の波長範囲にわたって、異なる波長のビームに対して、実質的に同じ効果のレーザビーム経路長を有するように構成されてもよい。
【0042】
使用において、ポンプビーム68は、ポンプ源66によって生成され、第3のフォールドミラー90、第2のフォールドミラー94、および第1のフォールドミラー92によって、第1の視準レンズも含む第2のダイクロイックレンズ32を通って反射される。その後、ポンプビーム68は利得媒質18を通過する。ポンプビーム68は、レーザキャビティによって少なくとも一部閉じ込められる、レーザビーム70を出射し始める、利得媒質18を励起する。レーザビーム70が利得媒質18によって増幅されると、ビームは、レーザシステム60の同調装置76によって決定された第1の波長で、端部ミラー62と出力カプラ64との間のレーザキャビティ内を往復振動するレーザビームパルスを形成し始める。その後、第1の波長のレーザビーム70は、第1のビーム経路上の利得媒質18から出射されてもよい。その後、レーザシステム60は、第1の波長とは異なり、かつ第1のビーム経路とは異なる第2のビーム経路上の利得媒質18から退出する第2の波長に同調してもよい。次いで、第2の波長のレーザビームは、第1のビーム経路と実質的に平行な光学経路に、第2の波長のレーザビームを屈折させる、ビーム角補正装置の楔レンズの形態である、少なくとも1つの角度ビーム位置補正要素34および36を通って伝播する。このようなプロセスは、図3に示され、図3に関して上でより詳細に議論している。横方向変位補正装置が適切にレーザキャビティに結合されている場合、第1の波長および第2の波長の経路は、レーザキャビティ内の実質的に同じ経路を辿ってもよい。いくつかの実施形態に対して、波長の所定範囲内の全レーザビーム波長は、レーザキャビティ内の横方向および角度位置の両方に対して、実質的に同じ経路を有してもよい。
【0043】
図4のレーザシステム60のレーザキャビティ内における、レーザビーム70の前進は、垂直に分離しいくつかの光学要素を含む、2つの異なるレベルまたは光学平面上に発生する。その後、端部ミラー62から始まるレーザビームパルス70は、ビーム角補正装置の第1の楔レンズ34を通過し、第1の視準レンズ30によって利得媒質18中へ反射される。利得媒質18による増幅、および利得媒質18からの出射の後、レーザパルス70は、第2の視準レンズ32によって反射され、実質的に平行にされる。その後、レーザパルス70は第4のフォールドミラー96に伝播する。第4のフォールドミラー96は、ビーム角補正装置の第2の楔レンズ36を通って、第5のフォールドミラー98上へレーザパルスを反射する。ビーム角補正装置の第1および第2の楔レンズ34および36は、図3に関して上で議論した通りに機能し、楔レンズ34および36が、レーザシステム60を同調させる時、異なる波長に対してレーザキャビティを受動的に整列させるように、異なる波長のレーザビームを収束する働きをする。
【0044】
第5のフォールドミラー98は、その後レーザパルス70を第6のフォールドミラー100および第7のフォールドミラー102へ屈折させる、第1のプリズム要素72にレーザパルス70を反射させる。次いで、レーザパルス70は、第7のフォールドミラー102によって、レーザシステム60の同調装置76の一部としても働く、変位補正装置の第2のプリズム要素74に反射される。第2のプリズム74は、同調装置76の狭スリット78を通って、レーザパルス70を屈折させる。狭スリット78を通過する時、レーザパルス70は、第1および第2のプリズム72および74を含むプリズム対によって、波長に従い横方向に散開されていく。同調装置76の狭スリット78によって選択される波長帯域のみが、通過しレーザを放つことが可能である。レーザパルス70が狭スリット78を通過するとすぐに、パルス70は上方へ反射され、その後、図4Aの立面セクションに示す、逆行性レンズまたは逆レンズ106によって戻る。
【0045】
端部ミラー62から逆レンズ104の底部へのレーザパルス70のビーム経路は、レーザシステム60の第1のまたは下位レベル上に完全に生じる。レーザパルス70が逆レンズ104によって反射されると、レーザパルス70は、第2のまたは上位レベル上にある。その後、レーザパルス70は、逆レンズ104の上部分から反射され、第2のプリズム要素74へ戻る。第2のプリズム要素74は、第6および第7のフォールドミラー100および102のように、レーザシステム60の上位および下位レベルの両方で機能的である。第2のプリズム要素74は、第3のプリズム要素108への第7のフォールドミラー102、およびその後第6のフォールドミラー100へ戻って、レーザパルス70を屈折させる。第3のプリズム要素108は、レーザパルス70をモードロックするか、または一部モードロックする働きをしてもよい、AOM104へレーザパルス70を屈折させる。AOM104を通って伝播した後、レーザパルス70は、出力カプラ64に伝播する。出力カプラ64は、一定の割合のレーザパルス70を、端部ミラー62への逆順で、直前に記載したビーム経路に沿って戻って反射するが、所定の割合のレーザパルス70が、その後所望の用途のために使用されてもよいレーザ出力として、出力カプラ64を通過することを可能にする。
【0046】
本明細書において参照される各特許、特許出願、刊行物、および書類の全体は、ここに引用することにより組み込まれるものとする。上記特許、特許出願、刊行物、および書類の引用は、前述のいずれもが関連する従来の技術ではないとの了解ではなく、また、これらの刊行物または書類の内容あるいは日付に関するいかなる了解を構成するものでもない。
【0047】
本発明の基本的側面から逸脱することなく、前述への修正がなされてもよい。本発明の実施形態は、1つ以上の特定の実施形態を参照して、かなり詳細に記載されているが、当業者は、本出願において具体的に開示した実施形態に変更がなされてもよく、しかし、これらの修正および改善は、本発明の範囲および精神の範囲内であることを理解するであろう。
【0048】
本明細書に図示的に記載した実施形態は、本明細書に具体的には開示していないいかなる要素が欠如しても、好適に実施される場合がある。したがって、例えば、本明細書の各例において、用語「備える」、「から基本的に成る」、および「から成る」のうちのいずれも、他2つの用語のうちのいずれかと入れ替えられてもよい。採用されている用語および表現は、説明の用語として使用され、限定するものではなく、このような用語および表現の使用は、示し記載した特徴またはその部分のいかなる同等物を除外するものではなく、種々の変形が主張する本発明の範囲内で可能である。用語「1つの」は、要素のうちのいずれか1つ、または1つ以上の要素について記載されていることが、文脈上明らかでない場合、修飾する要素のうちの1つまたは複数の要素を指すことができる(例えば、「1つの試薬」は、1つ以上の試薬を意味することができる)。したがって、実施形態はそれぞれの実施形態および任意の特徴によって、具体的に開示されているものの、本明細書に開示される概念の変形および変動は当業者によって用いられる場合があり、このような変形および変動は本発明の範囲内とみなされることは理解されるべきである。
【0049】
本発明の特定の実施形態が以下の特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長同調可能レーザシステムであって、
レーザキャビティであって、該レーザキャビティは、該レーザキャビティの第1の端部に配置される端部ミラーと、該レーザキャビティの第2の端部に配置される出力カプラとによって規定される、レーザキャビティと、
対向する1対のビーム入力面を含む、該レーザキャビティ内に配置される利得媒質であって、該ビーム入力面のうちの少なくとも1つが、該利得媒質内のレーザビーム経路と非垂直である角度で形成される、傾斜ビーム入力面を備える、利得媒質と、
該利得媒質内の該レーザビーム経路に沿って該利得媒質を通過するポンプビームを生成するように構成されるポンプ源と、
所定の波長範囲にわたって制御可能に変化することができる所定の波長を中心とする帯域にレーザを放つように、該レーザシステムを同調させるように構成される波長同調装置と、
該波長同調要素の該所定の波長の変動に起因する角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される、少なくとも1つのビーム角補正装置と
を備える、レーザシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのビーム角補正装置は屈折楔レンズを含み、該屈折楔レンズは、屈折楔レンズの連続的な厚さ軸が、波長変動に応じて、前記レーザビームの角度偏差の方向に対して実質的に直角である、ビーム角補正要素を備え、
前記利得媒質から出射される第1の波長および第2の波長のより短い波長は、該第1の波長および第2の波長のより長い波長より、該屈折楔レンズのより細い端部を通過する、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項3】
前記屈折楔レンズは、前記光利得媒質に面する該屈折楔レンズの表面が、前記レーザビーム軸に対してブルースター角と実質的に等しい角度を形成するように傾く、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項4】
前記屈折楔レンズは、約1度から約2度までの包括的楔角度を備える、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項5】
前記屈折楔レンズは、約1.4度から約1.6度までの包括的楔角度を備える、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項6】
前記屈折楔レンズは、石英ガラスを備える、請求項2に記載のレーザシステム。
【請求項7】
前記ビーム角補正装置は、前記利得媒質と前記端部ミラーとの間の前記レーザキャビティ中に配置される第1のビーム角補正要素と、該利得媒質と前記出力カプラとの間の該レーザキャビティ中に配置される第2のビーム角補正要素とを備える、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項8】
前記第1および第2のビーム角補正要素は、屈折楔レンズを備える、請求項7に記載のレーザシステム。
【請求項9】
前記利得媒質のビーム入力両面は、前記波長同調要素の前記所定範囲の波長内の波長を中心とする帯域に同調するレーザビームに対して、前記利得媒質内の前記レーザビーム経路に対するブルースター角の傾斜面を備える、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項10】
前記ビーム入力面に対するブルースター角は、前記波長同調要素の前記所定の波長の範囲のほぼ中間の波長によって決定される、請求項9に記載のレーザシステム。
【請求項11】
前記利得媒質と前記端部ミラーとの間に配置される第1の視準レンズと、該利得媒質と前記出力カプラとの間に配置される第2の視準レンズとをさらに備え、該視準レンズは、該利得媒質からそれぞれの視準レンズに出射される前記レーザビームを平行にするように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項12】
前記第1および第2の視準レンズは、凹面反射レンズを備える、請求項11に記載のレーザシステム。
【請求項13】
前記第1の視準レンズは、焦点距離を備え、該第1の視準レンズは、前記利得媒質から、該焦点距離と実質的に同一の距離に配置される、請求項11に記載のレーザシステム。
【請求項14】
前記第2の視準レンズは、焦点距離を備え、該第2の視準レンズは、前記利得媒質から、該焦点距離と実質的に同一の距離に配置される、請求項11に記載のレーザシステム。
【請求項15】
前記波長同調装置は、前記レーザビーム経路中に配置され、波長によって前記レーザビームを拡散するように構成される屈折プリズムと、前記拡散方向に沿う方向に並進可能な狭スリットとを備える、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項16】
前記狭スリットは、制御可能なモータによって遠隔作動する、請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項17】
前記屈折プリズムは、制御された分散量を、前記レーザビームが通過する屈折性材料の前記量の制御による分散調整を提供することによって、前記レーザキャビティ内に維持するように、前記プリズムのテーパ軸に沿って並進可能である、請求項15に記載のレーザシステム。
【請求項18】
前記屈折プリズムの前記並進は、モータによって作動する、請求項17に記載のレーザシステム。
【請求項19】
ビーム経路における変動に順応するように、少なくとも1つの軸に沿って自動的に調整可能であるように構成される1つ以上の反射要素をさらに備える、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項20】
前記レーザキャビティの前記光学要素は、前記レーザキャビティが、前記波長同調要素の前記波長範囲にわたって、異なる波長のビームに対して、実質的に同じ効果のレーザビーム経路を有するように構成される、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項21】
前記同調要素は、約500nmの波長範囲にわたって同調可能である、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項22】
前記同調要素は、約650nmから約1100nmの波長にわたって同調可能である、請求項21に記載のレーザシステム。
【請求項23】
前記ポンプ源は、レーザを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記ポンプ源は、ダイオードレーザを備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記利得媒質は、Ti:サファイア結晶を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記所定範囲内の全波長のうちのレーザビームが、同じレーザビーム経路を実質的に有するように、該レーザビームの横方向位置を受動的に調整するように構成される該レーザビーム経路中に配置される横方向変位補正装置をさらに備える、請求項1に記載のレーザシステム。
【請求項27】
前記横方向変位補正装置は、所定の距離だけ互いから分離される、第1のプリズム要素および第2のプリズム要素を備える、請求項26に記載のレーザシステム。
【請求項28】
前記プリズム要素は同じである、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
波長同調可能レーザシステムであって、
レーザキャビティであって、該レーザキャビティは、該レーザキャビティの第1の端部に配置される端部ミラーと、該レーザキャビティの第2の端部に配置される出力カプラとによって規定される、レーザキャビティと、
所定範囲の波長内の波長を中心とする帯域に同調するレーザビームに対して、利得媒質内のレーザビーム経路に対するブルースター角の傾斜面を備える対向する1対のビーム入力面を含む、該レーザキャビティ内に配置される利得媒質と、
該利得媒質内の該レーザビーム経路に沿って該利得媒質を通過するポンプビームを生成するように構成されるポンプ源と、
該所定の波長範囲にわたって制御可能に変化することができる所定の波長を中心とする帯域にレーザを放つように、該レーザシステムを同調させるように構成される波長同調要素と、
該利得媒質と該端部ミラーとの間の該レーザキャビティ中に配置され、該波長同調要素の該所定の波長の変動による、角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される、第1のビーム角補正要素と、
該利得媒質と該出力カプラとの間の該レーザキャビティ中に配置され、該波長同調要素の該所定の波長の変動による、角度のレーザビーム偏差を受動的に補正するように構成される、第2のビーム角補正要素と
を備える、レーザシステム。
【請求項30】
前記第1のビーム角補正要素は第1の屈折楔レンズを含み、該第1の屈折楔レンズの連続的な厚さ軸が、波長変動に応じて、前記レーザビームの角度偏差の方向に対して実質的に直角となり、前記利得媒質から出射される第1および第2の波長のより短い波長が、該第1および第2の波長のより長い波長より、該第1の屈折楔レンズのより細い端部を通過するように前記レーザビーム経路中に配置され、
前記第2のビーム角補正要素は第2の屈折楔レンズを含み、該第2の屈折楔レンズの連続的な厚さ軸が、波長変動に応じて、該レーザビームの角度偏差の方向に対して実質的に直角となり、該利得媒質から出射される第1および第2の波長のより短い波長が、該第1および第2の波長のより長い波長より、該第2の屈折楔レンズのより細い端部を通過するように、前記レーザビーム経路中に配置される、請求項29に記載のレーザシステム。
【請求項31】
前記第1および第2の屈折楔レンズは、前記光利得媒質に面する前記第1および第2の屈折楔レンズのそれぞれの表面が、前記レーザビーム軸に対してブルースター角と実質的に等しい角度を形成するように傾く、請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項32】
前記第1および第2の屈折楔レンズは、約1度から約2度までの包括的楔角度を備える、請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項33】
前記第1および第2の屈折楔レンズは、約1.4度から約1.6度までの包括的楔角度を備える、請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項34】
前記第1および第2の屈折楔レンズは、石英ガラスを備える、請求項30に記載のレーザシステム。
【請求項35】
前記利得媒質の前記ビーム入力面に対するブルースター角は、前記波長同調要素の前記所定の波長の範囲のほぼ中間の波長によって決定される、請求項29に記載のレーザシステム。
【請求項36】
前記利得媒質と前記端部ミラーとの間に配置される第1の視準レンズと、該利得媒質と前記出力カプラとの間に配置される第2の視準レンズとをさらに備え、該視準レンズは、該利得媒質からそれぞれの視準レンズに出射される前記レーザビームを平行にするように構成される、請求項29に記載のレーザシステム。
【請求項37】
前記第1および第2の視準レンズは、凹面反射レンズを備える、請求項36に記載のレーザシステム。
【請求項38】
前記第1の視準レンズは、焦点距離を備え、該第1の視準レンズは、前記利得媒質から、該焦点距離と実質的に同じ距離に配置される、請求項37に記載のレーザシステム。
【請求項39】
前記第2の視準レンズは、焦点距離を備え、該第2の視準レンズは、前記利得媒質から、該焦点距離と実質的に同じ距離に配置される、請求項37に記載のレーザシステム。
【請求項40】
可変レーザのビーム経路の角度安定化の方法であって、
可変レーザシステムのレーザキャビティ内に配置される利得媒質を汲み出して、第1のビーム経路と共に第1の波長を有する該レーザキャビティ内にレーザビームを生成することと、
該第1の波長とは異なり、かつ該第1のビーム経路とは異なる第2のビーム経路上の該利得媒質から退出する第2の波長に、該レーザシステムを同調させることと、
第1のビーム経路と実質的に平行である光学経路に該レーザビームを屈折させる少なくとも1つの角度ビーム位置補正要素を通って、該第2の波長の該レーザビームを通過させることと
を含む、方法。
【請求項41】
少なくとも1つの角度ビーム位置補正要素を通って前記第2の波長の前記レーザビームを通過させることは、前記第1および第2の波長のより短い波長が、該第1および第2の波長のより長い波長より、楔要素のより細い末端を通過するように配向される光学楔要素を通って、該ビームを通過させることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1および第2のビームの前記光学経路が、実質的に同じになるような第2のビームの変位調整をさらに含む、請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図4A】
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【公表番号】特表2013−502725(P2013−502725A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525691(P2012−525691)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/046019
【国際公開番号】WO2011/022547
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(500434370)ニューポート・コーポレイション (1)
【氏名又は名称原語表記】Newport Corporation
【Fターム(参考)】