説明

レーザー加工装置

【課題】ガラス基板に積層された機能層の一部を、ガラス基板から効率よく除去することができるレーザー加工装置を提供すること。
【解決手段】ガラス基板11に太陽電池膜12が積層されたワークWを、ガラス基板11を下向きして保持する保持テーブル3と、保持テーブル3に保持されたワークWにレーザービームを照射するレーザービーム照射ユニット4とを備え、保持テーブル3は、ワークWの少なくとも一部を、レーザービーム照射ユニット4からレーザービームを照射可能となるように下側に露出させており、レーザービーム照射ユニット4は、レーザービームをワークWのガラス基板11側からガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46に集光点を合わせて照射する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー加工装置に関し、特に、太陽電池等のガラス基板上に機能層を有するワークを加工するレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽電池パネルは、ガラス基板の一面に太陽電池膜(機能層)、接着シート、カバーシートを積層して構成される。従来、太陽電池パネルの製造工程において、ガラス基板から太陽電池膜の周縁部分を除去して、シール材の付け代を形成するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この太陽電池パネルの製造工程においては、ガラス基板の一面に太陽電池膜が積層され、レーザー加工等により太陽電池膜の周縁部分がガラス基板から除去される。次に、太陽電池膜上に接着シートを介してカバーシートが接着され、太陽電池膜の除去によって露出されたガラス面を接着面として、太陽電池膜の外周縁に沿ってシール材が塗布される。このようにして製造された太陽電池パネルは、ガラス基板の一面側でシールすることによって、シール材のガラス基板の他面側への回り込みを防止して、外観性や受光量を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3727877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような太陽電池パネルの製造工程において、太陽電池膜の除去に用いられるレーザー加工装置は、一般に太陽電池膜に対して直にレーザービームを照射するように構成されている。しかしながら、このレーザー加工装置は、太陽電池膜に対して直にレーザービームを照射するため、高エネルギーが必要となり、ガラス基板を破損させてしまうおそれがあった。このため、レーザー加工装置のレーザービームの強さ等を微調整しなければならず、ガラス基板から太陽電池膜の一部を効率よく除去することができないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、ガラス基板に積層された機能層の一部を、ガラス基板から効率よく除去することができるレーザー加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレーザー加工装置は、ガラス基板に機能層が積層されたワークを保持する保持テーブルと、前記保持テーブルに保持されたワークにレーザービームを照射するレーザービーム照射ユニットと、前記保持テーブルと前記レーザー照射ユニットとを相対的に移動させる移動機構と、を有するレーザー加工装置であって、前記保持テーブルは、ワークの外縁よりも小さい上面を有しワークのガラス基板を下側から支持するワーク保持部と、前記ワーク保持部を鉛直方向を回転軸として回転させるワーク保持部回転機構と、を有し、前記レーザービーム照射ユニットは、レーザービームを発振する発振器と、前記発振器から発振されたレーザービームをガラス基板側からガラス基板と機能層との境界面に集光点を合わせて集光することによって前記機能層を前記ガラス基板から剥離させて飛散させる集光レンズと、前記集光レンズを前記移動機構による移動方向と交わる方向に移動させる集光レンズ移動機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、レーザービームがガラス基板側からガラス基板と機能層との境界面に集光点を合わせて照射され、境界面における熱膨張により機能層がガラス基板から剥離される。このため、機能層に直にレーザービームを照射する構成と比較して、低エネルギーのレーザービームで機能層をガラス基板から剥離できるため、ガラス基板の破損を防止することができる。また、ワークは、ガラス基板側を下方にして、下側から保持テーブルによって支持されるため、保持テーブルの支持によってワークの機能層に傷がつくことがない。さらに、保持テーブル、移動機構、レーザービーム照射ユニットが、ワークの下側に配置されるため、装置を低重心として安定性を向上させることができる。
【0008】
また本発明は、上記レーザー加工装置において、前記レーザービーム照射ユニットによるレーザービーム照射によって剥離して飛散するガラス基板に積層された機能層を吸引除去する吸引機構を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザービームがガラス基板側からガラス基板と機能層との境界面に集光点を合わせて照射することにより、ガラス基板に積層された機能層の一部を、ガラス基板から効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るレーザー加工装置の実施の形態を示す図であり、レーザー加工装置の斜視図である。
【図2】本発明に係るレーザー加工装置の実施の形態を示す図であり、保持テーブル移動機構の斜視図である。
【図3】本発明に係るレーザー加工装置の実施の形態を示す図であり、レーザー加工装置の断面図である。
【図4】本発明に係るレーザー加工装置の実施の形態を示す図であり、レーザー加工の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、本発明を、ガラス基板から機能層としての太陽電池膜の周縁部分を剥離させる構成に適用した例について説明するが、この構成に限定されるものではない。本発明は、レーザー加工によってガラス基板から機能層を剥離させる構成であれば、どのような構成にも適用することも可能である。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係るレーザー加工装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るレーザー加工装置の斜視図である。
【0013】
図1に示すように、レーザー加工装置1は、基台2上の保持テーブル3に保持されたワークWを、ワークWの下方に設けられたレーザービーム照射ユニット4に対して相対移動させて、ワークWを加工するように構成されている。ワークWは、上面視四角形状に形成され、ガラス基板11上に機能層としての太陽電池膜12を積層して形成されている。太陽電池膜12は、基板上に透明電極膜、半導体膜、金属電極膜等を積層して形成されている。
【0014】
保持テーブル3は、ワークWのガラス基板11側を吸着保持するものであり、加工送り方向となるX軸方向に前後動される。この保持テーブル3の側方には、保持テーブル3の移動経路を挟んで、一対のレーザービーム照射ユニット4の加工ヘッド38が基台2上の開口部14から突出されると共に、レーザー加工によってワークWから剥離した加工屑を吸引除去する一対の吸引機構5とが設けられている。
【0015】
一対の吸引機構5は、基台2の上面から突出されており、上部が加工ヘッド38側に延びて側面視略L字状に形成されている。各吸引機構5の吸引口は、加工ヘッド38に対して上下方向において対向し、内部に形成された吸引路を介して、基台2内の図示しない吸引源に接続されている。各吸引機構5は、レーザービーム照射ユニット4に同期して駆動し、レーザー加工で飛散した加工屑が、ワークWに付着するのを防止する。
【0016】
また、基台2の上面中央には、保持テーブル3の移動経路に沿って矩形状の開口部16が形成されている。この開口部16は、保持テーブル3と共に移動可能な蛇腹状の防塵カバー18、19により被覆されている。防塵カバー18、19の下方には、保持テーブル3をX軸方向に移動させるテーブル移動機構6(移動機構)(図2参照)が設けられている。また、基台2内には、テーブル移動機構6を挟んで、加工ヘッド38の先端側を基台2外に露出させた状態で、一対のレーザービーム照射ユニット4が配置されている(図3参照)。
【0017】
次に、図2を参照して、保持テーブルを有するテーブル移動機構について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る保持テーブル移動機構の斜視図である。
【0018】
図2に示すように、テーブル移動機構6は、X軸方向に延在する支持台21と、支持台21上に配置された互いに平行な一対のガイドレール22と、一対のガイドレール22にスライド可能に配置されたモータ駆動のX軸テーブル23とを有している。X軸テーブル23の背面側には、図示しないナット部が形成され、このナット部にボールネジ24が螺合されている。ボールネジ24の一端部には、駆動モータ25が連結され、この駆動モータ25によりボールネジ24が回転駆動される。また、テーブル移動機構6は、図示しないリニアエンコーダを有し、リニアエンコードによりX軸テーブル23の移動位置を調整する。
【0019】
X軸テーブル23の上部には、保持テーブル3が設けられている。保持テーブル3は、X軸テーブル23の上面に固定され、Z軸周りに回転可能なワーク保持部回転機構27(図3参照)と、ワーク保持部回転機構27の上部に設けられ、ワークWを吸着保持するワーク保持部28とを有している。ワーク保持部回転機構27は、図示しないロータリーエンコーダを有し、ロータリーエンコーダによりワーク保持部28の回転角度を調整する。
【0020】
ワーク保持部28は、上面視四角形の板状であり、ワークWの外周縁よりも小さく形成されている。すなわち、ワーク保持部28は、上面に対してワークWの周縁部分を外側にはみ出させるようにして、ワークWを保持する。この場合、ワーク保持部28からはみ出たワークWの周縁部分は、加工ヘッド38に対向され、下側に位置する加工ヘッド38からレーザービームが照射される。また、ワーク保持部28の中央部分は、吸着面29となっており、この吸着面29は基台2内に配置された図示しない吸引源に接続されている。
【0021】
次に、図3を参照して、基台内部に配置されたレーザービーム照射ユニットについて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るレーザー加工装置の断面図である。なお、図3において、一点鎖線は、加工ヘッドの移動範囲を示し、二点鎖線は、レーザービームの光路を示している。
【0022】
図3に示すように、基台2の内部は、隔壁31によって、テーブル移動機構6用の収容部32とレーザービーム照射ユニット4用の収容部33とに仕切られている。レーザービーム照射ユニット4は、隔壁31に突設された支持板34の下方に配置され、レーザービームを発振する発振器37と、支持板34上に配置され、発振器37から発振されたレーザービームをワークWに向けて照射する加工ヘッド38とを有している。また、基台2の隔壁31に対向する側壁35には、発振器37で発振されたレーザービームを加工ヘッド38に案内するミラー41、42が設けられている。
【0023】
加工ヘッド38は、レーザービームを集光する集光レンズ43と、ミラー41、42によって案内されたレーザービームを集光レンズ43に向けて反射するガルバノミラー44とを有している。集光レンズ43は、上下動可能に構成されており、ワークWのガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46に集光点が合うように調整される。また、集光レンズ43は、単レンズ、または組み合わせレンズで構成されている。ガルバノミラー44は、図示しない駆動源によって往復揺動可能に構成されており、集光レンズ43を介してレーザービームの照射スポットをY軸方向に往復走査する。この照射スポットの走査量(振れ量)は、ワーク保持部28の上面に対するワークWの所望の除去幅に応じて調整される。
【0024】
また、支持板34には、加工ヘッド38をY軸方向に移動させるヘッド移動機構(集光レンズ移動機構)47が設けられている。ヘッド移動機構47は、加工ヘッド38のY軸方向の位置合わせをするものであり、ワーク保持部28に保持されるワークWの所望の除去幅に応じて加工ヘッド38を位置合わせする。ヘッド移動機構47は、Y軸方向に延在する支持台51と、支持台51のガイドに沿って移動可能に配置されたモータ駆動のY軸テーブル52とを有している。Y軸テーブル52には、図示しないナット部が形成され、このナット部に送りネジ53が螺合されている。送りネジ53の一端部には、駆動モータ54が連結され、この駆動モータ54により送りネジ53が回転駆動される。
【0025】
また、基台2には、吸引機構5をY軸方向に移動させる吸引機構移動機構48が設けられている。吸引機構移動機構48は、吸引機構5のY軸方向の位置合わせをするものであり、ヘッド移動機構47の駆動に伴って吸引口が加工ヘッド38に対向するように位置合わせする。吸引機構移動機構48は、Y軸方向に延在する支持台56と、支持台56のガイドに沿って移動可能に配置されたモータ駆動のY軸テーブル57とを有している。Y軸テーブル57には、図示しないナット部が形成され、このナット部に送りネジ58が螺合されている。送りネジ58の一端部には、駆動モータ59が連結され、この駆動モータ59により送りネジ58が回転駆動される。
【0026】
このように、ワークWが保持テーブル3によって下側から支持されると共に、テーブル移動機構6、レーザービーム照射ユニット4がワークWの下方の基台2内に収容されるため、レーザー加工装置1を低重心として安定性を向上させることが可能となっている。
【0027】
図4を参照して、レーザー加工装置によるレーザー加工について説明する。図4は、レーザー加工装置によるレーザー加工の説明図である。
【0028】
図4(a)に示すように、ワークWは、ガラス基板11を下側に向けてワーク保持部28に保持されている。このとき、ワークWの外縁部分は、レーザー加工可能なようにワーク保持部28からはみ出されている。また、ワークWは、ガラス基板11側がワーク保持部28に保持されるため、機能層である太陽電池膜12がワーク保持部28との接触によって傷つけられることがない。
【0029】
加工ヘッド38は、ヘッド移動機構47によってワークWの除去幅Lに応じて、Y軸方向で位置合わせされている。具体的には、加工ヘッド38は、ワークWの除去幅Lの略中間位置に位置合わせされている。また、吸引機構5は、吸引機構移動機構48によって吸引口が加工ヘッド38に対向するように位置合わせされている。加工ヘッド38の集光レンズ43は、ワークWのガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46に集光点が合うように位置調整されている。なお、集光点を境界面46に合わせるとは、集光点が境界面46に完全に合わされる状態だけでなく、本発明と同様な効果を有する範囲内、すなわち、太陽電池膜12の剥離時にガラス基板11を破損させない程度の範囲内で、集光点が境界面46から外れていてもよい。
【0030】
レーザー加工が開始されると、発振器37から発振されたレーザービームは、ミラー41、42を介して加工ヘッド38に入射される。加工ヘッド38に入射されたレーザービームは、ガルバノミラー44によって集光レンズ43を介してワークWに向けて反射される。ワークWに向けられたレーザービームは、ガラス基板11を透過して、ガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46を照射する。このとき、レーザービームの集光点は、ガルバノミラー44の矢印F1に示す往復揺動によって、ガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46を矢印F2に示すY軸方向に走査される。
【0031】
図4(b)に示すように、ガラス基板11と太陽電池膜12の境界面46に照射されたレーザービームは、境界面46を加熱して、太陽電池膜12を境界面46側から熱膨張させて吹き飛ばす。このときの境界面46の温度は、ガラス基板11に積層される機能層の材質によって異なるが、レーザービームによって機能層を加工する構成と比較して、低エネルギーでレーザー加工することができる。したがって、レーザー加工によってガラス基板11が破損することが防止される。
【0032】
また、発振器37のレーザービームの発振と同時に、保持テーブル3がX軸方向に加工送りされる。このようにして、上面視四角形状のワークWの対向する2辺において、ガラス基板11から太陽電池膜12が除去される。ガラス基板11から吹き飛ばされた太陽電池膜12の加工屑は、吸引機構5によって上方に吸い上げられ、ワークWに付着することが防止される。
【0033】
ここで、レーザー加工装置の全体動作について説明する。まず、ガラス基板11側を下向きにしてワークWがワーク保持部28に保持される。このとき、ワークWは、ワーク保持部28からワークWの周縁部分がはみ出した状態で載置される。次に、ヘッド移動機構47によって加工ヘッド38がワークWの周縁部分に対して位置合わせされると共に、吸引機構移動機構48によって吸引機構5がワークWの周縁部分に対して位置合わせされる。次に、レーザービームの集光点がガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46となるように加工ヘッド38の集光レンズ43が位置調整される。
【0034】
次に、レーザー加工装置1が稼働され、発振器37から発振されたレーザービームがミラー41、42を介して加工ヘッド38に入射され、加工ヘッド38から出射されて、ワークWのガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46に照射される。このとき、レーザービームは、ガルバノミラー44の往復揺動により、ワークWの周縁部分の境界面46においてY軸方向に往復走査される。
【0035】
レーザービーム照射ユニット4が駆動されると、保持テーブル3がX軸方向に加工送りされ、ワークWの対向する2辺が同時に加工される。このとき、ガラス基板11から剥離された太陽電池膜12の加工屑が吸引機構5によって吸引される。続いて、ワーク保持部回転機構27によって保持テーブル3が90度回転され、ワークWの残りの2辺がX軸方向に平行に調整される。そして、保持テーブル3がX軸方向に加工送りされ、ワークWの残りの対向する2辺が同時に加工される。
【0036】
このようにして、ワークWの太陽電池膜12の周縁部分がガラス基板11から剥離される。太陽電池膜12の周縁部分が除去されたワークWは、後工程において接着シートを介してカバーシートが接着され、太陽電池膜12が除去された部分がシールされて太陽電池パネルが製造される。なお、上記したレーザー加工装置の加工動作においては、保持テーブル3の加工速度や集光点の走査速度を調整することによって、保持テーブルの1往復動作によってワークWの4辺を加工することが可能である。すなわち、保持テーブル3の後方への移動時にワークWの対向する2辺を加工し、保持テーブル3の前方への戻り時にワークWの残りの対向する2辺を加工する。このような動作により、ワークWをより効率的に加工することが可能となる。
【0037】
以上のように、本実施の形態に係るレーザー加工装置1によれば、レーザービームがガラス基板11側からガラス基板11と太陽電池膜12との境界面46に集光点を合わせて照射され、境界面46における熱膨張により太陽電池膜12がガラス基板11から剥離される。このため、太陽電池膜12に直にレーザービームを照射する構成と比較して、低エネルギーのレーザービームで太陽電池膜12をガラス基板11から剥離できるため、ガラス基板11の破損を防止することが可能となる。また、ワークWは、ガラス基板11側を下方にして、下側から保持テーブル3によって支持されるため、保持テーブル3の支持によってワークWの太陽電池膜12に傷がつくことがない。さらに、保持テーブル3、テーブル移動機構6、レーザービーム照射ユニット4が、ワークWの下側に配置されるため、装置を低重心として安定性を向上させることが可能となる。
【0038】
なお、上記した実施の形態においては、レーザー加工装置は、加工ヘッドの集光レンズを位置調整することによって、ワークのガラス基板と機能層との境界面に集光点を合わせる構成としたが、この構成に限定されるものではない。レーザー加工装置は、ワークの境界面に集光点を合わせることができる構成であればよく、例えば、保持テーブルを上下動させることによって、ワークの境界面に集光点を合わせる構成としてもよい。
【0039】
また、上記した実施の形態においては、レーザー加工装置は、ワークの機能層の周縁部分を剥離する構成としたが、この構成に限定されるものではない。レーザー加工装置は、用途に合わせて、ワークの少なくとも一部から機能層を剥離する構成に適用できる。この場合、保持テーブルは、ワークの機能層を剥離させる部分を、レーザービームで照射可能に露出させる。
【0040】
また、上記した実施の形態においては、機能層として、太陽電池膜を例示して説明したが、この構成に限定されるものではない。機能層は、ガラス基板に積層されて特定の機能を付与させるものであれば、どのようなものでもよい。また、機能層が積層されるガラス基板の代わりに、透過性を有する基板を用いてもよい。
【0041】
また、上記した実施の形態においては、レーザー加工装置は、ワークに対して下側からレーザービームを照射する構成としたが、ワークに対して上側からレーザービームを照射する構成としてもよい。この場合、レーザー加工装置は、保持テーブルによってガラス基板を上向きにして上方から吸着保持し、ガラス基板側(上側)からワークに対してレーザービームを照射するように構成する。
【0042】
また、上記した実施の形態においては、ヘッド移動機構が、保持テーブルが加工送りされるX軸方向に直交するY軸方向に加工ヘッドを移動する構成としたが、この構成に限定されるものではない。ヘッド移動機構は、加工ヘッドをX軸方向に斜めに交差する方向に加工ヘッドを移動する構成としてもよい。
【0043】
また、上記した実施の形態においては、レーザー加工装置は、レーザー加工中にワークから飛散した加工屑を吸引除去する吸引機構を有する構成としたが、この構成に限定されるものではない。レーザー加工装置は、ワークに対して加工屑が付着するのを抑制する機構を有すればよく、例えば、加工屑を吹き飛ばすブロア機構を有してもよい。
【0044】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明は、ガラス基板に積層された機能層の一部を、ガラス基板から効率よく除去することができるという効果を有し、特に、太陽電池等のガラス基板上に機能層を有するワークを加工するレーザー加工装置に有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 レーザー加工装置
3 保持テーブル
4 レーザービーム照射ユニット
5 吸引機構
6 テーブル移動機構(移動機構)
11 ガラス基板
12 太陽電池膜(機能層)
27 ワーク保持部回転機構
28 ワーク保持部
37 発振器
38 加工ヘッド
41、42 ミラー
43 集光レンズ
44 ガルバノミラー
46 境界面
47 ヘッド移動機構(集光レンズ移動機構)
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板に機能層が積層されたワークを保持する保持テーブルと、前記保持テーブルに保持されたワークにレーザービームを照射するレーザービーム照射ユニットと、前記保持テーブルと前記レーザー照射ユニットとを相対的に移動させる移動機構と、を有するレーザー加工装置であって、
前記保持テーブルは、ワークの外縁よりも小さい上面を有しワークのガラス基板を下側から支持するワーク保持部と、前記ワーク保持部を鉛直方向を回転軸として回転させるワーク保持部回転機構と、を有し、
前記レーザービーム照射ユニットは、レーザービームを発振する発振器と、前記発振器から発振されたレーザービームをガラス基板側からガラス基板と機能層との境界面に集光点を合わせて集光することによって前記機能層を前記ガラス基板から剥離させて飛散させる集光レンズと、前記集光レンズを前記移動機構による移動方向と交わる方向に移動させる集光レンズ移動機構と、を有することを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
前記レーザービーム照射ユニットによるレーザービーム照射によって剥離して飛散するガラス基板に積層された機能層を吸引除去する吸引機構を有することを特徴とする請求項1に記載のレーザー加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−147953(P2011−147953A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10026(P2010−10026)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】