説明

ロッカー装置

【課題】ロッカーの利用開始時にロッカーボックスの解錠用の暗証番号を印字したレシートを発行するロッカー装置において、プリンタのロール紙の用紙切れが発生してもロッカー装置の可動を継続できるようにするとともに、解錠用の暗証番号の秘匿を図る。
【解決手段】集中制御装置1内のレシート発行部3に、第1プリンタPRT1と第2プリンタPRT2の2台のプリンタを設ける。利用開始時にロッカーボックス2の解錠用の暗証番号を生成し、一方のプリンタで暗証番号を印字したレシートの発行を行う。発行中に用紙切れが発生した場合、新たな暗証番号を生成し、他方のプリンタで新たな暗証番号を印字したレシートを発行する。または、用紙切れが発生した場合には発行したレシートをレシート排出口3aの内側に保持し、他方のプリンタでレシートを発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駅構内に設置され、複数の利用者にロッカーボックスを利用可能としたロッカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅構内等に配置される貸しロッカーとして、利用料金の投入あるいはICカード等の電子マネーで利用できるものが広くしれられている。利用料金の投入時には、利用するロッカーボックスに固有の暗証番号が生成され、その暗証番号を印字したレシートが発行される。そして、荷物の取り出し時にはそのレシートに印字された暗証番号を入力することによりロッカーボックスが解錠される。
【0003】
このようなレシートを発行するにはプリンタが使用されるが、プリンタのロール紙が無くなると、少なくとも暗証番号による稼動ができなくなるので、管理者はロール紙を随時補充する必要がある。管理者は投入料金の回収などの管理を行うが、このときロール紙が残り少なくなっていると、ロール紙に残りがあるにも関わらず、多くの場合、二度手間を省くために新品のロール紙に取り替えてしまう。しかし、この場合、管理の手間を省くことができるが、ロール紙を無駄にすることになる。
【0004】
これに対して、特許第3158618号公報(特許文献1)には、2台の印字装置(プリンタ)を備え、一方の印字装置のロール紙が無くなったこと、すなわちロール紙の用紙切れを検出すると、他方の印字装置で印字を行うようにした伝票処理機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3158618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ロッカー装置において、特許文献1のように2台のプリンタにぞれぞれロール紙を持ち、一方のプリンタでロール紙の用紙切れが検出された場合は、他方のプリンタでレシートを印字して発行するようにすれば、ロッカーの利用が中断することもない。しかしながら、ロッカーの利用時には暗証番号がレシートに印字されるので、印字途中にロール紙の用紙切れとなって暗証番号の全部あるいは一部が印字されたレシートを不用意に処理すると、ロッカーボックスを解錠するための暗証番号の秘匿という観点から問題がある。
【0007】
本発明は、複数のロッカーボックスを利用料金の支払いにより利用可能とし、利用料金の支払いによってロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置において、レシートの印字用のロール紙の用紙切れによりロッカーの利用開始が極力中断されないようにするとともに、ロッカーボックスを解錠するための暗証番号を秘匿できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のロッカー装置は、複数のロッカーボックスを備えるとともに、利用料金の支払いによりロッカーボックスを利用可能とし、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置であって、装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行する第1のプリンタと、装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行する第2のプリンタと、を備え、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を生成するとともに、一方のプリンタにて前記生成した暗証番号をロール紙に印字してレシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで用紙切れが検出された場合、前記生成した暗証番号と異なる新たな暗証番号を生成し、他方のプリンタにて該新たな暗証番号をロール紙に印字してレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2のロッカー装置は、複数のロッカーボックスを備えるとともに、利用料金の支払いによりロッカーボックスを利用可能とし、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置であって、前記レシートを排出して該レシートを外部から取り出し可能とするレシート排出口と、装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第1のプリンタと、装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第2のプリンタと、を備え、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を生成するとともに、一方のプリンタにて前記生成した暗証番号をロール紙に印字してレシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで用紙切れが検出された場合、該一方のプリンタのレシート発行処理により発行したレシートを前記レシート排出口より内側に保持し、他方のプリンタにて暗証番号をロール紙に印字してレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3のロッカー装置は、複数のロッカーボックスを備えるとともに、利用料金の支払いによりロッカーボックスを利用可能とし、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置であって、前記レシートを排出して該レシートを外部から取り出し可能とするレシート排出口と、装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第1のプリンタと、装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第2のプリンタと、を備え、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を生成するとともに、一方のプリンタにて前記生成した暗証番号をロール紙に印字してレシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで用紙切れが検出された場合、該一方のプリンタのレシート発行処理により発行したレシートを前記レシート排出口より内側に保持し、前記生成した暗証番号と異なる新たな暗証番号を生成し、他方のプリンタにて該新たな暗証番号をロール紙に印字してレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4のロッカー装置は、請求項1乃至3の何れか一項に記載のロッカー装置であって、前記プリンタにてロール紙の残量が所定の少量となった少量状態を検出可能とし、一方のプリンタにて前記レシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで前記少量状態が検出された場合、他方のプリンタにてレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1のロッカー装置によれば、第2のプリンタを備え、一方のプリンタでロッカーボックスの解錠用の暗証番号を印字したレシートを発行中にロール紙の用紙切れが発生した場合、その暗証番号とは異なる新たな暗証番号を生成して、他方のプリンタでその新たな暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたので、用紙切れによりロッカーの利用開始の中断を防止できるとともに、ロッカーボックスを解錠するための暗証番号を秘匿できる。
【0013】
請求項2のロッカー装置によれば、第2のプリンタを備え、一方のプリンタでロッカーボックスの解錠用の暗証番号を印字したレシートを発行中にロール紙の用紙切れが発生した場合、この一方のプリンタで発行したレシートをレシート排出口より内側に保持し、他方のプリンタにて暗証番号を印字してレシートを発行するようにしたので、用紙切れによりロッカーの利用開始の中断を防止できるとともに、ロッカーボックスを解錠するための暗証番号を秘匿できる。
【0014】
請求項3のロッカー装置によれば、請求項1及び2と同様な効果が得られるとともに、用紙切れが発生した場合に、暗証番号を印字したレシートは排出しないで、かつ、新たな暗証番号を生成して、他方のプリンタでその新たな暗証番号を印字したレシートを発行するので、さらに暗証番号の秘匿性が高まる。
【0015】
請求項4のロッカー装置によれば、請求項1乃至3と同様な効果が得られるとともに、一方のプリンタでレシートを発行して、ロール紙の少量状態が検出された場合には、次回は、他方のプリンタでレシートを発行するようにしたので、用紙切れが検出されるまでは、両方のプリンタが交互に稼動して、両方のロール紙を最後まで使うことができる。すなわち、最初に用紙切れが発生するまでは2台のロール紙を連続して使うのと同様になり、最初に用紙切れが発生するまでの時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態のロッカー装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態のロッカー装置の外観正面図である。
【図3】実施形態のロッカー装置の集中制御装置の内部を示す正面図及び側断面図である。
【図4】実施形態における第1プリンタ及び第2プリンタの要部概略構成を示す図である。
【図5】実施形態における待機状態の画面を示す図である。
【図6】実施形態における起動チェック処理のフローチャートである。
【図7】実施形態における預け入れ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明のロッカー装置の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態のロッカー装置のブロック図、図2は実施形態のロッカー装置の外観正面図、図3は実施形態のロッカー装置の集中制御装置1の内部を示す正面図(図3(A) )及び側断面図(図3(B) )である。このロッカー装置は、現金(紙幣や硬貨)またはICカードによりロッカーを利用できる電子マネー対応機であり、コンピュータ等からなる制御ユニット10を内蔵した集中制御装置1を有している。
【0018】
集中制御装置1の両側及び下側に、複数のロッカーボックス2が配置されており、各ロッカーボックス2は、制御ユニット10からの制御信号に基づいてロッカー扉2aを施解錠する錠装置21等を備えている。集中制御装置1内には、利用者にレシートを発行するレシート発行部3、紙幣を検出する紙幣検出器4、硬貨を検出する検銭器5、ICカードに対してデータの読み書きを行うカードリーダ/ライター6、利用者等に情報を表示するLCD表示器7等を備えている。集中制御装置1の前面には、レシート発行部3によりレシートを排出するためのレシート排出口3a、紙幣を挿入するための紙幣挿入口4a、硬貨を投入するための硬貨投入口5a、ICカードとの間で電波を送受信するカードリーダ/ライター6のカード操作部6a、LCD表示器7のタッチパネルからなる操作表示画面7a等が配設されている。
【0019】
図3に示すように、レシート発行部3は、第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2を備えている。第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2は、それぞれロール紙Rを備えている。図4は第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2の要部概略構成を示す図である。この第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRTは、用紙切れ検出器a、印字ヘッドb、オートカッタc、排出ローラd、排出路e、給紙ローラf、ニアエンド検出器g及び抜き取り検出器hを備えている。
【0020】
ロール紙Rは、給紙ローラfを通して、印字ヘッドb及びオートカッタcにセットされる。印字動作を行うときは、給紙ローラfによりロール紙Rが引き出され、印字ヘッドbにより、利用料金、ロッカー番号、暗証番号等がロール紙Rの引き出し部分に順次印字される。この引き出し部の先端は排出ローラdに達して、排出ローラdにより僅かに送りだされ、この引き出し部の先端が排出ローラdに挟まれた状態で排出ローラdの回転が停止される。この間も、印字動作が行われ、給紙ローラfにより引き出される引き出し部は、図に一点鎖線で示したように、排出ローラdとオートカッタcとの間で撓むようになる。
【0021】
印字が終了すると、引き出し部の後部がオートカッタcにより切断され、この切断片となった引き出し部がレシートとなる。ここで、ロール紙Rの用紙切れや印字エラーが発生していない場合には、レシートは排出ローラdにより排出路eを進んで、レシート排出口3aから一部が露出された状態で排出ローラdが停止する。これにより、一部露出したレシートを利用者が引き出すことができる。なお、第1プリンタPRT1または第2プリンタPRT2が稼動するときは、図2に示すレシート排出口3aの上部に配置されたLED3bが点灯する。一方、ロール紙Rの用紙切れやエラーが発生した場合には、レシートは排出されない。なお、排出ローラdを逆回転してレシートを集中制御装置1内の所定の位置に回収するようにしてもよい。
【0022】
用紙切れ検出器a及びニアエンド検出器g及び抜き取り検出器hは例えば光学式のセンサであり、用紙切れ検出器aは印字ヘッドbの直前を通過する用紙が無くなると用紙切れを検出する。ニアエンド検出器gはロール紙Rの巻き径が所定量まで小さくなったとき、すなわちロール紙の残量が所定の少量となったニアエンド状態(少量状態)として検出する。また、抜き取り検出器hは排出路eの入口でレシートが無くなると、利用者によるレシートの抜き取りを検出する。なお、レシートが排出されると、ブザー音やメッセージ等のアラーム等により利用者にお知らせをし、レシートが抜き取られるとアラーム等が停止する。
【0023】
図1に示すように、制御ユニット10には、各ロッカーボックス2の各錠装置21、レシート発行部3の第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2が接続されている。また、制御ユニット10には、紙幣検出器4、検銭器5、カードリーダ/ライター6、LCD表示器7及びデータ通信部61が接続されている。制御ユニット10は、LCD表示器7への表示データの出力と、このLCD表示器7のタッチパネルの操作状態の検出を行う。また、紙幣検出器4での紙幣の検出、検銭器5での硬貨の検出等を行い、錠装置21の施解錠の制御を行う。なお、カードリーダ/ライター6、はデータ通信部61に接続され、データ通信部61は無線電話回線を介し管理センター等との間でデータの授受を行う。
【0024】
図5はロッカー装置における操作表示画面7aの待機画面の表示例を示す図である。この待機画面では、「預け入れ」、「取り出し」、「残高照会」、「ご利用案内」とそれぞれ記された画面ボタンB1、B2、B3、B4が表示される。そして、荷物の預け入れ時(利用開始時)には「預け入れ」の画面ボタンB1を操作し、荷物の取り出し時には「取り出し」の画面ボタンB2を操作する。なお、「残高照会」の画面ボタンB3はICカードの残高を参照するときに操作し、「ご利用案内」の画面ボタンB4は操作方法等を参照するときに操作する。
【0025】
また、この待機画面には、第1プリンタPR1の状態を示す状態表示D1、第2プリンタPR2の状態を示す状態表示D2が表示される。この状態表示D1、D2にはそれぞれの第1プリンタPRT1、第2プリンタPRT2について、稼働中状態、ニアエンド状態の検出状態、用紙切れ状態、異常状態をそれぞれ表示する。
【0026】
次に図6及び図7のフローチャートに基づいてロッカー装置における制御ユニット10の制御動作を説明する。なお、制御ユニット10は図示しないメモリに制御用の各種フラグ領域を設定しており、以下の処理において、第1プリンタPRT1を稼動状態とするか非稼動状態とするかを示すPRT1稼動フラグ、第2プリンタPRT2を稼動状態とするか非稼動状態とするかを示すPRT2稼動フラグを用いる。また、このロッカー装置においては、例えば管理者が操作する管理者モードにおいて前記ニアエンド状態を検出して処理をする「ニアエンド検出モード」の設定が切り換え可能となっている。
【0027】
図6は初期起動時の起動チェック処理のフローチャートであり、まず、ステップS1で、第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2が正常であるか否かの状態チェックを行う。次に、ステップS2で第1プリンタPRT1が正常であるかを判定し、正常でなければ、ステップS3で第2プリンタPRT2が正常であるかを判定する。第2プリンタPRT2も正常でなければ「レシート発行不可状態」に移行する。この「レシート発行不可状態」では、ICカードのみによる利用に限定した処理を行う。なお、このときは、例えば操作表示画面7aに、現金での利用はできずICカードによる利用のみである旨の表示、レシートは発行されない旨の表示を行う。また、同時に、待機画面上では第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2とも、異常であったとして、状態表示D1、D2に異常状態と表示する。
【0028】
第1プリンタPRT1が正常でなく、第2プリンタPRT2が正常な場合には、ステップS4でPRT2稼動フラグを「ON」にする。これにより「第2プリンタPRT2稼動状態」となる。第1プリンタPRT1が正常であれば、ステップS5で第2プリンタPRT2が正常であるかを判定する。第2プリンタPRT2が正常でなければステップS6でPRT1稼動フラグを「ON」にする。これにより「第1プリンタPRT1稼動状態」となる。
【0029】
第1プリンタPRT1と第2プリンタPRT2とが両方とも正常であれば「ダブル動作可能状態」とし、ステップS7でPRT1稼動フラグが「ON」であるかを判定する。PRT1稼動フラグが「ON」であれば、ステップS8で確認のためにPRT1稼動フラグを「ON」にする。これにより「第1プリンタPRT1稼動状態」となる。ステップS7でPRT1稼動フラグが「ON」でなければ、ステップS9でPRT2稼動フラグが「ON」であるかを判定する。PRT2稼動フラグが「ON」であれば、ステップS10でPRT2稼動フラグを「ON」にする。これにより「第2プリンタPRT2稼動状態」となる。ステップS9でPRT2稼動フラグが「ON」でなければ、ステップS8でPRT1稼動フラグを「ON」にする。これにより「第1プリンタPRT1稼動状態」となる。
【0030】
以上の処理により、ロッカー装置の最初の起動時には、PRT1稼動フラグ、PRT2稼動フラグがともに「OFF」であるが、ステップS7→S9→S8と移行して、「第1プリンタPRT1稼動状態」となる。その後、ロッカー装置の再起動時には、PRT1稼動フラグ、PRT2稼動フラグの状態により第1プリンタPRT1または第2プリンタPRT2が有効になる。また、第1プリンタPRT1と第2プリンタPRT2の一方に異常があった場合には他方が有効となり、両方に異常があった場合には「レシート発行不可状態」となる。
【0031】
図7はロッカーの利用開始時の預け入れ処理のフローチャートであり、まず、ステップS11で、荷物預け入れ操作の処理を行う。利用開始時には、利用者がロッカーボックス2に荷物を入れて、ロッカー扉2aを閉めて所定の施錠スイッチを操作する。そして、集中制御装置1の操作表示画面7aの「預け入れ」の画面ボタンB1を操作する。これらの操作に応じた処理を上記ステップS11で行う。
【0032】
次に、ステップS12で紙幣や硬貨を投入する現金利用であるか否かを判定し、現金利用でなければICカードによる利用であるので、そのままステップS14に進む。現金利用であれば、ステップS13で、利用しようとしているロッカーボックス2に対応して、そのロッカーボックス2の解錠用の暗証番号を生成し、ステップS14に進む。ステップS14では、PRT1稼動フラグとPRT2稼動フラグの何れが「ON」であるかを判定する。PRT1稼動フラグが「ON」であればステップS15以降で第1プリンタPRT1によるレシートの発行処理を行い、PRT2稼動フラグが「ON」であれば、ステップS23以降で第2プリンタPRT2によるレシートの発行処理を行う。
【0033】
ステップS15では、第1プリンタPRT1による印字処理を行い、ステップS16で、第1プリンタPRT1における印字処理中に用紙切れが発生したかを判定する。用紙切れが発生していなければ、ステップS17で第1プリンタPRT1に印字エラーが発生していないかを判定する。印字エラーが発生していなければ、ステップS18でレシートをカットし、ステップS19でレシートを排出する。そして、ステップS20でニアエンド状態が検出されているかを判定し、ニアエンド状態が検出されていなければ処理を終了する。ステップS20でニアエンド状態が検出されていれば、ステップS21で、当該ロッカー装置がニアエンド検出モードの設定となっているかを判定する。ニアエンド検出モードの設定がなされていなければ処理を終了し、ニアエンド検出モードの設定がなされていれば、ステップS22でPRT稼動フラグを切り換えて処理を終了する。このPRT稼動フラグの切り換えは、PRT1稼動フラグを「OFF」にし、PRT2稼動フラグを「ON」にする処理である。
【0034】
ステップS14でPRT2稼動フラグが「ON」であった場合は、ステップS23で、第2プリンタPRT2による印字処理を行い、ステップS24で、第2プリンタPRT2における印字処理中に用紙切れが発生したかを判定する。用紙切れが発生していなければ、ステップS25で第2プリンタPRT2に印字エラーが発生していないかを判定する。印字エラーが発生していなければ、ステップS26でレシートをカットし、ステップS27でレシートを排出する。そして、ステップS28でニアエンド状態が検出されているかを判定し、ニアエンド状態が検出されていなければ処理を終了する。ステップS28でニアエンド状態が検出されていれば、ステップS29で、当該ロッカー装置がニアエンド検出モードの設定となっているかを判定する。ニアエンド検出モードの設定がなされていなければ処理を終了し、ニアエンド検出モードの設定がなされていれば、ステップS30でPRT稼動フラグを切り換えて処理を終了する。このPRT稼動フラグの切り換えは、PRT2稼動フラグを「OFF」にし、PRT1稼動フラグを「ON」にする処理である。なお、図7ではレシート発行の完了前にニアエンド検出を行っているが、レシート発行完了後の待機状態でニアエンド検出を行い、PRT稼動フラグの切り換えを行ってもよい。
【0035】
以上のステップS15〜S22の処理により、第1プリンタPRT1による通常のレシートの発行動作が行われ、ステップS23〜S30の処理により、第2プリンタPRT2による通常のレシートの発行動作が行われる。なお、レシートに印字される内容は、現金利用の場合には、ステップS13で生成した暗証番号、利用料金、ロッカー番号、ロッカー装置のロケーション等の情報が印字される。ICカードによる利用の場合には暗証番号は印字されない。
【0036】
第1プリンタPRT1に係るステップS16、ステップS17において、用紙切れが発生していた場合、印字エラーが発生した場合は、それぞれステップS31に進む。同様に、第2プリンタPRT2に係るステップ25、ステップS26において、用紙切れが発生していた場合、印字エラーが発生した場合は、それぞれステップS31に進む。
【0037】
ステップS31では、他方のプリンタPRTが用紙切れ状態またはエラー状態であるかを判定する。他方のプリンタPRTが用紙切れ状態またはエラー状態の場合、すなわち、第1プリンタPRT1及び第2プリンタPRT2がともに稼動できない場合は、図6の前記「レシート発行不可状態」に移行する。そして、他方のプリンタPRTが用紙切れ状態でもエラー状態でもなければ、ステップS32で、PRT稼動フラグを切り換えて、ステップS12に戻って同様の処理を行う。このステップS32のPRT稼動フラグの切り換えは、第1プリンタPRT1で用紙切れ状態またはエラー状態が発生してステップS31に移行した場合には、PRT1稼動フラグを「OFF」にし、PRT2稼動フラグを「ON」にする。他方、第2プリンタPRT2で用紙切れ状態またはエラー状態が発生してステップS31に移行した場合には、PRT2稼動フラグを「OFF」にし、PRT1稼動フラグを「ON」にする。そして、このステップS32でPRT稼動フラグの切り換えを行った場合、ステップS13で新たな暗証番号が生成される。すなわち、用紙切れ等によりPRT稼動フラグの切り換えを行うと、直前に生成した暗証番号は無効となり新たな暗証番号がレシートに印字される。
【0038】
以上の処理により、ニアエンド検出モードの設定がなされていない場合、第1プリンタPRT1と第2プリンタPRT2の切り換え動作は以下のようになる。なお、初期状態では第1プリンタPRT1が稼動状態(PRT1稼動フラグが「ON」)とし、印字エラーは発生しないとする。まず、ロッカーの利用が繰り返されると、第1プリンタPRT1により逐次レシートが発行されてロール紙Rの残量が減少していく。そして、第1プリンタPRT1で用紙切れが発生すると、第2プリンタPRT2が稼動状態となり、新たな暗証番号が生成され、第2プリンタPRT2により新たな暗証番号を印字したレシートが発行される。その後は、ロッカーの利用毎に第2プリンタPRT2によりレシートの発行される。このように、第1プリンタPRT1で用紙切れが発生しても、第2プリンタPRT2でレシートの発行を行うことができ、少なくとも、この第2プリンタPRT2で用紙切れが発生するまでの間、ロール紙を補充する時間に余裕が生まれるので、管理が楽になる。
【0039】
一方、ニアエンド検出モードの設定がなされている場合の動作は以下のようになる。ます、第1プリンタPRT1によりレシートが発行されてロール紙Rの残量が減少していく。そして、第1プリンタPRT1でニアエンド状態となると、第2プリンタPRT2が稼動状態となり、ロッカーの利用により第2プリンタPRT2によりレシートが発行される。第2プリンタPRT2でニアエンド状態となると、第1プリンタPRT1が稼動状態となり、両方のプリンタがロッカーの利用により交互に稼動してレシートが発行される。そして、一方のプリンタで用紙切れが発生すると、再度、他方のプリンタが稼動状態となり、新たな暗証番号が生成され、その他方のプリンタにより新たな暗証番号を印字したレシートが発行される。その後は、他方のプリンタで用紙切れが発生するまで、レシートの発行される。このように、ニアエンド検出モードの設定がなされていると、最初に用紙切れが発生するまでは2台のロール紙を連続して使うのと同様になり、最初に用紙切れが発生するまでの時間を長くすることができる。
【0040】
すなわち、ニアエンド検出モード時には、一方のプリンタでニアエンドが検出されると他方のプリンタに切り換えられ、その後のレシートはこの他方のプリンタで発行される。そして、この他方のプリンタでニアエンドが検出されると、両方のプリンタが交互に稼動してレシートが発行し、両方のロール紙を最後まで使う構成となっている。したがって、極力用紙切れを遅らせることができ、暗証番号の再生成を遅らせることが可能となる。すなわち、用紙切れ検出時の処理や暗証番号の再生成の処理によりレシート発行までに時間かけることが極力遅らせることができ、利用者に機器故障等の不安を与えることも防止できる。なお、プリンタにおいてニアエンドを検出するものもあるが、通常はニアエンド検出したプリンタではロール紙を交換しない限り、プリンタを再度使う制御はされない。
【0041】
以上の実施形態では、用紙切れが発生した場合はレシートを排出しないようにしているが、仮に用紙切れが発生した場合のレシートが排出されても、そのレシートの暗証番号は無効となり、新たに生成した暗証番号を印字したレシートが発行されるので、ロッカーボックスの解錠用の暗証番号の秘匿が図れる。
【0042】
なお、以上の実施形態のように、用紙切れが発生した場合にレシートを排出しないようにすると、切り換えたプリンタPRTでレシートに印字する暗証番号は、新たに生成しなくても用紙切れが発生したときの暗証番号でもよい。すなわち、用紙切れが発生したレシートは装置内に回収されているので、ロッカーボックスの解錠用の暗証番号の秘匿が図れる。
【符号の説明】
【0043】
1 集中制御装置
2 ロッカーボックス
3 レシート発行部
3a レシート排出口
PRT1 第1プリンタ
PRT2 第2プリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロッカーボックスを備えるとともに、利用料金の支払いによりロッカーボックスを利用可能とし、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置であって、
装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行する第1のプリンタと、
装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行する第2のプリンタと、を備え、
利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を生成するとともに、一方のプリンタにて前記生成した暗証番号をロール紙に印字してレシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで用紙切れが検出された場合、前記生成した暗証番号と異なる新たな暗証番号を生成し、他方のプリンタにて該新たな暗証番号をロール紙に印字してレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とするロッカー装置。
【請求項2】
複数のロッカーボックスを備えるとともに、利用料金の支払いによりロッカーボックスを利用可能とし、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置であって、
前記レシートを排出して該レシートを外部から取り出し可能とするレシート排出口と、
装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第1のプリンタと、
装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第2のプリンタと、を備え、
利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を生成するとともに、一方のプリンタにて前記生成した暗証番号をロール紙に印字してレシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで用紙切れが検出された場合、該一方のプリンタのレシート発行処理により発行したレシートを前記レシート排出口より内側に保持し、他方のプリンタにて暗証番号をロール紙に印字してレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とするロッカー装置。
【請求項3】
複数のロッカーボックスを備えるとともに、利用料金の支払いによりロッカーボックスを利用可能とし、利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を印字したレシートを発行するようにしたロッカー装置であって、
前記レシートを排出して該レシートを外部から取り出し可能とするレシート排出口と、
装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第1のプリンタと、
装着された独自のロール紙にて前記レシートを発行可能な第2のプリンタと、を備え、
利用開始時にロッカーボックスを解錠するための暗証番号を生成するとともに、一方のプリンタにて前記生成した暗証番号をロール紙に印字してレシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで用紙切れが検出された場合、該一方のプリンタのレシート発行処理により発行したレシートを前記レシート排出口より内側に保持し、前記生成した暗証番号と異なる新たな暗証番号を生成し、他方のプリンタにて該新たな暗証番号をロール紙に印字してレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とするロッカー装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のロッカー装置であって、
前記プリンタにてロール紙の残量が所定の少量となった少量状態を検出可能とし、一方のプリンタにて前記レシート発行処理を行い、該一方のプリンタのレシート発行処理の間に該一方のプリンタで前記少量状態が検出された場合、他方のプリンタにてレシートの発行処理を行うようにしたことを特徴とするロッカー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−97501(P2012−97501A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247259(P2010−247259)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000170598)株式会社アルファ (433)
【出願人】(506226658)株式会社アルファロッカーシステム (39)
【Fターム(参考)】