説明

ロボット装置

【課題】 生物を模倣したロボット装置を提供する。
【解決手段】 生物の感情を模倣したロボット装置であって、不快感の強さを示す変数を保持する不快値保持部33と、不快感を増加させる増加信号の入力を受け付ける増加信号受付部31と、不快感を減少させる減少信号の入力を受け付ける減少信号受付部32と、増加信号の入力に応じて変数の値を増加させ、変数の値が下限値ではない場合に減少信号の入力に応じて変数の値を減少させる更新部34と、変数の値の減少に基づいて、快感の強さを示す値を算出する算出部35とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット装置に関し、特に、ロボット装置を生物に模倣して制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のロボット技術の進展に伴い、ロボットを愛玩動物の代わりとしたり、ロボットが人の日常生活をサポートするなど、生活の場でのロボットの活用が期待されている。このような用途では、人とロボットが頻繁に接触するため、ロボットが人の精神面に与える影響を考慮する必要がある。そこで、ロボットが生活の場に違和感なく溶け込めるように、人に生物的な擬似感覚を与えるロボットの研究が進められている。
【0003】
人に生物的な擬似感覚を与えるロボットとしては、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、ロボットに、行動選択確率に基づいて行動を選択させ、行動に対する報酬をボルツマン分布に適用して新たな行動選択確率を決定させる技術が開示されている。これにより、行動選択確率が、外部状態や内部状態によって一定となることがなく、ロボットに、ユーザを飽きさせないように行動させることができると記載されている。
【特許文献1】特開2003−340759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人に生物的な擬似感覚を与えるロボットは、形態、構造、制御など、さまざまなレベルで生物を模倣することが求められている。
本発明は、生物を模倣した新たなロボット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係るロボット装置は、生物の感情を模倣したロボット装置であって、不快感の強さを示す変数を保持する保持手段と、前記不快感を増加させる増加信号の入力を受け付ける増加信号受付手段と、前記不快感を減少させる減少信号の入力を受け付ける減少信号受付手段と、前記増加信号が受け付けられた場合、前記変数の値を増加させ、前記減少信号が受け付けられた場合、前記変数の値が下限値でなければ前記変数の値を減少させる更新手段と、前記変数の値の減少の度合いに基づいて、快感の強さを示す値を算出する算出手段とを備えることを特徴としている。
【0006】
ここで不快感とは、ロボット装置が置かれた環境やロボット装置自体の状態に対する否定的な評価であり、生物が感じる怒り、悲しみ、驚き、不安感、緊張感、及び退屈感等の精神的な不快感や、飢え、渇き、及び痛み等の身体的な不快感を模倣したものである。一方、快感とは、ロボット装置が置かれた環境やロボット装置自体の状態に対する肯定的な評価であり、不快感が解消された場合に生物が得る快感、例えば、安心感、達成感、開放感、充足感等の快感を模倣したものである。また、増加信号、減少信号としては、ロボット装置自体の状態やロボット装置がおかれた環境の状態に応じて入力される信号や、一定周期や所定のパターンで入力される信号等を用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するための手段に記載した構成により、本発明に係るロボット装置は、不快感が減少したときに快感を得るため、たとえ減少信号が入力されても信号入力時に不快感が蓄積されていなければ快感を得ることがない。従って、本発明に係るロボット装置は緊張や退屈が解消されることで生物が得る達成感や解放感といった類の快感を、擬似的に再現することができる。
【0008】
また、算出手段は、前記変数の減少速度が速いほど、前記快感を示す値として大きな値を算出するとしてもよい。
これによって、不快感が急速に減少したときに強い強度の快感が算出される。従って、本発明に係るロボット装置は、例えば、生物が渇きによる不快感を感じている場面において、飲料をストローで少量づづ飲むことで渇きを癒す場合に比較して、飲料をコップから直接勢いよく飲むことで渇きを癒す場合に満足感を強く感じるといった精神のメカニズムを擬似的に再現することができる。
【0009】
また、前記算出手段は、判定時点での前記変数の値と、前記判定時点から所定時間前までの判定期間における前記変数の最大値との差から前記減少速度を求めるとしてもよい。
これによって、ピーク値が現れるように変数の値が時間変化する場合、ピーク値が現れた時点から所定時間が経過するまでの期間は減少速度の算出の基準にピーク値が用いられる。そのため、当該期間中に変数の値が再度増加しだしたとしても、変数の値がピーク値を超えなければ、変数は減少したと見なされ減少速度として有効な値が算出される。従って、本発明に係るロボット装置は、一度快感が得られるとその後不快感の解消が無くとも快感が暫く持続する感覚を、擬似的に再現することができる。
【0010】
また、前記ロボット装置は、複数種類の不快感に対応して、保持手段、増加信号受付手段、減少信号受付手段、及び更新手段のそれぞれを前記複数種類の不快感と同数備え、前記算出手段は、前記複数の保持手段のそれぞれが保持する変数の減少速度の合計に基づいて、前記快感を示す値を算出するとしてもよい。
これによって、複数種類の不快感が解消された場合に、生物が総合的に感じる複雑な喜びの感情を、擬似的に再現することができる。
【0011】
また、前記算出手段は、前記複数の保持手段のそれぞれが保持する変数の減少速度を、それぞれの変数が対応する不快感の種類に応じて重み付けて合計するとしてもよい。
これによって、算出手段により算出される値は、減少する不快感の種類によって影響を受ける度合いが異なる。従って、本発明に係るロボット装置は、複数種類の不快感が解消された場合に感じる喜びが、不快感の種類によって異なる度合いで影響を受けるという精神のメカニズムを擬似的に再現することができる。
【0012】
また、前記算出手段は、前記変数の減少量が多いほど、前記快感を示す値として大きな値を算出するとしてもよい。
これによって、蓄積されている不快感が大幅に減少したときに強い強度の快感が算出される。そのため、不快感が充分に蓄積されているならば、、減少信号の入力が少ない場合に比べて減少信号の入力が多い場合に、より強い強度の快感が算出される。しかし、いくら減少信号が入力されたとしても、信号入力時に不快感の蓄積量が少なければ、全ての不快感が直ぐに解消されてしまい弱い強度の快感しか算出されない。
【0013】
従って、本発明に係るロボット装置は、例えば、生物が渇きを強く感じている場面において、少量の飲料を飲む場合に比較して、大量の飲料を飲む場合により強く満足感を感じるといった精神のメカニズムや、生物が渇きを少し感じている場合と渇きを強く感じている場合とで、たとえ同量の飲料を飲んだとしても、渇きを強く感じている場合の方が渇きを癒す快感をより強く感じるといった精神のメカニズムを擬似的に再現することができる。
【0014】
また、前記算出手段は、判定時点での前記変数の値と、前記判定時点から所定時間前までの判定期間における前記変数の最大値との差から前記減少量を求めるとしてもよい。
これによって、ピーク値が現れるように変数の値が時間変化する場合、ピーク値が現れた時点から所定時間が経過するまでの期間は減少量の算出の基準にピーク値が用いられる。そのため、当該期間中に変数の値が再度増加しだしたとしても、変数の値がピーク値を超えなければ、変数は減少したと見なされる。従って、本発明に係るロボット装置は、一度快感が得られるとその後不快感の解消が無くとも快感が暫く持続する感覚を、擬似的に再現することができる。
【0015】
また、前記ロボット装置は、複数種類の不快感に対応して、保持手段、増加信号受付手段、減少信号受付手段、及び更新手段のそれぞれを前記複数種類の不快感と同数備え、前記算出手段は、前記複数の保持手段のそれぞれが保持する変数の減少量の合計に基づいて、前記快感を示す値を算出するとしてもよい。
これによって、複数種類の不快感が解消された場合に、生物が総合的に感じる複雑な喜びの感情を、擬似的に再現することができる。
【0016】
また、前記算出手段は、前記複数の保持手段のそれぞれが保持する変数の減少量を、それぞれの変数が対応する不快感の種類に応じて重み付けて合計するとしてもよい。
これによって、算出手段により算出される値は、減少する不快感の種類によって影響を受ける度合いが異なる。従って、本発明に係るロボット装置は、複数種類の不快感が解消された場合に感じる喜びが、不快感の種類によって異なる度合いで影響を受けるという精神のメカニズムを擬似的に再現することができる。
【0017】
また、前記ロボット装置はさらに、前記算出手段により算出される値に基づいて行動を制御する行動制御手段を備えるとしてもよい。あるいは、前記ロボット装置はさらに、前記算出手段により算出される値に基づいて表情を制御する表情制御手段を備えるとしてもよい。
これによって、本発明に係るロボット装置は、不快感の解消により得られる快感を行動や表情として外部へ示すことができる。
【0018】
また、前記ロボット装置はさらに、所定の時点で減少信号が入力された場合に、算出手段により算出される値を予測する予測手段と、前記予測手段による予測がしきい値を越える場合には、前記所定の時点で減少信号の起因となる行動をとるように制御し、前記予測手段による予測がしきい値を越えない場合には、前記所定の時点で増加信号の起因となる行動をとるように制御する行動制御手段とを備えるとしてもよい。
【0019】
これによって、不快感が蓄積されていない状態では如何なる行動をとってもその行動から直接的に快感が得られないため、本発明に係るロボット装置は、少なくとも不快感が蓄積されていない状態では増加信号の起因となる行動を選択することとなる。従って、本発明に係るロボット装置は、従来のロボット装置であれば避けるであろう不快感を増大させる行動をとり、不快感の増大をわざと促進することがある。このような行動の選択は、生き物の振る舞いに強く類似しており、人に生物的な擬似感覚を与える効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るロボット100の利用形態を示す図である。ロボット100は、内蔵のコンピュータシステムの制御により自律動作するロボット装置である。PC200はコンピュータであり、ロボット100の制御に係るパラメータを設定するクライアントアプリケーションが実行される。ロボット100とPC200とは、IEEE 802.11b規格の無線LANを介して通信し、PC200でクライアントアプリケーションを実行して設定したパラメータの値をロボット100へ受け渡すことができる。
【0021】
図に示すようにロボット100は、頭部1と、胴体部2とが連結され、胴体部2の下部には、ロボット100の移動手段として駆動輪3及び駆動輪4が設けられている。
図2は、ロボット100のハードウェア構成を示す図である。頭部1には、ユーザが接触することによる圧力等を感知するタッチセンサ5、CCD型やCMOS型等の固体撮像素子を用いた4つのカメラユニットから構成されるカメラ部6、及びLCD(Liquid Crystal Display)7が設けられている。また、胴体部2には、ロボット100の動作を制御する制御部8、所定時間(例えば1秒)毎にタイマ信号を出力する時計部9、駆動輪3を駆動させるモータ10、駆動輪4を駆動させるモータ11、右腕アクチュエータ12a、左腕アクチュエータ12b、無線LAN通信を制御する無線通信部13、及び各構成要素に電力を供給する電源部14が格納されている。
【0022】
タッチセンサ5は、頭部1の頭頂部に設けられ、頭部1に受けた物理的な圧力を検出し、検出信号を制御部8へ出力する。カメラ部6は、ロボット100の前後左右の4方向に向けて配置された4つのカメラユニットからなり、ロボット100の周囲4方向を撮像し、画像信号を制御部8へ出力する。LCD7は、頭部正面に設けられ、制御部8から画像信号を受け付けてロボット100の表情を示す画像を表示する。
【0023】
制御部8は、電源管理や、移動時の障害物の回避などを制御する基本的な機能に加え、感情に基づいてロボット100の行動を制御する機能を有する。具体的には、プロセッサ、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムであって、ROMに記録されているプログラムがプロセッサに読み込まれて実行され、プログラムとハードウェア資源とが協働することにより、その機能を達成する。以下、本明細書では、感情に基づく制御機能について説明する。
【0024】
図3は、制御部8において、感情に基づく制御機能を実現する機能構成を示すブロック図である。制御部8は、感情生成部21、表情制御部22、移動制御部23、対象検出部24、及び係数管理部25の各機能ブロックを備える。
感情生成部21は、生物が感じる不快感の一例である「退屈感」と、生物が感じる快感の一例である、退屈感が解消されたときの「満足感」とを擬似的に再現する機能ブロックである。感情生成部21による感情の生成は、タッチセンサ5からの検出信号と時計部9からのタイマ信号とに基づいて退屈感の強さをを示す不快値を算出し、さらに、不快値の減少量に基づいて満足感の強さを示す快感値を算出することで実現される。感情生成部21は、算出した快感値を表情制御部22へ出力する。また、この感情生成部21はさらに、現在感じているの退屈感が解消された場合に得られるであろう満足感の予測値を算出し、移動制御部23へ出力する。
【0025】
表情制御部22は、感情生成部21において算出された快感値に応じて、LCD7に表示する画像を制御する機能ブロックである。
移動制御部23は、ロボット100の移動を制御する機能ブロックである。移動制御部23による移動制御は、感情生成部21において算出された予測値と、対象検出部24において検出されたユーザの方向とに基づいて、ロボット100の移動方向を決定し、決定した方向へロボット100が移動するようモータ10、及び11を駆動させることで実現される。
【0026】
対象検出部24は、カメラ部6で撮像された前後左右の画像信号を解析してユーザが撮像された方向を検出し、検出した方向を移動制御部23へ通知する。
係数管理部25は、無線通信部13を介してPC200と通信し、PC200においてクライアントアプリケーションを用いて設定されたパラメータを取得する。ここでPC200から取得されるパラメータの値は、感情生成部21へ出力される。なお、パラメータには、増加信号の入力が退屈感の増加に影響する度合いを示す増加係数Ta、及び、減少信号の入力が退屈感の解消に影響する度合いを示す減少係数Tdが含まれる。
【0027】
次に、感情生成部21の詳細について説明する。感情生成部21は、内部に増加信号受付部31、減少信号受付部32、不快値保持部33、更新部34、算出部35、及び予測部36の各機能ブロックを備える。
増加信号受付部31は、時計部9が出力するタイマ信号を増加信号として受け付け、信号の受付を更新部34へ通知する。
【0028】
減少信号受付部32は、タッチセンサ5が出力する検出信号を減少信号として受け付け、1秒毎に減少信号の入力の有無を更新部34へ通知する。
不快値保持部33は、RAM上に確保された領域であり、退屈感の強さを示す不快値を保持する。不快値は、0以上1以下の何れかの値をとり、値が大きいほど退屈感が強いことを示す。
【0029】
更新部34は、不快値保持部33に保持されている不快値を増減させる機能ブロックであり、増加信号受付部31から増加信号の受け付けを通知されると不快値を増加させ、減少信号受付部32から減少信号の受け付けを通知されると不快値を減少させる。
具体的には更新部34は、時刻n−1での増加信号の入力an−1、減少信号の入力dn−1、係数管理部25から得られた増加係数Ta、及び減少係数Tdを用いて、以下に示す数式1のように時刻nでの不快値Uを算出する。
【0030】
【数1】

尚、an−1及びdn−1は、それぞれ信号の入力があれば1、なければ0の各値をとる。また、関数f(x)は、xの値が1以上である場合は1を返し、xが0以上1未満である場合はxを返し、xが0未満である場合は0を返す関数である。
【0031】
算出部35は、不快値保持部33が保持する不快値を監視して、1秒毎に不快値の減少量を算出し、算出した減少量を退屈感が解消されたときの満足感を示す快感値として、表情制御部22へ出力する。具体的には時刻nでの快感値Pは、数式2のように算出される。
【数2】

【0032】
ここで関数g(x)は、xが0以上である場合はxを返し、xが0未満である場合は0を返す関数である。快感値は0以上の値をとり、値が大きいほど満足感が強いことを示す。
予測部36は、不快値保持部33が保持する不快値が現在の値から0まで減少した場合に、算出部35により算出されるであろう快感値を予測し、予測値を移動制御部23へ出力する。具体的には時刻nでの予測値Yは、時刻nでの不快値Uと同じ値を用いる。
【0033】
以上が、本発明に係るロボット100の構成である。
次に、ロボット100の動作について説明する。図4は、増加係数Taが4、減少係数Tdが0.8に設定されている場合の感情生成部21の動作を示すタイミングチャートである。図の横軸は、時間の流れを示し、時刻t0からt12の各時刻は、時計部9がタイマ信号を出力するタイミングを示し、1秒間隔で連続する時刻である。
【0034】
図の1段目はタッチセンサ5から出力される検出信号の時間変化を示す。図では、時刻t2、t8、t9、及びt11で、検出信号が出力されることを示す。また、図の2段目は不快値保持部33において保持されている不快値の時間変化を示し、3段目は算出部35から出力される快感値の時間変化を示す。
検出信号が出力されていない時刻t0、t1、t3、t4、t5、t6、t7、及びt10の各時刻では、増加信号であるタイマ信号のみが更新部34に通知される。この結果、時刻t0、t1、t3、t4、t5、t6、及びt10の各時刻で更新部34は、不快値を増加係数Taに基づいて0.25づつ増加させる。ただし、時刻t7では、不快値がすでに上限値の1.0に達しているため、不快値は変化しない。
【0035】
一方、タッチセンサ5の検出信号が減少信号受付部32において受け付けられる時刻t2、t8、t9、及びt11の各時刻では、増加信号、及び減少信号の両方が更新部34に通知される。この結果、更新部34は、時刻t2、t8、及びt11の各時刻で、増加係数Ta及び減少係数Tdに基づいて、不快値を0.0まで減少させる。ただし、時刻t9では、不快値が既に下限値の0.0であるため、不快値がそれ以上に減少することがない。
【0036】
さらに、直前の時刻に比較して不快値が減少した時刻t3、t9、及びt12の各時刻で、算出部35は、それぞれの時刻の不快値と、1秒前の時刻t2、t8、及びt11の各時刻での不快値との差を快感値として出力する。それ以外の時点では、不快値が増加するか、若しくは変化しないため、算出部35は快感値として0.0を出力する。
ここで時刻t3、t9、及びt12の各時刻に出力される快感値の起因となる時刻t2、t8、及びt11の各時刻に出力された検出信号は、何れも同様の信号であるが、それぞれの時刻での不快値が異なるため減少量に差が生じ、その結果、時刻t3、t9、及びt12に出力される快感値はそれぞれ異なる値となる。具体的には、時刻t3では0.5、時刻t9では1.0、時刻t12では0.25となる。
【0037】
また、時刻t9でも減少信号となる検出信号が同様に出力されているが、時刻t9の時点で不快値が既に0.0であるため、時刻t9と時刻t10との間で不快値に差が生じることがなく時刻t10での快感値は0.0となる。
以上のように、感情生成部21は、不快値の減少に基づいて快感値を算出するため、感情をよくする要因となる減少信号が受け付けられたとしても、必ずしも高い快感値を出力するとは限らない。これによって、不快感が解消される際に生じる生物の感情の変化を模倣した信号を生成することができる。
【0038】
尚、本発明に係るロボット100は、PC200のクライアントアプリケーションを用いて増加係数Ta、減少係数Tdの値を任意に設定することが出来る。以下に、図4の例と同じ入力パターンで増加信号、及び減少信号が入力されるが、増加係数Ta、減少係数Tdに図4の例と異なる値が設定されている場合の、感情生成部21の動作について説明する。
【0039】
図5は、増加係数Taが4、減少係数Tdが4/3に設定されている場合の感情生成部21の動作を示すタイミングチャートである。図4と同様に、図5の1段目は検出信号、2段目は不快値、3段目は快感値について、それぞれの時間変化を示す。
図5の例では、図4の例と同じタイミングで、検出信号が出力されている。しかし、図5の例では減少係数が4/3に設定されているため、増加信号と減少信号の両方が受け付けられた場合に、不快値の減少量は、0.5に抑えられる。その結果、図4の例では、時刻t9で不快値が1.0減少して0.0となり、時刻t10で減少信号が受け付けられても、不快値は下限値のままであり、時刻t11で算出される快感値は0.0であったが、図5の例では、時刻t10でも不快値が0.5残っているため、時刻t10で減少信号に応じて不快値が減少し、時刻t11で算出される快感値が0.5となる。
【0040】
このように、増加信号、及び減少信号の入力パターンが同じであっても、パラメータの設定により、感情生成部21において算出する不快値、及び快感値を変化させることができる。従って、退屈感や、退屈感が解消されたときに感じる満足感に限らず、様々な感情を模倣することができる。
次に、算出部35において算出される快感値に基づいたロボット100の行動制御の一例として、ロボット100の表情制御について説明する。図6は、表情制御部22による表情制御の処理の流れを示す図である。
【0041】
表情制御処理において、表情制御部22は、算出部35から快感値を取得し(S1)、その値に応じて、快感値が0.5未満(S2:Yes)であれば、図7の(a)に示す喜びの感情が弱い場合の表情を表現した画像をLCD7に表示させ(S3)、快感値が0.5以上、0.7未満(S2:No、S4:Yes)であれば、図7の(b)に示す喜びの感情が強い場合の表情を表現した画像をLCD7に表示させ(S5)、快感値が0.7以上(S2:No、S4:No)であれば図7の(c)に示す喜びの感情が非常に強い場合の表情を表現した画像をLCD7に表示させる(S6)。
【0042】
以上の処理により、ロボット100は、快感値を模擬的な感情として用い、感情に応じた表情の画像をLCD7に表示することができる。
次に、予測部36において算出される予測値に基づいたロボット100の行動制御の一例として、ロボット100の移動制御について説明する。図8は、移動制御部23による移動制御の処理の流れを示す図である。
【0043】
移動制御処理において、先ず、移動制御部23は、予測部36から予測値を取得し(S11)、対象検出部24からユーザが撮像された方向を取得する(S12)。
移動制御部23は、S11で取得した予測値が0.5以上である場合(S13:Yes)、対象検出部24において特定したユーザの方向へ近づくように、モータ10、及びモータ11を制御する(S14)。予測値が0.5未満である場合(S13:No)、移動制御部23は、ユーザの方向から遠ざかるようにモータ10、及びモータ11を制御する(S15)。
【0044】
モータの制御は、具体的には、ユーザに近づくように制御する場合、対象検出部24において特定したユーザの方向とロボット100の正面方向とが一致するまで、モータ10、及びモータ11のうち何れか一方を駆動させてロボット100の向きをかえ、ユーザの方向とロボット100の正面とが一致した後はモータ10、及びモータ11の両方を駆動させてロボット100を直進させる。また、ユーザから遠ざかるように制御する場合、対象検出部24が特定するユーザの方向とロボット100の背面方向とが一致するまで、モータ10、及びモータ11のうち何れか一方を駆動させてロボット100の向きをかえ、ユーザの方向とロボットの背面方向とが一致した後はモータ10、及びモータ11の両方を駆動させてロボットを前進させる。
【0045】
また、モータの制御としては、他の方法を用いるとしてもよい。例えば、ロボット100の進行方向を変更する動作と前進する動作とを分けず、モータ10、及びモータ11の何れか一方を他方よりも多く駆動させることで、ロボット100が所望の方向に向くまで進行方向を変えつつ前進させ、ロボット100が所望の方向に向いた後に、モータ10、及びモータ11の両方を同様に駆動させて直進させるように制御するとしてもよい。
【0046】
以上の手順による移動制御を繰り返し実行することにより、ロボット100は、現在時点でユーザにより頭部をなでられた場合に得られる快感値を予測し、予測される快感値がしきい値を越えるか否かによって、ユーザから離れる方向、若しくはユーザに近づく方向の何れかに、進行方向を変更することができる。
具体的には、本実施形態では予測値が不快値保持部33に保持されている不快値と同じ値を用いるので、図4に示す入力パターンで信号が入力されるならば、本実施形態に係るロボット100は、時刻t0からt5までの間はユーザから逃げ回るが、退屈感がしきい値0.5を越えた時刻t5からt9までの間はユーザに近づいてくる。しかし、時刻t8でユーザに頭をなでられて退屈感が解消するため時刻t9以後は、再びロボット100はユーザから逃げ回るように移動する。このように、ロボット100は、例えユーザになでられることで快感値が得られる状況であっても、より大きな快感値が得られるように、不快値が上昇する行動を採ることがある。
【0047】
以上のように本実施形態によれば、不快感が解消される際に生じる生物の感情の変化を模倣し、このような感情に基づいて行動を制御することができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、退屈感が解消された場合に得られる満足感を擬似的に再現する構成について説明した。第2実施形態では、複数種類の不快感に基づいて、より複雑な喜びの感情を擬似的に再現する構成について説明する。
【0048】
複数種類の不快感の増減を制御するためには、クライアントアプリケーションを用いてそれぞれの不快感についてパラメータを設定する必要がある。図9は、PC200で動作するクライアントアプリケーションのパラメータ設定画面を示す図である。クライアントアプリケーションでは、それぞれの不快感に対して、増加信号修正項S、増加係数Ta、減少係数Td、及び重要度Qの各パラメータを設定し、さらに、快感値を算出するために不快感の減少を判定する期間の長さとして、判定期間幅Lを設定する。
【0049】
増加信号修正項Sは、増加信号との排他的論理和により、対応する不快値の増加の要否を決定するパラメータである。具体的には、対応する不快値を増加させるべき時にOFFとなるような信号が増加信号として用いられる場合には1を設定し、対応する不快値を増加させるべき時にONとなるような信号が増加信号として用いられる場合には、0を設定する。
【0050】
増加係数Ta、及び減少係数Tdは、増加信号、及び減少信号の入力が、それぞれ対応する不快値の増減に影響する度合いを示すパラメータである。具体的には、増加係数Taは、対応する不快値が最小値から最大値まで増加するのに必要な、増加信号の連続入力時間であり、減少係数Tdは、対応する不快値が最大値から最小値まで減少するのに必要な、減少信号の連続入力時間である。
【0051】
重要度Qは、対応する不快値の減少が、快感値に影響を及ぼす度合いを示すパラメータである。
判定期間幅Lは、快感値の算出の際に、各不快値の減少量を算出する期間の長さを示すパラメータである。
以上の各パラメータの値は、PC200から無線LANを介してロボット100へ送信され、係数管理部25で管理される。
【0052】
次に、第2実施形態に係る感情制御機能を実現する構成について説明する。第2実施形態に係る感情制御機能は、第1実施形態に係るロボット100の制御部8を、制御部15に置換することで実現される。図10は、実施形態2に係る制御部15において、感情に基づく制御機能を実現する機能構成を示すブロック図である。
制御部15は、図3に示す制御部8の感情生成部21を、感情生成部26に置換した構成である。以下、図3に示した制御部8と異なる構成について説明する。
【0053】
感情生成部26は、「空腹感」、「驚き」、「退屈感」等の複数種類の不快感と、これらの不快感が解消されたときに感じる「喜び」とを擬似的に再現する機能を有し、複数の不快感蓄積部41a乃至不快感蓄積部41c、算出部42、及び予測部43を内部に備える。
不快感蓄積部41a乃至不快感蓄積部41cは、それぞれ対応する不快感の強さを示す不快値を決定する機能ブロックであり、何れも同様の構成である。以下、「空腹感」に対応した不快感蓄積部41aを例に用いて、詳細な構成を説明する。
【0054】
不快感蓄積部41aは、内部に増加信号受付部51a、減少信号受付部52a、不快値保持部53a、及び更新部54aを備える。
増加信号受付部51aは、増加信号を受け付け、1秒毎に増加信号の有無を更新部54aへ通知する機能ブロックである。ここでは空腹感を増加させる増加信号として、具体的には、電源部14の電源電圧を示す信号を監視し、所定の電圧(例えば10V)を下回っている場合に増加信号として受け付ける。
【0055】
減少信号受付部52aは、減少信号を受け付け、1秒毎に減少信号の有無を更新部54aへ通知する機能ブロックである。ここでは空腹感を解消させる減少信号として、具体的には、電源部14の電源電圧を示す信号を監視し、前記所定の電圧を上回っている場合に、減少信号として受け付ける。
不快値保持部53aは、空腹感の強さを示す不快値を保持するRAM上に確保された領域である。
【0056】
更新部54aは、不快値保持部53aに保持されている不快値を増減させる機能ブロックである。具体的には、更新部54aは、時刻n−1での増加信号の入力a1n−1、及び減少信号の入力d1n−1と、係数管理部25から得られた増加信号修正項S、増加係数Ta、及び減少係数Tdとを用いて、以下に示す数式3のように時刻nでの不快値Unを算出する。
【0057】
【数3】

以上が不快感蓄積部41aの構成の詳細である。尚、不快感蓄積部41a乃至不快感蓄積部41Cのそれぞれで、増加信号や減少信号として用いる信号としては、第1実施形態で用いたタイマ信号、検出信号や、不快感蓄積部41aで用いてた電源電圧を示す信号以外にも、気温を示す信号など、対応する不快感の性質に応じた任意の信号を用いることができる。
【0058】
算出部42は、不快感蓄積部41a乃至不快感蓄積部41cのそれぞれで保持されている不快値を監視して、1秒毎に各不快値の減少量に基づいて快感値を算出し、表情制御部22へ出力する。具体的には、算出部42は、不快値Un〜Unと、係数管理部25から得られた重要度Q〜Q、及び判定期間幅Lを用いて、以下に示す数式4のように時刻nでの快感値Pnを算出する。
【0059】
【数4】

ここで、Nの値は不快感の種類数であり、本実施形態では、3である。
予測部43は、不快感蓄積部41a乃至不快感蓄積部41cのそれぞれで保持されている不快値が、現在の値から0まで減少した場合に、算出部42により算出されるであろう快感値を予測し、予測値を移動制御部23へ出力する。具体的には、数式5のように時刻nでの予測値Ynを算出する。
【0060】
【数5】

以上が、第2実施形態に係る制御部15の構成である。上述の構成により、不快感蓄積部41a乃至不快感蓄積部41cで、それぞれ対応する不快感を表す不快値を管理し、算出部42において、複数種類の不快感に基づく複雑な喜びの感情を擬似的に再現することができる。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、複数種類の不快感が解消された場合に生物が総合的に感じる複雑な喜びの感情を模倣し、このような感情に基づいて行動を制御することができる。
(その他の変形例)
本発明を上記の実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0062】
(1)本発明は、上記の実施形態で説明したロボット装置の制御方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0063】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0064】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
(2)本発明は、擬似的な感情を生成する人工知能装置であるとしてもよい。本発明に係る人工知能装置は、上記の第1実施形態で説明した感情生成部21、及び第2実施形態で説明した感情生成部26の構成により、緊張や退屈等の不快感が解消されることで生物が得る達成感や解放感といった快感を、擬似的に再現することができ、ハイテク玩具のための特殊な電子素子や、精神力学に関する法則の教育等に有用である。
【0065】
(3)第1実施形態、及び第2実施形態では、快感値として不快値の減少量、及び複数の不快値の減少量の合計を用いたが、快感値は不快値の減少に応じて増加する値であれば、他の算出方法により算出される値でもよい。例えば、不快値の減少速度に基づいて、快感値を算出するとしてもよい。
(4)第2実施形態では、複数種類の不快感が解消された場合に生物が総合的に感じる複雑な喜びの感情を模倣する例として、3種類の不快感に基づいて快感値を算出する構成について説明したが、本発明は、2、若しくは4以上の不快感に基づいて、快感値を算出する構成としてもよい。具体的には、図10に示した不快感蓄積部を、快感に影響を及ぼす不快感の種類数と同数設けることで、複数種類の不快感が解消された場合に生物が感じる複雑な喜びの感情を、擬似的に再現することができる。
【0066】
(5)第1実施形態では、ロボット100と、クライアントアプリケーションを実行するPC200との通信には無線LANを利用するとしたが、ロボット100とPC200間の通信には他の通信方法を用いるとしてもよい。例えば、ロボット100とPC200とをLANケーブルで接続して通信するとしてもよいし、ロボット100とPC200との双方に赤外線通信ユニットを設け、IrDA(Infrared Data Association)規格等の赤外線通信プロトコルを利用して通信するとしてもよい。さらに、クライアントアプリケーションを、ロボット100が内蔵するCPU、メモリ、ROM等からなるコンピュータシステムにおいて実行する構成としてもよい。
【0067】
(6)第1実施形態及び第2実施形態では、クライアントアプリケーションを用いてパラメータを変更可能な構成としたが、これらのパラメータは必ずしも変更可能である必要はない。例えば、ロボット100の製造時に、ロボット100が内蔵するROMにパラメータの値を記録しておくとしてもよい。
(7)上記実施形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、人の生活の場で活用される介護用ロボット、及び愛玩用ロボット等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態に係るロボット100の利用形態を模式的に示す図。
【図2】ロボット100のハードウェア構成を示す図。
【図3】制御部8において、感情に基づく制御機能を実現する機能構成を示すブロック図。
【図4】増加係数Taが4、減少係数Tdが0.8に設定されている場合の感情生成部21の動作を示すタイミングチャート。
【図5】増加係数Taが4、減少係数Tdが4/3に設定されている場合の感情生成部21の動作を示すタイミングチャート。
【図6】表情制御部22による表情制御の処理の流れを示す図。
【図7】(a)は、喜びの感情が弱い場合の表情を示す画像の一例、(b)は、喜びの感情が強い場合の表情を示す画像の一例、(c)は、喜びの感情が非常に強い場合の表情を示す画像の一例。
【図8】移動制御部23による移動制御の処理の流れを示す図。
【図9】第2実施形態に係るパラメータの設定画面を示す図。
【図10】実施形態2に係る制御部15において、感情に基づく制御機能を実現する機能構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0070】
1 頭部
2 胴体部
3、4 駆動輪
5 タッチセンサ
6 カメラ部
7 LCD
8 制御部
9 時計部
10、11 モータ
12a 右腕アクチュエータ
12b 左腕アクチュエータ
13 無線通信部
14 電源部
15 制御部
21 感情生成部
22 表情制御部
23 移動制御部
24 対象検出部
25 係数管理部
26 感情生成部
31 増加信号受付部
32 減少信号受付部
33 不快値保持部
34 更新部
35 算出部
36 予測部
41a乃至c 不快感蓄積部
42 算出部
43 予測部
51a乃至c 増加信号受付部
52a乃至c 減少信号受付部
53a乃至c 不快値保持部
54a乃至c 更新部
100 ロボット
200 PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物を模倣したロボット装置であって、
不快感の強さを示す変数を保持する保持手段と、
前記不快感を増加させる増加信号の入力を受け付ける増加信号受付手段と、
前記不快感を減少させる減少信号の入力を受け付ける減少信号受付手段と、
前記増加信号が受け付けられた場合、前記変数の値を増加させ、前記減少信号が受け付けられた場合、前記変数の値が下限値でなければ前記変数の値を減少させる更新手段と、
前記変数の値の減少の度合いに基づいて、快感の強さを示す値を算出する算出手段と
を備えることを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記変数の減少速度が速いほど、前記快感を示す値として大きな値を算出すること
を特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記変数の減少量が多いほど、前記快感を示す値として大きな値を算出すること
を特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項4】
前記ロボット装置はさらに、
前記算出手段により算出される値に基づいて行動を制御する行動制御手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項5】
前記ロボット装置はさらに、
前記算出手段により算出される値に基づいて表情の変化を制御する表情制御手段を備えること
を特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
【請求項6】
前記ロボット装置はさらに、
所定の時点で減少信号が入力された場合に、算出手段により算出される値を予測する予測手段と、
前記予測手段による予測がしきい値を越える場合には、前記所定の時点で減少信号の起因となる行動をとるように制御し、前記予測手段による予測がしきい値を越えない場合には、前記所定の時点で増加信号の起因となる行動をとるように制御する行動制御手段とを備えること
を特徴とする請求項1に記載のロボット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−272483(P2006−272483A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92446(P2005−92446)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「人間情報コミュニケーションの研究開発」に関する委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】