説明

ロータリキルン

【課題】炉本体の回転部分を内筒のみとし、軽量化して必要動力の軽減を図ると共に回転部分をシールするシール装置の簡略化を図り、装置費用、ランニング費用及びメンテナンス費用の低減が可能なロータリキルンを提供する。
【解決手段】架台7に固定支持された外筒5と、該外筒の内部に同心に設けられた内筒6と、前記内筒を回転自在に支持する内筒支持部22と、前記外筒の上流端に設けられ前記内筒の上流端部を収納する出口ケーシング13と、前記外筒の下流端に設けられ前記内筒の下流端部を収納する入口ケーシング14と、前記内筒の下流端に連通される排出部3と、前記内筒を回転させる駆動部32とを具備し、前記入口ケーシングより加熱流体を流入させ、前記内筒と前記外筒間の空間42を流通させて前記出口ケーシングより排気し、前記内筒を回転させつつ該内筒の上流端より被処理物を導入し、処理後の処理物を前記排出部から排出する様に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック、一般ゴミ等のゴミの乾留、ガス化処理を行うロータリキルンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック、一般ゴミ等のゴミを連続的に乾留、ガス化処理する廃棄物処理装置としてロータリキルンがある。
【0003】
従来のロータリキルンとして特許文献1に示されるものがあり、図10に於いて従来のロータリキルンについて概略を説明する。
【0004】
図10中、1は被処理物を投入する為のホッパ、2は下流側(図中右側)に向って下り傾斜した軸心を有する炉本体、3は処理物を排出する排出部である。
【0005】
前記炉本体2は、外筒5と該外筒5と同心に内設された内筒6を有し、該内筒6は両端部が前記外筒5から突出している。
【0006】
該外筒5は架台7に支持装置8を介して回転自在に設けられ、又前記架台7に設置された駆動部9により、駆動ギア11、リングギア12を介して前記外筒5を回転させる。更に該外筒5と前記内筒6とはトルクピン(図示せず)を介して連結され、該トルクピンを介して回転力が前記内筒6に伝達され、前記外筒5と前記内筒6とは一体に回転可能となっている。
【0007】
前記内筒6の上流端部(ホッパ1側の端部)を囲む様に出口ケーシング13が配設され、該出口ケーシング13は前記架台7に設置されている。又、前記内筒6の下流端部(排出部3側の端部)を囲む様に入口ケーシング14が配設され、該入口ケーシング14は前記架台7に設置されている。該架台7には前記ホッパ1、前記排出部3が設置されている。
【0008】
回転部である前記外筒5の上流端と前記出口ケーシング13との間には第1シール装置15が設けられ、前記外筒5の下流端と前記入口ケーシング14との間には第2シール装置16が設けられている。更に、前記内筒6の上流端は第3シール装置17でシールされ、前記内筒6の下流端は第4シール装置18でシールされている。
【0009】
尚、前記第1シール装置15、前記第2シール装置16、前記第3シール装置17、前記第4シール装置18はいずれも、固定側のシールリングと回転側のシールリングとを蛇腹状のスプリングにより押圧した状態で面接触させ、面間にグリース等の潤滑油を供給しつつ摺動させシールする様にしたものであり、半径方向の熱膨張、軸心方向の熱膨張が吸収できる様になっている。
【0010】
前記駆動部9により前記外筒5、前記内筒6を回転させ、前記入口ケーシング14から加熱流体を流入させ、前記外筒5と前記内筒6との間の空間を前記出口ケーシング13側に向って流動させ、該出口ケーシング13より排出する。又、前記ホッパ1から被処理物が投入シュート19を介して前記内筒6の上流端に投入され、該内筒6の回転によって下流側に移動する。被処理物は移動する過程で、熱分解され、発生したガスは前記排出部3から上方に排気され、固形物は前記排出部3から下方に落下する。
【0011】
上記した従来のロータリキルンでは、前記外筒5と前記内筒6とを一体に回転する構造であり、この為、前記駆動部9は大きな駆動力が必要とされ、大型のモータが必要であり、又消費される電力も多かった。
【0012】
又、従来のロータリキルンでは、前記外筒5と前記内筒6とが一体に回転しているので、前記外筒5の両端についてシール装置が必要であり、更に前記内筒6の両端についてもシール装置が必要であった。更に、前記外筒5と前記内筒6との回転力はトルクピンを介して伝達されており、該トルクピンは消耗品であるので定期的な交換が必要であった。
【0013】
【特許文献1】特開平9−217988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は斯かる実情に鑑み、炉本体の回転部分を内筒のみとし、軽量化して必要動力の軽減を図ると共に回転部分をシールするシール装置の簡略化を図り、装置のコスト低減を図り、更にランニングコストの低減、メンテナンス費用の低減を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、架台に固定支持された外筒と、該外筒の内部に同心に設けられた内筒と、前記外筒の内面に設けられ前記内筒を回転自在に支持する内筒支持部と、前記外筒の上流端に設けられ前記内筒の上流端部を収納する出口ケーシングと、前記外筒の下流端に設けられ前記内筒の下流端部を収納する入口ケーシングと、前記内筒の下流端に連通される排出部と、前記内筒に連結され該内筒を回転させる駆動部とを具備し、前記入口ケーシングより加熱流体を流入させ、前記内筒と前記外筒間の空間を流通させて前記出口ケーシングより排気し、前記内筒を前記駆動部により回転させつつ前記内筒の上流端より被処理物を導入し、処理後の処理物を前記排出部を介して排出する様構成したロータリキルンに係るものである。
【0016】
又本発明は、前記内筒の前記出口ケーシング貫通部及び上流端、前記内筒の前記入口ケーシング貫通部及び下流端をシールする上流部シール装置と、下流部シール装置を具備し、各シール装置は前記内筒に固着されたフランジを具備し、該フランジにシールリングを押圧し、前記フランジと前記シールリングとの摺動面に潤滑剤を供給する様構成したロータリキルンに係るものである。
【0017】
又本発明は、前記上流部シール装置、前記下流部シール装置の少なくとも一方の前記フランジに前記駆動部を連結し、該駆動部により前記フランジを介して前記内筒を回転する様構成したロータリキルンに係り、又前記内筒の下流端部を前記排出部より突出させ、突出した端部に前記駆動部を連結したロータリキルンに係り、又前記内筒の下流端に動力伝達軸を連結し、該動力伝達軸を前記排出部より突出させ、前記動力伝達軸の突出部分に前記駆動部を連結し、前記突出部分を介して前記内筒を回転する様構成したロータリキルンに係るものである。
【0018】
更に又本発明は、前記内筒の前記外筒に収納される部分が該外筒の中心線を中心に回転する複数の小内筒によって構成され、該小内筒は所要箇所に前記中心線と直交する様設けられた小円筒支持板で固定され、該小円筒支持板を介して前記内筒支持部に回転自在に支持されたロータリキルンに係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、架台に固定支持された外筒と、該外筒の内部に同心に設けられた内筒と、前記外筒の内面に設けられ前記内筒を回転自在に支持する内筒支持部と、前記外筒の上流端に設けられ前記内筒の上流端部を収納する出口ケーシングと、前記外筒の下流端に設けられ前記内筒の下流端部を収納する入口ケーシングと、前記内筒の下流端に連通される排出部と、前記内筒に連結され該内筒を回転させる駆動部とを具備し、前記入口ケーシングより加熱流体を流入させ、前記内筒と前記外筒間の空間を流通させて前記出口ケーシングより排気し、前記内筒を前記駆動部により回転させつつ前記内筒の上流端より被処理物を導入し、処理後の処理物を前記排出部を介して排出する様構成したので、回転部分が小さく、小さな駆動力で回転でき、駆動部の容量を小さくできると共に駆動動力が少なくて済みランニングコストが低減し、更に外筒と内筒間の回転力を伝達するトルクピンが省略でき、トルクピン交換の保守作業が省略でき保守費用が少なくなる。
【0020】
又本発明によれば、前記内筒の前記出口ケーシング貫通部及び上流端、前記内筒の前記入口ケーシング貫通部及び下流端をシールする上流部シール装置と、下流部シール装置を具備し、各シール装置は前記内筒に固着されたフランジを具備し、該フランジにシールリングを押圧し、前記フランジと前記シールリングとの摺動面に潤滑剤を供給する様構成したので、シール部分が少なく製作費のコストの低減が図れ、又シール部分に供給する潤滑剤の使用量が少なくなり、ランニングコストが低減する。
【0021】
又本発明によれば、前記上流部シール装置、前記下流部シール装置の少なくとも一方の前記フランジに前記駆動部を連結し、該駆動部により前記フランジを介して前記内筒を回転する様構成し、又前記内筒の下流端部を前記排出部より突出させ、突出した端部に前記駆動部を連結し、又、前記内筒の下流端に動力伝達軸を連結し、該動力伝達軸を前記排出部より突出させ、前記動力伝達軸の突出部分に前記駆動部を連結し、前記突出部分を介して前記内筒を回転する様構成したので、駆動部により内筒のみを回転させることが可能となる。
【0022】
更に又本発明によれば、前記内筒の前記外筒に収納される部分が該外筒の中心線を中心に回転する複数の小内筒によって構成され、該小内筒は所要箇所に前記中心線と直交する様設けられた小円筒支持板で固定され、該小円筒支持板を介して前記内筒支持部に回転自在に支持されたので、複筒式のロータリキルンに於いても内筒のみを回転可能であり、構造が簡略化され、製作費コスト、ランニングコスト、保守コストの低減が図れる、等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0024】
図1〜図3に於いて第1の実施の形態を説明する。
【0025】
尚、図中、図10中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
炉本体2は外筒5と該外筒5内部に同心に設けられた内筒6を具備し、前記外筒5は支持架台21を介して架台7に固定、支持されている。前記内筒6は、前記外筒5の内面に取付けられた内筒支持部22によって回転自在に支持されている。
【0027】
該内筒支持部22は複数箇所、好ましくは前記内筒6の上流端部、下流端部の2箇所に設けられ、該内筒支持部22は更に円周方向に複数設けられたローラユニット23から構成される。
【0028】
図2に示す様に、該ローラユニット23は回転自在に支持されたローラ24を有し、該ローラ24が前記内筒6の外周面に転動することで、該内筒6が回転自在に支持される。尚、前記内筒6の軸心方向の動きを拘束する為、該内筒6外面には前記ローラ24を挾む様に凸リング25が設けられている。
【0029】
前記内筒6の上流端部は上流部シール装置26によりシールされ、前記内筒6の下流端部は下流部シール装置27によってシールされている。
【0030】
前記外筒5の上流端には出口ケーシング13が気密に取付けられ、前記外筒5の下流端には入口ケーシング14が気密に取付けられ、該入口ケーシング14には加熱流体が流入し、前記出口ケーシング13からは加熱後の加熱流体が流出する。
【0031】
前記内筒6の上流部には固定板28に支持された投入シュート19が連通し、前記内筒6の下流端は前記排出部3の内部に開口している。
【0032】
前記下流部シール装置27は動力受動板31を有し、該動力受動板31はチェーン29によって駆動部、例えば駆動モータ32に連結されている。
【0033】
前記下流部シール装置27について、図3を参照して説明する。
【0034】
前記内筒6の前記入口ケーシング14と前記排出部3との間にドーナツ円板状のフランジ33を固着する。該フランジ33の外周のスプロケット歯34を形成することで、前記動力受動板31が構成される。
【0035】
該動力受動板31の入口ケーシング14側の側面にシールリング35を当接させ、該シールリング35と前記入口ケーシング14間にスプリングを兼ねるベローズ36を設け、該ベローズ36のスプリング力により、前記シールリング35を所要の面圧で前記動力受動板31に押圧させる。又、該動力受動板31と前記シールリング35との当接面には潤滑剤として例えば、耐熱グリースを供給する。尚、前記シールリング35を前記動力受動板31に押圧する為のスプリングを別途設けてもよい。
【0036】
前記動力受動板31の排出部3側の側面にシールリング37を当接させ、該シールリング37と前記排出部3間にスプリングを兼ねるベローズ38を設け、該ベローズ38のスプリング力により、前記シールリング37を所要の面圧で前記動力受動板31に押圧させる。又、該動力受動板31と前記シールリング37との当接面には潤滑剤として例えば、耐熱グリースを供給する。尚、前記シールリング37を前記動力受動板31に押圧する為のスプリングを別途設けてもよい。
【0037】
前記動力受動板31は前記内筒6の回転によって前記シールリング35、前記シールリング37に対して摺動し、摺動面にはグリースが供給されて、前記動力受動板31と前記シールリング35、前記シールリング37間が気密にシールされる。又、前記動力受動板31の熱膨張による変位は前記ベローズ36、前記ベローズ38の伸縮で吸収され、前記動力受動板31の径方向の変位は該動力受動板31と前記シールリング35、前記シールリング37間の半径方向の相対変位で吸収される。
【0038】
前記上流部シール装置26は、前記下流部シール装置27と同等な構成であり、前記フランジ33の外周には前記スプロケット歯34が形成されていない。
【0039】
前記駆動モータ32は前記架台7に設置されている。前記駆動モータ32の出力軸には駆動スプロケット40が嵌着され、該駆動スプロケット40は前記チェーン29を介して前記動力受動板31に連結され、前記駆動モータ32を駆動することで、前記駆動スプロケット40、前記チェーン29、前記動力受動板31を介して前記内筒6が回転される様になっている。
【0040】
以下、作動について説明する。
【0041】
ホッパ1より前記投入シュート19を介して前記内筒6内に被処理物を投入する。
【0042】
前記駆動モータ32で前記内筒6を回転し、前記入口ケーシング14より加熱流体を流入させる。加熱流体は、前記内筒6と前記外筒5間の空間42を通って前記出口ケーシング13より流出される。
【0043】
被処理物は、前記内筒6の回転によって攪拌されながら、下流側に向って移動する。又、前記加熱流体が、前記空間42を流通することで、前記内筒6を介して被処理物が加熱され、熱分解によって熱分解ガスが生成し、固形物と分離される。熱分解ガスは前記排出部3より上方に排出され、固形物は前記排出部3を経て落下される。
【0044】
本実施の形態に係るロータリキルンでは、回転部は前記内筒6のみであるので軽量であり、回転する為の動力は小さくて済む。又、シール部は、前記上流部シール装置26と前記下流部シール装置27の2箇所でよく、従って、コストが低減される。更に、シール部に供給する耐熱グリースの量が、従来と比し半減し、ランニングコストが低減する。更に、前記外筒5と前記内筒6間の回転力を伝達するトルクピンが必要ないので、トルクピンの交換保守が必要なくなり、保守費用が低減する。
【0045】
更に、従来のロータリキルンに対して基本的な構造は、同じであるので、大幅な改良無く、現存のロータリキルンにも適用が可能である。
【0046】
尚、前記スプロケット歯34を前記上流部シール装置26の前記フランジ33に形成し、前記上流部シール装置26の前記フランジ33を前記動力受動板31とし、前記駆動モータ32により前記上流部シール装置26に設けた前記動力受動板31を介して前記内筒6を回転する様にしてもよい。又、前記上流部シール装置26、前記下流部シール装置27それぞれに前記動力受動板31を設け、2箇所で前記内筒6を駆動する様にしてもよい。
【0047】
図4は第2の実施の形態を示している。
【0048】
該第2の実施の形態では、内筒6を排出部3に貫通させ、下流端部を突出させたものである。
【0049】
突出端部にはフランジ43を設け、該フランジ43と前記排出部3間で突出端部シール部44を構成し、前記内筒6の貫通部を気密にシールする。又、前記内筒6の下流端にリングギア45を固着し、該リングギア45を介して前記内筒6を回転する。尚、前記リングギア45を直接駆動モータで回転する様にしても、チェーンを介して回転する様にしてもよい。
【0050】
前記内筒6の前記排出部3に収納される部分には処理物排出口46を所定数設ける。又、処理物が効率よく前記処理物排出口46から排出される様、前記内筒6の内部に仕切板47を設ける。
【0051】
上記第2の実施の形態に於いても、前記リングギア45を介して前記内筒6のみが回転される。
【0052】
図5、図6は第3の実施の形態を示すものであり、内筒6の下流端に動力伝達軸48を設けたものであり、該動力伝達軸48は前記内筒6の軸心上に設けられ、該内筒6に軸支持板49を介して支持されている。該軸支持板49には所要数の処理物排出口50が設けられ、該処理物排出口50から処理後の固形物が排出部3に排出される。
【0053】
前記動力伝達軸48は、前記排出部3を貫通して外部に突出し、前記動力伝達軸48の前記排出部3貫通部には軸シール51が設けられている。前記動力伝達軸48の突出端には受動ギア52が嵌着され、該受動ギア52は駆動モータ(図示せず)により直接回転され、或はチェーンを介して間接的に回転される。
【0054】
前記軸シール51は、前記動力伝達軸48を小径にできるので、一般的な軸シール部材を用いることができ、又軸内部より前記軸シール51を冷却する様にすれば、安価な部材、潤滑剤を使用することができる。
【0055】
上記第3の実施の形態に於いても、前記動力伝達軸48を介して前記内筒6のみを回転することができ、構造の簡略化が図れる。
【0056】
上記した第1〜第3の実施の形態は、内筒6が1本の単筒式のロータリキルンを示したが、複数の内筒を有する複筒式のロータリキルンにも実施可能である。
【0057】
図7〜図9に示す第4の実施の形態は、3筒式のロータリキルンに本発明を実施した場合である。
【0058】
図7〜図9中、図1と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
内筒6は、外筒5に収納される部分が3本の小内筒54a,54b,54cによって構成され、該小内筒54a,54b,54cは前記外筒5の中心線を中心に回転可能となっている。前記小内筒54a,54b,54cは上流端で大径円筒である管寄せ部61で一体化されている。該管寄せ部61には該管寄せ部61に対して小径となっている被処理物投入管62が接続され、該被処理物投入管62は出口ケーシング13に収納され、又前記被処理物投入管62が上流部シール装置26によってシールされている。
【0060】
前記小内筒54a,54b,54cの下流端には前記被処理物投入管62と同径又は略同径の処理物導出管63が接続され、前記小内筒54a,54b,54cの前記内筒6中心側の一部が前記処理物導出管63と連通している。
【0061】
該処理物導出管63は入口ケーシング14に収納され、前記処理物導出管63と前記入口ケーシング14間に下流部シール装置27が設けられている。該下流部シール装置27は動力受動板31を有し、該動力受動板31がチェーン29を介して駆動モータ32によって回転される様になっている。
【0062】
前記内筒6には所要間隔で、図示では3箇所に小円筒支持板55が設けられ、該小円筒支持板55は、前記外筒5の中心線と直交し、前記小内筒54a,54b,54cの半径方向の変位を拘束する。前記小円筒支持板55の所要箇所には加熱流体が流通する流通孔57が穿設されている。又、前記小内筒54a,54b,54cの周囲には円形の転動リング56が設けられ、該転動リング56、前記小円筒支持板55を介し、前記内筒6が内筒支持部22により回転自在に支持されている。
【0063】
前記内筒支持部22は前記外筒5の内面に、円周方向所要間隔で所要箇所(図示では6箇所)に設けられており、前記外筒5の内面に固着されるローラ支持部材58、該ローラ支持部材58に軸59を介して回転自在に設けられたローラ60によって構成されている。
【0064】
尚、前記ローラ支持部材58は前記転動リング56のガイドになっており、前記内筒6の軸心方向の移動を拘束する。
【0065】
前記入口ケーシング14より加熱流体が流入され、前記駆動モータ32により前記チェーン29を介して前記内筒6が回転される。
【0066】
前記被処理物投入管62に投入された被処理物は、前記内筒6の回転により前記小内筒54a,54b,54cに分散されて移動し、更に各小内筒54a,54b,54c内を下流側に向って移動する。
【0067】
各小内筒54a,54b,54cの下流端に達した被処理物は、前記内筒6の回転によってそれぞれ上側の位置となった時に前記処理物導出管63に落下し、更に該処理物導出管63を移動して排出部3に落下して排出される。又、分解ガスは前記処理物導出管63を通って前記排出部3より排気される。
【0068】
上記第4の実施の形態に於いても、前記動力受動板31を介して前記内筒6のみを回転することができ、構造の簡略化が図れる。
【0069】
尚、第4の実施の形態に於いても、図4、図5で示した駆動様式を採用可能なことは言う迄もない。
【0070】
該第4の実施の形態では、多量の被処理物を処理する大型のロータリキルンに適用可能であり、内筒6の表面積が増大して加熱効率が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態に於ける内筒支持部を示す拡大図である。
【図3】第1の実施の形態に於ける下流部シール装置の部分拡大図である。
【図4】第2の実施の形態を示す内筒の下流端部分の断面図である。
【図5】第3の実施の形態を示す内筒の下流端部分の断面図である。
【図6】第3の実施の形態を示す内筒の下流端の側面図である。
【図7】第4の実施の形態を示す概略断面図である。
【図8】図7のA−A矢視図である。
【図9】第4の実施の形態の内筒支持部の拡大斜視図である。
【図10】従来のロータリキルンを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0072】
2 炉本体
3 排出部
5 外筒
6 内筒
7 架台
21 支持架台
22 内筒支持部
23 ローラユニット
24 ローラ
26 上流部シール装置
27 下流部シール装置
29 チェーン
31 動力受動板
32 駆動モータ
33 フランジ
34 スプロケット歯
40 駆動スプロケット
42 空間
44 突出端部シール部
48 動力伝達軸
51 軸シール
52 受動ギア
54 小内筒
55 小円筒支持板
56 転動リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に固定支持された外筒と、該外筒の内部に同心に設けられた内筒と、前記外筒の内面に設けられ前記内筒を回転自在に支持する内筒支持部と、前記外筒の上流端に設けられ前記内筒の上流端部を収納する出口ケーシングと、前記外筒の下流端に設けられ前記内筒の下流端部を収納する入口ケーシングと、前記内筒の下流端に連通される排出部と、前記内筒に連結され該内筒を回転させる駆動部とを具備し、前記入口ケーシングより加熱流体を流入させ、前記内筒と前記外筒間の空間を流通させて前記出口ケーシングより排気し、前記内筒を前記駆動部により回転させつつ前記内筒の上流端より被処理物を導入し、処理後の処理物を前記排出部を介して排出する様構成したことを特徴とするロータリキルン。
【請求項2】
前記内筒の前記出口ケーシング貫通部及び上流端、前記内筒の前記入口ケーシング貫通部及び下流端をシールする上流部シール装置と、下流部シール装置を具備し、各シール装置は前記内筒に固着されたフランジを具備し、該フランジにシールリングを押圧し、前記フランジと前記シールリングとの摺動面に潤滑剤を供給する様構成した請求項1のロータリキルン。
【請求項3】
前記上流部シール装置、前記下流部シール装置の少なくとも一方の前記フランジに前記駆動部を連結し、該駆動部により前記フランジを介して前記内筒を回転する様構成した請求項2のロータリキルン。
【請求項4】
前記内筒の下流端部を前記排出部より突出させ、突出した端部に前記駆動部を連結した請求項1のロータリキルン。
【請求項5】
前記内筒の下流端に動力伝達軸を連結し、該動力伝達軸を前記排出部より突出させ、前記動力伝達軸の突出部分に前記駆動部を連結し、前記突出部分を介して前記内筒を回転する様構成した請求項1のロータリキルン。
【請求項6】
前記内筒の前記外筒に収納される部分が該外筒の中心線を中心に回転する複数の小内筒によって構成され、該小内筒は所要箇所に前記中心線と直交する様設けられた小円筒支持板で固定され、該小円筒支持板を介して前記内筒支持部に回転自在に支持された請求項1のロータリキルン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−241108(P2008−241108A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81468(P2007−81468)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】