説明

ロータ式空気処理装置

【課題】空気処理効率の周期的な変動を防止する。
【解決手段】複数の骨材25をロータ回転方向に並べて放射状に配置した通気性の吸着剤層Xからなる吸着ロータ1を備えるロータ式空気処理装置において、再生域4に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用気体HAからの伝熱による加熱とは別に、吸着ロータ1の回転に併行して、再生域4に位置する骨材25を選択的に加熱する補助加熱手段fを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気除湿や空気浄化などの空気処理に用いるロータ式空気処理装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、複数の骨材をロータ回転方向に並べて放射状に配置した通気性の吸着剤層からなる吸着ロータを備え、この吸着ロータの回転領域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べて区画形成し、吸着ロータの回転に併行して、処理域には、被処理空気を処理域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風し、再生域には、高温の再生用気体を再生域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風し、パージ域には、パージ用気体をパージ域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風するロータ式空気処理装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、この種のロータ式空気処理装置として次の装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
吸着ロータにおいて放射状に配置された骨材(隔壁)の夫々に対して伝熱路を個別に装備する。
【0005】
この構造で、吸着ロータの回転に併行して、放射状配置の骨材のうち再生域後のパージ域に位置する骨材の装備伝熱路に熱回収用流体を通過させ、これにより、ロータ吸着剤層のうちパージ域に位置する吸着剤層部分(即ち、先の再生域において高温再生用空気により加熱された吸着剤層部分)の保有熱を熱回収用流体に回収する。
【0006】
これに続き、熱回収後の熱回収用流体を吸着ロータの回転に併行して、再生域前の予熱域に位置する骨材の装備伝熱路に通過させ、これにより、上記回収熱を用いてロータ吸着剤層のうち予熱域に位置する吸着剤層部分を再生域での加熱に先立ち予熱する。
【0007】
また、吸着ロータの回転に併行して、放射状配置の骨材のうち処理域に位置する骨材の装備伝熱路に冷却用流体を通過させ、これにより、ロータ吸着剤層のうち処理域に位置する吸着剤層部分に被処理空気を通過させるのに伴い、その吸着剤層部分を冷却用流体により冷却し、この冷却により処理域に位置する吸着剤層部分の吸着性能を高めて、被処理空気に対する処理効率を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−112008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この種のロータ式空気処理装置では、被処理空気に対する処理効率が吸着ロータの回転に伴い周期的に変動する問題があった。
【0010】
つまり、空気の除湿処理の場合では、処理域において吸着剤層による水分吸着により被処理空気を除湿することにおいて、処理域から処理済空気として送出される除湿空気の湿度が、上記処理効率の変動により図6におけるグラフ1で示す如く周期的に上昇する問題があった。
【0011】
また、空気の浄化処理の場合では、処理域において吸着剤層による汚染物質の吸着により被処理空気を浄化することにおいて、処理域から処理済空気として送出される浄化空気の汚染物質濃度が、上記処理効率の変動により周期的に上昇する問題があった。
【0012】
そして、上記した特許文献1における提案装置にしても、処理効率は向上し得るものの、上記の如き周期的な効率変動は回避できないものであった。
【0013】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるロータ式空気処理装置の第1特徴構成は、
複数の骨材をロータ回転方向に並べて放射状に配置した通気性の吸着剤層からなる吸着ロータを備え、
この吸着ロータの回転領域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べて区画形成し、
前記吸着ロータの回転に併行して、前記処理域には、被処理空気を処理域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風し、
前記再生域には、高温の再生用気体を再生域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風し、
前記パージ域には、パージ用気体をパージ域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風するロータ式空気処理装置であって、
前記再生域に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用気体からの伝熱による加熱とは別に、前記吸着ロータの回転に併行して、前記再生域に位置する前記骨材を選択的に加熱する補助加熱手段を設けてある点にある。
【0015】
前述した処理効率の周期的な変動は、吸着ロータにおいて放射状に配置された複数の骨材に原因することが判明した。
【0016】
つまり(図1参照)、吸着ロータ1における骨材25の配置部は、高温再生用気体HAの通過が可能な骨材不存部に比べ再生域4において昇温し難く、その為、ロータ回転方向において骨材配置部の近傍に位置する骨材不存部の吸着剤層部分も、高温再生用空気HAの通過があるにもかかわらず、低温部である骨材配置部への伝熱(特に骨材25への伝熱)のために再生域4において加熱不足の状態になり、再生域通過過程において十分に再生されない再生不足の状態になる傾向がある。
【0017】
そして、このように再生不足となった骨材配置部近傍の吸着剤層部分が骨材配置部とともに周期的に処理域3を通過することが原因で、前述の如き処理効率の周期的な変動が生じる。
【0018】
また、前述した特許文献1における提案装置では、再生域HAに位置する骨材25(隔壁)の装備伝熱路fが流体通過停止状態になって、その伝熱路fにおける滞留流体のため再生域4に位置する骨材配置部の保持容量が大きくなり、このことで、骨材配置部への伝熱で骨材配置部近傍の吸着剤層部分が加熱不足で再生不足の状態になるのを却って助長することになり、処理効率の周期的な変動が一層助長される傾向になる。
【0019】
これに対し、上記第1特徴構成によれば(同図1参照)、再生域4に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用気体HAからの伝熱による加熱とは別に、吸着ロータ1の回転に併行して、再生域4に位置する骨材25を補助加熱手段により選択的に加熱するので、骨材配置部を再生域4において効率的に昇温させることができ、そのことで、骨材不存部における吸着剤層部分からの骨材配置部への伝熱や、その吸着剤層部分を通過する高温再生用気体HAからの骨材配置部への伝熱を効果的に抑止することができる。
【0020】
即ち、このことにより、骨材配置部の近傍に位置する骨材不存部の吸着剤層部分が再生域4で加熱不足になって再生不足の状態になることを効果的に回避することができて、前述の如き処理効率の周期的な変動を効果的に抑止することができる。
【0021】
また、骨材配置部を再生域4において上記の如く昇温させることで、再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させる高温再生用気体HAを再生域4に位置する吸着剤層部分の加熱に無駄なく効率的に寄与させることができて、その分、被処理空気Aに処理効率を高めるとともに、再生域4に対する高温再生用気体HAの通風量も効果的に削減することができ、これにより、補助加熱手段の運転に要するエネルギを含めても、装置全体としての消費エネルギも効果的に低減することができて、省エネルギ面や運転コスト面でも一層有利にすることができる。
【0022】
従って、空気の除湿処理の場合では、処理域3から処理済空気A′として送出される除湿空気の湿度を所要の低い値に精度良く安定的に維持し得るとともに、消費エネルギも効果的に低減し得る装置にすることができる。
【0023】
また同じく、空気の浄化処理の場合では、処理域3から処理済空気A′として送出される浄化空気の汚染物質濃度を所要の低い値に精度良く安定的に維持し得るとともに、消費エネルギも効果的に低減し得る装置にすることができる。
【0024】
本発明よるロータ式空気処理装置の第2特徴構成は、
前記パージ域に位置する吸着剤層部分への放熱による冷却、及び、その吸着剤層部分を通過するパージ用気体への放熱による冷却とは別に、前記吸着ロータの回転に併行して、前記パージ域に位置する前記骨材を選択的に冷却する補助冷却手段を設けてある点にある。
【0025】
この構成によれば(図1参照)、再生域4に位置する骨材25を前述の如く補助加熱手段により加熱しながらも、再生域4に続くパージ域5において、上記の如くパージ域5に位置する吸着剤層部分への放熱による冷却、及び、その吸着剤層部分を通過するパージ用気体PAへの放熱による冷却とは別に、パージ域5に位置する骨材25を補助冷却手段により選択的に冷却することで、処理域3に先立つパージ域5において骨材配置部を効率的に冷却することができて、その分、パージ域5に通風するパージ用気体PAをパージ域5に位置する吸着剤層部分の冷却に無駄なく効率的に寄与させることができる。
【0026】
即ち、このことにより、処理域3の高温化による処理効率の低下を効果的に回避することができて、前述の如く再生域4での加熱不足を防止して十分に再生した吸着剤層部分を処理域3において被処理空気Aに対し効果的に処理機能させることができる。
【0027】
また、パージ用気体PAをパージ域5に位置する吸着剤層部分の冷却に無駄なく効率的に寄与させ得る分、パージ域5に対するパージ用気体PAの通風量も効果的に削減することができ、これにより、装置全体としての消費エネルギも一層効果的に低減することができる。
【0028】
本発明によるロータ式空気処理装置の第3特徴構成は、
前記補助加熱手段として、前記骨材を伝熱対象とする伝熱路をロータ回転方向に並ぶ前記骨材の夫々に対して個別に装備し、
前記吸着ロータの回転に併行して、前記伝熱路のうち前記再生域に位置する前記骨材の装備伝熱路に対し、再生用加熱手段により加熱した高温再生用気体の一部を選択的に通過させ、
前記再生用加熱手段により加熱した高温再生用気体の他部を、前記再生域に位置する吸着剤層部分に通過させる構成にしてある点にある。
【0029】
この構成では(図1参照)、再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させる高温再生用気体HAを再生用加熱手段16により加熱生成することにおいて、その再生用加熱手段16で加熱した高温再生用気体HAの一部を利用して再生域4に位置する骨材25を選択的に加熱する。
【0030】
従って、高温再生用空気HAとは別の加熱源を用いて再生域4に位置する骨材25を加熱する装置構成を採るのに比べ、骨材加熱用の専用熱源装置を不要にして装置構成を簡素にすることができ、その分、装置コストを安価にするとともに、装置を小型化することができる。
【0031】
本発明によるロータ式空気処理装置の第4特徴構成は、
前記伝熱路の入口を、ロータ回転方向において対応する前記骨材夫々の近傍で前記吸着ロータにおける再生用気体入口側の端面部に形成してある点にある。
【0032】
この構成によれば(図1参照)、再生域4において高温再生用気体HAを吸着ロータ1における再生用気体入口側の端面部(ロータ回転軸芯方向の一方側の端面部)から再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させるのに伴い、その高温再生用気体HAの一部を吸着ロータ1における再生用気体入口側の端面部に形成された複数の伝熱路入口fiのうち再生域4に位置する伝熱路入口fiを通じて再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに通過させることができる。
【0033】
即ち、この構成によれば、高温再生用気体HAの一部を再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに対して選択的に通過させるための専用の流路切換手段を不要にすることができて、装置構成を一層簡素にすることができる。
【0034】
本発明によるロータ式空気処理装置の第5特徴構成は、
前記再生域に対する高温再生用気体の通風向きと前記パージ域に対するパージ用気体の通風向きとをロータ回転軸芯方向において同じ向きにして、
前記再生域に位置する前記伝熱路の入口には、前記再生用加熱手段から前記再生域に供給される高温再生用気体の一部が流入し、
前記パージ域に位置する前記伝熱路の入口には、前記パージ域に供給されるパージ用気体の一部が流入する構成にしてある点にある。
【0035】
この構成によれば(図1参照)、再生域4に位置する伝熱路入口fiから再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに高温再生気体HAの一部を流入させて再生域4に位置する骨材25を加熱するのに伴い、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fを前記補助冷却手段として、パージ域5に位置する伝熱路入口fiからパージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fにパージ用気体PAの一部を流入させ、その流入パージ用気体PAによりパージ域5に位置する骨材25を選択的に冷却することができる。
【0036】
即ち、この構成によれば、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに対して高温再生用気体HAの一部を選択的に通過させるとともに、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fに対してパージ用気体PAの一部を選択的に通過させるための専用の流路切換手段を不要にしながら、パージ域5に位置する骨材25をパージ域5に位置する吸着剤層部分への放熱による冷却、及び、その吸着剤層部分を通過するパージ用気体PAへの放熱による冷却とは別に、パージ用気体PAの一部を利用して効果的に冷却することができる。
【0037】
本発明によるロータ式空気処理装置の第6特徴構成は、
前記伝熱路の出口を、ロータ回転方向において対応する前記骨材夫々の近傍で前記吸着ロータの外周面部に形成し、
前記吸着ロータの回転領域における外周部のうち、前記再生域に対応する部分及び前記パージ域に対応する部分に、前記伝熱路の出口から排出される気体を受け入れる排気チャンバを形成し、
この排気チャンバに受け入れた排出気体を前記再生用加熱手段に導く回収用排気路を設けてある点にある。
【0038】
この構成では(図1参照)、再生域4に位置する伝熱路入口fiからの流入に伴い再生域4に位置する伝熱路出口foから排出される気体HA″(即ち、再生域4に位置する骨材25の加熱に用いた高温再生用気体HA″)、及び、パージ域5に位置する伝熱路入口fiからの流入に伴いパージ域5に位置する伝熱路出口foから排出される気体PA″(即ち、パージ域5に位置する骨材25の冷却に用いたパージ用気体PA″)を排気チャンバ31に受け入れる。
【0039】
そして、この排気チャンバ31に受け入れた排出気体HA″,PA″を回収用排気路33を通じて再生用加熱手段16に導くことで、それら排出気体HA″,PA″の保有熱(即ち、再生域4での骨材25の加熱に用いた高温再生用気体HA″の残熱、及び、パージ域5での骨材25の冷却においてパージ用気体PA″に回収した熱)を有効利用した状態で、それら排出気体HA″,PA″を原材気体として再生域4に供給する高温再生用気体HAを再生用加熱手段16において加熱生成する。
【0040】
従って、この構成によれば、高温再生用気体HAを生成する再生用加熱手段16の消費エネルギを効果的に低減することができ、省エネルギ面や運転コスト面で一層有利にすることができる。
【0041】
本発明によるロータ式空気処理装置の第7特徴構成は、
前記再生域に位置する前記伝熱路の出口から排出される気体、及び、前記パージ域に位置する前記伝熱路の出口から排出される気体を前記再生用加熱手段に送給する回収用ファンを設けてある点にある。
【0042】
この構成によれば(図8参照)、各伝熱路出口foから排出される気体HA″,PA″を回収用ファン35の送風機能により再生用加熱手段16に確実に送ることができ、これにより、装置を所期の運転状態で確実かつ安定的に運転することができる。
【0043】
そしてまた、回収用ファン35の吸引作用により各伝熱路fにおける気体通過を促進することもでき、そのことで、伝熱路fに高温再生用気体HAの一部を通過させることによる骨材25の加熱や、伝熱路fにパージ用気体PAの一部を通過させることによる骨材25の冷却を一層効果的なものにすることができる。
【0044】
本発明によるロータ式空気処理装置の第8特徴構成は、
前記処理域に対する被処理空気の通風向きと前記再生域に対する高温再生用気体の通風向きとをロータ回転軸芯方向において互いに逆向きにしてある点にある。
【0045】
つまり(図1参照)、伝熱路fの出口foを前述の如く吸着ロータ1の外周面に設ける構成であれば、処理域3に対する被処理空気Aの通風向きと再生域4に対する高温再生用気体HAの通風向きとを上記の如く互いに逆向きにしたとしても、処理域3に通風する被処理空気Aの一部が処理域3に位置する伝熱路出口foから処理域3に位置する骨材25の装備伝熱路fに侵入して、処理域3に位置する吸着剤層部分を通過せずに処理されないままで処理域3から送出される素通り的漏洩を防止することができる。
【0046】
そして、上記構成によれば、このような被処理空気Aの素通り的漏洩を防止しながら、、処理域3に対する被処理空気Aの通風向きと再生域4に対する高温再生用気体HAの通風向きとをロータ回転軸芯方向において互いに逆向きにすることで、処理域3に位置する吸着剤層部分で被処理空気Aが進行して処理が進むほど再生域4での再生度の高い吸着剤層が位置するようにした通過形態で、被処理空気Aの全量を処理域3に位置する吸着剤層部分に通過させることができ、これにより、被処理空気Aに対する処理効率を一層効果的に高めることができる。
【0047】
なお、本発明によるロータ式空気処理装置の第3〜第8特徴構成のいずれかの実施においては、伝熱路入口fiから伝熱路出口foに向う短絡的な気流が伝熱路fの内部で形成されるのを防止する通過気流案内手段を設けたり、伝熱路fにおける通過気体と骨材25との間での伝熱を促進する伝熱用突起を伝熱路fの内壁面に設けるなどしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ロータ式空気除湿装置の全体構成図
【図2】吸着ロータの構造図
【図3】吸着ロータ周りの構造図
【図4】骨材における伝熱路の構造図
【図5】伝熱路の断面図
【図6】処理済空気の湿度状態を示すグラフ
【図7】伝熱路を装備した装置と伝熱路の装備がない装置との比較表
【図8】別実施形態を示すロータ式空気除湿装置の全体構成図
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1はロータ式空気除湿装置を示し、1はハニカム構造などの通気性の吸着剤層Xからなる吸着ロータであり、この吸着剤層Xにはゼオライトや活性炭などの吸着剤を保持させてある。
【0050】
吸着ロータ1の回転領域2には、処理域3と再生域4とパージ域5とをその順にロータ回転方向Rに並べて区画形成してあり、吸着ロータ1を回転させるのに伴い、ロータ各部の吸着剤層Xを処理域3と再生域4とパージ域5とにその順で繰り返し位置させる。
【0051】
なお、図1においては理解を容易にするため吸着ロータ1及びその回転領域2をロータ回転方向Rで展開して示してある。
【0052】
処理域3には、被処理空気路6を通じて給気ファン7により供給される除湿対象の被処理空気Aを通風し、この通風により、被処理空気Aをロータ吸着剤層Xのうち処理域3に位置する吸着剤層部分に通過させることで、その通過過程において吸着剤層Xによる水分吸着により被処理空気Aを除湿する。
【0053】
処理域3において除湿した処理済空気A′は調整用空気SAとして処理済空気路8を通じて調整対象室9に供給し、これにより、調整対象室9の室内を所定の低湿度状態に調整する。
【0054】
被処理空気Aは外気OAと調整対象室9から戻る還気空気RAとの混合空気であり、外気導入路10を通じて外気OAを導入するとともに、調整対象室9における室内空気を還気空気RAとして還気路11に導出し、これら導入外気OAと還気空気RAとを合流させた空気を被処理空気Aとして被処理空気路6を通じて処理域3に供給する。
【0055】
また、調整対象室9に対する調整用空気SAの供給に伴い、外気導入路10を通じた外気OAの導入風量に相当する風量の室内空気を排気空気EAとして排気路12を通じ調整対象室9から排出する。
【0056】
13は外気導入路10を通じて導入する外気OAを冷却する外気処理クーラ、14は還気路11を通じて導く還気空気RAを冷却する還気処理クーラであり、これらクーラ13、14による外気OA及び還気空気RAの冷却により被処理空気Aを低温にすることで、処理域3での被処理空気Aに対する除湿効率(換言すれば、吸着剤層Xの水分吸着効率)を高める。
【0057】
15は外気処理クーラ13及び還気処理クーラ14による冷却に対し、処理済空気路8を通じて調整対象室9に供給する調整用空気SAを調整対象室9の用途に応じた所要温度に加熱するアフターヒータである。
【0058】
再生域4には、再生用ヒータ16(再生用加熱手段の一例)から再生用給気路17を通じて再生用ファン18により供給される高温再生用空気HAを通風し、この通風により、高温再生用空気HAをロータ吸着剤層Xのうち再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させることで、再生域4に位置する吸着剤層部分を加熱して、その吸着剤層部分が先の処理域3で被処理空気Aから吸着した水分を脱着させ、これにより、再生域4に位置する吸着剤層部分を再生する。
【0059】
再生域4に対する高温再生用空気HAの通風向きと、処理域3に対する被処理空気Aの通風向きとはロータ回転軸芯方向において互いに逆向きにしてあり、再生域4では、高温再生用空気HAを吸着ロータ1の回転軸芯方向における一方側の端面部(再生用空気入口側の端面部)から再生域内の吸着剤層部分に通過させるのに対し、処理域3では、被処理空気Aを吸着ロータ1の回転軸芯方向における他方側の端面部(被処理空気入口側の端面部)から処理域内の吸着剤層部分に通過させる。
【0060】
このように、再生域4に対する高温再生用空気HAの通風向きと、処理域3に対する被処理空気Aの通風向きとを互いに逆向きにすることにより、処理域3に位置する吸着剤層部分で被処理空気Aが進行して除湿が進むほど再生域4での再生度の高い吸着剤層が位置するようにし、これにより、被処理空気Aに対する除湿効率を高く確保する。
【0061】
処理域3で除湿されて処理済空気路8に送出される処理済空気A′の一部はアフターヒータ15よりも上流側でパージ用給気路19に分流し、パージ域5には、このパージ用給気路19に分流した処理済空気A′をパージ用空気PAとして再生域4に対する高温再生用空気HAの通風向きと同じ向きで通風する。
【0062】
この通風により、パージ用空気PAをロータ吸着剤層Xのうちパージ域5に位置するする吸着剤層部分に通過させることで、先の再生域4において加熱された吸着剤層部分をパージ域5において冷却し、この冷却により、再生域4で再生した吸着剤層部分を次の処理域3において被処理空気Aに対し効率的に除湿機能(水分吸着機能)させる。
【0063】
再生域4から再生用排気路20に送出される使用済の高温再生用空気HA′の一部は、再生用排気路20に介装した再生用ファン18の送風作用により再生用循環路21を通じて再生用ヒータ16に送り、また、この再生用循環路21には、パージ域5から送出される使用済のパージ用空気PA′を導くパージ用排気路22を接続してある。
【0064】
つまり、再生域4から送出される使用済の高温再生用空気HA′の一部、及び、パージ域5から送出される使用済のパージ用空気PA′を再生用循環路21を通じて再生用ヒータ16に送り、これら使用済空気HA′,PA′を再生用ヒータ16により加熱することで、再生域4に供給する高温再生用空気HAを生成する。
【0065】
このように使用済の高温再生用空気HA′の一部及び使用済のパージ用空気PA′を原材空気として高温再生用空気HAを加熱生成することで、使用済の高温再生用空気HA′が保有する残熱及び使用済のパージ用空気PA′が保有する回収熱(即ち、パージ域5に位置する吸着剤層部分からの回収熱)を利用して高温再生用空気HAを加熱生成し、これにより、高温再生用空気HAの生成に要するエネルギを低減する。
【0066】
なお、再生域4から送出される使用済の高温再生用空気HA′のうちの残部は再生用排気路20を通じて装置外に排出する。
【0067】
図2に示すように、吸着ロータ1は構造材として、ロータ中心に位置するロータ回転軸23と、ロータ外周面を形成するロータ外周リム24と、これらロータ回転軸23とロータ外周リム24とにわたるスポーク状の骨材25とを備え、スポーク状の骨材25はロータ回転方向に等間隔に並べて放射状に4箇所配置してある。
【0068】
ハニカム構造の吸着剤層Xは、ロータ回転方向において複数の吸着剤層ブロックxbに分割してあり、これら吸着剤層ブロックxbの各々をロータ回転軸23とロータ外周リム24との間でスポーク状の骨材25どうしの間に収容配置することで吸着ロータ1を構成してある。
【0069】
25aは、吸着剤層ブロックxbと骨材25との間をシールするシール部材であり、Pはロータ回転軸芯でありロータ回転軸23の中心軸芯である。
【0070】
図3に示すように、吸着ロータ1の回転領域2におけるロータ回転軸芯方向の一端部には、吸着ロータ1の一方側の端面部(再生用空気入口側の端面部)に対して開口部を近接対向させた一方側の給排チャンバ26を配置し、同様に、吸着ロータ1の回転領域2におけるロータ回転軸芯方向の他端部には、吸着ロータ1の他方側の端面部(被処理空気入口側の端面部)に対して開口部を近接対向させた他方側の給排チャンバ27を配置してある。
【0071】
一方側の給排チャンバ26は、その内部を仕切壁26aにより、処理域3に対応位置する処理域出口チャンバ3oと、再生域4に対応位置する再生域入口チャンバ4iと、パージ域5に対応位置するパージ域入口チャンバ5iとに区画してあり、また、他方側の給排チャンバ27は、その内部を仕切壁27aにより、処理域3に対応位置する処理域入口チャンバ3iと、再生域4に対応位置する再生域出口チャンバ4oと、パージ域5に対応位置するパージ域出口チャンバ5oとに区画してある。
【0072】
即ち、他方側の給排チャンバ27における処理域入口チャンバ3iに被処理空気路6を接続するとともに、一方側の給排チャンバ26における処理域出口チャンバ3oに処理済空気路8を接続することで、被処理空気Aを処理域3に通風して処理域3に位置する吸着剤層部分に通過させる構造にしてある。
【0073】
また、一方側の給排チャンバ26における再生域入口チャンバ4iに再生用給気路17を接続するとともに、他方側の給排チャンバ27における再生域出口チャンバ4oに再生用排気路20を接続することで、高温再生用空気HAを再生域4に通風して再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させる構造にしてある。
【0074】
そしてまた、一方側の給排チャンバ26におけるパージ域入口チャンバ5iにパージ用給気路19を接続するとともに、他方側の給排チャンバ27におけるパージ域出口チャンバ5oにパージ用排気路22を接続することで、パージ用空気PAをパージ域5に通風してパージ域5に位置する吸着剤層部分に通過させる構造にしてある。
【0075】
図2〜図5に示すように、吸着ロータ1において隣合う吸着剤層ブロックxbどうしの間に位置させるスポーク状の骨材25は夫々、ロータ回転軸芯方向において吸着ロータ1の全長にわたり、かつ、ロータ回転半径方向においてロータ回転軸23からロータ外周リム24にわたる偏平なボックス構造にしてあり、この偏平ボックス構造におけるロータ回転軸芯方向の一方側の側面部は、伝熱路入口fiとして吸着ロータ1の一方側端面部(再生用空気入口側の端面部)において開口させてある。
【0076】
また、骨材25の偏平ボックス構造におけるロータ外周側の側面部のうち、吸着ロータ1の他方側端面部(被処理空気入口の端面部)寄りの部分は、伝熱路出口foとしてロータ外周リム24において開口させてあり、これにより、各骨材25の偏平ボックス構造におけるボックス内部は、各骨材25に対して装備した伝熱路fにしてある。
【0077】
この伝熱路fの内壁面には、伝熱路fにおける通過空気と骨材25との間での伝熱を促進する複数の伝熱リブ28(伝熱用突起の一例)を形成してあり、また、骨材25の偏平ボックス構造における内部には、伝熱路入口fiから伝熱路出口foに向う短絡的な直線状の気流が伝熱路fの内部に形成されるのを防止して伝熱路fを実質上の屈曲流路にする気流案内板29(通過気流案内手段の一例)を装備してある。
【0078】
各伝熱路fの出口foをロータ外周リム24に形成するのに対して、吸着ロータ1の回転領域2における外周部には、ロータ外周リム24の全周に対して開口部を近接対向させた環状チャンバ30を配置し、この環状チャンバ30は、その内部を仕切壁30aにより、ロータ回転方向において再生域4とパージ域5とに対応位置する排気チャンバ31と、ロータ回転方向において処理域3に対応位置する閉塞チャンバ32とに区画してある。
【0079】
つまり、再生域4では、再生用給気路17を通じて一方側の給排チャンバ26における再生域入口チャンバ4iに供給される高温再生用空気HAをロータ吸着剤層Xのうち再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させるのに併行して、再生域入口チャンバ4iに供給される高温再生用空気HAの一部を、吸着ロータ1の一方側端面部でロータ回転方向に並ぶ伝熱路入口fiのうち再生域4に位置する伝熱路入口fi(即ち、再生域入口チャンバ4iに臨む伝熱路入口fi)に流入させて、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに通過させる。
【0080】
これにより、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fを補助加熱手段として、再生域4に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用空気HAからの伝熱による加熱とは別に、再生域4に位置する骨材25をその装備伝熱路fに通過させる高温再生用空気HAにより選択的かつ直接的に加熱し、これにより、吸着ロータ1における複数箇所の骨材配置部(即ち、吸着剤層ブロックxbどうしの間の境界部)のうち再生域4に位置する骨材配置部を効率的に昇温させる。
【0081】
即ち、吸着ロータ1における骨材25の配置部は、高温再生用気体HAの通過が可能な骨材不存部に比べ再生域4において昇温し難く、その為、ロータ回転方向において骨材配置部の近傍に位置する骨材不存部の吸着剤層部分も、高温再生用空気HAの通過があるにもかかわらず、低温部である骨材配置部への伝熱のために再生域4において加熱不足の状態になり、再生域通過過程において十分に再生されない再生不足の状態になる傾向がある。
【0082】
そして、このように再生不足となった骨材配置部近傍の吸着剤層部分が骨材配置部とともに周期的に処理域3を通過することが原因で、被処理空気Aに対する除湿効率が周期的に変動して処理域3から送出される処理済空気A′の湿度(即ち、調整対象室9に供給する調整用空気SAの湿度)が図6におけるグラフ1に示されるように周期的に上昇するといった問題が生じる。
【0083】
これに対し、上記の如く、再生域4に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用空気HAからの伝熱による加熱とは別に、吸着ロータ1の回転に併行して、再生域4に位置する骨材25をその装備伝熱路fに通過させる高温再生用空気HAにより選択的かつ直接的に加熱して、再生域4に位置する骨材配置部を効率的に昇温させることで、上記の如き除湿効率の周期的な変動を防止するとともに平均除湿効率も向上させ、これにより、図6のグラフ2に示す如く、処理域3から送出される処理済空気A′の湿度を一層低減するとともに精度良く安定的に維持し得るようにしてある。
【0084】
再生域入口チャンバ4iに供給される高温再生用空気HAの一部を再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに通過させるのに伴い、その装備伝熱路fの出口foから排出される使用済の高温再生用空気HA″は環状チャンバ30における排気チャンバ31に受け入れられる。
【0085】
また同様に、パージ域5では、パージ用給気路19を通じて一方側の給排チャンバ26におけるパージ域入口チャンバ5iに供給されるパージ用空気PAをロータ吸着剤層Xのうちパージ域5に位置する吸着剤層部分に通過させるのに併行して、パージ域入口チャンバ5iに供給されるパージ用空気PAの一部を、吸着ロータ1の一方側端面部でロータ回転方向に並ぶ伝熱路入口fiのうちパージ域5に位置する伝熱路入口fi(即ち、パージ域入口チャンバ5iに臨む伝熱路入口fi)に流入させて、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fに通過させる。
【0086】
即ち、このようにパージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fにパージ用空気PAを通過させることにより、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fを補助冷却手段として、パージ域5に位置する吸着剤層部分への放熱による冷却、及び、その吸着剤層部分を通過するパージ用空気PAへの放熱による冷却とは別に、パージ域5に位置する骨材25をその装備伝熱路fに通過させるパージ用空気PAにより選択的かつ直接的に冷却する。
【0087】
これにより、処理域3に先立つパージ域5において骨材配置部(即ち、先の再生域4で加熱した骨材配置部)を効率的に冷却するとともに、その分、パージ域5に位置する吸着剤層部分に通風するパージ用空気PAをパージ域5に位置する吸着剤層部分の冷却に無駄なく効率的に寄与させさせるようにして、前述の如く再生域4での加熱不足を防止して十分に再生した吸着剤層部分を処理域3において被処理空気Aに対し効果的に除湿機能させる。
【0088】
パージ域入口チャンバ5iに供給されるパージ用空気PAの一部をパージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fに通過させるのに伴い、その装備伝熱路fの出口foから排出される使用済のパージ用空気PA″は、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fから排出される使用済の高温再生用空気HA″とともに、環状チャンバ30における排気チャンバ31に受け入れられる。
【0089】
図7は上記の如き伝熱路fを設けていないロータ式空気除湿装置と伝熱路fを設けたロータ式空気除湿装置との比較表であり、この表に示されるように、伝熱路fを設けたロータ式空気除湿装置では、前述の如く処理域3から送出される処理済空気A′の周期的な湿度変動を効果的に防止しながら、再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させる高温再生用空気HAを再生域4に位置する吸着剤層部分の加熱に効率的に寄与させ得る分だけ、高温再生用空気HAの必要風量を低減することができ、また、パージ域5に位置する吸着剤層部分に通過させるパージ用空気PAをパージ域5に位置する吸着剤層部分の冷却に効率的に寄与させ得る分だけ、パージ用空気PAの必要風量も低減することができ、これらのことで装置の消費エネルギも効果的に低減することができる。
【0090】
各伝熱路fの出口foはロータ外周リム24に形成してあることで、被処理空気路6を通じて他方側の給排チャンバ27における処理域入口チャンバ3iに供給される被処理空気Aは処理域3に位置する骨材25の装備伝熱路fに流入することが阻止され、これにより、被処理空気Aが骨材25の装備伝熱路fを通じて吸着剤層Xによる除湿処理を受けないままで外部に送出されることが防止される。
【0091】
即ち、他方側の給排チャンバ27における処理域入口チャンバ3iに供給された被処理空気Aはその全量が、ロータ吸着剤層Xのうち処理域3に位置する吸着剤層部分を通過して除湿処理された上で一方側の給排チャンバ26における処理域出口チャンバ3oに導かれる。
【0092】
環状チャンバ30における排気チャンバ31は、回収用排気路33を通じて再生用排気路20における再生用ファン18の吸入側箇所に接続してあり、これにより、排気チャンバ31に受け入れた使用済の高温再生用空気HA″及び使用済のパージ用空気PA″(即ち、骨材25の装備伝熱路fを通過した空気)は、回収用排気路33を通じて再生用ファン18の吸引作用により再生用排気路20に導かれる。
【0093】
即ち、この構造により、再生用ファン18を回収用ファンとして利用する形態で、再生用ファン18の吸引作用により、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに対する高温再生用空気HAの通過、及び、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fに対するパージ用空気PAの通過を促進して、再生域4に位置する骨材25の加熱及びパージ5に位置する骨材25の冷却を一層促進する。
【0094】
また、排気チャンバ31に受け入れた使用済の高温再生用空気HA″の一部及び使用済のパージ用空気PA″の一部を、再生用ファン18の送風機能により、再生域4から再生用排気路20に送出される使用済の高温再生用空気HA′の一部及びパージ域5からパージ用排気路22に送出される使用済のパージ用空気PA′とともに、再生用循環路21を通じ高温再生用空気HAの原材空気として再生用ヒータ16に送り、これにより、排気チャンバ31に受け入れた使用済の高温再生用空気HA″及び使用済のパージ用空気PA″の保有熱(即ち、再生域4での骨材加熱に用いた高温再生用気体HA″の残熱、及び、パージ域5での骨材冷却においてパージ用空気PA″に回収した熱)も高温再生用空気HAの加熱生成に利用するようにしてある。
【0095】
なお、この構造において再生用ファン18とは別に回収用ファンを回収用排気路33に付加装備し、これにより、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに対する高温再生用空気HAの通過、及び、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fに対するパージ用空気PAの通過を一層促進するようにしてもよい。
【0096】
環状チャンバ30において排気チャンバ31と閉塞チャンバ32とを仕切る仕切壁30aの先端部には、吸着ロータ1の回転を許しながら仕切壁30aとロータ外周リム24との間の隙間をシールするシール部材34を取り付けてあり、これにより、一方側の給排チャンバ26における処理域出口チャンバ3oに受け入れた処理済空気A′が処理域3に位置する骨材25の装備伝熱路f及び閉塞チャンバ32を通じて排気チャンバ31に侵入することを防止する。
【0097】
〔別実施形態〕
上述の実施形態では再生用循環路21を設けた装置例を示したが、図8に示すように、再生用循環路21を省略してもよい。
【0098】
そして、この場合、同図8に示すように、パージ域5に位置する吸着剤層部分を通過した使用済のパージ用空気PAをパージ用排気路22を通じて再生用ヒータ16に送る構成にし、この構成において、排気チャンバ31への受け入れ空気HA″,PA″を導く回収用排気路33をパージ用排気路22に接続して、排気チャンバ31への受け入れ空気HA″,PA″を高温再生用空気HAの原材空気として再生用ヒータ16に送るようにしてもよい。
【0099】
また、この場合、回収用排気路33に回収用ファン35を介装して、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに対する高温再生用空気HAの通過、及び、パージ5に位置する骨材25の装備伝熱路fに対するパージ用空気PAの通過を促進するようにするのが望ましい。
【0100】
前述の実施形態では、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fを通過した使用済の高温再生空気HA″とパージ域5に位置する骨材26の装備伝熱路fを通過した使用済のパージ用空気PA″とを共通の排気チャンバ31に受け入れるようにしたが、これに代え、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fを通過した使用済の高温再生空気HA″を受け入れる排気チャンバと、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fを通過した使用済のパージ用空気PA″を受け入れる排気チャンバとを各別に設けてもよい。
【0101】
また、その場合、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fを通過した使用済の高温再生空気HA″とパージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fを通過した使用済のパージ用空気PA″とのいずれか一方のみを再生用ヒータ16に送るようにするなど、使用済の高温再生空気HA″と使用済のパージ用空気PA″との送り先を異ならせるようにしてもよい。
【0102】
各骨材25に装備する伝熱路fの具体的構造は、前述の実施形態で示した構造に限らず、種々の変更が可能であり、例えば、骨材25の内部に伝熱路fを形成するのに代え、骨材25との間での伝熱が可能な状態で骨材25に隣接ないし近接させて伝熱路fを装備してもよい。
【0103】
また、再生域4に位置する骨材25の装備伝熱路fに高温再生用空気HAの一部ないし他の加熱用流体を選択的に通過させるとともに、パージ域5に位置する骨材25の装備伝熱路fにパージ用空気PAの一部ないし他の冷却用流体を選択的に通過させるための構造についても、各伝熱路fの入口fiを対応骨材25の近傍で吸着ロータ1の端面部に開口させる構造に代えて種々の変更が可能である。
【0104】
各伝熱路25の出口foを吸着ロータ1の回転軸芯方向における端面部に形成し、この構成において、処理域3に位置する骨材25の装備伝熱路fに対する被処理空気Aを通過を阻止する手段を装備するようにしてもよい。
【0105】
再生域4に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用空気HAからの伝熱による加熱とは別に、再生域4に位置する骨材25を選択的に加熱する補助加熱手段は、各骨材25に装備する前記の如き伝熱路fに限らず、どのような加熱方式のものであってもよく、例えば、再生域4に位置する骨材25を電熱により選択的に加熱するものなどであってもよい。
【0106】
また同様に、パージ域5に位置する吸着剤層部分への放熱による冷却、及び、その吸着剤層部分を通過するパージ用空気PAへの放熱による冷却とは別に、パージ域5に位置する骨材25を選択的に冷却する補助冷却手段を設ける場合、その補助冷却手段にも種々の冷却形式のものを採用することができる。
【0107】
再生域4に位置する吸着剤層部分に通過させる高温再生用気体HAは高温空気に限らず、水蒸気や燃焼ガスなど、どのような高温気体であってもよい。また、パージ域5に位置する吸着剤層部分に通過させるパージ用気体PAも処理済空気A′に限らず、被処理空気Aや外気など、どのような気体であってもよい。
【0108】
骨材25の具体的な構造は種々の変更が可能であり、例えば、骨材25をロータ回転方向及びロータ回転軸芯方向の夫々において複数配置する構造にしてもよい、また、前述の実施形態では骨材25を4箇所に配置した吸着ロータ1を示したが吸着ロータ1における骨材25の配置箇所数は4箇所に限られるものではない
【0109】
処理域3に位置する骨材25の装備伝熱路fに低温空気などの冷却用流体を通過させて処理域3に位置する骨材25を冷却するなど、処理域3に位置する骨材25をロータ回転に伴い選択的に冷却する処理域用の補助冷却手段を設けてもよい。
【0110】
本発明によるロータ式空気処理装置は、被処理空気Aの除湿を目的とするものに限らず、被処理空気Aの浄化を目的とするものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明によるロータ式空気処理装置は、各種分野において種々の目的の空気除湿や空気浄化に利用することができる。
【符号の説明】
【0112】
25 骨材
X 吸着剤層
1 吸着ロータ
2 ロータ回転領域
3 処理域
4 再生域
5 パージ域
A 被処理空気
P ロータ回転軸芯
HA 高温再生用気体
PA パージ用気体
f 補助加熱手段,補助冷却手段,伝熱路
16 再生用加熱手段
fi 伝熱路入口
fo 伝熱路出口
31 排気チャンバ
HA″,PA″ 排出気体
33 回収用排気路
35 回収用ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の骨材をロータ回転方向に並べて放射状に配置した通気性の吸着剤層からなる吸着ロータを備え、
この吸着ロータの回転領域に処理域と再生域とパージ域とをその順にロータ回転方向に並べて区画形成し、
前記吸着ロータの回転に併行して、前記処理域には、被処理空気を処理域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風し、
前記再生域には、高温の再生用気体を再生域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風し、
前記パージ域には、パージ用気体をパージ域に位置する吸着剤層部分に通過させる状態でロータ回転軸芯方向に通風するロータ式空気処理装置であって、
前記再生域に位置する吸着剤層部分からの伝熱による加熱、及び、その吸着剤層部分を通過する高温再生用気体からの伝熱による加熱とは別に、前記吸着ロータの回転に併行して、前記再生域に位置する前記骨材を選択的に加熱する補助加熱手段を設けてあるロータ式空気処理装置。
【請求項2】
前記パージ域に位置する吸着剤層部分への放熱による冷却、及び、その吸着剤層部分を通過するパージ用空気への放熱による冷却とは別に、前記吸着ロータの回転に併行して、前記パージ域に位置する前記骨材を選択的に冷却する補助冷却手段を設けてある請求項1記載のロータ式空気処理装置。
【請求項3】
前記補助加熱手段として、前記骨材を伝熱対象とする伝熱路をロータ回転方向に並ぶ前記骨材の夫々に対して個別に装備し、
前記吸着ロータの回転に併行して、前記伝熱路のうち前記再生域に位置する前記骨材の装備伝熱路に対し、再生用加熱手段により加熱した高温再生用気体の一部を選択的に通過させ、
前記再生用加熱手段により加熱した高温再生用気体の他部を、前記再生域に位置する吸着剤層部分に通過させる構成にしてある請求項1又は2記載のロータ式空気処理装置。
【請求項4】
前記伝熱路の入口を、ロータ回転方向において対応する前記骨材夫々の近傍で前記吸着ロータにおける再生用気体入口側の端面部に形成してある請求項3記載のロータ式空気処理装置。
【請求項5】
前記再生域に対する高温再生用気体の通風向きと前記パージ域に対するパージ用気体の通風向きとをロータ回転軸芯方向において同じ向きにして、
前記再生域に位置する前記伝熱路の入口には、前記再生用加熱手段から前記再生域に供給される高温再生用気体の一部が流入し、
前記パージ域に位置する前記伝熱路の入口には、前記パージ域に供給されるパージ用気体の一部が流入する構成にしてある請求項4記載のロータ式空気処理装置。
【請求項6】
前記伝熱路の出口を、ロータ回転方向において対応する前記骨材夫々の近傍で前記吸着ロータの外周面部に形成し、
前記吸着ロータの回転領域における外周部のうち、前記再生域に対応する部分及び前記パージ域に対応する部分に、前記伝熱路の出口から排出される気体を受け入れる排気チャンバを形成し、
この排気チャンバに受け入れた排出気体を前記再生用加熱手段に導く回収用排気路を設けてある請求項5記載のロータ式空気処理装置。
【請求項7】
前記再生域に位置する前記伝熱路の出口から排出される気体、及び、前記パージ域に位置する前記伝熱路の出口から排出される気体を前記再生用加熱手段に送給する回収用ファンを設けてある請求項5又は6記載のロータ式空気処理装置。
【請求項8】
前記処理域に対する被処理空気の通風向きと前記再生域に対する高温再生用気体の通風向きとをロータ回転軸芯方向において互いに逆向きにしてある請求項6記載のロータ式空気処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−250208(P2012−250208A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126364(P2011−126364)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】