説明

ローラ支持機構及びこれを備えた電子写真方式の画像形成装置

【課題】電子写真方式の画像形成装置等に備えられ、ローラを回転自在に支持するローラ支持機構において、ローラの交換時にローラの回転軸と軸受部材の挿入孔の軸とを容易に一致させて、交換作業を容易に行うことを可能とする。
【解決手段】ローラ支持機構1は、一対のアーム3と、アーム3に着脱可能に装着される軸受部材2を備えている。軸受部材2は、帯電ローラ142の回転軸の軸端部142aが挿入される挿入孔52aと、溝部52bが形成された半円筒部2bを有している。帯電ローラ142の軸端部142aは、軸受部材2の溝部52bに配置されて、帯電ローラ142の回転軸と軸受部材2の挿入孔52aとが同軸となる。そして、軸受部材2が軸方向に移動されることで、挿入孔52aに軸端部142aが挿入され、軸受部材2の係合爪2dとアーム3の係合孔3cとが係合する。これにより、ローラ支持機構1に帯電ローラ142が回転自在に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラを回転自在に支持するローラ支持機構及びこれを備えた電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばレーザビームプリンタや複写機等、電子写真方式の画像形成装置等の電子機器において、像担持体である感光体の表面を帯電させるための帯電ローラが使用されている。帯電ローラは感光体の表面に接触しながら回転するため汚れ易く、通常は画像形成装置全体が寿命に達するまでに数回の交換を必要とするものである。
【0003】
この帯電ローラのように交換を必要とするローラを電子機器に回転自在に取り付けるためのローラ支持機構として、従来から種々のものが提案されている。例えば、特許文献1に記載されているように、ローラの回転軸を支持する挿入孔を有する軸受部材を電子機器のフレームである支持部材に固定したものが知られている。この支持機構の軸受部材には、支持部材に係合される掛止部が設けられている。この支持機構では、軸受部材をローラの軸方向に移動させて回転軸を挿入しつつ、支持部材の取付孔に軸受部材を嵌め込み軸受部材の掛止部を支持部材と係合させることで、ローラを取付ける。掛止部を支持部材から外し、軸受部材をローラの軸方向に移動させて回転軸を抜くことで、ローラを取り外す。
【0004】
また、特許文献2には、支持部材にU字状の切り欠きが配されているような支持機構が開示されている。この支持機構は、軸受部材にローラの回転軸を挿入した状態で、支持部材のU字状の切り欠きが開放した方向から軸受部材及びローラを所定の位置に配置して、軸受部材と支持部材とを係合させて固定するものである。さらに、特許文献3には、前鍔部と後鍔部を有する軸受部材が、支持部材であるの板状体の取付孔部に挿入されて回転され、前鍔部と後鍔部とが板状体を挟持することで軸受部材が板状体に固定されるような支持機構が記載されている。
【特許文献1】特開平8−247157号公報
【特許文献2】特開平8−93778号公報
【特許文献3】登実3060471号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されているようなローラ支持機構において、ローラを取り付けるとき、ローラの回転軸と軸受部材の挿入孔の軸とを一致させなければローラの回転軸を挿入孔に挿入することができない。回転軸と挿入孔の軸とを一致させる作業は、作業スペースに余裕がない機器内部で行われるときに困難を伴う作業であって、容易には行うことができないものである。なお、この問題点は上述の特許文献2及び特許文献3においても同様なものであり、ローラの交換を容易に行うことはできない。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、ローラの交換時に、ローラの回転軸と軸受部材の挿入孔の軸とを容易に一致させることができ、ローラの交換作業を容易に行うことが可能なローラ支持機構及びこれを備えた電子写真方式の画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、表面に感光体層が形成された感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電ローラと、前記感光体ドラムの表面にレーザ光を走査させながら照射して潜像を形成する露光装置と、前記感光体ドラムの表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、前記感光体ドラムの回転方向の前記現像装置よりも下流側の所定の転写位置において、前記感光体ドラムの表面に対向するように設けられ、前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録紙上に転写させる転写ローラと、トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着ローラと、記録紙が装填される給紙トレイ又は給紙カセットと、前記給紙トレイ又は給紙カセットに装填されている記録紙のうち、最も外側又は最も内側のものを送出し、前記転写位置に搬送する記録紙搬送機構を備えた電子写真方式の画像形成装置において、前記帯電ローラを回転自在に支持するローラ支持機構をさらに備え、ローラ支持機構は前記画像形成装置のフレームに支持された一対のアームと、アームに着脱可能に装着される軸受部材と、アームと軸受部材の間に挿入され、アームに対して軸受部材を所定方向に付勢するコイルバネを備え、前記軸受部材は、前記帯電ローラの回転軸の軸端部が挿入される挿入孔を有する支持筒部と、この支持筒部の一端に形成され、前記挿入孔と連通し、略半円状断面の溝部を有し、前記支持筒部と略等しい外径の半円筒部と、前記支持筒部の他端に該支持筒部の径方向に突出するように形成される鍔部と、この鍔部に前記支持筒部の軸方向で前記半円筒部が設けられている方向に向けてそれぞれ立設される係合爪及び棒状部とを一体に有し、前記アームは、前記軸受部材の支持筒部の外径より僅かに大きい内径を有しており、前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿される略半円状断面の保持溝部と、この保持溝部に沿って設けられ、保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されるときに前記係合爪及び前記棒状部が挿入される側穴部と、前記保持溝部に沿って複数個所に、外部から前記側穴部の内側面に貫通して設けられ、それぞれ前記係合爪と係合可能である係合孔と、前記側穴部内部の棒状部が挿入される部位近傍に設けられ、棒状部の断面形状より僅かに大きい断面形状の逃げ孔を有しており、前記保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されたときにその棒状部の先端近傍が前記逃げ孔に挿入されて覆われるように設けられる当接部とを有し、前記保持溝部に前記軸受部材の支持筒部及び半円筒部が軸方向に、該保持溝部と半円筒部の溝部とが同一方向に外部に開放されるように挿入されて、前記係合爪と係合孔が係合することで前記軸受部材を保持し、前記コイルバネは、前記軸受部材の棒状部に挿通され、前記アームに軸受部材が保持された状態で、両端が前記軸受部材の鍔部及び前記アームの当接部にそれぞれ当接しており自然状態より縮んだ状態となり、前記軸受部材がアームに保持された状態から、前記係合爪と係合孔との係合が解除されて前記コイルバネが伸長するに伴い前記軸受部材が軸方向に移動することで、前記帯電ローラの回転軸の軸端部を外部から前記軸受部材の溝部に配置可能となり、前記軸受部材の溝部に前記軸端部を配置した状態で、前記軸受部材が再び軸方向に移動されて前記係合爪と係合孔とが係合されることで、前記帯電ローラを支持するものである。
【0008】
請求項2の発明は、支持部材と、支持部材に着脱可能に装着され、ローラの回転軸の軸端部が挿入可能な軸受部材とを備え、ローラを回転自在に支持するローラ支持機構であって、前記軸受部材は、前記ローラの回転軸の軸端部を挿入するための挿入孔を有する支持筒部と、この支持筒部の一端に形成され、前記挿入孔と連通し、略半円状断面の溝部を有し、前記支持筒部と略等しい外径の半円筒部と、前記支持筒部の他端に該支持筒部の径方向に突出するように形成される鍔部と、この鍔部に前記支持筒部の軸方向で前記半円筒部が設けられている方向に向けて立設される係合爪とを一体に有し、前記支持部材は、前記軸受部材の支持筒部の外径より僅かに大きい内径を有しており、前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿される略半円状の保持溝部と、この保持溝部に沿って設けられ、保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されるときに前記係合爪が挿入される側穴部と、外部から前記側穴部の内側面に貫通して設けられ、前記係合爪と係合可能な係合孔とを有しており、前記保持溝部に前記軸受部材の支持筒部及び半円筒部が軸方向に、該保持溝部と半円筒部の溝部とが同一方向に外部に開放されるように挿入されて、前記係合爪と係合孔が係合することで前記軸受部材を保持し、前記軸受部材が支持部材に保持された状態から、前記係合爪と係合孔との係合が解除されて前記軸受部材が軸方向に移動することで、前記ローラの回転軸の軸端部を外部から前記軸受部材の溝部に配置可能となり、前記軸受部材の溝部に前記軸端部を配置した状態で、前記軸受部材が再び軸方向に移動されて前記係合爪と係合部とが係合されることで、前記ローラを支持するものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記支持部材と軸受部材の間に挿入され、支持部材に対して軸受部材を所定方向に付勢するコイルバネをさらに備え、前記軸受部材は、前記鍔部に前記係合爪と並んで立設され前記コイルバネに挿通される棒状部を有しており、前記支持部材は、棒状部の断面形状より僅かに大きい断面形状の逃げ孔が設けられ、前記保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されたときにその棒状部の先端近傍が前記逃げ孔に挿入されて覆われるように設けられる当接部を有しており、前記支持部材に軸受部材が保持された状態で、前記軸受部材の棒状部が挿通されたコイルバネの両端が前記軸受部材の鍔部及び前記支持部材の当接部にそれぞれ当接し、このコイルバネが自然状態より縮んだ状態となるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、軸受部材が、挿入孔を有する支持筒部と略半円状断面の溝部を有する半円筒部を有しており、アームに保持された状態から、係合爪と係合孔との係合が解除されて軸方向に移動することで、帯電ローラの回転軸の軸端部を外部から半円筒部の溝部に配置可能となる。軸受部材の溝部に軸端部を配置した状態で、軸受部材が再び軸方向に移動されることで帯電ローラが支持される。これにより、帯電ローラの交換時に、回転軸と軸受部材の挿入孔の軸とを容易に一致させることができ、帯電ローラの交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0011】
また、軸受部材は係合爪と係合孔との係合が解除されたときにコイルスプリングにより付勢されながら軸方向に移動するので、軸受部材を容易に移動させて帯電ローラを取り外すことができる。さらに、アームに係合孔が保持溝部に沿って複数個所に設けられているので、係合爪と係合孔の係合が解除されて軸受部材が軸方向に移動しても、係合爪が他の係合孔と係合することで軸受部材がアームから脱落することがなく、より容易に帯電ローラの交換作業を行うことが可能となる。
【0012】
請求項2の発明によれば、軸受部材が、挿入孔を有する支持筒部と略半円状断面の溝部を有する半円筒部を有しており、支持部材に保持された状態から、係合爪と係合孔との係合が解除されて軸方向に移動することで、ローラの回転軸の軸端部を外部から半円筒部の溝部に配置可能となる。軸受部材の溝部に軸端部を配置した状態で、軸受部材が再び軸方向に移動されることでローラが支持される。これにより、上述と同様に、ローラの交換時に、回転軸と軸受部材の挿入孔の軸とを容易に一致させることができ、ローラの交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0013】
請求項3の発明によれば、軸受部材は係合爪と係合孔との係合が解除されたときにコイルスプリングにより付勢されながら軸方向に移動するので、上述と同様に、軸受部材を容易に移動させることが可能となり、帯電ローラを取り外すことが容易に可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置について図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の一例として、ディジタル式複写機とレーザビームプリンタの機能を備えた画像形成装置(複合機)の構成を図1に示す。なお、この装置にモデムなどの通信機能が供えられれば、ファクシミリとしても使用可能である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置10の上部には、ユーザによる原稿の取り扱いなどを考慮して、スキャナ110が設けられている。スキャナ110は、筐体111の上面に設けられた矩形開口に嵌装された、例えばガラスなどの透光性材料で形成された平板状の原稿台112と、原稿台112の内面に対向しつつ副走査方向に移動されるスキャンユニット113と、スキャンユニット113を副走査方向に往復移動させる駆動機構114などで構成されている。駆動機構114は、図示したようなベルト及びプーリを用いたものであってもよいし、リニアモータやその他の機構を用いたものであってもよい。
【0016】
スキャンユニット113は、いわゆるCIS(Contact Image Sensor)であり、主走査方向に沿って設けられた線状光源と、線状光源に平行に設けられた撮像装置を有している。線状光源は、例えば複数のLEDを主走査方向に配列したものであり、原稿台112の主走査方向の全域を略均一な明るさで照明する。撮像装置は、微小レンズを主走査方向に配列したレンズアレイと、各レンズに対応して主走査方向に受光素子を配列した受光素子アレイで構成されている。各レンズは、原稿台112の外面に焦点が合わされており、原稿台112の外面に密着するように載置された原稿12のうち、線状光源により照明された所定の範囲の像を各受光素子の受光面に結像し、各受光素子により所定の範囲の画像を撮像する。
【0017】
スキャナ110の直下には、給紙トレイ又は給紙カセット120が配置されている。ここで、給紙トレイとは、画像形成装置10の筐体111に固定された記録紙を装填するための台をいい、給紙カセットとは、画像形成装置10の筐体111に着脱可能な記録紙を装填するための容器をいうものとする。本実施形態では、給紙トレイ又は給紙カセット120に装填された記録紙13のうち、最も内側のものから順に取り出され、搬送(送出)されるものとする。給紙トレイ又は給紙カセット120の底面の先端部に対向するように、記録紙搬送機構130の給紙ローラ131及び給紙ガイド132等が設けられている。なお、記録紙搬送機構130は、図示しない駆動モータ及び搬送ローラなどを有しており、記録紙13を、給紙トレイ又は給紙カセット120から、後述する転写位置を経て、排紙トレイ133に搬送する。
【0018】
また、給紙トレイ又は給紙カセット120の下方には、電子写真方式による画像形成部140が設けられている。画像形成部140は、表面に感光体層が形成された感光体ドラム141と、感光体ドラム141の表面を均一に帯電させる帯電ローラ142と、感光体ドラム141の表面にレーザ光を走査させながら照射して潜像を形成する露光装置143と、感光体ドラム141の表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置144と、感光体ドラム141の回転方向の現像装置よりも下流側の所定の転写位置において、感光体ドラム141の表面に対向するように設けられ、感光体ドラム141の表面に形成されたトナー像を記録紙上に転写させる転写ローラ145と、トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着ローラ146と、感光体ドラム141上に残ったトナーを除去するためのクリーナ147などで構成されている。
【0019】
露光装置143は、レーザビームを出力する半導体レーザ、半導体レーザから出力されたレーザビームを主走査方向に走査させるように反射するポリゴンミラー、ポリゴンミラーにより反射されたレーザビームの反射角度に応じて収差を補正するfθレンズなどで構成されている。そして、スキャナ110により読み取られた原稿12の画像データなどを用いて、半導体レーザの発光・非発光を制御し、感光体ドラム141の感光体層の表面を露光し、感光体層に潜像を形成する。
【0020】
ここで、帯電ローラ142は、ローラ支持機構1によって回転自在に支持されている。図2乃至図9は、このローラ支持機構1の一例を示す。ローラ支持機構1は、画像形成装置10のフレーム(図示なし)に支持された一対のアーム(支持部材)3と、アーム3に着脱可能に装着される軸受部材2と、アーム3と軸受部材2の間に挿入され、アーム3に対して軸受部材2を所定方向に付勢するコイルバネ4を備えている。なお、図面には片側のアーム3及び軸受部材2を図示するが、その反対側のアーム3及び軸受部材2はこれと対称に構成されてローラ支持機構1を構成している。
【0021】
軸受部材2は、支持筒部2aと、この支持筒部2aの一端に形成され、支持筒部2aと略等しい外径の半円筒部2bと、支持筒部2aの他端に支持筒部2aの径方向に突出するように形成されている鍔部2cと、この鍔部2cにそれぞれ立設される係合爪2d及び棒状部2eとを一体に有している。支持筒部2aは、帯電ローラ142の回転軸の軸端部142aが挿入される挿入孔52aを有している。図3に示されるように、半円筒部2bは、この挿入孔52aと連通し、略半円状断面の溝部52bを有している。
【0022】
また、鍔部2cは、本実施形態において支持筒部2aの一端の上下に2個設けられている。係合爪2d及び棒状部2eは、それぞれの鍔部2cに、支持筒部2aの軸方向で半円筒部2bが設けられている方向に向けて、互いに並んでそれぞれ立設されている。係合爪2dの先端部には鉤状の突起部が形成されており、後述するように、アーム3の係合孔3cと係合するように構成されている。棒状部2eは、本実施形態においては丸棒状であり、後述するようにコイルバネ4に挿通可能なものである。
【0023】
アーム3は、保持溝部3aと、保持溝部3aに沿って設けられている側穴部3bと、外部から側穴部3bの内側面に貫通して設けられている係合孔3cと、側穴部3bの内部に設けられている図示しない当接部とを有している。保持溝部3aは、軸受部材2の支持筒部2aの外径よりわずかに大きい内径を有しており、支持筒部2a及び半円筒部2bが嵌挿される略半円状断面のものである。側穴部3bは、この保持溝部3aに軸受部材2の支持筒部2a及び半円筒部2bが嵌挿されるときに係合爪2d及び棒状部2eが挿入されるように形成されている。すなわち、側穴部3bは、本実施形態において、保持溝部3aの上下に保持溝部3aの軸方向と平行に設けられている。係合孔3cは、保持溝部3aに沿って複数個所に、それぞれ係合爪2dと係合可能に設けられており、本実施形態においては、各保持溝部3aにつき2個ずつ設けられている。また、当接部は、側穴部3bの内部の、棒状部2eが挿入される部位近傍に設けられており、棒状部2eの断面形状より僅かに大きい断面形状の図示しない逃げ孔を有している。この当接部は、保持溝部3aに軸受部材2の支持筒部2a及び半円筒部2bが嵌挿されたときに、その棒状部2eの先端近傍が逃げ孔に挿入されて覆われるように設けられている。
【0024】
このアーム3には、図3に示されるようにコイルバネ4が軸受部材の棒状部2eに挿通されている状態で、軸受部材2の支持筒部2a及び半円筒部2bが保持溝部3aの軸方向に挿入される。このとき、保持溝部3aと半円筒部2bの溝部52bとが同一方向に外部に開放されるように挿入される。支持筒部2a及び半円筒部2bが保持溝部3aに嵌挿されるとき、軸受部材2の係合爪2d及び棒状部2eがアーム3の側穴部3bに挿入される。係合爪2dが側穴部3bに挿入されると、係合爪2dの先端の突起部が係合孔3cと係合する。すなわち、軸受部材2は、係合爪2dと係合孔3cとが係合することで、支持筒部2a及び半円筒部2bとが保持溝部3aに嵌挿された状態で、アーム3に保持される。ここで、一方の側穴部3bにつき2個設けられている係合孔3cを、係合爪2dが側穴部3bに挿入される方向順に係合孔53c、係合孔63cと呼ぶ。係合爪2dが係合孔63cと係合することでアーム3に軸受部材2が保持されているとき、コイルバネ4は、両端が軸受部材2の鍔部2c及びアーム3の当接部にそれぞれ当接しており、自然状態より縮んだ状態となっている。
【0025】
次に、このローラ支持機構1に帯電ローラ142を取り付けて支持させる動作について説明する。上述のように、係合爪2dと係合孔63cが係合して軸受部材2がアーム3に保持されている状態から、例えば外部から係合爪2dの先端の突起部を外部から押すことなどにより、係合爪2dと係合孔63cとの係合を解除させる。このとき、一対のアーム3のそれぞれの軸受部材2について、係合爪2dと係合孔63cとの係合が解除されると、コイルバネ4がその復元力により伸長するに伴い、軸受部材2が軸方向に移動する。このとき、帯電ローラ142の回転軸の両側の軸端部142aの間の寸法よりも、一対のアーム3の各軸受部材2の支持筒部2aの間の寸法が大きくなる。これにより、帯電ローラ142を、保持溝部3aの外部に開放された部分から帯電ローラ142の回転軸が軸受部材2の挿入孔52aと同軸となるように配することが可能となる。
【0026】
このとき、軸受部材2のアーム3に対する位置は、帯電ローラ142を外部から配するときに軸受部材2の溝部52bに回転軸の軸端部142aが配置されるような位置とされており、この位置で係合爪2dと係合孔53cとが係合して軸受部材2がアーム3に保持された状態となっている。この状態で、図4乃至図6に示されるように、帯電ローラ142が回転軸の軸端部142aが軸受部材2の溝部52bに配置されることで、帯電ローラ142の回転軸と軸受部材2の挿入孔52aとが同軸とされる。
【0027】
上述のように軸受部材2の溝部52bに軸端部142aを配置した後、帯電ローラ142の両軸端部142aのそれぞれの軸受部材2について、係合爪2dと係合孔53cとの係合を解除し、軸受部材2を再び軸方向に、各軸受部材2が互いに近づく方向に移動させる。このとき、帯電ローラ142の軸端部142aが軸受部材2の挿入孔に挿入されるとともに、コイルバネ4は再び圧縮される。図7乃至図9に示されるように、軸受部材2が軸方向に移動されて係合爪2dと係合孔3cとが係合されると、再び軸受部材2がアーム3に保持される。これにより、帯電ローラ142がローラ支持機構1に回転自在に支持される。
【0028】
なお、ローラ支持機構1から帯電ローラ142を取り外すときには、上述の取り付ける動作と反対の動作が行われる。すなわち、軸受部材2が、挿入孔52aに帯電ローラ142の軸端部142aが挿入されてアーム3に保持された状態で、係合爪2dと係合孔63cとの係合が解除され、軸受部材2が軸方向に移動される。軸受部材2が移動すると、帯電ローラ142の軸端部142aが挿入孔52aから抜け、帯電ローラ142の両側の軸端部142a間の寸法よりも各軸受部材2の支持筒部2aの間の寸法が大きくなる。これにより、保持溝部3aの外部に開放された部分から軸端部142aを外部に取り出して、帯電ローラ142をローラ支持機構1から取り外すことが可能となる。
【0029】
上述のように、ローラ支持機構1により、軸受部材2の溝部52bに帯電ローラ142の軸端部142aを配置した状態で、軸受部材2が再び軸方向に移動されることで帯電ローラ142が支持される。これにより、帯電ローラ142の交換時に、帯電ローラ142の回転軸と軸受部材2の挿入孔52aの軸とを容易に一致させることができ、帯電ローラ142の交換作業を容易に行うことが可能となる。また、軸受部材2は係合爪2dと係合孔63cとの係合が解除されたときにコイルスプリングにより付勢されながら軸方向に移動するので、軸受部材2を容易に移動させて帯電ローラ142を取り外すことができる。さらに、アーム3に係合孔3cが保持溝部3aに沿って複数個所に設けられているので、係合爪2dと係合孔63cの係合が解除されて軸受部材2が軸方向に移動しても、係合爪2dが他の係合孔53cと係合することで軸受部材2がアーム3から脱落することがなく、より容易に帯電ローラ142の交換作業を行うことが可能となる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、給紙トレイ又は給紙カセット120に装填された記録紙のうち、最も内側のものを送出するように構成したが、これに限定されるものではなく、最も外側のものを送出するように構成してもよい。さらに、ローラ支持機構1はアーム3と軸受部材2の間にコイルバネ4を挿入した構成であったが、これに限定されるものではなく、コイルバネ4を有しない構成でもよく、また、アーム又は軸受部材2に樹脂バネ部等を形成することによってアーム3に対して軸受部材2を所定方向に付勢するような構成であってもよい。また、アーム3の係合孔3cは1つの側穴部3bにつき2個(係合孔53c、係合孔63c)設けられていたが、さらに多くてもよく、また、軸受部材2の挿入孔52aに帯電ローラ142の軸端部142aが挿入された状態で係合爪2dと係合するような位置に1個だけ設けられていてもよい。
【0031】
さらに、本発明に係る電子写真方式の画像形成装置は、上記実施形態のようなディジタル式複写機とレーザビームプリンタの機能を備えた画像形成装置(複合機)に限定されず、単機能のレーザビームプリンタ、ディジタル式複写機、ファクシミリの他、これらのうち2以上の機能を備えた複合機であってもよい。また、上述のローラ支持機構1は、帯電ローラのみに限らず、他の種々のローラを回転自在に支持する用途に同様に適用可能であり、また、電子写真方式の画像形成装置のみに限らず、他の種々の電子機器等に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の構成を示す図。
【図2】同上装置のローラ支持機構の分解斜視図。
【図3】同上ローラ支持機構の軸受部材を示す斜視図。
【図4】同上ローラ支持機構の動作を示す斜視図。
【図5】同上ローラ支持機構の動作を示す部分拡大図。
【図6】同上ローラ支持機構の動作を示す正面図。
【図7】同上ローラ支持機構に帯電ローラを取り付けた状態を示す斜視図。
【図8】同上ローラ支持機構に帯電ローラを取り付けた状態を示す部分拡大図。
【図9】同上ローラ支持機構に帯電ローラを取り付けた状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0033】
1 ローラ支持機構
2 軸受部材
2a 支持筒部
2b 半円筒部
2c 鍔部
2d 係合爪
2e 棒状部
3 アーム(支持部材)
3a 支持溝部
3b 側穴部
3c,53c,63c 係合孔
4 コイルバネ
10 画像形成装置
13 記録紙
52a 挿入孔
52b 溝部
120 給紙カセット
130 記録紙搬送機構
141 感光体ドラム
142 帯電ローラ
142a 軸端部
143 露光装置
144 現像装置
145 転写ローラ
146 定着ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光体層が形成された感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電ローラと、
前記感光体ドラムの表面にレーザ光を走査させながら照射して潜像を形成する露光装置と、
前記感光体ドラムの表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
前記感光体ドラムの回転方向の前記現像装置よりも下流側の所定の転写位置において、前記感光体ドラムの表面に対向するように設けられ、前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録紙上に転写させる転写ローラと、
トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着ローラと、
記録紙が装填される給紙トレイ又は給紙カセットと、
前記給紙トレイ又は給紙カセットに装填されている記録紙のうち、最も外側又は最も内側のものを送出し、前記転写位置に搬送する記録紙搬送機構を備えた電子写真方式の画像形成装置において、
前記帯電ローラを回転自在に指示するローラ支持機構をさらに備え、
ローラ支持機構は前記画像形成装置のフレームに支持された一対のアームと、アームに着脱可能に装着される軸受部材と、アームと軸受部材の間に挿入され、アームに対して軸受部材を所定方向に付勢するコイルバネを備え、
前記軸受部材は、前記帯電ローラの回転軸の軸端部が挿入される挿入孔を有する支持筒部と、この支持筒部の一端に形成され、前記挿入孔と連通し、略半円状断面の溝部を有し、前記支持筒部と略等しい外径の半円筒部と、前記支持筒部の他端に該支持筒部の径方向に突出するように形成される鍔部と、この鍔部に前記支持筒部の軸方向で前記半円筒部が設けられている方向に向けてそれぞれ立設される係合爪及び棒状部とを一体に有し、
前記アームは、前記軸受部材の支持筒部の外径より僅かに大きい内径を有しており、前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿される略半円状断面の保持溝部と、この保持溝部に沿って設けられ、保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されるときに前記係合爪及び前記棒状部が挿入される側穴部と、前記保持溝部に沿って複数個所に、外部から前記側穴部の内側面に貫通して設けられ、それぞれ前記係合爪と係合可能である係合孔と、前記側穴部内部の棒状部が挿入される部位近傍に設けられ、棒状部の断面形状より僅かに大きい断面形状の逃げ孔を有しており、前記保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されたときにその棒状部の先端近傍が前記逃げ孔に挿入されて覆われるように設けられる当接部とを有し、前記保持溝部に前記軸受部材の支持筒部及び半円筒部が軸方向に、該保持溝部と半円筒部の溝部とが同一方向に外部に開放されるように挿入されて、前記係合爪と係合孔が係合することで前記軸受部材を保持し、
前記コイルバネは、前記軸受部材の棒状部に挿通され、前記アームに軸受部材が保持された状態で、両端が前記軸受部材の鍔部及び前記アームの当接部にそれぞれ当接しており自然状態より縮んだ状態となり、
前記軸受部材がアームに保持された状態から、前記係合爪と係合孔との係合が解除されて前記コイルバネが伸長するに伴い前記軸受部材が軸方向に移動することで、前記帯電ローラの回転軸の軸端部を外部から前記軸受部材の溝部に配置可能となり、前記軸受部材の溝部に前記軸端部を配置した状態で、前記軸受部材が再び軸方向に移動されて前記係合爪と係合孔とが係合されることで、前記帯電ローラを支持することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
【請求項2】
支持部材と、支持部材に着脱可能に装着され、ローラの回転軸の軸端部が挿入可能な軸受部材とを備え、ローラを回転自在に支持するローラ支持機構であって、
前記軸受部材は、前記ローラの回転軸の軸端部を挿入するための挿入孔を有する支持筒部と、この支持筒部の一端に形成され、前記挿入孔と連通し、略半円状断面の溝部を有し、前記支持筒部と略等しい外径の半円筒部と、前記支持筒部の他端に該支持筒部の径方向に突出するように形成される鍔部と、この鍔部に前記支持筒部の軸方向で前記半円筒部が設けられている方向に向けて立設される係合爪とを一体に有し、
前記支持部材は、前記軸受部材の支持筒部の外径より僅かに大きい内径を有しており、前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿される略半円状の保持溝部と、この保持溝部に沿って設けられ、保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されるときに前記係合爪が挿入される側穴部と、外部から前記側穴部の内側面に貫通して設けられ、前記係合爪と係合可能な係合孔とを有しており、前記保持溝部に前記軸受部材の支持筒部及び半円筒部が軸方向に、該保持溝部と半円筒部の溝部とが同一方向に外部に開放されるように挿入されて、前記係合爪と係合孔が係合することで前記軸受部材を保持し、
前記軸受部材が支持部材に保持された状態から、前記係合爪と係合孔との係合が解除されて前記軸受部材が軸方向に移動することで、前記ローラの回転軸の軸端部を外部から前記軸受部材の溝部に配置可能となり、前記軸受部材の溝部に前記軸端部を配置した状態で、前記軸受部材が再び軸方向に移動されて前記係合爪と係合部とが係合されることで、前記ローラを支持することを特徴とするローラ支持機構。
【請求項3】
前記支持部材と軸受部材の間に挿入され、支持部材に対して軸受部材を所定方向に付勢するコイルバネをさらに備え、
前記軸受部材は、前記鍔部に前記係合爪と並んで立設され前記コイルバネに挿通される棒状部を有しており、
前記支持部材は、棒状部の断面形状より僅かに大きい断面形状の逃げ孔が設けられ、前記保持溝部に前記支持筒部及び半円筒部が嵌挿されたときにその棒状部の先端近傍が前記逃げ孔に挿入されて覆われるように設けられる当接部を有しており、
前記支持部材に軸受部材が保持された状態で、前記軸受部材の棒状部が挿通されたコイルバネの両端が前記軸受部材の鍔部及び前記支持部材の当接部にそれぞれ当接し、このコイルバネが自然状態より縮んだ状態となることを特徴とする請求項2記載のローラ支持機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−313211(P2006−313211A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135495(P2005−135495)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】