説明

ローラ部材、ローラ装置、ベルト装置、画像形成装置、及びローラ部材組み付け方法

【課題】 二つの軸受部材をその回転軸に固定し、一対の支持側壁の間に組み付けるときに、組み付けに必要な他の部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できるローラ部材を提供する。
【解決手段】 ローラ体11と、ローラ体11の回転軸12と、回転軸12に対して固定された軸受部材をローラ体11両端の外側にそれぞれ有するローラ部材1の二つの軸受部材の一方が、軸受本体7a及び軸受孔部41よりも外径が大きいツバ部7bを備えるツバ付き軸受7で、二つの軸受部材の他方が、ツバ部を備えないツバ無し軸受8であり、ローラ部材1と支持側板4とを有するローラ装置60では、ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とを軸受孔部41にそれぞれ係合した状態のローラ部材1がツバ無し軸受8側へ移動をすることを防止し、ローラ部材の軸方向の位置決めを行うローラ部材軸方向位置決め手段としてのローラ抑え部材5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を中心に回転可能なローラ体を備えたローラ部材、ローラ部材を支持する一対の支持側壁とローラ部材とを有するローラ装置、このローラ装置を備えたベルト装置、画像形成装置、及び一対の支持側壁の間にローラ部材を組み付けるローラ部材組み付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなローラ部材においては、ローラ部材を支持する一対の支持側板に設けられた孔部とローラ部材の回転軸とを直接係合するものではなく、支持側板の孔部と回転軸との間に軸受部材を介して係合するものがある。このような軸受部材として回転軸の回転によって劣化しにくい軸受部材を用いることにより、孔部と回転軸とを直接係合するものに比べて、ローラ体の回転の安定性及び耐久性を向上できる。なお、ローラ部材を一対の支持側板に組み付けてローラ装置を構成する場合、軸方向において両方向のローラ部材の移動を防止し、支持側板に対してローラ部材の軸方向の位置決めを行う必要がある。
【0003】
図10にローラ部材とローラ部材を有するローラ装置との一つ目の従来例を示す。
支持側板の孔部と回転軸との間に軸受部材を介して係合するローラ装置としては、図10(a)に示すように、二つの軸受部材2とローラ部材1の回転軸12とをあらかじめ固定せずに、図10(b)に示すように軸受部材2とローラ部材1とを一対の支持側板4に対してそれぞれ組み付けるものがある。図10に示すローラ装置60では、二つの軸受部材2を回転軸12に対して圧入せずに、すきまばめで一対の支持側板4に組み付ける。二つの軸受部材2は支持側板4の孔部4aよりも外径が小さく孔部4aに係合する軸受本体2aと、孔部4aよりも外径が大きいツバ部2bとから形成される。このローラ装置60では、ツバ部2bが一対の支持側板4の外側となるように二つの軸受部材2を組み付ける。そして、回転軸12は軸受部材2に対してすきまばめとなっており固定されていないため、二つの軸受部材2の外側にEリング3を取り付け、回転軸12に対して軸方向外側に軸受部材2が移動することを防止している。Eリングにより回転軸12に対して軸方向外側に二つの軸受部材2が移動することを防止し、ツバ部2bによって軸受部材2が支持側板4の内側に移動することを防止しているので、一対の支持側板4に対してローラ部材1の軸方向の位置決めができる。
しかし、図10に示すローラ装置60では、ローラ部材1のほかに少なくとも軸受部材2とEリング3とがそれぞれ二つ必要で部品数が多くなり、ローラ部材1の両端側でEリングを取り付けて軸受部材2を回転軸12に固定する作業が必要となるため、組み付け作業に手間がかかる。
【0004】
また、支持側板の孔部と回転軸との間に軸受部材を介して係合するローラ装置としては、一つ目の従来例とは異なり、二つの軸受部材とローラ部材の回転軸とを予め固定して、軸受部材を備えるローラ部材を一対の支持側板に対して組み付けるものがある。
図11に、二つの軸受部材と回転軸とを固定したローラ部材を一対の支持側板に組み付ける、ローラ部材とローラ装置との二つ目の従来例を示す。
図11のローラ装置60のローラ部材1は、図11(a)に示すようにローラ部材1はその両端に軸受部材2が圧入などにより予め固定されている。このローラ部材1をローラ装置60の一対の支持側板4に組み付けるときには、図11(b)に示すように、支持側板4に対してローラ部材1を斜めにして、一方の軸受部材2を組み付け完了の状態よりも深い位置まで軸受孔部41に挿入する。その後、図11(c)中矢印B方向に移動させることで、二つの軸受部材2が二つの軸受孔部41にそれぞれ係合した状態となる。この状態では、ローラ部材1は支持側板4に対して軸方向に移動可能であるので、図11(c)に示すように支持側板4の外側から軸受部材2の端面を抑えるローラ抑え部材5を組み付け、このローラ抑え部材5を支持側板4に固定する抑え固定部材としてのネジ6を組み付ける。ローラ抑え部材5はネジ6により支持側板4に固定され、ローラ部材1はその両端をローラ抑え部材5により抑えられているので、一対の支持側板4に対してローラ部材1の軸方向を固定できる。
しかし、図11に示すローラ装置60では、ローラ部材1のほかにローラ抑え部材5とネジ6とがそれぞれ二つ必要で部品数が多くなり、ローラ部材1の両端側でローラ抑え部材5を組み付ける作業が必要となるため、組み付け作業に手間がかかる。
【0005】
なお、二つの軸受部材と回転軸とを固定したローラ部材を一対の支持側板に組み付け、部品数を少なくでき、組み付け作業の手間が軽減できるローラ装置としては特許文献1に記載のローラ装置がある。特許文献1に記載のローラ装置では、孔部の代わりに支持側板の端部からローラ部材を支持する位置まで切り欠き溝が設けられており、軸受部材は軸方向の中央部は切り欠き溝の幅よりも小さい外径となっており、軸方向両端部は切り欠き溝の幅よりも大きな外径となっている。そして、中央部の軸方向の長さは支持側板の切り欠き溝部分での厚さと略等しくなっており、軸受部材の軸方向両端部で切り欠き溝の縁部を挟み込むことで支持側板に対して軸受部材の軸方向を固定する。軸受部材とローラ部材の回転軸とは予め固定されているので、支持側板に対して軸受部材の軸方向を固定できる。このローラ装置では、支持側板の切り欠き溝に軸受部材をはめ込むだけで、ローラ部材を組み付けることができるため、部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できる。
しかし、特許文献1に記載のローラ装置では、特殊な形状の軸受部材が必要となりコスト高につながる。さらに、支持側板の端部からローラ部材を支持する位置まで切り欠き溝を設けているため、孔部によってローラ部材を支持する構成に比べて、支持側板の強度を維持することが難しい。よって、特許文献1に記載のローラ装置は適用範囲が限定されてしまい実現性が低い。
【0006】
【特許文献1】特開2000−39695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、二つの軸受部材と回転軸とを固定したローラ部材を一対の支持側板に組み付けるものでは、軸方向についてローラ部材の両端方向の移動を防止する必要があり、ローラ部材以外の部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できるもので実現性が高いものが提供されていないのが現状である。
【0008】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その一つ目の目的とするところは、二つの軸受部材をその回転軸に固定し、一対の支持側壁の間に組み付けるときに、組み付けに必要な他の部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できるローラ部材を提供することである。
また、本発明の二つ目の目的とすることころは、二つの軸受部材をその回転軸にされたローラ部材と、ローラ部材を支持する一対の支持側壁を有し、支持側壁の間にローラ部材を組み付けるときに、組み付けに必要なローラ部材以外の部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できるローラ装置を提供することである。
また、本発明の二つの目の目的とするところは、二つの軸受部材をその回転軸にされたローラ部材を、一対の支持側壁の間に組み付けるときに、組み付けに必要な他の部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できるローラ部材組み付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、ローラ体と、該ローラ体の回転軸と、該回転軸に対して固定された軸受部材を該ローラ体両端の外側にそれぞれ有するローラ部材において、該ローラ体両端の外側の二つの軸受部材の一方は、軸受本体よりも外径が大きいツバ部を一体で備えるツバ付き軸受部材で、該二つの軸受部材の他方は該ツバ部を備えないツバ無し軸受部材であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のローラ部材において、上記軸受部材が玉軸受であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、ローラ体と、該ローラ体の回転軸と、該回転軸に対して固定された軸受部材を該ローラ体両端の外側にそれぞれ備えるローラ部材と、該ローラ体両端の外側の二つの軸受部材を軸受孔部にそれぞれ係合して該ローラ部材を支持する一対の支持側壁とを有するローラ装置において、該二つの軸受部材の一方は係合する該軸受孔部よりも外径が大きいツバ部を一体で備えるツバ付き軸受部材であり、該二つの軸受部材の他方は該ツバ部を備えないツバ無し軸受部材であって、該ツバ付き軸受部材の該ツバ部材を該軸方向について該軸受孔部と係合する部分よりも該ローラ体側に備え、該二つの軸受部材を該軸受孔部に係合した状態の該ローラ部材が該ツバ無し軸受部材側に移動をすることを防止し、該ローラ部材の軸方向の位置決めを行うローラ部材軸方向位置決め手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のローラ装置において、上記ツバ無し軸受部材と係合する上記軸受孔部は当該軸受孔部を備える上記支持側壁を貫通する孔部であり、上記ローラ部材軸方向位置決め手段は、該二つの軸受部材を該軸受孔部に係合した後に該支持側壁の外側から該ツバ無し軸受の外側の端面を抑える軸受抑え部材であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3のローラ装置において、上記ローラ部材軸方向位置決め手段として、上記ツバ無し軸受と係合する上記軸受孔部の内径よりも外径が大きいツバ部材を該ツバ無し軸受と上記ローラ体との間に備え、該ツバ部材は、二つの上記軸受を上記軸受孔部にそれぞれ係合する前は上記回転軸に対して軸方向に移動可能であり、該二つの軸受を該軸受孔部にそれぞれ係合した後は上記ツバ無し軸受近傍の所定の位置まで移動するものであり、該ツバ部材を所定の位置まで移動した後、該ツバ部材が上記ローラ体側へ移動すること防止するツバ部材固定手段を備えることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項3のローラ装置において、上記ローラ部材軸方向位置決め手段として、上記ローラ体の上記ツバ無し軸受側に上記軸方向に伸縮可能な弾性部材を備え、該弾性部材の該ローラ体側の端部は弾性部材端部固定手段によって軸方向の所定の位置よりも該ローラ体側への移動を防止されており、該弾性部材の自然長は該所定の位置から該ツバ無し軸受部材までの長さよりも長いことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6のローラ装置において、上記弾性部材は上記ツバ無し軸受と係合する上記軸受孔部の内径よりも外径が大きい螺旋形状のバネ部材であり、上記弾性部材端部固定手段として該バネ部材の内径より外径が大きく上記回転軸に固定されたツバ部材を備えることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項3、4、5、6または7のローラ装置において、上記軸受部材は玉軸受であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、ローラ部材と該ローラ部材を支持する一対の支持側壁とを備えるローラ装置を有し、記録体上に画像を形成する画像形成装置において、該ローラ装置の少なくとも一つが、請求項3、4、5、6、7または8のローラ装置であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、無端ベルトと該無端ベルトを張架する複数の張架部材とを有し、該複数の張架部材の少なくとも一つが、ローラ部材と該ローラ部材を支持する一対の支持側壁とを備えるローラ装置の該ローラ部材であるベルト装置において、該ローラ装置の少なくとも一つが、請求項3、4、5、6、7または8のローラ装置であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10のベルト装置において、上記無端ベルトは、一次転写部で像担持体からトナー像を一次転写され、該像担持体から一次転写されたトナー像を無端移動することで担持搬送し、二次転写部で記録体または他の像担持体に二次転写する中間転写ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10のベルト装置において、上記無端ベルトは、上記複数の張架部材の一つと該無端ベルトを挟んで対抗する加圧部材との間でニップ部を形成し、該ニップ部にトナー像を担持した記録体を通過させるときに該トナー像を該記録体に定着させる定着ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項10のベルト装置において、上記無端ベルトは、その表面に記録体を担持し、搬送する記録体搬送ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、無端ベルトと該無端ベルトを張架する複数の張架部材を備えたベルト装置を有し、記録体上に画像を形成する画像形成装置において、該ベルト装置として、請求項10、11、12または13のベルト装置を有することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、ローラ体と、該ローラ体の回転軸と、該回転軸に対して固定された軸受部材を該ローラ体両端の外側にそれぞれ備えるローラ部材を、一対の支持側壁がそれぞれ備える軸受孔部に該軸受部材を係合し、該一対の支持側壁の間に該ローラ体が位置するように組み付けるローラ部材組み付け方法において、一対の支持側壁がそれぞれ備える二つの軸受孔部を結んだ直線に対して、該ローラ部材の回転軸を斜めにして、係合する軸受孔部よりも径が大きいツバ部を備えるツバ付き軸受部材に対して該ローラ体を挟んで反対側の該ツバ部を備えていないツバ無し軸受部材を、組み付け完了時の状態よりも深い位置まで該軸受孔部に挿入した後、該ローラ部材の回転軸を該二つの軸受孔部を結んだ直線に対して平行にし、該ツバ無し軸受部材を該軸受孔部から引き抜く方向に移動させることで、該ツバ付き軸受部材を他方の軸受穴部に挿入して該二つの軸受部材を該二つの軸受孔部にそれぞれ係合し、該二つの軸受部材をそれぞれ該軸受孔部に係合した状態で、該ローラ部材が該ツバ無し軸受部材側へ移動することを防止し、該ローラ部材の軸方向の位置決めを行うことを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項15のローラ部材組み付け方法において、上記ツバ無し軸受部材と係合する上記軸受孔部は当該軸受孔部を備える上記支持側壁を貫通する孔部であり、上記二つの軸受部材をそれぞれ上記軸受孔部に係合した状態で、軸受抑え部材によって該支持側壁の外側から該ツバ無し軸受の外側の端面を抑えることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項15のローラ部材組み付け方法において、上記二つの軸受部材をそれぞれ上記軸受孔部に係合した状態、上記ローラ部材と上記ツバ無し軸受との間の該ツバ無し軸受が係合する該軸受孔部の内径よりも外径が大きいツバ部材を該ツバ無し軸受近傍の所定の位置まで移動させ、該ツバ部材が上記ローラ体側に移動しないように固定することを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項15のローラ部材組み付け方法において、上記ローラ体の上記ツバ無し側で上記軸方向に伸縮可能に備えられ、該ローラ体側の端部は所定の位置よりも該ローラ体側への移動を防止され、その自然長が該所定の位置から該ツバ無し軸受部材までの長さよりも長い弾性部材が、該ツバ無し軸受部材を組み付け完了時の状態よりも深い位置まで上記軸受孔部に挿入したときに収縮し、上記ツバ付き軸受部材を他方の軸受穴部に挿入して、該二つの軸受部材をそれぞれ該軸受孔部に係合したときには該弾性部材は上述の収縮した状態よりも伸長するが自然長よりも収縮した状態となることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項15、16、17また18のローラ部材組み付け方法において、上記一対の支持側壁が画像形成装置の筺体の一部であることを特徴とするものである。
【0010】
上記請求項1または2のローラ部材においては、一対の支持側壁の間に組み付けるときに、軸方向においてツバ付き軸受側へのローラ部材の移動はツバ部によって防止できる。よって、軸方向においてツバ無し軸受側へのローラ部材の移動のみを防止することで、支持側板に対してローラ部材の軸方向を固定できる。
また、上記請求項3乃至14のローラ装置においては、ローラ部材を一対の支持側壁の間に組み付けるときに、軸方向においてツバ付き軸受側へのローラ部材の移動はツバ部によって防止できる。よって、ローラ部材軸方向位置決め手段は軸方向においてツバ無し軸受部材側へのローラ部材の移動のみを防止することで、支持側板に対してローラ部材の軸方向を固定できる。
また、上記請求項15乃至19のローラ部材組み付け方法においては、ローラ部材を一対の支持側壁の間に組み付けるときに、軸方向においてツバ付き軸受側へのローラ部材の移動はツバ部によって防止できる。よって、軸方向においてツバ無し軸受側へのローラ部材の移動のみを防止することで、支持側板に対してローラ部材の軸方向を固定できる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至19の発明によれば、ローラ部材を一対の支持側壁の間に組み付けるときに、軸方向においてツバ無し軸受側へのローラ部材の移動のみを防止すればよいので、組み付けに必要なローラ部材以外の部品数を少なくでき、組み付け作業の手間を軽減できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明をタンデム型のカラー画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、実施形態にかかる画像形成装置としての複写機の概略構成図である。この複写機は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)、プリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部300という)、スキャナ部300上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)(以下、原稿搬送部400という)からなっている。また、複写機内の各装置の動作を制御する図示しない制御部も備えている。
【0013】
プリンタ部100は、その中央に中間転写体としての中間転写ベルト10を備えている。中間転写ベルト10は、第一支持ローラ14、第二支持ローラ15及び第三支持ローラ16に掛け回され、図中時計回りに表面移動可能となっている。そして、中間転写ベルト10に対向するように、表面にブラック・イエロー・マゼンタ・シアンのうちの1色のトナー像をそれぞれ担持する潜像担持体としての4つの感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cを備えている。4つの感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cの表面にトナー像を形成するための現像ユニット61K、61Y、61M、61Cを備えている。更に、一次転写後の感光体ドラム40K、40Y、40M、40C表面に残留しているトナーを除去する感光体クリーニング装置63K、63Y、63M、63Cも備えている。4つの感光体ドラム40K、40Y、40M、40C、現像ユニット61K、61Y、61M、61C、そして、感光体クリーニング装置63K、63Y、63M、63Cからなる4つの画像形成ユニット18K、18Y、18M、18Cを横に並べて配置してタンデム画像形成ユニット20が構成する。また、第三支持ローラ16のと中間転写ベルト10を挟んで対向するように、トナー像を記録体としての転写紙上に転写した後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置17を備えている。また、プリンタ部100は、タンデム画像形成ユニット20の上方に露光装置21を備えている。
【0014】
また、中間転写ベルト10の内側で各感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cと中間転写ベルト10を挟んで対向する位置には、一次転写ローラ62K、62Y、62M、62Cを備えている。一次転写ローラ62K、62Y、62M、62Cは中間転写ベルト10を挟んで感光体ドラム40K、40Y、40M、40Cに押し当てて設けられ、一次転写部を形成している。
【0015】
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成ユニット20と反対の側には、二次転写装置を備える。この二次転写装置は、二次転写ローラ22と二次転写ベルト張架ローラ23との間に、二次転写ベルト24を掛け渡して構成している。二次転写装置は、二次転写ローラ22が支持する位置で、二次転写ベルト24が中間転写ベルト10を介して第三支持ローラ16に押し当てられ、二次転写ベルト24と中間転写ベルト10との間で二次転写部としての二次転写ニップ部を形成するように配置されている。
【0016】
二次転写装置の図中左側には、転写紙上の転写画像を定着する定着装置25を備えている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。また、上述した二次転写装置には、二次転写ニップ部でトナー像の転写を受けた転写紙を定着装置25へと搬送する転写紙搬送機能も備えてなる。なお、二次転写装置として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、この転写紙搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0017】
二次転写装置および定着装置25の下には、上述したタンデム画像形成ユニット20と平行に、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転する転写紙反転装置28を備えている。これによって、転写紙の片面に画像定着後に、切換爪で転写紙の進路を転写紙反転装置側に切り換え、そこで反転させて再び二次転写ニップ部に転写紙を搬送し、トナー像を転写させた後、排紙トレイ上に排紙させることができる。
【0018】
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報をこの制御部に送る。
【0019】
不図示の制御部は、スキャナ部300から受け取った上記画像情報に基づき、プリンタ部100の露光装置21内に配設された図示しないレーザやLED等を制御して感光体ドラムに向けてレーザ書き込み光Lを照射させる。この照射により、感光体ドラム40の表面には静電潜像が形成され、この潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。
【0020】
給紙部200は、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44、給紙カセットから転写紙を繰り出す給紙ローラ42、繰り出した転写紙Pを分離して給紙路46に送り出す分離ローラ45、プリンタ部の給紙路48に転写紙を搬送する搬送ローラ47等を備えている。
【0021】
本実施形態の複写機では、給紙部200以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ51上の転写紙を手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52も装置側面に備えている。
【0022】
レジストローラ49は、それぞれ給紙カセット44又は手差しトレイ51に載置されている転写紙Pを1枚だけ排出させ、中間転写体としての中間転写ベルト10と二次転写装置との間に位置する二次転写ニップ部に送る。
【0023】
本実施形態の複写機において、カラー画像のコピーをとるとき、原稿搬送部400の原稿台30上に原稿をセットするか、又は原稿搬送部400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットして原稿搬送部400を閉じることで原稿を押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿搬送部400に原稿をセットしたときは原稿をコンタクトガラス32上へと搬送して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは直ちに、スキャナ部300を駆動し、第一走行体33及び第二走行体34を走行する。そして、第一走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体34に向け、第二走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取センサ36に入れ、原稿の画像情報を読み取る。
【0024】
そして、スキャナ部から画像情報を受け取ると、上述のようなレーザ書き込みや、後述する現像プロセスを実施させて感光体ドラム上にトナー像を形成させるとともに、該画像情報に応じたサイズの転写紙を給紙させるべく、4つの給紙ローラのうちの1つを作動させる。
また、これに伴なって、不図示の駆動モータで第一支持ローラ14、第二支持ローラ15または第三支持ローラ16のうちの1つを回転駆動して他の二つの支持ローラを従動回転し、中間転写ベルト10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニット18で感光体ドラム40を回転して各感光体ドラム40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
一方、給紙部200では給紙ローラ42の1つを選択回転し、給紙カセット44の1つから転写紙Pを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で複写機本体であるプリンタ部100内の給紙路48に導き、この転写紙Pをレジストローラ49に突き当てて止める。又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上の転写紙Pを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、手差しトレイ51上の転写紙を用いる場合は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルトと二次転写ローラ22との当接部である二次転写ニップ部に転写紙を送り込み、ニップに形成されている転写用電界や当接圧力などの影響によってカラー画像を二次転写して転写紙上にカラー画像を記録する。
【0025】
二次転写ニップ部でカラー画像の転写を受けた後の転写紙は、二次転写装置の二次転写ベルト24で定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で加圧ローラ27と定着ベルトとによる加圧力と熱の付与によりカラー画像を定着される。その後、排出ローラ56で排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。また、両面に画像形成される転写紙は、カラー画像を定着された後、切換爪55で切り換えて転写紙反転装置28に搬送され、そこで反転されて再び二次転写ニップ部へと導かれ、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出される。
一方、二次転写ニップ部で転写紙にカラー画像を転写した後の中間転写ベルト10の表面は、残留する残留トナーがベルトクリーニング装置17によって除去され、タンデム画像形成ユニット20による再度の画像形成に備える。
【0026】
図1に示すように、複写機には多くのローラ部材が用いられおり、これらはローラ体の軸方向両端を一対の支持側壁で支持されローラ装置を形成している。このローラ装置の部品数を少なくすることにより、複写機全体としてはそのローラ装置の数だけ部品数を削減することができる。さらに、ローラ装置においてローラ部材を一対の支持側板に組み付けるときの手間を軽減することで、複写機全体としては多くの手間を軽減することができる。
【0027】
〔実施例1〕
次に、本実施形態の特徴的な構成の一つ目の実施例について説明する。
図2は実施例1の説明図であり、図2(a)はローラ部材1の概略構成図である。
図2(a)に示すように、ローラ部材1は、ローラ体11と回転軸12とを備え、ローラ体の両端外側の回転軸12にはそれぞれ軸受部材が固定されている。この二つの軸受部材のうち、図中左側の軸受部材は、軸受本体7aよりも外径が大きいツバ部7bを備えるツバ付き軸受7であり、図中右側の軸受部材は、ツバ部を備えないツバ無し軸受8である。なお、ツバ付き軸受7のツバ部7bは図2(a)に示すように、軸受本体7aのローラ体11側、すなわち、ローラ部材1の軸方向内側となるように配置されている。
なお、二つの軸受部材、ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とはともに玉軸受であり、二つの玉軸受は圧入することで回転軸12に固定されている。
【0028】
図2(b)は、図2(a)のローラ部材1を一対の支持側壁としての支持側板4の間に組み付けたローラ装置60の概略構成図である。
図2(b)に示すように、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が、支持側板4に設けられた軸受孔部41にそれぞれ係合することでローラ部材1は軸受孔部41で支持側板4に両端支持されている。なお、軸受孔部41は支持側板4を貫通する孔部である。また、ツバ付き軸受7のツバ部7bは軸受孔部41よりも外径が大きく、軸受孔部41と係合する軸受本体7aよりもローラ体11側にあるため、ツバ付き軸受7はツバ部7bが支持側板4に接触した状態で図中左方向への移動が防止される。ツバ無し軸受8と係合する軸受孔部41を備える支持側板4の外側にはツバ無し軸受8の外側の端面を抑えるローラ抑え部材5が抑え固定部材としてのネジ6によって固定されている。ローラ抑え部材5によってツバ無し軸受8は図中右方向への移動が防止される。回転軸12に固定されたツバ付き軸受7が図中左方向への移動が防止され、回転軸12に固定されたツバ無し軸受8が図中右方向への移動が防止されるため、ローラ部材1は図中左右どちらにも移動することができず、支持側板4に対して軸方向の位置決めがなされる。この構成では、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が軸受孔部41に係合した状態で、ローラ部材1のツバ無し軸受8側への移動、すなわち図中右方向への移動を防止するローラ抑え部材5がローラ部材軸方向位置決め手段として機能する。すなわち、ローラ抑え部材5を組み付けることで一対の支持側板4に対してローラ部材1のスラスト方向の位置決めを行うことができる。
【0029】
次に、ローラ部材1をローラ装置60の一対の支持側板4に組み付けるローラ部材組み付け方法について説明する。
図3は、実施例1のローラ部材1の組み付け方法の概略説明図である。
まず、図3(a)に示すように、二つの軸受孔部41を結んだ直線に対してローラ部材1の回転軸12を30[°]程度傾けた状態で、ローラ部材1を図中矢印A方向に移動し、ツバ無し軸受8を組み付け完了の状態よりも深い位置まで軸受孔部41に挿入する。その後、回転軸12を二つの軸受孔部41を結んだ直線に対して平行にして、ツバ無し軸受8を軸受孔部41から引き抜く方向、すなわち図3(b)中矢印B方向にツバ部7bが支持側板4に突き当たるまで移動させる。これにより、二つの軸受部材が軸受孔部41にそれぞれ係合した状態となる。この状態では、ローラ部材1は支持側板4に対して軸方向右側に移動可能であるので、図3(b)に示すようにローラ抑え部材5を組み付けて、支持側板4の外側から軸受部材2の端面を抑える。また、図3(b)中矢印Cで示すようにローラ抑え部材5を支持側板4に固定するネジ6を組み付ける。
ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とをそれぞれ軸受孔部41に係合した状態では、ツバ付き軸受7へローラ部材1が移動する、すなわち図3(b)中左方向へローラ部材1が移動することは、ツバ部7bが支持側板4に突き当たることで防止されている。一方、ローラ部材1がツバ無し軸受8側へ移動する、すなわち図3(b)中右方向に移動することは、ツバ無し軸受8がローラ抑え部材5に端面を抑えられることで防止される。軸方向について両方向の移動を防止されるため、ローラ部材1の支持側板4に対する軸方向の位置決めを行うことができる。
【0030】
図11で説明した従来のローラ装置60では、二つの軸受部材2がともにツバ部を備えていないものであったので、一対の支持側板4の両方の外側からローラ抑え部材5によってローラ部材1の両側を抑えてやる必要があった。一対の支持側板4の両側にローラ抑え部材5を組み付けるための部材点数が多くなり、取り付けの手間も多くなるという欠点があった。
一方、実施例1のローラ装置60であれば、ローラ抑え部材5を組み付けるのがローラ部材1のツバ無し軸受8側を備える片側だけで良いため、部材点数を削減することができる。また、ローラ抑え部材5とネジ6を組み付ける作業も片側だけでよいので、組み付け作業の手間を軽減することができる。
【0031】
なお、ローラ装置60では、ローラ部材1を組み付けるときにローラ部材1を斜めにして、ツバ無し軸受8を軸受孔部41に挿入しているので、軸受孔部41の内径は、ツバ無し軸受8の外径よりも大きい。このローラ装置60では、ツバ無し軸受8の外径が10[mm]、ツバ無し軸受8の軸方向の厚さが4[mm]、支持側板4の厚みが2[mm]のもので、軸受孔部41の内径は、10.05[mm]としている。
【0032】
これらのローラ走行装置においては、ローラの走行安定性、耐久性が求められる。これらを高いレベルにて求めるにはスベリ軸受ではなく玉軸受にての保持が必要となってくる。特に昨今の主流機であるデジタル高速機や、カラー機においては走行安定性、耐久性、リサイクル性等が求められ、ほぼすべてのローラに玉軸受による保持が必要となっているのが現状である。
実施例1のローラ部材1及びローラ装置60では、回転軸12に玉軸受であるツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8をあらかじめ圧入して固定している。これにより、組立工程及びサービス工程にて玉軸受をローラ部材1にセットする工程が減る。さらに、玉軸受が回転軸12に圧入されているため、ローラ装置60の耐久性を向上することができる。
図10のように、ローラ部材1に対して玉軸受を固定していない構成では、一対の支持側板4に対して内側方向への移動が防止された二つの玉軸受のそれぞれの外側にEリングをつければ支持側板4に対してローラ部材1の軸方向の位置決めを行うことができるため、構造が単純であるが、耐久性に問題があった。回転軸12と玉軸受とがすきまばめで組み付けられているため、玉軸受の内輪と回転軸12との間にてすべりが生じ、摺擦されることにより磨耗が発生し、特に圧が強くかかる部分や、高速機等にては回転軸12が多く削れてしまい、低寿命のまま交換部品することがあった。
これに対して、実施例1のローラ装置60では玉軸受を回転軸12に圧入して固定しているので、図10のように回転軸12と玉軸受の内輪との間にすべりが生じることがなく、回転軸12と玉軸受の内輪との間にて磨耗するという問題を防止できる。そして、この磨耗による玉軸受のグリス漏れなどの発生も防止することができる。
これにより、ローラ装置60におけるローラ部材1の組付けを簡易化し、組付け工程を少なくするとともに、ローラ装置60の耐久性を向上することができる。また、ローラ部材1の組付け性、耐久性を高めることによりローラ部材1のリサイクルを可能とする。
【0033】
実施例1のローラ部材1及びローラ装置60は、図2に示した構成で従動ローラに適用することができる。さらに、図2に示した構成よりも回転軸12を長く設定し、駆動源からの駆動の伝達を受けるギヤ等を設けることにより、駆動ローラとしても適用可能である。
よって、実施例1のローラ部材1及びローラ装置60は、種々のローラに適用可能である。具体的には、図1に示す複写機では、搬送ローラ47、給紙ローラ42、分離ローラ45、レジストローラ49、給紙ローラ50、分離ローラ52、加圧ローラ27、及び一次転写ローラ62K、62Y、62M、62C等いずれのローラについても適用可能である。
【0034】
さらに、無端ベルトと無端ベルトを張架する複数の張架部材とを有し、複数の張架部材の少なくとも一つがローラ部材であるベルト装置にも適用可能である。
ベルト装置が、張架部材として実施例1のローラ部材1備えたローラ装置を有することにより、無端ベルトを保持している各ローラのスラスト位置を精度よく合わせることができる。さらに、ローラのスラスト方向ガタをなくし、ローラ装置の耐久性を向上することができため、ベルトの走行安定性を確保することができる。これらにより、ベルトの亀裂発生を防止、ベルトのリサイクル化にも寄与する。
【0035】
ベルト装置として無端ベルトが中間転写ベルト10である中間転写ベルトユニットについて、第一支持ローラ14、第二支持ローラ15及び第三支持ローラ16の何れのローラ部材に対しても実施例1のローラ部材1及びローラ装置60は適用可能である。
中間転写ベルトユニットは、一般オフィスにおけるメンテナンスが頻繁に行われるため、組付け容易性と高精度な回転保持、耐久性が特に求められる。この中間転写ベルトユニットが実施例1のローラ部材1を備えたローラ装置60を有することにより、従来と比較してローラの組付けがより容易になる。さらに、ローラに玉軸受を圧入することにより、ローラ軸の耐久性が向上し、各ローラのスラストガタをなくして、ローラの位置を合わせることが可能となる。これにより、各ローラの高精度な位置合わせを行うことができる。各ローラの位置を精度よく合わせることにより、ベルトの寄りきり、亀裂等を防ぐことができる。特に、各ローラの位置合わせに高い精度が求められるカラー画像形成装置の中間転写ベルトユニットに対して有用である。
【0036】
また、ベルト装置として無端ベルトが定着ベルト26である定着装置25について、定着装置25が備える何れのローラ部材にたいしても実施例1のローラ部材1及びローラ装置60は適用可能である。
定着装置25の定着ベルト26は、一般オフィスにおけるメンテナンスが頻繁に行われるため、組付け容易性と高精度な回転保持、耐久性が特に求められる。この定着装置25が実施例1のローラ部材1を備えたローラ装置60を有することにより、従来と比較してローラの組付け性が向上する。また、ローラに玉軸受を圧入することによりローラ軸の耐久性が向上し、各ローラのスラストガタをなくし、ローラの位置を合わせることが可能となる。これにより、各ローラの位置を精度よく合わせることができ、ベルトの寄りきり、亀裂等を防ぐことができ、加熱や加圧によりローラ部材への負担が大きい定着装置25の長寿命化を図ることができる。
【0037】
さらに、ベルト装置として無端ベルトが記録体である転写紙を担持し搬送する記録体搬送ベルトとしての機能を備える二次転写ベルト24である二次転写装置について、二次転写ローラ22及び二次転写ベルト張架ローラ23の何れのローラ部材に対しても実施例1のローラ部材1及びローラ装置60は適用可能である。
記録体搬送ベルトは、一般オフィスにおけるメンテナンスが頻繁に行われるため、組付け容易性と高精度な回転保持、耐久性が特に求められる。転写紙を搬送する機能も備えた二次転写装置が実施例1のローラ部材1を備えたローラ装置60を有することにより、従来と比較してローラの組付け性が向上する。また、ローラに玉軸受を圧入することによりローラ軸の耐久性が向上、各ローラのスラストガタをなくし、ローラの位置を合わせることが可能となる。各ローラの位置を精度よく合わせることにより、ベルトの寄りきり、亀裂等を防ぐことができ、高度な位置合わせが必要となるカラー画像形成装置における記録体搬送ベルトを有する装置には有用である。
【0038】
〔実施例2〕
次に、本実施形態の特徴的な構成の二つ目の実施例について説明する。
図4は実施例2の説明図であり、図4(a)はローラ部材1の概略構成図である。
図4(a)に示すように、ローラ部材1は、ローラ体11と回転軸12とを備え、ローラ体の両端外側の回転軸12にはそれぞれ軸受部材が固定されている。この二つの軸受部材のうち、図中左側の軸受部材は、軸受本体7aよりも外径が大きいツバ部7bを備えるツバ付き軸受7であり、図中右側の軸受部材は、ツバ部を備えないツバ無し軸受8である。なお、ツバ付き軸受7のツバ部7bは図4(a)に示すように、軸受本体7aのローラ体11側、すなわち、ローラ部材1の軸方向内側となるように配置されている。
なお、二つの軸受部材、ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とはともに玉軸受であり、二つの玉軸受は圧入することで回転軸12に固定されている。
また、実施例2のローラ部材1は、ツバ無し軸受8とローラ体11との間にツバ無し軸受8よりも外径が大きいツバ部材9を備えている。支持側板4に組み付ける前のローラ部材1は、図4(a)中矢印Dで示すように回転軸12に対して軸方向にツバ部材9が移動可能なはめあいとなっている。
【0039】
図4(b)は、図4(a)のローラ部材1を一対の支持側壁としての支持側板4の間に組み付けたローラ装置60の概略構成図である。
図4(b)に示すように、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が、支持側板4に設けられた軸受孔部41にそれぞれ係合することでローラ部材1は軸受孔部41で支持側板4に両端支持されている。また、ツバ付き軸受7のツバ部7bは軸受孔部41よりも外径が大きく、軸受孔部41と係合する軸受本体7aよりもローラ体11側にあるため、ツバ付き軸受7はツバ部7bが支持側板4に接触した状態で図中左方向への移動が防止される。
また、ツバ無し軸受8と係合する軸受孔部41を備える支持側板4の内側に接触または近接する状態で、ツバ部材9がローラ体11側へ移動すること防止するツバ部材固定手段としてのEリング3を備えている。ツバ無し軸受8が係合する軸受孔部41の内径よりもツバ部材9の外径が大きいため、支持側板4に接触する位置よりも図中右側に移動することはない。また、Eリング3によってローラ体11側へツバ部材9が移動することが防止されているのため、ローラ部材1はツバ部材9に対して図中右側に移動することはない。これにより、ローラ部材1が支持側板4に対して図中右方向へ移動することを防止している。
回転軸12に固定されたツバ付き軸受7が図中左方向への移動が防止され、ツバ部材9とEリング3とによって図中右方向への移動が防止されるため、ローラ部材1は図中左右どちらにも移動することができず、支持側板4に対して軸方向の位置決めがなされる。この構成では、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が軸受孔部41に係合した状態で、ローラ部材1のツバ無し軸受8側への移動、すなわち図中右方向への移動を防止するツバ部材9及びEリング3がローラ部材軸方向位置決め手段として機能する。すなわち、ツバ部材9が支持側板4に接触または近接するような、ツバ無し軸受8近傍の所定の位置までツバ部材9を移動し、Eリング3を組み付けることで一対の支持側板4に対してローラ部材1のスラスト方向の位置決めを行うことができる。
【0040】
次に、ローラ部材1をローラ装置60の一対の支持側板4に組み付けるローラ部材組み付け方法について説明する。
図5は、実施例2のローラ部材1の組み付け方法の概略説明図である。
まず、図5(a)に示すように、二つの軸受孔部41を結んだ直線に対してローラ部材1の回転軸12を30[°]程度傾けた状態で、ローラ部材1を図中矢印A方向に移動し、ツバ無し軸受8を組み付け完了の状態よりも深い位置まで軸受孔部41に挿入する。その後、回転軸12を二つの軸受孔部41を結んだ直線に対して平行にして、ツバ無し軸受8を軸受孔部41から引き抜く方向、すなわち図5(b)中矢印B方向にツバ部7bが支持側板4に突き当たるまで移動させる。これにより、二つの軸受部材が軸受孔部41にそれぞれ係合した状態となる。この状態では、ローラ部材1は支持側板4に対して軸方向右側に移動可能であるので、図5(b)に示すようにツバ部材9を図中矢印E方向に動かし、支持側板4に接触または近接するツバ無し軸受8近傍の所定の位置まで移動させる。その後、ツバ部材9がローラ部材1に対してローラ体11側に移動しないようにEリング3を組み付け、ツバ部材9を固定する。なお、Eリングの組み付けは回転軸12に設けられた不図示のEリング溝にEリング3を組み付けることでなされる。Eリング3の組み付けはスナップフィットであっても良い。
【0041】
ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とをそれぞれ軸受孔部41に係合した状態では、ローラ部材1がツバ付き軸受7側へ移動すること、すなわち図5(b)中左方向へローラ部材1が移動することは、ツバ部7bが支持側板4に突き当たることで防止されている。一方、ローラ部材1がツバ無し軸受8側に移動、すなわち図5(b)中右方向に移動することは、ツバ部材9が支持側板4に突き当たることで防止される。軸方向について両方向の移動を防止されるため、ローラ部材1の支持側板4に対する軸方向の位置決めを行うことができる。
【0042】
図6はツバ部材9の説明図であり、図6(a)は図4(b)のツバ部材9周辺の拡大説明図であり、図6(b)は図6(a)中の矢印G方向から見たツバ部材9の正面図である。ツバ部材9の軸孔9aを形成するツバ部材内周部9bと、外側のツバ部材外周部9dとは、図6(a)に示すようにローラ部材1の外側が出っ張っており、その間はツバ部材凹部9cを形成している。このツバ部材9は、ツバ無し軸受8の玉軸受の内輪とツバ部材内周部9bが当り、枠体である支持側板4にツバ部材外周部9dが当り、位置決めを行っている。玉軸受の外輪と対向する箇所はツバ部材凹部9cとなっており、玉軸受の外輪とツバ部材9とは接触しない形状である。このようにツバ部材9が玉軸受の外輪と接触せずに、玉軸受の内輪及び支持側板4とのみ接触する構成で位置決めすることにより、外輪とツバ部材9との摺擦による磨耗を防止することができる。
なお、ツバ部材9が、摺擦に対して磨耗しにくく、接触する相手も磨耗させにくい材質であればフラット形状であってもよい。
【0043】
実施例2のローラ装置60であれば、Eリング3を組み付けるのがローラ部材1のツバ無し軸受8を備える片側だけで良いため、ローラ部材1を組み付けるときの部材点数を削減することができる。また、ツバ部材9を移動し、Eリング3を組み付ける作業も片側だけでよいので、ローラ部材1の組み付け作業の手間を軽減することができる。また、位置決め部材であるツバ部材9も組付け単位としてのローラ部材1の一部となっているために、この組み合わせで部品交換ができ、リサイクルもしやすくなっている。
【0044】
〔実施例3〕
次に、本実施形態の特徴的な構成の三つ目の実施例について説明する。
図7は実施例3の説明図であり、図7(a)はローラ部材1の概略構成図である。
図7(a)に示すように、ローラ部材1は、ローラ体11と回転軸12とを備え、ローラ体の両端外側の回転軸12にはそれぞれ軸受部材が固定されている。この二つの軸受部材のうち、図中左側の軸受部材は、軸受本体7aよりも外径が大きいツバ部7bを備えるツバ付き軸受7であり、図中右側の軸受部材は、ツバ部を備えないツバ無し軸受8である。なお、ツバ付き軸受7のツバ部7bは図7(a)に示すように、軸受本体7aのローラ体11側、すなわち、ローラ部材1の軸方向内側となるように配置されている。
なお、二つの軸受部材、ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とはともに玉軸受であり、二つの玉軸受は圧入することで回転軸12に固定されている。
また、実施例3のローラ部材1は、ローラ体11に対してツバ無し軸受8側に軸方向に伸縮可能な弾性部材であるバネ部材としてのスプリング90を備え、スプリング90のローラ体側の端部は弾性部材端部固定手段としてのツバ部材9と接触している。また、回転軸12は所定の位置よりもローラ体11側が回転軸12の他の部分よりも外径が大きな大径軸部91を形成しており、ツバ部材9の軸孔は回転軸12の他の部分の外径よりも大きく、大径軸部91の外径よりも小さいため、ツバ部材9は上記所定の位置よりもローラ体11側に移動することはできない。スプリング90螺旋形状でその内径はツバ無し軸受8の外径よりも大きく、ツバ部材9の外径はスプリング90の内径よりも大きい。このような構成により、スプリング90のローラ体11側の端部が、ツバ部材9よりもローラ体11側となることはなく、上記所定の位置の位置でスプリング90の端部が固定される。なお、スプリング90としては、その自然長が上記所定の位置からツバ無し部材の長さよりも長いものを用いる。
【0045】
図7(b)は、図7(a)のローラ部材1を一対の支持側壁としての支持側板4の間に組み付けたローラ装置60の概略構成図である。
図7(b)に示すように、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が、支持側板4に設けられた軸受孔部41にそれぞれ係合することでローラ部材1は軸受孔部41で支持側板4に両端支持されている。また、ツバ付き軸受7のツバ部7bは軸受孔部41よりも外径が大きく、軸受孔部41と係合する軸受本体7aよりもローラ体11側にあるため、ツバ付き軸受7はツバ部7bが支持側板4に接触した状態で図中左方向への移動が防止される。
また、ツバ無し軸受8と係合する軸受孔部41を備える支持側板4の内側には、ツバ部材9との間で圧縮された状態でスプリング90が接触している。ツバ無し軸受8が係合する軸受孔部41の内径よりもスプリング90の外径が大きいため、スプリング90のローラ体11側とは反対側の端部は、支持側板4に接触する位置よりも図中右側に移動することはない。スプリング90はツバ部材9と支持側板4との間で圧縮しているので、ローラ部材1に対して図中左方向へ押す力を加える。これにより、ローラ部材1が支持側板4に対して図中右方向へ移動することを防止している。
回転軸12に固定されたツバ付き軸受7が図中左方向への移動が防止され、スプリング90がツバ部材9を図中左方向に押圧することでローラ部材1に対して図中左側へ押す力が加わり、ローラ部材1が図中右方向への移動が防止されるため、ローラ部材1は図中左右どちらにも移動することができず、支持側板4に対して軸方向の位置決めがなされる。この構成では、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が軸受孔部41に係合した状態で、ローラ部材1のツバ無し軸受8側への移動、すなわち図中右方向への移動を防止するツバ部材9及びスプリング90がローラ部材軸方向位置決め手段として機能する。すなわち、スプリング90がツバ部材9と支持側板4との間で圧縮されることで、一対の支持側板4に対してローラ部材1のスラスト方向の位置決めを行うことができる。
【0046】
次に、ローラ部材1をローラ装置60の一対の支持側板4に組み付けるローラ部材組み付け方法について説明する。
図8は、実施例1のローラ部材1の組み付け方法の概略説明図である。また、図9は、図7(b)のスプリング90近傍の拡大説明図である。
まず、図8(a)に示すように、二つの軸受孔部41を結んだ直線に対してローラ部材1の回転軸12を30[°]程度傾けた状態で、ローラ部材1を図中矢印A方向に移動し、ツバ無し軸受8を組み付け完了の状態よりも深い位置まで軸受孔部41に挿入する。このとき、スプリング90は圧縮された状態となる。その後、回転軸12を二つの軸受孔部41を結んだ直線に対して平行にして、ツバ無し軸受8を軸受孔部41から引き抜く方向、すなわち図8(b)中矢印B方向にツバ部7bが支持側板4に突き当たるまで移動させる。これにより、二つの軸受部材が軸受孔部41にそれぞれ係合した状態となる。この状態で、スプリング90が圧縮した状態となっており、ローラ部材1を図中左方向に押す力を加えているので、ローラ部材1は支持側板4に対して軸方向右側への移動が防止される。
【0047】
ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とをそれぞれ軸受孔部41に係合した状態では、ローラ部材1がツバ付き軸受7側へ移動する、すなわち図8(b)中左方向へローラ部材1が移動することは、ツバ部7bが支持側板4に突き当たることで防止されている。一方、ローラ部材1がツバ無し軸受8側への移動、すなわち図8(b)中右方向に移動することは、スプリング90がツバ部材9と支持側板4との間で圧縮され、ローラ部材1を図中左方向に押圧することで防止されている。軸方向について両方向の移動を防止されるため、ローラ部材1の支持側板4に対する軸方向の位置決めを行うことができる。
【0048】
実施例3のローラ装置60であれば、ローラ部材1と一体のスプリング90を圧縮した状態で取り付けることで、Eリングやネジ等、組み付けるローラ部材1以外の部材を必要とせず、ローラ部材1を組み付けるときの部材点数を削減することができる。また、組付けも締結がいらずワンタッチにて可能なため、組付け工程、サービス時間の削減ができ、ローラリサイクルもしやすくなる。
スプリング力は3〜5[kgf]程度が望ましい。このとき、スプリング力が強すぎると組付けづらくなり、スプリング力が弱すぎるとスラスト位置が決まらなくなる。スプリング力によりローラ部材1は常に左側に押され、ガタは生じない状態にて回転することになる。これにより、ローラ部材1のスラスト位置精度が確保できる。
無端ベルトを備えたベルト装置では張架部材として張架ローラも多数備えている。これらの張架ローラのローラ部材としての高精度性、耐久性とともに、ローラ間のスラスト方向位置決めも大きな課題となる。このスラスト位置がずれれば、ベルトが蛇行したり、寄りきって破損したりという問題が発生する。従来のローラ位置決めとしては部品のスラスト方向ガタにより、各ローラの位置が合致せず、これによりベルトの走行性が安定しないという場合がある。実施例3のローラ部材1ではスプリング力により押圧することで位置決めを行いローラ同士の位置を合わせることができるため、スラストガタをなくすことができ、ベルト走行性が安定し、ベルトの蛇行、亀裂等が発生しにくくなる。
【0049】
以上、本実施形態によれば、ローラ体11と、ローラ体11の回転軸12と、回転軸12に対して固定された軸受部材をローラ体11両端の外側にそれぞれ有するローラ部材1の二つの軸受部材の一方が、軸受本体7a及び軸受孔部41よりも外径が大きいツバ部7bを備えるツバ付き軸受7で、二つの軸受部材の他方が、ツバ部を備えないツバ無し軸受8である。そして、ローラ部材1と支持側板4とを有するローラ装置60では、ツバ付き軸受7とツバ無し軸受8とを軸受孔部41にそれぞれ係合した状態のローラ部材1がツバ無し軸受8側へ移動をすることを防止し、ローラ部材の軸方向の位置決めを行うローラ部材軸方向位置決め手段としてのローラ抑え部材5を備えている。ツバ付き軸受7によりローラ部材1のスラスト方向一方への移動を防止し、スラスト方向の他方向への移動を防止するためにローラ抑え部材5を組み付けるのがローラ部材1のツバ無し軸受8を備える片側だけで良いため、部材点数を削減することができる。また、ローラ抑え部材5とネジ6を組み付ける作業も片側だけでよいので、組み付け作業の手間を軽減することができる。
また、ツバ付き軸受7及びツバ無し軸受8が玉軸受であることにより、すべり軸受を用いるものに比べて、ローラ部材1の長寿命化を図ることができる。
また、張架ローラにおり無端ベルトを張架するベルト装置の張架ローラをローラ部材1、ベルト装置の枠体を支持側板4としてローラ装置60の構成を有するベルト装置では、ローラのスラスト方向ガタをなくし、ローラ装置の耐久性を向上することができため、ベルトの走行安定性を確保することができる。これらにより、ベルトの亀裂発生を防止、ベルトのリサイクル化にも寄与する。そして、ローラ装置60を有するベルト装置は、中間転写ベルト10を備える中間転写ユニット、定着ベルト26を備える定着装置25、および記録体搬送ベルトとしての機能を備える二次転写ベルト24である二次転写装置等に適用可能である。
また、画像形成装置としての複写機のベルト装置として、ローラ装置60を有するベルト装置を適用することにより、画像形成装置の耐久性、および画像形成動作の安定性を向上することができる。
また、複写機のベルト装置を構成するローラに限らず、各ローラ部材1を、複写機の枠体を支持側板4としてローラ装置60の構成を有する複写機では、ローラのスラスト方向ガタをなくし、ローラ装置の耐久性を向上することができため、複写機の耐久性、および画像形成動作の安定性を向上することができる。
また、実施例2のローラ部材1では、ツバ無し軸受8とローラ体11との間にツバ無し軸受8よりも外径が大きいツバ部材9を備え、支持側板4に組み付ける前の状態は、回転軸12に対してツバ部材9を軸方向に移動可能としている。そして、ローラ部材1と支持側板4とを有するローラ装置60では、ローラ部材軸方向位置決め手段として、ローラ部材1が備えるツバ部材9の他に、ツバ部材9がローラ体11側へ移動すること防止するツバ部材固定手段としてのEリング3を備えている。ツバ付き軸受7によりローラ部材1のスラスト方向一方への移動を防止し、スラスト方向の他方向への移動を防止するためにEリング3を組み付けるのがローラ部材1のツバ無し軸受8を備える片側だけで良いため、ローラ部材1を組み付けるときの部材点数を削減することができる。また、ツバ部材9を移動し、Eリング3を組み付ける作業も片側だけでよいので、ローラ部材1の組み付け作業の手間を軽減することができる。
また、実施例3のローラ部材1では、ローラ体11のツバ無し軸受8側に上記軸方向に伸縮可能な弾性部材であるバネ部材としてのスプリング90を有し、スプリング90のローラ体11側の端部は弾性部材端部固定手段としてのツバ部材9によって軸方向の所定の位置よりもローラ体11側への移動を防止されており、スプリング90の自然長はツバ部材9を配した所定の位置からツバ無し軸受8までの長さよりも長くなっている。ローラ部材1と支持側板4とを有するローラ装置60では、スプリング90はツバ部材9と支持側板4との間で圧縮し、ローラ部材1に対してツバ付き軸受7の方向へ押す力を加え、ローラ部材1がツバ無し軸受8側に移動することを防止し、ローラ部材軸方向位置決め手段として機能する。ツバ付き軸受7によりローラ部材1のスラスト方向一方への移動を防止し、ローラ部材1と一体のスプリング90を圧縮した状態で取り付けることで、スラスト方向の他方向への移動を防止するためにローラ部材1以外の部材を必要とせず、ローラ部材1を組み付けるときの部材点数を削減することができる。また、組付けも締結がいらずワンタッチにて可能なため、組付け工程、サービス時間の削減ができ、ローラリサイクルもしやすくなる。
また、実施例3のローラ部材1では、スプリング90はツバ無し軸受8と係合する軸受孔部41の内径よりも外径が大きい螺旋形状であることにより、ローラ体11側とは反対側のスプリング90の端部が支持側板4に突き当たる。そして、回転軸12に固定されたツバ部材9の外径がスプリング90の内径より大きいことでローラ体11側のスプリング90の端部がツバ部材9に突き当たる。これにより、スプリング90が支持側板4とツバ部材9との間で圧縮され、支持側板4に対してツバ部材9を遠ざける方向に押圧力を加え、ローラ部材1がツバ無し軸受8の方向に移動することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図2】実施例1の説明図、(a)は、ローラ部材の概略構成図、(b)は、ローラ装置の概略構成図。
【図3】実施例1のローラ部材1の組み付け方法の概略説明図、(a)は、二つの軸受部材を軸受孔部に係合する前の状態の説明図、(b)は、二つの軸受部材を軸受孔部に係合した状態の説明図。
【図4】実施例2の説明図、(a)は、ローラ部材の概略構成図、(b)は、ローラ装置の概略構成図。
【図5】実施例2のローラ部材1の組み付け方法の概略説明図、(a)は、二つの軸受部材を軸受孔部に係合する前の状態の説明図、(b)は、二つの軸受部材を軸受孔部に係合した状態の説明図。
【図6】ツバ部材の説明図、(a)は、ツバ部材周辺の拡大説明図、(b)は(a)中の矢印G方向から見たツバ部材の正面図。
【図7】実施例3の説明図、(a)は、ローラ部材の概略構成図、(b)は、ローラ装置の概略構成図。
【図8】実施例3のローラ部材1の組み付け方法の概略説明図、(a)は、二つの軸受部材を軸受孔部に係合する前の状態の説明図、(b)は、二つの軸受部材を軸受孔部に係合した状態の説明図。
【図9】実施例3のローラ装置のスプリング近傍の拡大説明図。
【図10】一つ目の従来例の説明図。
【図11】二つ目の従来例の説明図。
【符号の説明】
【0051】
1 ローラ部材
2 軸受部材
2a 軸受本体
2b ツバ部
3 Eリング
4 支持側板
5 ローラ抑え部材
6 ネジ
7 ツバ付き軸受
7a 軸受本体
7b ツバ部
8 ツバ無し軸受
9 ツバ部材
9a 軸孔
9b ツバ部材内周部
9c ツバ部材凹部
9d ツバ部材外周部
10 中間転写ベルト
11 ローラ体
12 回転軸
14 第一支持ローラ
15 第二支持ローラ
16 第三支持ローラ
17 ベルトクリーニング装置
18 画像形成ユニット
20 タンデム画像形成ユニット
21 露光装置
22 二次転写ローラ
23 二次転写ベルト張架ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 転写紙反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第一走行体
34 第二走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
40 感光体ドラム
41 軸受孔部
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 ローラ装置
61 現像ユニット
62 一次転写ローラ
63 感光体クリーニング装置
90 スプリング
91 大径軸部
100 プリンタ部
200 給紙部
300 スキャナ部
400 原稿搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ体と、該ローラ体の回転軸と、該回転軸に対して固定された軸受部材を該ローラ体両端の外側にそれぞれ有するローラ部材において、
該ローラ体両端の外側の二つの軸受部材の一方は、軸受本体よりも外径が大きいツバ部を一体で備えるツバ付き軸受部材で、該二つの軸受部材の他方は該ツバ部を備えないツバ無し軸受部材であることを特徴とするローラ部材。
【請求項2】
請求項1のローラ部材において、
上記軸受部材が玉軸受であることを特徴とするローラ部材。
【請求項3】
ローラ体と、該ローラ体の回転軸と、該回転軸に対して固定された軸受部材を該ローラ体両端の外側にそれぞれ備えるローラ部材と、
該ローラ体両端の外側の二つの軸受部材を軸受孔部にそれぞれ係合して該ローラ部材を支持する一対の支持側壁とを有するローラ装置において、
該二つの軸受部材の一方は係合する該軸受孔部よりも外径が大きいツバ部を一体で備えるツバ付き軸受部材であり、該二つの軸受部材の他方は該ツバ部を備えないツバ無し軸受部材であって、
該ツバ付き軸受部材の該ツバ部材を該軸方向について該軸受孔部と係合する部分よりも該ローラ体側に備え、
該二つの軸受部材を該軸受孔部に係合した状態の該ローラ部材が該ツバ無し軸受部材側に移動をすることを防止し、該ローラ部材の軸方向の位置決めを行うローラ部材軸方向位置決め手段を有することを特徴とするローラ装置。
【請求項4】
請求項3のローラ装置において、
上記ツバ無し軸受部材と係合する上記軸受孔部は当該軸受孔部を備える上記支持側壁を貫通する孔部であり、
上記ローラ部材軸方向位置決め手段は、該二つの軸受部材を該軸受孔部に係合した後に該支持側壁の外側から該ツバ無し軸受の外側の端面を抑える軸受抑え部材であることを特徴とするローラ装置。
【請求項5】
請求項3のローラ装置において、
上記ローラ部材軸方向位置決め手段として、上記ツバ無し軸受と係合する上記軸受孔部の内径よりも外径が大きいツバ部材を該ツバ無し軸受と上記ローラ体との間に備え、
該ツバ部材は、二つの上記軸受を上記軸受孔部にそれぞれ係合する前は上記回転軸に対して軸方向に移動可能であり、該二つの軸受を該軸受孔部にそれぞれ係合した後は上記ツバ無し軸受近傍の所定の位置まで移動するものであり、
該ツバ部材を所定の位置まで移動した後、該ツバ部材が上記ローラ体側へ移動すること防止するツバ部材固定手段を備えることを特徴とするローラ装置。
【請求項6】
請求項3のローラ装置において、
上記ローラ部材軸方向位置決め手段として、上記ローラ体の上記ツバ無し軸受側に上記軸方向に伸縮可能な弾性部材を備え、
該弾性部材の該ローラ体側の端部は弾性部材端部固定手段によって軸方向の所定の位置よりも該ローラ体側への移動を防止されており、
該弾性部材の自然長は該所定の位置から該ツバ無し軸受部材までの長さよりも長いことを特徴とするローラ装置。
【請求項7】
請求項6のローラ装置において、
上記弾性部材は上記ツバ無し軸受と係合する上記軸受孔部の内径よりも外径が大きい螺旋形状のバネ部材であり、
上記弾性部材端部固定手段として該バネ部材の内径より外径が大きく上記回転軸に固定されたツバ部材を備えることを特徴とするローラ装置。
【請求項8】
請求項3、4、5、6または7のローラ装置において、
上記軸受部材は玉軸受であることを特徴とするローラ装置。
【請求項9】
ローラ部材と該ローラ部材を支持する一対の支持側壁とを備えるローラ装置を有し、記録体上に画像を形成する画像形成装置において、
該ローラ装置の少なくとも一つが、請求項3、4、5、6、7または8のローラ装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
無端ベルトと該無端ベルトを張架する複数の張架部材とを有し、
該複数の張架部材の少なくとも一つが、ローラ部材と該ローラ部材を支持する一対の支持側壁とを備えるローラ装置の該ローラ部材であるベルト装置において、
該ローラ装置の少なくとも一つが、請求項3、4、5、6、7または8のローラ装置であることを特徴とするベルト装置。
【請求項11】
請求項10のベルト装置において、
上記無端ベルトは、一次転写部で像担持体からトナー像を一次転写され、該像担持体から一次転写されたトナー像を無端移動することで担持搬送し、二次転写部で記録体または他の像担持体に二次転写する中間転写ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項12】
請求項10のベルト装置において、
上記無端ベルトは、上記複数の張架部材の一つと該無端ベルトを挟んで対抗する加圧部材との間でニップ部を形成し、該ニップ部にトナー像を担持した記録体を通過させるときに該トナー像を該記録体に定着させる定着ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項13】
請求項10のベルト装置において、
上記無端ベルトは、その表面に記録体を担持し、搬送する記録体搬送ベルトであることを特徴とするベルト装置。
【請求項14】
無端ベルトと該無端ベルトを張架する複数の張架部材を備えたベルト装置を有し、記録体上に画像を形成する画像形成装置において、
該ベルト装置として、請求項10、11、12または13のベルト装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
ローラ体と、該ローラ体の回転軸と、該回転軸に対して固定された軸受部材を該ローラ体両端の外側にそれぞれ備えるローラ部材を、一対の支持側壁がそれぞれ備える軸受孔部に該軸受部材を係合し、該一対の支持側壁の間に該ローラ体が位置するように組み付けるローラ部材組み付け方法において、
一対の支持側壁がそれぞれ備える二つの軸受孔部を結んだ直線に対して、該ローラ部材の回転軸を斜めにして、係合する軸受孔部よりも径が大きいツバ部を備えるツバ付き軸受部材に対して該ローラ体を挟んで反対側の該ツバ部を備えていないツバ無し軸受部材を、組み付け完了時の状態よりも深い位置まで該軸受孔部に挿入した後、
該ローラ部材の回転軸を該二つの軸受孔部を結んだ直線に対して平行にし、該ツバ無し軸受部材を該軸受孔部から引き抜く方向に移動させることで、該ツバ付き軸受部材を他方の軸受穴部に挿入して該二つの軸受部材を該二つの軸受孔部にそれぞれ係合し、
該二つの軸受部材をそれぞれ該軸受孔部に係合した状態で、該ローラ部材が該ツバ無し軸受部材側へ移動することを防止し、該ローラ部材の軸方向の位置決めを行うことを特徴とするローラ部材組み付け方法。
【請求項16】
請求項15のローラ部材組み付け方法において、
上記ツバ無し軸受部材と係合する上記軸受孔部は当該軸受孔部を備える上記支持側壁を貫通する孔部であり、
上記二つの軸受部材をそれぞれ上記軸受孔部に係合した状態で、軸受抑え部材によって該支持側壁の外側から該ツバ無し軸受の外側の端面を抑えることを特徴とするローラ部材組み付け方法。
【請求項17】
請求項15のローラ部材組み付け方法において、
上記二つの軸受部材をそれぞれ上記軸受孔部に係合した状態、上記ローラ部材と上記ツバ無し軸受との間の該ツバ無し軸受が係合する該軸受孔部の内径よりも外径が大きいツバ部材を該ツバ無し軸受近傍の所定の位置まで移動させ、該ツバ部材が上記ローラ体側に移動しないように固定することを特徴とするローラ部材組み付け方法。
【請求項18】
請求項15のローラ部材組み付け方法において、
上記ローラ体の上記ツバ無し側で上記軸方向に伸縮可能に備えられ、該ローラ体側の端部は所定の位置よりも該ローラ体側への移動を防止され、その自然長が該所定の位置から該ツバ無し軸受部材までの長さよりも長い弾性部材が、該ツバ無し軸受部材を組み付け完了時の状態よりも深い位置まで上記軸受孔部に挿入したときに収縮し、
上記ツバ付き軸受部材を他方の軸受穴部に挿入して、該二つの軸受部材をそれぞれ該軸受孔部に係合したときには該弾性部材は上述の収縮した状態よりも伸長するが自然長よりも収縮した状態となることを特徴とするローラ部材組み付け方法。
【請求項19】
請求項15、16、17また18のローラ部材組み付け方法において、
上記一対の支持側壁が画像形成装置の筺体の一部であることを特徴とするローラ部材組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−298829(P2007−298829A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127675(P2006−127675)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】