説明

ロール状衛生用紙の寸法測定装置

【課題】高速で搬送されるロール状衛生用紙の姿勢をその搬送途中で確実に変更し、その幅寸法を正確に測定することが困難である。
【解決手段】本発明によるロール状衛生用紙12の寸法測定装置10は、水平な軸線回りに所定速度で回転し、円筒状をなすロール状衛生用紙12の幅方向一端面12Fを受ける底壁16aとこの底壁16aを囲む周壁16b,16cとをそれぞれ有してロール状衛生用紙12を収容し得る複数のバケット16が放射状に設けられ、ロール状衛生用紙12が投入される投入位置PIと、その幅寸法が測定される測定位置PSと、測定終了後のロール状衛生用紙12が放出される放出位置POとがその回転方向に沿って設定されたローター11と、底壁16aが上向きとなる測定位置PSにあるバケット16に収容されたロール状衛生用紙12の幅方向他端面12Rの位置を検出するためのセンサー13とを具る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状衛生用紙の切断から包装に至るラインの途中にて個々のロール状衛生用紙の幅寸法を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状衛生用紙の一部には、その製品幅がJISで規定されているものがある。例えばトイレットロールにおいては製品幅が114mm±1mmに規定されている。通常、このようなトイレットロールやキッチンペーパーなどのロール状衛生用紙は、あらかじめ長尺の紙管に対して実質的に同じ幅の原紙を所定量巻き付けてログを形成する。そして、このログをその長手方向軸線に沿って搬送しながら、切断工程にてその搬送方向最先端に位置する部分をログカッターにより所定の製品幅に切断した後、包装工程にて複数個のロール状衛生用紙が整列状態で包装され、製品として出荷される。特許文献1には、このような切断から包装に至るラインについての開示がある。
【0003】
切断工程にてログカッターにより切断されるロール状衛生用紙の幅寸法は、ログカッターの切れ味、つまり切れ刃の摩耗状態やログの外径のばらつきになどによって変化することが知られている。一般的な傾向として、ログカッターの切れ味の低下に伴い、ロール状衛生用紙の幅寸法が増大し、ログの外径が小さいほどロール状衛生用紙の幅寸法が減少する。
【0004】
従来、ロール状衛生用紙の幅寸法の管理は、全量の検査ではなく、定期的な抜き取り検査により行われている。このため、製品として使用できないログの端部などの規格外の寸法を持つロール状衛生用紙が包装工程へと搬出されてしまう問題があった。そこで、ロール状衛生用紙の幅寸法を全量の検査する目的で特許文献2にて提案された検査装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−63796号公報
【特許文献2】特許第3643352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示された検査装置においては、隣接する2台の搬送コンベヤに段差を形成し、ロール状衛生用紙の搬送姿勢を90度変更するようにしている。しかしながら、この方法では高速搬送されるロール状衛生用紙の搬送姿勢の変更に関して確実性が乏しく、姿勢が変更されていない状態で誤った検査結果をもたらす可能性がある。また、ロール状衛生用紙の搬送速度に応じて2台の搬送コンベヤの段差や傾斜角を微妙に変更する必要があり、その段取り作業が非常に煩雑であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、あらゆる搬送速度域にてロール状衛生用紙の搬送姿勢を確実に変更することが可能であって、個々のロール状衛生用紙の幅寸法を自動的かつ高い信頼性をもって測定することが可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるロール状衛生用紙の寸法測定装置は、水平な軸線回りに所定速度で回転し、円筒状をなすロール状衛生用紙の幅方向一端面を受ける底壁とこの底壁を囲む周壁とをそれぞれ有して前記ロール状衛生用紙を収容し得る複数のバケットが放射状に設けられ、ロール状衛生用紙が投入される投入位置と、ロール状衛生用紙の幅寸法が測定される測定位置と、測定終了後のロール状衛生用紙が放出される放出位置とがその回転方向に沿って設定されたローターと、前記測定位置にある前記バケットに収容されたロール状衛生用紙の幅方向他端面の位置を検出するためのセンサーとを具えたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明おいては、投入位置にあるバケットにロール状衛生用紙が投入され、バケットの底壁にロール状衛生用紙の幅方向一端面が載せられた状態となる。そして、ローターの回転に伴い、ロール状衛生用紙が測定位置に達した時点で、ここに収容されているロール状衛生用紙の幅方向他端面の位置がセンサーによって検出される。幅寸法が検出されたロール状衛生用紙は、ローターのさらなる回転に伴い、その放出位置にてバケットの外に放出される。
【0010】
本発明によるロール状衛生用紙の寸法測定装置において、バケットの底壁をローターの回転軸線に対して平行な平坦面にて形成し、測定位置がバケットに収容されたロール状衛生用紙の幅方向他端面が上向きで水平となる位置であってよい。
【0011】
バケットの周壁は、ローターの回転軸線に沿って対向する一対の側壁と、ローターの回転方向に沿って対向する一対の仕切り壁とを有し、ローターの回転軸線側に位置するこれら一対の仕切り壁の基端部をローターの回転軸線と平行な軸線回りに揺動可能にローターに取り付けることができる。
【0012】
この場合、ローターの回転軸線と仕切り壁の基端部の揺動軸線とを含む仮想平面からローターの回転方向前方側の所定角度の範囲にて仕切り壁が回動するように設定することができる。また、測定位置を投入位置よりもローターの回転方向前方側かつバケットに収容されたロール状衛生用紙がローターの回転方向に対して後方側に位置する仕切り壁にもたれかかった位置にすることが好ましい。
【0013】
複数のロール状衛生用紙をこれらの長手方向軸線が一直線状をなすように所定間隔にて配列した状態でこれらをその長手方向軸線と平行な方向に沿って搬送し、その搬出端にて投入位置にあるバケットにロール状衛生用紙を搬入するための搬入コンベヤと、放出位置に達したバケットから放出されるロール状衛生用紙を受け、このロール状衛生用紙をその長手方向軸線が一直線状をなすように所定間隔にて配列した状態でこれをその長手方向軸線と平行な方向に沿ってローターから搬出するための搬出コンベヤとをさらに具えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のロール状衛生用紙の寸法測定装置によると、複数のバケットを放射状に設けたローターを用いたことにより、ロール状衛生用紙を確実に所定の姿勢で収容することができ、その幅寸法を正確かつ連続的に測定することが可能となる。
【0015】
バケットの底壁をローターの回転軸線に対して平行な平坦面にて形成し、測定位置をバケットに収容されたロール状衛生用紙の幅方向他端面が上向きで水平となる位置に設定した場合、ロール状衛生用紙の幅寸法を安定した状態で測定することができる。
【0016】
ローターの回転軸線側に位置するバケットの周壁の一部を構成する仕切り壁の基端部をローターの回転軸線と平行な軸線回りに揺動可能にローターに取り付けた場合、底壁に対する仕切り壁の傾きをローターの回転位相に応じて自動的に変えることができる。
【0017】
ローターの回転軸線と仕切り壁の基端部の揺動軸線とを含む仮想平面からローターの回転方向前方側の所定角度の範囲にて仕切り壁が回動するように設定した場合、バケットに対するロール状衛生用紙の搬入出操作をより確実行うことができる。
【0018】
測定位置を投入位置よりもローターの回転方向前方側かつロール状衛生用紙がローターの回転方向に対して後方側に位置する仕切り壁にもたれかかった位置に設定した場合、ロール状衛生用紙の幅寸法の測定を安定した同一姿勢にて行うことができる。
【0019】
ローターのバケットに対し、ロール状衛生用紙を搬入するための搬入コンベヤと、これを搬出するための搬出コンベヤとをさらに具えた場合、ロール状衛生用紙の切断から包装に至るラインの途中でその幅寸法を連続的かつ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるロール状衛生用紙の寸法測定装置をトイレットロールに適用した一実施形態の外観を模式的に表す立体投影図である。
【図2】図1に示した実施形態の主要部を抽出拡大した側面形状の断面図であり、ロール状衛生用紙が測定位置にある状態を示している。
【図3】図1に示した実施形態の平面図である。
【図4】図1に示した実施形態において、ロール状衛生用紙が投入位置および放出位置にある状態を示す側面形状の断面図である。
【図5】図1に示した実施形態において、ロール状衛生用紙が投入位置から測定位置に至る途中の状態を示す側面形状の断面図である。
【図6】図1に示した寸法測定装置の上流側に配される切断部の外観を模式的に表す立体投影図である。
【図7】本発明によるロール状衛生用紙の寸法測定装置をトイレットロールに適用した他の一実施形態を模式的に表す断面形状の側面図であり、ロール状衛生用紙が投入位置および放出位置にある状態を示している。
【図8】図7に示した実施形態において、ロール状衛生用紙が測定位置にある状態を示す側面形状の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるロール状衛生用紙の寸法測定装置をパック詰めされるトイレットロールに応用した第1の実施形態について、図1〜図6を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は2本のログ(図6参照)、すなわち2列のロール状衛生用紙を並列に処理するシステムとして描かれているが、3本以上のログを並列に処理するシステムや、ログを1本のみ処理するシステムであっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0022】
本実施形態における寸法測定装置を模式的に図1に示し、その主要部の側面形状を拡大して図2に断面状態で示し、その平面形状を図3に示す。すなわち、本実施形態による寸法測定装置10は、ローター11と、円筒状をなすロール状衛生用紙12の幅寸法を測定するためのセンサー13と、ローター11を挟んでその上流側および下流側に配される搬入コンベヤ14および搬出コンベヤ15とを具えている。
【0023】
ローター11は、図示しない駆動モーターが連結されて水平な軸線回りに所定速度で回転する。このローター11には、ロール状衛生用紙12を収容し得る複数(図示例では5個)のバケット16がローター11の回転方向に沿って等間隔で放射状に設けられている。個々のバケット16は、ロール状衛生用紙12の幅方向一端面(搬送方向前方側を向く面)12Fを受ける底壁16aと、この底壁16aを囲む角錐台状をなす周壁16b,16cとをそれぞれ有する。底壁16aは、ローター11の回転軸線と平行な平坦面にて形成され、これによってロール状衛生用紙12の幅方向一端面12Fを安定して支持することができるようになっている。底壁16aの寸法形状は、ロール状衛生用紙12の直径よりも多少大きめの矩形をなし、ローター11の回転方向に沿って対向する一対の周壁16bの間隔は、ローター11の回転中心から遠くなるほど、これらの間隔が広がるように設定されている。これに対し、ローター11の回転軸線に沿って対向する一対の周壁16cの間隔は、ロール状衛生用紙12の直径よりも多少大きめに設定されている。これにより、後述するバケット16に対するロール状衛生用紙12の投入およびバケット16から搬出コンベヤ15への放出を円滑に行うことができ、バケット16に収容されるロール状衛生用紙12の姿勢が所望の姿勢に保持されるように配慮している。また、ローター11の回転軸線から個々のバケット16の底壁16aまでの距離はすべて等しく設定され、底壁16aからの周壁16b,16cの高さは、ロール状衛生用紙12の幅寸法よりも低く設定されている。
【0024】
このローター11には、ロール状衛生用紙12が投入される投入位置PIと、ロール状衛生用紙12の幅寸法が測定される測定位置PSと、測定終了後のロール状衛生用紙12が放出される放出位置POとがその回転方向に沿って設定されている。これらの位置PI,PS,POは、後述する搬入コンベヤ14の搬出端,センサー13,搬出コンベヤ15の搬入端とそれぞれ密接に関係付けられている。ここで、ローター11の投入位置PIおよび放出位置POにおけるロール状衛生用紙12の状態を模式的に図4に示し、投入位置PIから測定位置PSに至る途中のロール状衛生用紙12の状態を模式的に図5に示す。
【0025】
センサー13は、底壁16aが上向きで水平となる測定位置PS(図1〜図3参照)にあるバケット16に収容されたロール状衛生用紙12の幅方向他端面、つまり上端面12Rの位置を検出する。本実施形態におけるセンサー13は、上下2つの投光部17U,17Lと受光部18U,18Lとがローター11の回転軸線と平行な方向に沿ってローター11の直上に配されている。より具体的には、上下の投光部17U,17Lから受光部18U,18Lに向けて出射する図示しない検出光がローター11の回転軸線を含む鉛直面内に位置するように、ローター11の回転軸線に沿って対向する一対の周壁16cを挾むように配されている。また、ローター11の回転軸線から上下2本の検出光までの距離は、ローター11の回転軸線から底壁16aまでの距離と、ロール状衛生用紙12の幅寸法の最小値および最大値との和に等しくなるように設定されている。つまり、上下の投光部17U,17Lおよび受光部18U,18Lは、ロール状衛生用紙12の幅寸法の最大許容公差と最少許容公差とに関連付けてローター11の回転軸線からの距離が設定されている。
【0026】
従って、ロール状衛生用紙12が測定位置PSにある状態で上下の受光部18U,18Lが検出光をそれぞれ検出した場合、ロール状衛生用紙12の幅寸法が狭すぎると判断することができる。また、ロール状衛生用紙12が測定位置PSにある状態で上下の受光部18U,18Lが共に検出光を検出できない場合、ロール状衛生用紙12の幅寸法が長すぎると判断することができる。そして、ロール状衛生用紙12が測定位置PSにある状態で上側の受光部18Uのみが検出光を検出した場合、ロール状衛生用紙12の幅寸法が公差範囲に入っていると判断することができる。このように、測定位置PSにあるロール状衛生用紙12は、その下端面12F全体がバケット16の底壁16aに接し、その中心軸線が正確に鉛直となるため、その幅寸法が許容公差内に収まっているか否かを常に同一姿勢にて正確に把握することが可能となる。
【0027】
搬入コンベヤ14は、複数のロール状衛生用紙12をこれらの長手方向軸線が一直線状をなすように所定間隔にて配列した状態でこれらをその長手方向軸線と平行な方向に沿って搬送する。また、搬入コンベヤ14の搬出端にて投入位置PIにあるバケット16にロール状衛生用紙12が搬入されるようにしなければならない。このため、ローター11に対する搬入コンベヤ14の搬出端の位置と、ローター11のバケット16の回転位相と、搬入コンベヤ14上のロール状衛生用紙12の相対位置とが適切に設定されている。本実施形態では、搬入コンベヤ14からロール状衛生用紙12が投入位置PIにあるバケット16に対して円滑に投入されるように、搬入コンベヤ14の搬出端から投入位置PIにあるバケット16の直近に向けて下向きに傾斜する投入案内板19が配されている。
【0028】
このように、本実施形態では重力を利用して搬入コンベヤ14上にあるロール状衛生用紙12をローター11のバケット16に移載するようにしている。しかしながら、周知のハンドリング装置を用いて搬入コンベヤ14の搬出端に達したロール状衛生用紙12を投入位置PIにあるローター11のバケット16に移載するようにしてもよい。
【0029】
搬出コンベヤ15も搬入コンベヤ14と同様に、複数のロール状衛生用紙12をこれらの長手方向軸線が一直線状をなすように所定間隔にて配列した状態でこれらをその長手方向軸線と平行な方向に沿って搬送する。この搬出コンベヤ15の搬入端にて放出位置POにあるバケット16に収容されたロール状衛生用紙12が載せられるように、ローター11に対する搬出コンベヤ15の搬入端の位置が適切に設定されている。
【0030】
搬出コンベヤ15は、ローター11と共に搬入コンベヤ14と同期駆動するが、ロール状衛生用紙12の搬送速度を搬入コンベヤ14によるロール状衛生用紙12の搬送速度に対して一致させる必要はない。例えば、搬出コンベヤ15の搬送速度を搬入コンベヤ14の搬送速度よりも遅くすることにより、搬送方向に沿って配列するロール状衛生用紙12の間隔をより狭く設定することができる。また、重力を利用してローター11のバケット16に収容されたロール状衛生用紙12を搬出コンベヤ15上に移送する代わりに、周知のハンドリング装置を用いることも可能である。この場合には、放出位置POにあるバケット16に収容されたロール状衛生用紙12をハンドリング装置によって搬出コンベヤ15の搬入端へと移送するようにしてもよい。
【0031】
搬入コンベヤ14よりも上流側には、図6に示すようなログカッター20を具えた切断部21が接続し、搬出コンベヤ15よりも下流側には、切断されたロール状衛生用紙12を所定個数毎に束ねて樹脂フィルムなどで包装するための図示しない包装部が接続する。
【0032】
円筒状をなす長尺のログ12Lは、図示しないログ搬送コンベヤによりその搬出端である切断位置PCに向け、その長手方向軸線と平行な方向に沿って搬送される。切断位置PCに配されたログカッター20は、図示しない駆動モーターによって駆動回転する回転アーム22と、この回転アーム22の径方向両端部にそれぞれ回転自在に取り付けられた円盤状をなす切れ刃23とを有する。また、個々の切れ刃23にもこれを駆動回転するための図示しない駆動モーターがそれぞれ取り付けられている。つまり、切断位置PCに達したログ12Lの搬送方向最先端部は、切れ刃23の自転と回転アーム22の旋回との組み合わせにより、切れ刃23がログ12Lの長手方向軸線を横切るように移動して切断され、搬入コンベヤ14へと送り込まれるようになっている。この場合、ログ12Lの搬送速度よりも搬入コンベヤ14の搬送速度が高く設定されているため、切断されたロール状衛生用紙12はその搬送方向に沿って間隔をあけて配列した状態でローター11側へと搬送される。
【0033】
従って、長尺の円筒状をなすログ12Lは、その長手方向軸線と平行な方向に沿って図示しないログ搬送コンベヤにより搬送される。そして、切断位置PCに達した長尺のロール状衛生用紙12の搬送方向最先端部がこのロール状衛生用紙12の搬送方向に対して横切る方向に移動するログカッター20の切れ刃23により所定寸法に切断される。切断された個々のロール状衛生用紙12は、搬入コンベヤ14によりその切断面12F,12Rの間隔をあけ、これらの長手方向軸線と平行な方向に沿ってローター11に向け搬送される。搬入コンベヤ14の搬出端に達したロール状衛生用紙12は、投入位置PIに達したローター11のバケット16に投入案内板19を介して投入される。バケット16に投入されたロール状衛生用紙12は、ローター11の測定位置PSにてその切断面、つまり幅方向両端面12F,12Rが上下方向を向くように保持され、ここで上側の切断面12Rの位置がセンサー13によって検出される。そして、検出された切断面12Rの位置に応じてそのロール状衛生用紙12の幅寸法が所定の公差内に収まっているか否かが判定される。
【0034】
本実施形態では、センサー13によって検出されるロール状衛生用紙12の幅寸法が公差の最小値よりも小さい、つまり幅寸法が小さすぎるとの判断が2回連続した場合、ラインを停止してログ12Lの交換を行う。要するに、この場合にはログ12Lの直径が小さすぎるためにロール状衛生用紙12の幅寸法が狭くなったと判断し、直径のより大きなログ12Lか、同じ直径でも、より密度の高いログ12Lに交換される。また、ローター11のバケット16に収容されているロール状衛生用紙12と搬入コンベヤ14上にあるロール状衛生用紙12もすべて規格外の幅寸法である可能性が高いので、これらもラインから排除する。
【0035】
なお、幅寸法が小さすぎるとの判断が1回のみの場合には、長尺ログ12Lに対する最初の切断によるものであるので、規格外のロール状衛生用紙12のみをローター11のバケット16から排除すればよく、ログ12Lの交換まで行う必要はない。
【0036】
逆に、センサー13によって検出されるロール状衛生用紙12の幅寸法が公差の最大値よりも大きい、つまり幅寸法が大きすぎると判断した場合にもラインを停止する。しかしながら、この場合にはログカッター20の切れ味が低下していると判断し、ログカッター20の切れ刃23の再研磨を行うか、研磨済みのログカッター20に交換して再びラインを起動する。
【0037】
ロール状衛生用紙12の幅寸法が許容公差内にある場合、ラインを停止することなく操業を継続する。このようにして幅寸法が測定されたロール状衛生用紙12は、測定位置PSからローター11の放出位置POへと搬出され、搬出コンベヤ15の搬入端に移載される。搬出コンベヤ15は、このロール状衛生用紙12をその長手方向軸線と平行な方向に沿って包装部へ向け搬送する。
【0038】
上述した実施形態では、ローター11に対して複数のバケット16を固定配置したが、ローター11の回転方向に沿って対向する周壁16bの基端部をローター11に対して回動自在に枢支することも可能である。
【0039】
このような本発明の他の実施形態の概略構造を図7および図8に示すが、先の実施形態と同一機能の要素にはこれと同一符号を記すに止め、重複する説明を省略する。なお、図7および図8は、ローター11の回転位相をバケット16の配列間隔の半分だけずらした状態を示してある。本実施形態におけるバケット16の周壁は、ローター11の回転軸線Oに沿って対向する図示しない環状の連続した一対の側壁と、ローター11の回転方向に沿って対向する一対の仕切り壁16dとを有する。ローター11の回転軸線O側に位置する仕切り壁16dの基端部は、円筒状をなすローター11の外周面11aよりも径方向内側に配され、それぞれローター11の回転軸線Oと平行な軸線S回りに揺動可能にローター11に取り付けられている。従って、ローター11の外周面11aには、仕切り壁16dの揺動を許容するための矩形の開口部11bがその周方向に沿って一定間隔で形成されている。本実施形態では、ローター11の回転軸線Oと仕切り壁16dの基端部の揺動軸線Sとを含む仮想平面Fからローター11の回転方向前方側の所定角度σの範囲にて仕切り壁16dが回動するように設定されている。しかしながら、仕切り壁16dの回動可能な角度σの範囲および揺動軸線Sに対する開口部11bの円周方向に沿った相対位置に関しては、本実施形態に限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0040】
仕切り壁16dは、ローター11の回転軸線Oに対する回転位相に応じてその自重より自動的にその揺動位置が連続的に変化する。同時に、バケット16内にロール状衛生用紙12が収容された状態では、ローター11の回転に伴ってロール状衛生用紙12がバケット16内で揺動する。具体的には、ロール状衛生用紙12の重心位置とバケット16の底壁、つまりローター11の外周面11aに対するロール状衛生用紙12の幅方向一端面12Fとの当接位置とに応じてロール状衛生用紙12はローター11の回転方向に沿ってバケット16内を揺動する。この結果、投入位置PI側ではロール状衛生用紙12はローター11の回転方向前方側を向く仕切り壁16dの表面にもたれかかる傾向となる。これに対し、放出位置PO側ではロール状衛生用紙12はローター11の回転方向と逆方向側を向く仕切り壁16dの表面にもたれかかるような傾向となる。
【0041】
本実施形態における測定位置PSは、投入位置PIよりもローター11の回転方向前方側かつバケット16に収容されたロール状衛生用紙12がローター11の回転方向に対して後方側に位置する仕切り壁16dにもたれかかった位置に設定されている。従って、円筒状をなすロール状衛生用紙12の幅寸法を測定するためのセンサー13の投光部17U,17Lと受光部18U,18L(図7,図8では一方のみ示している)との上下位置もこれに合わせて図示のように鉛直線に対して傾斜状態で位置決めされている。これにより、測定位置PSにおいてはロール状衛生用紙12の外周面がその自重によってローター11の回転方向に対して後方側に位置する仕切り壁16dに押し当たると共に幅方向一端面12Fの一部がローター11の外周面11aに当接した状態に保持される。つまり、測定位置PSにてこのような常に一定の姿勢に保持されたロール状衛生用紙12に対してセンサー13がその幅寸法を測定するため、信頼性の高い測定結果を得ることができる。
【0042】
本実施形態における搬入コンベヤ14の搬送面は、投入位置PIに対して斜め下向き傾斜に設定され、搬入コンベヤ14からバケット16へのロール状衛生用紙12の受け渡しをさらに円滑に行うことができるように配慮している。同様に、本実施形態における搬出コンベヤ15の搬送面は、放出位置POに対して斜め上向き傾斜に設定され、バケット16から搬出コンベヤ15へのロール状衛生用紙12の受け渡しをさらに円滑に行うことができるように配慮している。
【0043】
本実施形態においては、このような構成を採用したことにより、先の実施形態よりも搬入コンベヤ14および搬出コンベヤ15とローター11のバケット16との間でのロール状衛生用紙12の受け渡しをより円滑に行うことが可能である。
【0044】
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【符号の説明】
【0045】
10 寸法測定装置
11 ローター
11a 外周面
11b 開口部
12 ロール状衛生用紙
12F 幅方向一端面(搬送方向前方側を向く面)
12R 幅方向他端面(上端面)
12L ログ
13 センサー
14 搬入コンベヤ
15 搬出コンベヤ
16 バケット
16a 底壁
16b,16c 周壁
16d 仕切り壁
17U,17L 投光部
18U,18L 受光部
19 投入案内板
20 ログカッター
21 切断部
22 回転アーム
23 切れ刃
F ローターの回転軸線と仕切り壁の揺動軸線とを含む仮想平面
O ローターの回転軸線
I 投入位置
S 測定位置
O 放出位置
C 切断位置
S 仕切り板の揺動軸線
σ 仕切り壁の揺動可能範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な軸線回りに所定速度で回転し、円筒状をなすロール状衛生用紙の幅方向一端面を受ける底壁とこの底壁を囲む周壁とをそれぞれ有して前記ロール状衛生用紙を収容し得る複数のバケットが放射状に設けられ、ロール状衛生用紙が投入される投入位置と、ロール状衛生用紙の幅寸法が測定される測定位置と、測定終了後のロール状衛生用紙が放出される放出位置とがその回転方向に沿って設定されたローターと、
前記測定位置にある前記バケットに収容されたロール状衛生用紙の幅方向他端面の位置を検出するためのセンサーと
を具えたことを特徴とするロール状衛生用紙の寸法測定装置。
【請求項2】
前記バケットの底壁が前記ローターの回転軸線に対して平行な平坦面にて形成され、前記測定位置は、前記バケットに収容されたロール状衛生用紙の幅方向他端面が上向きで水平となる位置であることを特徴とする請求項1に記載のロール状衛生用紙の寸法測定装置。
【請求項3】
前記バケットの周壁は、前記ローターの回転軸線に沿って対向する一対の側壁と、前記ローターの回転方向に沿って対向する一対の仕切り壁とを有し、前記ローターの回転軸線側に位置するこれら一対の仕切り壁の基端部は、前記ローターの回転軸線と平行な軸線回りに揺動可能に前記ローターに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のロール状衛生用紙の寸法測定装置。
【請求項4】
前記ローターの回転軸線と前記仕切り壁の基端部の揺動軸線とを含む仮想平面から前記ローターの回転方向前方側の所定角度の範囲にて前記仕切り壁が回動するように設定されていることを特徴とする請求項3に記載のロール状衛生用紙の寸法測定装置。
【請求項5】
前記測定位置は、前記投入位置よりも前記ローターの回転方向前方側かつ前記バケットに収容されたロール状衛生用紙が前記ローターの回転方向に対して後方側に位置する前記仕切り壁にもたれかかった位置であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のロール状衛生用紙の寸法測定装置。
【請求項6】
複数のロール状衛生用紙をこれらの長手方向軸線が一直線状をなすように所定間隔にて配列した状態でこれらをその長手方向軸線と平行な方向に沿って搬送し、その搬出端にて前記投入位置にあるバケットに前記ロール状衛生用紙を搬入するための搬入コンベヤと、
前記放出位置に達した前記バケットから放出されるロール状衛生用紙を受け、このロール状衛生用紙をその長手方向軸線が一直線状をなすように所定間隔にて配列した状態でこれをその長手方向軸線と平行な方向に沿って前記ローターから搬出するための搬出コンベヤと
をさらに具えたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のロール状衛生用紙の寸法測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−159291(P2012−159291A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16966(P2011−16966)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】