説明

ワイヤハーネス用バンドクランプ

【課題】バンドクランプを取り付けたワイヤハーネスの車体パネル面からの突出寸法を低減し、かつ、バンドによるワイヤハーネス保持力を高める。
【解決手段】本体の上壁をクランプ部の皿部で形成し、該上壁と下壁および前後壁とで左右方向に貫通するバンド貫通穴を囲み、該バンド貫通穴に向けて前記下壁または上壁から係止突起を突設し、該係止突起を前記バンド部に設けた係止溝と選択的にロックさせ、該ロック位置の中心と前記クランプ部の車体固定位置の中心とを同一線上に位置させ、かつ、前記本体の前後壁の外面の下端にバンド貫通穴の入口側に向かって下方傾斜するワイヤハーネス押当片を変位可能に突設し、さらに、前記バンド部は前記本体のバンド貫通穴の出口周縁との連続部分に屈曲部を設け、前記バンド部を巻き付けて保持するワイヤハーネスの外周面に、前記本体の下壁を密着させると共に、該下壁の左右両側に連続して前記ワイヤハーネス押当片および前記バンド部の屈曲部を前記ワイヤハーネスの外周面に密着させる構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス用バンドクランプに関し、特に、車体に配索したワイヤハーネスをバンドクランプを用いて車体パネルに係止した状態で、バンドクランプで保持されたワイヤハーネスの車体パネル面からの突出量を減少させ、幅狭な配索スペースにワイヤハーネスを無理なく配索できるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配線する電線群をワイヤハーネスとして結束すると共に、該結束したワイヤハーネスを車体パネル等に固定するため、バンドクランプが用いられている。
この種のバンドクランプは、特開平10−339309号公報等に開示されているように、車体パネルへの取付位置(所謂アンカー位置)とバンドにより保持したワイヤハーネスの中心位置とを偏心させたオフセットタイプとされる場合が多い。
【0003】
具体的には、図8(A)(B)に示すように、バンドクランプ100は、本体101のバンド貫通穴101aの一端開口の下端縁からバンド102を突設すると共に、本体101の上面からクランプ103を突設している。バンド102をワイヤハーネス110に巻き付けて前記バンド貫通穴101aの他端開口から挿通した後、バンド102を引っ張り、バンド貫通穴101aを囲む上壁から突設した弾性係止片101bの先端の係止爪101cをバンド102に設けた係止溝102aにロック係止してワイヤハーネス110を締結している。該ワイヤハーネス110を車体に配索し、バンドクランプ100のクランプ103を車体パネル50の取付穴51に挿入係止している。
【0004】
前記クランプ103は本体101の中心から突出しているため、車体パネルへクランプ103が固定されるアンカー中心P1は本体101の中心線上に位置する。
一方、バンド102の係止溝102aと係止する係止爪101cは、本体101の中心に位置せず、バンド貫通穴101aのバンド突設側に偏心している。該係止爪101cとバンド102の係止溝102aのロック中心P2の同一線上に、バンド102で保持されたワイヤハーネス110の中心Paが位置しないことになる。その結果、ワイヤハーネス110の中心Paおよびロック中心P2はクランプ103のアンカー中心P1と距離Xが離れたオフセット位置にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−339309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記オフセットタイプのバンドクランプでは、オフセット位置のロック位置にワイヤハーネスの荷重がかかり、図9に示すように、ワイヤハーネスは車体パネルから離れる方向に撓みやすくなる。特に、外径が大きい太物のワイヤハーネスはワイヤハーネス側に引っ張られる力が強くなり車体パネルから離れ易くなる。
このように、オフセットタイプのバンドクランプでは、車体パネル面からのワイヤハーネスの突出寸法が大となり、他部品と干渉しやすくなる。特に、車両に搭載する部品が急増し、ワイヤハーネスの配索スペースが急激に狭くなりつつあるため、車体パネル面からのワイヤハーネスの突出寸法をできるだけ減少できるクランプが求められている。
【0007】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、車体パネル面からのワイヤハーネスの突出量を出来るだけ小さくして、狭い配索スペースに無理なくワイヤハーネスを配索できるワイヤハーネス用バンドクランプを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の出口端縁から突出させるバンド部を備えた樹脂成形品からなるバンドクランプにおいて、
前記本体の上壁を前記クランプ部の皿部で形成し、該上壁と下壁および前後壁とで左右方向に貫通するバンド貫通穴を囲み、該バンド貫通穴に向けて前記下壁または上壁から係止突起を突設し、該係止突起を前記バンド部に設けた係止溝と選択的にロックさせ、該ロック位置の中心と前記クランプ部の車体固定位置の中心とを同一線上に位置させ、
かつ、前記本体の前後壁の外面の下端にバンド貫通穴の入口側に向かって下方傾斜するワイヤハーネス押当片を変位可能に突設し、さらに、前記バンド部は前記本体のバンド貫通穴の出口周縁との連続部分に屈曲部を設け、
前記バンド部を巻き付けて保持するワイヤハーネスの外周面に、前記本体の下壁を密着させると共に、該下壁の左右両側に連続して前記ワイヤハーネス押当片および前記バンド部の屈曲部を前記ワイヤハーネスの外周面に密着させる構成としているワイヤハーネス用バンドクランプを提供している。
【0009】
本発明では、ワイヤハーネスが車体パネル面より離れ易くなるオフセットタイプとせず、クランプ部の車体係止位置(アンカー位置)の中心と、バンドのロック位置とを一致させたセンタリングタイプとし、これにより、車体パネル面からワイヤハーネスが離れる方向に変形しにくくして、ワイヤハーネスの突出寸法が大きくならないようにしている。
かつ、本体の上壁はクランプ部の皿部と兼用することで本体の上壁を無くし、該上壁の厚み分だけ車体パネル面からのワイヤハーネスの突出寸法を低減している。
【0010】
バンド部を巻き付けて保持したワイヤハーネスを、本体の下壁および該下壁を挟む両側のワイヤハーネス押当片およびバンド部の屈曲部に安定した状態で密着させ、本体の中心とワイヤハーネスの中心とのセンタリング状態を保持し、車体パネルからのワイヤハーネスの突出寸法が増大しないようにしている。
特に、前記ワイヤハーネス押当片を変形可能としているため、ワイヤハーネスの外径が相違しても、ワイヤハーネスの外周面に押し当てられるように変形させることができる。よって、ワイヤハーネスが小径の場合および大径の場合のいずれの場合も、本体の下壁にワイヤハーネスの外周面を接触させて保持でき、ワイヤハーネスとバンド部との間の隙間を発生させず、ワイヤハーネスの車体パネルからの突出寸法を低減することができる。
【0011】
前記本体の前後壁の外面に突設する前記ワイヤハーネス押当片は、傾斜させた先端側から前記前後壁との間にスリットを設け、ワイヤハーネスの外径に対応してワイヤハーネス押当片が変位する一方、
前記バンド部の屈曲部の内面側にワイヤハーネスの外周面に押し当てるリブを突設し、 前記本体の下壁、前記ワイヤハーネス押当片、および前記バンド部の屈曲部のリブを前記バンド部を巻き付けるワイヤハーネスの外周面に押し当てて密着させる構成とすることが好ましい。
【0012】
より詳細には、前記ワイヤハーネス押当片はL形状とし、L字の縦軸部は本体外面に連続させ、横軸部は先端側に傾斜させ、本体外面との間に前記スリットを設けることが好ましい。
このように、本体の下壁と、該下壁を挟む左右両側をワイヤハーネスの外周面に食い込むように押し当て、しかも、アンカー位置とバンド部のロック位置とワイヤハーネスの中心位置とをセンタリングしているため、ワイヤハーネスはバンド部でしっかりと保持され、車体パネル面から離れる方向に位置ずれが生じるのを防止できる。その結果、ワイヤハーネスが外部干渉材と接触して損傷を受ける恐れを無くすことができる。
【0013】
前記本体の下壁の上面に前記係止突起を設け、バンド貫通穴に挿通するバンド部の下面に係止溝が位置する構成とすることが好ましい。
【0014】
前記構成とすると、本体の下壁がワイヤハーネスの荷重で車体パネル側の上壁から離れる方向に撓んでも、バンド部をロックする係止突起を本体の下壁から突設しているため、バンドの係止溝と係止突起との係止が外れることはなくロック信頼性を高めることができる。
【0015】
前記クランプ部の皿部は車体パネルの表面側に押し当てられ、車体パネルの厚さの寸法差を吸収するものである。該皿部は長円または円形とし、その平坦な中央底部を本体の上壁としている。該本体の上壁となる中央底部の周縁からは薄肉とした突出部を設け、該突出部は可撓性を有するものとして、車体パネルの表面に押し当てている。
【0016】
前記クランプ部は、例えば、前記皿部の表面から突出する前後一対の支柱部と、該支柱部の先端を連結する架橋部と、架橋部の左右両側から突出する一対の係止羽根部と、これら係止羽根部の下側外面に設けた係止段部を備えた形状とし、係止段部を車体パネルの係止穴の周縁に係止するものとしている。
【発明の効果】
【0017】
前記構成からなる本発明のワイヤハーネス用バンドクランプでは、クランプ部の車体パネルへの取付位置の中心(アンカー中心)と、ワイヤハーネスに巻き付けたバンドのロック位置とを一致させ、ワイヤハーネスの中心位置をクランプ中心位置および車体パネルへのアンカー中心位置とセンタリングさせているため、ワイヤハーネスの中心位置がずれて車体パネル表面から寸法が離れる方向へ変形しにくくでき、かつ、本体の上壁をクランプ部の皿部と併用することで車体パネル面からの距離を減少できる。
特に、バンド部で保持されるワイヤハーネスの外周面に本体の底壁を当接させ、該底壁当接部の両側でワイヤハーネス押当片とバンド部の屈曲部をワイヤハーネスの外周面に押し当てているため、ワイヤハーネスとバンド部との間に隙間を発生させず、この点からも車体パネル面からのワイヤハーネスの突出量を低減できる。
かつ、前記ワイヤハーネス押当片はワイヤハーネスの外径に応じて変形可能としているため、ワイヤハーネスの外周面に密着させることができ、ワイヤハーネスの外径が相違してもワイヤハーネスとバンド部との間に隙間を発生させず、ワイヤハーネスの車体パネル面からの突出量を常に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態のバンドクランプを示し、(A)は斜視図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図2】図1(B)の要部拡大図である。
【図3】ワイヤハーネス押当片を示し、(A)はバンドクランプの本体の底面図、(B)は(A)の要部拡大図である。
【図4】バンドクランプのバンドでワイヤハーネスを保持したロック状態を示す断面図である。
【図5】(A)は大径のワイヤハーネスをバンドクランプで保持する状態を示す図、(B)は要部拡大図である。
【図6】小径のワイヤハーネスをバンドクランプで保持する場合を示す図面である。
【図7】(A)(B)は変形例を示す図面である。
【図8】(A)(B)は従来例を示す図面である。
【図9】(A)(B)は従来の問題点を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態のワイヤハーネス用バンドクランプを図面を参照して説明する。図1乃至図6に第一実施形態を示す。
図1に示すように、バンドクランプ1は、略ボックス状の本体2と、該本体2の図中上面から突出する車体係止用のクランプ部3と、前記本体2に図中左右方向に貫通して設けたバンド貫通穴4の一側開口の下端縁から突出するバンド部5を一体的に設けた樹脂成形品からなる。前記バンド部5の突出側となるバンド貫通穴4の一側開口が出口4aとなり、対向する他側開口が入口4bとなる。
【0020】
前記本体2は上壁2a、下壁2b、前後壁2c、2dとで左右方向のバンド貫通穴4を囲み、左右両側が前記バンド貫通穴4の出入口4a、4bとなる。
前記上壁2aは前記クランプ部3を構成する浅底の略長円形状の皿部3aの平坦な中央底壁部と併用している。即ち、皿部3aを本体2の上壁2aとして用い、本体2の上壁を別に形成した場合と比較して上下厚さを約1mm減少している。
【0021】
本体2の下壁2bからバンド貫通穴4に向けて係止突起6を突設している。該係止突起6はバンド貫通穴4の中心位置に設け、本体2の上壁2aから突設するクランプ部3の車体係止位置の中心P1(アンカー位置)と一致させている。該係止突起6はバンド部5に設ける係止溝5aに突出端が挿入係止できる形状としている。該係止突起6の突出端と上壁2aの下面との寸法はバンド部5の肉厚と略同等とし、本体2の上下高さを出来るだけ小さくしている。
【0022】
また、図1(C)、図2、図3に示すように、本体2の前後壁2c、2dの外面の下端にL形状に突出したワイヤハーネス押当片10(10A、10B)を設けている。該ワイヤハーネス押当片10の横軸部10aをバンド貫通穴4の入口4b側に向かって下方傾斜させ、該横軸部10aと本体外面との間に突出側先端からスリット11を入れている。一方、ワイヤハーネス押当片10の縦軸部10bは本体外面と連続させ、該縦軸部10bを支持点として横軸部10aを変形可能としている。
【0023】
これにより、図5に示すように、ワイヤハーネス60の外径が大きい場合にはワイヤハーネス押当片10の横軸部10aは上向きに変形して、大径のワイヤハーネス60の外周面に密着するようにしている。一方、図6に示すように、ワイヤハーネス60の外径が小さい場合には、ワイヤハーネス押当片10の横軸部10aは変形せずに、小径のワイヤハーネス60の外周面に密着するようにしている。
【0024】
前記クランプ部3は、浅底の長円形状とした前記皿部3aと、該皿部3aの表面から突出する前後一対の支柱部3c、3cと、該支柱部3c、3cの突出端を連結する架橋部3dと、該架橋部3dの左右両側から折り返し状に突出する左右一対の係止羽根部3b、3bを備え、係止羽根部3b、3bの下側外面に係止段部3e、3eを設けた形状としている。該クランプ部3を図5(A)に示すように車体パネル50の取付穴51に架橋部3dから挿入し、係止段部3e、3eを取付穴51の裏面側の周縁に係止してクランプ部3を車体パネル50に固定している。
【0025】
前記のようにクランプ部3を車体パネル50に取り付けた状態で、皿部3aの周縁を車体パネル50の表面に押し当てて、車体パネル50の厚さ寸法差を吸収するものとしている。
よって、本体上壁2aとなる皿部の中央底壁部を囲む外周部は薄肉な可撓性を有するものとしている。
【0026】
前記バンド部5は、本体2のバンド貫通穴4の出口4aを囲む下端縁に屈曲部5bを連続させ、該屈曲部5bに帯部5cを連続させている。該帯部5cにはワイヤハーネス60への巻付状態で内周面となる一面5c−1に前記係止溝5aを連続して設けている。これにより、帯部5cを本体2のバンド貫通穴4へ入口4bから挿入すると、前記係止突起6と対向する下面に係止溝5aが位置するようにしている。
なお、本体の上壁側に係止突起を設けている従来例では、バンド部に設ける係止溝は本発明と反対面に設けられることになる。
【0027】
バンド部5の前記屈曲部5bは前記ワイヤハーネス押当片10とで本体の下壁2bを挟む位置にある。このバンド部5の屈曲部5bと下壁2bとワイヤハーネス押当片10で連続した円弧を形成し、この円弧をバンド部5で保持されるワイヤハーネス60の外周面に安定した状態で密着させるようにしている。
かつ、バンド部5の屈曲部5bのワイヤハーネス接触面側には複数本の押当用リブ5dを突設し、該押当用リブ5dがワイヤハーネス60の外周面に食い込むようにしている。
【0028】
本発明の前記バンドクランプ1は、図4に示すように、ワイヤハーネス60を構成する多数本の電線にバンド部5を巻き付け、本体2のバンド貫通穴4に入口4bから挿入して出口4aへと貫通させて引き出し、多数本の電線を強く結束した位置で引き出しを停止し、バンド部5の係止溝5aに係止突起6をロック係止してバンドクランプ1にワイヤハーネス60を取り付けている。取付後は、従来例と同様にバンド貫通穴4から引き出されたバンド部5の余剰部分を専用工具等で切断している。
【0029】
前記のように、バンドクランプ1をワイヤハーネス60に取り付けた状態で、バンド部5の係止溝5aと本体2の係止突起6とのロック位置の中心P2は、本体2の中心に位置し、バンド部5で支持されたワイヤハーネス60の断面中心位置Paは前記ロック位置の中心P2と同一線上に位置する。
また、バンド部5が巻き付けられて保持されたワイヤハーネス60の本体側の外周面には、ワイヤハーネス押当片10、本体2の下壁2b、バンド部5の屈曲部5bが連続的な円弧面として押し当てられる。かつ、この円弧面の中心に、ロック中心P2との同一線が位置している。
【0030】
前記のようにバンドクランプ1を取り付けたワイヤハーネス60を自動車に配索し、バンドクランプ1のクランプ部3を車体パネル50に穿設した取付穴51に挿入係止する。この状態で、クランプ部3の取付位置の中心P1(アンカー中心位置)は本体2の中心位置と同一線上に位置する。
【0031】
これにより、バンドクランプ1の車体へのアンカー中心位置P1とバンド部5のロック中心位置P2およびワイヤハーネス中心位置Paは同一線上に位置し、オフセットタイプではなく、センタリングタイプとなる。よって、ワイヤハーネス60の荷重およびワイヤハーネス60に負荷される引張力はアンカー中心位置P1に作用し、バンド部5に支持されたワイヤハーネス60はロック位置から位置ずれすることなく強固に保持される。
かつ、バンド部5を巻き付けて保持したワイヤハーネス60の外周面に、本体2の下壁2b、該下壁2bを挟む両側のワイヤハーネス押当片10およびバンド部5の屈曲部5bからなる連続した円弧面を安定した状態で密着させ、本体2の下壁側にワイヤハーネス60を隙間なく密着させることができ、この点からもワイヤハーネス60の車体パネル50からの突出寸法Hを低減できる。
【0032】
前記のように、オフセットタイプではなくセンタリングタイプとし、かつ、ワイヤハーネス外周面に本体2との間に隙間が生じないようにし、さらに、本体2の上壁2aはクランプ部3の皿部3aと併用して本体2の車体パネル50からの突出寸法も低減している。これらの複数の要因により、車体パネル50からのワイヤハーネス60の突出寸法Hを低減し、狭い配索スペースにもワイヤハーネス60の配索を可能とし、かつ、ワイヤハーネスが外部干渉材と接触して損傷が生じないようにしている。
【0033】
本発明のバンドクランプは前記実施形態に限定されず、図7(A)に示すように、本体2のバンド貫通穴4に突設する係止突起6は上壁2aから下向きに突設してもよい。
また、皿部3aの形状は車体パネル50に穿設する取付穴51の形状に対応させ、取付穴51が円形の場合は皿部3aも浅底の円形とし、該円形の中心底部を本体上壁として用いている。
さらに、図7(B)に示すように、クランプ部3は皿部3aの中心から突出する1本の支柱部3cを突設し、該支柱部3cの突出端から両側に折り返し状に一対の係止羽根部3bを設け、該係止羽根部3bの下端に係止段部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 バンドクランプ
2 本体
3 クランプ部
4 バンド貫通穴
5 バンド部
5a 係止溝
5b 屈曲部
5d ワイヤハーネス押当用リブ
6 係止突起
10 ワイヤハーネス押当片
11 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボックス状の本体と、該本体の外面から突出する車体係止用のクランプ部と、前記本体に設けたバンド貫通穴の出口端縁から突出させるバンド部を備えた樹脂成形品からなるバンドクランプにおいて、
前記本体の上壁を前記クランプ部の皿部で形成し、該上壁と下壁および前後壁とで左右方向に貫通するバンド貫通穴を囲み、該バンド貫通穴に向けて前記下壁または上壁から係止突起を突設し、該係止突起を前記バンド部に設けた係止溝と選択的にロックさせ、該ロック位置の中心と前記クランプ部の車体固定位置の中心とを同一線上に位置させ、
かつ、前記本体の前後壁の外面の下端にバンド貫通穴の入口側に向かって下方傾斜するワイヤハーネス押当片を変位可能に突設し、さらに、前記バンド部は前記本体のバンド貫通穴の出口周縁との連続部分に屈曲部を設け、
前記バンド部を巻き付けて保持するワイヤハーネスの外周面に、前記本体の下壁を密着させると共に、該下壁の左右両側に連続して前記ワイヤハーネス押当片および前記バンド部の屈曲部を前記ワイヤハーネスの外周面に密着させる構成としているワイヤハーネス用バンドクランプ
【請求項2】
前記本体の前後壁の外面に突設する前記ワイヤハーネス押当片は、傾斜させた先端側から前記前後壁との間にスリットを設け、ワイヤハーネスの外径に対応してワイヤハーネス押当片が変位可能とする一方、
前記バンド部の屈曲部の内面側にワイヤハーネスの外周面に押し当てるリブを突設し、 前記本体の下壁、前記ワイヤハーネス押当片、および前記バンド部の屈曲部のリブを前記バンド部を巻き付けるワイヤハーネスの外周面に押し当てて密着させる構成としている請求項1に記載のワイヤハーネス用バンドクランプ。
【請求項3】
前記本体の下壁の上面に前記係止突起を設けている請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用バンドクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−143105(P2012−143105A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−708(P2011−708)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】