ワイヤ位置検出方法及びその装置
【課題】 低コストな装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出することができ、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることのできるワイヤ位置検出方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向に移動することにより、シート状部材300の表面におけるワイヤ301による前記磁気の変化を検出し、電磁ピックアップセンサ130から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁ピックアップセンサ130の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁ピックアップセンサ130の位置に基づいてシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置をそれぞれ検出する。
【解決手段】 電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向に移動することにより、シート状部材300の表面におけるワイヤ301による前記磁気の変化を検出し、電磁ピックアップセンサ130から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁ピックアップセンサ130の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁ピックアップセンサ130の位置に基づいてシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置をそれぞれ検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタイヤの製造工程において、複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのカーカス材、ベルト材等、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材は、ワイヤの長手方向に対して90度や20〜30度等の所定角度に切断しているが、仕様通りの角度に切断できていない場合があり、シート状部材の切断角度が要求精度を満たすか否かを検査する必要がある。
【0003】
このため、従来は、シート状部材の切断面の長さ及び幅の長さをそれぞれ測定してワイヤの切断角度を求めていた。しかし、シート状部材の幅方向両端部にはいわゆる耳ゴムが形成され、また、この耳ゴムの量(長さ)は一定ではないため、耳ゴムを含むシート状部材の幅方向両側端の長さを測定しても、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に測定しているとは言えなかった。
【0004】
この問題を解決するため、シート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出して、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを求める方法が考えられる。
【0005】
従来、この種のワイヤ位置検出装置として、ゴム引きスチールコードからなるタイヤ用帯状部材を隣接する2本のスチールコードの中間で切断するための装置において、帯状部材の切断台上方に帯状部材のスチールコードと平行に走行する移動台を設け、この移動台に左右一対のセンサ支持台を設けて、左右のセンサ支持台に帯状部材のスチールコードを検出するための磁気センサをそれぞれ取付け、制御装置によって左右の磁気センサをスチールコードの真上に変位させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平03−251440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に開示される従来の装置では、左右の磁気センサが隣接する2本のスチールコードを正確に検出するために、左右の磁気センサ及び制御装置として専用の検出精度、分解能、信号処理機能等を有するものが必要となり、市販のセンサ等をそのまま用いることができず、検出装置の製造、開発費用が高くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、低コストな装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出することができ、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることのできるワイヤ位置検出方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法において、磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器をシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化を検出するとともに、電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法を提案する。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出装置において、磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器と、該電磁検出器の位置を検出する位置検出手段と、前記電磁検出器を前記シート状部材の幅方向に移動する移動手段とを備え、電磁検出器が前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化を検出するとともに、該電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するように構成したワイヤ位置検出装置を提案する。
【0010】
本発明によれば、磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器がシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化が検出されるとともに、電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置がそれぞれ検出されることから、例えば市販の電磁ピックアップセンサと通常の整流回路及び平滑回路を用いた低コストな装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出することができ、この検出位置間の距離を算出することにより、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば市販の電磁ピックアップセンサと通常の整流回路及び平滑回路を用いた安価な装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出することができ、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を算出することにより、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることができるので、例えばタイヤのカーカス材、ベルト材等のシート状部材を所定角度に切断する際に、耳ゴムを含むシート状部材の切断角度を正確に求めることができ、切断角度が要求精度を満たすか否かを的確に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至図11は本発明の一実施形態を示すもので、図1は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置を示す正面図、図2は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置を示す平面図、図3は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の電気系回路を示すブロック図、図4及び図5は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図、図6乃至図8は本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図、図9及び図10は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図、図11は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【0013】
図において、1はワイヤ位置検出装置で、検出機構部100と周知のコンピュータからなる制御装置200とから構成されている。検出機構部100は、所定の間隔をあけて垂直に立設された一対の支持板101,102と、支持板101,102によって回動自在に支持された水平に延びるボールネジ103とガイド軸104とを備えている。
【0014】
ボールネジ103の一端部には、検出装置120が支持部121によってガイド軸104に支持されながら、ボールネジ103の回転によって水平方向に移動可能に装着されている。
【0015】
また、ボールネジ103にはプーリ105が固定され、このプーリ105と駆動部110のモータ114の回転軸111に固定されたプーリ112との間にベルト106が掛け渡され、検出装置120が移動できるようになっている。
【0016】
また、検出時において、図1及び図2に示すように、一対の支持板101,102の間にコンベヤ等の搬送装置400によって搬送されてきたシート状部材300が配置される。ここでは、ボールネジ103の軸方向がシート状部材300の幅方向になるようにシート状部材300が配置される。
【0017】
本実施形態では、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤ301にゴム部材302をコーティングしてなるシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置e1,e2をそれぞれ検出する。
【0018】
また、検出装置120には、車輪の回転計等に用いられる市販の電磁ピックアップセンサ130と光学式センサ150とが設けられている。
【0019】
電磁ピックアップセンサ130は、シート状部材300の表面における垂直方向に延びる磁性体131と、磁性体131に巻回されたコイル及び磁性体131の一部分を覆うコイルユニット132とから構成されている。本実施形態では、磁性体131として永久磁石を用いて磁気を発生している。また、電磁ピックアップセンサ130は、検出装置120の底面の移動方向の中央に設けられた設置部122によって支持され、図1に示すように、コイルユニット132から突出した磁性体131の一端131aがシート状部材300の表面との間に微小な間隙G1を有するように配置されるとともに、検出装置120がこの間隙G1を保ちながら移動するようになっている。
【0020】
検出装置120に内蔵される光学式センサ150は、レーザ光射出器151と受光器152とから構成され、レーザ光射出器151が検出装置120の底面に形成された開口部123からシート状部材300の表面における垂直方向にレーザ光を射出し、受光器152が搬送装置400上に設ける図示しない反射鏡等によって反射されたレーザ光を受光するように配置されている。
【0021】
さらに、非遮光時において受光器152が受光するレーザ光の検出装置120の移動方向における幅L1は、電磁ピックアップセンサ130の検出装置120の移動方向における幅以上に設定され、幅L1の中央は検出装置120における移動方向の中央と一致している。なお、光学式センサ150はレーザ光射出器151と受光器152とを備える、いわゆる一体型に限定されず、例えば分離型のように光学式センサ150が受光器152のみを備え、シート状部材300を挟んで光学式センサ150と対向する位置にレーザ光射出器151を配置し、検出装置120とともに移動するようにしてもよい。
【0022】
なお、図1に示すように、検出開始時において検出装置120は、検出装置120における移動方向の中央、すなわち電磁ピックアップセンサ130の位置を基準位置として、この基準位置Pnがボールネジ103の左端部の開始位置Psと一致するように配置される。この開始位置Psは、受光器152が受光する受光量が非遮光時における全光量となるように設定されている。また、検出終了時において検出装置120は、基準位置Pnがボールネジ103の右端部の終了位置Peと一致するように移動される。この終了位置Peは、受光器152が受光する受光量が非遮光時における全光量となるように設定されている。
【0023】
本実施形態におけるワイヤ位置装置1の電気系回路は図3に示すとおりである。すなわちワイヤ位置装置1の電気系回路は、制御装置200と、駆動部110と、コイルユニット132と、全波整流回路141と、平滑回路142と、光学式センサ150と、警報器160とを接続することによって構成されている。
【0024】
駆動部110は、パルスジェネレータ113とモータ114を備え、制御装置200からの駆動制御によってモータ114が回転される。さらに、モータ114の回転に同期してパルスジェネレータ113から制御装置200にパルス信号を出力する。これにより、制御装置200では、パルスジェネレータ113から出力されるパルス信号におけるパルス数を計数することによりモータ114の回転数を取得でき、これによってボールネジ103の回転数、さらには検出装置120の位置Pnを検出することができる。
【0025】
コイルユニット132は、コイルの端子間に発生する磁束密度に対応した電圧信号を制御装置200の全波整流回路141に出力し、全波整流回路141がこの電圧信号を全波整流し、平滑回路142が整流後の電圧信号を平滑化して中央制御部201に出力する。
【0026】
光学式センサ150は、前述したようにレーザ光射出器151と受光器152とを備え、レーザ光射出器151から射出されたレーザ光を受光器152が受光し、受光したレーザ光の光量の値をディジタルデータとして制御装置200の中央制御部201に出力する。
【0027】
警報器160は、制御装置200からの警報制御によって駆動され、音声、光線などの警報を出力する。
【0028】
制御装置200は、中央制御部201と、記憶部202、警報制御部203、モータコントローラ204を備えている。
【0029】
中央制御部201は、記憶部202に記憶された動作プログラムに基づいて、検出時においては、モータコントローラ204に対してモータ114の制御指示を出力するとともに、パルスジェネレータ113から出力されたパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出し、この位置情報と全波整流回路141及び平滑回路142を介してコイルユニット132から出力された電圧信号とに基づいて、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置e1,e2をそれぞれ検出するとともに、各位置e1,e2間の距離を算出し、この算出結果を予め記憶部202に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120を停止させ警報制御部203を介して警報器160から警報を出力する。
【0030】
また、中央制御部201は、検出装置120の位置情報及び受光器152から出力されたレーザ光の受光量に基づいて、シート状部材300の両側端の位置E1,E2をそれぞれ検出するとともに、各位置E1,E2間の距離を算出し、この算出結果を予め記憶部202に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120を停止させ警報制御部203を介して警報器160から警報を出力する。
【0031】
さらに、中央制御部201は、検出したシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置e1,e2の位置情報及びシート状部材300の両側端の位置E1,E2の位置情報から、シート状部材300の両側端部におけるゴム量(以下、耳ゴム量(長さ)という)をそれぞれ算出し、この算出結果を予め記憶部202に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120を停止させ警報制御部203を介して警報器160から警報を出力する。
【0032】
なお、記憶部202の動作プログラムには、パルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス間における検出装置120の移動距離が予め設定されているので、この距離にパルス数を乗算することにより距離を算出することができる。
【0033】
次に、本実施形態におけるワイヤ位置検出装置1の動作の詳細を図3乃至図10に示す動作説明図及び図11に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
ワイヤ位置検出装置1が駆動されると、光学式センサ150のレーザ光射出器151からレーザ光が射出されるとともに、制御装置200の中央制御部201によって初期設定が行われる(S1)。
【0035】
この初期設定では、図4に示すように、中央制御部201はモータコントローラ204を介してモータ114を駆動し、検出装置120をボールネジ103の左端部に移動させて、基準位置Pnがボールネジ103の開始位置Psに一致するように移動させる。さらに、中央制御部201は光学式センサ150から出力される受光器152によるレーザ光の受光量を総受光量として記憶部202に記憶する。
【0036】
次いで、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114を駆動し、検出装置120をボールネジ103の右端部へ向けて移動させる(S2)。
【0037】
この後、中央制御部201は、光学式センサ150から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S3)。この割合は受光器152が受光するレーザ光における検出装置120の移動方向の幅の長さ及びこれに直交する方向の長さ等に基づいて適宜設定することが望ましい。本実施形態では、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2以下であるときに所定の割合であると判定している。
【0038】
この判定の結果、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2より大きいときは、1/2以下となるまで前記S3の処理を繰り返す。
【0039】
受光器152の受光量が1/2のとき、検出装置120の位置は図6に示すような位置となる。すなわち、非遮光時に受光器152が受光する幅L1のレーザ光の1/2がシート状部材300の左側端部によって遮光され、受光器152は幅L2のレーザ光を受光する(L2=L1/2)とともに、検出装置120の基準位置Pnがシート状部材300の左側端位置と一致する。このとき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S4)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の左側端位置P1として記憶部202に記憶する(S5)。
【0040】
次いで、中央制御部201は、全波整流回路141及び平滑回路142を介してコイルユニット132から出力される電圧信号に基づいて、シート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置を検出したか否かを判定する(S6)。
【0041】
ここで、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置を検出する原理について説明する。
【0042】
図6に示すように、検出装置120とともに移動する電磁ピックアップセンサ130の下にワイヤ301がないとき、磁性体131から発生する磁気が変化しないため、コイルユニット132内のコイルには電圧が発生していない。
【0043】
また、図7に示すように、検出装置120とともに移動する電磁ピックアップセンサ130の下にワイヤ301があるとき、すなわち磁性体131の一端131aから微小な間隙G2だけ離れた位置にワイヤ301があるとき、磁性体であるワイヤ301によって磁束密度が変化し、コイルユニット132内のコイルに電圧(起電力)が生ずる。この状態から電磁ピックアップ130を移動させ、再び電磁ピックアップセンサ130の下にワイヤ301がないときには、コイルユニット132内のコイルに逆向きの電圧(起電力)が生ずる。なお、ワイヤ径=1〜1.2mm、ワイヤ301から表面までのゴム部材302の厚さ=0.5mmの場合、間隙G2は0.5〜1.0mm程度に設定されていることが好ましい。
【0044】
これにより、検出装置120とともに移動する電磁ピックアップセンサ130のコイルユニット132から、図8(a)に示すような電圧信号が出力される。すなわち、電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間を移動しているとき、コイル132内のコイルには所定の交流電圧が発生する。なお、この交流電圧は、間隙G2、電磁ピックアップセンサ130の移動速度を独立変数とする関数によって定められる。
【0045】
コイルユニット132から出力される電圧信号を全波整流回路141によって全波整流すると図8(b)に示すような電圧信号が得られ、さらにこれを平滑回路142によって平滑化すると図8(c)に示すような電圧信号が得られる。すなわち、電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間を移動しているとき、平滑回路142から所定の直流電圧(以下、しきい値電圧(Vs)とする)が出力される。なお、本実施形態において、全波整流回路141及び平滑回路142を用いて交流電圧から直流電圧を得るようにしたが、これに限定されず、他の種類や他の電気回路を用いるようにしてもよい。
【0046】
従って、中央制御部201は、平滑回路142から出力される電圧信号がしきい値電圧Vsになったとき、及びしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)ときの検出装置120の基準位置Pnから、シート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置P2及び幅方向右端のワイヤ301の位置P3を検出することができる。
【0047】
この判定の結果、シート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置を検出しないときは、検出するまで前記S6の処理を繰り返す。
【0048】
中央制御部201がシート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置を検出したとき、すなわち、平滑回路142から出力される電圧信号が予め記憶部202に記憶したしきい値電圧Vsになったとき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S7)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置P2として記憶部202に記憶する(S8)。
【0049】
次いで、中央制御部201は、次式(1)によってシート状部材300の左側端部における耳ゴム量(長さ)Q1を算出する(S9)。
【0050】
Q1=P2−P1 …(1)
さらに、中央制御部201は、これを予め記憶部202に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q1が規格範囲内であるか否かを判定する(S10)。
【0051】
この判定の結果、耳ゴム量Q1が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の耳ゴム量Q1を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0052】
耳ゴム量Q1が規格範囲内であるとき、中央制御部201は、全波整流回路141及び平滑回路142を介してコイルユニット132から出力される電圧信号に基づいて、シート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置を検出したか否かを判定する(S13)。
【0053】
この判定の結果、シート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置を検出しないとき、検出するまで前記S13の処理を繰り返す。
【0054】
シート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置を検出したとき、すなわち、平滑回路142から出力される電圧信号が予め記憶部202に記憶したしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)とき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S14)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置P3として記憶部202に記憶する(S15)。
【0055】
次いで、中央制御部201は、次式(2)によってシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離L3を算出する(S16)。
【0056】
L3=P3−P2 …(2)
さらに、中央制御部201は、これを予め記憶部202に記憶したシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離における規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L3が規格範囲内であるか否かを判定する(S17)。
【0057】
この判定の結果、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離L3が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の距離L3を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0058】
シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離L3が規格範囲内であるとき、中央制御部201は、光学式センサ150から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S18)。なお、本実施形態では、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2以上であるときに所定の割合であると判定している。
【0059】
この判定の結果、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2未満であるときは、1/2以上となるまで前記S18の処理を繰り返す。
【0060】
受光器152の受光量が1/2であるとき、検出装置120の位置は図9に示すような位置となる。すなわち、非遮光時に受光器152が受光する幅L1のレーザ光の1/2がシート状部材300の右側端によって遮光され、受光器152は幅L4のレーザ光を受光する(L4=L1/2)とともに、検出装置120の基準位置Pnがシート状部材300の右側端位置と一致する。このとき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S19)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の右側端位置P4として記憶部202に記憶する(S20)。
【0061】
この後、中央制御部201は、次式(3),(4)によって、シート状部材300の右側端部における耳ゴム量(長さ)Q2及びシート状部材300の両側端間の距離L5を算出する(S21,S22)。
【0062】
Q2=P4−P3 …(3)
L5=P4−P1 …(4)
さらに、中央制御部201は、予め記憶部202に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q2が規格範囲内であるか否かを判定する(S23)。
【0063】
この判定の結果、耳ゴム量Q2が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の耳ゴム量Q2を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0064】
耳ゴム量Q2が規格範囲内であるとき、中央制御部201は、予め記憶部202に記憶したシート状部材300の両側端間の距離の規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L5が規格範囲内であるか否かを判定する(S24)。
【0065】
この判定の結果、シート状部材300の両側端間の距離L5が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の距離L5を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0066】
シート状部材300の両側端間の距離L5が規格範囲内であるとき、図10に示すように、中央制御部201は、基準位置Pnがボールネジ103の終了位置Peに一致するまで検出装置120を移動させ、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止する(S25)。
【0067】
前述したワイヤ位置検出装置1によれば、磁性体131と該磁性体131に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向に移動することにより、シート状部材300の表面におけるワイヤ301による前記磁気の変化を検出するとともに、電磁ピックアップセンサ130から出力される電圧信号を整流回路141によって整流して平滑回路142によって平滑化し、平滑化した電圧信号がしきい値電圧Vsになったときの電磁ピックアップセンサ130の位置と、平滑化した電圧信号がしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)ときの電磁ピックアップセンサ130の位置に基づいてシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置P2,P3をそれぞれ検出するようにしたので、市販の電磁ピックアップセンサ130と通常の全波整流回路141及び平滑回路142を用いた低コストな装置でシート状部材300の幅方向両端のワイヤの位置P2,P3を検出することができ、中央制御部201がこの検出位置間の距離L3を算出することにより、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることができるとともに、例えばタイヤのカーカス材、ベルト材等のシート状部材を所定角度に切断する際に、耳ゴムを含むシート状部材300の切断角度を正確に求めることができ、切断角度が要求精度を満たすか否かを的確に検査することができる。
【0068】
また、検出位置間の距離L3が予め記憶部202に記憶したシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離における規格範囲外の値であるとき、中央制御部201が、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力するようにしたので、規格範囲外の距離L3を算出したときに直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができ、規格範囲外のシート状部材300の流出を確実に防止することができる。
【0069】
なお、本発明の構成は上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置を示す正面図
【図2】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置材検出装置を示す平面図
【図3】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置材検出装置の電気系回路を示すブロック図
【図4】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図5】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図6】本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図7】本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図8】本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図9】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図10】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図11】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0071】
1…ワイヤ位置検出装置、100…検出機構部、101,102…支持板、103…ボールネジ、104…ガイド軸、105,112…プーリ、106…ベルト、110…駆動部、111…回転軸、113…パルスジェネレータ、114…モータ、120…検出装置、121…支持部、122…設置部、123…開口部、130…電磁ピックアップセンサ、131…磁性体、131a…一端、132…コイルユニット、141…全波整流回路、142…平滑回路、150…光学式センサ、151…レーザ光射出器、152…受光器、160…警報器、200…制御装置、201…中央制御部、202…記憶部、203…警報制御部、204…モータコントローラ、300…シート状部材、301…ワイヤ、302…ゴム部材、400…搬送装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタイヤの製造工程において、複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのカーカス材、ベルト材等、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材は、ワイヤの長手方向に対して90度や20〜30度等の所定角度に切断しているが、仕様通りの角度に切断できていない場合があり、シート状部材の切断角度が要求精度を満たすか否かを検査する必要がある。
【0003】
このため、従来は、シート状部材の切断面の長さ及び幅の長さをそれぞれ測定してワイヤの切断角度を求めていた。しかし、シート状部材の幅方向両端部にはいわゆる耳ゴムが形成され、また、この耳ゴムの量(長さ)は一定ではないため、耳ゴムを含むシート状部材の幅方向両側端の長さを測定しても、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に測定しているとは言えなかった。
【0004】
この問題を解決するため、シート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出して、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを求める方法が考えられる。
【0005】
従来、この種のワイヤ位置検出装置として、ゴム引きスチールコードからなるタイヤ用帯状部材を隣接する2本のスチールコードの中間で切断するための装置において、帯状部材の切断台上方に帯状部材のスチールコードと平行に走行する移動台を設け、この移動台に左右一対のセンサ支持台を設けて、左右のセンサ支持台に帯状部材のスチールコードを検出するための磁気センサをそれぞれ取付け、制御装置によって左右の磁気センサをスチールコードの真上に変位させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平03−251440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に開示される従来の装置では、左右の磁気センサが隣接する2本のスチールコードを正確に検出するために、左右の磁気センサ及び制御装置として専用の検出精度、分解能、信号処理機能等を有するものが必要となり、市販のセンサ等をそのまま用いることができず、検出装置の製造、開発費用が高くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は上記の問題点に鑑み、低コストな装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出することができ、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることのできるワイヤ位置検出方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法において、磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器をシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化を検出するとともに、電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法を提案する。
【0009】
また、本発明は前記目的を達成するために、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出装置において、磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器と、該電磁検出器の位置を検出する位置検出手段と、前記電磁検出器を前記シート状部材の幅方向に移動する移動手段とを備え、電磁検出器が前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化を検出するとともに、該電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するように構成したワイヤ位置検出装置を提案する。
【0010】
本発明によれば、磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器がシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化が検出されるとともに、電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置がそれぞれ検出されることから、例えば市販の電磁ピックアップセンサと通常の整流回路及び平滑回路を用いた低コストな装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出することができ、この検出位置間の距離を算出することにより、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば市販の電磁ピックアップセンサと通常の整流回路及び平滑回路を用いた安価な装置でシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出することができ、シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を算出することにより、シート状部材の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることができるので、例えばタイヤのカーカス材、ベルト材等のシート状部材を所定角度に切断する際に、耳ゴムを含むシート状部材の切断角度を正確に求めることができ、切断角度が要求精度を満たすか否かを的確に検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1乃至図11は本発明の一実施形態を示すもので、図1は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置を示す正面図、図2は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置を示す平面図、図3は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の電気系回路を示すブロック図、図4及び図5は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図、図6乃至図8は本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図、図9及び図10は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図、図11は本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【0013】
図において、1はワイヤ位置検出装置で、検出機構部100と周知のコンピュータからなる制御装置200とから構成されている。検出機構部100は、所定の間隔をあけて垂直に立設された一対の支持板101,102と、支持板101,102によって回動自在に支持された水平に延びるボールネジ103とガイド軸104とを備えている。
【0014】
ボールネジ103の一端部には、検出装置120が支持部121によってガイド軸104に支持されながら、ボールネジ103の回転によって水平方向に移動可能に装着されている。
【0015】
また、ボールネジ103にはプーリ105が固定され、このプーリ105と駆動部110のモータ114の回転軸111に固定されたプーリ112との間にベルト106が掛け渡され、検出装置120が移動できるようになっている。
【0016】
また、検出時において、図1及び図2に示すように、一対の支持板101,102の間にコンベヤ等の搬送装置400によって搬送されてきたシート状部材300が配置される。ここでは、ボールネジ103の軸方向がシート状部材300の幅方向になるようにシート状部材300が配置される。
【0017】
本実施形態では、互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤ301にゴム部材302をコーティングしてなるシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置e1,e2をそれぞれ検出する。
【0018】
また、検出装置120には、車輪の回転計等に用いられる市販の電磁ピックアップセンサ130と光学式センサ150とが設けられている。
【0019】
電磁ピックアップセンサ130は、シート状部材300の表面における垂直方向に延びる磁性体131と、磁性体131に巻回されたコイル及び磁性体131の一部分を覆うコイルユニット132とから構成されている。本実施形態では、磁性体131として永久磁石を用いて磁気を発生している。また、電磁ピックアップセンサ130は、検出装置120の底面の移動方向の中央に設けられた設置部122によって支持され、図1に示すように、コイルユニット132から突出した磁性体131の一端131aがシート状部材300の表面との間に微小な間隙G1を有するように配置されるとともに、検出装置120がこの間隙G1を保ちながら移動するようになっている。
【0020】
検出装置120に内蔵される光学式センサ150は、レーザ光射出器151と受光器152とから構成され、レーザ光射出器151が検出装置120の底面に形成された開口部123からシート状部材300の表面における垂直方向にレーザ光を射出し、受光器152が搬送装置400上に設ける図示しない反射鏡等によって反射されたレーザ光を受光するように配置されている。
【0021】
さらに、非遮光時において受光器152が受光するレーザ光の検出装置120の移動方向における幅L1は、電磁ピックアップセンサ130の検出装置120の移動方向における幅以上に設定され、幅L1の中央は検出装置120における移動方向の中央と一致している。なお、光学式センサ150はレーザ光射出器151と受光器152とを備える、いわゆる一体型に限定されず、例えば分離型のように光学式センサ150が受光器152のみを備え、シート状部材300を挟んで光学式センサ150と対向する位置にレーザ光射出器151を配置し、検出装置120とともに移動するようにしてもよい。
【0022】
なお、図1に示すように、検出開始時において検出装置120は、検出装置120における移動方向の中央、すなわち電磁ピックアップセンサ130の位置を基準位置として、この基準位置Pnがボールネジ103の左端部の開始位置Psと一致するように配置される。この開始位置Psは、受光器152が受光する受光量が非遮光時における全光量となるように設定されている。また、検出終了時において検出装置120は、基準位置Pnがボールネジ103の右端部の終了位置Peと一致するように移動される。この終了位置Peは、受光器152が受光する受光量が非遮光時における全光量となるように設定されている。
【0023】
本実施形態におけるワイヤ位置装置1の電気系回路は図3に示すとおりである。すなわちワイヤ位置装置1の電気系回路は、制御装置200と、駆動部110と、コイルユニット132と、全波整流回路141と、平滑回路142と、光学式センサ150と、警報器160とを接続することによって構成されている。
【0024】
駆動部110は、パルスジェネレータ113とモータ114を備え、制御装置200からの駆動制御によってモータ114が回転される。さらに、モータ114の回転に同期してパルスジェネレータ113から制御装置200にパルス信号を出力する。これにより、制御装置200では、パルスジェネレータ113から出力されるパルス信号におけるパルス数を計数することによりモータ114の回転数を取得でき、これによってボールネジ103の回転数、さらには検出装置120の位置Pnを検出することができる。
【0025】
コイルユニット132は、コイルの端子間に発生する磁束密度に対応した電圧信号を制御装置200の全波整流回路141に出力し、全波整流回路141がこの電圧信号を全波整流し、平滑回路142が整流後の電圧信号を平滑化して中央制御部201に出力する。
【0026】
光学式センサ150は、前述したようにレーザ光射出器151と受光器152とを備え、レーザ光射出器151から射出されたレーザ光を受光器152が受光し、受光したレーザ光の光量の値をディジタルデータとして制御装置200の中央制御部201に出力する。
【0027】
警報器160は、制御装置200からの警報制御によって駆動され、音声、光線などの警報を出力する。
【0028】
制御装置200は、中央制御部201と、記憶部202、警報制御部203、モータコントローラ204を備えている。
【0029】
中央制御部201は、記憶部202に記憶された動作プログラムに基づいて、検出時においては、モータコントローラ204に対してモータ114の制御指示を出力するとともに、パルスジェネレータ113から出力されたパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出し、この位置情報と全波整流回路141及び平滑回路142を介してコイルユニット132から出力された電圧信号とに基づいて、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置e1,e2をそれぞれ検出するとともに、各位置e1,e2間の距離を算出し、この算出結果を予め記憶部202に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120を停止させ警報制御部203を介して警報器160から警報を出力する。
【0030】
また、中央制御部201は、検出装置120の位置情報及び受光器152から出力されたレーザ光の受光量に基づいて、シート状部材300の両側端の位置E1,E2をそれぞれ検出するとともに、各位置E1,E2間の距離を算出し、この算出結果を予め記憶部202に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120を停止させ警報制御部203を介して警報器160から警報を出力する。
【0031】
さらに、中央制御部201は、検出したシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置e1,e2の位置情報及びシート状部材300の両側端の位置E1,E2の位置情報から、シート状部材300の両側端部におけるゴム量(以下、耳ゴム量(長さ)という)をそれぞれ算出し、この算出結果を予め記憶部202に記憶した所定の規格範囲の値と比較して規格範囲外であったときに、検出装置120を停止させ警報制御部203を介して警報器160から警報を出力する。
【0032】
なお、記憶部202の動作プログラムには、パルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス間における検出装置120の移動距離が予め設定されているので、この距離にパルス数を乗算することにより距離を算出することができる。
【0033】
次に、本実施形態におけるワイヤ位置検出装置1の動作の詳細を図3乃至図10に示す動作説明図及び図11に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
ワイヤ位置検出装置1が駆動されると、光学式センサ150のレーザ光射出器151からレーザ光が射出されるとともに、制御装置200の中央制御部201によって初期設定が行われる(S1)。
【0035】
この初期設定では、図4に示すように、中央制御部201はモータコントローラ204を介してモータ114を駆動し、検出装置120をボールネジ103の左端部に移動させて、基準位置Pnがボールネジ103の開始位置Psに一致するように移動させる。さらに、中央制御部201は光学式センサ150から出力される受光器152によるレーザ光の受光量を総受光量として記憶部202に記憶する。
【0036】
次いで、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114を駆動し、検出装置120をボールネジ103の右端部へ向けて移動させる(S2)。
【0037】
この後、中央制御部201は、光学式センサ150から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S3)。この割合は受光器152が受光するレーザ光における検出装置120の移動方向の幅の長さ及びこれに直交する方向の長さ等に基づいて適宜設定することが望ましい。本実施形態では、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2以下であるときに所定の割合であると判定している。
【0038】
この判定の結果、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2より大きいときは、1/2以下となるまで前記S3の処理を繰り返す。
【0039】
受光器152の受光量が1/2のとき、検出装置120の位置は図6に示すような位置となる。すなわち、非遮光時に受光器152が受光する幅L1のレーザ光の1/2がシート状部材300の左側端部によって遮光され、受光器152は幅L2のレーザ光を受光する(L2=L1/2)とともに、検出装置120の基準位置Pnがシート状部材300の左側端位置と一致する。このとき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S4)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の左側端位置P1として記憶部202に記憶する(S5)。
【0040】
次いで、中央制御部201は、全波整流回路141及び平滑回路142を介してコイルユニット132から出力される電圧信号に基づいて、シート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置を検出したか否かを判定する(S6)。
【0041】
ここで、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置を検出する原理について説明する。
【0042】
図6に示すように、検出装置120とともに移動する電磁ピックアップセンサ130の下にワイヤ301がないとき、磁性体131から発生する磁気が変化しないため、コイルユニット132内のコイルには電圧が発生していない。
【0043】
また、図7に示すように、検出装置120とともに移動する電磁ピックアップセンサ130の下にワイヤ301があるとき、すなわち磁性体131の一端131aから微小な間隙G2だけ離れた位置にワイヤ301があるとき、磁性体であるワイヤ301によって磁束密度が変化し、コイルユニット132内のコイルに電圧(起電力)が生ずる。この状態から電磁ピックアップ130を移動させ、再び電磁ピックアップセンサ130の下にワイヤ301がないときには、コイルユニット132内のコイルに逆向きの電圧(起電力)が生ずる。なお、ワイヤ径=1〜1.2mm、ワイヤ301から表面までのゴム部材302の厚さ=0.5mmの場合、間隙G2は0.5〜1.0mm程度に設定されていることが好ましい。
【0044】
これにより、検出装置120とともに移動する電磁ピックアップセンサ130のコイルユニット132から、図8(a)に示すような電圧信号が出力される。すなわち、電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間を移動しているとき、コイル132内のコイルには所定の交流電圧が発生する。なお、この交流電圧は、間隙G2、電磁ピックアップセンサ130の移動速度を独立変数とする関数によって定められる。
【0045】
コイルユニット132から出力される電圧信号を全波整流回路141によって全波整流すると図8(b)に示すような電圧信号が得られ、さらにこれを平滑回路142によって平滑化すると図8(c)に示すような電圧信号が得られる。すなわち、電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間を移動しているとき、平滑回路142から所定の直流電圧(以下、しきい値電圧(Vs)とする)が出力される。なお、本実施形態において、全波整流回路141及び平滑回路142を用いて交流電圧から直流電圧を得るようにしたが、これに限定されず、他の種類や他の電気回路を用いるようにしてもよい。
【0046】
従って、中央制御部201は、平滑回路142から出力される電圧信号がしきい値電圧Vsになったとき、及びしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)ときの検出装置120の基準位置Pnから、シート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置P2及び幅方向右端のワイヤ301の位置P3を検出することができる。
【0047】
この判定の結果、シート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置を検出しないときは、検出するまで前記S6の処理を繰り返す。
【0048】
中央制御部201がシート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置を検出したとき、すなわち、平滑回路142から出力される電圧信号が予め記憶部202に記憶したしきい値電圧Vsになったとき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S7)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の幅方向左端のワイヤ301の位置P2として記憶部202に記憶する(S8)。
【0049】
次いで、中央制御部201は、次式(1)によってシート状部材300の左側端部における耳ゴム量(長さ)Q1を算出する(S9)。
【0050】
Q1=P2−P1 …(1)
さらに、中央制御部201は、これを予め記憶部202に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q1が規格範囲内であるか否かを判定する(S10)。
【0051】
この判定の結果、耳ゴム量Q1が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の耳ゴム量Q1を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0052】
耳ゴム量Q1が規格範囲内であるとき、中央制御部201は、全波整流回路141及び平滑回路142を介してコイルユニット132から出力される電圧信号に基づいて、シート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置を検出したか否かを判定する(S13)。
【0053】
この判定の結果、シート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置を検出しないとき、検出するまで前記S13の処理を繰り返す。
【0054】
シート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置を検出したとき、すなわち、平滑回路142から出力される電圧信号が予め記憶部202に記憶したしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)とき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S14)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の幅方向右端のワイヤ301の位置P3として記憶部202に記憶する(S15)。
【0055】
次いで、中央制御部201は、次式(2)によってシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離L3を算出する(S16)。
【0056】
L3=P3−P2 …(2)
さらに、中央制御部201は、これを予め記憶部202に記憶したシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離における規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L3が規格範囲内であるか否かを判定する(S17)。
【0057】
この判定の結果、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離L3が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の距離L3を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0058】
シート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離L3が規格範囲内であるとき、中央制御部201は、光学式センサ150から出力される受光量が初期設定時において記憶した総受光量の所定の割合であるか否かを判定する(S18)。なお、本実施形態では、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2以上であるときに所定の割合であると判定している。
【0059】
この判定の結果、受光器152の受光量が初期設定時において記憶した総受光量の1/2未満であるときは、1/2以上となるまで前記S18の処理を繰り返す。
【0060】
受光器152の受光量が1/2であるとき、検出装置120の位置は図9に示すような位置となる。すなわち、非遮光時に受光器152が受光する幅L1のレーザ光の1/2がシート状部材300の右側端によって遮光され、受光器152は幅L4のレーザ光を受光する(L4=L1/2)とともに、検出装置120の基準位置Pnがシート状部材300の右側端位置と一致する。このとき、中央制御部201はパルスジェネレータ113から出力されるパルス信号のパルス数を計数して検出装置120の基準位置Pnを検出するとともに(S19)、検出した検出装置120の基準位置Pnをシート状部材300の右側端位置P4として記憶部202に記憶する(S20)。
【0061】
この後、中央制御部201は、次式(3),(4)によって、シート状部材300の右側端部における耳ゴム量(長さ)Q2及びシート状部材300の両側端間の距離L5を算出する(S21,S22)。
【0062】
Q2=P4−P3 …(3)
L5=P4−P1 …(4)
さらに、中央制御部201は、予め記憶部202に記憶した耳ゴム量の規格値の上限及び下限と比較して、算出した耳ゴム量Q2が規格範囲内であるか否かを判定する(S23)。
【0063】
この判定の結果、耳ゴム量Q2が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の耳ゴム量Q2を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0064】
耳ゴム量Q2が規格範囲内であるとき、中央制御部201は、予め記憶部202に記憶したシート状部材300の両側端間の距離の規格値の上限及び下限と比較して、算出した距離L5が規格範囲内であるか否かを判定する(S24)。
【0065】
この判定の結果、シート状部材300の両側端間の距離L5が規格範囲内でない、すなわち規格範囲外のとき、中央制御部201は、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに(S11)、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力して(S12)、処理を終了する。これにより、規格範囲外の距離L5を算出したときに、直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができる。
【0066】
シート状部材300の両側端間の距離L5が規格範囲内であるとき、図10に示すように、中央制御部201は、基準位置Pnがボールネジ103の終了位置Peに一致するまで検出装置120を移動させ、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止する(S25)。
【0067】
前述したワイヤ位置検出装置1によれば、磁性体131と該磁性体131に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁ピックアップセンサ130がシート状部材300の幅方向に移動することにより、シート状部材300の表面におけるワイヤ301による前記磁気の変化を検出するとともに、電磁ピックアップセンサ130から出力される電圧信号を整流回路141によって整流して平滑回路142によって平滑化し、平滑化した電圧信号がしきい値電圧Vsになったときの電磁ピックアップセンサ130の位置と、平滑化した電圧信号がしきい値電圧Vsではなくなった(ゼロになった)ときの電磁ピックアップセンサ130の位置に基づいてシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301の位置P2,P3をそれぞれ検出するようにしたので、市販の電磁ピックアップセンサ130と通常の全波整流回路141及び平滑回路142を用いた低コストな装置でシート状部材300の幅方向両端のワイヤの位置P2,P3を検出することができ、中央制御部201がこの検出位置間の距離L3を算出することにより、シート状部材300の幅方向両端のワイヤ間の長さを正確に求めることができるとともに、例えばタイヤのカーカス材、ベルト材等のシート状部材を所定角度に切断する際に、耳ゴムを含むシート状部材300の切断角度を正確に求めることができ、切断角度が要求精度を満たすか否かを的確に検査することができる。
【0068】
また、検出位置間の距離L3が予め記憶部202に記憶したシート状部材300の幅方向両端のワイヤ301間の距離における規格範囲外の値であるとき、中央制御部201が、モータコントローラ204を介してモータ114の駆動を停止し、検出装置120の移動を停止するとともに、警報制御部203を介して警報器160を駆動し警報を出力するようにしたので、規格範囲外の距離L3を算出したときに直ちに検出装置120を停止し、異常を知らせることができ、規格範囲外のシート状部材300の流出を確実に防止することができる。
【0069】
なお、本発明の構成は上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置を示す正面図
【図2】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置材検出装置を示す平面図
【図3】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置材検出装置の電気系回路を示すブロック図
【図4】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図5】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図6】本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図7】本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図8】本発明の一実施形態におけるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置を検出する原理を説明する要部拡大図
【図9】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図10】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明する要部拡大図
【図11】本発明の一実施形態におけるワイヤ位置検出装置の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0071】
1…ワイヤ位置検出装置、100…検出機構部、101,102…支持板、103…ボールネジ、104…ガイド軸、105,112…プーリ、106…ベルト、110…駆動部、111…回転軸、113…パルスジェネレータ、114…モータ、120…検出装置、121…支持部、122…設置部、123…開口部、130…電磁ピックアップセンサ、131…磁性体、131a…一端、132…コイルユニット、141…全波整流回路、142…平滑回路、150…光学式センサ、151…レーザ光射出器、152…受光器、160…警報器、200…制御装置、201…中央制御部、202…記憶部、203…警報制御部、204…モータコントローラ、300…シート状部材、301…ワイヤ、302…ゴム部材、400…搬送装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法において、
磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器をシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化を検出するとともに、
電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出する
ことを特徴とするワイヤ位置検出方法。
【請求項2】
前記電磁検出器の移動に伴ってパルス信号を発生するパルスジェネレータのパルス信号に基づいて前記電磁検出器の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項3】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項4】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の算出距離が所定範囲外の値であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項5】
前記電磁検出器の移動とともに前記シート状部材の幅方向両側端の位置をそれぞれ検出し、
前記シート状部材の幅方向一側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の一側端部に形成されるゴム量として算出し、
前記シート状部材の幅方向他側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の他側端部に形成されるゴム量として算出する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項6】
前記シート状部材の両側端部の算出ゴム量が所定範囲外の値であるか否かをそれぞれ判定する
ことを特徴とする請求項5に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項7】
互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出装置において、
磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器と、
該電磁検出器の位置を検出する位置検出手段と、
前記電磁検出器を前記シート状部材の幅方向に移動する移動手段とを備え、
電磁検出器が前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化を検出するとともに、該電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するように構成した
ことを特徴とするワイヤ位置検出装置。
【請求項8】
前記電磁検出器の磁性体を、シート状部材の表面における垂直方向に延びるように構成し、
前記移動手段を、前記磁性体の一端が前記シート状部材の表面との間に微小な間隙を保ちながら電磁検出器を移動するように構成した
ことを特徴とする請求項7に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項9】
前記位置検出手段として前記電磁検出器の移動に伴ってパルス信号を発生するパルスジェネレータを用いる
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項10】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を算出する距離算出手段を備える
ことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項11】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の算出距離が所定範囲外の値であるか否かを判定する距離判定手段を備える
ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項12】
前記電磁検出器とともに移動しながら前記シート状部材の幅方向両側端の位置をそれぞれ検出するシート状部材側端位置検出手段と、
前記シート状部材の幅方向一側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の一側端部に形成されるゴム量として算出し、前記シート状部材の幅方向他側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の他側端部に形成されるゴム量として算出するゴム量算出手段とを備える
ことを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項13】
前記シート状部材の両側端部の算出ゴム量が所定範囲外の値であるか否かをそれぞれ判定するゴム量判定手段を備える
ことを特徴とする請求項12に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項1】
互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出方法において、
磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器をシート状部材の幅方向に移動することにより、シート状部材の表面におけるワイヤによる前記磁気の変化を検出するとともに、
電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出する
ことを特徴とするワイヤ位置検出方法。
【請求項2】
前記電磁検出器の移動に伴ってパルス信号を発生するパルスジェネレータのパルス信号に基づいて前記電磁検出器の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項3】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項4】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の算出距離が所定範囲外の値であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項5】
前記電磁検出器の移動とともに前記シート状部材の幅方向両側端の位置をそれぞれ検出し、
前記シート状部材の幅方向一側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の一側端部に形成されるゴム量として算出し、
前記シート状部材の幅方向他側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の他側端部に形成されるゴム量として算出する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項6】
前記シート状部材の両側端部の算出ゴム量が所定範囲外の値であるか否かをそれぞれ判定する
ことを特徴とする請求項5に記載のワイヤ位置検出方法。
【請求項7】
互いに幅方向に平行に配列された複数の金属製のワイヤにゴム部材をコーティングしてなるシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するワイヤ位置検出装置において、
磁性体と該磁性体に巻回されるコイルによって磁気を発生し該磁気の変化によってコイルに生ずる電圧の信号を出力する電磁検出器と、
該電磁検出器の位置を検出する位置検出手段と、
前記電磁検出器を前記シート状部材の幅方向に移動する移動手段とを備え、
電磁検出器が前記シート状部材の表面におけるワイヤによる磁気の変化を検出するとともに、該電磁検出器から出力される電圧信号を整流して平滑化し、平滑化した電圧信号を検出したときの電磁検出器の位置と、平滑化した電圧信号を検出しなくなったときの電磁検出器の位置に基づいてシート状部材の幅方向両端のワイヤの位置をそれぞれ検出するように構成した
ことを特徴とするワイヤ位置検出装置。
【請求項8】
前記電磁検出器の磁性体を、シート状部材の表面における垂直方向に延びるように構成し、
前記移動手段を、前記磁性体の一端が前記シート状部材の表面との間に微小な間隙を保ちながら電磁検出器を移動するように構成した
ことを特徴とする請求項7に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項9】
前記位置検出手段として前記電磁検出器の移動に伴ってパルス信号を発生するパルスジェネレータを用いる
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項10】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の距離を算出する距離算出手段を備える
ことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項11】
前記シート状部材の幅方向両端のワイヤの検出位置間の算出距離が所定範囲外の値であるか否かを判定する距離判定手段を備える
ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項12】
前記電磁検出器とともに移動しながら前記シート状部材の幅方向両側端の位置をそれぞれ検出するシート状部材側端位置検出手段と、
前記シート状部材の幅方向一側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向一端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の一側端部に形成されるゴム量として算出し、前記シート状部材の幅方向他側端の検出位置と前記シート状部材の幅方向他端のワイヤの検出位置との間の距離を前記シート状部材の他側端部に形成されるゴム量として算出するゴム量算出手段とを備える
ことを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載のワイヤ位置検出装置。
【請求項13】
前記シート状部材の両側端部の算出ゴム量が所定範囲外の値であるか否かをそれぞれ判定するゴム量判定手段を備える
ことを特徴とする請求項12に記載のワイヤ位置検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−349627(P2006−349627A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179530(P2005−179530)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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