説明

ワンタッチ式灯油ポンプ

【課題】 冬場の一般家庭で手軽さから多く利用されている灯油ポンプは安価で且つ非常に便利であるが、実際では注油ポンプを数回押さなければならないことや、注油側(補給側)タンクが満タンになるまでじっと待たなければならない事や、うっかりするとあふれ出すなどの失敗があり、特に灯油は火災などの危険性を伴うので手数が懸からない方が望ましい。
【解決手段】 本発明は、以上の課題に対し何度もポンプを握る必要が無く主体のエアーポンプの握り部分を一度引くのみで、給油が始まり満タンになると自動的に注油が停止する事により、従来のようにうっかりしてあふれ出す失敗や、満タンまでその位置にじっと我慢する必要も無く、満タンセンサーにより機械的且つ自動的に、注油を停止する装置がついており火災などの危険性が高い液体だけに安心安全面を気配りした製品とし、今後の高齢者社会を迎えるに当り、出来るだけ自動化し不自由度の軽減並びに安全性を重視した装置を提供する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に液体容器は缶詰や缶や瓶等或いはガラス製や金属性やプラスチック製などと沢山あり、種類も数え切れないほど豊富であり、その材質も内容物など容器の目的によって千さ万別である。例えば醤油などのように液体でも食品となると、衛生面や無毒性や密封性などが重要視されそれらに対応できるビン類やプラスチック材料などが多く使用される。しかし硫酸など危険性のある液体となると可溶性の素材は敬遠される。同じ危険性でも火災面からの視点もある。本発明はこれ等危険性のある液体、或いはその他の液体の移動の際に必要な液体移動用ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体の移動について手っ取り早く移動するには家庭の醤油のように、大型瓶から食卓用のデザイン性のある小型卓上容器へ小出しする場合の様に容器対容器への直接移動、或いは古くから使用されているV型の液体注ぎ用具としてジョウゴが多く利用される。しかし液体を容器から容器へ移動若しくは移し変える場合でも、液体容量が若干多くなり1〜10リットル以上の容器間移動になると最近では、安価で且つ利便性の高いポリエチレン製の通称灯油ポンプがほとんどの家庭で利用されている。本発明はこれら液体の移動用に際して利用する液体ポンプに関するものである。先願を見ても例えば特開2001−116000号灯油ポンプ、などは油の入れ過ぎ防止装置であり、登録実用新案第3040130号灯油ポンプ、等がある。いずれも優れた案ではあるが既存の灯油ポンプに比較し複雑なイメージを与えるようである。
【0003】
【特許文献1】特開2001−116000灯油ポンプ
【特許文献2】登録実用新案第3040130灯油ポンプ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
北海道のような寒冷地に於いては暖房用に大量の灯油を使用する地域は特別として、現在一般家庭で最も利用されている灯油ポンプに、ポリエチレン製の灯油ポンプが有る。本製品は通常小型の石油ストーブを使用している一般家庭では非常に便利且つ安価であるため、ほとんどの家庭で利用している。ただこれほど普及している灯油ポンプでも給油する為には吸上げ用パイプと注油用パイプとの間にある2枚の弁間に灯油を吸上げる為真空を作る必要があり、その為の樹脂製の空気吸出し用圧縮ポンプが存在し、この圧縮ポンプの伸縮により空気の排出を図るため、手元握り手の握力で数回圧縮する必要がある。この場合指、或いは手の握り動作が不自由な人はこの握る握力が非常に困難である。本発明はこれ等の不自由を除き、片手で一方方向に引っ張るだけで給油が始まり、満タンになれば先端の満タンセンサーの作動により連結管を通じて逆支弁のエアー押さえ弁を自動的に開放する事により真空状態が破られ給油は自動停止し、灯油ポンプの供給側パイプの残量は元の缶にバックする。
【0005】
本発明を実現する為の製造に関しても特別大型の投資も必要無く吸上げ用パイプ容積と注油用パイプ容積をプラスした合計容積以上の容積を持つ主力のエアーポンプは、ブロー成型で可能である為一般樹脂成型のような金型に比較し少額の投資で可能でありその他の部品は市販品でもそろえる事が出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明により主体のエアーポンプの握り部分を一度引くのみで、給油が始まり満タンになると自動的に注油が停止する事により、従来のようにうっかりしてあふれ出す失敗や、満タンまでその位置にじっと我慢して待つ必要も無い。特に灯油需要期は寒い季節がほとんどでであり屋外におけるストーブなどへの補給作業は寒さも辛く、その上何よりも機械的且つ自動的に注油を停止できることは、火災など危険性の高い危険物だけに安心安全面で大いに社会性を持つものである。今後高齢者社会を迎えるに当り、不自由度の軽減並びに安心安全性は特に必要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のエアーポンプ内の真空作用により吸上げ用パイプから灯油の吸い上げが始まり、注油用パイプに移動し自動的に注油が始まる。注油が終わると注油パイプ先端に装着された浮き子方式によって満タンセンサーが満タンを検知作動し、結果として浮き子の変化がそのまま連結管を通じてエアーポンプのエアー栓を自動的に抜くか、又はエアーキャップを取り除く。或いは別の方式として注油用パイプ先端に取り付けられた空気袋が満タンによる下方からの液体圧により圧縮され、その空気は空気袋の連結管を通じ上部空気袋に移動しエアーポンプに取り付けられた上部のエアー弁自動開閉装置の開閉作動エネルギーになる。即ち上部空気袋の膨張によりエアータンクのエアー出入調整装置の空気押さえいわゆるエアーキャップが開放され、結果としてエアーポンプのエアー出入調整装置の真空圧が開放され注油は自動的に停止する。浮力センサーの材質は木製でもエアー入り浮力体でも油より比重が軽ければ良いが比重差が大きいほど好ましい。又支持棒は作動を伝える機能があれば良いので内部に可動ワイヤーを持つケーブルなどでも良い。
【実施例1】
【0008】
本発明を図6で説明すると、エアーポンプ5の握り1を掴み上部に引き上げるとエアーポンプ5内に起る真空作用により吸上げ用パイプ7から液体の吸い上げが始まり、注油用パイプ9に移動し自動的に注油が始まる。注油が終わると注油パイプ先端に装着された浮力体15によって満タンを検知作動し、結果として浮力体15の変化がそのまま支持棒16を通じて支持棒先端17が上方に押し上げエアーポンプのエアー出入調整装置2の押さえを自動的に取り除く。或いは図1で説明すると満タンになると注油用パイプ9の先端に取り付けられた空気袋11が下方からの液体圧により圧縮されその空気は空気袋の連結管エアーホース4を通じ上部空気袋17が膨張し図2のようにエアーポンプ5に取り付けられた上部のエアー出入調整装置2の押さえを自動的に取り除く。即ちエアーが上部空気袋17の膨張を誘いエアーポンプ5のエアー出入調整装置2の押さえであるエアー弁自動開閉器3を押し上げエアータンクが開放され真空圧状態が破られ注油は自動的に停止する。
【産業上の利用可能性】
【0009】
間もなくわが国は高齢者社会に突入する。高齢化すると感覚も鈍化し手の握力さえ衰える。特に暖房が必要な冬場の寒さでは手の感覚はより不自由度が増す。その点本発明により本体エアーポンプの握り部分を一度引くのみで、給油が始まり満タンになると自動的に注油を停止する利便性は、注油中にも他の仕事に安心して没頭する事ができ、又子供が扱っても安全に取り扱う事が出来る事は安心安全面からも一般家庭に広く普及する可能性があり既存品が既に大量に大衆化しているだけに、買い替えなどでも市場が充分あるということであり商品としてまだまだ可能性のある分野である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明のエアーポンプ自動開閉装置の全体概要図であり、液体元タンクである主タンク18から補給用タンク19へ移動する為、エアーポンプ5を作動させる寸前の状態図である。
【図2】図2はエアーポンプ5を引き上げ、主タンク5から液体を吸出し、補給タンク19に液体の補給が終わる寸前の逆止弁の全開状態と、その時補給タンク19が満タンになり、下部空気袋11(又は浮き子11)周辺液体圧により空気が上部に移動しエアーポンプの真空圧を抜く状態である。
【図3】図3はエアー出入調整装置2が下部空気袋11の空気が液体圧により上方に移動した為、3エアー弁自動開閉器が開放されエアータンクに空気が入り込み、エアーポンプ5の真空圧が停止する状態である。
【図4】図4は上方に開放されたエアー出入調整装置2が上部空気袋17の空気圧低下により3エアー弁自動開閉器の弁が下がりエアーポンプ5のエアー吐出口13をふさぐ為エアーポンプ5の真空圧が発生する状態である。
【図5】図5はエアーポンプ自動開閉装置の全体概要図であり、液体の主タンクから液体移動の為エアーポンプ5を作動させる前であり、エアー出入調整装置2の起動源である浮力体15が無作動の状態である。
【図6】図6はエアーポンプ自動開閉装置の全体概要図であり、液体の主タンク18から補給タンク19へ移動が始まり逆止弁6・8は全開し、満タン補充完了後、浮力体15が作動開始しエアー出入弁押え12が上方に開放されエアーポンプ5にエアーが入り始め真空圧が開放された全体概要図である。
【図7】図7は液体補給タンク19が空になり浮力対15が作動した為、支持棒16を通じ支持棒先端17が下方に下がり上方に押されていた3エアー弁自動開閉器のエアー出入弁押え12が閉じ、エアータンク5の真空圧が発生し液体吸入パイプ7の吸い込みが始まる状態である。
【図8】図8はエアー出入調整装置が浮力対15(又は下方空気袋)の作動により支持棒16(又はエアーホース4)を通じ支持棒先端17(又は上部空気袋の膨張)により上方に押され3エアー弁自動開閉器が開放された為エアータンク5に空気が入り、液体吸入パイプ7の吸い込みが終わる状態である。
【符号の説明】
【0011】
1、握り。
2、エアー出入調整装置。
3、エアー弁自動開閉器。
4、エアーホース。
5、エアーポンプ。
6、吸入側液体逆止弁。
7、液体吸入パイプ。
8、吐出側逆止弁。
9、吐出パイプ。
10、エアーホース支持板。
11、下方空気袋。
12、エアー出入弁押え。
13、エアー吐出口。
14、支持棒
15、浮力体。
16、支持棒先端
17、上部空気袋
18、主タンク
19、補給タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯油など液体系の主容器から、液体ポンプを介して他の容器へ移動する際、吸入側と吐出側はそれぞれの経路パイプに、逆止弁による出入調整弁を持ち両弁の中間層に吸入パイプ並びに吐出パイプの合計容積以上の容積及び吸排気孔兼吸気停止機能付きの逆止弁と吸排出容器を装備した弾性体を素材とする液体移動用ポンプ。
【請求項2】
ポリエチレンや塩ビなどの合成材料若しくは金属材料或いは植物系の素材容器本体が持つ弾力性並びに復元性を利用、或いは他のスプリング機能の補填により繰り返し復元する請求項1に記載の液体移動用ポンプ
【請求項3】
液体移動に際し、補給側タンクが満タンになった時、補給を自動的に停止する為、液体吐出側出口に浮き子とその浮き子の浮力により連結管を通じ液体ポンプのエアー抜きを自動的に作動させる機能を装備した請求項1に記載の液体移動用ポンプ
【請求項4】
液体移動に際し、補給側タンクが満タンになった時、補給を自動的に停止する為、液体吐出側出口の満タンによる液体圧によって、内部の空気が連結管を通じて移動する空気圧を利用して、エアー出入弁を自動的に開閉し注入を停止する機能を装備した請求項1に記載の液体移動用ポンプ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−285976(P2010−285976A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157310(P2009−157310)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(591273672)株式会社テラボンド (42)
【Fターム(参考)】