説明

ワーク搬送用機器およびワーク搬送方法

【課題】薄板状ワークを吸着し、搬送するに際し、ウエハを搬送し、所望位置に載置するまでの過程で別途のデバイスに受け渡す受渡し工程を不要とでき、しかも、ウエハにダメージを与えない、産業用の搬送機械に取り付けられる、ワーク搬送用機器と、このワーク搬送用機器が取付けられた産業用の搬送機械を使用するワーク搬送方法を提供する。
【解決手段】ワーク搬送用機器10は、薄板状ワークWを吸着する吸引孔2aを具備する2以上の把持部材2,…と、2以上の把持部材2,…を一体に固定する本体部材1と、を少なくとも有し、把持部材2のうち、少なくとも吸引孔2aの開設された領域は本体部材1の側端から張り出して張り出し箇所2’を形成しており、本体部材1のうち、吸着される薄板状ワークW側の側面には撓み防止部材14が配されて張り出し箇所2’を支持しており、少なくとも、該張り出し箇所2’が薄板状ワークW側へ撓むのを抑止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の薄板状ワークを吸着し、搬送するために、ロボットハンド等の産業用の搬送機械にエンドエフェクタとして取り付けられる、ワーク搬送用機器と、このワーク搬送用機器が取付けられた産業用の搬送機械を使用してなるワーク搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等を、キャリアから設備へ搬送するに際し、通常は、ティーチングされたロボットハンド等の産業用の搬送機械を使用しておこなわれている。この半導体ウエハの場合には、その中央に回路パターン面があり、この面を直接的に把持、もしくは吸着することはできないために、たとえば、ハンド先端のエンドエフェクタにより、ウエハを下から掬い上げ、次いで所望位置への搬送をおこなっているのが現状である。
【0003】
しかし、上記する搬送方法では、たとえば搬送されたウエハをテーブルへ置く際に、該テーブルとハンドやエンドエフェクタ等との干渉を回避するべく、別途のデバイスを介してウエハを受渡し、このデバイスを介してテーブルへ載置するようにしている。このように、ウエハを搬送し、所望位置に載置するまでの過程で1以上の受渡し工程を経ることから、ウエハの移載精度が低下することは理解に易く、この受渡し工程により、半導体回路の生産効率は格段に低下する。さらには、受渡しの際に高精度でデリケートな制御を要し、たとえば、装置に精緻な位置決め用のプリアライナ等を装備する必要が生じるなど、搬送機器に要するコストは自ずと高騰せざるを得ない。
【0004】
また、半導体ウエハの表面が塵等でコンタミネートされないことも製造過程で重要な要素であるが、このウエハをデバイスで把持する際に該ウエハに多少ともダメージを与えてしまうと、このダメージに起因して発塵してしまう虞がある。この発生した塵が回路パターン面に付着してしまうと回路性能を低下させてしまうことから、発塵付着は確実に回避される必要があり、そのためにもウエハ搬送に際しての発塵防止は重要な課題である。そのため、ウエハ把持の際には、該ウエハにダメージを与えない、もしくは可及的に最小限のストレスで把持可能な性能がデバイスやエンドエフェクタには要求されている。
【0005】
そこで、上記のごとく、ウエハを下から掬い上げて所望位置へ搬送する方法に代わり、ウエハ周縁の非回路パターン面を吸着パットにて吸着しながら、ウエハ(薄板状ワーク)を搬送する方法に関し、そのためのワーク搬送用フィンガーに関する技術が特許文献1に開示されている。
【0006】
このフィンガーを使用することにより、ウエハを下から掬い上げて所望位置への搬送する方法の場合に生じ得る上記課題の一つである、受渡しに伴う工程増加という課題を解消することはできる。しかし、このフィンガーでは、その図1からも明らかなように、その大部分が本体部から張り出し、吸着パッドが配された板バネが、ワークを把持した際に該ワーク側へ撓んでしまうのは必至であり、この板バネの撓みにより、上記する別途の課題、すなわち、ウエハを把持する際に該ウエハにダメージを与えてしまうという課題を解消するには至らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−95542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、産業用の搬送機械を使用して半導体ウエハ等の薄板状ワークを吸着し、搬送するに際し、ウエハを搬送し、所望位置に載置するまでの過程で別途のデバイスに受け渡す受渡し工程を不要とでき、しかも、ウエハにダメージを与えない、産業用の搬送機械に取り付けられるワーク搬送用機器と、このワーク搬送用機器が取付けられた産業用の搬送機械を使用するワーク搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明によるワーク搬送用機器は、産業用の搬送機械に取り付けられて、薄板状ワークを吸着しながら搬送する、ワーク搬送用機器であって、前記ワーク搬送用機器は、前記薄板状ワークを吸着する吸引孔を具備する2以上の把持部材と、前記2以上の把持部材を一体に固定する本体部材と、を少なくとも有し、前記把持部材のうち、少なくとも吸引孔の開設された領域は前記本体部材の側端から張り出して張り出し箇所を形成しており、前記本体部材のうち、吸着される薄板状ワーク側の側面には撓み防止部材が配されて前記張り出し箇所を支持しており、少なくとも、該張り出し箇所が薄板状ワーク側へ撓むのを抑止するようになっているものである。
【0010】
本発明のワーク搬送用機器は、直接的にワークを把持する複数の把持部材を本体部材が一体に固定するとともに、把持部材に開設されてワークを吸着する吸引孔を含む領域が少なくとも本体部材の側端から側方へ張り出したものであり、この張り出し箇所が吸着されたワークと反対側(たとえば上方)には撓むことが可能であるものの、吸着されたワーク側(たとえば下方)への撓みを確実に抑止する、撓み防止部材を備えたものである。
【0011】
把持部材は、可及的に薄層であり(たとえば1mm未満の厚み)、本体部材の側端から所定長だけ張り出した姿勢において、その張り出し箇所は撓み防止部材による支持の下で当初の姿勢を保持できるものの、ワークを吸引吸着した際には、適度に撓むことのできる剛性や可撓性を有するものであるのが好ましい。把持部材の張り出し箇所のこのような剛性や可撓性は、その素材や断面剛性、張り出し長などによっても決定されるものである。
【0012】
把持部材の特に張り出し箇所が吸引吸着されたワーク側へ撓むのを防止するための撓み防止部材が本体部材に配されていることで、ワークを吸着した際に、該ワークに過度の押圧力が作用することが抑止される。たとえば、撓み防止部材が薄層プレートからなり、本体部材のワーク側側面(たとえば下面)にその一部が固定され、その他部が把持部材の張り出し箇所の一部に固定されるような実施の形態の場合には、この撓み防止部材がワーク側から把持部材の張り出し箇所を支持するとともに、自身も把持部材の張り出し箇所と同程度の張り出し箇所を有していることで、把持部材がワークと反対側へ撓むことは許容できるのである。尤も、把持部材で述べたと同様、撓み防止部材も、自身が撓むことなく、少なくとも把持部材の張り出し箇所の重量を支持できるだけの剛性を有するとともに、ワークを吸引吸着した際には、把持部材の張り出し箇所と同期して、適度にワークと反対側へ撓むことのできる可撓性を有しているのが望ましい。
【0013】
本発明のワーク搬送用機器は、2以上の把持部材にて薄板状ワークを吸着把持できること、このワークを把持した姿勢で、ワーク搬送用機器が該ワーク側に撓まないこと、より、ワークにダメージおよびストレスを付与することなく、しかも、たとえばその上面を吸着把持し、所望位置へ移載後に当初の上面を上方に向けたままでその下面を所望位置に移載することができる。
【0014】
ここで、前記把持部材は、第1のプレートと、中間プレートと、薄板状ワークに対向する第2のプレートと、が積層した積層体からなり、前記中間プレートには櫛歯状の流路が形成され、前記第2のプレートには該櫛歯状の流路に連通する前記吸引孔が形成されている形態を適用することができる。
【0015】
3つのプレートの3層積層構造とすることで、上記するように、把持部材の張り出し箇所のワーク側への撓み剛性を高めることができる。
【0016】
そして、中間プレートに櫛歯状の流路が形成されていることにより、したがって、櫛歯を構成する複数の隔壁が設けられていることで、第2のプレートに開設された吸引孔に流体連通する流路が閉塞するのを防止することができる。たとえば、これら3つのプレートを高圧高温雰囲気下で拡散接合等する場合を例示すると、積層体の内部に幅広の流路が形成されている場合には、この高圧雰囲気下で流路が閉塞する虞がある。また、ワーク搬送用機器の供用時に何らかの外圧が作用した場合も、この外圧によって流路が閉塞される危険性がある。それに対して、櫛歯を構成する複数の隔壁で第1、第2のプレートがその離間を保持しながら流路を画成していることで、これら製造時および供用時において外圧等が作用した場合でも、流路の閉塞が所望に抑止できるのである。
【0017】
さらに、本発明のワーク搬送用機器においては、前記吸引孔に流体連通する貫通孔を具備する吸着パッドが、該把持部材の薄板状ワークに対向する側面に配設されているのが好ましい。
【0018】
たとえば弾性があり、吸引孔に流体連通する貫通孔を具備する吸着パッドが把持部材の薄板状ワークに対向する側面に配設され、この吸引パッドにて直接的にワークを吸着把持することにより、該吸着時のワークに作用し得るストレスをより一層軽減することが可能となる。なお、この吸着パッドの厚みが本体部材の上記撓み防止手段を形成する箇所の厚み以上に調整されていることで、本体部材のワーク側側面(たとえば下面)と吸着パッドの端面を、面一もしくは吸着パッドが若干ワーク側へ突出した姿勢を形成することができる。
【0019】
ここで、前記薄板状ワークとして、既述する半導体ウエハを挙げることができ、この半導体ウエハが、中央の回路パターン面と、その周縁の非回路パターン面と、からなる場合において、前記2以上の把持部材が、該非回路パターン面の2以上の箇所を吸着するようになっているのが好ましい。
【0020】
本発明のワーク搬送用機器にて半導体ウエハの非回路パターン面をその複数箇所で吸着把持することにより、該ウエハに何等のダメージを付与することなく、しかも確実に把持しながら、さらには、他のデバイスに受渡しをおこなうことなく、当初位置から所望の移載位置へ精度よくワークを搬送し、載置することが可能となる。
【0021】
また、本発明によるワーク搬送方法は、薄板状ワークを吸着する吸引孔を具備する2以上の把持部材と、前記2以上の把持部材を一体に固定する本体部材と、を少なくとも有し、前記把持部材のうち、少なくとも吸引孔の開設された領域は前記本体部材の側端から張り出して張り出し箇所を形成しており、前記本体部材のうち、吸着される薄板状ワーク側の側面には撓み防止部材が配されて前記張り出し箇所を支持しており、少なくとも、該張り出し箇所が薄板状ワーク側へ撓むのを抑止するようになっている、ワーク搬送用機器が取り付けられた産業用の搬送機械を使用する、ワーク搬送方法であり、前記薄板状ワークのうち、2以上の吸着可能箇所のそれぞれに、前記2以上の把持部材の吸引孔を位置決めし、吸引手段を作動させ、前記吸引孔を介して作用する吸引力によって薄板状ワークを吸着し、薄板状ワークが吸着された姿勢で産業用の搬送機械が作動し、薄板状ワークが所望位置に搬送され、吸引手段の作動を解除して該所望位置に薄板状ワークを載置するものである。
【0022】
上記する本発明のワーク搬送用機器が取り付けられた産業用の搬送機械を使用して、ワークを吸着し、搬送し、所望位置へ載置することにより、該ワークにダメージを付与することなく、発塵等でワーク表面をコンタミネートすることなく、高精度の移載が可能となり、しかも、このワーク搬送を含む製造効率を飛躍的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から理解できるように、本発明のワーク搬送用機器と、これを具備する産業用の搬送機械を使用してなるワーク搬送方法によれば、このワーク搬送用機器が薄板状ワークの吸着把持の際に、該ワークと反対側に適度に撓むことができ、かつ、ワーク側への撓みが抑止されていることにより、ワークに何等のダメージを付与することなく、高精度でかつ高効率にワークを所望位置へ移載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のワーク搬送用機器の一実施の形態を示した平面図であって、その内部構造をともに示した図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】3層構造の把持部材を構成する3つのプレートを示した平面図である。
【図4】本発明のワーク搬送用機器を使用して半導体ウエハを吸着把持している状態を説明した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図示例では、4つの把持部材で半導体ウエハの非回路パターン面を吸着把持する形態を示しているが、把持部材の基数やこれに相間する本体部材の分岐部の基数は図示例に限定されるものではなく、吸着される薄板状ワークが図示する半導体ウエハに限定されるものでないことは勿論のことである。
【0026】
図1は、本発明のワーク搬送用機器の一実施の形態を示した平面図であって、その内部構造をともに示した図であり、図2は、図1のII−II矢視図である。
【0027】
図示するワーク搬送用機器10は、体幹部11と、体幹部11の一端から放射状に延びる4つの分岐部12,…と、から構成される本体部材1と、それぞれの分岐部12,…に固定される把持部材2,…と、から大略構成されている。なお、このワーク搬送用機器10はエンドエフェクタであり、その一端11bがロボットハンド等の産業用の搬送機械に所望の継ぎ手機構を介して取り付けられるようになっている。
【0028】
体幹部11の端部近傍には、不図示の吸引手段(吸引ポンプ等)に流体連通する吸引ノズル11aが設けられており、体幹部11および各分岐部12,…の内部には、この吸引ノズル11aに流体連通する所望線形の流路13が設けてある。
【0029】
分岐部12には、その下面、すなわち、図2で示すように、一点鎖線で示した半導体ウエハW(ワーク)を吸引吸着する際に、該ワーク側となる側面に、分岐部12の側端12aよりも側方へ張り出した、薄板状の撓み防止部材14が固定されている。
【0030】
また、分岐部12の先端には、把持部材2が、その一部を分岐部12の内部に貫挿するようにして固定されており、この固定姿勢において、分岐部12の先端12aから張り出す張り出し箇所2’を形成している。そして、把持部材2の先端には弾性を有する吸着パッド3が配されており、ワークWを吸着した際に該ワークWに作用し得るストレスを、この吸着パッド3にて低減できるようになっている。
【0031】
撓み防止部材14は、その一端側が分岐部12のワーク側の側面に固定されるとともに、その他端側が把持部材2の吸着パッド3が配された先端部分に固定されている。
ここで、把持部材2は3つのプレート(第1のプレート21,中間プレート22,第2のプレート23)が積層してなる3層構造を呈しており、その中間に位置する中間プレート22に形成された流路が、第2のプレート23に開設された吸引孔2aに流体連通している。不図示の吸引手段を作動させると、吸引ノズル11aおよび流路13を介し(X1方向)、吸引孔2aを介してワークWが該吸引孔2aに吸着される(X2方向)。
【0032】
上記する3つのプレートからなる把持部材2の厚みは、たとえば1mm以下(たとえば、第1、第2のプレート21,23がそれぞれ0.1mm、中間プレートが0.4mmの計0.6mmの厚み)の薄層に形成されるのがよく、この薄層により、ワークWを吸引した際に、適度に把持部材2の張り出し箇所2’がワークWと反対側(図2では、上方のZ方向)に撓むことが可能となる。より詳細に言えば、上方への適度な撓みを招来するために、3つのプレートを適宜の金属素材(アルミニウムやその合金、ステンレスなど)から形成し、かつ、張り出し箇所2’の張り出し長を所望に調整するのがよい。さらには、撓み防止部材3も、これらのプレート21,22,23と同様の金属素材で形成できるほか、セラミックスなどから成形してもよい。
【0033】
把持部材2の張り出し箇所2’がワークWを吸引した際に該ワークWと反対側へ撓むことにより、ワーク吸着時のワークWへ付与され得るストレスを軽減することができる。しかも、撓み防止部材3にて張り出し箇所2’のワークW側への撓みのが抑止されており、過度の押圧力をワークWへ付与する危険性がない。
【0034】
図3は、3層構造の把持部材2を構成する3つのプレートを示した平面図である。ここで、吸着把持されるワークW側から順に、吸引孔2aが先端に開設された第2のプレート23、該第2のプレート上に積層される中間プレート22、中間プレート22上に積層される第1のプレート21となり、これらが拡散接合等によって一体化され、把持部材2が形成される。
【0035】
ここで、中間プレート22には、複数の櫛歯22a,…が形成されており、隣接する櫛歯22a,22a間に櫛歯間流路22bが形成されており、積層姿勢において、この櫛歯間流路22bが、第2のプレート23に開設された吸引孔2aに連通するようになっている。
【0036】
中間プレート22に櫛歯22a,…が形成されていることにより、たとえば、高圧高温雰囲気下で拡散接合等する際に、第2のプレート23に開設された吸引孔2aに流体連通する流路(ここでは、櫛歯間流路22b、…)が閉塞するのを効果的に防止することができる。
【0037】
図4は、平面視円盤状の半導体ウエハWであって、より詳細には、その中央側にその外郭円に対して相似形の回路パターン面W1、その周縁側にリング状の非回路パターン面W2を有する半導体ウエハWに対して、ワーク搬送用機器10を構成する4つの把持部材2,…のそれぞれに開設された各吸引孔2a,…が、非回路パターン面W2を安定的に吸着把持している状態を示している。なお、各分岐部12の長さ、より具体的には、分岐部12から張り出す把持部材2の張り出し端の位置は、被吸着ワークの形状やその吸着箇所に応じて適宜調整されるものであり、ワークWの輪郭が変更されれば、それに応じて把持部材2の張り出し端の位置も変更されることになる。
【0038】
同図からも明らかなように、ワーク搬送用機器10を使用して半導体ウエハWの非回路パターン面W2を吸着把持することにより、回路パターン面W1に何等のストレスを付与することなく、さらには、非回路パターン面W2にも発塵を生じるようなストレスを付与することなく、安定的に半導体ウエハWを吸着把持でき、図示面をたとえば上方に向けた状態で、所望の搬送位置まで搬送し、該搬送位置にて精度よく該半導体ウエハWを位置決め載置することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0040】
1…本体部材、11…体幹部、11a…吸引ノズル、12…分岐部、12a…側端、13…流路、14…撓み防止部材、2…把持部材、2a…吸引孔、21…第1のプレート、22…中間プレート、22a…櫛歯、22b…櫛歯間流路、23…第2のプレート(ワーク側プレート)、3…吸着パッド、10…ワーク搬送用機器、W…半導体ウエハ(ワーク)、W1…回路パターン面、W2…非回路パターン面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用の搬送機械に取り付けられて、薄板状ワークを吸着しながら搬送する、ワーク搬送用機器であって、
前記ワーク搬送用機器は、
前記薄板状ワークを吸着する吸引孔を具備する2以上の把持部材と、
前記2以上の把持部材を一体に固定する本体部材と、を少なくとも有し、
前記把持部材のうち、少なくとも吸引孔の開設された領域は前記本体部材の側端から張り出して張り出し箇所を形成しており、
前記本体部材のうち、吸着される薄板状ワーク側の側面には撓み防止部材が配されて前記張り出し箇所を支持しており、少なくとも、該張り出し箇所が薄板状ワーク側へ撓むのを抑止するようになっている、ワーク搬送用機器。
【請求項2】
前記把持部材は、第1のプレートと、中間プレートと、薄板状ワークに対向する第2のプレートと、が積層した積層体からなり、
前記中間プレートには櫛歯状の流路が形成され、前記第2のプレートには該櫛歯状の流路に連通する前記吸引孔が形成されている、請求項1に記載のワーク搬送用機器。
【請求項3】
前記吸引孔に流体連通する貫通孔を具備する吸着パッドが、該把持部材の薄板状ワークに対向する側面に配設されている、請求項1または2に記載のワーク搬送用機器。
【請求項4】
前記薄板状ワークは、中央の回路パターン面と、その周縁の非回路パターン面と、からなるウエハであり、前記2以上の把持部材が、該非回路パターン面の2以上の箇所を吸着するようになっている、請求項1〜3のいずれかに記載のワーク搬送用機器。
【請求項5】
薄板状ワークを吸着する吸引孔を具備する2以上の把持部材と、
前記2以上の把持部材を一体に固定する本体部材と、を少なくとも有し、
前記把持部材のうち、少なくとも吸引孔の開設された領域は前記本体部材の側端から張り出して張り出し箇所を形成しており、
前記本体部材のうち、吸着される薄板状ワーク側の側面には撓み防止部材が配されて前記張り出し箇所を支持しており、少なくとも、該張り出し箇所が薄板状ワーク側へ撓むのを抑止するようになっている、ワーク搬送用機器が取り付けられた産業用の搬送機械を使用する、ワーク搬送方法であり、
前記薄板状ワークのうち、2以上の吸着可能箇所のそれぞれに、前記2以上の把持部材の吸引孔を位置決めし、
吸引手段を作動させ、前記吸引孔を介して作用する吸引力によって薄板状ワークを吸着し、
薄板状ワークが吸着された姿勢で産業用の搬送機械が作動し、薄板状ワークが所望位置に搬送され、吸引手段の作動を解除して該所望位置に薄板状ワークを載置する、ワーク搬送方法。
【請求項6】
前記薄板状ワークは、中央の回路パターン面と、その外周の非回路パターン面と、からなるウエハであり、前記2以上の把持部材の吸引孔が、該非回路パターン面の2以上の箇所を吸着するようになっている、請求項5に記載のワーク搬送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−225671(P2010−225671A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68815(P2009−68815)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】