説明

ワーク搬送装置

【課題】 少ない駆動源でワーク保持部材を3軸方向に移動させることができ、小さな駆動源で軽快な移動動作が可能なワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】 X,Y,Z軸の直交座標系において、第1および第2の走行体3,4は、X軸方向のレール2に沿って走行可能である。第1の走行体3は、X軸方向の軸心およびZ軸方向の軸心の2つの軸心回りに揺動自在に第1の揺動アーム5を支持する。第2の走行体4は、Z軸方向の軸心回りに揺動自在に第2の揺動アーム6を支持する。第2の揺動アーム6の先端に、Z軸方向の軸心回りに回動自在に支持部材7を設ける。支持部材7にZ軸方向にスライド自在に支持され、かつ第1の揺動アーム5の先端にX軸方向の軸心およびZ軸方向の軸心の2つの軸心回りに回動自在に支持されたワーク保持部材8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば旋盤等の工作機械に対するワークの給排等の目的で、ワークを搬送するのに用いられるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械用のワーク搬送装置として、ガントリ式のものが広く用いられている。ガントリ式のワーク搬送装置は、左右方向に設けたレールに沿って走行する走行台に、前後移動台を介して昇降ロッドを設け、この昇降ロッドの下端にワークを保持可能なワーク保持体を設置したものであり、上記走行台、前後移動台、および昇降ロッドを適宜移動させることで、ワーク保持体を直交する3軸方向に移動させる。一般に、上記走行台、前後移動台、および昇降ロッドは、それぞれ個別の移動駆動源で独立に駆動させている。
【0003】
産業用ロボットのマニピュレータ等において、レールに沿って移動する2個の移動体と、これら移動体に基部が支持されたリンク機構とを組み合わせることで、リンク機構の先端側に設けた移動部材を2軸方向に移動させる機構が提案されている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭57−211486号公報
【特許文献2】特開昭58−160071号公報
【特許文献3】特開昭63−114887号公報
【特許文献4】特開昭63−114888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ガントリ式のワーク搬送装置は、走行台、前後移動台、および昇降ロッドをそれぞれ個別の移動駆動源で独立して駆動させるため、少なくとも3個の移動駆動源が必要であった。また、前後移動台用の移動駆動源は走行台に搭載され、昇降ロッド用の移動駆動源は前後移動台に搭載されており、走行台および前後移動台の重量が重い。そのため、ワーク保持体の軽快な動きを実現するに、走行台用および前後移動台用の移動駆動源を出力の大きなものにしなければならなかった。
【0006】
前記各提案の産業用ロボットのマニピュレータを工作機械のワーク搬送装置に応用することができる。しかし、各提案のものは、移動部材を2軸方向に移動させる機構であるから、工作機械のワーク搬送装置として使用するには、さらに移動部材を別の1軸方向に移動させる機構を設けなければならない。結局、2つの移動体をそれぞれ移動させる2つの移動駆動源、および別設の機構を駆動する移動駆動源の計3個の移動駆動源が必要となる。
【0007】
この発明の目的は、少ない移動駆動源でワーク保持部材を3軸方向に移動させることができ、しかも小さな移動駆動源でワーク保持部材の軽快な移動動作が可能なワーク搬送装置を提供することである。
この発明の他の目的は、各部の簡単な動作でワーク保持部材を3軸方向に移動させることである。
この発明のさらに他の目的は、このワーク搬送装置の一構成要素である支持部材に対して、同じく一構成要素であるワーク保持部材を任意の位置で位置固定させることができるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、工作機械に対してワークを搬送する装置に適した構成とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のワーク搬送装置は、X,Y,Z軸の直交座標系において、X軸方向のレールに沿ってそれぞれ走行可能な第1および第2の走行体と、前記第1の走行体に前記X軸方向の軸心および前記Z軸方向の軸心の2つの軸心回りに揺動自在に支持された第1の揺動アームと、前記第2の走行体に前記Z軸方向の軸心回りに揺動自在に支持された第2の揺動アームと、この第2の揺動アームの角度を固定するアーム角度固定機構と、前記第2の揺動アームの先端に前記Z軸方向の軸心回りに回動自在に支持された支持部材と、この支持部材に前記Z軸方向に沿ってスライド自在に支持され、かつ前記第1の揺動アームの先端に前記X軸方向の軸心および前記Z軸方向の軸心の2つの軸心回りに回動自在に支持されたワーク保持部材と、このワーク保持部材を前記支持部材に対して位置固定する位置固定機構とを備えることを特徴とする。
【0009】
この構成のワーク搬送装置は、前記第1および第2の走行体を前記レールに沿って互いに同じ速度で同方向に走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記X軸方向に移動させ、前記ワーク保持部材のスライド位置を固定し、かつ前記第1および第2の走行体を前記レールに沿って逆方向に走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記Y軸方向に移動させ、前記第2の揺動アームの角度を固定し、かつ前記第1の走行体を前記レールに沿って走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記Z軸方向に移動させる。
【0010】
上記のように、第1および第2の走行体の走行と、アーム角度固定機構および位置固定機構の状態とを制御することにより、ワーク保持部材を直交する3軸方向、すなわちX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動させることができる。移動駆動源としては、第1および第2の走行体をそれぞれ走行させる2つの移動駆動源だけであり、簡素な構成にできる。また、これら2つの移動駆動源は固定部材であるレールに設けることができるため、第1および第2の走行体等の移動する部分に移動駆動源を設けずに済む。そのため、移動する部分の軽量化が図れ、出力の小さな移動駆動源でもワーク保持部材を軽快に移動動作させることができる。なお、アーム角度固定機構用の駆動源および位置固定機構用の駆動源は、アーム角度固定機構や位置固定機構を作動状態と非作動状態とに切り替えるだけであるため、小型で簡素な駆動源を用いることができる。そのため、移動駆動源を増やす場合に比べて、前記移動する部分の重量増加が少ない。
【0011】
この発明において、前記位置固定機構は、摩擦力により前記ワーク保持部材を前記支持部材に対して位置固定するブレーキ機構としてもよい。
位置固定機構をブレーキ機構にすれば、支持部材に対しワーク保持部材を任意の位置で位置固定させることができる。
【0012】
この発明のワーク搬送装置が工作機械に対してワークを搬送する装置である場合、前記ワーク保持部材は、ワークを着脱自在に把持するチャックを有するのが良い。
ワーク保持部材がワークを着脱自在に把持するチャックを有していれば、工作機械とのワークの受け渡しを良好に行える。
【発明の効果】
【0013】
この発明のワーク搬送装置は、X,Y,Z軸の直交座標系において、X軸方向のレールに沿ってそれぞれ走行可能な第1および第2の走行体と、前記第1の走行体に前記X軸方向の軸心および前記Z軸方向の軸心の2つの軸心回りに揺動自在に支持された第1の揺動アームと、前記第2の走行体に前記Z軸方向の軸心回りに揺動自在に支持された第2の揺動アームと、この第2の揺動アームの角度を固定するアーム角度固定機構と、前記第2の揺動アームの先端に前記Z軸方向の軸心回りに回動自在に支持された支持部材と、この支持部材に前記Z軸方向に沿ってスライド自在に支持され、かつ前記第1の揺動アームの先端に前記X軸方向の軸心および前記Z軸方向の軸心の2つの軸心回りに回動自在に支持されたワーク保持部材と、このワーク保持部材を前記支持部材に対して位置固定する位置固定機構とを備えるため、少ない移動駆動源でワーク保持部材を3軸方向に移動させることができ、しかも小さな移動駆動源で軽快な移動動作が可能である。
【0014】
前記第1および第2の走行体を前記レールに沿って互いに同じ速度で同方向に走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記X軸方向に移動させ、前記ワーク保持部材のスライド位置を固定し、かつ前記第1および第2の走行体を前記レールに沿って逆方向に走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記Y軸方向に移動させ、前記第2の揺動アームの角度を固定し、かつ前記第1の走行体を前記レールに沿って走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記Z軸方向に移動させる場合は、各部の簡素な動作でワーク保持部材を3軸方向に移動させられる。
【0015】
前記位置固定機構は、摩擦力により前記ワーク保持部材を前記支持部材に対して位置固定するブレーキ機構とした場合は、このワーク搬送装置の一構成要素である支持部材に対して、同じく一構成要素であるワーク保持部材を任意の位置で位置固定させることができる。
【0016】
前記ワーク保持部材が、ワークを着脱自在に把持するチャックを有する場合は、工作機械に対してワークを搬送する装置に適する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施形態にかかるワーク搬送装置の斜視図である。
【図2】(A),(B)は同ワーク搬送装置のそれぞれ異なる状態を示す正面図である。
【図3】(A),(B)は同ワーク搬送装置のそれぞれ異なる状態を示す平面図である。
【図4】同ワーク搬送装置の側面図である。
【図5】同ワーク搬送装置のチャック機構の破断側面図である。
【図6】同ワーク搬送装置のアーク角度固定機構の平面図である。
【図7】同ワーク搬送装置の位置固定機構の断面図である。
【図8】同ワーク搬送装置のワーク保持部材をY軸方向に移動させる場合の動作説明図である。
【図9】同ワーク保持部材をZ軸方向に移動させる場合の動作説明図である。
【図10】(A)は同ワーク搬送装置を工作機械のワーク搬送用に用いた状態を示す正面図、(B)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。全体を示す図1〜図4の各図に示すように、このワーク搬送装置1は、水平に設置された1本のレール2に沿って吊り下げ状態で走行する第1および第2走行体3,4と、各走行体3,4にそれぞれ上端が支持された第1および第2揺動アーム5,6と、前記第1の揺動アーム5の下端に直接かつ前記第2の揺動アーム6の下端に支持部材7を介して間接的に支持されたワーク保持部材8とを備える。以下、レール2の長さ方向をX軸方向、水平でレール2の長さ方向と直交する水平方向をZ軸方向、鉛直方向をY軸方向とする。
【0019】
図5に示すように、ワーク保持部材8は、下端に下向き姿勢および横向き姿勢の2つのチャック10,10を有し、これら2つのチャック10,10を姿勢切換機構11により下向きと横向きとに姿勢切換する。姿勢切換機構11について説明すると、上記2つのチャック10,10は、ワーク保持部材本体12に対して傾斜軸心O回りに回動自在な回転体13に設置されており、回転体13の180°の回転により、互いの位置(すなわち互いの姿勢)が切換えられる。回転体13は、モータ等の姿勢切換用駆動源14により回転させられる。各チャック10は、エアシリンダ等のチャック開閉駆動源により、チャック爪10aの開閉動作が可能である。これら回転体13および姿勢変更用駆動源14により、姿勢切換機構11が構成される。
【0020】
図1〜図4において、前記レール2は、その底面にX軸方向に延びる一対の凸条ガイド16が形成されており、この一対の凸条ガイド16に、第1および第2の走行体3,4に設けられた各被案内部材17,18が案内される。図4の部分拡大図に示すように、被案内部材17,18は、転がり形式の直動軸受であって、その内部に無端軌道に沿って複数の転動体19が配列されており、これら転動体19が凸条ガイド16の側面溝部16aに沿って転動しながら循環することにより、被案内部材17,18がX軸方向に転がり移動する。
【0021】
第1の走行体3を走行させる第1の走行駆動源23、および第の走行体4を走行させる第2の走行駆動源24は、リニアモータである。これらリニアモータである第1および第2の走行駆動源23,24は、レール2にX軸方向に等間隔で並べて設けられた複数のコイル25と、各走行体3,4のそれぞれに上記コイル25に対向させて設けられプレート状の永久磁石26,27とで構成される。永久磁石26,27は隣合うコイル25に同時に対向することができるX軸方向の長さを有し、かつ各走行体3,4が最接近した状態(図3(B))でも、それぞれの永久磁石26,27が同じコイル25と対向することがないように、永久磁石26,27が配置されている。各コイル25に順に電流を流して磁場を変化させることで、永久磁石26,27およびそれを設けた走行体3,4がX軸方向に移動する。各コイル25への通電を制御することにより、各走行体3,4を個別に走行させることができる。
【0022】
前記第1の揺動アーム5は、上端に対して下端をZ軸方向にずらしてある。すなわち、下端はレール2よりも前方(図4における右方)に位置している。第1の揺動アーム5の上端は、継手部30により、第1の走行体3の底面に設けたブラケット31に、X軸方向の軸心およびZ軸方向の軸心の2つの軸心回りに揺動自在に支持されている。第1の揺動アーム5の下端は、継手部32により、ワーク保持部材8に設けたブラケット33に、X軸方向の軸心およびZ軸方向の軸心の2つの軸心回りに回動自在に連結されている。上記継手部30,32は、例えば球面継手とされるが、X軸方向の軸心回りに回動自在な継手とZ軸方向の軸心回りに回動自在な継手を組み合わせたものであってもよい。
【0023】
前記第2の揺動アーム6も、上端に対して下端がZ軸方向にずらしてあり、下端がレール2よりも前方に位置している。第2の揺動アーム6の上端は、継手部35により、第2の走行体4の底面に設けたブラケット36に、Z軸方向の軸心回りに揺動自在に支持されている。継手部35には、第2の揺動アーム6の角度を固定するアーム角度固定機構37が設けられている。このアーム角度固定機構37は、例えば図6に示すように、第2の揺動アーム6の上端と一体回動する回動軸38にブレーキディスク39を設け、このブレーキディスク39を一対のブレーキパッド40で挟み付けて摩擦力により制動する構成とされる。一対のブレーキパッド40は、アーム角度固定駆動源41により挟み付け作動させられる。アーム角度固定駆動源41は、例えば、コイル41aに電流を流して電磁作用で駆動させる。
【0024】
第2の揺動アーム5の下端は、継手部43により、Z軸方向の軸心回りに回動自在に前記支持部材7と連結されている。支持部材7にはZ軸方向に沿うガイド44が形成されており、このガイド44に、ワーク保持部材8の上端に設けたスライド部材45がスライド自在に案内される。図7に示すように、スライド部材45には、ワーク保持部材8を支持部材7に対して位置固定する位置固定機構46が設けられている。この位置固定機構46は、摩擦板47をガイド44に押し付けることで摩擦力により制動するブレーキ機構である。摩擦板47は、スライド部材45の上面に設置された位置固定駆動源48により作動させられる。位置固定駆動源48は、例えば、コイル48aに電流を流して電磁作用で駆動させる。
【0025】
このワーク搬送装置1の動作を説明する。ワーク保持部材8をX軸方向へ移動させる場合は、第1の走行駆動源23および第2の走行駆動源24により第1および第2の走行体3,4をレール2に沿って互いに同じ速度で同方向に走行させる。これにより、第1および第2の走行体3,4、第1および第2の揺動アーム5,6、支持部材7、およびワーク保持部材8が同じ位置関係に保たれたまま、全体的にX軸方向へ移動する。
【0026】
ワーク保持部材8をY軸方向へ移動させる場合は、図8に示すように、位置固定機構46によりワーク保持部材8のスライド位置を固定した状態で、第1および第2の走行体3,4をレール2に沿って同じ速度で逆方向に走行させる。図8(A)〜(C)の順で、第1および第2の走行体3,4を互いの間隔が狭まる側へ走行させると、第1および第2の揺動アーム6,7が下方へ回動し、ワーク保持部材8が下降する。逆に、第1および第2の走行体3,4を互いの間隔が広がる側へ走行させると、第1および第2の揺動アーム6,7が上方へ回動し、ワーク保持部材8が上昇する。ワーク保持部材8は、図2(A)の最上位置Y1と同図(B)の最下位置Y2間を昇降可能である。
【0027】
ワーク保持部材8をZ軸方向へ移動させる場合は、図9に示すように、アーム角度固定機構37により第2の揺動アーム6の角度を固定した状態で、第1の走行体3をレール2に沿って走行させる。第2の走行体4は停止状態とする。このように作動させると、第2の揺動アーム6の角度が固定されて、第1の揺動アーム5のZ軸方向の軸心回りの回動が拘束されているため、第1の揺動アーム5はX軸方向の軸心回りに回動する。それにより、支持部材7に対しワーク支持部材8がスライドして、ワーク支持部材8がZ軸方向へ移動する。具体的には、図9(A)〜(C)の順で、第1の走行体3を第2の走行体4から離れる側へ走行させると、ワーク支持部材8が後方へ移動し、第1の走行体3を第2の走行体4に近づく側へ走行させると、ワーク支持部材8が前方へ移動する。ワーク保持部材8は、図3(A)の最後位置Z1と同図(B)の最前位置Z2間を前後移動可能である。
【0028】
このワーク搬送装置1は、第1の走行駆動源23および第2の走行駆動源24の2つの移動駆動源で、ワーク保持部材8を直交する3軸方向、すなわちX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動させることができる。また、第1の走行駆動源23および第2の走行駆動源24において大きな重量を占める部材であるコイル25が固定部材であるレール2に設けられているため、走行体3,4よりも先の移動部分に移動駆動源を設けずに済む。そのため、移動部分の軽量化が図れ、出力の小さな走行駆動源23,24でも走行体3,4を軽快な走行させることができる。それにより、ワーク保持部材8の昇降および前後移動も軽快に行える。なお、アーム角度固定駆動源41および位置固定駆動源49は、アーム角度固定機構37や位置固定機構46を作動状態と非作動状態とに切り替えるだけであるため、小型で簡素な駆動源を用いることができる。そのため、移動駆動源を増やす場合に比べて、前記移動部分の重量増加が少ない。また、位置固定機構46とその位置固定駆動源49を電磁ブレーキとしたため、位置固定機構46を制御し易く、任意のスライド位置で正確に動作させられる。
【0029】
図10は、このワーク搬送装置1を工作機械に対してワークを搬送するローダとして使用する例を示す。この図例では、工作機械50が旋盤であり、ワーク搬送装置1は、工作機械50の主軸51とワーク載置台52間でワークWを搬送する。この場合、X軸方向は、工作機械50とワーク載置台52が並ぶ方向であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は主軸51の方向である。複数の工作機械50が並んで設けられている場合は、X軸方向を工作機械50の並び方向とする。ワーク搬送装置1のワーク保持部材8が、ワークWを着脱自在に把持するチャック10を有しているため、図のようにワーク搬送装置1をローダとして使用すると、工作機械51の主軸51とのワークWの受け渡し、並びにワーク載置台52でのワークWの付け外しを良好に行える。
【0030】
なお、上記実施形態のワーク搬送装置1は、第1および第2の走行体3,4が同じレール2に沿って走行するが、各走行体3,4が互いに平行な別々のレールに沿って走行するようにしてもよい。
【0031】
この発明のワーク搬送装置は、工作機械用ローダ以外に、例えば工場や物流施設内に設置される無人搬送装置等のワークを搬送する搬送装置一般に用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…ワーク搬送装置
2…レール
3…第1の走行体
4…第2の走行体
5…第1の揺動アーム
6…第2の揺動アーム
7…支持部材
8…ワーク保持部材
10…チャック
23…第1の走行駆動源
24…第2の走行駆動源
37…アーム角度固定機構
41…アーム角度固定駆動源
46…位置固定機構
48…位置固定駆動源
50…工作機械
W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X,Y,Z軸の直交座標系において、X軸方向のレールに沿ってそれぞれ走行可能な第1および第2の走行体と、前記第1の走行体に前記X軸方向の軸心および前記Z軸方向の軸心の2つの軸心回りに揺動自在に支持された第1の揺動アームと、前記第2の走行体に前記Z軸方向の軸心回りに揺動自在に支持された第2の揺動アームと、この第2の揺動アームの角度を固定するアーム角度固定機構と、前記第2の揺動アームの先端に前記Z軸方向の軸心回りに回動自在に支持された支持部材と、この支持部材に前記Z軸方向に沿ってスライド自在に支持され、かつ前記第1の揺動アームの先端に前記X軸方向の軸心および前記Z軸方向の軸心の2つの軸心回りに回動自在に支持されたワーク保持部材と、このワーク保持部材を前記支持部材に対して位置固定する位置固定機構とを備えることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記第1および第2の走行体を前記レールに沿って互いに同じ速度で同方向に走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記X軸方向に移動させ、
前記ワーク保持部材のスライド位置を固定し、かつ前記第1および第2の走行体を前記レールに沿って逆方向に走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記Y軸方向に移動させ、
前記第2の揺動アームの角度を固定し、かつ前記第1の走行体を前記レールに沿って走行させることによって、前記ワーク保持部材を前記Z軸方向に移動させる、
請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記位置固定機構は、摩擦力により前記ワーク保持部材を前記支持部材に対して位置固定するブレーキ機構である請求項1または請求項2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
工作機械に対してワークを搬送する装置であって、前記ワーク保持部材は、ワークを着脱自在に把持するチャックを有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−125950(P2011−125950A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286198(P2009−286198)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】