説明

三次元の変形可能なモデルを三次元の物体の略管状の面に自動的に適合させる画像処理方法

本発明は画像処理の方法に係る。該方法は、3Dの管状の関心対象物の画像を得る段階と、管状の関心対象物の中心線に対応する3Dパスを算出し3Dパス上のセグメントを定義する段階と、3Dパスの長さと同一の長手方向軸に沿って定義された長さを備えたいかなる種類のメッシュでもある、最初の真っ直ぐで変形可能な円筒形のメッシュモデルを作る段階と、最初のメッシュモデルを3Dパスの異なるセグメントに関連した長さのセグメントに分割する段階と、メッシュの各セグメントに関し、メッシュの最初の方向を3Dパスの関連するセグメントの方向に変換する剛体変換を算出する段階と、かかる変換をセグメントに対応するメッシュの頂点に適用する段階とを有する。該方法は、3Dパスの局所的曲率、パスの点のサンプル距離、及び所定の入力半径に従って、円筒形の変形可能なメッシュモデルの半径を適合又は調整することによって、管状の変形可能なメッシュモデルの屈曲領域での自己交差と、メッシュモデルの1つのセグメントを他のセグメントへ変更する鋭い半径の変化を防ぐ段階を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像における物体の略管状の面に三次元(3D)の変形可能なメッシュモデルを自動的に適合させる画像処理方法に係る。本発明は、三次元画像で三次元の管状の物体の分割の方法に適用し、三次元の別個の変形可能なモデルを前述の三次元の管状の物体に適合させる操作をしばしば有する。本発明は更に、結腸又は動脈等の体器官である物体の分割は、臓器の病状を研究又は検出をするようにされた物体の分割に関して、医療用画像装置若しくはシステムに、又は、それらの装置若しくはシステムによって作られた医療用三次元画像を処理するプログラムに係る。本発明は、医療用画像検査方法の分野、プログラム、及び、装置又はシステムにおいて、特定な用途を見つける。
【背景技術】
【0002】
3D物体のかたどりの技術は、既に、「processing of the International Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR'94)、1994年6月20日−24日、米国シアトル」会議での出版物「Simplex Meshes: a General Representation for 3D shape Reconstruction」(非特許文献1)で、H. Delingetteによって開示される。かかる文献では、三次元の物体を再生する物理的なアプローチが提起される。かかるアプローチは、「単一メッシュ(Simplex Mesh)」の形状に基づく。メッシュの弾性的挙動は、各頂点(メッシュの結節)で抽出された単一角度を介して平均曲率を制御する、局所的安定化機能によってかたどられる。それらの機能は、視座が不変であり、内因性で、スケール依存である。単一メッシュは、不変の頂点持続性を有する。3D面を示すには、双単一メッシュ(two−Simplex Mesh)と呼ばれる単一メッシュが使用され、各頂点が3つの近接する頂点と接続される。単一メッシュの構造は、非特許文献1に関し図1が例示する通り、三角形の構造に対して二元的である。単一メッシュの輪郭は、閉多角形鎖として定義され、単一メッシュ上の近接する頂点から構成される。4つの独立した変換は、可能なメッシュ変換の全範囲を達成するよう定義される。それらは、面でのエッジ部の挿入又は削除にある。単一メッシュの説明は、また、平面形状で使用される角度を一般化した単一角度の定義と、頂点が他の2つの近接する頂点に対してどのように位置づけられるかを説明する測定パラメータの定義を有する。各頂点のダイナミックは、ニュートンの運動の法則によって与えられる。変形とは、形状が平滑になるようにさせる力、及び、メッシュを3Dの物体に近づけさせる力を示す。内力は、外的制約に対する物理的なモデルの応答を決定する。内力は、それらが内因性の視座が不変でスケール依存であるように表される。類似した種類の制約は、輪郭を維持する。従って、引用された文献は、所定の3D物体を示すよう単純なモデルを与える。力は、関心対象の3D物体上でモデルを再形成し調整するよう、適用されると定義される。
【0003】
医療用画像においては、結腸又は動脈等の管状の器官を分割することが頻繁に求められる。離れた変形可能なモデルに基づく分割は、研究された器官の直径又は容量等の臨床的指標の抽出を可能にする。問題が起きるのは、双単一メッシュと称される種類のモデル、三角形メッシュ、又は他のいかなる種類のアクティブ輪郭のモデルに関わらず、離れた変形可能なモデルが、非常に多くの屈曲部を示すかかる管状の器官に適合しなければならないときである。かかる屈曲部は、小さい又は大きい曲率半径によって定義された異なる曲率を有し得る。
【非特許文献1】H. Delingette、「Simplex Meshes: a General Representation for 3D shape Reconstruction」、(米国)、1994年6月20日−24日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、変形可能なモデルを作る画像処理方法を提案することを目的とする。モデルは、双単一メッシュ又は三角形メッシュ又は他の種類のメッシュを備え、指定された一式の点で構成された以前に定義付けられた3Dパスを適合させる管状の構造を有する。かかる3Dパスは、関心対象の物体、即ち屈曲部を示す管状の器官の中心線に対応し得る。従って、前出の3Dパスは、全ての種類の曲率を示す。
【0005】
本発明は更に、3Dの変形可能な管状モデルを、異なる屈曲部を示す関心対象の管状の物体の3D面へ自動的にマッピングする、画像処理方法を提案することを目的とする。関心対象の物体は、グレーレベルの3D画像で示され得る。かかる方法は、分割する関心対象の管状の物体の中心線に対応する3Dパスを算出する段階と、前出の3Dパスのセグメントを定義付ける段階と、3Dパスの長さと同一の長手方向軸に沿って定義された長さを備えた最初の真っ直ぐで変形可能な円筒形のメッシュモデル、又は他のいかなる種類のメッシュを作成する段階と、かかる最初のメッシュモデルを3Dパスの異なるセグメントに関連する長さのセグメントに分割する段階と、メッシュの各セグメントに関しメッシュの最初の方向を3Dパスの関連するセグメントの方向に変換する剛体変換を算出する段階と、この変換をセグメントに対応するメッシュの頂点に適用する段階と、を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、主要な問題は、3Dの2つの連続するセグメントの間の方向が素早く変化するとき、3Dパスの屈曲部によるメッシュモデルの自己交差の潜在的な出現にある。
【0007】
本発明は、変形可能なメッシュモデルの自己交差を制限することができる画像処理方法を提案することを目的とする。自己交差を制限するにあたり、提案された方法は各セグメントに対して固有の変換を使用しないが、その代わりに、提案された方法は、続くセグメントに関連した変換を算出する段階を有し、変換は2つの連続するセグメントの間で融合される。この技術は、3D剛体変換融合と称される。回転がセグメントの方向に従うよう使用されるとき、線形補間が、回転融合の2つの回転の間で使用され得る。1つの3D剛体変換から他へのかかる線形補間は、四元数の形式主義を使用して解決され得る。
【0008】
かかる3D剛体変換融合の技術の利点は、提案された方法に従ったメッシュモデルの作成が、他の種類のものよりもメッシュモデルの種類を与えることを必要としないことである。提案された方法は、双単一メッシュ、三角形メッシュ、又は他の種類の変形可能なモデル等のいかなる種類のメッシュモデルにも適用され得る。
【0009】
1つのセグメントから他のセグメントへの3D剛体変換の線形補間は、自己交差を完全に防ぐのに常に十分ではない。明らかに、かかる自己交差もまた、3Dパスの局所的曲率と作られた離れている変形可能なモデルの所望される半径との間の関係に依存する。後者が曲率の局所的な半径より大きい場合は、自己交差が発生する。
【0010】
本発明は、屈曲部を示す管状の離れたモデルの領域で可能性のある自己交差を防ぐことが出来る画像処理方法を提案することを目的とする。本発明の方法は、局所的曲率に従って、円筒形の変形可能なモデルの半径を調整する段階を有する。最初に、ターゲットである3Dパスは、単なる点のリスト異常のもではあり得ないため、局所的曲率が概算される。続いて、メッシュモデルの半径は、曲率の機能で限定される。しかしながら、モデルの1つのセグメントから他のセグメントへの急な半径の変化を避けるよう、線形融合、又は、1つの半径から他への双三次スプライン補間等の半径調整の技術が、メッシュモデルの半径に適用される。
【0011】
半径調整のかかる技術の利点は、メッシュモデルの表面が、半径調整によって得られた限定された半径の部分において、いかなる断続も示さないことである。面は、所定の半径の一部分から限定された半径の他の部分まで平滑である。従って、メッシュモデルは変形されない。半径調整のかかる技術の他の利点は、関心対象の複雑な器官の改善された分割を多数の折畳みが映像化又はかかる器官の全部分を追うことを難しくし得る領域において、可能にすることである。映像化は改善される。
【0012】
半径調整のかかる技術の他の利点は、メッシュモデルの半径が限定されるため、提案された方法に従ったメッシュモデルの作成が、屈曲部の自己交差部分への切断の適用を必要としないことである。切断という防がれた代替案は、当業者は自己交差する屈曲部の部分に適用することを知っている種類の操作である。かかる切断は、自己交差を防ぐ一解決方法であるが、曲率の領域での情報の抑圧及び不自然な突然の折畳み等の問題点を示し、それらを本発明が防ぐ利点を有する。
【0013】
更に他の問題は、上述の変換の連続性制御の欠落であり得、モデルのメッシュ捩れとして見られ得る。
【0014】
本発明は更に、メッシュ捩れを最低限化することが出来る画像処理方法を提案することを目的とする。メッシュ捩れは、剛体変換の2つの連続する回転の間の距離が最小限であるときに、最低限化される。提案された方法は、最初のメッシュ方向からターゲットセグメントへの最小限の3D回転を算出する段階を有する。この回転は、軸のパラメータ及び回転角度のパラメータに沿って定義される。提案された方法は、これらのパラメータを一セグメントから他へ反復して算出する段階を有するため、最新のセグメントの新しい回転は、以前のセグメントに見つけられた回転と、以前及び最新のセグメントからの最小限の回転との複合として算出される。
【0015】
提案された画像処理方法の主要な特徴は、請求項1に記載される。本発明の方法は、望ましくは、管状の体器官の三次元医療画像の分割に適用され得る。本発明はまた、3D画像処理手段を有する医療用検査撮像装置に係る。医療用撮像装置は、撮像手段を有するいずれの3D医療用検査装置でもあり得る。本発明は、更には、方法を実行するプログラム又はプログラム・パッケージに係る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、以下の図面を参照して下文に説明される。
【0017】
本発明は、グレーレベルで示される三次元(3D)デジタル画像等に適用される画像処理方法に係る。画像は、関心対象の物体とされる器官のノイズのある三次元面を示し得る。ユーザが関心対象の物体を例えば背景に対してよりよく見えるにするよう、かかる物体は分割される。分割された画像によって、ユーザは、器官の異常又は病気をよりよく研究又は検出できる。本例では、関心対象の物体は、結腸又は動脈又は気管支等の管状の器官である。三次元の画像が得られる方法は、本発明の一部ではない。分割の方法は、超音波システム若しくはX線装置によって、又は当業者に既知である他のシステムによって得られ得る器官の三次元デジタル画像に適用され得る。
【0018】
三次元の管状である関心対象の物体を示す三次元画像の獲得後、前出の画像は分割される。画像分割方法は、アクティブ輪郭と称される3Dの変形可能なモデルの活用に基く。本発明によれば、3Dの変形可能なモデルを作成するいかなる技術も、限定無く使用され得る。分割の操作は、3Dの変形可能なモデルを、結腸又は動脈等の3Dの略管状である関心対象の物体にマッピングすることにある。本例では、関心対象の物体は、多数の屈曲部を有する複雑な管状形を示す。
【0019】
アクティブ輪郭のフィールドでは、最初のメッシュモデルが与えられなければならない。メッシュモデルのいかなる任意形状からも開始することが常に可能であるとしても、分割されるべき器官の望ましい形に形が近いメッシュモデルから開始したほうがより着実でより早い。本発明によれば、単一メッシュと称される種類の最初のメッシュモデル、三角形メッシュ、又はメッシュモデルの他の種類を作成することが提案され、一組の指定された点が形成する3Dパスを適合させる管状構造を伴うようにされる。この方法は、長く真っ直ぐな円筒の作成に基づき、円筒は同様に3Dパスを適合させるよう屈曲又は変形される。
【0020】
困難な点は、形の複雑性を鑑みると、かかる管状の体器官の複雑な形の面全体を最終的に正確にマッピングするよう、真っ直ぐな最初の管状の変形可能なモデルを適切に変形する作業にある。
【0021】
1) 管状のメッシュモデルを作る段階:
図1によれば、血管又は結腸等の管状構造の分割は、最初に3DパスPを作ることを有する。かかる3Dパスは、有利には、かかる管状構造に対応する器官の中心線であり得る。かかる3Dパスの作成は、当業者には既知であるパス・トラッキング技術を使用して実施され得、管状構造に関連する一組の指定された点を与えるようにされる。本発明によれば、3DパスPは、管状のメッシュモデルに転用される。最初のメッシュモデルは、円筒形のメッシュモデルである。かかる最初の円筒形のメッシュモデルは、管状の器官構造のデータに向かって変形される。これに関して、従来技術の出版物(Delingette)にある通りメッシュモデルを直接物体の面とともに初期化する代わりに、3DパスP等からメッシュモデルを初期化するよう機能性が必要とされる。
【0022】
冒頭で述べた通り、管状構造を分割しようとする用途はいずれも、管状形を有する最初のメッシュモデルから利益を得ると考えられる。パス・トラッキングのツールは、既に当業者には既知であるため、ツールは、分割されるべき関心対象の管状の物体の中心線等の関心対象の物体に関連する点の線を決定するよう使用され得る。かかる3DパスP又は中心線は、メッシュモデルの初期化工程を信頼性高く案内することができ、より早いだけではなくより堅固な環状構造用の分割ツールをもたらす。
【0023】
本発明によれば、解決すべき問題は、分割されるべき管状の器官を適合させる管状のメッシュモデルの作成である。問題である異なる入力は以下の通りである:
1) 3DパスPに沿ってある点のソートされたリスト。これらの点の規則性及び間隔に概算は求められないが、かかる制約が平滑なメッシュモデルを得る十分な助けとなり得ることが更に明示されるであろう。
【0024】
2) 円筒形の半径r。
【0025】
3) セルの分解、即ち「セルの再分割の数」。
【0026】
自然出力はメッシュ構造である。
【0027】
図1によれば、円筒の基本形を作成する機能性が提案される。この機能性は、予め定義された参照符号Ox,Oy,Ozでできたz軸に沿って、最初の円筒形のメッシュモデルの円形断面上にある一組の点を作成する段階と、続いて単一メッシュ構造を作成するよう一連の点を全てつなげる段階と、最後に、最初はz軸上に整列された作成された円筒を望ましい3D位置まで動かすよう剛体変換を適用する段階とを有する。一般化された円筒と称される3Dの可撓の管を作成するにあたり、本発明の方法は、真っ直ぐの円筒から開始する段階を有し、円筒はz軸上に整列され、3Dターゲット・パスPの全長と同一である長さsを有する。続いて、かかる方法は、所定の3Dパスを適合させるよう、かかる円筒を弾性的に歪める段階を有する。
【0028】
図1によれば、本方法はまず、
3Dパスは分割される関心対象の管状の物体の中心線である等の、関心対象の管状の物体に関連する3Dパスを算出する段階と、
かかる3Dパス上のセグメントを定義付ける段階と、
最初の真っ直ぐで変形可能な円筒形のあらゆる種類のメッシュモデルを、3Dパスの長さと同一の長手方向軸に沿って定義された長さを備えて作成する段階と、
かかる最初のメッシュモデルを3Dパスの異なるセグメントに関連する長さのセグメントに分割する段階と、
メッシュの各セグメントに関し、メッシュの最初の方向を3Dパスの関連するセグメントの方向に変換する剛体変換を算出する段階、及び、かかる変換をセグメントに対応するメッシュの頂点に適用する段階と、
を有する。
【0029】
真っ直ぐの円筒の開始位置がz座標0になるよう選択された場合、各円筒の点のz座標は、3Dパスの弦長パラメータ化と一致して使用され得る。パスの各位置p(s)に関し、局所的タンジェントの方向u(s)が決定される。続いて、sと同等のz座標を有する円筒の点は、p(s)から出た平面へとゆがめられ、u(s)に対して直交する。これらの基本的な操作は、図1に例示される。
【0030】
しかしながら、いくつかの不適切な点が起こり得る。
【0031】
まず、例えば、ポリラインのパスの2つの連続するセグメントの間に大きな角度があるために3Dパスが滑らかではない場合は、ゆがめられた円筒は自己交差し得、望ましくない自己交差するメッシュをもたらす。このように、主要な問題は、2つの連続するセグメントの間の方向が急激に変化したときの自己交差の潜在的な出現である。
【0032】
続いて、z軸をu(s)の向きに一致させる剛体変換の選択がされたとき、これは結果もたらされるメッシュの望ましくない捩れにつながり得る。このように、他の問題は、変換中にメッシュの捩れとして見られ得る持続性制御の欠如である。
【0033】
2)自己交差を制限又は防止すること:
自己交差の第1の原因は、ポリライン・パスの2つの連続するセグメントの間の方向u(s)の急速な変化である。局所的タンジェントu(s)とz軸との間の参照符号θで示される角度が座標で示される場合、図2に示す階段型の階段状カーブが得られる。階段は、水平方向のセグメントA,B,...であり、図2中、実線で示される。かかる角度θは、図1に示される通り、各円の剛体変換を算出するよう直接使用されるため、階段の効果の低減は自己交差を妨げるのに役立つ。
【0034】
図2によれば、階段の効果を低減させるよう、捩れを行うための算出された回転は、3Dパスのセグメント「A」に対応し、一定であり、z=0とz=1との間に位置付けられた全ての円は、同一の3D回転で回転される。同様に、セグメント「B」に対応する、即ち範囲[1..2]内のz座標を有する全ての円は、同一の剛体変換を伴って動く。3D回転角度だけではなく、回転角度と同様に回転軸も算出されなければならず、回転軸はs座標に沿って区分的に一定であることが留意されるべきである。
【0035】
2a)線形融合を使用することによって自己交差を制限する:
自己交差は、固有の変換が各セグメントに適用されない場合に防止され得る。その代わりに、変換は、2つの回転の間の線形補間を使用して2つの連続するセグメントの間に融合される。1つの3D剛体変換から他の3D剛体変換へのかかる線形補間は、四元数の形式主義を使用して容易に解決され得る。従って、本発明によれば、自己交差を制限するよう、方法は、各セグメント間の3D変換を線形に融合する段階、即ち、セグメントA,B等で形成された階段状カーブを、図2中点線で示される連続するカーブによって取り替える段階を有する。この線形融合は、四元数(Q及びQで示す)として3D回転を考慮することによって達成される、(1)に示される形の四元法算法を伴う:
(1)
【0036】
【数1】

式(1)中、θは回転アングルであり、(u,u,u)は回転軸である。融合自体は、真っ直ぐに、2つの四元数Q,Qの正規化された線形の組合せである:
(2)
【0037】
【数2】

非線形融合は、調査され得る。しかし、例えば管状器官分割では、線形融合は十分安定していることが証明された。
【0038】
図3A及び図3Bは、8個の点のみ含有する3Dパス上の回転融合の効果を示すものであり、1つのセグメントから他のセグメントへ非常に大きな角度変更を有する。図3A中、3D回転融合は無く、1a,2a,3a等の結節点において異なる円が交差し、生成された単一メッシュはいくつかの自己交差を含む。図3B中、回転の線形融合によって、異なる円が一方向から次の方向へと平滑に変形され、結果的に、点1b,2b,3bに見られる通り、より定まったメッシュがもたらされる。
【0039】
2b)自動半径調整によって自己交差を防止する。
【0040】
1つのセグメントから他のセグメントへの3D剛性変換の線形融合は、自己交差を避けるように常に十分であるわけではない。明らかに、かかる自己交差もまた、3Dパスの局所的曲率と作られたメッシュの所望される半径との間の回転に依存する。後者が曲率の局所的半径より大きい場合、曲率の半径が曲率に反比例することは判明しているため、曲率が高いときには後者は小さく、続いて自己交差が発生する。このように、s座標に沿った剛体変換の平滑な進化が、上述された線形融合の操作によって保証される場合、なんらかの自己交差がまだ発生し得る。最初の円筒のrで示される半径と、2つの連続する個別の円の距離と、3Dパスのcで示される曲率との間にある関係は、かかる自己交差の作成に影響を及ぼす。非常に曲がったパスで大きな半径rを備えた円筒をゆがめようとすると、なんらかの深刻な問題が起きるであろう。それ故に、非常にカーブしたゾーンで円筒の直径を局所的に自動的に低減することが望ましい。本発明によれば、メッシュの半径は、曲率及び点のサンプル距離、及び所望される入力半径に基づき、自動的に適合される。3Dパスの曲率はいずれの点でも算出され得るという条件で、3D回転と組み合わされた縮小要因が計算され、相似変換につながる。本発明は器官に関わるため、与えられたポリラインは、単純な概算を使用するのに十分に平滑であることが予測される。3Dパスの曲率座標s=tで曲率c(t)が以下のと通り算出される。
【0041】
(3)
【0042】
【数3】

式(3)中、パスの一次及び二次導関数は、(4)及び(5)の公式で推定される。
【0043】
(4)
【0044】
【数4】

(5)
【0045】
【数5】

これは、各セグメントの長さがゼロに近く、それらが非常に均一であるときにのみ、有効である。かかる小さな規則性の問題を解決し、推定される曲率の大きな変化を避けるため、曲率値のガウス・フィルタが適用され得る。最後に、3Dパスの各点の算出された曲率値は、円筒の異なる円に対する縮小要因を適用するよう使用される。kで示されるかかる縮小要因は、最初の円筒の半径r及び1/cと等しい3Dパスの曲率の推定半径に依存する:
(6)
【0046】
【数6】

状況に応じて、上述の回転融合と同様に、縮小要因はもまた融合され得る。半径調整の技術は、
(7)
【0047】
【数7】

に基づいて線形融合を使用し得、
(8)
【0048】
【数8】

であるか、又は、かかる半径調整の技術は、双三次スプライン補間を使用し得、uはvによって交換されるため、
(9)
【0049】
【数9】

となる。
【0050】
図5は、算出された曲率嬢の双三次保管の一例を図示する。曲線を成す座標sは、セグメントのインデックスに関連する。太線は、曲率1/cの半径のいくつかのサンプル値を表し、参照符号cは、s=0乃至s=5の位置で算出された曲率である。細い線で示されるカーブは、これらのまばらなデータの双三次補間を図示する。直線のものと比較してここで双三次補間を使用する利点は、機能が、連続する導関数(結節点でのタンジェントは水平である)を有することであるため、円筒の半径の変化はよりゆっくりと行なわれる。
【0051】
これらの予防措置後もまだ自己交差がある場合は、従来技術に説明された変換に関連して冒頭部分で説明した通り、アクティブな輪郭アルゴリズムの内力を伴った自動的なメッシュ修繕及び平滑化が適用され得る。
【0052】
図6A及び図6Bは、自動的な半径調整の利点を例示する。図6A及び図6Bは、結腸でのパスからのメッシュ作成の一例を図示する。図6A中、メッシュモデルは半径調整を使用することなく作成され、結腸のメッシュは底部10aで自己交差し、3Dパスは非常に蛇行する。また、他の領域の屈曲部によって隠されている結腸のいくつかの領域を映像化するのは非常に困難である。図6B中、メッシュモデルは半径調整アルゴリズムを使用して作成され、自己交差は10bで示される通り非常に低減される。しかしながら、結腸の一般的な形は、制限された半径の領域で摂動されない。11a等の他の部分では、図6Aと図6Bとの間で半径は変化しない。制限された半径の領域では、結腸の異なる領域の映像化及び追跡は、非常に向上する。
【0053】
3)最低限の捩れを課す:
メッシュの捩れは、2つの連続する回転、即ち剛体変換の距離が最低限であるときに最低限化される。3D回転は、z軸である最初のメッシュ方向から目標であるセグメントu(s)までの最低限の回転として算出される。この回転は、軸R=z^u(s)及び角度θ=(z,u(s))を伴って定義される。本発明によれば、軸R及び角度θによって構成されるパラメータは、1つのセグメントから他のセグメントへ反復して算出される。従って、かかる方法は、以前のセグメントu(s)に見つけられた回転と以前のセグメントu(s)から最新のセグメントu(s+1)への最低限の回転との複合として、最新のセグメントu(s+1)の新しい回転を算出する段階を有する。実際、z軸を3Dパスの局所的タンジェントであるu(s)方向にマッピングする固有な3D剛体変換は無い。並進が必要な場合は、かかる併進を算出するのは容易である。しかし、真の問題は、
【0054】
【数10】

ベクトル(0,0,1)を
【0055】
【数11】

へと変換する3D回転を見つけることである。最も単純な回転は、
【0056】
【数12】

まで低減される軸の周囲での回転であり、以下の式、
(10)
【0057】
【数13】

で表される。回転角度θは、以下の式、
(11)
【0058】
【数14】

で表される。単純性を要求され得るかかる回転は、以下の式、
(12)
【0059】
【数15】

で表され、
【0060】
【数16】

ベクトルを
【0061】
【数17】

方向へマッピングする。しかし、
【0062】
【数18】

に追随されるz軸周囲の回転(z軸には触れないまま)で構成された他の回転も同様にマッピングする。それにもかかわらず、1つの回転のみが、最低限の変位の条件を充たし、正確に
【0063】
【数19】

である。問題は、
【0064】
【数20】


【0065】
【数21】

との間では、
【0066】
【数22】

から
【0067】
【数23】

への各段階の間よりも、最低限の根実施例が見つからないという事実に留意しなければならないことである。従って算出されるべき回転は、
【0068】
【数24】

ほど容易ではないが、以下の式、
(13)
【0069】
【数25】

で表される付加的な複合に対応し、式(13)中、
【0070】
【数26】

は、
【0071】
【数27】

から
【0072】
【数28】

への最低限の回転のマッピングを指定する。
【0073】
図7A及び図7Bは、最低限の捩れを課することを例示する。図7Aは、z軸とu(s)との間の最低限の回転のみを使用してメッシュを作成する一例を図示する。図7Bは、z軸とu(s)との間の最低限の回転、続いて、最低限の捩れに繋がる付加的な回転R(s)を使用するメッシュの作成の一例を図示する。図7A中、領域4a及び5a等で、セルが結節点でよじれているためにメッシュ上に捩れが表れているのが判る。その代わりに、図7B中、セルはメッシュ全体に亘って整列されている。特に、セルは図7Aの4a及び5aに対応する領域4b及び5bでよく整列される。
【0074】
蛇行性合成物質の例では、最低限の捩れアルゴリズムがよい結果を出していることも観察され得る。図8Aは、最初の管状のメッシュモデルを示し、そこから蛇行整合性物質の例が作成されて図8Bに表示され、図8Cでは異なる角度から図示される。図8Dは、同一の例を3Dパスのよりよい分解度を伴って示す。図8B及び図8Cが3Dパスに50のセグメントのみを使用したのに対し、図8D中は200セグメントが3Dパスに使用された。図8A乃至図8D中、直線は、最初の円筒10上に白で示され、続く対応する線11,12,13での最終的なメッシュ上での捩れを算定することができる。
【0075】
4) 所望される最初の状態
上述された方法は、異なる種類の3Dパスと連動する。しかしながら、最善の結果は、鋭角が存在しないときに観察される。従って、当業者に既知であるなんらかの平滑化技術を使用して入力3Dパスを予め平滑化したほうがよい。更によりよい結果は、パスのセグメントの長さが一様であるときに得られる。
【0076】
5) 医療用観察システム及び装置
上述された段階は、本発明の観察システムによって実行され得る。図9は、医療用検査装置に併合された、本発明に従った画像観察システムの一実施例の基本的な構成要素を図示する。医療用検査装置151は、患者が横たわるベッド110、又は、画像装置に対して患者の位置を特定する他の要素を有し得る。医療用画像装置151は、CTスキャナ、又は、X線若しくは超音波装置等の他の医療用画像装置であり得る。装置151によって作られたデータは、方法の段階を実行する汎用コンピュータ等のデータ処理手段153に与えられる。データ処理手段153は、通例、モニタ154等の映像化装置、キーボード等の入力装置155又はマウス156、位置決め装置等に関連付けられ、ユーザによって操作され得、システムと情報をやりとりする。データ処理装置153は、本発明に従って医療用画像データを処理する方法を実施するようプログラムされる。特には、データ処理装置153は、本方法の段階を実行するよう算出手段と記憶手段とを有する。方法を実行するよう予めプログラムされた命令を有するコンピュータプログラムが、実行され得る。
【0077】
図面及び前出の説明は、本発明を制限するよりも例示するものである。添付の請求項の範囲内に入る代替案は多数あることは明らかである。更に、本発明は、表示用の画像データを生成することに関して説明されているが、本発明は、ディスプレイ装置上の表示、及び印刷を制限的にではなく含んだ画像データの映像化の略いかなる形式も含む。請求構内のいかなる参照符号も、請求項を制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】指定された点の所定のパスに基き、メッシュ融合の段階をセグメント毎に例示する。
【図2】最初の管状モデルに関連のz軸に対して3Dパスへの局所的なタンジェントu(s)の角度の偏差を例示する。
【図3A】線形変換融合無しのメッシュの作成と、線形変換融合有りのメッシュの作成を夫々環状に例示する。
【図3B】線形変換融合無しのメッシュの作成と、線形変換融合有りのメッシュの作成を夫々環状に例示する。
【図4A】線形変換融合無しのメッシュの作成と、線形変換融合有りのメッシュの作成を夫々単一メッシュで例示する。
【図4B】線形変換融合無しのメッシュの作成と、線形変換融合有りのメッシュの作成を夫々単一メッシュで例示する。
【図5】算出された曲率での双三次スプライン補間の例を図示する。
【図6A】線形変換融合及び捩れ最低限化を伴うメッシュモデル作成の例を、結腸の中心線のパスから図示する。
【図6B】結腸の中心線のパスに続くメッシュモデルに関連し、半径調整の段階によって更に修正された図6Aの例を図示する。
【図7A】付加的な回転R(s)無し及び有りでの、局所的なタンジェントu(s)とz軸との間の最低限の回転を使用する、メッシュの作成を例示する。
【図7B】付加的な回転R(s)無し及び有りでの、局所的なタンジェントu(s)とz軸との間の最低限の回転を使用する、メッシュの作成を例示する。
【図8A】最初の管状メッシュモデルを図示する。
【図8B】捩れ最低限化につながる、線形変換融合及び付加的な回転R(s)を伴うメッシュ作成の合成の蛇行の例を図示する。
【図8C】図8Bと同一の例を、他の方向で図示する。
【図8D】図6Bと同一の例を、3Dパスをより高い分解度で図示する。
【図9】画像処理方法を実行する手段を有する、医療用観察システムを例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D面のモデルを画像特性に自動的に適合させる、モデルをベースとした画像分割用の画像データ処理方法であって、
指定された一組の点で構成された3Dパスを適応させる変形可能な管状のメッシュモデルを作る段階と、前記3Dパスの曲率及び前記パスのサンプル距離に基づく前記メッシュの半径及び所定の入力半径を自動的に適合させる段階とを有する、
画像データ処理方法。
【請求項2】
双単一メッシュ又は三角形メッシュ、又は他の種類のメッシュを備えた前記変形可能なモデルを作る段階と、全ての種類の曲率を示し得る関心対象の3Dの管状物体の中心線である3Dパスを適応させる管状構造を有する段階と、前記3Dの変形可能な管状のメッシュモデルを、グレーレベルの3D画像で表される前記関心対象管状の物体の前記3D面上にマッピングする段階とを有する、請求項1記載の画像データ処理方法。
【請求項3】
セグメントに対する管状の関心対象物の前記中心線に対応する3Dパスを算出し、前記3Dパス上のセグメントを定義する段階と、
前記3Dパスの長さと等しい長手方向軸に沿って定義された長さを備え、他の種類のメッシュでもある、最初の真っ直ぐで変形可能な円筒形のメッシュモデルを作る段階と、
前記最初のメッシュモデルを、前記3Dパスの前記異なるセグメントに関連した長さのセグメントに分割する段階と、
前記メッシュの各セグメントに関し、前記メッシュの前記最初の方向を前記3Dパスの前記関連したセグメントの前記方向に変換する剛体変換を算出する段階、及び、前記セグメントに対応する前記メッシュの頂点に前記変換を適用する段階とを有する、
請求項1又は2記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記連続するセグメントに関連し、2つの連続するセグメントの間で融合される変換である剛体変換を算出する段階を有する、請求項3記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記メッシュモデルの屈曲部分の間の自己交差を制限するよう連続するセグメントの間の剛体変換の回転を算出する段階を有し、
線形補間は、3D剛体変換融合に関する2つの回転の間で使用される、
請求項4記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記メッシュモデルの1つのセグメントから他のセグメントへの鋭い角度の変化と共に前記管状の変形可能なメッシュモデルの前記屈曲領域における自己交差を防止するよう、
前記3Dパスの前記局所的曲率に従って前記円筒の変形可能なメッシュモデルの前記半径を調整する段階を有する、
請求項1乃至5記載のうちいずれか一項記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記局所的曲率を概算する段階と、1つの半径から他の半径への双三次スプライン補間又線形融合の中から選択された、前記半径調整の技術を適用する段階とを有する、
請求項6記載の画像処理方法。
【請求項8】
メッシュの捩れを最低限化するよう、前記最初のメッシュ方向からターゲットであるセグメントへの前記最低限の3D回転を算出する段階を有する、
請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の画像処理方法。
【請求項9】
軸パラメータ及び回転角度パラメータを備えたセグメントの間の回転を定義する段階と、最新のセグメントの新しい回転が、以前のセグメントに対する見つかった回転と、前記以前のセグメント及び前記最新のセグメントからの最低限の回転との複合として算出されるよう1つのセグメントから他のセグメントへ反復して前記パラメータを算出する段階とを有する、
請求項8記載の画像処理方法。
【請求項10】
医療用観察システムであって、
略管状の部分、適切にプログラムされたコンピュータ、又は、請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の方法に従って前記画像データを処理するよう配置され回路手段を有する特別な目的のプロセッサを有する3Dの関心対象物の3D医療用画像データを得る手段と、
前記医療用画像を表示する表示手段とを有する、
システム。
【請求項11】
略管状の部分を有する体の器官の三次元画像を得る手段と、
請求項10に従った医療用観察システムとを有する、
医療用検査装置。
【請求項12】
請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の方法を実行する一組の命令を有する、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−517042(P2006−517042A)
【公表日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500291(P2006−500291)
【出願日】平成16年1月12日(2004.1.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/000063
【国際公開番号】WO2004/063988
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】