説明

三次元実装装置

【課題】半導体デバイスの製造のスループットをさらに向上できるとともに、製造される半導体デバイスの品質の低下を防止できる三次元実装装置を提供する。
【解決手段】三次元実装装置11において、搬送トレイ16は配置面16aaをそれぞれ含む8つの内側トレイ16aを有し且つ各配置面16aaに配置された8つの積層チップ21を搬送し、チャンバ27は全ての内側トレイ16aを収容し、複数の下部ステージ28の各々はチャンバ27内において複数の内側トレイ16aの各々を載置し、複数のチャック29の各々は、チャンバ27内において、配置面16aaに配置された積層チップ21の各々と一対一で対応して配設され、各下部ステージ28及び各複数のチャック29が各下部ステージ28及び各複数のチャック29の間を詰めるように移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチップを積層する三次元実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスのフットプリントを低減するために、複数のIC基板(チップ)を積層して半導体デバイスを製造する三次元実装方法が開発されている。この三次元実装方法では、各チップにおいて当該チップを厚み方向に貫通する導体からなる配線、例えば、TSV(Through Silicon Via)が形成され、一のチップの配線の端部に形成された電極パッドが他のチップの配線の端部に形成された半田バンプと接合されて三次元的に回路が形成される。三次元実装方法としては、COW(Chip On Wafer)工法やCOC(Chip On Chip)工法等が知られている。いずれの工法においても、積層するチップのずれを防止するために、各チップ同士の本接合に先立って各チップ同士を仮接合し、仮接合された複数のチップ同士をリフローによって本接合することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この三次元実装方法では、1つのチャンバ、例えば、リフロー炉内において半導体デバイスを構成する積層された複数のチップの組(以下、「積層チップ」という。)を1つずつリフローするが、スループット向上の観点から1つの積層チップのリフローは数秒以内に行われ、リフローのための積層チップの加熱やリフロー後の積層チップの冷却も急速に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−110995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、1つの積層チップのリフローが数秒以内に行われているため、これ以上リフローを行う時間を短くしてスループットを向上することは困難である。また、積層チップにおける急速加熱や急速冷却は、半田の溶融形態、凝固形態を不安定にするため、製造される半導体デバイスにおいて半田の結晶状態を理想状態とすることができず、凝固した半田において残留応力を生じさせ、半田内において気泡(ボイド)を発生させ易くなり、積層チップから製造される半導体デバイスの品質を低下させるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、半導体デバイスの製造のスループットをさらに向上できるとともに、製造される半導体デバイスの品質の低下を防止できる三次元実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の三次元実装装置は、基部、及び該基部から分離可能に構成され且つ平面からなる配置面を各々有する複数の分離部を有し、前記複数の分離部の各々における前記配置面には複数のチップが積層されてなるチップの組である積層チップが1つずつ配置され、各前記配置面に配置された各前記積層チップを搬送する搬送部と、前記複数の分離部を収容する収容室と、前記収容室内において、前記複数の分離部を載置する複数の載置部と、前記収容室内において、前記複数の載置部に載置された前記複数の分離部における前記配置面に配置された各前記積層チップと対向する複数の押圧部とを備える三次元実装装置であって、前記複数の載置部の各々及び前記複数の押圧部の各々はそれぞれ加熱装置及び冷却装置を内蔵し、前記複数の載置部の各々は前記複数の分離部の各々に一対一で対応して配設され、前記複数の押圧部の各々は、各前記配置面に配置された各前記積層チップの各々に一対一で対応して配設され、前記複数の載置部及び前記複数の押圧部の少なくとも一方が前記複数の載置部及び前記複数の押圧部の間を詰めるように移動することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の三次元実装装置は、請求項1記載の三次元実装装置において、前記複数の押圧部の各々は、前記積層チップの上面と当接する当接部と、該当接部を支持する支持部とを有し、前記支持部は球欠状の凹部を有し、前記当接部は球欠状の凸部を有し、前記凹部に前記凸部が嵌合されて前記支持部へ前記当接部が取り付けられることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の三次元実装装置は、請求項2記載の三次元実装装置において、前記押圧部の前記当接部における前記積層チップとの当接面が傾いた場合、前記当接部を水平面を有する部材に押し当てて前記当接面を水平にすることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の三次元実装装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の三次元実装装置において、前記収容室は上部及び下部に分割可能であり、前記搬送部の前記基部には所定の方向に前記搬送部を移動させるための移動力が負荷され、前記収容室内で前記複数の分離部における前記配置面に配置された各前記積層チップへ処理が施された後、前記搬送部が前記所定の方向に移動する際、前記収容室は分割されて前記搬送部の移動経路から退出することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の三次元実装装置は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の三次元実装装置において、前記複数の分離部が前記収容室に収容される際、前記基部は前記収容室の上部及び下部に挟まれ、且つ前記複数の分離部は前記挟まれた基部から離間することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、積層チップが1つずつ配置される配置面を各々有する複数の分離部を載置する複数の載置部、及び複数の分離部における配置面に配置された各積層チップと対向する複数の押圧部の少なくとも一方が、複数の載置部及び複数の押圧部の間を詰めるように移動し、複数の載置部の各々及び複数の押圧部の各々はそれぞれ加熱装置を内蔵するので、複数の分離部に配置された複数の積層チップが同時に押圧され且つ加熱される。その結果、同時に複数の半導体デバイスを製造することができ、半導体デバイス1つあたりの製造のスループットをさらに向上することができる。また、半導体デバイス1つあたりの製造のスループットがさらに向上するので、積層チップの加熱や冷却を行う時間を十分に確保でき、もって、半田の溶融形態、凝固形態を安定させることができる。その結果、製造される半導体デバイスの品質の低下を防止できる。
【0013】
また、複数の載置部の各々は複数の分離部の各々に一対一で対応して配設され、複数の押圧部の各々は、各配置面に配置された各積層チップの各々に一対一で対応して配設されるので、各積層チップを他の積層チップから独立して押圧することができ、各積層チップの高さが異なっても、各積層チップを確実に押圧することができる。その結果、製造される各半導体デバイスの品質にばらつきが生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る三次元実装装置及びチップの積層装置の配置状態を示す平面図である。
【図2】図1における三次元実装装置がリフロー処理を施す積層チップの構成を概略的に示す断面図であり、図2(A)はリフロー処理を施す前の構成を示し、図2(B)はリフロー処理を施した後の構成を示す。
【図3】図1における線III−IIIに沿う断面図である。
【図4】図3におけるチャックの構成を概略的に示す拡大断面図である。
【図5】図4のチャックによる積層チップの押圧の様子を示す工程図である。
【図6】図4のチャックにおけるチャックヘッドのチャック面を水平に戻す処理を示す工程図である。
【図7】図3の三次元実装装置が実行する積層チップの三次元実装方法の工程を説明するための図である。
【図8】図3の三次元実装装置が実行する積層チップの三次元実装方法の工程を説明するための図である。
【図9】図3の三次元実装装置が実行する積層チップの三次元実装方法の工程を説明するための図である。
【図10】2つの搬送トレイが設けられた場合を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
まず、本発明の実施の形態に係る三次元実装装置について説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る三次元実装装置及びチップの積層装置の配置状態を示す平面図である。なお、図1では、説明を簡単にするために、積層装置及び三次元実装装置のいずれも上部機構を取り除いた状態で示されている。
【0018】
図1において、チップの積層装置10と三次元実装装置11とは一列に配置され、積層装置10及び三次元実装装置11の間にはベルトコンベア12が張り渡されている。積層装置10は、複数のIC回路(チップ)13が並べられたダイシングフィルム14を載置するチップ置き場15と、ベルトコンベア12に担持された搬送トレイ16(搬送部)と、チップ13を移動させるピックアップユニット17と、半田ペーストが満たされている浸漬ユニット18と、ピックアップユニット17にピックされたチップ13の下面を撮影するカメラユニット19と、チップ13の種類に応じて交換されるピックアップユニット17の各種ヘッドツールが載置されるツール交換ユニット20とを備える。
【0019】
積層装置10では、ピックアップユニット17が、チップ置き場15からチップ13を1つピックして浸漬ユニット18へ移動させ、チップ13の下面を半田ペーストに浸漬させて該下面に半田ペーストを付着させ、さらに、チップ13をカメラユニット19へ移動させてチップ13の下面を撮影させ、該下面に付着した半田ペーストの状態を確認する。その後、チップ13を搬送トレイ16へ移動させて該搬送トレイ16上に既に配置されている他のチップ13の上に重ね置く。これにより、搬送トレイ16上において、複数のチップ13が積層されたチップの組(以下、「積層チップ」という。)21が構成される。本実施の形態では、搬送トレイ16上において8つの積層チップ21が構成される。
【0020】
搬送トレイ16は、8つの積層チップ21に対応して設けられた方形のステンレス板からなる8つの内側トレイ16a(分離部)と、該内側トレイ16aを囲むステンレス板からなる外側トレイ16b(基部)と、該外側トレイ16bを囲む枠状のフレーム16c(基部)とからなる。搬送トレイ16では、外側トレイ16bに8つの方形の貫通穴が設けられ、該貫通穴の1つ1つに内側トレイ16aが1つずつ挿嵌される。各内側トレイ16aの外周縁部は外側トレイ16bの各貫通穴の内縁部に載置されるだけであり、内側トレイ16a及び外側トレイ16bは互いに固定されておらず、外側トレイ16bの外縁部がフレーム16cに載置されるだけであり、外側トレイ16b及びフレーム16cは互いに固定されていない(図3等参照。)。各内側トレイ16aの各々における表面である配置面16aaには積層チップ21が1つずつ配置され、フレーム16cにはベルトコンベア12が連結され、該ベルトコンベア12が三次元実装装置11へ向けて駆動力をフレーム16cへ負荷することにより、搬送トレイ16は積層装置10から三次元実装装置11へ移動する。
【0021】
三次元実装装置11へ移動した搬送トレイ16のうち、内側トレイ16aはチャンバ27に収容されて、該チャンバ27内おいて各積層チップ21にリフロー処理が施される。三次元実装装置11の構成、作用の詳細については後述する。
【0022】
図2は、図1における三次元実装装置がリフロー処理を施す積層チップの構成を概略的に示す断面図であり、図2(A)はリフロー処理を施す前の構成を示し、図2(B)はリフロー処理を施した後の構成を示す。
【0023】
図2(A)に示すように、積層チップ21は、一番下に配置された、ベースチップ22に複数のチップ13を積層して構成される。ベースチップ22の上面には複数の電極パッド23が形成され、各チップ13の下面には複数の半田バンプ24が形成されるとともに、該半田バンプ24を避けるようにストッパー25が形成される一方、チップ13の上面には複数の電極パッド26が形成される。チップ13の下面の半田バンプ24は、チップ13の下面に付着した半田ペーストによって形成される。また、各半田バンプ24の表面にはフラックス(図示しない)の層が形成されている。各チップ13において下面の半田バンプ24は上面の電極パッド26と当該チップ13を厚み方向に貫通する配線、例えば、TSV(図示しない)によって接続される。
【0024】
積層チップ21が構成される際、ベースチップ22の上面の各電極パッド23にチップ13の下面の各半田バンプ24を当接させるようにベースチップ22へチップ13を重ね、さらに、チップ13の上面の各電極パッド26に他のチップ13の下面の各半田バンプ24を当接させるようにベースチップ22へチップ13を重ね、以後、チップ13の積み重ねを繰り返す。このとき、電極パッド26及び半田バンプ24の厚さの合計はストッパー25の厚さよりも大きいため、積層チップ21へリフロー処理を施す前は、下のチップ13の上面に上のチップ13のストッパー25が当接することはない。
【0025】
一方、積層チップ21へリフロー処理を施すと、上のチップ13の半田バンプ24が溶融して下のチップ13の電極パッド26と接合されるが、このとき、半田バンプ24の形状が崩れるため、上のチップ13は下のチップ13へ向けて沈下し、上のチップ13のストッパー25が下のチップ13の上面に当接する(図2(B))。これにより、積層チップ21から半導体デバイスが製造される。
【0026】
図3は、図1における線III−IIIに沿う断面図であり、図1における三次元実装装置の構成を概略的に示す。
【0027】
図3において、三次元実装装置11は、搬送トレイ16における各内側トレイ16aを収容するチャンバ27(収容室)と、チャンバ27の底部から上方に向けて立設される複数のシャフト41によって支持される複数のテーブル状の下部ステージ28(載置部)と、チャンバ27の天井部において各下部ステージ28と対向して配設される複数の略円柱状のチャック29(押圧部)と、チャンバ27内のガスを排出してチャンバ27内の圧力を調整する排気管30とを備える。これらの他に、三次元実装装置11は真空ポンプ、圧力計、流量計、レギュレータ等を備えるか、またはこれらの機器へ接続される。
【0028】
チャンバ27は上部27a及び下部27bに分割可能であり、チャンバ27が分割される際、下部27bは三次元実装装置11の基部31からピラー32を介して支持される。下部27bの側壁の頂部には外側に向かうフランジ27baが形成され、下部27bの底部からフランジ27baの上面までの高さは、下部27bの底部から各下部ステージ28の上面である載置面28aまでの高さよりも低い。下部ステージ28にはステージヒータ(加熱装置)及び放熱用のヒートシンク(冷却装置)(ともに図示しない)が内蔵される。また、複数の下部ステージ28の各々は複数の内側トレイ16aの各々に一対一で対応して配設される。すなわち、三次元実装装置11は8つの下部ステージ28を備える。複数の下部ステージ28の各々の載置面28aには1つの内側トレイ16aが載置され、載置面28aは水平に維持される。
【0029】
チャンバ27の上部27aは、基部31から立設する柱部35によって固定的に支持された天井板36からロッド37を介してチャンバアクチュエータ38によって釣支され、該チャンバアクチュエータ38はロッド37の突出量を調整して上部27aの上下方向の移動を制御する。また、上部27aの側壁の外側には、下方に向けて突出するL字型のフック44の突出量及び回転を制御するフックアクチュエータ45が配置される。
【0030】
複数のチャック29の各々は、下部ステージ28に載置された内側トレイ16aの配置面16aaに配置された1つの積層チップ21に一対一で対応して配設され、図4に示すように、積層チップ21の上面と当接するチャック面29a(当接面)を有するチャックヘッド29b(当接部)と、該チャックヘッド29bを支持するチャックベース29c(支持部)を有し、チャックヘッド29bにはチャックヒータ(加熱装置)及び放熱用のヒートシンク(冷却装置)(ともに図示しない)が内蔵される。
【0031】
チャックヘッド29bはチャック面29aと反対側において球欠状の凸部29dを有し、チャック29cは球欠状の凹部29eを有し、該凹部29eに凸部29dが嵌合される。本実施の形態では、凹部29eの曲率半径は凸部29dの曲率半径よりもわずかに大きく設定されるため、凸部29dが凹部29eへ嵌合され、且つ凸部29dは凹部29e内において該凹部29eの球欠表面をなぞるように動く。これにより、チャックヘッド29bはチャックベース29cに対して自在に向きを変更する。また、各チャック29は、上部27aの天井部からロッド42によって釣支され、当該天井部に固定され且つロッド42の突出量を制御するチャックアクチュエータ43によって上下方向の移動が制御される。
【0032】
本実施の形態では、チャンバアクチュエータ38、チャックアクチュエータ43及びフックアクチュエータ45はそれぞれ動力源として電気モータ(図示しない)を内蔵し、該電気モータによってロッド37,42やフック44の突出量を制御する。なお、各アクチュエータは動力源として電気モータではなく、エアシリンダーや電磁バネ等を内蔵していてもよい。
【0033】
図5は、図4のチャックによる積層チップの押圧の様子を示す工程図である。
【0034】
まず、ロッド42がチャックアクチュエータ43によって繰り出されてチャック29が、配置面16aa上の積層チップ21に当接するが、図5(A)に示すように、チャック29のチャック面29aが水平である一方、積層チップ21の上面が傾いている場合、チャック面29aが水平のままではチャック29によって積層チップ21を適切に押圧するのは困難である。
【0035】
しかしながら、上述したように、チャックヘッド29bはチャックベース29cに対して向きを自在に変更することができるため、チャック面29aが積層チップ21の上面に接触すると、図5(B)に示すように、チャックヘッド29bはチャック面29aの全面が積層チップ21の上面と万遍なく当接するように向きを変える。これにより、積層チップ21の上面に万遍なく押圧力を負荷することができるため、チャック29は積層チップ21を適切に押圧することができ、適切に圧縮された積層チップ21を得ることができる(図5(C))。
【0036】
また、図5(A)に示すような上面が傾いた積層チップ21を押圧した後、チャックヘッド29bのチャック面29aは傾いたままとなるため、次に押圧する積層チップ21の上面が水平だった場合、押圧工程の初期において積層チップ21を適切に押圧できないことがある。
【0037】
本実施の形態では、これに対応して、チャックヘッド29bのチャック面29aが傾いた場合、積層チップ21を押圧する前に該チャック面29aを水平に戻す。
【0038】
図6は、図4のチャックにおけるチャックヘッドのチャック面を水平に戻す処理を示す工程図である。
【0039】
まず、搬送トレイ16をチャンバ27から搬出した後、該チャンバ27に新たな搬送トレイ16を搬入することなく、各下部ステージ28の載置面28aをチャック面29aが傾いた各チャック29と対向させる(図6(A))。
【0040】
次いで、チャックアクチュエータ43によってチャック29を降下させて載置面28aに当接させる。このとき、チャック面29aが載置面28aに密着するように載置面28aと当接するチャックヘッド29bの向きが変わるが、載置面28aは水平に維持されているので、チャック面29aも水平に戻る(図6(B))。
【0041】
次いで、チャックアクチュエータ43によってチャック29を上昇させて載置面28aから離間させる(図6(C))。
【0042】
したがって、チャック29のチャック面29aが傾いた場合、図6の処理を実行することにより、チャック面29aを水平に戻すことができ、もって、上面が傾いた積層チップ21を押圧した後に、上面が水平な積層チップ21を押圧する場合であっても、いずれの積層チップ21も適切に押圧することができる。
【0043】
なお、図6の処理では、チャック29のチャック面29aを下部ステージ28の載置面28aに当接させたが、水平面を有する部材をチャンバ27へ搬入して各下部ステージ28に載置させ、該部材の水平面へチャック面29aを当接させて当該チャック面29aを水平にしてもよい。
【0044】
三次元実装装置11では、チャンバ27が上部27a及び下部27bに分割された際、ベルトコンベア12によって搬送トレイ16が上部27a及び下部27bの間に搬入され、搬入された搬送トレイ16は複数の内側トレイ16aの各々が複数の下部ステージ28の各々と対向するように位置が調整される。本実施の形態では、各内側トレイ16aの大きさは、全ての内側トレイ16aがチャンバ27内に全て収容できるように設定されており、これにより、搬送トレイ16が上部27a及び下部27bの間に搬入される際、チャンバ27の上部27aの側壁部及び下部27bの側壁部に間には外側トレイ16bが存在する。また、本実施の形態では、各下部ステージ28は各内側トレイ16aよりも小さくなるように大きさが設定される。
【0045】
次に、図3の三次元実装装置が実行する積層チップの三次元実装方法について説明する。
【0046】
図7、図8、図9は、図3の三次元実装装置が実行する積層チップの三次元実装方法の工程を説明するための図である。
【0047】
まず、図7(A)に示すように、搬送トレイ16が上部27a及び下部27bの間に搬入された後、チャンバアクチュエータ38がチャンバ27の上部27aを降下させてL字型のフック44の先端を下部27bのフランジ27baよりも下方に位置させる。その後、図7(B)に示すように、フックアクチュエータ45がL字型のフック44を回転させて該フック44の先端におけるL字部をフランジ27baへ係合させる。
【0048】
次いで、図8(A)に示すように、フックアクチュエータ45がL字型のフック44の突出量を少なくすることによってチャンバ27の下部27bを、該下部27bのフランジ27baが外側トレイ16bに当接するまで引き上げる。このとき、下部27bの底部からフランジ27baの上面までの高さは、下部27bの底部から各下部ステージ28の載置面28aまでの高さよりも低いため、フランジ27baの外側トレイ16bへの当接よりも先に、各下部ステージ28の載置面28aが各内側トレイ16aへ当接するが、上述したように、各内側トレイ16a及び外側トレイ16bは互いに固定されておらず、各下部ステージ28は各内側トレイ16aよりも小さいため、各内側トレイ16aのみが各下部ステージ28の載置面28aに載置され、各下部ステージ28によって持ち上げられて外側トレイ16bから離間する。各下部ステージ28の載置面28aは水平に維持されているため、載置面28aに載置された各内側トレイ16aの配置面16aaも水平となる。また、各内側トレイ16aは各下部ステージ28の載置面28aへ真空吸着又は静電吸着によって吸着される。
【0049】
次いで、図8(B)に示すように、下部27bのフランジ27baが外側トレイ16bに当接した後も、フックアクチュエータ45によって下部27bを引き上げ続けるとともに、チャンバアクチュエータ38がチャンバ27の上部27aを降下させて下部27bの側壁部及び上部27aの側壁部の間に外側トレイ16bを挟み込み、チャンバ27内を外部から密閉する。このとき、外側トレイ16bはフランジ27baによって持ち上げられてフレーム16cから離間する。
【0050】
次いで、図9(A)に示すように、各チャックアクチュエータ43によって各チャック29を降下させ、各チャック29はチャック面29aによって各配置面16aaに配置された複数の積層チップ21を所定の圧力で押圧する。また、このとき、排気管30によってチャンバ27内を真空引きして減圧し、チャックヘッド29b内のチャックヒータ及び下部ステージ28内のステージヒータを発熱させて各積層チップ21を加熱することによって各積層チップ21へリフロー処理を施す。これにより、各積層チップ21において各半田バンプ24が溶融して各電極パッド26と接合されて半導体デバイスが製造される。
【0051】
各積層チップ21から半導体デバイスが製造された後、図9(B)に示すように、チャックアクチュエータ43によってチャック29を引き上げ、チャンバアクチュエータ38によってチャンバ27の上部27aを引き上げ、さらに、フックアクチュエータ45によってフック44を回転させてチャンバ27の下部27bにおけるフランジ27ba及びフック44の先端におけるL字部の係合を解消して下部27bを降下させる。これにより、チャンバ27を上部27a及び下部27bへ分割して搬送トレイ16の移動経路から退出させるとともに、外側トレイ16bをフレーム16cへ載置させ、内側トレイ16aを外側トレイ16bへ載置させる。
【0052】
その後、ベルトコンベア12によって搬送トレイ16を移動させて上部27a及び下部27bの間から搬出して本処理を終了する。
【0053】
上述した三次元実装装置11では、複数の積層チップ21が1つずつ配置される配置面16aaを各々有する複数の内側トレイ16aを載置する複数の下部ステージ28、及びチャック面29aを各々有する各チャック29が各下部ステージ28及び各チャック29の間を詰めるように移動し、各下部ステージ28及び各チャック29はそれぞれステージヒータ,チャックヒータを内蔵するので、複数の配置面16aaに配置された複数の積層チップ21が同時に押圧され且つ加熱されてリフロー処理が施される。その結果、同時に複数の半導体デバイスを製造することができ、半導体デバイス1つあたりの製造のスループットをさらに向上することができる。また、半導体デバイス1つあたりの製造のスループットがさらに向上するので、積層チップ21の加熱や冷却を行う時間を十分に確保でき、もって、半田の溶融形態、凝固形態を安定させることができる。その結果、製造される半導体デバイスの品質の低下を防止できる。
【0054】
上述した三次元実装装置11では、複数の下部ステージ28の各々は複数の内側トレイ16aの各々に一対一で対応して配設され、複数のチャック29の各々は、複数の配置面16aaに配置された複数の積層チップ21の各々に一対一で対応して配設されるので、各積層チップ21を他の積層チップ21から独立して押圧することができ、各積層チップ21の高さが異なっても、各積層チップ21を確実に押圧することができる。これにより、製造される各半導体デバイスの品質にばらつきが生じるのを防止できる。
【0055】
また、三次元実装装置11では、内側トレイ16aがチャンバ27に収容される際、各内側トレイ16aはチャンバ27の上部27a及び下部27bに挟まれた外側トレイ16bから離間するので、各内側トレイ16aは外側トレイ16bに拘束されることなく、チャック29及び下部ステージ28によって押圧される。その結果、複数の配置面16aaに配置された複数の積層チップ21を確実に押圧することができる。
【0056】
さらに、三次元実装装置11では、チャンバ27内で配置面16aaに配置された複数の積層チップ21へリフロー処理が施された後、搬送トレイ16が移動する際、チャンバ27は分割されて搬送トレイ16の移動経路から退出するので、複数の配置面16aaに複数の半導体デバイスを配置したまま搬送トレイ16は移動することができる。その結果、半導体デバイスの製造のスループットをより向上することができる。
【0057】
また、三次元実装装置11では、各積層チップ21へリフロー処理が施される際、チャンバ27内が真空引きされて減圧されるため、低酸素状態で半田バンプ24及び電極パッド26の溶融接合を行うことができ、もって電極パッド26の酸化を防止することができる。また、各半田バンプ24の表面のフラックスの蒸発を促進することができるとともに、溶融した半田バンプ24中に生じる気泡を除去することができる。なお、低酸素状態への移行を促進するために、チャンバ27にN導入口を設け、リフロー処理の際、チャンバ27内へNガスを導入してもよい。
【0058】
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0059】
上述した実施の形態では、1つの搬送トレイ16に8つの積層チップ21が載置され、三次元実装装置11において8つの積層チップ21へ同時にリフロー処理を施すが、搬送トレイ数は1つに限られず、例えば、図10に示すように、2つの搬送トレイ48を設け、各搬送トレイ48のそれぞれに4つの積層チップ21が載置され、各搬送トレイ48に対応して設けられた三次元実装装置の2つのチャンバ49のそれぞれが4つの積層チップ21を収容して同時にリフロー処理を施してもよい。
【0060】
また、三次元実装装置11が、積層チップ21が押圧される際にチャックアクチュエータ43が積層チップ21へ加える荷重を検出可能な荷重検出機構(図示しない)を備え、該荷重検出機構が検出した荷重に基づいてチャックアクチュエータ43が加える荷重を安定させるためにチャックアクチュエータ43の動力源を制御してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 積層装置
11 三次元実装装置
12 ベルトコンベア
13 チップ
16 搬送トレイ
16a 内側トレイ
16aa 配置面
16b 外側トレイ
16c フレーム
21 積層チップ
27 チャンバ
27a 上部
27b 下部
28 下部ステージ
29 チャック
29a チャック面
29b チャックヘッド
29c チャックベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部、及び該基部から分離可能に構成され且つ平面からなる配置面を各々有する複数の分離部を有し、前記複数の分離部の各々における前記配置面には複数のチップが積層されてなるチップの組である積層チップが1つずつ配置され、各前記配置面に配置された各前記積層チップを搬送する搬送部と、
前記複数の分離部を収容する収容室と、
前記収容室内において、前記複数の分離部を載置する複数の載置部と、
前記収容室内において、前記複数の載置部に載置された前記複数の分離部における前記配置面に配置された各前記積層チップと対向する複数の押圧部とを備える三次元実装装置であって、
前記複数の載置部の各々及び前記複数の押圧部の各々はそれぞれ加熱装置及び冷却装置を内蔵し、
前記複数の載置部の各々は前記複数の分離部の各々に一対一で対応して配設され、
前記複数の押圧部の各々は、各前記配置面に配置された各前記積層チップの各々に一対一で対応して配設され、
前記複数の載置部及び前記複数の押圧部の少なくとも一方が前記複数の載置部及び前記複数の押圧部の間を詰めるように移動することを特徴とする三次元実装装置。
【請求項2】
前記複数の押圧部の各々は、前記積層チップの上面と当接する当接部と、該当接部を支持する支持部とを有し、
前記支持部は球欠状の凹部を有し、前記当接部は球欠状の凸部を有し、前記凹部に前記凸部が嵌合されて前記支持部へ前記当接部が取り付けられることを特徴とする請求項1記載の三次元実装装置。
【請求項3】
前記押圧部の前記当接部における前記積層チップとの当接面が傾いた場合、前記当接部を水平面を有する部材に押し当てて前記当接面を水平にすることを特徴とする請求項2記載の三次元実装装置。
【請求項4】
前記収容室は上部及び下部に分割可能であり、
前記搬送部の前記基部には所定の方向に前記搬送部を移動させるための移動力が負荷され、
前記収容室内で前記複数の分離部における前記配置面に配置された各前記積層チップへ処理が施された後、前記搬送部が前記所定の方向に移動する際、前記収容室は分割されて前記搬送部の移動経路から退出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の三次元実装装置。
【請求項5】
前記複数の分離部が前記収容室に収容される際、前記基部は前記収容室の上部及び下部に挟まれ、且つ前記複数の分離部は前記挟まれた基部から離間することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の三次元実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−74240(P2013−74240A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214241(P2011−214241)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】