説明

三次元測定装置

【課題】 本発明は、対象物の三次元形状を精度良く測定する三次元測定装置を提案する。
【解決手段】 三次元測定装置(100)は、試料(T)の表面からの反射光を結像する結像光学系(10)と、結像光学系を介して試料の表面を撮像する撮像部(15)と、結像光学系の焦点位置と試料の位置とを結像光学系の光軸方向に相対的に変化させながら撮像部で撮像して得た複数の画像に基づいて試料の三次元形状を算出する三次元算出部(17)と、を備える。そして結像光学系は、f*θ<h<f*tanθの関係を満たす。
ここで、f:結像光学系の焦点距離、h:結像光学系の光軸から試料の任意の点までの距離、θ:結像光学系の光軸と結像光学系から試料への主光線とのなす角とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点位置が異なる複数の画像から、任意の対象物(試料)の三次元形状を測定する三次元測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元測定にはいろいろな方法が用いられてきた。適度な精度を要求されるものとしては2台のカメラを使ってステレオ撮影を行うもの、又は縞模様を投影してその歪みを観察するモアレ結像光学系の焦点位置を走査して、焦点位置の合う部分を探して奥行き方向(光軸方向)を測定するSFF(Shape from Focus)法などがある。
【0003】
この中で、SFF法は焦点位置を走査することだけで対象物(試料)の三次元形状を測定できるので、既存の光学系と組み合わせて比較的簡単に測定機を構成できる。特許文献1に開示された三次元測定装置はSFF法を利用した測定装置である。特許文献1に開示された三次元測定装置では結像光学系の焦点位置を走査していく際の像のコントラストで位置を判断するので、結像光学系には優れた結像性能が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2960684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般に結像レンズは特定の物点距離に対して設計されており、特定の物体距離がずれると収差が発生する。また、厳密にはHerschel’s ルールとabbe’s sine ルールが両立しないので複数の物体距離において像面内の収差を補正することができない。ところで、収差には、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差などがあるが、SFF法による3次元計測はさまざまな対象物の測定に適応される。本実施形態では比較的大きな対象物を離れたところから測定する場合を想定する。そのため、結像光学系の対象物T側のFナンバーが比較的大きい。そしてFナンバーを大きなものに限って考えると、上記の収差のうち、重要なのは像面湾曲、非点収差である。球面収差はNAの三乗に比例し、コマ収差は二乗に比例する。そのため、NAが小さければ(Fナンバーが大きい)収差も小さい。一方、像面湾曲、非点収差はNAに比例するのでNAが小さくても無視できないという問題がある。
【0006】
本発明は、物体距離を変えても非点収差、像面湾曲収差の変化の少ない光学系を提供し、対象物の三次元形状を精度良く測定する三次元測定装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様の三次元測定装置は、試料の表面からの反射光を結像する結像光学系と、結像光学系を介して試料の表面を撮像する撮像部と、結像光学系の焦点位置と試料の位置とを結像光学系の光軸方向に相対的に変化させながら撮像部で撮像して得た複数の画像に基づいて試料の三次元形状を算出する三次元算出部と、を備える。そして結像光学系は、f*θ<h<f*tanθの関係を満たす。
ここで、f:結像光学系の焦点距離、h:結像光学系の光軸から試料の任意の点までの距離、θ:結像光学系の光軸と結像光学系から試料への主光線とのなす角とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、対象物の三次元形状を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】三次元測定装置100の構成を説明するための概略図である。
【図2】画像補正部18による像補正を説明するための図である。
【図3】結像光学系10を説明するための概略図である。
【図4】画像補正部18による射影画像の補正量を説明するための図である。
【図5】具体例における結像光学系10の構成を示した図である。
【図6】結像光学系10の射影をh=h(θ)としたときに、ftanθの射影及びfθの射影とh(θ)との比率を示すグラフである。
【図7】図5のときのMTFの値を示す図である。
【図8】図5の状態から、物体距離を54mm短くしたときのMTFの値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<三次元測定装置100の構成>
図1は、三次元測定装置100の構成を説明するための概略図である。図1に示された三次元測定装置100は、結像光学系10と、照明系LXと、画像処理部20とより構成されている。なお、結像光学系10の光軸LKの方向をZ軸方向とし、そのZ軸方向に垂直な平面を対象物Tの載置されるXY平面として説明する。
【0011】
図1において、結像光学系10は複数の結像レンズより構成され、不図示の駆動モータなどによって矢印に示されたようにZ軸方向に移動する。本実施形態の結像光学系10は収差が良く補正されており、本実施形態の適応により、焦点位置を変化させても、非点収差と像面湾曲との発生が抑えられている。結像光学系10を構成する結像レンズについては図5などで後述する。
【0012】
照明系LXは、光源11と、照明レンズ12と、ハーフミラー14とを備える。ここで、光源11は通常の白色フィラメント灯、ハロゲンランプ、水銀灯、キセノンランプ等が使われる。さらに光源11は、赤外線ランプあるいは紫外線ランプ等、あるいは半導体レーザ、Arレーザ、He−Neレーザなどのレーザ光源であってもよい。
【0013】
画像処理部20は、画像検出部15と、焦点位置検出部16と、最大焦点信号算出部17と、画像補正部18と、立体形状表示部19とを含んでいる。ここで、画像検出部15はMOS又はCCDなど一次元または二次元画像素子で、画像信号を出力する。画像検出部15はZ軸方向に異なる測定面毎に画像信号を出力する。また焦点位置検出部16は、画像検出部15からの画像信号に基づいて焦点位置の座標を検出する。焦点位置検出部16はZ軸方向に異なる複数の画像信号に基づいて、複数の測定面において対象物Tの表面の焦点位置を検出する。最大焦点信号算出部17は、焦点位置検出部16で検出された複数の画像の焦点位置をつなげていく。
【0014】
結像光学系10は複数の物体距離においても像面湾曲が極めて小さい。結像光学系10を介して画像検出部15に入射する画像は、結像光学系の光軸から離れた周囲でも像が結像し、良好なコントラストからZ軸方向の位置を正確に得ることができる。
【0015】
その後、画像補正部18は結像光学系10によって生じた歪曲収差を補正する。すなわち、画像補正部18はXY平面の歪曲収差分を補正する。最後に、立体形状表示部19は、画像補正部18からのXY平面の位置およびZ軸方向の焦点位置に基づいて、対象物Tの立体形状を表示する。
【0016】
<三次元測定装置100の測定動作>
以下、三次元測定装置100の動作について説明する。
光源11から射出された光は、照明レンズ12を介してフィルタ13を照射する。フィルタ13を通過した光は、ハーフミラー14で反射され対象物Tに照射される。対象物Tには、マルチスポット像や格子パターン、ランダムテックスチャが投影される。
【0017】
対象物Tの表面から反射された反射光は、ハーフミラー14を透過し結像光学系10を通過する。結像光学系10は対象物TのZ軸方向の測定面z1を画像検出部15に結像させる。結像光学系10を通過した反射光は画像検出部15で結像し、画像検出部15は測定面z1の画像信号を出力する。その後、結像光学系10は不図示の駆動モータなどによって矢印に示されたようにZ軸方向で移動する。すると結像光学系10は対象物TのZ軸方向の測定面z2を画像検出部15に結像させる。そして画像検出部15は測定面z2の画像信号を出力する。このように、画像検出部15はZ軸方向に異なる複数の画像信号を焦点位置検出部16に送る。
【0018】
最大焦点信号算出部17はXY平面の全てで、コントラストが最大となるZ座標を検出する。細かい議論は省くが、コントラストの最大値を短い時間で算出するためには、一般に物体の模様のエッジ検出や、像の強度の微分値の最大値の検出が行われる。物体像の中のボケた部分はコントラストが落ちるので、その部分の強度分布が緩やかになり、その微分成分を計算するとその値は小さくなる。一方、焦点が合うと、コントラストが高くなり、強度分布の微分値も大きくなる。最大焦点信号算出部17では、このような計算から、物体像の中から焦点が合っている部分を検出する。
【0019】
一般の結像光学系では、測定面z1において像面湾曲が発生していなくても、結像光学系がZ軸方向に移動し測定面z2を結像するようにすると、像面湾曲が発生し特に光軸から離れた周辺部で焦点検出が困難となる。しかし本実施形態の結像光学系10では結像光学系がZ軸方向に移動しても、測定面z2の全体を結像することができる。
【0020】
本実施形態の結像光学系10は、図5などで後述するように焦点位置を変えたりしても、非点収差と像面湾曲との変化がない。このように結像光学系10のレンズ全体を繰り出しても非点収差と像面湾曲との変化がないため、焦点位置を変えていっても常に良好なコントラストを得ることができる。
【0021】
三次元測定装置100の結像光学系10は、図1の矢印に示されたようにZ軸方向で移動したりして焦点位置を変えても像面湾曲の変化の少ない光学系である。したがって、結像光学系10の焦点位置と対象物Tの位置とを光軸方向に相対的に変化させても、常に良好なコントラストを得られるため、Z座標位置精度が高くなる。
【0022】
<歪曲収差を有する座標値から歪曲収差のない座標値への補正>
図2は、画像補正部18が像補正を行うことを説明するための図である。説明を分かり易くするために3×3の正方形の画像信号を一例として説明する。例えば、対象物の二次元形状(V11)が3×3の正方形である場合、二次元形状(V11)は結像光学系10のマイナスの歪曲収差によりタル型の画像に変形される。画像検出器15は、タル型の画像を撮像して画像信号E15を出力する。画像検出器15に検出された画像信号E15は焦点位置検出部16及び最大焦点信号算出部17を介して合成される。
【0023】
最大焦点信号算出部17が算出する焦点信号(E17)などには、未だXY座標ともマイナスの歪曲収差が含まれている。画像補正部18は最大焦点信号算出部17から入力された焦点信号(E17)を、マイナスの歪曲収差がなくなるように補正する。補正された信号は立体形状表示部19に送られ、立体形状表示部19は歪曲収差のない3×3の正方形の画像信号E18となって立体形状表示部19に表示される。立体形状表示部19は、精度に優れた対象物の形状が表示される。測定面の画像信号の補正量Δhについては、数式18で詳述する。
【0024】
<結像光学系10の概略>
以下、図3を参照しながら結像光学系10について詳述する。図3は、結像光学系10を説明するための概略図である。結像光学系10は複数のレンズ素子より構成され、図1の矢印に示されたようにZ軸方向で移動したりして焦点位置を変えたりしても像面湾曲の変化の少ない光学系である。結像光学系10において、像面湾曲の変化を抑えるように数式(1)の範囲で結像することで対応する。
【数1】

… (1)
【0025】
ここで、hは結像光学系10の光軸LKから対象物Tの任意の点までの距離であり、図3または図4のXY座標では、h=√X+Y、の関係である。fは結像光学系10の焦点距離で、θは対象物T側での光軸LKに対する主光線のなす角である。
【0026】
そして、数式(1)を満たす光学系を装置に組み込むことで結像光学系10を移動して焦点位置を変えたりしても、常に良好な像面湾曲を保ち精度の高い測定が可能とする。ところで、数式(1)の条件を満足する光学系が、どうして良好な収差を保つことができるかを説明する。
【0027】
先ほど述べたように、焦点位置を変えたときに発生する非点収差、像面湾曲を抑えることが重要である。
【0028】
そこで、像面湾曲を考えると、ペッツバール和が重要である。良く知られるように、光軸付近の像面湾曲の曲率半径はペッツバール和から計算できるからである。ところで、ペッツバール和は光学系を構成するレンズの屈折率と曲率半径から決まる。そのため、焦点位置を変えてもペッツバール和が変化することはない。焦点位置を変えたときは、非点収差が発生しながら、サジタル、メリジオナルの像面が湾曲して行く。よって、フォーカシングの際、収差の変化を抑えたいなら、非点収差が発生しないようにすれば良い。
まず、結像光学系10の射影関係を数式(2)で示す。
【数2】

… (2)
【0029】
ここで、gは射影関係を表す関数である。
数式(2)の両辺を微分すると、数式(3)が得られる。
【数3】

… (3)
【0030】
また、図3における幾何関係から、数式(4)が成立する。
【数4】

… (4)
【0031】
ここで、aは絞りの半径である。物体が光軸方向に移動しても像面湾曲が発生しないということは、物体移動による近軸像点位置の移動と軸外でのメリジョナル像点の移動が一致すればよい。より具体的に説明すると、物体面103の光軸LK外の物点110に対する像点111が、物体面103の光軸LK上の物点120に対する像点121が存在する平面である物体像面104上に存在すればよい。
【0032】
一般に、光軸LK上での像面移動△zは、ニュートンの公式から数式(5)が成立する。
【数5】

… (5)
【0033】
一方、像点111が物体像面104上に存在すると仮定すれば、像面での光線の開き角をα、主光線がΔθ傾いたときの像高の変化をΔhとして、数式(6)が成立する。
【数6】

… (6)
【0034】
ここで、メリジョナル像点は非常に細い光束を考えているのでtanα≒sinαとし、式(6)を変形すると、数式(7)が得られる。
【数7】

… (7)
【0035】
また、ヘルムホルツ・ラグランジュに対応する関係から、より厳密にはストローベルの定理をメリジョナル面内に適用し、数式(8)の関係があるため、関数gを求めることができる。
【数8】

… (8)
【0036】
まず、数式(8)より、数式(9)が得られる。
【数9】

… (9)
【0037】
数式(9)を式(7)に代入すると数式(10)となる。
【数10】

… (10)
【0038】
また、数式(3)及び数式(5)を式(10)に代入すると、数式(11)が得られる。
【数11】

… (11)
【0039】
数式(4)を式(11)に代入して数式(12)が得られる。
【数12】

… (12)
【0040】
数式(12)を積分すると、数式(13)が得られる。
【数13】

… (13)
ここで、Fは第一種楕円積分である。
【0041】
さらに、数式(13)の解をわかりやすく理解するために、式(12)に近似式を当てはめて解くと、数式(14)によって、数式(15)が得られる。
【数14】

… (14)
【数15】

… (15)
【0042】
以上より、関数gは式(13)として求められ、近似的には式(15)で表される結果が得られた。つまり、このような関数gを式(2)に代入して求められる射影関係を有するように結像光学系10を設計すれば、像側のいずれの平面においても像面湾曲の無い光学系を実現することができる。
【0043】
次に、このような射影関係を有する結像光学系10が具体的にどのような関係にあるかを考察する。一般的なftanθレンズにおいて、関数gは、数式(16)に示されたようである。
【数16】

… (16)
【0044】
また、一般的なfθレンズにおいて、関数gは数式(17)のようになる。
【数17】

… (17)
【0045】
数式(15)を数式(16)及び数式(17)と比較すると、結像光学系10の射影関係は、ftanθレンズの射影関係と、fθレンズの射影関係の間の射影関係であることが分かる。およそこの範囲であれば、像側のいずれの平面においても像面湾曲が極めて小さい結像光学系10を実現することができる。
【0046】
また、射影画像の補正量(歪量)について、図4を参照しながら説明する。
図4は、画像補正部18による射影画像の補正量を説明するための図である。
図4において、例えば実線の正方形は画像は結像光学系10により歪曲されなかった場合の画像信号E18の一例である。点線のタル型は画像が結像光学系10により歪曲された場合の画像信号E17の一例である。図4に示されたように、結像光学系10により歪曲された画像信号E17の点Bは正方形の画像信号E18の点Aとなる。ここで、画像信号E18の点Aから光軸LKまでの距離はhで、画像信号E17の点Bから光軸LKまでの距離はhである。したがって、射影画像の補正量△hは(h−h)である。
【0047】
また、上述の数式(16)の射影方式にすると、射影画像には歪曲がなく、数式(17)の射影方式までの歪曲収差は許容されている。このため、射影画像の補正量△hの極値は、数式で説明すると[数式(17)−数式(16)]である。つまり、射影画像の補正量△hの範囲は数式(18)で示されたとおりである。
【数18】

… (18)
【0048】
(実施例)
<結像光学系10の構成>
図5は、結像光学系10の構成を示した図である。図5には描かれていないが、+Z側に二次元受光素子(図1を参照)を配置された構成になる。図5に示されたように結像光学系10は、8つの射影レンズより構成されている。
【0049】
詳しく説明すると、結像光学系10は−Z軸方向に沿って順次に両凸レンズL11と、対象物Tに凸面を向けた凸レンズL12と対象物Tに凸面を向けた凹メニスカスレンズL13との接合レンズL14と、両凸レンズL15と、両凹レンズL16と、対象物Tに凸面を向けた凸メニスカスレンズL17と対象物Tに凸面を向けた凹メニスカスレンズL18との接合レンズL19と、対象物Tに凸面を向けた凸メニスカスレンズL20とより構成されている。
【0050】
具体例において、結像光学系10は上述された数式(13)、あるいは、数式(15)を満足する結像光学系で、結像光学系10を移動したりしても、常に良好な歪曲収差を保ち精度の高い測定が可能である。
【0051】
表1は、結像光学系10におけるレンズのデータ及び諸元を示す。
【表1】

【0052】
ここで、
Rは、レンズの曲率半径を示し、
Dは、レンズ面の間隔を示し、
ndは、d線の屈折率を示し、
νdは、アッベ数を示している。
【0053】
また、第3面と第9面は非球面であり、その非球面式は数式(19)で示されたとおりである。
【数19】

… (19)
【0054】
数式(19)で、zはレンズ面の頂点からの光軸方向のサグ量を示し、hは光軸からの距離を示し、cは曲率で曲率半径Rの逆数を示し、Kはコーニック定数を示す。表2はその非球面係数の数値を示す。
【表2】

【0055】
図5の光学系の射影関係は数式(1)の条件を満足する。そして、図6に図5の光学系の射影関係を示す。図6では、具体例の結像光学系10の射影をh=h(θ)としたときに、ftanθの射影とh(θ)の射影との比率及びfθの射影とh(θ)の射影との比率のグラフである。ここで、横軸は、像高h(θ)を取っている。また、実線はftanθの射影とh(θ)との比率を示し、一点鎖線はfθの射影とh(θ)との比率を示す。グラフを見ると分かるように点線で囲まれた範囲Hではh(θ)はftanθより小さく、fθより大きいことが分かる。つまり、結像光学系10が光軸付近で数式(1)を満足していることが分かる。
【0056】
その後、図5の結像光学系10を光軸方向に動かして対象物Tとの距離Wを変えたときの収差の様子を説明する。図7は図5のとき(物体距離Wが191.9mmの場合)のMTFの値が示されており、図8には図5の状態から、物体距離を54mm短くしたとき(物体距離Wが137.9mmの場合)のMTFが示してある。両者のMTFを見ると、ともに非点収差、像面湾曲がなく。優れた結像性能であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上、本発明の最適な具体例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において具体例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 … 結像光学系
11 … 光源
12 … 照射レンズ
13 … フィルタ
14 … ハーフミラー
15 … 画像検出部
16 … 焦点位置検出部
17 … 最大焦点信号検出部
18 … 画像補正部
19 … 立体形状表示部
20 … 画像検出・処理・表示部
100 … 三次元測定装置
L11〜L20 … レンズ
LK … 結像光学系の光軸
LX … 照明系
T … 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の条件式を満たし、試料の表面からの反射光を結像する結像光学系と、
前記結像光学系を介して前記試料の表面を撮像する撮像部と、
前記結像光学系の焦点位置と前記試料の位置とを前記結像光学系の光軸方向に相対的に変化させながら前記撮像部で撮像して得た複数の画像に基づいて前記試料の三次元形状を算出する三次元算出部と、
を備える三次元測定装置。
【数1】

ここで、f:結像光学系の焦点距離、h:結像光学系の光軸から試料の任意の点までの距離、θ:結像光学系の光軸と結像光学系から試料への主光線とのなす角とする。
【請求項2】
前記三次元算出部は、前記試料の三次元形状を算出する際に、前記光軸と直交する面内での前記試料の座標値を補正する請求項1に記載の三次元測定装置。
【請求項3】
前記三次元算出部は、前記結像光学系の光軸に対応する前記撮像部の位置からの距離に応じて前記座標値を補正する請求項2に記載の三次元測定装置。
【請求項4】
前記座標値を補正する補正量Δhは、
【数2】

の条件式を満たす範囲である請求項3に記載の三次元測定装置。
【請求項5】
前記結像光学系は、
【数3】

の条件式を満たす請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の三次元測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−58855(P2011−58855A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206482(P2009−206482)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】