三部材接合部のガスケット構造
【課題】簡単な構造でありながら三部材接合部の良好な密封性が得られるガスケット構造を提供する。
【解決手段】ガスケット3aを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材2,3と、該シール対象2部材2,3の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材2,3に跨るよう密封状態で合体締結される第三のシール対象部材5との三部材接合部のガスケット構造であって、上記三部材接合部における第三のシール対象部材5には、ガスケット部材7を嵌合装着する為の嵌合部5dが形成され、上記ガスケット部材7は、嵌合装着用の装着基部7aと、該装着基部7aに固着一体とされた軟弾性材からなるシール部7bとよりなり、上記第三のシール対象部材5を上記シール対象2部材2,3に合体締結させた際、ガスケット部材7のシール部7bが、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールするよう構成されていることを特徴とする。
【解決手段】ガスケット3aを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材2,3と、該シール対象2部材2,3の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材2,3に跨るよう密封状態で合体締結される第三のシール対象部材5との三部材接合部のガスケット構造であって、上記三部材接合部における第三のシール対象部材5には、ガスケット部材7を嵌合装着する為の嵌合部5dが形成され、上記ガスケット部材7は、嵌合装着用の装着基部7aと、該装着基部7aに固着一体とされた軟弾性材からなるシール部7bとよりなり、上記第三のシール対象部材5を上記シール対象2部材2,3に合体締結させた際、ガスケット部材7のシール部7bが、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールするよう構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三部材接合部、例えば、シリンダヘッドとシリンダブロックとフロントカバーとの三面合せ部における三部材接合部のガスケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンにおいては、ヘッドガスケットを介して合体締結されたシリンダヘッドとシリンダブロックに対して、その前側部に両者の合体方向と直交する方向より両者に跨るようにフロントカバーが合体締結される。このフロントカバーは、合体締結されたシリンダヘッドとシリンダブロックの側面との間に、チェーンやギヤ等の駆動伝達部材の収容空間を確保する為に装着される。この収容空間内には駆動伝達部材を円滑に作動させる為に潤滑オイルが充填される。その為、フロントカバーの周縁部と、シリンダヘッド及びシリンダブロックの前側部周縁部とを相互の合わせ面とし、フロントカバーは、この合せ面に、ゴムガスケット、液体ガスケット或いはメタルガスケット等のフロントカバーガスケットを介して密封状態でシリンダヘッド及びシリンダブロックの前側部に合体締結される。
【0003】
ところで、シリンダブロックとシリンダヘッドとの合せ面にはヘッドガスケットが介在し、このヘッドガスケットの存在によりその密封精度は高く維持されて両者の合体締結がなされる。しかし、シリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部は、両者の加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等により、フロントカバーとの合せ面となる部分に段差が生じることがある。また、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間にヘッドガスケットが介在するから、当該合せ面では、ヘッドガスケットの辺縁部が凹んだ位置にあったり、突出したりして、その連続性がこの部分で分断されることも不可避的に生じる。従って、上記のようなフロントカバーガスケットを単に介在させるだけでは、シリンダヘッド、シリンダブロック及びフロントカバーの三部材接合部分では段差や食い違い等の面不均衡に起因する面圧不足が生じ、十分なシールがなされなくなる。その為、三部材接合部分に予め液状ガスケットを充填する等の処置が講じられたりしている。
【0004】
特許文献1には、ヘッドガスケットの端面をシリンダブロック及びシリンダヘッドの側面より凹ませ、この凹ませた部分に耐熱弾性体製のガスケットをヘッドガスケットに係着して挿入するようにした内燃機関の気密装置が開示されている。また、特許文献2の三部材接合部のガスケット構造では、上記三部材接合部分に予め液状ガスケットを充填する場合の問題点に鑑み、ヘッドガスケットの端面を上記同様凹ませ(奥まる配置とし)、ゴム製フロントカバーガスケットの三部材接合部に略十字部を形成すると共にこの十字部の一部を突出させて凸部を形成し、十字部及び凸部をヘッドガスケットの端面に圧着させることによって、段差や食い違い等の面不均衡による面圧不足の解消を図っている。
【特許文献1】実公平5−23791号公報
【特許文献2】特開2000−39070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された気密装置の場合、ヘッドガスケットの端面のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側面からの凹ませ度合いと、耐熱弾性体製のガスケットの幅とが寸法的に整合していないと、シリンダブロック及びシリンダヘッドのフロントカバーに対する合せ面で凹みや突出部分ができ、結果として、上記同様、三部材接合部分で段差や食い違い等の面不均衡が生じることになる。その為、上記凹ませ度合い及び耐熱弾性体製ガスケットの幅の高度な寸法的加工精度が必要とされる。また、耐熱弾性体製のガスケットをヘッドガスケットに係着する工程が必要とされる為、組立工数が増えることにもなる。しかも、本特許文献1は、上記のような加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等に起因して生じる段差等に対応することまでも意図するものではない。
【0006】
特許文献2に開示されたガスケット構造は、上記同様ヘッドガスケットの端面をシリンダブロック及びシリンダヘッドの側面から凹ませ、この凹ませた部分にフロントカバーガスケットに形成された十字部の凸部を圧着することによって圧縮量を増し密封量を向上させている。しかし、上記凸部に圧縮を加えてもヘッドガスケットの端面まで至らず、密封するに必要な変形密着がなし得ない。これは、十字部の凸部がフロントカバーガスケットと同材質のゴムからなるので、圧縮変形がガスケット側にもおよび、凸部側に集中し難い為である。この密封性を補う為に、液状ガスケットをヘッドガスケットの端面との間に充填することもなされているが、液状ガスケットでは引張り性能が弱く十分な面圧が得られない点が指摘されている。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構造でありながら三部材接合部の良好な密封性が得られるガスケット構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る三部材接合部のガスケット構造は、ガスケットを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材と、該シール対象2部材の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材に跨るよう密封状態で合体締結される第三のシール対象部材との三部材接合部のガスケット構造であって、上記三部材接合部における第三のシール対象部材には、ガスケット部材を嵌合装着する為の嵌合部が形成され、上記ガスケット部材は、嵌合装着用の装着基部と、該装着基部に固着一体とされた軟弾性材からなるシール部とよりなり、上記第三のシール対象部材を上記シール対象2部材に合体締結させた際、ガスケット部材のシール部が、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールするよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記ガスケット部材のシール部を、軟質ゴムによって構成しても良い。また、ガスケット部材の装着基部を、硬質のゴム、金属部材或いは硬質ゴムに金属部材を芯金として一体とした複合部材からなるものとすることができる。
【0010】
前記嵌合部は、前記三部材接合部における第三のシール対象部材に、合体面側から凹設された凹部からなるもの、或いは、第三のシール対象部材に貫設された透孔からなるものとすることができる。
【0011】
そして、本発明に係る三部材接合部のガスケット構造は、前記被シール対象2部材が、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記第三のシール対象部材が、合体締結状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部に両者に跨るように合体締結されるフロントカバーである場合に望ましく適用される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の三部材接合部のガスケット構造は、ガスケットを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材に対し、第三のシール対象部材が、該シール対象2部材の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材に跨るよう密封状態で合体締結される。シール対象2部材と第三のシール対象部材との三部材接合部には、第三のシール対象部材の嵌合部に嵌合装着されたガスケット部材が介在するから、三部材接合部がこのガスケット部材によってシールされる。この場合、ガスケット部材は、第三のシール対象部材の嵌合部に嵌合装着する為の装着基部と、該装着基部に固着一体とされた軟弾性材からなるシール部とよりなり、第三のシール対象部材をシール対象2部材に合体締結させた際、シール部が、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールする。特に、シール部は、軟弾性材からなり、第三のシール対象部材の嵌合部に嵌合装着される装着基部に固着一体とされているから、第三のシール対象部材の合体締結の際の圧縮変形は、装着基部が嵌合部によって規制される為、軟弾性のシール部に集中する。従って、シール部に集中する圧縮変形は、上記シール対象2部材間のガスケットの端面や両シール対象2部材の段差部分に弾性変形を伴った状態で至り、この部分で変形密着して良好な密封性が得られる。ガスケットの端面が、第三のシール対象部材に対するシール対象2部材の合せ面より凹んだ位置にあっても、或いは第三のシール対象部材側に突出した位置にあっても、更には、シール対象2部材が設計公差等により合せ面に段差等を有していても、シール部の弾性変形により、これらシール対象部位との気密的な密着性が確立される。
【0013】
そして、上記ガスケット部材のシール部が軟質ゴムからなる場合は、弾性変形性とその復元弾力性により被シール対象部での面圧が強固となり、より良好な密封性が得られる。また、ガスケット部材の装着基部が、硬質のゴム、金属部材或いは硬質ゴムに金属部材を芯金として一体とした複合部材からなるものとすれば、嵌合部に対する嵌合装着が安定的になされると共に、装着基部の嵌合部による規制効果が高められ、シール部への圧縮変形の集中がより顕著となり、被シール対象部に対する変形密着による密封性がより良好となる。
【0014】
第三のシール対象部材に形成される嵌合部を、前記凹部や透孔とする場合は、その形成が容易であり、また、ガスケット部材の嵌合装着が簡易になされ、煩わしさを伴った組立て工数の増大をもたらす懸念もない。
【0015】
本発明において、前記被シール対象2部材を、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドとし、前記第三のシール対象部材を、合体締結状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側部に両者に跨るように合体締結されるフロントカバーとした場合、シリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部にフロントカバーによって駆動伝達部材の収容空間が確保される。この収容空間は、上述のようなガスケット構造によって気密的に形成されるから、充填される潤滑オイル等の漏出防止が図られる。また、エンジンの組立て工数や組立てコストが左程増大することもなく、極めて有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の三部材接合部のガスケット構造が適用されるエンジンの概略的外観側面図、図2は図1におけるX−X線矢視断面図、図3は図2におけるY−Y線矢視断面図、図4〜図12は本発明の三部材接合部のガスケット構造の種々の態様を示す図3と同様図である。
【0017】
図1のエンジン1は、シリンダブロック(シール対象2部材の一方)2と、該シリンダブロック2の上面に締結合体されるシリンダヘッド(シール対象2部材の他方)3と、シリンダブロック2の下面に締結合体されるオイルパン4と、縦方向に合体されたシリンダヘッド3、シリンダブロック2及びオイルパン4の前側部にこれらの合体方向と直交する方向よりこれらに跨るよう合体締結されるフロントカバー(第三のシール対象部材)5と、シリンダヘッド3及びフロントカバー5の上端面に両者に跨るよう締結合体されるシリンダヘッドカバー(ロッカーカバー)6とより構成される。
【0018】
このような構成のエンジン1において、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との合わせ面21,31(図3参照)にはゴム等からなるヘッドガスケット3aが介在され、両者の締結はシリンダヘッド3側からのボルト3b…によってなされる。シリンダブロック2とオイルパン4との合わせ面にはゴム等からなるオイルパンガスケット4aが介在され、両者の締結はオイルパン4側からのボルト4b…によってなされる。また、シリンダヘッド3、シリンダブロック2及びオイルパン4の前側部とフロントカバー5との合せ面には、液状ガスケット或いはメタルガスケット等のフロントカバーガスケット5aが介在され、これらの締結はフロントカバー5からのボルト5b…によってなされる。更に、シリンダヘッド3及びフロントカバー5の上端面とシリンダヘッドカバー6との合わせ面にはゴム等からなるヘッドカバーガスケット6aが介在され、これらの締結はシリンダヘッドカバー6からのボルト6b…によってなされる。
【0019】
上記各合体締結状態において、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との合わせ面21,31、シリンダブロック2とオイルパン4との合わせ面及びシリンダヘッド3とシリンダヘッドカバー6との合わせ面は、夫々、ヘッドガスケット3a、オイルパンガスケット4a及びヘッドカバーガスケット6aによって、各相互の密封状態が維持される。
【0020】
フロントカバー5は、図のような合体締結状態では、シリンダヘッド3、シリンダブロック2、オイルパン4の側面及びシリンダヘッドカバー6の下面との間に、図2に示すように、チェーンやギヤ等の駆動伝達部材(不図示)の収容空間5Aを形成する。この収容空間5A内には、駆動伝達部材を円滑に作動させる為に潤滑オイル(不図示)が充填される。フロントカバー5の周縁には鍔部5cが周設され、シリンダヘッド3、シリンダブロック2、オイルパン4及びシリンダヘッドカバー6に対する合体面50はこの鍔部5cに形成されると共に、上記各ボルトによるフロントカバー5の締結はこの鍔部5cにおいてなされる。そして、フロントカバー5の、シリンダヘッド3、シリンダブロック2及びオイルパン4に対する合体面50には、上述の通り、液状ガスケット或いはメタルガスケット等によるフロントカバーガスケット5aが介在される。図2及び図3は、フロントカバーガスケット5aとして液状ガスケットを用いた例を示している。
【0021】
ところで、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3とフロントカバー5、シリンダブロック2及びオイルパン4とフロントカバー5のように三部材が互いに対峙するような接合部においては、フロントカバー5との合せ面(合体面)となるシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部、或いはシリンダブロック2及びオイルパン4の前側部は、これらの加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等により、フロントカバーとの合せ面となる部分に段差が生じることがある。また、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間、或いはシリンダブロック2とオイルパン4との間にヘッドガスケット3a或いはオイルパンガスケット4aが介在するから、当該合せ面では、ヘッドガスケット3a或いはオイルパンガスケット4aの辺縁部が凹んだ位置にあったり、突出したりして、その連続性がこの部分で分断されることも不可避的に生じる。従って、上記のような液状ガスケット5cを単に介在させるだけでは、この部分での十分なシールがなされなくなる。
【0022】
図2及び図3は、シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びフロントカバー5が対峙する三部材接合部を示している。図例では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3のフロントカバー5との合せ面20,30は、同一面をなしているが、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaはこれらの面から凹んだ位置にあり、フロントカバー5との合せ面の連続性が分断されている。
【0023】
フロントカバー5の、上記三部材接合部に対応する鍔部5cには、その合体面50側から凹設された凹部5dが形成されており、この凹部5dがガスケット部材7を嵌合装着させる為の嵌合部とされている。ガスケット部材7は、該凹部5dに嵌合装着される硬質ゴムからなる断面凹形の装着基部7aと、該装着基部7aの凹部に基部が取り囲まれるよう固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとよりなる。このような異質のゴム材が固着一体とされた成型体は、所謂2色成型によって得られる。装着基部7aは、凹部5dに圧入嵌合されるが、必要によって接着剤を介して凹部5dに嵌合装着され、この嵌合状態ではシール部7bは、鍔部5cの上記合体面50より突出している。このようなガスケット部材7及び凹部5dは、図示は省略するが、フロントカバー5と、シリンダブロック2及びオイルパン4との三部材接合部にも適用される。
【0024】
上記のようなガスケット部材6を備えたフロントカバー5は、上記合体面50に液状ガスケットを塗布した上で、事前に合体締結されたヘッドカバー3、シリンダブロック2及びオイルパン4の前側部に合体され、ボルト5b…により締結一体とされる。この時、ガスケット部材7のシール部7bは軟質ゴムからなるから、ヘッドカバー3及びシリンダブロック2の隙間に侵入し、締結圧により弾性変形を伴いながらヘッドガスケット3aの辺縁部3aaに圧接される。シール部7bはその基部が硬質ゴムからなる装着基部7aに固着一体とされ、しかも、装着基部7aが凹部5dに嵌合されて規制されているから、上記締結圧が加わった際の圧縮変形はシール部7bに集中する。従って、シール部7bは、集中する圧縮変形作用によって、ヘッドカバー3及びシリンダブロック2の隙間に侵入して両者の隙間部における合せ面31,21に圧接すると共に、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaに至って圧接され、この部分で変形密着して良好な密封性が得られる。また、装着基部7aは硬質のゴムからなるが、ゴム特有の弾力性を有しているから、強い締結圧が作用しても、装着基部7aに一部が吸収され、シール部7bに横流れするような過剰な圧縮力が付加されることがない。
【0025】
尚、図2及び図3では、シール部7bが変形していない状態を示しているが、実際の締結状態では、上記のように弾性変形する。また、液状ガスケットからなるフロントカバーガスケット5aも誇張して表しているが、実際の締結状態では、図例より厚み方向に圧縮された状態となる。シール部7bが上記のように弾性変形することによって、三部材接合部の密封が極めて好適になされるので、シール部7bに液状ガスケットを塗布することを要しないが、塗布しても特に問題となることはない。
【0026】
上記構成において、シール部7bを構成する軟質ゴムとしては、ゴム硬度(JIS K 6253)が30〜70のACM,VMQ,PIB,FKM等が望ましく採用される。また、装着基部7aを構成する硬質ゴムとしては、ゴム硬度(同上)が50〜80のACM,VMQ,PIB,FKM等が望ましく採用される。ここに、シール部7bを構成する軟質ゴムのゴム硬度が30未満の場合、面圧が弱くなりシール性が低下する傾向となる。また、70を超えるとボルト5bによる締結負荷が大となり、液状ガスケットによるフロントカバーガスケット5aのシール性に影響を及ぼすことにもなる。更に、装着基部7aを構成する硬質ゴムのゴム硬度が50未満の場合、シール部7bの横流れ規制作用が弱まる傾向となり、80を超えるとシール部7bの過圧縮を吸収する機能が低下する傾向となる。
【0027】
図4は、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaがシリンダヘッド3のフロントカバー側合せ面30と同一面をなすが、シリンダブロック2の同合せ面20が、設計公差等に起因して、これらの面より突出し、段差が生じている場合に対応させた例を示している。この場合も、フロントカバー5の締結合体によって、ガスケット部材7のシール部7bが弾性変形を伴い、シリンダヘッド3の上記合せ面30、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aa及びシリンダブロック2の突出した上辺合せ面21に圧接し、これにより、これら三部材接合部のシールが確実になされる。シリンダヘッド3の合せ面30が、シリンダブロック2の同合せ面20より突出している場合でも、同様のガスケット構造により三部材接合部の同様の密封性が得られる。
【0028】
図5は、図3の例の変形例を示し、ガスケット部材7を構成する装着基部7a及びシール部7bの形状が異なる。即ち、装着基部7aがマット状とされ、また、シール部7bの基部の一部が凹部5dとの嵌合に関与する形状とされている。この場合、シール部7bの凹部5dとの嵌合に関与する部分において、締結圧による横流れが凹部5dによって直接的に規制される。その他の構成及び作用は図3の例と同様である。
【0029】
図6及び図7は、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaが、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3のフロントカバー側合せ面20,30より突出している場合に適用させた例を示している。この場合は、ガスケット部材7のシール部7bが、上記の例のように突出幅が大きくなく、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaを受け止める得るマット状の形状とされている。図6及び図7の相違点は、装着基部7aとシール部7bとの固着一体形状が異なっていることである。図6の例では、装着基部7aがシール部7bの上下辺を挟む断面凹形の溝形状とされ、この凹溝形状の凹部内にシール部7bが受容され固着一体とされている。また、図7の例では、装着基部7aもシール部7bと同形のマット状とされ、両者が重ね合わされた状態で固着一体とされている。これらの例の場合、フロントカバー5を、上記同様に合体締結させる際、シール部7bがヘッドガスケット3aの突出する辺縁部3aaを受け止め、弾性変形を伴いながら、辺縁部3aaに圧接される。このシール部7bと辺縁部3aaとの圧接関係によって、三部材接合部のシールが確実になされる。その他の構成及び作用は上記の例と同様である。
【0030】
図8は、ガスケット部材の別の実施形態を示すものであり、ガスケット部材7が金属部材からなる装着基部7aと、該装着基部7aに固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとより構成されている。装着基部7aは板金加工により断面凹形に形成され、シール部7bにその基部を取り囲むように固着一体とされている。図例は、図3の例と同様に、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaが凹んだ位置にあるような場合に適用し得るようシール部7bの突出幅を大きくしているが、図4や図6及び図7のような場合にも適用し得るような形状とすることも可能である。また、図5に示すような形状とすることも可能である。このように、金属部材からなる装着基部7aに軟質ゴム材からなるシール部7bを固着一体として構成されるガスケット部材7の場合、凹部5dに対する嵌合装着が安定的になされ、また、締結圧が付加された時のシール部材7bの横流れ規制効果も向上する。その他の構成及び作用も上記の例と同様である。
【0031】
図9〜図11はガスケット部材の更に別の実施形態を示すものであり、ガスケット部材7が、硬質ゴム部7aaに金属部材を芯金7abとして一体とした複合部材からなる装着基部7aと、この装着基部7aに固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとにより構成される。これらの例における装着基部7aは、いずれも断面凹形で、シール部7bの基部を取り囲むように固着一体とされるが、硬質ゴム部7aaと芯金7abとの複合形態が夫々に異なっている。即ち、図9の例では芯金7abが硬質ゴム部7aaに対して凹形の外側になるよう複合され、図10の例では芯金7abが硬質ゴム部7aaに対して同内側になるよう複合され、図11の例では芯金7abが硬質ゴム部7aaに対して埋設されるよう複合されている。そして、これらの例はいずれも芯金7abによって硬質ゴム部7aaが補強され、凹部5dに対する嵌合装着が安定的になされる。また、硬質ゴム部7aaと芯金7abとの相乗効果により、締結圧が付加された時のシール部材7bの横流れ規制効果も向上する。いずれの例も図3の例と同様に、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaが凹んだ位置にあるような場合に適用し得るようシール部7bの突出幅を大きくしているが、上記と同様に、図4や図6及び図7のような場合にも適用し得るような形状としたり、図5に示すような形状とすることも可能である。その他の構成及び作用も上記の例と同様である。
【0032】
図12は、嵌合部及びガスケット部材の別の実施形態を示している。即ち、フロントカバー5の上記鍔部5cには、その厚み方向に貫通する透孔5eが貫設されており、この透孔5eがガスケット部材7を嵌合装着させる為の嵌合部とされている。ガスケット部材7は板金加工された金属部材からなる装着基部7cと、該装着基部7cに固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとにより構成される。装着基部7cは筒状に形成され、その筒状部7caの外周部を覆うようにシール部7bの基部が固着一体とされ、このシール部7bの基部が固着一体とされた部分の外径が、上記透孔5eの内径と略同じとされている。また、上記筒状部7caの基端部には外向鍔7cbが連成されている。ガスケット部材7は、フロントカバー5の外側より、透孔5eにシール部7bをして嵌挿され、外向鍔7cbを透孔5eの周縁鍔部5cの表面に溶接又は加締めることによって固定される。
【0033】
図例では、透孔5eに嵌合装着されたガスケット部材7のシール部7bは、フロントカバー5の合体面50からの突出幅が大きくなるよう構成されている。従って、図3の例の場合と同様、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaがシリンダブロック2及びシリンダヘッド3のフロントカバー5との合せ面20,30より凹んだ位置にあるような場合に適用される。即ち、フロントカバー5をシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の合せ面20,30に合体締結させる際、シール部7bがシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の隙間に侵入し、上記同様、締結圧による圧縮変形がシール部7bに集中し、この集中によりシール部7bがヘッドガスケット3aの辺縁部3aaに至って圧接すると共に、ヘッドカバー3及びシリンダブロック2の隙間部における合せ面31,21に圧接し、この部分で変形密着して良好な密封性が得られる。シール部7bの基部は、透孔5eの孔壁と装着基部7cの筒状部7caとにより挟圧された状態であるから、上記締結圧による圧縮変形時の横流れ規制作用がより良好に発現される。
この実施形態に係る嵌合部及びガスケット部材の構成は、図6及び図7の例のように、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaがシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の合せ面20,30より突出している場合にも、その形状を変更することにより適用させることができる。
【0034】
尚、上記実施形態では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3と、フロントカバー5との三部材接合部に適用した例を示したが、シリンダブロック2及びオイルパン4と、フロントカバー5との三部材接合部にも適用すれば同様の効果を奏する。また、エンジン以外の同様の三部材接合部にも本発明のガスケット構造を適用することができる。更に、ガスケット部材7を構成する軟質ゴム、硬質ゴムに代え、軟質樹脂、硬質樹脂とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の三部材接合部のガスケット構造が適用されるエンジンの概略的外観側面図である。
【図2】図1におけるX−X線矢視断面図である。
【図3】図2におけるY−Y線矢視断面図である。
【図4】同ガスケット構造の変形例を示す図3と同様図である。
【図5】同ガスケット構造の別の変形例を示す図3と同様図である。
【図6】本発明の三部材接合部のガスケット構造の別の実施形態を示す図3と同様図である。
【図7】同ガスケット構造の変形例を示す図3と同様図である。
【図8】本発明の三部材接合部のガスケット構造の更に別の実施形態を示す図3と同様図である。
【図9】同ガスケット構造の変形例を示す図3と同様図である。
【図10】同ガスケット構造の別の変形例を示す図3と同様図である。
【図11】同ガスケット構造の更に別の変形例を示す図3と同様図である。
【図12】本発明の三部材接合部のガスケット構造の更に別の実施形態を示す図3と同様図である。
【符号の説明】
【0036】
1 エンジン
2 シリンダブロック(シール対象2部材の一方)
3 シリンダヘッド(シール対象2部材の他方)
3a ヘッドガスケット(ガスケット)
5 フロントカバー(第三のシール対象部材)
5d 凹部(嵌合部)
5e 透孔(嵌合部)
50 合体面
7 ガスケット部材
7a 装着基部
7b シール部
7c 複合部材(装着基部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、三部材接合部、例えば、シリンダヘッドとシリンダブロックとフロントカバーとの三面合せ部における三部材接合部のガスケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンにおいては、ヘッドガスケットを介して合体締結されたシリンダヘッドとシリンダブロックに対して、その前側部に両者の合体方向と直交する方向より両者に跨るようにフロントカバーが合体締結される。このフロントカバーは、合体締結されたシリンダヘッドとシリンダブロックの側面との間に、チェーンやギヤ等の駆動伝達部材の収容空間を確保する為に装着される。この収容空間内には駆動伝達部材を円滑に作動させる為に潤滑オイルが充填される。その為、フロントカバーの周縁部と、シリンダヘッド及びシリンダブロックの前側部周縁部とを相互の合わせ面とし、フロントカバーは、この合せ面に、ゴムガスケット、液体ガスケット或いはメタルガスケット等のフロントカバーガスケットを介して密封状態でシリンダヘッド及びシリンダブロックの前側部に合体締結される。
【0003】
ところで、シリンダブロックとシリンダヘッドとの合せ面にはヘッドガスケットが介在し、このヘッドガスケットの存在によりその密封精度は高く維持されて両者の合体締結がなされる。しかし、シリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部は、両者の加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等により、フロントカバーとの合せ面となる部分に段差が生じることがある。また、シリンダブロックとシリンダヘッドとの間にヘッドガスケットが介在するから、当該合せ面では、ヘッドガスケットの辺縁部が凹んだ位置にあったり、突出したりして、その連続性がこの部分で分断されることも不可避的に生じる。従って、上記のようなフロントカバーガスケットを単に介在させるだけでは、シリンダヘッド、シリンダブロック及びフロントカバーの三部材接合部分では段差や食い違い等の面不均衡に起因する面圧不足が生じ、十分なシールがなされなくなる。その為、三部材接合部分に予め液状ガスケットを充填する等の処置が講じられたりしている。
【0004】
特許文献1には、ヘッドガスケットの端面をシリンダブロック及びシリンダヘッドの側面より凹ませ、この凹ませた部分に耐熱弾性体製のガスケットをヘッドガスケットに係着して挿入するようにした内燃機関の気密装置が開示されている。また、特許文献2の三部材接合部のガスケット構造では、上記三部材接合部分に予め液状ガスケットを充填する場合の問題点に鑑み、ヘッドガスケットの端面を上記同様凹ませ(奥まる配置とし)、ゴム製フロントカバーガスケットの三部材接合部に略十字部を形成すると共にこの十字部の一部を突出させて凸部を形成し、十字部及び凸部をヘッドガスケットの端面に圧着させることによって、段差や食い違い等の面不均衡による面圧不足の解消を図っている。
【特許文献1】実公平5−23791号公報
【特許文献2】特開2000−39070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された気密装置の場合、ヘッドガスケットの端面のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側面からの凹ませ度合いと、耐熱弾性体製のガスケットの幅とが寸法的に整合していないと、シリンダブロック及びシリンダヘッドのフロントカバーに対する合せ面で凹みや突出部分ができ、結果として、上記同様、三部材接合部分で段差や食い違い等の面不均衡が生じることになる。その為、上記凹ませ度合い及び耐熱弾性体製ガスケットの幅の高度な寸法的加工精度が必要とされる。また、耐熱弾性体製のガスケットをヘッドガスケットに係着する工程が必要とされる為、組立工数が増えることにもなる。しかも、本特許文献1は、上記のような加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等に起因して生じる段差等に対応することまでも意図するものではない。
【0006】
特許文献2に開示されたガスケット構造は、上記同様ヘッドガスケットの端面をシリンダブロック及びシリンダヘッドの側面から凹ませ、この凹ませた部分にフロントカバーガスケットに形成された十字部の凸部を圧着することによって圧縮量を増し密封量を向上させている。しかし、上記凸部に圧縮を加えてもヘッドガスケットの端面まで至らず、密封するに必要な変形密着がなし得ない。これは、十字部の凸部がフロントカバーガスケットと同材質のゴムからなるので、圧縮変形がガスケット側にもおよび、凸部側に集中し難い為である。この密封性を補う為に、液状ガスケットをヘッドガスケットの端面との間に充填することもなされているが、液状ガスケットでは引張り性能が弱く十分な面圧が得られない点が指摘されている。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡単な構造でありながら三部材接合部の良好な密封性が得られるガスケット構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る三部材接合部のガスケット構造は、ガスケットを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材と、該シール対象2部材の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材に跨るよう密封状態で合体締結される第三のシール対象部材との三部材接合部のガスケット構造であって、上記三部材接合部における第三のシール対象部材には、ガスケット部材を嵌合装着する為の嵌合部が形成され、上記ガスケット部材は、嵌合装着用の装着基部と、該装着基部に固着一体とされた軟弾性材からなるシール部とよりなり、上記第三のシール対象部材を上記シール対象2部材に合体締結させた際、ガスケット部材のシール部が、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールするよう構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記ガスケット部材のシール部を、軟質ゴムによって構成しても良い。また、ガスケット部材の装着基部を、硬質のゴム、金属部材或いは硬質ゴムに金属部材を芯金として一体とした複合部材からなるものとすることができる。
【0010】
前記嵌合部は、前記三部材接合部における第三のシール対象部材に、合体面側から凹設された凹部からなるもの、或いは、第三のシール対象部材に貫設された透孔からなるものとすることができる。
【0011】
そして、本発明に係る三部材接合部のガスケット構造は、前記被シール対象2部材が、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記第三のシール対象部材が、合体締結状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部に両者に跨るように合体締結されるフロントカバーである場合に望ましく適用される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の三部材接合部のガスケット構造は、ガスケットを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材に対し、第三のシール対象部材が、該シール対象2部材の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材に跨るよう密封状態で合体締結される。シール対象2部材と第三のシール対象部材との三部材接合部には、第三のシール対象部材の嵌合部に嵌合装着されたガスケット部材が介在するから、三部材接合部がこのガスケット部材によってシールされる。この場合、ガスケット部材は、第三のシール対象部材の嵌合部に嵌合装着する為の装着基部と、該装着基部に固着一体とされた軟弾性材からなるシール部とよりなり、第三のシール対象部材をシール対象2部材に合体締結させた際、シール部が、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールする。特に、シール部は、軟弾性材からなり、第三のシール対象部材の嵌合部に嵌合装着される装着基部に固着一体とされているから、第三のシール対象部材の合体締結の際の圧縮変形は、装着基部が嵌合部によって規制される為、軟弾性のシール部に集中する。従って、シール部に集中する圧縮変形は、上記シール対象2部材間のガスケットの端面や両シール対象2部材の段差部分に弾性変形を伴った状態で至り、この部分で変形密着して良好な密封性が得られる。ガスケットの端面が、第三のシール対象部材に対するシール対象2部材の合せ面より凹んだ位置にあっても、或いは第三のシール対象部材側に突出した位置にあっても、更には、シール対象2部材が設計公差等により合せ面に段差等を有していても、シール部の弾性変形により、これらシール対象部位との気密的な密着性が確立される。
【0013】
そして、上記ガスケット部材のシール部が軟質ゴムからなる場合は、弾性変形性とその復元弾力性により被シール対象部での面圧が強固となり、より良好な密封性が得られる。また、ガスケット部材の装着基部が、硬質のゴム、金属部材或いは硬質ゴムに金属部材を芯金として一体とした複合部材からなるものとすれば、嵌合部に対する嵌合装着が安定的になされると共に、装着基部の嵌合部による規制効果が高められ、シール部への圧縮変形の集中がより顕著となり、被シール対象部に対する変形密着による密封性がより良好となる。
【0014】
第三のシール対象部材に形成される嵌合部を、前記凹部や透孔とする場合は、その形成が容易であり、また、ガスケット部材の嵌合装着が簡易になされ、煩わしさを伴った組立て工数の増大をもたらす懸念もない。
【0015】
本発明において、前記被シール対象2部材を、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドとし、前記第三のシール対象部材を、合体締結状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの側部に両者に跨るように合体締結されるフロントカバーとした場合、シリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部にフロントカバーによって駆動伝達部材の収容空間が確保される。この収容空間は、上述のようなガスケット構造によって気密的に形成されるから、充填される潤滑オイル等の漏出防止が図られる。また、エンジンの組立て工数や組立てコストが左程増大することもなく、極めて有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の最良の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は本発明の三部材接合部のガスケット構造が適用されるエンジンの概略的外観側面図、図2は図1におけるX−X線矢視断面図、図3は図2におけるY−Y線矢視断面図、図4〜図12は本発明の三部材接合部のガスケット構造の種々の態様を示す図3と同様図である。
【0017】
図1のエンジン1は、シリンダブロック(シール対象2部材の一方)2と、該シリンダブロック2の上面に締結合体されるシリンダヘッド(シール対象2部材の他方)3と、シリンダブロック2の下面に締結合体されるオイルパン4と、縦方向に合体されたシリンダヘッド3、シリンダブロック2及びオイルパン4の前側部にこれらの合体方向と直交する方向よりこれらに跨るよう合体締結されるフロントカバー(第三のシール対象部材)5と、シリンダヘッド3及びフロントカバー5の上端面に両者に跨るよう締結合体されるシリンダヘッドカバー(ロッカーカバー)6とより構成される。
【0018】
このような構成のエンジン1において、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との合わせ面21,31(図3参照)にはゴム等からなるヘッドガスケット3aが介在され、両者の締結はシリンダヘッド3側からのボルト3b…によってなされる。シリンダブロック2とオイルパン4との合わせ面にはゴム等からなるオイルパンガスケット4aが介在され、両者の締結はオイルパン4側からのボルト4b…によってなされる。また、シリンダヘッド3、シリンダブロック2及びオイルパン4の前側部とフロントカバー5との合せ面には、液状ガスケット或いはメタルガスケット等のフロントカバーガスケット5aが介在され、これらの締結はフロントカバー5からのボルト5b…によってなされる。更に、シリンダヘッド3及びフロントカバー5の上端面とシリンダヘッドカバー6との合わせ面にはゴム等からなるヘッドカバーガスケット6aが介在され、これらの締結はシリンダヘッドカバー6からのボルト6b…によってなされる。
【0019】
上記各合体締結状態において、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との合わせ面21,31、シリンダブロック2とオイルパン4との合わせ面及びシリンダヘッド3とシリンダヘッドカバー6との合わせ面は、夫々、ヘッドガスケット3a、オイルパンガスケット4a及びヘッドカバーガスケット6aによって、各相互の密封状態が維持される。
【0020】
フロントカバー5は、図のような合体締結状態では、シリンダヘッド3、シリンダブロック2、オイルパン4の側面及びシリンダヘッドカバー6の下面との間に、図2に示すように、チェーンやギヤ等の駆動伝達部材(不図示)の収容空間5Aを形成する。この収容空間5A内には、駆動伝達部材を円滑に作動させる為に潤滑オイル(不図示)が充填される。フロントカバー5の周縁には鍔部5cが周設され、シリンダヘッド3、シリンダブロック2、オイルパン4及びシリンダヘッドカバー6に対する合体面50はこの鍔部5cに形成されると共に、上記各ボルトによるフロントカバー5の締結はこの鍔部5cにおいてなされる。そして、フロントカバー5の、シリンダヘッド3、シリンダブロック2及びオイルパン4に対する合体面50には、上述の通り、液状ガスケット或いはメタルガスケット等によるフロントカバーガスケット5aが介在される。図2及び図3は、フロントカバーガスケット5aとして液状ガスケットを用いた例を示している。
【0021】
ところで、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3とフロントカバー5、シリンダブロック2及びオイルパン4とフロントカバー5のように三部材が互いに対峙するような接合部においては、フロントカバー5との合せ面(合体面)となるシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の前側部、或いはシリンダブロック2及びオイルパン4の前側部は、これらの加工公差や、相互の微小な締結位置ずれ等により、フロントカバーとの合せ面となる部分に段差が生じることがある。また、シリンダブロック2とシリンダヘッド3との間、或いはシリンダブロック2とオイルパン4との間にヘッドガスケット3a或いはオイルパンガスケット4aが介在するから、当該合せ面では、ヘッドガスケット3a或いはオイルパンガスケット4aの辺縁部が凹んだ位置にあったり、突出したりして、その連続性がこの部分で分断されることも不可避的に生じる。従って、上記のような液状ガスケット5cを単に介在させるだけでは、この部分での十分なシールがなされなくなる。
【0022】
図2及び図3は、シリンダブロック2、シリンダヘッド3及びフロントカバー5が対峙する三部材接合部を示している。図例では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3のフロントカバー5との合せ面20,30は、同一面をなしているが、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaはこれらの面から凹んだ位置にあり、フロントカバー5との合せ面の連続性が分断されている。
【0023】
フロントカバー5の、上記三部材接合部に対応する鍔部5cには、その合体面50側から凹設された凹部5dが形成されており、この凹部5dがガスケット部材7を嵌合装着させる為の嵌合部とされている。ガスケット部材7は、該凹部5dに嵌合装着される硬質ゴムからなる断面凹形の装着基部7aと、該装着基部7aの凹部に基部が取り囲まれるよう固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとよりなる。このような異質のゴム材が固着一体とされた成型体は、所謂2色成型によって得られる。装着基部7aは、凹部5dに圧入嵌合されるが、必要によって接着剤を介して凹部5dに嵌合装着され、この嵌合状態ではシール部7bは、鍔部5cの上記合体面50より突出している。このようなガスケット部材7及び凹部5dは、図示は省略するが、フロントカバー5と、シリンダブロック2及びオイルパン4との三部材接合部にも適用される。
【0024】
上記のようなガスケット部材6を備えたフロントカバー5は、上記合体面50に液状ガスケットを塗布した上で、事前に合体締結されたヘッドカバー3、シリンダブロック2及びオイルパン4の前側部に合体され、ボルト5b…により締結一体とされる。この時、ガスケット部材7のシール部7bは軟質ゴムからなるから、ヘッドカバー3及びシリンダブロック2の隙間に侵入し、締結圧により弾性変形を伴いながらヘッドガスケット3aの辺縁部3aaに圧接される。シール部7bはその基部が硬質ゴムからなる装着基部7aに固着一体とされ、しかも、装着基部7aが凹部5dに嵌合されて規制されているから、上記締結圧が加わった際の圧縮変形はシール部7bに集中する。従って、シール部7bは、集中する圧縮変形作用によって、ヘッドカバー3及びシリンダブロック2の隙間に侵入して両者の隙間部における合せ面31,21に圧接すると共に、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaに至って圧接され、この部分で変形密着して良好な密封性が得られる。また、装着基部7aは硬質のゴムからなるが、ゴム特有の弾力性を有しているから、強い締結圧が作用しても、装着基部7aに一部が吸収され、シール部7bに横流れするような過剰な圧縮力が付加されることがない。
【0025】
尚、図2及び図3では、シール部7bが変形していない状態を示しているが、実際の締結状態では、上記のように弾性変形する。また、液状ガスケットからなるフロントカバーガスケット5aも誇張して表しているが、実際の締結状態では、図例より厚み方向に圧縮された状態となる。シール部7bが上記のように弾性変形することによって、三部材接合部の密封が極めて好適になされるので、シール部7bに液状ガスケットを塗布することを要しないが、塗布しても特に問題となることはない。
【0026】
上記構成において、シール部7bを構成する軟質ゴムとしては、ゴム硬度(JIS K 6253)が30〜70のACM,VMQ,PIB,FKM等が望ましく採用される。また、装着基部7aを構成する硬質ゴムとしては、ゴム硬度(同上)が50〜80のACM,VMQ,PIB,FKM等が望ましく採用される。ここに、シール部7bを構成する軟質ゴムのゴム硬度が30未満の場合、面圧が弱くなりシール性が低下する傾向となる。また、70を超えるとボルト5bによる締結負荷が大となり、液状ガスケットによるフロントカバーガスケット5aのシール性に影響を及ぼすことにもなる。更に、装着基部7aを構成する硬質ゴムのゴム硬度が50未満の場合、シール部7bの横流れ規制作用が弱まる傾向となり、80を超えるとシール部7bの過圧縮を吸収する機能が低下する傾向となる。
【0027】
図4は、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaがシリンダヘッド3のフロントカバー側合せ面30と同一面をなすが、シリンダブロック2の同合せ面20が、設計公差等に起因して、これらの面より突出し、段差が生じている場合に対応させた例を示している。この場合も、フロントカバー5の締結合体によって、ガスケット部材7のシール部7bが弾性変形を伴い、シリンダヘッド3の上記合せ面30、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aa及びシリンダブロック2の突出した上辺合せ面21に圧接し、これにより、これら三部材接合部のシールが確実になされる。シリンダヘッド3の合せ面30が、シリンダブロック2の同合せ面20より突出している場合でも、同様のガスケット構造により三部材接合部の同様の密封性が得られる。
【0028】
図5は、図3の例の変形例を示し、ガスケット部材7を構成する装着基部7a及びシール部7bの形状が異なる。即ち、装着基部7aがマット状とされ、また、シール部7bの基部の一部が凹部5dとの嵌合に関与する形状とされている。この場合、シール部7bの凹部5dとの嵌合に関与する部分において、締結圧による横流れが凹部5dによって直接的に規制される。その他の構成及び作用は図3の例と同様である。
【0029】
図6及び図7は、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaが、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3のフロントカバー側合せ面20,30より突出している場合に適用させた例を示している。この場合は、ガスケット部材7のシール部7bが、上記の例のように突出幅が大きくなく、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaを受け止める得るマット状の形状とされている。図6及び図7の相違点は、装着基部7aとシール部7bとの固着一体形状が異なっていることである。図6の例では、装着基部7aがシール部7bの上下辺を挟む断面凹形の溝形状とされ、この凹溝形状の凹部内にシール部7bが受容され固着一体とされている。また、図7の例では、装着基部7aもシール部7bと同形のマット状とされ、両者が重ね合わされた状態で固着一体とされている。これらの例の場合、フロントカバー5を、上記同様に合体締結させる際、シール部7bがヘッドガスケット3aの突出する辺縁部3aaを受け止め、弾性変形を伴いながら、辺縁部3aaに圧接される。このシール部7bと辺縁部3aaとの圧接関係によって、三部材接合部のシールが確実になされる。その他の構成及び作用は上記の例と同様である。
【0030】
図8は、ガスケット部材の別の実施形態を示すものであり、ガスケット部材7が金属部材からなる装着基部7aと、該装着基部7aに固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとより構成されている。装着基部7aは板金加工により断面凹形に形成され、シール部7bにその基部を取り囲むように固着一体とされている。図例は、図3の例と同様に、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaが凹んだ位置にあるような場合に適用し得るようシール部7bの突出幅を大きくしているが、図4や図6及び図7のような場合にも適用し得るような形状とすることも可能である。また、図5に示すような形状とすることも可能である。このように、金属部材からなる装着基部7aに軟質ゴム材からなるシール部7bを固着一体として構成されるガスケット部材7の場合、凹部5dに対する嵌合装着が安定的になされ、また、締結圧が付加された時のシール部材7bの横流れ規制効果も向上する。その他の構成及び作用も上記の例と同様である。
【0031】
図9〜図11はガスケット部材の更に別の実施形態を示すものであり、ガスケット部材7が、硬質ゴム部7aaに金属部材を芯金7abとして一体とした複合部材からなる装着基部7aと、この装着基部7aに固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとにより構成される。これらの例における装着基部7aは、いずれも断面凹形で、シール部7bの基部を取り囲むように固着一体とされるが、硬質ゴム部7aaと芯金7abとの複合形態が夫々に異なっている。即ち、図9の例では芯金7abが硬質ゴム部7aaに対して凹形の外側になるよう複合され、図10の例では芯金7abが硬質ゴム部7aaに対して同内側になるよう複合され、図11の例では芯金7abが硬質ゴム部7aaに対して埋設されるよう複合されている。そして、これらの例はいずれも芯金7abによって硬質ゴム部7aaが補強され、凹部5dに対する嵌合装着が安定的になされる。また、硬質ゴム部7aaと芯金7abとの相乗効果により、締結圧が付加された時のシール部材7bの横流れ規制効果も向上する。いずれの例も図3の例と同様に、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaが凹んだ位置にあるような場合に適用し得るようシール部7bの突出幅を大きくしているが、上記と同様に、図4や図6及び図7のような場合にも適用し得るような形状としたり、図5に示すような形状とすることも可能である。その他の構成及び作用も上記の例と同様である。
【0032】
図12は、嵌合部及びガスケット部材の別の実施形態を示している。即ち、フロントカバー5の上記鍔部5cには、その厚み方向に貫通する透孔5eが貫設されており、この透孔5eがガスケット部材7を嵌合装着させる為の嵌合部とされている。ガスケット部材7は板金加工された金属部材からなる装着基部7cと、該装着基部7cに固着一体とされた軟質ゴムからなるシール部7bとにより構成される。装着基部7cは筒状に形成され、その筒状部7caの外周部を覆うようにシール部7bの基部が固着一体とされ、このシール部7bの基部が固着一体とされた部分の外径が、上記透孔5eの内径と略同じとされている。また、上記筒状部7caの基端部には外向鍔7cbが連成されている。ガスケット部材7は、フロントカバー5の外側より、透孔5eにシール部7bをして嵌挿され、外向鍔7cbを透孔5eの周縁鍔部5cの表面に溶接又は加締めることによって固定される。
【0033】
図例では、透孔5eに嵌合装着されたガスケット部材7のシール部7bは、フロントカバー5の合体面50からの突出幅が大きくなるよう構成されている。従って、図3の例の場合と同様、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaがシリンダブロック2及びシリンダヘッド3のフロントカバー5との合せ面20,30より凹んだ位置にあるような場合に適用される。即ち、フロントカバー5をシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の合せ面20,30に合体締結させる際、シール部7bがシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の隙間に侵入し、上記同様、締結圧による圧縮変形がシール部7bに集中し、この集中によりシール部7bがヘッドガスケット3aの辺縁部3aaに至って圧接すると共に、ヘッドカバー3及びシリンダブロック2の隙間部における合せ面31,21に圧接し、この部分で変形密着して良好な密封性が得られる。シール部7bの基部は、透孔5eの孔壁と装着基部7cの筒状部7caとにより挟圧された状態であるから、上記締結圧による圧縮変形時の横流れ規制作用がより良好に発現される。
この実施形態に係る嵌合部及びガスケット部材の構成は、図6及び図7の例のように、ヘッドガスケット3aの辺縁部3aaがシリンダブロック2及びシリンダヘッド3の合せ面20,30より突出している場合にも、その形状を変更することにより適用させることができる。
【0034】
尚、上記実施形態では、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3と、フロントカバー5との三部材接合部に適用した例を示したが、シリンダブロック2及びオイルパン4と、フロントカバー5との三部材接合部にも適用すれば同様の効果を奏する。また、エンジン以外の同様の三部材接合部にも本発明のガスケット構造を適用することができる。更に、ガスケット部材7を構成する軟質ゴム、硬質ゴムに代え、軟質樹脂、硬質樹脂とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の三部材接合部のガスケット構造が適用されるエンジンの概略的外観側面図である。
【図2】図1におけるX−X線矢視断面図である。
【図3】図2におけるY−Y線矢視断面図である。
【図4】同ガスケット構造の変形例を示す図3と同様図である。
【図5】同ガスケット構造の別の変形例を示す図3と同様図である。
【図6】本発明の三部材接合部のガスケット構造の別の実施形態を示す図3と同様図である。
【図7】同ガスケット構造の変形例を示す図3と同様図である。
【図8】本発明の三部材接合部のガスケット構造の更に別の実施形態を示す図3と同様図である。
【図9】同ガスケット構造の変形例を示す図3と同様図である。
【図10】同ガスケット構造の別の変形例を示す図3と同様図である。
【図11】同ガスケット構造の更に別の変形例を示す図3と同様図である。
【図12】本発明の三部材接合部のガスケット構造の更に別の実施形態を示す図3と同様図である。
【符号の説明】
【0036】
1 エンジン
2 シリンダブロック(シール対象2部材の一方)
3 シリンダヘッド(シール対象2部材の他方)
3a ヘッドガスケット(ガスケット)
5 フロントカバー(第三のシール対象部材)
5d 凹部(嵌合部)
5e 透孔(嵌合部)
50 合体面
7 ガスケット部材
7a 装着基部
7b シール部
7c 複合部材(装着基部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケットを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材と、該シール対象2部材の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材に跨るよう密封状態で合体締結される第三のシール対象部材との三部材接合部のガスケット構造であって、
上記三部材接合部における第三のシール対象部材には、ガスケット部材を嵌合装着する為の嵌合部が形成され、上記ガスケット部材は、嵌合装着用の装着基部と、該装着基部に固着一体とされた軟弾性材からなるシール部とよりなり、上記第三のシール対象部材を上記シール対象2部材に合体締結させた際、ガスケット部材のシール部が、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールするよう構成されていることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項2】
請求項1に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材のシール部が、軟質ゴムからなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材の装着基部が、硬質ゴムからなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材の装着基部が、金属部材からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材の装着基部が、硬質ゴムに金属部材を芯金として一体とした複合部材からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記嵌合部が、前記三部材接合部における第三のシール対象部材に、合体面側から凹設された凹部からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記嵌合部が、前記三部材接合部における第三のシール対象部材に貫設された透孔からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記被シール対象2部材が、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記第三のシール対象部材が、合体締結状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部に両者に跨るように合体締結されるフロントカバーであることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項1】
ガスケットを介して密封状態で合体締結されるシール対象2部材と、該シール対象2部材の合体方向に直交する方向より、合体締結状態の該2部材に跨るよう密封状態で合体締結される第三のシール対象部材との三部材接合部のガスケット構造であって、
上記三部材接合部における第三のシール対象部材には、ガスケット部材を嵌合装着する為の嵌合部が形成され、上記ガスケット部材は、嵌合装着用の装着基部と、該装着基部に固着一体とされた軟弾性材からなるシール部とよりなり、上記第三のシール対象部材を上記シール対象2部材に合体締結させた際、ガスケット部材のシール部が、弾性変形を伴い上記三部材接合部をシールするよう構成されていることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項2】
請求項1に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材のシール部が、軟質ゴムからなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材の装着基部が、硬質ゴムからなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材の装着基部が、金属部材からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記ガスケット部材の装着基部が、硬質ゴムに金属部材を芯金として一体とした複合部材からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記嵌合部が、前記三部材接合部における第三のシール対象部材に、合体面側から凹設された凹部からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記嵌合部が、前記三部材接合部における第三のシール対象部材に貫設された透孔からなることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の三部材接合部のガスケット構造において、
前記被シール対象2部材が、エンジンのシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記第三のシール対象部材が、合体締結状態のシリンダブロック及びシリンダヘッドの前側部に両者に跨るように合体締結されるフロントカバーであることを特徴とする三部材接合部のガスケット構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−121697(P2010−121697A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295426(P2008−295426)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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