説明

不揮発性半導体メモリデバイス

【課題】ダイナミック放電読み出しでセンスタイミングのずれを是正する。
【解決手段】センスアンプ7Bは、メモリセル抵抗Rcellの一方の電極が接続されたビット線BLの放電電位を参照電位Vrと比較して情報を読み出す。セット容量スイッチ18S、リセット容量スイッチ18Rおよび追加容量Coffsetとその制御手段によって、センスノード(電位Vo)の負荷容量、または、センスノードと参照電位Vrを入力する参照ノードの負荷容量との両方を、メモリセル抵抗Rcellの読み出す情報の論理(通常読み出し、書き込みまたは消去のヴェリファイ読み出しの相違)に応じて変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの電極間の電荷放電速度が、記憶された情報の論理に応じて異なる記憶素子を有する不揮発性半導体メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ビット線にプリチャージ電圧を印加し、その放電速度の違いを読み出す不揮発性メモリデバイスが知られている。
かかる読み出し方法が適用可能な不揮発性半導体メモリデバイスの代表的なものとして、(フラッシュ)EEPRPMが存在する。
【0003】
一方で、FG型の(フラッシュ)EEPROMを置き換えるために、データ書き換えが高速な不揮発性メモリデバイスとして、抵抗変化型メモリデバイスが注目されている。
【0004】
抵抗変化型メモリデバイスとして、記憶素子内の導電膜に導電性イオンを入出力させたときの抵抗変化を記憶状態に対応させる、いわゆるReRAMが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
ReRAMの書き換え特性、保持特性等の信頼性を保証するため、更には多値メモリへの応用のため、一般的なフラッシュメモリ等と同様、書き込み、消去時にヴェリファイ読み出しする方式が検討されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
一般的なフラッシュメモリのヴェリファイ読み出し時の電流制御は、読み出し電流(センス電流)をほぼ一定にするため、メモリトランジスタのゲート電位を変えることによって、異なる閾値をヴェリファイする。この動作方式のメリットは動作電流が一定であるため、センスタイミング、センスノードの負荷等がヴェリファイする閾値にほとんど依存しない点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−26364号公報
【特許文献2】特開2002−260377号公報
【特許文献3】特開2005−510005号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Aratani, etc. “A Novel Resistance Memory with High Scalability and Nanosecond Switching”, Technical Digest IEDM 2007, pp.783-786
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ReRAMにはフラッシュメモリとは違う制約がある。
ReRAMの記憶素子は2端子しかない。つまり、フラッシュメモリでいうソース端子、ドレイン端子と同様に電流が流れる2端子のみでゲート端子がない。ここで、ヴェリファイ時に異なる抵抗値を読み出す場合、読み出し時にReRAMに印加するプリチャージ電圧(=VR)を一定、ReRAMの記憶素子の抵抗(セル抵抗)をRcellとする。すると、読み出し電流は(VR/Rcell)となる。これはセル抵抗Rcellが変われば読み出し電流が変わることを意味する。
【0009】
ReRAMの場合、セル抵抗Rcellは記憶情報の論理に応じて数桁異なるので、以上の理由から、高速にヴェリファイ読み出しを行おうとすると、以下のようにセンスタイミングの制御が不可欠になる。
具体的に、ビット線電位(以下、BL電位)を記憶素子による放電によって低下させてヴェリファイ読み出しする際に、センスする抵抗が高抵抗である場合は、消去ヴェリファイ時のBL電位の放電が低速であるため、センスタイミングを遅くする必要がある。一方、センスする抵抗が低抵抗の場合は、書き込みヴェリファイ時のBL電位の放電が高速であるため、センスタイミングを早くする必要がある。この書き込みヴェリファイ時にセンスタイミングが遅くなるとBL電荷が消失してしまい正常なセンス動作ができなくなってしまう。
【0010】
このように読み出そうとする情報の論理に応じて最適なセンスタイミングが異なることは、ReRAMに限らない。つまり、メモリトランジスタのゲート電圧制御を行わないで、ダイナミック放電読み出しでセル電流の大小を読み出す方式であるならば、フラッシュEEPROMなど、抵抗変化型メモリ以外の不揮発性メモリデバイスでも、最適なセンスタイミングのずれが生じる。
以下、このようなプリチャージ電荷の放電速度を、放電電流をほぼ一定とするように(トランジスタゲート電圧等で)規制しないで、そのまま読み出す方法を、“ダイナミック放電読み出し”と呼ぶ。
【0011】
ダイナミック放電読み出しの場合、最適なセンスタイミングの制御をセンスアンプの起動タイミングを制御する回路に委ねると、制御回路の複雑化をもたらす。
【0012】
本発明は、いわゆるダイナミック放電読み出しを行う不揮発性メモリにおいて、センスタイミングのずれを是正し、高速読み出しを可能とする不揮発性半導体メモリデバイスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点に関わる不揮発性半導体メモリデバイスは、記憶素子と、センスアンプと、負荷容量変更部とを有する。
前記記憶素子は、2つの電極間の電荷放電速度が、記憶された情報の論理に応じて異なる素子である。
前記センスアンプは、前記記憶素子の一方の電極が接続された配線の放電電位を参照電位と比較することにより、前記情報の論理を検出する。
前記負荷容量変更部は、前記放電電位を入力するセンスアンプのセンスノードの負荷容量、または、当該センスノードの負荷容量と前記参照電位を入力する前記センスアンプの参照ノードの負荷容量との両方を、前記記憶素子の読み出す情報の論理に応じて変化させる。
【0014】
以上の構成によれば、負荷容量変更部が、記憶素子の読み出す情報の論理に応じて、センスアンプのセンスノードと参照ノードの一方または双方の負荷容量を変化させる。読み出す情報の論理が任意(“1”または“0”)の通常の読み出し時と、例えば“1”の書き込みヴェリファイ読み出し時と、例えば“0”の消去ヴェリファイ読み出し時とを例とする。この3種類の読み出しでは、センスタイミングの最適値が異なる。例えば、ReRAMを例にとると、書き込みヴェリファイ時には記憶素子の抵抗値が最も低く、消去ヴェリファイ時には、それが最も高く、通常読み出しは、その中間の値をとる。したがって、これらの異なる抵抗値を読み出すのに、情報の論理(“1”または“0”の違い)に応じて、最適な負荷容量を負荷容量変更部が決定する。
そのため、これら3種類の読み出しで、放電速度をほぼ揃えることができるため、センスアンプのセンスタイミングを一定に近く揃えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、いわゆるダイナミック放電読み出しを行う不揮発性メモリにおいて、センスタイミングのずれを是正し、高速読み出しを可能とする不揮発性半導体メモリデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1〜第6の実施の形態ならびに変形例に共通なメモリセルの等価回路図である。
【図2】隣接する2つのメモリセル部分のデバイス断面構造図である。
【図3】可変セル抵抗(記憶素子)の断面と動作を示す図である。
【図4】第1〜第6の実施形態に共通なICチップ(メモリデバイス)のブロック図である。
【図5】Xセレクタの回路図である。
【図6】Yセレクタの回路図である。
【図7】WLドライバユニット2つ分の回路図である。
【図8】CSWドライバユニットの回路図である。
【図9】第1の実施形態に関わるメモリセルアレイのカラム構成図である。
【図10】第1の実施形態における動作波形図である。
【図11】比較例の動作波形図である。
【図12】他の比較例の動作波形図である。
【図13】比較例の放電カーブの計算結果を示す図である。
【図14】第1の実施形態における放電カーブの計算結果を示す図である。
【図15】第1変形例のカラム構成図である。
【図16】第1変形例の他のカラム構成を示す図である。
【図17】第2の実施形態に関わるカラム構成図である。
【図18】発明適用前の比較例の放電カーブの計算結果を示す図である。
【図19】第2の実施形態における放電カーブの計算結果を示す図である。
【図20】第3の実施形態に関わるカラム構成図である。
【図21】図20の回路動作説明図である。
【図22】第4の実施形態に関わるカラム構成図である。
【図23】図22の回路動作説明図である。
【図24】第5以降の実施形態の比較例の概念的な構成図である。
【図25】図24の概念をセル抵抗で実現する比較例のカラム構成図である。
【図26】比較例のCR放電カーブを示すグラフである。
【図27】比較例のCR放電時のセンス電圧の変化を示すグラフである。
【図28】比較例の、参照抵抗をより下げたときのCR放電カーブを示すグラフである。
【図29】比較例の、参照抵抗をより下げたときのCR放電時のセンス電圧の変化を示すグラフである。
【図30】比較例の定電流放電カーブ示すグラフである。
【図31】比較例の定電流放電時のセンス電圧の変化を示すグラフである。
【図32】比較例の、参照抵抗をより下げたときの定電流放電カーブを示すグラフである。
【図33】比較例の、参照抵抗をより下げたときの定電流放電時のセンス電圧の変化を示すグラフである。
【図34】第5の実施形態に関わるビット線対に接続されたカラム構造の回路図である。
【図35】第6の実施形態に関わるビット線対に接続されたカラム構造の回路図である。
【図36】第7の実施形態に関わるビット線対に接続されたカラム構造の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を、ReRAMを例として、以下の順で図面を参照して説明する。
1.第1の実施の形態:シングルエンド型センスアンプを有するメモリの基本実施形態。
2.第1変形例:BLIスイッチの素子変更例。
3.第2の実施の形態:シングルエンド型センスアンプを有するメモリで、電荷移送方式の放電を行う実施形態。
4.第3の実施形態:シングルエンド型センスアンプを有するメモリで、追加容量を未使用BLの配線負荷とする場合の実施形態。
5.第4の実施の形態:シングルエンド型センスアンプを有するメモリのビット線階層構造で、追加容量を未使用LBLの配線負荷とする場合の実施形態。
6.比較例:第5以降の実施形態に対する比較例とその欠点。
7.第5の実施の形態:差動センスアンプに対しセンスノード側、参照ノード側の両方に追加容量を接続するケースを含む実施形態。
8.第6の実施の形態:差動センスアンプのセンスノード側の追加容量を調整する実施形態。
9.第7の実施の形態:差動センスアンプのメモリのビット線階層構造を利用する実施形態。
【0018】
本発明が適用された不揮発性半導体メモリデバイスは、センスアンプのセンスノードの負荷容量(センス側負荷容量)、または、当該センス側負荷容量と参照ノードの参照負荷容量の両方を、負荷容量変更部によって変更可能な特徴がある。
以下、センスノードの負荷容量を変更する場合を主な例としてReRAMの実施形態を述べ、その中で、センス側負荷容量と参照側負荷容量の双方を変更可能な場合を説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[メモリセル構成]
図1(A)と図1(B)に、本発明の実施の形態に共通なメモリセルの等価回路図を示す。なお、図1(A)は書き込み電流Iw、図1(B)は消去電流Ieについて、その向きを示すが、メモリセル構成自体は両図で共通する。
図1に図解するメモリセルMCは、“記憶素子”としての1つのメモリセル抵抗Rcellと、1つのアクセストランジスタATとを有する。
メモリセル抵抗Rcellの一端がプレート線PLに接続され、他端がアクセストランジスタATのソースに接続され、アクセストランジスタATのドレインがビット線BLに、ゲートが“アクセス線”としてのワード線WLに、それぞれ接続されている。
なお、ビット線BLとプレート線PLが図1では直交しているが、ビット線BLとプレート線PLを平行に配置してもよい。
【0020】
図2に、隣接する2つのメモリセルMCに対応する部分のデバイス構造を示す。図2は模式断面図であり、斜線を付していない。また、特に言及しない図2の空白部分は絶縁膜で充填され、あるいは他の部分(の一部)を構成する。
図2に図解されているメモリセルMCにおいて、そのアクセストランジスタATが半導体基板100に形成されている。
【0021】
より詳細には、アクセストランジスタATのソース(S)とドレイン(D)となる2つの不純物領域が半導体基板100に形成され、その間の基板領域上にゲート絶縁膜を介在させてポリシリコン等からなるゲート電極が形成されている。ここではゲート電極がワード線WL1またはWL2を構成する。
ドレイン(D)は2つのメモリセルMCで共有され、第1配線層(1M)により形成されたビット線BLに接続されている。
【0022】
ソース(S)上に、プラグ104とランディングパッド105(配線層から形成)とが繰り返し積み上げられ、その上にメモリセル抵抗Rcellが形成されている。メモリセル抵抗Rcellを多層配線構造の何層目に形成するかは任意であるが、ここではおおよそ4〜5層目にメモリセル抵抗Rcellが形成されている。
【0023】
メモリセル抵抗Rcellは、下部電極101と、プレート線PLとなる上部電極との間に、絶縁体膜102と導体膜103を持つ膜構成(積層体)になっている。
絶縁体膜102の材料としては、例えば、SiN,SiO,Gd等が挙げられる。
導体膜103の材料としては、例えば、Cu,Ag,Zrから選ばれる1つ以上の金属元素を含有する金属膜、合金膜(例えばCuTe合金膜)、金属化合物膜等が挙げられる。なお、イオン化しやすい性質を有するならば、Cu,Ag,Zr以外の金属元素を用いてもよい。また、Cu,Ag,Zrの少なくとも一つと組み合わされる元素は、S,Se,Teのうちの少なくとも一つの元素であることが望ましい。導体膜103は、“イオン供給層”として形成されている。
【0024】
図3に、メモリセル抵抗Rcellの拡大図に、電流の向きおよび印加電圧値の例を添えて示す。
図3は、一例として、絶縁体膜102がSiOから形成され、導体膜103がCuTe合金ベースの合金化合物(Cu−Te based)から形成されている場合を示している。
【0025】
図3(A)では、絶縁体膜102側を陰極側、導体膜103側を正極側とする電圧を下部電極101と上部電極(プレート線PL)とに印加する。例えば、ビット線BLを0[V]で接地し、プレート線PLに、例えば+3[V]を印加する。
すると、導体膜103に含まれるCu,Ag,Zrが、イオン化して陰極側に引き寄せられる性質を持つようになる。これら金属の導電性イオンが絶縁体膜102に注入される。そのため、絶縁体膜102の絶縁性が低下し、その低下とともに導電性を持つようになる。その結果、図3(A)に示す向きの書き込み電流Iwが流れる。この動作を書き込み(動作)またはセット(動作)という。
【0026】
これとは逆に図3(B)では、絶縁体膜102側を正極側、導体膜103側を負極側とする電圧を下部電極101と上部電極(プレート線PL)とに印加する。例えば、プレート線PLを0[V]で接地し、ビット線BLに、例えば+1.7[V]を印加する。
すると、絶縁体膜102に注入されていた導電性イオンが導体膜103に戻され、書き込み前の抵抗値が高い状態にリセットされる。この動作を消去(動作)またはリセット(動作)という。リセットでは、図3(B)に示す向きの消去電流Ieが流れる。
【0027】
なお、以下、セットは“導電性イオンを絶縁体膜に十分注入すること”を言い、リセットは“導電性イオンを絶縁体膜から十分に引き抜くこと”をいう。
これに対し、どの状態(セットまたはリセット)をデータの書き込み状態とし、消去状態とするかは、任意に定義される。
【0028】
以下の説明では、絶縁体膜102の絶縁性が低下してメモリセル抵抗Rcell全体の抵抗値が十分なレベルまで下がった場合をデータの“書き込み”(セット)に対応させる。逆に、絶縁体膜102の絶縁性が本来の初期状態に戻されメモリセル抵抗Rcell全体の抵抗値が十分なレベルまで上がった場合をデータの“消去”(リセット)に対応させる。
ここで、図1に示すメモリセル抵抗Rcellの回路シンボルの矢印は、通常、セット時(ここでは書き込み時)の電流と同じ向きとなっている。
【0029】
上述したセットとリセットを繰り返すことにより、メモリセル抵抗Rcellの抵抗値を、高抵抗状態と低抵抗状態との間で可逆的に変化させる2値メモリが実現される。しかも、メモリセル抵抗Rcellは、電圧の印加を止めてもデータは保持されるため不揮発性メモリとして機能する。
なお、セット時に実際には、絶縁体膜102中の金属イオンの量によって、絶縁体膜102の抵抗値が変化していることから、絶縁体膜102を、データが記憶され保持される“記憶層”とみなすことができる。
【0030】
このメモリセル抵抗Rcellを用いてメモリセルを構成し、メモリセルを多数設けることにより、抵抗変化型メモリのメモリセルアレイを構成することができる。抵抗変化型メモリは、このメモリセルアレイと、その駆動回路(周辺回路)とから構成される。
【0031】
[ICチップ構成]
図4に、ICチップのブロック図を示す。
図解されている半導体メモリデバイスは、図1〜図3に示すメモリセルMCをマトリクス状に行(ロウ)方向に(M+1)個、列(カラム)方向に(N+1)個、配置しているメモリセルアレイ1を有する。半導体メモリデバイスは、メモリセルアレイ1と、その周辺回路を同一半導体チップに集積化したものである。ここで“N”と“M”は比較的大きな自然数であり、その具体的値は任意に設定される。
【0032】
メモリセルアレイ1において、ロウ方向に並ぶ(M+1)個のメモリセルMCでアクセストランジスタATのゲート同士をそれぞれ共通接続する(N+1)本のワード線WL<0>〜WL<N>が、カラム方向に所定間隔で配置されている。また、カラム方向に並ぶ(N+1)個のメモリセルMCでアクセストランジスタATのドレイン同士をそれぞれ共通接続する(M+1)本のビット線BL<0>〜BL<M>が、ロウ方向に所定間隔で配置されている。
【0033】
メモリセル抵抗RcellのアクセストランジスタATと反対側のノードをロウ方向に共通接続するプレート線PLが(N+1)本、カラム方向に所定間隔で配置されている。(N+1)本のプレート線PLは、その一方端が共通化され、メモリセルアレイ1の外部に引き出されている。
なお、プレート線PLはカラム方向に長く配置して、その本数を(M+1)本としてもよい。
【0034】
周辺回路は、図4に示すように、X(アドレス)デコーダ(X Decoder)2、Y(アドレス)デコーダを兼ねるプリデコーダ(PRE Decoder)3、WLドライバ4、BLIスイッチ5、CSWドライバ6を含む。周辺回路は、カラムごとのセンスアンプ(Sense Amp)7、I/Oバッファ(Input/Output Buffer)9を含む。周辺回路は、書き込み・消去ドライバ(Write・Erase Driver)10、制御回路11、プレートドライバ(PLATE Driver)12、ロジックブロック16およびオフセット容量付加回路17を含む。
なお、電源電圧から各種電圧を発生する回路、クロック信号の発生制御回路等は、図4において図示を省略している。
なお、オフセット容量付加回路17と、その制御のための制御回路11、並びに、これらの回路の電源を切り換え、オフセット容量付加回路17のメモリセルアレイと接続を制御するスイッチ等が、本発明の“負荷容量変更部”に該当する。オフセット容量付加回路17は、少なくとも一部、特に追加容量部分とその接続スイッチ等はメモリセルアレイ1内に配置してよい。
【0035】
Xデコーダ2は、Xセレクタ(不図示)を基本単位として構成されている。Xデコーダ2は、プリデコーダ3から入力するXアドレス信号をデコードし、そのデコードの結果に基づいて、選択されたXセレクト信号X_SELをWLドライバ4に送る回路である。Xセレクタの詳細は後述する。
【0036】
プリデコーダ3は、入力されるアドレス信号(Address)をXアドレス信号とYアドレス信号とに分離する。プリデコーダ3は、Xアドレス信号X_SELをXデコーダ2に送り、Yアドレス信号をYデコード部によりデコードする。
プリデコーダ3のYデコード部は、Yセレクタ(不図示)を基本単位として構成されている。プリデコーダ3は、入力するYアドレス信号をデコードし、そのデコードの結果に基づいて、選択されたYセレクト信号Y_SELをCSWドライバ6に送る回路である。Yセレクタの詳細は後述する。
【0037】
WLドライバ4は、ワード線WLごとのWLドライバユニット(不図示)を(N+1)個含む。各WLドライバユニットの出力に、(N+1)本のワード線WL<0>〜WL<N>のうち、対応する1本のワード線が接続されている。Xデコーダ2から入力されるXセレクト信号X_SELに応じて、WLドライバユニットの1つが選択される。WLドライバユニットは、選択されたときに、その出力に接続されているワード線WLに所定電圧を印加する回路である。WLドライバユニットの詳細は後述する。
【0038】
CSWドライバ6は、CSWドライバユニットを基本単位として構成されている。CSWドライバ6は、BLIスイッチ5を制御するための配線として、カラム選択線CSL<0>〜CSL<M>を駆動する回路である。なお、CSWドライバユニットの詳細は後述する。
【0039】
BLIスイッチ5は、例えば、NMOSトランジスタ(PMOSトランジスタでも可)単独、あるいは、図4に示すトランスファーゲートで構成されるスイッチ51の集合である。ここでは各スイッチ51がビット線BLごとに接続され、これが全部で(M+1)個存在する。
以下、BLIスイッチ5を構成する各スイッチが、トランスファーゲートであるとする。
【0040】
書き込み・消去ドライバ10はI/Oバッファ9に接続され、外部からのデータをI/Oバッファ9から入力し、入力データに応じてセンスアンプ7の保持データを変更可能に制御する。
【0041】
センスアンプ7は、出力ノードがI/Oバッファ9に接続されている。センスアンプ7は、オン状態のスイッチ51を介して入力したビット線BLの電位変化を参照電位と比較する。
【0042】
制御回路11は、書き込みイネーブル信号WRT、消去イネーブル信号ERS、データ読み出し信号RDを入力し、これらの3つの信号に基づいて動作する。
制御回路11には、以下の5つの機能を備える。
【0043】
(1)WL選択イネーブル信号WLEをWLドライバ4内の個々のWLドライバユニットに与えるワード線制御の機能。
(2)CSWドライバ6を、プリデコーダ3を経由して(または直接)制御し、これによりスイッチ51を個別に導通または非導通とする機能。
(3)書き込みまたは消去時に、書き込み・消去ドライバ10に書き込みイネーブル信号WRT、消去イネーブル信号ERSを与えて動作電圧の供給を制御する機能。
(4)書き込みまたは消去時に、必要に応じて、プレートドライバ12に書き込みイネーブル信号WRT、消去イネーブル信号ERSを与えて動作電圧の供給を制御する機能。
(5)ヴェリファイ動作時にロジックブロック16を制御してインヒビット制御の初期データ設定を行う機能。
なお、制御回路11により出力される各種制御信号は、符号のみ図4に示し、レベル変化の詳細は後述する。
【0044】
[制御系回路]
つぎに、Xデコーダ2の基本構成であるXセレクタと、プリデコーダ3のYダコーダ機能の基本構成であるYセレクタとを説明する。続いて、WLドライバ4の基本構成であるWLドライバユニットを説明する。
【0045】
図5に、Xセレクタ20の回路例を示す。
図5に図解されているXセレクタ20は、初段の4つのインバータINV0〜INV3、中段の4つのナンド回路NAND0〜NAND3、後段に接続されている他の4つのインバータINV4〜INV7から構成されている。
Xセレクタ20は、XアドレスビットX0,X1を入力し、そのデコード結果に応じて、Xセレクト信号X_SEL0〜X_SEL3のいずれかを活性化する(たとえばハイレベルにする)回路である。
図5は2ビットデコードの例であるが、Xデコーダ2は、その入力されるXアドレス信号のビット数に応じて、図5の構成を拡張または多段展開することで、入力が2ビット以外でも対応可能に実現される。
【0046】
図6に、Yセレクタ30の回路例を示す。
図解されているYセレクタ30は、初段の4つのインバータINV8〜INV11、中段の4つのナンド回路NAND4〜NAND7、後段に接続されている他の4つのインバータINV12〜INV15から構成されている。
Yセレクタ30は、YアドレスビットY0,Y1を入力し、そのデコード結果に応じて、Yセレクト信号Y_SEL0〜Y_SEL3のいずれかを活性化する(たとえばハイレベルにする)回路である。
図6は2ビットデコードの例であるが、プリデコーダ3は、その入力されるYアドレス信号のビット数に応じて、図6の構成を拡張または多段展開することで、入力が2ビット以外でも対応可能に実現される。
【0047】
図7は、WLドライバユニット4Aの2つ分を示す回路図である。
図解されているWLドライバユニット4Aは、WLドライバ4内にカラム方向のセル数(N+1)だけ設けられている。
この(N+1)個のWLドライバユニット4Aは、図5に示すXセレクタ20等によって選択(活性化)された1つのXセレクト信号X_SEL0またはX_SEL1によって動作する。WLドライバユニット4Aは、Xセレクト信号X_SEL0またはX_SEL1に応じた1本のワード線WL<0>またはWL<1>を活性化する。
【0048】
図7に図解しているWLドライバユニット4Aは、ナンド回路NAND8とインバータINV16から構成されている。
ナンド回路NAND8の一方入力にWL選択イネーブル信号WLEが入力され、他方入力にXセレクト信号X_SEL0またはX_SEL1が入力され、ナンド回路NAND8の出力がインバータINV16の入力に接続されている。インバータINV16の出力に接続されたワード線WL<0>またはWL<1>が活性化または非活性となる。
【0049】
図7に示すWL選択イネーブル信号WLEは図4の制御回路11で発生され、ロウデコーダ4に与えられる。
【0050】
図8に、CSLドライバユニット6Aの2つ分の回路例を示す。
図解されているCSLドライバユニット6Aは、ナンド回路NAND12と、その出力に接続されているインバータINV21とからなる。
ナンド回路NAND12の一方入力にBLIイネーブル信号BLIEが入力され、他方入力に図6に示すYセレクタ30により選択(活性化)された1つのYセレクト信号Y_SEL0またはY_SEL1が入力される。このYセレクト信号Y_SEL0またはY_SEL1とBLIイネーブル信号BLIEがともに活性(ハイレベル)のときに、ナンド回路NAND12の出力がローレベルとなる。そのため、インバータINV21の出力に接続されたカラム選択線CSL<0>またはCSL<1>の電位が活性レベル(本例ではハイレベル)に遷移する。
カラム選択線CSL<0>またはCSL<1>の電位は、図4に示すように対応するNMOSトランジスタ72のゲートに入力されている。
【0051】
図8に示すBLIイネーブル信号BLIEは図4の制御回路11で発生し、CSWドライバ6に与えられる。
【0052】
[カラム回路とオフセット容量付加のための構成]
図9に、本実施の形態に関わるカラム回路構成の概略図を、図4のオフセット容量付加回路17の回路例とともに示す。
図9に図解する構成は、1本のビット線BLに説明の都合上、メモリセル抵抗Rcellが低抵抗のメモリセルと、高抵抗のメモリセルを2つ示す。低抵抗のメモリセルのアクセストランジスタのゲートがワード線WL1に接続され、高抵抗のメモリセルのアクセストランジスタのゲートがワード線WL2に接続されている。図9において、ビット線BLの負荷容量を符号“Cbl”の等価容量で示す。
【0053】
ビット線BLとセンスアンプ7Aのセンスノード(非反転入力「+」)との間に、BLIスイッチ5(図4)を構成するスイッチ51が接続されている。センスノードの電位を、図9ではセンスノード電位V0で表している。
センスアンプ7Aの反転入力「−」には、一定の参照電位Vrefが入力されている。
【0054】
センスノードに対して、読み出し印加電圧VRの印加を制御するプリチャージトランジスタ(PMOS)71が接続されている。プリチャージトランジスタ71は、図4では図示していないが、制御回路11から供給されるプリチャージ信号(/PRE)によって、そのゲートが制御される。なお、プリチャージトランジスタ71はビット線BL側に接続してもよい。また、読み出し印加電圧VRは、ビット線BLに接続された読み出し対象のメモリセル以外のメモリセルに、読み出しディスターブが発生しない大きさに設定される。
【0055】
図9に示すオフセット容量付加回路17の基本構成は、複数(ここでは4つ)の追加容量追加容量Coffsetと、そのセンスノードへの接続を制御する複数(ここでは4つ)のスイッチ171とを含む。スイッチ171は、本例ではトランスファーゲートからなり、そのため、その制御信号である容量選択信号Csel<0>〜<3>を反転するインバータが複数(ここでは4つ)設けられている。
容量選択信号Csel<0>〜<3>(=Csel<3:0>)は、例えば、図4の制御回路11から供給される書き込みイネーブル信号WRT、消去イネーブル信号ERSを基に、オフセット容量付加回路17の内部で生成される。
【0056】
以上のように、図9の構成は、ビットBLとセンスノード電位Voをスイッチにより低抵抗接続し、さらにセンスノード電位Voに切り替え可能な追加容量Coffsetが配置されているのが特徴である。追加容量Coffsetの構成は、特に図示しないが、MOS容量(ゲート電極とチャネル間の容量)、ゲートとソースまたはドレインとのオーバーラップ容量等で実現される。配置面積に余裕があれば、追加容量CoffsetをMIM容量で実現してもよい。
【0057】
[読み出し動作]
図10に、第1の実施形態における読み出し動作時の電圧または信号の波形図を示す。
ワード線WLが非活性(オフ)の“L”ときにプリチャージ信号(/PRE)を活性レベルの“L”にして、センスノード電位VoとBL電位を読み出し印加電圧VRにチャージしておく。
つぎにワード線WL1を活性化(オン)してプリチャージ信号(/PRE)を非活性レベルの“H”として解除する。これにより時間T1を始点として、センスノード電位VoとBL電位がメモリセルによって放電される。ワード線WL1は低抵抗状態のメモリセルであると仮定する。このとき、容量選択信号Csel<3:0>=#E、つまり、追加容量Coffsetによりセンスノード電位Voの負荷が大きくなった状態である。そのため、センスノード電位Voの放電速度を遅延させる効果がある。
【0058】
次に、ワード線WL2をオンすると、時間T2を始点として、同様にセンスノード電位VoとBL電位がメモリセルによって放電される。ワード線WL1は高抵抗状態のメモリセルであると仮定する。このとき、容量選択信号Csel<3:0>=#3、つまり、追加容量Coffsetによりセンスノード電位Voの負荷が小さくなった状態である。このため、センスノード電位Voの放電速度を高速化させる効果がある。
【0059】
このようにメモリセルの抵抗によるセンスノード電位Voの放電速度差を相殺するように追加容量Coffsetを切り替える方式が、本実施形態の読み出し方法の要点である。
【0060】
[比較例]
以下、以上の読み出し方法を比較例と比較することで、センスタイミングを揃えるために放電速度を均一化する本発明の適用の効果をよりいっそう明らかにする。
図11は、追加容量Coffsetの切り替えをしない(追加容量Coffset=小で固定)場合の波形図である。
図11の場合、時間T2を始点とする高抵抗読み出し時の放電では、その速度が図10と同等である。一方、時間T1を始点とする低抵抗読み出し時の放電では、即座に電荷消失してしまうことが分かる。センスタイミングが、図10や図11の時間T2を始点とする放電に合わせて、BL電位が参照電位Vrefを下回って十分な時間がとられたタイミングに設定されているとする。この場合、図11の時間T1を始点とする低抵抗読み出しでは、センス不能となってしまう。
【0061】
図12は、同様に追加容量Coffsetの切り替えをしないが、追加容量Coffset=大で固定の場合の波形図である。
図12の場合、時間T1を始点とする低抵抗読み出し時の放電では、その速度がセンスアンプにより読み出し可能に適度である。しかし、時間T2を始点とする高抵抗読み出し時の放電では、追加容量Coffsetの設定値が大きすぎるために、センスノード電位Voの負荷が大きくセンス速度が極端に低下している。
【0062】
[具体例による本発明適用の効果]
次に、本発明適用の効果を、より具体的な抵抗値を用いて定量的に説明する。
センスノード電位Voに読み出しBL電圧VRを供給しているときのセンスアンプ入力部の負荷容量(ビット線負荷を含まない負荷の容量)をCloadとする。この場合、(SA入力部の)負荷容量Cloadの電荷をダイナミックにReRAM(抵抗)で放電したときのセンスノード電位Vo電位は、以下の式(1)で表される。
【0063】
[数1]
Vo=VR×exp{−(Time)/(Rcell×Cload)}…(1)
【0064】
ここで、(Time)は放電時間を表す。
いま、Rcell(書き込みヴェリファイ読み出し時)=10[KΩ]、Rcell(通常読み出し時)=100[KΩ]、Rcell(消去ヴェリファイ読み出し時)=1[MΩ]とする。
【0065】
図13は、Cload=100[fF]で一定とした本発明が非適用の場合の放電特性図である。このとき、例えば40[ns]をセンスタイミングとすると、通常読み出しと低抵抗読み出しがともにVo=0[V]付近となるため、その判別が不可能である。放電開始からセンスタイミングまでの時間をもっと短くしても、通常読み出しの放電が速く、低抵抗読み出しではさらに放電が急激なため、最適なセンスタイミングの設定が困難である。
【0066】
図14は、図9に示すオフセット容量付加回路17の制御により、放電速度差の乖離を緩和した場合の放電特性図である。オフセット容量付加回路17は、読み出す情報の論理で決まる読み出しの種類に応じて制御される。すなわち、オフセット容量付加回路17は、通常読み出し(論理=任意)、書き込みヴェリファイ読み出し(論理=“1”)、消去ヴェリファイ読み出し(論理=“0”)の区別に応じて、追加容量Coffsetの最適値を選択し、センスノードの負荷に追加する。
図14は、追加後の放電カーブをシミュレーション計算により求めたものを示している。なお、セル抵抗は、図13と同様に、Rcell(書き込みヴェリファイ読み出し時)=10[KΩ]、Rcell(通常読み出し時)=100[KΩ]、Rcell(消去ヴェリファイ読み出し時)=1[MΩ]とする。また、Cload(書き込みヴェリファイ読み出し時)=1500[fF]、Cload(通常読み出し時)=300[fF]、Cload(消去ヴェリファイ読み出し時)=100[fF]としている。
【0067】
図14から、放電時間10[ns]〜50[ns]程度の広いタイミングレンジで電荷消失が発生せず、さらに、センスノード電位Voの電圧振幅も取れていることが分かる。このことから、例えば10[ns]〜50[ns]程度の範囲内でセンスタイミングの設定が可能となる。
【0068】
<2.第1変形例>
第1の実施形態における、BLIスイッチに関する変形例を、つぎに説明する。
図15に、第1変形例の第1カラム構成を含む回路図を示す。
図15の構成では、センスノード電位Voとビット線BLを接続するスイッチ51をトランスファゲート(第1の実施形態)ではなく、NMOSトランジスタに変更している。
【0069】
図16に、第1変形例の第2カラム構成を含む回路図を示す。
図16の構成では、センスノード電位Voとビット線BLを接続するスイッチ51をトランスファゲート(第1の実施形態)ではなく、PMOSトランジスタに変更している。
【0070】
第1および第2カラム構成のスイッチ51は、センスノード電位Voとビット線BLを低抵抗で接続するスイッチとして機能する。このため、第1の実施形態のトランスファーゲート(スイッチ51)と同じ機能である。違いはセンスノード電位Voとビット線BLを低抵抗接続可能な電圧レンジが違うのと、素子数である。動作電圧レンジ次第では、コスト優先で第1カラム構成のNMOSトランジスタ、または第2カラム構成のPMOSトランジスタを、トランスファーゲートと置き換えることが可能である。
【0071】
<3.第2の実施の形態>
図17に、第2の実施形態に関わるカラム構成を含む回路図を示す。
図17に図解するカラム構成では、図9と比較すると、センスノード電位Voとビット線BL間にNMOSスイッチ52が追加されている。NMOSスイッチ52のゲートに、“クランプ電圧”として電圧VGATEを印加する。これにより、BL電位を{VGATE−Vgs(=VR)}電位にクランプする。
また、図9ではプリチャージ電圧を記号“VR”で示すが、これと異なる電圧設定が可能なプリチャージ電圧Vpreを、プリチャージトランジスタ71のソースに与えている。
【0072】
この方式の特徴の1つは、BL電位固定でセンスノード電位Vo側に大きなセンス電圧振幅が取れる点である。この点に関し、第1の実施形態ではセンス電圧振幅は0[V]〜読み出し印加電圧VRが最大である。これに対し、第2の実施形態では、0[V]〜プリチャージ電圧Vpre(Vpreに制約がない)ので、センス電圧振幅を大きくできる電圧設定が可能である。
また、この方式では、センス動作において、センスノードの電位上昇とともにNMOSスイッチ52がカットオフすると、以後は、センスノードの容量負荷とビット線BLの容量負荷が分離されている。このため、センスノードの容量負荷が小さくなり、高速動作に向いている。本方式は一般的に「電荷移送方式」等の名前で呼ばれている。
【0073】
電荷移送方式においても、第1の実施形態で行ったような追加容量Coffsetの接続とその切り替えが有効である。動作制御方式、動作波形図は第1の実施形態と同様であるため、以下、定量的な比較のみ行う。
【0074】
センスノードの容量負荷をCload、センスノードのプリチャージ電圧Vpreを1.8[V]、読み出し印加電圧VRを0.1[V]とする。この場合、(SA入力部の)容量負荷Cloadの電荷をダイナミックにReRAMセル(抵抗)で放電したときのセンスノードの電位Voは以下の式(2)で表される。
【0075】
[数2]
Vo=Vpre−{(Time)*(VR/Rcell)/Cload}…(2)
【0076】
ここで、(Time)は放電時間を表す。
いま、Rcell(書き込みヴェリファイ読み出し時)=10[KΩ]、Rcell(通常読み出し時)=100[KΩ]、Rcell(消去ヴェリファイ読み出し時)=1[MΩ]とする。
【0077】
図18は、Cload=10[fF]で一定とした本発明が非適用の場合の放電特性図である。電荷移送方式では放電が時間に対してリニア(直線状)に変化する。このとき、センスタイミングを設定可能な時間範囲は殆んど存在しないため、情報の判別が不可能である。
【0078】
図19は、図17に示すオフセット容量付加回路17の制御により、放電速度差の乖離を緩和した場合の放電特性図である。オフセット容量付加回路17は、読み出す情報の論理で決まる読み出しの種類に応じて制御される。すなわち、オフセット容量付加回路17は、通常読み出し(論理=任意)、書き込みヴェリファイ読み出し(論理=“1”)、消去ヴェリファイ読み出し(論理=“0”)の区別に応じて、追加容量Coffsetの最適値を選択し、センスノードの負荷に追加する。
図19は、追加後の放電カーブをシミュレーション計算により求めたものを示している。なお、セル抵抗は、図18と同様に、Rcell(書き込みヴェリファイ読み出し時)=10[KΩ]、Rcell(通常読み出し時)=100[KΩ]、Rcell(消去ヴェリファイ読み出し時)=1[MΩ]とする。また、Cload(書き込みヴェリファイ読み出し時)=200[fF]、Cload(通常読み出し時)=50[fF]、Cload(消去ヴェリファイ読み出し時)=10[fF]としている。
【0079】
図19から、放電時間10[ns]〜60[ns]程度の広いタイミングレンジで電荷消失が発生せず、さらに、センスノード電位Voの電圧振幅も取れていることが分かる。このことから、例えば10[ns]〜60[ns]程度の範囲内でセンスタイミングの設定が可能となる。
【0080】
<4.第3の実施の形態>
図20に、第3の実施形態において前提となるカラム構造図を示す。
図20に図解するカラム構造では、列方向のメモリセルカラムが1つのセンスアンプ7Aを共有している。
具体的には、今まで説明してきたカラム構成図(図9および図15〜図17)におけるオフセット容量付加回路17は、図4のようにメモリセルアレイ1の外に配置されているので、その部分にもう一つの他のメモリセルカラムが配置されている。以下、既存のビット線BLを上側ビット線BLuと表記し、この追加されたメモリセルカラムのビット線を下側ビット線BLdと表記する。
【0081】
このようなSA共有カラム構造では、センスアンプ7Aによる読み出し動作が行われるメモリセルカラムは、上側ビット線BLuと下側ビット線BLdの一方である。つまり、上側ビット線BLuが読み出し動作対象のときは下側ビット線BLdが未使用となり、下側ビット線BLdが読み出し動作対象のときは、上側ビット線BLuが未使用となる。
【0082】
このようなSA共通構造自体は既知である。通常、未使用のメモリセルカラムのビット線はスイッチ51によって、動作対象のメモリセルカラムのビット線負荷から切り離して動作を軽くする。
【0083】
本実施形態では、このようにビット線負荷を切り離す場合と、意図的に切り離さない場合とを制御することで、上記した他の実施形態でオフセット容量付加回路17(図9等)の容量追加機能と等価の機能を果たさせる。但し、オフセット容量付加回路17(図9等)が追加容量Coffsetの値を複数設定できるのに対し、この場合は、追加容量値は1種類のみ(未使用のメモリセルカラムのビット線負荷容量のみ)となる。
したがって、このビット線負荷容量を切り換えるスイッチ等も本発明の“負荷容量変更部”の一部に該当する。
【0084】
図21(A)と図21(B)に、動作対象のビット線を太線で示し、スイッチ51のオンとオフの状態を追加した、図20と同様な図を示す。図21に示す具体例で、容量制御動作を定量的に説明する。
図21では、センスアンプ7Aから見て上側の低抵抗メモリセルを選択する場合、ワード線WL1がオンでワード線WL2がオフとなる。また、このときセンスアンプ7Aから見て下側ビット線BLuが非動作である(ワード線WL3およびWL4がオフである)。この非動作の下側ビット線BLuを追加容量Coffsetとして利用する。図21(A)のようにすれば追加容量Coffset=Cblとなり、センスノードの容量負荷は(Cload+2*Cbl)となる。
【0085】
一方、図21(B)のように、センスアンプ7Aから見て上側の高抵抗メモリセルを選択する場合、ワード線WL2をオン、ワード線WL1をオフに切り替える。また、図21(A)では共にオンしていた上側スイッチ51uと下側スイッチ51dのうち、下側スイッチ51dをターンオフする。
これにより、追加容量Coffset=0[V]となり、センスノードの容量負荷は(Cload+1*Cbl)となる。
【0086】
<5.第4の実施の形態>
第5の実施形態では、上記第4の実施形態と同様に未使用の配線容量を追加容量として利用する。但し、第4の実施形態では追加容量値のバリエーションが乏しいので、その点を解決した形態を、第5の実施形態で説明する。
【0087】
図22に、第4の実施形態において前提となるカラム構成図を示す。
図9および図15〜図17に示すビット線は階層化されていない。これに対し、本実施形態に関わる図22に図解するカラム構成では、他の実施形態では符号“BL”で示すビット線が、グローバルビット線GBLとローカルビット線LBLに階層化されている。グローバルビット線GBLがセンスアンプ7Aに接続され、複数(ここでは4つ)のメモリセル列が1本のグローバルビット線GBLに並列接続されている。ここで、図9および図15〜図17に示す(ビット線遮断)スイッチ51は、各メモリセル列のグローバルビット線GBLとの接続箇所に設けられているスイッチ51_1〜51_4に代替されている。
【0088】
スイッチ51_1〜51_4は、図9等のスイッチ51とスイッチ171とを兼用するスイッチである。
すなわち、これらの4つの並列スイッチは、読み出し動作対象のメモリセルを含むメモリセル列に対しては図9等のスイッチ51の役目をし、非使用のメモリセル列に対しては図9等のスイッチ171の役目をする。この非使用のメモリセル列において、スイッチ51_1〜51_4の先に接続されたローカルビット線LBL1〜LBL4の負荷容量が、図9等のオフセット容量付加回路17内の追加容量Coffsetと同等の機能を果たす。
【0089】
このようなビット線階層構造では、センスアンプ7Aによる読み出し動作が行われるメモリセルは、そのメモリセルを含むメモリセル列を、スイッチ51_1〜51_4の1つをオン、他をオフとすることで選択する。これにより1本のローカルビット線LBLがグローバルビット線GBLを介してセンスアンプ7Aのセンスノードに接続される。また、このセンスノードに接続されたローカルビット線LBLを共有する複数のメモリセルのうち、1本のワード線をオンすることにより動作対象のメモリセルを選択する。
【0090】
図23(A)と図23(B)に、センスノードに電気的に接続された階層化ビット線を太線で示し、スイッチのオンとオフの状態を追加した、図22と同様な図を示す。図23に示す具体例で、容量制御動作を定量的に説明する。
図23では、ワード線WL3またはWL4をオンして、これに接続される低抵抗メモリセル選択する場合の例である。
【0091】
低抵抗読み出しのメモリセルが接続されたワード線WL3をオンする場合、他のワード線はオフする。また、センスノード負荷容量を大きくする必要から、スイッチ51_1〜51_4の全てをオンする。図23(A)のようにすれば、追加容量Coffset=3*Cblとなり、センスノードの容量負荷は(Cload+Cgbl+4*Cbl)となる。ここで“Cgbl”はグローバルビット線GBLの負荷容量を表す。
【0092】
図23(B)は、ワード線WL4に接続される高抵抗メモリセルを選択する場合である。
この場合、高抵抗読み出し時はセンスノードの容量負荷を小さくしたいため、低抵抗読み出し時のように非動作BLを使用しない。図23(B)のようにすれば追加容量Coffset=0となり、センスノードの容量負荷は(Cload+Cgbl+1*Cbl)となる。
【0093】
以上の第1〜第4の実施形態および第1変形例では、いわゆるダイナミック読み出し動作を行うReRAMにおいて、シングルエンド型センスアンプのタイミング設定の範囲が拡大し、誤動作のマージン設計が容易化されるという利益が得られる。
【0094】
以下、差動増幅型センスアンプをもつReRAMに本発明を適用した場合の実施形態を説明する。
なお、差動増幅型センスアンプの場合、その参照ノードの抵抗や容量などの負荷が変化してパラメータが多くなるので、本発明適用の効果を数式で定量的に説明する必要がある。そのため、以下の実施形態の説明に先だって、本発明が非適用の場合の比較例を最初に説明する。
【0095】
<6.比較例>
差動増幅型センスアンプのヴェリファイ読み出しでは、シングルエンド型と同様、低抵抗状態のセット抵抗Rsetがセットヴェリファイ閾値(Rth−set)より小さくなるまで、書き込みを繰り返す。そして、Rset<(Rth−set)を満たすと書き込み成功となる。
一方、高抵抗状態のヴェリファイ読み出しでは、リセット抵抗Rresetがリセットヴェリファイ閾値(Rth−reset)より大きくなるまで書き込みを繰り返す。そして、Rreset>(Rth−reset)を満たすと書き込み成功となる。
【0096】
通常のデータ読み出しの判別閾値をRthとすると、(Rth−set)<Rth<(Rth−reset)となる。
したがって、セット読み出し、通常読み出し、リセット読み出しでは、各々の判別閾値は、それぞれ、(Rth−set)、Rth、(Rth−reset)と異なる値をとる。
【0097】
ここで{Rth−(Rth−set)}、{(Rth−reset)−Rth}は、各々、Rset、Rresetの信頼性マージンである。
【0098】
このように、2値のメモリであっても不揮発メモリでは多値の読み出し回路が必要になる。多値に書き込むメモリであれば、2値のメモリ以上の多値を読み出すための複雑な読み出し回路が必要になる。
【0099】
図24は、本比較例に関わる多値の読み出し回路の実現例を示す回路図である。
図24に示す回路では、差動増幅型のセンスアンプ7Bの具体的構成は明らかにしていないが、閾値別にリファレンス抵抗を切り替える回路構成をもつ。
【0100】
図24の回路には以下のような不具合がある。
2つの抵抗の大小関係を判別する差動センスアンプ7Bとして、図25に示す回路を用いることができる。
図24ではメモリセルが1ダイオード(D)と1つの可変抵抗素子(R)で構成されている。一方、図25ではメモリセルが1つのトランジスタ(T)と1つの可変抵抗素子(R)で構成されている。この違いはあるが、差動センスアンプ7Bとしてはどちらにも同じものが適用可能である。
【0101】
図25では、差動センスアンプ7Bの2つの入力に、プリチャージ電圧Vpreをビット線対(BL,/BL)に供給制御するプリチャージ回路が接続されている。また、この2つのセンス入力の各々に対し、選択スイッチ51Aまたは51BとアクセストランジスタATを介して、メモリセル抵抗Rcellまたはリファレンス抵抗Rrefが接続可能となっている。具体的に、メモリセル抵抗Rcellは、ビット線BLを介して差動センスアンプ7Bの非反転入力「+」に接続される。リファレンス抵抗Rrefは、ビット補線(/BL)を介してセンスアンプ7Bの反転入力「−」に接続される。
【0102】
この回路では、差動センスアンプ7Bの入力をVpcにプリチャージした後に、選択スイッチを介してRcellとRrefを介して放電させ、放電電位差をセンスアンプ7Bで読み出す。
【0103】
ここで、センスアンプ7Bの入力に繋がった容量Cは等価的でトータルな容量で、回路の寄生容量の場合もあるし、積極的に容量素子を付ける場合もある。
図25に示す回路は選択スイッチ51A,51BとしてMOSトランジスタを用いているが、バイポーラトランジスタでもよい。
【0104】
選択スイッチ51A,51Bの動作領域により、この回路は異なる動作をする。
選択スイッチ51A,51Bが抵抗体として動作する場合、容量Cと抵抗R(RcellまたはRrefを主成分とする総抵抗)で決まる時定数τにしたがった放電(CR放電)をする。このとき、選択スイッチ51A,51Bが抵抗体として動作するとは、MOSトランジスタなら線形領域の動作、バイポーラトランジスタなら飽和領域の動作を指す。
【0105】
選択スイッチ51A,51Bが定電流源として動作させるためには、MOSトランジスタなら飽和動作領域での使用になり、バイポーラトランジスタなら非飽和動作領域での使用となるように、これらを制御する。この場合、放電速度は定電流源で律束されるため、速度が一定の定電流放電となる。
選択スイッチの動作領域は、そのゲート電圧、或いは、ベース電圧の値でコントロールできる。
【0106】
図26に、CR放電させた場合の放電カーブを示す。
放電電圧Vは次式(3)で表すことができる。
【0107】
[数3]
V=Vpre*exp{−t/(C*R)}…(3)
【0108】
ここで、メモリセルのアクセストランジスタATや選択スイッチ51A,51Bの抵抗、及び、配線抵抗は十分小さいとして無視している。
【0109】
図26では、Vpre=1[V]とし、X軸はt/τ(τ=C*Rref)に規格化している。また、図26では、R=Rrefのリファレンス電圧のカーブと、Rcell=1.2*Rref、Rcell=0.8*Rrefの2種類の検出電圧のカーブを載せている。このRcellの大きさの切り換えは、図24の場合、抵抗R0〜R3をスイッチで切り換えることに相当する。
【0110】
図27に、検出電圧とリファレンス電圧の差、即ち、センス電圧Δ[V]の変化を示す。
図27に示すとおり、センス電圧Δ[V]はセンス放電開始から増加するが、時間が経ち過ぎると放電しきってしまいセンス電圧が消失する。
最大のセンス電圧は、(t=τ=C*Rref)で得られ、このタイミング(横軸メモリが1.0)が最適なセンスタイミングになる。
【0111】
次に、Rcellを(0.5*Rref)にまで低下させた場合を考える。
この場合のCR放電カーブとセンス電圧変化を、図28と図29に示す。
リファレンス側のセル抵抗を(0.5*Rref)に変えた場合は、図28および図29のように、最適なセンスタイミングは(0.5*C*Rref)に減少する。図示しないが、リファレンス抵抗を(2*Rref)に変えた場合は、最適なセンスタイミングは(2*C*Rref)に増大する。
【0112】
図30は、定電流放電させた場合のCR放電カーブを示す。
この場合の放電電圧Vは次式(4)により表される。
【0113】
[数4]
V=Vpre−VR*t/(C*R)…(4)
【0114】
ここで、メモリセルのアクセストランジスタATや選択スイッチ51A,51Bの抵抗、及び、配線抵抗は十分小さいとして無視している。
【0115】
図30における読み出し印加電圧VRは、ビット線対電圧、即ち、メモリセルとリファレンスセルに印加される電圧である。
図30では、Vpre=1[V]、読み出し印加電圧VR=0.1[V]とし、X軸はt/τ(τ=C*Rref)に規格化している。また、図28では、R=Rrefのリファレンス電圧のカーブと、Rcell=1.2*Rref、Rcell=0.8*Rrefの2種類の検出電圧カーブを載せている。
【0116】
図31に、検出電圧とリファレンス電圧の差、即ち、センス電圧Δ[V]の変化を示す。
図31に示すとおり、センス電圧Δ[V]はセンス放電開始から増加するが、時間が経ち過ぎると放電しきってしまいセンス電圧が消失する。
最大のセンス電圧は、センス電圧の消失直前に得られる。しかし、センス電圧の消失直前を時間管理することは困難で、通常は、電圧及び時間のダイナミックレンジの中央、図31の例では、(t=5*τ=5*C*Rref)近辺が最適なセンスタイミングになる。
【0117】
次に、定電流放電において、Rcellを(0.5*Rref)にまで低下させた場合を考える。
この場合の定電流放電カーブとセンス電圧変化を、図32と図33に示す。
リファレンス側のセル抵抗を(0.5*Rref)に変えた場合は、図32および図33のように、最適なセンスタイミングは(0.5*5*C*Rref)に減少する。図示しないが、リファレンス抵抗を(2*Rref)に変えた場合は、最適なセンスタイミングは(2*5*C*Rref)に増大する。
【0118】
以上のように、CR放電でも定電流放電でも、Rrefを切り替えると、センスタイミングも切り替える必要がある。このためセンスタイミングを切り替える回路が必要になる欠点がある。また、センスタイミングが変わってしまうのでスループットが変動してしまう欠点がある。また、多値レベルに応じた精度のよい複数のリファレンス抵抗を設けるコスト的欠点もある。
【0119】
<7.第5の実施の形態>
図34に、第5の実施形態に関わるビット線対構成を示す。
図34に示す構成を、図25に示す比較例と比べると、セット容量スイッチ18S、リセット容量スイッチ18Rおよび追加容量Coffsetが追加されている。本例では、2つの容量スイッチ(18S,18R)がNMOSトランジスタの場合を例示するが、PMOSトランジスタでもトランスファーゲートでもよい。
これら追加された容量スイッチや追加容量は、本発明の“負荷容量変更部”の一部に該当する。
【0120】
セット容量スイッチ18Sとリセット容量スイッチ18Rが、ビット線対(BL,/BL)に直列接続され、そのスイッチ間ノードと基準電位線(例えばGND線)との間に、追加容量Coffsetが接続されている。
セット容量スイッチ18Sは、図4の制御回路11から供給されるセット読み出し信号SETによって制御される。リセット容量スイッチ18Rは、図4の制御回路11から供給されるリセット読み出し信号RSETによって制御される。
【0121】
図34の構成において、通常読み出し時にはSET=L,RESET=Lに制御される。このとき容量スイッチ(18S,18R)が共にオフとなる。よって、センスノード入力の容量とリファレンス入力の容量は共に、ビット線またはビット補線単独の容量値Cblと等価となる。
【0122】
セットヴェリファイ読み出し時には、SET=H,RESET=Lに制御される。これにより、セット容量スイッチ18Sがターンオンするため、センスノード入力の容量が(Cbl+Coffset)、リファレンス入力の容量がCblとなる。
【0123】
一方、リセットヴェリファイ読み出し時には、SET=L,RESET=Hに制御されるため、オンする容量スイッチが切り替わり、センスノード入力の容量がCbl、リファレンス入力の容量が(Cbl+Coffset)となる。
【0124】
リファレンス抵抗Rrefは通常読み出し、セットヴェリファイ読み出し、リセットヴェリファイ読み出しで切り替えない。つまり、本発明の適用に際しては、同じリファレンス抵抗を用いる。
以上のようにセット読み出し信号SETとリセット読み出し信号RSETのレベル(“H”と“L”)の組み合わせが、通常読み出し、セットヴェリファイ読み出し、リセットヴェリファイ読み出しの種別を表している。このため、この2つの信号のレベルの組み合わせを介して、読み出す情報の論理に応じて追加容量値の切り換えが行われる。
しかも、本実施形態では、今までの実施形態と異なり、センスアンプのセンスノードのみならず、参照ノードの追加容量値が変化するという特徴がある。
【0125】
[CR放電読み出し時の電位とセンスタイミング]
以上の3種類の読み出しにおいて、センスノード(センス入力)の電位Vo、参照ノード(リファレンス入力)の電位Vrおよびセンスタイミング(tS)は、前述したCR放電電圧の式(3)に基づくと以下のように規定できる。
【0126】
まず、通常読み出しの場合(SET=L,RESET=L)、次式(5−1)〜(5−3)が成立する。
【0127】
[数5]
Vo=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rcell)}…(5−1)
Vr=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rref)} …(5−2)
(tS)=Cbl*Rref…(5−3)
【0128】
セットヴェリファイ読み出し(SET=H,RESET=L)では、次式(6−1)〜(6−3)が成立する。
【0129】
[数6]
Vo=Vpre*exp[−t/{(Cbl+Coffset)*Rcell}]…(6−1)
Vr=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rref)}
=Vpre*exp[−t/{((Cbl+Coffset)*(Rref*Cbl)/(Cbl+Coffset))}] …(6−2)
tSset=Cbl*Rref …(6−3)
【0130】
セットヴェリファイ読み出しでは、Rrefは固定で、Coffsetの追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset)}に減少する。しかしながら、リファレンス入力の電圧は通常読み出しと同一なので、センスタイミングは通常読み出しと変わることがない。
【0131】
リセットヴェリファイ読み出し(SET=L,RESET=H)では、次式(7−1)〜(7−3)が成立する。
【0132】
[数7]
Vo=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rcell)} …(7−1)
Vr=Vpre*exp[−t/{(Cbl+Coffset)*Rref}]
=Vpre*exp[−t/{Cbl*(Rref*(Cbl+Coffset)/Cbl)}] …(7−2)
tSreset=(Cbl+Coffset)*Rref …(7−3)
【0133】
このように、リセットヴェリファイ読み出しでは、Rrefは固定で、Coffsetの追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*(Cbl+Coffset)/Cbl}に増大する。この場合は、リファレンス入力の電圧が変わってしまうので、センスタイミングも{(Cbl+Coffset)/Cbl}倍に増大する。
【0134】
本実施形態では、以上のように、リファレンス抵抗Rrefは固定のまま、Coffsetの接続を切り替えることで、通常読み出し、セットヴェリファイ読み出し、リセットヴェリファイ読み出しの3値の読み出しが可能となった。しかも、通常読み出しとセットヴェリファイ読み出しとでは、同一のセンスタイミングで読み出しができる。
【0135】
なお、素子は追加になるが、セットヴェリファイ読み出し時にCoffset1、リセットヴェリファイ読み出し時にCoffset2といった具合に、異なる容量に切り替えてもよい。素子は増えるが、閾値設定の自由度は増す。
【0136】
[定電流放電読み出し時の電位とセンスタイミング]
以上の3種類の読み出しにおいて、センスノード(センス入力)の電位Vo、参照ノード(リファレンス入力)の電位Vrおよびセンスタイミング(tS)を、前述した定電流放電電圧の式(4)に基づいて以下のように規定できる。
【0137】
通常読み出し(SET=L,RESET=L)には、(Vpre=10*VR)とした場合、次式(8−1)〜(8−3)が成立する。
【0138】
[数8]
Vo=Vpre−VR*t/(Cbl*Rcell)…(8−1)
Vr=Vpre−VR*t/(Cbl*Rref) …(8−2)
tS=5*Cbl*Rref …(8−3)
【0139】
セットヴェリファイ読み出し(SET=H,RESET=L)には、(Vpre=10*VR)とした場合、次式(9−1)〜(9−3)が成立する。
【0140】
[数9]
Vo=Vpre−VR*t/{(Cbl+Coffset)*Rcell} …(9−1)
Vr=Vpre−VR*t/(Cbl*Rref)
=Vpre−VR*t/[{(Cbl+Coffset)*(Rref*Cbl)/(Cbl+Coffset)}] …(9−2)
tS=5*Cbl*Rref …(9−3)
【0141】
セットヴェリファイ読み出しでは、Rrefは固定で、Coffsetの追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset)}に減少する。しかしながら、リファレンス入力の電圧は通常読み出しと同一なので、センスタイミングは通常読み出しと変わることがない。
【0142】
リセットヴェリファイ読み出し(SET=L,RESET=H)では、(Vpre=10*VR)とした場合、次式(10−1)〜(10−3)が成立する。
【0143】
[数10]
Vo=Vpre−VR*t/(Cbl*Rcell) …(10−1)
Vr=Vpre−VR*t/{(Cbl+Coffset)*Rref}
=Vpre−VR*t/[Cbl*{(Rref*(Cbl+Coffset)/Cbl)}] …(10−2)
tSreset=5*(Cbl+Coffset)*Rref …(10−3)
【0144】
リセットヴェリファイ読み出しでは、Rrefは固定で、Coffsetの追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*(Cbl+Coffset)/Cbl}に増大する。この場合は、リファレンス入力の電圧が変わってしまうので、センスタイミングも{(Cbl+Coffset)/Cbl}倍に増大する。
【0145】
このようにCR放電と定電流放電では、センスタイミングの乖離を緩和する効果が得られることに変わりはない。
【0146】
<8.第6の実施の形態>
図35に、第6の実施形態に関わるビット線対構成を示す。
図35に示す構成を、図34に示す比較例と比べると、リセット容量スイッチ18Rが省略され、リード容量スイッチ18rがビット線BLに接続されている。ここで、セット容量スイッチ18Sはセット読み出し信号SETにより制御され、追加容量Coffset2の接続を制御する。一方、リード容量スイッチ18rは、リードイネーブル信号READにより制御され、追加容量Coffset2のビット線BLへの接続を制御する。リードイネーブル信号READは、図4の制御回路11から供給される。本例では、2つの容量スイッチ(18S,18r)がNMOSトランジスタの場合を例示するが、PMOSトランジスタでもトランスファーゲートでもよい。
【0147】
図35の構成において、通常読み出し時にはSET=L,READ=Hに制御される。このときリード容量スイッチ18rがオン、セット容量スイッチ18Sがオフとなる。よって、センスノード入力の容量が(Cbl+Coffset1)、リファレンス入力の容量が(Cbl)となる。
【0148】
セットヴェリファイ読み出し時には、SET=H,READ=Hに制御される。これにより、2つの容量スイッチ(18S,18r)が共にオンとなる。よって、センスノード入力の容量が(Cbl+Coffset1+Coffset2)、リファレンス入力の容量が(Cbl)となる。
【0149】
一方、リセットヴェリファイ読み出し時には、SET=L,READ=Lに制御されるため、オンする容量スイッチが通常読み出しのときと切り替わり、センスノード入力とリファレンス入力の容量が共に(Cbl)となる。
リファレンス抵抗Rrefは通常読み出し、セットヴェリファイ読み出し、リセットヴェリファイ読み出しで切り替えない。つまり、本発明の適用に際しては、同じリファレンス抵抗を用いる。
【0150】
[CR放電読み出し時の電位とセンスタイミング]
以下、第5の実施形態と同様に、3種類の読み出し時のセンスノード電位Vo、参照ノード電位Vrおよびセンスタイミング(tS)は、前述したCR放電電圧の式(3)に基づくと以下のように規定できる。
【0151】
まず、通常読み出しの場合(SET=L,READ=H)、次式(11−1)〜(11−3)が成立する。
【0152】
[数11]
Vo=Vpre*exp[−t/{(Cbl+Coffset1)*Rcell}]
…(11−1)
Vr=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rref)}
=Vpre*exp[−t/{(Cbl+Coffset1)*(Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1))}] …(11−2)
tS=Cbl*Rref …(11−3)
【0153】
通常読み出しでは、Rrefは固定で、Coffset1の追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1)}に減少する。
【0154】
セットヴェリファイ読み出し(SET=H,READ=H)では、次式(12−1)〜(12−3)が成立する。
【0155】
[数12]
Vo=Vpre*exp[−t/{(Cbl+Coffset1+Coffset2)*Rcell}] …(12−1)
Vr=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rref)}
=Vpre*exp[−t/{(Cbl+Coffset1+Coffset2)*(Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1+Coffset2))}] …(12−2)
tSset=Cbl*Rref …(12−3)
【0156】
セットヴェリファイ読み出しでは、Rrefは固定で、Coffset1とCoffset2の追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1+Coffset2)}に減少する。
【0157】
リセットヴェリファイ読み出し(SET=L,READ=L)では、次式(13−1)〜(13−3)が成り立つ。
【0158】
[数13]
Vo=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rcell)}…(13−1)
Vr=Vpre*exp{−t/(Cbl*Rref)} …(13−2)
tSreset=Cbl*Rref …(13−3)
本実施形態では、センスタイミングは通常読み出し、セットヴェリファイ読み出し、リセットヴェリファイ読み出しで変わることがない。
【0159】
等価的な閾値は、通常読み出し時、セットヴェリファイ読み出し時、リセットヴェリファイ読み出し時で、以下のように表すことができる。
通常読み出し時:
Rth=Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1)。
セットヴェリファイ読み出し時:(Rth−set)=Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1+Coffset2)。
リセットヴェリファイ読み出し時:(Rth−reset)=Rref。
このため(Rth−set)<Rth<(Rth−reset)を満たしている。
【0160】
[定電流放電読み出し時の電位とセンスタイミング]
以上の3種類の読み出しにおいて、センスノード(センス入力)の電位Vo、参照ノード(リファレンス入力)の電位Vrおよびセンスタイミング(tS)を、前述した定電流放電電圧の式(4)に基づいて以下のように規定できる。
【0161】
通常読み出し(SET=L,READ=H)には、(Vpre=10*VR)とした場合、次式(14−1)〜(14−3)が成立する。
【0162】
[数14]
Vo=Vpre−VR*t/{(Cbl+Coffset1)*Rcell}…(14−1)
Vr=Vpre−VR*t/(Cbl*Rref)
=Vpre−VR*t/{(Cbl+Coffset1)*(Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1))} …(14−2)
tS=5*Cbl*Rref …(14−3)
【0163】
通常読み出しでは、Rrefは固定で、Coffset1の追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1)}に減少する。
【0164】
セットヴェリファイ読み出し(SET=H,READ=H)には、(Vpre=10*VR)とした場合、次式(15−1)〜(15−3)が成立する。
【0165】
[数15]
Vo=Vpre−VR*t/{(Cbl+Coffset1+Coffset2)*Rcell) …(15−1)
Vr=Vpre−VR*t/(Cbl*Rref)
=Vpre−VR*t/[(Cbl+Coffset1+Coffset2)*{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1+Coffset2)}] …(15−2)
tS=5*Cbl*Rref …(15−3)
【0166】
セットヴェリファイ読み出しでは、Rrefは固定で、Coffset1とCoffset2の追加により、リファレンス抵抗が等価的に{Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1+Coffset2)}に減少する。
【0167】
リセットヴェリファイ読み出し(SET=L,READ=L)では、(Vpre=10*VR)とした場合、次式(16−1)〜(16−3)が成立する。
【0168】
[数16]
Vo=Vpre−VR*t/(Cbl*Rcell)…(16−1)
Vr=Vpre−VR*t/(Cbl*Rref) …(16−2)
tSreset=5*Cbl*Rref …(16−3)
【0169】
センスタイミングは通常読み出し、セットヴェリファイ読み出し、リセットヴェリファイ読み出しで変わることがない。
【0170】
等価的な閾値は、通常読み出し時、セットヴェリファイ読み出し時、リセットヴェリファイ読み出し時で、以下のように表すことができる。
通常読み出し:Rth=Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1)。
セットヴェリファイ読み出し:(Rth−set)=Rref*Cbl/(Cbl+Coffset1+Coffset2)。
リセットヴェリファイ読み出し:(Rth−reset)=Rref。
このため、(Rth−set)<Rth<(Rth−reset)を満たしている。
このようにCR放電と定電流放電では、センスタイミングの乖離を緩和する効果が得られることに変わりはない。
【0171】
<9.第7の実施の形態>
図36に、本実施形態に関わるビット線対構造を示す。
本実施形態は、ビット線階層構造を利用する点で図22〜図23の構造と類似し、選択スイッチ51A,51Bを抵抗体として動作させる点ではCR放電の例を示すものである。なお、定電流放電の場合は、以下の説明は、これまでの説明を参照すると容易に類推可能である。
【0172】
ビット線階層構造は図22〜図23を用いて既に詳しく説明したので、ここでは相違点を中心に説明する。
グローバルビット線GBLに複数のメモリセル列がスイッチを介して並列接続されている点は、図22〜図23と共通する。このことは、グローバルビット補線(/GBL)に複数の参照メモリセル列がスイッチを介して並列接続されていることでも同様である。
ここでは、読み出し対象の選択セルを含む行方向のセル列を選択サブアレイと記載し、全てのセルが非選択の非選択セルのみの行方向のセル列を非選択サブアレイと便宜的に記載している。
【0173】
グローバルビット線GBLで、非選択のローカルビット線LBLの本数で追加容量Coffsetの数を制御することは図23と同様である。
本実施形態では、これと同じことを、差動センスアンプ7Bの参照ノード(電位Vr)に接続されているグローバルビット補線(/GBL)でも行っている。つまり、グローバルビット補線(/GBL)には、複数のローカルビット補線(/LBL)が接続される数で、参照ノード側の追加容量Coffsetの調整を行う。
【0174】
その双方の側で追加容量Coffsetの調整を行うと、図34の場合と同様な作用効果が得られ、センスノード側のみで行うと図35と同様な作用効果が得られる。
【0175】
以上述べてきた第4〜第6の実施形態は、リファレンス抵抗を切り替える方式(図24,図25)と、組み合わせて使うことも可能である。
【0176】
以上の6つの実施形態ではReRAMを例としたが、ReRAM以外の相変化メモリ等の抵抗変化型メモリに、本発明は広く適用できる。
また、フラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリにおいても、ワード線制御を行わない、つまり一定電流でない読み出し動作も可能な場合がある。例えばMCL−NORタイプではそのような動作の報告例もあり、このような動作であれば、読み出す情報の論理に応じて、あるいは、読み出しの種類(モード)に応じてセンスタイミングの乖離が著しい場合も存在する。
したがって、本発明は読み出し電流のダイナミックレンジが広い抵抗変化型メモリへの適用が望ましいが、以上の実施形態の記載は、他の不揮発性メモリへの適用を排除することを意味しない。
【0177】
以上の第1〜第6の実施形態および第1変形例では、いわゆるダイナミック読み出し動作を行うReRAMにおいて、差動増幅型センスアンプのタイミング設定の範囲が拡大し、誤動作のマージン設計が容易化されるという利益が得られる。
【符号の説明】
【0178】
1…メモリセルアレイ、4…ロウデコーダ、4A…WLドライバユニット、5…BLIスイッチ、6…CSWドライバ、6A…CSWドライバユニット、7…センスアンプ、7A…シングルエンド型センスアンプ、7B…差動センスアンプ、9…I/Oバッファ、10…書き込み・消去ドライバ、11…制御回路、12…プレートドライバ、17…オフセット容量付加回路、18S…セット容量スイッチ、18r…リード容量スイッチ、18R…リセット容量スイッチ、20…Xセレクタ、30…Yセレクタ、51,51u,51d,51A,51B…スイッチ、52…NMOSスイッチ、71…プリチャージトランジスタ、101…下部電極、102…絶縁体膜、103…導体膜、171…スイッチ、Rcell…可変セル抵抗、MC…メモリセル、RC…参照セル、BL…ビット線、/BL…ビット補線、WL…ワード線、PL…プレート線、AT…アクセストランジスタ、Rcell…メモリセル抵抗、Rref…リファレンス抵抗、Coffset…追加容量、Vo…センスノード電位、Vr…参照ノード電位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極間の電荷放電速度が、記憶された情報の論理に応じて異なる記憶素子と、
前記記憶素子の一方の電極が接続された配線の放電電位を参照電位と比較することにより、前記情報の論理を検出するセンスアンプと、
前記放電電位を入力するセンスアンプのセンスノードの負荷容量、または、当該センスノードの負荷容量と前記参照電位を入力する前記センスアンプの参照ノードの負荷容量との両方を、前記記憶素子の読み出す情報の論理に応じて変化させる負荷容量変更部と、
を有する不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項2】
前記負荷容量変更部は、前記センスノードの負荷容量を複数の値に切り替え可能である
請求項1に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項3】
前記センスアンプが、前記センスノードの電位と前記参照ノードの電位と差動増幅する差動センスアンプであり、
前記参照ノードに複数の参照抵抗の何れかが、読み出す情報の論理に応じて制御されるスイッチを介して選択可能に接続され、
前記負荷容量変更部は、前記参照ノードに接続される参照抵抗の値に応じて、前記センスノードの負荷容量値を変更する
請求項2に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項4】
前記センスノードの負荷容量値は、複数の前記記憶素子を共通接続する配線を、前記センスノードに対し、スイッチを介して何本接続するかにより変更可能である
請求項3に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項5】
セルスイッチと前記記憶素子が直列接続されたメモリセルがマトリクス配置されたメモリセルアレイを有し、
前記メモリセルアレイは、列方向の複数のメモリセルでセルスイッチ側端を共通接続する副ビット線が、それぞれ副ビット線選択スイッチを介してビット線に複数接続されたビット線階層構造を有し、
前記負荷容量変更部は、読み出す情報の論理に応じて前記副ビット線選択スイッチを制御し、前記センスノードの負荷容量値を変更する
請求項4に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項6】
前記ビット線と前記センスノードとの接続を制御するビット線接続スイッチが接続されている
請求項5に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項7】
前記ビット線接続スイッチが、線形領域で動作するトランジスタである
請求項6に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項8】
前記ビット線接続スイッチが、飽和領域で動作するトランジスタである
請求項6に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項9】
前記記憶素子が、印加電圧の向きにより書き込み情報の論理が異なる抵抗変化型記憶素子である
請求項5に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項10】
前記センスアンプが、前記センスノードの電位と前記参照ノードの一定電位とを比較増幅するセンスアンプであり、
前記付加容量変更部は、複数の追加負荷容量と、少なくとも1つの追加負荷容量を前記センスノードに変更可能に接続させるスイッチとを含み、読み出す情報の論理に応じて、前記センスノードの追加負荷容量値を変更する
請求項2に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項11】
前記センスノードの追加負荷容量値は、複数の前記記憶素子を共通接続する配線を、前記センスノードに対し、スイッチを介して何本接続するかにより変更可能である
請求項10に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項12】
セルスイッチと前記記憶素子が直列接続されたメモリセルがマトリクス配置されたメモリセルアレイを有し、
前記メモリセルアレイは、列方向の複数のメモリセルでセルスイッチ側端を共通接続する副ビット線が、それぞれ副ビット線選択スイッチを介してビット線に複数接続されたビット線階層構造を有し、
前記負荷容量変更部は、読み出す情報の論理に応じて前記副ビット線選択スイッチを制御し、前記センスノードの負荷容量値を変更する
請求項11に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項13】
前記ビット線と前記センスノードとの接続を制御するビット線接続スイッチが接続されている
請求項12に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項14】
前記ビット線接続スイッチが、線形領域で動作するトランジスタである
請求項13に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項15】
前記ビット線接続スイッチが、飽和領域で動作するトランジスタである
請求項13に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項16】
前記ビット線接続スイッチと前記センスノードとの間にNMOSスイッチが接続され、当該NMOSスイッチのゲートにクランプ電圧を印加することによって、ビット線を、前記クランプ電圧から前記MOSトランジスタのゲートとソース間の電圧だけ下がった電圧にクランプし、センス動作により電圧振幅が発生するセンスノードと前記ビット線を負荷分離する
請求項13に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項17】
前記記憶素子が、印加電圧の向きにより書き込み情報の論理が異なる抵抗変化型記憶素子である
請求項12に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。
【請求項18】
前記記憶素子が、印加電圧の向きにより書き込み情報の論理が異なる抵抗変化型記憶素子である
請求項1に記載の不揮発性半導体メモリデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2011−108311(P2011−108311A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261127(P2009−261127)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】