説明

不活性な洗浄塔を用いた流体流の脱酸方法及びこのための装置

少なくとも1の吸収工程において0.5〜20barの圧力で流体流を吸収剤と密接に接触させ、ただしその際、その内部表面が実質的にプラスチック又はゴムで構成されている不活性の洗浄塔内で該吸収工程を実施するか、又は吸収工程が複数の場合には少なくとも1の吸収工程を実施する、酸性ガスを不純物として含有する流体流の脱酸方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性ガスを不純物として含有する流体流の脱酸方法及びこのための装置に関する。
【0002】
化学工業の多数のプロセスにおいて流体流は登場し、該流体流は酸性ガス、例えばCO、HS、SO、CS、HCN、COS又はメルカプタンを不純物として含有する。これらの流体流は、例えばガス流(例えば天然ガス、製油所ガス、有機材料、例えば有機廃棄物、石炭又は石油の酸化により発生する反応ガス、又は有機物質を含有する廃棄物がコンポスト化して発生する反応ガス)でありうる。
【0003】
酸性ガスの除去は種々の理由から特に重要である。例えば天然ガスの硫黄化合物の含量は適切な後処理により直にガス井で低減しなければならない。というのは硫黄化合物も、しばしば天然ガスにより連行された水の中で腐食作用を有する酸を形成するからである。従ってパイプラインで天然ガスを輸送するためには硫黄を含有する不純物の既定された極限値を守らなければならない。自然を害するか、又は環境に影響を及ぼしうるガスの放出を防ぐためには、有機材料、例えば有機廃棄物、石炭又は石油の酸化により発生する反応ガス、又は有機物質を含有する廃棄物がコンポスト化して発生する反応ガスを除去しなければならない。
【0004】
ガス洗浄法で使用される洗浄液についても豊富な特許文献が存在する。そこでは基本的にガス洗浄のための吸収剤もしくは溶剤の2つの異なるタイプが区別可能である。
【0005】
一方ではいわゆる物理的溶剤を使用し、該溶剤中には吸収が行われたあと溶解した酸性ガスが分子の形で存在する。典型的な物理的溶剤はシクロテトラメチレンスルホン(スルホラン)及びその誘導体、脂肪族酸アミド(アセチルモルホリン、N−ホルミルモルホリン)、NMP(N−メチル−ピロリドン)、プロピレンカーボナート、N−アルキル化されたピロリドン及び相応するピペリドン、メタノール及びポリエチレングリコールのジアルキルエーテルからなる混合物(Selexol(R)、Union Carbide,Danbury,Conn.,USA)である。
【0006】
他方でその作用様式が化学反応に基づく化学的溶剤を使用し、化学的溶剤の場合、吸収が行われたあと溶解した酸性ガスが化合物の形で存在する。例えば工業的規模において最も頻繁に化学的溶剤として使用される無機塩基(例えばBenfield法における炭酸カリウム溶液)又は有機塩基(例えばアルカノールアミン)からなる水溶液の場合は、酸性ガスの溶解の際にイオンを形成する。溶剤はより低い圧力への放圧又はストリッピングにより再生することができ、この際イオン種は反応して酸性ガスに戻り且つ/又は蒸気により分離される。再生工程のあと溶剤は再利用可能である。炭化水素ガス流からなる酸性ガスの不純物を除去する際に有利に使用されるアルカノールアミンは、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、ジイソプロピルアミン(DIPA)、アミノエトキシエタノール(AEE)及びメチルジエタノールアミン(MDEA)を包含する。
【0007】
酸性ガスを吸収するために、流体流を吸収工程において洗浄液と接触させる。この吸収工程を鋼製の洗浄塔内で行うことは"Gas Purification",Arthur Kohl,Richard Nielsen,Gulf Publisching Company,Houston,Texas,1997、第5版、第3章、副章 アミン プラント 腐食、第187〜230頁より公知である。高価な高合金鋼を使用しない場合には、鋼が酸性ガス成分により条件づけられて、腐食により浸食されることが同様に記載されている(上記引用文中)。このため装置の寿命は著しく制限される。
【0008】
従って洗浄塔が流体流に対して十分に不活性である洗浄塔を含む、流体流から酸性ガスを吸収するための装置を提供することが課題であった。
【0009】
これに応じて酸性ガスを不純物として含有する流体流の脱酸法が判明し、この際少なくとも1の吸収工程において0.5〜20barの圧力で流体流を吸収剤と密接に接触させ、ただしその際、その内部表面が実質的にプラスチック又はゴムで構成されている不活性の洗浄塔内で該吸収工程を実施するか、又は吸収工程が複数の場合には少なくとも1の吸収工程を実施する。
【0010】
流体流、ふつう酸性気体成分が富化された出発ガス(粗製ガス)を吸収工程において不活性の洗浄塔内で吸収剤と接触させ、これにより酸性気体成分を少なくとも部分的に洗い流す。
【0011】
出発ガスは一般的に天然ガス又は、
a)有機物質の酸化
b)有機物質を含有する廃棄物のコンポスト化及び貯蔵、又は
c)有機物質の細菌分解
の方法で生成されるガス流である。
【0012】
酸化が行われる有機物質として通例は化石燃料、例えば石炭、天然ガス又は石油又は有機物質を含有する廃棄物がある。
【0013】
酸化、コンポスト化又は貯蔵が行われる有機物質を含有する廃棄物としてとりわけ家庭ゴミ、プラスチックの廃棄物又は包装材料のゴミを使用する。
【0014】
有機物質の酸化はふつう通例の燃焼装置において空気を用いて行う。
【0015】
有機物質を含有する廃棄物のコンポスト化又は貯蔵は一般的にゴミ集積場において行う。
【0016】
細菌分解の場合の有機物質として通例は肥料、藁、水肥、汚泥、発酵残留物を使用する。
【0017】
細菌分解は例えば通例の生物ガス装置で行う。
【0018】
一般的にこれらのガス流は標準条件下で50mg/mより少ない二酸化硫黄を含有する。
【0019】
出発ガスはほぼ周囲空気の圧力に相応する圧力、即ち例えば標準圧力か又は標準圧力とは0.2barまで異なる圧力を有する。更に出発ガスは標準圧力より0.2bar高い圧力、20barまでの圧力を有していてよい。周囲空気の圧力の近くにある圧力の出発ガスを圧縮により圧縮するか、又は例えば有機物質を圧縮した空気により酸化することにより、より高い圧力で出発ガスを製造する。これにより生じるガスの体積流はこの方法により減少し、且つ付加的に、分離すべき酸性ガスの分圧が高まり、このことは吸収及びその際に生じる再生の需要のために有利である。一方で圧力装置の使用に基づく圧縮コスト(投資及び運転費)及び場合により付加的に生じるより高い投資コストという欠点があるため、この場合、最適費用が存在する。
【0020】
吸収剤としてすべての通例の吸収剤は実地で適合している。
【0021】
有利な吸収剤は例えば、
−主に4〜12の炭素原子を有する脂肪族又は環状脂肪族アミン、4〜12の炭素原子を有するアルカノールアミン、1又は2の窒素原子が1又は2のアルカンジル基と共に、5員環、6員環又は7員環を形成する環状アミンからなる溶液、前記溶液の混合物、前記混合物及び溶液の水溶液、
−アミノ酸の塩を含有する水溶液、
−場合によりピペラジン又はメチルエタノールアミンを含有する炭酸カリウム水溶液、
−NaOH水溶液又は石灰乳
からなる群より選択される化学的溶剤である。
【0022】
特に有利なのは化学的溶剤として、主にモノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、ジイソプロピルアミン(DIPA)、アミノエトキシエタノール(AEE)及びメチルジエタノールアミン(MDEA)からなる溶液、前記溶液の混合物及び前記混合物及び溶液の水溶液を使用する。
【0023】
特に米国特許US4,336,233に記載されている吸収剤が有利であることが実証されている。これはメチルジエタノールアミン(MDEA)及び吸収促進剤又は活性化剤としてのピペラジンの水溶液(aMDEA(R)、BASF AG、Ludwigshafen)である。そこに記載されている洗浄液は1.5〜4.5モル/lのメチルジエタノールアミン(MDEA)及び0.05〜0.8モル/l、有利に0.4モル/lまでのピペラジンを含んでいる。
【0024】
他の有利な化学的溶剤に関してDE−A−10306254、DE−A−10210729、DE−A−10139453、及びEP−A−1303345を引用する。
【0025】
吸収剤として更にシクロテトラメチレンスルホン(スルホラン)及びその誘導体、脂肪族酸アミド(アセチルモルホリン、N−ホルミルモルホリン)、NMP(N−メチルピロリドン)、プロピレンカーボナート、N−アルキル化されたピロリドン及び相応するピペリドン、メタノール及びポリエチレングリコールのジアルキルエーテルからなる混合物からなる群より選択される物理的溶剤が有利であることが実証されている。
【0026】
本発明による方法で使用される不活性な洗浄塔は本質的にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(Allied Chemical Comp.社のハラー(Halar)(R))、ポリフルオロエチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシポリマー、テトラフルオロエチレン及びペルフルオロ−ビニルエーテルのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレンからなる群より選択されるプラスチックからなる。これらプラスチックは有利にガラス繊維で強化されている。更に鋼製で、その内部空間がプラスチック又はゴムで被覆されている洗浄塔が適切である。
【0027】
適切な不活性の洗浄塔は例えば充填物、充填塔及び棚段塔である。吸収装置としてもっぱら不活性の洗浄塔を有利に使用するが、しかしながらこれを他の公知の吸収装置、例えば膜接触装置(Membrankontaktoren)、半径流洗浄装置、ジェットスクラバー、ベンチュリスクラバー及び回転式スプレー洗浄装置及び鋼製の洗浄塔と組み合わせて使用することも同様に可能である。この際吸収剤による流体流の処理は有利に不活性の洗浄塔中で向流で行う。この際流体を一般的に下部領域に及び吸収剤を塔の上部領域に送り込む。
【0028】
吸収剤の温度は吸収工程において一般的に約40〜100℃、塔使用の際は例えば塔頂部で40〜70℃及び塔底部で50〜100℃である。全圧力は吸収工程において一般的に約0.5〜20bar、有利に約0.7〜12bar、特に有利に0.7〜6である。特に有利に圧力は標準圧力であるか、又は標準圧力とは0.2barまで異なる圧力である。酸性気体成分の僅かな、つまりこの成分が希薄な生成ガス(副産ガス)及び酸性気体成分により負荷された吸収剤が得られる。
【0029】
一般的にプラスチックからなる吸収塔は構造上5barの圧力までで使用する。確かにプラスチックからなる吸収塔の使用は基本的にはより高い圧力でも可能であるが、しかしそのような場合には、鋼と比べて一般的にプラスチックの強度が小さいために、より高い壁厚を必要とする。従って5barより高い圧力では、内部がプラスチック又はゴムにより被覆されている鋼製の吸収塔が有利である。
【0030】
本発明による方法は1つ又は複数の、とりわけ2つの連続する吸収工程を包含している。吸収を複数の連続する部分工程において実施し、この際酸性気体成分を含有する粗製ガスをそれぞれの部分工程においてそのつど吸収剤の部分流と接触させる。粗製ガスに接触する吸収剤はすでに部分的に酸性ガスにより負荷されており、つまりこれは例えば後続の吸収工程から初めの吸収工程に返送された吸収剤、又は部分的に再生された吸収剤であってよい。2工程の吸収の実施に関連して刊行物EP−A0159495、EP−A020190434、EP−A0359991及びWO00100271に引用されている。
【0031】
有利な実施態様によれば、本発明による方法は、まず酸性ガスを含有する流体を第一の吸収工程において吸収剤を用いて40〜100℃の温度で、有利には50〜90℃及びとりわけ60〜90℃で処理して実施する。次いで酸性ガスが希薄な流体を第2の吸収工程において吸収剤を用いて30〜90℃の温度で、有利に40〜80℃及びとりわけ50〜80℃で工程する。この際温度は第1の吸収工程におけるより5〜20℃低い。
【0032】
酸性気体成分により負荷された吸収剤から酸性気体成分が通常の方法で(後で引用される出版物と同様)再生工程において遊離し、この際再生された吸収剤が得られる。再生工程において吸収剤の負荷は減少し、且つ得られた再生後の吸収剤を引き続き吸収工程へと返送する。
【0033】
一般的に再生工程は少なくとも、例えば吸収工程を行う際に支配的である高い圧力から、より低い圧力への負荷された吸収剤の放圧を含み、例えば放圧は絞り弁及び/又は放圧タービンを用いて行う。放圧工程を伴う再生は、例えば刊行物US4,537,753及びUS4,553,984に記載されている。
【0034】
再生工程における酸性気体成分の遊離は、例えば放圧塔、例えば垂直又は水平に設置したフラッシュ容器又は内部構造物を有する向流塔において行うことができる。複数の放圧塔を連続して接続してよく、これら放圧塔内において異なった圧力で再生する。例えば一般に吸収工程における酸性気体成分の分圧より約1.5bar高い高圧の前放圧塔で、及び例えば1〜2bar絶対の低い圧力の主放圧塔で再生してよい。2つ又は複数の放圧工程を伴う再生は、刊行物US4,537,753、US4,553,984、EP−A0159495、EP−A0202600、EP−A0190434及びEP−A0121109に記載されている。
【0035】
最後の放圧工程は例えば水蒸気噴霧器を用いて、場合により機械的真空発生装置と組み合わせて発生される真空下でも実施してよく、例えばEP−A0159495、EP−A0202600、EP−A0190434及びEP−A0121109(US4,551,158)に記載されている。
【0036】
アミン成分の含量の最適な調整により本発明による吸収剤は、酸性ガスによる高い負荷容量を有し、これは容易に再び脱着することができる。これにより本発明による方法では、エネルギー消費及び溶剤循環を著しく減少することが可能である。
【0037】
本発明による方法を、以下の図1及び2に基づき説明する。
【0038】
図1には図式的に吸収工程を1工程で、且つ放圧工程を2工程で行う装置が略図により記載されている。出発ガス(以下にフィードガスとしても記載)を導管1を介して吸収装置2の下部領域に供給する。吸収装置2は充填物で充填された塔であり、物質交換及び熱交換をもたらす。僅かな酸性ガスの残留含量を有する再生された吸収剤である吸収剤を導管3を介してフィードガスに対して向流で吸収装置2の頭部へ添加する。酸性ガスが希薄なガスは頭部(導管4)を介して吸収装置2を出る。酸性ガスが富化された吸収剤は、導管5を介して底部で吸収装置2を出て、吸収装置に供給された粗製ガスのCO分圧より高い圧力において一般的に作動する高圧−放圧塔6に導入される。吸収剤の放圧は一般的に通例の装置、例えばレベル調節弁、油圧タービン又は逆流ポンプを用いて行う。放圧の際、溶解した非酸性ガスの大部分並びに酸性ガスの僅かな部分を遊離する。これらのガスは高圧−放圧塔6から頭部を介して導管7を介して導出される。
【0039】
依然として酸性ガスの大部分により負荷されている吸収剤は、導管8を介して高圧−放圧塔を出て熱交換装置9で加熱され、この際酸性ガスの僅かな部分を遊離することができる。加熱された吸収剤は充填物を備えた低圧−放圧塔10の上部領域に導入されて、広い表面積を獲得し、且つこうしてCOの遊離及び平衡の調節をもたらす。低圧−放圧塔10内ではCO及びHSの大部分をほぼ完全にフラッシュにより遊離する。吸収剤をこの方法で同時に再生し、且つ冷却する。遊離した酸性ガスを冷却し、且つ蒸気の一部分を濃縮するために、低圧−放圧塔10の頭部にトラップ容器12を有する還流冷却器11が設置されている。酸性ガスの主要量は導管13を介して還流冷却器11を出る。凝縮液はポンプ14を用いて低圧−放圧塔10の頭部に返送する。なお僅かなCO部分を含有する再生された吸収剤は導管15を介して底部で低圧−放圧塔10を出て、ポンプ16を用いて導管3を介して吸収装置2の頭部へ添加する。ガスと共に除去された水を補うために導管17を介して新鮮水を供給することができる。
【0040】
図2は、2工程の吸収装置及び2工程の放圧装置を使用して本発明による方法を実施するための装置を略図により示す。吸収装置は粗吸収装置(Rohabsorber)1及び清浄吸収装置(Reinabsorber)2を含有する。フィードガス20は導管3を介して粗吸収装置1の下部領域に供給し、且つ導管4を介して粗吸収装置1の頭部に添加され、且つなお若干の酸性ガスを含有する再生された吸収剤を用いて向流で処理する。清浄吸収装置2の頭部に導管5を介して、本質的に酸性ガスをもはや含まない再生された吸収剤を添加する。吸収装置の両部分は充填物を含有し、粗製ガスと吸収剤との間の物質交換及び熱交換をもたらす。処理したガスは頭部(導管6)を介して吸収装置2を出る。酸性ガスにより負荷された吸収剤は粗吸収装置1の底部で排出され、且つ導管7を介して高圧−放圧塔8の上部領域に供給する。塔8は1つの充填物を備えており、且つ吸収装置中の圧力及び後に続く低圧−放圧塔11の圧力の間の圧力で作動する。酸性ガスにより負荷された吸収剤の放圧は通例の装置、例えばレベル調節弁、油圧タービン又は逆流ポンプを用いて行う。高圧放圧の際は溶解した非酸性ガスの大部分並びに酸性ガスの僅かな部分を遊離する。これらのガスは高圧−放圧塔8から頭部を介して導管9により排出する。
【0041】
依然として酸性ガスの大部分により負荷された吸収剤は、導管10を介して高圧−放圧塔8を出て低圧−放圧塔の上部領域11に供給され、そこでCO及びHSの大部分をフラッシュにより遊離する。吸収剤はこの方法で再生する。熱移動及び物質移動のための広い表面積を確保するために、低圧−放圧塔11は1つの充填物を備えている。低圧−放圧塔11から頭部を介して流出する酸性ガスを冷却し、且つ蒸気の一部分を凝縮するために、凝縮液貯蔵器13を有する還流冷却器12が低圧−放圧塔11の頭部に設置されている。酸性ガスの主要量を含有する凝縮されなかったガスを導管14を介して排出する。凝縮液貯蔵器13から出る凝縮液はポンプ15を介して低圧−放圧塔11の頭部へ供給する。
【0042】
なお酸性ガスの一部分を含有する部分的に再生された吸収剤は、低圧−放圧塔を底部で導管16を介して出て2つの部分流に分割される。大きな部分流はポンプ17及び導管4を介して粗吸収装置1の頭部に添加し、これに対して小さな部分はポンプ19を用いて導管18を介して熱交換装置20において加熱する。次いで加熱した吸収剤は、充填物を備えているストリッパー21の上部領域に供給する。ストリッパー21において、吸収されたCO及びHSの大部分を、リボイラー22中で生じ、且つストリッパー21の下部領域に供給される蒸気により除去する。ストリッパー21から底部で導管23を介して出ていく吸収剤はごく僅かな酸性ガスの残留含量を有する。これは熱交換装置20を介して導き、この際低圧−放圧塔11に由来する部分的に再生された吸収剤を加熱する。冷却され、再生された吸収剤はポンプ24を用いて熱交換装置25を介して清浄吸収装置2の頭部に返送する。ガス流により排出された水を補うために、導管26を介して清浄吸収装置2の頭部に新鮮水を添加する。ストリッパー21から頭部を介して流出するガスは導管27を介して低圧−放圧塔11の下部領域に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】1工程の吸収及び2工程の放圧による本発明による方法を実施するための装置を示す図
【図2】2工程の吸収及び2工程の放圧による本発明による方法を実施するための装置を示す図
【符号の説明】
【0044】
[図1]
1 導管、 2 吸収装置、 3 導管、 4 導管、 5 導管、 6 高圧−放圧塔、 7 導管、 8 導管、 9 熱交換装置、 10 低圧−放圧塔、 11 還流冷却器、 12 トラップ容器、 13 導管、 14 ポンプ、 15 導管、 16 ポンプ、 17 導管
[図2]
1 粗吸収装置、 2 清浄吸収装置、 3 導管、 4 導管、 5 導管、 6 導管、 7 導管、 8 高圧−放圧塔、 9 導管、 10 導管、 11 低圧−放圧塔、 12 還流冷却器、 13 凝縮液貯蔵器、 14 導管、 15 ポンプ、 16 導管、 17 ポンプ、 18 導管、 19 ポンプ、 20 熱交換装置、 21 ストリッパー、 22 リボイラー、 23 導管、 24 ポンプ、 25 熱交換装置、 26 導管、 27 導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の吸収工程において0.5〜20barの圧力で流体流を吸収剤と密接に接触させ、ただしその際、その内部表面が実質的にプラスチック又はゴムで構成されている不活性の洗浄塔内で該吸収工程を実施するか、又は吸収工程が複数の場合には少なくとも1の吸収工程を実施する、酸性ガスを不純物として含有する流体流の脱酸方法。
【請求項2】
流体流は、
a)有機物質の酸化
b)有機物質を含有する廃棄物のコンポスト化又は貯蔵、又は
c)有機物質の細菌分解
により形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸化が行われる有機物質として化石燃料又は有機物質を含有する廃棄物を使用する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
コンポスト化又は貯蔵が行われる有機物質を含有する廃棄物として家庭ゴミ、プラスチックの廃棄物又は包装材料のゴミを使用する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
細菌分解が行われる有機物質として肥料、藁、水肥、汚泥又は発酵残留物を使用する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
本質的にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー、ハラー、ポリフルオロエチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシポリマー、テトラフルオロエチレン及びペルフルオロ−ビニルエーテルのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレンからなる群より選択される、ガラス繊維で強化したプラスチックからなる不活性の洗浄塔を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
内部空間がゴムで被覆されている鋼製の不活性な洗浄塔を使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
吸収剤として
−主に4〜12の炭素原子を有する脂肪族又は環状脂肪族アミン、4〜12の炭素原子を有するアルカノールアミン、1又は2の窒素原子が1又は2のアルカンジル基と共に、5員環、6員環又は7員環を形成する環状アミンからなる溶液、前記溶液の混合物、前記混合物及び溶液の水溶液、
−アミノ酸の塩を含有する水溶液、
−ピペラジン又はメチルエタノールアミンを含有してもよい炭酸カリウム水溶液、
−水性のNaOH溶液又は石灰乳
からなる群より選択される化学的溶剤を使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
化学的溶剤として主にモノエタノールアミン(MEA)、メチルアミノプロピルアミン(MAPA)、ピペラジン、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、ジイソプロピルアミン(DIPA)、アミノエトキシエタノール(AEE)、ジメチルアミノプロパノール(DIMAP)及びメチルジエタノールアミン(MDEA)からなる溶液、前記溶液の混合物及び前記混合物と溶液とからなる水溶液を使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
吸収剤としてシクロテトラメチレンスルホン(スルホラン)及びその誘導体、脂肪族酸アミド(アセチルモルホリン、N−ホルミルモルホリン)、NMP(N−メチルピロリドン)、プロピレンカーボナート、N−アルキル化されたピロリドン及び相応するピペリドン、メタノール及びポリエチレングリコールのジアルキルエーテルからなる混合物からなる群より選択される物理的溶剤を使用する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
洗浄液として物理的及び化学的溶剤を使用する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
洗浄液としてメチルジエタノールアミン及びピペラジンを含有する水溶液を使用する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
吸収工程を通過した後の洗浄液を再生し次いで吸収工程に返送する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
洗浄液を1工程又は複数工程の放圧により再生する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
洗浄液を放圧後、不活性の流体、とりわけ窒素又は水蒸気を用いてストリッピングすることにより再生する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
吸収工程を複数の連続する部分工程において実施し、且つ酸性ガスを含有する流体流をそれぞれの部分工程においてそのつど洗浄液の部分流と接触させる、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
標準条件下で50mg/mより少ない二酸化硫黄を含有する流体流を使用する、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの洗浄塔はその内部表面がプラスチック又はゴムからなる不活性の洗浄塔である、洗浄液で充填されている1つ又は複数の連続して接続された洗浄塔からなる請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法を実施するための装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−526496(P2006−526496A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508231(P2006−508231)
【出願日】平成16年5月29日(2004.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005849
【国際公開番号】WO2004/108244
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】