説明

両面研磨方法、及び両面研磨装置

【課題】上下両定盤の修正状態をできるかぎり同一として、マッチングのとれた定盤面を形成してワークを高精度で両面研磨する。
【解決手段】回転可能に配置された研磨用サンギア111と、研磨用サンギア111との間に環状領域121を形成するインターナルギア22と、環状領域内に回転可能に配置された環状の下定盤20と、下定盤20の上側に回転可能に配置された環状の上定盤30と、を備え、下定盤20、上定盤30、サンギア部材110、及びインターナルギア22を夫々予め定めた回転方向、及び速度で回転させ、研磨キャリア10で保持したワーク11の両面研磨後、研磨用サンギア111に代えて、研磨用サンギア111のピッチ円径Raより小さいピッチ円径Rbを備えた修正用サンギア112を配置し、環状領域に研磨キャリア10のピッチ円径raより大きいピッチ円径rbの修正キャリア230を配置し、下定盤20、及び上定盤30の修正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両面研磨方法、及び両面研磨装置に係り、特に回転する下定盤と上定盤との間に配置したキャリアをサンギア及びインターナルギアで自転及び公転させ、キャリアに保持したワーク両面の研磨を行う両面研磨方法、及び両面研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶ウエハー、半導体ウエハー等のワークを研磨する両面研磨装置として、回転駆動される環状の下定盤と、この下定盤の上方に配置されて下定盤と反対方向に回転駆動される環状の上定盤と、下定盤の中心部に回転可能に設けられて回転駆動されるサンギアと、下定盤の外周部に配置されて回転駆動されるインターナルギアと、サンギアとインターナルギアとの間に配置され、サンギア、及びインターナルギアと同時に噛合するギア部を外周に有すると共にワークを保持可能なキャリアと、を備えたものがある。
この両面研磨装置において、キャリアは、夫々回転駆動される下定盤と上定盤との間に配置された状態で、サンギア、及びインターナルギアの回転によって公転、及び自転し、保持したワークの両面を下定盤、及び上定盤によって研磨される。この両面研磨装置は、上定盤、下定盤、サンギア、インターナルギアの回転方向、及び速度を任意に設定できることから4ウェイ両面研磨装置と称され、ワークへの負荷が少ないので、薄物加工に使用される。
【0003】
このような両面研磨装置では、ワークの両面を精度よく研磨するために、上下両定盤の表面を高い平面度に加工する必要がある。このため、両面研磨装置では、ワークを研磨した後に下定盤、及び上定盤の研磨面の修正が行われる。
定盤の修正は、ワークを保持するキャリアに代えて、定盤修正用の修正キャリアを配置して両面研磨装置を駆動することにより行われる。修正キャリアは、通常ワークの研磨に使用されるキャリアに比べて厚さ寸法が大きく、定盤の修正に適した材質のものが使用される。
しかし、このように修正キャリアを使用して修正を行ったとしても、上下両定盤の研磨面の平面度を高精度に修正できないことがある。例えば望まれる平面度が0.5μm程度であるのに対して、修正を行った後の平面度は2〜5μm程度に留まる。
また、修正後の各定盤についてみると、その内側と外側とで修正される量に差が生じる。また、下定盤と上定盤とを比較しても、その修正量に差がある。この差は定盤の内側で大きいものとなる。
【0004】
図7は上定盤、及び下定盤の修正状態の一例を示す模式図である。修正後の下定盤210、及び上定盤220の形状は、実施した修正の方法や程度によっても異なるが、例えば、外径側の研磨量よりも内径側の研磨量が少なく、更に、上定盤220より下定盤210の修正量が大きくなる。図7に示した例では、下定盤210は寸法「dd」、上定盤220は寸法「du」、外側に比べて内側が盛り上がった形状となっている。
これは、上定盤、下定盤の修正時に、修正キャリアが公転、及び自転し、更に上定盤と下定盤とが反対方向に回転しているため、修正キャリアの公転による影響を小さいものとしても、両定盤の内側では修正キャリアに対する相対速度の差が大きくなるためである。
【0005】
以下その理由について説明する。下定盤、及び上定盤の修正キャリアに対する相対速度は、修正キャリアの公転に起因する相対速度と、修正キャリアの自転に起因する相対速度とが合成されたものである。
まず、修正キャリアの公転に起因する相対速度について説明する。修正キャリアの公転に起因する下定盤、及び上定盤の修正キャリアに対する相対速度は、下定盤の回転速度、上定盤の回転速度、及び修正キャリアの公転速度を適切に選択することにより同じとすることができる。
【0006】
図8は両面研磨装置における修正キャリアの公転に起因する下定盤、及び上定盤の修正キャリアに対する相対速度を示す模式図である。図8(a)は定盤の回転速度と修正キャリアの公転による速度を示す図であり、同(b)は修正キャリアの公転を考慮した定盤の速度計算を示す図である。図8(a)に示すように、上定盤220が時計回り(CW)に回転し、下定盤210が反時計回り(CCW)に回転している。
修正キャリア230の中心について両定盤210、220が修正キャリア230に対して等しい相対速度を有するための条件を求める。時計回りを正として、上定盤220の回転速度を、a(rad/sec:a≦0)、下定盤210の回転速度を、b(rad/sec:b≧0)とする。更に、修正キャリア230の公転速度をc(rad/sec)とし、上定盤220の修正キャリア230に対する相対速度、及び下定盤210の修正キャリア230に対する相対速度を等しいものとする。
すると、上定盤220の修正キャリア230に対する相対速度の大きさ|a−c|と、下定盤210の修正キャリア230に対する相対速度の大きさ|b−c|とが等しいとの条件から、c=(b−a)/2が求まる。
例えば、a=−0.5、b=+1.5であるとき、c=−0.5とすると、下定盤210、及び上定盤220の修正キャリアに対する相対速度の大きさを1とすることができる。このように、各部材の速度を適宜選択することにより、キャリアと上下定盤との相対速度を等しくすることができる。
このような上下両定盤とキャリアと速度設定に関して、特許文献1には、キャリアの公転速度に対する上定盤の相対速度と、修正キャリアの公転速度に対する下定盤の相対速度とが同じになるように、各定盤の速度設定を行うことが記載されている。
【0007】
次に、修正キャリアの自転に起因する相対速度について説明する。説明を簡単にするため上定盤についてのみ考える。図9は両面研磨装置における修正キャリアの自転に起因する上定盤の修正キャリアに対する相対速度を説明する模式図である。図9中(a)は反時計回りに回転する上定盤と同方向に回転する修正キャリアとを示す模式図、同図(b)は同じく上定盤と時計方向に回転する修正キャリアとを示す模式図である。図9(a)、(b)において、上定盤220は反時計方向(負)に回転している。また、修正キャリア230は(a)では反時計方向(負)、(b)では時計方向(正)に回転(自転)している。ここでは上定盤220の修正キャリア230に対する相対速度を外側周R1(半径r1)と内側周R2(半径r2)とで考える(r1>r2)。外側周R1において、上定盤220は修正キャリア230に対して、修正キャリア230の公転と上定盤220との回転により相対速度Aが生じているものとする。すると、内側周R2では、上定盤220と修正キャリア230公転に起因する相対速度は、A・(R2/R1)となる。
【0008】
図9(a)に示した状態、すなわち反時計方向に回転する上定盤220の同方向に自転する修正キャリア230に対する相対速度をみる。上定盤220の外側周R1では、上定盤220の公転による反時計方向速度「A」と、修正キャリア230の自転による反時計方向の速度「C」(A>C)のとき、相対速度は、「A−C」とAより小さくなる(相対速度「小」)。
一方、上定盤220の内側位置では、上定盤220の公転による反時計方向速度「B(=A(r2/r1))」と、修正キャリア230の自転による反時計方向の速度「C」により、相対速度は、「A(R2/R1)+C」となり、外側周R1での相対速度より大きくなる(相対速度大:なお、C>(A・(r2−r1)/2r1)なる条件を満たす)。
この状態で上定盤220の修正を行うと、内側周R2の相対速度が大きく内径側が大きく研磨され、上定盤220は全体して下にへこんだ状態となる。
また、同図(b)に示した状態、すなわち反時計方向に回転する上定盤220の時計方向に自転する修正キャリア230に対する相対速度をみる。上定盤220の外側周R1では、上定盤220の公転による反時計方向速度「A」と、修正キャリア230の自転による時計方向の速度「C」(A>C)のとき、相対速度は、「A+C」とAより大きくなる(相対速度「大」)。
【0009】
一方、上定盤220の内側位置では、上定盤220の公転による反時計方向速度「B(=A(r2/r1))」と、修正キャリア230の自転による時計方向の速度「C」により、相対速度は、「A(R2/R1)−C」となり、外側周R1での相対速度より小さくなる(相対速度「小」)。
この状態で上定盤220の修正を続けると、外側周R1の相対速度が大きく、外側が大きく研磨され、上定盤220は全体して中央部が上に膨らんだ状態となる。
上述した修正の条件は、下定盤210についても同様となる。
このような特性を考慮して、特許文献2には、上下定盤間に位置し、太陽ギアとインターナルギアとの協働により同一方向に公転、正逆方向に交互に自転可能なキャリアに保持した被研磨物の両面を研磨する研磨方法、及び研磨装置において、キャリアの自転時における逆方向への自転速度を正方向への自転速度よりも速く設定するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−254301公報
【特許文献2】特開2010−221348公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、修正キャリアの自転により、上定盤、及び下定盤の修正キャリアに対する相対速度に差が発生するため、修正キャリアを使用して上定盤、及び下定盤を修正するに際しては、上下両定盤を均等に修正できない。この相対速度の差は、定盤の内側に行くに従って大きくなるためである。
図10は修正キャリアの外周位置での相対速度を示すものであり、(a)は相対速度を示すグラフ、(b)は修正キャリアの外周位置を示す模式図である。図10(a)のグラフは、同図(b)に示した各位置(0°〜360°)における相対速度を表示している。修正キャリアに対する相対速度は、図10(a)に示すように、キャリアの内側(180°付近)と外側(0°及び360°付近)とで異なり、上下両定盤210、220の修正キャリア230に対する相対速度の差は、内側の180°で最大となることがわかる。この相対速度の差により、上下両定盤の修正の状態が異なることとなる。そして、この相対速度の差は、上下定盤の方向、速度、及び修正キャリアの自転、公転方向、速度をどのような値に調整しても発生することとなる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、修正キャリアを用いて下定盤、及び上定盤の各研磨面を修正するに際して、上下両定盤の修正状態をできるかぎり同じとし、マッチングのとれた定盤面を形成して、ワークを高精度で両面研磨できる両面研磨方法、及び両面研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0013】
[適用例1]本適用例の両面研磨方法は、回転可能に配置されたサンギアと、前記サンギアと同芯に回転可能に配置され、前記サンギアより大きなピッチ円径を備え、前記サンギアとの間に環状領域を形成するインターナルギアと、前記環状領域内に回転可能に配置された環状の下定盤と、前記環状領域内であって前記下定盤の上側に回転可能に配置された環状の上定盤と、前記環状領域内において前記サンギア、及び前記インターナルギアと噛合するギア部を有し、かつ保持したワークが前記上定盤と前記下定盤との間に挟まれるように配置されているキャリアと、前記下定盤、前記上定盤、前記サンギア、及び前記インターナルギアを夫々予め定めた回転方向、及び速度で回転させ、前記キャリアで保持したワークの両面を前記下定盤、及び前記上定盤で夫々前記ワークを研磨し、前記ワークの研磨を行った後、前記ワークの研磨に使用した前記サンギアに代えて、前記サンギアのピッチ円径より小さいピッチ円径を備えている修正用サンギアを配置し、前記修正用サンギアと、前記インターナルギアと前記修正用サンギアとの間に形成される環状領域に前記キャリアのピッチ円径より大きいピッチ円径を有し、且つ前記修正用サンギアと前記インターナルギアに噛み合うギア部を有した修正キャリアを配置し、前記下定盤、前記上定盤、前記サンギア、及び前記インターナルギアを予め定めた回転方向、及び回転速度で回転して、前記下定盤、及び前記上定盤の研磨を行うことを特徴とする。
【0014】
本適用例によれば、下定盤、及び上定盤を、修正キャリアで修正するに際して、下定盤の修正キャリアに対する相対速度と、上定盤の修正キャリアに対する相対速度との差が小さい修正キャリアの外側領域で修正をすることができ、上下両定盤の修正状態が大きく異なる状態となることがないマッチングのとれた定盤面を得ることができ、高精度の両面研磨を行うことができる。
【0015】
[適用例2]本適用例の両面研磨方法は、前記下定盤と前記上定盤とは、前記修正キャリアの公転による相対速度を等しくするよう、逆方向の異なる回転速度で駆動されることを特徴とする。
【0016】
本適用例によれば、修正キャリアの公転による上下両定盤の相対速度が等しくなり、上下両定盤の修正量のばらつきを少ないものとすることができる。
【0017】
[適用例3]本適用例の両面研磨装置は、回転可能に配置されたサンギアと、前記サンギアと同芯で回転可能に配置され、前記サンギアより大きなピッチ円径を備え、前記サンギアとの間に環状領域を形成するインターナルギアと、前記環状領域内に回転可能に配置された環状の下定盤と、前記環状領域内であって、前記下定盤内の上側に回転可能に配置している環状の上定盤と、前記環状領域内において前記サンギア、及び前記インターナルギアと噛合するギア部を有し、かつ保持したワークが前記上定盤と前記下定盤との間に挟まれるように配置されたているキャリアと、を備え、前記下定盤、前記上定盤、前記サンギア、及び前記インターナルギアを夫々予め定めた回転方向、及び速度で回転して、前記キャリアに保持したワークの両面研磨動作を行う両面研磨装置において、前記下定盤、及び前記上定盤の修正動作を行うに際して前記両面研磨動作における前記サンギアに代えて配置可能であり、前記サンギアよりピッチ円が小さい修正用サンギアを備えていることを特徴とする。
【0018】
本適用例によれば、下定盤、及び上定盤を、修正キャリアで修正するに際して、下定盤の修正キャリアに対する相対速度と、上定盤の修正キャリアに対する修正速度との差が小さい外側の領域で修正をするため、上下両定盤の修正状態が大きく異なる状態となることがないマッチングのとれた定盤面を得ることができ、高精度の両面研磨を行うことができる。
【0019】
[適用例4]本適用例の両面研磨装置は、前記修正用サンギアと、前記両面研磨動作時に使用するサンギアと、を同一の回転軸に配置すると共に、前記修正動作時に前記回転軸を軸方向に移動して、前記修正用サンギアを前記両面研磨動作に使用したサンギアの位置に配置する回転軸移動手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
本適用例によれば、研磨動作に使用するサンギアと修正用サンギアと入れ替えは、回転軸移動手段で回転軸を移動させるだけでよく、容易に行うことができる。
【0021】
[適用例5]本適用例の両面研磨装置は、前記回転軸移動手段は、前記回転軸を軸方向に移動させる流体圧シリンダーを備えたことを特徴とする。
【0022】
本適用例によれば、研磨動作に使用するサンギアと修正用サンギアと入れ替えを流体圧シリンダー、例えば空気圧シリンダーや油圧シリンダーの駆動で容易に行うことができる。
【0023】
[適用例6]本適用例の両面研磨装置は、前記回転軸移動手段は、前記回転軸を軸方向に移動させる電動機を備えたことを特徴とする。
【0024】
本適用例によれば、研磨動作に使用するサンギアと修正用サンギアと入れ替えを電動機で行うので、大がかりな機構や制御装置を必要としない。
【0025】
[適用例7]本適用例の両面研磨装置は、前記回転軸移動手段は、前記回転軸を軸方向に移動させる手動移動機構を備えたことを特徴とする。
【0026】
本適用例によれば、研磨動作に使用するサンギアと修正用サンギアと入れ替えを手動で行うので本適用例によれば、研磨動作に使用するサンギアと修正用サンギアと入れ替え手動機構で行うので、大がかりな装置を必要としない。
【0027】
[適用例8]本適用例の両面研磨装置は、前記ワークは、水晶ウエハーであることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る両面研磨装置の基本構成を示すものであり、(a)は研磨時の状態を示す断面図、(b)は修正時の状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る両面研磨装置の基本構成を示すものであり、(a)は研磨時の状態を示す平面図、(b)は修正時の状態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る両面研磨装置における上下両定盤の修正キャリアに対する相対速度を示すものであり、(a)相対速度を示す表図、(b)は相対速度を示すグラフ図、(c)は修正キャリアの位置を示す模式図である。
【図4】本発明に係る両面研磨装置の下定盤と上定盤のキャリアに対する相対速度の差を示す図であり、(a)は研磨キャリアを使用した場合を示す模式図、(b)は修正キャリアを使用した場合を示す模式図である。
【図5】本発明に係る両面研磨装置の構成を示す断面図である。
【図6】本発明に係る両面研磨装置のサンギア部材を示すものであり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のL−L線による断面図である。
【図7】上定盤、及び下定盤の修正状態の一例を示す模式図である。
【図8】(a)(b)は両面研磨装置における修正キャリアの公転に起因する定盤の修正キャリアに対する相対速度を示す模式図である。
【図9】(a)(b)は両面研磨装置における修正キャリアの自転に起因する定盤の修正キャリアに対する相対速度を示す図である。
【図10】キャリアの外周位置での相対速度を示すものであり、(a)は相対速度を示すグラフ図、(b)はキャリアの位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る両面研磨方法、及び両面研磨装置を図面に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る両面研磨装置の基本的構成について説明する。図1、及び図2は本発明の一実施形態に係る両面研磨装置の基本構成を示すものであり、図1(a)は研磨時の状態を示す断面図、(b)は修正時の状態を示す断面図であり、図2(a)は研磨時の状態を示す平面図、(b)は修正時の状態を示す平面図である。
【0030】
本実施形態に係る両面研磨装置50は、研磨用サンギア111、及び修正用サンギア112を備えたサンギア部材110と、サンギア部材110と同芯状に回転可能に形成され、研磨用サンギア111のピッチ円径Raより大きなピッチ円径を備え、研磨用サンギア111との間に環状領域121を形成したインターナルギア22とを備える。また、両面研磨装置50は、環状領域121に配置された下定盤20と、下定盤20の上方に所定の間隔を隔てて対向配置された上定盤30とを備える。サンギア部材110の研磨用サンギア111はワーク11の研磨時に使用する。また、修正用サンギア112は、下定盤20、及び上定盤30の修正時に使用する。研磨用サンギア111と修正用サンギア112とは、回転軸である中空軸41の上部に同芯状に配置されている。また、研磨用サンギア111のピッチ円径Raは、修正用サンギア112のピッチ円径Rbよりも小さく構成される(Ra<Rb)。
【0031】
中空軸41は、例えば後述するエアシリンダー90により軸方向へ進退駆動され、軸方向へ進退することによりサンギア部材110を軸方向へ進退させる。ワーク研磨時には研磨用サンギア111がインターナルギア22の配置面に配置され(図1(a))、両定盤20、30の修正時には、修正用サンギア112がインターナルギア22の配置面に配置される(同図(b))よう駆動される。各サンギア111、1112が夫々インターナルギア22の配置面に切替え配置されることにより、各サンギアの外周ギア部がインターナルギア22の内周ギア部と対向し、後述するキャリア外周のギア部と噛合可能な位置関係となる。
両面研磨装置50によりワーク11の上下両面の研磨を行うときには、図1(a)、及び図2(a)に示すように、下定盤20と上定盤30との間にワーク11を保持したキャリアである研磨キャリア10を配置し、キャリア外周のギア部を研磨用サンギア111とインターナルギア22に対して同時に噛み合わせる。
【0032】
また、両面研磨装置50により下定盤20、及び上定盤30の研磨面の修正を行うときには、図1(b)、及び図2(b)に示すように、下定盤20と上定盤30との間に修正キャリア120を配置し、その外周ギア部を研磨用サンギア111とインターナルギア22に噛み合わせる。
研磨キャリア10は、ワーク11を保持する複数の基材保持孔としてのワーク保持孔を有するピッチ円形raの円盤状の部材である。また、研磨キャリア10は、ワーク11を研磨することにより得られる研磨上がりのワーク11の厚み目標値よりも薄い板厚で形成される。例えば、研磨キャリア10としては、厚さ80μm以下のSK材(炭素工具鋼鋼材)製の部材が使用される。
【0033】
また、修正キャリア120は、研磨キャリア10のピッチ円径raよりも大径のピッチ円径rbを備える円盤状の部材であり、厚さ寸法も大きいものである。修正キャリア120は厚さ20〜30mm程度の鋳鉄、ステンレス鋼、黄銅などの部材が使用される。また、修正キャリア120は、研磨材を良好に保持する穴部を備える。
下定盤20と上定盤30とは、環状領域121内で反対方向に所定速度で回転駆動される。また、インターナルギア22とサンギア部材110は、所定の方向に所定の速度で回転駆動される。
両面研磨装置50によりワーク11を研磨するとき、サンギア部材110はエアシリンダー90等の駆動源によって持ち上げられ、研磨用サンギア111が環状領域121内に位置決めされる。また所定数の研磨キャリア10が下定盤20と上定盤30との間の環状領域121内に配置される。研磨キャリア10の外周のギア部は、研磨用サンギア111とインターナルギア22とに噛み合わされ、研磨用サンギア111とインターナルギア22との回転により、研磨キャリア10は、遊星歯車として公転、及び自転する。これにより、ワーク11の両面を下定盤20、及び上定盤30で研磨する。
【0034】
また、両面研磨装置50により両定盤20、30の研磨面の修正を行うとき、図1(a)の位置(研磨位置)にあったサンギア部材110は下降され、所定数の修正キャリア120が下定盤20、及び上定盤30の間の環状領域121内に配置され、外周ギア部が修正用サンギア112とインターナルギア22に噛み合わされ、修正用サンギア112とインターナルギア22との回転により、修正キャリア120は、遊星歯車として公転、及び自転する。これにより、下定盤20、及び上定盤30の研磨面を修正キャリア120により修正する。
本実施形態に係る両面研磨装置50では、研磨面の修正時に、研磨用サンギア111のピッチ円径Raよりも小さいピッチ円径Rbの修正用サンギア112を使用すると共に、研磨に使用する研磨キャリア10のピッチ円径raより大径のピッチ円径rbの修正キャリア120を使用する。このため、下定盤20、及び上定盤30には、修正キャリア120の内側部分(図2(b)の斜線部120a)が接触せず、下定盤20、及び上定盤30は、修正キャリア120の外側部分にだけ接触して修正される。
【0035】
次に、修正時における下定盤20、及び上定盤30の修正キャリア120に対する相対速度について説明する。上述のように、下定盤20、及び上定盤30の回転による速度は、内周よりも外周の方が大きく、また、修正キャリア120の公転速度に起因する相対速度を考慮し、下定盤20と上定盤30との速度を逆方向に適正に選ぶ必要がある。また、上述のように、修正キャリア120の自転に起因する相対速度も内周と外周とでは方向が反対となる。このため、下定盤20、及び上定盤30の修正キャリア120の各位置に対する相対速度は、下定盤20の回転、上定盤30の回転、修正キャリア120の公転、修正キャリア120の自転を考慮した式で表される。ここでは、修正キャリア120の周縁の各位置における相対速度を検討する。
【0036】
数値計算の結果、修正キャリア120の周縁の各位置における相対速度は以下のようになる。図3は実施形態に係る両面研磨装置の上下両定盤の修正キャリアに対する相対速度を示すものであり、(a)相対速度を示す表、(b)は相対速度を示すグラフ、(c)は修正キャリアの周縁位置を示す模式図、図4は下定盤と上定盤のキャリアに対する相対速度の差を示す図であり、(a)はキャリアを使用した場合を示す模式図、(b)は修正キャリア1を使用した場合を示す模式図である。
図3に示した値は、
上定盤30:外径380mm、内径130mm、幅中心255mm、回転−10rpm
下定盤20:外径380mm、内径130mm、幅中心255mm、回転30rpm
修正キャリア120:半径70mm、公転10rpm、自転−2.424rpm、周速17.6mm/sec、PCD(ピッチ円直径)139.3mm、Z(歯数)66
修正用サンギア112:回転数13.5rpm、PCD(ピッチ円直径)127mm、Z(歯数)80
インターナルギア22:回転数10rpm、Z(歯数)192、
に基づいて計算したものである。
【0037】
図3(a)、(b)の値は、(c)に示す修正キャリアの外周の0°〜360°における上定盤、及び下定盤の修正キャリアに対する相対速度(mm/min)を示している。
図3(a)、(b)から、修正キャリア120の内側、すなわち180°付近において、下定盤20、及び上定盤30の修正キャリア120に対する相対速度差が大きいことがわかる。すなわち、図4に示すように、下定盤20と上定盤30の修正キャリア120に対する相対速度の差Δv1は、下定盤20と上定盤30の研磨キャリア10に対する相対速度の差Δv0より小さくなる。
実施形態に係る両面研磨装置50では、両定盤20、30の修正時、相対速度の差が大きい修正キャリア120の内側部分(図2(b)の斜線部120a)を下定盤20、及び下定盤20に接触させない。このため、下定盤と上定盤の相対速度のキャリアに対する相対速度の差が小さい領域において修正を行うこととなり、両定盤20、30の修正状態の相違を少なくすることができる。
なお、修正用サンギア112、及び修正キャリア120の大きさ、すなわちピッチ円径は、両定盤20、30の速度、修正用サンギア112、及びインターナルギア22の回転速度等の修正条件により異なるため、一義的に決定することはできない。修正後の両定盤20、30の平面度が予め定めた基準値、例えば0.5μm以下になる各条件を実験等で求める。
【0038】
次に、両面研磨装置50の具体的構成例について説明する。図5は発明の一実施形態に係る両面研磨装置の構成を示す断面図、図6は本実施形態に係る両面研磨装置のサンギア部材を示すものであり、(a)は縦断面図、(b)は(a)中のL−L線に相当する断面図である。
本実施形態において、両面研磨装置50は、研修キャリア10に設けたワーク保持孔内に保持された水晶ウエハー等のワークの両面を研磨する。両面研磨装置50は、サンギア部材110と、インターナルギア22と、下定盤20と、上定盤30とを備え、これらの回転部材110、22、20、30を独立に駆動可能としている。また、両面研磨装置50の上定盤30には、スラリー供給手段の一部としてのスラリー供給部分(図示していない)を備えている。
【0039】
サンギア部材110には、ワーク研磨用の研磨用サンギア111と、この研磨用サンギア111より小径である定盤修正用の修正用サンギア112とが中空軸41の上部に一体に形成されている。すなわち、ワーク研磨時に使用する研磨用サンギア111の下部に修正用サンギア112を同芯状、且つ一体的に配置している。中空軸41の下部には、ギア部40が一体化されている。このギア部40には、中空軸41を上下方向に移動させる回転軸移動手段としてのエアシリンダー90が接続されている。
エアシリンダー90には図示していない制御弁、コンプレッサー等の駆動手段が接続され、エアシリンダー90は、オペレーターの操作により中空軸41を昇降動作させる。これにより、サンギア部材110を上下に移動させて、インターナルギア22と対向する位置に研磨用サンギア111または修正用サンギア112を選択的に配置する。
なお、図5には両面研磨装置50でワーク11の両面研磨を行う状態が示されている。
【0040】
実施形態に係る両面研磨装置50では、ワーク11の研磨時、図1(a)、及び図2(a)に示すように、インターナルギア22が配置された平面に研磨用サンギア111を配置して、研磨用サンギア111とインターナルギア22とにワーク研磨用の研磨キャリア10を配置して各ギア111、22に噛み合わせる。一方、両定盤20、30の修正時、インターナルギア22が配置された平面に修正用サンギア112を配置して、修正用サンギア112とインターナルギア22との間に修正キャリア120を配置し各ギア112、22に噛み合わせる。
中空軸41は、両面研磨装置50の中央を貫通して配置される。中空軸41下部にはギア部40が一体化され、このギア部40を介してサンギア部材110を駆動回転させるサンギア駆動装置46が接続される。サンギア駆動装置46は、例えばモータ、及びそのモータの回転を変速させる変速機を備え、このサンギア駆動装置46に直結されたギア47と上記ギア部40とにチェーン48がかけ回されている。これにより、サンギア駆動装置46の変速機により変速されたモータの回転が、ギア47とチェーン48とを介してギア部40に伝達され、サンギア部材110がサンギア駆動装置46の駆動力に対応した回転速度で回転する。
図6に示すように、中空軸41は、ギア部40が形成された外筒部42と、エアシリンダー90が接続された内筒部43とから構成される。外筒部42と内筒部43は、セレーション部44で接合固定され、外筒部42と内筒部43は一体的に軸方向に移動可能で、かつギア部40の回転を研磨用サンギア111、修正用サンギア112に伝達できる。
【0041】
下定盤20は、サンギア部材110の外側の環状領域の下側に回転自在に取り付けられ、下端部にはギア部60が設けられる。ギア部60は、このギア部60を介して下定盤20を駆動回転させる定盤駆動装置66に接続される。定盤駆動装置66は、サンギア駆動装置46と同様に、モータ、及びモータの回転を変速する変速機を備える。定盤駆動装置66は、定盤駆動装置66直結されたギア67と、チェーン68とを備えている。また定盤駆動装置66は、チェーン68がかけ回されたギア69と、このギア69と共に回転軸69bに固着され、かつ下定盤20のギア部60に噛み合わされたギア69aとを有している。これにより、定盤駆動装置66の変速機により変速されたモータの回転が、ギア67とチェーン68とを介してギア69に伝達される。この結果、ギア69aがギア69と一体に回転し、下定盤20が定盤駆動装置66の駆動力に対応した回転速度で回転する。
インターナルギア22は、下定盤20の外径側に環状領域の外縁を形成して回転自在に取り付けられている。インターナルギア22の下端部にはギア部70が設けられている。ギア部70は、このギア部70を介してインターナルギア22を駆動回転させるインターナルギア駆動装置76に接続されている。インターナルギア駆動装置76は、上記サンギア駆動装置46と同様に、モータ、及びそのモータの回転を変速させる変速機を備える。このインターナルギア駆動装置76に直結されたギア77とインターナルギア22のギア部70とにかけ回されたチェーン78が配置されている。これにより、インターナルギア駆動装置76の変速機により変速されたモータの回転が、ギア77とチェーン78とを介してギア部70に伝達され、インターナルギア22がインターナルギア駆動装置76の駆動力に対応した回転速度で回転するようになっている。
【0042】
一方、上定盤30は、上方に配置された図示しない油圧式または空気圧式のシリンダー39につり下げられており、シリンダー39を操作することにより昇降可能に設けられている。図5では、上定盤30を上昇させて例えば待機位置に待機させた状態を示している。上定盤30は、定盤駆動装置66によって駆動回転させるようにしている。具体的には、サンギア部材110を駆動する中空軸41の中心孔内に軸80が回転自在に挿入され、軸80の上端部に大径の接続部81が取り付けられている。接続部81には図示しない係合部が形成されており、上定盤30を下降させて研磨加工する状態にしたときに、この係合部が上定盤30のフック82と係合する。
【0043】
また、軸80の下端部にはギア部83が設けられ、このギア部83とギア85とにはチェーン84がかけ回されている。このギア85は、定盤駆動装置66の回転軸69bにギア69aと共に固着されている。これにより、定盤駆動装置66を作動させると、ギア85、及びチェーン84を介して、定盤駆動装置66の駆動力がギア部83に伝達され、接続部81に係合された上定盤30が下定盤20と逆方向に回転するようになっている。両面研磨装置50において、下定盤20と上定盤30とは、反対方向に回転され、その回転速度の比は、ギア部83、ギア部83、ギア69a、ギア部60の歯数により定まる。これらの歯数を変更することにより、下定盤20、及び上定盤30の回転速度の比を調整できる。
また、上定盤30には、図示しないスラリー供給装置により、基材の研磨加工面に研磨スラリーを吐出あるいは滴下するスラリー供給部(図示していない)が設けられている。研磨スラリーは、粒子状の例えば人工ダイヤモンドなどの砥粒を水や油などに高濃度で分散させた研磨剤である。スラリー供給部から基材の研磨加工面に供給される研磨スラリーは、上記スラリー供給装置によって研磨加工中に研磨加工面に常時あるいは断続的に所定量供給されるように制御される。
【0044】
両面研磨装置50において、下定盤20上には、1または複数の研磨キャリア10が載置される。研磨キャリア10の外周に設けたギア部は、研磨用サンギア111、及びインターナルギア22に噛み合わされて、遊星歯車として公転、及び自転する。
両面研磨装置50によってワーク11を研磨する際には、エアシリンダー90を駆動して中空軸41を上昇させ、インターナルギア22の配置面に研磨用サンギア111を固定する。そして、ワーク11を保持した複数の研磨キャリア10を、両面研磨装置50の中心部に配置した研磨用サンギア111、及び外周部のインターナルギア22の間に保持させる。また、研磨キャリア10の上下方向に配置されワーク11の両主面を同時に研磨する研磨布(図示せず)がワーク11の対向面に夫々貼付された下定盤20、及び上定盤30によりワーク11の両主面を押し付けるように研磨キャリア10を挟み込む。そして、ワーク11の上方のスラリー供給部分から研磨スラリーを供給しながら下定盤20、及び上定盤30をワーク11に対して相対方向に回転させると同時に、研磨用サンギア111とインターナルギア22とによって研磨キャリア10を自転、及び公転させることで、ワーク11の両主面を同時に研磨する。
なおサンギア部材110、インターナルギア22、下定盤20、及び研磨キャリア10夫々の回転方向を適宜選択することにより、研磨キャリア10の回転方向は自公転比によって異なる場合がある。また、上定盤30を回転させずに固定させた状態で下定盤20、及び研磨キャリア10を回転させても、ワーク11の研磨加工を行うことができる。
【0045】
一方、下定盤20、及び上定盤30の修正を行うとき、エアシリンダー90を駆動して、中空軸41を上方に移動して、修正用サンギア112をインターナルギア22の配置面に位置決め固定する。そして、修正用サンギア112とインターナルギア22との間に修正キャリア120を保持し、下定盤20、及び上定盤30により修正キャリア120を挟み込む。そして、上方のスラリー供給部分から研磨スラリーを供給しながら下定盤20、及び上定盤30を反対方向に回転させると同時に、修正用サンギア112とインターナルギア22とによって修正キャリア120を自転、及び公転させる。これにより、下定盤20、及び上定盤30は修正キャリア120の外側部分、すなわち、下定盤20と上定盤30の修正キャリア120に対する相対速度の差が小さい領域で修正され、下定盤20、及び上定盤30はマッチングがとられた状態で修正される。
なお、前記実施形態では、サンギア部材を進退させる回転軸移動手段として空気圧シリンダーを用いた例を示したが、回転軸移動手段として油圧シリンダーを用いても良いし、ラックとピニオン、ねじ機構などの直動機構と電動機とを備える機構、あるいはねじ機構や倍力機構を備えた手動移動機構を採用することができる。また、中空軸41を厚みの異なる位置調整部材によって異なる上下位置で支持したり、両定盤20、30の修正時に、研磨に使用したサンギアを取り外し、修正用サンギアを交換して取り付けるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0046】
10 研磨キャリア(キャリア)、11 ワーク、20 下定盤、22 インターナルギア、30 上定盤、111 研磨用サンギア、112 修正用サンギア、120 修正キャリア、121 環状領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に配置されたサンギアと、
前記サンギアと同芯に回転可能に配置され、前記サンギアより大きなピッチ円径を備え、前記サンギアとの間に環状領域を形成するインターナルギアと、
前記環状領域内に回転可能に配置された環状の下定盤と、
前記環状領域内であって前記下定盤の上側に回転可能に配置された環状の上定盤と、
前記環状領域内において前記サンギア、及び前記インターナルギアと噛合するギア部を有し、かつ保持したワークが前記上定盤と前記下定盤との間に挟まれるように配置されているキャリアと、
前記下定盤、前記上定盤、前記サンギア、及び前記インターナルギアを夫々予め定めた回転方向、及び速度で回転させ、前記キャリアで保持したワークの両面を前記下定盤、及び前記上定盤で夫々前記ワークを研磨し、
前記ワークの研磨を行った後、前記ワークの研磨に使用した前記サンギアに代えて、前記サンギアのピッチ円径より小さいピッチ円径を備えている修正用サンギアを配置し、
前記修正用サンギアと、前記インターナルギアと前記修正用サンギアとの間に形成される環状領域に前記キャリアのピッチ円径より大きいピッチ円径を有し、且つ前記修正用サンギアと前記インターナルギアに噛み合うギア部を有した修正キャリアを配置し、前記下定盤、前記上定盤、前記サンギア、及び前記インターナルギアを予め定めた回転方向、及び回転速度で回転して、前記下定盤、及び前記上定盤の研磨を行うことを特徴とする両面研磨方法。
【請求項2】
前記下定盤と前記上定盤とは、前記修正キャリアの公転による相対速度を等しくするよう、異なる回転速度で逆方向に駆動されることを特徴とする請求項1に記載の両面研磨方法。
【請求項3】
回転可能に配置されたサンギアと、
前記サンギアと同芯で回転可能に配置され、前記サンギアより大きなピッチ円径を備え、前記サンギアとの間に環状領域を形成するインターナルギアと、
前記環状領域内に回転可能に配置された環状の下定盤と、
前記環状領域内であって、前記下定盤内の上側に回転可能に配置している環状の上定盤と、
前記環状領域内において前記サンギア、及び前記インターナルギアと噛合するギア部を有し、かつ保持したワークが前記上定盤と前記下定盤との間に挟まれるように配置されたているキャリアと、
を備え、
前記下定盤、前記上定盤、前記サンギア、及び前記インターナルギアを夫々予め定めた回転方向、及び速度で回転して、前記キャリアに保持したワークの両面研磨動作を行う両面研磨装置において、
前記下定盤、及び前記上定盤の修正動作を行うに際して前記両面研磨動作における前記サンギアに代えて配置可能であり、前記サンギアよりピッチ円が小さい修正用サンギアを備えていることを特徴とする両面研磨装置。
【請求項4】
前記修正用サンギアと、前記両面研磨動作時に使用するサンギアと、を同一の回転軸に配置すると共に、
前記修正動作時に前記回転軸を軸方向に移動して、前記修正用サンギアを前記両面研磨動作に使用したサンギアの位置に配置する回転軸移動手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の両面研磨装置。
【請求項5】
前記回転軸移動手段は、前記回転軸を軸方向に移動させる流体圧シリンダーを備えていることを特徴とする請求項4に記載の両面研磨装置。
【請求項6】
前記回転軸移動手段は、前記回転軸を軸方向に移動させる電動機を備えていることを特徴とする請求項4に記載の両面研磨装置。
【請求項7】
前記回転軸移動手段は、前記回転軸を軸方向に移動させる手動移動機構を備えていることを特徴とする請求項4に記載の両面研磨装置。
【請求項8】
前記ワークは、水晶ウエハーであることを特徴とする請求項4乃至7の何れか一項に記載の両面研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−107151(P2013−107151A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252347(P2011−252347)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】