説明

両面粘着テープ剥離方法および両面粘着テープ剥離装置

【課題】表面に露出する発泡して接着力を失うとともに、表面に凹凸のある両面粘着テープを半導体ウエハの表面から精度よく剥離除去する両面粘着テープ剥離方法および両面粘着テープ剥離装置を提供する。
【解決手段】両面粘着テープ3を介して支持板の貼り合わされたウエハ1に対して当該両面粘着テープ3を加熱し、支持板側の加熱剥離性の粘着層を発泡膨張させて接着力を失わせて支持板を分離した後、吸引孔33の設けられた剥離ローラ24を両面粘着テープ3に吸引しながら転動させ、ウエハ1から両面粘着テープ3を剥離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハに貼り付けられた両面粘着テープの露出する表面側の粘着層が発泡し、接着力を失うとともに、その表面に凹凸の生じた当該両面粘着テープを剥離する両面粘着テープ剥離方法および両面粘着テープ剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アプリケーションの急速な進歩に伴って半導体ウエハの薄型化が求められている。その厚さは、100μm〜50μm、時には、25μm程度にまで薄くすることが要望されている。このように薄い半導体ウエハは、脆くかつ歪みが生じやすいので、取り扱いが極めて困難である。そこで、例えば、ステンレス鋼またはガラス基板などの強度のある支持板を半導体ウエハの表面側に両面粘着テープを介して貼り合わせて保持し、支持板で裏打ち補強した上で半導体ウエハ裏面にバックグラインド処理を施している。
【0003】
該処理後に少なくとも支持板を加熱し、当該支持板側に接着している両面粘着テープの加熱剥離性の粘着層を発泡膨張させて接着力を失わせることにより、半導体ウエハの表面に両面粘着テープを残しつつ支持板を分離している。
【0004】
その後、半導体ウエハは剥離工程に搬送され、その表面に剥離テープが貼り付けられ、当該剥離テープを剥離することにより両面粘着テープを一体にして半導体ウエハの表面から剥離している(特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−273527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発泡膨張した粘着層の表面には凹凸が生じているので、剥離テープが密着しずらくなっている。したがって、剥離テープの剥離に両面粘着テープが追従しきれず、剥離エラーが生じている。
【0007】
また、加熱されて高温状態にある両面粘着テープに剥離テープを貼り付けると、剥離テープの粘着層が加熱されて軟化してしまう。このように粘着層が軟化された状態では、剥離テープしか剥がれない。
【0008】
したがって、両面粘着テープおよび半導体ウエハを冷却した後に、当該両面粘着テープに剥離テープを貼り付ける必要があるので、支持板分離工程とは個別の冷却工程および剥離工程を設けなければならないといった不都合も生じている。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、発泡して表面に凹凸のある粘着層を有する両面粘着テープを精度よく剥離するとともに、装置構成を小型化することのできる両面粘着テープ剥離方法および両面粘着テープ剥離装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、半導体ウエハに貼り付けられた両面粘着テープを剥離する両面粘着テープ剥離方法であって、
表面に露出する発泡して接着力を失った前記両面粘着テープの粘着層を剥離ローラの転動面に設けられた吸引孔で吸引しつつ、当該剥離ローラを転動させながら前記半導体ウエハの表面から当該両面粘着テープを剥離する剥離過程と、
前記剥離ローラで剥離した両面粘着テープを当該剥離ローラから除去する除去過程と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
(作用・効果) 上記方法によれば、発泡により両面粘着テープの表面の粘着層に凹凸が生じていても、吸引により剥離ローラの転動面に当該粘着層を密着させることができる。したがって、半導体ウエハの表面から両面粘着テープを精度よく剥離することができる。
【0012】
上記方法において、前記両面粘着テープは、加熱剥離性の粘着層を有し、当該粘着層を加熱して発泡させ、加熱状態にある前記両面粘着テープを前記剥離ローラで剥離してもよい。
【0013】
この方法によれば、加熱状態にある両面粘着テープに剥離テープを貼り付けて剥離する場合に生じる剥離エラーを解消することができる。
【0014】
なお、前記除去過程は、以下のいずれの方法であってもよい。
【0015】
例えば、剥離ローラの吸引をエアブローに切り換えて両面粘着テープを剥離ローラから除去する。
【0016】
剥離ローラに吸引されている両面粘着テープに剥離テープを貼り付けて当該両面粘着テープを剥離ローラから除去する。
【0017】
剥離ローラに吸引されている両面粘着テープの端部にエッジ部材を引っ掛けて当該両面粘着テープを剥離ローラから除去する。
【0018】
さらに、剥離ローラの外周に沿ってガイド溝が形成されており、当該ガイド溝にエッジ部材を挿入して両面粘着テープを剥離ローラから除去する。
【0019】
上記いずれの方法であっても、剥離ローラに巻き付いている両面粘着テープを剥離ローラから精度よく除去することができる。
【0020】
なお、上記方法において、剥離ローラは、表面が弾性体で被覆されていることが好ましい。
【0021】
すなわち、粘着層の表面に形成された凹凸を弾性体が吸収して剥離ローラを当該粘着層に密着させることができる。したがって、剥離ローラによる吸引時のリークを抑制することができ、半導体ウエハの表面から剥離テープをより確実に剥離することができる。
【0022】
また、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0023】
すなわち、半導体ウエハに貼り付けられた両面粘着テープを剥離する両面粘着テープ剥離装置であって、
前記半導体ウエハを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに保持された半導体ウエハ上で露出する発泡して接着力を失った前記両面粘着テープの粘着層を剥離ローラの転動面に設けられた吸引孔で吸引しつつ、当該両面粘着テープを半導体ウエハから剥離するテープ剥離機構と、
剥離した前記両面粘着テープを剥離ローラから除去するテープ除去機構と、
前記剥離ローラから除去した両面粘着テープを回収するテープ回収部と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
(作用・効果) この構成によれば、発泡して接着力を失うとともに、表面に凹凸を有する両面粘着テープの粘着層を剥離ローラで吸引することにより、両面粘着テープを剥離ローラに吸着させて当該両面粘着テープを半導体ウエハから精度よく剥離することができる。すなわち、上記方法発明を好適に実施することができる。
【0025】
また、上記構成において、前記半導体ウエハは、加熱剥離性の粘着層を有する両面粘着テープを介して支持板と貼り合わされており、
前記保持テーブルは、支持板付きの半導体ウエハを保持し、
前記保持テーブルに保持された半導体ウエハ上の支持板に加熱プレートを当接させて加熱し、当該加熱により粘着層を発泡させて接着力を失った両面粘着テープから当該支持板を分離する分離機構を備え、
前記剥離機構は、前記保持テーブル上で支持板を分離されて加熱状態にある半導体ウエハから両面粘着テープを剥離するように構成してもよい。
【0026】
この構成によれば、剥離テープを利用して剥離することのできない加熱状態の両面粘着テープを剥離ローラで吸引して確実に剥離することができる。
【0027】
上記構成において、前記剥離ローラは、少なくとも両面粘着テープの剥離開始端を吸引する位置に吸引孔が形成されており、
前記両面粘着テープの剥離開始端を検出する検出器と、
前記検出器による検出結果に基づいて、前記吸引孔を剥離開始端に位置合わせするよう剥離ローラを移動制御する制御部と、
を備えていてもよい。
【0028】
この構成によれば、両面粘着テープの剥離開始端を剥離ローラで吸引し、剥離開始端を吸引して剥離することにより、剥離起点が作成される。したがって、剥離ローラの転動に伴って、剥離テープを当該ローラに巻き付けながら剥離することができる。
【0029】
特に、加熱状態にある両面粘着テープは、当該両面粘着テープよりも温度の低い剥離ローラが接触することにより冷却される。つまり、冷却により接触面側が先に収縮して上向きにカールするので、両面粘着テープを剥離ローラに巻き付かせることができる。したがって、剥離開始端だけを吸引するだけでも両面粘着テープを半導体ウエハから剥離することができる。
【0030】
なお、上記構成において、テープ除去機構は、次のように構成してもよい。
【0031】
例えば、剥離ローラと連通接続された吸引装置を正圧に切り換え制御して構成する。
【0032】
剥離ローラに吸引されている両面粘着テープに剥離テープを貼り付けて剥離する剥離テープ貼付機構を設ける。
【0033】
剥離ローラに吸引されている両面粘着テープの端部に先端を引っ掛けて当該両面粘着テープを剥離ローラから除去するエッジ部材を設ける。この構成の場合、エッジ部材の先端を剥離ローラと両面粘着テープとの間に挿入するガイド溝を剥離ローラの外周に形成することが好ましい。
【0034】
上記構成によれば、剥離ローラに巻き付いている両面粘着テープを確実に除去することができる。
【0035】
なお、上記構成において、剥離ローラは、弾性体で被覆されていることが好ましい。
【0036】
この構成によれば、粘着層の表面に形成された凹凸を弾性体が吸収して剥離ローラを当該粘着層に密着させることができる。したがって、剥離ローラによる吸引時のリークを抑制することができ、半導体ウエハの表面から剥離テープをより確実に剥離することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の両面粘着テープ剥離方法および両面粘着テープ剥離装置によれば、発泡して表面に凹凸のある粘着層を有する両面粘着テープを半導体ウエハの表面から精度よく剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】両面粘着テープ剥離装置の平面図である。
【図2】両面粘着テープ剥離装置の正面図である。
【図3】両面粘着テープ剥離装置の側面図である。
【図4】半導体ウエハに支持板を貼合せたワークの側面図である。
【図5】剥離ローラの断面図である。
【図6】剥離ローラの斜視図である。
【図7】支持板の分離動作を示す説明図である。
【図8】支持板の分離動作を示す説明図である。
【図9】両面粘着テープの剥離動作を示す説明図である。
【図10】両面粘着テープの剥離動作を示す説明図である。
【図11】両面粘着テープの剥離動作を示す説明図である。
【図12】変形例装置の正面図である。
【図13】変形例装置の側面図である。
【図14】変形例装置の両面粘着テープの除去動作を示す説明図である。
【図15】変形例装置の両面粘着テープの除去動作を示す説明図である。
【図16】テープ除去機構の変形例を示す図である。
【図17】テープ除去機構の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0040】
図4に、ステンレス鋼、ガラス基板またはシリコン基板からなる支持板2が、半導体ウエハ1(以下、適宜「ウエハ1」という)の素子形成面(表面)に両面粘着テープ3を介して貼り合せたワークWが示されている。したがって、支持板2で裏打ち補強した状態のウエハ1の裏面が、バックグラインド行程において所望厚さに研削加工される。その後、薄く研削されたウエハ1は、その表面に両面粘着テープ3を残して支持板2が分離される。さらに、ウエハ1は、その表面から両面粘着テープ3が剥離除去されることになる。
【0041】
ここで、両面粘着テープ3は、テープ基材3aの両面に、加熱することで発泡膨張して接着力を失う加熱剥離性の粘着層3bと、紫外線の照射によって硬化して接着力が低下する紫外線硬化型または非紫外線硬化型の感圧性の粘着層3cを備えて構成されたものである。つまり、この両面粘着テープ3の粘着層3bに支持板2が貼り付けられるとともに、粘着層3cにウエハ1は貼付けられている。
【0042】
次に、バックグラインド処理を経たワークWからウエハ1および支持板2を分離し、ウエハ1から両面粘着テープ3を剥離する両面粘着テープ剥離装置を、図1ないし図3に基づいて説明する。
【0043】
図1は本発明に係る両面粘着テープ剥離装置を示す平面図、図2はその正面図、図3はその側面図である。
【0044】
この両面粘着テープ剥離装置は、ワークWを載置保持する保持テーブル4と、保持テーブル4上のワークWから支持板2を分離する支持板分離機構5と、支持板2が分離されたウエハ1から両面粘着テープ3を剥離除去するテープ剥離機構6と、剥離除去した両面粘着テープ3を回収するテープ回収部7を備えている。
【0045】
保持テーブル4は、金属製のチャックテーブルであり、流路を介して外部の真空装置と連通接続されている。つまり、保持テーブル4上に載置したワークWを吸着保持するように構成されている。また、保持テーブル4は、図2に示すように、上面が真空吸着面に構成された吸着パッド10が出退昇降可能に装備されるとともに、内部にヒータが内蔵されている。また、保持テーブル4は、シリンダ11によって昇降するよう構成されている。なお、保持テーブル4は、金属製に限定されず、セラミックの多孔質で形成されたものであってもよい。
【0046】
支持板分離機構5は、図3に示すように、縦壁12の背部に縦向きに配置されたレール13に沿って昇降可能な可動台14、この可動台14に高さ調節可能に支持された可動枠15、この可動枠15から前方に向けて延出されたアーム16の先端部に装着された吸着プレート17などを備えている。可動台14は、ネジ軸18をモータ19によって正逆転することでねじ送り昇降される。また、吸着プレート17の下面は真空吸着面に構成されるとともに、当該吸着プレート内部にはヒータ20が内蔵されている。
【0047】
テープ剥離機構6は、図1ないし図3に示すように、レール21に沿って前後にスライド移動可能な可動台22から下向きに延出された支持フレーム23を介して剥離ローラ24が装着されている。
【0048】
可動台22は、モータ25で正逆転駆動されるネジ軸26によって前後水平に独立してねじ送り移動させるよう構成されている。
【0049】
剥離ローラ24は、図5に示すように、中空の回転軸27に装着されたプーリ28とモータ29の駆動軸に装着された駆動プーリ30とに張架された無端ベルト31によって自転可能に構成されている。また、剥離ローラ24は、回転軸27に沿って形成された流路32とローラ表面に向けて貫通する吸引孔33と連通されている。流路32は、剥離ローラ24の取り付け基端側のコネクタを介して外部に配備された吸引装置34に連通接続されている。なお、剥離ローラ24は、弾性体9で被覆されている。
【0050】
吸引孔33は、図6に示すように、両面粘着テープ3の剥離開始端の部分と剥離終了端に対応する位置に形成されている。剥離開始端側の吸引孔33は、テープ外周の円弧に沿った複数個の長孔に形成されている。剥離終了端側の吸引孔33は、1個の長孔が形成されている。なお、吸引孔33の形状および個数は、両面粘着テープ3の大きさや形状に応じて適宜に変更される。
【0051】
回転軸27に装着されたプーリ28の外側の鍔部には、剥離ローラ24の回転角を検出するエンコーダ35が配備されている。
【0052】
図1ないし図3に戻り、レール21には、剥離ローラ24の待機位置および剥離開始位置を検知させるリミットセンサ36が当該レールの前後にそれぞれ配備されている。なお、リミットセンサ36は、本発明の検出器に相当する。
【0053】
エンコーダ35およびリミットセンサ33の検知信号は、制御部37に送信される。つまり、制御部37は、これら検知信号に基づいて、駆動機構である各モータやシリンダなどを駆動制御している。
【0054】
テープ回収部7は、剥離ローラ24の下方に配備された回収ボックスとして構成されている。
【0055】
次に、上記実施例装置を用いてウエハ1から支持板2を分離するとともに、支持板2の剥離されたウエハ1から両面粘着テープ3を剥離および除去する動作について説明する。
【0056】
先ず、図示しない搬送ロボットが、支持板2の表面から吸着保持されたワークWを保持テーブル4上に搬送する。
【0057】
保持テーブル4上に搬入されたワークWは、ウエハ1側からテーブル上に突出している吸着パッド10に一旦受け取られた後、吸着パッド10の下降に伴って保持テーブル4の上面に所定の姿勢および位置で載置される。さらに、ワークWは、保持テーブル4の外周に配備された位置決め機構によって外周から把持されて位置合わされる。その後に保持テーブル4に吸着保持される。このとき、保持テーブル4は、ヒータによって加温されているとともに、貼付位置より僅かに下の待機位置にある。
【0058】
次に、図7に示すように、支持板分離機構5の吸着プレート17がワークWの上面に接触するまで下降され、内蔵されたヒータ20によってワークWを加熱する。吸着プレート17による加熱と保持テーブル4の加温とによって両面粘着テープ3における加熱剥離性の粘着層3bが発泡膨張して接着力を失う。
【0059】
所定時間の加熱が完了すると、図8に示すように、支持板2を吸着保持した状態で吸着プレート17を上昇させる。このとき、接着力を失った粘着層3bが支持板2の下面から離され、支持板2だけが上昇させられる。その後、分離した支持板2を、搬送ロボットの保持アームで吸着して受け取り、外部に搬送する。
【0060】
支持板分離処理の済んだ保持テーブル4上には、発泡して接着力を失うとともに、その表面に凹凸が生じた粘着層3bが露出した両面粘着テープ3の残されたウエハ1が保持されている。この状態で、図9に示すように、テープ剥離機構6を作動させて剥離ローラ24を待機位置から剥離開始位置に移動させる。
【0061】
剥離ローラ24の移動に伴って、エンコーダ35で剥離ローラ24の回転角を検知するとともに、リミットセンサ36で剥離ローラ24の位置を検知する。すなわち、これら検知結果が制御部37に送信される。制御部37は、剥離ローラ24を剥離開始端で停止させるとともに、両面粘着テープ3の剥離開始端を吸引するよう剥離ローラ24を自転させて吸引孔33を下向きに位置調整する。
【0062】
剥離開始位置での剥離ローラ24の位置調整などが完了すると、図10に示すように、シリンダ11を作動させて保持テーブル4を上昇させ、剥離ローラ24に両面粘着テープ3を適度に押圧する。同時に、図11に示すように、剥離ローラ24から両面粘着テープ3を吸引しつつ、剥離ローラ24を剥離終了端に向けて移動させながら両面粘着テープ3をローラに巻き付けて剥離する。
【0063】
剥離終了端を超えて待機位置に剥離ローラ24が到達すると、吸引装置34を正圧に切り換え、吸引孔33からエアーを吹き出して剥離ローラ24に巻き付いている両面粘着テープ3をテープ回収部7の回収ボックスに回収させる。つまり、吸引装置34の正圧切換による剥離ローラ24からの両面粘着テープ3の除去は、本発明の除去機構として機能している。
【0064】
同時に保持テーブル4は、下降して待機位置に戻る。ウエハ1は、吸着パッド10により上昇され、裏面から搬送ロボットによって吸着されて搬出される。なお、ウエハ1の搬出は、ベルヌーイチャックを利用してもよい。
【0065】
以上で一巡の動作が終了し、以後同じ動作が繰り返される。
【0066】
上記実施例装置によれば、発泡して接着力を失うとともに、その表面に凹凸を有する粘着層3bが露出した両面粘着テープ3であっても、剥離ローラ24によって端部から吸引することにより、当該剥離ローラ24に両面粘着テープ3を密着させてウエハ1から精度よく剥離することができる。
【0067】
また、加熱されて高温状態にある両面粘着テープ3であっても、冷却することなくウエハ1から剥離することができる。すなわち、支持体分離工程に個別の冷却機構および剥離テープを利用した複雑な剥離機構を設ける必要がないので、装置を小型化できる。さらに、剥離テープを使用する必要がないので廃棄物を減少させることもできる。
【0068】
なお、本発明は以下のような形態で実施することも可能である。
【0069】
(1)上記実施例装置において、剥離後に剥離ローラ24に巻き付いた両面粘着テープ3に剥離テープを貼り付けて剥離するように構成してもよい。つまり、個別のテープ除去機構を設ける構成であってもよい。
【0070】
図12および図13に示すように、テープ除去機構40は、剥離テープTの原反ロールを装填するテープ供給部41と、剥離ローラ24に巻き付いている両面粘着テープ3に剥離テープTを貼り付けるテープ貼付ユニット42と、両面粘着テープ3を剥離した剥離テープTを巻き取り回収する剥離テープ回収部43とから構成されている。なお、テープ除去機構40は、本発明の除去機構に相当する。
【0071】
テープ供給部41は、剥離テープTの原反ロールを装填する回転軸44と、回転軸44の基端側に連結された遊転プーリ45とモータ46の先端に連結された駆動プーリに張架する無端ベルト48を備えている。つまり、モータ46の回転によって、回転軸44に装填された原反ロールから繰り出した剥離テープTを、ガイドローラGを介して90°反転させてテープ貼付ユニット42に導くように構成されている。なお、剥離テープTは、両面粘着テープ3の直径よりも幅狭(例えば、5mm)のものをボビンに糸巻き状に巻回されている。
【0072】
テープ貼付ユニット42は、図14および図15に示すように、揺動可能な支持アーム49の先端に所定ピッチをおいて2個の貼付ローラ50が備えている。支持アーム49は、シリンダ51によってテープ貼付位置と待機位置とにわたって昇降する。
【0073】
図12および図13に戻り、テープ回収部43は、剥離後の両面粘着テープ3と一体となった剥離テープTを巻き取るボビンを装填する回転軸52と、回転軸52の基端側に連結された遊転プーリとモータ54の先端に連結された駆動プーリに張架する無端ベルトを備えている。つまり、モータ54の回転によって、剥離テープTをボビンに巻き取り回収する。このテープ回収部43の回転軸52は、テープ供給部41の回転軸44に対して90°回転させた状態で配備されている。
【0074】
なお、剥離部位から剥離テープ回収部43までの間に、駆動ローラ57とガイドローラ58で剥離テープTを繰り出す繰り出しローラと、テープ弛みを吸収する揺動ローラ59とが配備されている。
【0075】
次に、両面粘着テープ剥離装置に備わった当該テープ除去機構40の動作について図14および図15を参照して説明する。
【0076】
両面粘着テープ3を剥離して巻き付けた剥離ローラ24が待機位置に到達すると、エンコーダ35からの回転位置情報に基づいて、剥離ローラ24を回転させて貼り付け位置の調整を行う。つまり、図14に示すように、揺動アーム60が揺動下降したとき、剥離開始端70が真下に向くよう剥離ローラ24が回転される。
【0077】
位置が定まると、揺動アーム60によって支持された剥離ローラ24を揺動下降させるととも、シリンダ51を作動させて支持アーム49を揺動上昇させることにより、図15に示すように、支持アーム49先端の2個の貼付ローラ50に跨っている剥離テープTが、両面粘着テープ3の端部に押圧されて貼り付けられる。この状態で、剥離ローラ24を回転させるとともに、各モータ46、54、および駆動ローラ57を巻き取り方向に回転させて剥離テープTを両面粘着テープ3に貼り付けながら剥離ローラ24から除去する。
【0078】
剥離ローラ24から両面粘着テープ3の除去が完了すると、剥離テープTの繰り出しおよび巻き取りを停止し、剥離ローラ24および貼付ローラのそれぞれを元の位置に戻す。以上で一連の動作が完了する。
【0079】
この構成によれば、加熱状態で剥離されたときに両面粘着テープ3の特性または剥離ローラ24が接触したときの表面と下面との温度差によって両面粘着テープ3が上向きにカールして剥離ローラ24に巻き付いたとしても、剥離ローラ24から両面粘着テープ3を確実に除去することができる。
【0080】
(2)また、テープ除去機構として、エッジ部材を利用して構成してもよい。例えば、図16に示すように、剥離ローラ24に巻き付いている両面粘着テープ3の端部にエッジ部材61を引っ掛けた状態で剥離ローラ24を回転させて除去してゆく。この構成を実現する場合、上記変形例のテープ貼付ユニット42の支持アーム49先端の貼付ローラ50をエッジ部材61に装着変更することにより可能となる。
【0081】
また、図17に示すように、剥離ローラ24の外周に沿ってガイド溝62を形成し、当該ガイド溝62にエッジ部材61を走行させるよう構成してもよい。この構成によれば、剥離ローラ24から両面粘着テープ3をより確実に除去することができる。このガイド溝62の本数は、特に限定されない。例えば、剥離開始端となる一か所に設けてもよいし、所定ピッチで複数本を設けてもよい。
【0082】
なお、エッジ部材61を利用した上記2実施形態のテープ除去機構も本発明の除去機構に相当する。
【0083】
(3)上記実施例装置では、保持テーブル4を昇降させて剥離ローラ24に両面粘着テープ3を押圧していたが、保持テーブル4を固定し、剥離ローラ24を昇降駆動可能に構成してもよい。
【0084】
(4)上記実施例装置では、保持テーブル4を加温させない構成であってもよい。
【0085】
(5)上記実施例装置では、加熱剥離性の粘着層3bを有する両面粘着テープ3を利用していたが、接着力を失いつつ発泡または支持板2の剥離により表面に凹凸を有するテープであれば利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 … 半導体ウエハ
3 … 両面粘着テープ
4 … 保持テーブル
5 … 支持板分離機構
6 … テープ剥離機構
7 … テープ回収部
24 … 剥離ローラ
W … ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハに貼り付けられた両面粘着テープを剥離する両面粘着テープ剥離方法であって、
表面に露出する発泡して接着力を失った前記両面粘着テープの粘着層を剥離ローラの転動面に設けられた吸引孔で吸引しつつ、当該剥離ローラを転動させながら前記半導体ウエハの表面から当該両面粘着テープを剥離する剥離過程と、
前記剥離ローラで剥離した両面粘着テープを当該剥離ローラから除去する除去過程と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープ剥離方法において、
前記両面粘着テープは、加熱剥離性の粘着層を有し、
前記剥離過程は、前記粘着層を加熱して発泡させ、加熱状態にある前記両面粘着テープを前記剥離ローラで剥離する
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ剥離方法において、
前記除去過程は、剥離ローラの吸引をエアブローに切り換えて両面粘着テープを剥離ローラから除去する
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ剥離方法において、
前記除去過程は、剥離ローラに吸引されている両面粘着テープに剥離テープを貼り付けて当該両面粘着テープを剥離ローラから除去する
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ剥離方法において、
前記除去過程において、前記剥離ローラに吸引されている両面粘着テープの端部にエッジ部材を引っ掛けて当該両面粘着テープを剥離ローラから除去する
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の両面粘着テープ剥離方法において、
前記除去過程において、前記剥離ローラの外周に沿ってガイド溝が形成されており、
当該ガイド溝にエッジ部材を挿入して両面粘着テープを剥離ローラから除去する
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の両面粘着テープ剥離方法において、
前記剥離ローラは、表面が弾性体で被覆されている
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離方法。
【請求項8】
半導体ウエハに貼り付けられた両面粘着テープを剥離する両面粘着テープ剥離装置であって、
前記半導体ウエハを保持する保持テーブルと、
前記保持テーブルに保持された半導体ウエハ上で露出する発泡して接着力を失った前記両面粘着テープの粘着層を剥離ローラの転動面に設けられた吸引孔で吸引しつつ、当該両面粘着テープを半導体ウエハから剥離する剥離機構と、
剥離した前記両面粘着テープを剥離ローラから除去する除去機構と、
前記剥離ローラから除去した両面粘着テープを回収するテープ回収部と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項9】
請求項8に記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記半導体ウエハは、加熱剥離性の粘着層を有する両面粘着テープを介して支持板と貼り合わされており、
前記保持テーブルは、支持板付きの半導体ウエハを保持し、
前記保持テーブルに保持された半導体ウエハ上の支持板に加熱プレートを当接させて加熱し、当該加熱により粘着層を発泡させて接着力を失った両面粘着テープから当該支持板を分離する分離機構を備え、
前記剥離機構は、前記保持テーブル上で支持板を分離されて加熱状態にある半導体ウエハから両面粘着テープを剥離するように構成した
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記剥離ローラは、少なくとも両面粘着テープの剥離開始端を吸引する位置に吸引孔が形成されており、
前記両面粘着テープの剥離開始端を検出する検出器と、
前記検出器による検出結果に基づいて、前記吸引孔を剥離開始端に位置合わせするよう剥離ローラを移動制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項11】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記除去機構は、剥離ローラと連通接続された吸引装置を正圧に切り換え制御して構成した
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項12】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記除去機構は、剥離ローラに吸引されている両面粘着テープに剥離テープを貼り付けて剥離する剥離テープ貼付機構である
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項13】
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記除去機構は、前記剥離ローラに吸引されている両面粘着テープの端部に先端を引っ掛けて当該両面粘着テープを剥離ローラから除去するエッジ部材である
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項14】
請求項13に記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記剥離ローラは、前記エッジ部材の先端を当該剥離ローラと両面粘着テープとの間に挿入するガイド溝が外周に形成されている
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。
【請求項15】
請求項8ないし請求項14のいずれかに記載の両面粘着テープ剥離装置において、
前記剥離ローラは、弾性体で被覆されている
ことを特徴とする両面粘着テープ剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−69768(P2012−69768A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213781(P2010−213781)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(394016601)日東精機株式会社 (79)
【Fターム(参考)】