説明

中空糸、中空糸形成用ドープ溶液組成物、およびそれを用いた中空糸の製造方法

中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する中空糸を提供する。前記中空糸は、ポリアミック酸から誘導される高分子を含み、前記ポリアミック酸は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンヒドリドから製造された繰り返し単位を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸、中空糸形成用ドープ溶液組成物、およびそれを用いた中空糸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分離膜を商用化して産業に適用するためには、優れた熱的、化学的、機械的安定性、ならびに高い透過性および高い選択性を有さなければならない。このとき、透過性は透過物質が分離膜を通して透過して出る速度であり、選択性は互いに異なる二つの成分間の透過速度の比と定義される。
【0003】
分離膜は、分離性能により逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、気体分離膜等に分類することができ、形態により平膜と中空糸膜に大きく分けることができる。その中で、非対称中空糸膜は、単位体積当たりの膜の面積が最も高く、気体分離のための分離膜として多く利用されている。
【0004】
気体混合物中の種々の気体成分から特定気体成分を分離する工程は大変重要である。このような気体に対する分離工程には、膜分離法(membrane process)だけでなく、圧力可変式吸着法(pressure swing adsorption process)、および深冷法(cryogenic process)等が用いられている。このような分離工程の中で、圧力可変式吸着法と深冷法は、その工程に対する設計および運転法等が既に開発されて、現在、幅広く使用されている普遍化された技術であるが、膜分離法を利用した気体分離は、その歴史が相対的に短い。
【0005】
膜分離法に利用される気体分離膜は、種々の気体、例えば、水素、ヘリウム、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、アンモニア、硫化合物、メタン、エタン、エチレン、プロパン、フロピレン、ブタン、ブチレンのような軽い炭化水素気体等を分離、濃縮するために使用される。気体分離が適用可能な分野は、空気中の酸素または窒素の分離、圧縮空気中の水分除去等の色々な分野がある。
【0006】
膜を利用した気体分離の原理は、膜を透過する2つ以上の気体混合物中の各成分の透過性の差による。これは、溶解−拡散過程を経るが、気体混合物は膜の一側面と接触して、気体成分のうちの少なくとも1つの成分が選択的に溶解される。膜の内部では選択的拡散過程が進められ、これによって透過する気体成分は気体混合物のうちの少なくとも1つ以上の気体成分よりさらに速く通過するようになる。相対的に透過性の低い気体成分は、気体混合物のうちの少なくとも1つ以上の成分よりさらに遅く膜を透過する。このような原理により、気体混合物は、選択的に透過した気体が多い流れと、透過できない気体成分が多い流れの2つに分離される。したがって、気体混合物を適切に分離するためには、特定の気体成分に対して高い透過性および選択性を有する膜形成物質を選択して、十分な透過性能を示すことができる構造で制御する技術が必要である。
【0007】
このような膜分離法によって選択的に気体を分離、濃縮するために、一般の分離膜の構造は、膜表面の緻密な選択分離層と、膜下部に最小の透過抵抗を有する多孔性支持体とからなる非対称構造を有しなければならない。膜の特性である選択性は、選択分離層の構造によって決定され、透過性は、前記選択分離層の厚さおよび非対称膜の下部構造である多孔性支持体の多孔性の程度による。また、混合気体を選択的に分離するためには、分離層の表面に欠陥がなく、気孔の大きさが1nm以下、すなわち、ピコ単位でなければならない。
【0008】
高分子膜を用いた気体分離工程は、1977年、Monsanto社でPrismという商品名の気体分離膜モジュールを用いたシステムを開発して最初に商用化するに至り、これは既存の工法に比べ、エネルギー消費と設備投資が少ないことで、毎年、気体分離市場で占める規模が日毎に増加している。
【0009】
米国特許第3,133,132号に非対称性構造を有するセルロースアセテート半透膜が開発された以来、高分子膜に対する研究が多く行われており、相転移法(phase inversion method)を応用して多様な高分子を中空糸として製造している。
【0010】
一般に、非対称中空糸膜を相転移法で製造する過程は、湿式紡糸法または乾・湿式紡糸法がある。代表的な乾・湿式紡糸法による中空糸製造工程は、(1)高分子ドープ溶液の中空糸紡糸段階、(2)大気との接触による揮発性成分の蒸発段階、(3)凝固槽への沈澱段階、(4)洗浄、乾燥等の後処理工程段階の4段階に区分できる。
【0011】
現在まで気体分離用中空糸膜の素材として幅広く利用されるものは、主に有機高分子材料としてポリスルホン(polysulfone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリピロロン(polypyrrolone)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、およびポリイミド(polyimide)等がある。このような多様な気体分離用高分子材料の中で、高い化学的、熱的安定性を有するポリイミド膜から特定のガス種に対する高い透過性および選択性を付与するために、多様な努力が行われてきた。しかし、一般的な高分子膜の場合、透過性と選択性が互いに反比例する傾向を示す。
【0012】
一例として、米国特許第4,880,442号には、非硬直性無水物を利用して、高分子鎖に高い自由体積度を付与し、透過性能を向上させたポリイミド膜が開示されている。また、米国特許第4,717,393号には、架橋ポリイミドを用いて、既存のポリイミド気体分離膜に比べて高いガス選択性と高い安定性を有するポリイミド膜が開示されている。また、米国特許第4,851,505号および第4,912,197号には、一般的な凡庸溶媒に優れた溶解性を有して、工程上で発生する高分子加工の困難を減らしたポリイミド気体分離膜が開示されている。また、国際公開第2005/007277号には、ポリイミドとポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン、およびこれらの混合物からなる群より選択された一種の高分子を含む欠陥のない非対称膜を提案している。
【0013】
しかし、気体分離において、商業的に利用可能な膜の性能(空気分離の場合、酸素透過性は1バーレル(barrer)以上、酸素/窒素選択性は6.0以上)を有する高分子材料は、非常に少数に局限されている。その理由は、高分子の構造を改善することに相当な制約があり、透過性と選択性との間に強い相関関係が成立して、ある上限線以上の分離および透過性能を有するのが難しいためである。
【0014】
また、既存の高分子膜素材は、その透過および分離特性において非常に制約的であり、このような高分子膜は、高圧および高温工程や炭化水素、芳香族、および極性溶媒を含む気体混合物に長期間露出すれば、分解されるか、または劣化(aging)して、初期の膜性能が顕著に減少する短所がある。このような問題点のために、気体分離工程の高い経済的な価値にもかかわらず、その応用が今のところは非常に制限的な水準に止まっている。
【0015】
したがって、高い透過性と高い選択性とを同時に満足させることができる高分子素材と、このような素材を利用した新たな気体分離膜の開発が切実に要求されている。
【0016】
このような要求に応じて、高いガス透過性および選択性を有して、所定の大きさの気孔を有する理想的な構造に高分子を改質するための多くの研究が行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3,133,132号明細書
【特許文献2】米国特許第4,880,442号明細書
【特許文献3】米国特許第4,717,393号明細書
【特許文献4】米国特許第4,851,505号明細書
【特許文献5】米国特許第4,912,197号明細書
【特許文献6】国際公開第2005/007277号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の一具現例は、気体の透過性と選択性とに優れた中空糸を提供することを目的とする。
また、本発明の他の一具現例は、前記中空糸を製造するための中空糸形成用ドープ溶液組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明のまた他の一具現例は、前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を利用する中空糸の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一具現例は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する中空糸を提供する。前記中空糸は、ポリアミック酸から誘導される高分子を含み、前記ポリアミック酸は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンヒドリドから製造された繰り返し単位を含む。
【0020】
前記中空糸は、表面部にピコ気孔からなる緻密層を含むことができ、前記緻密層は、表面に近いほどピコ気孔の数が多くなる構造に形成することができる。
2つ以上の前記ピコ気孔が三次元的に連結されて形成された三次元ネットワーク構造は、連結部位が狭い溝を形成する砂時計形状(hourglass shaped)の構造とすることができる。
【0021】
前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHを含む。
【0022】
前記ポリアミック酸から誘導される高分子は0.15〜0.40の自由体積度(fractional free volume、FFV)を有することができ、X−線回折装置(X-Ray Diffractometer、XRD)で測定した面間距離(d-spacing)が580pm〜800pmの範囲にあることができる。
また、前記ポリアミック酸から誘導される高分子はピコ気孔を含み、前記ピコ気孔は、陽電子消滅時間分光分析(positron annihilation lifetime spectroscopy、PALS)測定による半値全幅(full width at half maximum、FWHM)が10pm〜40pmの範囲にある気孔分布を有する。
また、前記ポリアミック酸から誘導される高分子は、100〜1,000m/gのBET表面積を有することができる。
【0023】
前記ポリアミック酸は、下記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸、下記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択できる。
【0024】
【化1】

【0025】
上記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合(fused)されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基はC1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。
【0026】
前記高分子は、下記化学式19〜化学式32のいずれか一つで示される高分子またはこれらの共重合体を含むことができる。
【0027】
【化2−1】

【化2−2】

【0028】
上記化学式19〜化学式32において、
Ar、Ar、Q、n、m、およびlは、それぞれ上記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、n、m、およびlで説明したものと同一であり、
Ar’は、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Y”は、OまたはSである。
【0029】
前記中空糸は、He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する気体分離膜として使用することができる。
【0030】
前記中空糸のO/N選択性が4以上であり、CO/CH選択性が30以上であり、H/N選択性が30以上であり、H/CH選択性が50以上であり、CO/N選択性が20以上であり、He/N選択性が40以上である。より具体的に、O/N選択性が4〜20であり、CO/CH選択性が30〜80であり、H/N選択性が30〜80であり、H/CH選択性が50〜90であり、CO/N選択性が20〜50であり、He/N選択性が40〜120である。
【0031】
本発明の他の一具現例は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンとジアンヒドリドから製造された繰り返し単位を有するポリアミック酸、有機溶媒、および添加剤を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物を提供する。
前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N、N−ジメチルホルムアミド;N、N−ジメチルアセトアミド;メタノール、エタノール、2−メチル−1−ブタノール、および2−メチル−2−ブタノールからなる群より選択されたアルコール;γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、アセトン、およびメチルエチルケトンからなる群より選択されたケトン;テトラヒドロフラン;トリクロロエタン;並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択できる。
前記添加剤は、水;グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびジエチレングリコールからなる群より選択されたアルコール;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサン、キチン、デキストラン、およびポリビニルピロリドンからなる群より選択された高分子化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リチウムアセテート、硫酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群より選択された塩;並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択することができる。
【0032】
前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHを含む。
【0033】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、前記ポリアミック酸10〜45重量%、前記有機溶媒25〜70重量%、および前記添加剤5〜40重量%を含むことができる。
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、粘度を2Pa・s〜200Pa・sとすることができる。
【0034】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、前記ポリアミック酸は重量平均分子量(Mw)を10,000〜200,000とすることができる。
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、前記ポリアミック酸は、上記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸、上記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択することができる。
【0035】
本発明のまた他の一具現例は、前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリアミック酸系中空糸を製造する段階、前記ポリアミック酸系中空糸をイミド化して、ポリイミド系中空糸を得る段階、および前記ポリイミド系中空糸を熱処理して得られる再配列された高分子を含む中空糸を得る段階を含む中空糸の製造方法を提供する。前記中空糸は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する。
【0036】
前記再配列された高分子は、上記化学式19〜化学式32のいずれか一つで示される高分子またはこれらの共重合体を含むことができる。
【0037】
前記ポリイミド系中空糸は、下記化学式33〜化学式40で示されるポリイミド、これらの共重合体およびこれらのブレンドからなる群より選択された一種を含むことができる。
【0038】
【化3】

【0039】
上記化学式33〜化学式40において、
Ar、Ar、Q、Y、n、m、およびlは、それぞれ上記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、Y、n、m、およびlで説明したものと同一である。
【0040】
前記熱処理は、前記イミド化後、10〜30℃/minの昇温速度で400〜550℃まで昇温し、その温度で不活性雰囲気下にて1分〜1時間行うことができる。
【0041】
上記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40において、Arの例は下記式で示されるものから選択できる。
【0042】
【化4】

【0043】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0044】
上記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40において、Arの具体的な例は下記式で示されるものから選択できる。
【0045】
【化5−1】

【化5−2】

【0046】
上記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40において、Arの例は下記式で示されるものから選択できる。
【0047】
【化6】

【0048】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0049】
上記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40において、Arの具体的な例は下記式で示されるものから選択できる。
【0050】
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

【0051】
上記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40において、Qの例は、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)の中から選択できる。
【0052】
上記化学式19〜化学式32において、Ar’の例および具体的な例は、上記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40のArの例および具体的な例として説明したものと同一である。
【0053】
上記化学式1〜化学式8において、Arは下記化学式A、BまたはCで示されるものとすることができ、Arは下記化学式DまたはEで示されるものとすることができ、QはC(CFとすることができる。
【0054】
【化8】

【0055】
上記化学式19〜化学式32において、Arは上記化学式A、BまたはCで示されるものとすることができ、Ar’は下記化学式F、GまたはHで示されるものとすることができ、Arは上記化学式DまたはEで示されるものとすることができ、QはC(CFとすることができる。
【0056】
【化9】

【0057】
上記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸の共重合体における各繰り返し単位間のモル比、および上記化学式5〜化学式8におけるm:lのモル比は、0.1:9.9〜9.9:0.1とすることができる。
【0058】
その他の本発明の具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0059】
本発明の中空糸は、気体に対する透過性、選択性、機械的強度、および化学的安定性に優れており、長い作業時間、酸性条件、および高湿のような厳しい条件下でも耐えられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例1で製造された中空糸の一部断面を100倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で製造された中空糸の一部断面を500倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で製造された中空糸の一部断面を5,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例14で製造された中空糸の一部断面を100倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例14で製造された中空糸の一部断面を1,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例14で製造された中空糸の一部断面を10,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例1〜17および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の酸素透過性および酸素/窒素選択性を比較したグラフである(1’〜3’:比較例1〜3、1〜17:実施例1〜17)。
【図8】実施例1〜17および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の二酸化炭素透過性および二酸化炭素/メタン選択性を比較したグラフである(1’〜3’:比較例1〜3、1〜17:実施例1〜17)。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の具現例について詳細に説明する。ただし、これは例示として提示するものであり、これによって本発明が制限されることではなく、本発明は後述する請求項の範疇によって定義される。
【0062】
本明細書において、別途の定義がない限り、「表面部」は、中空糸の外側表面部、内側表面部、または外側表面部/内側表面部を称し、「表面」は、中空糸の外側表面、内側表面、または外側表面/内側表面を称する。また、「ピコ気孔」とは、気孔の平均直径が数百ピコメートル、具体的には100pm〜1000pmの気孔を意味し、「メゾ気孔」とは、気孔の平均直径が2nm〜50nmの気孔を意味し、「マクロ気孔」とは気孔の平均直径が50nmより大きい気孔を意味する。
本明細書において、別途の定義がない限り、「置換」または「置換された」とは、化合物または官能基中の水素原子がC1〜C10アルキル基、C1〜C10アルコキシ基、C1〜C10ハロアルキル基、およびC1〜C10ハロアルコキシ基からなる群より選択される一種以上の置換基に置換されたことを意味し、「ヘテロ環基」とは、O、S、N、P、Si、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素を含む置換または非置換されたヘテロ環基を意味する。また、「共重合体」とは、ブロック共重合体ないしランダム共重合体を意味する。
【0063】
本発明の一具現例に係る中空糸は、それの中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する中空糸である。
前記中空糸は、ポリアミック酸から誘導される高分子を含み、前記ポリアミック酸は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を含む。
【0064】
前記中空糸は、表面部にピコ気孔からなる緻密層を含むことができる。このような緻密層の存在により、前記中空糸は気体を選択的かつ効率的に分離することができる。前記緻密層の厚さは50nm〜1μmとすることができるが、これに限定されない。
前記緻密層は、表面に近いほどピコ気孔の数が多くなる構造に形成することができる。これによって前記中空糸表面における選択的な気体分離が効果的に行われ、膜下部における気体の濃縮が効果的に行われる。
【0065】
2つ以上の前記ピコ気孔が三次元的に連結されて形成された三次元ネットワーク構造は、連結部位が狭い溝を形成する砂時計形状(hourglass shaped)の構造とすることができる。前記2つ以上のピコ気孔の連結部位に狭い溝領域が存在することにより、分離しようとする気体を選択的に分離でき、前記溝領域に比べて相対的に広いピコ気孔では、分離された気体が速やかに移動可能である。
【0066】
前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHを含む。前記ポリアミック酸は、当業界に公知の方法によって製造することができる。一例として、前記ポリアミック酸は、アミン基に対してオルト位に存在するOH、SH、またはNH基を含む芳香族ジアミンとテトラカルボン酸無水物とを反応させて製造することができる。
【0067】
前記ポリアミック酸は、後述する製造工程によって熱転換されて、高い自由体積度を有するポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリピロロンのような高分子に変化できる。例えば、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基がOHであるポリヒドロキシアミック酸はポリベンゾオキサゾールに、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基がSHであるポリチオールアミック酸はポリベンゾチアゾールに、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基がNHであるポリアミノアミック酸はポリピロロンに転換される。これによって本発明の一具現例に係る中空糸は、上記のような高い自由体積度を有するポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリピロロンのような高分子を含むことができる。
【0068】
前記ポリアミック酸から誘導される高分子は0.15〜0.40の自由体積度(FFV)を有することができ、XRD測定による面間距離が580pm〜800pmの範囲にあり得る。これにより、上記ポリアミック酸から誘導される高分子は、優れたガス透過性を有することができ、前記ポリアミック酸から誘導される高分子を含む中空糸は、気体を選択的、かつ効果的に分離することができる。
【0069】
また、前記ポリアミック酸から誘導される高分子はピコ気孔を含み、前記ピコ気孔の平均直径は600pm〜800pmとすることができる。前記ピコ気孔は、陽電子消滅時間分光分析(positron annihilation lifetime spectroscopy、PALS)測定による半値全幅(full width at half maximum、FWHM)が10pm〜40pmの範囲にあり得る。これは生成するピコ気孔の大きさが非常に均一であることを示す。これによって前記ポリアミック酸から誘導される高分子を含む中空糸は、気体を選択的、かつ安定的に分離することができる。前記PALSデータは、22Na同位元素から発生する陽電子を照射して、生成時に発生する1.27MeVのγと、消滅時に生成する0.511MeVのγ、γの時間差τ1、τ2、τ3等を利用して得ることができる。
【0070】
前記ポリアミック酸から誘導される高分子は100〜1,000m/gのBET(Brunauer-Emmett-Teller)表面積を有することができる。BET表面積が上記範囲内であれば、気体が吸着できる適切な表面積を確保可能である。これにより、前記中空糸は溶解−拡散メカニズムによって気体を分離することにおいて、優れた選択性および透過性を示す。
【0071】
前記ポリアミック酸は、下記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸、下記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択されるが、これに限定されない。
【0072】
【化10】

【0073】
上記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基より選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合(fused)されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基はC1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。
【0074】
上記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸共重合体の例としては、下記化学式9〜化学式18で示されるポリアミック酸共重合体が挙げられる。
【0075】
【化11−1】

【化11−2】

【0076】
上記化学式9〜化学式18において、
Ar、Q、n、m、lは、上記化学式1〜化学式8で定義したものと同一であり、
YおよびY’は互いに異なり、それぞれ独立してOH、SH、またはNHである。
【0077】
上記化学式1〜化学式18において、Arの例は下記式で示されるものから選択できる。
【0078】
【化12】

【0079】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0080】
上記化学式1〜化学式18において、Arの具体的な例は、下記式で示されるものから選択できるが、これに限定されない。
【0081】
【化13−1】

【化13−2】

【0082】
上記化学式1〜化学式18において、Arは下記式で示されるものから選択できるが、これに限定されない。
【0083】
【化14】

【0084】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0085】
上記化学式1〜化学式18において、Arの具体的な例は、下記式で示されるものから選択できるが、これに限定されない。
【0086】
【化15−1】

【化15−2】

【化15−3】

【0087】
上記化学式1〜化学式18において、Qの例は、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)の中から選択できるが、これに限定されない。
【0088】
上記化学式1〜化学式18において、Arは下記化学式A、BまたはCで示されるものとすることができ、Arは下記化学式DまたはEで示されるものとすることができ、QはC(CFとすることができるが、これに限定されない。
【0089】
【化16】

【0090】
上記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸は、一般的な製造方法によって製造可能である。一例として、単量体でテトラカルボン酸無水物とOH、SH、またはNH基を含む芳香族ジアミンを反応させて製造する。
【0091】
このような化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸は、後述する製造工程によって熱転換されて、高い自由体積度を有するポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、またはポリピロロンに転換される。このとき、上記化学式1〜化学式4において、YがOHのポリヒドロキシアミック酸から誘導されたポリベンゾオキサゾール、YがSHのポリチオールアミック酸から誘導されたポリベンゾチアゾール、およびYがNHのポリアミノアミック酸から誘導されたポリピロロンを含む中空糸が製造される。
【0092】
上記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体は、後述する製造工程によってイミド化および熱転換されて、高い自由体積度を有するポリ(ベンゾオキサゾール−イミド)共重合体、ポリ(ベンゾチアゾール−イミド)共重合体、ポリ(ピロロン−イミド)共重合体に転換され、これによって上記のような共重合体を含む中空糸を形成することができる。このとき、分子内および分子間の再配列(転位、rearrangement)によってポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾールまたはポリピロロンに熱転換されるブロックと、ポリイミドになるブロックとの間の共重合比(モル比)を調節することにより、製造された中空糸の物性制御が可能である。
【0093】
上記化学式9〜化学式18で示されるポリアミック酸の共重合体は、後述する製造工程によってイミド化および熱転換されて、高い自由体積度を有するポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリピロロンの共重合体に転換され、これによって上記のような共重合体を含む中空糸を形成することができる。このとき、それぞれポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリピロロンに熱転換されるブロック間の共重合比(モル比)を調節することにより、製造された中空糸の物性制御が可能である。
【0094】
上記化学式5〜化学式18で示されるポリアミック酸共重合体のブロック間の共重合比(モル比)m:lは、0.1:9.9〜9.9〜0.1、具体的には2:8〜8:2、さらに具体的には5:5に調節することができる。このような共重合比は、製造された中空糸のモフォロジーに影響を与えるが、このようなモフォロジー変化はガス透過性および選択性と関連している。上記ブロック間の共重合比が上記範囲内である場合、製造された中空糸は優れたガス透過性および選択性を有することができる。
【0095】
上記中空糸において、前記ポリアミック酸から誘導される高分子は、下記化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで示される高分子またはこれらの共重合体を含むことができるが、これに限定されない。
【0096】
【化17−1】

【化17−2】

【化17−3】

【0097】
上記化学式19〜化学式32において、
Ar、Ar、Q、n、mおよびlは、それぞれ上記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、n、mおよびlで説明したものと同一であり、
Ar’は、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Y”は、OまたはSである。
【0098】
上記化学式19〜化学式32において、Ar、ArおよびQの例および具体的な例は、それぞれ上記化学式1〜化学式18のAr、ArおよびQの例および具体的な例として説明したものと同一である。
また、上記化学式19〜化学式32において、Ar1’の例および具体的な例は、上記化学式1〜化学式18のArの例および具体的な例として説明したものと同一である。
【0099】
上記化学式19〜化学式32において、Arは上記化学式A、BまたはCで示されるものとすることができ、Ar’は下記化学式F、GまたはHで示されるものとすることができ、Arは上記化学式DまたはEで示されるものとすることができ、QはC(CFとすることができるが、これに限定されない。
【0100】
【化18】

【0101】
上記中空糸は、He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する気体分離用として使用することができる。このとき、上記中空糸は気体分離膜の形態で使用できる。上記混合気体の具体的な例としては、O/N、CO/CH、H/N、H/CH、CO/NおよびHe/Nが挙げられるが、これに限定されない。
【0102】
上記中空糸は、混合気体がO/Nの場合、4以上、具体的には4〜20の選択性を有することができ、混合気体がCO/CHの場合、30以上、具体的には30〜80の選択性を有することができ、混合気体がH/Nの場合、30以上、具体的には30〜80の選択性を有することができ、混合気体がH/CHの場合、50以上、具体的には50〜90の選択性を有することができ、混合気体がCO/Nの場合、20以上、具体的には20〜50の選択性を有することができ、混合気体がHe/Nの場合、40以上、具体的には40〜120の選択性を有することができる。
【0103】
本発明の他の一具現例に係る中空糸形成用ドープ溶液組成物は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンヒドリドから製造された繰り返し単位を有するポリアミック酸、有機溶媒、および添加剤を含む。
【0104】
上記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N、N−ジメチルホルムアミド;N、N−ジメチルアセトアミド;メタノール、エタノール、2−メチル−1−ブタノール、および2−メチル−2−ブタノールからなる群より選択されたアルコール;γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、アセトン、およびメチルエチルケトンからなる群より選択されたケトン;テトラヒドロフラン;トリクロロエタン;およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択できるが、これに限定されない。より具体的に、上記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N、N−ジメチルホルムアミド;N、N−ジメチルアセトアミド、およびこれらの組み合わせ、から選択できる。上記有機溶媒を用いれば、高分子を簡単に溶解することができ、下記添加剤とよく混ざることによって準安定状態(meta-stable state)を形成することができ、これによって薄い有効膜の厚さを有する優れた中空糸を形成することができる。
【0105】
上記添加剤は、水;グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびジエチレングリコールからなる群より選択されたアルコール;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサン、キチン、デキストラン、およびポリビニルピロリドンからなる群より選択された高分子化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リチウムアセテート、硫酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群より選択された塩;およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択できるが、これに限定されない。より具体的に、上記添加剤は、水、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択できる。上記添加剤は、ポリアミック酸高分子と溶解度が優秀なものではないため、単独では使用できないが、有機溶媒と適切に混ざり合えば、準安定な(meta-stable)ドープ溶液を製造でき、ドープ溶液を紡糸する時に、凝固槽内の非溶媒(non-solvent)がドープ溶液組成物内に速やかに拡散して、薄くて均一な薄膜を形成すると共に、サブレイヤー(sub-layer)のマクロ気孔製造にもさらに有利であり得る。
【0106】
上記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、上記アミン基に対してオルト位に存在する官能基はOH、SH、またはNHを含む。
【0107】
上記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、上記ポリアミック酸10〜45重量%、上記有機溶媒25〜70重量%、および前記添加剤5〜40重量%を含むことができる。
【0108】
上記ポリアミック酸の含有量が上記範囲内である場合、中空糸の強度および気体の透過性を優秀に維持することができる。
【0109】
上記有機溶媒は上記ポリアミック酸を溶解する役割を果たす。上記有機溶媒の含有量が上記範囲内である場合、中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度を適切に維持して中空糸の製造を容易にし、中空糸の透過性を向上させることができる。
【0110】
上記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、粘度は2Pa・s〜200Pa・sとすることができる。中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度が上記範囲内であれば、中空糸形成用ドープ溶液組成物をノズルを通じて容易に紡糸することができ、中空糸を相転移現象を通じて容易に固形に凝固させられる。
【0111】
上記添加剤は、相分離温度または中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘性調節のために用いることができる。
【0112】
上記添加剤は、本発明の分野で使用するものであれば、どのようなものでも使用でき、特に限られない。上記高分子化合物は空隙調節剤として使用でき、上記塩は気孔形成剤として使用できる。
【0113】
添加剤の含有量が上記範囲内である場合、中空糸を容易に製造でき、また、中空糸の表面気孔の大きさを適切に調節して緻密層を容易に形成することができる。
【0114】
上記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、上記ポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は10,000〜200,000とすることができる。ポリアミック酸の重量平均分子量が上記範囲内であれば、これの合成が容易であり、これを含む中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度が適切に維持されて加工性に優れ、前記ポリアミック酸から誘導される高分子は機械的強度および特性が優秀に維持できる。
【0115】
上記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、上記ポリアミック酸は、上記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸、上記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択できる。
【0116】
本発明のまた他の一具現例に係る中空糸の製造方法は、上記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリアミック酸系中空糸を製造する段階、上記ポリアミック酸系中空糸をイミド化してポリイミド系中空糸を得る段階、および上記ポリイミド系中空糸を熱処理して得られる再配列された高分子を含む中空糸を得る段階を含む。上記製造方法によって製造された中空糸は、これの中央部に位置する空洞、上記空洞周辺に存在するマクロ気孔、および上記マクロ気孔周辺に存在するメゾ気孔とピコ気孔を含み、上記ピコ気孔は三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する。
【0117】
上記再配列された高分子は、上記化学式19〜化学式32のいずれか一つで示される高分子、またはこれらの共重合体を含むことができるが、これに限定されない。
【0118】
上記ポリイミド系中空糸は、下記化学式33〜化学式40で示されるポリイミド、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択された一種を含むことができるが、これに限定されない。
【0119】
【化19】

【0120】
上記化学式33〜化学式40において、
Ar、Ar、Q、Y、n、mおよびlは、それぞれ上記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、Y、n、mおよびlで説明したものと同一である。
【0121】
上記化学式33〜36で示されるポリイミドの共重合体の例としては、下記化学式41〜化学式50で示されるポリイミド共重合体が挙げられる。
【0122】
【化20−1】

【化20−2】

【0123】
上記化学式41〜化学式50において、
Ar、Q、Y、Y’、n、mおよびlは、それぞれ上記化学式1〜化学式18のAr、Q、Y、Y’、n、mおよびlで説明したものと同一である。
【0124】
上記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸して、ポリアミック酸系中空糸を製造する段階において、上記紡糸は当該分野で一般に使用される方法を利用でき、具体的には乾式紡糸または乾・湿式紡糸法を利用することができる。
【0125】
一般的な中空糸の製造方法は、溶液紡糸法による溶媒交換法が主に用いられている。これは中空糸形成用ドープ溶液組成物を溶媒に溶解させて、乾式または乾・湿式紡糸法によって紡糸した後、非溶媒の中で溶媒と非溶媒が交換されて、微細孔が形成されるようにし、溶媒が凝固槽の非溶媒に拡散する過程で、非対称膜または外部と内部に同一の対称膜が形成される。
【0126】
一例として、乾・湿式紡糸法を利用して中空糸を製造する場合、(a1)中空糸形成用ドープ溶液組成物を製造する段階、(a2)製造された中空糸形成用ドープ溶液組成物を内部凝固剤と接触させて中空糸の内部を凝固させながら、空気中に紡糸して、ポリアミック酸系中空糸を形成する段階、(a3)形成されたポリアミック酸系中空糸を凝固槽内で凝固させる段階、(a4)凝固したポリアミック酸系中空糸を洗浄液で洗浄した後、乾燥する段階、(a5)乾燥されたポリアミック酸系中空糸をイミド化してポリイミド系中空糸を得る段階、および(a6)ポリイミド系中空糸を熱処理して、再配列された高分子を含む中空糸を得る段階を経ることにより、本発明の一具現例に係る中空糸が製造される。
【0127】
このとき、内側ノズルを通じて内部凝固剤が吐出される流量は、1〜10ml/minとすることができ、具体的には1〜3ml/minとすることができる。また、二重ノズルの外側内径は0.1〜2.5mmとすることができる。このような内部凝固剤の流量と二重ノズルの外側内径は、中空糸の用途および運転条件によって上記範囲内で調節可能である。
【0128】
ノズルから凝固槽までのエアーギャップは、1cm〜100cmとすることができ、具体的には10cm〜50cmとすることができる。
【0129】
紡糸温度は5〜120℃、紡糸速度は5〜50m/min範囲を維持しながら、高温の紡糸ノズルを通過した後、凝固槽内で相転移を誘導する。このような紡糸温度と紡糸速度は、製造される中空糸の用途および運転条件によって上記範囲内で変更可能である。
【0130】
このとき、紡糸温度が上記範囲内であれば、中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度が適切に維持されて、中空糸形成用ドープ溶液組成物を容易に紡糸でき、溶媒の蒸発も抑制されて中空糸を連続的に製造することができる。また、紡糸速度が上記範囲内であれば、流量が適切に維持されて、製造される中空糸の機械的物性および化学的安定性を向上させることができる。
【0131】
凝固槽の温度は0〜50℃とすることができる。凝固槽の温度が上記範囲内であれば、凝固槽の溶媒の揮発を抑制し、相転移が十分に行われるようにできるので、中空糸を円滑に製造することができる。
【0132】
上記凝固槽内の外部凝固剤は、高分子物質に対して非溶媒であり、溶媒および添加剤と常用性があるものであれば、どのようなものでも使用可能である。代表的に水、グリセリン、プロピレングリコール、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0133】
以降に、凝固した中空糸の内部および表面に残留した溶媒、添加剤および凝固液の除去のための洗浄過程および乾燥過程を行うことができる。洗浄液としては、水または熱水を用いることができ、洗浄時間は1時間〜24時間行えるが、これに限定されない。
【0134】
洗浄後の乾燥過程は、20〜100℃の範囲で3〜72時間行える。
【0135】
上記中空糸の製造方法において、上記イミド化は熱的イミド化工程によって行えるが、これに限定されない。
【0136】
上記熱的イミド化は、不活性雰囲気下で、150〜300℃で30分〜2時間行える。イミド化の温度が上記範囲未満であれば、前駆体であるポリアミック酸のイミド化が微々たるものであり、これとは反対に上記範囲を超えても、効果上の大きい増加がなくて非経済的である。
【0137】
上記イミド化の条件は、上記ポリアミック酸の官能基であるAr、Ar、Q、YおよびY’の種類によって適切に調節することができる。
【0138】
上記ポリイミド系中空糸を熱処理すれば、熱転換反応によって再配列された高分子を含む中空糸を得ることができる。上記再配列された高分子を含む中空糸は、上記ポリイミド系中空糸に比べ、減少した密度、ピコ気孔が大きくなって互いによく連結されることにより増加した自由体積度、および増加した面間距離を有する。これにより、上記再配列された高分子を含む中空糸は、優れたガス透過性および選択性を有することができる。
【0139】
上記熱処理は、上記イミド化後、10〜30℃/minの昇温速度で400〜550℃、具体的には450〜500℃まで昇温し、その温度で不活性雰囲気下にて1分〜1時間、具体的には10分〜30分間行える。このとき、温度が上記範囲内であれば、熱転換反応が十分に行える。
【0140】
以下、上記イミド化段階および熱処理段階について、下記反応式1および反応式2によって具体的に説明する。
【0141】
【化21】

【0142】
【化22】

【0143】
上記反応式1および反応式2において、
Ar、Ar’、Ar、Q、Y、Y”、n、m、およびlは、上記化学式1〜化学式50で定義したものと同様である。
【0144】
上記反応式1を参照すれば、上記化学式1、化学式2、化学式3、および化学式4で示されるポリアミック酸を含むポリアミック酸系中空糸は、上述したイミド化を経て、それぞれ上記化学式33、化学式34、化学式35、および化学式36で示されるポリイミドを含むポリイミド系中空糸を形成する。
【0145】
次に、上述した熱処理によって、上記化学式33、化学式34、化学式35、および化学式36で示されるポリイミドを含むポリイミド系中空糸は、化学式19〜化学式25で示されるポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、またはポリピロロン高分子を含む中空糸に製造される。このような高分子を含む中空糸の製造は、化学式33〜化学式36で示されるポリイミド内のCO除去反応によって行われる。
【0146】
このとき、上記化学式1〜化学式4において、YがOHのポリヒドロキシアミック酸またはYがSHのポリチオールアミック酸は、それぞれ化学式19、化学式21、化学式23、および化学式24で示されるポリベンゾオキサゾール(Y”=O)またはポリベンゾチアゾール(Y”=S)に熱転換される。また、上記化学式1〜化学式4において、YがNHのポリアミノアミック酸は、化学式20、化学式22、および化学式25で示されるポリピロロンに熱転換される。
【0147】
上記反応式2を参照すると、上記化学式5、化学式6、化学式7、および化学式8で示されるポリアミック酸共重合体を含むポリアミック酸系中空糸は、イミド化を経て、それぞれ上記化学式37、化学式38、化学式39、および化学式40で示されるポリイミドを含むポリイミド系中空糸を形成する。
【0148】
次に、上述した熱処理により、上記化学式37、化学式38、化学式39、および化学式40で示されるポリイミドを含むポリイミド系中空糸は、ポリイミド内のCO除去反応を経て、化学式26〜化学式32で示される高分子を含む中空糸に製造される。
このとき、上記化学式5〜化学式8において、YがOHのポリヒドロキシアミック酸またはYがSHのポリチオールアミック酸は、それぞれ化学式26、化学式28、化学式30、および化学式31で示されるポリ(ベンゾオキサゾール(Y”=O)−イミド)共重合体またはポリ(ベンゾチアゾール(Y”=S)−イミド)共重合体に熱転換される。また、上記化学式5〜化学式8において、YがNHのポリアミノアミック酸は、化学式27、化学式29、および化学式32で示されるポリ(ピロロン−イミド)共重合体に熱転換される。
【0149】
本発明の上記化学式9〜化学式18で示されるポリアミック酸の共重合体を含むポリアミック酸系中空糸は、各ブロックがイミド化されて、互いに異なるイミドブロックを有するポリイミドを含むポリイミド系中空糸になる。次に、熱処理により、各イミドブロックはYの種類によってポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリピロロンに熱転換され、これらの共重合体、すなわち、化学式19〜化学式25で示される高分子の共重合体を含む中空糸を形成する。
【0150】
このとき、中空糸は製造工程を調節して、マクロ気孔(macrovoid)が形成されたフィンガー型、または断面上にマクロ気孔が存在しなくて、安定した膜性能を有するスポンジ型に製造することができる。また、製造工程を調節して対称形、非対称型にも製造することができる。また、化学構造内のAr、Ar’、ArおよびQの特性を考慮して高分子設計を調節して、各種のガス種に対するガス透過性および選択性に対する制御が可能である。
【0151】
このように製造された中空糸は、上記化学式19〜化学式32で示される高分子またはこれらの共重合体を含むことができるが、これに限定されない。
【0152】
本発明の一具現例に係る中空糸は、高分子内に存在する堅い高分子主鎖により、温和な条件だけではなく、長い作業時間、酸性条件、および高湿のような厳しい条件下でも耐えられる。すなわち、本発明の一具現例に係る中空糸は、化学的安定性および機械的物性に優れている。
【0153】
このとき、上記化学式19〜化学式32で示される高分子またはこれらの共重合体は、製造段階で適切な重量平均分子量を有するように設計するが、好ましくは、重量平均分子量が10,000〜200,000となるようにする。これらの重量平均分子量が10,000未満の場合には、高分子の物性が劣化し、200,000を超える場合、中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘性が大きく増加して、ポンプを利用して上記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸することが困難である問題点がある。
【0154】
また、本発明の一具現例に係る中空糸は、それの中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔とびピコ気孔を含み、上記ピコ気孔は、三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造に形成され、これによって高い自由体積度を有し、気体の選択性およびガス透過性に優れている。例えば、He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する透過性および選択性が優れている。
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例によって限定されない。
【実施例】
【0155】
(実施例1)
下記反応式3で示される反応により、ポリヒドロキシアミック酸を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物から、下記化学式51で示されるポリベンゾオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0156】
【化23】

【0157】
(1)ポリヒドロキシアミック酸の製造
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 44.4g(0.1mol)とを、N−メチルピロリドン(NMP)189g(70重量%)に入れて、15℃で4時間反応させ、薄い黄色の粘度のあるポリアミック酸を製造した。
【0158】
(2)中空糸形成用ドープ溶液組成物の製造
上記製造されたポリアミック酸に、溶媒の除去なしに、添加剤としてテトラヒドロフラン5重量%を添加した後混合して、均一な中空糸形成用ドープ溶液組成物を製造した。
【0159】
(3)中空糸の製造
製造された中空糸形成用ドープ溶液組成物内の起泡を、24時間常温および減圧下で除去して、ガラスフィルター(空径60μm)を利用して異物を除去した。次に、25℃で維持後、二重環状ノズルを通じて紡糸を実施した。このとき、内部凝固液は蒸溜水を使用し、エアーギャップの距離は50cmと設定した。紡糸された中空糸を水の温度が25℃の凝固槽で凝固させ、30m/minの速度で巻き取った。製造された中空糸は洗浄後、常温で3日間自然乾燥した。加熱炉を利用して、不活性雰囲気下で300℃、1時間イミド化した後、15℃/minの昇温速度で加熱、不活性雰囲気で500℃、10分熱処理することにより、上記化学式51で示されるポリベンゾオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0160】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.31、面間距離は700pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0161】
(実施例2)
下記反応により、ポリチオールアミック酸を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物から、下記化学式52で示されるポリベンゾチアゾールを含む中空糸を製造した。
【0162】
【化24】

【0163】
出発物質として、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド20.8g(0.1mol)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 44.4g(0.1mol)とを反応させて、チオール基(−SH)を有するポリアミック酸を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式52で示されるポリベンゾチアゾールを含む中空糸を製造した。
【0164】
製造された中空糸の重量平均分子量は14,500であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.26、面間距離は610pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0165】
(実施例3)
下記反応により、ポリアミノアミック酸を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物から、下記化学式53で表示されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0166】
【化25】

【0167】
出発物質として、3,3’−ジアミノベンジジン21.4g(0.1mol)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 44.4g(0.1mol)とを反応させて、アミン基(−NH)を有するポリアミック酸を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式53で示されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0168】
製造された中空糸の重量平均分子量は18,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロンの特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.28、面間距離は630pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0169】
(実施例4)
下記反応により、ポリヒドロキシアミック酸を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物から、下記化学式54で示されるポリベンゾオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0170】
【化26】

【0171】
出発物質として、3,3’−ジヒドロキシベンジジン21.6g(0.1mol)と、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 44.4g(0.1mol)とを、N−メチルピロリドン(NMP)264g(80重量%)に入れて、約4時間反応させ、薄い黄色の粘度のあるポリアミック酸を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式54で示されるポリベンゾオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0172】
製造された中空糸の重量平均分子量は19,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1595cm−1(C=N)、1052cm−1(C=O)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.18、面間距離は580pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0173】
(実施例5)
下記反応により、ポリアミノアミック酸を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物から下記化学式55で示されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0174】
【化27】

【0175】
出発物質として、ベンゼン−1,2,4,5−テトラアミンテトラヒドロクロライド28.4g(0.1mol)と、オキシジフタル酸無水物31.0g(0.1mol)とを、N−メチルピロリドン(NMP)139g(70重量%)に入れて、約4時間反応させ、薄い黄色の粘度のあるポリアミノアミック酸を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式55で示されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0176】
製造された中空糸の重量平均分子量は12,460であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロンの特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.24、面間距離は610pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0177】
(実施例6)
下記反応により、下記化学式56で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−ベンゾオキサゾール)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0178】
【化28】

【0179】
出発物質として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)と、3,3’−ジヒドロキシベンジジン21.6g(0.1mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)272g(70重量%)を添加して完全に溶解した後、4,4’−ビフタル酸無水物58.8g(0.2mol)をゆっくり注入して、ポリ(ヒドロキシアミック酸−ヒドロキシアミック酸)共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式56で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−ベンゾオキサゾール)共重合体(モル比のm:lは5:5)を含む中空糸を製造した。
【0180】
製造された中空糸の重量平均分子量は18,290であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.27、面間距離は620pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0181】
(実施例7)
下記反応により、下記化学式57で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−イミド)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0182】
【化29】

【0183】
出発物質として、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン58.60g(0.16mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル8.01gと(0.04mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)393g(70重量%)を添加して完全に溶解した後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物64.45g(20mol)をゆっくり注入してポリヒドロキシアミック酸共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式57で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−イミド)共重合体(モル比のm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0184】
製造された中空糸の重量平均分子量は24,210であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドおよびポリイミドの特性バンドである1720cm−1(C=O)、1580cm−1(C=O)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.2、面間距離は600pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0185】
(実施例8)
下記反応により、下記化学式58で示されるポリ(ピロロン−イミド)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0186】
【化30】

【0187】
出発物質として、3,3’−ジアミノベンジジン17.1g(0.08mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.0g(0.02mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)196.5g(75重量%)を添加して完全に溶解した後、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 44.4g(0.1mol)をゆっくり注入してポリアミノアミック酸共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法によって上記化学式58で示されるポリ(ピロロン−イミド)共重合体(モル比のm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0188】
製造された中空糸の重量平均分子量は19,140であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロンの特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンド、およびポリイミドの特性バンドである1720cm−1(C=O)、1580cm−1(C=O)が確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.22、面間距離は640pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0189】
(実施例9)
下記反応により、下記化学式59で示されるポリ(ベンゾチアゾール−イミド)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0190】
【化31】

【0191】
出発物質として、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド33.30g(0.16mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル8.0g(0.04mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)390.3g(75重量%)を添加して完全に溶解した後、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 88.8g(0.1mol)をゆっくり注入してポリチオールアミック酸共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法により上記化学式59で示されるポリ(ベンゾチアゾール−イミド)共重合体(モル比のm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0192】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,360であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンド、およびポリイミドの特性バンドである1720cm−1(C=O)、1580cm−1(C=O)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.23、面間距離は650pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0193】
(実施例10)
下記反応により、下記化学式60で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−ベンゾチアゾール)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0194】
【化32】

【0195】
出発物質として、3,3’−ジヒドロキシベンジジン10.8g(0.05mol)と、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド10.9g(0.05mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)198.3g(75重量%)を添加して完全に溶解した後、4,4’−ビフタル酸無水物29.4g(0.1mol)をゆっくり注入してポリ(ヒドロキシアミック酸−チオールアミック酸)共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法によって上記化学式60で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−ベンゾチアゾール)共重合体(モル比のm:lは5:5)を含む中空糸を製造した。
【0196】
製造された中空糸の重量平均分子量は26,850であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1595cm−1(C=N)、1052cm−1(C−N)のバンド、およびポリベンゾチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.22、面間距離は590pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0197】
(実施例11)
下記反応により、下記化学式61で示されるポリ(ピロロン−ピロロン)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0198】
【化33】

【0199】
出発物質として、3,3’−ジアミノベンジジン34.2g(0.16mol)と、ベンゼン−1,2,4,5−テトラアミンテトラヒドロクロライド11.4g(0.04mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)403.2g(75重量%)を添加して完全に溶解した後、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 88.8g(20mmol)をゆっくり注入してポリ(アミノアミック酸−アミノアミック酸)共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法によって上記化学式61で示されるポリ(ピロロン−ピロロン)共重合体(モル比のm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0200】
製造された中空糸の重量平均分子量は13,270であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロンの特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.21、面間距離は600pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0201】
(実施例12)
下記反応により、下記化学式62で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−ベンゾチアゾール)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0202】
【化34】

【0203】
出発物質として、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド21.8g(0.1mol)と、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.16mol)とを入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)441.6g(75重量%)を添加して完全に溶解した後、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物 88.8g(20mol)をゆっくり注入してポリ(ヒドロキシアミック酸−チオールアミック酸)共重合体を製造したことを除き、実施例1と同様の方法によって上記化学式62で示されるポリ(ベンゾオキサゾール−ベンゾチアゾール)共重合体(モル比のm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0204】
製造された中空糸の重量平均分子量は16,190であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンド、およびポリベンゾチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.29、面間距離は710pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0205】
(実施例13)
添加剤として、テトラヒドロフラン5重量%と、ポリビニルピロリドン5重量%を添加して混合し、均一な溶液を製造したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0206】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.31、面間距離は720pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0207】
(実施例14)
添加剤として、テトラヒドロフラン5重量%と、プロピレングリコール15重量%を添加して混合し、均一な溶液を製造したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0208】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.31、面間距離は710pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0209】
(実施例15)
空隙調節剤として、添加剤をポリエチレングリコール(Aldrich、分子量2000)15重量%を添加して混合し、均一な溶液を製造したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0210】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.31、面間距離は710pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0211】
(実施例16)
300℃で1時間イミド化した後、450℃で30分間熱処理したことを除いては、実施例1と同様に行った。
【0212】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.26、面間距離は620pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0213】
(実施例17)
300℃で1時間イミド化した後、400℃で30分間熱処理したことを除いては、実施例11と同様に行った。
【0214】
製造された中空糸の重量平均分子量は22,000であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンゾオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.22、面間距離は570pmであった。
上記面間距離はXRDで測定した。XRD測定時にフィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用しており、10度〜40度で、0.05度の間隔で測定した。
【0215】
(比較例1)
大韓民国特許公開第2002−0015749号により、ポリエーテルスルホン(Sumitomo、sumikaexcel)35重量%を45重量%のNMPに溶解した後、添加剤としてテトラヒドロフランとエタノールを、それぞれ5重量%、15重量%添加して、均一の溶液を製造後、10cmのエアーギャップ、二重ノズルを通じて紡糸した。流水で2日間洗浄し、真空で3時間以上乾燥して、中空糸を製造した。
【0216】
(比較例2)
熱処理工程を行わないことを除いては、実施例1と同様の方法により中空糸を製造した。
【0217】
(比較例3)
国際公開第2005/007277号により、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)とを反応させて製造されたポリアミック酸(PAA)19重量%を、N−メチルピロリドン(NMP)に溶解した溶液を準備した。N−メチルピロリドンにポリビニルピロリドン(PVP)50重量%で溶解した添加剤溶液を、上記ポリアミック酸(PAA)含有溶液に追加した。次に、グリセロール(GLY)とN−メチルピロリドンを上記溶液に添加した。最終に製造された溶液は、ポリアミック酸/ポリビニルピロリドン/グリセロール/N−メチルピロリドン(PAA/PVP/GLY/NMP)をそれぞれ13/1/17/69重量%含んでいる。上記紡糸溶液は、紡糸前、12時間混合した。
【0218】
内部凝固剤として20℃の水を使用しており、紡糸溶液は紡糸口金を通じて紡糸された。内部凝固剤の流量は12ml/minに調節した。中空糸は、エアーキャップでの滞留時間が6秒となるように4cm/sの紡糸速度で紡糸された。このとき、膜は、30℃、100%の水で凝固した。次に、常温で残留溶媒およびグリセロールの抽出が完了する時まで、2〜4時間水で洗浄した。その後、空気で乾燥した。次に、窒素パージを備えたオーブン内でイミド化した。3時間150℃まで昇温加熱、150℃で1時間加熱、2時間250℃まで昇温加熱、250℃で2時間加熱して、4時間常温で徐々に冷却した。製造されたポリイミド/PVP膜は、外径が2.2mmで、膜の厚さが0.3mmであった。
【0219】
(実験例1)走査型電子顕微鏡分析
図1、図2および図3は、本発明の実施例1で製造された中空糸の一部断面を100倍、500倍、5,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。図1から、実施例1で製造された中空糸は、同心円で四方の厚さが均一であり、マクロ気孔およびメゾ気孔が均一に分布していることが確認できる。図2は、実施例1で製造された中空糸の図面であって、壁の厚さが約120マイクロメートルで均一に製造されており、中空糸の内外部表面に有効薄膜層が存在することが可能であるのを示す。図3は、実施例1で製造された中空糸の外側表面に対する断面であって、2マイクロメートル水準の有効薄膜層が均一に形成されたことをよく示す。
【0220】
図4、図5および図6は、本発明の実施例14で製造された中空糸の一部断面を100倍、1,000倍、10,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。図4から、実施例14で製造された中空糸は、同心円で四方の厚さが均一であり、マクロ気孔およびメゾ気孔が均一に分布していることが確認できる。図5から、実施例14で製造された中空糸は、80マイクロメートル内外の厚さを有しており、マクロ気孔が存在しないスポンジ構造に形成されたことが確認できる。図6から、実施例14で製造された中空糸は、外側表面で3ミクロン内外の厚さを有する有効薄膜層と、サブレイヤー(sub-layer)としてメゾ気孔で構成されたスポンジ構造が確認できる。
また、図1〜図6を参照すると、本発明の中空糸は分離層の表面に欠陥が存在しないことが分かる。
【0221】
(実験例2)ガス透過性および選択性の測定
実施例1〜17および比較例1〜3から製造された中空糸のガス透過性および選択性を調べるために、下記の通りに行って、その結果を表1、図7および図8に表した。
ガス透過性は、膜に対する気体の透過速度を表す指数で、製造された中空糸でガス透過性測定用分離膜モジュールを製造し、下記数式1によって気体に対する透過流量を測定した。気体透過単位はGPU(Gas Permeation Unit、1×10−6cm/cm・sec・cmHg)を用いた。
選択性は、同一の膜で、個別気体単独で測定された透過性の比率として表した。
【0222】
【数1】

【0223】
上記の数式において、
Pはガス透過性を表し、dp/dtは正常状態下での圧力増加率であり、Vは下部体積であり、Pfは上部と下部との間の圧力差である。
Tは測定時の温度であり、Aeffは有効面的であり、PとTは標準圧力と温度である。
【0224】
【表1】

【0225】
上記表1を参照すると、本発明の実施例1〜17に係る中空糸の場合、比較例1〜3に比べて、H、O、CO等のガス種に対するガス透過性が非常に優れていることが分かる。
【0226】
図7は、本発明の実施例1〜17および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の酸素透過性および酸素/窒素選択性を比較して示したグラフである。
図8は、本発明の実施例1〜17および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の二酸化炭素透過性および二酸化炭素/メタン選択性を比較して示したグラフである。
【0227】
図7および図8を参照すると、本発明の中空糸は、類似する酸素/窒素選択性または二酸化炭素/メタン選択性を有する比較例に比べて、透過性が非常に優れていることが分かる。
【0228】
本発明の単純な変形または変更は、全てこの分野の通常の知識を有する者によって容易に実施でき、このような変形や変更は全て本発明の技術的範囲に含まれるものと認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に位置する空洞、
前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および
前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、
前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する中空糸であって、
ポリアミック酸から誘導される高分子を含み、
前記ポリアミック酸は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンヒドリドから製造された繰り返し単位を含む中空糸。
【請求項2】
表面部にピコ気孔からなる緻密層を含む、請求項1に記載の中空糸。
【請求項3】
前記緻密層は、表面に近いほどピコ気孔の数が多くなる構造に形成される、請求項2に記載の中空糸。
【請求項4】
2つ以上の前記ピコ気孔が三次元的に連結されて形成された三次元ネットワーク構造は、連結部位が狭い溝を形成する砂時計形状の構造である、請求項1に記載の中空糸。
【請求項5】
前記官能基は、OH、SH、またはNHを含む、請求項1に記載の中空糸。
【請求項6】
前記高分子は、0.15〜0.40の自由体積度を有する、請求子1に記載の中空糸。
【請求項7】
前記高分子は、XRD測定による面間距離が580pm〜800pmの範囲にある、請求項1に記載の中空糸。
【請求項8】
前記高分子はピコ気孔を含み、
前記ピコ気孔は、陽電子消滅時間分光分析測定による半値全幅が10pm〜40pmの範囲にある、請求項1に記載の中空糸。
【請求項9】
前記高分子は100〜1,000m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載の中空糸。
【請求項10】
前記ポリアミック酸は、下記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸、下記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択される、請求項1に記載の中空糸。
【化1】

[前記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基より選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項11】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項10に記載の中空糸。
【化2】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここでR、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項12】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項11に記載の中空糸。
【化3−1】

【化3−2】

【請求項13】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項10に記載の中空糸。
【化4】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項14】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項13に記載の中空糸。
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

【請求項15】
前記Qは、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)の中から選択される、請求項10に記載の中空糸。
【請求項16】
前記Arは下記化学式A、BまたはCで示されるものであり、前記Arは下記化学式DまたはEで示されるものであり、前記QはC(CFである、請求項10に記載の中空糸。
【化6】

【請求項17】
前記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸の共重合体における各繰り返し単位間のモル比、または前記化学式5〜化学式8におけるm:lのモル比は、0.1:9.9〜9.9:0.1である、請求項10に記載の中空糸。
【請求項18】
前記高分子は、下記化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで示される高分子またはこれらの共重合体を含む、請求項1に記載の中空糸。
【化7−1】

【化7−2】

[前記化学式19〜化学式32において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Ar’およびArは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Y”は、OまたはSであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項19】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項18に記載の中空糸。
【化8】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項20】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項19に記載の中空糸。
【化9−1】

【化9−2】

【請求項21】
前記Ar’およびArは、下記式で示されるものから選択される、請求項18に記載の中空糸。
【化10】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項22】
前記Ar’およびArは、下記式で示されるものから選択される、請求項21に記載の中空糸。
【化11−1】

【化11−2】

【化11−3】

【請求項23】
前記Qは、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)の中から選択される、請求項18に記載の中空糸。
【請求項24】
前記Arは、下記化学式A、BまたはCで示されるものであり、前記Ar’は下記化学式F、GまたはHで示されるものであり、前記Arは下記化学式DまたはEで示されるものであり、前記QはC(CFである、請求項18に記載の中空糸。
【化12】

【請求項25】
He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する気体分離膜として使用するものである、請求項1に記載の中空糸。
【請求項26】
/N選択性が4以上であり、CO/CH選択性が30以上であり、H/N選択性が30以上であり、H/CH選択性が50以上であり、CO/N選択性が20以上であり、He/N選択性が40以上である、請求項25に記載の中空糸。
【請求項27】
/N選択性が4〜20であり、CO/CH選択性が30〜80であり、H/N選択性が30〜80であり、H/CH選択が50〜90であり、CO/N選択性が20〜50であり、He/N選択性が40〜120である、請求項26に記載の中空糸。
【請求項28】
アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも1つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンヒドリドから製造された繰り返し単位を有するポリアミック酸;
有機溶媒;および
添加剤;を含み、
前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;メタノール、エタノール、2−メチル−1−ブタノール、および2−メチル−2−ブタノールからなる群より選択されたアルコール;γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、アセトン、およびメチルエチルケトンからなる群より選択されたケトン;テトラヒドロフラン;トリクロロエタン;並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択されるものであり、
前記添加剤は、水;グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびジエチレングリコールからなる群より選択されたアルコール;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサン、キチン、デキストラン、およびポリビニルピロリドンからなる群より選択された高分子化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リチウムアセテート、硫酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムからなる群より選択された塩;並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択される中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項29】
前記官能基は、OH、SH、またはNHを含む、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項30】
前記ポリアミック酸10〜45重量%、前記有機溶媒25〜70重量%、および前記添加剤5〜40重量%を含む、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項31】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、粘度が2Pa・s〜200Pa・sである、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項32】
前記ポリアミック酸は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜200,000である、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項33】
前記ポリアミック酸は、下記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸、下記化学式5〜化学式8で示されるポリアミック酸共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択される、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化13】

[前記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)2、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項34】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化14】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項35】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項34に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化15−1】

【化15−2】

【請求項36】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化16】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、O、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項37】
前記Arは、下記式で示されるものから選択される、請求項36に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化17−1】

【化17−2】

【化17−3】

【請求項38】
前記Qは、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)の中から選択される、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項39】
前記Arは下記化学式A、BまたはCで示されるものであり、前記Arは下記化学式DまたはEで示されるものであり、前記QはC(CFである、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化18】

【請求項40】
前記化学式1〜化学式4で示されるポリアミック酸の共重合体における各繰り返し単位間のモル比、または前記化学式5〜化学式8におけるm:lのモル比は、0.1:9.9〜9.9:0.1である、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項41】
請求項28〜40のいずれか1項による中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリアミック酸系中空糸を製造する段階;
前記ポリアミック酸系中空糸をイミド化してポリイミド系中空糸を得る段階;および
前記ポリイミド系中空糸を熱処理して得られる再配列された高分子を含む中空糸を得る段階を含み、
中央部に位置する空洞、
前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および
前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔を含み、
前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成する構造を有する中空糸を製造する、中空糸の製造方法。
【請求項42】
前記再配列された高分子は、下記化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで示される高分子またはこれらの共重合体を含む、請求項41に記載の中空糸の製造方法。
【化19−1】

【化19−2】

[前記化学式19〜化学式32において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Ar’およびArは、同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立して、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Y”は、OまたはSであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項43】
前記ポリイミド系中空糸は、下記化学式33〜化学式40で示されるポリイミド、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択された一種を含む、請求項41に記載の中空糸の製造方法。
【化20】

[前記化学式33〜化学式40において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基によって連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換または非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、ここで、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置に連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一であるかまたは互いに異なり、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項44】
前記熱処理は、前記イミド化後、10〜30℃/minの昇温速度で400〜550℃まで昇温し、その温度で不活性雰囲気下にて1分〜1時間行う、請求項41に記載の中空糸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−523589(P2011−523589A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510421(P2011−510421)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002644
【国際公開番号】WO2009/142433
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(506172218)アイユーシーエフ エイチワイユー (インダストリー ユニヴァーシティー コオペレイション ファウンデイション ハンヤン ユニヴァーシティー) (8)
【Fターム(参考)】