説明

中空糸、中空糸形成用ドープ溶液組成物、およびそれを用いた中空糸の製造方法

中央部に位置する空洞、空洞の周辺に存在するマクロ気孔、およびマクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する中空糸を提供する。中空糸は、ポリイミドから誘導される高分子を含み、ポリイミドは、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸、中空糸形成用ドープ溶液組成物、およびそれを用いた中空糸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分離膜を商用化して産業に適用するためには、優れた熱的、化学的、機械的安定性、ならびに高い透過性および高い選択性を有さなければならない。このとき、透過性は透過物質が分離膜を通して透過して出る速度であり、選択性は互いに異なる二つの成分間の透過速度の比と定義される。
【0003】
分離膜は分離性能により逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜、気体分離膜等に分類することができ、形態により平膜と中空糸膜に大きく分けることができる。その中で非対称中空糸膜は、単位体積当たりの面積が最も高いため、気体分離のための分離膜として多く利用されている。
【0004】
気体混合物中の多様な気体成分から特定の気体成分を分離する工程は大変重要である。このような気体に対する分離工程には、膜分離法(membrane process)のみならず、圧力可変式吸着法(pressure swing adsorption process)および極低温処理(cryogenic process)等が使用されている。このような分離工程のうちの圧力可変式吸着法と極低温処理は、その工程に対する設計および運転法等がすでに開発されて現在幅広く使用されている普遍化した技術であるが、膜分離法を利用した気体分離はその歴史が相対的に短い。
【0005】
膜分離法に利用される気体分離膜は、多様な気体、例えば、水素、ヘリウム、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、アンモニア、硫化合物、軽い炭化水素気体等を分離、濃縮するために使用される。気体分離が適用され得る分野は、空気中の酸素または窒素の分離、圧縮空気中の水分除去等の多様な分野がある。
【0006】
膜を利用した気体分離の原理は、膜を透過する2つ以上の気体混合物中の各成分の透過性の差による。これは溶解−拡散過程を経るが、気体混合物は膜の一側面と接触して気体成分中の少なくとも一つの成分が選択的に溶解される。膜の内部では選択的拡散過程が進められ、これによって、透過する気体成分は気体混合物中の少なくとも一つ以上の気体成分よりも速く通過するようになる。相対的に透過性が低い気体成分は、気体混合物中の少なくとも一つ以上の成分よりも遅く膜を透過する。このような原理により気体混合物は選択的に透過した気体が多い流れと透過できなかった気体成分が多い流れの2種類に分離される。したがって、気体混合物を適切に分離するためには、特定の気体成分に対して高い透過性および選択性を有する膜形成物質を選択し、十分な透過性能を示すことができる構造で制御する技術が必要である。
【0007】
このような膜分離法をによって選択的に気体を分離、濃縮するために一般に分離膜の構造は、膜表面の緻密な選択分離層と膜下部に最小の透過抵抗を有する多孔性支持体とからなる非対称構造を有さなければならない。膜の特性である選択性は、選択分離層の構造により決定され、透過性は前記選択分離層の厚さおよび非対称膜の下部構造である多孔性支持体の多孔性の程度に依存する。また、混合気体を選択的に分離するためには、分離層の表面に欠陥がなく、気孔の大きさが1nm以下、つまり、ピコ単位でなければならない。
【0008】
高分子膜を用いた気体分離工程は、1977年、Monsanto社でPrismという商品名の気体分離膜モジュールを用いたシステムを開発して最初に商用化するに至り、これは既存の工法に比べてエネルギー消費と設備投資が少ないため、毎年気体分離市場で占める規模が益々増加している。
【0009】
米国特許第3,133,132号に非対称性構造を有するセルロースアセテート半透膜が開発されて以来、高分子膜に対する研究が多く行われ、相転移法(phase inversion method)を応用して多様な高分子を中空糸として製造している。
【0010】
一般に非対称中空糸膜を相転移法で製造する過程は、湿式紡糸法または乾・湿式紡糸法がある。代表的である乾・湿式紡糸法による中空糸製造工程は、(1)高分子ドープ溶液の中空糸紡糸段階、(2)大気との接触による揮発性成分の蒸発段階、(3)凝固槽への沈澱段階、(4)洗浄、乾燥等の後処理工程段階、の4段階に区分することができる。
【0011】
現在まで気体分離用中空糸膜素材として幅広く利用されたものは、主に有機高分子材料としてポリスルホン(polysulfone)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリピロロン(polypyrrolone)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)およびポリイミド(polyimide)等がある。このような多様な気体分離用高分子材料のうち、高い化学的、熱的安定性を有するポリイミド膜から特定のガス種に対する高い透過性および選択性を付与するための多様な努力が行われてきた。しかしながら、一般的な高分子膜の場合、透過性と選択性が互いに反比例する傾向を示す。
【0012】
一例として、米国特許第4,880,442号には、非硬直性無水物を利用して高分子鎖に高い自由体積度を付与し、透過性能を向上させたポリイミド膜が開示されている。また、米国特許第4,717,393号には、架橋ポリイミドを使用して既存のポリイミド気体分離膜に比べて高いガス選択性と高い安定性を有するポリイミド膜が開示されている。また、米国特許第4,851,505号および第4,912,197号には、一般的な汎用溶媒に優れた溶解性を有して工程上で発生する高分子加工の困難を減少させたポリイミド気体分離膜が開示されている。また、国際公開第2005/007277号には、ポリイミドとポリビニルピロリドン、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトンおよびこれらの混合物、からなる群より選択された一種の高分子を含む欠陥がない非対称膜を提案している。
【0013】
しかしながら、気体分離において商業的に利用可能な膜性能(空気分離の場合、酸素透過性は1バーレル(barrer)以上、酸素/窒素選択性は6.0以上)を有する高分子材料は相当に少数に局限されている。その理由は、高分子の構造を改善することに相当な制約が伴い、透過性と選択性の間に強い相関関係が成立し、ある上限線以上の分離および透過性能を有し難いためである。
【0014】
また、既存の高分子膜素材はその透過特性および分離特性において相当に制約的であり、またこのような高分子膜は高圧および高温工程や炭化水素、芳香族および極性溶媒を含有した気体混合物に長期間露出すれば、分解されるか、または劣化(aging)して、初期の膜性能が顕著に減少する短所がある。このような問題点によって、気体分離工程の高い経済的価値にもかかわらず、その応用が今のところは相当に制約的な水準に留まっている。
【0015】
したがって、高い透過性と高い選択性とを同時に満足させることができる高分子素材と、このような素材を利用した新たな気体分離膜の開発が切実に要求されている。
【0016】
このような要求に応じて高いガス透過性および選択性を有し、正確な気孔を有する理想的な構造として高分子を改質するための多くの研究が行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3,133,132号公報
【特許文献2】米国特許第4,880,442号公報
【特許文献3】米国特許第4,717,393号公報
【特許文献4】米国特許第4,851,505号公報
【特許文献5】米国特許第4,912,197号公報
【特許文献6】国際公開第2005/007277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の一具現例は、気体の透過性と選択性とに優れた中空糸を提供することにその目的がある。
本発明の他の一具現例は、前記中空糸を製造するための中空糸形成用ドープ溶液組成物を提供することにその目的がある。
本発明のまた他の一具現例は、前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を用いた中空糸の製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一具現例は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する中空糸を提供する。前記中空糸は、ポリイミドから誘導される高分子を含み、前記ポリイミドはアミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を含む。
【0020】
前記中空糸は、表面部にピコ気孔からなる緻密層を含んでも良く、前記緻密層は表面に近いほどピコ気孔の数が多くなる構造で形成されても良い。
2つ以上の前記ピコ気孔が三次元的に連結されて形成された三次元ネットワーク構造は、連結部位が狭い谷を形成する砂時計形状(hourglass shaped)の構造であっても良い。
【0021】
前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHであっても良い。
【0022】
前記ポリイミドから誘導される高分子は、0.15〜0.40の自由体積度(fractional free volume、FFV)を有しても良く、X−線回折装置(X-Ray Diffractometer、XRD)で測定した面間距離(d-spacing)が580pm〜800pmの範囲にあっても良い。
また、前記ポリイミドから誘導される高分子はピコ気孔を含み、前記ピコ気孔は陽電子消滅時間分光分析(positron annihilation lifetime spectroscopy、PALS)測定による半値全幅(full width at half maximum、FWHM)が10pm〜40pmの範囲にある気孔分布を有する。
また、前記ポリイミドから誘導される高分子は、100〜1,000m/gのBET表面積を有しても良い。
【0023】
前記ポリイミドは、下記化学式1〜化学式4で表されるポリイミド、下記式化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択される。
【0024】
【化1】

【0025】
前記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は単独で存在し;2つ以上が互いに接合(fused)されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基で置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一または相異し、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。
【0026】
前記高分子は、下記の化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで表される高分子またはこれらの共重合体を含んでも良い。
【0027】
【化2−1】

【化2−2】

【0028】
前記化学式19〜化学式32において、
Ar、Ar、Q、n、mおよびlは、それぞれ前記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、n、mおよびlで説明したものと同一であり、
Ar'は、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Y”は、OまたはSである。
【0029】
前記中空糸は、He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する気体分離膜として使用しても良い。
【0030】
/N選択性が4以上であり、CO/CH選択性が30以上であり、H/N選択性が30以上であり、H/CH選択性が50以上であり、CO/N選択性が20以上であり、He/N選択性が40以上である。より具体的に、O/N選択性が4〜20であり、CO/CH選択性が30〜80であり、H/N選択性が30〜80であり、H/CH選択性が50〜90であり、CO/N選択性が20〜50であり、He/N選択性が40〜120である。
【0031】
本発明の他の一具現例は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を有するポリイミド、有機溶媒および添加剤を含む中空糸形成用ドープ溶液組成物を提供する。
前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N−メチルピロリドン;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、からなる群より選択されたケトン;およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択されても良い。
前記添加剤は、水;メタノール、エタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール、からなる群より選択されたアルコール;アセトンおよびメチルエチルケトンからなる群より選択されたケトン;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサン、キチン、デキストランおよびポリビニルピロリドン、からなる群より選択された高分子化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リチウムアセテート、硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム、からなる群より選択された塩;テトラヒドロフラン;トリクロロエタン;およびこれらの混合物、からなる群より選択されても良い。
【0032】
前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHであっても良い。
【0033】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、前記ポリイミド10〜45重量%、前記有機溶媒25〜70重量%、および前記添加剤2〜30重量%を含んでも良い。
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、粘度が2Pa・s〜200Pa・sであっても良い。
【0034】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物における前記ポリイミドは、重量平均分子量(Mw)が10,000〜200,000であっても良い。
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物における前記ポリイミドは、前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミド、前記化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択されても良い。
【0035】
本発明のまた他の一具現例は、前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリイミド系中空糸を製造する段階、および前記ポリイミド系中空糸を熱処理して得られる再配列された高分子を含む中空糸を得る段階を含む中空糸の製造方法を提供する。前記中空糸は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する。
【0036】
前記再配列された高分子は、前記化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで表される高分子またはこれらの共重合体を含んでも良い。
【0037】
前記化学式1〜化学式8で表されるポリイミドは、下記の化学式33〜化学式40で表されるポリアミック酸をイミド化して得られても良い。
【0038】
【化3】

【0039】
前記化学式33〜化学式40において、
Ar、Ar、Q、Y、n、mおよびlは、それぞれ前記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、Y、n、mおよびlで説明したものと同一である。
【0040】
前記イミド化は、化学的イミド化または熱的溶液イミド化工程で行われても良い。
【0041】
前記化学的イミド化は、20〜180℃で4〜24時間行っても良い。
また、前記化学的イミド化は、イミド化の進行前にポリアミック酸のオルト位に存在する官能基を保護基として保護する段階;および前記イミド化の進行以降に保護基を除去する段階;をさらに含んでも良い。
【0042】
前記熱的溶液イミド化は、溶液上で100〜180℃で2〜30時間行っても良い。
前記熱的溶液イミド化は、イミド化の進行前にポリアミック酸のオルト位に存在する官能基を保護基として保護する段階;および前記イミド化の進行以降に保護基を除去する段階;をさらに含んでも良い。
また、前記熱的溶液イミド化は、共沸混合物を添加して行われても良い。
【0043】
前記中空糸の製造方法において、ポリイミド系中空糸の熱処理は、10〜30℃/minの昇温速度で400〜550℃まで昇温し、その温度で不活性雰囲気下にて1分〜1時間行っても良い。
【0044】
前記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40におけるArの例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良い。
【0045】
【化4】

【0046】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0047】
前記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40におけるArの具体的な例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良い。
【0048】
【化5−1】

【化5−2】

【0049】
前記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40におけるArの例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良い。
【0050】
【化6】

【0051】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここでR、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0052】
前記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40におけるArの具体的な例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良い。
【0053】
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

【0054】
前記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40におけるQの例は、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)のうちで選択されても良い。
【0055】
前記化学式19〜化学式32におけるAr'の例および具体的な例は、前記化学式1〜化学式8および化学式19〜化学式40におけるArの例および具体的な例として言及されたものと同一である。
【0056】
前記化学式1〜化学式8において、Arは、下記の化学式A、BまたはCで表されるものであっても良く、Arは、下記の化学式DまたはEで表されるものであっても良く、Qは、C(CFであっても良い。
【0057】
【化8】

【0058】
前記化学式19〜化学式32において、Arは、前記化学式A、BまたはCで表されるものであっても良く、Ar'は、下記のF、GまたはHで表されるものであっても良く、Arは、前記化学式DまたはEで表されるものであっても良く、Qは、C(CFであっても良い。
【0059】
【化9】

【0060】
前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミドの共重合体における各繰り返し単位の間のモル比および前記化学式5〜化学式8におけるm:lのモル比は、0.1:9.9〜9.9:0.1であっても良い。
【0061】
その他本発明の具現例の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0062】
本発明の中空糸は、気体に対する透過性、選択性、機械的強度、および化学的安定性に優れており、長い作業時間、酸性条件および高湿のような苛酷な条件下でも耐えられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1で製造された中空糸の一部断面を100倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で製造された中空糸の一部断面を3,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で製造された中空糸の一部断面を10,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で製造された中空糸の一部断面を40,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例8で製造された中空糸の一部断面を100倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例8で製造された中空糸の一部断面を1,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例8で製造された中空糸の一部断面を5,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例1〜18および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の酸素透過性および酸素/窒素選択性を比較したグラフである(1'〜3':比較例1〜3、1〜18:実施例1〜18)。
【図9】実施例1〜18および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の二酸化炭素透過性および二酸化炭素/メタン選択性を比較したグラフである(1'〜3':比較例1〜3、1〜18:実施例1〜18)。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の具現例を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであり、これによって本発明が制限されるのではなく、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇により定義される。
【0065】
本明細書で別途の定義がない限り、「表面部」は中空糸の外側表面部、内側表面部、または外側表面部/内側表面部を指称し、「表面」は中空糸の外側表面、内側表面、または外側表面/内側表面を指称する。また、「ピコ気孔」は気孔の平均直径が数百ピコメートル、具体的には100pm〜1000pmである気孔を意味し、「メゾ気孔」は気孔の平均直径が2nm〜50nmである気孔を意味し、「マクロ気孔」は気孔の平均直径が50nmよりも大きい気孔を意味する。
本明細書で別途の定義がない限り、「置換」または「置換された」とは、化合物または官能基中の水素原子がC1〜C10アルキル基、C1〜C10アルコキシ基、C1〜C10ハロアルキル基およびC1〜C10ハロアルコキシ基からなる群より選択される一種以上の置換基で置換されたことを意味し、「ヘテロ環基」とは、O、S、N、P、Siおよびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される元素を含む置換または非置換されたヘテロ環基を意味する。また、「共重合体」とは、ブロック共重合体ないしランダム共重合体を意味する。
【0066】
本発明の一具現例による中空糸は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する中空糸である。
前記中空糸は、ポリイミドから誘導される高分子を含み、前記ポリイミドは、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を含む。
【0067】
前記中空糸は、表面部にピコ気孔からなる緻密層を含んでも良い。このような緻密層の存在により前記中空糸は気体を選択的且つ効率的に分離することができる。前記緻密層の厚さは、50nm〜1μmであっても良いが、これに限定されない。
前記緻密層は、表面に近いほどピコ気孔の数が多くなる構造で形成されても良い。これによって、前記中空糸表面における選択的な気体分離が効果的に行われ、膜下部における気体の濃縮が効果的に行われ得る。
【0068】
2つ以上の前記ピコ気孔が三次元的に連結されて形成された三次元ネットワーク構造は、連結部位が狭い谷を形成する砂時計形状(hourglass shaped)の構造であっても良い。前記2つ以上のピコ気孔の連結部位に狭い谷の領域が存在することによって、分離しようとする気体を選択的に分離することができ、前記谷領域に比べて相対的に広いピコ気孔では分離された気体が速く移動することができる。
【0069】
前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHであっても良い。前記ポリイミドは、当業界に公知の方法により製造しても良い。一例として、前記ポリイミドは、アミン基に対してオルト位にOH基を含むポリヒドロキシアミック酸、SH基を含むポリチオールアミック酸、NH基を含むポリアミノアミック酸またはポリアミック酸の共重合体をイミド化して製造する。
前記ポリイミドは、後述する製造工程によって熱転換され、高い自由体積度を有するポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンのような高分子に変化され得る。例えば、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基がOHであるポリヒドロキシイミドはポリベンズオキサゾールに、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基がSHであるポリチオールイミドはポリベンズチアゾールに、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基がNHであるポリアミノイミドはポリピロロンに転換される。これによって、本発明の一具現例による中空糸は、前記のような高い自由体積度を有するポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンのような高分子を含んでも良い。
【0070】
前記ポリイミドから誘導される高分子は、0.15〜0.40の自由体積度(FFV)を有しても良く、XRD測定による面間距離が580pm〜800pmの範囲にあっても良い。これによって、前記ポリイミドから誘導される高分子は、優れたガス透過性を有することができ、前記ポリイミドから誘導される高分子を含む中空糸は気体を選択的且つ効果的に分離することができる。
【0071】
また、前記ポリイミドから誘導される高分子は、ピコ気孔を含み、前記ピコ気孔の平均直径は600pm〜800pmであっても良い。前記ピコ気孔は、陽電子消滅時間分光分析(positron annihilation lifetime spectroscopy、PALS)測定による半値全幅(full width at half maximum、FWHM)が10pm〜40pmの範囲にあっても良い。これは生成されるピコ気孔の大きさが相当に均一であることを示す。これによって、前記ポリイミドから誘導される高分子を含む中空糸は、気体を選択的且つ安定的に分離することができる。前記PALSは、22Na同位元素から発生される陽電子を照射して生成時に発生される1.27MeVのγと消滅時に生成される0.511MeVのγ、γの時間差τ、τ、τ等を用いて得ることができる。
【0072】
前記ポリイミドから誘導される高分子は、100〜1,000m/gのBET(Brunauer-Emmett-Teller)表面積を有しても良い。BET表面積が前記範囲内であれば、気体が吸着され得る適切な表面積を確保することができる。これによって、前記中空糸は溶解−拡散メカニズムにより気体を分離するに当たり、優れた選択性および透過性を示す。
前記ポリイミドは、下記の化学式1〜化学式4で表されるポリイミド、下記の化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択されても良いが、これに限定されない。
【0073】
【化10】

【0074】
前記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合(fused)されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一または相異し、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。
【0075】
前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミドの共重合体の例としては、下記の化学式9〜化学式18で表されるポリイミド共重合体が挙げられる。
【0076】
【化11−1】

【化11−2】

【0077】
前記化学式9〜化学式18において、
Ar、Q、n、m、lは、前記化学式1〜化学式8で定義したものと同一であり、
YおよびY'は、相異し、それぞれ独立してOH、SH、またはNHである。
【0078】
前記化学式1〜化学式18におけるArの例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良い。
【0079】
【化12】

【0080】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0081】
前記化学式1〜化学式18におけるArの具体的な例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良いが、これに限定されない。
【0082】
【化13−1】

【化13−2】

【0083】
前記化学式1〜化学式18におけるArは、下記式で表示されたもののうちから選択されても良いが、これに限定されない。
【0084】
【化14】

【0085】
上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここでR、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。
【0086】
前記化学式1〜化学式18におけるArの具体的な例は、下記式で表示されたもののうちから選択されても良いが、これに限定されはない。
【0087】
【化15−1】

【化15−2】

【化15−3】

【0088】
前記化学式1〜化学式18におけるQの例は、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)またはC(=O)のうちで選択されても良いが、これに限定されない。
【0089】
前記化学式1〜化学式18におけるArは、下記の化学式A、BまたはCで表されるものであっても良く、Arは、下記の化学式DまたはEで表されるものであっても良く、Qは、C(CFであっても良いが、これに限定されない。
【0090】
【化16】

【0091】
前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミドは、後述する製造工程によって熱転換され、高い自由体積度を有するポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンに転換される。このとき、YがOHであるポリヒドロキシイミドから誘導されたポリベンズオキサゾール、YがSHであるポリチオールイミドから誘導されたポリベンズチアゾール、YがNHであるポリアミノイミドから誘導されたポリピロロンを含む中空糸が製造される。
【0092】
前記化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体は、後述する製造工程によって熱転換され、高い自由体積度を有するポリ(ベンズオキサゾール−イミド)共重合体、ポリ(ベンズチアゾール−イミド)共重合体、ポリ(ピロロン−イミド)共重合体に転換され、これによって前記のような共重合体を含む中空糸を形成することができる。このとき、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンに熱転換されるブロックとポリイミドで存在するブロックとの間の共重合比を調節し、製造された中空糸の物性制御が可能である。
【0093】
前記化学式9〜化学式18で表されるポリイミドの共重合体は、後述する製造工程によって熱転換され、高い自由体積度を有するポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンの共重合体に転換され、これによって前記のような共重合体を含む中空糸を形成することができる。このとき、それぞれポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンに熱転換されるブロック間の共重合比(モル比)を調節し、製造された中空糸の物性制御が可能である。
【0094】
前記化学式5〜化学式18で表されるポリイミド共重合体のブロック間共重合比(モル比)m:lは、0.1:9.9〜9.9:0.1、具体的には2:8〜8:2、より具体的には5:5に調節しても良い。このような共重合比は製造された中空糸のモフォロジーに影響を与え、このようなモフォロジー変化はガス透過性および選択性に関連している。前記ブロック間の共重合比が前記範囲内である場合、製造された中空糸は優れたガス透過性および選択性を有することができる。
【0095】
前記中空糸における前記ポリイミドから誘導される高分子は、下記の化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで表される高分子またはこれらの共重合体を含んでも良いが、これに限定されない。
【0096】
【化17−1】

【化17−2】

【化17−3】

【0097】
前記化学式19〜化学式32において、
Ar、Ar、Q、n、mおよびlは、それぞれ前記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、n、mおよびlで説明したものと同一であり、
Ar'は、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Y”は、OまたはSである。
【0098】
前記化学式19〜化学式32におけるAr、ArおよびQの例および具体的な例は、それぞれ前記化学式1〜化学式18のAr、ArおよびQの例および具体的な例として言及されたものと同一である。
また、前記化学式19〜化学式32におけるAr'の例および具体的な例は、前記化学式1〜化学式18のArの例および具体的な例として言及されたものと同一である。
【0099】
前記化学式19〜化学式32におけるArは、前記化学式A、BまたはCで表されるものであっても良く、Ar'は、下記の化学式F、GまたはHで表されるものであっても良く、Arは、前記化学式DまたはEで表されるものであっても良く、Qは、C(CFであっても良いが、これに限定されない。
【0100】
【化18】

【0101】
前記中空糸は、He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する気体分離用として使用しても良い。このとき、前記中空糸は気体分離膜の形態として使用されても良い。前記混合気体の具体的な例としては、O/N、CO/CH、H/N、H/CH、CO/NおよびHe/Nが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0102】
前記中空糸は、混合気体がO/Nである場合、4以上、具体的には4〜20の選択性を有しても良く、混合気体がCO/CH-である場合、30以上、具体的には30〜80の選択性を有しても良く、混合気体がH/Nである場合、30以上、具体的には30〜80の選択性を有しても良く、混合気体がH/CHである場合、50以上、具体的には50〜90の選択性を有しても良く、混合気体がCO/Nである場合、20以上、具体的には20〜50の選択性を有しても良く、混合気体がHe/Nである場合、40以上、具体的には40〜120の選択性を有しても良い。
【0103】
本発明の他の一具現例による中空糸形成用ドープ溶液組成物は、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を有するポリイミド、有機溶媒および添加剤を含む。
【0104】
前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N−メチルピロリドン;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、からなる群より選択されたケトン;並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択されても良いが、これに限定されるのではない。より具体的に、前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミドである。前記有機溶媒を使用すると高分子を容易に溶解することができ、下記添加剤とよく混合されることによって準安定状態(meta-stable state)を形成することができ、これによって薄い有効膜厚を有する優れた中空糸を形成することができる。
【0105】
前記添加剤は、水;メタノール、エタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール、からなる群より選択されたアルコール;アセトンおよびメチルエチルケトンからなる群より選択されたケトン;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサン、キチン、デキストランおよびポリビニルピロリドン、からなる群より選択された高分子化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リチウムアセテート、硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム、からなる群より選択された塩;テトラヒドロフラン;トリクロロエタン;並びにこれらの混合物、からなる群より選択されても良いが、これに限定されるのではない。より具体的に、前記添加剤は、水、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンおよびこれらの組み合わせ、からなる群より選択されても良い。前記添加剤は、ポリアミック酸高分子と溶解度が優秀なものではないため、単独で使用することはできないが、有機溶媒と適切に混合されることによって準安定な(meta-stable)ドープ溶液を製造することができ、ドープ溶液を紡糸する時、非溶媒(non-solvent)である凝固槽溶液との速い拡散により均一な薄膜を形成することはもちろん、サブレイヤー(sub-layer)のマクロ気孔の製造にもより一層有利である。
【0106】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、前記アミン基に対してオルト位に存在する官能基は、OH、SH、またはNHであっても良い。
【0107】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、前記ポリイミド10〜45重量%、前記有機溶媒25〜70重量%、および前記添加剤2〜30重量%を含んでも良い。
【0108】
前記ポリイミドの含有量が前記範囲内である場合、中空糸の強度および気体の透過性を優秀に維持することができる。
【0109】
前記有機溶媒は、前記ポリイミドを溶解する役割を果たす。前記有機溶媒の含量が前記範囲内である場合、中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度を適切に維持して中空糸の製造を容易にし、中空糸の透過性を向上させることができる。
【0110】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物は、粘度は2Pa・s〜200Pa・sであっても良い。中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度が前記範囲内である場合、中空糸形成用ドープ溶液組成物をノズルを介して容易に紡糸することができ、中空糸を相転移現象を通じて容易に固形に凝固させることができる。
【0111】
前記添加剤は、相分離温度または中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘性調節のために使用されても良いが、これに限定されるのではない。
【0112】
添加剤の含量が前記範囲内である場合、中空糸を容易に製造することができ、また中空糸の表面気孔の大きさを適切に調節して緻密層を容易に形成することができる。
【0113】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物において、前記ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は10,000〜200,000であっても良い。ポリイミドの重量平均分子量が前記範囲内である場合、その合成が容易であり、これを含む中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度が適切に維持されて加工性に優れており、前記ポリイミドから誘導される高分子は機械的強度および特性が優秀に維持され得る。
【0114】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物における前記ポリイミドは、前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミド、前記化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択されても良い。
【0115】
本発明のまた他の一具現例による中空糸の製造方法は、前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリイミド系中空糸を製造する段階、および前記ポリイミド系中空糸を熱処理して得られる再配列された高分子を含む中空糸を得る段階を含む。前記製造方法により製造された中空糸は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する。
【0116】
前記再配列された高分子は、前記化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで表される高分子またはこれらの共重合体を含むものであっても良いが、これに限定されるのではない。
前記ポリイミド系中空糸は、前記化学式1〜化学式8で表されるポリイミド、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択された一種を含むものであっても良いが、これに限定されるのではない。
【0117】
前記化学式1〜化学式8で表されるポリイミドは、下記の化学式33〜化学式40で表されるポリアミック酸をイミド化して得ても良い。
【0118】
【化19】

【0119】
前記化学式33〜化学式40において、
Ar、Ar、Q、Y、n、mおよびlは、それぞれ前記化学式1〜化学式8のAr、Ar、Q、Y、n、mおよびlで説明したものと同一である。
【0120】
前記化学式33〜化学式36で表されるポリアミック酸の共重合体の例としては、下記の化学式41〜化学式50で表されるポリアミック酸共重合体が挙げられる。
【0121】
【化20−1】

【化20−2】

【0122】
前記化学式41〜化学式50において、
Ar、Q、Y、Y'、n、mおよびlは、それぞれ前記化学式1〜化学式18のAr、Q、Y、Y'、n、mおよびlで説明したものと同一である。
【0123】
前記イミド化は、化学的イミド化または熱的溶液イミド化工程で行われても良いが、これに限定されるのではない。
【0124】
前記化学的イミド化は、20〜180℃で4〜24時間反応を進行させることによって行なわれても良い。このとき、触媒としてピリジンと生成された水の除去のための無水酢酸を添加しても良い。化学的イミド化の温度が前記範囲以内である場合、ポリアミック酸のイミド化が十分に行なわれ得る。
【0125】
前記化学的イミド化は、先に前記ポリアミック酸でアミン基のオルト位に存在する官能基のOH、SHおよびNHを保護した後に行なわれ得る。具体的には、前記官能基であるOH、SHおよびNHに保護基を導入し、イミド化を進行した後、保護基を除去する方法で行なわれ得る。前記保護基としては、トリメチルクロロシラン((CHSiCl)、トリエチルクロロシラン((CSiCl)、トリブチルクロロシラン((CSiCl)、トリベンジルクロロシラン((CSiCl)、トリエトキシクロロシラン((OCSiCl)等のようなクロロシラン、テトラヒドロフラン(tetrahydrofurane、THF)のようなヒドロフランを使用しても良く、このとき、塩基としてトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン等のような第三級アミンを使用しても良い。また、前記保護基を除去する物質としては、希釈された塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等を使用しても良い。前記のように保護基を使用した化学的イミド化は、本発明の一具現例による中空糸を形成する高分子の収率および分子量を増加させることができる。
【0126】
前記熱的溶液イミド化は、溶液上で100〜180℃で2〜30時間反応を進行させることによって行なわれ得る。熱的溶液イミド化の温度が前記範囲以内である場合、ポリアミック酸のイミド化が十分に行なわれ得る。
【0127】
前記熱的溶液イミド化は、先に前記ポリアミック酸でアミン基のオルト位に存在する官能基であるOH、SHおよびNHを保護した後に行なわれ得る。具体的には、前記官能基であるOH、SHおよびNHに保護基を導入し、イミド化を進行した後、保護基を除去する方法で行なわれ得る。前記保護基としては、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリベンジルクロロシラン、トリエトキシクロロシラン等のようなクロロシラン、テトラヒドロフランのようなヒドロフランを使用しても良く、このとき、塩基としてトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ピリジン等のような第三級アミンを使用しても良い。前記保護基を除去する物質としては、希釈された塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等を使用しても良い。
【0128】
また、前記熱的溶液イミド化は、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール等のベンゼン類、ヘキサン等の脂肪族有機溶媒類、シクロヘキサン等の脂環族有機溶媒類等をさらに添加してなる共沸混合物を利用して行なわれても良い。
【0129】
前記のように保護基を導入し、共沸混合物を使用することによって行なわれた熱的溶液イミド化は、安定したドープ溶液組成物を形成させることができ、本発明の一具現例による中空糸を形成する高分子の収率および分子量を増加させることができる。
【0130】
前記イミド化の条件は、前記ポリアミック酸の官能基であるAr、Ar、Q、YおよびY’の種類に応じて適切に調節することができる。
【0131】
前記イミド化反応を下記反応式1および反応式2によって具体的に説明する。
【0132】
【化21】

【0133】
【化22】

【0134】
前記反応式1および反応式2において、
Ar、Ar、Q、Y、Y'、n、m、およびlは、前記化学式1〜化学式18で定義したものと同一である。
【0135】
前記反応式1を参照すれば、前記化学式33、化学式34、化学式35および化学式36で表されるポリアミック酸(ポリヒドロキシアミック酸、ポリチオールアミック酸、ポリアミノアミック酸)を環化反応であるイミド化反応によってそれぞれ前記化学式1、化学式2、化学式3および化学式4で表されるポリイミドに形成する。
また、前記化学式37、化学式38、化学式39および化学式40で表されるポリアミック酸共重合体をイミド化してそれぞれ前記化学式5、化学式6、化学式7および化学式8で表されるポリイミド共重合体を得る。
【0136】
前記反応式2を参照すれば、前記化学式41〜化学式50で表されるポリアミック酸共重合体をイミド化してそれぞれ化学式9〜化学式18で表されるポリイミド共重合体を得る。
【0137】
前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリイミド系中空糸を製造する段階において、前記紡糸は当該分野で一般に使用される方法を利用しても良く、具体的には乾式紡糸または乾・湿式紡糸法を利用しても良い。
【0138】
一般的な中空糸製造方法は、溶液紡糸法による溶媒交換法が主に使用されている。これは中空糸形成用ドープ溶液組成物を溶媒に溶解して乾式または乾・湿式紡糸法により紡糸した後、非溶媒中で溶媒と非溶媒が交換されて微細孔が形成されるようにし、溶媒が凝固槽である非溶媒に拡散される過程で非対称膜または外部と内部に同一な対称膜が形成される。
【0139】
一例として、乾・湿式紡糸法を利用して中空糸を製造する場合、(a1)中空糸形成用ドープ溶液組成物を製造する段階、(a2)製造された中空糸形成用ドープ溶液組成物を内部凝固剤と接触させて中空糸の内部を凝固させつつ空気中に紡糸してポリイミド系中空糸を形成する段階、(a3)形成されたポリイミド系中空糸を凝固槽内で凝固させる段階、(a4)凝固されたポリイミド系中空糸を洗浄液で洗浄した後に乾燥する段階、および(a5)乾燥されたポリイミド系中空糸を熱処理して再配列(転位、rearrangement)された高分子を含む中空糸を得る段階、を経ることによって本発明の一具現例による中空糸が製造される。
【0140】
このとき、内側ノズルを通じて内部凝固剤が吐出される流量は、1〜10ml/minであっても良く、具体的には1〜3ml/minであっても良い。また、二重ノズルの外側内径は、0.1〜2.5mmであっても良い。このような内部凝固剤の流量と二重ノズルの外側内径は中空糸の用途および運転条件に応じて前記範囲内で調節され得る。
【0141】
ノズルから凝固槽までのエアーギャップは、1cm〜100cmであっても良く、具体的には10cm〜50cmであっても良い。
【0142】
紡糸温度は5〜120℃、紡糸速度は5〜50m/min範囲を維持しつつ高温の紡糸ノズルを通過した後、凝固槽内で相転移を誘導する。このような紡糸温度と紡糸速度は製造される中空糸の用途および運転条件に応じて前記範囲内で変更が可能である。
【0143】
このとき、紡糸温度が前記範囲内である場合、中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘度が適切に維持されて中空糸形成用ドープ溶液組成物を容易に紡糸することができ、溶媒の蒸発も抑制されて中空糸を連続的に製造することができる。また、紡糸速度が前記範囲内である場合、流量が適切に維持され、製造される中空糸の機械的物性および化学的安定性を向上させることができる。
【0144】
凝固槽の温度は、0〜50℃であっても良い。凝固槽の温度が前記範囲内である場合、凝固槽溶媒の揮発を抑制し、相転移が十分に行われ得るようにして中空糸を円滑に製造することができる。
【0145】
前記凝固槽内の外部凝固剤は、高分子物質に対して非溶媒であり、溶媒および添加剤と相溶性があるものであれば如何なるものでも使用可能である。代表的に水、エタノール、メタノールまたはこれらの混合物を使用しても良い。
【0146】
その後、凝固された中空糸の内部および表面に残留した溶媒、添加剤および凝固液の除去のための洗浄過程および乾燥過程を行える。洗浄液としては、水または熱水を使用しても良く、洗浄時間は1時間〜24時間行っても良いが、これに限定されるのではない。
【0147】
洗浄後乾燥過程は、20〜100℃の範囲で3〜72時間行っても良い。
【0148】
前記ポリイミド系中空糸を熱処理すれば、熱転換反応によって再配列された高分子を含む中空糸を得ることができる。前記再配列された高分子を含む中空糸は、前記ポリイミド系中空糸に比べて減少した密度、ピコ気孔が大きくなることによって増加された自由体積度および増加された面間距離を有することができる。これによって、前記再配列された高分子を含む中空糸は優れたガス透過性および選択性を有することができる。
【0149】
前記熱処理は、前記イミド化後、10〜30℃/minの昇温速度で400〜550℃、具体的には450〜500℃まで昇温し、その温度で不活性雰囲気下にて1分〜1時間、具体的には10分〜30分間行っても良い。このとき、温度が前記範囲内である場合、熱転換反応が十分に行なわれ得る。
【0150】
以下、前記熱処理段階を下記反応式3および反応式4によって具体的に説明する。
【0151】
【化23】

【0152】
【化24】

【0153】
前記反応式3および反応式4において、
Ar、Ar'、Ar、Q、Y、Y”、n、m、およびlは、前記化学式1〜化学式50で定義したものと同一である。
【0154】
前記反応式3を参照すれば、前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミドを含むポリイミド系中空糸は、上述した熱処理によって、化学式19〜化学式25で表されるポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロン高分子を含む中空糸へと変換される。このような高分子を含む中空糸の製造は、化学式1〜化学式4で表されるポリイミド中のCO除去反応によって行われる。
【0155】
このとき、前記化学式1〜化学式4のYがOHであるポリヒドロキシイミドまたはYがSHであるポリチオールイミドは、それぞれ化学式19、化学式21、化学式23および化学式24で表されるポリベンズオキサゾール(Y”=O)またはポリベンズチアゾール(Y”=S)に熱転換される。また、前記化学式1〜化学式4のYがNHであるポリアミノイミドは、化学式20、化学式22および化学式25で表されるポリピロロンに熱転換される。
【0156】
前記反応式4を参照すれば、前記化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体を含むポリイミド系中空糸は、上述した熱処理によって、ポリイミド中のCO除去反応によって化学式26〜化学式32で表される高分子を含む中空糸へと変換される。
【0157】
このとき、前記化学式5〜化学式8のYがOHであるポリヒドロキシイミドまたはYがSHであるポリチオールイミドは、化学式26、化学式28、化学式30および化学式31で表されるポリ(ベンズオキサゾール(Y”=O)−イミド)共重合体またはポリ(ベンズチアゾール(Y”=S)−イミド)共重合体に熱転換される。また、前記化学式5〜化学式8のYがNHであるポリアミノイミドは、化学式27、化学式29および化学式32で表されるポリ(ピロロン−イミド)共重合体に熱転換される。
【0158】
本発明の前記化学式9〜化学式18で表されるポリイミドの共重合体を含むポリイミド系中空糸は、熱処理によって、各イミドブロックがYの種類に応じてポリベンズオキサゾール、ポリベンズチアゾール、ポリピロロンに熱転換されてこれらの共重合体、つまり、化学式19〜化学式25で表される高分子の共重合体を含む中空糸を形成する。
【0159】
このとき、中空糸は、製造工程を調節して、マクロ気孔が形成されたフィンガー型または断面上にマクロ気孔が存在せず、安定した膜性能を有するスポンジ型でも製造することができる。また、製造工程を調節して対称形、非対称型でも製造することができる。また、化学構造内のAr、Ar'、ArおよびQの特性を考慮して高分子設計を調節し、各種のガス種に対するガス透過性および選択性に対する制御を行なうことができる。
【0160】
このように製造された中空糸は、前記化学式19〜化学式32で表される高分子またはこれらの共重合体を含んでも良いが、これに限定されるのではない。
【0161】
本発明の一具現例による中空糸は、高分子内に存在する硬い高分子主鎖により温和な条件でのみならず、長い作業時間、酸性条件および高湿のような苛酷な条件下でも耐えられる。つまり、本発明の一具現例による中空糸は、化学的安定性および機械的物性に優れている。
【0162】
このとき、前記化学式19〜化学式32で表される高分子またはこれらの共重合体は、製造段階で適切な重量平均分子量を有するように設計し、好ましくは重量平均分子量が10,000〜200,000となるようにする。これらの重量平均分子量が10,000未満である場合には、高分子の物性が劣悪であり、200,000を超える場合には、中空糸形成用ドープ溶液組成物の粘性が大きく増加し、ポンプを利用して前記中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸し難いという問題点がある。
【0163】
また、本発明の一具現例による中空糸は、その中央部に位置する空洞、前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造で形成されることによって、高い自由体積度を有し、気体の選択性およびガス透過性に優れている。例えば、He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する透過性および選択性に優れている。
【実施例】
【0164】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかしながら、下記の実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例により限定されるのではない。
【0165】
(実施例1)
下記反応式5で表される反応によって、ポリヒドロキシイミドを含む中空糸形成用ドープ溶液組成物から下記の化学式51で表されるポリベンズオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0166】
【化25】

【0167】
(1)ポリヒドロキシイミドの製造
窒素でパージされた1000mlの反応器に2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)を入れ、溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を添加した。このとき、反応器はオイルに満たされた恒温槽に入れて一定の反応温度である−15℃を維持することができるようにした。4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド44.4g(0.1mol)を溶液に徐々に注入して4時間反応させて薄黄色のポリヒドロキシアミック酸溶液を製造した。
このとき、300mlのトルエンを前記製造したポリヒドロキシアミック酸溶液に添加し、反応槽の温度を150℃まで上昇させつつ共沸混合物を利用した熱的溶液イミド化方法によって12時間反応させてポリヒドロキシイミドを製造した。
【0168】
(2)中空糸形成用ドープ溶液組成物の製造
製造されたポリイミドをN−メチルピロリドン(NMP)243g(75重量%)に入れ、添加剤としてエタノール10重量%を添加した後、混合して均一な中空糸形成用ドープ溶液組成物を製造した。
【0169】
(3)中空糸の製造
製造された中空糸形成用ドープ溶液組成物中の起泡を24時間常温および減圧下で除去し、ガラスフィルター(孔径60μm)を利用して異物を除去した。次に、50℃で維持後、二重環状ノズルを通じて紡糸を実施した。このとき、内部凝固液は蒸溜水を使用し、エアーギャップの距離は50cmに設定した。放射された中空糸を水の温度が25℃である凝固槽で凝固させ、20m/minの速度で巻き取った。製造された中空糸は、洗浄後、常温で3日間自然乾燥した。加熱炉を利用して15℃/minの昇温速度で加熱、不活性雰囲気で500℃、10分間熱処理して前記化学式51で表されるポリベンズオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0170】
製造された中空糸の重量平均分子量は48,960であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.33、面間距離は720pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0171】
(実施例2)
溶液上で180℃で24時間の間に2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライドをトルエンを入れずに反応させてポリイミドを製造したことを除いては、実施例1と同様な方法でポリベンズオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0172】
製造された中空糸の重量平均分子量は9,240であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.34、面間距離は680pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0173】
(実施例3)
下記反応によって下記の化学式52で表されるポリベンズチアゾールを含む中空糸を製造した。
【0174】
【化26】

【0175】
出発物質として2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド20.8g(0.1mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド44.4g(0.1mol)と反応させてチオール基(−SH)を有するポリイミドを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式52で表されるポリベンズチアゾールを含む中空糸を製造した。
【0176】
製造された中空糸の重量平均分子量は32,290であり、FT−IR分析の結果ポリイミドでは存在しなかったポリベンズチアゾール特性バンドの1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドが確認された。
また製造された中空糸の自由体積度は0.28、面間距離は640pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。
XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0177】
(実施例4)
下記反応によって下記の化学式53で表されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0178】
【化27】

【0179】
出発物質として3,3'−ジアミノベンジジン21.4g(0.1mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド44.4g(0.1mol)と反応させてアミン基(−NH)を有するポリイミドを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式53で表されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0180】
製造された中空糸の重量平均分子量は37,740であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロン特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.25、面間距離は650pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0181】
(実施例5)
下記反応によって下記の化学式54で表されるポリベンズオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0182】
【化28】

【0183】
出発物質として3,3'−ジヒドロキシアミノベンジジン21.6g(0.1mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド44.4g(0.1mol)と反応させてポリイミドを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式54でポリベンズオキサゾールを含む中空糸を製造した。
【0184】
製造された中空糸の重量平均分子量は21,160であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1595cm−1(C=N)、1052cm−1(C=O)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.21、面間距離は610pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0185】
(実施例6)
下記反応によって下記の化学式55で表されるポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0186】
【化29】

【0187】
出発物質としてベンゼン−1,2,4,5−テトラアミンテトラヒドロクロライド28.4g(0.1mol)をオキシジフタリックアンハイドライド31.0g(0.1mol)と反応させてポリイミドパウダーを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式55でポリピロロンを含む中空糸を製造した。
【0188】
製造された中空糸の重量平均分子量は33,120であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロン特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.27、面間距離は650pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0189】
(実施例7)
下記反応によって下記の化学式56で表されるポリ(ベンズオキサゾール−ベンズオキサゾール)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0190】
【化30】

【0191】
出発物質として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.1mol)と3,3'−ジヒドロキシベンジジン21.6g(0.1mol)を4,4'−ビフタリックアンハイドライド58.8g(0.2mol)と反応させてポリイミドパウダーを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式56で表されるポリ(ベンズオキサゾール−ベンズオキサゾール)共重合体(モル比であるm:lは5:5)を含む中空糸を製造した。
【0192】
製造された中空糸の重量平均分子量は24,860であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.24、面間距離は550pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0193】
(実施例8)
下記反応によって下記の化学式57で表されるポリ(ベンズオキサゾール−イミド)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0194】
【化31】

【0195】
出発物質として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン58.60g(0.16mol)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル8.01g(0.04mol)を3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド64.45g(20mol)と反応させてポリイミドを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式57で表されるポリ(ベンズオキサゾール−イミド)共重合体(モル比であるm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0196】
製造された中空糸の重量平均分子量は35,470であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドおよびポリイミドの特性バンドである1720cm−1(C=O)、1580cm−1(C=O)が確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.22、面間距離は620pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0197】
(実施例9)
下記反応によって下記の化学式58で表されるポリ(ピロロン−イミド)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0198】
【化32】

【0199】
出発物質として3,3'−ジアミノベンジジン17.1g(0.08mol)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル4.0g(0.02mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド44.4g(0.1mol)と反応させてポリイミドを製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式58で表されるポリ(ピロロン−イミド)共重合体(モル比であるm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0200】
製造された中空糸の重量平均分子量は52,380であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロンの特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)のバンドおよびポリイミドの特性バンドである1720cm−1(C=O)、1580cm−1(C=O)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.23、面間距離は630pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0201】
(実施例10)
下記反応によって下記の化学式59で表されるポリ(ベンズチアゾール−イミド)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0202】
【化33】

【0203】
出発物質として2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド33.30g(0.16mol)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル8.0g(0.04mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド88.8g(0.1mol)と反応させてポリイミド系共重合体を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式59で表されるポリ(ベンズチアゾール−イミド)共重合体(モル比であるm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0204】
製造された中空糸の重量平均分子量は18,790であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドおよびポリイミドの特性バンドである1720cm−1(C=O)、1580cm−1(C=O)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.22、面間距離は640pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0205】
(実施例11)
下記反応によって下記の化学式60で表されるポリ(ベンズオキサゾール−ベンズチアゾール)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0206】
【化34】

【0207】
出発物質として3,3'−ジヒドロキシベンジジン10.8g(0.05mol)と2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド10.9g(0.05mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド44.4g(10mmol)と反応させてポリイミド系共重合体を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式60で表されるポリ(ベンズオキサゾール−ベンズチアゾール)共重合体(モル比であるm:lは5:5)を含む中空糸を製造した。
【0208】
製造された中空糸の重量平均分子量は13,750であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾールの特性バンドである1595cm−1(C=N)、1052cm−1(C−N)のバンドおよびポリベンズチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.16、面間距離は580pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0209】
(実施例12)
下記反応によって下記の化学式61で表されるポリ(ピロロン−ピロロン)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0210】
【化35】

【0211】
出発物質として3,3'−ジアミノベンジジン34.2g(0.16mol)とベンゼン−1,2,4,5−テトラアミンテトラヒドロクロライド11.4g(0.04mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド88.8g(20mmol)と反応させてポリ(アミノイミド−アミノイミド)共重合体を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式61で表されるポリ(ピロロン−ピロロン)共重合体(モル比であるm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0212】
製造された中空糸の重量平均分子量は64,820であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリピロロンの特性バンドである1758cm−1(C=O)、1625cm−1(C=N)が確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.23、面間距離は590pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0213】
(実施例13)
下記反応によって下記の化学式62で表されるポリ(ベンズオキサゾール−ベンズチアゾール)共重合体を含む中空糸を製造した。
【0214】
【化36】

【0215】
出発物質として2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールジヒドロクロライド21.8g(0.1mol)と2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン36.6g(0.16mol)を4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド88.8g(20mmol)と反応させてポリ(ヒドロキシイミド−チオールイミド)共重合体を製造したことを除いては、実施例1と同様の方法により前記化学式62で表されるポリ(ベンズオキサゾール−ベンズチアゾール)共重合体(モル比であるm:lは8:2)を含む中空糸を製造した。
【0216】
製造された中空糸の重量平均分子量は46,790であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾールの特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドおよびポリベンズチアゾールの特性バンドである1484cm−1(C−S)、1404cm−1(C−S)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.31、面間距離は740pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0217】
(実施例14)
添加剤としてテトラヒドロフランとプロピレングリコールを5重量%、15重量%を添加して混合し、均一な溶液を製造したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0218】
製造された中空糸の重量平均分子量は48,960であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.32、面間距離は730pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0219】
(実施例15)
添加剤としてテトラヒドロフラン5重量%、エタノール15重量%を添加して混合し、均一な溶液を製造したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0220】
製造された中空糸の重量平均分子量は48,960であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.33、面間距離は740pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0221】
(実施例16)
空隙調節剤として添加剤ポリエチレングリコール(Aldrich、分子量2000)15重量%を添加して混合し、均一な溶液を製造したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0222】
製造された中空糸の重量平均分子量は48,960であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.33、面間距離は730pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0223】
(実施例17)
450℃で30分間熱処理したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0224】
製造された中空糸の重量平均分子量は48,960であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.29、面間距離は680pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0225】
(実施例18)
400℃で30分間熱処理したことを除いては実施例1と同様に行った。
【0226】
製造された中空糸の重量平均分子量は48,960であり、FT−IR分析の結果、ポリイミドでは存在しなかったポリベンズオキサゾール特性バンドである1620cm−1(C=N)、1058cm−1(C−N)のバンドが確認された。また、製造された中空糸の自由体積度は0.24、面間距離は590pmであった。
前記面間距離は、XRDで測定した。XRD測定時、フィルム状態のサンプルを使用し、光源としてCuKαを使用し、10度〜40度で0.05度の間隔で測定した。
【0227】
(比較例1)
大韓民国特許公開第2002−0015749号によりポリエーテルスルホン(Sumitomo、sumikaexcel)35重量%を45重量%のNMPに溶解した後、添加剤としてテトラヒドロフランとエタノールを5重量%、15重量%添加して均一な溶液を製造した後、10cmエアーギャップ、二重ノズルを通じて紡糸した。流水で2日間洗浄して真空で3時間以上乾燥して中空糸を製造した。
【0228】
(比較例2)
熱処理工程を行わなかったことを除いては、実施例1と同様な方法で中空糸を製造した。
【0229】
(比較例3)
国際公開第2005/007277号により4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアンハイドライド(BTDA)を反応させて製造されたポリアミック酸(PAA)19重量%をN−メチルピロリドン(NMP)で溶解した溶液を準備した。N−メチルピロリドンにポリビニルピロリドン(PVP)50重量%で溶解された添加剤溶液を前記ポリアミック酸(PAA)含有溶液に追加した。次に、グリセロール(GLY)とN−メチルピロリドン(NMP)を前記溶液に添加した。最終製造された溶液はポリアミック酸/ポリビニルピロリドン/グリセロール/N−メチルピロリドン(PAA/PVP/GLY/NMP)をそれぞれ13/1/17/69重量%で含んだ。前記紡糸溶液は紡糸前12時間混合した。
【0230】
内部凝固剤として20℃の水を使用し、紡糸溶液は紡糸口金を通じて紡糸された。内部凝固剤の流量は12ml/minで調節した。中空糸はエアーキャップでの滞留時間が6秒になるように4cm/sの紡糸速度で紡糸された。このとき、膜は30℃、100%物で凝固された。次に、常温で残留溶媒およびグリセロールの抽出が完了するまで2〜4時間水に洗浄した。そして、空気で乾燥した。その後、窒素パージを備えたオーブン内でイミド化した。3時間の間に150℃まで昇温加熱、150℃で1時間加熱、2時間の間に250℃まで昇温加熱、250℃で2時間加熱し、4時間の間に常温で徐々に冷却した。製造されたポリイミド/PVP膜は外径が2.2mmであり、膜厚が0.3mmであった。
【0231】
(実験例1)走査型電子顕微鏡分析
図1、図2、および図3は、実施例1で製造された中空糸の一部断面を300倍、1,500倍、および5,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
図4、図5および図6は、実施例8で製造された中空糸の一部断面を120倍、600倍および2,000倍拡大した走査型電子顕微鏡写真である。
図1〜図6を参照すれば、本発明の中空糸は分離層の表面に欠陥が存在しないことが分かる。
【0232】
(実験例2)ガス透過性および選択性の測定
実施例1〜18および比較例1〜3から製造された中空糸のガス透過性および選択性を調査するために下記のとおり行い、その結果を表1に示した。
ガス透過性は膜に対する気体の透過速度を示す指数であって、製造された中空糸でガス透過性測定用分離膜モジュールを製造し、下記数式により気体に対する透過流量を測定した。気体透過単位は、GPU(Gas Permeation Unit、1×10−6cm/cm・sec・cmHg)を使用した。
選択性は、同一な膜で個別気体単独で測定された透過性の比率で示した。
【0233】
【数1】

【0234】
上記の数式において、
Pは、ガス透過性を示し、dp/dtは、正常状態下での圧力増加率であり、Vは、下部体積であり、Pは、上部と下部間の圧力差である。
Tは、測定時の温度であり、Aeffは、有効面的であり、PとTは、標準圧力と温度である。
【0235】
【表1】

【0236】
前記表1を参照すれば、本発明の一具現例による中空糸の場合、比較例に比べてH、O、CO等のガス種に対するガス透過性が極めて優れていることが分かる。
【0237】
図8は、本発明の実施例1〜18および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の酸素透過性および酸素/窒素選択性を比較して示したグラフである。
図9は、本発明の実施例1〜18および比較例1〜3で製造された中空糸のGPU単位の二酸化炭素透過性および二酸化炭素/メタン選択性を比較して示したグラフである。
【0238】
図8および図9を参照すれば、本発明の中空糸は、類似する酸素/窒素選択性または二酸化炭素/メタン選択性を有する比較例に比べ、透過性が極めて優れていることが分かる。
【0239】
本発明の単なる変形または変更は全て当該分野の通常の知識を有する者により容易に実施され得、このような変形や変更は全て本発明の技術的範囲に含まれると言える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に位置する空洞、
前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および
前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、
前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する中空糸であって、
ポリイミドから誘導される高分子を含み、
前記ポリイミドは、アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を含む、中空糸。
【請求項2】
表面部にピコ気孔からなる緻密層を含む、請求項1に記載の中空糸。
【請求項3】
前記緻密層は、表面に近いほどピコ気孔の数が多くなる構造で形成されるものである、請求項2に記載の中空糸。
【請求項4】
2つ以上の前記ピコ気孔が三次元的に連結されて形成された三次元ネットワーク構造は、連結部位が狭い谷を形成する砂時計形状の構造である、請求項1に記載の中空糸。
【請求項5】
前記官能基は、OH、SH、またはNHを含む、請求項1に記載の中空糸。
【請求項6】
前記高分子は、0.15〜0.40の自由体積度を有するものである、請求項1に記載の中空糸。
【請求項7】
前記高分子は、XRD測定による面間距離が580pm〜800pmの範囲にあるものである、請求項1に記載の中空糸。
【請求項8】
前記高分子は、ピコ気孔を含み、
前記ピコ気孔は、陽電子消滅時間分光分析測定による半値全幅が10pm〜40pmの範囲にあるものである、請求項1に記載の中空糸。
【請求項9】
前記高分子は、100〜1,000m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載の中空糸。
【請求項10】
前記ポリイミドは、下記の化学式1〜化学式4で表されるポリイミド、下記の化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体、これらの共重合体、およびこれらのブレンド、からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の中空糸。
【化1】

[前記化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基で置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一または相異し、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項11】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項10に記載の中空糸。
【化2】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項12】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項11に記載の中空糸。
【化3−1】

【化3−2】

【請求項13】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項10に記載の中空糸。
【化4】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項14】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項13に記載の中空糸。
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

【請求項15】
前記Qは、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)のうちから選択されたものである、請求項10に記載の中空糸。
【請求項16】
前記Arは、下記の化学式A、BまたはCで表されるものであり、前記Arは、下記の化学式DまたはEで表されるものであり、前記Qは、C(CFである、請求項10に記載の中空糸。
【化6】

【請求項17】
前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミドの共重合体における各繰り返し単位の間のモル比、または前記化学式5〜化学式8におけるm:lのモル比は、0.1:9.9〜9.9:0.1である、請求項10に記載の中空糸。
【請求項18】
前記高分子は、下記の化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで表される高分子またはこれらの共重合体を含むものである、請求項1に記載の中空糸。
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

[前記化学式19〜化学式32において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Ar'およびArは、同一または相異し、それぞれ独立して置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基で置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Y”は、OまたはSであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項19】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項18に記載の中空糸。
【化8】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項20】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項19に記載の中空糸。
【化9−1】

【化9−2】

【請求項21】
前記Ar'およびArは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項18に記載の中空糸。
【化10】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここでR、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項22】
前記Ar'およびArは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項21に記載の中空糸。
【化11−1】

【化11−2】

【化11−3】

【請求項23】
前記Qは、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)のうちから選択されたものである、請求項18に記載の中空糸。
【請求項24】
前記Arは、下記の化学式A、BまたはCで表されるものであり、前記Ar'は、下記の化学式F、GまたはHで表されるものであり、前記Arは、下記の化学式DまたはEで表されるものであり、前記Qは、C(CFである、請求項18に記載の中空糸。
【化12】

【請求項25】
He、H、N、CH、O、N、CO、およびこれらの組み合わせ、からなる群より選択される一種以上の気体に対する気体分離膜として使用するものである、請求項1に記載の中空糸。
【請求項26】
/N選択性が4以上であり、CO/CH選択性が30以上であり、H/N選択性が30以上であり、H/CH選択性が50以上であり、CO/N選択性が20以上であり、He/N選択性が40以上である、請求項25に記載の中空糸。
【請求項27】
/N選択性が4〜20であり、CO/CH選択性が30〜80であり、H/N選択性が30〜80であり、H/CH選択性が50〜90であり、CO/N選択性が20〜50であり、He/N選択性が40〜120である、請求項26に記載の中空糸。
【請求項28】
アミン基に対してオルト位に存在する少なくとも一つの官能基を含む芳香族ジアミンおよびジアンハイドライドから製造された繰り返し単位を有するポリイミド;
有機溶媒;および
添加剤;を含み、
前記有機溶媒は、ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;N−メチルピロリドン;N,N−ジメチルホルムアミド;N,N−ジメチルアセトアミド;γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、3−ヘキサノン、3−ヘプタノン、3−オクタノン、からなる群より選択されたケトン;並びにこれらの組み合わせ、からなる群より選択されるものであり、
前記添加剤は、水;メタノール、エタノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコール、からなる群より選択されたアルコール;アセトンおよびメチルエチルケトンからなる群より選択されたケトン;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キトサン、キチン、デキストランおよびポリビニルピロリドン、からなる群より選択された高分子化合物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リチウムアセテート、硫酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウム、からなる群より選択された塩;テトラヒドロフラン;トリクロロエタン;並びにこれらの混合物、からなる群より選択されるものである、中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項29】
前記官能基は、OH、SH、またはNHを含む、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項30】
前記ポリイミド10〜45重量%、前記有機溶媒25〜70重量%、および前記添加剤2〜30重量%を含むものである、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項31】
粘度が2Pa・s〜200Pa・sである、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項32】
前記ポリイミドは、重量平均分子量が10,000〜200,000である、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項33】
前記ポリイミドは、下記の化学式1〜化学式4で表されるポリイミド、下記の化学式5〜化学式8で表されるポリイミド共重合体、これらの共重合体およびこれらのブレンド、からなる群より選択されるものである、請求項28に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化13】

[化学式1〜化学式8において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基で置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一または相異し、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項34】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化14】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは、水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項35】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項34に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化15−1】

【化15−2】

【請求項36】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化16】

[上記式において、
、X、XおよびXは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHであり、
およびWは、同一または相異し、それぞれ独立してO、S、またはC(=O)であり、
は、O、S、CR、またはNRであり、ここで、R、RおよびRは、同一または相異し、それぞれ独立して水素またはC1〜C5アルキル基であり、
およびZは、同一または相異し、それぞれ独立してNまたはCR(ここで、Rは水素またはC1〜C5アルキル基である)であるが、同時にCRではない。]
【請求項37】
前記Arは、下記式で表示されたもののうちから選択されるものである、請求項36に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化17−1】

【化17−2】

【化17−3】

【請求項38】
前記Qは、C(CH、C(CF、O、S、S(=O)、またはC(=O)のうちから選択されたものである、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項39】
前記Arは、下記の化学式A、BまたはCで表されるものであり、前記Arは、下記の化学式DまたはEで表されるものであり、前記Qは、C(CFである、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【化18】

【請求項40】
前記化学式1〜化学式4で表されるポリイミドの共重合体における各繰り返し単位の間のモル比、または前記化学式5〜化学式8におけるm:lのモル比は、0.1:9.9〜9.9:0.1である、請求項33に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物。
【請求項41】
請求項28から40のいずれか一項に記載の中空糸形成用ドープ溶液組成物を紡糸してポリイミド系中空糸を製造する段階;および
前記ポリイミド系中空糸を熱処理して得られる再配列された高分子を含む中空糸を得る段階;を含み、
中央部に位置する空洞、
前記空洞の周辺に存在するマクロ気孔、および
前記マクロ気孔の周辺に存在するメゾ気孔およびピコ気孔、を含み、
前記ピコ気孔が三次元的に互いに連結されて三次元ネットワークを形成している構造を有する中空糸を製造する、中空糸の製造方法。
【請求項42】
前記再配列された高分子は、下記の化学式19〜化学式32のうちのいずれか一つで表される高分子またはこれらの共重合体を含むものである、請求項41に記載の中空糸の製造方法。
【化19−1】

【化19−2】

[前記化学式19〜化学式32において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Ar'およびArは、同一または相異し、それぞれ独立して置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Y”は、OまたはSであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項43】
前記ドープ溶液組成物中の前記化学式1〜化学式8で表されるポリイミドは、下記の化学式33〜化学式40で表されるポリアミック酸をイミド化して得るものである、請求項41に記載の中空糸の製造方法。
【化20】

[前記化学式33〜化学式40において、
Arは、置換または非置換された4価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された4価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Arは、置換または非置換された2価のC6〜C24アリーレン基、および置換または非置換された2価のC4〜C24ヘテロ環基、から選択される芳香族環基であり、前記芳香族環基は、単独で存在し;2つ以上が互いに接合されて縮合環を形成し;または2つ以上が単一結合、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、またはC(=O)NHの官能基により連結されており、
Qは、O、S、C(=O)、CH(OH)、S(=O)、Si(CH、(CH(ここで、1≦p≦10)、(CF(ここで、1≦q≦10)、C(CH、C(CF、C(=O)NH、C(CH)(CF)、または置換もしくは非置換されたフェニレン基(ここで、置換されたフェニレン基は、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6ハロアルキル基に置換される)であり、このとき、前記Qは、両側芳香族環とm−m、m−p、p−m、またはp−p位置で連結され、
Yは、それぞれの繰り返し単位で同一または相異し、それぞれ独立してOH、SH、またはNHであり、
nは、20≦n≦200を満たす整数であり、
mは、10≦m≦400を満たす整数であり、
lは、10≦l≦400を満たす整数である。]
【請求項44】
前記イミド化は、化学的イミド化または熱的溶液イミド化工程である、請求項43に記載の中空糸の製造方法。
【請求項45】
前記化学的イミド化は、20〜180℃で4〜24時間行うものである、請求項44に記載の中空糸の製造方法。
【請求項46】
前記化学的イミド化は、
イミド化の進行前にポリアミック酸のオルト位に存在する官能基を保護基として保護する段階;および
前記イミド化の進行以降に、保護基を除去する段階;
をさらに含む、請求項44に記載の中空糸の製造方法。
【請求項47】
前記熱的溶液イミド化は溶液上で100〜180℃で2〜30時間行うものである、請求項44に記載の中空糸の製造方法。
【請求項48】
前記熱的溶液イミド化は、
イミド化の進行前にポリアミック酸のオルト位に存在する官能基を保護基として保護する段階;および
前記イミド化の進行以降に、保護基を除去する段階;
をさらに含む、請求項44に記載の中空糸の製造方法。
【請求項49】
前記熱的溶液イミド化は、共沸混合物を添加して行われる、請求項44に記載の中空糸の製造方法。
【請求項50】
前記熱処理は、10〜30℃/minの昇温速度で400〜550℃まで昇温し、その温度で不活性雰囲気下にて1分〜1時間行うものである、請求項41に記載の中空糸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−523683(P2011−523683A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510422(P2011−510422)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/002645
【国際公開番号】WO2009/142434
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(506172218)アイユーシーエフ エイチワイユー (インダストリー ユニヴァーシティー コオペレイション ファウンデイション ハンヤン ユニヴァーシティー) (8)
【Fターム(参考)】