説明

中継コネクター

【課題】被検査側コネクタの2列に配列され端子間の距離に応じて、プローブの間の距離を調整設定できる中継コネクターを提供する。
【解決手段】下ピンブロック40と上ピンブロック42に1列にプローブを配設する。下ピンブロック40と上ピンブロック42に上下に貫通して穿設した挿入孔50に、位置調整ブロック48を相対的に接近分離し得るように配設する。位置調整ブロック48に1列にプローブを配設する。下ピンブロック40と上ピンブロック42に配設したプローブと、位置調整ブロック48に配設したプローブの間の距離を、被検査側コネクタの2列に配列され端子間の距離に応じて調整して、位置調整ブロック48を固定する。被検査側コネクタが設定された時点で、下ピンブロック40と上ピンブロック42に位置調整ブロック48を固定する加工を行うことで、容易かつ迅速に中継コネクターを製作できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査のために、電子部品等の被検査基板に配設された被検査側コネクタを、測定器等に電気的接続するために用いる中継コネクターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やデジタルカメラのごとく小型の電子機器にあっては、小さなスペースに多くの電子回路を搭載するために、複数枚の基板が重ねられるように配設され、これらの基板間がそれぞれに配設されたコネクタを介して電気的接続されるものがある。そこで、基板とそれに配設されたコネクタを検査するには、コネクタに測定器等を適宜に電気的接続すれば良い。ここで、被検査基板と被検査側コネクタの全体を検査するためには、被検査側コネクタに対となる治具側のコネクタを嵌合させて測定器に電気的接続することが望ましい。しかるに、被検査側および治具側のいずれのコネクタにあっても、嵌合引き抜き耐久回数は50回程度と比較的に少ない。そこで、治具側コネクタを検査回数が耐久回数に達する毎に交換しなければならない。この治具側コネクタが治具側基板に半田付けにより固定されていてその治具側基板に測定器等に接続される多数本の配線ケーブルが半田付けされているとすると、治具側コネクタのみを簡単に交換することができない。そこで、治具側コネクタと治具側基板および配線ケーブルの全体を交換せざるを得ない。すると、測定検査のコストが大きくなるという不具合が生ずる。
【0003】
そこで、本発明の出願人は、既に特開2004−273192号公報に示されるごとき技術を提案して、交換する部分を少なくすることで、測定検査のコストを小さなものとした。この先に提案した技術は、被検査側コネクタに対となる治具側コネクタを絶縁中継基板に配設し、この絶縁中継基板を絶縁材からなるプローブユニットに着脱自在に配設する。このプローブユニットにプローブを配設する。そして、治具側コネクタの端子が絶縁中継基板に設けられた端子に電気的接続され、この絶縁中継基板の端子にプローブユニットのプローブが当接する。なお、プローブユニットに設けられたプローブの他端は、測定器等に接続される多数本の配線ケーブルに適宜に電気的接続される。もって、被検査側コネクタが、治具側コネクタと絶縁中継基板とプローブおよび配線ケーブルを介して測定器等に電気的接続される。そこで、治具側コネクタの検査使用回数が耐久回数に達すると、この治具側コネクタと絶縁中継基板を交換すれば良く、交換する部分が少ない分だけ、測定検査のコストを少なくできる。
【特許文献1】特開2004−273192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特開2004−273192号公報で提案した技術にあっては、治具側コネクタと絶縁中継基板のみを交換すれば良く、従前に比べて、測定検査のコストを少なくできるが、必ずしも十分に満足できるものでない。そこで、発明者らは、被検査側コネクタの端子にプローブを直接に当接させ、治具側コネクタと絶縁中継基板の交換が不要であり、当接させるプローブが破損したらそのプローブのみを交換するようにした構造とすることで、より測定検査のコストを少なくできると考えた。
【0005】
また、被検査側コネクタには、端子が2列に配列されているものが多いが、その2列の端子の間の距離は種種である。そこで、それぞれに異なる2列の端子の間の距離に対して、容易に対応できる中継コネクターが望まれる。
【0006】
本発明は、かかる考えに基づいてなされたもので、被検査側コネクタにプローブを当接させる中継コネクターであって、被検査側コネクタの2列に配列され端子の間の距離に応じて、プローブを配設した間の距離を調整して設定できる中継コネクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明の中継コネクターは、被検査基板に配設された被検査側コネクタに2列で配列された端子にプローブを当接させて測定器に電気的接続させるための中継コネクターであって、絶縁材からなる第1のピンブロックに前記被検査側コネクタの一方の1列に配列された端子に当接するようにプローブを配設し、絶縁材からなる第2のピンブロックに前記被検査側コネクタの他方の1列に配列された端子に当接するようにプローブを配設し、前記第1と第2のピンブロックに配設した前記プローブが、前記被検査側コネクタの2列に配列された端子にそれぞれ当接するように、前記第1と第2のピンブロックを相対的に接近分離可能に形成するとともにその間の距離を調整して固定するように構成されている。
【0008】
そして、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを挿入して前記接近分離方向にのみ移動できる挿入孔を穿設し、前記挿入孔に挿入した状態で前記第2のピンブロックの位置を調整し、前記接近分離方向と直交する位置だしピンを前記挿入孔の外側から前記挿入孔の壁を貫通して前記第2のピンブロックに挿入して、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを固定するように構成しても良い。
【0009】
また、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを挿入して前記接近分離方向にのみ移動できる挿入孔を穿設し、前記挿入孔の前記接近分離方向の一方の内壁と前記第2のピンブロックの間にスペーサを介装し、前記スペーサの厚さを調整することで前記第2のピンブロックの位置を調整して、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを固定するように構成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の中継コネクターにあっては、第1と第2のピンブロックに被検査側コネクタの1列に配列された端子にそれぞれに当接するようにプローブを配設し、被検査側コネクタの2列の端子の間の距離に応じて、第1と第2のピンブロックを相対的に接近分離可能としてその間の距離を調整して固定するようにしたので、予め第1と第2のピンブロックをほぼ完成近くまで製作して準備しておき、被検査側コネクタが設定された時点で、当該被検査側コネクタの端子間の距離に応じて、第1のピンブロックに第2のピンブロックを固定する加工を行うことで、容易かつ迅速に中継コネクターを製作することができる。
【0011】
そして、請求項2記載の中継コネクターにあっては、第1のピンブロックに第2のピンブロックを挿入して接近分離方向にのみ移動できる挿入孔を穿設し、この挿入孔に挿入した状態で第2のピンブロックの位置を調整して、接近分離方向と直交する位置だしピンを挿入孔の外側から第2のピンブロックに挿入して、第1のピンブロックに第2のピンブロックを固定するので、被検査側コネクタが設定された時点で、当該被検査側コネクタの端子間の距離に応じて、第2のピンブロックに位置だしピンを挿入する孔を穿設するとともに第1のピンブロックの挿入孔の外側の壁に位置だしピンを挿入する孔を穿設すれば、中継コネクターを製作することができる。
【0012】
また、請求項3記載の中継コネクターにあっては、第1のピンブロックに第2のピンブロックを挿入して接近分離方向にのみ移動できる挿入孔を穿設し、この挿入孔の接近分離方向の一方の内壁と第2のピンブロックの間にスペーサを介装し、スペーサの厚さを調整することで第2のピンブロックの位置を調整するようにしたので、被検査側コネクタが設定された時点で、当該被検査側コネクタの端子間の距離に応じて、スペーサの厚さを調整する加工を行えば、中継コネクターを製作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図14を参照して説明する。図1は、本発明の中継コネクターの第1実施例の押圧状態の側面図である。図2は、図1の平面図である。図3は、図1の開口状態の側面図である。図4は、図1の分解斜視図である。図5は、上、下ピンブロックとフローティングガイドの分解斜視図である。図6は、ピンブロックの分解斜視図である。図7は、下ピンブロックと配線基板およびベース部材の分解斜視図である。図8は、本発明の中継コネクターで検査する被検査基板に設けられた被検査側コネクターの外観斜視図である。図9は、ピンブロックの縦断面図である。図10は、配線基板に設けられる端子パターンを示す図である。図11は、押圧操作部材とヒンジ部材およびベース部材の分解斜視図である。図12は、図2のA−A断面矢視図である。図13は、ヒンジ部材に設けたリブで配線基板をベース部材に押さえる構造を示し、(a)は一部切り欠き側面図であり、(b)は背面図である。図14は、押圧操作部材の先端上部が面取り状の斜めの面に切り欠かれていることによる作用を説明する図である。
【0014】
図1ないし図14において、本発明の中継コネクターは、ベース部材10にヒンジ部材12がネジ10aにより固定され、このヒンジ部材12に押圧操作部材14が貫通配設された揺動軸16により揺動自在に配設される。そして、この押圧操作部材14の後ろ側とヒンジ部材12の間に押圧バネ18が縮設される。また、押圧操作部材14の先端側に、揺動軸16と平行に貫通配設された第2の揺動軸20により押圧ブロック22が揺動自在に配設される。そして、絶縁材からなるピンブロック24に対して絶縁材からなるフローティングガイド26が、押圧操作部材14の先端側の略揺動方向で直線状に接近分離自在でしかも分離方向の距離が規制されて配設される。さらに、ピンブロック24のフローティングガイド26と反対側に配線基板28がネジ28aにより固定され、この配線基板28をベース部材10側として、ピンブロック24と配線基板28がベース部材10にネジ24aにより固定される。そして、フローティングガイド26に係合受け部26fが突設され、押圧操作部材14に係合突起14aが突設されて、押圧操作部材14の開口状態で係合受け部26fに係合突起14aが係合するように形成される。そこで、押圧操作部材14が開口状態にあっては、フローティングガイド26がピンブロック24側に移動することが規制される。なお、押圧操作部材14の開口状態にあっては、その後端側がヒンジ部材12に当接して揺動が規制され、ヒンジ部材12の被当接部分が規制部として作用している。
【0015】
ピンブロック24に対してフローティングガイド26は、押圧操作部材14の先端側が開口状態とこれを閉口させた押圧状態との揺動に応じて、図1と図3において図面の上下方向に直線的に移動自在とされる。そこで、ピンブロック24に上下方向にリニアシャフト30aが植設され、フローティングガイド26にこのリニアシャフト30aが軸方向に摺動自在となるように挿入されるリニア筒部材30bが上下方向に配設され、これらリニアシャフト30aとリニア筒部材30bとからなるリニアガイド30により、この直線的な移動が実現される。また、ピンブロック24とフローティングガイド26に対して、上下方向に両端に膨大部を有するフローティングピン32が貫通配設される。両端の膨大部の間の距離は、一端側に設けた調整ネジ32aの螺合により調整し得る。さらに、このフローティングピン32に遊嵌されたフロートバネ34がピンブロック24とフローティングガイド26の間に縮設されて、ピンブロック24からフローティングガイド26を分離する方向に弾性付勢している。もって、フローティングピン32の調整により、フローティングガイド26がピンブロック24から分離し得る距離が任意に規制され、しかもフロートバネ34の縮設された弾力により、押圧操作部材14の開口状態にあっては、フローティングガイド26がピンブロック24から分離した状態とされる。
【0016】
フローティングガイド26には、被検査基板36が搭載配設される基板搭載面26aが設けられ、この基板搭載面26aに被検査基板36に配設された被検査側コネクタ38を嵌合挿入し得るガイド孔26bが貫通穿設される。このガイド孔26bの内周壁に被検査側コネクタ38の外側周壁が当接して、挿入された被検査側コネクタ38の位置決めがなされるように形成される。そして、このガイド孔26bの周辺の基板搭載面26aには搭載された被検査基板36を位置決めするように位置規制する構成は何ら設けられておらず、十分に大きな平面を有する。また、基板搭載面26aの裏側には、貫通するガイド孔26bを中心として凹部26cが設けられる。この凹部26cの底面と基板搭載面26aの厚さ、すなわちガイド孔26bの深さは、被検査側コネクタ38の高さと一致するように基板搭載面26aが切削等により調整されて形成される。なお、基板搭載面26aの両端裏側には、機械的強度を大きくするための補強リブ26dが設けられている。
【0017】
ピンブロック24は、第1のピンブロックと第2のピンブロックからなる。そして、第1のピンブロックとしての下ピンブロック40と上ピンブロック42がネジ42bにより一体化され、上ピンブロック42に上に向けて凸部42aが設けられ、フローティングガイド26の凹部26cに嵌合して、ピンブロック24にフローティングガイド26が位置決めされるように構成される。また、下ピンブロック40と上ピンブロック42に上下方向に貫通させて、プローブ孔46が一列に多数穿設される。そして、下ピンブロック40と上ピンブロック42に上下方向に貫通して絶縁材からなる第2のピンブロックとしての位置調整ブロック48が挿入される挿入孔50が穿設される。位置調整ブロック48は、やはり下位置調整ブロック48aと上位置調整ブロック48bからなり、適宜に一体化され、しかも上下方向に貫通してプローブ孔52が一列に多数穿設される。位置調整ブロック48は、挿入孔50内で、プローブ孔52の位置が、下ピンブロック40と上ピンブロック42に穿設されたプローブ孔46との距離が適宜となるように相対的に接近分離可能であって適宜な距離に調整されて、位置だしピン56により固定される。なお、挿入孔50内で、位置調整ブロック48は、プローブ孔46、52の間の距離を調整する方向にのみ移動が可能であり、これと直交する方向には移動ができないように設定される。そして、位置だしピン56は、位置調整ブロック48が接近分離方向に移動できる方向と直交する方向で、上ピンブロック42の挿入孔50の壁を貫通して上位置調整ブロック48bに穿設した孔に挿入され、もってプローブ孔46、52に配設される2列のプローブ54の間の距離が被検査側コネクタ38の2列の端子間の距離dに設定される。また、プローブ孔46、52は上端部に狭窄部が設けれていて、下側からプローブ54が適宜に挿入できて上に抜け出ないように形成される。さらに、プローブ孔46、52が穿設されるピッチは、図8に示す被検査側コネクタ38の端子38aのピッチPに合わせて穿設されることは勿論である。しかも、プローブ孔46、52には、被検査側コネクタ38の端子38aに応じてプローブ54が下側から適宜な本数が適宜な位置で挿入される。
【0018】
プローブ孔46、52にプローブ54が挿入されたピンブロック24に対して、下側から配線基板28が配設され、下側からネジ28aにより固定されて一体化される。この配線基板28の固定により、プローブ54はプローブ孔46、52から抜け出ることがない。そして、この配線基板28が固定されたピンブロック24が、上方からネジ24aによりベース部材10に固定される。なお、ベース部材10は、図示しない検査治具等に予め固定ネジ10bにより適宜に固定されても良い。そこで、図8に示す被検査側コネクタ38の端子38aに対して、図9に示すごとく、プローブ孔46、52に挿入されたプローブ54のプランジャーが当接できるように形成される。なお、図10に示すごとく、配線基板28に設けられた端子パターン28bは、位置調整ブロック48が移動してもプローブ54のプランジャーが当接できるように移動方向に長く形成されている。
【0019】
さらに、ヒンジ部材12に揺動自在に配設された押圧操作部材14は、開口状態となる揺動方向の動きが、ヒンジ部材12により規制される。この開口状態となる揺動方向の動きが規制された状態で、前述の係合突起14aと係合受け部26fが係合するように形成されている。そして、ヒンジ部材12には、図13に示すごときリブ12aが設けられ、配線基板28を上からベース部材10側に押し付けるように作用し、配線基板28がベース部材10から浮き上がるのを規制している。
【0020】
押圧操作部材14には、リニアガイド30およびフローティングピン32に臨んで、孔14cと調整用孔14dがそれぞれに穿設されている。また、フローティングガイド26には、配線基板28が固定されたピンブロック24をベース部材10に固定するネジ24aに臨んで、孔26eが穿設されている。さらに、押圧操作部材14の先端上部が、面取り状の斜めの面14bに形成されている。本発明の中継コネクターの第1実施例の外形寸法は、高さ27mmで幅が26mmで長さが60mmであって、手に持って検査作業を行うことができる。
【0021】
かかる構成において、押圧バネ18の弾力に抗して押圧操作部材14を揺動操作して開口状態とし、フローティングガイド26の基板搭載面26aに被検査基板36を配設して、被検査側コネクタ38をガイド孔26bに嵌合挿入させる。このガイド孔26bへの嵌合挿入により、被検査側コネクタ38の位置決めがなされる。ここで、被検査基板36自体には何ら位置決めする力が作用しておらず、被検査基板36に対して被検査側コネクタ38の位置をずらすような力が作用することがない。この押圧操作部材14を開口状態に維持している間は、フローティングガイド26の係合受け部26fに押圧操作部材14の係合突起14aが係合していて、フローティングガイド26がピンブロック24側に不用意に移動するようなことがない。よって、被検査側コネクタ38をガイド孔26bに嵌合挿入している作業の最中に誤ってフローティングガイド26が下方に移動し、不適正な姿勢の被検査側コネクタ38に対してプローブ54が当接して、被検査側コネクタ38またはプローブ54のいずれかを破損させる虞がない。そして、押圧操作部材14を押圧バネ18の弾力により先端側を閉じて押圧状態とすると、フローティングガイド26はリニアガイド30により直線的にピンブロック24側に移動し、被検査側コネクタ38の端子38aにプローブ54のプランジャーが当接する。この際には、フローティングガイド26の凹部26cとピンブロック24の凸部42aが嵌合することで、フローティングガイド26とピンブロック24の確実な位置合わせがなされる。もって、ピンブロック24に対して被検査側コネクタ38の位置決めがなされ、プローブ54に端子38aの位置決めがなされる。なお、押圧バネ18の押圧操作部材14を押圧状態とする弾力が、フロートバネ34のフローティングガイド26をピンブロック24から分離させる弾力よりも大きく設定されていることは勿論である。しかも、フローティングガイド26のガイド孔26bの深さが、被検査側コネクタ38の高さと一致するように設定されているので、ガイド孔26bに嵌合挿入された被検査側コネクタ38のピンブロック24側の面が凹部26cの底面と同じ平面内となり、この凹部26cの底面を基準として、プランジャーの突出高さが適正となるようにプローブ54が配設されることで、適正な弾力でプローブ54のプランジャーを被検査側コネクタ38の端子38aに当接させることができる。
【0022】
押圧操作部材14は、揺動軸16により開口状態と押圧状態に揺動自在に構成され、その構造は比較的に簡単である。しかも、押圧操作部材14の先端側に第2の揺動軸20により押圧ブロック22を設けているので、この押圧ブロック22によりフローティングガイド26をピンブロック24側に接近方向に向けて正しく押圧することができる。
【0023】
ところで、種種の異なる寸法の被検査側コネクタ38に本発明の中継コネクターを対応させるには、まずフローティングガイド26のガイド孔26bの大きさとその深さを、被検査側コネクタ38に応じて適宜に調整設定する。ガイド孔26bの深さの調整は、基板搭載面26aを適宜に切削するなどにより行うことができる。また、ピンブロック24側においても、位置調整ブロック48の固定位置を、挿入孔50内で適正に設定することで、2列のプローブ孔46、52の間の距離を被検査側コネクタ38の2列の端子38aの間の距離dに一致させる。これには、位置だしピン56を挿入する上ピンブロック42の挿入孔50の壁に穿設する孔の位置または上位置調整ブロック48bに穿設する孔の位置のいずれか一方または双方を適正に穿設することで、簡単かつ迅速になし得る。なお、プローブ孔46、52に対して、被検査側コネクタ38の端子38aに臨むようにプローブ54を挿入することは勿論である。このように、種種の異なる寸法の被検査側コネクタ38に本発明の中継コネクターを対応させるための作業は、最終加工直前の各部材を予め準備しておけば比較的に簡単であり、各部材を新規に加工製作するのに比べて、迅速に対応することができる。
【0024】
そして、フローティングガイド26がピンブロック24から分離方向に離れる距離は、フローティングピン30により任意に調整できるが、使用によりフローティングガイド26がピンブロック24から分離方向に離れる距離が変化した場合には、押圧操作部材14に穿設した調整用孔14dから適宜に工具を挿入してフローティングピン32の調整ネジ32aの螺合挿入状態を調整すれば良い。また、プローブ54が破損して交換する場合には、押圧操作部材14が付いたままの状態でヒンジ部材12をベース部材10から取り外し、フローティングガイド26に穿設した孔26eから工具を挿入してネジ24aをベース部材10から取り外す。さらに、取り外したピンブロック24を配線基板28を上にして、ネジ28aを取り外してピンブロック24から配線基板28を取り除く。そして、破損して交換の必要なプローブ54のみをプローブ孔46、52から取り出して交換すれば良い。
【0025】
配線基板28は、ピンブロック24にネジ28aにより固定されているが、半田付けの熱等により曲がりを生じ、その後端側がベース部材10から浮いた状態となる虞がある。そこで、ヒンジ部材12に設けたリブ12aにより、配線基板28をベース部材10側に押さえ付けるように形成されている。また、被検査基板36がカメラモジュールであると、被検査基板36の他端側、すなわち被検査側コネクタ38が設けられたのと反対側に、CCDカメラ素子58が配設される。そして、被検査側コネクタ38とCCDカメラ素子58が配設される位置が、図14に示すごとく、比較的に接近しているものもある。そこで、押圧操作部材14の先端上部を面取り状の斜めの面14bに形成することで、CCDカメラ素子58の上方の視界が大きく広く開け、視界内に何ら障害物なしに、このCCDカメラ素子58を検査するための検査装置60に設けたレンズ62と対向させることができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施例を図15を参照して説明する。図15、本発明の中継コネクターの第2実施例のピンブロックの分解斜視図である。図15において、図1ないし図14と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0027】
図15に示す本発明の中継コネクターの第2実施例において、ピンブロック24は、第1のピンブロックと第2のピンブロックとからなり、第1のピンブロックとしての下ピンブロック40と上ピンブロック42が一体化されて形成され、また第2のピンブロックとしての位置調整ブロック48が下位置調整ブロック48aと上位置調整ブロック48bが一体化されて形成されることは、第1実施例と同様である。そして、下ピンブロック40と上ピンブロック42に上下方向に貫通して挿入孔50が穿設され、この挿入孔50に位置調整ブロック48が挿入されて、プローブ孔52の位置が、下ピンブロック40と上ピンブロック42に穿設されたプローブ孔46との距離が適宜となるように相対的に接近分離可能であることも、第1実施例と同様である。第2実施例で第1実施例と相違するところは、挿入孔50の接近分離方向で下ピンブロック40と上ピンブロック42に穿設されたプローブ孔46側の内壁と位置調整ブロック48の間にスペーサ64が介装され、他方の側からネジの押圧により、位置調整ブロック48がスペーサ64を介して挿入孔50の内壁に押し付けられて固定されることにある。このスペーサ64の厚さを適宜に調整することで、位置調整ブロック48が位置を調整されて下ピンブロック40と上ピンブロック42に固定される。なお、スペーサ64と下位置調整ブロック48aの下端側に接近分離方向と直交する方向の両側に張り出してそれぞれ設けられたフランジ部が、下ピンブロック40の下端部に設けたフランジ受け部に嵌合していて、スペーサ64と位置調整ブロック48が上方に位置がずれないように構成されている。また、上下方向に相対的に移動するフローティングガイド26には、位置調整ブロック48を押圧するためのネジに当接しないように、必要であれば適宜に切り欠きを設けることができる。
【0028】
第2実施例にあっては、スペーサ64の厚さを調整することで、第2のピンブロックとしての位置調整ブロック48の位置を調整できるので、被検査側コネクタ38が設定された時点で、当該被検査側コネクタ38の端子38a間の距離dに応じて、スペーサ64の厚さを調整する加工を行えば、中継コネクターを容易かつ迅速に製作することができる。スペーサ64と位置調整ブロック48の固定は、上記実施例に限られず、位置調整ブロック48とスペーサ64をともに貫通して上ピンブロック42に螺合するネジで共締め固定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の中継コネクターの第1実施例の押圧状態の側面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の開口状態の側面図である。
【図4】図1の分解斜視図である。
【図5】上、下ピンブロックとフローティングガイドの分解斜視図である。
【図6】ピンブロックの分解斜視図である。
【図7】下ピンブロックと配線基板およびベース部材の分解斜視図である。
【図8】本発明の中継コネクターで検査する被検査基板に設けられた被検査側コネクターの外観斜視図である。
【図9】ピンブロックの縦断面図である。
【図10】配線基板に設けられる端子パターンを示す図である。
【図11】押圧操作部材とヒンジ部材およびベース部材の分解斜視図である。
【図12】図2のA−A断面矢視図である。
【図13】ヒンジ部材に設けたリブで配線基板をベース部材に押さえる構造を示し、(a)は一部切り欠き側面図であり、(b)は背面図である。
【図14】押圧操作部材の先端上部が面取り状の斜めの面に切り欠かれていることによる作用を説明する図である。
【図15】本発明の中継コネクターの第2実施例のピンブロックの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
10 ベース部材
12 ヒンジ部材
12a リブ
14 押圧操作部材
14a 係合突起
14b 斜めの面
14d 調整用孔
16 揺動軸
18 押圧バネ
20 第2の揺動バネ
22 押圧ブロック
24 ピンブロック
26 フローティングガイド
26a 基板搭載面
26b ガイド孔
26c 凹部
28 配線基板
28a ネジ
28b 端子パターン
30 リニアガイド
30a リニアシャフト
30b リニア筒部材
32 フローティングピン
32a 調整ネジ
34 フロートバネ
36 被検査基板
38 被検査側コネクタ
38a 端子
40 下ピンブロック
42 上ピンブロック
42a 凸部
46、52 プローブ孔
48a 下位置調整ブロック
48b 上位置調整ブロック
50 挿入孔
54 プローブ
56 位置だしピン
58 CCDカメラ素子
60 検査装置
62 レンズ
64 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査基板に配設された被検査側コネクタに2列で配列された端子にプローブを当接させて測定器に電気的接続させるための中継コネクターであって、絶縁材からなる第1のピンブロックに前記被検査側コネクタの一方の1列に配列された端子に当接するようにプローブを配設し、絶縁材からなる第2のピンブロックに前記被検査側コネクタの他方の1列に配列された端子に当接するようにプローブを配設し、前記第1と第2のピンブロックに配設した前記プローブが、前記被検査側コネクタの2列に配列された端子にそれぞれ当接するように、前記第1と第2のピンブロックを相対的に接近分離可能に形成するとともにその間の距離を調整して固定するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項2】
請求項1記載の中継コネクターにおいて、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを挿入して前記接近分離方向にのみ移動できる挿入孔を穿設し、前記挿入孔に挿入した状態で前記第2のピンブロックの位置を調整し、前記接近分離方向と直交する位置だしピンを前記挿入孔の外側から前記挿入孔の壁を貫通して前記第2のピンブロックに挿入して、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを固定するように構成したことを特徴とする中継コネクター。
【請求項3】
請求項1記載の中継コネクターにおいて、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを挿入して前記接近分離方向にのみ移動できる挿入孔を穿設し、前記挿入孔の前記接近分離方向の一方の内壁と前記第2のピンブロックの間にスペーサを介装し、前記スペーサの厚さを調整することで前記第2のピンブロックの位置を調整して、前記第1のピンブロックに前記第2のピンブロックを固定するように構成したことを特徴とする中継コネクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−123795(P2008−123795A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305364(P2006−305364)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】