説明

中継局および無線通信方法

【課題】中継局との通信確立を要求する無線通信端末が所定の領域にあるか否かを判定し、所定の領域に位置する無線通信端末を優先的に接続することで、中継局の本来の目的を確実に遂行することが可能にすることを目的とする。
【解決手段】本発明の中継局600は、無線通信端末110と基地局120との通信を中継可能な中継局600であって、アダプティブアレイ機能を有するアンテナを介して無線通信端末110からの通信接続要求があった場合に、該通信接続要求があった無線通信端末110が所定の領域にあるか否かを、アダプティブアレイ機能によって導出された通信接続要求があった無線通信端末の方向が、予め保持された所定の領域を示す方向に含まれるか否かで判定し、所定の領域にあると判定した無線通信端末110との通信確立を優先する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末と基地局との通信を中継可能な中継局および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、PHS(Personal Handy phone System)端末や携帯電話等に代表される無線通
信端末が普及し、場所や時間を問わず通話や情報入手が可能となった。特に昨今では、入手可能な情報量も増加の一途を辿り、大容量のデータをダウンロードするため高速かつ高品質な無線通信方式が取り入れられるようになってきた。
【0003】
このような高速デジタル無線通信方式の一つとして、IEEE802.11やWiMAX(例えば、非特許文献1)に代表されるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplex Access:直交周波数分割多元接続)方式が挙げられる。OFDMA方式は、デー
タの多重化方式の一つに分類され、単位時間軸上で多数の搬送波を利用し、変調対象となる信号波の位相が隣り合う搬送波間で直交するように搬送波の帯域を一部重ね合わせて周波数帯域を有効利用する方式である。また、OFDMA方式は、個別のユーザ毎に時分割でサブチャネルを割り当てているOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式に対して、複数のユーザが全サブチャネルを共有し、各ユ
ーザにとって最も伝送効率のよいサブチャネルを割り当てることを特徴としている。
【0004】
上述したWiMAX等次世代の高速無線通信方式において2.5GHz帯またはそれ以上の高周波数帯を使用する場合、障害物が多い等の電波状態が悪い領域では基地局1つに対する通信可能範囲(カバレージ)が小さくなり、周囲を全て賄うには多数の基地局を配設しなければならない。また、電波の回り込みも抑制されるため、屋内においては圏外となる可能性が高くなる。
【0005】
そこで、基地局装置と無線端末装置とを中継する中継局装置を設置することで、ビル等の障害物による遮蔽から生じるシャドウイングの影響等により、サービスエリア内にも拘わらず基地局装置と通信を行うことができない範囲を減少させる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−74325号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Mobile WiMAX - Part I:A Technical Overview and Performance Evaluation」Prepared on Behalf of the WiMAXForum, February 21, 2006, http://www.intel.com/netcomms/technologies/wimax/WiMAX_Overview_v2.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した中継局の近隣に、中継局と通信している無線通信端末Aと、基地局と直接通信を行っている無線通信端末Bとの両方が存在し、両者の距離が非常に近い場合、中継局と無線通信端末Aとの通信もしくは基地局と無線通信端末Bとの通信のいずれかまたは両方(無線通信端末間)で干渉が生じるおそれがある。
【0009】
図13は、無線通信端末間で生じる干渉を説明するための説明図である。例えば、中継局と通信を行っている無線通信端末Aと、基地局と直接通信を行っている無線通信端末Bが中継局の近隣にある場合、無線通信端末Aと中継局との電波状況は良好であることが予想され、無線通信端末Aは小さい送信電力10で中継局と通信を行うことができる。一方、中継局の近隣は一般に基地局から遠いもしくは基地局からの電波が届きにくいと想定されるため、無線通信端末Bが中継局の近隣に位置するということは基地局から遠い場所に位置していることになる。したがって無線通信端末Bは、無線通信端末Aと比較して格段に高い送信電力12で基地局と通信を行うことになる。この場合、無線通信端末Aと中継局とが利用している搬送波(キャリア)と、無線通信端末Bと基地局とが利用している搬送波との周波数が、等しいもしくは隣接している場合、送信電力の高い無線通信端末Bが送信電力の低い無線通信端末Aに対して周波数方向に跨った干渉(図13中ハッチングで
示す)を与えるおそれがある。
【0010】
そこで、本発明の発明者が鋭意検討した結果、中継局と無線通信端末との通信が干渉を受けているか否かを判定し、干渉を受けていると判定した場合に、基地局に干渉対象となる他の無線通信端末に自局へのハンドオーバを促すことで、干渉を受けている無線通信端末と、干渉の原因となっているすなわち干渉対象の他の無線通信端末とが、同じ中継局と通信を行い、同一の周波数の搬送波を割り当てられることがなくなることで干渉を回避することができることを見出した。
【0011】
しかし、中継局は無線通信端末と基地局との通信を補助的に支援するものであるため、基地局と比較して、同時通信することが可能な無線通信端末の数が制限される。したがって、干渉対象となる他の無線通信端末との通信を中継局が積極的に遂行すると、当該中継局の設置目的である本来接続すべき屋内に位置する無線通信端末と通信が制限されかねない。
【0012】
また、中継局は屋内に位置する無線通信端末と基地局との通信を効率よく中継するために、一般的に屋内と屋外の境界(建物等の窓際)に設置することが多い。窓際に中継局を設置する場合、見通しがよいことが多いため、屋外に位置する他の無線通信端末を接続してしまい、やはり屋内の無線通信端末との通信が制限されることとなる。
【0013】
本発明は、このような問題に鑑み、中継局との通信確立を要求する無線通信端末が所定の領域にあるか否かを判定し、所定の領域に位置する無線通信端末を優先的に接続することで、中継局の本来の目的を確実に遂行することが可能な中継局および無線通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、無線通信端末と基地局との通信を中継可能な中継局であって、アダプティブアレイ機能を有するアンテナを介して前記無線通信端末と通信を行う端末通信部と、前記基地局と通信を行う基地局通信部と、所定の領域を示す方向と該所定の領域外を示す方向を特定する情報を予め保持する方向保持部と、前記無線通信端末からの通信接続要求があった場合に、該通信接続要求があった無線通信端末が、前記所定の領域にあるか否かを判定する内外判定部と、を備え、前記内外判定部は、前記アダプティブアレイ機能によって導出された前記通信接続要求があった無線通信端末の方向が、前記方向保持部に保持された前記所定の領域を示す方向に含まれる場合に前記所定の領域にあると判定し、前記端末通信部は、前記内外判定部が前記所定の領域にあると判定した無線通信端末との通信確立を優先することを特徴とする。上記所定の領域は、当該中継局が設置されている建物の屋内もしくは当該中継局が設置されている移動体の中であるとよい。
【0015】
かかる構成により、当該中継局が設置されている所定の領域(例えば、当該中継局が設置されている建物の屋内もしくは当該中継局が設置されている移動体の中)に位置する無線通信端末と優先的に通信を確立することができる。したがって、所定の領域外(例えば
、当該中継局が設置されている建物の屋外もしくは当該中継局が設置されている移動体の外)に位置する無線通信端末で中継局が占有されてしまい、所定の領域の無線通信端末と
基地局との通信を中継する装置としての中継局の本来の目的を果たせないという事態を回避することが可能となる。
【0016】
上記中継局は、無線通信端末からの通信接続要求があった場合に、自局と通信中の無線通信端末が第1所定数を超えているか否かを判定する通信数判定部をさらに備え、端末通信部は、自局と通信中の無線通信端末が第1所定数を超えると、所定の領域にないと判定された無線通信端末との通信確立を拒否してもよい。
【0017】
これにより、第1所定数を超える無線通信端末と通信中の場合、所定の領域(例えば、移動体の中もしくは建物の屋内)にないすなわち所定の領域外(例えば、移動体の外もしくは建物の屋外)に位置する無線通信端末の通信確立を拒否することができる。換言すれば、第1所定数を超える無線通信端末と通信中の場合、所定の領域に位置する無線通信端末とのみ通信を許可することが可能となる。したがって、所定の領域外に位置する無線通信端末によって中継局における通信可能な無線通信端末の数が制限されるのを防止することができる。
【0018】
上記中継局の通信数判定部は、自局と通信中の無線通信端末が、第1所定数より大きい第2所定数を超えているか否かも判定し、内外判定部は、通信確立中の無線通信端末の中で所定の領域にない無線通信端末があるか否かも判定し、端末通信部は、自局と通信中の無線通信端末が第2所定数を超えると、所定の領域にないと判定された通信確立中の無線通信端末に他の基地局とのハンドオーバを促してもよい。
【0019】
これにより、第1所定数より大きい第2所定数を越える無線通信端末と通信確立中の場合、通信確立中の無線通信端末の中で、所定の領域にないすなわち所定の領域外の無線通信端末と中継局との通信を排除することが可能となる。したがって、中継局は、切断した所定の領域外の無線通信端末の数だけ通信可能な無線通信端末の数を確保することが可能となり、これを所定の領域の無線通信端末に割り当てることができる。
【0020】
当該中継局は、さらに、所定の領域を示す方向と所定の領域外を示す方向を特定する情報を予め保持する方向保持部と、アダプティブアレイ機能を有するアンテナと、を一体的または別体に備え、内外判定部は、アダプティブアレイ機能によって導出された、通信接続要求があった無線通信端末の方向が、方向保持部に保持された所定の領域を示す方向に含まれる場合に所定の領域にあると判定してもよい。
【0021】
アダプティブアレイ機能を利用することにより、正確に無線通信端末の方向を導出することができる。中継局は、アダプティブアレイ機能によって導出される方向と、予め保持している所定の領域を示す方向と所定の領域外を示す方向を比較するだけで、所定の領域にあるか否かを容易かつ確実に判定することが可能となる。
【0022】
また中継局は、移動体の中もしくは建物の屋内等基地局との通信を直接行うことが困難な場所に位置する無線通信端末と基地局との通信を中継するものであるため、建物等の窓際すなわち移動体の中もしくは建物の屋内と、移動体の外もしくは屋外との境界に設置することが多い。したがって、中継局の設置箇所と当該設置箇所に対する移動体の中もしくは建物の屋内を示す方向と、移動体の外もしくは屋外を示す方向と、を予め保持しておけば、中継局から無線通信端末までの距離が不明であったとしても、無線通信端末の方向を
導出できれば移動体の中もしくは建物の屋内であるか否かを容易に判定することができる。
【0023】
当該中継局は、さらに、所定の領域の範囲としての所定エリア情報を保持するエリア保持部と、無線通信端末が取得したGPS衛星からの位置情報を受信する位置情報受信部と、を備え、内外判定部は、無線通信端末から受信した位置情報に基づいて通信接続要求があった無線通信端末が所定の領域の範囲にあるか否かを判定してもよい。
【0024】
これにより、自局が対象とする所定の領域の範囲に無線通信端末が位置するか否かで、移動体の中もしくは建物の屋内であるか否かを判定することができる。この際、自局の位置は、GPS衛星から自局の位置情報を取得してもよいし、建物等に固設する場合には、その際に予め位置情報を登録しておけばよい。
【0025】
また、無線通信端末が移動体の中もしくは建物の屋内にある場合にはGPS衛星からの位置情報を取得することはできないため、内外判定部は位置情報受信部が所定時間前までに位置情報を受信したか否かによって移動体の外もしくは建物の屋外にあるか否かを判定することもできる。
【0026】
GPS衛星からの位置情報を受信する中継局GPS受信部をさらに2以上備え、エリア保持部が保持する所定エリア情報は、2以上の中継局GPS受信部との相対位置に基づいて決定されてもよい。
【0027】
自局が対象とする所定の領域の範囲を自局が有する2以上の中継局GPS受信部との相対位置に基づいて決定する構成により、当該中継局が、自動車、バス、電車(列車)、船舶、航空機等、人が乗降可能な乗り物を含む移動体に設置された場合であっても、容易かつ確実に所定の領域(移動体の中)の範囲を規定することができる。
【0028】
上記中継局は、無線通信端末が取得したGPS衛星からの位置情報を受信する位置情報受信部をさらに備え、内外判定部は、無線通信端末から受信した位置情報と、自局の位置情報とから求められる無線通信端末の自局との距離が所定値以上である場合に所定の領域外であると判定してもよい。
【0029】
これにより、中継局(自局)と無線通信端末との距離によってはその無線通信端末が所定の領域に存在し得ないことを把握することができ、容易かつ迅速に移動体の中もしくは建物の屋内か否かを判定することができる。
【0030】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、無線通信端末と基地局との通信を中継可能な中継局を用いた無線通信方法であって、アダプティブアレイ機能を有するアンテナを介して前記無線通信端末からの通信接続要求があった場合に、該通信接続要求があった無線通信端末が所定の領域にあるか否かを、前記アダプティブアレイ機能によって導出された前記通信接続要求があった無線通信端末の方向が、予め保持された前記所定の領域を示す方向に含まれるか否かで判定し、前記所定の領域にあると判定した無線通信端末との通信確立を優先することを特徴とする。
【0031】
上述した中継局の技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該無線通信方法にも適用可能である。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明の中継局によれば、中継局との通信確立を要求する無線通信端末が所定の領域にあるか否かを判定し、所定の領域に位置する無線通信端末を優先的に
接続することで、中継局の本来の目的を確実に遂行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態にかかる無線通信システムの概略的な構成を示したブロック図である。
【図2】第1実施形態にかかる無線通信端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態にかかる無線通信端末の外観を示した斜視図である。
【図4】第1実施形態にかかる基地局の概略的な構成を示したブロック図である。
【図5】第1実施形態にかかる中継局の概略的な構成を示したブロック図である。
【図6】第1実施形態にかかる無線通信方法の処理を示したシーケンス図である。
【図7】第2実施形態にかかる中継局の概略的な構成を示したブロック図である。
【図8】第2実施形態にかかる無線通信方法の処理を示したフローチャートである。
【図9】中継局の他の構成を説明するためのブロック図である。
【図10】所定の領域の範囲としての屋内の範囲を説明するための説明図である。
【図11】中継局のさらに他の構成を説明するためのブロック図である。
【図12】中継局GPS受信部との相対位置に基づく所定エリア情報の決定を説明するための説明図である。
【図13】無線通信端末間で生じる干渉を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0035】
PHS端末や携帯電話等に代表される無線通信端末は、所定間隔をおいて配される複数の基地局との広帯域の無線通信システムを構築し、この無線通信システムを通じて他の無線通信端末や通信網上のサーバと通信を遂行する。
【0036】
ここでは、以下の実施形態の理解を容易にするため、まず無線通信システムの概略的な構成を説明し、その後で無線通信端末、基地局、および中継局の具体的な動作を説明する。また、ここでは、無線通信端末として携帯電話、PHS端末、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、カーナビゲーション、ポータブルテレビ、ゲーム機器、DVDプレイヤー、リモートコントローラ等無線通信可能な様々な電子機器を用いることができる。
(第1実施形態:無線通信システム100)
【0037】
図1は、本実施形態にかかる無線通信システムの概略的な構成を示したブロック図である。当該無線通信システム100は、無線通信端末110(110A、110B、110C)と、基地局120(120A、120B)と、中継局130と、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線、インターネット、専用回線等で構成される通信網1
40と、中継サーバ150とを含んで構成される。
【0038】
かかる無線通信システム100において、ユーザが自身の無線通信端末110Aから他の無線通信端末110Bへの通信回線の接続を行う場合、無線通信端末110Aは、通信可能範囲内にある基地局120Aに無線接続要求を行う。無線接続要求を受信した基地局120Aは、通信網140を介して中継サーバ150に通信相手(無線通信端末110B
)との通信接続を要求し、中継サーバ150は、他の無線通信端末110Bの位置登録情報を参照し、他の無線通信端末110Bの無線通信範囲内にある基地局120Bを選択して基地局120Aと基地局120Bとの通信経路を確保し、無線通信端末110Aと無線通信端末110Bの通信を確立する。
【0039】
この際、無線通信方式としてWiMAX等次世代の高速無線通信方式における2.5GHz帯またはそれ以上の高周波数帯を使用する場合、電波の回り込みが抑制されるため、無線通信端末110が所定の領域としての建物160の中すなわち屋内に位置する場合圏外となる可能性が高くなる。そこで、本実施形態では、建物160の窓際等屋内と屋外の境界に、基地局120と無線通信端末110とを中継する中継局130を固設することで、無線通信端末110が屋内に位置する場合でも安定して基地局120と通信を遂行可能としている。すなわち本実施形態にかかる無線通信端末110は、中継局130とも、基地局120とも通信を行うことができる。
【0040】
しかし、中継局130の近隣に、中継局130と通信している無線通信端末110Aと、基地局120と直接通信を行っている無線通信端末110Cとの両方が存在し、両者(110Aと110C)の距離が非常に近い場合、中継局130と無線通信端末110Aとの通信もしくは基地局120と無線通信端末110Cとの通信のいずれかまたは両方で干渉が生じるおそれがある。
【0041】
ここでは、中継局130と通信を行っている無線通信端末110Aと、基地局120と直接通信を行っている無線通信端末110Cが中継局130の近隣にある場合を想定する。かかる状況下では、無線通信端末110Aと中継局130との電波状況は良好であることが予想されるので、無線通信端末110Aは小さい送信電力で中継局130と通信を行うことができる。一方、中継局130が設置される場所は一般に基地局120からの距離が離れている等基地局120からの電波が届きにくい場合が多く、無線通信端末110Cが中継局130の近隣に位置するということは基地局120から遠い場所等電波環境が悪い場所に位置していることになる。
【0042】
したがって無線通信端末110Cは、無線通信端末110Aと比較して格段に高い送信電力で基地局120と通信を行うことになる。この場合、無線通信端末110Aと中継局130とが利用している搬送波と、無線通信端末110Cと基地局120とが利用している搬送波との周波数が、等しいもしくは隣接している場合、送信電力の高い無線通信端末110Cが送信電力の低い無線通信端末110Aに対して周波数方向に跨った干渉を与えるおそれがある。
【0043】
そこで本実施形態では、干渉の原因となっている無線通信端末110Cをハンドオーバさせ適切な通信接続を遂行することで、中継局130と通信を行う無線通信端末110Aへの干渉を抑えることができる。以下、無線通信システム100の構成要素である無線通信端末110、基地局120、中継局130について個々に説明する。
(無線通信端末110)
【0044】
図2は、本実施形態にかかる無線通信端末のハードウェア構成を示した機能ブロック図であり、図3は、無線通信端末の外観を示した斜視図である。無線通信端末110は、端末制御部210と、端末メモリ212と、表示部214と、操作部216と、音声入力部218と、音声出力部220と、端末無線通信部222とを含んで構成される。
【0045】
端末制御部210は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により無線通信端末110全体を管理および制御する。端末制御部210は、端末メモリ212のプログラムを用いて、通話機能、メール送受信機能、撮像機能、音楽再生機能、TV視聴機能も遂
行する。また、端末制御部210は、基地局120からのハンドオーバ指示にしたがって、ハンドオーバを要求するハンドオーバ要求部230としても機能する。端末メモリ212は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、端末制御部210で処理されるプログラムや音声データ等を記憶する。
【0046】
表示部214は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、端末メモリ212に記憶された、または通信網140を介してアプリケーション中継サーバ(図示せず)から提供される、WebコンテンツやアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。操作部216は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0047】
音声入力部218は、マイク等の音声認識手段で構成され、通話時等に入力されたユーザの音声を無線通信端末110内で処理可能な電気信号に変換する。音声出力部220は、スピーカで構成され、無線通信端末110で受信した通話相手の音声信号を音声に変えて出力する。また、音声出力部220は、着信音や、操作部216の操作音、アラーム音等も出力できる。
【0048】
端末無線通信部222は、通信網140における基地局120または中継局130との無線通信を行う。端末無線通信部222には、OFDM方式、OFDMA方式等様々な無線通信方式を適用することができる。
(基地局120)
【0049】
図4は、本実施形態にかかる基地局の概略的な構成を示したブロック図である。基地局120は、基地局制御部310と、基地局メモリ312と、基地局無線通信部314と、基地局有線通信部316と、アダプティブアレイ機能を遂行するための複数のアンテナ318を含んで構成される。
【0050】
基地局制御部310は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により基地局120全体を管理および制御する。基地局メモリ312は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、基地局制御部310で処理されるプログラム等を記憶する。
【0051】
基地局無線通信部314は、無線通信端末110または中継局130と、例えばOFDMA方式等による無線通信を確立し、無線通信端末110または中継局130との通信状態に応じて、変調方式を適応的に変更することもできる(適応変調)。また、基地局無線通信部314は、無線通信端末110からのハンドオーバ要求に応じて、自局(基地局1
20)と中継局130とのハンドオーバを実行する。基地局有線通信部316は、通信網
140を介して中継サーバ150を含む様々なサーバと接続することができる。
【0052】
また本実施形態において、基地局制御部310は、干渉受信部320、キャリア端末抽出部322、ハンドオーバ情報送信部324、基地局電力取得部326、中継方向取得部328、端末方向取得部330、ハンドオーバ実行部332としても機能する。
【0053】
干渉受信部320は、中継局130が送信する、中継局130と無線通信端末110との通信が干渉を受けている旨の干渉情報を基地局無線通信部314を介して受信する。
【0054】
キャリア端末抽出部322は、中継局130が送信した干渉情報を干渉受信部320が受信した場合に、当該干渉情報に含まれる搬送波の周波数と同一もしくは近隣の周波数の搬送波を利用して自局(基地局120)と通信中である他の無線通信端末110を抽出する

【0055】
ハンドオーバ情報送信部324は、干渉受信部320が中継局130からの干渉情報を受信した場合に自局(基地局120)と通信中である他の無線通信端末110に中継局130へのハンドオーバを指示する旨のハンドオーバ情報を送信する。このとき、ハンドオーバ情報送信部324は、キャリア端末抽出部322が抽出した他の無線通信端末110に対してのみハンドオーバ情報を送信することもできる。
【0056】
ハンドオーバ情報送信部324が、キャリア端末抽出部322が抽出した他の無線通信端末110にハンドオーバ情報を送信する構成により、ハンドオーバを促す対象の無線通信端末110を周波数で限定することができ、ハンドオーバ情報送信部324の負荷を低減するとともに、不要なハンドオーバを抑制することが可能となる。
【0057】
基地局電力取得部326は、自局(基地局120)と通信中の他の無線通信端末110の送信電力を含む送信電力情報を中継局130から間欠的に、すなわち所定時間毎に取得する。
【0058】
さらに本実施形態において、ハンドオーバ情報送信部324は、キャリア端末抽出部322が抽出した他の無線通信端末110のうち、基地局電力取得部326が取得した送信電力が所定値を超えた他の無線通信端末110にハンドオーバ情報を送信することも可能である。
【0059】
中継局130の近隣は基地局120からの距離が長いと見なすことができる。したがって、基地局120からの距離が遠い、すなわち送信電力が大きい無線通信端末110が干渉の原因になっている可能性が高い。本実施形態では、ハンドオーバを促す対象の無線通信端末110を送信電力で限定することができ、ハンドオーバ情報送信部324の負荷を低減するとともに、不要なハンドオーバを抑制することが可能となる。
【0060】
中継方向取得部328は、複数のアンテナ318を用いて遂行されるアダプティブアレイ機能を用いて中継局130の方向を示す中継局方向情報を取得する。
【0061】
端末方向取得部330は、複数のアンテナ318を用いて遂行されるアダプティブアレイ機能を用いて自局(基地局120)と通信中の他の無線通信端末110の方向を示す端末方向情報を取得する。
【0062】
本実施形態においてハンドオーバ情報送信部324は、キャリア端末抽出部322が抽出した他の無線通信端末110のうち、基地局電力取得部326が取得した送信電力が所定値を超えた他の無線通信端末110であって、さらに、中継方向取得部328が取得した中継局方向情報と端末方向取得部330が取得した端末方向情報に基づいて中継局130の方向と略等しい方向にある他の無線通信端末110にハンドオーバ情報を送信してもよい。
【0063】
かかる構成により、ハンドオーバを促す対象の無線通信端末110を基地局120からの方向で限定することができ、ハンドオーバ情報送信部324の負荷を低減するとともに、不要なハンドオーバを抑制することが可能となる。
【0064】
本実施形態において、ハンドオーバ情報送信部324は、キャリア端末抽出部322、基地局電力取得部326、中継方向取得部328、端末方向取得部330が取得した情報に基づいてハンドオーバ情報を送信する他の無線通信端末110を決定しているが、これに限定されず、キャリア端末抽出部322、基地局電力取得部326、中継方向取得部3
28および端末方向取得部330のいずれかもしくは複数の組み合わせを利用することもできる。
【0065】
例えば、キャリア端末抽出部322と基地局電力取得部326が取得した情報に基づいて他の無線通信端末110を決定する場合、ハンドオーバ情報送信部324は、基地局電力取得部326が取得した送信電力が最大の無線通信端末110に、または送信電力が最大から所定数までの無線通信端末110にハンドオーバ情報を送信するとよい。
【0066】
ハンドオーバ実行部332は、他の無線通信端末110からのハンドオーバ要求に応じて、自局(基地局120)から中継局130へのハンドオーバを実行する。
【0067】
以上説明したように本実施形態にかかる基地局120によれば、干渉の原因となっている他の無線通信端末110(干渉対象)を、干渉を受けている無線通信端末110が通信している中継局130にハンドオーバさせることができる。したがって、同一の周波数の搬送波を割り当てられることがなくなり、干渉を回避することができる。また、ハンドオーバ後は、中継局130との少ない送信電力による通信となるので、無線通信端末110と他の無線通信端末110の送信電力は、略等しくなる。したがって、たとえ、他の無線通信端末110と中継局130と通信している無線通信端末110とが利用する搬送波の周波数が隣接していたとしても、相互に干渉を与える可能性を低減させることが可能となる。
(中継局130)
【0068】
図5は、本実施形態にかかる中継局の概略的な構成を示したブロック図である。中継局130は、中継局制御部410と、中継局メモリ412と、中継局無線通信部414とを含んで構成される。
【0069】
中継局制御部410は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により中継局130全体を管理および制御する。中継局メモリ412は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、中継局制御部410で処理されるプログラム等を記憶する。中継局無線通信部414は、無線通信端末110と通信を行う端末通信部416と、基地局120と通信を行う基地局通信部418とを含んで構成され、無線通信端末110と基地局120とを中継する。これにより、中継局130は、基地局120と通信する場合に無線通信端末として機能し、基地局120は中継局130を無線通信端末同様に取り扱うことができる。端末通信部416は、無線通信端末110との通信状態に応じて、変調方式を適応的に変更することもできる(適応変調)。
【0070】
また本実施形態において、中継局制御部410は、通信品質取得部420、干渉判定部422、干渉通知部424、中継電力取得部426、呼数判定部428、端末抽出部430、指示通知部432としても機能する。
【0071】
通信品質取得部420は、無線通信端末110と基地局120との通信を中継している場合に、自局(中継局130)と無線通信端末110との通信における通信品質を取得する。例えば、本実施形態では、無線通信端末110Aとの通信における通信品質を取得している。
【0072】
本実施形態において、通信品質取得部420は、通信品質として、RSSIと、CINRを取得する。RSSIとCINRを利用することにより、通信品質を好適に把握することが可能となる。なお、ここでは、通信品質取得部420は、通信品質としてRSSIとCINRを取得しているが、RSSIとSINRを取得しても通信品質を好適に把握することができる。
【0073】
干渉判定部422は、通信品質取得部420が取得した通信品質としてのRSSIとCINRに基づいて、自局(中継局130)と無線通信端末110との通信が干渉を受けているか否かを判定する。本実施形態において干渉判定部422は、SINRとRSSIとの関係としてのSINR/RSSI、もしくはCINRとRSSIとの関係としてのCINR/RSSIが所定の条件を満たす、例えば所定値以下である場合に、自局(中継局130)と無線通信端末110との通信が干渉を受けていると判定する。具体的に本実施形態にかかる干渉判定部422は、CINR/RSSIが所定値以下である場合に、自局(中継局130)と無線通信端末110との通信が干渉を受けていると判定する。例えば、本実施形態では無線通信端末110Aとの通信が干渉を受けているか否かを判定している。
【0074】
RSSIは、受信した電波全ての電波強度であり、CINRは所望する搬送波と干渉を含む雑音との比である。したがって、CINR/RSSIが所定値以下であれば干渉を受けているか否かを確実に判定することができる。
【0075】
ここで通信品質取得部420が通信品質としてRSSIおよびSINRを取得した場合には、干渉判定部422は、SINR/RSSIが所定値以下である場合に、自局(中継局130)と無線通信端末110との通信が干渉を受けていると判定する。SINRは所望信号と干渉を含む雑音との比であるため、CINR/RSSIを用いて干渉の有無を判定する場合と同様に無線通信端末110との通信が干渉を受けているか否かを判定することが可能となる。
【0076】
干渉通知部424は、無線通信端末110との通信が干渉を受けていると干渉判定部422が判定した場合に、基地局120と通信している無線通信端末110に自局(中継局130)へのハンドオーバを促ために、干渉を受けている旨を含む干渉情報を、基地局通信部418を介して基地局120に通知する。例えば、本実施形態では、無線通信端末110Aとの通信が干渉を受けていると干渉判定部422が判定した場合に、基地局120と通信している無線通信端末110Cに自局(中継局130)へのハンドオーバを促ために、干渉を受けている旨を含む干渉情報を、基地局通信部418を介して基地局120に通知している。
【0077】
本実施形態において干渉通知部424は、無線通信端末110と自局(中継局130)との通信で用いる搬送波の周波数およびタイムスロットも干渉情報に含ませて基地局120に通知する。
【0078】
これにより、中継局130と通信を行っている無線通信端末110の搬送波の周波数と略同一もしくは隣接する(もしくは近隣の)周波数を搬送波として利用している他の無線通信端末110を自局(中継局130)にハンドオーバさせるように基地局120に通知することができる。したがって、無線通信端末110に干渉を与えている可能性の高い他の無線通信端末110にのみ自局(中継局130)へのハンドオーバを促すことができ、効率よく干渉を回避することが可能となる。
【0079】
また、中継局130と通信を行っている無線通信端末110が利用するタイムスロットと同一もしくは隣接するタイムスロットを利用している他の無線通信端末110を自局(中継局130)にハンドオーバさせるように基地局120に通知することができる。したがって、TDMA方式を利用した無線通信方式である場合に、好適に無線通信端末110に干渉を与えている可能性の高い他の無線通信端末110にのみ自局(中継局130)へのハンドオーバを促すことが可能となる。
【0080】
中継電力取得部426は、自局(中継局130)と通信中の無線通信端末110の送信電力を含む送信電力情報を取得する。例えば、本実施形態では無線通信端末110A、110Cの送信電力を含む送信電力情報を取得している。
【0081】
呼数判定部428は、自局(中継局130)と通信していない無線通信端末110からの通信接続要求があった場合に自局(中継局130)と通信中の呼が所定数を超えているか否かを判定する。ここで、呼とは、例えば、チャネルや、WiMAX等におけるPRU(Physical Resource Unit)などである。
【0082】
端末抽出部430は、呼数判定部428が通信中の呼が所定数を超えていると判定した場合に中継電力取得部426が取得した送信電力情報に基づいて、所定の無線通信端末110を抽出する。例えば、本実施形態では無線通信端末110Cを抽出している。
【0083】
指示通知部432は、端末抽出部430が抽出した無線通信端末110にハンドオーバを促す指示情報を、基地局通信部418を介して基地局120に通知する。ここで指示通知部432は、端末抽出部430が抽出した無線通信端末110にハンドオーバを促すコマンドを基地局120に送信する。
【0084】
上述した、中継電力取得部426、呼数判定部428、端末抽出部430、指示通知部432を含む構成により、中継局130が所定数を超えた呼と通信を行っている場合、中継局130との距離が長い、すなわち他の基地局との距離が短く、ハンドオーバの効果を得やすいと推定できる無線通信端末110を優先的にハンドオーバさせることで、それぞれ適切な無線通信を確立することが可能となり、中継局130と通信を行う無線通信端末110への干渉を抑えることができる。
【0085】
以上説明したように本実施形態にかかる中継局130によれば、自局(中継局130)と通信を行っている無線通信端末110が干渉を受けていると判定された場合、干渉対象となる他の無線通信端末110にハンドオーバさせ自局(中継局130)と通信を確立するように促すことができる。これにより、干渉を受けている無線通信端末110と、干渉の原因となっている他の無線通信端末110(干渉対象)とが、同じ中継局130と通信を行うことが可能となる。したがって、同一の周波数の搬送波を割り当てられることがなくなり、干渉を回避することができる。
【0086】
さらに、干渉を与えている他の無線通信端末110(干渉対象)は通信中である基地局120と比較して近隣にある中継局130にハンドオーバすることができるため、良好な通信環境を得る可能性が高く、消費電力を抑えることが可能となる。したがって、他の無線通信端末110と無線通信端末110とが利用する搬送波の周波数が隣接していたとしても、他の無線通信端末110と無線通信端末110は略等しい送信電力で通信を行うことになるため、相互に干渉を与える可能性を低減させることが可能となる。
(無線通信方法)
【0087】
次に、無線通信端末110と、基地局120と、中継局130とを用いて無線通信を実行する無線通信方法を詳細に説明する。
【0088】
図6は、本実施形態にかかる無線通信方法の処理を示したシーケンス図である。例えば、本実施形態では、中継局130と通信を行っている無線通信端末110Aと、基地局120と通信を行っている他の無線通信端末110Cを挙げて説明する。
【0089】
中継局130の近隣に位置する他の無線通信端末110Cが基地局120と通信中であり(S500:通信ステップ)、中継局130が無線通信端末110Aと基地局120と
の通信を中継している(S502:通信中継ステップ)場合に、中継局130の通信品質取得部420が、自局(中継局130)と無線通信端末110Aとの通信における通信品質を取得する(S504:通信品質取得ステップ)。
【0090】
中継局130の干渉判定部422は、通信品質取得ステップS504で取得した通信品質に基づいて、自局(中継局130)と無線通信端末110Aとの通信が干渉を受けているか否かを判定し(S506:干渉判定ステップ)、干渉を受けていると判定した場合に、基地局120と通信している他の無線通信端末110Cにハンドオーバを促すために、干渉を受けている旨を含む干渉情報を、基地局120に通知する(S508:干渉情報通知ステップ)。
【0091】
基地局120の干渉受信部320が、干渉情報を受信すると(S510:干渉情報受信ステップ)、ハンドオーバ情報送信部324が自局(基地局120)と通信中である他の無線通信端末110のうち、キャリア端末抽出部322、基地局電力取得部326、中継方向取得部328、端末方向取得部330が取得した情報に基づいてハンドオーバ情報を送信する他の無線通信端末110Cを選択する(S512:送信先選択ステップ)。
【0092】
送信先選択ステップS512において選択された他の無線通信端末110Cに中継局130へのハンドオーバを指示する旨のハンドオーバ情報を送信し(S514:ハンドオーバ情報送信ステップ)する。
【0093】
基地局120と通信中の他の無線通信端末110Cがハンドオーバ情報を受信すると(S516:ハンドオーバ情報受信ステップ)、他の無線通信端末110Cのハンドオーバ要求部230がハンドオーバ要求を基地局120に送信する(S518:ハンドオーバ要求ステップ)。
【0094】
基地局120のハンドオーバ実行部332は、他の無線通信端末110Cからのハンドオーバ要求に応じて、自局(基地局120)から中継局130へのハンドオーバを実行し(S520:ハンドオーバ処理実行ステップ)、中継局130と他の無線通信端末110Cとの通信確立が遂行される(S522:通信確立ステップ)。
【0095】
以上説明したように、本実施形態にかかる無線通信方法においても、中継局130と無線通信端末110との通信が干渉を受けていると判定された場合、干渉対象となる他の無線通信端末110にハンドオーバさせ中継局130と通信を確立するように促すことができる。これにより、干渉を受けている無線通信端末110と、干渉の原因となっている他の無線通信端末110(干渉対象)とが、同じ中継局130と通信を行うことが可能となる。したがって、ハンドオーバ後は中継局130との少ない送信電力による通信となるので、無線通信端末110と他の無線通信端末110の送信電力は、略等しくなる。これにより、たとえ、他の無線通信端末110と無線通信端末110とが利用する搬送波の周波数が隣接していたとしても、相互に干渉を与える可能性を低減させることが可能となる。(第2実施形態)
【0096】
上述した第1実施形態では、干渉の原因となっている他の無線通信端末110をハンドオーバさせ適切な通信接続を遂行することで、中継局130と通信を行う無線通信端末110への干渉を抑えることができる無線通信システム100、基地局120、中継局130、無線通信方法について説明した。
【0097】
しかし、中継局130は無線通信端末110と基地局120との通信を補助的に支援するものであるため、基地局120と比較して、同時通信することが可能な無線通信端末110や呼の数が制限される。したがって、干渉対象となる他の無線通信端末110との通
信を中継局130が積極的に遂行すると、中継局130が本来接続すべき所定の領域に位置する無線通信端末110との通信が制限されかねない。例えば、本実施形態では中継局130が設置されている屋内に位置する無線通信端末110との通信が制限されかねない。
【0098】
また、中継局130は移動体の中もしくは建物の屋内に位置する無線通信端末110と基地局120との通信を効率よく中継するために、一般的に移動体の中もしくは建物の屋内と、移動体の外もしくは建物の屋外と、の境界(建物160等の窓際等)に設置することが多い。窓際に中継局130を設置する場合、見通しがよいことが多いため、移動体の外もしくは建物の屋外に位置する他の無線通信端末110を接続してしまい、やはり移動体の中もしくは建物の屋内の無線通信端末110との通信が制限されることとなる。
【0099】
そこで本実施形態では、中継局との通信確立を要求する無線通信端末が所定の領域にあるか否かを判定し、所定の領域に位置する無線通信端末を優先的に接続することで、中継局の本来の目的を確実に遂行することが可能な中継局および無線通信方法について説明する。
(中継局600)
【0100】
図7は、本実施形態にかかる中継局の概略的な構成を示したブロック図である。上述した中継局130と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
図7に示すように中継局600は、中継局制御部610と、中継局メモリ612と、中継局無線通信部614と、アダプティブアレイ機能を遂行するための複数のアンテナ616を含んで構成され、中継局無線通信部614は、上述した第1実施形態と同様に無線通信端末110と通信を行う端末通信部620と、基地局120と通信を行う基地局通信部622とを含んで構成され、無線通信端末110と基地局120とを中継する。
【0102】
本実施形態において、複数のアンテナ616および後述する方向保持部630として機能する中継局メモリ612は、一体的に備えられているがこれに限定されず、別体に備えることもできる。
【0103】
中継局制御部610は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により中継局600全体を管理および制御する。中継局メモリ612は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、中継局制御部610で処理されるプログラム等を記憶する。本実施形態において、中継局メモリ612は、方向保持部630としても機能する。方向保持部630は、所定の領域の方向を示す方向と、所定の領域外を示す方向を特定する情報を予め保持する。例えば、本実施形態において、方向保持部630は、所定の領域として当該中継局600が設置されている建物の屋内もしくは当該中継局600が設置されている移動体の中の方向を示す方向と、所定の領域外として当該中継局600が設置されている建物の屋外もしくは当該中継局600が設置されている移動体の外を示す方向を特定する情報を予め保持している。
【0104】
本実施形態において、中継局制御部610は、通信品質取得部420、干渉判定部422、干渉通知部424、中継電力取得部426、端末抽出部430、指示通知部432、内外判定部632、呼数判定部634、としても機能する。
【0105】
内外判定部632は、無線通信端末110からの通信接続要求があった場合に、通信接続要求があった無線通信端末110が、所定の領域すなわち当該中継局600が設置されている建物の屋内にあるか否かを判定する。また内外判定部632は、通信確立中の無線
通信端末110の中で屋外(所定の領域外)に位置する無線通信端末110があるか否かも判定する。
【0106】
本実施形態において、内外判定部632は、複数のアンテナ616を用いて遂行されるアダプティブアレイ機能によって導出された通信接続要求があった無線通信端末110の方向が、方向保持部630に保持された所定の領域(屋内)を示す方向と所定の領域外(屋外)を示す方向を特定する情報に基づく所定の領域(屋内)を示す方向に含まれるか否かによって通信接続要求があった無線通信端末110が所定の領域(屋内)に位置するか否かを判定する。
【0107】
内外判定部632が、複数のアンテナ616を用いたアダプティブアレイ機能を利用することにより、正確に無線通信端末110の方向を導出することができる。中継局600は、アダプティブアレイ機能によって導出される方向と、予め保持している所定の領域(屋内)を示す方向と、所定の領域外(屋外)を示す方向と、を比較するだけで、所定の領域(屋内)であるか否かを容易かつ確実に判定することが可能となる。
【0108】
また中継局600は、移動体の中や建物の屋内等基地局120との通信を直接行うことが困難な場所に位置する無線通信端末110と基地局120との通信を中継するものであるため、建物160等の窓際すなわち屋内と屋外の境界に設置することが多い。したがって、中継局600の設置箇所と当該設置箇所に対する屋内を示す方向と屋外を示す方向を予め保持しておけば、中継局600から無線通信端末110までの距離が不明であったとしても、無線通信端末110の方向を導出できれば屋内であるか否かを容易に判定することができる。
【0109】
例えば、本実施形態において上述した端末通信部620は、内外判定部632が所定の領域(屋内)にあると判定した無線通信端末110Dとの通信確立を優先している。
【0110】
呼数判定部634は、無線通信端末110からの通信接続要求があった場合に、自局(
中継局600)と通信中の呼が第1所定数を超えているか否かを判定する。
【0111】
そして、本実施形態において端末通信部620は、呼数判定部634が自局(中継局600)と通信中の呼が第1所定数、例えば、無線通信端末110の許容呼数の70%を超えていると判定した場合に、内外判定部632が所定の領域(屋内)にないと判定した無線通信端末110との通信確立を拒否する。例えば、本実施形態では、無線通信端末110Eとの通信確立を拒否する。
【0112】
これにより、第1所定数を超える数の呼と通信中の場合、所定の領域(屋内)にないすなわち所定の領域外(屋外)に位置する無線通信端末110Dの通信確立を拒否することができる。換言すれば、第1所定数を超える数の呼と通信中の場合、所定の領域(屋内)に位置する無線通信端末110Cとのみ通信を許可することが可能となる。したがって、所定の領域外(屋外)に位置する無線通信端末110によって中継局600における通信可能な無線通信端末110の数が制限されるのを防止することができる。
【0113】
本実施形態において呼数判定部634はさらに、自局(中継局600)と通信中の呼が、第1所定数より大きい第2所定数、例えば、無線通信端末110の許容呼数の95%を超えているか否かも判定する。
【0114】
呼数判定部634が自局(中継局600)と通信中の呼の数が第2所定数を超えていると判定した場合に、端末通信部620は、内外判定部632によって所定の領域(屋内)にないと判定された通信確立中の無線通信端末110に他の基地局とのハンドオーバを促す

【0115】
これにより、第1所定数より大きい第2所定数を越える数の呼と通信確立中(通信中)の場合、通信確立中の無線通信端末110の中で、所定の領域外(屋外)の無線通信端末110と中継局600との通信を排除することが可能となる。したがって、中継局600は、切断した所定の領域外(屋外)の呼の数だけ通信可能な呼の数を確保することが可能となり、これを所定の領域(屋内)の無線通信端末110に割り当てることができる。
【0116】
以上説明したように、本実施形態にかかる中継局600によれば、自局(中継局600)との通信確立を要求する無線通信端末110が所定の領域(屋内)にあるか否かを判定し、所定の領域(屋内)に位置する無線通信端末110を優先的に接続することで、中継局の本来の目的を確実に遂行することが可能となる。
(無線通信方法)
【0117】
次に、無線通信端末110と、基地局120と、中継局600とを用いて無線通信を実行する無線通信方法を詳細に説明する。
【0118】
図8は、本実施形態にかかる無線通信方法の処理を示したフローチャートである。
【0119】
無線通信端末110からの通信接続要求があると(S700のYES:通信接続受信ステップ)、呼数判定部634が自局(中継局600)と通信中の呼の数が中継局600の許容呼数以下であるか否かを判定する(S702:許容呼数判定ステップ)。許容呼数以下であれば(S702のYES)、呼数判定部634は、さらに、自局(中継局600)と通信中の呼の数が第1所定数以上であり、内外判定部632が当該通信の確立を試みる無線通信端末110が所定の領域外(当該中継局が設置されている建物の屋外)にあるか否かを判定する(S704:内外判定ステップ)。
【0120】
一方、許容呼数判定ステップS702において、自局(中継局600)と通信中の呼の数が中継局600の許容呼数であれば、当該通信の確立を試みる無線通信端末110の通信確立を拒否する(S706:通信拒否ステップ)。
【0121】
内外判定ステップS704において、自局(中継局600)と通信中の呼の数が第1所定数以上でありかつ、内外判定部632が当該通信の確立を試みる無線通信端末110が所定の領域(屋内)に位置すると判定された場合でなければ(S704のNO)、通信を確立する(S708:通信確立ステップ)。
【0122】
さらに、呼数判定部634が自局(中継局600)と通信中の呼の数が第2所定数を超えているか否かを判定し(S710:第2所定数判定ステップ)、第2所定数以上であれば(S710のYES)、端末通信部620が自局(中継局600)と通信中であり所定の領域外(屋外)にある無線通信端末110に他の基地局とのハンドオーバを促すハンドオーバ情報を指示する(S712:ハンドオーバ指示ステップ)。
【0123】
また、内外判定ステップS704において、自局(中継局600)と通信中の呼の数が第1所定数以上であり、内外判定部632が当該通信の確立を試みる無線通信端末110が所定の領域外(屋外)に位置すると判定された場合(S704のYES)、通信を拒否する(S714:通信拒否ステップ)。
【0124】
上述したように本実施形態にかかる無線通信方法によれば、所定の領域(屋内)に位置する無線通信端末110と優先的に通信を確立することができる。したがって、所定の領域外(屋外)に位置する無線通信端末110で中継局600が占有されてしまい、所定の
領域(屋内)の無線通信端末110と基地局120との通信を中継する装置としての中継局の本来の目的を果たせないという事態を回避することが可能となる。
(他の実施形態)
【0125】
上述した第2実施形態では、複数のアンテナ616を用いて遂行されるアダプティブアレイ機能によって導出された通信接続要求があった無線通信端末110の方向が、方向保持部630に保持された所定の領域を示す方向と所定の領域外を示す方向とを特定する情報に基づく所定の領域を示す方向に含まれるか否かによって通信接続要求があった無線通信端末110が所定の領域に位置するか否かを判定する構成について説明した。
【0126】
ここでは、アダプティブアレイ機能を遂行可能な複数のアンテナ616がなくとも通信接続要求があった無線通信端末110が所定の領域(屋内)に位置するか否かをhanteisurukotoga可能な構成について説明する。
(中継局800)
【0127】
図9は、中継局の他の構成を説明するためのブロック図である。上述した中継局130、600と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0128】
図9に示すように、中継局800は、中継局制御部610と、エリア保持部822として機能する中継局メモリ812と、中継局無線通信部814とを含んで構成され、中継局無線通信部814は、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様に無線通信端末110と通信を行う端末通信部820と、基地局120と通信を行う基地局通信部622とを含んで構成され、無線通信端末110と基地局120とを中継する。
【0129】
エリア保持部822は、所定の領域(当該中継局800が設置されている建物の屋内)の範囲としての所定エリア情報を保持する。例えば、本実施形態において中継局800は建物160の窓際等屋内と屋外の境界に壁付けで固設されているため、エリア保持部822は予め屋内の範囲としての所定エリア情報を保持している。
【0130】
図10は、所定の領域の範囲としての屋内の範囲を説明するための説明図である。図10(a)に示すように、中継局800が窓際に設置される場合、屋内の範囲とは図10(a)においてハッチングで示す略半円の範囲とするとよい。一方、中継局800が建物160の略角に設置される場合、図10(b)においてハッチングで示す範囲が屋内の範囲とすることもできる。
【0131】
この際、自局(中継局800)の絶対位置は、GPS衛星から自局(中継局800)の位置情報を取得してもよいし、建物等に固設する場合には、その際に予め位置情報を登録しておけばよい。
【0132】
本実施形態において端末通信部820は、位置情報受信部824としても機能する。位置情報受信部824は、無線通信端末110が取得したGPS衛星830からの位置情報を受信する。
【0133】
本実施形態において内外判定部632は、位置情報受信部824が受信した通信接続要求があった無線通信端末110の位置情報に基づいた無線通信端末110の位置が、エリア保持部822に予め保持されている所定エリア情報が示す屋内の範囲にあるか否かを判定する。
【0134】
これにより、自局(中継局800)が対象とする所定の領域(屋内)の範囲に無線通信端末110が位置するか否かで、所定の領域(屋内)であるか否かを判定することができる

【0135】
なお、無線通信端末110が屋内にある場合にはGPS衛星830からの位置情報を取得することはできないため、内外判定部632は位置情報受信部824が所定時間前までに位置情報を受信したか否かによって屋外にあるか否かを判定することもできる。
【0136】
なお、中継局850において、内外判定部632は、通信接続要求があった無線通信端末110の位置情報に基づいた無線通信端末110の位置が、エリア保持部822に予め保持されている所定エリア情報が示す屋内の範囲にあるか否かを判定しているが、無線通信端末110から受信した位置情報と自局(中継局800)の位置情報とから求められる無線通信端末110と自局(中継局800)との距離が所定値以上である場合に屋外であると判定することもできる。この際、予め中継局850の位置から自局(中継局800)が設置されている建物の屋外までの距離を所定値としてもよい。
【0137】
これにより、中継局800(自局)と無線通信端末110との距離によってはその無線通信端末110が所定の領域(屋内)に存在し得ないことを把握することができ、容易かつ迅速に所定の領域(屋内)か否かを判定することが可能となる。
(中継局850)
【0138】
図11は、中継局のさらに他の構成を説明するためのブロック図である。上述した中継局130、600、800と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0139】
中継局850は中継局800の構成要素に加えて、中継局GPS受信部852を2つ備えて構成される。ここでは、中継局850は、自動車、バス、電車(列車)、船舶、航空機等、人が乗降可能な乗り物を含む移動体に設置される。
【0140】
中継局GPS受信部852は、GPS衛星830からの位置情報を受信する。そして、中継局850におけるエリア保持部822が保持する所定エリア情報は、2の中継局GPS受信部852との相対位置に基づいて決定される。
【0141】
図12は、中継局GPS受信部との相対位置に基づく所定エリア情報の決定を説明するための説明図である。
【0142】
図12に示すように、中継局850の中継局GPS受信部852(図12中852a、
852bで示す)は、所定の領域(移動体の中)と、所定の領域外(移動体の外)との略
境界線(図12中実線で示す)上に設置されている。例えば、図12中左側が所定の領域(移動体の中)であり、右側が所定の領域外(移動体の外)である場合、エリア保持部822は、所定エリア情報として2の中継局GPS受信部852との相対位置すなわち中継局GPS受信部852bの位置からみて中継局GPS受信部852aよりも左側の位置が所定の領域(移動体の中)であり、右側の位置が所定の領域外(移動体の外)であるいう情報を保持する。
【0143】
この場合、内外判定部632は、位置情報受信部824が受信した無線通信端末110の位置情報が地点860の場合には、地点860は中継局GPS受信部852bの位置からみて中継局GPS受信部852aよりも左側の位置にあることから所定の領域(移動体の中)であると判定する。一方、位置情報受信部824が受信した無線通信端末110の位置情報が地点862の場合には、地点860は中継局GPS受信部852bの位置からみて中継局GPS受信部852aよりも右側の位置にあることから所定の領域外(移動体の外)であると判定する。
【0144】
上述した自局(中継局850)が対象とする所定の領域(移動体の中)の範囲を、自局(
中継局850)が有する2以上の中継局GPS受信部852との相対位置に基づいて決定
する構成により、中継局850が、自動車、バス、電車(列車)、船舶、航空機等、人が乗降可能な乗り物を含む移動体に設置され、移動体の中の絶対位置が時々刻々と変化する場合においても、容易かつ確実に所定の領域(移動体の中)の範囲を規定することができる。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
例えば、OFDM方式やOFDMA方式を用いた高速デジタル無線通信(例えば、WiMAX、次世代PHS等)により本無線通信システムを構築することは可能であり、その場合に無線通信端末や中継局はOFDM方式やOFDMA方式に対応した通信機能を持たせることとなる。
【0147】
また、上述した実施形態において、中継局は建物に固設しているがこれに限定されず、移動体に設置してもよい。ここで移動体とは、また、移動体は、自動車、バス、電車(列車)、船舶、航空機等、人が乗降可能な乗り物を示しており、所定の領域とは移動体の中である。
【0148】
さらに、上述した実施形態では、無線通信端末が干渉を受けているか否かを判定するのは中継局としたが、基地局が中継局から通信品質を取得して無線通信端末が干渉を受けているか否かの判定を行ってもよい。
【0149】
また、上述した実施形態では、自局(中継局)と無線通信端末との通信が干渉を受けていると判定された場合に、干渉の原因となっている他の無線通信端末(干渉対象)と通信を行っている基地局にのみ干渉情報を通知しているが、他の無線通信端末(干渉対象)と通信を行っている基地局に干渉情報を通知し、そしてさらに当該基地局に隣接する他の基地局に、当該基地局を介して干渉情報を通知することとしてもよい。
【0150】
なお、本明細書の無線通信方法における各工程は、必ずしもシーケンス図もしくはフローチャートのいずれかまたは両方として記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、無線通信端末と基地局との通信を中継可能な中継局および無線通信方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0152】
100 …無線通信システム、110…無線通信端末、120 …基地局、130、600、800、850 …中継局、140 …通信網、150 …中継サーバ、160…建物、
210 …端末制御部、212 …端末メモリ、214 …表示部、216 …操作部、218…音声入力部、220 …音声出力部、222 …端末無線通信部、230 …ハンドオ
ーバ要求部、310 …基地局制御部、312 …基地局メモリ、314 …基地局無線通
信部、316 …基地局有線通信部、318 …アンテナ、320 …干渉受信部、322 …キャリア端末抽出部、324 …ハンドオーバ情報送信部、326 …基地局電力取得部、328 …中継方向取得部、330 …端末方向取得部、332 …ハンドオーバ実行部
、410、610 …中継局制御部、412、612、812 …中継局メモリ、414、614、814…中継局無線通信部、416、620、820 …端末通信部、418、
622…基地局通信部、420 …通信品質取得部、422 …干渉判定部、424 …干
渉通知部、426 …中継電力取得部、428、634 …通信数判定部、430 …端末
抽出部、432 …指示通知部、616 …アンテナ、630 …方向保持部、632 …内外判定部、822 …エリア保持部、824…位置情報受信部、830 …GPS衛星、852 …中継局GPS受信部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末と基地局との通信を中継可能な中継局であって、
アダプティブアレイ機能を有するアンテナを介して前記無線通信端末と通信を行う端末通信部と、
前記基地局と通信を行う基地局通信部と、
所定の領域を示す方向と該所定の領域外を示す方向を特定する情報を予め保持する方向保持部と、
前記無線通信端末からの通信接続要求があった場合に、該通信接続要求があった無線通信端末が、前記所定の領域にあるか否かを判定する内外判定部と、
を備え、
前記内外判定部は、前記アダプティブアレイ機能によって導出された前記通信接続要求があった無線通信端末の方向が、前記方向保持部に保持された前記所定の領域を示す方向に含まれる場合に前記所定の領域にあると判定し、
前記端末通信部は、前記内外判定部が前記所定の領域にあると判定した無線通信端末との通信確立を優先することを特徴とする中継局。
【請求項2】
無線通信端末と基地局との通信を中継可能な中継局を用いた無線通信方法であって、
アダプティブアレイ機能を有するアンテナを介して前記無線通信端末からの通信接続要求があった場合に、該通信接続要求があった無線通信端末が所定の領域にあるか否かを、前記アダプティブアレイ機能によって導出された前記通信接続要求があった無線通信端末の方向が、予め保持された前記所定の領域を示す方向に含まれるか否かで判定し、
前記所定の領域にあると判定した無線通信端末との通信確立を優先することを特徴とする無線通信方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−151895(P2012−151895A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84978(P2012−84978)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2008−214724(P2008−214724)の分割
【原出願日】平成20年8月23日(2008.8.23)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】