説明

中間像面における空間多重化を採用した立体視投影システム

パッシブな偏光眼鏡を介して視認される立体画像を提供するための投影システム及び方法。システムは、画像変調器に左目画像及び右目画像を同時に生成又は横並びの画像を生成するプロジェクタに関する。システムは、空間的に分離された画像を、偏光状態を切り替えて投影スクリーン上に重ね合わせる。実施形態は、液晶偏光ベースの投影システムに好適であり、最新の偏光制御を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、概して、投影システムに関し、より詳細には、立体視モード及び非立体視モードで選択的に動作する投影システムに関する。
【0002】
[優先権情報]
本特許出願は、以下に示す出願に関連し、また、優先権を主張する。(1)2009年6月29日出願の特許仮出願第61/221,482号、"中間像面における空間多重化を採用した立体視投影システム"、発明者Robinson他(Robinson他による特許仮出願)。(2)2009年6月29日出願の特許仮出願第61/221,516号、"開口絞り近傍における空間多重化を採用した立体視投影システム"、発明者Schuck他。(3)2009年7月9日出願の特許仮出願第61/224,416号、"中間像面における空間多重化を採用した立体視投影システム"、発明者Schuck他(Schuck他による特許仮出願)。(4)2009年10月6日出願の特許仮出願第61/249,018号、"中間像面における空間多重化を採用した立体視投影システム"、発明者Schuck他。(5)2009年10月30日出願の特許仮出願第61/256,854号、"中間像面における空間多重化を採用した立体視投影システム"、発明者Schuck他。前記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
立体視投影の歴史は、20世紀初頭まで遡り、1950年代には映画館で初めて見られるようになった。これらのシステムは、フィルムを基本とするシステムであり、フレームレートは機械的に、〜24Hzまでに限られていた。したがって、フリッカが発生しない立体視生成のために、左目及び右目画像を連続して提供する現代の方法を使用することは不可能であった。そこで、空間的に多重化された画像を表示するシステムが実装されていた。一部のシステムは、複数の別個のプロジェクタを備え、別のシステムでは、各フレームが空間的に分離した左目画像と右目画像を含む1つのプロジェクタを備えていた。後者の場合、フレームを分離する複雑な光学系が使用され、それにより、スクリーン上に2つの画像を重ね合わせることができる。L.Lipton 著の Foundations of the Stereoscopic Cinema(立体視映画の礎), Van Nostrand-Reinhold, Appendix 7, p.260, 1982年に記載されるように、数多くのシステムが開発されたが、商業的に成功したのは数件に過ぎなかった。当時の立体視画像の品質は顧客を満足させるのに十分とは言えず、その後半世紀は、2次元の映画を逆転することはできなかった。
【0004】
近年、撮影、配信及び表示を行える高品質最先端デジタル機器が開発されたことにより、立体視投影が活性化している。今までで最も成功した投影システムが、RealDによって開発され設置されている。テキサスインスツルメンツ社のDLP(Digital Light Processing)技術に基づいて、システムは、フリッカの生じないレートで、時間的に連続した左目画像及び右目画像を提供する。偏光スイッチを投影経路に組み込むことにより、パッシブ(passive)な偏光眼鏡を介して見られる連続的な左目画像及び右目画像を提供している。DLP技術に基づくシステムは、良好な品質の立体視画像を提供することができる一方で、液晶(LC)変調の技術に基づくような代替投影プラットフォームも考えうる。LC投影機ベースのプラットフォームが望ましいと考えられる特徴として、解像度、動き表現及び光学的偏光効果の改善が図れる可能性があることが挙げられる。しかしながら、現在のところ、1つのLCプロジェクタでは、時間的な左目/右目偏光変調を可能とするのに十分なフレームレートで、時間的に連続した画像を提供できていない。
【発明の概要】
【0005】
立体視投影のための立体視投影システム及び方法を開示する。
【0006】
本発明の一側面では、投影システムは、立体視投影モード及び非立体視投影モードを選択的に投影することができる。投影システムは、中継レンズサブシステム、立体視モジュール、非立体視モジュール及び投影レンズサブシステムを備える。中継レンズサブシステムは、投影サブシステムからの入射光を受光し、入射光を中間光路に向かって伝播する。立体視モジュールは、中間光路からの光を受光し、直交偏光状態を有する左目画像及び右目画像の立体投影のために、光を処理する。非立体視モジュールは、中間光路からの光を受光する。投影レンズサブシステムは、立体視モジュールからの光又は非立体視モジュールからの光を、スクリーンに向かって集光する。投影システムが立体視投影モードである時は、立体視モジュールが中間光路に配置され、投影システムが非立体視投影モードである時には、非立体視モジュールが中間光路に配置される。
【0007】
本発明の別の側面では、立体視投影システムは、中継レンズサブシステム、光分離サブシステム、光結合サブシステム及び投影レンズサブシステムを備える。中継レンズサブシステムは、入射光路から立体視画像フレームを受光して、導光素子を介して立体視画像フレームを中間像面へと伝達する。立体視画像フレームは、第1画像領域光及び第2画像領域光を有する。光分離サブシステムは、中間像面における立体視画像フレームを受信し、第1画像領域光と第2画像領域光とを分離する。光分離サブシステムはまた、第1画像領域光を第1画像光路に向け、第2画像領域光を第2画像光路に向ける。光結合サブシステムは、第1画像領域光及び第2画像領域光を結合して、光結合システムから出射された第1画像領域光は、第2画像領域光と直交する偏光状態を有する。投影レンズサブシステムは、第1画像領域光及び第2画像領域光をスクリーンに向ける。
【0008】
立体視及び非立体視投影のその他の側面、特徴及び方法が、以下の詳細な説明、添付の図面及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本開示に係る、立体視投影モードにおける投影システムの例の概略的ブロック図である。
【図1B】本開示に係る、非立体視投影モードにおける投影システムの例の概略的ブロック図である。
【図2】本開示に係る、立体視投影システムの一実施形態の概略図である。
【図3】図2の画像分離及び結合部を拡大した概略図である。
【図4A】本開示に係る、LCパネルに表示された横並びの歪んだ画像を示した図である。
【図4B】本開示に係る、スクリーン上でのアナモルフィックな重ね合わせを示した図である。
【図5】本開示に係る、立体視投影システムの別の実施形態を示した概略図である。
【図6】本開示に係る、立体視投影システムの別の実施形態を示した概略図である。
【図7】図6の画像分離及び結合部を拡大した概略図である。
【図8】本開示に係る、別の実施形態の画像分離及び結合部を拡大した概略図である。
【図9】本開示に係る、立体視投影システムの一実施形態を上から見下ろした概略図である。
【図10】本開示に係る、円筒状要素を使用した場合及びしない場合の投影レンズのスクリーン上での照明面積を示した図である。
【図11】本開示に係る、アナモルフィックに画像を伸ばすことにより、円筒形要素を使用した場合の画像輝度を改善して、明るいスクリーン上の画像を生成する代替技術を概略的に示した図である。
【図12】本開示に係る、空間多重化された3D投影システムを、多重化されていない最大解像度の2Dシステムへと変換する技術を示した概略的な光線追跡図である。
【図13】本開示に係る、空間多重化された3D投影システムを、多重化されていない最大解像度の2Dシステムへと変換する技術の別の例を示した概略的な光線追跡図である。
【図14】本開示に係る、投影レンズより後の光路に配置された外部アナモルフィック変換レンズを使用したシステムの一実施形態を示した概略図である。
【図15】本開示に係る、外部アナモルフィック変換レンズを使用したシステムの別の実施形態を示した概略図である。
【図16】本開示に係る、立体視投影システムの別の実施形態を示した概略図である。
【図17】本開示に係る、立体視投影システムの別の実施形態を示した概略図である。
【図18】図17における画像分離及び結合アセンブリの拡大図である。
【図19】本開示に係る、別の実施形態の画像分離及び結合アセンブリの拡大図である。
【図20】本開示に係る、立体視投影システムの別の実施形態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは、立体視投影モードにおける統制システム例100を示した概略的なブロック図であり、図1Bは、非立体視投影モードにおける統制システム例100を示した概略的なブロック図である。図1A及び図1Bには、立体視モジュール150又は非立体視モジュール180が選択的に、投影機からの光路に配置される原理が示されている。機械的アセンブリ145には、立体視モジュール150及び非立体視モジュール180の両方が含まれ、メディアの種類が立体視画像であるか否かに従って、これらのモジュールは立体視画像モード及び非立体視モードの間を選択的に前後に移動してもよい。このような構成は、映画館環境並びに家庭及びオフィス環境に現実的に適用可能であってもよく、操作者は、立体視又は非立体視モードに配置する最小限の技術を要求される。
【0011】
投影システム例100は、中継レンズサブシステム130、必要に応じて設けられる導光素子140、立体視モジュール150、非立体視モジュール180及び投影レンズサブシステム190を備える。立体視モジュール150は、光分離サブシステム160及び光結合サブシステム170を有してもよい。非立体視モジュール180は、立体視モジュール150と同様な光路長を有してもよい2Dバイパスサブシステム182を有してもよい。一実施形態において、立体視投影システム100はまた、オーディオビジュアル・ソース134、コントローラサブシステム132及び投影サブシステム110を含んでもよい。投影サブシステム110は、これに限定されないが、LC投影システム又はDLP投影システムを含んでもよい。
【0012】
ここでは、マルチモード立体視/非立体視システムの例が示されているが、本開示内容は、マルチモードシステムに限定されないことは明らかである。例えば、ここで示されている立体視投影システム例のアーキテクチャは、非立体視モジュール180が省略されている立体視のみの投影システムに適用されてもよい。
【0013】
図1Aに示すように、立体視モードで動作する場合には、オーディオビジュアル・ソース134は、オーディオビジュアル信号135を立体視投影システム100に提供する。コントローラサブシステム132は、立体視ビデオ信号137を、投影サブシステム110に送信してもよい。投影サブシステム110は、画像の組を入射光路112に投影する。中継レンズサブシステム130は、入射光路112を受光し、中間光114を出射する。光学的な導光素子140は、中間光114を、立体視モジュール150内の光分離サブシステム160に向かうように配向することができる。光分離サブシステム160は、中間光路114を受光して、光を第1画像光路116及び第2画像光路118に射出する。光結合サブシステムは、第1画像光路116及び第2画像光路118からの光を結合させて、直交偏光状態を有する実質的に重なり合った第1画像光及び第2画像光を投影レンズサブシステム190に向けて、スクリーン195上に集光させる。立体視モジュールの例を示すべく、ここでは様々な異なる光学アーキテクチャが描かれている。
【0014】
図1Bには、非立体視モードのオペレーションが示されており、非立体視モジュール180は、導光素子140からの光路に配置されてもよく、それにより、2Dバイパスサブシステム182は、中間光路114を投影レンズサブシステム190の方向に向けることができる。非立体視モジュールの例を示すべく、ここでは様々な異なる光学アーキテクチャが描かれている。
【0015】
一実施形態において、両モードのオペレーションに共通して、コントローラサブシステム132は、オーディオビジュアル信号135を受信し、制御信号136を出力する。コントローラサブシステム132は、図に示すように、様々なサブシステムと接続されてもよい。コントローラサブシステム132は、制御信号を送信し、対応する光学特性を調整するべく、接続された様々なサブシステムのうちの1つからフィードバック信号を受信してもよい。コントローラサブシステム132は、センサ、オーディオビジュアル・ソース134及び/又はユーザー入力からの入力を取り込んで、調整(例えば、立体視投影装置の焦点をスクリーン195に合わせる又は立体視投影装置を較正する)を行ってもよい。制御サブシステム132はまた、立体視設定モード及び非立体視設定モードとの間で、立体視/非立体視モジュール150/180を移動させるアクチュエータ145を制御及び/又は駆動してもよい。このようなアクチュエータ145は、当業者に周知の正確な駆動メカニズムであってもよく、例えば、ステッピングモータ等である。
【0016】
別の実施形態では、システム100は、パッシブシステムであり、能動スイッチ/制御構成要素を含まない。したがって、このような実施形態では、システム100は、制御信号136を含まない。
【0017】
ここに開示される中継レンズサブシステム(例えば、図1Aの130等)は、偏光保存され、投影レンズサブシステム(例えば、図1Aの190等)と平行して動作して、ほぼパネルの大きさの中間像を、レンズ出射から適度な距離に提供すると仮定している。全ての実施形態において、中継レンズサブシステムは、ブラックボックスとして記載されているが、その設計は、本開示に固有のものではなく、中継システムの例は、本発明の譲受人に譲渡された2008年5月9日出願の米国特許出願公開第12/118,640号明細書、"Polarization conversion system and method for stereoscopic projection(立体視投影のための偏光変換システム及び方法)"に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。同様に、中間像をスクリーンへと中継するのに使用される投影光学系は、従来使用されているものであり、本開示と密接に関係していないことから、固有の設計が提供されていない。ある実施形態では、偏光保存投影レンズを使用してもよい。偏光保存レンズの例は、L.Sun他、Low Birefringence Lens Design for Polarization Sensitive Systems(偏光感知システムのための低複屈折率レンズ設計)、SPIE会報、Vol. 6288で説明されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
本開示の偏光の側面については、概して、出力される画像を効率的に分離するべく光を調整し、出力される画像をエンコードすることに関する。電気的な側面は、概して、光収差を調整するべく画像を予め歪ませて、全スクリーン画像に半分の領域のみが割り当てられた場合に元のパネルのアスペクト比が保存されるアナモルフィック画像技術を可能とすることを含む。一般的に、画像をスクリーンに配列させるのに、電気的なアライメント技術が使用されてもよい。本開示の光学的な側面は、左目画像及び右目画像の各々に対して、物理的に光路を分離する技術(例えば、図1Aの光分離サブシステム160)に関する。一実施形態において、この分離アーキテクチャは、投影の前に、左目画像及び右目画像の重ね合わせを可能とするべく拡張できる。
【0019】
一実施形態において、投影サブシステム110は、赤及び青の光とは反対の掌性を有する緑の光を使用して、円偏光を提供する。組み合わせられたクロスダイクロプリズム(X-cube)を使用する3パネル液晶投影機の典型的な例である。この要素から放射される色に依存する直線偏光は、通常、ANSIコントラストに影響する投影レンズからの後方反射を回避するべく、円偏光へと変換される。左手偏光と右手偏光とを正確に奇数の緑の波長に割り当てることは任意の構成であるが、正確には、前提条件であってもよい。ここでは、効率的な補正を行うために、クロスマッチング位相差板が使用されてもよいことを仮定しており、これは、市場に出回っている商業的な投影機の最も一般的な場合である。混合円偏光出力を対象として説明しているが、システム実施形態は、投影機から正確な偏光状態が放射されることに限定されない。本明細書の範囲に含まれる原理は、等価な入射偏光が入手可能な構成要素によって容易に生成可能であることから、代替投影機(例えば、DLP等)にも適用することができる。例えば、ColorSelect(登録商標)技術は、規定された波長依存の偏光状態をマップでき、これについては、本発明の譲受人に譲渡された米国特許番号5,751,384号公報に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
図2は、立体視投影システム200の一実施形態を示す概略図である。一般的に、システム200は、投影サブシステム210、中継レンズ230、導光素子240、立体視サブシステム250及び投影レンズ290を備える。このシステム例200において、立体視サブシステム250は、光分離サブシステム260、第1及び第2導光素子262、264、及び光結合サブシステム270を含んでもよい。光結合サブシステム270は、偏光ビームスプリッタ(PBS)272及びPBS272の入力ポートに位置する色収差補正回転子(achromatic rotator)242を含んでもよい。システム200はまた、整合波長板(matched waveplates)222a、222b及び波長選択偏光フィルタ224(例えば、米国特許第5,751,384号及び5,953,083号公報に教示される色選択フィルタ)を含んでもよく、これらは、図示されるように、投影サブシステム210と中継レンズ230との間の光路に位置して配置される。また、システムは、光を中継レンズサブシステム230から立体視サブシステム250へと向ける導光素子240を含んでもよい。
【0021】
動作時には、中継レンズサブシステム230は、入力光路212において、投影サブシステム210から光を受光する。一実施形態において、整合された波長板222a、222b及び波長選択偏光フィルタ224は、投影サブシステム210と中継レンズサブシステム230との間の入力光路212に配置される。これに替えて、整合された波長板222a、222bを、中間像面255付近の、中継レンズサブシステム230と画像分離要素260との間に配置してもよい。また、これとは別の構成として、第1の整合波長板222aを、投影サブシステム210と中継レンズサブシステム230(図示の通り)との間に配置して、第2整合波長板222bを、中間像面255付近の中継レンズサブシステム230と光分離要素260との間に配置してもよい。中継レンズサブシステム230は、中間光路214を導光素子240に向けて、導光素子240は、光214を、光分離要素260の入射における中間像面255に向ける。波長板222bが光路のどの位置に配置されるかに関わらず、光結合サブシステム270に到達する前に、波長板の後の下流の光路のどこかにおいて、波長選択フィルタ224が配置される。
【0022】
導光素子240が、中継レンズサブシステム230の後の光路214に配置される。導光素子240は、(図示するような)全反射ミラー又はプリズムであってもよい。導光素子240は、投影レンズサブシステム290が中継レンズサブシステム230の光学軸と平行となるように、光路214の向きを変える。これにより、現存する投影エンジン及び映画館の形状に対するシステムの適合性を改善することができる。
【0023】
光分離サブシステム260は、偏光状態を保存する高反射銀鏡、又は、鏡面又はTIR面を有するプリズムによって構成されていてもよい。これに替えて、光分離サブシステム260は、光を分離するその他のデバイスによって構成されてもよく、例えば、円偏光光回折格子を使用してもよい。光分離要素260は、中間光路214を、第1画像光路216及び第2画像光路218へと分離する。一実施形態において、第1及び第2導光素子262、264はそれぞれ、第1画像光路216及び第2画像光路218を、光結像サブシステム270の第1及び第2入力ポートへと反射する第1ミラー及び第2ミラーを含む。PBS272は、第1及び第2画像光路216、218を、第3画像光路219へと結合させる。投影レンズサブシステム290は、第3画像光路219における光を受光し、出射像光292をスクリーン(図示せず)上に投影する。
【0024】
システム例200は、単レンズ290によって投影される前に、PBS272のインターフェースで実行される、反対方向に偏光した左目及び右目画像路の重ね合わせ(例えば、第1及び第2画像光路216、218)を含む。直交偏光状態を有する2つの画像をエンコードし、これらを対称的に偏光ビーム分離要素272へと向けることにより、2つの画像が、同じ面から広がっているように見える。そして、単偏光保存投影レンズ290によって、画像がスクリーンに投影される。
【0025】
ある実施形態では、偏光回転子要素274によって、光路の不整合が生じる場合があるが、この光路の不整合は、実際には、PBS272のその他の入力ポートにダミー材を配置することによって整合させることができる。
【0026】
"Wobulation(ウォビュレーション)"とは、認識される画像品質を向上させるべく、空間的に画像をディザリング(dithering)することを意味する技術用語である。空間的ディザリングは、時間的に一のインスタンスの画像を表示すること、及び、時間的に次のインスタンスの空間的にシフトされた画像を表示することを含む。典型的には、空間的シフトは、ほんの一部の画素に生じる。一のインスタンスから次のインスタンスへの画像は同じ(全体的に滑らかな画像の場合)であってもよいし、異なって(滑らかで鮮明な画像の場合)いてもよい。ウォビュレーションを実装する方法は、2つのインスタンスの画像と同期して光路内のミラー(例えば、導光素子240)を振動させることを含み、これについては、発明者Bommerbach他、米国特許第7,330,298号公報に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。その他の画像に対して相対的に、1つの画像における一部の画素であるオフセットを生成するべく、ミラーの振動が変調される。別の方法としては、画像シフトを誘発させるべく、切り替え液晶要素と結合させた複屈折材料を使用することができ、これについては、発明者Fergason、米国特許第5,715,029号公報に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
一実施形態において、上記の立体視投影システムは、ウォビュレーションを含むように改良できる。例えば、図2において、空間的にシフトされた画像をスクリーンに表示させるべく、画像データと同期させて導光素子240を振動させてもよい。これに替えて又は加えて、LCセル及び複屈折板を、画像を分離する前の光路に追加して、両方の画像を共にウォビュレーションすることを可能としてもよい。望ましい直交偏光状態を保つべく、追加のLCセルを、複屈折板の後(及びPBS272の前)に配置してもよい。これに替えて、各画像に対して別々にウォビュレーションを可能とするべく、LCセル及び複屈折板を、画像分離の後(及びPBS272の前)に付加してもよい。また、望ましい直交偏光状態を保つべく、追加のLCセルを、複屈折板の後であってPBS272においてビームが再結合される前に使用してもよい。
【0028】
図3は、図2の画像分離結合部分の拡大図であり、整合波長板222b、波長選択フィルタ224、導光素子240、光分離サブシステム(鏡面プリズム)260、導光素子262、264、PBS272、画像を重ね合わせるための回転子274が含まれている。この実施形態例では、整合波長板222b及び緑/マゼンタ(G/M)波長選択(色選択)フィルタ224が、中継レンズ230の後の光路に配置されて、実質的に中継レンズによるゴースト反射を取り除くことにより、高いコントラストを提供している。図には、システムの光路追跡分析も示されている。
【0029】
配向要素(ミラー)240は、投影レンズ(図示せず)及び中継レンズの光軸が平行となるような角度に配置される。鏡面プリズム260は、中間画像位置255に配置されて、中間像の半分ずつの画像2つを分離する。非常に尖った角(例えば、幅〜50μm)鏡面プリズム260を選択して、中画像における利用不可能な面積を最小にしてもよい。画像分離サブシステム260に、V字型のミラーの配置(2つの平面ミラーの組み合わせ)を利用してもよい。鏡面プリズム260の後には、2つの全反射ミラー262、264が配置される。2つの全反射ミラー262、264は、光線の向きを、PBS272の入射面方向に変更する。PBS272の前に、回転子274を光路に配置させると同時に、(回転子と光学的厚みが一致している)等方性板276を別の光路に配置させる。回転子274は、入射偏光状態のうちの1つを90度回転させて、2つの状態が直交状態となるようにする。PBS272は、投射レンズ(図示せず)の前の同じ光路に沿って、2つの直交偏光状態を合成する。偏光ビームスプリッタ272が、キューブ偏光ビームスプリッタとして図示されている。PBS面は、誘電体被覆層又はワイヤグリッド偏光子を含むことができる。また、PBSを、キューブの替わりに、好適な誘電体層又はワイヤグリッドコーティングで被覆されたプレートを使用して実装してもよい。しかしながら、この場合、ビームが分岐して、厚みのあるプレートが、画像光路に非点収差を誘発する場合があるので、その場合にはシステム内において後で補正が行われる。
【0030】
図4A及び図4Bは、本開示に係る、LCパネルに表示された横並びの歪んだ画像及びスクリーン上にこれらの画像をアナモルフィックに重ね合わせた様子を示した図である。本実施形態では横並びの場合が示されているが、実施形態は、上下に配置されている場合も包含する。
【0031】
アナモルフィック結像は、中継レンズサブシステム内で実行されて、左目画像又は右目画像の各々に対して正しいアスペクトを有する中間像を提供する。この場合、複雑な中継システム内で予期される歪みに対しては、電気的な補正が成されてもよいし、光軸に対して組になった画像間の相対的な反転が行われてもよい。そして、回転分離プリズムを使用して2つの画像のうちの1つを回転させるが、これについては、上記したL.Lipton 著の Foundations of the Stereoscopic Cinema(立体視映画の礎)に記載されている。
【0032】
別の関連する実施形態では、特に、円偏光ビームの向きを変えるのに内部全反射(TIR)プリズムが使用される場合には、配置によって偏光状態合成が決まる非理想的分離ミラーを利用する。小さなシステムの場合には、反射率が高く物理的なサイズも小さいことから、ミラーよりもTIRプリズムの方が望ましい。反射によって付与されるs偏光成分とp偏光成分との間の位相遅延は、偏光を伝播依存状態へと急速に変換する。一般的に、この影響により、投影画像に非均一性が生じるが、輝度及びビット深度損失を導入することにより補正することができる。この問題を許容されるレベルに低減するために、システムに入力される前に、直線偏光状態を生成することができる。偏光状態は、結像システムに存在する光線の大部分についてs又はp固有状態に非常に近い状態となっていることから、偏光は大部分にわたって保存される。
【0033】
図5は、更に小型のシステムを提供するべく、デルタプリズム540が導光素子として使用されている立体視投影システム500の実施形態の概略図である。概して、システム500は、投影システム510、中継レンズ530及び投影レンズ590を備える。システム500はまた、整合波長板522a、522b及び波長選択偏光フィルタ524を含んでもよい。
【0034】
デルタプリズム540は、1つの面542が鏡面コーティングで被覆された三角プリズムを含む。光が透過面544に入射し、第2透過面546に向かって伝播して、第2透過面546において内部全反射(TIR)される。反射された光は、鏡面542まで伝播してそこで反射されて、第1透過面544まで伝播する。入射面544において光は再び内部全反射されて、第2透過面546へと伝播する。プリズムの角度及び屈折率は、光がこのような経路を辿って第2面546から出射するように設計される。この場合、図2のミラーを使用したシステムの場合と同様に、光は、光分離サブシステム560に中継レンズ530の光軸に対して45度の角度で入射する。デルタプリズム540は、図2のミラー240よりも、より小型のソリューションを提供する。デルタプリズム540は、効率を考えると低複屈折性を有することが望ましく、入射面544及び出射面546に反射防止コーティングを有する。
【0035】
この実施形態例では、プリズム540を中継レンズ530の光軸に対して回転させることにより、ウォビュレーションを可能とする。この回転により、スクリーン上での画像位置におけるシフトが引き起こされる。これに替えて、PBS572の前の2つのリダイレクトミラー562、564を振動させることにより、各画像のウォビュレーションを可能としてもよい。
【0036】
図6は、投影システム600の光線追跡の概略図であり、中継レンズサブシステム630、デルタプリズム640、立体視サブシステム650及び投影レンズサブシステム690が示されている。立体視サブシステム650は、光路を結合するべく、鏡面分離プリズム660、リダイレクトミラー662、664及びPBS672を含む。システム動作をサポートするために、整合波長板622b、波長選択フィルタ624及び回転子674も設けられる。
【0037】
図7は、図6の立体視サブシステム650の拡大図を示した光線追跡の概略図である。立体視サブシステム650は、図6を参照して上記したように、鏡面分離プリズム660、ミラー662、664、PBS672及び回転子要素674を含む。この例では、整合された波長板622b及び波長選択(又はG/M)フィルタ624は、中継レンズ630の後に配置されている。偏光された光は、実質的に同様な偏光状態で、デルタプリズム640に入射し及び当該プリズムから出射する。鏡面プリズム660は、画像を分離して、2つの平面ミラー662、664は、像をPBS672へと向ける。PBS672の前に配置された回転子674は、一つの光路の偏光状態を変化させる一方、等方性板676は、別の光路における偏光状態を維持する。PBS672は、投射させる前に、2つの光路を1つの光路に結合させる。そして、デルタプリズム640を回転させることにより及び/又は2つのリダイレクトミラー662、664を振動させることにより、ウォビュレーションを可能としてもよい。
【0038】
図8は、導光素子840及び光分離及び結合サブシステム860の別の実施形態を示した概略図である。光分離及び結合サブシステム860は、デルタプリズム862、864、PBS872、並びに、必要に応じて設けられる等方板876及び回転子874を含んでもよい。この実施形態例では、図7の実施形態例で説明した反射面(660、662及び664)が、2つのデルタプリズム862、864で置き換えられている。デルタプリズムのセット内に引き起こされたスキュー光線の位相差を補償するべく、必要に応じて回転子854を設けてもよい。リダイレクトミラーに対向するようにデルタプリズム840、862及び864を使用することにより、システムを小型化することができる。これにより、デルタプリズム840とその後に配置される2つのデルタプリズム862、864との間に、回転子854を挿入することができる。回転子854は、デルタプリズム840、862、864内のスキュー光線の形状的な効果によって引き起こされた位相誤差をほぼ完全に補償することができる。プリズムは全て、光線経路に対してほぼ同じ形状を有することから、複数のプリズムの間に配置された回転子854は、スキュー光線の偏光効果を好適に補償することができる。この場合、第1デルタプリズム840を回転させることにより及び/又はその後のデルタプリズム862、864を回転させることにより、ウォビュレーションが可能となる。
【0039】
図9は、本開示に係る、立体視投影システム900の一実施形態を上から見下ろした概略図である。この実施形態は、中継レンズ930、導光素子940、光分離サブシステム960、光結合サブシステム970及び投影レンズ990を含む。投影レンズ990は、アナモルフィック結像を可能とする円筒形状要素を含む。アナモルフィックに圧縮された画像をスクリーンに生成するように、円筒形状要素が、投影レンズ990に配置されるが、これについては、発明者Willey、米国特許番号第 3,658,410号公報に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
図10は、円筒状要素を使用した場合及びしない場合の投影レンズのスクリーン上での照明面積を示した図である。円筒状要素は、アナモルフィック機能を可能とする。領域1002は、アナモルフィック要素を含み、領域1004は、アナモルフィック要素を含まない。一実施形態において、円筒状要素が含まれる場合には、標準的な投影レンズの場合と比較して、アナモルフィック機能が付加されることにより、スクリーン全体の輝度が、約57.5%向上すると見積もられる。アナモルフィック要素は、スクリーン上に投影される画像のアスペクト比を変更する。
【0041】
図11は、アナモルフィックに画像を引き伸ばすことにより、円筒形要素を使用した場合の画像輝度を改善する代替技術を概略的に示した図である。画像が、垂直方向に、実質的に存在するスクリーン領域一杯に引き伸ばされる。領域1102は、アナモルフィックに引き伸ばされた領域である。垂直方向に引き伸ばすことにより、同じ投影レンズを2D表示及び3D表示の両方に使用することができる。
【0042】
図12は、空間多重化された3D投影システムを、多重化されていない最大解像度の2Dシステムへと変換する技術を示した概略的な光線追跡図である。この実施形態例では、開口絞り付近の分離及び結合光学系が光路から取り除かれて、投影レンズ1290が中継レンズ1230の光軸と平行になるように枢軸上に配置される。中間画像1255が投影レンズ1290の背面焦点距離付近に位置するように、投影レンズ1290を移動させてもよい。そして、適切な表示を行うべく、投影レンズ1290の焦点を合わせる及びズームを行う。
【0043】
図13は、光学システムを3Dモードから最大解像度の2Dモードへと変換する技術の別の例を示した概略的な光線追跡図である。この実施形態では、分離及び結合光学系の一部分が取り除かれ(鏡面プリズム、ミラー及びPBS)、2Dバイパスサブシステム1380が光路に挿入される。この例では、2Dバイパスサブシステム1380は、第2デルタプリズムである。第2デルタプリズム1380は、第1デルタプリズム1340と組み合わせることにより、中継レンズ1330からの入射する光路の光軸を垂直方向にシフトして、投影レンズ1390の光軸に並べる。画像を再結像させるべく、投影レンズ1390を光軸に沿って移動させてもよい。プリズムは必ずしもデルタプリズムである必要はなく、光軸をおよそ45度に方向を変更するプリズム又はミラーであってもよい。これに替えて、プリズムは、図16に示すようなTIRプリズムの種類を含んでもよい。
【0044】
図14は、投影レンズ1490より後の光路に配置された外部アナモルフィック変換レンズ1495を使用したシステム1400の一実施形態を示した概略図である。これについては、例えば、発明者Dewald、米国特許番号第5,930,050号公報(図14の倍率では、Dewaldのものとは反対の偏光状態となっている)に記載されている。
【0045】
図15は、本開示に係る、外部アナモルフィック変換レンズ1595を使用したシステム1500の別の実施形態を示した概略図である。図に示すように、3D動作の場合には、アナモルフィック変換器1595(すなわち、アナモルフィック・アフォーカル変換器)が、投影レンズ1590の後ろに配置されて、多重化パネルから明るい3D画像が生成される。2Dの最大解像度での動作の場合、アナモルフィック変換器1595を光路から取り除いて、アナモルフィック歪みなしで、非多重化最大解像度の2Dパネルが表示されるようにしてもよい。図14には、水平方向に0.5倍の拡大率のアナモルフィック変換器が示されており、図15には、垂直方向に2倍の拡大率のアナモルフィック変換器が示されている。
【0046】
図16は、立体視投影システム1600の別の実施形態を示した概略図である。システム1600はさらに、中継レンズ1630の出射側であって画像分離サブシステム1660の前に、ブラベー(Bravais)サブシステム1632を含む。TIRプリズム1640は、ブラベーサブシステム1632から生じる非テレセントリックな光束に適合するように変更されている。テレセントリックな光束を生成するために光学円筒形状視野レンズ1636が図示されており、テレセントリックな投影レンズが使用される。アナモルフィックな引き伸ばしが垂直方向に実装されて、投影レンズのズーム設定を全く変更することなく又はほとんど変更することなく、2D表示及び3D表示の両方に同じ投影レンズ1690を使用することができるようになる。
【0047】
ブラベー光学システムは、画像の1方向にアナモルフィックな引き伸ばし又は圧縮を提供するのに使用されており、例えば、W.Smith著、"Modern Optical Engineering(現代光工学)"、272ページ、McGraw-Hill、1990年(動画作品におけるブラベー光学系の利用について記載されている)に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。ブラベー光学システムは、有限距離だけ離間し、レンズシステムの有限共役となるように配置される正及び負の円筒形状要素を含む。
【0048】
ブラベーシステムは、パネル近くに、中継レンズ出射側に近接して、又は、投影レンズ入射側に近接して、挿入されてもよい。偏光及び色管理光学系の場合、ブラベー光学系をパネル付近に挿入するのが難しくなる。ブラベーシステムでは、投影レンズの背面焦点距離(BFL)が短くなるが、PBS、分離プリズム及びミラーを挿入するには、BFLが長い方が望ましい。
【0049】
図17は、同様な立体視投影システム1700の別の実施形態を示した概略図である。立体視投影システム1700は、図16に示した実施形態とほぼ同様であるが、鏡面プリズム及び全反射ミラーが、小型のデルタプリズム1760で置き換えられている点が異なる。システム1700はまた、中継レンズ1730の出射側に実装されたブラベーシステム1732を含む。
【0050】
図18は、図17の画像分離及び結合アセンブリの拡大図であり、特に、近軸ブラベーシステム1732、フィルタ1714、視野レンズ1736及びプリズム1764、1762を示している。ブラベーアナモルフィックレンズ1732(近軸レンズとして示されている)は、中継レンズの後に配置される。ブラベーレンズ1732の後に、整合された4分の1波長板1722b及び波長選択フィルタ1714が配置される。TIR回転プリズム1734が次に配置され、その後に円筒形状視野レンズ1736が配置されて、中間画像におけるテレセントリック性を提供している。2つの変形デルタプリズム1762、1764が、円筒形状視野レンズ1736の後に配置される。デルタプリズム1762、1764は、中間画像付近に切断された角部を有して、縁部の光線に対してプリズムを介したクリアな開口を維持し、画像分離を容易にしている。PBS1772が、2つのデルタプリズムの後に配置されて、画像を結合している。回転子1774が、デルタプリズムの後の光路のうちの1つに配置され、必要に応じて、クリーンアップ偏光子(図示せず)を、デルタプリズム1762、1764とPBS1774との間に実装してもよい。アセンブリは全体として小型であり、投影レンズの小さな背面焦点距離を提供している。これにより、コストを低減させ及び/又は投影レンズの性能を向上させることができる。
【0051】
図19は、別の実施形態の画像結合アセンブリの拡大図であり、非アナモルフィックなシステム(すなわち、ブラベーアナモルフィックレンズを使用していないシステム)に適用した点以外は、図18に示した実施形態と同様である。この実施形態は、フィルタ1914、整合4分の1波長板1922b、TIRプリズム1934、プリズム1964、1962、PBS1972及び回転子1774を含む。この実施形態では、図17の円筒形状視野レンズ1736は含まれておらず、非アナモルフィックシステム(ブラベーアナモルフィックレンズを使用しないシステム)で使用されてもよい。
【0052】
図20は、3Dレンズシステム2000の別の実施形態を示す光線追跡の概略図である。この実施形態では、アナモルフィック・テレセントリック中継レンズ2099が、標準的な中継レンズ2030及び投影レンズ2090の間に挿入されている。アナモルフィック中継レンズ2099は、標準的な中継レンズ2030によって生成される中間画像の実像を生成する。そして、投影レンズ2090は、アナモルフィック中継レンズ2099の画像を、スクリーン2095に投影する。
【0053】
この実施形態において、アナモルフィックなテレセントリック中継レンズ2099は、開口絞り付近にアフォーカル・アナモルフィック変換器を配置したテレセントリック中継レンズであってもよい。アフォーカル・アナモルフィック変換器は、円筒形状レンズを使用して実装したアフォーカル変換器であってもよい。円筒形状レンズは、一アスペクトにおける中継レンズの拡大率を変更してもよく(例えば、垂直方向に2倍の拡大率)、同時に、直交アスペクトは等倍(例えば、水平方向に1倍の拡大率)であってもよい。アナモルフィック実装において、各アスペクトの拡大率は、アナモルフィックと見なされるのとは異なっていてもよい(すなわち、アスペクトは、等倍以外の拡大率とすることができる)。両方のアスペクトが1に等しくない場合には、円環状(toric)レンズ要素をアフォーカル変換器に配置する、又は、直交した回転軸を有する複数の円筒状要素を使用してもよい。アナモルフィック中継レンズは、光のスループット及びコントラストを維持するべく、好ましくは、テレセントリックである。一実施形態例では、テレセントリックなアナモルフィック中継レンズ2099は、プリズムアセンブリ2060及び投影レンズ2090の間に配置される、又は、標準的な中継レンズ2030及びプリズムアセンブリ2060の間に実装されてもよい。
【0054】
この実施形態では、円筒形状の視野レンズは、第1中間像において含まれていない。アナモルフィック変換器が、レンズの開口絞りの付近に配置される場合、平行ビームで動作することとなり、光収差補正の観点で有利である。したがって、視野レンズを使用せずに、テレセントリック性を維持することができる。更に、アナモルフィック変換器は、第1中継レンズ又は投影レンズの開口絞り付近に実装されてもよく、アナモルフィック機能をこれらのロケーションのうちの1つに移動させることができ、アナモルフィックなテレセントリック中継レンズがなくても構成可能となる。アナモルフィックなテレセントリック中継レンズを使用したシステムの利点は、アナモルフィックなテレセントリック中継レンズを移動させることができ、システムが、全方向(例えば、最大パネル解像度を使用した2D表示)において等しい拡大率で動作してもよいことである。米国特許第6,995,920号公報には、カメラレンズに適用されたテレセントリックなアナモルフィック中継レンズが記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
システムのルーメン出力を改善するべく、本明細書に開示した様々な実施形態に、ブラベーアナモルフィックレンズを付加してもよいことは明らかである。ブラベーレンズは、中継レンズの後であって光分離プリズムの前に配置することができる。ブラベーレンズは、垂直方向に2倍、水平方向に1倍で中間画像を拡大し、3Dモードで使用することができる最大パネルサイズを可能とする。ブラベーレンズを取り除いた場合、光分離プリズム及び投影レンズを垂直方向に平行移動させて、中間画像全体が単TIRプリズム及び単投影レンズを通過し、パネルからの最大解像度画像を2D表示に利用できるようにする。
【0056】
更に、システムのルーメン出力を改善するべく、本明細書に開示された様々な実施形態に、外付けアナモルフィックなアフォーカル変換器を適用してもよいことは明らかである。このような外付けアナモルフィックなアフォーカル変換器は、投影レンズの後に配置される。これに替えて、システムのルーメン出力を改善するべく、投影レンズ自身をアナモルフィックとしてもよい(例えば、米国特許第5,930,050号公報に記載されている単投影レンズはアナモルフィックに構成されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0057】
開示される発明の原理に係る様々な実施形態が記載されたが、これらは例示を目的として記載されており、限定することを意図していない。本発明の広さ及び範囲は、上記の実施形態例の何れによっても限定されるべきでなく、特許請求の範囲に従って及び本開示から発生する均等物によってのみ規定されるべきである。更に、また、有益な効果及び特徴が上記実施形態で説明されたが、これらは、特許請求の範囲の適用を、上記効果の一つあるいは全てを達成するための工程及び構造に限定するものではない。
【0058】
明細書の各セクションの見出しは、37CFR1.77の忠告に従って、又は、組織立てて説明する目的で、付されている。これらの見出しは、本開示から生じる特許請求の範囲に記載される発明を限定及び特徴付けるものではない。特に、例として、見出しに「技術分野」とあるが、技術分野を説明するのに上記で使用された言葉によって、特許請求の範囲は限定されるべきではない。また、「背景技術」で記載された技術の説明は、ある技術が本開示における発明の先行技術であるということを承認していると解釈されるべきでない。また、「発明の概要」に記載された内容も、特許請求の範囲に記載される発明を特徴付けるものであると見なされるべきでない。また、本開示において、「一つの発明」という言葉は、新規性が一点しかないということを論ずるために使用されるべきでない。本開示から生じる複数の請求項の限定事項によって、複数の発明が記載され、このような特許請求の範囲は、発明及びその均等物を規定し、保護する。特許請求の範囲の広さは、本開示に照らし合わせて実態に基づいて考察されるべきであり、記載された見出しによって制限されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光路から、第1画像領域光及び第2画像領域光を有する立体視画像フレームを受光し、前記立体視画像フレームを中間像面へと伝播する中継レンズサブシステムと、
前記中間像面における前記立体視画像フレームを受光し、前記第1画像領域光と前記第2画像領域光とを分離して、前記第1画像領域光を第1画像光路に及び前記第2画像領域光を第2画像光路に向ける光分離サブシステムと、
前記第1画像領域光と前記第2画像領域光とを結合する光結合サブシステムと、
前記第1画像領域光及び前記第2画像領域光をスクリーンに向ける投影レンズサブシステムと
を備え、
前記光結合サブシステムから出射した第1画像領域光は、前記第2画像領域光とは直交した偏光状態を有する立体視投影システム。
【請求項2】
前記光結合サブシステムは、偏光ビームスプリッタ(PBS)を含む請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項3】
前記投影レンズサブシステムは、単投影レンズを含む請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項4】
液晶(LC)プロジェクタを更に備える請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項5】
前記中継レンズサブシステムの前の前記入射光路に位置する整合波長板を更に備え、
前記整合波長板は、前記LCプロジェクタ内の波長板と実質的に分散整合している請求項4に記載の立体視投影システム。
【請求項6】
前記中継レンズサブシステムの後の中間光路に位置する整合波長板を更に備え、
前記整合波長板は、前記LCプロジェクタ内の波長板と実質的に分散整合している請求項4に記載の立体視投影システム。
【請求項7】
前記入射光路及び中間光路のどちらか1つに位置する波長選択偏光フィルタを更に備える請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項8】
出射光路に位置する4分の1波長板を更に備える請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項9】
前記光分離サブシステムは、第1ミラー及び第2ミラーを含む請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項10】
前記光分離サブシステムは、内部全反射プリズム、鏡面プリズム、及び、一対の内部全反射プリズムのうちの1つを含む請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項11】
前記投影レンズサブシステムは、偏光ビームスプリッタ(PBS)及び単投影レンズを含み、
前記PBSは、前記第1画像領域光及び前記第2画像領域光を結合し、
前記単投影レンズは、結合された前記第1画像領域光及び前記第2画像領域光を、前記スクリーンに投影し、
前記第1画像領域光及び前記第2画像領域光は、前記スクリーン上で実質的に重なっている請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項12】
前記立体視画像フレームは、導光素子を介して、前記中間像面に伝播される請求項1に記載の立体視投影システム。
【請求項13】
前記導光素子は、ミラー及びプリズムのうちの1つを含む請求項12に記載の立体視投影システム。
【請求項14】
立体視投影モード及び非立体視投影モードで選択的に動作する投影システムであって、
投影サブシステムから入射光を受光し、前記入射光を中間光路へと伝播する中継レンズサブシステムと、
前記中間光路から前記光を受光して、前記光を、立体視投影のための直交偏光状態を有する左目画像及び右目画像に処理する立体視モジュールと、
前記中間光路から前記光を受光する非立体視モジュールと、
前記立体視モジュール又は前記非立体視モジュールからの光をスクリーンに向かって集光する投影レンズサブシステムと
を備え、
立体視投影モードの場合には、前記立体視モジュールが、前記中間光路に位置し、
非立体視投影モードの場合には、前記非立体視モジュールが、前記中間光路に位置する投影システム。
【請求項15】
前記立体視投影モード及び前記非立体視投影モードの間の切り替えを行うセレクタを更に備える請求項14に記載の投影システム。
【請求項16】
前記立体視投影モードの場合には、前記立体視モジュールを前記中間光路に位置させ、前記非立体視投影モードの場合には、前記非立体視モジュールを前記中間光路に選択的に位置させるメカニズムを更に備える請求項14に記載の投影システム。
【請求項17】
前記立体視投影モード及び前記非立体視投影モードの間で前記メカニズムを移動させるアクチュエータを更に備える請求項16に記載の投影システム。
【請求項18】
前記中継レンズサブシステムの後に位置し、光を前記中間光路に向ける導光素子を更に備える請求項14に記載の投影システム。
【請求項19】
前記導光素子は、ミラー及びプリズムからなる群から選択される請求項18に記載の投影システム。
【請求項20】
前記立体視モジュールは更に、
中間像面における第1画像領域光及び第2画像領域光を有する立体視画像フレームを受光し、前記第1画像領域光と前記第2画像領域光とを分離して、前記第1画像領域光を第1画像光路に及び前記第2画像領域光を第2画像光路に向ける光分離サブシステムと、
前記第1画像領域光と前記第2画像領域光とを結合する光結合サブシステムとを含み、
前記光結合サブシステムから出射した第1画像領域光は、前記第2画像領域光とは直交した偏光状態を有する請求項14に記載の投影システム。
【請求項21】
液晶(LC)プロジェクタを更に備える請求項14に記載の投影システム。
【請求項22】
出射光路に位置する4分の1波長板を更に備える請求項14に記載の投影システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−532341(P2012−532341A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517860(P2012−517860)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/040429
【国際公開番号】WO2011/008552
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(504156256)リアルディー インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】RealD Inc.
【Fターム(参考)】