説明

乗員保護装置

【課題】ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる乗員保護装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シートベルト装着に拘わらず低速(25mph未満)の場合には、エアバッグインフレータ点火後にベントホール用MGGが100ms〜150ms遅れて点火する設定とし(106)、高速(25mph以上)のシートベルト装着時にはエアバッグインフレータと同期してベントホール用MGGが点火する設定とし、高速のシートベルト未装着時には、エアバッグインフレータ(1st)点火後にベントホール用MGGが100ms〜150ms遅れて点火する設定とする。すなわち、条件が未成立の場合でも、他の機構に影響しないタイミングかつ条件が未成立のガスジェネレータの予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで点火する設定とし、何れの場合も2つのガスジェネレータが点火する設定とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員保護装置にかかり、特に、乗員保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員保護装置としては、代表的なものとして衝突時に袋体を展開させて乗員への衝撃を吸収するエアバッグ装置が挙げられる。エアバッグ装置は、種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、ガスを発生するマイクロガスジェネレータを用いて、エアバッグ装置の袋体に設けられたガス抜き孔(以下、ベントホールと称す。)の開放を制御することが提案されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の技術では、マイクロガスジェネレータを用いて袋体の大きさ(容量)を制御するテザーベルトを制御して、袋体の展開する大きさを制御することが提案されている。
【0005】
また、特許文献3に記載の技術では、マイクロガスジェネレータを用いて、ベントホールと袋体の展開する大きさを制御することが提案されている。
【0006】
このように、ベントホールや袋体の展開する大きさを制御することによって、座席やシートベルトの使用状態、衝突予知、事故状態、衝突速度、乗員の体重等に応じて、エアバッグ装置を適切に作動させることができる。
【特許文献1】特開2006−264672号公報
【特許文献2】特表2004−521801号公報
【特許文献3】米国特許第6513835号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3の技術のように、エアバッグ装置の袋体の展開、ベントホールや袋体の展開する大きさの制御などを行うために、複数のガスジェネレータを備えるものがあるが、このような場合には何れか1つのガスジェネレータのみが作動する条件の場合には、廃却時にガスジェネレータが作動していないものが残ることになり、廃却時に点火してから廃却するという煩雑な作業が必要となる。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる乗員保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、乗員を保護するための複数の機構に対応して設けられ、各々作動するように制御されたときに対応して設けられた機構を作動させるためのガスを発生する複数のガスジェネレータと、前記ガスジェネレータを作動させる条件が成立し、かつ少なくとも1つでも作動させる条件が未成立のときに条件が成立した前記ガスジェネレータが作動するように制御し、作動する機構の作動に影響しないタイミングかつ条件が未成立のガスジェネレータに対応する機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで、条件が未成立のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、を備えを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、複数のガスジェネレータは、乗員を保護するための複数の機構に対応して設けられ、各々作動するように制御されたときに対応して設けられた機構を作動させるためのガスを発生させる。
【0011】
制御手段では、ガスジェネレータを作動させる条件が成立し、かつ少なくとも1つでも作動させる条件が未成立の場合に、条件が成立したガスジェネレータが作動するように制御し、作動する機構の作動に影響しないタイミングかつ条件が未成立のガスジェネレータに対応する機構の予め設定されたタイミングと異なるタイミングで条件が未成立のガスジェネレータが作動するように制御される。これによって、作動していないガスジェネレータが無くなるので、ガスジェネレータを点火してから廃却するという作業を行うことなく、ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、作動するように制御されたときに、乗員を保護するための第1の機構を作動させるためのガスを発生する第1のガスジェネレータと、作動するように制御されたときに、前記第1の機構の乗員保護機能を補助するための第2の機構を作動させるためのガスを発生する第2のガスジェネレータと、前記第1のガスジェネレータのみを作動させる条件が成立したときに前記第1のガスジェネレータが作動するように制御し、前記第1の機構の作動に影響しないタイミングかつ前記第2の機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで、前記第2のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第1のガスジェネレータは、作動するように制御されたときに、ガスを発生して乗員を保護するための第1の機構を作動させ、第2のガスジェネレータは、作動するように制御されたときに、ガスを発生して第1の機構の乗員保護機能を補助するための第2の機構を作動させる。
【0014】
第1及び第2のガスジェネレータは、例えば、請求項4に記載の発明のように、第1のガスジェネレータが、第1の機構としてエアバッグ装置の袋体を展開させるために作動し、第2のガスジェネレータが、第2の機構として袋体の内圧を調整するためのガス抜き孔に設けられた蓋部材の開放機構を作動するものを適用するようにしてもよいし、請求項5に記載の発明のように、第1のガスジェネレータが、第1の機構としてエアバッグ装置の袋体を展開させるために作動し、第2のガスジェネレータが、第2の機構として袋体内に設けられた袋体の展開する大きさを規制するベルトの規制を解除する解除機構を作動するものを適用するようにしてもよいし、請求項6に記載の発明のように、第1のガスジェネレータは、第1の機構として乗員を拘束するシートベルトを巻き取る巻取機構を作動し、第2のガスジェネレータは、第2の機構として巻き取ったシートベルトの張力を変更する変更機構を作動するものを適用するようにしてもよい。すなわち、2つのガスジェネレータを備えた種々の乗員保護装置を適用することができる。
【0015】
そして、制御手段では、第1のガスジェネレータのみを作させる条件が成立したときに、第1のガスジェネレータがが作動するように制御され、第1の機構の作動に影響しないタイミングかつ第2の機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで第2のガスジェネレータが作動するように制御される。すなわち、一方のガスジェネレータのみが作動する条件の場合でも、他の機構に影響を与えずに他方のガスジェネレータが作動されるので、ガスジェネレータを点火してから廃却するという作業を行うことなく、ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる。
【0016】
制御手段は、例えば、請求項3に記載の発明のように、第1のガスジェネレータが作動するように制御した後所定時間経過したタイミングで第2のガスジェネレータが作動するように制御するように制御するようにしてもよい。
【0017】
なお、第1の条件及び第2の条件は、請求項7に記載の発明のように、前記第1の条件が、衝突の検出有無を条件とし、前記第2の条件が、衝突時のシートベルト装着の有無、衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の乗員の姿勢の少なくとも1つをパラメータとした条件とするようにしてもよい。
【0018】
請求項8に記載の発明は、内圧を調整するためのガス抜き孔に設けられた蓋部材、及び展開する大きさを規制するためのベルトの少なくとも一方を備えたエアバッグ袋体と、前記蓋部材の開放による前記エアバッグ袋体の内圧変更、及び前記ベルトの規制解除による展開容量の変更の少なくとも一方を変更する変更手段と、作動するように制御されたときに、前記エアバッグ袋体を展開させるためのガスを発生する第1のガスジェネレータと、衝突時のシートベルト装着の有無、衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の姿勢の少なくとも1つのパラメータを検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて作動するように制御されたときに、前記変更手段を作動するための第2のガスジェネレータと、前記エアバッグ袋体を展開する条件のみが成立したときに、前記第1のガスジェネレータが作動するように制御した後、所定時間経過後に前記第2のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0019】
請求項8に記載の発明によれば、エアバッグ袋体は、内圧を調整するためのガス抜き孔に設けられた蓋部材、及び展開する大きさを規制するためのベルトの少なくとも一方を備えている。
【0020】
変更手段では、蓋部材の開放によるエアバッグ袋体の内圧変更、及びベルトの規制解除による展開容量の変更の少なくとも一方が変更される。
【0021】
第1のガスジェネレータでは、作動するように制御されたときに、ガスを発生してエアバッグ袋体を展開させる。
【0022】
検出手段では、衝突時のシートベルト装着の有無、衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の姿勢の少なくとも1つのパラメータが検出される。
【0023】
また、第2のガスジェネレータでは、検出手段の検出結果に応じて作動するように制御されたときに、ガスを発生して変更手段を作動させる。
【0024】
そして、制御手段では、エアバッグ袋体を展開する条件のみが成立したときに第1のガスジェネレータが作動するように制御した後、所定時間経過後に第2のガスジェネレータを作動するように制御される。すなわち、第1のガスジェネレータのみが作動する条件の場合でも、他の機構に影響を与えずに第2のガスジェネレータが作動されるので、ガスジェネレータを点火してから廃却するという作業を行うことなく、ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる。
【0025】
なお、請求項9に記載の発明のように、検出手段が衝突時のシートベルト装着の有無を検出し、検出手段によって衝突時のシートベルト装着が検出され、かつ車速を検出する車速検出手段によって所定の車速以上が検出された場合に、エアバッグ袋体を展開する条件のみが成立するようにしてもよい。
【0026】
また、制御手段は、エアバッグ袋体を展開する条件のみが成立したときに第1のガスジェネレータが作動するように制御し、エアバッグ袋体の展開に影響がないタイミングかつ変更手段の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで第2のガスジェネレータが作動するように制御するようにしてもよい。
【0027】
請求項10に記載の発明は、乗員を拘束するシートベルト及び該シートベルトを巻き取る巻取装置を備えたシートベルト装置と、前記シートベルトによって乗員を拘束した状態で前記シートベルトの張力が低くなるように張力を調整する張力調整手段と、作動するように制御されたときに、前記巻取装置を前記シートベルトを巻き取る方向に回転させるためのガスを発生する第1のガスジェネレータと、乗員の体格を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて作動するように制御されたときに、前記張力調整手段を作動するためのガスを発生する第2のガスジェネレータと、前記第1のガスジェネレータのみを作動させる条件が成立したときに前記第1のガスジェネレータが作動するように制御した後、所定時間経過後に前記第2のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、シートベルト装置は、乗員を拘束するシートベルト及び該シートベルトを巻き取る巻取装置を備えている。
【0029】
張力調整手段では、シートベルトによって乗員を拘束した状態でシートベルトの張力が低くなるように張力が調整される。
【0030】
第1のガスジェネレータでは、作動するように制御されたときに、ガスを発生して巻取装置をシートベルトを巻き取る方向に回転させる。
【0031】
検出手段では、乗員の体格(例えば、体重)が検出される。
【0032】
また、第2のガスジェネレータでは、検出手段の検出結果に応じて作動するように制御されたときに、ガスを発生して張力調整手段が作動される。
【0033】
そして、制御手段では、第1のガスジェネレータのみを作動させる条件が成立したときに第1のガスジェネレータが作動するように制御した後、所定時間経過後に第2のガスジェネレータが作動するように制御される。すなわち、第1のガスジェネレータのみが作動する条件の場合でも、他の機構に影響を与えずに第2のガスジェネレータが作動されるので、ガスジェネレータを点火してから廃却するという作業を行うことなく、ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる。
【0034】
なお、制御手段は、第1のガスジェネレータのみを作動させる条件のみが成立したときに第1のガスジェネレータが作動するように制御し、乗員の拘束に影響がないタイミングかつ張力調整手段の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで第2のガスジェネレータが作動するように制御するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように本発明によれば、複数のガスジェネレータのうち少なくとも1つでも作動させる条件が未成立の場合に、作動する機構の作動に影響しないタイミングかつ条件が未成立のガスジェネレータに対応する機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで作動していないガスジェネレータが作動するように制御することによって、作動していないガスジェネレータが無くなるので、ガスジェネレータを点火してから廃却するという作業を行うことなく、ガスジェネレータの廃却を容易に行うことができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置の概略構成を説明するための図である。なお、本実施形態は、エアバッグ装置を本発明に適用したものである。
【0038】
本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置は、衝突時にガスを発生するガスジェネレータ(エアバッグインフレータ)12を点火して袋体14を展開することによって乗員への衝撃を吸収するものである。なお、本実施形態では、エアバッグインフレータ12を2つ備えて、低速衝突(予め定めた速度以下の衝突)時や近接乗員(シート位置が予め定めた位置よりも前方位置)の場合に1段目のインフレータを点火後、所定時間後に2段目のインフレータを点火することで、低速衝突時や近接乗員での衝突時におけるエアバッグ展開速度を遅くして適切にエアバッグを作動させ、高速衝突時等では1段目と2段目のインフレータを同時に点火するもの(所謂デュアルステージインフレータ)を適用するが、以下の説明では2つのインフレータの点火タイミングについては省略して単にエアバッグインフレータ12として説明する。
【0039】
袋体14には、袋体14内の内圧を調整するためのベントホール16を備えており、該ベントホール16は、乗員のシートベルト18の装着の有無に応じて選択的にベントホール16に設けられた蓋部材17を開放するようになっている。
【0040】
ベントホール16の開閉は、ベントホール16に設けられた蓋部材17と接続されたベルト16をガスを発生するマイクロガスジェネレータ(ベントホール用MGG)20を用いて引っ張ることによってベントホール16を開放するようになっている。なお、ベントホール16の開放方法については、既知の各種技術を適用することができる。
【0041】
図2は、本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置10は、エアバッグ制御ECU22によって袋体14の展開が制御される。
【0043】
エアバッグ制御ECU22は、CPU22A、RAM22B、ROM22C、及びインプットアウトプットインタフェース(I/O)22Dを備えたマイクロコンピュータで構成されている。
【0044】
ROM22Cには、エアバッグ装置10を制御するための各種プログラムや、エアバッグ装置10の袋体14を展開させるための閾値等が記憶されている。
【0045】
CPU22Aは、ROM22Cに記憶されたプログラム等をRAM22B等に展開して、袋体14の展開制御を行う。
【0046】
I/O22Dには、衝突検出部24、シートベルト装着検出部26、車速センサ28、エアバッグインフレータ12、及びベントホール用MGG20が接続されている。
【0047】
衝突検出部24は、例えば、車両フロア及びフロントサイドメンバー等に設けられた衝突検出センサや、加速度センサ等を含み、車両の衝突を検出し、検出結果をエアバッグ制御ECU22へ出力する。
【0048】
シートベルト装着検出部26は、シートベルトタングのシートベルトバックルへの挿入を検出するスイッチ等からなり、乗員のシートベルトの装着の有無を検出して、検出結果をエアバッグ制御ECU22へ出力する。
【0049】
車速センサ28は、走行速度を検出し、検出結果をエアバッグ制御ECU22に出力する。なお、本実施形態では、車速センサ28を直接エアバッグ制御ECU22に接続した構成とするが、車速センサ28の代りにエンジン制御ECUを接続して、エンジン制御ECUに入力される車速を間接的にエアバッグ制御ECU22に入力するようにしてもよい。
【0050】
エアバッグインフレータ12は、エアバッグ制御ECU22から点火信号を受け、ガスを発生してインストルメントパネルやステアリング等に収納された袋体14を展開する。
【0051】
ベントホール用MGG20は、エアバッグ制御ECU22からベントホール開放信号を受け、ガスを発生してベントホール16の蓋部材17に接続されたベルト15を引っ張ることによってベントホール16を開放し、袋体14の圧力を逃がすようになっている。
【0052】
図3(A)は、従来のベントホール用MGG20の点火タイミングを示す表であり、図3(B)は、本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置10のベントホール用MGG20の点火タイミングを示す表である。
【0053】
従来、ベントホール用MGG20は、例えば図3(A)に示すように、シートベルト装着の有無に応じてベントホール用MGG20を点火していた。すなわち、シートベルト未装着の場合は、ベントホール用MGG20は点火されないようになっていた。従って、エアバッグインフレータ12が点火して袋体14が展開されても、ベントホール用MGG20が点火されずにそのままとなるので、エアバッグ装置10を廃却する際に、ベントホール用MGG20を点火して廃却する必要があった。
【0054】
これに対して、本実施形態では、図3(B)に示すように、シートベルト装着時の低速(25mph未満)の場合にエアバッグインフレータ12(図3では1stと記す)点火後に100ms〜150ms遅れてベントホール用MGG20を点火し、シートベルト装着時の高速(25mph以上)の場合にエアバッグインフレータ12と同期してベントホール用MGG20を点火し、シートベルト未装着時の低速の場合及び高速の場合に、エアバッグインフレータ12(図3では1stと記す)点火後に100ms〜150ms遅れてベントホール用MGG20を点火する。すなわち、本実施形態では、何れの場合も2つのガスジェネレータが点火するようになっている。なお、図3(A)のようにシートベルト装着の有無のみに応じてベントホール用MGG20を点火するようにしてもよい。この場合には、ベントホール用MGG20を点火する必要がない場合(シートベルト未装着時)に、エアバッグインフレータ12点火後に100ms〜150ms遅れてベントホール用MGG12を点火する。また、図3(B)に示す点火遅延時間(100〜150ms)については、エアバッグ制御ECU22に設けられたコンデンサ等の電荷蓄積可能時間等によって左右され、車種によって異なり、袋体14の展開に影響しないタイミングかつベントホール16を開放する予め設定されたタイミングと異なるタイミングとされている。また、本実施形態では、エアバッグインフレータ12としてデュアルステージインフレータを適用しているため、1段目のインフレータと2段目のインフレータを同時に作動させると、袋体14の内圧が高くなり過ぎる結果、ベルト着用かつ高速衝突時にベントホール16を比較ようにしているが、一般的なベントホール16の開放は、低速衝突時やベルト着用時にベントホールを開放し、高速衝突やベルト非着用時にベントホール16を閉じる。すなわち、デュアルステージインフレータではなく、エアバッグインフレータ12として単一のインフレータを備える場合などでは、ベルト着用かつ低速衝突時などの場合にベントホールを16を開き、ベルト着用かつ高速衝突時などの場合にベントホール16を閉じるようにしてもよい。
【0055】
本実施形態では、シートベルトが装着された高速時のみがベントホール16の蓋部材17の開放が必要とされた設計とされ、ベントホール16のサイズが決定されており、ベントホール16の蓋部材17を開放する必要がない場合には、エアバッグ装置10の展開やベントホール16の機能を損なうことのない時間分(100〜150ms)遅延、すなわち、他の機構に影響しないタイミングかつ作動条件が未成立の機構の作動タイミングと異なるタイミングでベントホール用MGG20を点火するようになっている。これによって、廃却時には、2つのMGGが点火済みとなっているので、煩雑な作業を行うことなく、容易に廃却が可能となっている。
【0056】
図4は、本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置10のエアバッグ制御ECU22で行われるベントホール16の蓋部材17の開放有無を決定するための処理の流れを示すフローチャートである。なお、当該処理は、イグニッションスイッチがオンされた場合に開始される。
【0057】
まずステップ100では、車速センサ28によって車速が検出されてステップ102へ移行する。
【0058】
ステップ102では、シートベルト装着検出部26によってシートベルトの装着が検出されてステップ104へ移行する。
【0059】
ステップ104では、車速の検出結果が、高速(本実施形態では、25mph以上)か否かがCPU22Aによって判定され、該判定が否定された場合にはステップ106へ移行し、肯定された場合にはステップ108へ移行する。
【0060】
ステップ106では、ベントホール用MGG20がエアバッグインフレータ12の点火に対して100〜150ms遅れて点火されるように設定されてステップ114へ移行する。
【0061】
一方、ステップ108では、シートベルトが装着されているか否かがCPU22Aによって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ110へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0062】
ステップ110では、ベントホール用MGG20が1st(エアバッグインフレータ12)と同時点火するように設定されてステップ114へ移行する。
【0063】
一方、ステップ112では、ベントホール用MGG20がエアバッグインフレータ12の点火に対して100〜150ms遅れて点火されるように設定されてステップ114へ移行する。
【0064】
そして、ステップ114では、イグニッションスイッチがオフされたか否かが判定され、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、ステップ114の判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0065】
このようにベントホール用MGG20の点火タイミングの設定が常時行われ、走行中に衝突検出部24によって衝突が検出されると、点火信号がエアバッグインフレータ12に出力されると共に、設定されたタイミングでベントホール用MGG20へ点火信号が出力される。これによって、エアバッグ装置10の袋体14が展開されて乗員への衝撃が吸収されると共に、乗員への衝撃を吸収する袋体14の圧力がベントホール16の蓋部材17の開放有無によって適正な状態にすることができる。
【0066】
そして、本実施形態では、ベントホール16の蓋部材17を開放する必要がない場合でも、他の機構に影響しないタイミングかつベントホール16の蓋部材17を開放する予め設定されたタイミングと異なるタイミングでベントホール用MGG20を点火するようにしているので、袋体14が展開されてエアバッグ装置10を廃却する際に、ベントホール用MGG20を点火するという煩雑な作業を省略して、容易に廃却を行うことができる。
【0067】
なお、本実施形態では、シートベルト18の有無によってベントホール16の開放の要否を設定する場合を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、衝突時のシートベルト18の着用の有無、衝突形態を含む衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の乗員の姿勢の少なくとも1つのパラメータに応じてベントホール16の開放を行うようにしたものに適用するようにしてもよい。
【0068】
また、第1実施形態では、ベントホール16を選択的に開放する場合を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、エアバッグ装置の袋体14の展開容量を選択的に可変するタイプのものを適用するようにしてもよい。例えば、図5に示すように、エアバッグ装置の袋体14の内部に袋体14の展開する大きさを規制するためのテザーベルト30を設けて、テザーベルト用MGG32によってテザーベルト30を切り離す機構を備えたものに適用することができる。この場合、エアバッグインフレータ12を点火することで袋体14を展開させる。そして、例えば、衝突時のシートベルト18の着用の有無、衝突形態を含む衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の乗員の姿勢の少なくとも1つのパラメータに応じて、テザーベルト用MGG32を点火してテザーベルト30の規制を解除し、テザーベルト用MGG32を点火しない条件の場合には、他の機構に影響しないタイミングかつ予め設定されたテザーベルト30の規制解除タイミングと異なるタイミングで、テザーベルト用MGG32を点火するようにすればよい。
【0069】
また、第1実施形態のベントホール16を選択的に開放する機構と、図5のテザーベルト30によって袋体14の展開する大きさを選択的に変更する機構と、を共に備えてものを適用するようにしてもよい。この場合には、MGGを作動させる条件が成立し、かつ少なくとも1つでも作動させる条件が未成立のときに条件が成立したMGGが作動するように制御し、作動する機構の作動に影響しないタイミングかつ条件が未成立のMGGに対応する機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで、条件が未成立のMGGが作動するように制御すればよい。
【0070】
(第2実施形態)
第1実施形態では、2つのガスジェネレータ(インフレータ、MGG)を備えたエアバッグ装置に本発明を適用した場合について説明したが、第2実施形態では、2つのガスジェネレータ(インフレータ、MGG)を備えた、シートベルトを巻き取るシートベルトリトラクタ装置に本発明を適用したものについて説明する。なお、第1実施形態と同一部品については同一符号を付して説明する。
【0071】
図6(A)は、本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置の概略構成を示す断面図である。
【0072】
シートベルトリトラクタ装置50は、図6(A)に示すように、シートベルト18を巻き取るスプール52を備えている。スプール52は中心部分が中空とされて、中空部分にトーションバー54が設けられている。トーションバー54は、スプール52に中央付近で連結部材56を介してスプール52と連結されており、スプール52の回転軸として機能する。また、トーションバー54は、連結部材56を境に異なる径とされており、本実施形態では、後述するフォースリミッター機構部側よりもプリテンショナ機構部側の方が太い径とされている。
【0073】
トーションバー54の一端には、プリテンショナ機構部58が設けられており、他端には後述するフォースリミッター機構部60が設けられている。
【0074】
プリテンショナ機構部58は、ベルトロック機構62及びプリテンショナ機構64を備えている。
【0075】
ベルトロック機構62は、所定の荷重が加わると、スプール52の回転をロックするようになっており、既知の種々の技術を適用できるため詳細な説明は省略する。
【0076】
プリテンショナ機構64は、ガスを発生するプリテンショナ用ガスジェネレータ(インフレータ)66、ピストンラック68、及びピニオンギヤ70を備えている。プリテンショナ機構部58は、プリテンショナ用インフレータ66が点火されると、ピストンラック68のピストン68Aが押し出されることによってピストンラック68のラックギヤとピニオンギヤ70によりスプール52が回転されてシートベルト18を巻き取るようになっている。
【0077】
一方、フォースリミッター機構部60は、ベルトロック機構62がロックされた状態で所定の荷重を超えた張力がシートベルト18に加わると、トーションバー54が捻られ、トーションバー54に連結部材56を介して連結したスプール52が回転してシートベルト18が引き出されて、シートベルト18の張力を一定に保つための機構である。
【0078】
フォースリミッター機構部60は、詳細には、トーションバー54に係合されたギヤ72、カム74、及びフォースリミッター用MGG76を備えている。
【0079】
ギヤ72には、所定の荷重を超えた張力がシートベルト18に加わると、カム74に噛み合ってギヤ72の回転を制限するロック部材が設けられている。
【0080】
フォースリミッター用MGG76が点火されると、ガスの圧力によってカム74が移動されて、所定の荷重を超えた張力がシートベルト18に加わってもカム74とギヤ72が噛み合わずロックされなくなるようになっている。
【0081】
また、フォースリミッター機構部60の外側には、スプール52を巻き取る方向に付勢するためのバネ機構78が設けられており、バネ機構78によってシートベルト18がスプール52に巻き取られるようになっている。
【0082】
本実施形態では、プリテンショナ機構64が作動することによって、シートベルト18が巻き取られ、乗員の移動によってシートベルト18が引き出されるとベルトロック機構62がロックし、フォースリミッター機構部60が作動を始める。
【0083】
フォースリミッター機構部60は、ロック部材によってカム74とギヤ72をロックすると共にカム74とギヤ72が係合した状態で所定の荷重を超える張力がシートベルト18に加わると、トーションバー54の全体が捻られて、トーションバー54に連結部材56を介して連結されたスプール52が回転してシートベルト18が引き出されてベルト張力が一定に保たれる。
【0084】
また、乗員の体重等に応じて、フォースリミッター用MGG76が点火されると、フォースリミッター機構部60のカム74とギヤ72の噛み合いが解除されるので、トーションバー54は、連結部材56よりプリテンショナ機構部58側のみが捻られて、トーションバー54に連結部材56を介して連結されたスプール52が回転してシートベルト18が引き出されてベルト張力が上記よりも低い張力で一定に保たれる。
【0085】
すなわち、フォースリミッター用MGG76が点火されない場合には、シートベルト18の張力が図6(B)に示すF1の張力に保たれ、フォースリミッター用MGG76が点火された場合には、シートベルト18の張力が図6(B)に示すF2に保たれるようになっている。
【0086】
図7は、本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置50の構成を示すブロック図である。
【0087】
本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置50は、シートベルト制御ECU80によってシートベルト18の張力が制御される。
【0088】
シートベルト制御ECU80は、CPU80A、RAM80B、ROM80C、及びインプットアウトプットインタフェース(I/O)80Dを備えたマイクロコンピュータで構成されている。
【0089】
ROM80Cには、シートベルト18の張力を制御するための各種プログラムや、シートベルト18の張力を制御するための閾値等が記憶されている。
【0090】
CPU80Aは、ROM80Cに記憶されたプログラム等をRAM80B等に展開して、シートベルト18の張力を制御する。
【0091】
I/O80Dには、衝突検出部24、荷重センサ82、プリテンショナ用インフレータ66、及びフォールリミッター用MGG76が接続されている。
【0092】
衝突検出部24は、例えば、車両フロア及びフロントサイドメンバー等に設けられた衝突検出センサや、加速度センサ等を含み、車両の衝突を検出し、検出結果をシートベルト制御ECU80へ出力する。
【0093】
荷重センサ82は、車両用シートに設けられ、乗員の体重を検出し、検出結果をシートベルト制御ECUへ出力する。
【0094】
プリテンショナ用インフレータ66は、シートベルト制御ECU80から点火信号を受け、ガスを発生して、ピストンラック68を移動することによってピニオンギヤ70を回転することによってスプール52を回転させてシートベルト18を巻き取る。
【0095】
フォースリミッター用MGG76は、シートベルト制御ECU80から点火信号を受け、ガスを発生してカム74を移動させることによって、カム74とギヤ72の噛み合いを解除し、シートベルト18の張力を図6(B)に示すF2に保つ。
【0096】
本実施形態では、シートベルト制御ECU80は、衝突検出部24によって衝突を検出した場合に、プリテンショナ用インフレータ66に点火信号を出力することによって、プリテンショナ用インフレータ66を点火してシートベルト18を巻き取って乗員を拘束する。また、このとき荷重センサ82の検出結果に応じて、乗員が所定荷重より小さい軽量な場合に、フォースリミッター用MGG76に点火信号を出力することによって、フォースリミッター用MGG76を点火してシートベルト18の張力が小さく(図6(B)のF2)なるように制御し、乗員のが所定荷重以上の場合には、プリテンショナ用インフレータ66へ点火信号を出力してから所定時間経過後にフォースリミッター用MGG76へ点火信号を出力する。
【0097】
すなわち、本実施形態では、フォースリミッター用MGG76の点火が不要な場合には、プリテンショナ機構に影響がないタイミングかつ予め設定されたシートベルト18の張力を小さく(図6(B)のF2)するタイミングと異なるタイミングでフォースリミッター用MGG76を点火するようにしている。これによって、第1実施形態と同様に、プリテンショナ用インフレータ66が点火されてシートベルトリトラクタ装置50を廃却する際に、フォースリミッター用MGG76を点火するという煩雑な作業を省略して、容易に廃却を行うことができる。
【0098】
図8は、本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置50のシートベルト制御ECU80で行われるシートベルト張力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、当該処理は、イグニッションスイッチがオンされた場合に開始される。
【0099】
まず、ステップ200では、シート荷重が検出されてステップ202へ移行する。すなわち、乗員の体重が荷重センサ82によって検出される。
【0100】
ステップ202では、衝突が検出されたか否かCPU80Aによって判定される。該判定は、衝突検出部24によって衝突が検出されたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ200へ戻って上述の処理が繰り返され、肯定されたところでステップ204へ移行する。
【0101】
ステップ204では、検出されたシート荷重が所定荷重以上か否かCPU80Aによって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ206へ移行し、否定された場合にはステップ208へ移行する。
【0102】
ステップ206では、プリテンショナ用インフレータ66が点火後所定時間後にフォースリミッター用MGGが点火されて一連のシートベルト張力制御処理を終了する。なお、このときのフォースリミッター用MGG76の点火は、フォースリミッター機構に影響しないタイミングかつ予め設定されたシートベルト18の張力を小さくするタイミングと異なるタイミング(所定時間後)で行う。すなわち、乗員が重たい場合(例えば、所定荷重以上の場合)には、シートベルト18が巻き取られてシートベルト18の張力を一定にする際に、所定時間経過までは、図6(B)に示すF1の張力となるようにシートベルト18の張力が保たれる。
【0103】
一方、ステップ208では、プリテンショナ用インフレータ66及びフォースリミッター用MGG76が同期して点火されて一連のシートベルト張力制御を終了する。すなわち、乗員が軽量(所定荷重未満)の場合には、シートベルト18が巻き取られてシートベルト18の張力を一定にする際に、図6(B)に示すF2の張力となるようにシートベルト18の張力が保たれる。
【0104】
このように、本実施形態では、フォースリミッター用MGG76の点火が不要な場合でも、他の機構に影響しないタイミングかつ予め設定されたシートベルト18の張力を小さくするタイミングと異なるタイミング(プリテンショナ用インフレータ66点火後所定時間後)で点火するので、プリテンショナ機構58が作動してシートベルトリトラクタ装置50を廃却する際には、プリテンショナ用インフレータ66のみならず、フォースリミッター用MGG76も点火されているので、煩雑な作業を行うことなく容易に廃却することができる。
【0105】
なお、第2実施形態では、衝突時の乗員の体格(体重)をパラメータとして、フォースリミッター用MGG76の作動を制御するようにしたが、パラメータは衝突時の乗員の体格に限るものではなく、例えば、衝突時のシートベルト18の着用の有無、衝突形態を含む衝撃の激しさ、衝突時の乗員の姿勢等のパラメータを用いてフォースリミッター用MGG76の作動を制御するようにしてもよいし、衝突時のシートベルト18の着用の有無、衝突形態を含む衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の乗員の姿勢の少なくとも2つ以上のパラメータを組み合わせて用いてフォースリミッター用MGG76の作動を制御するようにしてもよい。
【0106】
また、上記の各実施形態では、ガスジェネレータを2つ備えた乗員保護装置を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、3つ以上の複数のガスジェネレータを備える乗員保護装置を適用して、何れか1つでもガスジェネレータが作動しない条件の場合に、他の機構に影響しないタイミングで作動条件を満たさないガスジェネレータを作動するようにしてもよい。
【0107】
また、上記の各実施形態では、乗員保護装置の乗員を保護する機構を作動するためのガスジェネレータ(エアバッグインフレータ12やプリテンショナ用インフレータ66)と、乗員保護装置の乗員保護機能を補助するためのガスジェネレータ(ベントホール用MGG20、テザーベルト用MGG32、フォースリミッター用MGG76等)とを備えた場合を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、例えば、複数のエアバッグ装置(運転席用エアバッグ装置、助手席用エアバッグ装置、サイドエアバッグ装置等)の各々のエアバッグ装置を作動させるガスジェネレータ(インフレータ)を備えて、複数のエアバッグ装置のうち1つでも展開した場合に全てのエアバッグ装置を交換する必要があるなどの理由がある場合には、本発明を適用して、展開する必要がないエアバッグ装置のガスジェネレータについては他に影響しないタイミングかつ展開する必要がないエアバッグを作動する予め設定されたタイミングと異なるタイミングで点火するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】(A)は従来のベントホール用MGGの点火タイミングを示す表であり、(B)は本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置のベントホール用MGGの点火タイミングを示す表である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わるエアバッグ装置のエアバッグ制御ECUで行われるベントホールの開放有無を決定するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】テザーベルトによって袋体の展開容量を変更するエアバッグ装置を示す図である。
【図6】(A)は本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置の概略構成を示す断面図であり、(B)はフォースリミッター機構部によるシートベルトの張力変化を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係わるシートベルトリトラクタ装置のシートベルト制御ECUで行われるシートベルト張力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
10 エアバッグ装置
12 エアバッグインフレータ(ガスジェネレータ)
14 袋体
16 ベントホール
17 蓋部材
18 シートベルト
20 ベントホール用MGG(ガスジェネレータ)
22 エアバッグ制御ECU
24 衝突検出部
26 シートベルト装着検出部
28 車速センサ
30 テザーベルト
32 テザーベルト用MGG
50 シートベルトリトラクタ装置
58 プリテンショナ機構部
60 フォースリミッター機構部
66 プリテンショナ用インフレータ(ガスジェネレータ)
76 フォースリミッター用MGG(ガスジェネレータ)
80 シートベルト制御ECU
82 荷重センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を保護するための複数の機構に対応して設けられ、各々作動するように制御されたときに対応して設けられた機構を作動させるためのガスを発生する複数のガスジェネレータと、
前記ガスジェネレータを作動させる条件が成立し、かつ少なくとも1つでも作動させる条件が未成立のときに条件が成立した前記ガスジェネレータが作動するように制御し、作動する機構の作動に影響しないタイミングかつ条件が未成立のガスジェネレータに対応する機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで、条件が未成立のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、
を備えた乗員保護装置。
【請求項2】
作動するように制御されたときに、乗員を保護するための第1の機構を作動させるためのガスを発生する第1のガスジェネレータと、
作動するように制御されたときに、前記第1の機構の乗員保護機能を補助するための第2の機構を作動させるためのガスを発生する第2のガスジェネレータと、
前記第1のガスジェネレータのみを作動させる条件が成立したときに前記第1のガスジェネレータが作動するように制御し、前記第1の機構の作動に影響しないタイミングかつ前記第2の機構の予め設定された作動タイミングと異なるタイミングで、前記第2のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、
を備えた乗員保護装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1のガスジェネレータが作動するように制御した後所定時間経過したタイミングで前記第2のガスジェネレータが作動するように制御することを特徴とする請求項2に記載の乗員保護装置。
【請求項4】
前記第1のガスジェネレータは、前記第1の機構としてエアバッグ装置の袋体を展開させるために作動し、前記第2のガスジェネレータは、前記第2の機構として前記袋体の内圧を調整するためのガス抜き孔に設けられた蓋部材の開放機構を作動することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の乗員保護装置。
【請求項5】
前記第1のガスジェネレータは、前記第1の機構としてエアバッグ装置の袋体を展開させるために作動し、前記第2のガスジェネレータは、前記第2の機構として前記袋体内に設けられた前記袋体の展開する大きさを規制するベルトの規制を解除する解除機構を作動することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の乗員保護装置。
【請求項6】
前記第1のガスジェネレータは、前記第1の機構として乗員を拘束するシートベルトを巻き取る巻取機構を作動し、前記第2のガスジェネレータは、前記第2の機構として巻き取った前記シートベルトの張力を変更する変更機構を作動することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の乗員保護装置。
【請求項7】
前記第1の条件は、衝突の検出有無を条件とし、前記第2の条件は、衝突時のシートベルト装着の有無、衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の乗員の姿勢の少なくとも1つをパラメータとした条件とすることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の乗員保護装置。
【請求項8】
内圧を調整するためのガス抜き孔に設けられた蓋部材、及び展開する大きさを規制するためのベルトの少なくとも一方を備えたエアバッグ袋体と、
前記蓋部材の開放による前記エアバッグ袋体の内圧変更、及び前記ベルトの規制解除による展開容量の変更の少なくとも一方を変更する変更手段と、
作動するように制御されたときに、前記エアバッグ袋体を展開させるためのガスを発生する第1のガスジェネレータと、
衝突時のシートベルト装着の有無、衝撃の激しさ、衝突時の乗員の体格、及び衝突時の姿勢の少なくとも1つのパラメータを検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて作動するように制御されたときに、前記変更手段を作動するための第2のガスジェネレータと、
前記エアバッグ袋体を展開する条件のみが成立したときに、前記第1のガスジェネレータが作動するように制御した後、所定時間経過後に前記第2のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、
を備えた乗員保護装置。
【請求項9】
前記検出手段が衝突時のシートベルト装着の有無を検出し、前記検出手段によって衝突時のシートベルト装着が検出され、かつ車速を検出する車速検出手段によって所定の車速以上が検出された場合に、前記エアバッグ袋体を展開する条件のみが成立することを特徴とする請求項8に記載の乗員保護装置。
【請求項10】
乗員を拘束するシートベルト及び該シートベルトを巻き取る巻取装置を備えたシートベルト装置と、
前記シートベルトによって乗員を拘束した状態で前記シートベルトの張力が低くなるように張力を調整する張力調整手段と、
作動するように制御されたときに、前記巻取装置を前記シートベルトを巻き取る方向に回転させるためのガスを発生する第1のガスジェネレータと、
乗員の体格を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて作動するように制御されたときに、前記張力調整手段を作動するためのガスを発生する第2のガスジェネレータと、
前記第1のガスジェネレータのみを作動させる条件が成立したときに前記第1のガスジェネレータが作動するように制御した後、所定時間経過後に前記第2のガスジェネレータが作動するように制御する制御手段と、
を備えた乗員保護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−154616(P2009−154616A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333037(P2007−333037)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】