説明

乗員検知装置

【課題】製造コストの低減された、乗員の体格及び姿勢の影響を受けにくい乗員検知装置を提供する。
【解決手段】第1のアンテナ電極(アンテナ電極121)及び第2のアンテナ電極(アンテナ電極122)は、シートバック27の中心線L0を挟んで左右に配置される。第1のアンテナ電極における、第1の直線L1より上側の検知面積の第2の直線L2より上側の検知面積に対する割合は、第2のアンテナ電極における、第1の直線L1より上側の検知面積の第2の直線L2より上側の検知面積に対する割合より小さく設定される。乗員検知装置は、第1のアンテナ電極から得られる信号レベルが第1のしきい値より大きく、かつ、第1のアンテナ電極から得られる信号レベルの第2のアンテナ電極から得られる信号レベルに対する比率が第2のしきい値より小さいか否かを判定し、乗員の着席状況を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員検知装置に関し、特に、サイドのエアバッグ装置を搭載した自動車の乗員検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグ・システムは、自動車の安全装置として普及しているが、乗員の体格や乗員の取る姿勢などによって、フロント・エアバッグを展開することで、安全装置として働かない可能性がある。このため、例えば米国連邦車両基準「FMVSS208」においては、エアバッグ・システムが、助手席に着席している乗員の体重に基づいてフロントエアバッグの展開/非展開を制御するように、定めている。
また、サイド・エアバッグを搭載した自動車において、助手席における乗員の着席状況(体格及び姿勢)に応じてサイドエアバッグを展開/非展開を制御することに関して、自主的に取り組んでいる自動車メーカーもある。
【0003】
乗員検知を行うセンシング方式としては、乗員の体重をセンシングする重量センサ、圧電センサを利用するセンシング方式と、乗客の体格、すなわち表面積をセンシングする容量センサを利用するセンシング方式に大別される。
図8(a)は、このうち、センシング方式として、容量センサを利用するセンシング方式を用いた乗員検知装置の原理を示す図である。この方式は、シートに配置されたアンテナ電極に微弱電界(Electric Field:EF)を発生させ、電極と被測定物の表面に電荷を生じさせる。これにより、電極と被測定物の表面は容量結合となり、体格及び姿勢で変化する容量変化を、変位電流の変化として捉えることができるものである。
【0004】
図8(a)に示すように、アンテナ電極E1に正弦波発振回路OSCからの高周波低電圧を印加することにより、アンテナ電極E1の周辺には微弱電界(EF)が生ずる結果、アンテナ電極E1の側には変位電流Iが流れる。この変位電流Iの値は、アンテナ電極E1と接地の間に形成される静電容量値により決まるため、アンテナ電極E1の近傍に存在する被測定物OBの比誘電率によって異なる値をとる。従って、シートに被測定物OBが乗っている場合と乗っていない場合とでは、アンテナ電極E1側に流れる電流に変化が生ずる。この現象を利用することにより、センサによって得る物理量(この場合は、変位電流)によってシートへの乗員の着席状況を検知することができるものである。
【0005】
例えば、上記法規には、図8(c)に示す成人女性の体重分布を示す正規分布において、5パーセンタイル成人女性(分布の小柄な方の分布5%)に相当する大人以上ではフロントエアバッグ展開機能を維持し、体重が6歳児(6year old child:6yo)相当の子供以下ではフロントエアバッグの展開を抑制する方法が記載されている。
また、サイドエアバッグについては、助手席に着座した子供が眠り込んで身体がドア側に傾くと、座高の低い子供の頭部がシートバックの側部に収納したサイドエアバッグ装置の前方を覆ってしまうため、サイドエアバッグを効果的に展開させることができなくなる問題がある。そこで、助手席に着座した乗員の体格および姿勢を検知し、子供がドア側にもたれた寝姿にあるときにサイドエアバッグ装置の作動を禁止することが考えられる。
すなわち、シートの乗員について、その体格および姿勢などから、多くの情報を得て、区別をつける対策をとることが望ましい。
【0006】
そこで、一般的にエアバッグシステムにおいては、図8(b)に示すように、アンテナ電極を複数個、例えばシートの座面にアンテナ電極E2を、背面にアンテナ電極E3及びアンテナ電極E4を、設置することによって、シート上の被測定物(乗員)について、より多くの物理量を得ることを可能とし、シートへの乗員の着席状況をより的確に検知することが行われている。
【0007】
そして、これらのセンサーから得た情報を、実際にエアバッグを展開/非展開とするための制御情報とするには、乗員の区別が重要であり、エアバッグシステムは、予め設定したしきい値と、微弱電界技術による測定結果である物理量(電流値、或いは容量測定値)と、を比較する制御回路を備え、定期的にセンサからデータを取得し、乗員についての判定を行う。
【0008】
例えば、特許文献1の乗員検知装置は、助手席シートのシートバックの中央部に、複数の第1のアンテナ電極を配置し、シートバックの側部に第2のアンテナ電極を配置している。また、第1のアンテナ電極及び第2のアンテナ電極各々のアンテナ電極周辺に発生させた電界に基づいて流れる電流に関する信号データを処理し、乗員の体格及び姿勢を判定する信号処理回路(制御回路)を備えている。そして、信号処理回路は、判定結果をもとに、助手席シートに、座高の低い子供が着座し、かつ、サイドエアバッグ装置の前方を覆っている場合、サイドエアバッグを効果的に展開させることができないと判定し、サイドエアバッグ装置の作動を禁止するように動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3569639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された乗員検知装置においては、助手席シートのシートバックの中央部に複数のアンテナ電極を配置し、また、さらに側部においてもアンテナ電極を配置しているため、それぞれのアンテナ電極に対応するハーネスも増大し、また信号データが増えるため判定回路も複雑になり、製造コストが高くなるという問題があった。本発明は、上記状況を鑑み、シートバック中央部及び側部におけるアンテナ電極の数を減らしつつ、乗員の体格及び姿勢の影響を受けにくい乗員検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の乗員検知装置は、シートのシートバックの中央部に前記シートバックの上下方向の中心線を挟んで、車体ドア側に配置された第1のアンテナ電極、及び車体中央側に配置された第2のアンテナ電極と、前記第1及び第2のアンテナ電極各々の周辺に微弱電界を発生させ、この微弱電界に基づいて発生する信号と予め設定されたしきい値とを比較することにより乗員の着席状況を検知する制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、前記第1のアンテナ電極から得られる信号と、前記第2のアンテナ電極から得られる信号により、乗員の着席状況を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乗員検知装置は、第1のアンテナ電極と第2のアンテナ電極により発生する信号データと、予め設定されたしきい値との比較に基づいて、例えば子供等の所定体格の乗員のシートにおける姿勢を判定できる。また、そのために、シートのシートバック中央部及び側部に、従来の様に多くのアンテナ電極を配置する必要はない。従って、アンテナ電極に対応するハーネスも増大せず、また信号データが増えることのよって判定回路が複雑になることもないので、製造コストの低減された、乗員の体格及び姿勢の影響を受けにくい乗員検知装置を提供できる。また、姿勢の判定において、2枚のアンテナ電極からの信号データに基づいて比率で判定するので、乗員の着衣状況による信号データの劣化(厚着をしたことによる信号データの減少)を防ぐこともできるので、少ないアンテナ電極であっても乗員の体格及び姿勢の影響を受けにくい乗員検知装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗員検知装置の概念図である。
【図2】図1に示した乗員検知装置の簡略化した回路構成を示す図である。
【図3】図1に示すシートにおけるアンテナ電極及び乗員の着席状況を示す図である。
【図4】図1に示すシートにおけるアンテナ電極及び乗員の着席状況を示す図である。
【図5】図1に示す判定回路23における判定フローを示す図である。
【図6】図1に示すシートにおけるアンテナ電極の変形例を示す図である。
【図7】図6に示すシートにおける乗員の着席状況を示す図である。
【図8】乗員検知装置における基本原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の乗員検知装置の構成について、図1および図2を参照して説明する。
図1は、シートを含む乗員検知装置の概略構成を示す図であり、図2は、乗員検知装置の簡略化した回路構成を示す図である。
【0015】
図1において、助手席シート10は、車両床部上に取り付けられる金属製のフレーム(不図示)に固定されてシートの着席部を構成する座面部(シートクッション26)と、座面部の後方から上方斜め後ろに向かって配置され、背もたれをなす背面部(シートバック27)とを有している。本発明の乗員検知装置は、シートバック27の中心線L0の左側(ドア側)に配置される1枚のアンテナ電極(第1のアンテナ電極121)、同じくシートバック27の中心線L0の右側(車体中央側)に、アンテナ電極121と中心線L0を挟んで線対称に配置されるアンテナ電極(第2のアンテナ電極122)、ハーネス131、ハーネス132、乗員検知ユニット14(ECU)及びサイドエアバッグ装置12を備えている。
【0016】
サイドエアバッグ装置12は、シートバック27のドア側の側部に配置され、車両の側面衝突時に、助手席シート10に着座した乗員と、ドア内面との間に、エアバッグ13(図1において一点鎖線で示す)を展開させる。サイドエアバッグ装置12は、乗員検知ユニット14に接続され、乗員検知ユニット14の判定結果により、助手席シート10に着座した乗員が座高の小さい子供(所定体格の乗員)であり、かつその子供がドア側にもたれている場合に作動しないよう制御される。
【0017】
かかる制御のため、乗員検知ユニット14は、ハーネス131を介してアンテナ電極121と、ハーネス132を介してアンテナ電極122と、それぞれ接続されている。乗員検知ユニット14は、各アンテナ電極に対応して設けられるハーネスに流れる変位電流の電流値に基づいて、シート上の乗員着席の状況を検出する回路であり、図1において、シートバック27のドア側の側部に設置される。
【0018】
図2は、乗員検知ユニット14の回路構成を示す図である。
図2に示すように、乗員検知ユニット14は、正弦波発振回路OSC、電流制限抵抗16、切替スイッチSW、バッファ17、全波整流及び積分回路18、及び判定回路23から構成される。なお、図2において、乗員検知装置を構成するアンテナ電極については、アンテナ電極121及び122用いて乗員検知する場合を示している。すなわち、本発明の乗員検知装置は、アンテナ電極121及びアンテナ電極122を配置して、乗員の有無、体格及び姿勢を総合的に判定する乗員検知装置である。
【0019】
正弦波発振回路OSCは、アンテナ電極121及び122各々の周辺に微弱電界を発生させる回路であり、例えば周波数が120KHz程度で、電圧が5V程度の正弦波を発生するように構成されている。
また、電流制限抵抗16は、アンテナ電極121及びアンテナ電極122各々と、シートに着席した乗員との間の容量(以下CLとする)、及び乗員と車体GNDとの間の容量(以下Cgとする)とともに、RC回路を構成する。このRC回路は、容量CLのインピーダンスが変化するので、正弦波発振回路OSCの周波数が一定であっても、正弦波発振回路OSCの出力信号をバッファ17の入力端において減衰させる。
【0020】
バッファ17は、正弦波発振回路OSCの出力信号が減衰された交流信号を、次段回路である全波整流及び積分回路18の入力電圧レベルに増幅する回路である。全波整流及び積分回路18は、切替スイッチSWを切り替え、アンテナ電極121及び122各々を選択している各々の期間において、バッファ17から入力される交流電圧を全波整流し、平滑化することで、判定回路23のA/D入力端子19に対して、直流電圧信号を出力する。
【0021】
切替スイッチSWは、図2に示すように、スイッチSW1及びSW2の接続先を切り替えることにより、乗員検知において、アンテナ電極121及びアンテナ電極122各々と、上記バッファ17及び電流制限抵抗16とを、コネクタ21及びハーネス131及びハーネス132を介して、順次接続する。
【0022】
判定回路23は、A/D入力端子19に、全波整流及び積分回路18が出力した上記直流電圧信号が入力される。判定回路23は、この電圧レベルと、判定回路23に記憶され、予め設定されたしきい値とを比較し、シートの着席状況を判定する。すなわち、判定回路23には、予め、例えばシートに着席している乗員の着席状況(着席の有無,大人か子供かの識別)などに関するしきい値(しきい値データ)が格納(記憶)されている。
【0023】
次に、以上の構成をとる本発明の乗員検知装置の動作について説明する。
まず、正弦波発振回路OSCから正弦波が送信され、切換スイッチSWが判定回路23からの制御信号によって、スイッチSW1及びスイッチSW2を順にオン・オフ切換制御し、例えば、まずスイッチSW1だけをオンして他はオフにする。このとき、正弦波発振回路OSCからの高周波低電圧がスイッチSW1からコネクタ21及びハーネス131を通してアンテナ電極121だけに印加され、アンテナ電極121から微弱電界が発生する。
【0024】
すると、アンテナ電極121の周辺における乗員の着席状況に応じた送信電流が、アンテナ電極121に流れる。この送信電流に相当する電流により、正弦波発振回路OSCの出力信号が、電流制限抵抗16を含む上記RC回路により減衰され、バッファ17に入力される交流電圧レベルは減衰する。
【0025】
この減衰レベルは、前記容量CLと容量Cgとの合成容量Ctの値によって変化する。この合成容量Ctは、Ct=(CL×Cg)/(CL+Cg)であり、乗員と車体GNDとの間の容量Cgの変化が小さいことにより、合成容量Ctは、アンテナ電極と乗員との間の容量CLの変化によってのみ変化すると考えてよいので、乗員検知のための判断指標として使用することができる。ここで、バッファ17の入力端における電圧をVout、電流制限抵抗16の抵抗値をR、正弦波発振回路OSCの発振周波数をω、出力電圧をVinとすると、
Vout=1/(1+jωCtR)×Vin
ω=2πf (ただし、fは正弦波発振回路OSCの周波数)
の関係式が得られる。
【0026】
よって、バッファ17に入力される減衰された交流電圧レベルを、全波整流及び積分回路18により直流電圧信号に変換し、判定回路23は、この直流電圧信号をA/D入力端子19から取り込む。すなわち、判定回路23は、アンテナ電極121に対向する乗員の着席状況データ(信号データ)を取り込み、これと予め設定されたしきい値とを比較することで、アンテナ電極121周辺における乗員の着席状況を判定する。
【0027】
同様に、スイッチSW2だけがオンして、アンテナ電極122から微弱電界が発生し、アンテナ電極122の周辺の着席状況に応じた送信電流が検出され、判定回路23に着席状況データとして入力される。このように、判定回路23は、アンテナ電極121及びアンテナ電極122に対応して、信号データを取り込むことにより、シートバック27に背もたれしている乗員の着席状況を検知する。
【0028】
ここで、判定回路23が記憶しているしきい値について、シートバック27におけるアンテナ電極121及びアンテナ電極122の配置と、着席している乗員の着席状況とに関連付けて説明する。
図3は、ドア側にもたれかかった姿勢で、アンテナ電極121に対向した場合、判定回路23によって「乗員有り」と判定されない体格を有する乗員(以下、乗員SPとする)が、ドア側にもたれかかった姿勢で着座している状態を示している。
図3にあって、直線L1は、乗員SPの車体中央側の姿勢及び体格を規定する直線である。直線L1は、判定基準となる乗員SPが、シートバック27において車体ドア側にもたれかかったときに形成される、シート前方からの平面視において、乗員SPの体の車体中央側の側部に沿った直線である。直線L1は、例えば、乗員SPの頭部輪郭の車体中央側と、胴体部又は腕部の輪郭の車体中央側と、の両方に接する直線と定義することができる。
【0029】
従って、乗員SPよりも背が高い、或いは座高が高い乗員(例えば、大人)であれば、ドア側にもたれかかった姿勢をとっても、体の一部がこの直線L1に接するか、或いは、直線L1より上方の領域(車体中央側の領域)に入り込んで、体の一部がアンテナ電極121に対向することとなる。一方、乗員SPよりも背が低い、或いは座高が低い乗員の場合であれば、ドア側にもたれかかった姿勢をとっても、体の一部は直線L1より下方においてアンテナ電極121と対向するだけで、直線L1より上方においてアンテナ電極121と対向することはないといえる。
【0030】
また、図3にあって、直線L2(第2の直線)は、直線L1とは反対に、乗員SPの車体ドア側の体形を規定する直線である。直線L2は、判定基準となる乗員SPが、シートバック27において車体中央側にもたれかかったときに形成される、シート前方からの平面視において、乗員SPの体の車体ドア側の側部に沿った直線である。直線L2は、例えば、乗員SPの頭部輪郭の車体ドア側と、胴体部又は腕部の輪郭の車体ドア側と、の両方に接する直線と定義することができる。或いは、直線L2は、平面視において、シートバックの中心線L0に対して直線L1と線対称である直線、と定義することもできる。
【0031】
判定回路23が記憶しているしきい値のうち、アンテナ電極121からの信号データを比較するときに用いられるしきい値thaは、上記乗員SPの頭部と、胴体部又は腕部とが、ドア側にもたれかかって直線L1に接した場合に、A/D入力端子19に入力される電圧レベルを基準に、それより低い値に設定される。このように設定することで、乗員SPを判定基準として、それより体格の大きい乗員(以下乗員P)との区別や、姿勢の区別を行うことができる。
【0032】
また、判定回路23が記憶しているしきい値のうち、アンテナ電極121からの信号データを比較するときに用いられるしきい値thbは、上記乗員SPの頭部と、胴体部又は腕部とが、車体中央側にもたれかかって直線L2に接した場合に、A/D入力端子19に入力される電圧レベルを基準に、それより低い値に設定される。このように設定することで、乗員SPを判定基準として、それより体格の大きい乗員(以下乗員P)との区別や、姿勢の区別を行うことができる。
【0033】
また、判定回路23は、アンテナ電極121及びアンテナ電極122からの信号データを比較するときに用いるしきい値theを記憶している。しきい値theは、アンテナ電極121及びアンテナ電極122各々に、乗員が対向していない場合の電圧レベル(Hレベル)を基準に、それより、やや低めに設定される。すなわち、アンテナ電極121及びアンテナ電極122からの信号データが、いずれもしきい値theより高ければ、シートは空席と判定される。
【0034】
さらに、判定回路23は、アンテナ電極121及びアンテナ電極122からの信号データの比率を比較するときに用いるしきい値thcを記憶している。しきい値thcは、上記乗員SPが、ドア側にもたれかかって直線L1に接した場合に、アンテナ電極121からの信号データのアンテナ電極122からの信号データに対する割合(比率)より、やや高めの値に設定される。例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように、乗員SPがドア側にもたれかかって直線L1に接した場合、アンテナ電極121の乗員SPに対向する検知面積は、アンテナ電極121の全検知面積の約1/2となる。そのため、アンテナ電極121からの信号データは、おおよそ0.5×(Hレベル)となる。また、アンテナ電極122に対向する体の部位はないので、検知面積全体が見え、信号データはHレベルといえる。よって、アンテナ電極121からの信号データのアンテナ電極122からの信号データに対する比率は、おおよそ0.5となる。
【0035】
一方、図3(a)及び図3(c)に示すように、乗員SPが車体中央側にもたれかかって直線L2に接した場合、アンテナ電極121に対向する体の部位はないので、検知面積全体が見え、信号データはHレベルといえる。また、アンテナ電極122の乗員SPに対向する検知面積は、アンテナ電極121の全検知面積の約1/2となるので、信号データはおおよそ(1/2)×(Hレベル)となる。よって、アンテナ電極121からの信号データのアンテナ電極122からの信号データに対する比率は、おおよそ2となる。
【0036】
なお、上記記載より明らかなように、判定に用いる信号データは、何も対向しないときのレベル、すなわち、Hレベルと、実際の信号データの差分を使用することが多いため、アンテナ電極及び乗員を助手席シート10の前方から平面視した場合、各アンテナ電極の隠れていない部分の検知面積の、アンテナ電極全体の検知面積に対する割合に、おおよそ比例しているといえる。従って、以下の説明に用いる図面において、アンテナ電極の隠れていない部分の面積により、各アンテナ電極からの信号データのレベルをおおよそ導くことができる。たとえば、図3(b)では、アンテナ電極121からの信号データは、(1/2)×Hレベル、アンテナ電極122からの信号データは、Hレベルとなる。また、図3(c)では、アンテナ電極121からの信号データは、Hレベル、アンテナ電極122からの信号データは、(1/2)×Hレベルとなり、上の説明と一致することとなる。
【0037】
以上の様に、図3(b)及び図3(c)の着座状態における、アンテナ電極121からの信号データのアンテナ電極122からの信号データに対する比率は、それぞれ0.5、2となることから、しきい値thcを、例えば1.25に設定すれば、乗員SPがいずれの方向に傾いているかを検知することができる。
このように左右いずれかに傾くことにより、信号データに差が出る理由は、アンテナ電極121及び122をシートバック27の中心線L0に関して線対称に配置しているからである。
線対称に配置していることにより、アンテナ電極121における、直線L1より上側の検知面積(以下、S11とする)は、アンテナ電極122における、直線L1より上側の検知面積(以下、S21とする)より小さい。すなわち、S11<S21である。
また、アンテナ電極121における、直線L2より上側の検知面積(以下、S12とする)は、アンテナ電極122における、直線L2より上側の検知面積(以下、S22とする)よりも大きい。すなわち、S12>S22である。
【0038】
これら2つの関係のうち、前者を後者で除して変形すれば、S11/S21<S12/S22なる関係式が導かれる。ここで、この関係式の左辺は、まさしく、乗員SPがドア側に傾いている場合のアンテナ電極121からの信号データの、アンテナ電極122からの信号データに対する比率である。また、関係式の右辺は、乗員SPが車体中央側に傾いている場合のアンテナ電極121からの信号データの、アンテナ電極122からの信号データに対する比率である。
従って、しきい値thcを、上記説明のように、乗員SPの体格及び姿勢で決まる直線L1及びL2と、アンテナ電極121及び122との位置関係で決まる値に設定することで、乗員SPがいずれの方向に傾いているかを検知することができる。
【0039】
なお、上の関係式は、更に、S11/S12<S21/S22と変形することができる。
これは、アンテナ電極121における、直線L1より上側の検知面積S11の、直線L2より上側の検知面積S12とするに対する割合が、アンテナ電極122における、直線L1より上側の検知面積S21の、直線L2より上側の検知面積S22に対する割合よりも小さいことを意味している。従って、上記例では、左右のアンテナ電極を中心線L0に関して線対称の関係にあるとして説明しているが、線対称の関係であることに必然性はない。例えば、アンテナ電極121とアンテナ電極122が、いずれも矩形形状であり、その高さ(中心線L0方向の長さ)が同じで、幅(中心線L0と垂直方向の長さ)において、アンテナ電極121の方がアンテナ電極122より大きい場合であっても、乗員SPがいずれの方向に傾いているかを検知することができる。
【0040】
従って、アンテナ電極121及びアンテナ電極122の関係は、シートバック27の中心線L0を挟んで左右に配置した第1のアンテナ電極(アンテナ電極121)及び第2のアンテナ電極(アンテナ電極122)であって、アンテナ電極121における、直線L1より上側の検知面積(S11)の直線L2より上側の検知面積(S12)に対する割合は、アンテナ電極122における、直線L1より上側の検知面積(S21)の直線L2より上側の検知面積(S22)に対する割合、より小さければよいこととなる。
【0041】
図4は、助手席シート10における、アンテナ電極121と、乗員の着座状態(姿勢)との関係を示す。図4(a)は、乗員SPがドア側にもたれかかった姿勢で着座している状態(以下、着座状態(a)とする)を、図4(b)は、乗員Pがドア側にもたれかかった姿勢で着座している状態(以下、着座状態(b)とする)を、示している。また、図4(c)は、乗員SPが正規着座している状態(以下、着座状態(c)とする)を、図4(d)は、乗員Pが正規着座している状態(以下、着座状態(d)とする)を、それぞれ示している。
【0042】
また、図4(e)は、上で説明した図3(c)と同じく、乗員SPが車体中央側にもたれかかった姿勢で着座している状態(以下、着座状態(e)とする)を示し、図4(f)は、乗員Pが車体中央側にもたれかかった姿勢で着座している状態(以下、着座状態(f)とする)を示している。
【0043】
続いて、判定回路23のしきい値the、tha、thb及びthcを上記の様に設定したことによって、判定回路23が上記着座状態(a)〜(f)に対して行う、アンテナ電極からの信号データと、しきい値との比較について説明する。
図5は、判定回路23における判定フローを示す図である。以下、図5のフローを用いて、アンテナ電極からの信号データと、しきい値との比較について説明する。また、説明において、図2の判定回路23内に示す、信号データ及び比率を示す模式図を適宜用いる。なお、図2において、符号(a)〜(f)は、上記着座状態(a)〜(f)にそれぞれに対応する、判定回路23のA/D入力端子19に入力される電圧レベルまたは比率である。
【0044】
図2に示すスイッチSWを順次選択することで、判定回路23が、アンテナ電極121及びアンテナ電極122からの信号データを、A/D入力端子19から順次取り込む(ステップS1)。
【0045】
判定回路23は、助手席シート10が空席であるか否かの判定を行う(ステップS2)。すなわち、判定回路23は、アンテナ電極121からの信号データと、アンテナ電極122からの信号データのいずれもが、しきい値theより高い場合、助手席シート10を空席と判定する(ステップS2−Yes、ステップS8)。一方、判定回路23は、アンテナ電極121及びアンテナ電極122からの信号データの少なくとも一方が、しきい値the以下であれば、ステップS3に進む(ステップS2−No)。
【0046】
判定回路23は、ステップS3において、アンテナ電極121からの信号データがしきい値thaより大きいか否かを比較する。ここで、しきい値thaは、上述の通り、着座状態(a)を基準に設定されているので、着座状態(a)は、「Yes」と判定される(ステップS3−Yes)。また、直線L1より上方へ大きく入り込み、アンテナ電極121が隠れて見えない着座状態(b)、(c)及び(d)は、アンテナ電極121からの信号データがしきい値thaより低くなり、「No」と判定される(ステップS3−No)。すなわち、着座状態(b)、(c)及び(d)は、乗員SPがドア側にもたれかかった姿勢(乗員SP寝込み姿勢)をとっていないと、判定される(ステップS7)。なお、着座状態(e)及び(f)については、「No」と判定される可能性もあるが、直線L2との関係を求める処理を以降のステップで行うため、ここでは「Yes」と判定するものとする。
【0047】
判定回路23は、ステップS4において、アンテナ電極122からの信号データがしきい値the以下であり、かつ、アンテナ電極121からの信号データがしきい値thbより小さい、という条件を満たすか否かを判定する。着座状態(a)は、乗員SPの体の部位が、アンテナ電極122と対向していないため、前者の条件を満たさず、「No」と判定される(ステップS4−No)。また、着座状態(e)については、しきい値thbは、上述の通り、着座状態(e)を基準に設定されているので、後者の条件を満たさず、「No」と判定される(ステップS4−No)。
一方、着座状態(f)は、乗員P1の体の部位が、アンテナ電極122と対向し、かつ、直線L2より上方の領域に入り込んで、アンテナ電極121と対向するので、「Yes」と判定される(ステップS4−Yes)。すなわち、着座状態(f)は、乗員SPがドア側にもたれかかった姿勢(乗員SP寝込み姿勢)をとっていないと、判定される(ステップS7)。
【0048】
判定回路23は、ステップS5において、アンテナ電極121からの信号データのアンテナ電極122からの信号データに対する比率がしきい値thcより小さい、という条件を満たすか否かを判定する。
比率判定において、アンテナ電極121及びアンテナ電極122と、直線L1及び直線L2の関係を、上述の通り、S11/S21<S12/S22としている。従って、着座状態(a)、(e)の比率は、しきい値thcを間に挟んで、着座状態(a)の比率<しきい値thc<着座状態(e)となる。例えば、上記しきい値thcの設定において説明したように、0.5<しきいthc(1.25)<2となる。すなわち、着座状態(e)は「No」と判定され(ステップS5−No)、着座状態(a)は「Yes」と判定される(ステップS5−Yes)。その結果、着座状態(a)は、乗員SP寝込み姿勢をとっていると判定され(ステップS6)、着座状態(e)は、乗員SP寝込み姿勢をとっていないと判定される(ステップS7)。
【0049】
以上のように、判定回路23は、切替スイッチSWを順次切り替えたときに、アンテナ電極121及びアンテナ電極122に対応して、信号データを取り込むことにより、シートバック27に背もたれしている乗員の着席状況(体格及び姿勢)を判定することができる。ここで、判定回路23の判定結果が、乗員SPがドア側にもたれかかった姿勢(乗員SP寝込み姿勢)をとっていると、判定されるのは、乗員SPがドア側に体を傾けてシートバックにもたれかかっている状態のみである。従って、アンテナ電極121及びアンテナ電極122の2つのアンテナ電極を用い、判定の際のしきい値を、上記のように設定することで、乗員SPの体格及び姿勢(体をドア側に傾けた姿勢)を検知することができる。
また、判定回路23は、上述の判定結果に基づいて、サイドエアバッグ装置12に対して、エアバッグが展開可能となる展開OK信号またはエアバッグ13が展開不可能となる展開NG信号を送信する。例えば、乗員SPが、ドア側に体を傾けてシートバックにもたれかかっている状態に、エアバッグが展開不可能となる展開NG信号を送信することができる。
【0050】
なお、サイドエアバッグ装置12は、例えば、セ−フィングセンサ,スクイブ,電界効果形トランジスタなどの半導体スイッチング素子の直列回路よりなるスクイブ回路と、電子式加速度センサ(衝突検出センサ)と、電子式加速度センサの出力信号に基づいて衝突の有無を判断し、半導体スイッチング素子のゲ−トに信号を供給する機能を有する制御回路とから構成されている。
そして、エアバッグ装置の制御回路は、判定回路23からの送信信号(展開OK信号または展開NG信号)が入力され、展開OK信号が入力された場合、半導体スイッチング素子にゲ−ト信号が供給されるようにセットされる。一方、展開NG信号が入力される場合、半導体スイッチング素子にゲ−ト信号を供給しないようにセットされる。
【0051】
以上説明したように、本発明の乗員検知装置は、第1のアンテナ電極(アンテナ電極121)と第2のアンテナ電極(アンテナ電極121)により発生する信号データと、予め設定されたしきい値(しきい値the、tha、thb、thc)との比較に基づいて、例えば子供等の所定体格の乗員(乗員SP)のシートにおける姿勢を判定できる。また、そのために、シートのシートバック中央部及び側部に、従来の様に多くのアンテナ電極を配置する必要はない。従って、アンテナ電極に対応するハーネスも増大せず、また信号データが増えることのよって判定回路が複雑になることもないので、製造コストの低減された、乗員の体格及び姿勢の影響を受けにくい乗員検知装置を提供できる。また、姿勢の判定において、2枚のアンテナ電極からの信号データに基づいて比率で判定するので、乗員の着衣状況による信号データの劣化(厚着をしたことによる信号データの減少)を防ぐこともできるので、少ないアンテナ電極であっても乗員の体格及び姿勢の影響を受けにくい乗員検知装置を提供できる。
【0052】
また、以上の実施形態の説明において、シートバック27の中央部に2枚のアンテナ電極を配置する構成により、乗員SPの及び姿勢を比率により判定したが、更に第3の電極をシートバック27の側部に配置する構成とし、判定のロバスト性を改善することができる。以下に、側部に第3のアンテナ電極を有しない構成と異なる点について、中心に説明する。
図6は、第3のアンテナ電極(アンテナ電極123)をシートバック27の側部に配置した構成を示している。
【0053】
アンテナ電極123を備えたことで、乗員検知ユニット14は、先に説明した図2において、アンテナ電極121および122にアンテナ電極123が追加され、切替スイッチSWにスイッチSW3が追加される構成となる。そして、SW1〜SW3が順次オンされ、アンテナ電極121〜123各々に微弱電界が発生し、アンテナ電極121〜123各々の周辺の着席状況に応じた送信電流が検出され、判定回路23に着席状況データとして順次入力される。判定回路23は、アンテナ電極121〜アンテナ電極123に対応して、信号データを取り込むことにより、シートバック27に背もたれしている乗員の着席状況を検知する。
【0054】
また、アンテナ電極123を備えたことで、判定回路23が記憶しているしきい値には、アンテナ電極123からの信号データを比較するときに用いられるしきい値thdが必要となる。このしきい値thdは、上記乗員SPが、ドア側にもたれかかってアンテナ電極122に頭部を接した場合に、A/D入力端子19に入力される電圧レベルを基準に、それより高い値に設定される。このように設定することで、ドア側にあるアンテナ電極122に乗員SPが対向しているかどうかを判定できる。一方、しきい値thbについては、乗員SPがドア方向、すなわちアンテナ電極123側に傾いているか、車体中央側に傾いているかを、アンテナ電極123により検知できるため不要となる。
【0055】
判定処理フローにおいては、データ入力において、アンテナ電極123からの信号データも取り込まれ、まずその値がしきい値thdと比較され、乗員SPの頭部がアンテナ電極123と対向するかどうか判定される。また、図3を用いて説明したフローにおいてしきい値thbとの比較は不要となる。上述の通り、アンテナ電極123により乗員SPの姿勢のうち、身体の傾きを判定するため、図4の着座状態(a)と、(e)及び(f)を区別する必要がないためである。すなわち、着座状態(a)の場合、アンテナ電極123からの信号データは、しきい値thdより低くなり、乗員SPの頭部がアンテナ電極123に対向していると判定される。一方、着座状態(e)、(f)の場合、アンテナ電極123からの信号データは、しきい値thdより高くなり、アンテナ電極123に対向している体の部位は存在しないと判定される。
【0056】
従って、判定回路23により、アンテナ電極123からの信号データがしきい値thdより小さくなり、かつ、上記説明の比率がしきい値thcより小さいと判定することにより、上記例で言えば着座状態(a)のみを、乗員SPがドア側にもたれかかった姿勢(乗員SP寝込み姿勢)をとっていると、判定することができる。
【0057】
このように、アンテナ電極123を設けたことにより、次の効果がある。
図7は、いずれも乗員SPがシートにおいて、体をドア側に傾けた姿勢(図3(b)及び図4(a)と同一の姿勢)、ドア側に体を寄せて正規着座した姿勢、ドア側に頭を寄せ、斜め座りした姿勢を、それぞれ各図の(a)〜(c)で示している。図7の(a)〜(c)各々において、第2のアンテナ電極(アンテナ電極122)は、乗員SPに対向していないか、或いは殆ど対向していないので、第2のアンテナ電極からの信号データはしきい値theより大きくなる。また、第1のアンテナ電極(アンテナ電極121)も、乗員SPと対向する面積がほぼ同じであるため、第1のアンテナ電極からの信号データはしきい値thaより大きくなる。
【0058】
こうした場合、比率判定において、乗員SPが身体を傾けていると判定されることとなるが、図7(b)、図7(c)の姿勢は、乗員SPの頭部がシートバック27からドア内側へ飛び出しておらず、サイドエアバッグを展開する必要はない。そこで、アンテナ電極123からの信号データにより、図7(a)の姿勢と、図7(b)または図7(c)の着座状態とを区別する。ここで、図7(a)の姿勢においては、アンテナ電極123に頭部が対向しており、アンテナ電極123からの信号データはしきい値thdより低くなる。一方、図7(b)及び図7(c)の姿勢においては、アンテナ電極123に頭部が対向していないので、アンテナ電極123からの信号データは、いずれもしきい値thdより高くなる。そのため、比率判定のみでは、3つの着座状態の区別をつけにくいが、アンテナ電極123の判定結果を更に用いることで、図における着座状態(図7(a))と、他の着座状態(図7(b)または図7(c))との区別をつけることが容易となり、判定のロバスト性を更に向上することができる。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更等も含まれる。例えば、上記発明におけるアンテナ電極及びハーネスは、それぞれ絶縁性のフィルム基材上に形成された電極であってもよい。ここで、絶縁性のフィルム基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂からなり、数十μm〜150μm程度の厚さに設定されている。また、アンテナ電極及びハーネスは、それぞれ、絶縁性のフィルム基材上に貼り付けた銅箔をエッチングする、あるいは、絶縁性のフィルム基材上に銀等からなる導電性ペーストを印刷する、などの方法によって形成してもよい。また、アンテナ電極とハーネスを同一フィルム上に一体化して形成してもよい。
【0060】
また、実施形態の発明において、シートバック27に配置する2枚のアンテナ電極を矩形形状としたが、矩形形状に限られるものではなく、楕円形状やその他の形状であってもよい。2枚のアンテナ電極は、シートバック27の中央線に対して左右に配置され、乗員SPを検知する際の検知面積が、上記説明における直線L1及びL2との関係で決まる検知面積であればよい。
【符号の説明】
【0061】
10…助手席シート、12…サイドエアバッグ装置、13…エアバッグ、26…シートクッション、27…シートバック、121,122,123,E1,E2,E3,E4…アンテナ電極、14…乗員検知ユニット、OSC…正弦波発振回路、16…電流制限抵抗、17…バッファ、18…全波整流及び積分回路、19…A/D入力端子、21…コネクタ、23…判定回路、SW,SW1,SW2,SW3…スイッチ、tha,thb,thc,thd,the…しきい値、131,132…ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートのシートバックの中央部に前記シートバックの上下方向の中心線を挟んで、車体ドア側に配置された第1のアンテナ電極、及び車体中央側に配置された第2のアンテナ電極と、
前記第1及び第2のアンテナ電極各々の周辺に微弱電界を発生させ、この微弱電界に基づいて発生する信号と予め設定されたしきい値とを比較することにより乗員の着席状況を検知する制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、前記第1のアンテナ電極から得られる信号と、前記第2のアンテナ電極から得られる信号により、乗員の着席状況を検知することを特徴とする乗員検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−136661(P2011−136661A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298713(P2009−298713)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】