説明

二次電池及び充電器

【課題】機能に応じて異なる端子配置を持つ複数の二次電池と、これら複数の二次電池について共用可能な充電器を提供する。
【解決手段】電子機器に取り付けられることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池1において、正極、負極及び電解質を包装体23に収納するとともに、正極及び負極からそれぞれ正極端子21及び負極端子22が包装体23の同一側面3aより導出されたバッテリーセル3と、バッテリーセル3が挿入される一の開口部5が形成され、正極端子21及び負極端子22が導出された一側面3aを開口部5側に向けてバッテリーセル3を収納する金属製のバッテリー缶2と、正極端子21及び負極端子22が接続されるとともに外方に臨まされることにより電子機器の電極と接続される端子部37,38が設けられ、バッテリー缶2の開口部5を閉塞する合成樹脂からなる蓋体4とを備え、端子部37,38は、互いに異なる機能を有する一の二次電池1Aと他の二次電池1Bとで、略点対称の位置に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池といった包装体の内部に発電要素となる電極体が収容され、該電極体が発生する電力を正負一対の電極端子から外部に取り出す二次電池及びかかる二次電池の充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコン等の情報機器や携帯電話等の移動通信機器、ビデオカメラ等、携帯型電子機器の需要が急増している。このような電子機器の電源として、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の密閉式小形二次電池が多く使用されており、その中でもリチウムイオン二次電池は高電圧、高エネルギー密度、軽量といった特性が活かされ、多種多様な分野で採用されている。
【0003】
特に、液系電解液を用いた場合に問題となる液漏れの対応策として、例えば、電解質として、ポリマーに非水電解液を含浸させてなるゲル状高分子膜を用いたもの、或いは全固体状の電解質を用いた、いわゆるポリマーリチウムイオン二次電池が提案されている。
【0004】
このようなポリマーリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度、軽量といった電池特性に加え、電池形状の自由度が高い特性を生かして、近年の各種電子機器における小型化、軽量化、薄型化といった需要に応えるべく、さらなる開発が進められているところである。
【0005】
このような電池は、通常、例えば図37に示すように、電池素子がラミネートされてなる単セル301が、保護回路や端子を備えた接続基板302とともに、上下一対のプラスチックケース303,304の内部に収納されて、電池パック300とされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0006】
この種の電池パックにおいては、外形が同一であっても、電池容量や用いられる電子機器種類等の機能、性能等の違いによって端子位置が異なるものが複数用意され、これにより電池パックの誤使用を防止している。しかし、このため電池パックに充電を行う充電器も同様に端子位置の異なる複数の種類を用意しなければならず、ユーザにとっても、商品製造者等にとってもかえって取扱いが煩雑となる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−8606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上述した課題を解決し、使い勝手のよい二次電池及びこの二次電池を充電する充電器を提供するとともに、ポリマーリチウムイオン二次電池に代表される二次電池の長所を生かし、近年の電子機器における小型化、軽量化、薄型化といった需要に的確に応じることができる二次電池及びその充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明にかかる二次電池は、電子機器に取り付けられることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池において、正極、負極及び電解質を包装体に収納するとともに、上記正極及び負極からそれぞれ正極端子及び負極端子が上記包装体の同一側面より導出されたバッテリーセルと、上記バッテリーセルが挿入される一の開口部が形成され、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面を上記開口部側に向けて上記バッテリーセルを収納する金属製のバッテリー缶と、上記正極端子及び負極端子が接続されるとともに外方に臨まされることにより上記電子機器の電極と接続される端子部が設けられ、上記バッテリー缶の開口部を閉塞する合成樹脂からなる蓋体とを備え、上記端子部は、互いに異なる機能を有する一の二次電池と他の二次電池とで、略点対称の位置に形成されているものである。
【0010】
また、本発明にかかる充電器は、二次電池に対して、充電を行う充電器において、外形を略同一形状とし且つ機能に応じて端子部が略点対称の位置に形成されている一及び他の二次電池がそれぞれ反対向きに収納保持される収納保持部と、上記収納保持部に収納された二次電池の端子部が当接される電極端子部とが形成され、該電極端子部は、上記収納保持部に保持された上記一の二次電池の端子部が当接されるとともに、上記収納保持部に保持された上記他の二次電池の端子部が当接されることにより、上記一及び他の二次電池の共用の電極端子とされる。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる二次電池及びこの二次電池を充電する充電器によれば、バッテリー缶及び蓋体を同一形状としながら、電池容量等の機能の相違に応じて蓋体に形成される正極及び負極の各端子部の位置を略点対称に形成することで、互換性を有しないタイプの二次電池が誤って非対応の電子機器に装着された場合でも電極端子が導通することなく、トラブルを未然に防止することができる。
【0012】
また、充電器の収納保持部に対して機能別に正極及び負極の端子部の位置が略点対称とされた複数の二次電池がそれぞれ反対向きに収納保持されることで、端子部と接触される充電器側の電極端子部を共用可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明が適用された二次電池について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用された二次電池1は、例えばポリマーリチウムイオン二次電池であり、図1(a)及び図1(b)に示すように、各種電子機器、例えばデジタルスチルカメラ10等の電子機器に用いられる。具体的に、二次電池1は、図1に示すデジタルスチルカメラ10のグリップ部11内部に設けられた電池収容部12内に収容されることにより、このデジタルスチルカメラ10に駆動電力を供給する。電池収容部12は、二次電池1の形状に応じて略扁平の凹部からなり、デジタルスチルカメラ10の底面部13に回動自在に設けられた電池蓋14が開放されることにより外方に臨まされる。また電池収容部12は、底部に後述する二次電池1に設けられた電極端子部37,38と接触される収容部電極が形成されている。そして、二次電池1は、電極端子部37,38が設けられた端面を挿入端として電池収容部12内に収容されることにより、収容部電極と接続され、デジタルスチルカメラ10に電力を供給する。なお、かかる電池収容部12には、二次電池1を電池収容部12から排出させるための付勢部材(図示せず)と、該付勢部材の付勢力に対抗して二次電池1を電池収容部12内に係止する係止部材19が設けられている。この係止部材19については後述する。
【0014】
以下、かかる二次電池1について説明する。この二次電池1は、図2及び図3に示すように、略扁平状に形成された金属製のバッテリー缶2の開口部から、電極素子が包装されたバッテリーセル3が挿入されるとともに、バッテリーセル3から導出された正極端子及び負極端子が接続される端子部を備えた電池蓋4によって閉塞されることにより形成されている。
【0015】
バッテリー缶2は、図3に示すように、略扁平状の立方体の一面が開放された金属性の筐体からなり、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状に形成されている。このバッテリー缶2は、鉄等の金属材料を深絞り加工によって成型することにより、一面のみにバッテリーセル3の挿入用の開口部5が形成された略扁平状の立方体に形成される。このバッテリー缶2は、壁の厚さが0.3mm程度とされることにより、バッテリーセル3の収納領域を除くと自身の厚みが極力抑えられた薄型形状をなし、同時に金属材料を用いることにより落下や振動等の各種衝撃、あるいは鋭利な刃物等に対する機械的強度を備え、変形や穿孔等を防止することができる。開口部5は、バッテリーセル3が挿入される挿入端とされ、バッテリーセル3の挿入後は、電池蓋4によって閉塞される。このため、開口部5の周囲には、電池蓋4に突設された係合凸部47が係合する係合孔6が複数穿設されている。係合孔6には、電池蓋4が開口部5に挿入されると、電池蓋4に突設された係合凸部47が撓みながら開口部5内に進入し、係合孔6と係合される。これにより電池蓋4がバッテリー缶2に組み付けられる。
【0016】
図4に示すように、二次電池1は、バッテリー缶2とともにこの二次電池1が装着される電池収容部12の形状が、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形状とされることにより、デジタルスチルカメラ10の電池収容部12内への挿入面が規定され、誤挿入を防止することができる。すなわち、図4(a)に示すように、二次電池1の挿入面が正しい場合には、電池収容部12の短辺側の辺と二次電池1の短辺側の主面の形状が合致し、スムーズに挿入することができる。一方、図4(b)に示すように、二次電池1の挿入面が反対の場合、電池収容部12の短辺側に形成された円弧状の稜によって、二次電池1の長辺側の角形の稜が干渉され、挿入が規制される。これにより挿入面が裏表逆の場合に、電池収容部12への挿入を防止するとともに、使用者は容易に挿入面の正否を確認することができる。
【0017】
なおバッテリー缶2には、図5に示すように、開口部5と対向する底面部7に、電池収容部12とは別に電子機器の筐体に形成された電池装着部に外付けする場合や、充電器80の電池装着部に装着させる場合に、図6に示すように、電子機器や充電器の電池装着部に突設された係止部材9に係止される係止孔8を形成するようにしてもよい。この係止孔8は、図7に示すように、後述するバッテリーセル3の挿入端面3bに凹部29が発生することから、かかる凹部29に対応して形成されることにより、バッテリーセル3内に収納されている正極、負極及び電解質からなる電池素子20と干渉することなく形成される。
【0018】
なお、図5(a)は、底面部7の長手方向の全長に亘って係止孔8を形成した例を示す図であり、この場合、バッテリー缶2には、後述する外装ラベル15には第1の巻回部17は設けられず、底面部7が全長に亘って外部に露出する。また図5(b)は、底面部7の長手方向の両端部に一対の係止孔8,8を形成した例を示す図であり、この場合、外装ラベル15は、係止孔8,8が形成された両端部を除く領域を貼着する第1の巻回部17が設けられる。
【0019】
そして図6に示すように、バッテリー缶2の係止方向に回動付勢されている係止部材9に係止されることにより、二次電池1を電子機器等の筐体外部に外付けすることができる。これにより電子機器は、電池収容部に収容された二次電池1の他に、別個の二次電池1を容易に外付けすることができ、電子機器の使用時間を延長させることができる。
【0020】
かかる係止孔8は図5に示す例に限定されることなく適宜、任意の形状で形成できる。また、電池装着部に係止凹部を設け、バッテリー缶2の底面部7に係止凹部に対応した形状を備える係止凸部を形成するようにしてもよい。
【0021】
なお、本発明が適用された二次電池1は、後述するように、基板35に正極端子部37及び負極端子部38を形成し、前面1cに形成された端子孔48から外部に臨ませる以外に、基板35に正極端子部37を形成するとともに、金属製のバッテリー缶2の底面部に形成された係止孔8を負極電極やアース電極として使用してもよい。この場合、図8に示すように、バッテリー缶2の底面部7には、負極電極やアース電極となる缶底電極57が係止孔8の形成箇所に設けられ、係止孔8を介して外部に臨まされている。この缶底電極57は、基板35と接続された負極ラインあるいはアース線が引き回されて接続される。また、この係止孔8に係止される係止部材9には、電子機器側の電極あるいはアース部と接続された電極部9aが形成され、二次電池1の係止孔8を係止すると同時に、缶底電極57と接続される。
【0022】
また、バッテリー缶2には、電池蓋4と接続されバッテリーセル3が挿入され電池蓋4によって開口部5が閉塞された後、絶縁性を有する外装ラベル15が貼着される。外装ラベル15は、二次電池1の化粧ラベルとなるほか、金属製のバッテリー缶2の絶縁を図るためのものである。外装ラベル15は、図3に示すように、開口部5及び底面部7の間に亘ってバッテリー缶2の外周を巻回する主面部16と、底面部7の長手方向の両端部を除く領域を覆うように巻回する第1の巻回部17と、電池蓋4のトップカバー36に形成された端子孔48を除く領域に巻回される第2の巻回部18とを有する。
【0023】
外装ラベル15は、バッテリー缶2が平坦に形成されているため、電池素子20を包装してなるバッテリーセル3の表面に直接貼着する場合よりも貼付作業が容易であり、かつ剥がれにくくなる。バッテリー缶2の底面部7に巻回される第1の巻回部17は、底面部7の長さよりも短く形成され、底面部7に貼り付けられることにより、底面部7の長手方向両端部7a,7bが外部に露出される。バッテリー缶2は、底面部7の端部がデジタルスチルカメラ10の電池収容部12に設けられた係止部材19に係止される係止部とされている。すなわち、図9(a)及び図9(b)に示すように、二次電池1は、バッテリー缶2をデジタルスチルカメラ10の電池収容部12内に保持する鉤状の係止部材19が係止される係止領域とされている。したがって、二次電池1の装着の際、係止部材19が係止される。これにより、付勢部材によって常時、電池収容部12の外方に向かって付勢されている二次電池1は、当該付勢力に対抗して電池収容部12内に係止される。また、二次電池1は、かかる係止部材19が底面部7から外れることにより、電池収容部12から排出される。
【0024】
ここで底面部7の全面に外装ラベル15の第1の巻回部17が貼着されていると、電池収容部12に二次電池1が挿脱される度に、係止部材19が第1の巻回部17を摺擦することとなり、次第に外装ラベル15が擦れて剥がれてしまう。この点、二次電池1では、かかる係止部材19に係止される係止部を除く領域に外装ラベル15を巻回しているため、電池収容部12へ繰り返し挿脱された場合にも係止部材19による擦れの心配がない。
【0025】
また、二次電池1は、底面部7の第1の巻回部17が貼着された領域が、電池蓋4の電極端子部37,38の形成領域と対応されている。したがって二次電池1は、電池収容部12や充電器80に挿入方向を反対にして装着した場合にも、電極端子部37,38に対応して電池収容部12の底面部に設けられた収容部電極や充電器80の電極端子には、バッテリー缶2の底面部7に貼着された絶縁性を有する外装ラベル15が接することとなり、金属製のバッテリー缶2と直に接触することによるショートの危険を防止することができる。
【0026】
また外装ラベル15の第2の巻回部18は、図9(c)に示すように、電池蓋4のトップカバー36に形成された端子孔48を除く領域に巻回されることで、電池蓋4とバッテリー缶2との組み付け強度を向上させるためのものである。第2の巻回部18により電池蓋4とバッテリー缶2との組み付け強度が向上されることにより、図10に示すように、後述する電池蓋4のトップカバー36に設けられた係合凸部47と、バッテリー缶2の開口部5の周辺に設けられ係合凸部47と係合する係合孔6との係合深さを大きく設け、係合凸部47が係合孔6よりバッテリー缶2の上面に突出させることでバッテリー缶2と電池蓋4との組み付け強度を向上させる必要がない。したがって、二次電池1の平坦性や外観を損なうことなく、所望の組み付け強度を得ることができる。
【0027】
なお、バッテリー缶2の長辺側の主面部には二次電池1の各種情報が記載された情報ラベル49が貼着される。
【0028】
次いで、かかるバッテリー缶2に収納されるバッテリーセル3について説明する。図3及び図11に示すように、バッテリーセル3は、帯状の正極と、帯状の負極とが、ポリマー電解質層及び/又はセパレータを介して積層され、長手方向に巻回された電池素子20が包装体23に包装され、正極及び負極から、それぞれ正極端子21と負極端子22とが外部に導出されている。
【0029】
正極は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成されてなり、さらに正極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。また、負極は、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成されてなり、さらに負極活物質層上にポリマー電解質層が形成されている。正極端子21及び負極端子22は、それぞれ正極集電体及び負極集電体に接合されている。また正極端子21はアルミニウム(Al)からなり、負極端子22はニッケル(Ni)を用いて形成される。これら正極端子21及び負極端子22は、後述する電池蓋4に保持されている正極タブ31及び負極タブ32にそれぞれ接続され、これら正極タブ31及び負極タブ32を介して同じく電池蓋4に設けられている正極端子板33及び負極端子板34と連結される。
【0030】
正極は、目的とする電池の種類に応じて、金属酸化物、金属硫化物または特定の高分子を正極活物質として用いて構成することができる。例えばリチウムイオン電池を構成する場合、正極活物質としては、LixMO(式中Mは一種以上の遷移金属を表し、xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05以上1.10以下である。)を主体とするリチウム複合酸化物等を使用することができる。このリチウム複合酸化物を構成する遷移金属Mとしては、Co,Ni,Mn等が好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としてはLiCoO,LiNiO,LiNiyCo1−yO(式中、0<y<1である。)、LiMn等を挙げることができる。これらリチウム複合酸化物は、高電圧を発生でき、エネルギー密度的に優れた正極活物質となる。また、正極活物質としてTiS、MoS、NbSe,V等のリチウムを含有しない金属硫化物あるいは酸化物を用いることもできる。正極には、これらの正極活物質の複数種を併せて使用してもよい。また、以上のような正極活物質を使用して正極を形成するに際して、公知の導電剤や結着剤等を添加することができる。
【0031】
負極材料としては、リチウムをドープ、脱ドープできる材料を使用することができる。例えば、難黒鉛化炭素系材料や黒鉛系材料の炭素材料を使用することができる。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス)、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭等の炭素材料を使用することができる。このほか、リチウムをドープ、脱ドープできる材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール等の高分子やSnO等の酸化物を使用することもできる。このような材料から負極を形成するに際しては、公知の結着剤等を添加することができる。
【0032】
ポリマー電解質は、高分子材料と電解液と電解質塩とを混合してゲル状化した電解質をポリマー中に取り込んでなる。高分子材料は、電解液に相溶する性質を有し、シリコンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリフォスファゼン変性ポリマー、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合ポリマーや架橋ポリマー、変性ポリマー等、若しくはフッ素系ポリマーとして、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−テトラフルオロサフルオロプロピレン)、或いはポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)等の高分子材料、及びこれらの混合物が各種使用される。
【0033】
電解液成分は、上述した高分子材料を分散可能とし、非プロトン性溶媒として例えばエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)或いはブチレンカーボネート(BC)等が用いられる。電解質塩には、溶剤に相溶するものが用いられ、カチオンとアニオンとが組み合わされてなる。カチオンには、アルカリ金属やアルカリ土類金属が用いられる。アニオンには、Cl−、Br−、I−、SCN−、ClO−、BF−、PF−、CFSO−等が用いられる。電解質塩には、具体的には六フッ化リン酸リチウムや四フッ化ホウ酸リチウムが、電解液に対して溶解可能な濃度で用いられる。
【0034】
このような電池素子20をその内部に収納する包装体23は、図11に示すように、電池素子が収納される収納凹部25が予め複数配列された略長方形状の収納シート24と、電池素子20が収納された収納シート24上から溶着され、各収納凹部25を密閉する密閉シート26とを有するセル集合体27を、各電池素子20毎に切断することにより形成される。
【0035】
収納シート24は、収納凹部25が所定幅の糊代28を隔てて複数配列され、長尺に形成されている。収納凹部25は、電池素子20の形状に応じて略矩形状に形成されている。また、収納凹部25の配列方向は、図11に示すような短辺方向に限らず、長辺方向、あるいは縦横に配列させてもよい。各収納凹部25を隔てる糊代28は、収納凹部25を密閉する密閉シート26の接合面となる。そして、図11中矢印Aで示すように、各収納凹部25に電池素子20がそれぞれ収納されると、糊代28に密閉シート26が熱溶着され、電池素子20が集積されたセル集合体27が形成される。
【0036】
なお、このとき密閉シート26との接合部からは、正極及び負極から延長された正極端子及び負極端子が同一方向に導出される。また、このとき、減圧ポンプ(図示せず)を用いて、溶着と同時に減圧も行う。この吸引される力により、電池素子20が、収納シート24と密閉シート26とで覆われて収納凹部25内に密閉される。また収納凹部25内を吸引することにより電池素子20を収納する包装体23が引き絞られて、電池素子20の形状に応じて、収納凹部25の底面側である第2の面側が小さく、開口側である第1の面側が大きい、短辺側の稜が円弧状に形成された断面略台形形状となる。
【0037】
また、バッテリーセル3は、電池素子20と収納シート24の間にクリアランスが設けられ、電池素子20が収納凹部25の側面に押しつけられないようになされている。そして、収納シート24と密閉シート26とが引き絞られながら密閉されることにより、このクリアランスの分、バッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22の導出面と反対側の面には凹部29が形成される(図7参照)。また、収納シート24と密閉シート26との密閉後、各バッテリーセル3は、プレスすることにより密閉シート26側の主面が平坦に形成される。その後、セル集合体27は、糊代28に沿って切断されることにより、電池素子20を密封した包装体23毎に分離され、バッテリーセル3が形成される。
【0038】
なお、バッテリーセル3は、セル集合体27形成し、これを糊代28に沿って切断して形成する以外に、予め個々のバッテリーセル毎に裁断された収納シートに電池素子20を収納し、同様に個々のバッテリーセル毎に裁断された密閉シートを接合させて形成するようにしてもよい。
【0039】
包装体23を構成する収納シート24及び密閉シート26は、図12に示すように、内側から順にポリプロピレン(PP)層52、アルミニウム(Al)層53、ナイロン層54がこの順に積層された積層構造を有する。ここで、アルミニウム層53は包装体23内部への水分の浸入を防止し、電池素子20の膨張を防ぐために用いられる。またポリプロピレン層52は、ポリマー電解質の変質を防ぐとともに、収納シート24及び密閉シート26の接合面となる。すなわち、収納シート24及び密閉シート26を接合する際には、このポリプロピレン層52同士を対向させて約170℃で熱融着することにより行う。
【0040】
なお、包装体23の構成は、これに限定されるものではなく、各種材料及び積層構造を有するラミネートフィルム等を用いることができる。また、その接合方法も熱溶着に限定されるものではない。包装体23の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、アイオノマー、ON等が挙げられる。
【0041】
かかるバッテリーセル3の同一側面から導出されている正極端子21及び負極端子22と接続される端子部を有するとともに、バッテリー缶2の開口部5を閉塞する電池蓋4は、図3に示すように、正極端子21及び負極端子22が接続される正極タブ31及び負極タブ32を挿通保持するホルダ30と、正極タブ31及び負極タブ32と接続される正極端子板33及び負極端子板34を備える基板35と、基板35をホルダ30との間で挟持するとともにバッテリー缶2の開口部5と係合されるトップカバー36とから構成されこれらホルダ30、基板35及びトップカバー36が一体に組み付けられることにより製造される。
【0042】
ホルダ30は、合成樹脂によりバッテリー缶2の開口部5と略同一形状にモールド成形された、短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品である。このホルダ30は、短辺側の側面近傍に、正極タブ31及び負極タブ32が挿通される一対の挿通孔41,42が形成され、これら挿通孔41,42に正極タブ31及び負極タブ32を挿通、保持することにより、正極タブ31及び負極タブ32の位置決めを図るとともに、二次電池1の落下や振動等に伴う位置ずれ等を防止している。したがって、正極タブ31及び負極タブ32は、落下や振動等に伴う位置ずれにより正極端子21及び負極端子22との溶接が外れてしまう事態を防止することができる。
【0043】
正極タブ31及び負極タブ32は、バッテリーセル3から導出されている正極端子21及び負極端子22を、二次電池1の電極端子となる基板35に設けられた正極端子板33及び負極端子板34に接続するためのものであり、ホルダ30に挿通支持されることにより、一端31a,32aがバッテリーセル3側に延設され、他端31b,32bが基板35側に延設されて保持されている。これら正極タブ31及び負極タブ32は、ニッケル(Ni)が用いられることにより、一端31a,32aを正極端子21及び負極端子22の上に配設され、他端31b,32bを基板35上に設けられた正極端子板33及び負極端子板34の上に配設された後、スポット溶接によって4点を一括して接合される。これは、正極端子21がアルミ(Al)を用いて形成されているため、正極端子21を直接正極端子板33に溶接すると、アルミが熔解してしまい接続することができない。したがって、正極タブ31及び負極タブ32を介して、これらの上から溶接することにより正極端子21と正極端子板33とを、また負極端子22と負極端子板34とを接続させている。
【0044】
また正極タブ31及び負極タブ32の各一端31a,32aは、図13に示すように、正極端子21及び負極端子22と当接される当接面と反対側の面に向かって先端の辺が折り曲げられる折曲げ部39,40が形成されている。折曲げ部39,40は、図14に示すように、正極タブ31及び負極タブ32の厚さが0.1mmであるのに対して、先端までの高さが0.3mm程度まで折り曲げられている。これにより正極タブ31及び負極タブ32は、先端の辺が折り曲げられることにより円弧状に立ち上げられ、後述するように正極端子21及び負極端子22と接合された後、この接合部50が折り曲げられることにより、先端と正極端子21及び負極端子22とが接触した場合にも、先端の辺によって正極端子21及び負極端子22を損傷させ、あるいは切断してしまう事態を防止することができる。
【0045】
なお負極タブ32には、バッテリー缶2に帯電した電荷を流すアース43が接続されている。アース43は、ホルダ30に支持されることにより一端を負極タブ32に接続され、他端をバッテリー缶2の内面に当接可能とされている。これにより、金属製のバッテリー缶2に電荷が帯電した場合にも、アース43を通じて負極タブ32に落とし込むことができ、バッテリー缶2に帯電した電荷によって二次電池1内のマイコンや二次電池1を装着する電子機器に誤動作等を引き起こす恐れがない。なお、アースは、基板35に接触させ、基板35を介して負極タブ32に電荷を落としてもよい。
【0046】
またホルダ30の上下面30a,30bには、トップカバー36に設けられた連結孔46に挿通係合する連結突起44が長手方向に亘って断続的に複数形成されている。ホルダ30は、この連結突起44が連結孔46に係合することによってトップカバー36と連結され、基板35を挟持する。
【0047】
基板35は、バッテリーセル3から流れる電流を端子板33,34を介して電子機器に供給する回路パターンが形成されたリジット基板であり、正極タブ31及び負極タブ32の他端31b,32bと溶接される正極端子板33及び負極端子板34とが実装されている。かかる正極端子板33及び負極端子板34は、実装面と反対側の面に形成された正極端子部37及び負極端子部38と接続されている。そして基板35は、この正極端子部37及び負極端子部38がトップカバー36に設けられた端子孔48を介して外方に臨まされ、デジタルスチルカメラ10や充電器80側に設けられた電極端子に接触される。
【0048】
正極端子部37及び負極端子部38は、二次電池1の機能に応じて配置を異ならせて形成されている。これは、各種電子機器に用いられる二次電池1においては、バッテリー缶2や電池蓋4といった外形においては同一形状を有していながら、使用される電子機器に応じて電池容量を異ならせたり、対応可能な電子機器を異ならせることにより、互換性を有しないものとして複数種類の二次電池1が提供されることがある。また、LED表示部や液晶表示部といった残量表示部及び残量表示ボタンを備え、これにより残量表示機能を持たせたタイプと、かかる残量表示機能を持たないタイプ、あるいは急速充電が可能なタイプと不可能なタイプといった機能に違いを持つ複数の二次電池1が提供されることがある。
【0049】
しかし、二次電池1の外形はいずれの機能を持つタイプにおいても同一であるため、被対応の電子機器に装着されるおそれがある。そこで、機能別に正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせるとともに、対応する電子機器の電極端子の配置を同様に異ならせることで、二次電池の誤装着によるトラブルを防止することが可能となる。
【0050】
具体的に、正極端子部37及び負極端子部38は、機能別に略点対称の位置に配設される。例えば図15(a)に示す電池容量が760mAhのタイプの二次電池1Aと、図15(b)に示すより高容量化した830mAhのタイプの二次電池1Bとでは、正極端子部37及び負極端子部38の配置が180°回転された略点対称の配置とされる。なお、かかる正極端子部37及び負極端子部38の配置は、図16(a)及び図16(b)に示すように、機能別に左右対称としてもよく、また、適宜、略点対称な配置形状は選択することができる。
【0051】
以上のように二次電池1の機能に応じて正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせるとともに、当該機能に対応した電子機器の電極端子の配置も異ならせることで、当該二次電池1が非対応の電子機器に装着された場合にも、電子機器側の電極端子と二次電池1側の電極端子とが接触することがないため、非対応の二次電池1が装着されることによるトラブルを防止することができる。
【0052】
この基板35は、絶縁基板に貼着された銅箔をエッチングする等により回路パターン、及びランドが形成され、ランド上に正極端子板33及び負極端子板34がリフローはんだ付けされることにより実装される。正極端子板33及び負極端子板34は、上述したように、正極端子21及び負極端子22とともに正極タブ31及び負極タブ32にそれぞれ溶接される。また正極端子部37、負極端子部38は、所定箇所に形成されたランド上に金メッキ等されることにより形成される。
【0053】
なお、基板35は、必要に応じて、二次電池1の温度を検出して充電制御や安全制御などを行うためのPTC(Positive Temperature Coeffcient)等の熱感応素子を設けてもよい。熱感応素子を備えることにより、二次電池1は、温度上昇したときに入出力回路を遮断、制御することができる。
【0054】
この基板35をホルダ30と共に挟持するトップカバー36は、合成樹脂によりバッテリー缶2の開口部5と略同一形状にモールド成形された短辺側の稜が円弧状に形成された略台形平板状の部品であり、開口部5と隙間無く係合可能とされている。このトップカバー36は、短辺側となる上面36a及び長辺側となる下面36bに上記ホルダ30に突設された連結突起44が挿通係合する連結孔46が、連結突起44に対応して断続的に複数形成されている。またトップカバー36は、上面36a及び下面36bにバッテリー缶2の開口部5の周囲に形成された係合孔6に係合される係合凸部47が断続的に複数形成されている。そしてトップカバー36は、上面36a及び下面36bがやや撓みながら開口部5よりバッテリー缶2内に挿入されることにより、この係合凸部47が係合孔6に係合され、バッテリー缶2に組み付けられる。
【0055】
またトップカバー36は、前面36cに基板35に形成された正極端子部37及び負極端子部38を外方に臨ませる端子孔48が穿設され、この端子孔48を介してデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器80側の電極端子と正極端子部37及び負極端子部38とを接触させる。なお端子孔48は、基板35に形成された端子部に応じて例えば三カ所設けられ、それぞれ正極端子用、負極端子用、その他電池残量等の情報端子用とすることができる。なお端子孔48の数は、基板35に設けられた端子部に応じて適宜増減することができる。
【0056】
このトップカバー36は、ホルダ30に保持された正極タブ31及び負極タブ32を介してバッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22と、基板35の正極端子板33及び負極端子板34とが接続された後、連結孔46にホルダ30の連結突起44が挿通されることにより、基板35を挟んでホルダ30と連結され、電池蓋4が形成される。その後、電池蓋4は、トップカバー36の係合凸部47がバッテリー缶2の開口部5周辺に形成された係合孔6に係合することによってバッテリー缶2に組み付けられ、二次電池1が形成される。
【0057】
なお、トップカバー36は、図17に示すように、前面36cに電池収納部12とは別に電子機器の筐体に形成された電池装着部に外付けする場合や、充電器80の電池装着部に装着させる場合に、電子機器や充電器の電池装着部に突設された係止突部78に係止される係止部79を形成するようにしてもよい。二次電池1は、図6に示すように、この係止部79を係止突部78に係止させながらバッテリー缶2を装着させる。かかる係止部79は、トップカバー36をモールド成型する際に容易に形成することができる。なお、図17(a)は、係止部79をトップカバー36の前面36c両端部に凹状に形成した例を示したものであり、図17(b)は、凹状の係止部79の両端を切り欠いた例を示したものである。また、図17(c)は、電池装着部に係止凹部を設け、二次電池1のトップカバー36に係止凹部に対応した形状を備える凸状の係止部79を形成した例を示すものである。
【0058】
なお、本明細書では、かかる二次電池1について、バッテリー缶2の短辺側主面を二次電池1の上面1aと、バッテリー缶2の長辺側の主面を二次電池1の下面1bと、トップカバー36の前面36cを二次電池1の前面1cといい、バッテリー缶2の底面部7を二次電池1の背面1dという。
【0059】
次いで、かかる二次電池1の製造工程について図18を参照しながら説明する。先ず図18(a)に示すように、バッテリーセル3及び基板35を詳細を省略する治具に配設する。なお、このときバッテリーセル3は、セル集合体27の糊代28に沿って切断されるとともに、糊代28をバッテリーセル3の側面に沿って折り曲げて断面略台形状とされ、取扱い易くされるとともに、後述するようにバッテリー缶2内に収納された際に、折り曲げられた糊代28がバッテリー缶2の側面とバッテリーセル3との間に配されることにより緩衝部材として機能する。また基板35は、所定の回路パターン及び正極端子部37及び負極端子部38が形成されるとともに、正極端子板33及び負極端子板34がリフローはんだ付けされている。
【0060】
なお、バッテリーセル3は、セル集合体27形成し、これを糊代28に沿って切断して形成する以外に、個々のバッテリーセル毎に、電池素子20が収納された収納シートに密閉シートを接合させて形成するようにしてもよい。
【0061】
バッテリーセル3は、正極端子21及び負極端子22が導出された収納シート24と密閉シート26との接合面を上側に向けて、収納凹部25の底部を下側に向けるように配設される。すなわち略断面台形状のバッテリーセル3は、短辺側を下方に、正極端子21及び負極端子22が導出された長辺側を上方に向けて配設される。またバッテリーセル3は、正極端子21及び負極端子22が導出された導出面3aを基板35側に向けて配設される。基板35は、正極端子板33及び負極端子板34が実装された実装面を上側に向けるとともに、略台形状の短辺側をバッテリーセル3の導出面3a側に向けて配設される。
【0062】
次いで図18(b)に示すように、ホルダ30に正極タブ31及び負極タブ32を挿通孔41,42に挿通、保持する。またこのときアース43もホルダ30に装着する。次いで図18(c)に示すように、かかるホルダ30を治具に装着することにより、バッテリーセル3と基板35との間に配設する。ホルダ30は、正極タブ31及び負極タブ32を保持する略台形状の短辺側を下に向け、基板35の短辺と位置合わせされる。またホルダ30は、バッテリーセル3の正極端子21の上に正極タブ31の一端31aが重ねられ、負極端子22の上に負極タブ32の一端32aが重ねられる。また基板35の正極端子板33の上に正極タブ31の他端31bが重ねられ、負極端子板34の上に負極タブ32の他端32bが重ねられる。これによりバッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22、ホルダ30の正極タブ31及び負極タブ32、基板35の正極端子板33及び負極端子板34は、略同一平面上に載置されることとなる(図19参照)。
【0063】
次いで、正極タブ31の一端31a及び他端31b、負極タブ32の一端32a及び他端32bの各上から4カ所を溶接することにより、バッテリーセル3の正極端子21と正極タブ31の一端31aとを、また、負極端子22と負極タブ32の一端32aとを、また、基板35の正極端子板33と正極タブ31の他端31bとを、また負極端子板34と負極タブ32の他端32bとを、各接合させる。ここで、正極端子21はアルミ(Al)が用いられているが、ニッケル製の正極タブ31の上から溶接されるため、熱によって溶け出すことなく確実に接合することができる。
【0064】
次いで図18(d)に示すように、基板35を立ち上げることによりホルダ30と重ねる。このとき、ホルダ30に保持されている正極タブ31及び負極タブ32の各他端31b,32bは、挿通孔41,42より基板35側に突出する基端部が基板35の立ち上がり方向に沿って折り曲げられる。
【0065】
次いで図18(e)に示すように、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31の一端31a及び負極タブ32の一端32aとの接合部50を覆うように、絶縁紙51が貼り付けられる。絶縁紙51は、正負極端子21,22と正負極タブ31,32との接合部50を補強するとともに、金属製のバッテリー缶2と接合部50との接触によるショートや、正極タブ31及び負極タブ32の変形による正極、負極間のショートを防止するためのものである。絶縁紙51は一面側に接着層が形成され、図18(f)に示すように接合部50を挟んで折り曲げられることにより接着層同士を張り合わせることにより貼り付けられる。
【0066】
次いで図18(g)に示すように、ホルダ30とトップカバー36とを連結することにより電池蓋4を形成する。その後、図18(h)及び図13に示すように、バッテリーセル3の導出面3aと、電池蓋4とが相対向するように絶縁紙51が貼り付けられた正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部50を略S字状に折り曲げる。このように接合部50を湾曲させた状態でバッテリー缶2に収納することにより、落下や振動等によってバッテリーセル3と電池蓋4との間に衝撃が加わった場合にも、略S字状に折り曲げ収納された接合部50によって衝撃の負荷が吸収され、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れたり切断したりすることを防止することができる(図13(a)及び図13(b)参照)。
【0067】
次いで、図18(i)に示すように、バッテリーセル3は、バッテリー缶2への挿入端面3bに、やや厚みを有し両面に接着剤層が形成された弾性部材55を貼着する。この弾性部材55は、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定してがたつきを防止するとともに、バッテリーセル3に加わる衝撃を吸収するものであり、例えば基材としてウレタンフォームを用いた両面テープ等である。バッテリーセル3の挿入端面3bは平坦に形成されず形状にばらつきが生じやすい面であるが、弾性部材55によってばらつきを吸収し、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に確実に接着することができる。また、弾性部材55は、落下や振動等によりバッテリーセル3に加わる衝撃を吸収することができ、あるいはバッテリーセル3の熱膨張による接合部50への負荷を軽減させることができ、上述した絶縁紙51とともに、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0068】
この弾性部材55はバッテリーセル3の挿入端面3bの形状に応じて略矩形状に形成されるとともに、長手方向の両端部にバッテリーセル3の側面に沿って配設されることによりバッテリーセル3の糊代28をバッテリー缶2から絶縁する絶縁フィルム56が貼着されている。すなわち、バッテリーセル3の包装体23を構成する収納シート24及び密閉シート26は、上述したように、内側から順にポリプロピレン(PP)層52、アルミニウム(Al)層53、ナイロン層54がこの順に積層されたシートであり、糊代28に沿って切断されると、この切断面にはシートを構成する各層が外部に露呈する。このうち、アルミニウム層53が金属製のバッテリー缶2に直に接触しているとすると、バッテリー缶2が帯電した場合、アルミニウム層53が負極となり、更にポリプロピレン層52に何らかの原因で孔があくと、アルミニウム層53が電触により孔があく。そして、かかる包装体23の孔から水分が浸入することでバッテリーセル3が膨張してしまうおそれがある。そこで、絶縁フィルム56をバッテリーセル3の切断面に沿って配設させることによりバッテリー缶2と包装体23の切断面との絶縁を図り、電池素子20の吸湿によるバッテリーセル3の膨張を防止することとしている。
【0069】
この絶縁フィルム56は、バッテリーセル3の側面に応じた形成された長尺状のフィルムであり、一端を弾性部材55の各端部に貼着されている。この絶縁フィルム56は、バッテリーセル3が挿入端面3bよりバッテリー缶2内に挿入されると、図20に示すように、バッテリー缶2の開口部5の側縁部によってバッテリーセル3の側面に沿って折り曲げられ、バッテリーセル3の側面に折り曲げられている糊代28の切断面とバッテリー缶2の側面との間に配設される。これにより糊代28の切断面に露呈するアルミニウム層53とバッテリー缶2との接触を防止することができる。
【0070】
次いで図18(j)に示すように、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に挿入し、電池蓋4によってバッテリー缶2の開口部5を閉塞する。このとき、バッテリーセル3は、断面略台形状の短辺側と長辺側を、同じく断面略台形状に形成されたバッテリー缶2の短辺側と長辺側と合わせて挿入する。これにより、バッテリー缶2内のスペースを有効に活用でき、バッテリー缶2とバッテリーセル3との間には所定のクリアランスが設けられる。このクリアランスは、図21(a)〜(c)に示すように、バッテリーセル3が熱等によって膨張した場合のマージンとなり、バッテリーセル3の膨張に伴う接合部50への過剰な負荷や、バッテリー缶2の変形を避けることができる。なお、図21(a)は、バッテリーセル3の両主面が均等に膨張した場合を示し、図21(b)及び(c)は、バッテリーセル3の両主面が不均等に膨張した場合を模式的に示している。
【0071】
また、バッテリーセル3の向きを逆にした場合には、バッテリーセル3の長辺側の稜がバッテリー缶2の短辺側に形成された円弧状の稜と干渉し挿入が妨げられるため、誤挿入を防止することができる。
【0072】
バッテリーセル3が挿入されることにより、図20に示すように、絶縁フィルム56がバッテリー缶2の開口部5側縁によってバッテリーセル3の側面に沿って配設されていく。またバッテリーセル3は、挿入端面3bに貼着された弾性部材55によってバッテリー缶2の底面部に接着される。バッテリーセル3の挿入に続いて、トップカバー36に突設されている係合凸部47が撓みながら開口部5内に進入し、係合孔6と係合されることにより、電池蓋4がバッテリー缶2の開口部5に組み付けられる。
【0073】
また、バッテリー缶2に電池蓋4が組み付けられることにより、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31及び負極タブ32との接合部50は、略S字状に湾曲した状態でバッテリーセル3とホルダ30との間に配設される。
【0074】
次いで図18(k)に示すように、バッテリー缶2の周囲に外装ラベル15が貼着される。外装ラベル15は、主面部16をバッテリー缶2の外周を巻回するように貼り付け、第1の巻回部17を底面部7の両端を除く領域に貼り付け、第2の巻回部18を電池蓋4のトップカバー36に設けられた端子孔48を除く領域に貼り付けられる。最後に図18(l)に示すように、外装ラベル15が貼着されたバッテリー缶2の長辺側の主面部に二次電池1の各種情報が記載された情報ラベル49が貼着され、二次電池1が完成する。
【0075】
以上のような二次電池1によれば、金属製のバッテリー缶2と、モールド成型される電池蓋4を互いに組み付けることにより、容易に組み立てることができる。また、バッテリー缶2を金属材料を用いた深絞りにより形成することで、薄型化と強度確保を同時に実現することができ、電子機器の小型化、薄型化、軽量化といった要請に応ずることができる二次電池を提供することができる。さらに、二次電池を電子機器の電池装着部に取り付ける際の取付端となる係止孔8や係止部79といった外形形状を金属製のバッテリー缶2を加工したり、合成樹脂製の電池蓋4をモールド成型することで容易に形成することができる。
【0076】
また、二次電池1は、バッテリー缶2及び電池蓋4を、短辺側の稜が円弧状とされた断面略台形状に形成され、かつデジタルスチルカメラ10側の電池収容部12の形状も同様にすることで、挿入面が裏表逆の場合、電池収容部12の稜と二次電池1の稜とが干渉し挿入が規制されるため、誤挿入を確実に防止することができる。
【0077】
また、二次電池1は、バッテリー缶2のうち、外装ラベル15が貼着されていない底面部7に缶底電極57を設け、負極あるいはアース電極として用いることができる。また外装ラベル15が貼着されていない底面部7の両端を、電子機器側に設けられた係止部材19が係止する係止部とすることで、繰り返し係止部材19によって摺擦された場合にも、外装ラベル15の破れや剥がれといった事態を防止することができる。また、バッテリー缶2の底面部7に貼着される外装ラベル15の貼着領域を、二次電池1の正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応した領域とすることで、二次電池1が挿入方向を誤ってデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器80に装着された場合にも、正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応して設けられたデジタルスチルカメラ10や充電器80側の電極と二次電池1の底面部7に貼着された絶縁性を有する外装ラベルとが接することとなるため、底面部7が直に接することによるショートを防止することができる。さらに、外装ラベル15を電池蓋4の正極端子部37及び負極端子部38の形成領域を除く領域に巻回することで、バッテリー缶2と電池蓋4との組み付け強度を向上させることができる。したがって、バッテリー缶2と係合される電池蓋4に形成された係合凸部47を係合孔6よりバッテリー缶2の上面側に突出させる必要がないため、二次電池1の平坦性や外観を損なうことなく、組立強度を確保することができる。
【0078】
さらに、二次電池1は、バッテリー缶2及び電池蓋4を同一形状としながら、電池容量等の機能の相違に応じて電池蓋4に形成される正極端子部37及び負極端子部38の位置を異ならせることで、互換性を有しないタイプの二次電池1が誤って非対応のデジタルスチルカメラ10に装着された場合でも電極端子が導通することなく、トラブルを未然に防止することができる。
【0079】
さらに、二次電池1は、バッテリー缶2及びバッテリーセル3を短辺側の稜線を円弧状に形成した断面略台形状に形成することで、バッテリーセル3のバッテリー缶2への誤挿入を防止し、バッテリー缶2内のスペースを有効に利用することができる。これによりバッテリーセル3とバッテリー缶2の内壁との間に、バッテリーセル3が熱膨張した際のマージンとなるクリアランスを設けることができる。したがって仮にバッテリーセル3が熱膨張した場合にも、バッテリー缶2に歪みが生じたり、また正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部50に過剰な負荷がかかることがない。
【0080】
さらに、二次電池1は、電池蓋4を、正極タブ31及び負極タブ32の位置決め及び固定を図るホルダ30と、正極端子部37及び負極端子部38を備える基板35と、ホルダ30とともに基板35を挟持するトップカバー36から構成している。これにより、ホルダ30において正極タブ31及び負極タブ32を位置決めを図り、かつ保持することで、正極端子21及び負極端子22あるいは正極端子板33及び負極端子板34との溶接を容易に行うことができ、また二次電池1の落下や振動等の衝撃が加わった場合にも正極タブ31及び負極タブ32がずれることにより溶接箇所が外れてしまう事態を防止することができる。
【0081】
さらに、二次電池1は、バッテリーセル3の挿入端面3bに弾性部材55を介してバッテリー缶2に接着されているため、バッテリー缶2内におけるバッテリーセル3のがたつきを防止するとともに、バッテリー缶2の落下や振動等の衝撃を吸収し、接合部50に衝撃が加わることを防止することができる。また、バッテリーセル3を糊代28を側面に沿って折り返した後バッテリー缶2内に挿入することにより、折り返された糊代がバッテリーセル3とバッテリー缶2との緩衝部材として機能させることができる。
【0082】
さらに、二次電池1は、弾性部材55に絶縁フィルム56を貼着することにより、バッテリーセル3をバッテリー缶2に挿入すると、バッテリー缶2の開口部5の側面にガイドされながらバッテリーセル3の側面に沿って絶縁フィルム56が配設されて、糊代28の切断面に露呈する包装体23のアルミニウム層53を覆い、バッテリー缶2の内壁との絶縁を図ることができる。したがって、金属製のバッテリー缶2が帯電した場合にも、バッテリー缶2と包装体23のアルミニウム層53とが直に接触して負極となるとともに、ポリプロピレン層52に何らかの原因で孔があくことにより電触を引き起こし、包装体23に孔があいて水分が浸入することでバッテリーセル3が膨張することを防止することができる。
【0083】
さらに、二次電池1は、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部50に、絶縁紙51が貼り付けられているため、接合部50を補強することができるとともに、金属製のバッテリー缶2と接触することによるショートを防止することができる。また、この接合部50が略S字状に湾曲しながらバッテリー缶2内に収納されることにより、二次電池1の落下や振動等によってバッテリーセル3と電池蓋4との間に衝撃が加わった場合にも、略S字状に折り曲げ収納された接合部50が撓むことによって衝撃の負荷が吸収され、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0084】
なお、本発明が適用された二次電池1は、上述したように、弾性部材55を介してバッテリーセル3をバッテリー缶2内に接着したが、図22(a)〜図22(c)に示すように、バッテリーセル3の挿入前に、バッテリー缶2内の一主面に接着剤58を塗布し、バッテリー缶2内に挿入されるバッテリーセル3によって該接着剤58がバッテリー缶2内の一主面に引き延ばされることにより、バッテリーセル3をバッテリー缶2に接着するようにしてもよい。かかる構成を用いることによっても、バッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定することができ、二次電池1の落下や振動等によってもバッテリーセル3がバッテリー缶2内でがたつくことが防止される。したがって、正極端子21及び負極端子22と正極タブ31と負極タブ32との接合部50に過剰な負荷がかかることなく、正極端子21及び負極端子22と、正極タブ31及び負極タブ32とが外れることを防止することができる。
【0085】
また、接着剤58を用いてバッテリーセル3をバッテリー缶2内に固定することにより、バッテリー缶2内のスペースを有効に用いることができ、バッテリーセル3の接着面と反対側の主面と該主面と対向するバッテリー缶2の内壁との間に所定のクリアランスを形成することができる。したがって、図23に示すように、バッテリーセル3が熱膨張した場合においても、該クリアランスによってバッテリーセル3の体積膨張に対するマージンを確保しているため、バッテリー缶2に歪みが生じ、また接合部50に過剰な負荷がかかる事態を防止することができる。
【0086】
また、本発明が適用された二次電池は、一のバッテリーセル3をバッテリー缶2内に挿入する場合のみならず、図24に示すように、バッテリーセル3を複数積層させたセル積層体61を形成し、一のバッテリー缶62に挿入するようにしてもよい。以下、セル積層体61を収納してなる二次電池60について説明する。なお、上述した二次電池1と同一の部材については、同一の符号を付してその詳細を省略する。
【0087】
このセル積層体61は、複数のバッテリーセル3を正極端子21及び負極端子22が導出された導出面3aを同一方向に向けて積層したものであり、必要に応じて各バッテリーセル3間が接着されて形成されるものである。このセル積層体61は、各バッテリーセル3から導出された正極端子21及び負極端子22が、電池蓋64を構成する基板65の正極端子板66及び負極端子板67に溶接される。
【0088】
かかるセル積層体61は、上記セル集合体27を糊代28に沿って折り曲げることによりバッテリーセル3が積層される。バッテリーセル3は、図24に示すように、2段に積層させてもよく、図25に示すように3段に積層させてもよい。3段に積層させる場合、図26に示すように、セル集合体27は、各バッテリーセル3間に設けられる糊代28の幅WとWとを異ならせて形成される。二次電池60は、バッテリーセル3の積層数や各バッテリーセル3の配線によって、電池容量や電圧を自由に設定することができる。
【0089】
なおセル積層体61は、セル集合体27からバッテリーセル3を個々に切り出した後、導出面3aを同一方向に向けて積層させることにより形成するようにしてもよい。
【0090】
基板65は、各バッテリーセル3から導出された正極端子21及び負極端子22が溶接される正極端子板66及び負極端子板67と、これら正極端子板66及び負極端子板67と回路パターンによって接続されるとともに、トップカバー69に形成された端子孔70を介して外方に臨まされる正極端子部71及び負極端子部72が形成されている。
【0091】
二次電池60は、基板65の回路パターンによって、積層されたバッテリーセル3を直列に接続させたり、あるいは並列に接続させるように設定することができる。かかる回路パターンは銅箔のエッチング工程や導電ペーストの印刷工程等により形成される。また正極端子板66及び負極端子板67は、ランドにリフローはんだ付けされることにより実装される。正極端子部71及び負極端子部72は、所定箇所に形成されたランド上に金メッキ等されることにより形成される。なお、上記二次電池1と同様に、正極端子部71及び負極端子部72は、二次電池60の電池容量等、各種機能の相違に応じて異なる配置とすることができる。このような基板65は、ホルダ68及びトップカバー69に挟持されるとともに、これらホルダ68及びトップカバー69とともに電池蓋64を構成する。
【0092】
ホルダ68は、基板65を介してトップカバー69と連結されることにより基板65を挟持するものであり、これにより正極端子部71及び負極端子部72にかかる押圧力をトップカバー69とともに受けて、過剰な負荷が正極端子部71及び負極端子部72にかかることを防止する。このホルダ68は、合成樹脂によりバッテリー缶62の開口部63と略同一の矩形状にモールド成形される。また、ホルダ68は、上面68a及び下面68bに、トップカバー69に形成された連結孔74に係合される連結突起73が断続的に複数形成されている。
【0093】
このホルダ68とともに基板65を保持するトップカバー69は、合成樹脂によりバッテリー缶62の開口部5と略同一の矩形状にモールド成形された部品であり、開口部63と隙間無く係合可能とされている。このトップカバー69は、上面69a及び下面69bに上記ホルダ68に突設された連結突起73が挿通係合する連結孔74が、連結突起73に対応して断続的に複数形成されている。またトップカバー69は、上下面69a,69bにバッテリー缶62の開口部63の周囲に形成された係合孔76に係合される係合凸部77が断続的に複数形成されている。そしてトップカバー69は、上下面69a,69bがやや撓みながら開口部63よりバッテリー缶62内に挿入されることにより、この係合凸部77が係合孔76に係合され、バッテリー缶62に組み付けられる。
【0094】
またトップカバー69は、前面69cに基板65に形成された正極端子部71及び負極端子部72を外方に臨ませる端子孔70が穿設され、この端子孔70を介してデジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器80側の電極端子と正極端子部71及び負極端子部72とを接触させる。
【0095】
このトップカバー69は、バッテリーセル3の正極端子21及び負極端子22と、基板65の正極端子板66及び負極端子板67とが接続された後、連結孔74にホルダ68の連結突起73が挿通されることにより、基板65を挟んでホルダ68と連結され、電池蓋64が形成される。その後、電池蓋4は、トップカバー69の係合凸部77がバッテリー缶62の開口部63周辺に形成された係合孔76に係合することによってバッテリー缶62に組み付けられ、二次電池60が形成される。
【0096】
セル積層体61が挿入されるバッテリー缶62は、略扁平状の立方体の一面が開放された金属性の筐体からなり、セル積層体61の形状に応じて断面略矩形状に形成されている。このバッテリー缶62は、鉄等の金属材料を深絞り加工によって成型することにより、一面のみにセル積層体61の挿入用の開口部63が形成されている。このバッテリー缶62は、壁の厚さが0.3mm程度とされることにより、バッテリーセル3の収納領域を除くと自身の厚みが極力抑えられた薄型形状をなし、同時に金属材料を用いることにより落下や振動等の各種衝撃に対する機械的強度を備えることができる。開口部5は、セル積層体61が挿入される挿入端とされ、セル積層体61の挿入後は、電池蓋64によって閉塞される。このため、開口部63の周囲には、電池蓋64に突設された係合凸部77が係合する係合孔76が複数穿設されている。係合孔76には、電池蓋64が開口部63に挿入されると、電池蓋64に突設された係合凸部77が撓みながら開口部63内に進入し、係合孔76と係合される。これにより電池蓋64がバッテリー缶62に組み付けられる。
【0097】
なおバッテリー缶62は、上記二次電池1と同様に、開口部63と対向する底面部に、電子機器の電池装着部に外付けする場合や、充電器80の電池装着部に装着させる場合に、電池装着部に突設された係止凸部に係止される係止孔を形成するようにしてもよい。また、電池装着部に係止凹部を設け、バッテリー缶62の底面部に係止凸部を形成するようにしてもよい。同様に、トップカバー69においても、上記二次電池1と同様に、前面69cの所定箇所に電子機器の電池装着部に外付けする場合や、充電器80の電池装着部に装着させる場合に、電池装着部に突設された係止突部に係止される凹状の係止部を形成するようにしてもよい。また、電池装着部に係止凹部を設け、トップカバー69の前面69cに凸状の係止部を形成するようにしてもよい。
【0098】
なおバッテリー缶62には、上記二次電池1と同様に、電池蓋64と接続されセル積層体61が挿入され電池蓋64によって開口部63が閉塞された後、絶縁性を有する外装ラベル15及び二次電池60の各種情報が記載された情報ラベル49が貼着される。この外装ラベル15の構成及び効果は、上述した二次電池1に貼着された場合と同様である。
【0099】
またバッテリー缶62は、断面を略矩形状に形成するほか、図27に示すように、短辺方向の稜線が円弧状に形成された断面略台形状に形成するようにしてもよい。かかる形状とすることにより、二次電池60は、デジタルスチルカメラ10等の電子機器や充電器80の電池装着部への誤挿入を防止することができる。
【0100】
以上のような二次電池60は、以下のように製造される。先ず、図28に示すように、セル集合体27をバッテリーセル3の積層数に応じてバッテリーセル3が2つ以上連続するように切断し、糊代28に沿ってバッテリーセル3を積層するように折り畳むことにより、セル積層体61を形成する。
【0101】
次いで、図29に示すように、セル積層体61の各バッテリーセル3から導出されている正極端子21及び負極端子22を、基板65に実装されている正極端子板66及び負極端子板67に溶接する。なお、基板65は予め別工程において、各バッテリーセル3を直列接続あるいは並列接続する回路パターン及び正極端子部71及び負極端子部72が形成されるとともに、正極端子板71及び負極端子板72が実装され、ホルダ68に支持されている。
【0102】
次いで、ホルダ68とトップカバー69とを連結することにより電池蓋64を形成し、次いでセル積層体61をバッテリー缶62の開口部63に挿入する。このとき、セル積層体61は、各バッテリーセル3の挿入端面3bに絶縁フィルム56が設けられた弾性部材55を貼着することにより、バッテリー缶62の挿入と同時に、絶縁フィルム56によって包装体23とバッテリー缶62の内壁の絶縁を図り、また弾性部材55によってバッテリー缶62に固定するようにしてもよい。
【0103】
セル積層体61の挿入に続いて、電池蓋64をバッテリー缶62の開口部63に組み付ける。その後、バッテリー缶62には外装ラベル15が貼着される。外装ラベル15は、上述したように、二次電池60の化粧ラベルとなるほか、金属製のバッテリー缶62の絶縁を図るためのものである。また外装ラベル15は、バッテリー缶62の外周を巻回する主面部16と、バッテリー缶62の底面部の長手方向の両端部を除く領域を覆うように巻回する第1の巻回部17と、電池蓋64のトップカバー69に形成された端子孔70を除く領域に巻回される第2の巻回部18とを有する。
【0104】
これにより、二次電池60においても、バッテリー缶62の底面部両端が、電子機器の電池収容部に設けられた係止部材が係止される係止部となり、また、電池蓋64まで巻回するように外装ラベル15が貼着されることにより、平坦性や外観を損なうことなく電池蓋64とバッテリー缶62との組み付け強度を確保することができる。
【0105】
以上のように構成される二次電池60によれば、バッテリーセル3を必要に応じて複数積層させたセル積層体61を用いることにより、高い電気容量を備えた二次電池や長寿命の二次電池を容易に得ることができる。また、二次電池60は、基板に形成された回路パターンに応じて各バッテリーセル3を直列あるいは並列に接続することができるため、容易に高容量化あるいは長寿命化を図ることができる。
【0106】
次いで、上述した二次電池の充電を図る充電器80について説明する。充電器80は、上述した二次電池1の外形は同じであるが、電気容量や対応可能な電子機器の相違、残量表示機能の有無あるいは急速充電が可能なタイプと不可能なタイプといった相違に応じて、前面1cより臨む正極端子部37及び負極端子部38を、略点対称の位置に配設されている点において異なる複数種類の二次電池1に対して、これらの共通の充電器として用いられるものである。
【0107】
この充電器80は、図30に示すように、充電器本体81と、二次電池1が収納される電池収納部82と、電池収納部82内に配設されて二次電池1の正極端子部37及び負極端子部38と当接される電極端子83と、電極端子83を充電器本体81の外方から視認できる透明部84とを有する。
【0108】
充電器本体81は、図30に示すように、例えば二次電池1よりも大きな立方体からなり、主面部81aには電池収納部82が形成されている。電池収納部82は、二次電池1と略同一の大きさからなる凹部であり、一側壁部82aには二次電池1の前面1cに設けられた端子孔48より外方に臨まされている正極端子部37及び負極端子部38の位置に対応して電極端子83が形成されている。また充電器本体81は、この電極端子83が形成された側壁部82aから主面部81aにかけて、該電極端子83の視認性を向上させる透明部84が形成されている。透明部84を設けることにより、充電器80のユーザは、電極端子83の位置を上方から容易に視認することができ、また二次電池1を電池収納部82に装着した際に、挿入方向を間違わずに、二次電池1側の正極端子部37及び負極端子部38と、充電器本体81側の電極端子83とが接続されていることを容易に確認することができる。その他、詳細は省略するが、充電器本体81には、外部電源を取り込むための電気コードや充電状態をLED素子や液晶等で表示する表示部等が設けられている。
【0109】
ここで、本充電器80に装着される二次電池1は、上述したように、例えば高電池容量タイプか否か、LEDや液晶等による残量表示機能の有無、対応可能な電子機器の相違、あるいは急速充電可能かどうかといった機能に応じて正極端子部37及び負極端子部38の配置を異ならせて形成されている。すなわち、二次電池1を構成するバッテリー缶2及び電池蓋4の外形状は機能の相違に関わらず同一であるが、電池蓋4を構成する基板35に形成された正極端子部37及び負極端子部38は、上記各種機能に応じて略点対称の位置に配設される。同様に、電子機器側に設けられる電極端子も、対応する二次電池の正極端子部37及び負極端子部38の配置に対応した配置をとる。これにより、二次電池1は、非対応の電子機器に装着された場合にも、二次電池1側の正極端子部37及び負極端子部38と電子機器側に設けられる電極端子とが接触しないため、誤装着によるトラブルを防止することができる。なお、このとき電子機器側の電極端子は合成樹脂製のトップカバー36の前面36cと当接するため、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。
【0110】
一方、二次電池1の充電時においてまで、機能別に複数の充電器を用意するのはユーザにとって使い分けが必要となり煩雑である。また、製品の供給者側にとっても、複数種類の充電器について製造、管理等が必要となり煩雑である。
【0111】
そこで、本充電器80においては、機能別に正極端子部37及び負極端子部38の位置が異なる複数の二次電池1について装着方向を変えることで、共用可能としている。具体的に、二次電池1は、機能別に正極端子部37及び負極端子部38が略点対称の位置に配設されていることから、図31に示すように、二次電池1Aに対して正極端子部37及び負極端子部38が略点対称の位置に配設されている二次電池1Bを180°回転させると、両者の正極端子部37及び負極端子部38が同位置にくる。したがって、二次電池1Aを充電器80に装着する場合には短辺側の上面1aを上にし、二次電池1Bを充電器80に装着する場合には180°回転させて長辺側の下面1bを下にする。これにより、いずれの二次電池1A,1Bにおいても、正極端子部37及び負極端子部38と充電器80側に形成された電極端子83と接触し、充電を行うことができる。
【0112】
なお、かかる二次電池1A,1Bが装着方向を間違わずに、各正極端子部37及び負極端子部38が充電器本体81の電極端子83と接触しているか否かは、透明部84を介して容易に視認でき、また充電状態を表示する表示部等によっても二次電池1A,1Bの装着方向の正否を確認することができる。
【0113】
ここで、二次電池1Aが下面1bを上にし、また二次電池1Bが上面1aを上にして装着された場合には、各正極端子部37及び負極端子部38と電極端子83とが接触しないため充電されない。このとき、電極端子83は、合成樹脂製のトップカバー36の前面36cと当接されるため、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。また二次電池1A,1Bが前面1aと背面1dとを逆に装着された場合にも、電極端子83と二次電池1の背面1dとが当接されるため充電は行われない。このとき、電極端子83は、バッテリー缶2の底面に貼着された外装ラベル15の第1の巻回部17と当接されることにより、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。
【0114】
また、かかる互換性を備えた充電器は、以下のような構成を備えていてもよい。図32に示すように、充電器90は、略矩形状の充電器本体91と、充電器本体91の相対向する側面91a,91bにスライド自在に支持され、二次電池1を保持する保持アーム92と、充電器本体91の前面91cに設けられている電極端子93とを備える。この充電器90は、二次電池1を保持する保持アーム92の一方又は他方から、正極端子部37及び負極端子部38の配置が略点対称とされた二次電池1A又は1Bがそれぞれ装着されるものである。
【0115】
保持アーム92は、充電器本体91の両側面91a,91bにスライド自在に支持される一対のアーム部95,95と、アーム部95,95の先端部において一対のアーム部95,95間に亘って設けられ二次電池1A,1Bを保持する保持部96とを備える。
【0116】
アーム部95,95は、長尺状の部材であり、二次電池1の幅と略同一の幅を隔てて充電器本体91の両側面91a,91bにスライド可能に支持されることにより、充電器本体91の前面91c側に引き出される。アーム部95,95の先端部に形成される保持部96は、二次電池1のバッテリー缶2を支持する略T字状の部材であり、充電器本体91の前面を構成するとともにバッテリー缶2の底面部を支持する支持壁97と、支持壁97の高さ方向の略中心からアーム部95,95間に亘って充電器本体91の前面91c側に張り出し、両面がバッテリー缶2の後端部が載置される載置面98a,98bとされる載置面部98とを有する。
【0117】
支持壁97は、アーム部95,95が充電器本体91の背面91d側にスライドされているときには、充電器本体91の前面となる。また支持壁97は、アーム部95,95が充電器本体91の前面91dc側にスライドされ、二次電池1が保持アーム92に装着される際、バッテリー缶2の底面部7を支持する。
【0118】
載置面部98は、支持壁97から充電器本体91の前面91c側に向かって載置面98a、98bがそれぞれ前面91cの厚さ方向の中心に向かって傾斜する傾斜面とされている。そして載置面部98は、二次電池1が保持アーム92に装着される際、バッテリー缶2の後端部が載置され、正極端子部37及び負極端子部38が臨むトップカバー36の前面36cを充電器本体91の前面91cに形成された電極端子93と接触可能に傾斜させる。すなわち、載置面部98の載置面98a,98bは、両面ともバッテリー缶2の後端部が載置されると、正極端子部37及び負極端子部38を充電器本体91の電極端子93と接触させる。
【0119】
かかる保持アーム92は、一対のアーム部95,95と、載置面98a又は載置面98bと、支持壁97とによって二次電池1を保持する。このとき、図33(a)及び図33(b)に示すように、保持アーム92は、機能に応じて正極端子部37及び負極端子部38の位置が互いに略点対称の位置に配設されている二次電池1Aを載置面98aに、二次電池1Bを載置面98bに保持する。このとき、各二次電池1A,1Bは、それぞれ下面1bを挿入面として保持アーム92に装着される。また、載置面98aに保持される二次電池1Aと、載置面98bに保持される二次電池1Bとは互いに180°回転させて装着される。これにより、いずれの二次電池1A,1Bにおいても、正極端子部37及び負極端子部38は同じ位置にくるため、充電器本体91の前面91c側に形成された電極端子93と接触し、充電を行うことができる。
【0120】
なお、挿入面を逆にして二次電池1A,1Bが上面1a側から装着された場合や、二次電池1Aを載置面98b側に装着した場合、あるいは二次電池1Bを載置面98a側に装着した場合には、正極端子部37及び負極端子部38が充電器本体91の前面91cに形成された電極端子93とが接触されないため、充電されない。このとき電極端子93は、合成樹脂製のトップカバー36の前面36cと当接するため、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。また、二次電池1A,1Bが前面1aと背面1dとを反対にして装着した場合には、電極端子93は二次電池1A,1Bの背面1dと当接するため充電されない。このとき、電極端子93は、バッテリー缶2の底面に貼着された外装ラベル15の第1の巻回部17と当接されることにより、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。
【0121】
また充電器90は、図34に示すように、未使用時にはアーム部95,95を充電器本体91の背面91d側にスライドさせることができるため、携帯性に優れ、またアーム部95,95の破損等の防止も可能である。
【0122】
また、かかる互換性を備えた充電器は、以下のような構成を備えていてもよい。図35に示すように、充電器100は、略矩形状の充電器本体101と、充電器本体101の上面101aに設けられた電池装着部102と、電池装着部102内に形成され二次電池1の正極端子部37及び負極端子部38と接触する電極端子103と、充電器本体101の上面101aに回動自在に設けられ二次電池1A及び1Bを保持する一対の電池ホルダ104A,104Bとを備える。この充電器100は、正極端子部37及び負極端子部38の配置に応じて二次電池1の向きを変えて電池ホルダ1A又は1Bに装着することにより電池装着部102の電極端子103と正極端子部37及び負極端子部38とが接触可能として複数種類の二次電池1A,1Bの互換性を確保するとともに、適正な向きでないと電池ホルダ104A又は104Bに装着することができないこととし、二次電池1A,1Bの誤装着を防止するものである。
【0123】
充電器本体101は、略矩形の箱形に形成され上面101aの略中央に二次電池1が前面1c側から装着される電池装着部102が形成されている。また充電器本体101は、上面101aに一対の電池ホルダ104A,104Bが上方に回動自在に設けられている。
【0124】
電池装着部102は、二次電池1が前面側から装着される凹部であり、該二次電池1の形状に応じて略矩形状に開口されている。この電池装着部102の底面部には、二次電池1の前面1cより臨む正極端子部37及び負極端子部38と接触する電極端子103が形成されている。
【0125】
電池ホルダ104A及び104Bは、電池装着部102に装着される二次電池1A及び1Bを保持するものであり、図36(a)に示すように、電池ホルダ104Aが二次電池1Aを、図36(b)に示すように、電池ホルダ104Bが二次電池1Bを保持する。この電池ホルダ104A及び104Bは、それぞれ二次電池1が収納される電池収納部105A,105Bと、電池収納部105A,105Bの各一対の側面より連続して突出形成され充電器本体101に回動可能に支持される一対のアーム部106A,106Bとを有する。そして、電池ホルダ104Aは、一対のアーム部106Aの基端部を回動支点として電池収納部105Aが充電器本体101の上面101aの前面側から上方に亘って回動自在に形成され、電池ホルダ104Bは、一対のアーム部106Bの基端部を回動支点として充電器本体101の上面101aの背面側から上方に亘って回動自在に形成されている。
【0126】
電池収納部105A,105Bは、二次電池1の形状に応じて略矩形の箱型形状をなし、二次電池1が挿脱される一主面及び電池装着部102側の下面が開口されている。また電池収納部105A及び105Bは二次電池1が下面1b側から挿入されることにより装着可能とされている。
【0127】
電池ホルダ104A及び104Bは、電池収納部105Aと電池収納部105Bが充電器本体101の上方に回動された際に、各主面の開口側が互いに反対方向に向くように取り付けられる。すなわち、電池収納部105A及び105Bは、図35に示すように、充電器本体101の上面101aに収納されている際には背面壁を上方に臨ませ、上方に回動されると、電池ホルダ104Aは、図36(a)に示すように、電池収納部105Aの背面壁を充電器本体101の背面側に向け、電池ホルダ104Bは、図36(b)に示すように、電池収納部105Bの背面壁を充電器本体101の前面側に向ける。これにより、電池ホルダ104Aに装着される二次電池1Aと、電池ホルダ104Bに装着される二次電池1Bとは、充電器本体101の上面101aに設けられた電池装着部102に対して互いに逆向きに装着される。
【0128】
一対のアーム部106A,106Bは、充電器本体101の電池装着部102を挟んで回動自在に支持され、充電器本体101の前面側あるいは背面側に回動されることにより電池ホルダ104A,104Bを該上面101aと略面一に保持させ、充電器本体101の上方に回動されると電池ホルダ104A,104Bを立ち上げ二次電池1を装着可能とする。
【0129】
この一対のアーム部106A,106Bは、各基端部が充電器本体101の上面101aに設けられた電池装着部102の長手方向両端部を挟んで支持されている。また電池ホルダ104Aは電池ホルダ104Bよりも幅狭に形成されていることから、アーム部106Aの基端部は、アーム部106Bの基端部よりも充電器本体101の内側に支持されている。これにより、電池ホルダ104Aと電池ホルダ104Bとは、いずれか一方が上方に回動されているときには、他方は上方への回動が規制され、常に二次電池1A又は二次電池1Bのうち一方のみが電極端子103に接触されることとなる。
【0130】
以上のような充電器100を用いて、機能別に正極端子部37及び負極端子部38が略点対称の位置に配設されている二次電池1A及び1Bの充電を行う際には、二次電池1の端子位置に応じて電池ホルダ104A又は104Bの一方を上方に回動させる。電池ホルダ104Aを上方に回動させた場合には(図36(a))、二次電池1Aが下面1bを挿入端面として電池収納部105Aに挿入される。これにより二次電池1Aは、前面1c側が電池装着部102内に装着され、正極端子部37及び負極端子部38が電極端子103と接触し充電が行われる。
【0131】
なお、二次電池1Aを上面1a側から挿入しようとした場合には電池収納部105Aへの挿入が規制される。また、電池ホルダ104Aに二次電池1Bが挿入された場合、正極端子部37及び負極端子部38の位置が180°反対に形成されているため、電池装着部102の電極端子103と接触せず、充電されない。このとき電極端子103は、合成樹脂製のトップカバー36の前面36cと当接されることとなり、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。また二次電池1Aを上下逆さまに挿入した場合、電極端子103と二次電池1の背面1dとが接触するため充電されない。このとき電極端子103は、バッテリー缶2の底面部7に貼着された外装ラベル15の第1の巻回部17と当接されることにより、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。
【0132】
また、電池ホルダ104Bを上方に回動させた場合には(図36(b))、二次電池1Bが下面1bを挿入端面として電池収納部105Bに挿入される。これにより二次電池1Bは、前面1c側が電池装着部102内に装着される。ここで、二次電池1Bは、二次電池1Aに対して正極端子部37及び負極端子部38が略点対称の位置に形成されているため、電池収納部105Aに挿入された二次電池1Aとは逆向きに電池収納部105Bに挿入されると、電池装着部102の電極端子103に対しては、正極端子部37及び負極端子部38が二次電池1Aと同じ位置にくる。したがって、二次電池1Bは、正極端子部37及び負極端子部38が電極端子103と接触し充電が行われる。
【0133】
なお、二次電池1Bを上面1a側から挿入しようとした場合には電池収納部105Bへの挿入が規制される。また、電池ホルダ104Bに二次電池1Aが挿入された場合、正極端子部37及び負極端子部38の位置が180°反対に形成されているため、電池装着部102の電極端子103と接触することがないため、充電されない。このとき電極端子103は、合成樹脂製のトップカバー36の前面36cと当接されることとなり、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。また二次電池1Bを上下逆さまに挿入した場合、電極端子103と二次電池1の背面1dとが接触するため充電されない。このとき電極端子103は、バッテリー缶2の底面部7に貼着された外装ラベル15の第1の巻回部17と当接されることにより、金属製のバッテリー缶2と直に接することが防止される。
【0134】
以上のように、いずれの二次電池1A,1Bにおいても、正極端子部37及び負極端子部38は同じ位置にくるため、電池装着部102に形成された電極端子103と接触し、充電を行うことができ、充電器100を共用することができる。
【0135】
また充電器90は、未使用時には電池ホルダ104を充電器本体101の上面101a側に回動させることができるため、携帯性に優れ、また電池ホルダ104の破損等の防止も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明が適用された二次電池を用いる電子機器の例を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用された二次電池を示す斜視図である。
【図3】本発明が適用された二次電池の分解斜視図である。
【図4】本発明が適用された二次電池を電子機器の電池収容部へ装着する様子を示す斜視図である。
【図5】本発明が適用された二次電池の他の例を示す斜視図である。
【図6】本発明が適用された二次電池を電子機器等の外部に設けられた電池装着部へ装着する様子を示す側面図である。
【図7】バッテリーセルが挿入されたバッテリー缶を示す斜視図である。
【図8】電子機器等の外部に設けられた電池装着部の係止部材に電極部を設けた例を示す側面図である。
【図9】外装ラベルが貼着された二次電池を示す図であり、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
【図10】電池蓋が組み付けられた様子を示す二次電池の断面図である。
【図11】バッテリーセルを示す分解斜視図である。
【図12】バッテリーセルの包装体の構造を示す断面図である。
【図13】バッテリーセルの正負極端子と正負極タブとの接合を示す側面図である。
【図14】正負極端子と正負極タブとの接合部を示す側面図である。
【図15】機能に応じて正負極端子部の配置を異ならせた二次電池を示す斜視図である。
【図16】機能に応じて正負極端子部の配置を異ならせた他の二次電池を示す斜視図である。
【図17】本発明が適用された二次電池の他の例を示す斜視図である。
【図18】本発明が適用された二次電池の製造工程を示す工程図である。
【図19】治具に載置されたバッテリーセル、ホルダ及び基板を示す側面図である。
【図20】バッテリー缶に挿入されているバッテリーセルを示す斜視図である。
【図21】バッテリー缶内におけるバッテリーセルの様子を示す断面図である。
【図22】接着剤を用いてバッテリーセルをバッテリー缶内に接着させる様子を示す断面図である。
【図23】接着剤によって接着されたバッテリー缶内に接着されたバッテリーセルの様子を示す断面図である。
【図24】本発明が適用された二次電池の他の例を示す分解斜視図である。
【図25】セル積層体を示す斜視図である。
【図26】セル集合体を示す斜視図である。
【図27】本発明が適用された二次電池の例を示す斜視図である。
【図28】糊代を折り曲げられたセル集合体を示す斜視図である。
【図29】セル積層体より導出された正負極端子が溶接された基板を示す正面図である。
【図30】本発明が適用された二次電池用の充電器を示す斜視図である。
【図31】上記充電器に装着される二次電池を示す正面図である。
【図32】本発明が適用された二次電池用の充電器の他の例を示す斜視図である。
【図33】二次電池が装着された上記充電器を示す断面図である。
【図34】保持アームが収納された上記充電器を示す斜視図である。
【図35】本発明が適用された二次電池用の充電器の他の例を示す斜視図である。
【図36】二次電池が装着された上記充電器を示す斜視図である。
【図37】従来のポリマーリチウムイオン二次電池を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0137】
1 二次電池、2 バッテリー缶、3 バッテリーセル、4 電池蓋、5 開口部、6 係合孔、15 外装ラベル、16 主面部、17 第1の巻回部、18 第2の巻回部、20 電池素子、21 正極端子、22 負極端子、23 包装体、24 収納シート、25 収納凹部、26 密閉シート、27 セル集合体、28 糊代、30 ホルダ、31 正極タブ、32 負極タブ、33 正極端子板、34 負極端子板、35 基板、36 トップカバー、37 正極端子板、38 負極端子板、39,40 折曲げ部、43 アース、48 端子孔、49 情報ラベル、50 接合部、51 絶縁紙、55 弾性部材、56 絶縁フィルム、57 缶底電極、60 二次電池、61 セル積層体、62 バッテリー缶、64 電池蓋、65 基板、66 正極端子板、67 負極端子板、68 ホルダ、69 トップカバー、70 端子孔、71 正極端子部、72 負極端子部、80 充電器、81 充電器本体、82 電池収容部、83 電極端子、84 透明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に取り付けられることにより該電子機器に電力を供給する電子機器用の二次電池において、
正極、負極及び電解質を包装体に収納するとともに、上記正極及び負極からそれぞれ正極端子及び負極端子が上記包装体の同一側面より導出されたバッテリーセルと、
上記バッテリーセルが挿入される一の開口部が形成され、上記正極端子及び負極端子が導出された一側面を上記開口部側に向けて上記バッテリーセルを収納する金属製のバッテリー缶と、
上記正極端子及び負極端子が接続されるとともに外方に臨まされることにより上記電子機器の電極と接続される端子部が設けられ、上記バッテリー缶の開口部を閉塞する合成樹脂からなる蓋体とを備え、
上記端子部は、互いに異なる機能を有する一の二次電池と他の二次電池とで、略点対称の位置に形成されている二次電池。
【請求項2】
二次電池に対して、充電を行う充電器において、
外形を略同一形状とし且つ機能に応じて端子部が略点対称の位置に形成されている一及び他の二次電池がそれぞれ反対向きに収納保持される収納保持部と、
上記収納保持部に収納された二次電池の端子部が当接される電極端子部とが形成され、
該電極端子部は、上記収納保持部に保持された上記一の二次電池の端子部が当接されるとともに、上記収納保持部に保持された上記他の二次電池の端子部が当接されることにより、上記一及び他の二次電池の共用の電極端子とされる充電器。
【請求項3】
上記電極端子部を外方から視認可能とする透明部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の充電器。
【請求項4】
上記収納保持部は、一対のアームと、該一対のアーム間に亘って形成されるとともに両面に上記二次電池の一端が載置される載置部が形成された保持部とを有し、
上記載置部の一方側から上記一の二次電池が収納され、上記載置部の他方側から上記他の二次電池が収納されることを特徴とする請求項2記載の充電器。
【請求項5】
上記一の二次電池を収納する第一の収納保持部と、上記他の二次電池を収納する第二の収納保持部とを備え、
上記第一の収納保持部の上記一の二次電池を挿入する開口面が、上記第二の収納保持部が上記他の二次電池を挿入する開口面と反対向きとなるように隣接して形成され、上記一の二次電池と上記他の二次電池とは、それぞれ反対向きに収納されることを特徴とする請求項2記載の充電器。
【請求項6】
上記第一の収納保持部及び上記第二の収納保持部は、上記一の二次電池又は他の二次電池を挿脱可能な位置と、上記一の二次電池又は他の二次電池の挿脱を禁止する位置との間に亘って移動自在とされ、いずれか一方が上記一の二次電池又は他の二次電池を挿脱可能な位置に移動されているときには、他方は該挿脱可能な位置への移動が規制されることを特徴とする請求項5記載の充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2007−48723(P2007−48723A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234939(P2005−234939)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】