説明

二酸化炭素及び水素の分離

極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法について述べられている。例で述べられる合成ガス供給流は、40乃至65モル%の水素を含み、46乃至90絶対バールの範囲の圧力で、単一ステージ又は連続する分離ステージの第一ステージに供給される。単一ステージ又は連続のステージは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44から90絶対バールの範囲の圧力で操作される。いくつかの例では、単一のステージ又は連続する複合ステージが合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の70乃至80%を取り除く。極低温分離プラントのステージから排出された液化COプロダクト流は、分離され及び/又は化学プロセスで使用される。また、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離する製造方法について述べられている。例では、製造方法は、二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップと、ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器に通過するステップであって、150バール未満の圧力を有する気液セパレータ容器への供給、セパレータ容器からの水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器からの液体COを引き抜くステップと、直列に配置された複数の膨張機を含む膨張システムに水素リッチ流を供給ステップと、から成り、水素リッチ蒸気流を連続の各膨張機において膨張させ、膨張された水素リッチ蒸気流は、各膨張機から、低下した温度に続き低下した圧力で、少なくとも一つの膨張水素リッチ蒸気流を冷却材として使用して、引き抜かれる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素及び二酸化炭素からなる合成ガス流からの二酸化炭素の部分的回復に関する。これにより、化学的プロセスで使用され若しくは最終的に分離される前に原油の二次回収に分離若しくは使用される二酸化炭素と、発電所の燃料として使用されることにより発電し、バーナー、かまど若しくはボイラーの燃料として使用され、一つ以上の精製装置流を向上させるための精製装置供給流として使用され若しくは化学プロセスへの水素供給として使用される水素流とを生成する。
【背景技術ならびに発明が解決しようとする課題】
【0002】
米国特許出願公開第2007/0221541号明細書は、多ステージ自動冷凍プロセスに関する。そのプロセスでは、第一の結合した二つの自動ステージが、酸性気体の総モル数の76%及び同じモル・パーセントの開始合成ガスのCOを取り除く。合成ガス生成中に合成ガスから硫黄を最初から取り除くことができれば、76%の除染率が可能であり、将来の環境法によるが、COの削減に適切である。その場合、追加の自動冷凍ステージは必要がない。しかしながら、米国特許出願公開第2007/0221541号明細書のプロセスには、二つの自動冷凍ステージで分離される液化酸化ガスを、合成ガスを冷却するために、蒸発させなければならない、という不都合があった。したがって、酸化ガスプロダクト流が分離される前に、酸化ガスプロダクト流に圧力をかけなければならなかった。
【0003】
温度及び圧力の最適条件で冷凍ステージが作用することにより外部冷媒を使用する少なくとも一つの冷凍ステージから成る冷凍プロセスを使用することによって、COのモルの少なくとも70%が開始合成ガスから取り除かれることが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、この方法は、単一の極低温分離ステージ又は連続して配列された少なくとも二つの極低温分離ステージから成り、連続するステージがステージ1からステージNで示され、文字Nは、連続するステージの数を表し、単一のステージ又は連続の各ステージは、(a)外部冷凍材との非接触熱交換により合成ガスを冷却することによって合成ガスから二酸化炭素を濃縮し液化二酸化炭素を生成すると共に、(b)液化二酸化炭素プロダクト流及び水素濃厚合成ガス流を排出する単一ステージ又はステージ1からステージNへの合成ガス経過として合成ガスを引き続き低温で冷却する連続する各ステージにより、合成ガスから液化二酸化炭素を分離することにより、水素濃厚合成ガス蒸気流を排出するステージNにより液化二酸化炭素プロダクト流を各ステージから個別に取り除く製造方法において、
(i)合成ガス供給流は、40乃至65モル%の水素を含み、46から90バールの範囲の圧力で、任意には76絶対バールで、単一ステージ又は連続の第一ステージに供給され、
(ii)単一ステージ又は連続のステージNは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44から74絶対バールの範囲の圧力で操作されることにより、単一ステージ又は連続の複合ステージが合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の70乃至80%を取り除き、
(iii)極低温分離プラントのステージから取り除かれた液化COプロダクト流は、分離され及び/又は化学プロセスで使用される。
【0005】
発明のいくつかの態様において、より高い圧力であってもよい。例えば、場合によってはガス供給自体の圧力をすでに74バールより高くしてもよい。あるいは、又は、加えて、供給の圧力を、例えば、連続する圧縮機又は単一の圧縮機を分離前に使用することで、増加させてもよい。
【0006】
本発明の別の一態様は、単一の極低温分離ステージ又は連続して配列された少なくとも二つの極低温分離ステージから成る極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、連続するステージがステージ1からステージNで示され、文字Nは連続のステージの数を表し、単一のステージ又は連続の各ステージは、(a)冷凍材(任意には外部冷凍材)との非接触熱交換により合成ガスを冷却することによって合成ガスから二酸化炭素を濃縮し液化二酸化炭素を生成すると共に、(b)液化二酸化炭素プロダクト流及び水素濃厚合成ガス流を排出する単一ステージにより又はステージ1からステージNへの合成ガス経過として合成ガスを引き続き低温で冷却する連続の各ステージにより、合成ガスから液化二酸化炭素を分離することで、水素濃厚合成ガス蒸気流を排出するステージNにより液化二酸化炭素プロダクト流を各ステージから個別に取り除く製造方法において、
(i)合成ガス供給流は、40乃至65モル%の水素を含み、46から150未満の絶対バールの範囲の圧力で、単一ステージ又は連続する第一ステージに供給され、
(ii)単一ステージ又は連続のステージNは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44から150未満の絶対バールの範囲の圧力で操作され、
(iii)極低温分離プラントのステージから取り除かれた液化COプロダクト流は、好ましくは、化学プロセスで分離され及び/又は使用される。
【0007】
例えば、圧力は、120バール未満、100バール、又は、約80バール未満である。COの異なる%分離は、分離の圧力及び温度に依存することが理解されるだろう。
【0008】
本発明の別の一態様は、単一の極低温分離ステージ又は連続して配列された少なくとも二つの極低温分離ステージから成る極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、連続のステージがステージ1からステージNで示され、文字Nは、連続のステージの数を表し、単一のステージ又は連続の各ステージは、(a)冷凍材(任意には外部冷凍材)との非接触熱交換により合成ガスを冷却することによって合成ガスから二酸化炭素を濃縮し液化二酸化炭素を生成すると共に、(b)液化二酸化炭素プロダクト流及び水素濃厚合成ガス流を排出する単一ステージにより又はステージ1からステージNへの合成ガス経過として合成ガスを引き続き低温に冷却する連続の各ステージにより、合成ガスから液化二酸化炭素を分離することにより、水素濃厚合成ガス蒸気流を排出するステージNにより液化二酸化炭素プロダクト流を各ステージから個別に取り除く製造方法において、
(i)合成ガス供給流は、40乃至65モル%の水素を含み、46から76の絶対バールの範囲の圧力で、単一ステージ又は連続の第一ステージに供給され、
(ii)単一ステージ又は連続の第一ステージは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44から74の絶対バールの範囲の圧力で操作される。
【0009】
ある例では、単一ステージ又は連続の第一ステージは、合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の70乃至80%を取り除く。他の例では、約60%乃至90%以上が取り除かれてもよい。
【0010】
好ましくは、冷凍プロセスが、それぞれが外部冷凍材を使用する少なくとも二つの連続した冷凍ステージを有する多ステージ冷凍プロセスである。他の例では、以下で述べるように、他の冷却材又は冷凍材を使用してもよい。従って、本発明の好ましい実施例は、連続して配列された少なくとも二つの極低温分離ステージから成る極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、連続するステージがステージ1からステージNで示され、文字Nは、連続のステージの数を表し、各ステージは、(a)外部冷凍材との非接触熱交換により合成ガスを冷却することによって合成ガスから二酸化炭素を濃縮し液化二酸化炭素を生成すると共に、(b)ステージ1からステージNへの合成ガス経過として合成ガスを引き続き低温に冷却する連続の各ステージにより、合成ガスから液化二酸化炭素を分離することにより、水素濃厚合成ガス蒸気流を排出するステージNにより液化二酸化炭素プロダクト流を各ステージから個別に取り除く製造方法において、
(i)合成ガス供給流は、40乃至65モル%の水素を含み、46から76絶対バールの範囲の圧力で、極低温分離プラントの第一ステージに供給され、
(ii)連続するステージNは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44から74絶対バールの範囲の圧力で操作されることにより、連続する複合ステージが合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の70乃至80%を取り除き、
(iii)連続する各ステージから取り除かれた液化COプロダクト流は、分離され及び/又は化学プロセスで使用される。
【0011】
明細書で使用される「合成ガス供給流」という用語は、水素及び二酸化炭素を含むシフトされた合成ガス流を示す。合成ガス供給流は、一酸化炭素及び硫化水素も含んでもよい。
【0012】
冷凍プロセスが多ステージ冷凍プロセスである場合は、好ましくは、分離される前に、連続する各ステージから取り除かれた液化COプロダクト流が結合される。
【0013】
ある例では、合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の75乃至80%が極低温分離プラントで分離される。したがって、本発明の製造方法は、合成ガス供給流からCOの相当量を取り除く。典型的には、水素濃厚合成ガスは、発電所のガスタービンの燃焼器に供給される。従って、本発明は、合成ガスを生成するために使用される固形燃料又はガス状の炭化水素原料が直接発電所の燃料として使用される場合よりも、大気中に放出されるCOは著しく少なくなるという利点がある。また、水素濃厚合成ガスは、発電所のガスタービンの燃焼器の最小燃料ガス圧力(入り口圧力)以上の圧力で得てもよく、これにより、燃料ガスを圧縮する圧縮機の必要がない、という利点もある。
【0014】
合成ガス供給流は、ガス化装置の石油コークス若しくは石炭などの固形燃料から又は改質装置の炭化水素原料から生成されてもよい。ガス化装置又は改質装置からの合成ガス供給流は、多量の一酸化炭素を含む。従って、合成ガス流は、典型的には、シフト変換ユニットで処理され、少なくとも一部、好ましくは、合成ガス流に含まれる一酸化炭素の実質的全てが、水性ガスシフト反応(WGSR)に従い、シフト触媒により二酸化炭素に変換される。
CO+HO → CO+H
【0015】
一酸化炭素の一部が、シフトされた合成ガスに残っている場合は、一酸化炭素大部分が水素濃厚合成ガスに保たれ、水素濃厚合成ガスが燃料として使用されるときには、二酸化炭素に変換される。
【0016】
シフト変換器は、シフト触媒を含む単一シフト反応装置であってもよい。しかしながら、シフト変換ユニットが高温シフト触媒を含む高温シフト反応装置と低温シフト触媒を含む低温シフト反応装置とを備えることが好ましい。水性ガスシフト反応装置が、発熱性であり、シフト変換ユニットにわたり著しい温度上昇をもたらす。従って、シフト変換ユニットは、シフトされた合成ガス流の一部を継続的に取り除くことによって、また、例えば、(過熱水蒸気の生成の)ボイラー供給水又はスチームに対して一つ以上のプロセス流との熱交換によってこの流れを冷却することによって、冷却されてもよい。
【0017】
合成ガス供給流は、典型的には、主として、水素、二酸化炭素、水蒸気、及び少量の一酸化炭素とメタンから成る。合成ガス供給流がガス化装置から得られる場合は、合成ガス供給流は、シフト変換器でCOSを反応させることによって生成された硫化水素(HS)も含むであろう。本発明の製造方法は、二酸化炭素(CO)を捕えることに加えてHSを共同獲得できるという利点もある。従って、HSは、単一ステージ又は連続する各ステージの合成ガスから凝縮し、液化二酸化炭素プロダクト流の単一ステージ又は連続する各ステージから取り除かれる。単一ステージ又は連続する最終ステージ(ステージN)を、−53乃至−48℃の範囲の温度と55乃至59絶対バールの範囲の圧力で、操作することによって、単一ステージ又は連続の結合ステージが、合成ガス供給流から硫化水素の総モル数の80乃至90%を取り除く。
【0018】
合成ガス供給流は、極低温分離プラントの上流で、例えば、20乃至50℃の範囲の温度、例えば、40℃に冷却され、(大部分は水から構成されている)凝縮物を凝縮する。凝縮物は、その後、例えば、凝縮物ドラムにおいて、冷却されシフトされた合成ガス流から分離される。典型的には、凝縮物はボイラー供給水及び/又は多用途の冷気水に対して冷却される。
【0019】
凝縮物の除去後、合成ガス供給流の水分が凍りプラント内で妨害となるおそれがあるため、合成ガス供給流は、CO凝縮プラントに通過する前に乾燥される。合成ガス供給流は、水を選択的に吸収するトリエチレン・グリコールを用いた分子篩ベッド又は吸収塔を介して通過させることにより、好ましくは、分子篩ベッド、乾燥されてもよい。好ましくは、乾燥された合成ガス供給流が、(モル基準で)1ppm以下の含水量を有する。
【0020】
好ましくは、乾燥された合成ガス供給流は、その後、CO凝縮プラントの予冷却熱交換器を通過し、そこでは、合成ガス供給流が冷却流(例えば、液体COプロダクト流又は冷H濃縮合成ガス蒸気流)に対して予冷される。好ましくは、予冷却熱交換器は、多チャンネル熱交換器であり、例えば、プレートフィン熱交換器又はプリント回路熱交換器であり、乾燥合成ガス供給流が多チャンネル熱交換器の少なくとも一チャネルを介して通過し、複数の低温プロセス流が多チャンネル熱交換器の別のチャネルを介して通過し、乾燥合成ガス流が、低温プロセス流に対して、予冷される。あるいは、乾燥合成ガス供給流が、少なくとも2つ、好ましくは、2乃至8、例えば、4つのシェルアンドチューブ熱交換器を使用して、複数の冷却プロセス流に対して予冷される。それらのシェルアンドチューブ熱交換器は、直列及び/又は平行に配置されてもよい。シェルアンドチューブ熱交換器が並列に配置されている場合は、合成ガス供給流は、熱交換器に供給される複数のサブ流を形成するように分けられ、熱交換器から出る冷却されたサブ流が続いて再結合する。多チャンネル熱交換器及び一つ以上のシェルアンドチューブ熱交換器の組み合わせを使用して、乾燥合成ガス流を予冷することも把握される。
【0021】
以下に述べるように、水素濃厚合成ガス蒸気流は、乾燥合成ガス供給流の予冷に使用した後に、ターボ膨張器において等エントロピー膨張させてもよい(水素濃厚合成ガス蒸気流を冷却することになる)。膨張された水素リッチ合成ガス蒸気流を冷却することは、乾燥合成ガス供給流を−15乃至−35℃の範囲の温度、例えば、約−23℃にする。水素濃厚合成ガス蒸気流が、乾燥合成ガス流の予冷に使用される前に、等エントロピー膨張がされない場合は、合成ガス供給流は、典型的には、0乃至15℃の範囲の温度、例えば、約−10℃までしか冷却されない。合成ガス供給流の成分及び予冷却の量により、予冷された流は、蒸気状態のままであるか又は露点以下に冷却されることにより、二つのフェーズになる。
【0022】
合成ガス供給流は、その後、極低温分離プラントの極低温分離ステージを介して通過する。単一極低温分離ステージ又は連続する各極低温分離ステージは、外部冷却材及び気液分離容器を用いた熱交換器を含む。好ましくは、極低温分離プラントは、1乃至5、より好ましくは、2乃至4、例えば、3つの直列に配置された極低温分離ステージを含む。
【0023】
明細書で使用される用語「冷凍材」は、適切な冷却材(クーラント)又は冷凍材を含む。また、用語「冷却材(クーラント)」は、適切な冷却材(クーラント)又は冷凍材を含む。
【0024】
好ましくは、用語「内部冷却流」は、製造方法で生産されるプロダクト流を含む。例えば、内部冷却流は、分離工程で形成されるCOリッチ流及びHリッチ流を含む。好ましくは、適切な場合は、用語「内部冷却流」は、いずれかの適切な冷却材又は冷凍材流を含む。
【0025】
好ましくは、用語「外部冷凍材」又は「外部冷却材(クーラント)」は、外部冷凍回路に設けられる冷凍材又は冷却材を含む。従って、本発明の製造方法で作られた液状COは、一般的に外部冷凍材としてみなされない。熱交換器で冷凍材として使用される適当な外部冷凍材には、プロパン、エタン、プロピレン、エチレン、アンモニア、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)及び混合冷凍材が含まれる。典型的な混合冷凍材は、ブタン、プロパン、エタン、エチレンから成る群から選択された少なくとも二つの冷凍材から成る。これらの冷凍材は、液化天然ガス(LNG)又は天然ガス液(NGLs)の生産において公知の方法を含む技術分野における当業者に知られたいずれかの方法を使用して、外部冷凍材回路の所望の冷凍温度に冷却されてもよい。
【0026】
各極低温分離ステージの操作温度は、極低温分離ステージの数及び所望の二酸化炭素捕獲レベルによる。固体COとなる値より高く温度を維持しなければならないため、最終極低温分離ステージでの最低温度の限界がある。これは、典型的には、−55℃未満の温度で300パージ未満の圧力で起こるが(純粋なCOの三重点が5.18バールであり−56.4℃の温度である)、HSの存在はこの氷点を下げる。
【0027】
好ましくは、極低温分離プラントのステージにわたって最小圧力低下がある。典型的には、極低温分離プラントの単一ステージ又は連続するステージにわたる圧力低下は、2乃至10バール、好ましくは、2乃至5バール、特に、2乃至3バールの範囲である。好ましくは、単一ステージ又は連続の各ステージにわたる圧力低下は、約1バールである。従って、プラントが少なくとも直列に配置された二つのステージから成る場合は、ステージによって実質的に同じ圧力で操作されてもよい。極低温分離ステージにわたる高い圧力低下が許容されてもよく(例えば、10乃至30バールの範囲の圧力低下、好ましくは、10乃至20バール)、単一ステージ又は連続する最終極低温分離ステージが、45乃至59絶対バール、好ましくは、56乃至58絶対バールの範囲内で、例えば約57バールで操作される。単一又は連続する最終極低温分離ステージが、55乃至59絶対バールの範囲内で操作されることの利点は、単一分離ステージのセパレータ容器から又は連続する最終ステージ(ステージN)のセパレータ容器から排出されるH濃縮合成ガス流が、発電機(下記参照)のガスタービンの燃焼器の最低供給ガス圧力(最低入り口圧力)以上であることである。
【0028】
本発明のある態様のいくつかの例が、直列に配置された三つの極低温分離ステージから成るCO濃縮について、述べられる。合成ガス供給流は、第一極低温分離ステージの熱交換器を介して通過する前に、一つ以上の低温プロセス流(例えば、水素濃縮合成ガス蒸気流及び/又は液化CO)に対して予冷され、そこでは、合成ガスが外部冷凍材に対して−32乃至−28℃の範囲の温度に冷却されるこれにより、(液体COから成る)液体相及びH及びCOから成る蒸気相(水素濃縮合成ガス)から成る二相流が形成される。そして、二相流が、第一極低温分離ステージの気液分離器容器を通過し、そこでは液相が蒸気相から分離される。水素濃縮合成ガス蒸気流及び液CO流は、セパレータ容器から、好ましくは、セパレータ容器の上部下部それぞれから又は近くから、取り出される。そして、H濃縮合成ガス蒸気流は、第二極低温分離ステージへの供給として使用され、更なる熱交換器を介して通過すると共に更なる外部冷凍材に対して−43乃至−39℃の範囲の温度に冷却される。結果として生じる二相流は、相を分離する第二極低温分離の気液セパレータ容器を通過する。Hで更に濃縮された蒸気流及び液体CO流は、セパレータ容器から、好ましくは、セパレータ容器の上部下部から又は近くからそれぞれ取り出される。第二深水分離ステージから排出された水素濃縮合成ガス蒸気流は、第三深水分離ステージへの供給として使用され、そこでは、水素濃縮合成ガス蒸気流は、別の発熱器を介して通過し、別の外部冷凍材に対して−53乃至−48℃の範囲の温度に冷却される。結果として生じた二相流は、分離相の第三深水分離ステージの気液セパレータ容器を通過する。Hで濃縮された蒸気流及び液体CO流は、セパレータ容器、好ましくは、セパレータ容器の上部及び底部から又は近くからそれぞれ引き抜かれる。好ましくは、合成ガス供給流は、ガス源にもよるが、できるだけ高い圧力で、第一深水分離ステージに供給される。典型的には、合成ガス供給流は、少なくとも、50絶対バール、好ましくは、55乃至75絶対バール、例えば、60乃至70絶対バールの圧力で第一深水分離ステージに供給される。望ましくは、第一極低温分離ステージへの供給は、より高い圧力で圧縮されてもよい。典型的には、三つの極低温分離ステージにわたる圧力低下は、最少にされ、第三の極低温分離ステージが、第一極低温分離ステージより低い5バールで操作されるようにする。例えば、合成ガス供給流が第一極低温分離ステージの60絶対バールで供給される場合では、第三極低温分離ステージが、典型的に55乃至58絶対バールの範囲の圧力で動作する。
【0029】
典型的には、極低温分離プラントの最終極低温分離ステージ(ステージN)から排出される、水素濃縮合成蒸気流(非凝縮性流)が、少なくとも70モル%の水素、好ましくは、少なくとも80モル%の水素と、残りの大部分が二酸化炭素を含む。典型的には、極低温分離プラントの最終極低温分離ステージ(ステージN)から排出された濃縮合成ガス蒸気流に含まれるCOの量が30モル%のCO、好ましくは、25モル%のCO未満である。この水素濃縮合成ガス蒸気流は、微量の一酸化炭素(CO)及びメタン、例えば、モル基準で500ppm(COのより多い量は許容される、例えば、2乃至3モル%のCO)を含む。CO濃縮プラントの最終極低温分離ステージ(ステージN)からのH濃縮合成ガス蒸気流は、発電機を駆動するガスタービンの燃焼器の燃料流として使用されることのより、電気を生産する。
【0030】
典型的には、ガスタービン燃焼器の燃料ガス供給圧力(入り口圧力)は、25乃至45バージ、好ましくは、28乃至40バージ、特に、30乃至35バージの範囲内である。典型的には、ガスタービンの燃焼器は、15乃至20絶対バールで操作される。従って、H濃縮合成ガス蒸気流は、ガスタービンの燃焼器の最低燃料ガス供給圧力以上で得られ、ガスタービンの燃焼器の入り口圧力に水素濃縮合成ガス流(燃料ガス流)を圧縮するガス圧縮機が必要なくなる。典型的には、H濃縮合成ガス蒸気流は、ガスタービンの燃焼器の入り口圧力まで下げられ、直列に配置された少なくとも一つのターボ膨張機で膨張される。ターボ膨張機における水素濃縮蒸気流の等エントロピー膨張は、少なくとも一つのタービン又は電気モータを駆動する動力を生み出し、それにより、エクスポート用の又はプロセスで使用される電気を生成する(例えば、COポンプ及び/又は外部冷凍回路を操作するための電気)。一般的に、ターボ膨張機は共通軸に取り付けられる。典型的には、ターボ膨張機は、各ターボ膨張機にわたり実質的に同じ圧力比率、例えば、0.88乃至0.66の範囲の圧力比率で操作される。H濃縮合成ガス蒸気流は、ターボ膨張機での等エントロピー膨張によって冷却され、これにより、合成ガス供給流の追加予冷がなされる。典型的には、単一極低温分離ステージのセパレータ又は連続する極低温分離ステージのステージNを出るH濃縮合成ガス蒸気流が、合成ガス供給流との関係で多チャンネンル熱交換器のチャネルを介して通過し、その後、多チャンネル熱交換器の更なるチャネルに供給される前に、第一ターボ膨張機でのより低い圧力へ膨張によって冷却される。水素濃縮蒸気流は、多チャネルの別のチャネルに供給される前に、第二ターボ膨張機にてより低い圧力に膨張によって冷却されてもよい。H濃縮合成ガス蒸気流が、ガスタービンの燃焼器の燃料ガスとして使用される場合は、燃焼器の所望のガス燃料供給圧力(入り口圧力)未満に下げられないだろう。しかしながら、水素濃縮合成ガス蒸気流が他の目的に使用される場合に、例えば、加熱炉の低圧力バーナーの燃料として、改質装置やボイラーの燃料として、一つ以上の精製流を改良するための精製用供給流として、又は、化学プロセスへの水素供給として使用される場合に、水素濃縮合成ガス流が、ガスタービンの燃焼器の入り口圧力未満まで膨張されてもよいことも認められる。
【0031】
国際出願第PCT/GB2009/001810号明細書は、H濃縮ガス蒸気流がターボ膨張システムに供給され、水素リッチ蒸気流が、連続する複数ターボ膨張機それぞれで等エントロピー膨張され、連続する複数ターボ膨張機から引き抜かれて温度が下げられ続いて圧力が下げられ、これにより、原動力が生み出される。また、冷却された水素リッチ蒸気流は、(より高い温度の)ガス供給流との熱交換器関係で通過し、システムの内部冷却材として使用される。
【0032】
国際出願第PCT/GB2009/001810号明細書で述べられた例では、合成ガス供給流は、冷却されて水素濃縮ガス蒸気流の引き抜きのためのセパレータに通過する前に、圧力が150乃至400バールの範囲に増加される。
【0033】
ここで述べられているように、本発明の態様によれば、分離ステップが150バールで実行される場合でも、ターボ膨張機システムが有効に使用されることが明らかにされている。
【0034】
従って、本発明に別の態様は、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離する製造方法において、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップであって、前記冷却ステップは、好ましくは、プロセスで順次生産される内部冷却材流との熱交換器関係で、合成ガスを熱交換器システムに供給することを含み、内部冷却材流が水素リッチ蒸気流及び濃厚酸化炭素流から成る群から選択され、
b)ステップで形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器を通過するステップであって、150バージ未満の圧力を有する気液セパレータ容器への供給と、
c)セパレータ容器からの水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器からの液体COを引き抜くステップと、
d)少なくとも一つの膨張機、好ましくは、複数の膨張機を含む膨張システムに水素リッチ流を供給し、各膨張機における水素リッチガスの圧力を下げるステップと、を含む。
【0035】
好ましくは、方法は、膨張された水素流をシステムにおける冷却材として使用することを含む。
【0036】
好ましくは、本発明のいずれかの態様の一以上の方法は、水素リッチ流の圧力を下げる少なくとも一つの膨張機を含む膨張システムに、水素リッチ流を供給するステップを含む。好ましくは、膨張システムは、直列に配置された複数の膨張機を含む。好ましくは、膨張から仕事量を回復することができる一つ以上の膨張機、例えば、ターボ膨張機又は連続するターボ膨張機を含む。好ましい例においては、直列に配置された複数のターボ膨張機を含むターボ膨張システムに水素リッチガスが供給され、水素リッチ蒸気流を連続する各ターボ膨張機において等エントロピー膨張させ、水素リッチ蒸気流が低下した温度で低下した圧力で各ターボ膨張機から引き抜かれ、また、連続する各ターボ膨張機における水素リッチ蒸気の等エントロピー膨張が原動力を生み出す。
【0037】
好ましくは、水素リッチ流の温度が膨張によって下げられ、冷却され膨張された水素流は順次システムの内部冷却材として使用される。好ましくは、各膨張機からの冷却された流は、内部冷却材として、例えば、別の膨張機に供給される前に、使用される。
【0038】
本発明の他の態様によれば、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離する製造方法において、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップと、
b)ステップで形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器を通過するステップであって、任意に前記気液セパレータ容器は150バージ未満の圧力を有し、
c)セパレータ容器からの水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器からの液体COを引き抜くステップと、
d)直列に配置された複数の膨張機を含む膨張システムに分離された水素リッチ蒸気流を供給し、水素リッチ蒸気流を連続する膨張機それぞれで膨張させ、膨張された水素リッチ蒸気流を各膨張機から低下された温度と低下された圧力で引き抜き、
e)少なくとも一つの膨張水素リッチ蒸気を冷却材として使用するステップ、を含む。
【0039】
ある例では、膨張システムは、一つの膨張機のみを含み、水素リッチ蒸気流がシステムの膨張機において膨張され、膨張された水素リッチ蒸気流が低下した温度と圧力で引き抜かれ冷却材として使用されてもよい。しかしながら、多くの例においては、少なくとも二つの膨張機が使用され、プロセスの改善された温度及び/又は圧力のプロファイルが得られるようにするのが好ましい。以下にさらに述べるように、一つ以上の膨張機を使用することにより、ある例においては、比較的低温の膨張された複数の水素流をシステムの内部冷却材流として使用される。
【0040】
膨張された水素リッチ流は、水素リッチガス流、二酸化炭素流、及び、合成ガス流から選択された一つ以上の流を冷却するために使用してもよい。
【0041】
好ましい例において、複数の膨張された水素リッチ蒸気流は、プロセスにおける冷却材流として使用してもよい。
【0042】
ある例では、膨張された水素リッチ流全てが、内部冷却材として使用されてもよい。好ましくは、膨張機が連続する膨張機の水素リッチ蒸気の等エントロピー膨張をもたらし、原動力を生み出す。
【0043】
原動力は、例えば、さらにプロセスで使用され、効率を向上させる。例えば、膨張機は、好ましくは、システムの圧縮機(もし使用されていれば)に接続される膨張タービンを含む。あるいは、又は、さらに、他の膨張機が、ある例において、使用されてもよい。例えば、流は、バルブにわたって膨張され圧力を下げる。
【0044】
方法は、分離された二酸化炭素流の圧力を上げることを含んでもよい。
【0045】
ある例では、例えば、保存のため、二酸化炭素流の更なる利用には、セパレータから引き抜かれた流の圧力より高い圧力が要求される。装置、例えば、ポンプが、セパレータの下流に設けられ、圧力を、例えば、120バール又は150バール以上に、上げる。
【0046】
方法は、更に、分離された水素リッチ流を直接又は間接的に別の気液セパレータ容器を通過させ、セパレータ容器から第二分離された水素リッチ蒸気流を及びセパレータ容器から第二液体CO流を引き抜くことを含んでもよい。
【0047】
本発明の他の態様によれば、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離する製造方法において、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップと、
b)ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に第一気液セパレータ容器に通過させるステップであって、150バージ未満の圧力を有する前記気液セパレータ容器への供給と、
c)セパレータ容器からの水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器からの液体COを引き抜くステップと、
d)ステップ(c)で形成された水素リッチ蒸気流を直接又は間接的に第二気液セパレータ容器に通過させ、第二水素リッチ蒸気を前記気液セパレータ容器から及び液体COを前記気液セパレータ容器から引き抜くステップと、
e)少なくとも一つの膨張機を含む膨張システムに分離された水素リッチ蒸気流を供給し、水素リッチ蒸気流をシステムの膨張機において膨張させ、膨張された水素リッチ蒸気流を低下させた温度と圧力で引き抜き、
f)膨張された水素リッチ蒸気を冷却材として使用するステップと、を含む。
【0048】
方法は、更に、第二セパレータ容器上流で分離された水素リッチ流を冷却することを含んでもよい。
【0049】
本発明に別の態様は、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離製造方法において、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップであって、冷却ステップは、プロセスで順次生産される内部冷却材流との熱交換器関係で、合成ガスを熱交換器システムに供給することを含み、内部冷却材流が水素リッチ蒸気流及び濃厚酸化炭素流から成る群から選択され、
b)ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器に通過させるステップであって、150バージ未満の圧力を有する前記気液セパレータ容器への供給と、
c)セパレータ容器から水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器から濃厚液体COを引き抜くステップと、
d)少なくとも一つの膨張機、好ましくは、複数の膨張機を含む膨張システムに水素リッチ流を供給し、は各膨張機における水素リッチガスの圧力を下げるステップと、から成る。
【0050】
また、本発明は、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離するシステムにおいて、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却する冷却システムと、
b)冷却システムから直接又は間接的に二相混合物を受けるために配置された気液セパレータ容器であって、150バール未満の圧力で、セパレータ容器の出力が水素リッチ蒸気流及び液体CO流であり、
c)水素リッチ蒸気流を受けるために分離容器の下流に配置された膨張システムであって、前記膨張システムは、直列に配置された複数の膨張機を含み、水素リッチ蒸気流が連続する膨張機のそれぞれで膨張され、水素リッチ蒸気流が各膨張機から低下した温度と続いて低下した圧力とで引き抜かれ、
d)膨張された水素リッチ流を冷却システムに供給する流路と、を備える。
【0051】
また、本発明は、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離するシステムにおいて、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却する冷却システムと、
b)直接又は間接的に冷却流を受けるために配置された第一気液セパレータ容器であって、気液セパレータ容器への供給は150バージ未満の圧力で、第一水素リッチ蒸気流及び液体CO流を出力し、
c)第一水素リッチ流を直接又は間接的に受け、セパレータ容器から第二水素リッチ流を及びセパレータ容器から液体COを出力する第一気液セパレータの下流の第二気液セパレータ容器と、
d)好ましくは、第二セパレータ容器の下流に配置された、少なくとも一つの膨張機を含み、水素リッチ蒸気流を受け、システムの膨張機において膨張させ、水素リッチ蒸気流が膨張機から低下した温度と圧力とで引き抜かれ、
e)膨張された水素リッチ流を冷却システムに供給する流路と、を備える。
【0052】
システムは、分離された二酸化炭素流を増やすために圧縮機又はポンプを更に含んでもよい。
【0053】
ある例では、分離ステップの圧力は、80乃至400バール、例えば、80乃至250バールである。
【0054】
ある例では、上流シフト反応が、50乃至100バールの範囲の圧力を有するシフトガスを生成してもよい。シフトガスは、ある例では、分離ステージに流の圧力な顕著な変化なく、供給されてもよい。水性ガスシフトユニットを出るシフトガスは、例えば、50乃至100バール、例えば、60乃至95バール、例えば、65乃至90バール、ある例では、70乃至80バールの範囲の圧力でもよい。シフトガスは、ある例では、50乃至250バールの範囲の圧力で、冷却されたときに、そこに含まれる二酸化炭素のいくらか、好ましくは、大部分が、分離の前に液化する。分離ステップの圧力は、あるケースでは、70バール、75バール、又は80バールでもよい。
【0055】
合成ガス流は、好ましくは、シフト合成ガス流を含む。セパレータ容器に供給される冷却流は、好ましくは、シフト合成ガスを含む。ある例では、製造方法の一つ以上のステップが、例えば、シフトステップの前又は後に実行されることが好ましい。
【0056】
直列に配置された複数のターボ膨張機から成るターボ膨張システムを介して、水素濃縮蒸気流を通過させることにより、水素リッチ蒸気流の圧力が所望の圧力に下げられることが知られている。特に、水素リッチ蒸気流は、発電所のガスタービンの燃焼器の所望の燃料ガス供給圧力で得てもよい(例えば、30バージの圧力)。また、連続するターボ膨張機それぞれを出る膨張されたHリッチ蒸気流が内部冷却材流として使用されることにより、熱交換器システムの冷凍デューティーの一部分、例えば、大部分を担うことが知られている。ある例では、ターボ膨張機におけるHリッチ蒸気の膨張は、(存在するならば)圧縮システムの圧縮機のローター又はシャフトを駆動するために又はターボ発電機のローター又シャフトを駆動するために使用され、これにより、合成ガス流の水素リッチ蒸気流及び液体CO流への分離の純消費電力の削減を達成することができる。
【0057】
ターボ膨張機で生成された原動力は、例えば、CO濃縮プラントのコンポーネントである機械を駆動するために及び/又は発電機の交流機を駆動するために使用されてもよい。ターボ膨張機で駆動される機械は、圧縮システムの圧縮機(例えば、必要であれば、分離プロセスで使用される圧縮・システム)及び/又はポンプであってもよい。
【0058】
ある例では、上述したように、合成ガス供給流の圧力は、少なくとも40バールである。
【0059】
特に、加圧水素濃縮ガスが有利な例では、例えば、タービンへの供給として使用されるときに、好ましくは、プロセスの合成ガス供給流の圧力は、少なくとも60バール、例えば、少なくとも80バール以上である。システムのセパレータ容器へ供給される流の圧力は、例えば、125以下バール、例えば、110バール以下、100バール以下、又は、90バール以下である。
【0060】
ある例では、圧力を増やすため、合成ガス、例えば、シフトガスを圧縮するために必要な圧縮プロセスがある。
【0061】
従って、プロセスは、分離の前に、好ましくは、内部冷却材を用いて冷却する前に、圧縮システムを用いて合成ガスを圧縮して、ガスの圧力が60バールから150バールの範囲の圧力となるようにする。好ましくは、方法は、結果として生じる高圧力ガスを冷却材(例えば、外部冷凍材及び/又は内部冷却流)に対して冷却して、少なくとも圧縮熱を取り除くステップを含んでもよい。
【0062】
他の例では、合成ガス供給、例えば、シフトガス、例えば、水性ガスシフト装置からの供給は、更なる圧縮を必要としない。実際、ここで述べるように、分離ステップは、十分な、又は、分離の上流で要求される圧縮なしに、実行されてもよい。
【0063】
従って、本発明の更に別の態様は、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離プロセスにおいて、
a)冷却システムのすぐ上流の合成ガス流の圧力を増やすことなく、合成ガス流を冷却システムに供給するステップと、
b)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップであって、冷却ステップは、好ましくは、プロセスで順次生産される内部冷却材流との熱交換器関係で、合成ガスを熱交換器システムに供給することを含み、内部冷却材流が水素リッチ蒸気流及び濃厚酸化炭素流から成る群から選択され、
c)実質的に圧力を増やすことなく、ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器に通過させるステップと、
d)セパレータ容器から水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器から濃厚液体COを引き抜くステップと、
e)少なくとも一つの膨張機、好ましくは、複数の膨張機を含む膨張システムに水素リッチ流を供給し、システム又は各膨張機で水素リッチ流を膨張するステップと、を含む。
【0064】
好ましくは、膨張水素流は、低温であり、システムにおける冷却材として使用される。好ましくは、膨張された複数の水素流は冷却材として使用される。
【0065】
方法は、水素リッチ蒸気流を、複数のターボ膨張機が直列に配置されたターボ膨張システム供給することを含み、水素リッチ蒸気流は、連続するターボ膨張機のそれぞれで等エントロピー膨張がなされ、水素リッチ蒸気流が各ターボ膨張機から低下した温度とそれに続いて低下した圧力で引き抜かれ、また、連続する各ターボ膨張機の水素リッチ蒸気の等エントロピー膨張が原動力を生み出す。
【0066】
従って、好ましくは、合成ガス固有の供給は、例えば、水性ガスシフトシステムから供給されるシフト合成ガス固有の供給は、流から二酸化炭素が分離される前に、それ以上圧縮されない。
【0067】
従って、発明のある態様によると、第一分離及び任意の継続分離ステップは、実質的に供給ガス流の圧力で実行される。例えば、供給ガス圧力は60バールと125バールの間であり、例えば、60バール乃至100バールである。
【0068】
気液セパレータ容器を通過する冷却流の温度は、二相混合物が形成されることが要求される場合の流の圧力に、ある程度依存する。例では、セパレータ装置への供給流の温度は、一般的に、−15℃と−55℃との間であり、好ましくは−30℃未満、好ましくは−40℃未満、好ましくは−50℃以下である。
【0069】
従って、本発明の更に別の態様は、合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離プロセスにおいて、
a)150バージ未満の圧力と−15℃と−55℃との間の温度に合成ガス流を冷却するステップであって、冷却ステップは、プロセスで順次生産される内部冷却材流との熱交換器関係で、合成ガスを熱交換器システムに供給することを含み、内部冷却材流が水素リッチ蒸気流及び濃厚酸化炭素流から成る群から選択され、
b)ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器に通過させるステップであって、150バージ未満の圧力を有する前記気液セパレータ容器への供給と、
c)セパレータ容器から水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器から濃厚液体COを引き抜くステップと、
d)好ましくは、直列に配置された複数の膨張機を含む膨張システムに水素リッチ流を供給するステップであって、水素リッチ蒸気流を連続する各ターボ膨張機において等エントロピー膨張させ、水素リッチ蒸気流を各ターボ膨張機から低下した温度とそれに続く低下した圧力で引き抜き、連続する各ターボ膨張機における水素リッチ蒸気の等エントロピー膨張が原動力を生み出すスップと、から成る。
【0070】
ある例では、ステップの冷却の全て又は略全てが一つ以上の内部冷却流を用いて実行される。あるいは、外部冷却材又は冷凍材を用いて冷却されてもよい。例えば、エタン又はプロパン等の冷凍材を使用してもよく、他の冷却材及び冷凍材の組み合わせも可能である。好ましくは、外部冷却材を用いた冷却は、もしあれば、内部冷却の下流に設けられるが、他の例では、内部冷却材を用いて冷却の上流又は内部冷却材を用いて冷却ステージ間に外部冷却を設けてもよい。
【0071】
また、本発明の更に別の態様は、合成ガス流を水素(H)リッチ蒸気流及び二酸化炭素(CO)流に、CO濃縮プラントにおいて分離するプロセスであって、前記CO濃縮プラントは、(a)熱交換器システムと、(b)気液セパレータ容器と、(c)直列に配列されたターボ膨張機から成るターボ膨張システムとを備え、前記プロセスは、
(A)10乃至120バージの範囲の圧力を有する供給合成ガス流を提供するステップと、
(B)複数の内部冷凍材流との熱交換器との関係で、合成ガス流を熱交換器システムを介して通過させることにより、ステップ(A)の合成ガス流を−15℃乃至−55℃の範囲の温度に冷却するステップであって、内部冷凍材流は、水素リッチ蒸気流及び液体CO流から成る群から選択されるステップと、
(C)ステップ(B)で形成された冷却された合成ガス流を直接又は間接的に気液セパレータ容器に通過させるステップであって、前記気液セパレータ容器は熱交換器システムと略同じ圧力で操作され、また、セパレータ容器の上面から又は近くから水素リッチ蒸気流及びセパレータ容器の底面又は近くから液体CO流を引き抜くステップと、
(D)ターボ膨張システムにステップ(C)からの水素リッチ流を供給するステップであって、水素リッチ蒸気流を連続する各ターボ膨張機において等エントロピー膨張させ、水素リッチ蒸気流を各ターボ膨張機から低下した温度とそれに続く低下した圧力で引き抜き、連続する各ターボ膨張機における水素リッチ蒸気の等エントロピー膨張が原動力を生み出すことにより、CO濃縮プラントのコンポーネントである機械を駆動し及び/又は発電機の交流機を駆動するスップと、を含む。
【0072】
ある例では、気液セパレータ容器の流の圧力が最初の供給ガスの圧力と略同じであり、そのため、供給と分離ステップとの間ではガスが全く又はほとんど加圧されない。
【0073】
他の例では、好ましくは、システムが少なくとも一つの圧縮機を含み、供給ガスは圧縮システムに供給され、合成ガスの圧力が分離ステップ前に上げられる。例えば、圧力は、60バール、70バール、80バール、又は100バール以上まで上げられる。プロセスは、結果として得られた増加圧力合成ガス流を冷却することを含み、例えば、外部冷却材及び/又は冷凍材に対して少なくとも圧縮熱の一部を取り除いてもよい。
【0074】
圧縮が要求される例では、多ステージ圧縮システムが好ましい。圧縮が要求され、例えば、多ステージ圧縮は、圧縮システムからのより高い排出圧力が好ましいが、任意であり、特に、圧縮システムからのより低い排出圧力に対して好ましい。一般的に、装置で使用されるいずれかの圧縮システムの圧縮機は、電気モータ、ガスタービン、又は、スチームタービンによって駆動されるシャフトに取り付けられる。あるいは、又は、加えて、圧縮システムの圧縮機及びターボ膨張システムのターボ膨張機が共通シャフトに取り付けられ、ターボ膨張機の水素リッチ蒸気流の等エントロピー膨張が圧縮機を駆動するのに使用されてもよい。
【0075】
本発明の例で使用される典型的な多ステージ圧縮システムは、共通軸に取り付けられた、少なくとも一つの低圧力(LP)圧縮機、好ましくは、2又は3つのLP圧縮機、及び、別の共通駆動軸に取り付けられた少なくとも一つの高圧力(HP)圧縮機、好ましくは、1又は2つのHP圧縮機を含む(駆動軸はギアシステムを介して接続される)。LP及びHP圧縮機は直列に配置される。当業者によく知られているように、増加した圧縮効率は、連続する圧縮機にわたる圧縮デューティーのバランスをとることによって達成される。従って、連続する直列の圧縮機間の圧縮比率は、実質的に同じである。
【0076】
ここで、いずれかの態様において、分離プロセスは、単一ステージ又は多ステージプロセスであってもよい。また、冷却ステージは、分離ステージ間に設けてもよい。ある例では、連続する分離プロセスの最終ステージ後、水素リッチ流が膨張装置に供給される。好ましくは、膨張装置は、水素リッチ流の圧力を下げるために適用される。好ましくは、膨張が実行され、ガス流の温度を下げる。好ましくは、膨張が実行され、圧力低下が仕事量として回復される。例えば、上述したように、膨張は、ターボ膨張機を用いて実行される。
【0077】
好ましくは、冷却ステップで形成された冷却合成ガス流を、少なくとも一つの極低温分離ステージから成る極低温分離システムを通過させてもよく、極低温分離ステージは、外部冷凍材及び気液セパレータ容器を使用する熱交換器から成る。従って、本発明のある例で使用される気液セパレータ容器は、外部冷凍材を使用する単一極低温分離ステージの気液セパレータ容器又は連続する極低温分離ステージの最終気液セパレータ容器のいずれかであり、各極低温分離ステージは、外部冷凍材を使用し次第に低い圧力で操作される。他の例では、あるいは、又は、加えて、一つ以上の内部冷却材流で冷却してもよい。
【0078】
本発明の例の利点は、少なくとも65%、例えば、少なくとも75%、ある例では、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%の二酸化炭素が、合成ガス供給流から、合成ガス流の圧力、システムの圧力の増加、及び冷却されたガスの温度、例えば、冷却合成ガス流が外部冷凍材に対して極低温冷却されたか否かによって、分離されることである。例えば、外部冷凍材が使用されていない例では、75乃至85%のCOが合成ガス供給流から捕獲される。
【0079】
分離ステップが実行される圧力が約80バール未満の圧力である例では(第一分離ステップ前に初期圧縮が行われない例を含む)、捕獲されたCOの量は一般的に65乃至80%モルの間であることが知られている。より高い圧力が使用される場合は(例えば、システムに一つ以上の圧縮機を含むことにより)、より高い捕獲レートを得ることができる。
【0080】
水素リッチ蒸気流は、例えば、ガスタービンの燃焼器の圧力を所望の入り口圧力に下げてもよい。例えば、水素リッチ蒸気流を等エントロピー的に膨張することによって、例えば、一つ又は連続するターボ膨張機において、低温H濃厚蒸気流(内部冷却材又は冷凍材流)が合成ガス流の冷却に使用されてもよい。更に、例えば、連続するターボ膨張機のそれぞれにおける水素濃厚蒸気流の等エントロピー膨張が、圧縮システム(もしあれば)の圧縮機を駆動するため及び/又は少なくとも一つの発電機の交流機を駆動するため(例えば、圧縮システムの少なくとも一つの電気圧縮機を操作するための)及び/又はポンプ(液体CO又は臨界超過のCO流のポンプ)に使用される原動力を生み出すことにより、プロセスで使用される電力を生み出す。従って、圧縮エネルギーの大部分は、ターボ膨張機を用いて回復されることにより、プロセスの全体エネルギー効率を向上さてもよい。
【0081】
水素リッチ蒸気流が異なる目的に使用されるならば、例えば、加熱炉の低圧力バーナーの燃料として、又は改良装置やボイラーの燃料として、又は、一つ以上の精製流を改良する精製供給流、又は、化学プロセスへの水素供として使用されるときは、水素リッチ蒸気流がガスタービンの燃焼器の入り口圧力未満まで膨張されることが認められる。
【0082】
熱交換器システムにわたる圧力低下は1.5バール未満である。
【0083】
ある好ましい例では、熱交換器システムが少なくとも一つの多チャネル熱交換器を含み、合成ガス流は、多チャンネル熱交換器の別のチャネルを介して通過する複数の内部冷凍材又は冷却材との熱交換関係で、多チャンネル熱交換器のチャネルを介して、通過する。多チャネル熱交換器は、拡散接合熱交換器であり、例えば、プリント回路熱交換器である。
【0084】
熱交換器システムは、直列に配置された複数の独立型熱交換器から成り、合成ガス流は、連続的に低い温度で、第一及び続く直列の熱交換機に供給される複数の冷凍材による熱交換により連続した熱交換器を介して通過し、冷却されてもよい。典型的には、本発明の例では、熱交換器システムは、ガス流を有した少なくとも一つの多チャネル熱交換器から成り、ガス流は、複数の内部冷凍材/冷却材流との熱交換関係で多チャネル熱交換器のチャネルを介して通過し、内部冷凍材/冷却材流は多チャネル熱交換器の別のチャネルを介して通過する。多チャンネル熱交換器の代表例は、米国特許第6,622,519号明細書、国際公開第2004/016347号パンフレット、欧州特許第212878号明細書、及び欧州特許第292245号明細書を含み、参照して組み込まれる。圧縮システムの熱交換器の外部冷凍材に対する合成ガス流の予冷に代わりに又は加えて、一つ以上の冷凍材流を、多チャンネル熱交換器の更に別のチャネルを介して通過させることにより、合成ガス流に対する追加的な冷却デューティーを提供することができる。好ましくは、合成ガス流は、逆流方向に、多チャンネル熱交換器を介して内部冷凍材流及び任意の外部冷凍材流へと通過させる。好ましくは、ある例では、熱交換器システムは、直列に配置された複数の冷凍ステージから成り、連続する各ステージは、(i)単一多チャンネル熱交換器、又は(ii)並列に配置された複数の多チャネンル、例えば、並列に配置された2又は3つの多チャンネル熱交換器から成る。例えば、熱交換器システムは、引き続き低い温度で各連続する直列ステージに供給される内部冷凍材流及び任意の外部冷凍流を備えた、直列に配置された三つの冷凍ステージから成ってもよい。熱交換器システムの例では、第一冷凍ステージは、並列に配置された二つのシングル・パス多チャンネル熱交換器から成り、第二冷凍ステージは、並列に配置された三つのスリー・パス多チャンネル熱交換器から成り、第三冷凍ステージは、一つのフォー・パス多チャンネル熱交換器から成る。従って、合成ガス流は、熱交換器システムのステージを通過しながら、分割されるとともに再結合されることにより、内部冷凍流及び/又は外部冷凍流により熱交換をできるだけ効率に利用することができる。しかしながら、複数の多チャンネル熱交換器の他の配置を適用してもよい。
【0085】
あるいは、又は、加えて、熱交換器システムは、複数の冷凍ステージを備え、各冷凍ステージは、単一の単独型熱交換器又は並列に配置された単独型の熱交換器から成ってもよい。従って、例えば、合成ガス流(又は他の流)が、熱交換による熱交換システムの冷凍ステージを介して通過されるにつれて、冷却され、前記熱交換は、引き続き低い温度で各連続冷凍ステージの単独型ステージに供給される複数の内部冷凍材流及び外部冷凍流による。合成ガス流は、単独型熱交換器に供給される内部冷凍材流及び任意の外部冷凍材流に逆流する方向で、単独型熱交換器を介して通過されることが好ましい。
【0086】
熱交換器システムが多チャンネル及び単独型熱交換器の双方で構成されることも考えられる。従って、熱交換器システムは、直列に配置された複数の冷凍ステージから成り、各冷凍ステージは、(i)単一の多チャンネル熱交換器、又は、(ii)単一の単独型熱交換器、又は、(iii)並列に配置された複数の多チャンネル熱交換器及び/又は複数の単独型熱交換器から成ってもよい。
【0087】
熱交換器システムの多多チャネル熱交換器は、ろう付けされたアルミニウム・プレートフィン熱交換器又は拡散接合された熱交換器などの液体天然ガスを生成するプロセスで使用されるタイプのものであってよい(例えば、Heatricが供給するようなプリント回路(PCHE))。あるいは、多チャネル熱交換器は、複合体シェル及びチューブ熱交換器であってもよく、(a)熱交換器のシェルに配置されたチューブであって、熱交換器のシェルは、複数のコンパートメントを有し、合成ガス流は、チューブを介して通過され、内部冷凍材流又は外部冷凍材流は、チューブを介して流れる合成ガスとの熱交換関係で、シェルのコンパートメントを介して通過され、(b)熱交換器のシェルに配置された複数のチューブであって、シェルは、単一のコンパートメントを有し、合成ガスは、コンパートメントを介して通過し、内部冷凍材流又は外部冷凍材流は、シェルの単一コンパートメントを介して流れる合成ガスとの熱交換関係で、各チューブを介して通過する。従って、「チャネル」の用語は、ろう付けされたアルミニウム・プレートフィン熱交換器又は拡散接合された熱交換器のプレート間及びコンパートメントと複合体シェル・チューブ熱交換器間のチャネルを含む。
【0088】
圧縮システムの単独型熱交換器は、シェル・チューブタイプ(単一体シェル・チューブ熱交換器)であってもよく、合成ガス流が熱交換器のチューブ側を通過し、内部冷凍材流又は外部冷凍材流がシェル側を通過するものであってもよく、又は、逆でもよい。しかしながら、単独型熱交換器を用いて合成ガス流を予冷するプロセスは、多チャンネル熱交換器を用いて、全体に又は部分的に、本発明のステップ(B)で合成ガスを冷却するプロセスと比べて、効率が低下するかもしれない。
【0089】
熱交換器システムから出る冷却された流は、液相と蒸気相とから成る二相流である。温度は、通常、液体COが形成される値より高く維持されるべきであることから、熱交換器システムでガス流が冷却される温度に対する実用的限界が一般的にある。Hの存在は氷点で下落するものの、これは、典型的には、−56℃の温度で起こる(純粋なCOの三重点は、5.18バールで−56.4℃の温度である)。複数の内部冷凍材流による熱交換のため熱交換器システムで達成される冷却量は、ターボ膨張システムで達成される等エントロピー膨張された水素濃厚蒸気流の冷却量に依存し、同じく、形成される水素濃厚蒸気流の圧力及びターボ膨張システムのターボ膨張機又は最終ターボ膨張機から出るHリッチ蒸気流の圧力に依存する。ターボ膨張システムのターボ膨張機で生み出された電力量も、水素濃厚蒸気がターボ膨張システムで等エントロピー膨張された点で依存し、前記システムは、形成されるHリッチ蒸気流の圧力及びターボ膨張システムのターボ膨張機又は最終ターボ膨張機から出るHリッチ蒸気流の圧力に依存する。
【0090】
ここで使用される「冷凍材」の用語は、いずれかの適切な冷却材を含むことが好ましい。
【0091】
好ましくは、「外部冷凍材」の用語は、外部冷凍回路に形成された冷凍材を含んでもよい。従って、本発明のプロセスで形成される液体COは、外部冷凍材としてみなされない。熱交換器で冷凍材として使用される適切な外部冷凍材は、プロパン、エタン、エチレン、アンモニア、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)、及び、混合冷凍材を含む。典型的な混合冷凍材は、ブタン、プロパン、エタン、及び、エチレンから成る群から選択された少なくとも二つの冷凍材から成る。これらの冷凍材は、所望の冷凍温度に外部冷凍材回路において当業者に知られたいずれかの方法を使用して冷却され、該知られた方法には、液化天然ガス(LNG)又は天然ガス液体(NGLs)の生産における方法を含む。
【0092】
これらの冷凍材は、所望の冷凍温度に冷却されてもよい、例えば、ターボ膨張システムのターボ膨張 機からの一つ以上の低温等エントロピー膨張されたH濃厚蒸気流との熱交換により冷却されてもよい。極低温分離ステージの外部冷凍材は、所望の動作温度となるように選択される。例えば、ガス流の供給温度が−15乃至−30℃の範囲で極低温分離ステージの所望の動作温度が−20乃至−30℃の範囲である場合、プロパンが冷凍材として使用されてもよく、一方、ガス流の供給温度が−30乃至−40℃の範囲で極低温分離ステージの所望の動作温度が−40乃至−55℃、好ましくは、−45乃至−50℃の範囲である場合、エタン及び/又はエチレンが外部冷凍材として使用されてもよい。他の構成も可能である。
【0093】
気液セパレータから引き抜かれたCO流は、ある例では、液体COエクスポート圧力より高い圧力で得られてもよく、液体CO流は、熱交換器システムを介して通過し、例えば、プロセスからエクスポートされ及び化学プロセスから分離及び/又は使用される前に、合成ガス流との熱交換関係で、通過させてもよい。
【0094】
ある例では、CO流は、液体COエクポート圧力より高い圧力で得ることができ、フラッシュ分離容器を通過する前に、圧力が液体COエクポート圧力に下げられ、フラッシュ分離容器では、水素濃厚蒸気流がフラッシュ分離容器の上面又は近くから引き抜かれ、液体CO流がフラッシュ分離容器の底面又は近くから引き抜かれ、その後、液体CO流が熱交換器システムを介して、プロセスからエクスポートされ及び化学プロセスから分離及び/又は使用される前に、合成ガス流との熱交換関係で、通過させてもよい。
【0095】
しかしながら、本発明の態様の多くの例では、COが、所要のエクポート圧力未満である圧力で、セパレータ容器から引き抜かれる。例えば、本発明のある態様によれば、分離されたCOの圧力は150バール未満、例えば、120バール未満、100バール未満、80バール以下である。従って、ある構成では、他の適当な装置が、例えば、圧縮機であっても、方法は、更に、例えば、ポンプを用いた、分離されたCOを加圧するステップを含む。COが加圧される圧力は、もちろん、用途に依存するが、ある例では、好ましくは、加圧されたCOの圧力は、100バール、120バール、好ましくは、150バール以上である。
【0096】
回収された液体二酸化炭素の処理は、用途に依存する。例えば、地下貯蔵から離れてパイプで送られ又は運搬されてもよい。液体二酸化炭素は、もし望まれるならば、一つ以上の冷却ステージ、例えば、一つ以上の多チャネンルを介して通過することによって温められ、冷却能力も利用してもよい。
【0097】
分離ステージに引き抜かれた二酸化炭素は、液相である一方、プロセスのほかのどこかの二酸化炭素が臨界超過 濃密相であることが理解されるだろう。例えば、液体二酸化炭素が、上述したように、温められると、二酸化炭素の温度は臨界温度を超えるだろう。明細書中での二酸化炭素への言及は、適宜理解できるだろう。
【0098】
フラッシュ分離容器から引き抜かれた水素濃厚蒸気流は、ターボ膨張機の一つから引き抜かれた同じ圧力の水素濃厚蒸気流と結合され及び/又は合成ガス供給流が圧縮システム(もし存在すれば)を介して通過することにより得られる同じ圧力の合成ガス供給流と結合される。
【0099】
最終ターボ膨張機を出る水素濃厚蒸気流は、25乃至45バージの範囲の圧力、好ましくは、30乃至35バージの範囲の圧力で得られ、燃料ガスとして発電所の少なくとも一つのガスタービンの燃焼器へ通過される。
【0100】
熱交換器で冷却された冷却合成ガス流は、−30乃至−40℃の範囲の温度であり、続いて極低温分離システムに通過される。前記極低温システムは、外部冷凍材及び気液セパレータ容器を使用する熱交換器の単一極低温分離ステージを備え、極低温分離ステージにわたる圧力低下は、好ましくは、0.1乃至5バールの範囲であり、極低温分離ステージの熱交換器は、好ましくは、−40乃至−55℃の範囲の動作温度を有し、水素リッチ蒸気流及び液体CO流は、極低温分離ステージの気液セパレータ容器から引き出される。
【0101】
冷却合成ガス流は、−15乃至−30℃の範囲の温度を有し、直列に配置された複数の極低温分離ステージから成る極低温分離システムを通過し、連続する各極低温分離ステージは、外部冷凍材及び気液セパレータ容器を使用する熱交換器から成り、連続する極低温分離ステージは、徐々に低下する温度で連続する極低温分離ステージにわたる圧力低下、好ましくは、0.1乃至5バールの範囲で操作され、水素リッチ蒸気流及び液体CO流は、連続する最終極低温分離ステージの気液セパレータ容器から引き抜かれ、追加HP液体CO流は、連続する各先行極低温分離ステージから引き抜かれる。
【0102】
プロセスが合成ガスを圧縮するステップを含む場合は、好ましくは、合成ガスが、直列に配置された複数の圧縮機を含む多ステージ圧縮機システムで圧縮され、熱交換器が、連続する各圧縮機の後に設けられ、合成ガスは、好ましくは、各熱交換器、例えば、空気、水から成る群から選択された外部冷却材に対して、又は、H濃縮蒸気流及び最終H濃縮蒸気流から選択された反低温プロセス流に対して、冷却される。
【0103】
合成ガス供給流は、HSを含む酸合成ガス流でもよく、HSの大部分が、液体CO相を区画するとともに、液体CO流により分離され、最終H濃厚蒸気流の残りのHSが、CO凝縮プラントの下流側から、例えば、最終H濃厚蒸気流を、粒子状吸着性材から成るベッドを介して、又は、H濃厚蒸気流が液体吸着材と接触する洗浄機を介して、取り除かれる。
【0104】
COプロダクト流は、石油貯蔵層の注入流体として使用してもよい、例えば、液体COを注入井の下へ及び石油貯蔵層に注入することにより、炭化水素を関連した生産井に置き換えることができる。
【0105】
また、本発明の態様は、合成ガス流から二酸化炭素及び水素を分離する二酸化炭素凝縮プラントにおいて、前記プラントは、
(a)合成ガス供給流の源と、
(b)任意の圧縮システムと、
(c)(任意に圧縮された)合成ガス流を、少なくとも一つ(好ましくは複数の)内部冷却材又は冷凍材流に対して、冷却することにより、合成ガス流を部分的に凝縮する熱交換器と、
(d)部分的に凝縮された合成ガスを受けるように配置された気液セパレータ容器と、
(e)気液セパレータ容器からの水素リッチ蒸気流を受ける直列に配置された複数のターボ膨張機から成るターボ膨張機システムにおいて、ターボ膨張機は水素リッチ蒸気流を膨張するため及び膨張された水素濃厚蒸気流を熱交換器システムに供給するため配置されている。
【0106】
好ましい構成では、装置は、セパレータステージの下流のHリッチ部分の圧力を下げる手段(例えば膨張機)を含む。好ましくは、装置は、膨張されたHリッチ部分が続いて内部冷却材として装置のどこかで又は関連する装置で使用されるように、配置される。装置が複数の膨張機を含む場合は、もちろん他の構成でもよいが、好ましくは、装置は、各膨張ステップの後に、Hリッチ部分が冷却材として使用される。好ましくは、膨張機は、水素リッチガスの膨張の作用を回復させる。
【0107】
ここで述べたいずれかの例及び本発明の態様において、必要に応じて、他のプロセスステップが含まれてもよく、また、必要に応じて他のコンポーネントがシステムに含まれてもよい。例えば、プロセスは溶媒分離ステージを含み、例えば、CO、HS、又は、他のコンポーネントを一つ以上の流から取り除いてもよい。例えば、膨張の前に、Hリッチ蒸気流は、溶媒抽出システムに供給されてもよく、溶媒抽出システムでは、蒸気流が、そこに含まれる残りのCOを吸着する溶媒に接触される。この分離を成し遂げる溶媒抽出プロセスは、吸着材として、それぞれ冷却メタノール及びポリエチレン・グリコールのジメチルエーテルの冷却混合物を使用するRectisol(商標)及びSelexol(商標)プロセスを含んでもよい。あるいは、吸着材は、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン等のベースとなるアミンであってもよい。他の適切な方法も使用することができる。あるいは、又は、加えて、溶媒分離ステージは、システムの他の部分に含まれてもよい。
【0108】
上述したように、水素濃縮合成ガス蒸気流は、ガスタービンの燃焼器 の燃料ガスとして使用されてもよい。燃料ガスは、35乃至65モル%の水素、好ましくは、45乃至60モル%の水素、例えば、48乃至52モル%の水素を含むことが好ましい。本発明の利点は、極低温分離プラントから排出される水素濃縮合成ガス蒸気流が、COを共通構成要素として含むことである。従って、タービンの燃焼器の燃料仕様書に合わせるために、窒素などの希釈剤及び/又は流を、水素濃縮合成ガス蒸気流ガスに加える必要がなくなる。あるいは、水素濃縮合成ガス蒸気流に加えられる希釈剤の量を減らしてもよい。
【0109】
ガスタービンからの排出ガスは、熱回収・蒸気生成部(HRSG)に通過され、排気ガスは様々なプロセス流により、熱交換される。任意で、ガスタービンからの排気ガスの温度は、HRSGに燃焼後システム、例えば、燃焼後バーナーを設けることにより、上げてもよい。適切には、燃焼後バーナーは、排気ガスに含まれる残留酸素を用いて燃やされる、水素濃縮合成ガス燃料流の一部が供給される。適切には、排出ガスは、燃焼後システムにおいて、温度を500乃至800℃の範囲で上げられる。
【0110】
典型的には、HRSGは、少なくとも一つの流タービン及び本発明のプロセスのどこかで使用される流を生成し過熱する。典型的には、HRSGは、高圧力(HP)スチーム、中圧力(MP)スチーム、及び低圧力(LP)スチームを生成し、これらのスチーム流を過熱することができる。HRSGは、多ステージスチームタービンの高圧力ステージからの排出スチームとして生産されるMPスチームを再加熱することもできる。更に、HRSGは、ボイラー供給水(例えば、シフト・コンバー・タユニットの廃熱ボイラーに供給されるボイラー供給水)を熱するために使用されてもよい。
【0111】
冷却された排気ガスは、HRSGから大気に煙突を介して排出される。好ましくは、煙突は、例えば、冷却された排気ガスのNO含有量をモニタする連続排出監視システムを備える。
【0112】
極低温分離ステージのセパレータ容器から引き抜かれた液体CO流は、好ましくは、少なくとも、90モル%のCO、特に、少なくとも94モル%のCOを含み、残りの大部分が水素といくらかの不活性、例えば、窒素及び/又はCOである。極低温分離プラントが、直列に配置された複数の極低温分離ステージから成る場合は、ステージから引き抜かれた液体は、好ましくは結合される。液体CO流又は結合された液体CO流は、好ましくは、残留水素を取り除くため、精留カラムに供給される。典型的には、精留カラムは、複数の蒸留トレイ、例えば、3乃至5つの残留トレイから成る蒸留カラムである。液体CO流又は結合された液体COは、カラムの中間位置に供給される一方、水素濃縮蒸留流は、蒸留カラムの上面又は近くから引き抜かれ、水素含有量が低下した液体CO流が、蒸留カラムの底面又は近くから取り除かれる。典型的には、蒸留カラムの底面又は近くから取り除かれた液体CO流は、体積で1%未満、好ましくは、0.05%未満の水素含有量を有する。好ましくは、蒸留カラムは還流で、例えば、蒸留カラムの上面又は近くから引き抜かれた水素濃縮蒸気流が、外部冷凍材、例えば、プロパン、エタンに対して、露点未満に冷却され、液体COに凝縮され、凝縮された液体COがカラムの上面、例えば、カラムの上面トレイに戻される。
【0113】
その後、液体CO流は、所望エクスポート圧力、例えば、パイプライン配送圧力に、ポンプで流し込まれる。そして、油田の受け入れ施設に、液体CO流は、パイプラインによって転送され、そこでは、流が油田での注入流体として使用される。必要であれば、液体CO流は、石油貯留層への注入井に至るまで注入される前に、石油貯留層の圧力より高い圧力で、更に、ポンプで送り込まれる。注入されたCOは、そこから二酸化炭素の三次回収用の生産井に向かって、岩貯留層に含まれる二酸化炭素を移す。二酸化炭素が、炭化水素とともに生産井から生産される場合、二酸化炭素は、石油貯蔵層へ再注入される炭化水素から分離され、COは、石油貯蔵層で分離される。液体CO流は、帯水層又は貯蔵のための枯渇石油又はガス貯蔵層に注入されてもよい。
【0114】
本発明による方法及び/又は装置が、好ましくは、一つ以上の図面を参照して概ね述べられる。
【0115】
ここで述べる一つ以上の特徴は、適切な組み合わせとして結合してもよい。本発明の態様の特徴は、必要であれば、本発明の他の態様と組み合わせてもよい。方法の特徴は装置の特徴としてもよく、その逆でもよい。
【0116】
本発明の態様のプロセス及び/又は装置の例は、下記の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、水素及び二酸化炭素から成る合成ガス流の生産及び極低温分離プラントを用いた二酸化炭素流からの水素濃縮合成ガス流の分離を説明するブロックフロー図である。
【図2】図2は、本発明による極低温分離プラントのより詳細な図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態による極低温分離プラントに関する。
【図4a】図4aは、図2及び図3の極低温分離プラント用の外部冷凍材を生成する外部冷凍回路を示す。
【図4b】図4bは、図2及び図3の極低温分離プラント用の外部冷凍材を生成する外部冷凍回路を示す。
【図5】図5は、合成ガスから二酸化炭素を分離する方法で使用されるシステムの別の例の構成要素を模式的に示す。
【図6】図6は、合成ガスから二酸化炭素を分離する方法において使用されるシステムの別の例の構成要素を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
図1において、30乃至65モル%のHと、35乃至70モル%のCOと、3モル%以下のCOと、100ppm以下のHSとから成る、シフトされた合成ガス流が、低温ガス冷却され、シフト合成ガス流に含まれた水をノックアウトする(たたき出す)。典型的には、これは、ボイラー供給水に対して、シフト合成ガス流を熱交換器において温度を約30乃至40℃に冷却することにより達成されることにより、流を生成する。冷却は、ノックアウトドラムで分離される水の大部分を凝縮することになる。実際には、シフト合成ガス流の冷却は、二つのスチーム流、低圧(LP)スチーム及び中圧(MP)スチーム を生成する。これらのスチーム流は、上流プラント(例えば、ガス化装置)で使用され又は発電のスチームタービンに送られてもよい。ノックアウトドラムで分離された水は、微量のCO及び他の不純物を含むだろう。これらの不純物は、凝縮物ストリッパーで凝縮物から取り除かれる。そして、残りの凝縮物(水)は、ボイラー供給水として使用される。
【0119】
そして、低温ガス冷却ステージからのシフト合成ガスは、酸性除去(AGR)プラントに送られ、HSが吸収塔で物理的又は化学的吸着材の使用」により、CO濃縮流から取り除かれてもよい。典型的には、Selexol(商標、ポリエチレン・グリコールのジメチルエーテルの混合物)が吸着材として使用される。分離されたHSは、元素状硫黄の生成用のクラウスプラントに送られ又は硫酸プラントで硫酸に変換されてもよい。しかしながら、HSの共獲得が望まれる場合は、AGRプラントの低温ガス冷却ステージからのシフト合成ガスは、プラントの極低温分離ステージのセパレータ容器における液化COを区分するHSにより消されてもよい。必要であれば、獲得されたCO及び共獲得されたHSから分離された水素リッチ合成ガス蒸気流は、酸化亜鉛ガードベッドを介して通過し、スチームが燃料ガスとして使用される前に、残留HSを取り除く。あるいは、HSは、吸着塔、例えば、Rectisol(登録商標)(メタノール)において、化学的吸着材を用いて、単一極低温分離ステージ又は連続するステージN下流の低温水素濃縮合成ガス蒸気流から取り除いてもよい。典型的には、Rectisol(登録商標)を吸着材として使用する吸着塔は、約−40℃の温度で操作される。従って、水素濃縮合成ガス蒸気流は、蒸気流が乾燥合成ガス供給流に対して−40℃より高く温められる前に、吸着塔に通過されるだろう。
【0120】
AGRプラントを出る(又はAGRプラントをバイパスした)合成ガス供給流は、合成ガス供給流の水分が下流の処理装置における氷結及び妨害物となるため、その後、乾燥される。合成ガス供給流を脱水する実行可能なオプションには、分子篩ベッドを介してガスを通過させることが含まれる。典型的には、乾燥された合成ガス供給流の水含有量は1ppm(モル基準)未満である。
【0121】
一旦、脱水されると、合成ガス供給流は、57バールの圧力で極低温分離プラントに送られる。この冷分離プラントは、典型的には、多チャンネル熱交換器及び少なくとも一つの、好ましくは、直列に配置された二つ以上の極低温分離から成る。多チャンネル熱交換器において、合成ガス供給流は、一つ以上の低温プロダクト流に対して冷却される。しかしながら、多チャンネル熱交換器は、直列及び/又並列に配置された二つ以上のシェル及びチューブ熱交換器により置き換えられてもよく、各熱交換器は合成ガス供給流の冷却材として低温プロダクト流を使用する。シェル及びチューブ熱交換器が並列で使用される場合は、合成ガス供給流が分割され、供給流の一部が各熱交換器に送られ、冷却流が、続いて、熱交換器の下流で再結合される。
【0122】
単一極低温分離ステージがある場合は、合成ガス供給流が、単一分離ステージの熱交換器の外部冷凍材に対して、露点未満に冷却され、単一ステージは、−53乃至−48℃の範囲の温度で圧力が55乃至59絶対バールの範囲で 操作され、流は、二相(実質的に液体CO及び合成ガス供給流と比べてHが濃縮された蒸気相から成る流相)となる。その後、液相は、単一極低温分離ステージのセパレータ容器での蒸気相から分離され、液体CO流及び水素濃縮合成ガス蒸気流は、それぞれ、セパレータ容器の底面又は近くから取り除かれる。二つ以上の極低温分離が直列に配置されている場合は、極低温分離ステージは、連続の最終ステージから排出された水素濃縮合成ガス蒸気流から、少なくとも二つの液体CO流を分離するだろう。従って合成ガス供給流は、極低温分離プラントの第一極低温分離ステージの熱交換器の外部冷凍材に対して、露点未満まで冷却され、流が二相となる。そして、液相(実質的には純粋液CO)は、第一極低温分離ステージのセパレータ容器の蒸気相から分離され、液CO流及び水素濃縮合成ガス蒸気流は、それぞれ、セパレータ容器の底面及び上面又は近くから取り除かれる。そして、水素リッチ合成ガス蒸気流は、極低温分離プラントの熱交換器の別の外部冷凍材に対して、更に露点まで冷却され、流は、二相になり、液相(実質的には純粋液CO)は、第二ステージのセパレータ容器の蒸気相(更に水素で濃縮された)から分離される。これは、別の極低温分離ステージを用いて、CO捕獲が十分なレベルに達するまで、繰り返される。しかしながら、連続の最終ステージは、−53乃至−48℃の範囲の温度で55乃至59絶対バールの範囲の圧力で操作されるべきである。連続する各極低温分離ステージから液体CO流を取り除くこと利点は、これが、液体のサブ冷却を最小にすることにより連続極低温分離ステージへの冷凍負担が減ることである。従って、連続する第一及び中間極低温分離ステージから取り除かれた液体CO流は、連続する分離ステージを迂回するため、追加冷却されない。
【0123】
単一極低温分離ステージがある場合は、エタン及び/又はエチレンが一般的に冷凍材として使用されることにより、合成ガス供給流が−53乃至−48℃の範囲の温度に冷却されることになる。
【0124】
直列に配置された二つ以上の極低温分離ステージがある場合は、異なる極低温分離ステージの所望の凝縮温度により、プロパンが、一つ以上の極低温分離ステージで冷凍材として使用され、続いてエタン及び/又はエチレンを冷凍材として使用されてもよい。しかしながら、他の冷凍材、アンモニア、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)及び混合冷凍材を使用してもよい。典型的な混合冷凍材は、ブタン、プロパン、エタン、エチレンから成る群から選択された少なくとも二つの冷凍材から成る。
【0125】
極低温分離プラントが単一極低温分離ステージから成る場合は、液体CO流はポンプに通過され、輸送のため流の圧力を増加させる。極低温分離プラントが直列に配置された複数の極低温分離ステージから成る場合は、プラントの極低温ステージのセパレータ容器から引き抜かれた液体CO流が、ポンプを通過する前に、結合され、ポンプは輸送のため結合液体CO流の圧力を増加させる。
【0126】
単一極低温分離ステージ又は連続する最終極低温分離ステージ(ステージN)から排出されたH濃縮合成ガス蒸気流は、75乃至90モル%のH及び10乃至25モル%のCOから成る。このH濃縮合成ガス蒸気流は、極低温分離ステージにわたる圧力低下が理想的には最小であるため、高圧(典型的にはおおよそ59バージ)である。そして、水素リッチ合成ガス蒸気流は、例えば、一つ以上のターボ膨張機を用いて、電力島のガスタービンの入り口を通過する前に、圧力が下げられる。水素濃縮合成ガス蒸気流は、ターボ膨張機に入る前に、温める必要がある。固体COがターボ膨張機で形成される温度まで温度低下のリスクをやわらげるためである。典型的には、水素濃縮合成ガスは、ターボ膨張機に入る前に、多チャンネル熱交換器に通過することにより温められる。ターボ膨張機のH濃縮合成ガス蒸気流から回収された膨張エネルギーは、エスポート又はプラント内での使用のため(例えば、冷凍回路のCOポンプ又は圧縮機を駆動するため)電力に変換されることが可能である。ターボ膨張機の水素濃縮合成ガス蒸気流の等エントロピー膨張は、水素濃縮合成ガス蒸気流を冷却することになる。上述したように、有利に、ターボ膨張機を出る水素濃縮合成ガス蒸気流は、多チャンネル熱交換器又は二つ以上のシェル及びチューブ熱交換器において合成ガス供給流を冷却するために使用されてもよい。
【0127】
そして、膨張された水素濃縮合成ガス蒸気流は、燃料ガス飽和希釈ステージ(飽和塔)に送られ、そこでは、水素濃縮合成ガス蒸気流が、スチーム及び/又は任意に窒素で希釈されることにより、約50モル%の水素から成る燃料流を生成することができる。燃料流の希釈は、NO排出及びフレームスピードを制御するために要求される。しかしながら、燃料流のCOの存在は、追加希釈剤の要求を減らすか、それともなくす。そして、燃料流は、電力島に送られ、そこでは、燃料は、少なくとも一つの改良されたガスタービン(GT)の燃焼器の空気中で燃やされる。GTは、電気モータを駆動するために使用されることにより、電力を生成する。ガスタービンからの排出ガスは、熱回収蒸気発生器(HRSG)を通過し、そこでは、排出ガスは、ボイラー供給水で熱交換することによりスチームを生成し、及び/又は、スチームで熱交換して過熱スチームを生成する。典型的には、三つのレベルのスチーム(HP、MP、又はLP)をボイラー供給水から生成することができる。結果として生ずるスチーム流は、ガス化装置に供給される及び/又は発電機を駆動するガスタービンで使用される石油コークス又は石炭と結合されることにより、追加の電力を生成することができる。HRSGからの排気ガスは、大気にさられている。
【0128】
図2は、図1で概略されたブロック図の極低温分離プラントの詳細なプロセスフロー図を示す。合成ガス供給流1は、57絶対バールの圧力で、極低温分離プラントに送られる。合成ガス供給流1は、水素(例えば、40乃至65モル%、典型的には、55モル%)、二酸化炭素(例えば、35乃至60モル%、典型的には、45モル%)、及び水、不活性(例えば、窒素及び/又はアルゴン)、メタン、一酸化炭素等の混入物質から成る。合成ガス供給流が、高圧石炭又は石油コークスガス化装置から得られる場合は、それは、硫化水素(0.2乃至1.5モル、典型的には、約1モル%)から成る酸シフト合成ガス流でもよい。シフト合成ガス流が、改良装置から得られる場合は、硫化水素は供給装置から改良装置へと取り除かれ、改造触媒が汚染されるのを防ぐ。従って、合成ガス供給流は、いずれの硫化水素不純物も含まない。
【0129】
合成ガス供給流1が酸成ガス流である場合は、合成ガス供給流が供給塔(C−101)に送られ、そこでは、流1がHSの選択的吸着剤として作用する溶媒と接触することにより、脱硫合成ガス流2を生成することができる。HSの選択的吸着剤として作用する適切な溶媒は、物理的溶媒、例えば、Selexol(商標、ポリエチレン・グリコールのジメチルエーテルの混合物)又は化学的溶媒、例えば、メチルジメチルアミン(MDEA)を含む。しかしながら、脱硫合成ガス流2は、それでも、微量のHSを保持している。
【0130】
そして、任意に、脱硫合成ガス流2は、プロパン冷凍材に対して、熱交換器E−107にて冷却されることにより、低温流2Aを生成することができる。プラント内で氷の沈殿を避けるため、低温流2Aは、0℃より高い温度であることが重要である。極低温分離プラントのCOを凝縮する前に水を取り除くために、熱交換器E107を出る冷却合成ガス流2Aは、その後、乾燥器D−500に送られる。吸着剤ベッド(例えば、分子篩ベッド)を含むプロセス流から飽和水を取り除く方法は、多く知られている。結果として生ずる乾燥合成ガス流3は、極低温分離プラントに昇圧57バージで0℃を超えた温度で入る。プラントが任意の熱交換器E−107を含まないときには、乾燥合成ガス流の温度は、典型的には、わずかに外気温より高く、例えば、20乃至45℃である。乾燥された合成ガス流は、その後、多チャンネル熱交換器EX−101、例えば、平板フィン熱交換器で、複数の低温プロセス流に対して(下記参照)、冷却されることにより、56絶対バールの圧力と例えば約−27℃の温度の冷却合成ガス供給流4を生成することができる。従って、多チャンネル熱交換器EX−101を出る冷却合成ガス供給流のCOの一部が、蒸気相から液体相として分離する。任意に、セパレータ容器は、第一極低温分離ステージの下流に設けられ、凝縮した液相を取り除く。
【0131】
冷却シフト合成ガス供給流4は、その後、連続する三つの極低温分離ステージの第一に入り、各ステージは熱交換器及びセパレータ容器から成る。セパレータ容器(V−102、V−103及びV−104)は、実質上同じ圧力で、しかし引き続き低い温度で、操作される。第一極低温分離ステージの熱交換器E−102において、冷却合成供給流4は、プロパン冷凍材に対して、更に−29.7℃の温度まで冷却され、二相流5が生成され、二相流5は、セパレータ容器V−102を通過し、そこでは、流5のCOの一部が、蒸気相から液相として分離する。水素が濃縮されCOが枯渇した蒸気流6は、セパレータ容器V−102の上から取り除かれ、熱交換器E−103を介して通過し、そこでは、更に、プロパン又はエタン冷凍材に対して、−40.8℃に冷却されることにより、別の二相流8が生成され、セパレータ容器V−103を通過し、そこでは、流8のCOの一部が蒸気相から液相として分離する。水素が濃縮された蒸気流9は、セパレータ容器V−103の上から引き抜かれ、熱交換器E−104を介して通過し、そこでは、その流が、更に、エタン冷凍材に対して、−50℃に冷却されることにより、二相流11が生成され、セパレータ容器V−104を通過し、そこでは、流11のCOの一部が蒸気相から液相として分離する。濃縮合成ガス流12は、セパレータ容器V−104の上から排出される。
【0132】
熱交換器E−107及びE−102のシェル側に供給されるプロパン冷凍材並びに熱交換器E−103及びE−104のシェル側に供給されるエタン凍材は、連続的に低い温度で、天然ガスを液化する冷凍材を生産する低温方法を含む、当業者に知られた低温方法を用いて得てもよい。熱交換器E−103及びE−104のエタン冷凍材は、エチレンに替えてもよい。また、熱交換器E−107、E−102乃至E104のそれぞれの冷凍材は、ブタン、プロパン、エタン、及びエチレンから成る群から選択された少なくとも二つの冷凍材から成る混合冷凍材流に替えてもよい。異なる熱交換器に供給された混合冷凍材流の組成は、所望のレベルの冷却に達するように調整されてもよい。
【0133】
発明のプロセスは、3つの極低温分離ステージについて述べられているものの、極低温分離ステージの数が、主に、使用される冷凍の異なるレベル、所望のレベルの炭素捕捉、エネルギー効率目標、及び資本コスト要求により、増加又は減らされてもよい。好ましくは、少なくとも二つの極低温分離ステージが備えられる。温度が固体COを形成する値よりも高く維持されなければならないため、最後の分離ステージの最低気温には、限界がある。HSの存在が凝固点を下げるものの、これは、典型的には、−56℃(純COの三重点が5.18バールで56.4℃の温度)で生じる。従って、最後の極低温分離ステージの温度は−55℃、好ましくは、−53乃至−48℃より高い。最後の極低温分離ステージの圧力は、可能な限り高いCOの捕獲を確実にするため、可能な限り高く維持される。典型的には、プラントの極低温分離ステージにわたる圧力降下は、少なくとも1バール、例えば、1乃至5バールである。従って、最後の極低温分離ステージの圧力は、最大55絶対バールであってもよい。
【0134】
それぞれ分離容器V−102,V−103,及びV−104からの液体CO流7、10及び13は、実質的に同じ圧力で、分離容器V−107に送られる結合流14を生成するため混合される。液体CO流16は、容器V−107の底面から引き抜かれ、COポンプP−l0lに送られる。COポンプP−101は、おおよそ130乃至200バージの輸出パイプライン圧力へとCOの圧力を増やす。そして、高圧力液体CO流17は、液体COスチーム71が容器V−101の底面又は近くから引き抜かれる更なるセパレータ容器V−101を通過する前に、多チャンネル熱交換器E−101を介して、通過し、パイプラインに送られる。
【0135】
容器V−107の上から離れるいずれかの蒸気は、多チャンネル熱交換器E−101の上流で、流12と結合することにより、流55が生成される。そして、流55は、乾燥合成ガス供給流3を予冷するのに使用される多チャンネル熱交換器E−101を介して、通過する。熱交換器E−101を出る水素リッチ合成ガス流56は、分離容器V−101の上から引き抜かれる水素リッチ蒸気流67と結合されることにより、希釈流69を形成するため中圧流により任意に希釈される流68を形成する。そして、流69は、燃料ガス流70としてパワープラント(不図示)に送られる前に、熱交換器E−40を介して通過する。熱交換器E−401の目的は、希釈流69の温度を、パワープラントのGTの所望の供給温度に引き上げることである。
【0136】
図3は、図2で述べた極低温分離プラントの変形例を示す。図3において、多チャネンル熱交換器E−101を出る混合液体CO流66は、精留カラムT−101を通過し、残留水素を液体CO流から取り除く。混合液体CO流66は、カラムの中間位置に供給される一方で、水素濃縮蒸気流67は、蒸留カラムの上面又は近くから引き抜かれると共に、水素の縮小体積を有する液体CO流71は、蒸留カラムの底面又は近くから取り除かれ、パイプラインに送られる。また、図3において、セパレータ容器V104上から排出された水素濃縮合成ガス蒸気流12は、乾燥合成ガス供給流3を冷却するために使用される多チャンネル熱交換器E−101のチャネルを介して通過する。多チャンネル熱交換器を出る水素濃縮合成ガス蒸気流は、55バージの圧力で約−10℃であり、セパレータ容器V−107の上から引き抜かれる水素濃縮合成ガス蒸気流15の圧力に膨張されるターボ膨張機K−101に供給されることにより、流を冷却することになる。膨張水素濃縮合成ガス蒸気流は、約42バールの圧力と−30℃の温度のターボ膨張機K−101を出た後、乾燥合成ガス供給流3の追加の冷却をする多チャンネル熱交換器の別のチャネンルを介して通過する。多チャンネル熱交換器をE−101出る膨張された流は、流15と混合され、結果として生じる混合流は、ターボ膨張機K−102に供給され、そこで32バールの圧力で−30℃に膨張される。そして、ターボ膨張機K−102を出る冷却流は、多チャンネル熱交換器E−101の更に別のチャネルを介して通過することにより、乾燥合成ガス供給流3の追加冷却を提供する。そして、多チャンネル熱交換器を出る膨張された水素濃縮合成ガス蒸気流56は、蒸留カラムT−101上から引き抜かれる水素濃縮合成ガス蒸気流67と混合されることにより、流68を形成する。
【0137】
図2及び3の低温凝縮プラントで使用される極低温プロパン冷凍材は、図4aに示されるように、遠心圧縮機K−301によって3つのステージで圧縮される。
【0138】
圧縮機K−301排出からのプロパン蒸気流301は、エア冷却された過熱防止装置E−301で過熱防止された後、冷却されたエア凝縮装置302で十分に凝縮される。液化プロパン305は、水平プロパン受信装置V−301で収集される。液体プロパン流は、V−301の底面から引き抜かれ、液体プロパン流の第一部分306は、HP熱交換器E−107に送られる(乾燥機D−500の上流)。この液体プロパン流の第2部分320は、バブルにわたって圧力が下げられ、容器V−302に供給される。液体プロパン流は、容器V−302の底面から引き抜かれ、別のバルブにわたって圧力が下げられることにより、容器V−301に供給される流310を形成する。容器V−303の底面から引き抜かれた液体プロパン流334は、分流され、第一の極低温分離ステージの熱交換器(ケトル)E−102及びエチレン冷凍材回路凝縮装置に送られる流334A及び349を形成する。熱交換器E−107の上面から出る蒸気流308及び容器V−302の上面から出る蒸気流322は混合され、プロパン圧縮機サンクションドラムV−306及びライン311を介してプロパン圧縮機K−301に送られる流308Bを形成する。容器V−303の上面から出る蒸気流は、プロパン圧縮機サンクションドラムV−305を介してプロパン圧縮機K−301に送られ、熱交換器E−102の上面及びエチレン冷凍材回路凝縮装置E−201A−Dから出るプロパン蒸気は、プロパン圧縮機サンクションドラムV−304を介してプロパン圧縮機K−301に送られる。プロパン圧縮機サンクションドラムV−306、V−305及びC304は、引き続き低い圧力である。
【0139】
CO凝縮回路におけるエチレン冷凍材は、図4bに示すように、共通のシャフトで作動する遠心圧縮機K−201およびK−202によって、二つのステージで圧縮される。圧縮機の排出からのエチレン蒸気流210および216は混合され、エチレン凝縮装置E−201A−Dにおいてプロパン冷凍材に対して完全に凝縮される流201を形成する。そして、E−201を出る液化エチレン流204は、水平エチレン受信装置V−201で収集される。圧縮機の排出圧力は、エチレン凝縮装置E−201A−Dの出口における凝縮圧力で凝縮することにより管理される。
【0140】
凝縮エチレン液体(流205)は、HP及びLPエチレン回路ループにおける第2及び第3極低温分離ステージの熱交換器(ケトル)E−103およびH−104に送られる。HPエチレン回路ループのため、ケトルE−103へのエチレンフロー(流207)は、入り口レベル制御バルブによって制御される。E−103ケトルを出る蒸気流208は、HPエチレンサンクションドラムV−202及びライン209を介して、HPエチレン圧縮機K−201に送られる。LPエチレン回路ループのため、エチレンフローは、エチレンエコノマイザーE−202を介してE−104ケトルに送られ、ケトル入り口レベル制御バルブによって再び制御される。E−104ケトルを出る蒸気流213Aは、エチレンエコマイザーを介して、LPエチレン圧縮機K−202に送られ、冷却デューティーをリカバーするとともに、LPエチレンサンクションドラムV−203に送られる。
【0141】
図5は、合成ガスから二酸化炭素を分離する方法で使用されるシステムの別の例を示す。
【0142】
図5の構成を使用した方法の例において、約55.6モル%のH及び約42.7モル%のCOを含む乾燥したHSのない合成ガス供給流1は、CO、CH、Nを含む他の成分に加えて、40℃の温度で57バールの圧力で、二つの流2及び4に分けられる。
【0143】
そして、流2は、熱交換器E1の冷却材又は外部冷凍材に対して冷却され、流3の温度を約−41℃とし、流4は、熱交換器LNG2でHおよびCOを含むプロダクト流6および9に対して冷却され、流5の温度を約−41℃の温度とする。流3および5は、混合されS1を形成する。
【0144】
流Slは、熱交換器LNG1に入り、内部プロダクト流に対して更に冷却し、流S2を−50℃の温度とする。
【0145】
流S2の二相混合物は、分離容器V1で、98.1モル%のCOを含み供給流1のCOの72.4%を捕える二酸化炭素リッチ液体流S2Lと、80.3モル%H及び17モル%より少ないCOを含み供給流1の98.9%のHをリカバーする水素リッチ流SV2とに分けられる。
【0146】
CO流S2Lを熱交換器LNG1の内部冷却材として使用することは、CO流8の温度を約−38℃に上げ、CO液体流の圧力はポンプP1で押し上げられ、流9の圧力を約150バールとし、本例のCOストレージの要求されるエクスポート圧力に達する。他の適用では、COストレージの異なるエクスポート圧力が望ましい。液体COは、熱交換器LNG2の内部冷却材として使用され、流10の温度を約35℃とする。
【0147】
流S2Vの水素リッチ蒸気は、熱交換器LNG1における内部冷却材として使用され、ライン1Nを介して連続するターボ膨張機EX1およびEX2に供給され、そこでは、徐々に等エントロピー的に膨張され、供給合成ガスの圧縮を助ける機械的作用を生み出す圧力を下げる。当業者であれば、このガス流の等エントロピー膨張により、冷却されることとなることを、理解できるであろう。従って、水素リッチガスは42バールの圧力と−53℃の温度でEXLを出て、熱交換器LNG1を介して送られ、そこでは、高圧力ガス流S1により熱交換され、流2Nを約−38℃の温度までとして、ターボ膨張機EX2を通過し、そこでは、再び膨張され、32バールの圧力で−53℃の温度の流2Tを形成し、再び熱交換器LNG1を介して送られ、そこでは、圧力ガス流S1と熱交換され、流6を約−38℃までの温度とする。流6は、LNG2に入り、そこでは、流4と熱交換をして流7を生成する。流7は、本例でタービン発電機の燃料供給として適切な、約35℃の温度と30バールの圧力で装置を出る。
【0148】
図6は、合成ガスから二酸化炭素を分離する方法で使用されるシステムの別の例を示す。
【0149】
図6の構成を使用する方法の例において、CO、CO、Nを含む他の成分に加えて、約55.6モル%のHおよび42.7モル%のCOを含む乾燥HSフリーガス流が、温度40℃で圧力57バールの圧縮機C1に供給される。この流1は、中間冷却により二つのステージで圧縮され、流2Dの圧力を120バールとし、E2で冷却され流3の温度を40℃とする。
【0150】
そして、流3は、熱交換器LNG1に入る前に、熱交換器E3の外部冷却材又は外部冷凍材に対して冷却され、LNG1では流S1が内部プロダクト流に対してさらに冷却され、流2が−50℃の温度とされ、二相混合物を形成される。本例では、例えば、熱交換器内でわずかな圧力落下により、例えば、約118バール圧力が低下するようにしてもよい。
【0151】
そして、流S2は、セパレータV1において、97.3モル%のCOを含み流1におけるCOの83.6%を捕獲する二酸化炭素リッチ液体流S2Lと、86.2モル%のHを含むとともに流1のHの97.3%をリカバーする水素リッチ蒸気流S2Vとに分離する。
【0152】
CO流S2Lを熱交換器LNG1の内部冷却材として使用することは、流5の温度を約10℃に上げ、C0流の圧力をポンプP1で引き揚げ、流6の圧力を150バールとし、COストレージに要求されるエクスポート圧力に至らせる。
【0153】
水素リッチ蒸気S2Vは、熱交換器LNG1の内部冷却材として使用され、ライン1Nを介して連続するターボ膨張機EX1、EX2及びEX3に供給される。そこでは、徐々に等エントロピー的に膨張され、供給合成ガスの圧縮を助ける機械的作用を生み出す圧力を下げる。当業者であれば、このガス流の等エントロピー膨張により、冷却されることとなることを、理解できるであろう。したがって、水素リッチガスは、EX1を77バールの圧力で−53℃の温度で出て、熱交換器LNG−1を介して送られ、そこでは高圧力ガス流S1と熱交換され、流N2を約30℃の温度までとし、ターボ膨張機EX2を通過し、そこで再度膨張され、50バールの圧力で−53℃の温度の流2Tを形成し、再度熱交換器LNG−1を介して送られ、そこで高圧力ガス流S1と熱交換され、流3Nを約−30℃とされた後にターボ膨張機EX3を通過し、そこで再度膨張され32バールの圧力と−53℃の温度で流3Tを形成し、再度熱交換器LNG−1を介して送られ、そこでは高圧力ガス流S1と熱交換され、本例でタービンパワージェネレータの燃料供給の好ましい温度や圧力である、温度が+10℃で圧力が30バールで装置を出る流4を生み出す。
【0154】
本発明の態様は、ここで述べられた例に限られず、種々の態様が発明の範囲に含まれる。
【0155】
要するに、極低温分離プラントの合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除くプロセスが述べられている。述べられている例では、合成ガス供給流が40乃至65モル%の水素から成り、単一ステージ又は連続する分離ステージの第一ステージに圧力が46乃至90絶対バールで供給される。単一ステージ又は連続するうちの一つステージは、−53乃至−48℃の範囲の温度で44乃至90バールの範囲の圧力で操作される。いくつかの例では、単一ステージ又は連続するうちの結合ステージが合成ガス供給流の二酸化炭素の総モルの70乃至80%を取り除く。極低温分離プラントのステージから排出された液化COプロダクト流は、化学プロセスで分離され及び/又は使用される。
【0156】
また、合成ガス流を水素リッチ蒸気と二酸化炭素リッチ流とに分離するプロセスが述べられている。ある例では、プロセスは合成ガス流を二相混合物が形成される温度に冷却するステップと、直接的又は間接的に形成された冷却流をガス液体セパレータ容器に通過させるステップであって、150バージより低い圧力を有するガス液体セパレータ容器への供給と、セパレータ容器から水素リッチ蒸気流とセパレータ容器から液体COを引き抜くステップと、分離された水素リッチ蒸気を直列に配置された複数の膨張機を含む膨張システムに供給するステップから成り、水素リッチ蒸気流は、連続する膨張機のそれぞれで膨張され、膨張された水素リッチ蒸気流は、膨張機のそれぞれから、低下した温度に続き低下した圧力で、少なくとも一つの膨張水素リッチ蒸気流を冷却材として使用して、引き抜かれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、この方法は、単一の極低温分離ステージ又は連続して配置された少なくとも二つの極低温分離ステージから成り、連続するステージがステージ1からステージNで示され、文字Nは、連続するステージの数を表し、単一のステージ又は連続する各ステージは、(a)外部冷却材との非接触熱交換により合成ガスを冷却することによって合成ガスから二酸化炭素を濃縮し液化二酸化炭素を生成すると共に、(b)液化二酸化炭素プロダクト流及び水素リッチ合成ガス流を排出する単一ステージにより又はステージ1からステージNへの合成ガスが進行するに従い合成ガスを引き続き低温で冷却する連続の各ステージにより、合成ガスから液化二酸化炭素を分離することで、水素濃縮合成ガス蒸気流を排出するステージNにより液化二酸化炭素プロダクト流を各ステージから個別に取り除く製造方法において、
(i)合成ガス供給流は、40乃至65モル%水素を含み、46から76絶対バールの範囲の圧力で、単一ステージ又は連続の第一ステージに供給され、
(ii)単一ステージ又は連続のステージNは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44から74絶対バールの範囲の圧力で操作されることにより、単一ステージ又は連続の複合ステージが合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の70乃至80%を取り除き、
(iii)極低温分離プラントのステージから排出された液化COプロダクト流は、分離され及び/又は化学プロセスで使用される製造方法。
【請求項2】
液体COプロダクト流は、分離される前に、原油の二次回収に使用されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
合成ガス供給流の二酸化炭素の総モルの75乃至80%が極低温分離プラントで分離されることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
合成ガス流は、水素、二酸化炭素、及び硫化水素から成り、硫化水素は単一極低温分離ステージ又は連続する極低温分離ステージのそれぞれで合成ガス流から濃縮され、硫化水素は液化二酸化炭素プロダクト流において単一ステージ又は連続するステージのそれぞれで取り除かれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
単一ステージ又は連続する結合ステージは、合成ガス供給流から硫化水素の総モル80%を取り除くことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
合成ガス供給流は、極低温分離プラントの上流で20乃至50℃の範囲の温度に冷却されることにより、凝縮物を凝縮し、冷却された合成ガス流から凝縮物が分離されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
合成ガス供給流は、CO凝縮プラントを通過する前に乾燥され、合成ガス供給流がモル基準で1ppm未満の含水量を有することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
合成ガス供給流は、CO凝縮プラントの予冷熱交換器を通過し、合成ガス供給流が液体COプロダクト流及び低温H濃縮合成ガス蒸気流から選択された低温プロセス流に対して予冷されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
合成ガス供給流は、多チャネル熱交換器において、合成ガス供給流を多チャネル熱交換器の少なくとも1つのチャネルを介して通過されることと、複数の低温プロセス流を多チャネル熱交換器の別のチャネルを介して通過することにより、冷却されることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
極低温分離プラントの単一ステージ又は連続するステージにわたる圧力低下は、2乃至10バールの範囲であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
単一極低温分離ステージのセパレータを出る又は連続する極低温分離ステージのステージNを出る水素濃縮合成ガス蒸気は、合成ガス供給流との熱交換器関係で多チャネル熱交換器のチャネルを介して通過する、多チャネル熱交換器の別のチャネルに供給される前に第一ターボ膨張機の圧力を下げるため膨張により冷却され、水素リッチ蒸気流は、任意に多チャネル熱交換器の更に別のチャネルに供給される前に第二ターボ膨張機の圧力を下げるため膨張により冷却されることにより、合成ガス供給流を−15乃至−35℃の範囲に予冷することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
極低温分離プラントの単一低温分離ステージ又は最終極低温分離ステージ(ステージN)から排出される、水素濃縮合成蒸気流が、少なくとも70モル%の水素、好ましくは、少なくとも80モル%を含み、膨張された水素濃縮蒸気流が発電機を駆動するガスタービンの燃焼器の燃料流として使用されることにより、燃焼器の所望の燃料ガス供給圧力未満に水素濃縮蒸気流を膨張しない電力を生産することを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
単一極低温分離ステージから取り除かれた液体CO流、又は、連続する極低温ステージから取り除かれた混合液体COは、少なくとも90モル%のCO、特に、少なくとも94モル%のCOから成り、液体CO流又は混合液体CO流は、精留カラムに供給され、容量で少なくとも1%の水素から成る液体COプロダクト流が、蒸留カラムの底面又は近くから取り除かれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
液化COプロダクト流は、パイプラインによって、油田又はガス田の受け入れ装置に送られ、COプロダクト流は、油田又はガス田の貯蔵庫に注入されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離する製造方法において、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップと、
b)ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に気液セパレータ容器を通過させるステップであって、150バージ未満の圧力を有する気液セパレータ容器への供給と、
c)セパレータ容器から水素リッチ蒸気流を及びセパレータ容器から液体COを引き抜くステップと、
d)直列に配置された複数の膨張機を含む膨張システムに分離された水素リッチ流を供給し、連続する膨張機それぞれで水素リッチ蒸気流を膨張させ、膨張された水素リッチ蒸気流を各膨張機から低下された温度と続いて低下された圧力で引き抜く下げ、
e)少なくとも一つの膨張水素リッチ蒸気を冷却材として使用するステップ、から成る製造方法。
【請求項16】
膨張された水素リッチ蒸気流は、水素リッチガス流、二酸化炭素流、及び合成ガス流から選択された一つ以上の流を冷却するために使用されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
膨張機は、連続する膨張機それぞれの水素リッチ蒸気に対し等エントロピー膨張をもたらし、原動力を生み出すことを特徴とする請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
分離された二酸化炭素流の圧力を増加させることを更に含む請求項15乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
分離された水素リッチ流を直接的に又は間接的に別のガス液体セパレータ容器を通過させ、第二分離された水素リッチ蒸気流をセパレータ容器から第二液体CO流をセパレータ容器から引き抜くことを更に含む請求項15乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離する製造方法において、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却するステップと、
b)ステップ(a)で形成された冷却された流を直接又は間接的に第一気液セパレータ容器を通過するステップであって、150バージ未満の圧力を有する気液セパレータ容器への供給と、
c)セパレータ容器から水素リッチ蒸気流を及びセパレータ容器からの液体COを引き抜くステップと、
d)ステップ(c)で形成された水素リッチ蒸気流を直接又は間接的に第二気液セパレータ容器を通過させ、第二水素リッチ蒸気を前記気液セパレータ容器から及び液体COを前記気液セパレータ容器から引き抜くステップと、
e)少なくとも一つの膨張機を含む膨張システムに分離された水素リッチ蒸気流を供給し、水素リッチ蒸気流をシステムの膨張機において膨張させ、水素リッチ蒸気流を低下させた温度と圧力で引き抜き、
f)膨張された水素リッチ蒸気を冷却材として使用するステップ、から成る製造方法。
【請求項21】
第二セパレータ容器の上流の分離された水素リッチ流を冷却することを更に含む請求項19又は20の製造方法。
【請求項22】
極低温分離プラントにて合成ガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、この方法は、単一極低温分離ステージ又は連続して配置された少なくとも二つの極低温分離ステージから成り、連続のステージがステージ1からステージNで示され、文字Nは、連続するステージの数を表し、単一ステージ又は連続する各ステージは、(a)外部冷却材との非接触熱交換により合成ガスを冷却することによって合成ガスから二酸化炭素を濃縮し液化二酸化炭素を生成すると共に、(b)液化二酸化炭素プロダクト流及び水素濃縮合成ガス流を排出する単一ステージ又はステージ1からステージNへの合成ガス経過として合成ガスを引き続き低温に冷却する連続の各ステージにより、合成ガスから液化二酸化炭素を分離することにより、水素リッチ合成ガス蒸気流を排出するステージNにより液化二酸化炭素プロダクト流を各ステージから個別に取り除く、製造方法において、
(i)合成ガス供給流は、40乃至65モル%の水素を含み、46から90絶対バールの範囲の圧力で、単一ステージ又は連続の第一ステージに供給され、
(ii)単一ステージ又は連続のステージNは、−53乃至−48℃の範囲の温度及び44乃至74絶対バールの範囲の圧力で操作されることにより、単一ステージ又は連続の結合ステージが合成ガス供給流の二酸化炭素の総モル数の70乃至80%を取り除き、
(iii)極低温分離プラントのステージから排出された液化COプロダクト流は、分離され及び/又は化学プロセスで使用される製造方法。
【請求項23】
合成ガス供給流は熱交換器システムに通過させ、合成ガス供給流が、COプロダクト流及びH濃縮流から選択されたより低温のプロセス流に対して、好ましくは、合成ガス供給流が多チャネル熱交換器において、合成ガス供給流は、合成ガス供給流を多チャネル熱交換器の少なくとも一つのチャネルを介して及び複数の低温のプロセス流を多チャネル熱交換器の別のチャネルを介して通過することによって、冷却されることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
セパレータを出る水素リッチガス蒸気流は、多チャネル熱交換器のチャネルを介して、合成ガス供給流との熱交換器関係で通過させ膨張により冷却され、多チャネル熱交換器の別のチャネルに供給される前に第一ターボ膨張機の圧力を下げ、また、多チャネル熱交換器の別のチャネルに供給される前に、水素濃縮蒸気流が、任意に、第二ターボ膨張機のより低い圧力へ膨張により冷却されことを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
水素リッチ流は、ガスタービンの燃焼器の燃料流として使用されることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の製造方法。
【請求項26】
液化COプロダクト流は、油田又はガス田の受け入れ設備にパイプラインによって送られ、COプロダクト流は、油田又はガス田の貯蔵庫に注入されることを特徴とする請求項1乃至25のいずれかに記載の製造方法。
【請求項27】
極低温分離プラントのガス供給流から二酸化炭素を取り除く製造方法であって、この方法は、単一極低温分離プラント又は直列に配置された少なくとも二つのステージから成り、連続のステージは1からNで示され、文字Nは連続するステージの数を示し、単一ステージ又は連続の各ステージは、(a)冷凍材との非接触熱交換によりガスを冷却することによりガスから二酸化炭素を凝縮し、(b)ガスから液化二酸化炭素を分離し、または、合成ガスがステージ1からステージNへ進行するにつれて、連続の各ステージが合成ガスを連続的に低い温度に冷却することにより、ガス蒸気流を排出するステージNによって各ステージから液化二酸化炭素プロダクト流を個別に取り除く製造方法。
【請求項28】
合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離するシステムにおいて、
a)二相混合物が形成される温度にガス流を冷却する冷却システムと、
b)冷却システムから二相混合物を直接又は間接的に受けるために配置された第一気液セパレータ容器であって、150バール未満の圧力で、気液セパレータ容器の出力は水素リッチ蒸気流及び液体CO流であり、
c)水素リッチ流を受けるためセパレータ容器の下流に配置された膨張システムであって、前記膨張システムは直列に配置された複数の膨張機を含み、水素リッチ流が連続する各膨張機において膨張され、水素リッチ流が各膨張機から低下した温度と引き続いて低下した圧力とで引き抜かれ、
d)膨張された水素リッチ流を冷却システムに供給する流路と、を備えるシステム。
【請求項29】
合成ガス流を水素リッチ蒸気流及び二酸化炭素リッチ流に分離するシステムにおいて、
a)二相混合物が形成される温度に合成ガス流を冷却する冷却システムと、
b)配置された第一気液セパレータ容器であって、直接又は間接的に冷却流を受け、150バージ未満の圧力を有する気液セパレータ容器への供給と、第一水素リッチ蒸気流及び液体CO流を出力し、
c)第一水素リッチ流を直接又は間接的に受け、セパレータ容器から第二水素リッチ流を及びセパレータ容器から液体COを出力する第一気液セパレータの下流の第二気液セパレータ容器と、
d)好ましくは、第二セパレータ容器の下流に配置された、少なくとも一つの膨張機を含む膨張システムであって、水素リッチ蒸気流を受け、システムの膨張機において膨張させ、膨張された水素リッチ蒸気流が膨張機から低下した温度と圧力とで引き抜かれ、
e)膨張された水素リッチ流を冷却システムに供給する流路と、を備えるシステム。
【請求項30】
配置された圧縮機又はポンプを含み分離された二酸化炭素流の圧力を上げることを特徴とする請求項28又は29に記載のシステム。
【請求項31】
明細書で(ここで)実質的に述べられ一以上の添付図面に任意に関連する製造方法又は製造方法のステップ。
【請求項32】
明細書で(ここで)実質的に述べられ一以上の添付図面に任意に関連するシステム又はコンポーネント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−519649(P2012−519649A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553503(P2011−553503)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000405
【国際公開番号】WO2010/103259
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(503061913)ビーピー オルタネイティブ エナジー インターナショナル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】