亜鉛回収装置
【課題】亜鉛含有の灰から亜鉛を効率よく回収できる亜鉛回収装置を提供することを目的とする。
【解決手段】亜鉛含有の飛灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置5Aにおいて、飛灰を収容して加熱し、飛灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を還元雰囲気の中で気化させる溶融還元槽19と、溶融還元槽19で気化された亜鉛を回収するスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット25とを備える。この亜鉛回収装置5Aでは、飛灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット25で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【解決手段】亜鉛含有の飛灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置5Aにおいて、飛灰を収容して加熱し、飛灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を還元雰囲気の中で気化させる溶融還元槽19と、溶融還元槽19で気化された亜鉛を回収するスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット25とを備える。この亜鉛回収装置5Aでは、飛灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット25で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛含有の灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鋼ダストなどの処理に、例えば、特許文献1に記載のロータリーキルンなどの焙焼装置を利用する場合がある。この種の焙焼装置は、還元性雰囲気の中でダストを焙焼する焙焼炉と、焙焼炉から排出された燃焼排ガスを二次燃焼する二次燃焼室とを備えている。焙焼装置の焙焼炉では、ダストに含まれる鉄などの再資源化のため、亜鉛などの低沸点金属を気化させて除去する。気化した亜鉛は飛灰(「フライアッシュ」、「FA」ともいう)となって二次燃焼室を通過し、バグフィルタなどで捕捉されて回収される。
【特許文献1】特開2005−29836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回収した飛灰から亜鉛を取り出して再資源化しようとした場合に、回収される飛灰中に少なくとも50%以上の亜鉛濃度がなければ亜鉛回収に伴う処理負担が大きく亜鉛の回収効率が悪い。しかしながら、従来の焙焼炉では、回収される飛灰中に含まれる亜鉛濃度は低く、特に、亜鉛回収を意図した装置構成にもなっていないため、亜鉛含有の灰から亜鉛を効率良く回収することは困難だった。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、亜鉛含有の灰から亜鉛を効率よく回収できる亜鉛回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、亜鉛含有の灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置において、灰を収容して加熱し、灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を還元雰囲気の中で気化させる加熱室と、加熱室で気化された亜鉛を回収する回収手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明では、灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛を回収手段で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0007】
さらに、亜鉛含有の灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、加熱室は、焙焼炉から排出された溶融スラグを収容し、溶融スラグによって灰を加熱すると好適である。溶融スラグは高温状態で焙焼炉から排出されるため、亜鉛を気化させるための熱源として溶融スラグを利用することで、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。
【0008】
さらに、焙焼炉から排出された溶融物を比重差によって溶融金属と溶融スラグとに分離すると共に、溶融金属から分離された比重の軽い溶融スラグを加熱室に供給する溶融スラグ分離部を更に備えると好適である。溶融物から溶融金属と溶融スラグとを分離し、溶融スラグのみを加熱室に供給するので、溶融金属は回収して再利用することができる。
【0009】
さらに、回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有すると好適である。気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサーで凝縮させて回収することで、亜鉛の効率的な回収が可能になる。
【0010】
さらに、回収手段は、加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有すると好適である。気化された亜鉛を冷却手段によって凝固させて回収できるため、亜鉛を固体として効率よく回収できる。
【0011】
さらに、冷却手段は、気体状の亜鉛に接して亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、冷却水中で亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、沈殿槽から引き抜かれた冷却水を沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、気体状の亜鉛は、エジェクタに導入されて冷却水に攪拌混合されると好適である。気体状の亜鉛は、エジェクタによって攪拌されながら冷却水に効率よく接して冷却されるため、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽内での沈殿分離されるので、塩素分などは除かれ、純度の高い固体状の亜鉛を効率よく回収できる。
【0012】
さらに、亜鉛含有の灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、加熱室は、灰を収容する収容部と、焙焼装置で加熱された予熱空気によって、収容部に収容された灰を加熱する熱交換部と、を有すると好適である。亜鉛を気化させるための熱源として焙焼装置で加熱された予熱空気を利用することで、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。
【0013】
さらに、回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有すると好適である。気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサーで凝縮させて回収することで、亜鉛の効率的な回収が可能になる。
【0014】
さらに、回収手段は、加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有すると好適である。気化された亜鉛を冷却手段によって凝固させて回収できるため、亜鉛を固体として効率よく回収できる。
【0015】
さらに、冷却手段は、気体状の亜鉛に接して亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、冷却水中で亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、沈殿槽から引き抜かれた冷却水を沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、気体状の亜鉛は、エジェクタに導入されて冷却水に攪拌混合されると好適である。気体状の亜鉛は、エジェクタによって攪拌されながら冷却水に効率よく接して冷却されるため、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽内での沈殿分離されるので、塩素分などは除かれ、純度の高い固体状の亜鉛を効率よく回収できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、亜鉛含有の灰から亜鉛を効率よく回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る亜鉛回収装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図、図2は本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図、図4は本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図、図5は本実施形態に係るスプラッシュコンデンサーを模式的に示す図である。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示されるように、亜鉛回収システム1Aは、製鋼ダストなどの亜鉛含有物W1を焙焼処理するキルン回転炉(焙焼装置)3Aと、キルン回転炉3Aから排出された亜鉛含有の飛灰(「フライアッシュ」、「FA」ともいう)Faから亜鉛を回収する亜鉛回収装置5Aとを備えている。
【0019】
キルン回転炉3Aは、縦型キルンもあるが、本実施形態では横型キルンを採用している。図2に示されるように、キルン回転炉3Aは、亜鉛含有物W1を焙焼する円筒形状の焙焼炉7と、焙焼炉7から排出される燃焼排ガスを二次燃焼する二次燃焼室9とを備えている。焙焼炉7及び二次燃焼室9は還元雰囲気に保持され、焙焼炉7では1500℃以上の炉内温度に維持されており、亜鉛などの低沸点金属を燃焼排ガスと一緒に二次燃焼室9に排出する。
【0020】
焙焼炉7の外周には歯車7aが設けられ、焙焼炉7は図示しないモータによって軸線L回りに回転する。焙焼炉7は、亜鉛含有物W1を受入れ側Usから排出側Dsへ移動させることができるように、受入れ側Usから排出側Dsに向けて下方に傾斜されている。焙焼炉7と二次燃焼室9とは、焙焼炉7が回転可能に且つ接合部の気密が保持されるように接合されている。
【0021】
焙焼炉7の受入れ側Usの端面であるフロントウォール7bには、定量供給装置8に連結される受入口が形成されている。また、フロントウォール7bには、助燃バーナ7cが貫通して配置されている。助燃バーナ7cは、フロントウォール7bから焙焼炉7の排出側Dsに向かって火炎を放射する。助燃バーナ7cには、図示しない燃料ポンプによって燃料タンクから重油等の燃料が供給される。
【0022】
定量供給装置8は、フロントウォール7bの受入口に接続されたシリンダ部8aと、シリンダ部8a内を往復動する押出部8bと、押出部8bの往復動を駆動制御する供給器8cと、シリンダ部8a内に連通するホッパ8dとを備えている。ホッパ8dには、製鋼ダストなどの亜鉛含有物W1の他、還元剤やダイオキシン吸着のための活性炭などが投入される。ホッパ8d内に堆積する亜鉛含有物W1は、押出部8bの往復動によって定量ずつが焙焼炉7内に供給される。定量供給装置8は、スクリューコンベヤなどによって亜鉛含有物W1等を焙焼炉7内に供給する装置であってもよい。
【0023】
焙焼炉7内へ供給された亜鉛含有物W1は、供給当初から助燃バーナ7cによって加熱される。亜鉛含有物W1は、焙焼炉7内において、攪拌されながら1500℃以上にまで加熱され、受入れ側Usから排出側Dsに移動する。焙焼炉7内では、亜鉛含有物W1中の鉄、その他の沸点の高い金属を含む溶融金属W3や溶融スラグW4が生成され、排出側Dsの出口から排出される。また、亜鉛含有物W1中に含まれている有機物は、焙焼炉7内で熱分解され、ガス状可燃物になり、燃焼排ガスとなって二次燃焼室9に送られる。さらに、焙焼炉7内では、亜鉛などの低沸点金属は蒸発し、燃焼排ガスと一緒に飛灰Faとなって二次燃焼室9に送られる。
【0024】
二次燃焼室9には、補助バーナ(図示せず)が設けられており、燃焼排ガス中のガス状可燃分を完全に燃焼させる。二次燃焼室9の下部には、溶融スラグ分離部11と、飛翔ダスト排出部12とが隣接して設けられている。溶融スラグ分離部11は、焙焼炉7側に設けられ、飛翔ダスト排出部12は二次燃焼室9の傾斜した側面側に設けられている。
【0025】
飛翔ダストは、二次燃焼室9で流速が落ちて落下し、飛翔ダスト排出部12からスクリューコンベヤなどの粉体排出手段16に送り込まれる。飛翔ダストには、未燃焼分が多く含まれており、粉体排出手段16で搬送された飛翔ダストは、再度焙焼炉7に投入される。一方で、二次燃焼室9の上方から排出された亜鉛含有の飛灰Faは、バグフィルタ17によって捕捉され、亜鉛回収装置5AのFA供給器21に送り込まれる。
【0026】
また、二次燃焼室9には、高温排ガスとの熱交換によって酸素や空気を予熱するための予熱酸素管13と予熱空気管15とが設けられている。予熱酸素管13は、第1移送管13a、第2移送管13b及び第3移送管13cの3方に分岐している。第1移送管13aや第2移送管13bは溶融還元槽19に接続されており、燃焼用酸素や還元用酸素を溶融還元槽19に供給する。第3移送管13cは、二次燃焼室9内で溶融スラグ分離部11の上方まで延びている。また、予熱空気管15は溶融還元槽19に接続され、熱源として予熱空気を利用した熱交換部として機能する。
【0027】
溶融スラグ分離部11は、焙焼炉7の出口下部に隣接して配置された比重分離ホッパ11aと、比重分離ホッパ11aの下に配置された溶融金属回収部11bと、比重分離ホッパ11aからオーバーフローした溶融スラグW4を蓄えるスラグ保持槽11cと、スラグ保持槽11cで蓄えられた溶融スラグW4を亜鉛回収装置5Aに供給する溶融スラグ供給ライン11dとを備えている。
【0028】
比重分離ホッパ11aには、溶融物W2の受け入れるためにテーパ穴Thが形成されている。テーパ穴Thは、上部側で広く、底となる下部で狭くなるように縮径している。テーパ穴Thの底には出口が形成され、比重分離ホッパ11aには、その出口を開閉するゲートバルブ11fが設けられている。さらに比重分離ホッパ11aには、テーパ穴Thの上部から溶融スラグW4をオーバーフローさせてスラグ保持槽11cに送り込むための溝(図示せず)が設けられている。
【0029】
焙焼炉7から排出された溶融物W2の中には、資源として再利用できる鉄などの溶融金属W3と溶融スラグW4とが含まれている。溶融金属W3は、溶融スラグW4に比べて比重が重いため、この比重差によって溶融金属W3は溶融スラグW4から分離して沈殿する。溶融金属W3から分離した溶融スラグW4はテーパ穴Thからオーバーフローしてスラグ保持槽11cに送り込まれる。比重分離ホッパ11aの上方には、予熱酸素管13の第3移送管13cの噴出し口が配置されており、表層に浮いている余剰の還元剤(カーボン)に向けて高温酸素が吹き付けられて還元剤の燃焼処理に利用される。なお、この還元剤は、後述の溶融還元槽19の還元剤として利用できるため、ここで燃焼処理を行わなくてもよい。
【0030】
ゲートバルブ11fは、テーパ穴Thの下端の出口を塞いでおり、溶融金属W3がある程度溜るとテーパ穴Thの出口を一時的に開き、溶融金属W3を流出させて再び閉じる。溶融金属W3は、テーパ穴Thの出口から流出して溶融金属回収部11bに送り込まれる。溶融金属回収部11bでは、冷却水によって溶融金属W3を固化させ、メタルコンベヤで搬送する。メタルコンベヤで搬送された鉄などの金属は資源として再利用される。
【0031】
溶融スラグ供給ライン11dには、移送管や開閉弁などが設けられており、スラグ保持槽11cと溶融還元槽19(図4参照)とを接続する。スラグ保持槽11c内に所定量以上の溶融スラグW4が溜ると開閉弁が開き、溶融スラグW4が溶融還元槽19に供給される。なお、本実施形態では、溶融スラグ分離部11は、キルン回転炉3Aを構成する二次燃焼室9の下部に設けられていたが、キルン回転炉3Aとは独立して設け、焙焼炉7から排出された溶融物W2の移送管を介してキルン回転炉3Aに接続された態様であってもよい。溶融スラグ分離部11は、亜鉛回収装置5Aの一部を構成する。
【0032】
亜鉛回収装置5Aは、溶融スラグ分離部11から供給された溶融スラグW4を受け入れて収容する溶融還元槽(加熱室)19と、バグフィルタ17によって捕捉された飛灰Faを受け入れて溶融還元槽19に供給するFA供給器21と、溶融還元槽19で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサー23と、スプラッシュコンデンサー23から排出された残りの亜鉛を凝固させる亜鉛冷却ユニット(冷却手段)24とを備えている。本実施形態では、スプラッシュコンデンサー23及び亜鉛冷却ユニット24が回収手段に相当する。
【0033】
溶融還元槽19は、左右に隣接した第1部屋19aと第2部屋19bとを有する。第1部屋19aと第2部屋19bとは、下部が連通した状態で上部が隔壁19cによって区画されている。第1部屋19aの天井は開放され、第2部屋19bの天井は閉鎖されている。第1部屋19aの上方には、溶融スラグ供給ライン11dの下流端が配置されている。溶融スラグW4は、溶融スラグ供給ライン11dを通り、溶融還元槽19の熱源として第1部屋19aに供給される。第1部屋19aと第2部屋19bとは、隔壁19cの下方の隙間で連通しており、その隙間を通って溶融スラグW4は第2部屋19bにも流れ込む。第2部屋19b内の上部領域である気相部分Gaは外部から遮断された状態になっている。
【0034】
第2部屋19bの天井には、FA供給器21の飛灰供給管21aが接続されている。FA供給器21は、飛灰Faが投入されるホッパ21bと、ホッパ21bの下端に接続されたスクリューコンベヤ21cとを更に備える。ホッパ21bに投入された飛灰Faは、スクリューコンベヤ21cによって飛灰供給管21aまで移送され、飛灰供給管21aを通って第2部屋19bに供給される。第2部屋19bには、1200℃以上の高温の溶融スラグW4が熱源として収容されており、さらに、還元雰囲気が形成されている。第2部屋19bに飛灰Faを供給することで、飛灰Fa中に含まれる亜鉛は気化する。気化した亜鉛は、第2部屋19bに設けられた亜鉛排出部19dから排ガスと一緒に排出される。なお、溶融還元槽19での還元雰囲気の形成には、溶融スラグW4と共にキルン回転炉3Aから持ち込まれた余剰の還元剤や、ダイオキシン吸着に用いられた飛灰Fa中の活性炭などが有効利用される。
【0035】
なお、第2部屋19bには、補助的な加熱のための補助バーナ19fと、キルン回転炉3Aの二次燃焼室9で予熱された酸素を補助バーナ19fの燃焼促進のために部屋内に供給する予熱酸素供給部19gが設けられている。予熱酸素供給部19gは予熱酸素管13に接続されている。さらに、第2部屋19b内には、予熱空気管15が敷設されており、二次燃焼室9で加熱された予熱空気を熱源として利用した熱交換部として機能する。
【0036】
溶融還元槽19内での各金属の状態について図6を参照して説明する。図6は、各金属の融点、沸点及び平衡蒸気圧を示す図である。亜鉛(Zn)の沸点は、100℃以下であり、焙焼炉7で揮発した後にバグフィルタ17によって飛灰Faとして捕捉され、溶融還元槽19の第2部屋19bに供給される。
【0037】
溶融還元槽19内の温度は、少なくとも亜鉛を気化させて排ガスと一緒に後段のスプラッシュコンデンサー23に供給できる温度にする必要があり、そのためには、溶融還元槽19内の温度を1200℃〜1300℃程度に維持するのが好ましい。溶融スラグW4を熱源として利用することで、この程度の温度状態を保持することは可能になる。溶融還元槽19の温度を1200℃〜1300℃にすることで、溶融還元槽19に供給された飛灰Fa中の亜鉛は溶融還元されて気化し、排ガスと共にスプラッシュコンデンサー23に導入される。一方で、飛灰Fa中の残渣は、溶融スラグW4と一緒にスラグ排出部19hから排出される。
【0038】
スプラッシュコンデンサー23は、溶融還元槽19に隣接して設けられている。図5に示されるように、スプラッシュコンデンサー23は、溶融した亜鉛を貯留する貯留槽23aと、貯留槽23a内に気体状の亜鉛を導入する導入部23bとを備えている。導入部23bは亜鉛移送管23c(図4参照)を介して溶融還元槽19の亜鉛排出部19dに接続されており、溶融還元槽19で気化した亜鉛は、亜鉛移送管23c及び導入部23bを通って貯留槽23aに供給される。
【0039】
スプラッシュコンデンサー23は、貯留槽23aに貯留された溶融状態の亜鉛を攪拌して飛散させる複数の攪拌翼23dを備えている。気体状の亜鉛は、飛散された亜鉛に接触することで効率良く凝縮される。貯留槽23a内で凝縮した亜鉛は、粗亜鉛Z1として回収管23fから引き抜かれて回収される。貯留槽23a内で凝縮されなかった亜鉛は、排ガスと一緒に排出部23gから排出される。
【0040】
図1及び図2に示されるように、亜鉛冷却ユニット24は、スプラッシュコンデンサー23に隣接して設けられている。亜鉛冷却ユニット24は、排気ガス中の亜鉛の冷却及び洗浄のためのメイクアップ水(冷却水)Wを貯留する沈澱槽25を備えている。沈澱槽25には、メイクアップ水Wの導入管25a及び排出管25bが接続されている。さらに、亜鉛冷却ユニット24は、沈澱槽25に接続されたメイクアップ水Wの循環ライン26を備えている。循環ライン26は、メイクアップ水Wを沈澱槽25内に噴射するエジェクタ26aと、エジェクタ26aと沈澱槽25の下部とを連通するメイクアップ水移送管26bと、沈澱槽25内のメイクアップ水Wを引き抜いて所定圧でエジェクタ26aに送り込むポンプ26cとを備えている。エジェクタ26aは、ダクト管26dを介してスプラッシュコンデンサー23の排出部23gに接続されている。
【0041】
気体状の亜鉛はダクト管26dを通ってエジェクタ26aに到達し、エジェクタ26aで攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却され、メイクアップ水Wと一緒に沈澱槽25内に噴射される。メイクアップ水Wによって冷却された亜鉛は、気体から固体に相転移、すなわち凝固して沈澱槽25内に沈殿する。沈澱槽25の底部には亜鉛Z2の排出口25cが設けられている。亜鉛冷却ユニット24で回収される亜鉛Z2は純度が高く、後処理の負担も少ないため効率よく再利用を図ることができる。特に、メイクアップ水Wによって塩素分が除去されるため高品質の亜鉛Z2として回収できる。
【0042】
次に、亜鉛回収装置5Aを使用した亜鉛回収方法について説明する。キルン回転炉3Aの焙焼炉7では、炉内温度を1500℃程度以上に維持して亜鉛含有物W1を焙焼し、亜鉛含有の燃焼排ガスを二次燃焼室9に排出する。二次燃焼室9では、燃焼排ガス中の可燃物を二次燃焼させ、亜鉛含有の残りの飛灰Faを二次燃焼室9から排出させ、その飛灰Faをバグフィルタ17で捕捉する。
【0043】
一方で、焙焼炉7では、鉄などの比較的沸点の高い金属を含む溶融物W2を溶融スラグ分離部11に排出し、溶融スラグ分離部11では、比重差によって溶融金属W3と溶融スラグW4とを分離し、溶融金属W3は引き抜いて再利用可能に回収する。また、溶融スラグW4は溶融還元槽19の熱源として溶融還元槽19に供給する。
【0044】
バグフィルタ17で捕捉した亜鉛含有の飛灰Faは、溶融還元槽19に供給する。溶融還元槽19は、溶融スラグW4によって1200℃〜300℃程度に維持されており、溶融還元槽19内で飛灰Fa中の亜鉛を気化する(気化工程)。なお、溶融スラグW4のみでは温度が不安定になる場合には、補助バーナ19fや予熱空気を利用した熱交換によって溶融還元槽19を1200℃〜1300℃程度に保持する。さらに、溶融還元槽19を還元雰囲気に保持し、飛灰Fa中の亜鉛を溶融還元した後に気化させ、スプラッシュコンデンサー23に供給する。
【0045】
スプラッシュコンデンサー23では、気化した亜鉛を凝縮させ、粗亜鉛Z1として回収する。さらに、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった亜鉛は、排ガスと一緒に亜鉛冷却ユニット24に供給して冷却し、亜鉛冷却ユニット24の沈澱槽25で沈殿分離して純度の高い亜鉛Z2として回収する(回収工程)。
【0046】
以上の亜鉛回収装置5Aによれば、キルン回転炉3Aの二次燃焼室9から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット24で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。通常、亜鉛精錬メーカーなどでは、亜鉛濃度が少なくとも50%以上なければ原料として購入しないため、飛灰Faを処理しようとすれば、外部の業者などに有償で処理してもらう必要がある。しかしながら、本実施形態では、飛灰Faから効率よく亜鉛Z1,Z2を回収できるために、80%以上もの高濃度の亜鉛を回収できるようになり、亜鉛精錬メーカーに亜鉛原料として売却できるようになり、コスト面での経済的なメリットも大きい。
【0047】
さらに、高温状態で焙焼炉7から排出される溶融スラグW4を熱源として利用して亜鉛を気化させているので、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。特に、本実施形態では、焙焼炉7から排出された溶融物W2を、溶融スラグ分離部11によって溶融金属W3と溶融スラグW4とに分離し、溶融スラグW4のみを還元溶融槽に供給するので、溶融金属W3は回収して再利用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、気化した亜鉛が流れる上流側にスプラッシュコンデンサー23を配置し、下流側に亜鉛冷却ユニット24を配置しているため、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で凝縮させて回収し、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった残りの亜鉛を亜鉛冷却ユニット24で凝固させて回収するので、気化した亜鉛を逃がすことなく効率良く回収することができる。
【0049】
さらに、亜鉛冷却ユニット24では、メイクアップ水(冷却水)Wで気体状の亜鉛を冷却して凝固させており、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去している。近年では、製鋼プロセスなどにおいて化石燃料の節減と廃棄物有効利用との観点から代替燃料として廃プラを用いる場合も多く、バグフィルタで回収される飛灰Fa中に含まれる塩素分が上昇する傾向にある。塩素分が多いと亜鉛精錬メーカーにて塩素処理の問題が生じ、亜鉛原料としては低品位なものとなってしまう。本実施形態では、亜鉛冷却ユニット24を設けることにより、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去するので、高品質の亜鉛Z2を回収できるようになる。
【0050】
また、スプラッシュコンデンサー23から排出された亜鉛含有の排ガスはエジェクタ26aに導入されるため、気体状の亜鉛は、エジェクタ26aによって攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却される。その結果、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽25内での沈殿分離されるので、純度の高い固体状の亜鉛Z2を効率よく回収できる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る亜鉛回収システムを、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0052】
図7に示されるように、亜鉛回収システム1Bは、焙焼炉7及び二次燃焼室9を備えるキルン回転炉3Aと、亜鉛回収装置5Bとを備えている。亜鉛回収装置5Bは、二次燃焼室9の下部に設けられた溶融スラグ分離部11と、溶融スラグ分離部11から供給された溶融スラグW4を熱源として収容する溶融還元槽19と、溶融還元槽19に亜鉛含有の飛灰Faを供給するFA供給器21と、溶融還元槽19で気化した亜鉛を凝縮して粗亜鉛Z1として回収するスプラッシュコンデンサー23とを備えている。
【0053】
本実施形態では、第1実施形態とは異なり、スプラッシュコンデンサー23から排出された残りの亜鉛を凝固させて回収する亜鉛冷却ユニットは設けられておらず、代わりに、スプラッシュコンデンサー23からの排ガスを二次燃焼室9に返送するための排ガス返送ライン27が設けられている。
【0054】
本実施形態に係る亜鉛回収装置5Bでも、第1実施形態と同様に、キルン回転炉3Aの二次燃焼室9から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0055】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る亜鉛回収システムを、図8〜図10を参照して説明する。図8は、第3実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。また、図9は、本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図であり、図10は、本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図である。なお、第3実施形態において、第1実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0056】
図8に示されるように、亜鉛回収システム1Cは、キルン回転炉3Bと亜鉛回収装置5Cとを備えている。図9に示されるように、キルン回転炉3Bは、亜鉛含有物W1を焙焼する円筒形状の焙焼炉29と、焙焼炉から排出される燃焼排ガスを二次燃焼する二次燃焼室31とを備えている。焙焼炉29及び二次燃焼室31は還元雰囲気に保持され、焙焼炉では1500℃程度以上の炉内温度に維持されており、亜鉛などの低沸点金属を燃焼排ガスと一緒に二次燃焼室31に排出する。
【0057】
二次燃焼室31の下部には、第1実施形態とは異なり、溶融スラグ分離部は設けられていない。焙焼炉29から排出された溶融金属W3を含む溶融物W2は、溶融金属回収部11bで冷却された後にメタルコンベヤによって搬送され、回収される。また、二次燃焼室31で落下した飛翔ダストは、焙焼炉29に返送されて再度燃焼される。
【0058】
また、二次燃焼室31には、高温排ガスとの熱交換によって酸素や空気を予熱するための予熱酸素管33と予熱空気管35とが設けられている。予熱酸素管33は、燃焼用酸素や還元用酸素を固体還元槽37に供給するために固体還元槽37に接続されている。予熱空気管35は、溶固体還元槽37に接続され、熱源としての予熱空気を熱源として利用した熱交換部として機能する。
【0059】
図8及び図10に示されるように、亜鉛回収装置5Cは、亜鉛含有の飛灰Faを還元雰囲気の中で加熱する固体還元槽(加熱室)37と、バグフィルタ17によって捕捉された飛灰Faを固体還元槽37に供給するFA供給器21と、固体還元槽37で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサー23と、スプラッシュコンデンサー23で凝縮されなかった残りの亜鉛を冷却して凝固させる亜鉛冷却ユニット24とを備えている。
【0060】
固体還元槽37は、飛灰Faを収容する飛灰収容室(収容部)37aを備えている。飛灰収容室37a内には、複数のトレー37bを循環させるコンベヤ37gが設置されている。飛灰収容室37aの一方の端部側はトレー37bの上流位置Upとなり、他方の端部側はトレーの下流位置Dpとなる。複数のトレー37bは、上流位置Upから下流位置Dpまで順方向に移動して裏返しになり、その後、下流位置Dpから上流位置Upまで逆方向に移動して上流位置Upで再び元の状態に戻る。FA供給器21の飛灰供給管21aは、上流位置Upでのトレー37bに飛灰Faを供給できるように設けられており、ダスト排出部37cは、下流位置Dpで裏返しになったトレー37bから落下したダストを受け入れて排出できる位置に設けられている。
【0061】
飛灰収容室37aには、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31で加熱された予熱空気を通過させる予熱空気管35が敷設されている。予熱空気管35は熱交換部として機能し、飛灰Fa中の亜鉛を気化させるための熱源として予熱空気を利用している。さらに、飛灰収容室37aには、飛灰Fa中の亜鉛を気化させるため補助バーナ37dが更に設けられている。予熱空気管35や補助バーナ37dによって、飛灰収容室37a内は1200℃〜1300℃に維持されている。
【0062】
スプラッシュコンデンサー23は、固体還元槽37に隣接して設けられている。スプラッシュコンデンサー23の導入部23bは、亜鉛移送管23cを介して固体還元槽37の亜鉛排出部37fに接続されており、固体還元槽37で気化した亜鉛は、亜鉛移送管23c及び導入部23bを通って貯留槽23aに供給される。貯留槽23aは溶融状態の亜鉛が攪拌翼23dで攪拌されて飛散されており、気体状の亜鉛は、飛散された亜鉛に接触することで効率良く凝縮される。貯留槽23a内に貯留した亜鉛は、粗亜鉛Z1として回収管から引き抜かれて回収される。貯留槽23a内で凝縮されなかった亜鉛は、排ガスと一緒に排出部23gから排出される。
【0063】
亜鉛冷却ユニット24は、スプラッシュコンデンサー23に隣接して設けられている。亜鉛冷却ユニット24は、排気ガス中の亜鉛の冷却及び洗浄のためのメイクアップ水(冷却水)Wを貯留する沈澱槽25を備えている。沈澱槽25には、メイクアップ水Wの導入管25a及び排出管25bが接続されている。さらに、亜鉛冷却ユニット24は、沈澱槽25に接続されたメイクアップ水Wの循環ライン26を備えている。循環ライン26は、メイクアップ水Wを沈澱槽25内に噴射するエジェクタ26aと、エジェクタ26aと沈澱槽25の下部とを連通するメイクアップ水移送管26bと、沈澱槽25内のメイクアップ水Wを引き抜いて所定圧でエジェクタ26aに送り込むポンプ26cとを備えている。エジェクタ26aは、ダクト管26dを介してスプラッシュコンデンサー23の排出部23gに接続されている。
【0064】
気体状の亜鉛はダクト管26dを通ってエジェクタ26aに到達し、エジェクタ26aで攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却され、メイクアップ水Wと一緒に亜鉛沈殿槽25内に噴射される。メイクアップ水Wによって冷却された亜鉛は、気体から固体に相転移、すなわち凝固して亜鉛沈殿槽25内に沈殿する。亜鉛沈殿槽25の底部には亜鉛Z2の排出口25cが設けられている。亜鉛沈殿槽25で回収される亜鉛Z2は純度が高く、後処理の負担も少ないため効率よく再利用を図ることができる。
【0065】
次に、亜鉛回収装置5Cを使用した亜鉛回収方法について説明する。キルン回転炉3Bの焙焼炉29では、炉内温度を1500℃程度以上に維持して亜鉛含有物W1を焙焼し、亜鉛含有の燃焼排ガスを二次燃焼室31に排出する。二次燃焼室31では、燃焼排ガス中の可燃物を二次燃焼させ、亜鉛含有の残りの飛灰Faを二次燃焼室31から排出させ、その飛灰Faをバグフィルタ17で捕捉する。
【0066】
固体還元槽37には、バグフィルタ17で捕捉した亜鉛含有の飛灰Faを供給し、予熱空気を熱源として利用して飛灰Fa中の亜鉛を気化させる(気化工程)。固体還元槽37は1200℃〜1300℃程度に維持する必要があり、予熱空気のみでは温度が不安定になる場合には、補助バーナ37dを利用して固体還元槽37を1200℃〜1300℃程度に保持する。さらに、固体還元槽37を還元雰囲気に保持し、飛灰Fa中の亜鉛を溶融還元した後に気化させ、スプラッシュコンデンサー23に供給する。
【0067】
スプラッシュコンデンサー23では、気化した亜鉛を凝縮させ、粗亜鉛Z1として回収する。さらに、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった亜鉛は、亜鉛冷却ユニット24に供給して冷却し、亜鉛冷却ユニット24の沈澱槽25で沈殿分離して純度の高い亜鉛Z2として回収する(回収工程)。
【0068】
以上の亜鉛回収装置5Cによれば、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット24で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。通常、亜鉛精錬メーカーなどでは、亜鉛濃度が少なくとも50%以上なければ原料として購入しないため、飛灰Faを処理しようとすれば、外部の業者などに有償で処理してもらう必要がある。しかしながら、本実施形態では、飛灰Faから効率よく亜鉛を回収できるために、80%以上もの高濃度の亜鉛を回収できるようになり、亜鉛精錬メーカーに亜鉛原料として売却することもできるようになり、コスト面での経済的なメリットも大きい。
【0069】
さらに、予熱空気を熱源として利用して亜鉛を気化させているので、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。
【0070】
また、本実施形態は、第1実施形態と同様に、気化した亜鉛が流れる上流側にスプラッシュコンデンサー23を配置し、下流側に亜鉛冷却ユニット24を配置しているため、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で凝縮させて回収し、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった残りの亜鉛を亜鉛冷却ユニット24で凝固させて回収するので、気化した亜鉛を逃がすことなく効率良く回収することができる。
【0071】
さらに、亜鉛冷却ユニット24では、メイクアップ水(冷却水)Wで気体状の亜鉛を冷却して凝固させており、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去している。近年では、製鋼プロセスなどにおいて化石燃料の節減と廃棄物有効利用との観点から代替燃料として廃プラを用いる場合も多く、バグフィルタで回収される飛灰Fa中に含まれる塩素分が上昇する傾向にある。塩素分が多いと亜鉛精錬メーカーにて塩素処理の問題が生じ、亜鉛原料としては低品位なものとなってしまう。本実施形態では、亜鉛冷却ユニット24を設けることにより、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去するので、高品質の亜鉛Z2を回収できるようになる。
【0072】
また、スプラッシュコンデンサー23から排出された亜鉛含有の排ガスはエジェクタ26aに導入されるため、気体状の亜鉛は、エジェクタ26aによって攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却される。その結果、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽内での沈殿分離されるので、純度の高い固体状の亜鉛を効率よく回収できる。
【0073】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る亜鉛回収システムを、図11を参照して説明する。図11は、第4実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。なお、第4実施形態において、第1実施形態や第3実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0074】
図11に示されるように、亜鉛回収システム1Dは、焙焼炉29及び二次燃焼室31を備えるキルン回転炉3Bと、亜鉛回収装置5Dとを備えている。亜鉛回収装置5Dは、亜鉛含有の飛灰Faを収容する固体還元槽37と、固体還元槽37に亜鉛含有の飛灰Faを供給するFA供給器21と、固体還元槽37での加熱によって気化した亜鉛を凝縮して粗亜鉛Z1として回収するスプラッシュコンデンサー23とを備えている。
【0075】
本実施形態では、第3実施形態とは異なり、スプラッシュコンデンサー23から排出された残りの亜鉛を凝固させて回収する亜鉛冷却ユニットは設けられておらず、代わりに、スプラッシュコンデンサー23からの排ガスを二次燃焼室31に返送するための排ガス返送ライン39が設けられている。
【0076】
本実施形態に係る亜鉛回収装置5Dでも、第3実施形態と同様に、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る亜鉛回収システムを、図12を参照して説明する。図12は、第5実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。なお、第5実施形態において、第1実施形態や第3実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0078】
図12に示されるように、亜鉛回収システム1Eは、焙焼炉29及び二次燃焼室31を備えるキルン回転炉3Bと、亜鉛回収装置5Eとを備えている。亜鉛回収装置5Eは、亜鉛含有の飛灰Faを収容する固体還元槽37と、固体還元槽37に亜鉛含有の飛灰Faを供給するFA供給器21と、固体還元槽37で気化した亜鉛をメイクアップ水Wで冷却して凝固させ、さらに、メイクアップ水Wから沈殿分離させて純度の高い亜鉛Z2を回収する亜鉛沈殿槽25とを備えている。
【0079】
本実施形態では、第4実施形態とは異なり、スプラッシュコンデンサー23は設けられておらず、固体還元槽37で気化された亜鉛を含む排ガスは、メイクアップ水Wを循環させるエジェクタ26aに直接導入されている。
【0080】
本実施形態に係る亜鉛回収装置でも、第3実施形態と同様に、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛を亜鉛冷却ユニット24で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0081】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態や第2実施形態に係る亜鉛回収装置では、回収手段としてスプラッシュコンデンサーを設けていたが、スプラッシュコンデンサーを設けることなく、亜鉛冷却ユニットで亜鉛を回収してもよい。また、第1実施形態や第3実施形態では、スプラッシュコンデンサーを上流側に配置し、沈殿槽を下流側に配置したが、亜鉛冷却ユニットを上流側に配置し、スプラッシュコンデンサーを下流側に配置する態様であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図2】本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態に係るスプラッシュコンデンサーを模式的に示す図である。
【図6】各金属の融点、沸点及び平衡蒸気圧を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図9】本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図である。
【図10】本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0083】
3A,3B…キルン回転炉(焙焼装置)、5A,5B,5C,5D,5E…亜鉛回収装置、7,29…焙焼炉、9,31…二次燃焼室、11…溶融スラグ分離部、19…溶融還元槽(加熱室)、37…固体還元槽(加熱室)、23…スプラッシュコンデンサー(回収手段)、24…亜鉛冷却ユニット(回収手段、冷却手段)、25…沈澱槽、26a…エジェクタ、35…予熱空気管(熱交換部)37a…飛灰収容室(収容部)、Fa…飛灰(亜鉛含有の灰)、Z1…粗亜鉛、Z2…亜鉛。
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛含有の灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鋼ダストなどの処理に、例えば、特許文献1に記載のロータリーキルンなどの焙焼装置を利用する場合がある。この種の焙焼装置は、還元性雰囲気の中でダストを焙焼する焙焼炉と、焙焼炉から排出された燃焼排ガスを二次燃焼する二次燃焼室とを備えている。焙焼装置の焙焼炉では、ダストに含まれる鉄などの再資源化のため、亜鉛などの低沸点金属を気化させて除去する。気化した亜鉛は飛灰(「フライアッシュ」、「FA」ともいう)となって二次燃焼室を通過し、バグフィルタなどで捕捉されて回収される。
【特許文献1】特開2005−29836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回収した飛灰から亜鉛を取り出して再資源化しようとした場合に、回収される飛灰中に少なくとも50%以上の亜鉛濃度がなければ亜鉛回収に伴う処理負担が大きく亜鉛の回収効率が悪い。しかしながら、従来の焙焼炉では、回収される飛灰中に含まれる亜鉛濃度は低く、特に、亜鉛回収を意図した装置構成にもなっていないため、亜鉛含有の灰から亜鉛を効率良く回収することは困難だった。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、亜鉛含有の灰から亜鉛を効率よく回収できる亜鉛回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、亜鉛含有の灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置において、灰を収容して加熱し、灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を還元雰囲気の中で気化させる加熱室と、加熱室で気化された亜鉛を回収する回収手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明では、灰に含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛を回収手段で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0007】
さらに、亜鉛含有の灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、加熱室は、焙焼炉から排出された溶融スラグを収容し、溶融スラグによって灰を加熱すると好適である。溶融スラグは高温状態で焙焼炉から排出されるため、亜鉛を気化させるための熱源として溶融スラグを利用することで、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。
【0008】
さらに、焙焼炉から排出された溶融物を比重差によって溶融金属と溶融スラグとに分離すると共に、溶融金属から分離された比重の軽い溶融スラグを加熱室に供給する溶融スラグ分離部を更に備えると好適である。溶融物から溶融金属と溶融スラグとを分離し、溶融スラグのみを加熱室に供給するので、溶融金属は回収して再利用することができる。
【0009】
さらに、回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有すると好適である。気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサーで凝縮させて回収することで、亜鉛の効率的な回収が可能になる。
【0010】
さらに、回収手段は、加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有すると好適である。気化された亜鉛を冷却手段によって凝固させて回収できるため、亜鉛を固体として効率よく回収できる。
【0011】
さらに、冷却手段は、気体状の亜鉛に接して亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、冷却水中で亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、沈殿槽から引き抜かれた冷却水を沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、気体状の亜鉛は、エジェクタに導入されて冷却水に攪拌混合されると好適である。気体状の亜鉛は、エジェクタによって攪拌されながら冷却水に効率よく接して冷却されるため、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽内での沈殿分離されるので、塩素分などは除かれ、純度の高い固体状の亜鉛を効率よく回収できる。
【0012】
さらに、亜鉛含有の灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、加熱室は、灰を収容する収容部と、焙焼装置で加熱された予熱空気によって、収容部に収容された灰を加熱する熱交換部と、を有すると好適である。亜鉛を気化させるための熱源として焙焼装置で加熱された予熱空気を利用することで、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。
【0013】
さらに、回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有すると好適である。気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサーで凝縮させて回収することで、亜鉛の効率的な回収が可能になる。
【0014】
さらに、回収手段は、加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有すると好適である。気化された亜鉛を冷却手段によって凝固させて回収できるため、亜鉛を固体として効率よく回収できる。
【0015】
さらに、冷却手段は、気体状の亜鉛に接して亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、冷却水中で亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、沈殿槽から引き抜かれた冷却水を沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、気体状の亜鉛は、エジェクタに導入されて冷却水に攪拌混合されると好適である。気体状の亜鉛は、エジェクタによって攪拌されながら冷却水に効率よく接して冷却されるため、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽内での沈殿分離されるので、塩素分などは除かれ、純度の高い固体状の亜鉛を効率よく回収できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、亜鉛含有の灰から亜鉛を効率よく回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る亜鉛回収装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図、図2は本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図、図4は本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図、図5は本実施形態に係るスプラッシュコンデンサーを模式的に示す図である。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示されるように、亜鉛回収システム1Aは、製鋼ダストなどの亜鉛含有物W1を焙焼処理するキルン回転炉(焙焼装置)3Aと、キルン回転炉3Aから排出された亜鉛含有の飛灰(「フライアッシュ」、「FA」ともいう)Faから亜鉛を回収する亜鉛回収装置5Aとを備えている。
【0019】
キルン回転炉3Aは、縦型キルンもあるが、本実施形態では横型キルンを採用している。図2に示されるように、キルン回転炉3Aは、亜鉛含有物W1を焙焼する円筒形状の焙焼炉7と、焙焼炉7から排出される燃焼排ガスを二次燃焼する二次燃焼室9とを備えている。焙焼炉7及び二次燃焼室9は還元雰囲気に保持され、焙焼炉7では1500℃以上の炉内温度に維持されており、亜鉛などの低沸点金属を燃焼排ガスと一緒に二次燃焼室9に排出する。
【0020】
焙焼炉7の外周には歯車7aが設けられ、焙焼炉7は図示しないモータによって軸線L回りに回転する。焙焼炉7は、亜鉛含有物W1を受入れ側Usから排出側Dsへ移動させることができるように、受入れ側Usから排出側Dsに向けて下方に傾斜されている。焙焼炉7と二次燃焼室9とは、焙焼炉7が回転可能に且つ接合部の気密が保持されるように接合されている。
【0021】
焙焼炉7の受入れ側Usの端面であるフロントウォール7bには、定量供給装置8に連結される受入口が形成されている。また、フロントウォール7bには、助燃バーナ7cが貫通して配置されている。助燃バーナ7cは、フロントウォール7bから焙焼炉7の排出側Dsに向かって火炎を放射する。助燃バーナ7cには、図示しない燃料ポンプによって燃料タンクから重油等の燃料が供給される。
【0022】
定量供給装置8は、フロントウォール7bの受入口に接続されたシリンダ部8aと、シリンダ部8a内を往復動する押出部8bと、押出部8bの往復動を駆動制御する供給器8cと、シリンダ部8a内に連通するホッパ8dとを備えている。ホッパ8dには、製鋼ダストなどの亜鉛含有物W1の他、還元剤やダイオキシン吸着のための活性炭などが投入される。ホッパ8d内に堆積する亜鉛含有物W1は、押出部8bの往復動によって定量ずつが焙焼炉7内に供給される。定量供給装置8は、スクリューコンベヤなどによって亜鉛含有物W1等を焙焼炉7内に供給する装置であってもよい。
【0023】
焙焼炉7内へ供給された亜鉛含有物W1は、供給当初から助燃バーナ7cによって加熱される。亜鉛含有物W1は、焙焼炉7内において、攪拌されながら1500℃以上にまで加熱され、受入れ側Usから排出側Dsに移動する。焙焼炉7内では、亜鉛含有物W1中の鉄、その他の沸点の高い金属を含む溶融金属W3や溶融スラグW4が生成され、排出側Dsの出口から排出される。また、亜鉛含有物W1中に含まれている有機物は、焙焼炉7内で熱分解され、ガス状可燃物になり、燃焼排ガスとなって二次燃焼室9に送られる。さらに、焙焼炉7内では、亜鉛などの低沸点金属は蒸発し、燃焼排ガスと一緒に飛灰Faとなって二次燃焼室9に送られる。
【0024】
二次燃焼室9には、補助バーナ(図示せず)が設けられており、燃焼排ガス中のガス状可燃分を完全に燃焼させる。二次燃焼室9の下部には、溶融スラグ分離部11と、飛翔ダスト排出部12とが隣接して設けられている。溶融スラグ分離部11は、焙焼炉7側に設けられ、飛翔ダスト排出部12は二次燃焼室9の傾斜した側面側に設けられている。
【0025】
飛翔ダストは、二次燃焼室9で流速が落ちて落下し、飛翔ダスト排出部12からスクリューコンベヤなどの粉体排出手段16に送り込まれる。飛翔ダストには、未燃焼分が多く含まれており、粉体排出手段16で搬送された飛翔ダストは、再度焙焼炉7に投入される。一方で、二次燃焼室9の上方から排出された亜鉛含有の飛灰Faは、バグフィルタ17によって捕捉され、亜鉛回収装置5AのFA供給器21に送り込まれる。
【0026】
また、二次燃焼室9には、高温排ガスとの熱交換によって酸素や空気を予熱するための予熱酸素管13と予熱空気管15とが設けられている。予熱酸素管13は、第1移送管13a、第2移送管13b及び第3移送管13cの3方に分岐している。第1移送管13aや第2移送管13bは溶融還元槽19に接続されており、燃焼用酸素や還元用酸素を溶融還元槽19に供給する。第3移送管13cは、二次燃焼室9内で溶融スラグ分離部11の上方まで延びている。また、予熱空気管15は溶融還元槽19に接続され、熱源として予熱空気を利用した熱交換部として機能する。
【0027】
溶融スラグ分離部11は、焙焼炉7の出口下部に隣接して配置された比重分離ホッパ11aと、比重分離ホッパ11aの下に配置された溶融金属回収部11bと、比重分離ホッパ11aからオーバーフローした溶融スラグW4を蓄えるスラグ保持槽11cと、スラグ保持槽11cで蓄えられた溶融スラグW4を亜鉛回収装置5Aに供給する溶融スラグ供給ライン11dとを備えている。
【0028】
比重分離ホッパ11aには、溶融物W2の受け入れるためにテーパ穴Thが形成されている。テーパ穴Thは、上部側で広く、底となる下部で狭くなるように縮径している。テーパ穴Thの底には出口が形成され、比重分離ホッパ11aには、その出口を開閉するゲートバルブ11fが設けられている。さらに比重分離ホッパ11aには、テーパ穴Thの上部から溶融スラグW4をオーバーフローさせてスラグ保持槽11cに送り込むための溝(図示せず)が設けられている。
【0029】
焙焼炉7から排出された溶融物W2の中には、資源として再利用できる鉄などの溶融金属W3と溶融スラグW4とが含まれている。溶融金属W3は、溶融スラグW4に比べて比重が重いため、この比重差によって溶融金属W3は溶融スラグW4から分離して沈殿する。溶融金属W3から分離した溶融スラグW4はテーパ穴Thからオーバーフローしてスラグ保持槽11cに送り込まれる。比重分離ホッパ11aの上方には、予熱酸素管13の第3移送管13cの噴出し口が配置されており、表層に浮いている余剰の還元剤(カーボン)に向けて高温酸素が吹き付けられて還元剤の燃焼処理に利用される。なお、この還元剤は、後述の溶融還元槽19の還元剤として利用できるため、ここで燃焼処理を行わなくてもよい。
【0030】
ゲートバルブ11fは、テーパ穴Thの下端の出口を塞いでおり、溶融金属W3がある程度溜るとテーパ穴Thの出口を一時的に開き、溶融金属W3を流出させて再び閉じる。溶融金属W3は、テーパ穴Thの出口から流出して溶融金属回収部11bに送り込まれる。溶融金属回収部11bでは、冷却水によって溶融金属W3を固化させ、メタルコンベヤで搬送する。メタルコンベヤで搬送された鉄などの金属は資源として再利用される。
【0031】
溶融スラグ供給ライン11dには、移送管や開閉弁などが設けられており、スラグ保持槽11cと溶融還元槽19(図4参照)とを接続する。スラグ保持槽11c内に所定量以上の溶融スラグW4が溜ると開閉弁が開き、溶融スラグW4が溶融還元槽19に供給される。なお、本実施形態では、溶融スラグ分離部11は、キルン回転炉3Aを構成する二次燃焼室9の下部に設けられていたが、キルン回転炉3Aとは独立して設け、焙焼炉7から排出された溶融物W2の移送管を介してキルン回転炉3Aに接続された態様であってもよい。溶融スラグ分離部11は、亜鉛回収装置5Aの一部を構成する。
【0032】
亜鉛回収装置5Aは、溶融スラグ分離部11から供給された溶融スラグW4を受け入れて収容する溶融還元槽(加熱室)19と、バグフィルタ17によって捕捉された飛灰Faを受け入れて溶融還元槽19に供給するFA供給器21と、溶融還元槽19で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサー23と、スプラッシュコンデンサー23から排出された残りの亜鉛を凝固させる亜鉛冷却ユニット(冷却手段)24とを備えている。本実施形態では、スプラッシュコンデンサー23及び亜鉛冷却ユニット24が回収手段に相当する。
【0033】
溶融還元槽19は、左右に隣接した第1部屋19aと第2部屋19bとを有する。第1部屋19aと第2部屋19bとは、下部が連通した状態で上部が隔壁19cによって区画されている。第1部屋19aの天井は開放され、第2部屋19bの天井は閉鎖されている。第1部屋19aの上方には、溶融スラグ供給ライン11dの下流端が配置されている。溶融スラグW4は、溶融スラグ供給ライン11dを通り、溶融還元槽19の熱源として第1部屋19aに供給される。第1部屋19aと第2部屋19bとは、隔壁19cの下方の隙間で連通しており、その隙間を通って溶融スラグW4は第2部屋19bにも流れ込む。第2部屋19b内の上部領域である気相部分Gaは外部から遮断された状態になっている。
【0034】
第2部屋19bの天井には、FA供給器21の飛灰供給管21aが接続されている。FA供給器21は、飛灰Faが投入されるホッパ21bと、ホッパ21bの下端に接続されたスクリューコンベヤ21cとを更に備える。ホッパ21bに投入された飛灰Faは、スクリューコンベヤ21cによって飛灰供給管21aまで移送され、飛灰供給管21aを通って第2部屋19bに供給される。第2部屋19bには、1200℃以上の高温の溶融スラグW4が熱源として収容されており、さらに、還元雰囲気が形成されている。第2部屋19bに飛灰Faを供給することで、飛灰Fa中に含まれる亜鉛は気化する。気化した亜鉛は、第2部屋19bに設けられた亜鉛排出部19dから排ガスと一緒に排出される。なお、溶融還元槽19での還元雰囲気の形成には、溶融スラグW4と共にキルン回転炉3Aから持ち込まれた余剰の還元剤や、ダイオキシン吸着に用いられた飛灰Fa中の活性炭などが有効利用される。
【0035】
なお、第2部屋19bには、補助的な加熱のための補助バーナ19fと、キルン回転炉3Aの二次燃焼室9で予熱された酸素を補助バーナ19fの燃焼促進のために部屋内に供給する予熱酸素供給部19gが設けられている。予熱酸素供給部19gは予熱酸素管13に接続されている。さらに、第2部屋19b内には、予熱空気管15が敷設されており、二次燃焼室9で加熱された予熱空気を熱源として利用した熱交換部として機能する。
【0036】
溶融還元槽19内での各金属の状態について図6を参照して説明する。図6は、各金属の融点、沸点及び平衡蒸気圧を示す図である。亜鉛(Zn)の沸点は、100℃以下であり、焙焼炉7で揮発した後にバグフィルタ17によって飛灰Faとして捕捉され、溶融還元槽19の第2部屋19bに供給される。
【0037】
溶融還元槽19内の温度は、少なくとも亜鉛を気化させて排ガスと一緒に後段のスプラッシュコンデンサー23に供給できる温度にする必要があり、そのためには、溶融還元槽19内の温度を1200℃〜1300℃程度に維持するのが好ましい。溶融スラグW4を熱源として利用することで、この程度の温度状態を保持することは可能になる。溶融還元槽19の温度を1200℃〜1300℃にすることで、溶融還元槽19に供給された飛灰Fa中の亜鉛は溶融還元されて気化し、排ガスと共にスプラッシュコンデンサー23に導入される。一方で、飛灰Fa中の残渣は、溶融スラグW4と一緒にスラグ排出部19hから排出される。
【0038】
スプラッシュコンデンサー23は、溶融還元槽19に隣接して設けられている。図5に示されるように、スプラッシュコンデンサー23は、溶融した亜鉛を貯留する貯留槽23aと、貯留槽23a内に気体状の亜鉛を導入する導入部23bとを備えている。導入部23bは亜鉛移送管23c(図4参照)を介して溶融還元槽19の亜鉛排出部19dに接続されており、溶融還元槽19で気化した亜鉛は、亜鉛移送管23c及び導入部23bを通って貯留槽23aに供給される。
【0039】
スプラッシュコンデンサー23は、貯留槽23aに貯留された溶融状態の亜鉛を攪拌して飛散させる複数の攪拌翼23dを備えている。気体状の亜鉛は、飛散された亜鉛に接触することで効率良く凝縮される。貯留槽23a内で凝縮した亜鉛は、粗亜鉛Z1として回収管23fから引き抜かれて回収される。貯留槽23a内で凝縮されなかった亜鉛は、排ガスと一緒に排出部23gから排出される。
【0040】
図1及び図2に示されるように、亜鉛冷却ユニット24は、スプラッシュコンデンサー23に隣接して設けられている。亜鉛冷却ユニット24は、排気ガス中の亜鉛の冷却及び洗浄のためのメイクアップ水(冷却水)Wを貯留する沈澱槽25を備えている。沈澱槽25には、メイクアップ水Wの導入管25a及び排出管25bが接続されている。さらに、亜鉛冷却ユニット24は、沈澱槽25に接続されたメイクアップ水Wの循環ライン26を備えている。循環ライン26は、メイクアップ水Wを沈澱槽25内に噴射するエジェクタ26aと、エジェクタ26aと沈澱槽25の下部とを連通するメイクアップ水移送管26bと、沈澱槽25内のメイクアップ水Wを引き抜いて所定圧でエジェクタ26aに送り込むポンプ26cとを備えている。エジェクタ26aは、ダクト管26dを介してスプラッシュコンデンサー23の排出部23gに接続されている。
【0041】
気体状の亜鉛はダクト管26dを通ってエジェクタ26aに到達し、エジェクタ26aで攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却され、メイクアップ水Wと一緒に沈澱槽25内に噴射される。メイクアップ水Wによって冷却された亜鉛は、気体から固体に相転移、すなわち凝固して沈澱槽25内に沈殿する。沈澱槽25の底部には亜鉛Z2の排出口25cが設けられている。亜鉛冷却ユニット24で回収される亜鉛Z2は純度が高く、後処理の負担も少ないため効率よく再利用を図ることができる。特に、メイクアップ水Wによって塩素分が除去されるため高品質の亜鉛Z2として回収できる。
【0042】
次に、亜鉛回収装置5Aを使用した亜鉛回収方法について説明する。キルン回転炉3Aの焙焼炉7では、炉内温度を1500℃程度以上に維持して亜鉛含有物W1を焙焼し、亜鉛含有の燃焼排ガスを二次燃焼室9に排出する。二次燃焼室9では、燃焼排ガス中の可燃物を二次燃焼させ、亜鉛含有の残りの飛灰Faを二次燃焼室9から排出させ、その飛灰Faをバグフィルタ17で捕捉する。
【0043】
一方で、焙焼炉7では、鉄などの比較的沸点の高い金属を含む溶融物W2を溶融スラグ分離部11に排出し、溶融スラグ分離部11では、比重差によって溶融金属W3と溶融スラグW4とを分離し、溶融金属W3は引き抜いて再利用可能に回収する。また、溶融スラグW4は溶融還元槽19の熱源として溶融還元槽19に供給する。
【0044】
バグフィルタ17で捕捉した亜鉛含有の飛灰Faは、溶融還元槽19に供給する。溶融還元槽19は、溶融スラグW4によって1200℃〜300℃程度に維持されており、溶融還元槽19内で飛灰Fa中の亜鉛を気化する(気化工程)。なお、溶融スラグW4のみでは温度が不安定になる場合には、補助バーナ19fや予熱空気を利用した熱交換によって溶融還元槽19を1200℃〜1300℃程度に保持する。さらに、溶融還元槽19を還元雰囲気に保持し、飛灰Fa中の亜鉛を溶融還元した後に気化させ、スプラッシュコンデンサー23に供給する。
【0045】
スプラッシュコンデンサー23では、気化した亜鉛を凝縮させ、粗亜鉛Z1として回収する。さらに、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった亜鉛は、排ガスと一緒に亜鉛冷却ユニット24に供給して冷却し、亜鉛冷却ユニット24の沈澱槽25で沈殿分離して純度の高い亜鉛Z2として回収する(回収工程)。
【0046】
以上の亜鉛回収装置5Aによれば、キルン回転炉3Aの二次燃焼室9から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット24で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。通常、亜鉛精錬メーカーなどでは、亜鉛濃度が少なくとも50%以上なければ原料として購入しないため、飛灰Faを処理しようとすれば、外部の業者などに有償で処理してもらう必要がある。しかしながら、本実施形態では、飛灰Faから効率よく亜鉛Z1,Z2を回収できるために、80%以上もの高濃度の亜鉛を回収できるようになり、亜鉛精錬メーカーに亜鉛原料として売却できるようになり、コスト面での経済的なメリットも大きい。
【0047】
さらに、高温状態で焙焼炉7から排出される溶融スラグW4を熱源として利用して亜鉛を気化させているので、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。特に、本実施形態では、焙焼炉7から排出された溶融物W2を、溶融スラグ分離部11によって溶融金属W3と溶融スラグW4とに分離し、溶融スラグW4のみを還元溶融槽に供給するので、溶融金属W3は回収して再利用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、気化した亜鉛が流れる上流側にスプラッシュコンデンサー23を配置し、下流側に亜鉛冷却ユニット24を配置しているため、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で凝縮させて回収し、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった残りの亜鉛を亜鉛冷却ユニット24で凝固させて回収するので、気化した亜鉛を逃がすことなく効率良く回収することができる。
【0049】
さらに、亜鉛冷却ユニット24では、メイクアップ水(冷却水)Wで気体状の亜鉛を冷却して凝固させており、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去している。近年では、製鋼プロセスなどにおいて化石燃料の節減と廃棄物有効利用との観点から代替燃料として廃プラを用いる場合も多く、バグフィルタで回収される飛灰Fa中に含まれる塩素分が上昇する傾向にある。塩素分が多いと亜鉛精錬メーカーにて塩素処理の問題が生じ、亜鉛原料としては低品位なものとなってしまう。本実施形態では、亜鉛冷却ユニット24を設けることにより、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去するので、高品質の亜鉛Z2を回収できるようになる。
【0050】
また、スプラッシュコンデンサー23から排出された亜鉛含有の排ガスはエジェクタ26aに導入されるため、気体状の亜鉛は、エジェクタ26aによって攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却される。その結果、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽25内での沈殿分離されるので、純度の高い固体状の亜鉛Z2を効率よく回収できる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る亜鉛回収システムを、図7を参照して説明する。図7は、第2実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0052】
図7に示されるように、亜鉛回収システム1Bは、焙焼炉7及び二次燃焼室9を備えるキルン回転炉3Aと、亜鉛回収装置5Bとを備えている。亜鉛回収装置5Bは、二次燃焼室9の下部に設けられた溶融スラグ分離部11と、溶融スラグ分離部11から供給された溶融スラグW4を熱源として収容する溶融還元槽19と、溶融還元槽19に亜鉛含有の飛灰Faを供給するFA供給器21と、溶融還元槽19で気化した亜鉛を凝縮して粗亜鉛Z1として回収するスプラッシュコンデンサー23とを備えている。
【0053】
本実施形態では、第1実施形態とは異なり、スプラッシュコンデンサー23から排出された残りの亜鉛を凝固させて回収する亜鉛冷却ユニットは設けられておらず、代わりに、スプラッシュコンデンサー23からの排ガスを二次燃焼室9に返送するための排ガス返送ライン27が設けられている。
【0054】
本実施形態に係る亜鉛回収装置5Bでも、第1実施形態と同様に、キルン回転炉3Aの二次燃焼室9から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0055】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る亜鉛回収システムを、図8〜図10を参照して説明する。図8は、第3実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。また、図9は、本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図であり、図10は、本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図である。なお、第3実施形態において、第1実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0056】
図8に示されるように、亜鉛回収システム1Cは、キルン回転炉3Bと亜鉛回収装置5Cとを備えている。図9に示されるように、キルン回転炉3Bは、亜鉛含有物W1を焙焼する円筒形状の焙焼炉29と、焙焼炉から排出される燃焼排ガスを二次燃焼する二次燃焼室31とを備えている。焙焼炉29及び二次燃焼室31は還元雰囲気に保持され、焙焼炉では1500℃程度以上の炉内温度に維持されており、亜鉛などの低沸点金属を燃焼排ガスと一緒に二次燃焼室31に排出する。
【0057】
二次燃焼室31の下部には、第1実施形態とは異なり、溶融スラグ分離部は設けられていない。焙焼炉29から排出された溶融金属W3を含む溶融物W2は、溶融金属回収部11bで冷却された後にメタルコンベヤによって搬送され、回収される。また、二次燃焼室31で落下した飛翔ダストは、焙焼炉29に返送されて再度燃焼される。
【0058】
また、二次燃焼室31には、高温排ガスとの熱交換によって酸素や空気を予熱するための予熱酸素管33と予熱空気管35とが設けられている。予熱酸素管33は、燃焼用酸素や還元用酸素を固体還元槽37に供給するために固体還元槽37に接続されている。予熱空気管35は、溶固体還元槽37に接続され、熱源としての予熱空気を熱源として利用した熱交換部として機能する。
【0059】
図8及び図10に示されるように、亜鉛回収装置5Cは、亜鉛含有の飛灰Faを還元雰囲気の中で加熱する固体還元槽(加熱室)37と、バグフィルタ17によって捕捉された飛灰Faを固体還元槽37に供給するFA供給器21と、固体還元槽37で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサー23と、スプラッシュコンデンサー23で凝縮されなかった残りの亜鉛を冷却して凝固させる亜鉛冷却ユニット24とを備えている。
【0060】
固体還元槽37は、飛灰Faを収容する飛灰収容室(収容部)37aを備えている。飛灰収容室37a内には、複数のトレー37bを循環させるコンベヤ37gが設置されている。飛灰収容室37aの一方の端部側はトレー37bの上流位置Upとなり、他方の端部側はトレーの下流位置Dpとなる。複数のトレー37bは、上流位置Upから下流位置Dpまで順方向に移動して裏返しになり、その後、下流位置Dpから上流位置Upまで逆方向に移動して上流位置Upで再び元の状態に戻る。FA供給器21の飛灰供給管21aは、上流位置Upでのトレー37bに飛灰Faを供給できるように設けられており、ダスト排出部37cは、下流位置Dpで裏返しになったトレー37bから落下したダストを受け入れて排出できる位置に設けられている。
【0061】
飛灰収容室37aには、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31で加熱された予熱空気を通過させる予熱空気管35が敷設されている。予熱空気管35は熱交換部として機能し、飛灰Fa中の亜鉛を気化させるための熱源として予熱空気を利用している。さらに、飛灰収容室37aには、飛灰Fa中の亜鉛を気化させるため補助バーナ37dが更に設けられている。予熱空気管35や補助バーナ37dによって、飛灰収容室37a内は1200℃〜1300℃に維持されている。
【0062】
スプラッシュコンデンサー23は、固体還元槽37に隣接して設けられている。スプラッシュコンデンサー23の導入部23bは、亜鉛移送管23cを介して固体還元槽37の亜鉛排出部37fに接続されており、固体還元槽37で気化した亜鉛は、亜鉛移送管23c及び導入部23bを通って貯留槽23aに供給される。貯留槽23aは溶融状態の亜鉛が攪拌翼23dで攪拌されて飛散されており、気体状の亜鉛は、飛散された亜鉛に接触することで効率良く凝縮される。貯留槽23a内に貯留した亜鉛は、粗亜鉛Z1として回収管から引き抜かれて回収される。貯留槽23a内で凝縮されなかった亜鉛は、排ガスと一緒に排出部23gから排出される。
【0063】
亜鉛冷却ユニット24は、スプラッシュコンデンサー23に隣接して設けられている。亜鉛冷却ユニット24は、排気ガス中の亜鉛の冷却及び洗浄のためのメイクアップ水(冷却水)Wを貯留する沈澱槽25を備えている。沈澱槽25には、メイクアップ水Wの導入管25a及び排出管25bが接続されている。さらに、亜鉛冷却ユニット24は、沈澱槽25に接続されたメイクアップ水Wの循環ライン26を備えている。循環ライン26は、メイクアップ水Wを沈澱槽25内に噴射するエジェクタ26aと、エジェクタ26aと沈澱槽25の下部とを連通するメイクアップ水移送管26bと、沈澱槽25内のメイクアップ水Wを引き抜いて所定圧でエジェクタ26aに送り込むポンプ26cとを備えている。エジェクタ26aは、ダクト管26dを介してスプラッシュコンデンサー23の排出部23gに接続されている。
【0064】
気体状の亜鉛はダクト管26dを通ってエジェクタ26aに到達し、エジェクタ26aで攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却され、メイクアップ水Wと一緒に亜鉛沈殿槽25内に噴射される。メイクアップ水Wによって冷却された亜鉛は、気体から固体に相転移、すなわち凝固して亜鉛沈殿槽25内に沈殿する。亜鉛沈殿槽25の底部には亜鉛Z2の排出口25cが設けられている。亜鉛沈殿槽25で回収される亜鉛Z2は純度が高く、後処理の負担も少ないため効率よく再利用を図ることができる。
【0065】
次に、亜鉛回収装置5Cを使用した亜鉛回収方法について説明する。キルン回転炉3Bの焙焼炉29では、炉内温度を1500℃程度以上に維持して亜鉛含有物W1を焙焼し、亜鉛含有の燃焼排ガスを二次燃焼室31に排出する。二次燃焼室31では、燃焼排ガス中の可燃物を二次燃焼させ、亜鉛含有の残りの飛灰Faを二次燃焼室31から排出させ、その飛灰Faをバグフィルタ17で捕捉する。
【0066】
固体還元槽37には、バグフィルタ17で捕捉した亜鉛含有の飛灰Faを供給し、予熱空気を熱源として利用して飛灰Fa中の亜鉛を気化させる(気化工程)。固体還元槽37は1200℃〜1300℃程度に維持する必要があり、予熱空気のみでは温度が不安定になる場合には、補助バーナ37dを利用して固体還元槽37を1200℃〜1300℃程度に保持する。さらに、固体還元槽37を還元雰囲気に保持し、飛灰Fa中の亜鉛を溶融還元した後に気化させ、スプラッシュコンデンサー23に供給する。
【0067】
スプラッシュコンデンサー23では、気化した亜鉛を凝縮させ、粗亜鉛Z1として回収する。さらに、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった亜鉛は、亜鉛冷却ユニット24に供給して冷却し、亜鉛冷却ユニット24の沈澱槽25で沈殿分離して純度の高い亜鉛Z2として回収する(回収工程)。
【0068】
以上の亜鉛回収装置5Cによれば、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23や亜鉛冷却ユニット24で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。通常、亜鉛精錬メーカーなどでは、亜鉛濃度が少なくとも50%以上なければ原料として購入しないため、飛灰Faを処理しようとすれば、外部の業者などに有償で処理してもらう必要がある。しかしながら、本実施形態では、飛灰Faから効率よく亜鉛を回収できるために、80%以上もの高濃度の亜鉛を回収できるようになり、亜鉛精錬メーカーに亜鉛原料として売却することもできるようになり、コスト面での経済的なメリットも大きい。
【0069】
さらに、予熱空気を熱源として利用して亜鉛を気化させているので、熱源を得るための新たな燃料の消費を抑え、エネルギー効率よく亜鉛の回収が可能になる。
【0070】
また、本実施形態は、第1実施形態と同様に、気化した亜鉛が流れる上流側にスプラッシュコンデンサー23を配置し、下流側に亜鉛冷却ユニット24を配置しているため、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で凝縮させて回収し、スプラッシュコンデンサー23で凝縮できなかった残りの亜鉛を亜鉛冷却ユニット24で凝固させて回収するので、気化した亜鉛を逃がすことなく効率良く回収することができる。
【0071】
さらに、亜鉛冷却ユニット24では、メイクアップ水(冷却水)Wで気体状の亜鉛を冷却して凝固させており、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去している。近年では、製鋼プロセスなどにおいて化石燃料の節減と廃棄物有効利用との観点から代替燃料として廃プラを用いる場合も多く、バグフィルタで回収される飛灰Fa中に含まれる塩素分が上昇する傾向にある。塩素分が多いと亜鉛精錬メーカーにて塩素処理の問題が生じ、亜鉛原料としては低品位なものとなってしまう。本実施形態では、亜鉛冷却ユニット24を設けることにより、メイクアップ水Wによって塩素分を洗浄、除去するので、高品質の亜鉛Z2を回収できるようになる。
【0072】
また、スプラッシュコンデンサー23から排出された亜鉛含有の排ガスはエジェクタ26aに導入されるため、気体状の亜鉛は、エジェクタ26aによって攪拌されながらメイクアップ水Wに効率よく接して冷却される。その結果、気体から固体に効率よく相転移し、さらに、沈殿槽内での沈殿分離されるので、純度の高い固体状の亜鉛を効率よく回収できる。
【0073】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る亜鉛回収システムを、図11を参照して説明する。図11は、第4実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。なお、第4実施形態において、第1実施形態や第3実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0074】
図11に示されるように、亜鉛回収システム1Dは、焙焼炉29及び二次燃焼室31を備えるキルン回転炉3Bと、亜鉛回収装置5Dとを備えている。亜鉛回収装置5Dは、亜鉛含有の飛灰Faを収容する固体還元槽37と、固体還元槽37に亜鉛含有の飛灰Faを供給するFA供給器21と、固体還元槽37での加熱によって気化した亜鉛を凝縮して粗亜鉛Z1として回収するスプラッシュコンデンサー23とを備えている。
【0075】
本実施形態では、第3実施形態とは異なり、スプラッシュコンデンサー23から排出された残りの亜鉛を凝固させて回収する亜鉛冷却ユニットは設けられておらず、代わりに、スプラッシュコンデンサー23からの排ガスを二次燃焼室31に返送するための排ガス返送ライン39が設けられている。
【0076】
本実施形態に係る亜鉛回収装置5Dでも、第3実施形態と同様に、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛をスプラッシュコンデンサー23で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る亜鉛回収システムを、図12を参照して説明する。図12は、第5実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。なお、第5実施形態において、第1実施形態や第3実施形態と実質的に同様の要素については、同一の符号を記して詳細説明を省略する。
【0078】
図12に示されるように、亜鉛回収システム1Eは、焙焼炉29及び二次燃焼室31を備えるキルン回転炉3Bと、亜鉛回収装置5Eとを備えている。亜鉛回収装置5Eは、亜鉛含有の飛灰Faを収容する固体還元槽37と、固体還元槽37に亜鉛含有の飛灰Faを供給するFA供給器21と、固体還元槽37で気化した亜鉛をメイクアップ水Wで冷却して凝固させ、さらに、メイクアップ水Wから沈殿分離させて純度の高い亜鉛Z2を回収する亜鉛沈殿槽25とを備えている。
【0079】
本実施形態では、第4実施形態とは異なり、スプラッシュコンデンサー23は設けられておらず、固体還元槽37で気化された亜鉛を含む排ガスは、メイクアップ水Wを循環させるエジェクタ26aに直接導入されている。
【0080】
本実施形態に係る亜鉛回収装置でも、第3実施形態と同様に、キルン回転炉3Bの二次燃焼室31から排出された飛灰Faに含まれる金属のうち、少なくとも亜鉛を気化させ、気化した亜鉛を亜鉛冷却ユニット24で回収するため、不純物の混入は少なく、亜鉛を再利用に適した状態で効率よく回収できる。
【0081】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態や第2実施形態に係る亜鉛回収装置では、回収手段としてスプラッシュコンデンサーを設けていたが、スプラッシュコンデンサーを設けることなく、亜鉛冷却ユニットで亜鉛を回収してもよい。また、第1実施形態や第3実施形態では、スプラッシュコンデンサーを上流側に配置し、沈殿槽を下流側に配置したが、亜鉛冷却ユニットを上流側に配置し、スプラッシュコンデンサーを下流側に配置する態様であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図2】本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態に係るスプラッシュコンデンサーを模式的に示す図である。
【図6】各金属の融点、沸点及び平衡蒸気圧を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図9】本実施形態に係るキルン回転炉を模式的に示す断面図である。
【図10】本実施形態に係る亜鉛回収装置を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る亜鉛回収システムを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0083】
3A,3B…キルン回転炉(焙焼装置)、5A,5B,5C,5D,5E…亜鉛回収装置、7,29…焙焼炉、9,31…二次燃焼室、11…溶融スラグ分離部、19…溶融還元槽(加熱室)、37…固体還元槽(加熱室)、23…スプラッシュコンデンサー(回収手段)、24…亜鉛冷却ユニット(回収手段、冷却手段)、25…沈澱槽、26a…エジェクタ、35…予熱空気管(熱交換部)37a…飛灰収容室(収容部)、Fa…飛灰(亜鉛含有の灰)、Z1…粗亜鉛、Z2…亜鉛。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛含有の灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置において、
前記灰を収容して加熱し、前記灰に含まれる金属のうち、少なくとも前記亜鉛を還元雰囲気の中で気化させる加熱室と、
前記加熱室で気化された前記亜鉛を回収する回収手段と、
を備えたことを特徴とする亜鉛回収装置。
【請求項2】
前記灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、
前記加熱室は、前記焙焼炉から排出された溶融スラグを収容し、前記溶融スラグによって前記灰を加熱することを特徴とする請求項1記載の亜鉛回収装置。
【請求項3】
前記焙焼炉から排出された溶融物を比重差によって溶融金属と前記溶融スラグとに分離すると共に、前記溶融金属から分離された比重の軽い前記溶融スラグを前記加熱室に供給する溶融スラグ分離部を更に備えることを特徴とする請求項2記載の亜鉛回収装置。
【請求項4】
前記回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、前記加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の亜鉛回収装置。
【請求項5】
前記回収手段は、前記加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の亜鉛回収装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、気体状の亜鉛に接して前記亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、前記冷却水中で前記亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、前記沈殿槽から引き抜かれた冷却水を前記沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、
前記気体状の亜鉛は、前記エジェクタに導入されて前記冷却水に攪拌混合されることを特徴とする請求項5記載の亜鉛回収装置。
【請求項7】
前記灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、
前記加熱室は、前記灰を収容する収容部と、前記焙焼装置で加熱された予熱空気によって、前記収容部に収容された前記灰を加熱する熱交換部と、を有することを特徴とする請求項1記載の亜鉛回収装置。
【請求項8】
前記回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、前記加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有することを特徴とする請求項7記載の亜鉛回収装置。
【請求項9】
前記回収手段は、前記加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有することを特徴とする請求項7または8記載の亜鉛回収装置。
【請求項10】
前記冷却手段は、気体状の亜鉛に接して前記亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、前記冷却水中で前記亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、前記沈殿槽から引き抜かれた冷却水を前記沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、
前記気体状の亜鉛は、前記エジェクタに導入されて前記冷却水に攪拌混合されることを特徴とする請求項9記載の亜鉛回収装置。
【請求項1】
亜鉛含有の灰から亜鉛を回収する亜鉛回収装置において、
前記灰を収容して加熱し、前記灰に含まれる金属のうち、少なくとも前記亜鉛を還元雰囲気の中で気化させる加熱室と、
前記加熱室で気化された前記亜鉛を回収する回収手段と、
を備えたことを特徴とする亜鉛回収装置。
【請求項2】
前記灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、
前記加熱室は、前記焙焼炉から排出された溶融スラグを収容し、前記溶融スラグによって前記灰を加熱することを特徴とする請求項1記載の亜鉛回収装置。
【請求項3】
前記焙焼炉から排出された溶融物を比重差によって溶融金属と前記溶融スラグとに分離すると共に、前記溶融金属から分離された比重の軽い前記溶融スラグを前記加熱室に供給する溶融スラグ分離部を更に備えることを特徴とする請求項2記載の亜鉛回収装置。
【請求項4】
前記回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、前記加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の亜鉛回収装置。
【請求項5】
前記回収手段は、前記加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の亜鉛回収装置。
【請求項6】
前記冷却手段は、気体状の亜鉛に接して前記亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、前記冷却水中で前記亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、前記沈殿槽から引き抜かれた冷却水を前記沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、
前記気体状の亜鉛は、前記エジェクタに導入されて前記冷却水に攪拌混合されることを特徴とする請求項5記載の亜鉛回収装置。
【請求項7】
前記灰は、亜鉛含有物を焙焼する焙焼炉を備えた焙焼装置から排出され、
前記加熱室は、前記灰を収容する収容部と、前記焙焼装置で加熱された予熱空気によって、前記収容部に収容された前記灰を加熱する熱交換部と、を有することを特徴とする請求項1記載の亜鉛回収装置。
【請求項8】
前記回収手段は、溶融した亜鉛を収容すると共に、前記加熱室で気化された亜鉛を凝縮するスプラッシュコンデンサーを有することを特徴とする請求項7記載の亜鉛回収装置。
【請求項9】
前記回収手段は、前記加熱室で気化された亜鉛を冷却して気体から固体に相転移させる冷却手段を有することを特徴とする請求項7または8記載の亜鉛回収装置。
【請求項10】
前記冷却手段は、気体状の亜鉛に接して前記亜鉛を気体から固体に相転移させる冷却水を貯留すると共に、前記冷却水中で前記亜鉛を沈殿分離する沈殿槽と、前記沈殿槽から引き抜かれた冷却水を前記沈殿槽内に噴射するエジェクタと、を備え、
前記気体状の亜鉛は、前記エジェクタに導入されて前記冷却水に攪拌混合されることを特徴とする請求項9記載の亜鉛回収装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−287051(P2009−287051A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138366(P2008−138366)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
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