説明

交換ユニット、主装置、および、これらを備えた交換ユニットの誤装着防止構造

【課題】製造コストの増加を抑制しつつ主装置に交換ユニットが誤った姿勢で装着されるのを防止することができる交換ユニットおよび主装置を提供する。
【解決手段】トナーカートリッジ80は、挿入口61B、第1嵌合部61Aが設けられた装着部61を有する現像ユニット60において、挿入口61Bから挿入方向Aに沿って装着部61に装填されるトナーカートリッジであり、トナーカートリッジ80は、第1嵌合部61Aと挿入方向Aに沿って着脱自在に嵌合する第2嵌合部80Aを有している。第2嵌合部80Aは、X‐Z面における断面形状が第1嵌合部61Aの断面形状と点対称を成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交換ユニットの誤装着防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
消耗品等の交換ユニットを用いる機器において、交換ユニットが誤った姿勢で主装置にセットされると機器の破損や品質の劣化を招くという問題があった。そのため、交換ユニットの主装置への誤装着を防止する交換ユニットおよび主装置が種々考案されている。
【0003】
このような主装置への誤装着を防止する交換ユニットの中には、プロセスカートリッジ(交換ユニット)に凹凸パターンを設け、交換ユニットの凹凸パターンと嵌合する凹凸パターンをプリンタ本体(主装置)に設けることで交換ユニットの誤装着を防止するものもある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−185311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に示す交換ユニットおよび主装置では、交換ユニットと主装置に嵌合する凹凸パターンをそれぞれ設ける必要がある。嵌合する凹凸パターンの形状は同一形状ではないためそれぞれ別形状の金型を製作して製造する必要があった。このような別形状の金型を製作することは製造コストの増加を招き問題であった。
【0005】
本発明は、製造コストの増加を抑制しつつ主装置に交換ユニットが誤った姿勢で装着されるのを防止することができる交換ユニットおよび主装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の交換ユニットは、開口部が形成され第1嵌合部が設けられた装着部を有する主装置に、開口部から所定の装填方向に沿って装着部に装填される交換ユニットであり、交換ユニットは第1嵌合部と装填方向に沿って着脱自在に嵌合する第2嵌合部を有している。第2嵌合部は、装填方向に平行な特定の面でその断面形状が第1嵌合部の断面形状と点対称を成している。
【0007】
この構成では、交換ユニットの第2嵌合部は装填方向に平行な特定の面でその断面形状が第1嵌合部の断面形状と点対称を成し、装填方向に沿って着脱自在に第1嵌合部と嵌合する。ここで、所定の装填方向とは、第1嵌合部が第2嵌合部に嵌合する向きである。これにより、第1嵌合部および第2嵌合部を同一形状とすることができる。一方、交換ユニットは、第2嵌合部が第1嵌合部と嵌合する向きにしか装着部に装填することができない。これにより、交換ユニットの装着ユニットへの誤装着を防止することができる。
【0008】
なお、第2嵌合部は、その長手方向が装填方向に対して平行に形成されるとともに、第1嵌合部と嵌合する嵌合面が長手方向に対して平行を成すものとしても良い。これにより、交換ユニットの装着部への装着をスムーズに行なうことができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、製造コストの増加を抑制しつつ主装置に交換ユニットが誤装着されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の第1実施形態に係る画像形成装置1について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1は、画像形成装置1の概略の正面断面図である。
【0012】
画像形成装置1は、画像読取部10、印刷部20、定着ユニット30、用紙給紙部50、現像ユニット(主装置)60を備え、用紙Pにトナー像を転写させて印刷処理を行なうとともに、原稿の画像データを読み取る。
【0013】
画像読取部10は、原稿台11と、自動原稿搬送装置12と、露光部13、を有している。
【0014】
原稿台11は、透明ガラス体によって形成されており、印刷部20の上方に配置されている。
【0015】
自動原稿搬送装置12は、原稿セットトレイ8上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ繰り出す繰り出し機構70を備えており、原稿台11の原稿読取位置へ搬送経路Qに沿って原稿を搬送する。そして、原稿の画像データを原稿読取位置で読み取ってから原稿を排紙トレイ8Aへ搬送する。
【0016】
露光部13は、走査ユニット、光源ランプ、光学レンズ、CCDラインセンサ等を有し、原稿台11上に載置された原稿を走査し、画像データとして読み取る。
【0017】
用紙給紙部50は、現像ユニット60の下部に配置された給紙トレイ51〜53、各給紙トレイから用紙Pを繰り出す用紙繰り出し機構51A〜53A、給紙トレイ51〜53に対応して形成された各搬送経路に配置された複数の搬送ローラ対、等を備えている。
【0018】
印刷部20は、感光体ドラム22、レーザスキャンユニットLSU、現像ユニット60、転写ローラ25、を有している。
【0019】
給紙トレイ51〜53のうちいずれか1つから繰り出された用紙Pは、レジストローラ対55によって搬送位置を微調整され、上方に位置する感光体ドラム22および転写ローラ25に狭持される。感光体ドラム22に面する用紙Pの印刷面にトナー像が転写され、定着ユニット30へ挟持搬送される。感光体ドラム22近傍には、クリーナ、帯電器等が配置されている。
【0020】
レーザスキャンユニットLSUは、画像読取部10等から転送された画像データに応じてレーザ光を感光体ドラム22の表面に照射し静電潜像を形成する。
【0021】
現像ユニット60は、感光体ドラム22に形成される静電潜像にトナーを供給し、トナー像を感光体ドラム22の表面に顕像化する。
【0022】
定着ユニット30は、転写ローラ25の直上方に配置されており、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧して用紙Pの印刷面に転写されたトナー像を定着させる。
【0023】
定着ユニット30においてトナー像をその印刷面に定着処理された用紙Pは、複数の搬送ローラ対40によって後処理装置54へと搬送され、ステープル処理や穿孔処理等が施された後、排紙トレイ9に排出される。
【0024】
制御部90は、現像ユニット60、定着ユニット30等の駆動を制御する。
【0025】
図2は、現像ユニット60の構成を示す概略図である。
【0026】
ここで、現像ユニット60において、長手方向に一致する水平方向をX方向、長手方向と直交する水平方向をY方向、高さ方向をZ方向とする。
【0027】
現像ユニット60は、主として、筐体62、現像ローラ63、検知スイッチ(検知部)64、トナーカートリッジ(交換ユニット)80、を備えている。
【0028】
筐体62は、下部にトナーを貯留する貯留槽を有し、貯留槽の直上方にはトナーカートリッジ80を装填する装着部61が設けられている。筐体62は、その最下部に貯留槽に貯留しているトナーを感光体ドラム22に供給する現像ローラ63が軸支されている。現像ローラ63の端部には駆動ギア63Gが軸着されている。駆動ギア63Gは、図示しない駆動モータによって回転駆動される。これにより、現像ローラ63を回転させて感光体ドラム22へトナーを供給することができる。
【0029】
筐体62の上部には、トナーカートリッジ80を着脱自在に装填する装着部61が設けられている。装着部61はX方向を長手方向として直方体状に形成され、筐体62の側面部には装着部61の挿入口(開口部)61Bが設けられている。これにより、筐体62の側面からトナーカートリッジ80を装着部61へ装填することができる。
【0030】
トナーカートリッジ80は、その下面に開口が設けられており、その開口はフィルムシールによって封止されている。装着部61にトナーカートリッジ80を装填してからフィルムシールをX方向に引っ張ると、フィルムシールがトナーカートリッジ80から引き剥がされトナーカートリッジ80内の図示しないトナーホッパーを経由して下方に設けられている貯留槽に供給される。
【0031】
検知スイッチ64は、装着部61の奥手側の挿入口61Bに対向する位置の側面に設けられており、トナーカートリッジ80が装着部61に装填されていることを検知する。トナーカートリッジ80が装着部61へ挿入され、トナーカートリッジ80が検知スイッチ64に当接すると検知スイッチ64が作動する。これにより、装着部61にトナーカートリッジ80が装填されていることを検知することができる。なお、本実施形態では、検知スイッチ64を設ける例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像ユニット60の仕様に応じて検知スイッチ64を設けないものとしても良い。
【0032】
制御部90は、検知スイッチ64が装着部61にトナーカートリッジ80が装填されているのを検知すると、現像ユニット60を駆動するとともに各種の制御処理を実行する。
【0033】
ここで、現像ユニット60における誤装着防止構造について説明すると以下の通りである。
【0034】
トナーカートリッジ80の挿入方向Aにおける先端部には、上面視においてL字状を成す切り欠きが設けられている。切り欠き部分の下部には、第2嵌合部80Aが設けられている。一方、トナーカートリッジ80の挿入方向Aにおける後端部には、取っ手81が設けられている。これにより、トナーカートリッジ80を装着部61に装填するときのトナーカートリッジ80の取り回しを容易にすることができる。なお、挿入方向AはX方向と平行を成している。
【0035】
装着部61の奥手側の挿入方向Aに直交する面には、トナーカートリッジ80が挿入されたときに第2嵌合部80Aと嵌合する第1嵌合部61Aが設けられている。
【0036】
なお、本実施形態では、検知スイッチ64を装着部61の奥手側の側面に設ける例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2嵌合部80Aと嵌合する第1嵌合部61Aの嵌合面に検知スイッチ64を設けるといったことも考えられる。
【0037】
図3は、トナーカートリッジ80を装着部61へ装填するときの装着部61の第1嵌合部61Aおよびトナーカートリッジ80の第2嵌合部80A周辺の構成を示す図である。図3(A)は、X‐Y面における断面構成を示す図である。図3(B)は、X‐Z面における断面構成を示す図である。図4(A‐1)は、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aが嵌合する直前の状態を示す図である。図4(A‐2)は、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aが嵌合した状態を示す図である。
【0038】
第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aは、互いに嵌合する面が3段から成る階段状に形成されている。X‐Z面において、第1嵌合部61Aの断面形状は、第2嵌合部80Aの断面形状に対して点対称な形状を呈している。図2に示すように、トナーカートリッジ80を第2嵌合部80Aが下側に位置する状態で挿入方向Aに沿って装着部61に装填すると、第1嵌合部61Aと第2嵌合部80Aが嵌め合う。これにより、トナーカートリッジ80を装着部61に装填することができる。一方、トナーカートリッジ80の上下を逆さまにした状態でトナーカートリッジ80を装着部61に挿入すると、第1嵌合部61Aと第2嵌合部80Aが嵌め合わない。このため、装着部61にトナーカートリッジ80が上下の向きを反対にした状態で装填されるのを防止することができる。また、同一形状の金型を用いて第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aを製造することができるので、製造コストの低減を図ることもできる。
【0039】
なお、本実施形態では、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aが階段状に形成されている例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの形状は、挿入方向Aに沿って装着部61に着脱自在であり、且つ、X‐Z面における断面形状が点対称を成すものであれば良い。この場合にも上記実施形態に係る現像ユニット60と同様の効果を得ることができる。また、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aは、挿入方向Aに沿って装着部61に着脱自在な形状であれば、挿入方向Aと平行を成す複数の面内において点対称を成す形状とすることも考えられる。この場合にも第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aを同一の形状とすることができるので、上記実施形態に係る現像ユニット60と同様の効果を得ることができる。
【0040】
上記第1実施形態では、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aは互いに嵌合するときに、Y‐Z面内で対向する下側および上側に取り付けて嵌合させる例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aは、トナーカートリッジ80を装着部61に挿入したときに嵌合する位置にそれぞれ取り付ければ良い。例えば、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの取り付ける位置をY‐Z面内で上下逆さまに、すなわち180°回転させて装着部61およびトナーカートリッジ80にそれぞれ取り付けても良い。また、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80AをY‐Z面内で90°回転させてそれぞれ取り付けても良い。このように、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの取り付け位置をY‐Z面内で変更しても上記実施形態に係る現像ユニット60と同様の効果を得ることができる。また、仕向け地ごとに第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの取り付け位置を変更することで、異なる仕向け地向けのトナーカートリッジ80が誤って装着部61に装着されるのを防止するという効果も得ることができる。
【0041】
上記第1実施形態では、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aは、そのX‐Z面内における断面形状が点対称を成す階段状に形成されY方向に一様な断面形状を呈している例を挙げて説明している。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aは、挿入方向Aと平行を成すいずれか特定の面内で点対称を成し、且つ、挿入方向Aに沿って装着部61に着脱可能な形状であれば良い。この場合にも上記実施形態に係る現像ユニット60と同様の効果を得ることができる。ここで、図4(B)〜(D)を用いて、X‐Z面内において点対称を成し、挿入方向Aに沿って装着部61に着脱可能な第1嵌合部および第2嵌合部について例を挙げて説明すると以下の通りである。
【0042】
図4(B‐1)は、L字状を成す第1嵌合部62Bおよび第2嵌合部82Bを示すものであり、図4(B‐2)は、第1嵌合部62Bおよび第2嵌合部82Bが嵌合した状態を示している。
【0043】
図4(C‐1)は、嵌合面の中央部が傾斜している第1嵌合部63Cおよび第2嵌合部83Cを示すものであり、図4(C‐2)は、第1嵌合部63Cおよび第2嵌合部83Cが嵌合した状態を示している。
【0044】
図4(D‐1)は、嵌合面の中央部に凹凸形状を形成した第1嵌合部64Dおよび第2嵌合部84Dを示すものであり。図4(D‐2)は、第1嵌合部64Dおよび第2嵌合部84Dが嵌合した状態を示している。
【0045】
なお、図4(A)〜(D)に示す第1嵌合部および第2嵌合部を仕向け地ごとに使い分けるといったことも考えられる。より具体的は、仕向け地ごとに用いる第1嵌合部および第2嵌合部を予め設定して装着部61およびトナーカートリッジ80に設けるものとする。この場合には、仕向け地ごとに第1嵌合部および第2嵌合部の形状が変更されているので、同じ仕向け地向けのトナーカートリッジ80のみ装着部61に装着することができる。これにより、異なる仕向け地向けのトナーカートリッジ80が装着部61に誤装着されるのを防止することができる。
【0046】
上記第1実施形態では、トナーカートリッジ80を装着部61に装着するときに、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aを互いにY‐Z面内で対向する位置に配置して嵌合させる例を挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、トナーカートリッジ80が装着部61に装填されたときに、第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380AをY‐Z面内で点対称となる位置にそれぞれ配置し、その嵌合面が挿入方向Aと全て平行を成すように配置することも考えられる。この場合における第2実施形態について上記第1実施形態と異なる部分について説明すると以下の通りである。
【0047】
図6(A‐1)は、上下互い違いに配置された第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aが嵌合した状態を模式的に示す図である。図6(A‐2)は、第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aの嵌合面の中心C1を含むA‐A断面を模式的に示す図である。A‐A断面は、X‐Z面に平行を成す断面である。
【0048】
図6(A‐2)に示すように、第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aは、A‐A断面における形状が互いに点対称を成す。一方、図6(A‐1)に示すように、Y‐Z面内においても互いに点対称を成す。このように、挿入方向Aと平行を成すA‐A断面内および挿入方向Aと直交するY‐Z面内においてそれぞれ点対称を成すように第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aを配置して嵌合させるものとしても上記第1実施形態に係る現像ユニット60と同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aは、互いに嵌合する嵌合面と直交する断面の形状が、上記第1実施形態で示した第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aと同じ3段の階段状を呈している。第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aは、X方向の長さがトナーカートリッジ80の切り欠き部分の長さXLと同じ長さに設けられている。
【0050】
上記第2実施形態において、第1嵌合部および第2嵌合部の形状は、第1嵌合部361Aおよび第2嵌合部380Aの形状に限定されるものではない。第1嵌合部および第2嵌合部は、互いに嵌合した状態でY‐Z面内における断面と、嵌合面の中心すなわち重心を含み挿入方向Aに平行を成す断面とにおいてそれぞれ点対称を成し、X方向の長さが切り欠き部分の長さXLと同じ長さであり挿入方向Aに挿脱自在な形状であれば良い。この場合における具体的な第1嵌合部および第2嵌合部の形状について図6(B)〜(D)を用いて以下に例示して説明する。
【0051】
図6(B‐1)に示すように、第1嵌合部362Bおよび第2嵌合部382Bは、装着部61およびトナーカートリッジ80に上下互い違いに配置されており、そのL字状を成す嵌合面が全て挿入方向Aと平行を成して配置されている。
【0052】
図6(B−2)は、第1嵌合部362Bおよび第2嵌合部382BのL字状を成す嵌合面の中心C2を含み、挿入方向Aと平行を成すB‐B断面における断面形状である。図6(B‐2)に示すように、B‐B断面で第1嵌合部362Bおよび第2嵌合部382Bは互いに点対称を成している。
【0053】
図6(C‐1)に示すように、第1嵌合部363Cおよび第2嵌合部383Cは、上記第1実施形態で示した第1嵌合部63Cおよび第2嵌合部83Cと同様に嵌合面が傾斜しており、嵌合面を挟んで左右互い違いに配置されている。図6(C‐2)は、第1嵌合部363Cおよび第2嵌合部383Cの嵌合面の中心C3を含むS‐S断面における断面形状を示す図である。S‐S断面は、挿入方向Aと平行を成す断面である。図6(C−2)に示すように、S‐S断面で第1嵌合部363Cおよび第2嵌合部383Cは互いに点対称を成している。
【0054】
図6(D‐1)に示すように、第1嵌合部364Dおよび第2嵌合部384Dは、上記第1実施形態で示した第1嵌合部64Dおよび第2嵌合部84Dと同様に嵌合面の中央部に凹凸が設けられ、その嵌合面を挟んで左右互い違いに配置されている。図6(D‐2)は、第1嵌合部364Dおよび第2嵌合部384Dの嵌合面の中心C4を含むD‐D断面における断面形状を示す図である。D‐D断面は、挿入方向Aと平行を成す断面である。図6(D‐2)に示すように、D‐D断面内において第1嵌合部364Dおよび第2嵌合部384Dは互いに点対称を成している。
【0055】
上記第1、第2実施形態では、装着部61の奥手側の側面およびトナーカートリッジ80の切り欠き部分に、第1嵌合部および第2嵌合部が設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、装着部61およびトナーカートリッジ80の挿入方向Aと平行を成し、互いに対向する面に第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aをそれぞれ設けるものとしても良い。この場合における第3実施形態について第1、第2実施形態と異なる部分について説明すると以下の通りである。
【0056】
図7は、現像ユニット160およびトナーカートリッジ180の周辺の構成を示す図である。図8(A)は、Y‐Z面における装着部161の断面形状を示す概略図である。図8(B)は、Y‐Z面におけるトナーカートリッジ180の断面形状を示す概略図である。図9(A)は、装着部161にトナーカートリッジ180を装着したときの第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180A周辺の構成を示す図である。図9(B)は、E‐E断面における第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aの断面形状を示す図である。ここで、E‐E断面は、第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aが互いに嵌合する嵌合面の中心C5を含み挿入方向Bに平行を成す断面である。
【0057】
トナーカートリッジ180には、挿入方向Bに沿って下端部に第2嵌合部180Aが設けられている。
【0058】
装着部161には、トナーカートリッジ180を挿入するときに第2嵌合部180Aと接する部分にX方向に沿って第1嵌合部161Aが設けられている。筐体162の側面部には、挿入口161Bが設けられている。
【0059】
第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aは、互いに嵌合した状態で、図9(A)に示すようにY‐Z面における断面形状が点対称をなすとともに、図9(B)に示すようにE‐E断面における断面が点対称を成している。また、第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aは、Y‐Z面における断面形状がX方向に沿って一様に形成されている。このため、トナーカートリッジ180を装着部161に挿入方向Bに沿って着脱自在に装填することができる。これにより、第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aを同一形状とすることができ、同一形状の金型を用いて製造することができる。この結果、製造コストの低減を図りつつ、装着部161にトナーカートリッジ180が上下反対に挿入されるのを防止するという効果も得ることができる。
【0060】
なお、挿入口161Bにトナーカートリッジ180を挿入するときに第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aを摺動させながら装着部61内へトナーカートリッジ180は装填される。このため、トナーカートリッジ180を位置決めしつつ装着部161へ装填することができる。
【0061】
本実施形態では、装着部161とトナーカートリッジ180は、それぞれ箱状に形成さえている例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、装着部とトナーカートリッジはそれぞれ円柱状を成し、トナーカートリッジは装着部に着脱自在に形成するものとしても良い。この場合にも、上記実施形態と同様に第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180Aを装着部とトナーカートリッジ180にそれぞれ設けることでトナーカートリッジの誤装着の防止を図ることができる。
【0062】
上記第3実施形態では、トナーカートリッジ180の挿入方向Bと平行な面に第1嵌合部161Aと第2嵌合部180Aが設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、装着部261にトナーカートリッジ80を取り付ける挿入口を2方向に設けるものとしても良い。この場合における第4実施形態において上記実施形態と異なる部分について説明すると以下のとおりである。なお、第4実施形態における第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの配置は、第1実施形態における配置と同様である。
【0063】
図10は、現像ユニット260およびトナーカートリッジ80の周辺の構成を示す図である。
【0064】
現像ユニット260は、上部に装着部261が設けられている。装着部261は、筐体262の上面に挿入口261Aが形成されるとともに、筐体262の側面部に挿入口261Bが形成されている。
【0065】
第1嵌合部61Aは、装着部261の長手方向と直交する側面、すなわち挿入口261Bと対向する側面に設けられている。
【0066】
トナーカートリッジ80は挿入方向C1、C2に沿って挿入口261Aおよび挿入口261Bから装着部261に装着される。第2嵌合部80Aが下側となる状態で挿入方向C1、C2に沿ってトナーカートリッジ80を装着部261に装填すると第2嵌合部80Aが第1嵌合部61Aに嵌合する。一方、トナーカートリッジ80を逆さまにして、すなわち第2嵌合部80Aが上側となる状態で挿入方向C1、C2に沿って装着部261に装着すると、第2嵌合部80Aが第1嵌合部61Aと嵌め合わない。これにより、トナーカートリッジ80の装着部261への誤装着を防止しつつ、2方向からトナーカートリッジ80を装着部261へ着脱自在に取り付けることができる。
【0067】
上記第4実施形態では、トナーカートリッジ80を装着部261に装着したときに、第1嵌合部61Aが下側になるように配置し、第2嵌合部80Aが上側になるように配置する例を挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、挿入方向C1、C2のいずれからも装着部261に着脱自在となる位置に配置する場合には、第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの代わりに、第1嵌合部62Bおよび第2嵌合部82Bを用いても良い。より具体的には、図4(B)に示す第1嵌合部62Bおよび第2嵌合部82BをY-Z面内で180°回転させて装着部261およびトナーカートリッジ80にそれぞれ設ける。これにより、挿入方向C1、C2のいずれからも装着部261にトナーカートリッジ80を着脱自在に装着することができる。また、上記第1嵌合部62Bおよび第2嵌合部82Bと同様に、図4(C)に示す第1嵌合部63Cおよび第2嵌合部83CをY-Z面内で180°回転させて第1嵌合部61Aおよび第2嵌合部80Aの代わりに用いるものとしても良い。
【0068】
第4実施形態では、現像ユニット260にトナーカートリッジ80を直交する2方向から取り付ける例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トナーカートリッジ80を挿入方向が異なる複数の現像ユニットの装着部に挿入するものとしても良い。より具体的には、例えば、第1仕向け地の画像形成装置では現像ユニット60が使用され、第2仕向け地の画像形成装置では現像ユニット260が使用されるといったことが考えられる。この場合には、トナーカートリッジの挿入方向が異なる複数の現像ユニットにおいて、使用するトナーカートリッジの共通化を図りつつトナーカートリッジの誤装着を防止するという効果を得ることができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、交換ユニットをトナーカートリッジ80とし、主装置を現像ユニット60とする例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、サプライ品等の交換ユニットを着脱自在に装填する装着部を有する本体装置に、本発明を適用することで上記実施形態に係る現像ユニット60と同様の効果を得ることができる。
【0070】
なお、図1〜10において、各部の断面図示については簡単のため一部を適宜省略するとともに摸式的に示している。
【0071】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の一実施形態に係るプリンタの全体の構成を示す図である。
【図2】現像ユニットおよびトナーカートリッジの構成を示す図である。
【図3】(A)はトナーカートリッジを装着部へ装填するときのX‐Y断面における第1嵌合部および第2嵌合部周辺の構成を示す図である。(B)はトナーカートリッジを装着部へ装填するときのX‐Z断面における第1嵌合部および第2嵌合部周辺の構成を示す図である。
【図4】(A‐1)は階段状を成す第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合する直前の状態を示す図である。(A‐2)は階段状を成す第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合した状態を示す図である。
【0073】
(B‐1)はL字状を成す第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合する直前の状態を示す図である。(B‐2)はL字状を成す第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合した状態を示す図である。
【0074】
(C‐1)は、嵌合面の中央部が傾斜している第1嵌合部および第2嵌合部を示す図である。(C‐2)は、第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合した状態を示している。
【0075】
(D‐1)は、嵌合面の中央部に凹凸形状を形成した第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合する直前の状態を示す図である。(D‐2)は、第1嵌合部および第2嵌合部が嵌合した状態を示す図である。
【図5】(A)は、第2実施形態におけるトナーカートリッジを装着部へ装填するときのX‐Y断面における第1嵌合部および第2嵌合部周辺の構成を示す図である。(B)はトナーカートリッジを装着部へ装填するときのX‐Z断面における第1嵌合部および第2嵌合部周辺の構成を示す図である。
【図6】(A‐1)は、上下に配置された階段状を成す第1嵌合部および第2嵌合部の嵌合した状態を示す断面図である。(A‐2)は、A‐A断面における嵌合した第1嵌合部および第2嵌合部の断面形状を示す図である。
【0076】
(B‐1)は、上下に配置されたL字状を成す第1嵌合部および第2嵌合部の嵌合した状態を示す断面図である。(B‐2)は、B‐B断面における嵌合した第1嵌合部および第2嵌合部の断面形状を示す図である。
【0077】
(C‐1)は、左右に配置され、嵌合面に傾斜部が設けられた第1嵌合部および第2嵌合部の嵌合した状態を示す断面図である。(C‐2)は、S‐S断面における嵌合した第1嵌合部および第2嵌合部の断面形状を示す図である。
【0078】
(D‐1)は、左右に配置され、嵌合面の中央部に凹凸形状を形成した第1嵌合部および第2嵌合部の嵌合した状態を示す断面図である。(D‐2)は、D‐D断面における嵌合した第1嵌合部および第2嵌合部の断面形状を示す図である。
【図7】第3実施形態における挿入方向に沿って第1嵌合部および第2嵌合部をそれぞれ設けた場合の現像ユニットおよびトナーカートリッジの構成を示す図である。
【図8】(A)は、Y‐Z面における装着部の断面形状を示す概略図である。(B)は、Y‐Z面におけるトナーカートリッジの断面形状を示す概略図である。
【図9】(A)は、装着部にトナーカートリッジを装着したときの第1嵌合部161Aおよび第2嵌合部180A周辺の構成を示す図である。(B)は、E‐E断面における第1嵌合部および第2嵌合部の断面形状を示す図である。
【図10】第4実施形態の2方向からトナーカートリッジを現像ユニットに装填する場合の現像ユニットおよびトナーカートリッジの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0079】
60 現像ユニット(主装置)
61 装着部
61A 第1嵌合部
61B 挿入口(開口部)
80 トナーカートリッジ(交換ユニット)
80A 第2嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成され第1嵌合部が設けられた装着部を有する主装置に、前記開口部から所定の装填方向に沿って前記装着部に装填される交換ユニットであって、
前記第1嵌合部に前記装填方向に沿って着脱自在に嵌合する第2嵌合部を有し、
前記第2嵌合部は、前記装填方向に平行な特定の面でその断面形状が前記第1嵌合部の断面形状と点対称を成す、
交換ユニット。
【請求項2】
前記第2嵌合部は、その長手方向が前記装填方向に対して平行に形成されるとともにその嵌合面が前記長手方向に対して平行を成している、
請求項1に記載の交換ユニット。
【請求項3】
開口部が形成され第1嵌合部が設けられた装着部を有し、
前記装着部は、前記開口部から所定の装填方向に沿って請求項1または2に記載の交換ユニットが装填される、
主装置。
【請求項4】
前記装着部には、異なる2方向に前記開口部が設けられており、
前記第2嵌合部は、前記異なる2方向に沿って前記第1嵌合部と着脱自在に設けられている、
請求項3に記載の主装置。
【請求項5】
前記交換ユニットが前記装着部に装着されたことを検知する検知部をさらに備えている、
請求項3または4に記載の主装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の交換ユニットと、
前記交換ユニットを装着する請求項3から5のいずれか1項に記載の主装置と、
を備えている交換ユニットの誤装着防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−282286(P2009−282286A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134128(P2008−134128)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】