説明

交通情報システム及び情報端末

【課題】本発明の課題は、個別の通信を必要とせず、放送型のシステムを用いて、ドライバーそれぞれの設定経路に応じた旅行時間予想を正確に行うことである。
【解決手段】サーバーから現在のリンク旅行時間情報とともに、将来の予想リンク旅行時間情報を繰り返し送信し、情報端末でこれらの情報と経路情報を用いて総旅行時間を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末に対して、交通情報を提供するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムに渋滞情報を提供するシステムとして、VICS(Vehicle Information and Communication System)が知られている。このシステムは、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコンなどのデバイスによって現在の渋滞情報や規制情報を5分ごとに更新して提供している。VICSの利用料金は、VICS情報を受信する機器の料金に含まれており、受信機器の所有者は無料で交通情報を受信することができる。
【0003】
将来の渋滞情報を予測して提供するシステムとしては、特許文献1に記載の技術のように、プローブカーから得られた情報をサーバー側で統計的に処理して渋滞情報を予測する技術が知られている。
情報端末から、出発日時・出発地点・目的地などの個別情報をサーバーに送信し、サーバー側で統計的に処理した渋滞情報を用いて、推奨移動経路と出発時点から移動にかかる時間を予測し、情報端末に返信するシステムとしては、特許文献2に開示されている技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−29098号公報
【0005】
【特許文献2】特開2002−162234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のシステムにおいては、サーバーと車の間で個別の通信を行う必要があるため移動時間の予測を行うたびに通信料が発生するという問題がある。現在のVICSのように、無料での交通情報提供を行うためには、FM多重放送や地上波デジタル放送のデータ放送などの放送型システムが適しているが、放送型のシステムでは各車の移動予定経路や出発時間に応じた予測移動時間情報を提供することができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、現在のリンク旅行時間情報とともに、将来の複数の時点における予想リンク旅行時間情報を1回以上繰り返して送信する交通情報提供システムを開示する。さらに該システムから情報を受信する情報端末であって受信した前記リンク旅行時間情報及び、前記複数の予想リンク旅行時間情報のうち、あらかじめ設定されている目的地までの走行経路情報との関連度の高いものを選択して目的地までの所要時間を推定する情報端末について開示する。
【発明の効果】
【0008】
交通情報提供システムが、現在のリンク旅行時間情報とともに、将来の複数の時点における予想リンク旅行時間情報を1回以上繰り返して送信し、情報端末がこれらの情報を順次受信することで、通信料を発生させずに各車の移動予定経路と出発時間に応じた予想移動時間を正確に知ることができる。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明による交通情報提供サービスの全体構成を表した図である。サービスは、交通情報を収集し、渋滞情報や旅行時間を予測し、提供する交通情報提供システム100と、提供された交通情報を受け取る情報端末103と、現時点での実際の交通情報を収集するプローブカー104及び車両検出装置105から構成される。交通情報提供システム100は、さらに、交通情報を収集し、渋滞情報や旅行時間を予測する交通情報サーバー101と、交通情報を情報端末に送信するための通信装置102から構成される。
【0010】
プローブカー104には、バス、タクシー、トラック、乗用車など任意の種類の車両が利用できる。プローブカー104は、GPS(Global Posisitioning System)装置と携帯電話等の通信装置を備えており、一定時間ごとに車両位置を交通情報サーバー101に送信する。車両検出装置105は、道路上に配置された装置であり、カメラによって道路を撮影することで、道路上を走行する車両を認識し、通過台数や走行速度を計測し、交通情報サーバー101に送信する。車両検出装置105の別の実施形態としては、道路に圧力センサを間隔をとって複数埋設することで、車両の通過台数と通過速度を計測する方法も利用できる。 交通情報サーバー101は、プローブカー104から得た各時点での車両位置情報から、その車両位置での車両の平均速度を計算することができる。これによって、交通情報サーバー101には、現時点での各道路での車両の走行速度情報が収集されることになり、走行速度の遅い道路は渋滞していると判定することができる。また、通過速度の情報と区間の長さ情報から、その区間を通過するのにかかる時間を計算することもできる。
【0011】
現在のVICSサービスでは、各道路を上り下だり別に区間に分けて、区間ごとに固有のIDを付けて管理しており、VICSリンクと呼んでいる。VICSで提供されている渋滞情報もVICSリンクごとの情報として提供されている。交通情報サーバー101においても、従来のVICSシステムとの互換性を鑑みて、このリンク毎に交通情報を管理する方法が好ましい。本発明では主に、リンク毎の予測通過時間(リンク旅行時間)を扱う。
【0012】
交通情報サーバー101は、ハードディスクなど過去の交通情報を蓄積する記憶装置を備えることで、リンク旅行時間の変化情報を収集することができる。渋滞によるリンク旅行時間の変化は、一日の中での時間帯や、曜日、連休の有無、季節などのパラメータと相関を有しているため、リンク旅行時間の予測は、上記の蓄積されたリンク旅行時間の変化情報から、現時点での上記パラメータが類似しているリンク旅行時間の変化情報を検索することで実現可能である。リンク旅行時間の予測の別の実現手段としては、上記のパラメータがリンク旅行時間に与える影響を蓄積されたリンク旅行時間の変化情報からリンク毎に因子分析しておき、現時点での上記パラメータを上記因子分析で得られた推定式に代入することでリンク旅行時間を予測する方法が利用できる。
【0013】
通信装置102としては、FM多重放送の放送施設、電波ビーコン送信機、光ビーコン送信機、地上波デジタルTVの放送施設、全天頂衛星などが利用できるが、現在の交通情報に加えて、将来の予想交通情報も送信する必要があるため、地上波デジタルTVの放送施設、全天頂衛星などの通信容量の多い方式が好適である。
通信装置102に何を用いるかにより、通信のカバー範囲が変わる。例えば地上波TV放送では、1つの放送施設がカバーできる範囲は放送施設の周囲に限定される。従って、この放送施設からの情報を受け取る車両も放送施設の周囲にいるため、送信すべき予想交通情報は、放送施設周囲のデータに限定することができる。一方、衛星を用いた場合は、通信のカバー範囲が広いため、前項の予想交通情報を送信する必要がある。
【0014】
図2は、交通情報サーバー101から、通信装置102を通じて送信されるリンク旅行時間情報の送信順序を表した図である。送信順序の1つの実施例としては、201のように現在のリンク旅行時間情報から、将来のリンク旅行時間情報を順番に送信する方式が利用できる。情報の更新間隔を現在のVICSと同様に5分とした場合、5分間の間に現在の情報から、将来のリンク旅行時間情報を順番に複数回繰り返して送信を行う。異なる実施例としては、202のように、現在のリンク旅行時間情報と将来のリンク旅行時間情報を交互に送信し、将来のリンク旅行時間情報に関しては順次、より将来のリンク旅行時間情報を送信するようにする。この方式の利点は、受信開始から現在のリンク旅行時間情報が取得できるまでの時間が、前述の方式より短縮できることである。一方、前述の方式では、現在のリンク旅行時間情報の送信量が占める割合が少ないため、同じ繰り返しデータ量であれば、より先の将来のリンク旅行時間情報を送信できるという利点がある。
【0015】
図8は、交通情報サーバー101から、通信装置102を通じて送信されるリンク旅行時間情報のデータフォーマットの例を表した図である。図8(a)は、通信装置102がカバーする範囲でのすべてのリンクに関するリンク旅行時間情報を送信する場合を示したものである。最上列の番号はリンク番号を示す。2段目からは順に現在から未来における各リンクの走行に要する時間が記述されている。それぞれの最左列にあるようにリンク旅行時間情報を送信する前に、その情報がいつの時点の予想情報であるかの識別子を付与して送信する。このデータフォーマットでは、すべてのリンクのリンク旅行時間情報が得られるため、正確な総旅行時間予想ができるメリットがある。図8(b)は、その情報がいつの時点の予想情報であるかの識別子を定期的に送信する方式である。識別子に、通し番号をつけておくことで、端末側で受信を途中から始めた場合でも、どこから受信を始めたかを素早く判定することができる。図8(c)は、渋滞や規制等により平均的なリンク旅行時間より移動時間が多くかかるリンクの情報のみを選択的に送信するのに適したデータフォーマットである。このデータフォーマットでは、渋滞している区間のリンクID(渋滞ID)とリンク旅行時間をペアにして送信する。渋滞区間のみの情報を送信するために、通信料が削減できることが利点である。一方、平均的なリンク旅行時間を端末側で記憶しておく必要がある。図8(d)は、図8(c)の方式において、その情報がいつの時点の予想情報であるかの識別子を定期的に送信する方式である。
【0016】
サービスを受ける情報端末ごとに携帯電話等をもちいて専用の通信路を確立し、情報端末から経路情報を送信することで、サーバ側で総旅行時間を計算することが可能なサーバークライアント型のシステムとは異なり、本発明のシステムにおいては、不特定の情報端末側で総旅行時間計算を行うために必要な情報を送信する必要がある。情報端末を搭載した車両の目的地はそれぞれ異なり、走行経路も異なるため、あらゆる状況に対応するためには、全てのリンクにおけるリンク旅行時間情報を送信することが望まれる。放送の通信容量が十分に大きい場合は、全てのリンクにおけるリンク旅行時間情報を送信することが最も単純で総旅行時間の推定精度も高い方法である。
【0017】
一方、通信容量が限られている場合は、全てのリンクにおけるリンク旅行時間情報を送信するのではなく、総旅行時間に大きな影響を与える渋滞箇所や規制箇所のリンク旅行時間情報だけを送信する方法が、通信量削減の観点から適している。本願ではこうした汎用性のある情報を受信した端末が必要な情報を取捨選択できるように上記のようなリンクに対応づけされたデータ構成をとる。またこの方式は通信容量が大きい場合でも、情報の繰り返し間隔を短くできるため、総旅行時間の予測値がユーザに提示されるまでの時間を短縮できるというメリットがある。いずれの方法をとった場合においても、情報端末から交通情報サーバへ情報を送信するための専用通信路を確立する必要がないため、通信料が発生しないという利点がある。
【0018】
図9は、繰り返し送信されるリンク旅行時間情報が、更新される直前に送信される終了識別子の一実施例を表したものである。例えば5分毎に情報を更新する場合は、5分に1回、終了識別子が送信される。図9記載の形式に限らず、終了識別子を挿入して終了のフラグだてをしておくことで、端末側では次から受信する情報は更新されたものであると判断することができる。
【0019】
図10は、情報端末の構成を表したブロック図である。情報端末1000は、CPU,ROM,RAM,データバスなどから構成されるシステム制御部1001を中心に、GPS受信機1002、自律航法センサ1003、交通情報受信機1004、ディスプレイ1005、音声出力装置1006、総旅行時間予測部1007、地図情報読込部1008、HDD1009、画面描画部1010、操作手段1011、経路検索部1012、交通情報蓄積装置1013などが接続された構成となっている。GPS受信機1002は、図示しない複数のGPS衛星からの信号を受信する装置である。自律航法センサ1003は、ジャイロ情報や車速パルスなどを利用して、車両の現在位置と車両の向きを推定する装置である。HDD1009に保存されている地図情報は、地図情報読込部1008からRAMに読み出され、GPS受信機1002で受信された情報から計算した位置情報、自律航法センサ1003で得られた位置情報、及び地図情報を用いたマップマッチングによって、最終的な現在位置を推定し、画面描画部1010を通じて、ディスプレイ1005に自車位置周辺の地図と自車を現すシンボルを表示する。音声出力装置1006は、走行中のルート案内を音声によって行うための装置である。操作手段1011は、ユーザが情報端末を操作するための手段であり、リモコンや、タッチパネル、音声認識装置などで構成することができる。
【0020】
本発明で特徴的なのは、交通情報受信機1004、総旅行時間予測部1007及び経路検索部1012である。交通情報受信機1004は、交通情報サーバ101から送信される交通情報を受信するための装置である。交通情報蓄積装置1013はHDD1009に格納された地図情報に含まれる交通情報や、交通情報受信機1004で受信した交通情報を蓄積する装置であり、RAMやフラッシュメモリを用いて実現される。経路探索部1012は、現在地からユーザが設定した目的地までの走行経路を探索する処理を行うものである。総旅行時間予測部1007は、経路探索部1012で探索された走行経路と、交通方法蓄積装置1013に蓄積された交通情報から、走行経路を通って目的地まで到着するのにかかる時間を推定する処理を行う部分である。
【0021】
図3は、通信装置102から送信された交通情報を受信した情報端末103の動作手順を表した図である。情報端末の電源投入、チューナーの切替、受信可能領域への侵入などによって、交通情報受信機1004によるリンク旅行時間情報の受信が開始される(S301)。一般的に、受信は図7のようなデータフォーマットの途中から受信が行われる。初めに現れた識別子を受信した時点で、現在受信中のデータがいつの時点の情報か判定することができるので、識別子を受信するまで待機する(S309)。識別子受信後、次の情報を受信(S302)した後、情報端末103は、受信したデータが終了識別子であるかどうかを判定し、動作を振り分ける(S303)。
【0022】
S303の判定で受信した情報が終了識別子でなかった場合は、その情報を交通情報蓄積装置1013に蓄積する(S304)。情報端末103は、蓄積された情報が1回の繰り返し単位分すべて取得できたかどうかを判定し(S305)、取得が完了していない場合は次の情報を受信するステップ(S302)に戻り、取得が完了した場合は、総旅行時間予測部1007による総旅行時間を推定するステップに進む(S306)。総旅行時間の推定に関しては後述する。
【0023】
S303の判定で、受信した情報が最終データであった場合は、最終データのデータ取得でちょうど1回の繰り返し単位分が揃う場合と、揃わずに足りない場合があるため、これを判定し(S307)、情報取得が完了していた場合は、総旅行時間予測部1007による総旅行時間を推定するステップに進む(S306)。一方、情報取得が完了していない場合は、更新された情報を新たに取得するほうが適切であるため、交通情報蓄積装置1013に蓄積した情報をクリアし(S308)、情報受信のステップに戻る(S302)。
【0024】
また、総旅行時間の推定と平行して、現時点での渋滞情報などを画面に表示する場合は、図4のように、情報を受信した時点で(S302)、現在の情報かどうかを判定し(S401)、現在の情報である場合はすぐにその情報をディスプレイ1005に表示するステップ(S402)を追加することで対応可能である。
情報の蓄積のステップ(S304)において、受信した情報全てを交通情報蓄積装置1013に蓄積する必要は必ずしもなく、ドライバーが経路探索部1012を利用して情報端末にあらかじめ設定した経路に沿った総旅行時間の推定に必要な情報や、他の経路候補を検索するために必要な周辺経路の情報だけを選択して蓄積することで、記憶容量を削減することができる。
【0025】
まず、情報端末を搭載した車両の目的地までの経路を経路探索部1012が探索する。経路はリンクID番号のリストとして表現することができるので、経路に沿った情報だけを蓄積する場合は、受信した情報のうち、リンクID番号が上記のリストと等しいものだけを選択して蓄積すればよい。
【0026】
図6は、総旅行時間予測部1007が総旅行時間を推定する手順を説明するための図である。推定を開始する段階(S601)で、交通情報蓄積装置1013にはあらかじめ設定された経路に沿ったリンクの予想旅行時間情報が、図5の表のような形式で蓄積されているものとする。図8(a)(b)のように、全てのリンクに対する情報が送信される場合は、その情報を用いればよいし、図8(c)(d)のように一部のリンクに対する情報のみが送信される場合は、HDD1009に記憶されている地図情報に含まれる各リンクの平均リンク旅行時間情報で補完して、図5のような表を作成する。表には、各リンクの距離のデータも含まれる。この距離データは、HDD1009などの記憶媒体にあらかじめ記憶しておくこともできるし、本システムで送信する情報に含めておき、交通情報受信機1004で受信しても良い。
【0027】
車両は、表の最上部のリンクに対応した道路を走っていることになる。表のデータを指し示すのに、行方向のポインタと、列方向のポインタを用意し、行方向のポインタは現在地のリンクIDの行、つまり一番上の行を参照するように設定する(S602)。次に、列方向のポインタは、現在の予想旅行時間に対応する列、つまり一番左の列を参照するように設定する(S603)。次に、現在位置から次のリンクの接続点までの旅行時間を計算し、レジスタに記憶する(S604)。具体的には、車両はすでに現在のリンクの一部を走行しているので、次のリンクまでに残された距離と、現在地の属するリンクの距離との比を、ポインタが参照する予想旅行時間に適用することで、次のリンクの接続点までの旅行時間を計算することができる。
【0028】
次に、レジスタに記憶されている旅行時間に対応する列を参照するようにポインタを設定する(S605)。例えば、レジスタの値が175秒であれば、まだ5分に到達していないので、5分後の列よりも、現在の列を選択する。別の選択の基準としては、レジスタの値に最も近い列を選択する方法も考えられる。上記の例であれば、175秒は現在(0秒)よりも5分に近いので5分後の列を選択する。
【0029】
一方、行を参照するポインタは次のリンクを参照するように設定する(S606)。参照すべき次のリンクがない場合(S607)、目的地までのリンクをたどったことになるので、推定を終了する(S609)。次のリンクがあれば、ポインタが参照するデータから予想旅行時間を計算し、レジスタに加算する(S608)。このとき、参照しているリンクが目的地に対応するリンクでなければ、車両はリンクを全て走行することになるため、予想旅行時間の計算は単に、表から値を読み出すだけでよい。一方、目的地を含むリンクの場合は、リンクの一部だけを走行することになるので、現在地で行ったのと同様に走行する距離とリンクの距離の比を読み出した値に適用すればよい。
【0030】
上記の例では、表として離散化された予想旅行時間情報のどれか1つをポインタで参照して用いたが、補間手法を用いることもできる。例えば、レジスタの値が175秒の場合、現在(0秒)と5分後(300秒)の値を線形補間して、(175/300)(5分後の値-現在の値)+(現在の値)のように予想旅行時間を計算してもよい。また、上記の例のように2点で補間するのではなく3点以上を用いて曲線で補間してもよい。
【0031】
図5の表のデータに従い、簡単のため現在地をリンク7013の開始地点、目的地をリンク7240の終了地点とすると、現在のリンク旅行時間だけを用いて総旅行時間を計算すると現在の列を単純に足すことになり2150秒となる。一方、上記動作手順で、レジスタの値が10分に到達していない場合は5分後の列を使うといった選択を行った場合、総旅行時間の予想に使われるデータは図7の色付けしてあるデータとなり、総旅行時間の予想値は2255秒となる。
【0032】
渋滞発生時などに他の経路候補を検索するために必要な周辺経路の情報を選択する方法としては、現時点で交通情報蓄積装置1013に蓄積されているリンク旅行時間情報を用いて、経路探索部1012が他の経路候補を複数検索しておき、それらの経路候補に沿ったリンクID番号のリストを作成し、受信情報とリストを比較して該当する情報だけを蓄積して更新する方法が利用できる。経路探索部1012による経路候補の検索は、リンク旅行時間を距離とした最短経路探索問題として、ダイクストラ法などの公知の方法を適宜利用すればよい。リンクID番号のリストから、必要な情報を受信して蓄積する手順は、図3と同様でよい。
【0033】
それぞれの経路候補に対して、上記のような総旅行時間推定を行うことで、より早く目的地に到着する可能性のある経路を判定することができる。適当な閾値を定めておき、別の経路に対する推定総旅行時間が、現在の経路に対する推定総旅行時間よりも、閾値以上短かった場合は、ディスプレイ1005や音声出力装置1006を通じてドライバーに通知することが考えられる。
上記開示した本願構成はプログラムをコンピュータで読み込むことで実現され、もしくはハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの協調によっても実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】交通情報提供サービスの構成の一実施例を示す図。
【図2】交通情報の送信順序の一実施例を示す図。
【図3】情報端末の動作手順の一実施例を示す図。
【図4】情報端末の動作手順の一実施例を示す図。
【図5】蓄積されたリンク旅行時間情報の一実施例を示す図。
【図6】総旅行時間推定の手順の一実施例を示す図。
【図7】総旅行時間推定に用いられるリンク旅行時間情報の一実施例を示す図。
【図8】サーバーから送信するデータフォーマットの一実施例を示す図。
【図9】サーバーから送信するデータフォーマットの一実施例を示す図。
【図10】情報端末の構成の一実施例を示す図。
【符号の説明】
【0035】
100・・・交通情報提供システム
101・・・交通情報サーバー
102・・・通信装置
103・・・情報端末
104・・・プローブカー
105・・・車両検出装置
201・・・送信順序例1
202・・・送信順序例2
1000・・・情報端末
1001・・・システム制御部
1002・・・GPS受信機
1003・・・自律航法センサ
1004・・・交通情報受信機
1005・・・ディスプレイ
1006・・・音声出力装置
1007・・・総旅行時間予測部
1008・・・地図情報読込部
1009・・・HDD
1010・・・画面描画部
1011・・・操作手段
1012・・・経路検索部
1013・・・交通情報蓄積装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路を構成する複数リンクについて、現在のリンク旅行時間情報を記憶する手段と、
上記現在のリンク旅行時間情報に基づいて将来におけるリンク旅行時間情報を予測する手段と、
上記リンク毎に上記現在及び将来におけるリンク旅行時間情報を繰り返し複数の車載端末装置に送信することを特徴とする交通情報提供システム
【請求項2】
経路を構成するリンク毎に現在及び将来におけるリンク旅行時間情報を受信する受信部と、
走行経路を検索する経路検索部と、
上記検索された経路を構成するリンクに対応づけられる上記現在及び将来におけるリンク旅行時間情報から経路走行時間を算出する処理部とを有することを特徴とする情報端末。
【請求項3】
前記処理部は、上記現在位置から経路最終地に向かって旅行時間を積算していき、積算値に応じた上記将来におけるリンク旅行時間情報を選択するものであることを特徴とする請求項2に記載の情報端末
【請求項4】
上記経路検索部は複数の経路を検索し、
上記処理部は上記複数の経路それぞれについて経路走行時間を算出して、該経路走行時間が最短である経路を出力することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−79383(P2006−79383A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263196(P2004−263196)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】