説明

伸張抵抗性を組み込む離脱可能コイル

伸張抵抗性部材を有する移植可能塞栓デバイスであって、この伸張抵抗性部材は、このデバイスを通過し、そしてまた、このデバイスを送達システムに接続するためのテザーとして働く。この伸張抵抗性部材は、このデバイスの近位端および遠位端に取り付けられており、そしてこの送達デバイスまで近位に延びる。この近位の取り付け点は、この部材の遠位の伸張抵抗性セグメントを、この部材の近位の接続セクションに加えられる軸方向張力から隔離するように働く。従って、この伸張抵抗性部材の、塞栓デバイスを送達デバイスに接続するために使用される部分は、インプラントに張力を与えたりゆがめたりすることなく、張力を与えられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮出願番号60/952,520(2007年7月27日出願、発明の名称「Detachable Coil Incorporating Stretch Resistance」)に対する優先権を主張し、この米国仮出願は、本明細書中に参考として援用される。本願はまた、米国仮出願番号60/604,671(2004年8月25日出願、発明の名称「Thermal Detachment System For Implantable Devices」)、米国仮出願番号60/685,342(2005年5月27日出願、発明の名称「Thermal Detachment System For Implantable Devices」)および米国特許出願番号11/212,830(2005年8月25日出願、発明の名称「Thermal Detachment System For Implantable Devices」)を、本明細書中に参考として援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、患者の身体内の標的部位または位置にインプラントデバイスを送達するためのシステムおよび方法に関する。本発明はまた、伸張抵抗性インプラントを送達するためのシステムおよび方法、ならびにこのインプラントを送達システムに取り付け、そしてこの送達システムから離脱させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
侵襲性が低い手段による移植可能な治療デバイスの送達が、多くの臨床的状況で所望され得ることが示されている。例えば、血管塞栓が、血管出血を制御するため、腫瘍への血液供給を閉塞するため、輸卵管を閉塞するため、および血管動脈瘤、特に頭蓋内動脈瘤を閉塞するために用いられている。最近、動脈瘤の処置のための血管塞栓が多くの注目を受けている。動脈瘤を処置するために使用されるインプラントは、しばしば、回旋状またはコイル状の、ある長さの巻かれたワイヤであり、そして「マイクロコイル」と称される。マイクロコイルは、動脈瘤を満たしてこの動脈瘤を通る血流を遅くするかまたは止め、これによりこの動脈瘤内に血栓を収容することによって、働く。
【0004】
マイクロコイルは、非常に可撓性であり、そして非常に小さい構造一体性を有する。これらのマイクロコイルを、回収および再配置をより容易にする目的で、最近の努力は、これらのマイクロコイルを伸張抵抗性にすることに関する。例えば、コイルの内部管腔を通過する伸張抵抗性部材を有する、伸張抵抗性の塞栓コイルが、Kenに対する特許文献1に記載されている。Wilsonに対する特許文献2はまた、伸張抵抗性部材を有する塞栓コイルを開示し、この伸張抵抗性部材は、コイルの遠位端の近くに取り付けられた遠位端を有し、そしてこの部材の近位端は、送達カテーテルに取り付けられている。
【0005】
いくつかの異なる処置様式が、インプラントデバイスを展開するために先行技術で採用されている。例えば、インプラントデバイスのための多くの再位置決め可能な離脱システムが、Guglielmiらによる特許文献3およびGeremiaらによる特許文献4を含む先行技術に記載されており、これらの内容は、本明細書によって参考として援用される。本明細書によって参考として援用される、Gandhiらによる特許文献5およびHandaらによる特許文献6に開示されるようないくつかのシステムは、インプラントデバイスを離脱および展開するためのヒーターの使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,582,619号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0034363号明細書
【特許文献3】米国特許第5,895,385号明細書
【特許文献4】米国特許第5,108,407号明細書
【特許文献5】米国特許第6,500,149号明細書
【特許文献6】米国特許第4,346,712号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、コイル、ステント、フィルターなどのような移植可能なデバイスを、制限されないで、血管、輸卵管、痩管および動脈管のような奇形、心臓欠陥(例えば、左心房心耳および萼片開口部)、およびその他の管腔器官を含む身体腔内に位置決めおよび展開するために用いられるインプラント送達および離脱システムである。
【0008】
このシステムは、インプラント、送達カテーテル(一般に、プッシャーまたは送達プッシャーと称される)、このプッシャーをインプラントに連結するための離脱可能なジョイント、熱生成装置(一般に、ヒーターと称される)、およびこのヒーターにエネルギーを付与するための電源を備える。
【0009】
本発明はまた、伸張抵抗性塞栓コイルを送達するための装置、およびこのコイルを送達システムに取り付け、そして離脱させる方法を包含する。この装置は、コイル、ならびに遠位端および近位端を有する伸張抵抗性部材を組み込む。伸張抵抗性を提供することに加えて、この部材は、インプラントコイルを送達カテーテルに離脱可能に連結するように働く。
【0010】
本発明はまた、米国特許出願番号11/212,830(2005年8月25日出願、発明の名称「Thermal detachment system for implanting devices」、これは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に開示される送達機構と一緒に使用され得る。
【0011】
本発明の1つの局面では、上記インプラントは、テザー、紐、糸、ワイヤ、フィラメント、ファイバなどを用いてプッシャーに連結される。包括的に、これはテザーと称される。このテザーは、モノフィラメント、ロッド、リボン、中空のチューブなどの形態であり得る。
【0012】
多くの材料が、このインプラントをプッシャーに離脱可能に接続するために用いられ得る。1つのクラスの材料は、ポリマー(例えば、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー(Dowによって作製され商標名Engageの下で市販されるもの、またはExxonによって作製され商標名Affinityの下で市販されるものなど)、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリアミド(ナイロン)、ポリウレタン、ポリプロピレン、PEBAXまたはHytrelのようなブロックコポリマー、およびエチレンビニルアルコール(EVA));または、シリコーン、ラテックス、およびKratonのような弾性材料である。いくつかの場合には、このポリマーはまた、その引っ張り強さ、および融解温度を操作するために照射で架橋され得る。別のクラスの材料は、ニッケルチタン合金(Nitinol)、金、および鋼(スチール)のような金属である。この材料の選択は、材料が位置エネルギーを貯蔵する能力、融点温度または軟化温度、離脱のために用いられる電力、および身体の処置部位に依存する。
【0013】
テザーは、インプラントおよび/またはプッシャーに、溶接、結び目糸結び、はんだ、接着剤結合、または当該技術分野で公知のその他の手段によって接続され得る。インプラントがコイルである1つの実施形態では、このテザーは、コイルの管腔の内側を通って通り抜け得、そしてこのコイルの遠位端に取り付けられ得る。この設計は、インプラントをプッシャーに接続するのみならず、二次的な伸張抵抗性部材の使用なくしてコイルに伸張抵抗性を与える。インプラントがコイル、ステント、またはフィルターであるその他の実施形態では、このテザーは、インプラントの近位端に取り付けられる。
【0014】
本発明の別の局面では、上記テザーは、インプラントをプッシャーに離脱可能に連結するテザーは、位置エネルギーのリザーバーとして作用し、この位置エネルギーは、離脱の間に放出される。これは、インプラントを離脱するために必要な時間およびエネルギーを有利に低下する。なぜなら、それは、テザーが、上記材料をかならずしも完全に溶融することなく、熱の付与によって切断されることを可能にするからである。この貯蔵されたエネルギーはまた、インプラントを送達カテーテルから離して押す力をこのインプラントに対して奏し得る。この分離は、システムをより信頼性のあるものにする傾向にある。なぜなら、それは、テザーが再固化して離脱後インプラントを保持することを防ぎ得るからである。
【0015】
貯蔵されたエネルギーは、いくつかの方法で付与され得る。1つの実施形態では、スプリングがインプラントとプッシャーとの間に配置される。このスプリングは、プッシャーにテザーの1つの端部をプッシャーまたはインプラントいずれか1つに接続し、テザーの自由端をこのスプリングが少なくとも部分的に圧縮されるまで引っ張り、次に、テザーの自由端部をインプラントまたはプッシャーの他方に固定することよって、インプラントがプッシャーに取り付けられたときに、圧縮される。テザーの両端部が拘束されるので、このテザーの張力(またはスプリングの圧縮)の形態にある位置エネルギーが、システム内に貯蔵される。
【0016】
別の実施形態では、テザーの1つの端部が、先の実施形態におけるように固定され、そして次にテザーは、テザーの自由端部を所定の力または位置ずれで引くことにより、張力を受けた状態に配置される。テザーの自由端部が次いで固定されるとき、テザー材料の伸長(すなわち、弾性変形)自体がエネルギーを貯蔵する。
【0017】
本発明の別の局面によれば、ヒーターが、プッシャー上またはその中で、必ずしもそうである必要はないが、プッシャーの遠位端近傍に配置される。このヒーターは、プッシャーに、例えば、はんだ、溶接、接着剤結合、機械的結合、または当該分野で公知のその他の技法によって取り付けられ得る。このヒーターは、巻かれたコイル、熱パイプ、中空のチューブ、バンド、ハイポチューブ、中実の棒、トロイド、または類似の形態であり得る。このヒーターは、鋼、クロムコバルト合金、白金、銀、金、タンタル、タングステン、マンガリン(mangalin)、California Fine Wire Companyから商標名Stable Ohmの下で入手可能なクロムニッケル合金、導電性ポリマーなどのような種々の材料から作製され得る。上記テザーは、このヒーターの近傍に配置される。このテザーは、中空またはコイル型のヒーターの管腔を通過し得るか、またはヒーターの周りを包む。テザーは、ヒーターと直接接触して配置され得るが、これはそうである必要はない。組み立ての容易さのため、テザーは、ヒーターの近傍であるが実際には接触しないで配置され得る。
【0018】
送達カテーテルまたはプッシャーは、細長い部材であり、遠位端および近位端は、インプラントが処置部位に操縦されることを可能にするに適合されている。このプッシャーは、コアマンドレルおよび上記ヒーターに電力を供給する1つ以上の電気配線を備える。このプッシャーは、その長さに沿って寸法および/または剛直性がテーパー状であり得、通常、遠位端は近位端より可撓性である。1つの実施形態では、プッシャーは、ガイドカテーテルまたはマイクロカテーテルのような送達導管内に、入れ子式に配置されるよう適合されている。別の実施形態では、このプッシャーは、それがガイドワイヤ上で操縦されることを可能にする内部管腔を含む。なお別の実施形態では、このプッシャーは、第2のデバイスなくして処置部位に直接操縦され得る。このプッシャーは、蛍光透視法で見える放射線不透過性マーキングシステムを有し得、これは、それが、マイクロカテーテルまたはその他の付属的デバイス上の放射線不透過性マーキングと組み合わせて用いられることを可能にする。
【0019】
本発明の別の局面では、上記コアマンドレルは、中実または中空シャフト、ワイヤ、チューブ、ハイポチューブ、コイル、リボン、またはそれらの組み合わせの形態である。このコアマンドレルは、PEEK、アクリル、ポリアミド、ポリイミド、Teflon(登録商標)、アクリル、ポリエステル、PEBAXのようなブロックコポリマーのようなプラスチック材料から作製され得る。プラスチック部材(単数または複数)は、金属、ガラス、カーボンファイバ、編組、コイルなどから作製される補強ファイバまたはワイヤでその長さに沿って選択的に堅くされ得る。それに代わって、またはプラスチック構成要素と組み合わせて、ステンレス鋼、タングステン、クロムコバルト合金、銀、銅、金、白金、チタン、ニッケルチタン合金(Nitinol)などのような金属材料が上記コアマンドレルを形成するために用いられ得る。それに代わって、あるいはプラスチックおよび/または金属構成要素と組み合わせて、ガラス、光ファイバ、ジルコニウムなどのようなセラミック構成要素が、上記コアマンドレルを形成するために用いられ得る。コアマンドレルはまた、材料のコンポジットであり得る。
【0020】
1つの実施形態では、コアマンドレルは、白金またはタンタルのような放射線不透過性材料の内部コア、および鋼またはクロムコバルトのような、ねじれ耐性材料の外部カバーを備える。この内部コアの厚みを選択的に変えることにより、放射線不透過性識別子が、第2のマーカーを用いることなく、このプッシャー上に提供され得る。
【0021】
別の実施形態では、ねじれ耐性および/または圧縮強度のような所望の材料性質をもつコア材料、例えば、ステンレス鋼は、(例えば、メッキ、延伸、または当該技術分野で公知の類似の方法によって)銅、アルミニウム、金、または銀のような低電気抵抗材料で選択的に覆われ、その電気的伝導性を増大し、それ故、このコアマンドレルを電気伝導体として用いられることを可能にする。
【0022】
別の実施形態では、磁気共鳴像(MRI)との適合性のような所望の性質をもつコア材料、例えば、ガラスまたは光ファイバは、PEBAXまたはポリイミドのようなプラスチック材料で覆われ、このガラスが破砕またはねじれることを防ぐ。
【0023】
本発明の別の局面では、上記ヒーターはプッシャーに取り付けられ、そして次に、1つ以上の電気伝導体がヒーターに取り付けられる。1つの実施形態では、一対の伝導性ワイヤがこのプッシャーの実質的長さを通り、そしてプッシャーの遠位端近傍でヒーターに、かつプッシャーの近位端近傍で電気コネクターに連結される。別の実施形態では、1つの伝導性ワイヤが、プッシャーの実質的長さを通り、そしてコアマンドレル自体が伝導性材料から作製されるか、または伝導性材料で覆われて、第2の電気配線として作用する。ワイヤおよびマンドレルは、プッシャーの遠位端近傍でヒーターに、そして近位端近傍で1つ以上のコネクターに接続される。別の実施形態では、双極性伝導体がヒーターに連結され、そしてヒーターに電力を与えるために高周波(RF)エネルギーと組み合わせて用いられる。いずれの実施形態においても、伝導体(単数または複数)は、コアマンドレルと平行に通り得るか、または実質的に中空のコアマンドレル(例えば、ハイポチューブ)の内部管腔を通過し得る。
【0024】
本発明の別の局面では、電気および/または熱絶縁カバーまたはスリーブがヒーター上に配置され得る。このスリーブは、ポリエステル(PET)、Teflon(登録商標)、ブロックコポリマー、シリコーン、ポリイミド、ポリアミドなどのような絶縁性材料から作製され得る。
【0025】
本発明の別の局面では、電気コネクター(単数または複数)が、プッシャーの近位端近傍に、ヒーターが上記伝導体を通って電源に電気的に連結され得るように配置される。1つの実施形態では、これらコネクターは、1つ以上の雄ピンまたは雌ピンを備えたプラグの形態である。別の実施形態では、これらコネクター(単数または複数)は、クリップ型コネクターで連結され得るチューブ、ピン、またはホイルである。別の実施形態では、これらコネクター(単数または複数)は、外部電源と嵌合するように適合されるチューブ、ピン、またはホイルである。
【0026】
本発明の別の実施形態では、上記プッシャーは、外部電源に、ヒーターが電源に電気的に接続されるように外部電源に連結する。この電源は、バッテリー(単数また複数)からであるか、または壁コンセントによって電気的グリッドに連結される。この電源は、直流(DC)、交流(AC)、変調直流、または高周波数もしくは低周波数いずれかのラジオ波(RF)の形態の電流を供給する。電源は、滅菌場の外側で作動するコントロールボックスであり得るか、または滅菌場内で作動するよう適合されたハンドヘルドデバイスであり得る。この電源は、使い捨て、充電可能であり得るか、または使い捨てもしくは充電可能なバッテリーとともに再使用可能であり得る。
【0027】
本発明の別の局面では、上記電源は、使用者を離脱で支援する電気回路を備え得る。1つの実施形態では、この回路は、インプラントの離脱を検出し、そして離脱が起こったとき、使用者に信号を提供する。別の実施形態では、この回路は、予備設定長さの時間が経過したとき使用者に信号を提供するタイマーを備える。別の実施形態では、この回路は、離脱の数をモニターし、そして予備設定された数の離脱が実施されたとき、信号を提供するか、またはシステムをロックして切るような作動をする。別の実施形態では、この回路は、取り付け試行の数をモニターし、そして成功する離脱の可能性を増加するために、電流、電圧、および/または離脱時間を増加するフィードバックループを備える。
【0028】
本発明の別の局面では、上記システムの構築は、極度に短い離脱時間を可能にする。1つの実施形態では、離脱時間は1秒より少ない。
【0029】
本発明の別の局面では、上記システムの構築は、離脱の間に上記デバイスの表面温度を最小にする。1つの実施形態では、離脱の間の上記ヒーターでの表面温度は50℃を下回る。別の実施形態では、離脱の間の上記ヒーターでの表面温度は42℃を下回る。
【0030】
本発明の別の局面において、このインプラントデバイスは、伸張抵抗寄与と、このデバイスを送達カテーテルに離脱可能に連結する能力との両方を有する。本発明のこの局面は、伸張抵抗性インプラントデバイスを構築するために必要とされる構成要素の数および組み立て工程を有利に減少させる。
【0031】
本発明の別の局面において、張力が、伸張抵抗性インプラントデバイスの連結部分に加えられ、一方で、このデバイスの伸張抵抗性部分の張力を最小にする。従って、張力は、米国特許出願番号第11/212,830号に記載されるように、インプラントデバイスを送達カテーテルに取り付ける間に、このインプラントデバイスの伸張抵抗性を提供する部分に過剰な張力を与えることなく、デバイスに加えられ得る。この過剰な張力は、インプラントデバイス(例えば、塞栓コイル)の形状をゆがめ得る。
【0032】
本発明のこれらおよびその他の局面および特徴は、以下の図面および詳細な説明を考慮する際に認識される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明による離脱システムの第1の実施形態の側方断面図を示す。
【図2】図2は、本発明による離脱システムの第2の実施形態の側方断面図を示す。
【図3A】図3Aは、本発明による例示の信号伝達する直流を示す。
【図3B】図3Bは、本発明による例示の信号伝達する交流を示す。
【図4】図4は、本発明による離脱システムの第3の実施形態の側方断面図を示す。
【図5】図5は、本発明による離脱システムの表面の例示の温度データを示す。
【図6】図6は、本発明による離脱システムの電気コネクターの側方断面図を示す。
【図7】図7は、本発明による離脱システムの放射線不透過性層の側方断面図を示す。
【図8】図8は、本発明によるステントを含む離脱システムの側方断面図を示す。
【図9】図9は、本発明によるインプラントの1つの実施形態の側面立面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
図1を参照して、本発明の離脱システム100、そしてより特定すれば、離脱システム100の遠位部分が示される。この離脱システム100は、好ましくは可撓性であるプッシャー102を含む。このプッシャー102は、インプラントデバイス112を、患者の身体中およびその中に、そしてより特定すれば、インプラントデバイス112の移植および送達のための標的の腔部位中に進めることにおける使用のための形態である。可能な標的の腔部位は、制限されないで、例えば、血管および血管部位(動脈瘤および痩管(フィステル))、心臓開口部および欠損(例えば、左心房心耳)、ならびにその他の管腔器官(例えば、輸卵管)を含む。
【0035】
伸張抵抗性テザー104は、インプラント112をプッシャー102に離脱可能に連結する。この例では、テザー104は、プッシャー102に結合されるプラスチックチューブである。実質的に中実のシンリンダーがまた、テザー104のための設計選択であり得る。この伸張抵抗性テザー104は、インプラントデバイス112の内部管腔を少なくとも部分的に通って延びる。
【0036】
プッシャー102の遠位端近傍には、ヒーター106が、伸張抵抗性テザー104に近接して配置される。このヒーター106は、伸張抵抗性テザー104の周りに、このヒーター106が血液または環境に曝されるか、またはそうでなければそれと直接接触するように覆われ得るか、またはそれに代わって、スリーブ、ジャケット、エポキシ、接着剤などによって絶縁され得る。このプッシャー102は、一対の電気ワイヤ、すなわち正の電気ワイヤ108および負の電気ワイヤ110を備える。これらワイヤ108および110は、例えば、溶接またははんだによるような、任意の適切な手段によってヒーター106に連結される。
【0037】
電気ワイヤ108、110は、電力の供給源(図示されず)に連結され得る。示されるように、負の電気ワイヤ110は、ヒーター106の遠位端に連結され、そして正の電気ワイヤ108は、ヒーター106の近位端に連結される。別の実施形態では、この形態は逆であり得、すなわち、負の電極ワイヤ110がヒーター106の近位端に連結され、その一方、正の電気ワイヤ108は、ヒーター106の遠位端に連結される。
【0038】
エネルギーは、ヒーター106の近傍でテザー104の一部分を切断するために、電気ワイヤ108、110からヒーター106に印加される。ヒーター106がテザー104と直接接触している必要は必ずしもない。ヒーター106は、テザー104と、単に、ヒーター106によって発生される熱がテザー104を切断するようにするに十分近接しているべきであるに過ぎない。ヒーター106の起動の結果として、ヒーター106からほぼ遠位方向に、そしてインプラントデバイス112の管腔内にある伸張抵抗性テザー104のセクションは、インプラントデバイス112とともにプッシャー102から離脱される。
【0039】
示されるように、このインプラントデバイス112は、塞栓コイルである。インプラントデバイス112としての使用に適切な塞栓コイルは、らせんマイクロコイルに成形される適切な長さのワイヤを備え得る。このコイルは、白金、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、金、銀、タンタル、およびこれら金属の種々の合金、ならびに種々の外科用グレードのステンレス鋼を含む生体適合性材料から形成され得る。特定の材料は、Platinum479(92%白金、8%タングステン、Mount Vernon、N.Y.のSigmund Cohnから入手可能)として公知の白金/タングステン合金、および(Nitinolとして知られるニッケル/チタン合金のような)ニッケル/チタン合金を含む。
【0040】
コイルを形成するために有利であり得る別の材料は、高度に放射線不透過性の金属とともに高度に弾性の金属を含むバイメタルワイヤである。このようなバイメタルワイヤはまた、永久的変形に抵抗性であり得る。このようなバイメタルワイヤの例は、Mount Vernon、N.Y.のSigmund CohnおよびShrewsbury、MassのAnomet Productsから入手可能な、Nitinol外側層および純粋基準グレードの白金の内側コアを備える製品である。
【0041】
同一人に譲渡された米国特許第6,605,101号は、インプラントデバイス112としての使用に適切な塞栓コイルのさらなる説明を提供し、一次形態および二次形態を備えたコイルを含み、ここで、この二次形態は、展開後のコイルの所望されない圧密化の程度を最小にする。米国特許第6,605,101号の開示は、本明細書中に参考として全体が援用される。さらに、このインプラントデバイス112は、必要に応じて、当該技術分野で公知のヒドロゲルまたは生物活性コーティングで被覆または覆われ得る。
【0042】
コイル型のインプラントデバイス112は、巻き戻しに抵抗性である。なぜなら、インプラントデバイス112の管腔を通って延びる伸張抵抗性テザー104は、インプラントデバイス112自体よりも塑性的に変形するために実質的により大きい力を必要とするからである。この伸張抵抗性テザー104は、それ故、インプラントデバイス112が、そうでなければこのインプラントデバイス112が巻き戻る状況で巻き戻ることを防ぐのを支援する。
【0043】
組み立ての間に、離脱を容易にするために位置エネルギーがこのデバイス内に貯蔵され得る。1つの実施形態では、随意のスプリング116が、ヒーター106とインプラントデバイス112との間に配置される。このスプリングは、組み立ての間に圧縮され、そしてテザー104の遠位端は、インプラントデバイス112の遠位端に結ばれるか、もしくは連結され得るか、または、非外傷性遠位端114になるように溶融もしくは他の様式で成形され得る。
【0044】
1つの実施形態では、伸張抵抗性テザー104は、ポリオレフィンエラストマー、ポリエチレン、またはポリプロピレンのような材料から作製される。テザー104の1つの端部はプッシャー102に取り付けられ、そしてテザー104の自由端部は、インプラント112の近位端を、ヒーター106(スプリング116が存在しない場合)または圧縮されたスプリング116のいずれかと同一平面にして、インプラント112を通って引っ張られる。予備設定された力または位置ずれがテザー104に予め張力を与えるために用いられ、それ故、テザー104内には、軸方向の配向(すなわち、プッシャー102の長軸と同一直線上または平行)にエネルギーを貯蔵する。この力または位置ずれは、テザー材料性質、テザー104の長さ(それ自体、プッシャー上のテザーの取り付け点およびインプラントの長さに依存する)に依存する。一般に、この力は、テザー材料の弾性限界未満であるが、熱が付与されるときテザーを迅速に切断させるに十分である。展開されるべきインプラントが脳のコイルである1つの好ましい実施形態では、このテザーは、約0.001〜0.007インチの範囲内の直径を有する。勿論、このテザーのサイズは、必要に応じて、異なるタイプおよびサイズのその他のインプラントを収容するために変更され得る。
【0045】
図2を参照して、本発明の離脱システムの別の実施形態である離脱システム200が示される。離脱システム200は、離脱システム100といくつかの共通要素を共有する。例えば、離脱システム100とのインプラントデバイス112として使用可能な同じデバイスがまた、離脱システム200とのインプラントデバイス112として使用可能である。これらは、例えば、種々の塞栓マイクロコイルおよびコイルを含む。このインプラントデバイス112は、離脱システム100に関して先に説明されている。インプラントデバイス112とのように、離脱システム100のその他の要素/構成要素を識別するために用いられるのと同じ識別番号が、離脱システム200の要素/構成要素に対応し得る。離脱システム100の説明におけるこれら要素の説明へ参照がなされる。なぜなら、その説明はまた、離脱システム200におけるこれらの共通の要素に適用されるからである。
【0046】
離脱システム200では、内部加熱要素206を用いて伸張抵抗性チューブ104のセクションおよび関連するインプラントデバイス112を、離脱システム200から分離する。離脱システム200は、コアマンドレル218を取り込む送達プッシャー202を含む。この離脱システム200は、送達プッシャー202の管腔を通って延びる正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210をさらに含む。
【0047】
内部加熱要素206を形成するために、正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210は、送達プッシャー202のコアマンドレル218に連結され得る。好ましくは、これら電気ワイヤ208、210は、コアマンドレル218の遠位部分に連結される。
【0048】
1つの実施形態では、この正の電気ワイヤ208は、コアワイヤ218上の第1の遠位位置に連結され、そして負の電気ワイヤ210は、コアマンドレル218上の第2の遠位位置に連結され、この第2の遠位位置は、第1の遠位位置の近位方向にある。別の実施形態では、この形態は逆であり、すなわち、コアマンドレル218上で、正の電気ワイヤ208が第2の遠位位置に連結され、そして負の電気ワイヤ210が第1の遠位位置に連結される。この正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210がコアマンドレル218の遠位部分に連結されるとき、コアマンドレル218の遠位部分が、電気ワイヤ208、210と一緒に、内部加熱要素206である回路を形成する。
【0049】
ヒーター206は、正の電気ワイヤ208および負の電気ワイヤ210に連結される電源(図示されず)から電流が付与されるとき温度が上昇する。その結果として、伸張抵抗性テザー104の、ヒーター206に近い部分が切断され、そして離脱システム200から、インプラントデバイス112と一緒に離脱される。
【0050】
ヒーター206は、チューブ形状のテザー104の管腔内に位置されるので、このヒーター206は、患者の身体から絶縁される。結果として、このヒーター206の加熱に起因する周辺身体組織への不注意での損傷の可能性は低減され得る。
【0051】
離脱システム200の1つの実施形態では、伸張抵抗性テザー104の近位端(または、伸張抵抗性テザー104の近位端に連結されるより大きなチューブ(図示されず)の遠位端)は、サイズ制約を取り扱うため、および離脱システム200の組み立てを容易にするためにフレア状であり得る。
【0052】
離脱システム100を用いてと類似の様式で、先に記載のように組み立ての間に、エネルギーが、システム内で、例えば、随意の圧縮スプリング116で、またはテザー104に予め張力を与えることにより貯蔵され得る。存在するとき、このシステム中に貯蔵された位置エネルギーの放出は、インプラントデバイス112が展開されるとき、インプラントデバイス112、およびインプラントデバイス112が連結される伸張抵抗性テザー104の部分を、ヒーター206から分離するためにさらなる圧力を付与するように作用する。これは、有利なことに、テザー104を切断および破壊するようにすることによって、必要な離脱時間および温度を低下する。
【0053】
離脱システム100でのように、離脱システム200の伸張抵抗性テザー104の遠位端は、インプラントデバイス112の遠位端に結ばれ、もしくは連結され得るか、または非外傷性遠位端114になるように溶融され、もしくは他の様式で成形され得る。
【0054】
図4は、離脱システム300である別の好ましい実施形態を示す。多くの点で、この離脱システム300は、図2に示される離脱システム200および図1に示される離脱システム100と類似している。例えば、この離脱システム300は、インプラントデバイス302を離脱するヒーター306を含む送達プッシャー301を含む。離脱システム300はまた、テザー310を利用して、インプラントデバイス302を送達プッシャー301に連結する。
【0055】
図4の断面図では、送達プッシャー301の遠位端は、電気ワイヤ308および309に電気的に接続されているコイル形状ヒーター306を有することが観察される。これらのワイヤ308、309は、送達プッシャー301内に配置され、送達プッシャー301の近位端を出て、そして電源(図示されず)に連結される。テザー310はヒーター306に近接して配置され、送達プッシャー301内に固定される近位端およびインプラントデバイス302に連結される遠位端を有する。電流がワイヤ308および309を通って印加されるとき、ヒーター306は、テザー310が破壊されるまで温度を増加し、インプラントデバイス302を解放する。
【0056】
ヒーター306から患者の周辺組織への熱の移入を低減するため、そして電気的絶縁を提供するため、絶縁カバー304が少なくとも送達プッシャー301の外面の遠位端の周りに含められる。カバー304の厚みが増加するにつれて、熱隔離性質もまた増加する。しかし、増加した厚みはまた、送達プッシャー301への増加した剛直性およびより大きな直径をもたらし、これは、送達手順を実施する困難性を増加し得る。それ故、このカバー304は、その剛直性を過度に増加することなく十分な断熱性質を提供する厚みを備えて設計される。
【0057】
テザー310のインプラントデバイス302への取り付けを促進するために、このインプラントデバイス302は、溶接点318でインプラントデバイス302に溶接され、そして送達プッシャー301の外部補強周縁312内に適合するサイズであるカラー部材322を含み得る。テザー310は、インプラントデバイス302の近位端の周りで結ばれ、結び目316を形成する。さらなる補強は、この結び目316の周りに配置されている接着剤314によって提供され、解きまたは他の所望されない脱連結を防ぐ。
【0058】
離脱システム100および200でと類似の様式で、エネルギーが、システム内に、例えば、(図4では示されていないが、図1中の圧縮スプリング116に類似の)随意の圧縮スプリングで、または組み立ての間にテザー104に予め軸方向に張力を与えることにより貯蔵され得る。この実施形態では、テザー310の1つの端部が、先に記載されたようにインプラントデバイス302の近位端の近傍に取り付けられる。テザー310の自由端部は、送達プッシャー301の遠位部分を通って、送達プッシャー301の出口点(図示されず)に到達するまで辿る。例えば、所定の力をテザー310の自由端部に対して加えること、または張りつめたテザー310を所定の位置ずれで移動させることによって、張力が、テザー材料内の弾性変形の形態でエネルギーを貯蔵するためにテザー310に付与される。テザー310の自由端部は、次いで、送達プッシャー301に、例えば、結び目を縛ること、接着剤を付与すること、または当該技術分野で公知の類似の方法によって接続される。
【0059】
存在するとき、このシステム中に貯蔵された位置エネルギーの放出は、インプラントデバイス302が展開されるとき、インプラントデバイス302、およびインプラントデバイス302が連結されるテザー310の部分を、ヒーター306から分離するためにさらなる圧力を付与するように作動する。これは、有利なことに、テザー310を切断および破壊するようにすることによって、必要な離脱時間および温度を低下する。
【0060】
本発明はまた、離脱システム100、200、または300のような離脱システムを用いる方法を提供する。以下の例は、脳の動脈瘤を閉塞するための離脱システム100、200、または300の使用に関する。しかし、離脱システム100、200、または300の寸法およびその構成要素パーツの寸法を改変すること、ならびに/あるいはインプラントデバイス112、302の形態を改変することは、離脱システム100、200、または300が、身体内の種々のその他の奇形を処置するために用いられることを可能にすることが認識される。
【0061】
この特定の例では、離脱システム100、200、または300の送達プッシャー102、202、または301は、直径が約0.010インチ〜0.030インチであり得る。送達プッシャー102、202、または301の遠位端の近傍に連結され、そしてインプラントデバイス112、302に連結されるテザー104、310は、直径が0.0002インチ〜0.020インチであり得る。コイルであり得るインプラントデバイス112、302は、直径が0.005インチ〜0.020インチであり得、そして0.0005インチ〜0.005インチのワイヤから巻かれ得る。
【0062】
位置エネルギーが、離脱システム100、200、または300内に貯蔵される場合、インプラントデバイス112、302を分離するために用いられる力は、代表的には、250グラムまでの範囲である。
【0063】
送達プッシャー102、202、または301は、コアマンドレル218および少なくとも1つの電気的に伝導性のワイヤ108、110、208、210、308、または309を備え得る。先に記載されるように、このコアマンドレル218は、電気伝導体として用いられ得るか、または一対の伝導性ワイヤが用いられ得るか、または双極性ワイヤが用いられ得る。
【0064】
離脱システム100、200、または300は、コイルを送達するとして示されているが、その他のインプラントデバイスが本発明で企図される。例えば、図8は、ステント390であるインプラントを有する、図4で先に説明された離脱システム300を示す。このステント390は、離脱システム100、200、または300に関して先に説明されたのと類似の方法によって同様に離脱され得る。さらなる例では、これら離脱システム100、200、または300は、フィルター、メッシュ、足場または患者内の送達のために適切なその他の医療用インプラントを送達するために用いられ得る。
【0065】
図7は、送達プッシャー102、202、または301として任意の実施形態で用いられ得る、送達プッシャー350の実施形態を提示し、これは、使用者に送達プッシャー350の位置を伝えるための放射線不透過性材料を含む。詳細には、放射線不透過性マーカー材料は、送達プッシャー350中に組み込まれ、そして所望の位置で厚みを変化し、最終の送達プッシャー350のより容易で、かつより正確な製造を容易にする。
【0066】
Guglielmiによる米国特許第5,895,385号に見られるもののような、先行技術の送達プッシャー設計は、環状バンドまたはコイルの形態にある、金、タンタル、タングステン、または白金のような高密度材料に依存する。放射線不透過性マーカーが、次いで、ステンレス鋼のようなその他のより低密度の材料に結合され、放射線不透過性セクションを区別する。この放射線不透過性マーカーは、送達プッシャーの先端部から特定された距離(しばしば約3cm)に配置される別個の要素であるので、この配置は正確でなければならず、そうでなければ、送達プッシャー350の遠位先端部は、動脈瘤またはその他の合併症への損傷を生じ得る。例えば、この送達プッシャー350は、マイクロカテーテルから延び過ぎて、動脈瘤を破裂し得る。さらに、先行技術の送達プッシャーを作製する製造プロセスは、特に、異なる材料を結合するとき、困難かつ高価であり得る。
【0067】
本発明の放射線不透過性システムは、これらの欠点を、第2の放射線不透過性材料の厚みを変化させながら、送達プッシャー350の大部分の中に第1の放射線不透過性材料を組み込み、それ故、複数セクションを一緒に結合する必要性をなくすことにより克服する。図7に見られるように、送達プッシャー350は、(鋼、Nitinol、Elgiloyのような先行技術設計のほとんど放射線半透過性の材料に対して)タングステン、タンタル、白金、または金のような放射線不透過性材料から好ましくは作製されるコアマンドレル354(すなわち、第1の放射線不透過性材料)を備える。
【0068】
この送達プッシャー350はまた、異なる放射線不透過性レベルを有する第2の外側層352を含む。好ましくは、外側層352は、Elgiloy、Nitinol、またはステンレス鋼(商標名DFTの下、Fort Wayne Metalsから市販され入手可能)のような、コアマンドレル354より低い放射線不透過性値を有する材料を含む。この点について、コアマンドレル354と外側層352との両方が蛍光透視法の下で見え、かつ互いから区別可能である。この外側層352は、送達プッシャー350の長さに沿って厚みを変化し、増加した可撓性および放射線密度における区別を提供する。従って、この外側層352のより厚い領域は、蛍光透視法の下、より薄い領域より使用者により明確である。
【0069】
外側層352の厚みにおける遷移は、研磨、延伸、または鍛造のような自動化プロセスで所望の位置に正確に生成され得る。このような自動化プロセスは、マーカーの手動測定および配置の必要性をなくし、そしてさらにその他の放射線半透過性セクションに別個のマーカー要素を結合する必要性をなくし、それ故、製造コストおよびシステムの複雑さを減少する。
【0070】
この実施形態では、送達プッシャー350は、外側層352の3つの主要な指標領域を含む。近位領域356は、3つの内で最も長く137cmであり、その一方、中央領域358は10cmおよび遠位領域360は3cmである。各領域の長さは、送達プッシャー350の使用に基づいて決定され得る。例えば、この3cm遠位領域360は、当該技術分野で公知のようなコイル移植手順の間で用いられ得、使用者が、遠位領域360の近位エッジを、送達プッシャー350がその中に位置決めされるマイクロカテーテル上の放射線不透過性マーカーと整列することを可能にする。各々の領域の直径は、インプラントの適用およびサイズに依存する。例えば、代表的な脳の動脈瘤適用には、近位領域356は、代表的には0.005〜0.015インチの寸法であり得、中央領域358は、代表的には0.001〜0.008インチであり、その一方、遠位領域360は、代表的には、0.0005〜0.010インチの寸法であり得る。コアマンドレル354は、代表的には、任意の点で、送達プッシャー350の総直径の約10〜80%の間を占める。
【0071】
あるいは、この送達プッシャー350は、図7に示される3より多いか、または少ない任意の数の異なる領域を含み得る。さらに、コアマンドレル354の放射線不透過性材料は、送達プッシャー350を部分的に通ってのみ延び得る。例えば、この放射線不透過性材料は、コアマンドレル354の近位端から、送達プッシャー350の遠位端から3cmの位置まで延び得、蛍光透視法の下で見えるなお別の所定の位置のマーカーを提供する。
【0072】
この点で、送達プッシャー350の領域356、358、および360は、容易に製造され、蛍光透視法の下でなお容易に見える、より正確な放射線不透過性マーキングシステムを提供する。さらに、これらマーカーの増加した正確さは、手順の間の送達プッシャーの不適正な位置決めに関連する合併症を減少し得る。
【0073】
操作において、マイクロカテーテルが、患者内に、マイクロカテーテルの遠位端が標的領域または管腔の近傍にあるように位置決めされる。送達プッシャー350は、マイクロカテーテルの近位端中に挿入され、そしてコアマンドレル354および外側層352は、蛍光透視法の下で見える。使用者は、マイクロカテーテル上の放射線不透過性マーカーを、遠位領域360の開始部と整列し、これは、マイクロカテーテルの先端部に対するインプラント112、302の位置を伝える。
【0074】
いくつかの状況、例えば、送達プッシャー350の剛直性から血管損傷の高められたリスクが存在し得る小動脈瘤では、使用者は、インプラントの近位端を、離脱の間に、マイクロカテーテルの遠位端のわずかに内部に位置決めし得る。使用者は、次いで、インプラント112、302の近位端を、次のコイル、ガイドワイヤのような付属のデバイス、または送達プッシャー102、202、301、または350でマイクロカテーテルから外に押し得る。別の実施形態では、使用者は、放射線不透過性マーキングシステムを用いて、マイクロカテーテルの遠位端の外側に送達プッシャーの遠位端の位置を確認し得る。
【0075】
一旦、離脱システム100、200、または300のインプラントデバイス112、302が標的部位中、またはその周りに配置されると、操作者は、必要に応じて、または所望のように、このインプラントデバイス112、302を繰り返して再位置決めし得る。
【0076】
標的部位において、インプラントデバイス112、302の離脱が所望されるとき、操作者は、電気ワイヤ108、110、208、210、308、または309により、ヒーター106、206、または306にエネルギーを付与する。このエネルギーのための電源は、壁コンセント、キャパシター、バッテリーなどのような任意の適切な供給源であり得る。この方法の1つの局面では、約1ボルト〜100ボルトの電位の電気が、離脱システム100、200、または300の抵抗に依存して、1ミリアンペア〜5000ミリアンペアの電流を生成するために用いられる。
【0077】
離脱システム100、200、または300を電源に電気的に連結するために用いられ得るコネクターシステム400の1つの実施形態が図6に示される。このコネクターシステム400は、絶縁層404によって取り囲まれた近位端を有する電気的に伝導性のコアマンドレル412を含む。好ましくは、この絶縁層404は、ポリオレフィン、PET、ナイロン、PEEK、Teflon(登録商標)、またはポリイミドのプラスチック収縮チューブのような絶縁性スリーブである。絶縁層404はまた、ポリウレタン、シリコーン、Teflon(登録商標)、パリレン(paralyene)のような被覆であり得る。電気伝導性バンド406が絶縁層404の上部に配置され、そして成形バンド414、接着剤、またはエポキシによってその場に固定される。それ故、コアマンドレル412および伝導性バンド406は、互いから電気的に絶縁される。この伝導性バンド406は、好ましくは、銀、金、白金、鋼、銅、導電性ポリマー、導電性接着剤、または類似の材料のような任意の伝導性材料を含み、そしてバンド、コイル、またはホイルであり得る。金は、伝導性バンド406の伝導性材料として特に好ましい。なぜなら、薄壁に伸展される金の能力およびその容易な利用可能性のためである。コアマンドレル412は、先に説明され、そして、例えば、金、銀、銅、またはアルミニウムでメッキされ得、その電気的導電性を増大する。
【0078】
コネクターシステム400はまた、電導性バンド406およびコア部材412にそれぞれ、そして図1、2、および4に記載されるような(図6には示されていない)送達システムの遠位端にある加熱要素に連結される、2つの電気ワイヤ408および410を含む。これらのワイヤ408および410は、好ましくは、はんだ、鑞付け、溶接、レーザー結合、または導電性接着剤、または類似の技法によって連結される。
【0079】
一旦、使用者が、患者内にインプラント112、302を解放する準備が整うと、電源からの第1の電気クリップまたはコネクターがコアマンドレル412の非絶縁セクション402に接続され、そして電源からの第2の電気クリップまたはコネクターが伝導性バンド406に連結される。電力が、この第1の電気クリップおよび第2の電気クリップに印加され、離脱システム100、200、または300内に電気回路を形成し、ヒーター106、206、または306に温度を増加させ、そしてテザー104、310を切断する。
【0080】
一旦、離脱システム100、200、または300が電源に連結されると、使用者は、電圧または電流を先に説明されたように付与し得る。これは、ヒーター106、206、または306に温度を増加させる。加熱されるとき、予め張力を与えられたテザー104、310は、熱で誘導されたクリープに起因してそのストレスのない(より短い)長さに回復する傾向になる。この点で、テザー104、310が、ヒーター106、206、または306によって加熱されるとき、その全体のサイズは収縮する。しかし、テザー104、310の各端部は先に説明されたようにその場に固定されているので、テザー104、310は長さが短縮され得ず、最終的に壊れ、インプラントデバイス112、302を解放する。
【0081】
スプリング116またはテザー104、310の変形の形態でシステム内に既に張力が存在するので、テザー104、310を破壊するために必要な収縮の量は、予め張力を与えられたテザーがないシステムのそれより少ない。それ故、インプラントデバイス112、302を解放するために必要な温度および時間はより低い。
【0082】
図5は、離脱システム300のPETカバー304の表面での温度を示すグラフである。観察されるように、離脱の間の離脱システム300の表面温度は、時間とともに直線的に変化しない。詳細には、加熱コイル306によって生成される熱が、絶縁性カバー304を貫通するために1秒弱を要するに過ぎない。1秒後、絶縁性カバー304の表面温度は劇的に増加する。異なる外側絶縁性材料は、この1秒の表面温度窓をわずかに増加または減少し得るけれども、離脱システム100、200、または300の必然的に小さい直径は、より顕著に表面温度上昇を遅延し得る厚い絶縁層を提供することを防ぐ。
【0083】
離脱システム100、200、または300の実施形態は、種々の可能な構築を含むことが理解されるべきである。例えば、絶縁性カバー304は、Teflon(登録商標)、PET、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン、ポリウレタン、PEEK、または類似の特徴をもつ材料を含み得る。実施形態100、200、または300では、絶縁性カバーの代表的な厚みは、0.0001〜0.040インチである。この厚みは、デバイスが、近位奇形における使用に適合されるとき、増加し、そしてこのデバイスが、例えば、脳の動脈瘤のようなより遠位の、曲がりくねった位置における使用のために適合されるとき減少する傾向にある。
【0084】
このような表面温度上昇によって引き起こされる損傷および可能な合併症を最小にするために、本発明は、表面温度が有意に上昇する前に、インプラントデバイス112、302を離脱する。好ましくは、このインプラントデバイス112、302は、1秒より短く、そしてより好ましくは、0.75秒より短い時間で離脱される。これは、上記表面温度が、50℃(122゜F)、そしてより好ましくは42℃(107゜F)を超えることを防ぐ。
【0085】
一旦、使用者が、インプラントデバイス112、302を離脱することを試みると、この離脱が成功したことを確認することがしばしば必要である。電源に組み込まれた回路が、この離脱が成功したか否かを決定するために用いられ得る。本発明の1つの実施形態では、初期信号伝達電流が、離脱電流(すなわち、インプラント112、302を離脱するためにヒーター106、206、または306を起動するための電流)を印加する前に提供される。この信号伝達電流は、使用者がインプラントを離脱することを試みる前に、システム中でインダクタンスを決定するために用いられ、それ故、永久的な離脱を引き起こさないように、離脱電流より低い値を有する。試みられた離脱の後、類似の信号伝達電流が、第2のインダクタンス値を決定するために用いられ、この第2のインダクタンス値が、初期インダクタンス値と比較される。初期インダクタンスと第2のインダクタンス値との間のかなりの差異は、インプラント112、302が成功して離脱されたことを示し、その一方、そのような差異のないことは、不成功離脱を示す。この点について、使用者は、図1、2、および4に見られるもののように、インプラントを取り付けるために非伝導性の温度感受性ポリマーを利用する送達システムについてさえ、インプラント112、302が離脱されたか否かを容易に決定し得る。
【0086】
以下の説明および例では、用語「電流」および「電気流れ」は、最も一般的な意味で用いられ、そして他であることが注記されなければ、交流(AC)、直流(DC)、および高周波電流(RF)を包含することが理解される。用語「変化する」は、高周波および低周波の両方を含む電流におけるゼロを超える周波数での任意の変化と定義される。値が測定され、算出され、そして/または保存されるとき、これは、手動で、または制限されないで、電子回路、半導体、EPROM、コンピューターチップ、RAM、ROM、またはフラッシュなどのようなコンピューターメモリを含む任意の公知の電子的方法によるいずれかで行われ得ることが理解される。最後に、ワイヤ巻き、およびトロイド形状は、広範な意味を保持し、そして、円形、楕円形、球形、四辺形、三角形、および台形形状のような種々の幾何学的形状を含む。
【0087】
変化する電流が、ワイヤ巻き、またはトロイドのような目的物を通過するとき、それは、磁場を設定する。この電流が増加または減少するとき、この磁場の強度は、同じ様式で増加または減少する。磁場のゆらぎは、インダクタンスとして知られる影響を引き起こし、これは、電流における任意のさらなる変化に対抗する傾向にある。コアの周りに巻かれたコイルにおけるインダクタンス(L)は、以下の式1に従って、巻きの数(N)、コアの断面積(A)、コアの磁気透過性(μ)、およびコイルの長さ(l)に依存する:
L=0.4πNAμ/l 式1
ヒーター106または306は、電源に取り付けられる、近位および遠位の電気伝導性ワイヤ108、110、308、または309と、巻かれたコイルから形成される。テザー104、310は、磁気透過性μ1を有し、そして長さl、断面積A、およびN回の巻きを有する抵抗ヒーターの中央を通って位置決めされ、先の等式に記載されるようなコアを形成する。離脱の前に、図3Aおよび3Bに示されるような波形のような周波数f1で変化する信号伝達電流i1が、コイル巻きを通って送られる。この信号伝達電流は、一般に、インプラントを離脱するには不十分である。この信号伝達電流に基づき、誘導抵抗XL(すなわち、システム内のインダクタンスに起因する電気抵抗)が、オームメーターのような電子回路によって測定される。このシステムの初期インダクタンスL1は、次いで、以下の式に従って算出される:
=X/2πf 式2
インダクタンスの初期値L1は、式1に従ってテザー104、310のコアの磁気透過性μ1に依存し、そして参照のために保存される。離脱が所望されるとき、上記信号伝達電流より高い電流/またはそれとは異なる周波数を有する電流が、抵抗ヒーターコイルを通じて印加され、先に記載のように、テザー104、310がインプラント112、302を解放するようにする。離脱が成功するとき、このテザー104、310は、もはやヒーター106、306内に存在せず、そしてヒーター106、306の内側は、患者の血液、造影媒体、生理食塩水、または空気のような別の材料で充填される。この時点でヒーターコア内にあるこの材料は、テザーコア磁気透過性μ1とは異なる磁気透過性μ2を有する。
【0088】
第2の信号伝達電流および周波数f2が、ヒーター106、306を通して送られ、そして好ましくは第1の信号伝達電流および周波数と同じであるが、1つまたは両方は、システムの作動に影響することなく異なり得る。この第2の信号伝達電流に基づき、第2のインダクタンスL2が算出される。離脱が成功した場合、この第2のインダクタンスL2は、コア磁気透過性μ1およびμ2における差異に起因して第1のインダクタンスL1とは異なる(より高いか、またはより低い)。離脱が不成功であった場合、このインダクタンス値は、相対的に類似のままである(測定誤差についてある程度の許容誤差をともなう)。一旦、離脱が、2つのインダクタンス間の差異を比較することによって確認されると、アラームまたは信号が起動され得、使用者に成功した離脱を伝える。例えば、このアラームは、ビープ音または指示光を含み得る。
【0089】
好ましくは、本発明に従って用いられる送達システム100、300は、所望の時間にインダクタンスを自動的に測定し、必要な算出を実施し、そしてインプラントデバイスが送達カテーテルから離脱したとき、使用者に信号を送るデバイスを連結する。しかし、これらステップの一部またはすべては、同じ結果を達成するために手動で実施され得ることが理解されるべきである。
【0090】
取り付けられた状態と離脱された状態との間のインダクタンスはまた、好ましくは、インダクタンスを直接算出することなくして決定され得る。例えば、誘導抵抗XLが測定され得、そして離脱の前後で比較される。別の例では、離脱は、電流がその公称値の所定の%に到達するために必要な時間である、システムの時定数を測定および比較することにより決定され得る。この時定数は、インダクタンスに依存するので、時定数における変化は、同様に、インダクタンスにおける変化を示し得る。
【0091】
本発明はまた、上記に記載の離脱検出と組み合わせて用いられるフィードバックアルゴリズムを含み得る。例えば、このアルゴリズムは、先行する試みがインプラントデバイスを離脱しなかった後に自動的に離脱電圧または電流を自動的に増加する。測定、試みられた離脱、測定、および増加された離脱電圧/電流のこのサイクルは、離脱が検出されるか、あるいは所定の電流または電圧限界が達成されるまで継続する。この点について、低電力離脱が最初に試みられ、次いで、離脱が生じるまで、増加した電力または時間が自動的に続く。従って、離脱電力を提供する機構のためのバッテリー寿命が増加され、その一方、平均コイル離脱時間は、大いに減少される。
【0092】
ここで図9を参照すると、本発明のインプラント500の実施形態が示されている。1つの実施形態において、インプラント500は、コイル501および伸張抵抗性部材502を備え、伸張抵抗性部材502は、コイル501の少なくとも1つの巻きの周りに、包みまたは結び目503を形成するように構成される。
【0093】
インプラント500のコイル501は、例えば、金属またはプラスチックワイヤの巻きから形成され得る。図9には真っ直ぐな構成で示されるが、コイルはまた、異なる構成(例えば、らせん巻き、花形、球状、箱型または類似の複雑な形状(図示されず))に形成され得る。
【0094】
インプラント500の伸張抵抗性部材502は、種々の材料(例えば、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー(例えば、エチレン−オクテンコポリマー)、生分解性材料(例えば、PGLA)、ヒドロゲル材料(例えば、アクリルアミドまたはポリエチレングリコール(PEG)ベースのもの)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、またはアミドベースのポリマーもしくはブロックコポリマー(例えば、PEBAX)、ポリプロピレンなど)から形成され得る。
【0095】
伸張抵抗性部材502は、遠位端および近位端を有し、そしてコイル501の内部管腔を通って延び、そして好ましくは、コイル501の近位端近傍で、コイル501の巻きを出る。次いで、伸張抵抗性部材502は、コイル501の近位端近傍で、コイル501の1つ以上の巻きの周りを包むかまたは結ぶように構成される。次いで、伸張抵抗性部材502は、好ましくは、包むことまたは結び目を結ぶこと(図9に示されるような503)、接着剤結合、伸張抵抗性部材502の端部を融解してボールを形成すること、あるいはこれらの方法の組み合わせによって、コイル501の遠位端近傍に取り付けられる。包みまたは結び目503が採用される実施形態において、包みまたは結び目503は、種々の技術(一つ結び、ハーフステッチ、外科手術結び、または包みと結び目との組み合わせが挙げられる)から形成され得る。好ましい実施形態において、伸張抵抗性部材502は、この伸張抵抗性部材自体を包まないように構成される。このような構成において、伸張抵抗性部材502の引っ張り強さが増加する。
【0096】
一旦、包みまたは結び目503が形成されると、伸張抵抗性部材502の自由(近位)端が残る。製造プロセスにおけるこの時点で、部材502の、包みまたは結び目503より遠位であって遠位取り付け点までの部分は、この部材の近位端に、伸張抵抗性を提供する。なぜなら、結び目または包み503は(使用される任意の接着剤と一緒に)、滑りを減少または防止するように構成されるからである。従って、コイル501は、伸張抵抗性部材502の導入前に、形成されたとおりのその元の構成を実質的に維持する。
【0097】
次いで、伸張抵抗性部材502の近位端は、ヒーター要素を通し、ヒーター要素の周りで、そして/またはヒーター要素近傍に通され、次いで、米国特許出願番号11/212,830(先に記載され、そして本明細書中に参考として援用されるとおり)に記載されるように、張力が伸張抵抗性部材502の近位部分に加えられる。伸張抵抗性部材502の遠位部分は、包みまたは結び目503によって、伸張抵抗性部材502の近位部分から少なくとも部分的に隔離されているので、伸張抵抗性部材502の遠位部分(包みまたは結び目503より遠位である)の張力は、伸張抵抗性部材502の近位部分(包みまたは結び目503より近位である)の張力より小さい。次いで、伸張抵抗性部材502の近位端または近位セグメントが、送達カテーテルに結ばれるか、結合されるか、または他の様式で取り付けられる。
【0098】
次いで、インプラント500は、当該分野において公知である方法によって、身体に導入され、そして配置される。このインプラントが所望の位置(例えば、使用者がこのインプラントを送達カテーテルから離脱させることを意図する位置)に配置されたら、米国特許出願番号11/212,830に記載されるように加熱要素が起動させられて、部材502が、このヒーター要素またはその近傍で切断される。従って、1つの実施形態において、コイル501が離脱された後に、部材502の遠位端は、インプラント500に結合したままであり、そして部材502の近位端は、送達カテーテルに結合したままである。
【0099】
図9に示されるように、本発明の好ましい実施形態は、ヒドロゲル材料504を備え、このヒドロゲル材料は、伸張抵抗性部材502近傍に配置され得る。図9において、このヒドロゲル材料は、伸張抵抗性部材502に対して実質的に平行に延びる。別の実施形態において、このヒドロゲル材料は、伸張抵抗性部材および/またはコイルの周りに包まれ得るか、結ばれ得るか、または他の様式で相互に巻かれ得る(図示されず)。
【0100】
本発明が、特定の実施形態および適用に関して説明されているが、当業者は、この教示を考慮して、本願発明の思想から逸脱することなく、またはその範囲を超えることなく、さらなる実施形態および改変を生成し得る。従って、本明細書における図面および説明は、本発明の理解を容易にするために例を提供し、そしてその範囲を制限すると解釈されるべきではないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端および該遠位端近傍のヒーターを有する、送達デバイス;
該送達デバイスの該遠位端に取り付けられたインプラントであって、管腔を規定する、インプラント;
該送達デバイスと該インプラントとを接続する伸張抵抗性部材であって、該伸張抵抗性部材は、該管腔を通過し、そして該インプラントの少なくとも2つの位置に取り付けられ、該伸張抵抗性部材は、該ヒーターに作動可能に接近して近位に連続し、その結果、該ヒーターの起動の際に、該伸張抵抗性部材が破壊されて、該インプラントを解放する、伸張抵抗性部材、
を備える、離脱可能インプラント送達システム。
【請求項2】
前記伸張抵抗性部材が、結び目によって前記インプラントに取り付けられている、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項3】
前記伸張抵抗性部材が、接着剤結合によって前記インプラントに取り付けられている、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項4】
前記伸張抵抗性部材が、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、エチレン−オクテンコポリマー、生分解性材料、PGLA、ヒドロゲル、アクリルアミド、PEG、PET、ナイロン、アミドベースのポリマー、ブロックコポリマー、PEBAX、ポリプロピレンからなる群より選択される材料を含む、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項5】
前記伸張抵抗性部材が、少なくとも1つの取り付け点近傍で張力を与えられている、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項6】
前記伸張抵抗性部材の、前記少なくとも2つのインプラント取り付け点の間の張力が、該伸張抵抗性部材の、該少なくとも2つの取り付け点のうちの近い方の近傍の張力とは無関係である、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項7】
前記インプラントがコイルを備える、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項8】
前記伸張抵抗性部材が前記コイルに結ばれたテザーを備える、請求項7に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項9】
前記テザーが、前記少なくとも2つの取り付け点のうちの近い方において、前記コイルの周りに巻かれており、これによって、該近い方の取り付け点近傍における該テザーの張力を、該少なくとも2つの取り付け点の間に延びる該テザーの部分から隔離する、請求項8に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項10】
前記インプラントデバイスがヒドロゲル材料を備える、請求項1に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項11】
移植可能コイルの管腔を通る伸張抵抗性部材を提供し、該部材を該コイルの遠位端近傍に取り付ける工程;
該インプラントを解放するために有用なテザー破壊デバイスに対して作動可能な近位に、該テザーを辿らせる工程;
該テザーに張力を与える工程;
該張力を該コイルから隔離する工程;
該コイルを患者内の指定された位置に配置する工程;
該テザー破壊デバイスを起動させる工程、
を包含する、移植可能コイルを送達する方法。
【請求項12】
前記コイルから前記張力を隔離する工程が、前記テザーを該コイル上の第2の位置に取り付ける工程を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記テザーを前記コイル上の第2の位置に取り付ける工程が、該テザーを該コイルの周りに包む工程を包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記インプラントを解放するために有用なテザー破壊デバイスに対して作動可能な近位に前記テザーを辿らせる工程が、該テザーをヒーターの作動可能な近位に辿らせる工程を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
可撓性遠位部材;
該可撓性遠位部分を送達デバイスに接続するために有用なテザーであって、該テザーは、
該可撓性遠位部材を通って延びる第1のセクション;および
該第1のセクションから近位に延びる第2のセクション、
を備える、テザー、
を備え;
該第1のセクションは、該第2のセクションと同じ張力を受けず、そして該第1のセクションは、伸張抵抗性であり、
該第2のセクションは、該可撓性遠位部材の近位取り付け点に取り付けられ、その結果、該第1のセクションは、該第2のセクションに与えられる軸方向張力から実質的に隔離される、離脱可能インプラント。
【請求項16】
前記第1のセクションが、結び目によって前記可撓性遠位部材に取り付けられている、請求項15に記載の離脱可能インプラント。
【請求項17】
前記第1のセクションが、接着剤結合によって前記可撓性遠位部材に取り付けられている、請求項15に記載の離脱可能インプラント。
【請求項18】
前記テザーが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、エチレン−オクテンコポリマー、生分解性材料、PGLA、ヒドロゲル、アクリルアミド、PEG、PET、ナイロン、アミドベースのポリマー、ブロックコポリマー、PEBAX、ポリプロピレンからなる群より選択される材料を含む、請求項15に記載の離脱可能インプラント。
【請求項19】
前記可撓性遠位部材がコイルを備える、請求項15に記載の離脱可能インプラント。
【請求項20】
前記テザーが、前記コイルの遠位端の近くおよび近位端の近くにおいて、該コイルに結ばれている、請求項19に記載の離脱可能インプラント。
【請求項21】
前記離脱可能インプラントがヒドロゲル材料をさらに備える、請求項15に記載の離脱可能インプラント。
【請求項22】
遠位端および該遠位端の近くのヒーターを有する、送達デバイス;
管腔を規定するインプラント;
該送達デバイスと該インプラントとを接続し、かつ該インプラントの伸長を防止する伸張抵抗性部材であって、該伸張抵抗性部材は、該伸張抵抗性部材が該インプラントの形状を変更することなく張力を与えられるように、該インプラントに取り付けられる、伸張抵抗性部材、
を備える、離脱可能インプラント送達システム。
【請求項23】
前記伸張抵抗性部材が、前記インプラントの遠位端を該インプラントの近位端に接続することによって伸長を防止する、請求項22に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項24】
前記張力が、前記インプラントの前記遠位端と該インプラントの前記近位端との間から隔離されている、請求項23に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項25】
前記伸張抵抗性部材が、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリオレフィンエラストマー、エチレン−オクテンコポリマー、生分解性材料、PGLA、ヒドロゲル、アクリルアミド、PEG、PET、ナイロン、アミドベースのポリマー、ブロックコポリマー、PEBAX、ポリプロピレンからなる群より選択される材料を含む、請求項22に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項26】
前記張力が、前記インプラントの近位端の近くの取り付け点を介して隔離される、請求項22に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項27】
前記取り付け点が、前記インプラントの一部の周りに少なくとも1回包まれた前記伸張抵抗性部材を備える、請求項26に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項28】
前記取り付け点が、前記インプラントの一部の回りで前記伸張抵抗性部材と一緒に結ばれた結び目を備える、請求項26に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項29】
前記インプラントがコイルを備え、そして前記伸張抵抗性部材が、該コイルの少なくとも近位端において該コイルに取り付けられたテザーを備える、請求項22に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項30】
前記テザーが、前記少なくとも2つの取り付け点のうちの近い方において、前記コイルの周りに巻かれており、これによって、該近い方の取り付け点の近位の該テザーの張力を、該テザーの該少なくとも2つの取り付け点の間に延びる部分から隔離する、請求項29に記載の離脱可能インプラント送達システム。
【請求項31】
前記インプラントデバイスがヒドロゲル材料を備える、請求項22に記載の離脱可能インプラント送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−516101(P2011−516101A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532093(P2010−532093)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/071325
【国際公開番号】WO2010/014075
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(308016264)マイクロベンション, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】