説明

位相シフトマスクブランクの製造方法、及び位相シフトマスクブランクの製造装置

【課題】ブランクス間及びブランクス面内における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブランクの製造方法等を提供する。
【解決手段】透明基板6上に、少なくともパターンを形成するための薄膜を有する、フォトマスクブランクのDCマグネトロンスパッタリング法による製造方法において、基板6の平面からなる被成膜面を上方に向けて水平面上で回転させ、被成膜面に対して傾斜して対向した単一のターゲット5をスパッタリングすることによって薄膜を成膜し、かつ、成膜の開始から成膜の終了までの間で前記透明基板を整数回回転させて成膜を行うフォトマスクブランクの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にArFエキシマレーザー及びF2エキシマレーザーに適した位相シフトマスクブランク製造方法及び製造装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フォトリソグラフィーに要求される二つの重要な特性である高解像度化と焦点深度の確保は相反する関係にあり、露光装置のレンズの高NA化、短波長化だけでは実用解像度を向上できないことが明らかにされた(月刊Semiconductor World 1990.12、応用物理第60巻第11月号(1991)等)。
【0003】
このような状況下、次世代のフォトリソグラフィー技術として位相シフトリソグラフィーが注目を集めており、一部実用化されている。位相シフトリソグラフィーは、光学系には変更を加えず、マスクだけの変更で光リソグラフィーの解像度を向上させる方法であり、フォトマスクを透過する露光光間に位相差を与えることにより透過光相互の干渉を利用して解像度を飛躍的に向上できるようにしたものである。
位相シフトマスクは、光強度情報と位相情報とを併有するマスクであり、レベンソン(Levenson)型、補助パターン型、自己整合型(エッジ強調型)などの各種タイプが知られている。これらの位相シフトマスクは、光強度情報しか有しない従来のフォトマスクに比べ、構成が複雑で製造にも高度の技術を要する。
【0004】
この位相シフトマスクの一つとして、いわゆるハーフトーン型位相シフトマスクと称される位相シフトマスクが近年開発されている。
このハーフトーン型の位相シフトマスクは、光半透過部が、露光光を実質的に遮断する遮光機能と、光の位相をシフト(通常は反転)させる位相シフト機能との二つの機能を兼ね備えることになるので、遮光膜パターンと位相シフト膜パターンを別々に形成する必要がなく、構成が単純で製造も容易であるという特徴を有している。
ハーフトーン位相シフトマスクにおいてはマスクパターンの加工をドライエッチング工程により行っているが、遮光機能と位相シフト機能を別々の層で実現する方法では、遮光機能を有する層と位相シフト機能を持つ層の両方について、良好なパターン形状を得るための高度な制御が必要である。それに対し、遮光機能と位相シフト機能を兼ね備えた単層の光半透過部を構成することにより、単一のエッチング工程を用いることができるので、マスクの製造工程を単純化でき、容易に良好なパターン形状を得ることが可能である。
【0005】
ハーフトーン型の位相シフトマスクは、図10に示すように、透明基板100上に形成するマスクパターンを、実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部(透明基板露出部)200と、実質的に露光に寄与しない強度の光を透過させる光半透過部(遮光部兼位相シフタ部)300とで構成し(同図(a))、かつ、この光半透過部を透過する光の位相をシフトさせて、光半透過部を透過した光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって(同図(b))、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラストすなわち解像度を向上させるものである(同図(c))。
【0006】
ところで上述したハーフトーン型の位相シフトマスクやブランクにおける光半透過部や光半透過膜(位相シフト層)は、光透過率及び位相シフト量の双方について、要求される最適な値を有している必要がある。具体的には、(1)i線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等の露光波長において透過率を3から20%の範囲で調整可能であること、(2)前記露光波長において通常は180°近傍の値に位相角が調整可能であること、(3)検査波長である257nm、266nm、364nm、488nm等の波長において通常は65%以下の検査可能な透過率を有していること、が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、露光に用いるレーザの波長がi線(365nm)やKrFエキシマレーザー(248nm)から、ArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化するにつれて、上述した従来のハーフトーン型位相シフトマスク及びその製造方法には、次に示すような問題が生じてきた。
すなわち、位相シフトマスクブランクを量産する場合、そのブランクス間や面内における位相角及び透過率のばらつきがあると、歩留まりが悪く、特にArF、F2エキシマレーザーなどの短波長用のマスクブランクスにおいては、従来のi線、KrFエキシマレーザー用マスクブランクスにおけるブランクス間や面内の位相角及び透過率のばらつきでは、ばらつきが大きく、歩留まりも悪いため、そのままま適用できないという問題点があった。
【非特許文献1】月刊Semiconductor World 1990.12
【非特許文献2】応用物理第60巻第11月号(1991)
【0008】
本発明は上述した背景の下になされたものでり、ブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブランクの製造方法等の提供を第一の目的とする。
また、ブランクスの面内における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブランクの製造方法等の提供を第二の目的とする。
さらに、ブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シフトマスクブランクの製造装置等の提供を第三の目的とする。
また、ブランクスの面内における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シフトマスクブランクの製造装置等の提供を第四の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
【0010】
(構成1) 透明基板上に、少なくとも位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクを、複数枚連続的に製造する方法において、
前記方法は、透明基板上に位相シフト膜がスパッタリング法を用いて連続的に成膜される工程を含み、
前記複数枚のブランク間における位相シフト膜の位相角のばらつきが、±2°以内であることを特徴とする位相シフトマスクブランクの製造方法。
【0011】
(構成2) 透明基板上に、少なくとも光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクを、複数枚連続的に製造する方法において、
前記方法は、透明基板上に光半透過膜がスパッタリング法を用いて連続的に成膜される工程を含み、
前記複数枚のハーフトーン型位相シフトマスクブランク間における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
【0012】
(構成3) 透明基板上に、少なくともパターンを形成するための薄膜を有するフォトマスクブランクを、複数枚連続的に製造する方法において、
前記方法は、前記透明基板上に前記薄膜がスパッタリング法を用いて連続的に成膜される工程を含み、
前記透明基板上に前記薄膜がスパッタリング法を用いて連続的に成膜される工程は、透明基板がスパッタ室に搬入され、前記スパッタ室においてパターンを形成するための薄膜が形成され、前記スパッタ室から成膜後の透明基板が搬出される一連のプロセスが複数枚の基板に対して順次行われ、その透明基板の搬入と搬出とを略一定間隔で行うことによって、成膜時間を複数枚のブランク間で一定にする工程を含み、
かつ前記工程において得られたフォトマスクブランクのうち成膜開始1枚目から少なくとも5枚目までを除外することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
【0013】
(構成4) 前記パターンを形成するための薄膜は、位相シフト膜であり、前記フォトマスクブランクが位相シフトマスクブランクであることを特徴とする構成3に記載の製造方法。
【0014】
(構成5) 前記パターンを形成するための薄膜は、光半透過性の位相シフト膜であり、前記フォトマスクブランクがハーフトーン型位相シフトマスクブランクであることを特徴とする構成3に記載の製造方法。
【0015】
(構成6) 透明基板上に少なくともパターンを形成するための薄膜を有するフォトマスクブランクの製造方法において、
前記薄膜を、前記基板を回転させながら、前記基板の中心軸からその中心軸がずれた位置に対向するターゲットをスパッタリングすることによって成膜することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
【0016】
(構成7) 前記基板とターゲットの対向する面が、所定の角度を有するように該ターゲットと基板が配置されていることを特徴とする構成6に記載の製造方法。
【0017】
(構成8) 成膜の開始から成膜の終了までの間で透明基板を整数回回転させて成膜を行うことを特徴とする構成6又は7に記載の製造方法。
【0018】
(構成9) 前記パターンを形成するための薄膜は、位相シフト膜であり、前記フォトマスクブランクが位相シフトマスクブランクであることを特徴とする構成6〜8のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
(構成10) 前記位相シフト膜の位相角の面内のばらつきが、±2°以内であることを特徴とする構成9に記載の製造方法。
【0020】
(構成11) 前記パターンを形成するための薄膜は、光半透過性の位相シフト膜であり、前記フォトマスクブランクがハーフトーン型位相シフトマスクブランクであることを特徴とする構成6〜10のいずれかに記載の製造方法。
【0021】
(構成12) 前記光半透過性の位相シフト膜の位相角の面内のばらつきが±2°以内かつ透過率の面内のばらつきが±4%以内であることを特徴とする構成11に記載の製造方法。
【0022】
(構成13) 前記光半透過性の位相シフト膜が、窒素を含む雰囲気中で金属及びシリコンからなるターゲットをスパッタリングすることによって形成された金属、シリコン及び窒素を主たる構成成分として含む膜であり、前記光半透過性の位相シフト膜における窒素の含有量がシリコンよりも大きくなるように形成されたことを特徴とする構成11又は12に記載の製造方法。
【0023】
(構成14) 構成1〜13のいずれかに記載のフォトマスクブランクにおける薄膜にパターニングを施すことによって製造されたことを特徴とするフォトマスク。
【0024】
(構成15) 構成14に記載のフォトマスクを用いてパターン転写を行ったことを特徴とするパターン転写方法。
【0025】
(構成16) 基板を一枚づつ導入するロードロック機構と、ロードロック室からスパッタ室へ基板を一定の間隔で一枚づつ導入する基板搬送機構と、基板上に成膜を行うスパッタ室と、スパッタ室から基板を一枚づつ排出するアンロードロック機構と、を少なくとも有することを特徴とするフォトマスクブランクの製造装置。
【0026】
(構成17) 回転機構を有する基板載置台と、基板の中心軸からその中心軸がずれた位置に対向するターゲットとを有することを特徴とするフォトマスクブランクの製造装置。
【0027】
(構成18) 前記基板とターゲットの対向する面が、所定の角度を有するように該ターゲットと基板が配置されていることを特徴とする構成17に記載の製造装置。
【0028】
(構成19) 基板の回転位置を検出する手段と、放電をONにした時点(成膜開始)からから基板が整数回回転し放電をONにした時点と同じ回転角位置に基板がきた時点で放電をOFF(成膜終了)にする手段と、を有することを特徴とする構成16〜18のいずれかにに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造装置。
【0029】
[作用]
上記構成1、2によれば、位相シフトマスクブランク間における位相シフト膜の位相角のばらつきが±2°あるいはハーフトーン型位相シフトマスクブランク間における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内であるので、ArF、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフトマスクの製造の量産実用化を実現できる。この範囲を超えるとArF、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフトマスクの製造の量産実用化は困難である。
なお、KrFエキシマレーザー用の場合は、現状においても実用可能であるが、マスクブランク間における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきは小さい方が好ましので、構成1、2記載の発明は、KrFエキシマレーザー用位相シフトマスクブランクについても適用可能である。
【0030】
上記構成3〜5によれば、フォトマスクブランクにおける膜特性(透過率(OD)、膜厚等)のブランク間のばらつきを抑えることができ、特に位相シフトマスクブランク間における位相シフト膜の位相角のばらつきが±2°あるいはハーフトーン型位相シフトマスクブランク間における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内である位相シフトマスクの製造を実現できる。
【0031】
上記構成6〜12によれば、フォトマスクブランクにおける膜特性(透過率(OD)、膜厚等)の面内のばらつきを抑えることができ、特に位相シフトマスクブランクの面内における位相シフト膜の位相角のばらつきが±2°あるいはハーフトーン型位相シフトマスクブランクの面内における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内である位相シフトマスクブランクを実現できるため、ArF、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフトマスクの実用化を実現できる。この範囲を超えるとArF、F2エキシマレーザーなどの短波長用の位相シフトマスクの実用化は困難である。
なお、KrFエキシマレーザー用の場合は、現状においても実用可能であるが、マスクブランクの面内における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきは小さい方が好ましので、構成6〜12記載の発明は、KrFエキシマレーザー用位相シフトマスクブランクについても適用可能である。
【0032】
上記構成13によれば、位相角のばらつきをさらに抑えることが可能となる。
【0033】
上記構成14によれば、マスク間あるいはマスク面内のばらつきを抑えたフォトマスクを得ることができる。
【0034】
上記構成15によれば、優れた微細パターン加工が可能となる。
【0035】
上記構成16〜19の装置によれば、フォトマスクブランクにおける膜特性(透過率(OD)、膜厚等)のブランク間又は面内のばらつきを抑えることができ、特に位相シフトマスクブランク間又は面内における位相シフト膜の位相角のばらつきが±2°以内である位相シフトマスクブランクや、ハーフトーン型位相シフトマスクブランク間又は面内における光半透過膜の位相角及び透過率のばらつきが、それぞれ±2°以内及び±4%以内である位相シフトマスクブランクの製造を実現できる。
【0036】
以下本発明を詳細に説明する。
【0037】
上述した目的を達成するために、研究を進めた結果、以下のことがわかった。
ハーフトーン位相シフトマスクでは光半透過部の位相角と透過率が所望の値に調整されていることが機能上重要である。位相角と透過率の誤差範囲は、ブランクス間変動(ブランクス間ばらつき)、ブランクス内分布(面内ばらつき)共に、それぞれ±2°程度、±4°程度が要求される。位相角や透過率を変化させる要因としては、(1)光半透過膜の成膜手順、(2)光半透過膜を形成するスパッタリング装置の性能、(3)光半透過膜の材質が挙げられる。
【0038】
(1)光半透過膜を形成する成膜手順について詳しく説明する。
光半透過膜の成膜時間をスパッタリングの開始と終了で決定する場合、スパッタリング終了から次のスパッタリング開始までの間隔を一定にすることが、位相角及び透過率のブランクス間変動(ブランクス間ばらつき)をそれぞれ±2°以内、±4°以内とすること(再現性向上)に有効である。スパッタリング現象はターゲットやシールドの温度や表面状態を変化させ、同時に真空槽内の真空度も変化させる。従来のようにスパッタリング終了から次のスパッタリング開始までの間隔が一定でない間欠的なスパッタリングを行うと、ターゲットやシールドの状態が刻々と変化する。本発明のように、スパッタリング終了から次のスパッタリング開始までの間隔とスパッタリング時間およびスパッタリング条件を常に一定にすると、作製枚数が5から10枚後以降で位相角、透過率の変動が小さくなる。すなわち、一定間隔で継続的に光半透過膜の形成を行い、開始から5ないし10枚目以前を除外することで、位相角、透過率の変動が少ないハーフトーン位相シフトマスクブランクスを安定して製造することが可能である。具体的には、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内であるハーフトーン位相シフトマスクブランクスを安定して製造することが可能である。
【0039】
この工程を実現するためには、図1に示すような、スパッタリングを行う真空槽(スパッタ室)を常に高真空状態に保持できるロードロック機構を設け、ロードロック室からスパッタ室への基板導入を、一定の間隔で、継続的に行えるような装置構成が必要である。このためには、あえて一枚づつ基板を導入するロードロック機構を設け、しかもロードロック室の容積を、ロードロック室からスパッタ室への基板導入を、一定の間隔で、継続的に行えるような容積に設計する必要がある。
従来のハーフトーン位相シフトマスクブランクスの製造装置では、スループットの観点から、ロードロック室内に10枚程度の基板をセットする方式(あるいはインライン方式)であるが、この方式では、ロードロック室の容積が大きいため、ロードロック室内を所定の真空度にするのに時間がかかり、この間スパッタ室内では成膜が行われないため、すべての成膜が終了し次のカセットをロードロック室内にセットして成膜を行う際に、スパッタ室への基板導入が一定の間隔で継続的に行なわれない。この際さらに問題なのは、スパッタ室への基板導入が一定の間隔で継続的に行なわれないと、スパッタ室での成膜が安定せず最初の5〜10枚程度は位相角や透過率のブランクス間ばらつきが大きく、歩留まりが悪いことである。
【0040】
図1において、ロードロック室11には、大気とロードロック室11を隔離するバルブ12と、ロードロック室11とスパッタ室13を隔離するバルブ14が取り付けられている。ロードロック室11としては、上記で説明したスパッタ室への基板導入を一定の間隔で継続的に行いうる枚葉式でしかも所定の容積に設計されたものを設けている。スパッタ室13は後述する図2に示すようなスパッタリングを行う真空槽と同等の機能を有する。スパッタ室13への基板導入をロボットアームにて行う場合には、スパッタ室13とロードロック室11の間に撒送室15を設けてもよい。ロボットアーム19は、腕19aが図示A方向に開閉することによりハンド19bを図示B方向に移動でき、またロボットアーム19は図示C方向に回転でき、さらにロボットアーム19は紙面に対し上下方向に移動できる構成になっている。さらに、成膜のスループットを向上させるためには、上記ロードロック室11と同様の構成を有するアンロードロック室16を追加してもよい。図1を用いて、透明基板上に光半透過膜を形成する工程の一例を説明する。
1)バルブ14を閉じた後、ベントを行いロードロック室11内を大気圧にする。
2)バルブ12を開いてロードロック室11内に透明基板を一枚導入する。
3)バルブ12を閉じてロードロック室11を排気する。
4)ロードロック室11が所定の真空度に達した後、バルブ14を開いて透明基板をスパッタ室13に移動させる。
5)スパッタ室13にて、後述する図2に示す構成を用いて光半透過膜を形成する。
6)光半透過膜の成膜終了後、バルブ17を開いて基板をアンロードロック室16に移動させる。このときアンロードロック室16は所定の真空度まで排気されていることが必要である。
7)バルブ17を閉じた後、ベントを行いアンロードロック室を大気圧にする。
8)バルブ18を開いて基板を取り出す。
スパッタ室13内における光半透過膜の成膜が終了し、スパッタ室13からアンロードロック室16に基板が移動されるまでの間に、上記工程1)から4)までを終了させ、ロードロック室11に次の基板を待機させる。前回の成膜が終了して、スパッタ室13からアンロードロック室6に基板が移動されたら、待機させた透明基板をスパッタ室13に移動させ、引き続き光半透過膜の成膜を行う。
このような工程により、装置のメンテナンス時等を除いて一定の間隔で継続的(連続的)に光半透過膜の形成が可能となる。
【0041】
(2)次に、光半透過膜を形成するスパッタリング装置の性能について詳しく説明する。光半透過膜を形成するスパッタリング時のガス圧、スパッタリング用DC電源の出力、スパッタリングを行う時間は直接的に透過率、位相角に影響を与えるため、ガス流量コントローラ、DC電源その他機器の精度向上やコントローラから発信する設定信号の精度向上が必要である。スパッタリング時のガス圧は、装置の排気コンダクタンスにも影響を受けるため、排気ロバルブの開度やシ−ルドの位置を正確に決定できる機構も必要である。具体的な制御精度については後述する。
また、窒化シリコンを含む膜では、真空槽内壁から発生する水分等のガスが、膜の光学特性に大きな影響を与えるため、真空槽内を十分に排気できるポンプを装着し、真空槽内壁をベーキングできる機構を設けることが必要である。真空槽内の真空度は、成膜速度が10nm/minである場合はおおむね2×10-5pa以下、成膜速度が5nm/minである場合には1×10-5pa以下が必要である。
さらに位相角及び透過率のブランクス内分布(面内ばらつき)をそれぞれ±2°以内、±4°以内に抑えるためには、透明基板を回転させながら成膜を行うとともに、成膜の開始から成膜の終了までの間で透明基板を整数回回転させて成膜を行うことが必要である。このためには、例えば、基板の回転角位置を検出するセンサによって、放電をONにした時点(成膜開始)の基板回転角位置検出し、さらにこのセンサによって、基板が整数回回転して放電をONにした時点と同じ回転角位置に基板がきた時点で放電をOFF(成膜終了)にする機構を備えることが必要である。
【0042】
位相角及び透過率の面内の分布は、基板とターゲットの位置関係によっても変化する。ターゲットと基板の位置関係について、図8を用いて説明する。
オフセット距離(基板の中心軸と、ターゲットの中心を通りかつ前記基板の中心軸と平行な直線との間の距離)は、位相角及び透過率の分布を確保すべき面積によって調整される。一般には分布を確保すべき面積が大きい場合に、必要なオフセット距離は大きくなる。本実施例のように、152mm角の基板内で位相角分布±2°以内及び透過率分布±4°以内を実現するために、オフセット距離は200mmから350mm程度が必要であり、好ましいオフセット距離は240mmから280mmである。
ターゲット−基板間垂直距離(T/S)は、オフセット距離により最適範囲が変化するが、152mm角の基板内で位相角分布±2°以内及び透過率分布±4°以内を実現するために、ターゲット−基板間垂直距離(T/S)は、200mmから380mm程度が必要であり、好ましいT/Sは210mmから300mmである。
ターゲット傾斜角は成膜速度に影響し、大きな成膜速度を得るために、ターゲット傾斜角は、0°から45°が適当であり、好ましいターゲット傾斜角は10°から30°である。
図9にオフセット距離を変化させた場合に、152mm角の基板内で位相角分布±2°以内及び透過率分布±4°以内を実現できるT/Sの上限とT/Sの下限を示す。
【0043】
(3)次に、光半透過膜の材質が位相角、透過率に与える影響を詳しく説明する。光半透過膜の位相角、透過率は成膜速度と窒化の度合いによって変化する。成膜速度と窒化の度合いはスパッタリング中の窒素分圧に影響を受けるが、光半透過膜が完全に窒化した状態では、スパッタリング中の窒素分圧の影響が小さくなる。窒化した金属シリサイド膜では、ESCAで測定した窒素の含有量がシリコンより大きくなるように、スパッタリング中に導入する窒素流量を調整することにより、窒素分圧の変動が光学特性に与える影響を小さくすることが可能である。この方法を用いれば、位相角と透過率の面内分布を小さくすることも同時に可能である。なお、スパッタリング中に窒素と同時に酸素を添加する場合には、位相角、透過率が酸素の流量変動の影響を大きく受けることになるが、少なくとも窒素の流量変動の影響については、上記の方法にて少なくすることができる。
【0044】
なお、本発明の構成におけるフォトマスクブランクとは、フォトマスクにおける例えば、遮光膜(クロム又はクロムに酸素、窒素、炭素等を含むクロム化合物、その他のクロム化合物等)及び位相シフトマスクブランクにおける位相シフト膜等を含む。
また、本発明の構成における位相シフトマスクブランクにおいては、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクのみならず、位相角のばらつきを±2°以内とする目的で、例えば、レベンソン型、補助パターン型、自己整合型(エッジ強調型)など、他の位相シフトマスクを製造するためのブランクにも適用可能である。
【0045】
(実施例)
以下、本発明の実施例についてさらに詳細に説明する。
上記図1で説明したDCマグネトロンスパッタリング装置を用い、ArFエキシマレーザー(193nm)用ハーフトーン型位相シフトマスクブランクス200枚を一枚ずつ一定間隔で連続成膜して作製した。
具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2=10%:90%、圧力:0.1Pa)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、透明基板上に窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiN)の薄膜(膜厚約670オンク゛ストローム)を形成して、ArFエキシマレーザー(波長193nm)用位相シフトマスクブランク(膜組成:Mo:Si:N=7:45:48)を得た。
【0046】
ここで、図1に示すDCマグネトロンスパッタ装置におけるスパッタ室3は、図2に示すように、真空槽1を有しており、この真空槽1の内部にマグネトロンカソード2及び基板ホルダ3が配置されている。マグネトロンカソード2にはバッキングプレート4に接着されたスパッタリングターゲット5が装着されている。実施例では、バッキングプレート4に無酸素鋼を用い、スパッタリングターゲット5とバッキングプレート4の接着にはインジウムを用いている。バッキングプレート4は水冷機構により直接または間接的に冷却されている。マグネトロンカソード2とバッキングプレート4及びスパッタリングターゲット5は電気的に結合されている。基板ホルダ3には透明基板6が装着されている。
なお、本実施例では、図2におけるスパッタリングターゲット5と基板6とが、図8に示すように、基板とターゲットの対向する面が所定の角度を有するように、ターゲットと基板が配置されている構成の装置を用いた。この場合、スパッタリングターゲットと基板のオフセット距離は340mm、ターゲット−基板間垂直距離(T/S)は380mm、ターゲット傾斜角は15°とした。
真空槽1は排気口7を介して真空ポンプにより排気されている。真空槽内の雰囲気が形成する膜の特性に影響しない真空度まで達した後、ガス導入口8から窒素を含む混合ガスを導入し、DC電源9を用いてマグネトロンカソード2に負電圧を加え、スパッタリングを行う。DC電源9はアーク検出機能を持ち、スパッタリング中の放電状態を監視できる。真空槽1内部の圧力は圧力計10によって測定されている。
透明基板上に形成する光半透過膜の透過率は、ガス導入口8から導入するガスの種類及び混合比により調整する。混合ガスがアルゴンと窒素である場合には、窒素の比率を大きくすることで、透過率が上昇する。窒素の比率を調整するだけでは所望の透過率が得られない場合、窒素を含む混合ガスに酸素を添加することで、さらに透過率を上昇させることが可能である。
光半透過膜の位相角はスパッタリング時間により調整し、露光波長における位相角が約180°に調整した。
【0047】
ブランク間ばらつきの評価
上記で得られた200枚の位相シフトマスクブランクス(サイズ:15.2cm角)について、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきを調べた。その結果を図3に示す。
図3から、3枚目以降では、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内であるハーフトーン位相シフトマスクブランクスを安定して製造できることがわかる。なお、11枚目以降から200枚目までについても位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内であることを確認した。この場合、位相角及び透過率に関しては歩留まりは100%である。
【0048】
なお、実施例1において、途中(190枚目)でメンテナンスのためスパッタ室を開けたこと以外実施例1と同様にしてブランクスを200枚作製し、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきを調べた。その結果を図4に示す。
図4から、本発明の装置を用いると、最初の数枚、及びスパッタ室開放直後の5枚を除き、位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内であるハーフトーン位相シフトマスクブランクスを安定して製造でき、位相角及び透過率に関しては歩留まりが100%であることがわかる。
【0049】
また、従来のロードロック室内に10枚程度の基板をセットする方式、及びインライン方式の製造装置を用いて、ハーフトーン位相シフトマスクブランクスを製造したが、いずれの場合も位相角及び透過率のブランクス間ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内に収めることは困難であり、歩留まりも悪かった。
【0050】
また、実施例1において、透明基板を回転させながら成膜を行うとともに、成膜の開始から成膜の終了までの間で透明基板を整数回回転させて成膜を行い、位相角及び透過率の面内ばらつきを調べた。
その結果、位相角及び透過率の面内ばらつきがそれぞれ±2°以内、±4°以内であるハーフトーン位相シフトマスクブランクスを安定して製造できることを確認した。
【0051】
さらに、上記実施例において、次のことがわかった。
図5に示すように、位相角のばらつきを約180°〜約172°の範囲に抑えるためには、DC電源の電力(パワー)を約1.77kW〜約1.825kW(位相角のばらつきを約180°〜約178°の範囲に抑えるため好ましくは約1.82kW〜約1.81kW)の範囲で制御する必要があることがわかる。したがって、DC電源の電力(パワー)の変動は中心値±0.5%に抑えることが必要である。
同様に、図6から位相角及び透過率のばらつきを抑えるためには、成膜時間を約560秒〜約615秒(位相角のばらつきを約180°〜約178°の範囲に抑えるため好ましくは約600秒〜約594秒)の範囲で制御する必要があることがわかる。したがって、成膜時間の変動は中心値±0.5%に抑えることが必要である。
同様に、図7から位相角のばらつきを抑えるため、及び、窒化した金属シリサイド膜中のESCAで測定した窒素の含有量がシリコンより大きくなるように、スパッタリング中に導入する窒素流量を調整することにより、窒素分圧の変動が光学特性に与える影響を小さくするためには、窒素流量を約35sccm以上(位相角のばらつきを約180°〜約178°の範囲に抑えるため好ましくは約35sccm〜約35.5sccm)の範囲で制御する必要があることがわかる。
なお、窒素分圧の変動が光学特性に与える影響を小さくできる窒素流量は、装置の排気性能やDCパワーによって変化する。
【0052】
面内ばらつきの評価
上記で得られた位相シフトマスクブランクのうちの1枚について、面内の位相角及び透過率のばらつきを調べた。
その結果、基板周辺部10mmを除く132mm角の範囲で、位相角のばらつきが±0.8°以内(平均値179.5°、範囲178.8°〜180.3°)であった。また、透過率のばらつきは±1.3%以内(平均値6.16%、範囲6.08%〜6.23%)であった。
なお、比較のため、オフセット距離340mm、ターゲット−基板間垂直距離(T/S)400mm、ターゲット傾斜角15°で成膜を行った場合、位相角のばらつきが±3.5°(平均値178.8°、範囲175.3°〜181.7°)であった。また、透過率ばらつきは±8%(平均値6.07%、範囲5.83%〜6.56%)であった。
さらに、比較のため、基板と対向する位置にターゲットを配置した場合(オフセット距離0mm、ターゲット傾斜角0°)には、ターゲット径16インチφにて、位相角のばらつきが±2.7°(平均値179.8°、範囲177.1°〜182.0°)であった。また、透過率ばらつきは±4.2%(平均値6.19%、範囲6.00%〜6.45%)であった。
オフセット距離は大きい方が面内ばらつきを小さくするのが容易であるが、大きすぎると真空槽の容積が大きくなるため真空排気の性能が悪化し、同時に成膜速度も遅くなる。
なお、面内におけるばらつきは、平均値(中心値)に対する最高点(プラス分)と最低点(マイナス分)の両方が規定の範囲に入っているかどうかで評価した。
【0053】
以上好ましい実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、光半透過膜を構成する金属としてモリブデンを用いたが、これに限定されず、ジルコニウム、チタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、ニッケル、パラジウムなどを用いることができる。
また、金属とシリコンとを含むターゲットとして、モリブデンとシリコンからなるターゲットを用いたが、これに限定されない。金属とシリコンとを含むターゲットにおいて、モリブデンは上記金属の中で特に、透過率の制御性と金属とケイ素を含有するスパッタリングターゲットを用いた場合夕一ゲット密度が大きく、膜中のパーティクルを少なくすることができるという点において優れている。チタン、バナジウム、ニオブはアルカリ溶液に対する耐久性に優れているが、ターゲット密度においてモリブデンに若干劣っている。タンタルはアルカリ溶液に対する耐久性及びタ一ゲット密度において優れているが、透過率の制御性においてモリブデンに若干劣っている。タングステンはモリブデンとよく似た性質を持っているが、スパッタリング時の放電特性においてモリブデンより若干劣っている。ニッケルとパラジウムは、光学特性、及びアルカリ溶液に対する耐久性の面では優れているが、ドライエッチングがやや困難である。ジルコニウムは、アルカリ溶液に対する耐久性に優れているが、ターゲット密度においてモリブデンに劣っており、かつドライエッチングがやや困難である。これらのことを考慮すると現在のところモリブデンが最も好ましい。窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiN)の薄膜(光半透過膜)は、耐酸性や耐アルカリ性などの耐薬品性に優れる点でも、モリブデンが好ましい。
【0054】
また、成膜時の放電安定性を確保しつつ位相シフトマスとしての諸特性を満足する組成の薄膜を得るためには、70〜95mol%のシリコンと、金属とを含んだターゲットを、窒素を含む雰囲気中でDCマグネトロンスパッタリングすることにより、窒素、金属及びシリコンとを含む光半透過膜を形成することが好ましい。
これは、ターゲット中のシリコン含有量が95mol%より多いと、DCスパッタリングにおいては、ターゲット表面上(エロージョン部)に電圧をかけにくくなる(電気が通りにくくなる)ため、放電が不安定となり、また70mol%より少ないと、高光透過率の光半透過部を構成する膜が得られないからである。
また、窒素ガスとDCスパッタリングとの組合せによって、放電安定性はさらに向上するからである。
なお、成膜時の放電安定性は膜質にも影響し、放電安定性に優れると良好な膜質の光半透過膜が得られる。
【0055】
(発明の効果)
以上説明したように本発明によれば、ブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブランクの製造方法を提供できる。
また、ブランクスの面内における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良い位相シフトマスクブランクの製造方法を提供できる。
さらに、ブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シフトマスクブランクの製造装置を提供できる。
また、ブランクスの面内における位相角及び透過率のばらつきを極力低減でき、歩留まりの良く製造できる位相シフトマスクブランクの製造装置を提供できる

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ハーフトーン型位相シフトマスクの転写原理を説明するための図である。
【図2】実施例で使用したDCマグネトロンスパッタリング装置におけるスパッタ室の模式図である。
【図3】実施例におけるブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを示す図である。
【図4】他の実施例におけるブランクス間における位相角及び透過率のばらつきを示す図である。
【図5】DC電力と位相角との関係を示す図である。
【図6】成膜時間と位相角及び透過率との関係を示す図である。
【図7】窒素流量と位相角との関係を示す図である。
【図8】ターゲットと基板の位置関係を説明するための模式図である。
【図9】オフセット距離を変化させた場合に、位相角分布±2°以内及び透過率分布±4°以内を実現できるT/Sの上限とT/Sの下限を示す図である。
【図10】本発明のスパッタリング装置を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0057】
1 真空槽
2 マグネトロンカソード
3 基板ホルダ
4 バッキングプレート
5 スパッタリングターゲット
6 透明基板
6a 透明基板を保持する部分
7 排気口
8 ガス導入口
9 DC電源
10 圧力計10
11 ロードロック室
12 バルブ
13 スパッタ室
14 バルブ
15 撒送室
16 アンロードロック室
17 バルブ
18 バルブ
19 ロボットアーム
100 透明基板
200 光透過部
300 光半透過部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、少なくともパターンを形成するための薄膜を有する、フォトマスクブランクのDCマグネトロンスパッタリング法による製造方法において、
前記基板の平面からなる被成膜面を上方に向けて水平面上で回転させ、
前記被成膜面に対して傾斜して対向した単一のターゲットをスパッタリングすることによって前記薄膜を成膜し
かつ、成膜の開始から成膜の終了までの間で透明基板を整数回回転させて成膜を行うことを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
【請求項2】
放電を開始して成膜を開始した時点の基板の回転角位置を検出し、基板が回転後、該位置と同一の回転角位置に基板があるときに放電を停止することにより、成膜の開始から終了までの基板の回転を整数回とすることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
ターゲットの傾斜角が45度以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製
造方法
【請求項4】
前記ターゲットは、前記基板の中心軸と、ターゲットの中心を通り前記基板の中心軸と平行な直線がずれた位置にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法
【請求項5】
前記基板の中心軸が、前記ターゲットを通らない位置にあることを特徴とする、請求項
1〜のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記パターンを形成するための薄膜は、光半透過性の位相シフト膜であり、前記フォト
マスクブランクがハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、
前記光半透過性の位相シフト膜が、窒素を含む雰囲気中で金属及びシリコンからなるタ
ーゲットをスパッタリングすることによって形成された金属、シリコン及び窒素を主たる
構成成分として含む膜であり、前記光半透過性の位相シフト膜における窒素の含有量がシ
リコンよりも大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかにに記載の製造方法。
【請求項7】
前記基板は、基板中心を軸として水平面上で回転することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
透明基板上に、少なくともパターンを形成するための薄膜を有するフォトマスクブラン
クを、複数枚連続的に製造する方法において、前記方法は、前記透明基板上に前記薄膜が
スパッタリング法を用いて一枚ずつ連続的に成膜される工程を含み、前記透明基板上に前
記薄膜がスパッタリング法を用いて連続的に成膜される工程は、透明基板がスパッタ室に
搬入され、前記スパッタ室においてパターンを形成するための薄膜が形成され、前記スパ
ッタ室から成膜後の透明基板が搬出される一連のプロセスが複数枚の基板に対して順次行
われ、その透明基板の搬入と搬出とを略一定間隔で行うことによって、成膜時間を複数枚
のブランク間で一定にする工程を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記
載の製造方法。
【請求項9】
スパッタリング終了から、次の透明基板に対するスパッタリングの開始までの間隔を一
定にすることを特徴とする、請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜のいずれかに記載のフォトマスクブランクにおける薄膜にパターニングを
施すことによって製造されたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項11】
請求項10に記載のフォトマスクを用いてパターン転写を行ったことを特徴とするパター
ン転写方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−257239(P2008−257239A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89316(P2008−89316)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【分割の表示】特願2003−39010(P2003−39010)の分割
【原出願日】平成12年9月12日(2000.9.12)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】