説明

位相差フィルムの製造方法及びその方法で製造した位相差フィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置

【課題】 本発明はリターデーション値のフィルム幅手方向の分布、並びにケン化処理の幅手方向の分布の均一性が改善された位相差フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置の提供を課題とする。
【解決手段】 上記課題は、少なくとも二つの芳香族環からなるリターデーション上昇剤を0.1〜15質量%含み、下記式(I)で示されるRoが20〜300nmの範囲であり、式(II)で示されるRtが70〜400nmの範囲である位相差フィルムの製造方法であって、下記(1)〜(3)の製造条件のうち少なくとも一つをとることにより解決した。
(1)最大延伸時の応力が破断点応力に対し50〜98%の範囲での延伸
(2)最大延伸時の応力絶対値が5〜50MPaの範囲での延伸
(3)最大延伸時の応力勾配が0.4〜0.8MPa/%の範囲での延伸
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の視野角拡大方法として、適当な位相差を有するセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして使用することが知られている。また、セルロースエステルフィルムの位相差発現はセルロースエステルのアシル基置換度と関係が深く、セルロースエステルの総アシル基置換度が小さくなる程位相差の発現が大きくなることが一般的に知られており、液晶表示装置の視野角拡大フィルムにはセルロースエステルのアシル基置換度を低下させるほうが有利である。しかしながら、セルロースエステルの低置換度化はフィルムの透湿度が増加し、偏光子の保護機能が失われていく。この問題を解決するためには、比較的高置換度のセルロースエステルにリターデーション上昇剤を添加する方法が知られている。(例えば、特許文献1、2、4、5参照。)
しかしながらリターデーションの発現効率の増加は、同時に位相差の均一性を乱し、液晶表示装置の視野角のムラを引き起こし、この問題を解決することが重大な課題になっていた。
【0003】
また、リターデーション上昇剤を使用した偏光板を液晶表示装置に接着した場合、偏光板が及ぼす液晶セルへの応力が液晶セルのギャップを変化させ、表示を不均一にすることも課題となっていた。
【0004】
この問題を解決する為に、流延時の膜厚を制御する方法やリターデーション上昇剤の分布を制御する技術が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながらこの提案の方法では、製膜後のフィルムの組成が幅手方向で異なり、偏光板化の過程でもケン化処理で幅手方向に不均一を生じるという問題があり、その改善が求められていた。
【特許文献1】特開2002−131538号公報
【特許文献2】特開2003−057444号公報
【特許文献3】特開2002−341144号公報
【特許文献4】特開2005−134863号公報
【特許文献5】特開2005−179638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み成されたものであり、その目的はリターデーション値のフィルム幅手方向の分布、並びにケン化処理の幅手方向の分布の均一性が改善された位相差フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び偏光板を貼合した液晶セルの反り量が改善され表示均一性に優れた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は以下の構成により達成される。
1. 少なくとも二つの芳香族環からなるリターデーション上昇剤を0.1〜15質量%含み、かつ延伸処理を行い下記式(I)で示されるRoが20〜300nmの範囲であり、式(II)で示されるRtが70〜400nmの範囲である位相差フィルムの製造方法であって、下記(1)〜(3)の製造条件のうち少なくとも一つの条件をとることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
(1)最大延伸時の応力が破断点応力に対し50〜98%の範囲で延伸すること
(2)最大延伸時の応力絶対値が5〜50MPaの範囲で延伸すること
(3)最大延伸時の応力勾配が0.4〜0.8MPa/%の範囲で延伸すること
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d〔式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕
2. 前記位相差フィルムがセルロースエステルを主成分として含むことを特徴とする請求1に記載の位相差フィルムの製造方法。
3. 前記セルロースエステルの総アシル基置換度が2.7〜2.95の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の位相差フィルムの製造方法。
4. 請求項3に記載の位相差フィルムの製造方法であって、前記セルロースエステルを溶媒に溶解し、金属支持体上に流延を行った後、該支持体からフィルムを剥離後、フィルムの延伸を行う際に、延伸方向が流延製膜方向に対して直交していることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする位相差フィルム。
6. 請求項5に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする偏光板。

7. 請求項6に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、リターデーション値のフィルム幅手方向の分布、並びにケン化処理の幅手方向の分布の均一性が改善された位相差フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び、偏光板を貼合した液晶セルの反り量が改善され表示均一性に優れた液晶表示装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。
【0011】
本発明の位相差フィルムに用いられるフィルムとしては、製造が容易であること、光学的に均一性であること、光学的に透明性であることが好ましい。これらの性質を有していれば何れでもよく、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を挙げることが出来るが、これらに限定されるわけではない。これらのフィルムは溶液流延法或いは溶融流延法で製膜されたフィルムが好ましく用いられる。これらのうちセルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)、シクロオレフィンポリマーフィルムが好ましく、本発明においては、特に主成分としてセルロースエステルを含むセルロースエステルフィルムが、製造上、コスト面、透明性、均一性、接着性等の面から好ましい。
【0012】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法としては、セルロースエステルを溶解調製したドープ液を支持体(ステンレスベルト等)上に流延、製膜し、得られたフィルムを支持体から剥ぎ取り(剥離ともいう)、その後、幅手方向に張力をかけて延伸し、乾燥ゾーン中を搬送させながら乾燥する、溶液流延製膜法が用いられる。下記に、本発明の製造方法に係る溶液流延製膜法について説明する。尚、長手方向(MDと略記する場合がある)とは、機械搬送方向、ドープ流延方向を表し、幅手方向(TD)とは、フィルム面内で長手方向と直交する方向を表す。
【0013】
《溶液流延製膜方法》
溶液流延製膜方法について、(a)溶解工程(b)流延工程(c)溶媒蒸発工程(d)剥離工程(e)乾燥工程の順に説明する。また、(a)溶解工程の中には偏光板保護フィルムとして一般的に使用されている樹脂であるセルロースエステル、ドープ作成時に使用される有機溶媒、添加剤としてリタ−デーション上昇剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤、その他添加剤について説明する。
【0014】
(a)溶解工程:セルロースエステル(フレーク状若しくはパウダー状若しくは顆粒状(好ましくは平均粒径100μm以上の粒子))に対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該セルロースエステルや添加剤を攪拌しながら溶解し、ドープを形成する工程である。溶解には、常圧で行う方法、良溶媒の沸点以下で行う方法、良溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、冷却溶解法で行う方法、高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
【0015】
上記のドープとは、セルロースエステルと後述する添加剤を有機溶媒に溶解した溶液である。
【0016】
(セルロースエステル)
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
【0017】
本発明に係わるセルロースエステルは、セルロース原料のアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて反応が行われる。アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することが出来る。セルロースエステルはアシル基がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
【0018】
本発明のセルロースエステルフィルムに用いることが出来るセルロースエステルには特に限定はないが、下記式(1)及び(2)を同時に満足するものが好ましい。
【0019】
(1) 2.7≦X+Y≦2.95
(2) 1.9≦X≦2.95
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度である。上記2式を満足するものは、本発明の目的に叶う優れた光学特性を示すセルロースエステルフィルムを製造するのに適しており、耐熱性に優れ、位相差フィルムとして、波長分散性が正となり良好なリターデーションのものが得られる。幅手延伸時に光学特性が均一、特にリターデーション分布のムラの少ないフィルムを得る観点から、更に好ましくは2.7≦X+Y≦2.9が好ましく、2.7≦X+Y≦2.85が更に好ましい。
【0020】
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基或いはブチレート基が結合したセルロースエステルが好ましく用いられる。尚、ブチレートは、n−の他にiso−も含む。プロピオネート基の置換度が大きいセルロースアセテートプロピオネートは耐水性に優れるという特徴がある。
【0021】
アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することが出来る。
【0022】
本発明に用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に70000〜200000のものが好ましく用いられる。
【0023】
セルロースエステルの数平均分子量は下記のように測定出来る。
【0024】
高速液体クロマトグラフィにより下記条件で測定する。
【0025】
溶媒:アセトン
カラム:MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度:0.2(質量/容量)%
流量:1.0ml/分
試料注入量:300μl
標準試料:ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量Mw=188,200)
温度:23℃。
【0026】
(有機溶媒)
セルロースエステルを溶解するドープ形成に有用な有機溶媒としては、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒がある。塩素系の有機溶媒としてメチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることが出来、セルロースエステル、特にセルローストリアセテートの溶解に適している。昨今の環境問題から非塩素系有機溶媒の使用が検討されている。非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来る。これらの有機溶媒をセルローストリアセテートに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることが出来るので好ましい。セルローストリアセテート以外のセルロースエステルに対しては、メチレンクロライドを用いることも出来るが、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましく使用される。特に酢酸メチルが好ましい。本発明において、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主有機溶媒または主たる有機溶媒という。本発明における良溶媒とは、25℃において溶媒100gに5g以上のセルロースエステルを溶解する溶媒とする。
【0027】
本発明に用いられるドープには、上記有機溶媒の他に、1質量%〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらはドープを金属支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めアルコールの比率が多くなるとウェブがゲル化し、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることが出来る。これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性も良く、且つ毒性がないこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロースエステルに対して溶解性に乏しいため、貧溶媒の範疇に入る。本発明における貧溶媒とは、25℃において溶媒100gに5g未満のセルロースエステルを溶解する溶媒とする。
【0028】
フィルム面質の向上の観点からは、ドープ中のセルロースエステルの濃度は15質量%〜40質量%に調整し、ドープ粘度は10Pa・s〜50Pa・sの範囲に調整することが好ましい。
【0029】
本発明に用いられるドープには、下記のような種々の素材を用いても良い。
【0030】
〈添加剤〉
ドープ中には、可塑剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、染料、マット剤、リターデーション上昇剤等が添加されることがあり、本発明では少なくとも二つの芳香族環からなるリターデーション上昇剤を含むことが特徴である。
【0031】
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。リターデーション上昇剤以外では、液晶画面表示装置用には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線防止剤などを添加することが好ましい。
【0032】
《リターデーション上昇剤》
本発明の位相差フィルムは、少なくとも二つの芳香族環からなる芳香族化合物を使用する。
【0033】
芳香族化合物はセルロースアセテート100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.5〜10質量部の範囲で使用することが更に好ましい。二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。
【0034】
芳香族化合物が有する芳香族環の数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、3〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類出来る(芳香族環のため、スピロ結合は形成出来ない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0035】
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
【0036】
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0037】
(c)の連結基も二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。尚、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
【0038】
−CO−O−、−CO−NH−、−アルキレン−O−、−NH−CO−NH−、−NH−CO−O−、−O−CO−O−、−O−アルキレン−O−、−CO−アルケニレン−、−CO−アルケニレン−NH−、−CO−アルケニレン−O−、−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−、−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−、−O−CO−アルキレン−CO−O−、−NH−CO−アルケニレン−、−O−CO−アルケニレン−。
【0039】
芳香族環及び連結基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
【0040】
アルキル基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
【0041】
脂肪族アシル基の炭素原子数は1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0042】
アルキルチオ基の炭素原子数は1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。リターデーション上昇剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
【0043】
本発明に係る芳香族化合物としては、下記棒状化合物、若しくは1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
【0044】
〈棒状化合物〉
本発明の光学フィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を含有することが好ましい。
【0045】
リターデーション値制御剤の機能の観点では、棒状化合物は少なくとも二つの芳香族環を有する。棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析または分子軌道計算によって求めることが出来る。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることが出来る。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。棒状化合物は、液晶性を示すことが好ましい。棒状化合物は、加熱により液晶性を示す(サーモトロピック液晶性を有する)ことが更に好ましい。液晶相は、ネマチィク相またはスメクティック相が好ましい。
【0046】
棒状化合物としては、下記一般式(1)で表されるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物が好ましい。
【0047】
一般式(1) Ar1−L1−Ar2
式(1)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子が更に好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0048】
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
【0049】
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、更に置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
【0050】
一般式(1)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、二価の飽和ヘテロ環基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。
【0051】
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが更に好ましく、2〜4であることが更にまた好ましく、2(ビニレンまたはエチニレン)であることが最も好ましい。二価の飽和ヘテロ環基は、3員〜9員のヘテロ環を有することが好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子またはゲルマニウム原子が好ましい。飽和ヘテロ環の例には、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、1,3−チアゾリジン環、1,3−オキサゾリジン環、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環及び1,3,2−ジオキサボロランが含まれる。特に好ましい二価の飽和ヘテロ環基は、ピペラジン−1,4−ジイレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイレン及び1,3,2−ジオキサボロラン−2,5−ジイレンである。
【0052】
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
【0053】
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
L−7:−O−CO−二価の飽和ヘテロ環基−CO−O−
L−8:−CO−O−二価の飽和ヘテロ環基−O−CO−
一般式(1)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。棒状化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が更に好ましい。
【0054】
一般式(2) Ar1−L2−X−L3−Ar2
一般式(2)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、一般式(1)のAr1及びAr2と同様である。
【0055】
一般式(2)において、L2及びL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが更にまた好ましく、1または2(メチレンまたはエチレン)であることが最も好ましい。L2及びL3は、−O−CO−または−CO−O−であることが特に好ましい。
【0056】
一般式(2)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレンまたはエチニレンである。以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。
【0057】
【化1】

【0058】
【化2】

【0059】
【化3】

【0060】
【化4】

【0061】
【化5】

【0062】
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。但し、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
【0063】
【化6】

【0064】
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。その為、トランス型の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、L或いはラセミ体のいずれでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。

溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成出来る。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229頁(1979年)、同89巻、93頁(1982年)、同145巻、111頁(1987年)、同170巻、43頁(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349頁(1991年)、同118巻、5346頁(1996年)、同92巻、1582頁(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420頁(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437頁(1992年)を挙げることが出来る。
【0065】
また、本発明の円盤状化合物として、1,3,5−トリアジン環を有する化合物を好ましく用いることが出来る。
【0066】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0067】
【化7】

【0068】
一般式(3)において、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−であり;R1、R2及びR3はアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であり;そして、R4、R5及びR6は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。一般式(3)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
【0069】
メラミン化合物では、一般式(3)において、X1、X2及びX3が、それぞれ、−NR4−、−NR5−及び−NR6−であるか、或いは、X1、X2及びX3が単結合であり、且つ、R1、R2及びR3が窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X1−R1、−X2−R2及び−X3−R3は、同一の置換基であることが好ましい。R1、R2及びR3は、アリール基であることが特に好ましい。R4、R5及びR6は、水素原子であることが特に好ましい。
【0070】
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
【0071】
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0072】
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
【0073】
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)またはアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
【0074】
上記アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
【0075】
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
【0076】
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
【0077】
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
【0078】
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
【0079】
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルまたは4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
【0080】
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
【0081】
1、X2またはX3が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
【0082】
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。
【0083】
複素環中のヘテロ原子は、N、SまたはO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
【0084】
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジルまたは4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
【0085】
1、X2またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
【0086】
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
【0087】
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
【0088】
【化8】

【0089】
【化9】

【0090】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定出来る。
【0091】
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
【0092】
尚、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
【0093】
【化10】

【0094】
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
【0095】
【化11】

【0096】
【化12】

【0097】
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0098】
【化13】

【0099】
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0100】
【化14】

【0101】
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
【0102】
【化15】

【0103】
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
【0104】
【化16】

【0105】
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
【0106】
【化17】

【0107】
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
【0108】
【化18】

【0109】
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
【0110】
【化19】

【0111】
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
【0112】
【化20】

【0113】
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
【0114】
【化21】

【0115】
【化22】

【0116】
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(4)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
【0117】
【化23】

【0118】
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。
【0119】
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(3)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
【0120】
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
【0121】
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
【0122】
【化24】

【0123】
MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−11:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−12:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−15:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−16:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−17:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−18:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−19:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−20:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−21:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−22:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−23:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−24:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−25:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−26:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−27:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−28:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−29:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−30:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−31:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−32:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−33:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−34:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−35:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−36:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−37:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−38:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−39:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C4H9;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−40:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−41:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−42:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−43:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−44:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−45:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−46:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−47:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−48:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−49:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−50:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0124】
【化25】

【0125】
MP−51:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−52:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−53:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−54:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−55:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−56:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−57:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−58:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−59:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−60:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−61:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−62:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−63:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−64:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−65:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−66:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−67:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−68:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−69:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−70:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−71:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−72:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−73:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−74:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−75:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−76:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−77:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−78:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−79:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−80:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−81:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−82:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−83:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−84:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−85:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−86:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−87:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−88:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−89:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−90:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−91:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−92:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−93:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−94:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−95:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−96:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−97:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−98:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−99:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−100:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0126】
【化26】

【0127】
MP−101:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−103:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−104:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−105:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−106:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−107:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−108:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−109:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−110:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−111:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−112:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−113:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−114:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−115:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−116:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−117:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−118:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−119:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−120:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−121:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−122:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−123:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−124:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−125:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−126:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−127:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−128:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−129:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−130:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−131:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−132:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−133:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−134:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−135:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−136:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−137:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−138:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−139:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−140:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−141:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−142:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−143:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−144:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−145:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−146:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−147:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−148:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−149:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−150:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0128】
【化27】

【0129】
MP−151:R13、R14、R15、R16:CH2OH
MP−152:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−153:R13、R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−154:R13、R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−155:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−156:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−157:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3
MP−158:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3
MP−159:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3
MP−160:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3
MP−161:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3
MP−162:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−163:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
MP−164:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−i−C49
MP−165:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−i−C49
MP−166:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−i−C49
MP−167:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−i−C49
MP−168:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−i−C49
MP−169:R13、R14、R16:CH2O−i−C49;R15:CH2OH
MP−170:R13、R16:CH2O−i−C49;R14、R15:CH2OH
MP−171:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−172:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−173:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−174:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49
MP−175:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O−n−C49
MP−176:R13、R14、R16:CH2O−n−C49;R15:CH2OH
MP−177:R13、R16:CH2O−n−C49;R14、R15:CH2OH
MP−178:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−179:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−180:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−181:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O−n−C49
MP−182:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49
MP−183:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O−n−C49
MP−184:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O−n−C49;R16:CH2OCH3
MP−185:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−186:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49
MP−187:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O−n−C49
MP−188:R13、R16:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH
MP−189:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−190:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−191:R13:CH2OH;R14:CH2O−n−C49;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−192:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O−n−C49;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−193:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2O−n−C49
MP−194:R13:CH2O−n−C49;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−195:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−196:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−197:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3
MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2
MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3
MP−200:R13:CH2NHCO(CH27CH=CH(CH27CH3;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマーまたはコポリマーを併用してもよい。
【0130】
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
【0131】
その他、リターデーション上昇剤としては、安息香酸フェニルエステル化合物を好ましくもちいることができる。
[安息香酸フェニルエステル化合物]
本発明に用いられる一般式(5)で表される化合物に関して詳細に説明する。
【0132】
一般式(5)
【0133】
【化28】

【0134】
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。)
一般式(5)中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表し、置換基は後述の置換基Tが適用できる。
【0135】
、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。好ましくはR、Rまたはのうちの1つが電子供与性基であり、Rが電子供与性基であることがより好ましい。
【0136】
電子供与性基とはHammetのσp値が0以下のものを表し、Chem.Rev.,91,165(1991).記載のHammetのσp値が0以下のものが好ましく適用でき、より好ましくは−0.85〜0のものが用いられる。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。
【0137】
電子供与性基として好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4である。)である。
【0138】
として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、水酸基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、最も好ましくはメトキシ基である。
【0139】
として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0140】
として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。最も好ましくはn−プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基である。
【0141】
として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
【0142】
として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
【0143】
6、、RおよびR10として好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
【0144】
は水素原子または置換基を表し、Rとして好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子である。
【0145】
一般式(5)のうちより好ましくは下記一般式(6)である。
【0146】
次に、一般式(6)で表される化合物に関して詳細に説明する。
【0147】
一般式(6)
【0148】
【化29】

【0149】
(式中R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基、またはハロゲン原子を表す。)
一般式(5)中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。
【0150】
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子を表し、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が更に置換してもよい。
【0151】
として好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基であり、更に好ましくは、炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基であり、特に好ましくは、フェニルエチニル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、n−プロポキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、シアノ基である。
【0152】
一般式(6)のうちより好ましくは下記一般式(6−A)である。
【0153】
一般式(6−A)
【0154】
【化30】

【0155】
(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子を表す。R11は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
一般式(6−A)中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ一般式(6)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0156】
一般式(6−A)中、R11は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R11で表されるアルキル基は直鎖でも分岐があってもよく、また更に置換基を有してもよいが、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6アルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。)である。
【0157】
一般式(6)のうちより好ましくは下記一般式(6−B)である。
【0158】
一般式(6−B)
【0159】
【化31】

【0160】
(式中、R、R、R、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に水素原子、または置換基を表す。Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基、カルボニル基またはハロゲン原子を表す。R11は炭素数1〜12のアルキル基を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
一般式(6−B)中、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は一般式(6−A)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0161】
一般式(6−B)中、R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、更に好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0162】
一般式(6−B)のうち好ましくは下記一般式(7)または(6−C)である。
【0163】
一般式(7)
【0164】
【化32】

【0165】
(式中、R、R、R、R11およびR12は一般式(6−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。Xは炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基を表す。)
一般式(7)中、Xは炭素数2〜7のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシルアミノ基、シアノ基を表し、好ましくは、フェニルエニチル基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、ベンゾイルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基であり、より好ましくは、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
【0166】
以下一般式(6−C)に関して説明する。
【0167】
一般式(6−C)
【0168】
【化33】

【0169】
(式中、R、R、R、は一般式(6−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様だが、いずれか1つは−OR13で表される基である(R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)。R、R、R、R、R10、R11およびR12は一般式(6−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。)
一般式(6−C)中、R、RおよびRは一般式(6−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様だが、いずれか1つは−OR13で表される基であり(R13は炭素数1〜4のアルキル基である。)、好ましくはR、Rが−OR13で表される基であり、より好ましくはRが−OR13で表される基である。
【0170】
13は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
【0171】
一般式(6−C)のうち更に好ましくは一般式(6−D)である。
【0172】
一般式(6−D)
【0173】
【化34】

【0174】
(式中、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は一般式(6−C)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R14は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
14は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
【0175】
一般式(6−D)のうち好ましくは下記一般式(6−E)である。
【0176】
一般式(6−E)
【0177】
【化35】

【0178】
(式中、R、R11、R12およびR14は一般式(6−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R20は水素原子または置換基を表す。)
20は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。またR20は直接連結したベンゼン環のどの位置に置換してもよいが、R20が複数存在することはない。R20として好ましくは水素原子または置換基のすべての原子数から水素を除いた構成原子数が4以下の置換基であり、より好ましくは水素原子または置換基のすべての原子数から水素を除いた構成原子数が3以下の置換基であり、更に好ましくは水素原子または置換基のすべての原子数から水素を除いた構成原子数が2以下の置換基であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基、メトキシ基、ハロゲン原子、ホルミル基、シアノ基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0179】
以下に前述の置換基Tについて説明する。
【0180】
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ
、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、
アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0181】
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0182】
以下に一般式(5)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
【0183】
【化36】

【0184】
【化37】

【0185】
【化38】

【0186】
【化39】

【0187】
【化40】

【0188】
【化41】

【0189】
【化42】

【0190】
【化43】

【0191】
本発明一般式(5)で表される化合物は置換安息香酸とフェノール誘導体の一般的なエステル反応によって合成でき、エステル結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体を脱水縮合する方法などがあげられる。
【0192】
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法が好ましい。
【0193】
反応溶媒として炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
【0194】
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
【0195】
本反応には塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
【0196】
《可塑剤》
本発明に用いられるドープには、いわゆる可塑剤として知られる化合物を、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水蒸気透過率低減、リターデーション調整等の目的で添加することが好ましく、例えばリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましく用いられる。また、特願2001−198450に記載の重量平均分子量が500以上10,000であるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーなども好ましく用いられる。リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることが出来る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、トリメチロールプロパントリベンゾエート等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレート等を2種以上混合して使用してもよい。
【0197】
これらの化合物の添加量は目的の効果の発現及びフィルムからのブリードアウト抑制などの観点から、セルロースエステルに対して1質量%〜20質量%が好ましい。また、延伸及び乾燥中の加熱温度が200℃程度まで上がるため、可塑剤としてはブリードアウトを抑制させるためには、200℃における蒸気圧が1333Pa以下のものであることが好ましい。
【0198】
《紫外線吸収剤》
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることが出来るが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、特開平8−337574号記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
【0199】
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−teRt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−teRt−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−teRt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−teRt−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−teRt−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−teRt−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用出来る。
【0200】
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
【0201】
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、ドープ中で紫外線吸収剤が溶解するようなものであれば制限なく使用出来るが、本発明においては紫外線吸収剤をメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソランなどのセルロースエステルに対する良溶媒、または良溶媒と低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)のような貧溶媒との混合有機溶媒に溶解し紫外線吸収剤溶液としてセルロースエステル溶液に混合してドープとする方法が好ましい。この場合出来るだけドープ溶媒組成と紫外線吸収剤溶液の溶媒組成とを同じとするか近づけるのが好ましい。紫外線吸収剤の含有量は0.01質量%〜5質量%、特に0.5質量%〜3質量%である。
【0202】
《酸化防止剤》
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10ppm〜1000ppmが更に好ましい。
【0203】
《マット剤》
本発明において、マット剤をセルロースエステルフィルム中に含有させることによって、搬送や巻き取りをし易くすることが出来る。マット剤は出来るだけ微粒子のものが好ましく、微粒子としては、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を挙げることが出来る。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さく出来るので好ましい。
【0204】
二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。
【0205】
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きく、反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は0.05μm〜1.0μmの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は5nm〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7nm〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に0.01μm〜1.0μmの凹凸を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエステルに対して0.005質量%〜0.3質量%が好ましい。
【0206】
二酸化ケイ素の微粒子としては日本アエロジル(株)製のアエロジル(AEROSIL)200、200V、300、R972、R972V、R974、R202、R812、OX50、TT600等を挙げることが出来、好ましくはアエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812である。これらの微粒子は2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することが出来る。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えばアエロジル200VとR972Vを質量比で0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲で使用出来る。
【0207】
配向層や液晶層を塗設する場合、マット剤の凸凹により配向が阻害される場合は、一方の面の表層のみにマット剤を含有させることが出来る。或いは、これらのマット剤とセルロースエステルを含む(ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなど)塗布液を塗設して摩擦係数を低減し、滑り性を改善することも出来る。
【0208】
《その他の添加剤》
この他カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加える場合がある。
【0209】
(b)流延工程:ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、無限に移送する無端の金属ベルト、例えばステンレスベルト、或いは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイからドープを流延する工程である。金属支持体の表面は鏡面となっている。その他の流延する方法は流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。
【0210】
(c)溶媒蒸発工程:ウェブ(金属支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を金属支持体上で加熱し金属支持体からウェブが剥離可能になるまで溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率の点で好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
【0211】
製膜速度を上げるため、金属支持体上でのウェブ温度を上げる方法が有効である。但し、過剰な熱供給はウェブに含まれる溶媒によりウェブ内部からの発泡を引き起こすため、ウェブの組成により好ましい乾燥速度が規定される。また、製膜速度を上げるためベルト状の金属支持体の上に流延を行う方法も好ましく用いられる。ベルト状の支持体を用いて流延を行う場合、ベルト長を長くすることにより流延速度を増加させることが出来る。但し、ベルト長の拡大はベルト自重によるたわみを助長する。このたわみは製膜の際に振動を引き起こし、流延時の膜厚を不均一にさせるため、ベルト長さとしては、40m〜120mであることが好ましい。
【0212】
(d)剥離工程:金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に金属支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
【0213】
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)としてゲル流延法(ゲルキャスティング)がある。
【0214】
それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、金属支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。金属支持体上でゲル化させ剥離時の膜の強度を上げておくことによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るのである。
【0215】
本発明においては、該金属支持体上の剥離位置における温度を10℃〜40℃に調整することが好ましく、更に好ましくは、15℃〜30℃に調整することである。また、剥離位置におけるウェブの残留溶媒量を5質量%〜120質量%とすることが好ましい。本発明においては、残留溶媒量は前記一般式(1)で表すことが出来る。
【0216】
ベルト状支持体上に製膜する場合、速度の上昇は上述のベルト振動を助長する。剥離時の残留溶媒量及びベルト長さなどを考慮すると、製膜速度としては、10m/分〜120m/分が好ましく、15m/分から60m/分が更に好ましい。
【0217】
本発明において、ウェブ全幅に対する残留溶媒量を平均残留溶媒量、或いは中央部の残留溶媒量ということがあり、またウェブの両端部の残留溶媒量というように局部的な残留溶媒量をいう場合もある。
【0218】
(e)乾燥工程:剥離後、一般には、ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。全体を通して、通常乾燥温度は30〜250℃の範囲で行われる。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組み合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
【0219】
本発明において、工程D0とは、流延されたフィルムを剥離したのち、テンター部分まで搬送を行う工程をあらわす。工程D0では、延伸時のフィルム残留溶媒量をコントロールする目的で、温度をコントロールすることが好ましい。工程D0でのフィルム残留溶媒量にもよるが、搬送方向(以下、長手方向)への延伸が起こりにくく残留溶媒量を調整する意図で、20℃〜70℃が好ましく、更に好ましくは、20℃〜68℃であり、特に好ましくは、20℃〜40℃である。
【0220】
工程D0において、フィルムの均一性を高める観点から、フィルム面内でありフィルム搬送に対して垂直な方向(以下、幅手方向)でのフィルム雰囲気温度分布として好ましい範囲が存在する。工程D0での温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好まく、±1℃以内が最も好ましい。
【0221】
工程D0でのフィルム搬送張力としては、支持体からの剥離条件及び工程D0での搬送方向の伸びを防止する観点から、下記に示すような好ましい条件が存在する。
【0222】
(工程D0でのフィルム搬送張力)
工程D0でのフィルム搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D0での温度などに影響を受けるが、30N/m〜300N/mが好ましく、更に好ましくは、57N/m〜284N/mであり、特に好ましくは、57N/m〜170N/mである。
【0223】
工程D0での搬送方向へフィルムの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。
【0224】
工程D0での良溶媒及び貧溶媒の比率はフィルム搬送に対しての伸びを防止する意味で好ましい範囲が規定される。工程D0終点での貧溶媒質量/(良溶媒質量+貧溶媒質量)×100(%)としては、95質量%〜15質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは、95質量%〜25質量%であり、特に好ましくは、95質量%〜30質量%である。
【0225】
(f)延伸工程(テンター工程ともいう)
本発明に係る延伸工程(テンター工程ともいう)について図2を用いて説明する。

図2において、工程Aでは、図示されていないフィルム搬送工程D0から搬送されてきたフィルムを把持する工程であり、次の工程Bにおいて、後述する図1に示すような延伸角度でフイルムが幅手方向(フィルムの進行方向と直交する方向)に延伸され、工程Cにおいては、延伸が終了し、フィルムが把持されたまま搬送される工程である。
【0226】
本発明の位相差フィルムは、本発明に係る延伸処理を行い下記式(I)で示されるRoが20〜300nmの範囲であり、式(II)で示されるRtが70〜400nmの範囲にあるセルロースエステルフィルムである。
【0227】
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d〔式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕
即ち、本発明の位相差フィルムは、請求項1では最大延伸時の応力が破断点応力に対し50〜98%の範囲で延伸することを特徴とする。
【0228】
最大延伸時の応力は、フィルムを把持するテンターのクリップ部分にロードセルを取り付ける等の方法で測定する事が出来る。本発明では、最大延伸時における応力を以下の手順で設定する。第一に幅手方向へのフィルム延伸倍率を増やしていき、フィルムが破断した時の荷重を測定する。この測定で得られた値を破断点応力とした。次に、第一の測定で得られた荷重をもとにテンターの延伸倍率を無延伸状態から上げていき、最大延伸時の荷重が第一の測定で得られた値に対して本発明の範囲に収めるようにフィルム延伸倍率を設定する。
【0229】
フィルムを幅手方向に延伸する際に、延伸過程を2段階以上の複数回に渡って逐次延伸することや、延伸の速度を連続的に変化させることも出来る。2段階以上の逐次延伸の場合、各段階においていずれかの延伸過程における最大延伸時の応力が破断点応力に対して50〜98%であることが好ましい。また、各段階すべてにおいて最大延伸時の応力が破断点応力に対して50〜98%の範囲であることが最も好ましい。延伸の速度を連続的に変化させ最大延伸時の応力を調整することも好ましく行われる。この場合、最大延伸時の応力以外にも延伸の途中段階での最大応力が測定される時点での延伸応力が、破断点応力に対して50〜98%の範囲に調整されることが好ましい。
【0230】
破断点応力に対し最大延伸時の応力が50%未満の力で延伸した場合は、位相差が出ないか若しくは上記リターデーション値の幅方向でのばらつきが大きくなり、逆に98%を超えた力で延伸した場合はヘイズが出やすい。
【0231】
具体的には、破断点応力に対し60〜95%の範囲で制御することが好ましく、70〜95%の範囲で制御する事がさらに好ましく、80〜95%の範囲で制御することが最も好ましい。
【0232】
請求項1では、最大延伸時の応力絶対値が5〜50MPaの範囲で延伸することを特徴とする。
【0233】
最大延伸時の応力絶対値は上述の荷重測定方法と延伸時のフィルム厚み、クリップ間距離から算出することができる。最大延伸時の荷重をフィルム厚みおよびクリップ間距離で除した値を最大延伸時の応力絶対値とし、MPa単位で表した。
【0234】
フィルムを幅手方向に延伸する際に、延伸過程を2段階以上の複数回に渡って逐次延伸することや、延伸の速度を連続的に変化させることも出来る。2段階以上の逐次延伸の場合、各段階においていずれかの延伸過程における最大延伸時の応力絶対値が5〜50MPaの範囲でであることが好ましい。また、各段階すべてにおいて最大延伸時の応力絶対値が5〜50MPaの範囲であることが最も好ましい。延伸の速度を連続的に変化させ最大延伸時の応力絶対値を調整することも好ましく行われる。この場合、最大延伸時の応力以外にも延伸の途中段階での最大応力が測定される時点での延伸応力絶対値が、5〜50MPaの範囲に調整されることが好ましい。最大延伸時の応力絶対値が5MPa未満の場合は、位相差が出ないか若しくは上記リターデーション値の幅方向でのばらつきが大きくなり、50MPaを超えるとこれもリターデーション値の幅方向でのばらつきが大きくなったり、条件によっては破断が発生する。
【0235】
具体的には、最大延伸時の応力絶対値が、10〜40MPaの範囲で制御することが好ましく、15〜30MPaの範囲で制御する事がさらに好ましく、18〜25MPaの範囲で制御することが最も好ましい。
【0236】
請求項1では、最大延伸時の応力勾配が0.4〜0.8MPa/%の範囲で延伸することを特徴とする。最大延伸時の応力勾配とは、幅手方向にフィルムを延伸する際に、フィルムを把持するクリップ部分にロードセルを取り付け経時での荷重を測定し、さらに、その時の延伸倍率及びフィルム厚さを測定することにより求めることが出来る。具体的には、X軸に延伸倍率(%)、Y軸に延伸時加重(MPa)をとりその傾きから求めることが出来る。
【0237】
フィルムを幅手方向に延伸する際に、延伸過程を2段階以上の複数回に渡って逐次延伸することや、延伸の速度を連続的に変化させることも出来る。2段階以上の逐次延伸の場合、各段階においていずれかの延伸過程における最大延伸時の応力勾配が0.4〜0.8MPa/%の範囲でであることが好ましい。また、各段階すべてにおいて最大延伸時の応力勾配が5〜50MPaの範囲であることが最も好ましい。延伸の速度を連続的に変化させ最大延伸時の応力勾配を調整することも好ましく行われる。この場合、最大延伸時の応力勾配以外にも降伏点を越えた延伸区間において、途中段階での最大応力が測定される時点での延伸応力絶対値が、0.4〜0.8MPa/%の範囲に調整されることが好ましい。
【0238】
最大延伸時の応力勾配が0.4MPa/%未満であると、位相差が出ないか若しくは上記リターデーション値の幅方向でのばらつきが大きくなり、0.8MPa/%を超えるとこれもリターデーション値の幅方向でのばらつきが大きくなる。
【0239】
具体的には、最大延伸時の応力勾配が、0.45〜0.75MPa/%の範囲で制御することが好ましく、0.45〜0.7MPa/%の範囲で制御する事がさらに好ましく、0.45〜0.55MPa/%の範囲で制御することが最も好ましい。
【0240】
破断点応力は、延伸するフィルムの素材、延伸時、温度、延伸速度、テンター内での乾燥風量(制圧)等の延伸条件により調整が可能である。
【0241】
延伸するフィルムの素材としてセルロースエステルを選択した場合、セルロースエステルの分子間水素結合性の影響が大きく、その効果を弱める要素は破断点応力を下げる傾向がある。具体的には、セルロースエステルの総置換度が高く、XとYの比率においてY比率が高く、分子量が低く、破断点応力は低くなる傾向がある。添加剤としては、水素結合性を持ちうる部位を持ち、分子間力を弱める要素は破断点応力を大きく下げる傾向がある。また、セルロースエステル分子の間に入り込み分子間距離を伸ばす嵩高い添加剤も破断点応力を下げる傾向がある。
【0242】
有機溶媒としては、延伸時にフィルムに含まれる溶媒量の増加、貧溶媒比率が減少すると破断点応力は低下する傾向がある。
【0243】
また、延伸条件としては延伸温度が高く、延伸速度が遅いほうが破断点応力は小さくなる傾向がある。これらの要素により本発明は達成することが出来る。
【0244】
延伸時の応力は、フィルム延伸時の温度、フィルム中の残留溶媒量、フィルム延伸倍率、フィルムの延伸速度、テンター中での乾燥風量(静圧)等により制御することが出来る。上記した破断点応力の調整要素を制御し、かつ最大延伸時の調整要素を制御することにより本発明は達成することができる。効率の良い位相差発現のためには、比較的低温度、低残留溶媒量での延伸が好ましい。しかしながら、この様な条件では、比較的低延伸倍率、低風量での延伸となりフィルムは幅手方向で位相差ムラが発生し易く、均一性に悪影響を及ぼす。また、フィルムの位相差均一性を重視すると比較的高温、高残留溶媒量、高風量での延伸条件となり、このような条件では位相差の発現効率が落ち問題となる。このことから、本発明では上記条件を適宜調整し、最大延伸時の応力、最大延伸時の応力と破断点応力、最大延伸時の応力勾配を制御することにより、均一性にすぐれた位相差フィルムを得ることが出来た。
【0245】
(セルロースエステルフィルムのリターデーション(Ro、Rt)特性)
前記したように、本発明のセルロースエステルフィルムのフィルムの面内方向のリターデーション(Ro)としては20nm〜300nmの範囲が好ましく、更に好ましくは、30nm〜200nmの範囲であり、特に好ましくは、40nm〜150nmがであり、最も好ましくは、40nm〜75nmの範囲である。
【0246】
また、同上の理由で、本発明にセルロースエステルフィルムのフィルムの厚み方向のリターデーション(Rt)としては、70nm〜1000nmの範囲が好ましく、更に好ましくは、70nm〜500nmの範囲であり、特に好ましくは、70nm〜250nmの範囲である。
【0247】
また、セルロースエステルフィルムを幅手方向に延伸する際に、幅手方向での配向角分布をある範囲に制御しながら延伸する事が特に好ましい。配向角が幅手方向の何れの測定点においても、測定点すべての平均配向角の角度から±2°以内が好ましく、±1°がより好ましく、±0.5°が最も好ましい。
【0248】
(配向角)
本発明において、配向角とはセルロースエステルフィルム面内における遅相軸の方向(流延製膜時の幅手方向に対する角度)を表し、また、配向角の測定は、自動複屈折計KOBURA−21ADHを用いて行った。
【0249】
幅手延伸したセルロースエステルフィルムの配向角が乱れることは、フィルムの長手方向に意図しない延伸が起こったことが原因の一つであると考えられる。長手方向に意図しない延伸が行われると、長手方向に遅相軸を持つ面内リターデーションを持ち、更にフィルムの厚み方向のリターデーションをも上昇させ、配向角分布を劣化させる。このフィルムを幅手方向に遅相軸を持つ面内リターデーションを持たせるには、前述の長手方向に遅相軸をもつ面内リターデーションをキャンセルする必要が生ずるため、更にフィルム厚み方向のリターデーション上昇を引き起こす。従って、配向角を均一に制御することにより面内、及び厚み方向のリターデーションを均一にすることができる。
【0250】
(セルロースエステルフィルムのリターデーション分布)
液晶ディスプレーの視野角拡大機能を持たせるためには、液晶セル内の液晶部材に合わせて好適なリタデーション範囲がある。本発明のセルロースエステルフィルムのフィルムの面内方向のリターデーション(Ro)としては20nm〜300nmの範囲が好ましく、更に好ましくは、30nm〜200nmの範囲であり、特に好ましくは、40nm〜150nmがであり、最も好ましくは、40nm〜75nmの範囲である。
【0251】
また、同上の理由で、本発明にセルロースエステルフィルムのフィルムの厚み方向のリターデーション(Rt)としては、70nm〜400nmの範囲が好ましく、更に好ましくは、70nm〜300nmの範囲であり、特に好ましくは、70nm〜200nmの範囲である。
【0252】
位相差測定は以下の手順で行った。まずアッベの屈折率計により試料の平均屈折率を求めた。さらに、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、試料を遅相軸を軸として傾斜させその時の光量から位相差を測定した。ここで得られた位相差を用いてフィルム面内方向のリタデーション(Ro)および膜厚方向のリタデーション(Rt)を計算により算出した。
【0253】
(セルロースエステルフィルムのリターデーション分布)
本発明においては、セルロースエステルフィルムの面内方向のリターデーション(Ro)分布を好ましくは5%以下に調整し、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。また、フィルムの厚み方向のリターデーション(Rt)分布を好ましくは10%以下に調整し、更に好ましくは2%以下であり、特に好ましくは1.5%以下である。
【0254】
上記、リターデーション分布の数値は、得られたフィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。測定には自動複屈折計KOBURA・21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、試料の幅手方向に1cm間隔で3次元複屈折率測定を行った。得られた面内および厚み方向のリターデーションをそれぞれ(n−1)法による標準偏差をもとめた。リターデーション分布は以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とした。実際の測定にあたっては、nとしては、130〜140に設定した。
【0255】
変動係数(CV)=標準偏差/リターデーション平均値
(セルロースエステルフィルムのヘイズ値)
液晶ディスプレイ用に使用される位相差フィルムは、バックライトを効率的に利用する観点、および表示の鮮明さの観点から低ヘイズであることが望まれる。延伸終了後のフィルムヘイズ値は2%以内が好ましく、1.5%以内がより好ましく、1%以内がもっとも好ましい。
【0256】
JIS K−6714に従って、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定し、透明性の指標とした。
【0257】
(位相差フィルムの残留溶媒量)
残留溶媒を含んだサンプルから、残留溶媒を減圧捕集し、ガスクロマトグラフィー測定により各溶媒の定量を行った。
【0258】
(ケン化処理後接触角)
試料を2.5M−NaOHに50℃、2.5分処理、続いて純水により2.5分洗浄を行った。処理後の試料を温度23℃、相対湿度55%条件で24H調湿し、共和界面科学株式会社製接触角計CA−D型を用いて測定した。
【0259】
本発明の位相差フィルム(位相差板ともいう)について説明する。
【0260】
本発明のセルロースエステルフィルムは、それ自身で液晶表示装置の視野角を拡大する位相差フィルム(位相差板ともいう)として使用することが出来る。また、本発明の位相差フィルム上に直接またはその他の層を介して、光学異方性化合物を含む光学異方性を設け、光学補償シートが得ることが出来る。
【0261】
本発明の偏光板、それを用いた本発明の液晶表示装置について説明する。
【0262】
本発明の偏光板に用いる偏光子としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理して配向させたものを用いる。こうして得られた偏光子を、セルロースエステルフィルムによりラミネートする。
【0263】
そして、偏光板は、本発明の位相差フィルムを偏光子の少なくとも片側に積層したものとして構成される。
【0264】
本発明の位相差フィルムは偏光板保護フィルムとしても好ましく用いることが出来る。ポリビニルアルコールを用いた偏光子を用いる場合、接着性の観点から本発明の位相差フィルムはセルロースエステルであることが特に好ましい。この様にして得られた偏光板が、液晶セルのセル側一面に設けても良く、両面側に設けてもよい。いずれの場合においても、本発明の位相差フィルムは偏光子に対して液晶セルに近い方に貼りつけて、本発明の液晶表示装置が得ることが出来る。
【0265】
本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することが出来る。本発明の位相差フィルムは反射型、透過型、半透過型LCD或いはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。
【0266】
液晶表示装置に本発明の光学補償フィルムを設置する場合、駆動用液晶セルの両側に位置する一対の基板の上下に配置された上側偏光子と下側偏光子が通常構成されるが、このとき該基板と上側もしくは下側偏光子のどちらか一方の間、または該基板と上側および下側偏光子のそれぞれ間に本発明の光学補償フィルムを少なくとも1枚設置されるが、低コスト化の観点と本発明の目的を効果的に発現させるためには、表示装置とした場合の観察者側の偏光子と駆動セル側との基板の間に本発明の光学補償フィルムを1枚設置することが好ましい。
【0267】
液晶表示装置が特にツイステッドネマティック型(TN型)液晶表示装置である場合、TN型液晶セルに最も近い基板に前記光学補償フィルムのセルロースエステルフィルム支持体面が接触する方向に位相差フィルムを貼合し、かつ位相差フィルムの最大屈折率方向が前記液晶セルに最も近い基板のネマティック液晶の配向方向と実質的に直交した方向に貼合することが本発明の目的を効果的に発現できる。実質的に直交とは、90°±5°であるが、90°にすることが好ましい。
<<液晶セル反り量>>
液晶表示装置は液晶セルと偏光板を貼合した構成を含む。熱や湿度等の環境変動の影響、またさらにはこれらの影響による経時での影響により寸法変化を起こす。これにより液晶セルは偏光板から応力を受けることになる。偏光板からの応力は液晶セルに伝播し液晶セルのギャップに変化を与え表示の均一性に問題を与える。本発明では、上記の偏光板保護フィルムの製造方法およびリターデーション上昇剤の種類を選択することにより、この問題を解決することが出来た。リターデーション上昇剤としては安息香酸フェニルエステル化合物、1,3,5,-トリアジン環を有する化合物、トランス-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物が好ましい。
(反り量の測定)
各偏光板を、吸収軸角度45°となるように、234mm×310mmの大きさに切断した。各偏光板と厚み0.7mmのガラス板(250mm×350mm)とをアクリル系粘着剤を介してに貼り合わせ、評価用の積層体を作製した。そして、前記各積層体に、60℃90%RHで24時間加熱処理を施した後、前記積層体を、平滑で水平な測定台に置き、前記積層体の4角における前記測定台に対する反り量(mm)、つまり、前記積層体の4角が前記測定台からどれだけ離れているか(空間距離)を測定した。前記4角における反り量のうち最も大きい値を最大反り量(mm)とした。
また、実施例での評価結果について以下のように◎、○、△、×で示した。
◎:3mm未満
○:3mm以上4mm未満
△:4mm以上5mm未満
×:5mm以上
【実施例】
【0268】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0269】
実施例1
(位相差フィルムの作製)
(ドープ組成)
最初に実施例で用いるセルロースエステルフィルムのドープ組成について示す。
【0270】
セルロースエステル:アセチル基置換度2.71 100質量部
リターデーション上昇剤:スミソルブTM165F(住友化学製) 1質量部
溶媒:メチレンクロライド 300質量部
エタノール 28質量部
可塑剤:トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
紫外線吸収剤:
Ti326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.3質量部
Ti109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5質量部
Ti171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル(株)製) 0.2質量部
上記組成のドープ液を加圧溶解タンクに投入し、加熱、攪拌しながら完全に溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
【0271】
次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離の際に張力をかけて縦(MD)延伸倍率が1.0倍となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.25倍となるように延伸した。その際下記実施例の条件になるように延伸した後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.5m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚80μmの位相差フィルム1〜8を作製した。
【0272】
上記幅手(TD)方向へ延伸する際に、最大延伸時応力/破断点応力:A(%)を下記表1に示す条件に変更し、作製した位相差フィルムについて、ヘイズ、リターデーションRo、Rtばらつきを評価した。
【0273】
〈評価〉
(ヘイズ)
上記作製した位相差フィルムについて、フィルム試料1枚をJIS K−6714に従って、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を使用して測定し、以下のようにヘイズをランク分けし評価する。
【0274】
◎:ヘイズ1%未満
○:ヘイズ1%以上1.5%未満
△:ヘイズ1.5%以上2%未満
×:ヘイズ2%以上。
【0275】
(リターデーションRo、Rtばらつき)
得られたフィルムの幅手方向に1cm間隔でリターデーションを測定し、得られたリターデーションの変動係数(CV)で表したものである。測定には自動複屈折計KOBURA・21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、試料の幅手方向に1cm間隔で3次元複屈折率測定を行った。得られた面内および厚み方向のリターデーションをそれぞれ(n−1)法による標準偏差をもとめた。リターデーション分布は以下で示される変動係数(CV)を求め、指標とした。実際の測定にあたっては、nとしては、130〜140に設定した。
【0276】
変動係数(CV)=標準偏差/リターデーション平均値
◎:ばらつきが(CV)が1.5%未満
○:ばらつき(CV)が1.5%以上5%未満
△:ばらつき(CV)が5%以上、10%未満
×:ばらつき(CV)が10%以上
【0277】
【表1】

【0278】
上表から、本発明の位相差フィルム2〜7は、ヘイズ、リターデーションRo、Rtのばらつきが比較例に対し良好なことが分かる。
【0279】
実施例2
実施例1で用いたセルロースエステルをアセチル基置換度2.73、プロピオニル基置換度0.2のものに変更し、かつ延伸条件を下記に変更した以外は同様にして位相差フィルム9〜17を作製した。
【0280】
幅手(TD)方向へ延伸する際に、最大延伸時応力絶対値:B(MPa)を下記表2に示す条件に変更し、作製した位相差フィルムについて、ヘイズ、リターデーションRo、Rtばらつきを評価した。
【0281】
【表2】

【0282】
上表から、本発明の位相差フィルム10〜16は、ヘイズ、リターデーションRo、Rtのばらつきが比較例に対し良好なことが分かる。
【0283】
実施例3
実施例1で用いたセルロースエステルをアセチル基置換度2.78のものに変更し、更にリターデーション上昇剤量を1.5質量部に変更し、かつ延伸条件を下記に変更した以外は同様にして位相差フィルム18〜25を作製した。
【0284】
幅手(TD)方向へ延伸する際に、最大延伸時の応力勾配:C(MPa/%)を下記表3に示す条件に変更し、作製した位相差フィルムについて、ヘイズ、リターデーションRo、Rtばらつきを評価した。
【0285】
【表3】

【0286】
上表から、本発明の位相差フィルム19〜24は、ヘイズ、リターデーションRo、Rtのばらつきが比較例に対し良好なことが分かる。
【0287】
実施例4
実施例1で用いたセルロースエステルをアセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.82のものに変更し、更にリターデーション上昇剤量を0.5質量部に変更し、かつ延伸条件を下記に変更した以外は同様にして位相差フィルム26、27を作製した。
【0288】
幅手(TD)方向へ延伸する際に、最大延伸時応力/破断点応力:A(%)、最大延伸時応力絶対値:B(MPa)、最大延伸時の応力勾配:C(MPa/%)を下記表4に示す条件に変更し、作製した位相差フィルムについて、ヘイズ、リターデーションRo、Rtばらつきを評価した。
【0289】
また、位相差フィルム26、27のリターデーション値はRoが各々57、55であり、Rtが各々148、126であった。
【0290】
【表4】

【0291】
上表から、本発明の位相差フィルム27は、ヘイズ、リターデーションRo、Rtのばらつきが比較例に対し著しく良好なことが分かる。
【0292】
実施例5
《偏光板の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
【0293】
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と前記位相差フィルム26、27、裏面側のセルロースエステルフィルムを貼り合わせて偏光板を作製した。裏面側の偏光板保護フィルムには市販のセルロースエステルフィルムであるコニカミノルタタックKC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)を用いてそれぞれ偏光板とした。
【0294】
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した前記位相差フィルムを得た。
【0295】
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
【0296】
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した位相差フィルムの上にのせて積層した。
【0297】
工程4:工程3で積層した位相差フィルム試料と偏光膜とセルロースエステルフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
【0298】
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜とセルロースエステルフィルムと位相差フィルムとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板を作製した。位相差フィルム26、27をそれぞれ用いて、偏光板26、27を作製した。
【0299】
《液晶表示装置の作製》
視認性評価を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
【0300】
富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板26、27をそれぞれ液晶セルのガラス面に貼合した。
【0301】
その際、その偏光板の貼合の向きは、上記位相差フィルムの面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置26、27を各々作製した。
【0302】
得られた液晶表示装置について、目視観察にて視認性を評価したところ、本発明の液晶表示装置27は均一性に富み視認性が優れていたの対し、比較例の液晶表示装置26は色ムラが多く観察され視認性が不良であった。
【0303】
実施例6
(ドープの作成)
以下にセルロースエステルフィルムのドープ組成について示す。
セルロースエステル:アセチル基置換度2.81 100質量部
リタデーション上昇剤:一般式(5)化合物(A−2) 1.9質量部
溶媒:メチレンクロライド 300質量部
エタノール 28質量部
可塑剤:トリフェニルフォスフェート 8質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
紫外線吸収剤:
Ti326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.3質量部
Ti109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5質量部
Ti171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5質量部
マット剤:R972V(日本アエロジル(株)製) 0.2質量部
上記のドープ液を使用して実施例1と同様にして棒状液晶+置換度2.8のセルロースエステル28から55を作成した。また、実施例5と同様にしてセルロースエステル28から55を用いた偏光板28〜55を作成した。
得られたセルロースエステルおよび偏光板とそれぞれの作成条件および評価結果を表5にまとめて記載する。
【0304】
【表5】

【0305】
表5に示されるように本発明の位相差フィルムはヘイズ、リターデーションRo、Rtのバラつき、反り量が比較例に対して良好なことが判る。
また、反り量の評価で良好な結果が得られた試料は液晶表示装置にしたときの表示均一性についても特に優れた効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0306】
【図1】延伸工程での延伸角度を説明する図である。
【図2】本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの芳香族環からなるリターデーション上昇剤を0.1〜15質量%含み、かつ延伸処理を行い下記式(I)で示されるRoが20〜300nmの範囲であり、式(II)で示されるRtが70〜400nmの範囲である位相差フィルムの製造方法であって、下記(1)〜(3)の製造条件のうち少なくとも一つの条件をとることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
(1)最大延伸時の応力が破断点応力に対し50〜98%の範囲で延伸すること
(2)最大延伸時の応力絶対値が5〜50MPaの範囲で延伸すること
(3)最大延伸時の応力勾配が0.4〜0.8MPa/%の範囲で延伸すること
式(I) Ro=(nx−ny)×d
式(II) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d〔式中、nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。〕
【請求項2】
前記位相差フィルムがセルロースエステルを主成分として含むことを特徴とする請求1に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記セルロースエステルの総アシル基置換度が2.7〜2.95の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の位相差フィルムの製造方法であって、前記セルロースエステルを溶媒に溶解し、金属支持体上に流延を行った後、該支持体からフィルムを剥離後、フィルムの延伸を行う際に、延伸方向が流延製膜方向に対して直交していることを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする位相差フィルム。
【請求項6】
請求項5に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする偏光板。
【請求項7】
請求項6に記載の偏光板を有することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−154760(P2006−154760A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271997(P2005−271997)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】