説明

位置保持装置

【課題】本発明は、位置が決まったワークの位置を保持できる位置保持装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る位置保持装置は、ワークを支持する支持部材と、所定の位置に固定された固定部材と、前記支持部材及び前記固定部材の中の一方に固定される第一電磁クラッチと、前記支持部材及び前記固定部材の中の他方に固定され且つ前記第一電磁クラッチに対向される吸着部材と、を備え、前記第一電磁クラッチに通電して前記吸着部材を吸着することによって、前記支持部材が前記固定部材に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置保持装置に関するものである。
【0002】
液晶表示装置又はタッチパネルの製造過程において、一般的に真空貼合設備を使用して、2枚のガラス板を貼り合せる。真空貼合設備において、通常画像生成システム及びX−Y−θの方位における自動位置校正システムを採用して、貼り合せられる2枚のガラス板の位置を精確に校正する。前記校正過程において、X軸及びY軸に沿ってガラス板を移動するだけでなく、θ角方向に沿ってガラス板を転動することにより、前記2枚のガラス板の位置を精確に合わせる。
【0003】
しかし、従来の真空貼合設備は、後続の作業において、位置を合わせたワークを保持することができず、依然に画像生成システム及びX−Y−θの方位における自動位置校正システムを通してワークの位置を決めるので、後続の作業が不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、位置が決まったワークの位置を保持できる位置保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題を解決するために、本発明に係る位置保持装置は、ワークを支持する支持部材と、所定の位置に固定された固定部材と、前記支持部材及び前記固定部材の中の一方に固定される第一電磁クラッチと、前記支持部材及び前記固定部材の中の他方に固定され且つ前記第一電磁クラッチに対向される吸着部材と、を備え、前記第一電磁クラッチに通電して前記吸着部材を吸着することによって、前記支持部材が前記固定部材に固定される。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る位置保持装置において、固定部材、第一電磁クラッチ及び吸着部材を設置して、支持部材の位置を校正してから、前記第一電磁クラッチに通電して前記吸着部材を吸着することによって、前記支持部材を、位置が固定されている固定部材に固定し、従って前記支持部材の位置が固定されて、後続の作業が便利になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第一実施形態に係る位置保持装置の斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る位置保持装置の分解図である。
【図3】図1に示した位置保持装置のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3に示した位置保持装置の他の状態を示す図である。
【図5】図1に示した位置保持装置が真空貼合設備に採用される時の断面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る位置保持装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本発明に係る位置保持装置について詳細に説明する。
【0009】
図1及び2を参照すると、本発明の第一実施形態に係る位置保持装置100は、固定部材10と、ガイド部材20と、支持部材30と、連結部材40と、第一電磁クラッチ50と、吸着部材60と、フレキシブルチューブ70と、接続部材80と、第二電磁クラッチ90と、を備える。
【0010】
図1乃至図3を参照すると、前記固定部材10は、固定孔12及びガイド孔14が開設されている略板状体である。前記固定孔12は、前記固定部材10の一端に位置する。前記固定部材10は、前記固定孔12を通して固定物体(例えば、前記位置保持装置100を採用する真空貼合設備のホルダー)に固定されて、位置が固定される。前記ガイド孔14は、前記固定部材10を貫通する階段式孔である。本実施形態において、前記ガイド孔14の数量は、4つである。各ガイド孔14の大径部(図示せず)の内側には、ワッシャー16が設置されている。前記ワッシャー16には、錐状の貫通孔162が開設されている。
【0011】
前記ガイド部材20は、円台状のヘッド部22及び円柱状の軸部24を備える。前記ヘッド部22の大径側には、端面221を有し、前記端面221には、ねじ孔223が開設されている。前記軸部24は、前記ヘッド部22の小径側に固定されている。前記ヘッド部22の面取り角度と前記錐状の貫通孔162の面取り角度とは、基本的に同じである。本実施形態において、前記ガイド部材20の数量は、4つである。
【0012】
前記支持部材30は、略矩形の板状体であり、且つ支持面31と、前記支持面31に開設され且つ前記4つのガイド孔14にそれぞれ対応した4つのねじ孔32と、を含む。前記支持面31には、ワーク又は治具の固定に用いられる複数の装着孔34がさらに開設されている。
【0013】
前記連結部材40は、略柱状体であり、且つ第一連結端41及び前記第一連結端41と一定の間隔を有する第二連結端43を含む。前記第一連結端41は、前記固定部材10に固定され、前記第二連結端43は、前記第一電磁クラッチ50に固定される。
【0014】
前記吸着部材60は、リング状体である。前記吸着部材60は、鉄系磁性材料からなるか、又は電磁石である。前記吸着部材60は、前記第一電磁クラッチ50によって吸着される。
【0015】
前記フレキシブルチューブ70は、管体72と、前記管体72の両端に位置する接続端74と、シールリング76と、を含む。前記シールリング76は、前記接続端74の前記管体72から離れている側に設置される。本実施形態において、前記フレキシブルチューブ70の数量は、4つである。前記4つのフレキシブルチューブ70の一端は、皆前記固定部材10の前記ワッシャー16から離れている片側に、それぞれ前記4つのガイド孔14に向かい合うように固定され、前記4つのフレキシブルチューブ70の他端は、前記接続部材80に固定される。前記管体72は、ステンレス材料からなる。
【0016】
前記接続部材80は、複数のねじ孔82が開設されている矩形の板状体である。
【0017】
前記第二電磁クラッチ90は、前記接続部材80を位置校正システム(図示せず)に接続させる。
【0018】
以下、前記位置保持装置100の組立てについて説明する。
【0019】
まず、前記連結部材40の第一連結端41を前記固定部材10の前記ワッシャー16から離れている片側に固定し、前記連結部材40の第二連結端42を前記第一電磁クラッチ50に固定する。
【0020】
次に、前記固定部材10の前記第一電磁クラッチ50が位置している片側に、前記4つのフレキシブルチューブ70の1つの接続端をそれぞれ前記4つのガイド孔14に向い合うように固定する。この時、前記フレキシブルチューブ70の接続端74と前記固定部材10との間に前記シールリング76が位置しているので、前記フレキシブルチューブ70の接続端74と前記固定部材10との間は、優れた気密性を有する。
【0021】
次に、ねじ(図示せず)と前記ねじ孔82とを螺合して前記吸着部材60を前記接続部材80に固定してから、前記接続部材80の前記吸着部材60が固定されている片側に前記4つのフレキシブルチューブ70の他の接続端をそれぞれ固定する。
【0022】
次に、前記接続部材80の他の片側に第二電磁クラッチ90を固定する。
【0023】
次に、前記4つのガイド部材20の軸部24を前記ワッシャー16の錐状の貫通孔162に貫通させて、前記4つのガイド部材20の軸部24の先端が前記接続部材80に当接してから、ねじで前記ガイド部材20の軸部24の先端を前記接続部材80に固定する。この時、前記円台状のヘッド部22は、前記ワッシャー16の錐状の貫通孔162の内に収容される。
【0024】
最後に、ねじ(図示せず)と前記ねじ孔223及び前記ねじ孔32とを螺合して前記支持部材30を前記ガイド部材20に固定する。この時、前記支持部材30は、前記ガイド部材20の端面221に当接される。
【0025】
図1、図3及び図4を参照すると、前記位置保持装置を使用する時、前記支持部材30の支持面31がZ軸に垂直となるように前記固定部材10を固定してから、前記支持部材30の支持面31にワーク(図示せず)を固定する。次に、前記第二電磁クラッチ90を駆動して前記接続部材80を位置校正システム(図示せず)に接続する。前記位置校正システムは、前記接続部材80を介して前記支持部材30のX−Y−θの方位における位置校正を行う。前記支持部材30の微調整による校正によって、前記支持部材30に固定されているワークの位置が確定する。この時、前記第一電磁クラッチ50を駆動して、前記接続部材80が前記位置校正システムを介してZ軸に沿って前記固定部材10側へ移動されるようにする。前記接続部材80の移動において、前記接続部材80が前記接続部材80に固定されている吸着部材60に吸着固定されるまで移動して、前記接続部材80を前記固定部材10に固定する。この時、前記ガイド部材20を介して前記接続部材80に固定されている前記支持部材30の位置は改変されない。最後に、前記第二電磁クラッチ90の電流を切断して、前記接続部材80を前記位置校正システムから脱離させる。これによって、前記ワークのX−Y−θの方位における位置が固定される。
【0026】
図5を参照すると、前記位置保持装置100を真空貼合設備(図示せず)に採用する時、前記真空貼合設備の真空密閉カバー200を、前記位置保持装置100の支持部材30をカバーするように前記固定部材10に設置して、前記支持部材30に固定されているワークが真空環境に位置するようにする。前記フレキシブルチューブの両端は、それぞれ前記固定部材10及び前記接続部材80に緊密に接続されて、外部のガスが前記ガイド孔14から前記真空密閉カバー200の内部に進入することを防止する。
【0027】
前記固定部材10、前記第一電磁クラッチ50及び前記吸着部材60を通して、位置校正された前記支持部材30を、位置固定されている前記固定部材10に固定することによって、前記支持部材30の位置を固定するので、後続の加工が便利になる。前記第二電磁クラッチ90、前記接続部材80及び前記ガイド部材20を通して、前記支持部材30を前記位置校正システムに接続及び固定する。前記フレキシブルチューブ70を通して、前記位置保持装置100を真空貼合設備に採用することができる。
【0028】
また、前記位置保持装置100が非真空環境で使用される場合、前記フレキシブルチューブ70を省略してもよい。
【0029】
また、グリッパ(Gripper)のような他の方式で前記接続部材80を前記位置校正システムに接続する場合、前記第二電磁クラッチ90を省略してもよい。
【0030】
また、前記連結部材40を省略してもよい。この時、前記第一電磁クラッチ50を前記固定部材10に直接固定し、且つフレキシブルチューブ70及び前記ガイド部材20の長さを調節して、前記第一電磁クラッチ50と前記吸着部材60との間の間隔を適合させるようにすればよい。
【0031】
図6を参照すると、本発明の第二実施形態に係る位置保持装置300は、固定部材301と、前記固定部材301と間隔を有する支持部材303と、前記固定部材301の前記支持部材303に対向する側に固定されている第一電磁クラッチ305と、前記支持部材303の前記固定部材301に対向する側に固定されている吸着部材306と、を備える。前記吸着部材306の前記固定部材301に対向する一端と、前記第一電磁クラッチ305の前記支持部材303に対向する一端とは、互いに当接される。前記位置保持装置300を使用する時、位置校正システム(図示せず)を前記支持部材303に直接接続させて、前記支持部材303に対して位置校正を行ってから、前記第一電磁クラッチ305に通電して、前記支持部材303を前記固定部材301に固定する。又は、まず前記第一電磁クラッチ305に小さい電流を通電して前記第一電磁クラッチ305と前記吸着部材306との間に小さい吸着力が発生した状態で前記支持部材303の位置を微調整してから、前記第一電磁クラッチ50に比較的大きい電流を通電して前記第一電磁クラッチ305と前記吸着部材306との間に比較的大きい吸着力が発生させて、前記支持部材303を前記固定部材301に固定する。
【0032】
また、前記第一電磁クラッチ305を前記支持部材303に固定し、前記吸着部材306を前記固定部材301に固定することができる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
100,300 位置保持装置
10,301 固定部材
12 固定孔
14 ガイド孔
16 ワッシャー
162 錐状の貫通孔
20 ガイド部材
22 ヘッド部
221 端面
223,32,82 ねじ孔
24 軸部
30,303 支持部材
31 支持面
34 装着孔
40 連結部材
41 第一連結端
43 第二連結端
50,305 第一電磁クラッチ
60,306 吸着部材
70 フレキシブルチューブ
72 管体
74 接続端
76 シールリング
80 接続部材
90 第二電磁クラッチ
200 真空密閉カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを支持する支持部材と、
所定の位置に固定された固定部材と、
前記支持部材及び前記固定部材の中の一方に固定される第一電磁クラッチと、
前記支持部材及び前記固定部材の中の他方に固定され且つ前記第一電磁クラッチに対向される吸着部材と、
を備え、
前記第一電磁クラッチに通電して前記吸着部材を吸着することによって、前記支持部材が前記固定部材に固定されることを特徴とする位置保持装置。
【請求項2】
位置保持装置は、接続部材及びガイド部材をさらに備え、
前記固定部材には、ガイド孔が開設され、
前記ガイド部材の一端は、前記支持部材に固定され、前記ガイド部材の他端は、前記ガイド孔を貫いて前記接続部材に固定され、
前記第一電磁クラッチは、前記固定部材の前記接続部材に対向する片側に固定され、
前記吸着部材は、前記第一電磁クラッチに対向するように前記接続部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の位置保持装置。
【請求項3】
位置保持装置は、前記固定部材のガイド孔に収容されるワッシャーをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の位置保持装置。
【請求項4】
前記ワッシャーには、前記ガイド部材が貫通するための円錘状の貫通孔が開設され、
前記ガイド部材は、ヘッド部及び前記ヘッド部に固定されている軸部を備え、前記ヘッド部は、円錐台状であり、且つ前記ヘッド部材の面取り角度と前記円錐状の貫通孔の面取り角度とが同じであることを特徴とする請求項3に記載の位置保持装置。
【請求項5】
前記位置保持装置は、前記固定部材と前記第一電磁クラッチとの間に設置される連結部材をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の位置保持装置。
【請求項6】
前記位置保持装置は、両端がそれぞれ前記固定部材及び前記接続部材に固定されるフレキシブルチューブをさらに備え、前記フレキシブルチューブは、前記ガイド部材の軸部を囲んで設けられることを特徴とする請求項2に記載の位置保持装置。
【請求項7】
前記フレキシブルチューブは、管体と、前記管体の両端に位置し且つ前記固定部材及び接続部材にそれぞれに固定される2つの接続端と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の位置保持装置。
【請求項8】
前記フレキシブルチューブの接続端と前記固定部材及び前記連結部材との間には、全てシールリングが設置されていることを特徴とする請求項7に記載の位置保持装置。
【請求項9】
前記位置保持装置は、前記接続部材の前記吸着部材から離れている側に固定される第二電磁クラッチをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の位置保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−249773(P2011−249773A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88993(P2011−88993)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】