説明

位置検出システム

【課題】現在位置に至るまでの位置情報の有無や進行方向に制限されることなく、簡易なセンサを用いて現在位置を正確に検出することができる位置検出システムを提供する。
【解決手段】フォークリフト1の磁気センサ5〜8の個数に対応した線形最大周期列の2値の数列を2次元平面に配置した所定のパターンで床面上に24個の磁性体Mが配列された磁性エリア13が形成されている。荷Wが荷置き位置S1の直上に位置するようにフォークリフト1の機台2を荷置き位置S1の手前に停止させて荷置き位置S1に荷Wを載置すると、機台2の底部に配置されている4つの磁気センサ5〜8でそれぞれ検知された床面の磁性エリア13の磁性体Mの極性が読み取られ、これらの極性の組み合わせに対応するセンサ配列パターンの位置が読み出される。これにより、フォークリフト1の機台2の位置並びに荷Wを載置した位置が把握される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出システムに係り、特に簡易なセンサを用いて正確に現在位置を検出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の現在位置を検出する手段として、GPS衛星からの電波信号を受信機で受信して側位する方法、移動距離と方位をセンサで検出して現在位置を算出する方法、バーコード、RFID、文字等により位置情報を書き込んだランドマークを通路上に配置しておき、ランドマークからこの位置情報を読み取る方法等、各種の方法がある。
しかし、GPSは、受信機で電波信号を捉える必要があるため、GPS衛星からの電波信号が届かない屋内では利用することができない。
また、移動距離と方位から現在位置を算出する方法では、センサにより検出される移動距離と方位に誤差が生じるために正確な位置検出が難しいという問題がある。
さらに、通路上のランドマークから位置情報を読み取る方法では、バーコードリーダ、RFIDリーダ、文字認識装置等の精密機器からなる位置情報読み取り装置が高価で且つこの位置情報読み取り装置が車両等の走行に伴う振動に耐えられるような搭載設計を工夫しなければならない。
【0003】
そこで、特許文献1に開示された位置情報提供方法においては、通路上に永久磁石のS極およびN極と非磁性材料のいずれかを含む磁気マークを2列に配列すると共にこれら2列の磁気マークに対応して2つの磁気センサを車両に搭載し、車両の進行に伴って一方の磁気センサによる検出値が変化したときの他方の磁気センサによる検出値を読み出し、読み出された検出値の組み合わせによる情報コードによって現在位置を得るようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−244526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、安価で構造が簡単な磁気センサを用いて位置検出をすることができるが、磁気マークの検出値の組み合わせによる情報コードを得るために、2列に配列された磁気マークに沿って車両を進行させながら磁気マークの検出値を読み出していく必要がある。したがって、現在位置に至るまでの過去の位置情報(磁気マークの検出値)を有しなければ、磁気マークが配列された通路上に位置するだけでは現在位置を把握することができない。また、磁気マークが配列された通路に対して、例えば側方から車両が侵入した場合にも、正確な現在位置を得ることはできない。
【0006】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、現在位置に至るまでの位置情報の有無や進行方向に制限されることなく、簡易なセンサを用いて現在位置を正確に検出することができる位置検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る位置検出システムは、床面上を移動する移動体の現在位置を検出するシステムであって、それぞれ2値データを有すると共に所定の2次元パターンにしたがって床面上に配列された多数の2値マークと、床面とほぼ平行に2値マークの配列ピッチと同じピッチを有する所定のセンサ配列パターンで移動体に搭載されると共にそれぞれ対向する床面上の2値マークの2値データを読み取る複数の読み取りセンサと、所定の2次元パターン上の任意の位置に移動体の所定のセンサ配列パターンを重ねたときの所定のセンサ配列パターン内に存在する2値マークの2値データの組み合わせパターンとそのときの移動体の位置とを関連付ける位置情報記憶装置と、複数の読み取りセンサでそれぞれ読み取られた2値マークの2値データの組み合わせパターンに基づいて位置情報記憶装置から移動体の現在位置を得る演算装置とを備えたものである。そして、2値マークを配列する所定の2次元パターンは、読み取りセンサの個数に対応した線形最大周期列の2値の数列を2次元平面に配置したパターンからなっている。
【0008】
移動体の方位角を検出する方位角センサをさらに移動体に搭載し、演算装置が、方位センサで検出された方位角と複数の読み取りセンサでそれぞれ読み取られた2値マークの2値データの組み合わせパターンとに基づいて移動体の現在位置を判定するように構成してもよい。
例えば、所定の2次元パターンとして2値マークを4行6列に配列し、所定のセンサ配列パターンとして4個の読み取りセンサを矩形状に配列することができる。
なお、S極とN極の2つの極性を2値データとして有する磁性体から2値マークを形成し、磁気センサを読み取りセンサとして使用することができる。あるいは、2種の色彩を2値データとして有する2値マークを用い、カラーセンサを読み取りセンサとして用いることもできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、所定のセンサ配列パターン内に存在する床面上の2値マークの2値データの組み合わせパターンに基づいて移動体の現在位置を得るので、現在位置に至るまでの位置情報の有無や進行方向に制限されることなく、簡易なセンサを用いて現在位置を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
フォークリフト等の荷役車両による荷の搬送システムにこの発明の位置検出システムを適用した。図1に示されるように、移動体としてのフォークリフト1は、機台2の前部に昇降自在にフォーク3を有すると共に、機台2の前端下部に前方を向けて取り付けられた荷検知センサ4を有している。この荷検知センサ4は、フォーク3により機台2の前方に荷が置かれたことを検知するものである。
また、機台2の底部には、フォークリフト1が走行する床面とほぼ平行に矩形状のセンサ配列パターンで4つの磁気センサ5〜8が搭載されている。磁気センサ5は機台2の左前部に、磁気センサ6は機台2の右前部に、磁気センサ7は機台2の左後部に、磁気センサ8は機台2の右後部にそれぞれ配置され、機台2の幅方向にピッチLxで、前後方向にピッチLyで配列されている。これらの磁気センサ5〜8は、床面上に配置された後述の磁気テープの極性を読み取る読み取りセンサである。
さらに、磁気センサ5〜8からの検出信号に基づいてフォークリフト1の位置情報を得るための制御装置9が機台2に搭載されている。図2に示されるように、制御装置9は、荷検知センサ4と磁気センサ5〜8に電気的に接続された演算装置10と、この演算装置10に接続された位置情報記憶装置11とを有している。
【0011】
ここで、フォークリフト1を利用した荷の搬送システムについて説明する。図3に示されるように、倉庫等の床面上に荷置きエリア12が設定され、図3のX方向の並びを「行」、Y方向の並びを「列」として、荷置きエリア12内に6つの荷置き位置S1〜S6が2行3列のパターンで区画されている。
作業者は、フォークリフト1のフォーク3に荷Wを載せて床面上を走行し、荷置きエリア12内の指定された荷置き位置、例えば荷置き位置S1に荷Wを載置する。このとき、フォーク3上の荷Wが荷置き位置S1の直上に位置するようにフォークリフト1の機台2を荷置き位置S1の手前に位置させる必要がある。
【0012】
そこで、図4に示されるように、荷置き位置S1〜S3の手前の床面上に所定の2次元パターンで多数の磁性体Mが配列された磁性エリア13が形成されている。磁性エリア13内に、24個の磁性体Mが4行6列のパターンで、X方向にピッチLxで、Y方向にピッチLyで配列されている。すなわち、磁性体Mは、フォークリフト1の磁気センサ5〜8の配列ピッチと同じピッチで配列されている。
【0013】
さらに、荷置きエリア12内の6つの荷置き位置S1〜S6は、X方向にピッチ2・Lxで、Y方向にピッチ2・Lyで配列されている。すなわち、荷置き位置S1〜S6は、フォークリフト1の磁気センサ5〜8および磁性エリア13の24個の磁性体Mの配列ピッチの2倍のピッチで配列されている。そして、磁性エリア13の4行の配列パターンのうち+Y方向の第1行と第2行の12個の磁性体Mが荷置きエリア12の荷置き位置S4〜S6の上に重なって配置されている。
なお、各磁性体Mは、この発明の2値マークを構成するもので、肉薄の磁気テープからなり、2値データとしてN極またはS極を上に向けて床面上に貼付されている。
【0014】
図5に示されるように、例えば荷置きエリア12内の荷置き位置S1に荷Wを置くためにフォークリフト1の機台2が磁性エリア13内に侵入すると、フォークリフト1の磁気センサ5〜8の配列ピッチと磁性体Mの配列ピッチが等しいため、機台2の底部に矩形状のセンサ配列パターンで配列されたこれら4つの磁気センサ5〜8によって磁性エリア13の24個の磁性体Mのうち4つの磁性体Mの極性がそれぞれ検知される。図5の例では、磁気センサ5〜8により、「N、S、S、N」の極性の組み合わせパターンが得られる。このとき、フォークリフト1の位置が変わると、その位置に応じて選択される4つの磁性体Mも変化することとなるが、図6に示されるように、磁性エリア13内のいずれの4つの磁性体Mを選択しても、それらの極性の組み合わせパターンがすべて異なるように24個の磁性体Mが配列されている。
【0015】
すなわち、4行6列に配列された24個の磁性体Mから、図6に太線で描かれるように矩形状のセンサ配列パターンで4つの磁性体Mを選択すると、全部で15通りの選択が可能であるが、それらが互いにすべて異なる極性の組み合わせパターンP1〜P15を有している。
【0016】
このような15通りの組み合わせパターンP1〜P15を有する磁性エリア13の形成方法について説明する。まず、フォークリフト1の磁気センサ5〜8の個数「4」に対応した線形最大周期列(M系列)の「0」と「1」の2値の数列を形成する。ここで、線形最大周期列は、次の線形漸化式(1)で発生される1ビットの数列である。
=Xn−p+Xn−q (p>q) ・・・(1)
なお、nは整数、「+」は排他的論理和を示している。また、pとして磁気センサ5〜8の個数「4」が用いられ、qは次の式(2)が既約多項式となるように選択され、ここでは「1」が選択される。
+X+1 ・・・(2)
初期値として、例えばX=X=X=X=1を与えると、式(1)により、以下の表1に示す周期「15」の線形最大周期列が得られる。
【0017】
【表1】

【0018】
次に、図7(a)に示されるように、15通りを表すための3行5列のマス目に左上の第1行、第1列のマスから第2行、第2列のマス、さらに第3行、第3列のマス、というように斜め右下に向かって「1、2、3」と順位をつけていく。第3行にまで至ったら第1行に戻り、第5列にまで至ったら、図7(b)に示されるように第1列に戻るようにして、順次、順位をつけると、図7(c)に示されるように、15のマス目に「1」から「15」までの順位がつけられる。
【0019】
この順位に従って表1に示した15個の数列Xをそれぞれマス目に代入すると、図8(a)に示されるような「0」と「1」の2値の配列パターンが形成される。この配列パターンの第1行をそのまま第4行にコピーして図8(b)に示されるような4行5列の配列パターンを形成し、さらに第1列をそのまま第6列にコピーして図8(c)に示されるような4行6列の配列パターンを形成する。
そして、この4行6列の配列パターンの「0」としてS極、「1」としてN極をそれぞれ当てはめることにより、図4に示した24個の磁性体Mからなる磁性エリア13が得られる。
【0020】
図6に示した15通りの組み合わせパターンP1〜P15に対して磁気センサ5〜8でそれぞれ検知される極性を、次の表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
表2において、右端の「十進数」の欄は、S極を「0」、N極を「1」として磁気センサ5〜8で検知される極性を順次配列して得られた2進数を十進数に変換した値である。15通りの組み合わせパターンP1〜P15は、それぞれ十進数で表すと、「1」から「15」までの互いに異なる値となる。
【0023】
表2に示される組み合わせパターンP1〜P15にそれぞれ対応する十進数と、図6に太線で示した組み合わせパターンP1〜P15にそれぞれ対応する磁性エリア13内の矩形状のセンサ配列パターンの位置が、フォークリフト1に搭載された制御装置9の位置情報記憶装置11に予め記憶されている。
【0024】
次に、この実施の形態1に係る位置検出システムの動作について説明する。作業者が、フォークリフト1で荷Wを搬送し、荷置きエリア12内の指定された荷置き位置S1に荷Wを載置するものとする。図5に示されるように、作業者は、フォークリフト1が+Y方向を向いた状態でフォーク3上の荷Wが荷置き位置S1の直上に位置するようにフォークリフト1の機台2を荷置き位置S1の手前に停止させる。
【0025】
ここで、フォーク3を下降させて荷置き位置S1に荷Wを載置すると、荷Wが置かれたことが機台2の前端下部に取り付けられた荷検知センサ4によって検知され、この荷検知センサ4からの検知信号をトリガとして、制御装置9内の演算装置10により、機台2の底部に配置されている4つの磁気センサ5〜8でそれぞれ検知された床面の磁性エリア13の磁性体Mの極性が読み取られる。この場合、図5に示されるように、磁気センサ5〜8によってそれぞれ「N」、「S」、「S」、「N」の極性が得られ、演算装置10は、S極を「0」、N極を「1」としてこれらの極性の組み合わせパターン「N、S、S、N」を順次配列した2進数「1001」を形成し、さらにこれを十進数に変換して値「9」を得る。
【0026】
この値「9」に対応する矩形状のセンサ配列パターンの位置が位置情報記憶装置11から読み出される。すなわち、表2から組み合わせパターンP1が抽出され、図6の組み合わせパターンP1に太線で示される位置が認識される。矩形状のセンサ配列パターンはフォークリフト1の機台2の底部に配置された磁気センサ5〜8により形成されているため、矩形状のセンサ配列パターンの位置がフォークリフト1の機台2の位置を表すこととなる。この機台2の位置から、フォーク3を下降させて荷Wを載置した位置が荷置き位置S1であることを把握することができる。したがって、荷Wを載置した位置を演算装置10が記憶したり、あるいは通信により搬送システムの図示しない管理装置に送信して格納することが可能となる。
【0027】
同様に、図5において、荷置き位置S2に荷Wを載置する場合には、荷置き位置S2の手前に配置された4つの磁性体Mの極性「S」、「N」、「N」、「S」が磁気センサ5〜8で検知され、2進数「0110」から十進数「6」が得られ、表2から組み合わせパターンP7であると判定される。したがって、図6の組み合わせパターンP7に太線で示される位置が認識され、荷Wを載置した位置が荷置き位置S2であることが把握される。
【0028】
この実施の形態1で用いられた磁気センサ5〜8は、バーコードリーダ、RFIDリーダ、文字認識装置等の精密機器からなる読み取り装置とは異なり、構造が簡易であるため、フォークリフト1の走行に伴う振動に耐えられるような搭載設計を工夫する必要はない。
【0029】
なお、2値マークを構成する磁性体Mとして肉薄の磁気テープを床面上に貼付したが、板状、棒状等、磁性体の形状には限定されるものではない。ただし、磁性体がある程度の厚さを有する場合には、フォークリフト1の走行を妨げないように、磁性体の表面が床面とほぼ同一面となるように磁性体を床に埋設することが望ましい。
【0030】
実施の形態2
上述した4つの磁気センサ5〜8による極性の組み合わせパターンは、それぞれ検知された極性を磁気センサ5〜8の順に配列して形成されるため、フォークリフト1の矩形状のセンサ配列パターンが磁性エリア13に対して同じ位置にあっても、フォークリフト1の向きが変わると、磁気センサ5〜8にそれぞれ対応する磁性体Mが異なってしまい、異なる組み合わせパターンが形成されることとなる。例えば、図6の組み合わせパターンP4に対しては、磁気センサ5〜8がそれぞれ「S」、「S」、「N」、「N」を検知し、2進数「0011」から十進数「3」が得られるが、フォークリフト1が同じ位置で向きを反転させると、今度は磁気センサ5〜8がそれぞれ「N」、「N」、「S」、「S」を検知することとなり、2進数「1100」から十進数「12」が得られる。これにより、表2から組み合わせパターンP6と判定され、誤った位置が把握されるおそれがある。
【0031】
そこで、この実施の形態2では、図9に示されるように、フォークリフト1に方位角センサ14が搭載され、この方位角センサ14が演算装置10に電気的に接続されている。演算装置10は、方位角センサ14からの検出信号に基づいてフォークリフト1の方位角を認識し、その方位角とフォークリフト1の4つの磁気センサ5〜8によりそれぞれ読み取られた極性の組み合わせパターンとに基づいてフォークリフト1の現在位置を演算する。
【0032】
例えば、図5において、フォークリフト1が−Y方向を向いている場合には、フォークリフト1が+Y方向を向いているときの磁気センサ5、6、7および8の配置位置にそれぞれ磁気センサ8、7、6および5が位置することとなる。そこで、方位角センサ14によりフォークリフト1が−Y方向を向いていると検知されると、演算装置10は、磁気センサ5〜8で検知された4つの極性を磁気センサ8、7、6および5の順番で配列し、表2を用いて組み合わせパターンを抽出する。
【0033】
フォークリフト1の磁気センサ5〜8および磁性エリア13の24個の磁性体MのX方向の配列ピッチLxとY方向の配列ピッチLyとが互いにほぼ等しい場合には、フォークリフト1が+X方向あるいは−X方向を向いたときにも、同様に、方位角センサ14でフォークリフト1の方位角を検知し、その方位角とフォークリフト1の4つの磁気センサ5〜8によりそれぞれ読み取られた極性の組み合わせパターンとに基づいてフォークリフト1の現在位置を演算することができる。
【0034】
実施の形態3
上記の実施の形態1および2では、2値マークとしてN極とS極の2値データを有する磁性体Mを用いたが、この実施の形態3では、図10に示されるように、2種の色彩を2値データとして有する24個の着色体Cが荷置き位置S1〜S3の手前の床面上に所定の2次元パターンで配列され、これにより色彩エリア23が形成されている。そして、フォークリフト1の機台2の底部に、フォークリフト1が走行する床面とほぼ平行に矩形状のセンサ配列パターンで4つのカラーセンサ15〜18が搭載されている。
【0035】
なお、着色体Cを配列する所定の2次元パターンは、実施の形態1および2における磁性体Mの配列パターンと同一であり、例えば磁性体MのN極の代わりに着色体Cの赤色が、磁性体MのS極の代わりに着色体Cの白色がそれぞれ配置されている。
このような着色体Cの色彩をフォークリフト1のカラーセンサ15〜18で認識することにより、実施の形態1および2と同様の効果を得ることができる。
【0036】
この実施の形態3で用いられたカラーセンサ15〜18も、実施の形態1および2における磁気センサ5〜8と同様に、バーコードリーダ、RFIDリーダ、文字認識装置等の精密機器からなる読み取り装置とは異なって構造が簡易であるため、フォークリフト1の走行に伴う振動に耐えられるような搭載設計を工夫する必要はない。
着色体Cの色彩は、赤色と白色に限るものではなく、カラーセンサ15〜18で認識可能な2色を自由に選択すればよい。
着色体Cとしては、肉薄の着色テープを床面上に貼付するか、あるいは床面上に直接ペンキ等で彩色することもできる。
また、2値データをフォークリフト1に搭載されたセンサで識別することができるものであれば、磁性体M、着色体Cに限らず、他の2値マークを使用することもできる。
【0037】
上記の実施の形態1〜3では、磁気センサ5〜8またはカラーセンサ15〜18からなる4個の読み取りセンサをフォークリフト1に搭載すると共に、磁性体Mまたは着色体Cからなる24個の2値マークを4行6列に配列して15通りの組み合わせパターンP1〜P15を形成したが、これに限るものではない。例えば、6個の読み取りセンサを使用すると、上記の式(1)におけるpの値を「6」として周期「63」の線形最大周期列を得ることにより、63通りの組み合わせパターンを形成することができる。同様に、8個の読み取りセンサを使用すると255通りの組み合わせパターンを、10個の読み取りセンサを使用すると1023通りの組み合わせパターンを、それぞれ形成することができる。
このように、フォークリフト1に搭載する読み取りセンサの個数を増加させることにより、組み合わせパターンの数が増大し、それだけ広い領域内で位置検出を行うことが可能となる。ただし、組み合わせパターン数の増大に合わせて床面上に配置する2値マークの個数も増大させる必要がある。
【0038】
上記の各実施の形態では、フォークリフト1による搬送システムに位置検出システムが適用された例を示したが、これに限るものではなく、この発明を各種の移動体の現在位置の検出に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1に係る位置検出システムが適用された搬送システムで用いられるフォークリフトを概略的に示す平面図である。
【図2】フォークリフトの搭載機器を示すブロック図である。
【図3】フォークリフトで荷を荷置き位置に載置する際の動作を示す平面図である。
【図4】床面上の荷置きエリアと磁性エリアを示す平面図である。
【図5】荷を荷置き位置に載置する際のフォークリフトの磁気センサと磁性エリアとの関係を示す平面図である。
【図6】矩形状のセンサ配列パターンを磁性エリアに重ねたときに4つの磁気センサで検知される磁性体の極性の組み合わせパターンを示す図である。
【図7】所定の2次元パターンの磁性エリアを形成する方法を工程順に示す図である。
【図8】所定の2次元パターンの磁性エリアを形成する方法を工程順に示す図である。
【図9】実施の形態2に係る位置検出システムが適用された搬送システムで用いられるフォークリフトの搭載機器を示すブロック図である。
【図10】実施の形態3に係る位置検出システムが適用された搬送システムで荷を荷置き位置に載置する際のフォークリフトのカラーセンサと色彩エリアとの関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 フォークリフト、2 機台、3 フォーク、4 荷検知センサ、5〜8 磁気センサ、9 制御装置、10 演算装置、11 位置情報記憶装置、12 荷置きエリア、13 磁性エリア、14 方位角センサ、15〜18 カラーセンサ、23 色彩エリア、Lx,Ly 配列ピッチ、W 荷、S1〜S6 荷置き位置、M 磁性体、C 着色体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を移動する移動体の現在位置を検出するシステムであって、
それぞれ2値データを有すると共に所定の2次元パターンにしたがって床面上に配列された多数の2値マークと、
床面とほぼ平行に前記2値マークの配列ピッチと同じピッチを有する所定のセンサ配列パターンで前記移動体に搭載されると共にそれぞれ対向する床面上の前記2値マークの2値データを読み取る複数の読み取りセンサと、
前記所定の2次元パターン上の任意の位置に前記移動体の前記所定のセンサ配列パターンを重ねたときの前記所定のセンサ配列パターン内に存在する前記2値マークの2値データの組み合わせパターンとそのときの前記移動体の位置とを関連付ける位置情報記憶装置と、
前記複数の読み取りセンサでそれぞれ読み取られた前記2値マークの2値データの組み合わせパターンに基づいて前記位置情報記憶装置から前記移動体の現在位置を得る演算装置と
を備え、前記所定の2次元パターンは、前記読み取りセンサの個数に対応した線形最大周期列の2値の数列を2次元平面に配置したパターンであることを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記移動体に搭載されると共に前記移動体の方位角を検出する方位角センサをさらに備え、
前記演算装置は、前記方位センサで検出された方位角と前記複数の読み取りセンサでそれぞれ読み取られた前記2値マークの2値データの組み合わせパターンとに基づいて前記移動体の現在位置を判定する請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記所定の2次元パターンとして前記2値マークを4行6列に配列し、前記所定のセンサ配列パターンとして4個の前記読み取りセンサを矩形状に配列した請求項1または2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記2値マークは、S極とN極の2つの極性を2値データとして有する磁性体からなり、前記読み取りセンサは、磁気センサからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記2値マークは、2種の色彩を2値データとして有し、前記読み取りセンサは、カラーセンサからなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−9534(P2008−9534A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176956(P2006−176956)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】