説明

位置決め装置

【課題】安価で簡易な構成によりスライダの位置検出を安定して行うことができるとともに、設計の自由度の高い位置決め装置を実現する。
【解決手段】互いに直交するX軸およびY軸の少なくとも1軸方向に位置制御されるスライダ1と、このスライダ1と対向する面に磁極の歯が形成されてスライダ1と平面モータを構成するプラテン10とを備えた位置決め装置において、
スライダ1の1軸方向の位置を検出するレゾルバ2と、
このレゾルバ2とプラテン10との間のギャップを検出するギャップセンサ30と、
このギャップセンサ30の出力に基づいてレゾルバ2の出力の振幅を補正する補正部と、
この補正部からの出力を位置情報に変換する位置変換部と、
を備えたことを特徴とする位置決め装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置決め装置に関し、詳しくは、平面モータを構成するプラテンに対するスライダの位置を制御する位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図22は従来の位置決め装置の一例を示す構成図である。四辺形のプラテン10上に四辺形のスライダA,Bが搭載されており、プラテン10上でそれぞれ個別にX軸方向およびY軸方向に位置制御される。プラテン10とスライダA,Bのそれぞれの対向面には所定ピッチの磁極の歯(以下単に歯という)が形成されており、平面モータを構成している。この平面モータを駆動することによって、スライダA,Bはそれぞれ指定された位置に移動する。
【0003】
スライダA,Bの側辺の3辺にはバーミラーが設けられている。プラテン10の各辺10a〜10dには複数のレーザ干渉計が固定配置されている。一方の対向する辺10a,10bに配置されたレーザ干渉計はスライダA,BのX軸方向の位置検出を行い、他方の対向する辺10c,10dに配置されたレーザ干渉計はスライダA,BのY軸方向の位置検出を行う。これらのレーザ干渉計は、出射したレーザ光とこのレーザ光が各スライダA,Bのバーミラーで反射されて戻ってくる反射光との干渉に基づき、スライダA,Bの位置検出を行う。下記特許文献1には、レーザ干渉計を用いてスライダの位置検出を行う位置決め装置が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−163418
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スライダの位置検出に上記のようなレーザ干渉計を使用したシステムを採用すると、レーザ干渉計やバーミラーが高価であるため、多額の費用がかかるという問題がある。位置検出の精度や位置決め装置の規模によっては、スライダ1台につき3000万円に達する場合もある。さらに、レーザ干渉計に用いるレーザ光源は寿命が短く、1万〜数万時間程度で交換が必要となる。
【0006】
また、レーザ干渉計を使用したシステムでは、レーザ光を遮るものがあると位置検出ができないため、位置決め装置全体としての設計の自由度が低いという問題がある。たとえば図22の例では、スライダBのX軸方向の位置はプラテン10の辺10bに配置されたレーザ干渉計で検出されるが、スライダBがスライダAの背後(すなわちスライダAと辺10aの間)に回り込んでしまうと、辺10bのレーザ干渉計からのレーザ光がスライダAで遮られ、位置検出ができなくなってしまう。したがって、スライダA,Bの可動範囲は制約され、この点を考慮して位置決め装置を設計しなければならない。
【0007】
さらに、レーザ干渉計を使用したシステムでは、レーザ光を利用するため、温度や空気の揺らぎなどの周囲環境による影響が大きいという問題がある。
【0008】
本発明は、従来技術の問題をなくし、安価で簡易な構成によりスライダの位置検出を安定して行うことができるとともに、設計の自由度の高い位置決め装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、請求項1の発明は、
互いに直交するX軸およびY軸の少なくとも1軸方向に位置制御されるスライダと、このスライダと対向する面に磁極の歯が形成されてスライダと平面モータを構成するプラテンとを備えた位置決め装置において、
スライダの1軸方向の位置を検出するレゾルバと、
このレゾルバとプラテンとの間のギャップを検出するギャップセンサと、
このギャップセンサの出力に基づいてレゾルバの出力の振幅を補正する補正部と、
この補正部からの出力を位置情報に変換する位置変換部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、
請求項1に記載の位置決め装置において、補正部は、ギャップセンサの出力に応じてレゾルバの出力の振幅に乗じる定数を決定することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、
請求項1または2に記載の位置決め装置において、ギャップセンサは、レゾルバに隣接して配置されたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、
請求項1〜3に記載の位置決め装置において、ギャップセンサは、レゾルバの1軸方向の両側に配置されたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、
請求項1または2に記載の位置決め装置において、ギャップセンサは、スライダの1軸方向の両端部に配置されたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、
請求項1または2に記載の位置決め装置において、ギャップセンサは、スライダの角部に配置されたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、
請求項1〜6に記載の位置決め装置において、ギャップセンサの出力に基づいてプラテンに対するスライダの姿勢を制御することを特徴とする
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、
スライダの位置検出に、レーザ干渉計ではなくレゾルバを利用することによって、安価で簡易な構成によりスライダの位置検出を安定して行うことができるとともに、設計の自由度の高い位置決め装置を実現することができる。
また、レゾルバの出力の振幅を、レゾルバとプラテンとの間のギャップに応じて補正することにより、レゾルバの位置検出精度を高めることができ、スライダの位置をより正確に検出することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、
補正部は、ギャップセンサの出力に応じた定数をレゾルバの出力の振幅に乗じるため、ギャップ変化によってレゾルバ出力に生じた振幅変化を補正することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、
ギャップセンサがレゾルバに隣接して配置されているため、レゾルバとプラテンとの間のギャップを直接的に検出することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、
ギャップセンサがレゾルバの1軸方向の両側に配置されているため、複数のギャップセンサの出力に基づいてレゾルバとプラテンとの間のギャップを求めることで、ギャップをより正確に検出することができる。また、レゾルバの1軸方向の傾きも検出することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、
ギャップセンサがスライダの1軸方向の両端部に配置されているため、ギャップセンサの出力からプラテンに対するスライダの傾きを求めることにより、プラテンに対するレゾルバの傾きを高精度に検出することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、
ギャップセンサがスライダの角部に配置されているため、たとえばスライダの各辺にレゾルバを配置してギャップに応じた補正を行う場合に、少ないギャップセンサで各レゾルバのプラテンとの間のギャップおよびプラテンに対する傾きを検出することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、
ギャップセンサの出力に基づいてスライダの姿勢を制御するため、スライダがプラテンに対して常に所定の姿勢に維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明では、レゾルバを用いてスライダの位置の検出を行う。レゾルバは、コアとコイルのみで構成されているため、レーザ干渉計など他のセンサに比較して構造が簡単で安価であり、また高い耐環境性を持っている。さらに、レゾルバにはレーザ干渉計のレーザ光源のように寿命の短い部品がないため、メンテナンスが容易である。まず、レゾルバによるスライダの位置検出の動作原理について説明する。
【0024】
図1はレゾルバによる位置検出の動作原理の説明図である。レゾルバのセンサ部200は、コア201と、このコア201に巻かれたコイル202で構成される。センサ部200はプラテン10上に所定の空隙を介して配置される。コア201のプラテン10と対向する面には、プラテン10の歯と同じピッチPで歯が形成されている。
【0025】
プラテン10とコア201との間には、プラテン10の歯とコア201の歯の相対位置に応じたインピーダンスZが存在する。コイル201に励磁電圧として一定振幅の矩形電圧を入力すると、コア201が励磁されてプラテン10との間に磁気回路Bが形成される。この磁気回路BはインピーダンスZにより影響を受けるため、結果としてコイル202の端子間電圧はプラテン10とコア201の相対位置に応じて変化する。そこで、コイル202の端子間電圧を取り出し、その振幅を検出信号とする。
【0026】
図1の(a)は、コア201の歯とプラテン10の歯との対向する面積が最大、すなわち位相差が0°となる相対位置を示している。このときインピーダンスZは最小となり、検出信号は最大となる。
一方、図1の(b)は、コア201の歯とプラテン10の歯との対向する面積が最小、すなわち位相差が180°となる相対位置を示している。このときインピーダンスZは最大となり、検出信号は最小となる。
【0027】
センサ部200がプラテン10上を移動すると、インピーダンスZは正弦波状に変化する。そのため、検出信号は、図1の(c)に示すように、ピッチPの周期で正弦波状に変化する。
【0028】
レゾルバは、このようなセンサ部200を2組用意し、図2に示すようにプラテン10に対する位相を90°ずらして配置して構成する。センサ部200の一方をsin相、他方をcos相とし、これらのセンサ部から得られる検出信号のアークタンジェントを取ることによって、レゾルバのプラテン10に対する位相差、すなわちプラテン10の歯に対する相対位置が求められる。なお、プラテン10のどの歯に対する相対位置かは、検出信号が原点位置から繰り返す正弦波の山の数をカウントして求められる。
以上により、原点位置を基準として、プラテン10上におけるレゾルバの位置を精度よく検出できる。
【実施例1】
【0029】
図3は、実施例1として、本発明をリニアモータに適用した構成を示す図である。
プラテン10上にエアベアリングを利用してスライダ1が搭載されている。スライダ1はプラテン10上でX軸方向に位置制御される。プラテン10とスライダ1のそれぞれの対向面にはX軸方向に一定ピッチPで歯10aが形成されており、平面モータを構成している。この平面モータを駆動することによって、スライダ1はプラテン10上の指定されたX位置に移動する。なお、本図ではプラテン10の歯を一部省略して示している。
【0030】
スライダ1は矩形状をしており、スライダ1の各辺はX軸またはこのX軸に直交するY軸のいずれかに沿うようにプラテン10上に配置されている。
【0031】
スライダ1のX軸に沿った側面の一方に、X軸方向の位置を検出するレゾルバ2が固定されている。レゾルバ2はスライダ1の側面のX軸方向の中央部に配置されている。レゾルバ2のプラテン10との対向面にはX軸方向に一定ピッチPで歯が形成されており、これらの歯がプラテン10の歯と対向するように配置されている。
【0032】
ところで、プラテン10の歯ピッチや歯溝の深さなどの寸法は、プラテン10の全面を通して同じ値に設計される。スライダ1の歯の歯ピッチや歯溝の深さも同様に、すべて一定の値に設計される。
しかし、プラテン10やスライダ1には、製作時に機械加工誤差が生じるため、形成されるすべての歯において歯ピッチや歯溝の深さを完全に一致させることはできない。したがって、スライダ1をプラテン10に搭載すると、スライダ1のプラテン10における位置に応じて、スライダ1とプラテン10との間のギャップは変化する。これに伴い、スライダ1に固定されたレゾルバ2とプラテン10との間のギャップも、スライダ1のプラテン10上の位置によって変化してしまう。
【0033】
図4はレゾルバ2とプラテン10との間のギャップを示す図である。図中の2aはレゾルバ2のセンサ部である。図4の(a)はレゾルバ2が設計値である間隔dのギャップを介してプラテン10と対向している状態を示し、図4の(b)はレゾルバ2とプラテン10とのギャップが間隔dよりも狭い間隔d’となった状態を示し、図4の(c)はレゾルバ2とプラテン10とのギャップが間隔dよりも広い間隔d”となった状態を示したものである。
【0034】
レゾルバ2は、プラテン10との間のインピーダンスZの変化に基づいて検出信号を取得するものである。レゾルバ2とプラテン10との間のギャップが変化すると、インピーダンスZが変化してしまい、検出信号に振幅誤差が生じる。
【0035】
図5はレゾルバ2の検出信号の例を示す図である。図中の破線は、検出信号の理論値から求められる理想波形であり、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップが図4の(a)の状態にあるときに得られる検出信号波形である。理想波形は、プラテン10やスライダ1、レゾルバ2自体の設計値に基づいて算出可能である。実線は実際にレゾルバ2から取得される検出信号の例である。
図5の(a)は、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップが、図4の(b)の状態にあるときに取得される検出信号を示したものである。レゾルバ2とプラテン10との間のギャップが狭くなるとインピーダンスZが小さくなり、検出信号は理想波形の振幅が拡大された状態となる。
一方、図5の(b)は、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップが、図4の(c)の状態にあるときに取得される検出信号を示したものである。レゾルバ2とプラテン10との間のギャップが広くなるとインピーダンスZが大きくなり、検出信号は理想波形の振幅が縮小された状態となる。
したがって、図4の(b)、(c)のようにギャップが変化してしまっている場合には、図5の(a)、(b)のようにレゾルバ2の検出信号に振幅誤差が生じ、検出信号をそのまま用いても精度の高いスライダ位置の測定はできない。
【0036】
図3に戻り、レゾルバ2に、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップを検出するギャップセンサ30が設けられている。ギャップセンサ30は静電容量式ギャップセンサであり、プラテン10との間に生じる静電容量を測定することにより、プラテン10までの間隔を測定する。レゾルバ2とギャップセンサ30からの出力は、図示しないA/D変換器によりデジタル化され、演算部4に入力される。
【0037】
図6はレゾルバ2とギャップセンサ30の拡大図である。図中の2aと2bはレゾルバ2のセンサ部である。ギャップセンサ30は、センサ部2aとセンサ部2bの間に配置されている。ギャップセンサ30は、センサ部2a,2bの歯先の面からプラテン10の歯先の面(対向面S)までの間隔d1を検出し、演算部4に出力する。
なお、ギャップセンサ30は、スライダ1の移動に伴ってプラテン10の歯の上を移動するため、凸凹の出力を出す。そのため、凸凹のギャップのうち最小レベルを抽出して対向面Sとの間隔d1とする。
【0038】
図7は演算部4の構成を示す図である。演算部4はレゾルバ位置算出部40から構成されている。レゾルバ位置算出部40は、定数決定部40a、補正部40b、位置変換部40cから構成されている。
【0039】
定数決定部40aは、ギャップセンサ30から入力される間隔d1に基づいてレゾルバ2の出力に乗じる定数pを決定し、補正部40bに出力する。この定数pは、ギャップ変化によって生じた振幅誤差を打ち消すための定数である。たとえば、間隔d1が間隔d(設計値)と「d1=α×d」の関係にあり、さらに、レゾルバ2の検出信号がギャップの大きさに反比例すると仮定した場合に、定数p=αとなる。
定数決定部40aは、ギャップと定数pを対応付ける変換テーブルを備え、ギャップセンサ30から入力されるギャップをテーブル変換して定数pを決定する。
【0040】
補正部40bにはレゾルバ2の検出信号、すなわちセンサ部2a,2bからの出力が入力される。補正部40bは、センサ部2a,2bのそれぞれの出力に定数pを乗じる。定数pを乗じることにより、ギャップ変化によってレゾルバ2の検出信号に生じた振幅誤差が補正され、理想波形と同じ振幅に矯正される。補正後のレゾルバ2の出力は、位置変換部40cに出力される。
【0041】
位置変換部40cは、補正後のレゾルバ2の出力に基づいてX位置の検出を行う。検出されたX位置は、スライダ1のX位置として、スライダ1を駆動する平面モータにフィードバックされ、位置制御に利用される。なお、図7では演算部4を機能ブロック図のみで示してあるが、実際には演算部4はプログラムがダウンロードされたCPUなどで構成される。
【0042】
本実施例によれば、スライダ1の位置検出にレーザ干渉計ではなくレゾルバを利用することによって、安価で簡易な構成によりスライダ1の位置検出を安定して行うことができるとともに、設計の自由度の高い位置決め装置を実現することができる。
また、レゾルバ2の出力をレゾルバ2とプラテン10との間のギャップに応じて補正することにより、レゾルバ2の出力の振幅誤差をリアルタイムに補正できる。
これにより、レゾルバ2の位置検出精度が向上し、スライダ1の位置をより正確に検出することができる。
【0043】
また、ギャップセンサ30はレゾルバ2に隣接して配置されているため、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップを直接的に検出することができる。
【0044】
なお、本実施例では、定数決定部40aにおいて定数pをテーブル変換で決定したが、数式変換により定数pを決定してもよい。
【0045】
また、本実施例では、静電容量式のギャップセンサを用いたが、ギャップセンサの方式は静電容量式のものに限らず、他の方式のものを利用してもよい。
【実施例2】
【0046】
図8は本発明の実施例2を示す上面図である。本実施例は、先の実施例1に対して、ギャップセンサの個数および配置を変更したものである。
【0047】
レゾルバ2に隣接してギャップセンサ30,31が設けられている。ギャップセンサ30,31は、レゾルバ2のスライダ1と反対側の側面に取り付けられている。ギャップセンサ30,31は、X軸方向に沿って配置され、それぞれレゾルバ2とプラテン10との間のギャップを検出する。レゾルバ2およびギャップセンサ30,31からの出力は図示しないA/D変換器によりデジタル化され、演算部4’に入力される。
【0048】
ところで、レゾルバ2はスライダ1の移動中にも検出信号を出力するが、移動中のスライダ1は、加速に基づく推力によりプラテン10に対して傾斜する。
【0049】
図9はスライダ1の加速とプラテン10に対する傾斜を示す図である。図9の(a)は、スライダ1がプラテン10上で静止している状態である。スライダ1は、静止時には傾斜することなく、プラテン10の対向面Sと平行に浮上する。浮上量は10μm程度である。
しかし、スライダ1が移動する際には、図9の(b)のように加速によって進行方向前方が浮いて後方が沈むような現象が発生し、スライダ1はプラテン10の対向面Sに対して角度φで傾斜する。さらに加速が強くなると、図9の(c)のようにスライダ1のプラテン10の対向面Sに対する傾斜角度φは大きくなる。傾斜したスライダ1の両端の高低差hは数μm程度に達することもある。レゾルバ2はスライダ1に固定されているため、スライダ1が傾斜するとレゾルバ2も傾斜する。
【0050】
図10はレゾルバ2とギャップセンサ30,31の拡大図である。本図は、スライダ1が図中右方向に加速しており、レゾルバ2のセンサ部2a,2bがプラテン10の対向面Sに対して傾斜している状態を示している。
【0051】
ギャップセンサ30は、センサ部2aのX軸方向の中央に形成された歯とX軸方向に位置を揃えて配置されている。ギャップセンサ30は、位置合わせをした歯の歯先の面と、プラテン10の対向面Sとの間隔d2を検出する。同様に、ギャップセンサ31はセンサ部2bのX軸方向の中央に形成された歯とX軸方向に位置を揃えて配置され、その歯の歯先の面とプラテン10の対向面Sとの間隔d3を検出する。
【0052】
図11は演算部4’の構成を示す図である。演算部4’は、レゾルバ位置算出部40’およびスライダ姿勢算出部41から構成されている。レゾルバ位置算出部40’は、定数決定部40a、40a’、補正部40b、40b’、位置変換部40cから構成されている。
【0053】
ギャップセンサ30の出力が定数決定部40aに入力される。定数決定部40aは、ギャップセンサ30から入力される間隔d2に基づいてセンサ部2aの出力に乗じる定数paを決定し、補正部40bに出力する。同様に、ギャップセンサ31の出力は定数決定部40a’に入力される。定数決定部40a’は、ギャップセンサ31から入力される間隔d3に基づいてセンサ部2bの出力に乗じる定数pbを決定し、補正部40b’に出力する。
【0054】
定数pa,pbは、ギャップ変化によって生じたレゾルバ2の検出信号の振幅誤差を打ち消すための定数である。定数決定部40a,40a’は、ギャップと定数pa,pbを対応付ける変換テーブルを備え、ギャップセンサ30,31から入力されるギャップをテーブル変換して定数pa,pbを決定する。
【0055】
補正部40bにはセンサ部2aからの出力が入力され、補正部40b’にはセンサ部2bからの出力が入力される。補正部40b,40b’は、それぞれセンサ部2a,2bの出力に定数pa,pbを乗じる。定数pa,pbを乗じることにより、ギャップ変化によってレゾルバ2の検出信号に生じた振幅誤差が補正され、理想波形と同じ振幅に矯正される。レゾルバ2のセンサ部2a,2bの補正後の出力は、位置変換部40cに出力される。
【0056】
位置変換部40cは、補正後のレゾルバ2の出力に基づいてX位置の検出を行う。検出されたX位置は、スライダ1のX位置として利用される。
【0057】
また、スライダ姿勢算出部41にギャップセンサ30,31の出力が入力される。スライダ姿勢算出部41は、ギャップセンサ30,31の出力に基づいて、ギャップセンサ30に対するギャップセンサ31の傾斜角度φを算出する。スライダ姿勢算出部41は、この角度φをスライダ1のX軸方向の傾斜角度φとして出力する。スライダ1の傾斜角度φは、スライダ1のエアベアリングにフィードバックされ、スライダ1の姿勢制御に利用される。その他の構成は前記実施例1と同じである。
【0058】
本実施例によれば、実施例1で得られる効果に加え、ギャップセンサ30,31がレゾルバ2のセンサ部2a,2bのそれぞれに配置されているため、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップをセンサ部ごとに検出できる。そのため、ギャップ補正をレゾルバ2の相ごとに個別に行うことができ、レゾルバ2の位置検出精度をさらに高めることができる。また、ギャップセンサ30,31の出力に基づいてスライダ1の姿勢を制御するため、スライダ1がプラテン10に対して常に所定の姿勢に維持される。
【実施例3】
【0059】
図12は本発明の実施例3を示す上面図であり、先の実施例2に対して、ギャップセンサの配置を変更したものである。
【0060】
ギャップセンサ30,31は、レゾルバ2に隣接して配置されるとともに、レゾルバ2をX軸方向から挟むように配置されている。レゾルバ2およびギャップセンサ30,31からの出力は図示しないA/D変換器によりデジタル化され、演算部4”に入力される。
【0061】
図13はレゾルバ2とギャップセンサ30,31の拡大図であり、スライダ1が図中右方向に加速しており、レゾルバ2のセンサ部2a,2bがプラテン10の対向面Sに対して傾斜している状態を示している。
【0062】
ギャップセンサ30,31は、センサ部2a,2bを間に挟むようにして、センサ部2aの一端とセンサ部2bの他端に取り付けられている。すなわち、センサ部2aの一端にはギャップセンサ30が配置され、センサ部2bの他端にはギャップセンサ31が配置されている。ギャップセンサ30は、センサ部2aの歯先の面と高さを揃えて配置され、プラテン10の対向面Sとの間隔d4を検出する。また、ギャップセンサ31は、センサ部2bの歯先の面と高さを揃えて配置され、プラテン10の対向面Sとの間隔d5を検出する。
【0063】
図14は演算部4”の構成を示す図である。演算部4”は、レゾルバ位置算出部40”およびスライダ姿勢算出部41から構成されている。レゾルバ位置算出部40”は、定数決定部40a、40a’、補正部40b、40b’、位置変換部40c、ギャップ算出部40dから構成されている。
【0064】
ギャップセンサ30,31の出力がギャップ算出部40dに入力される。ギャップ算出部40dは、ギャップセンサ30,31の出力およびギャップセンサ30,31の間隔に基づいて、ギャップセンサ30に対するギャップセンサ31の傾斜角度φを算出する。
【0065】
そして、ギャップ算出部40dは、算出した角度φと、センサ部2aのギャップセンサ30,31に対する相対位置に基づいて、センサ部2aのX軸方向の中央に位置する歯の歯先からプラテン10の対向面Sまでの間隔d4’を算出し、定数決定部40aに出力する。同様に、ギャップ算出部40dは、センサ部2bのX軸方向の中央に位置する歯の歯先からプラテン10の対向面Sまでの間隔d5’を算出し、定数決定部4bに出力する。
【0066】
定数決定部40aは、ギャップ算出部40dから入力される間隔d4’に基づいてセンサ部2aの出力に乗じる定数paを決定し、補正部40bに出力する。同様に、定数決定部40a’は、ギャップ算出部40dから入力される間隔d5’に基づいてセンサ部2bの出力に乗じる定数pbを決定し、補正部40b’に出力する。
【0067】
定数pa,pbは、ギャップ変化によって生じたレゾルバ2の検出信号の振幅誤差を打ち消すための定数である。定数決定部40a,40a’は、ギャップと定数pa,pbを対応付ける変換テーブルを備え、ギャップ算出部40dから入力されるギャップd4’,d5’をテーブル変換して定数pa,pbを決定する。
【0068】
補正部40bにはセンサ部2aからの出力が入力され、補正部40b’にはセンサ部2bからの出力が入力される。補正部40b,40b’は、それぞれセンサ部2a,2bの出力に定数pa,pbを乗じる。定数pa,pbを乗じることにより、ギャップ変化によってレゾルバ2の検出信号に生じた振幅誤差が補正され、理想波形と同じ振幅に矯正される。レゾルバ2のセンサ部2a,2bの補正後の出力は、位置変換部40cに出力される。
【0069】
位置変換部40cは、補正後のレゾルバ2の出力に基づいてX位置の検出を行う。検出されたX位置は、スライダ1のX位置として利用される。また、レゾルバ2の傾きφは、スライダ1の傾きとして、スライダ1のエアベアリングにフィードバックされ、スライダ1の姿勢制御に利用される。
【0070】
また、スライダ姿勢算出部41にギャップセンサ30,31の出力が入力される。スライダ姿勢算出部41は、ギャップセンサ30,31の出力に基づいて、ギャップセンサ30に対するギャップセンサ31の傾斜角度φを算出する。スライダ姿勢算出部41は、この角度φをスライダ1のX軸方向の傾斜角度φとして出力する。スライダ1の傾斜角度φは、スライダ1のエアベアリングにフィードバックされ、スライダ1の姿勢制御に利用される。その他の構成は前記実施例2と同じである。
【0071】
本実施例によれば、実施例1で得られる効果に加え、ギャップセンサ30,31がレゾルバ2のX軸方向の両側に配置されているため、これらのギャップセンサ30,31の出力に基づく演算により、レゾルバ2とプラテン10との間のギャップをセンサ部ごとに検出することができる。そのため、ギャップ補正をレゾルバ2の相ごとに個別に行うことができ、レゾルバ2の位置検出精度をさらに高めることができる。
【0072】
なお、本実施例では、ギャップセンサ30,31の出力に基づいて、レゾルバ2のセンサ部2a,2bそれぞれ個別にギャップを求めた。しかし、ギャップセンサ30,31で求められるギャップの平均値を、センサ部2a,2bの各相に共通のギャップとして利用してもよい。
【0073】
また、本実施例では、スライダ姿勢算出部41で算出した角度をスライダ1の傾斜角度φとして出力しているが、ギャップ算出部40dで算出した角度をスライダ1の傾斜角度φとして出力してもよい。
【実施例4】
【0074】
図15は本発明の実施例4を示す上面図であり、先の実施例3に対して、ギャップセンサの配置を変更したものである。
【0075】
ギャップセンサ30,31が、スライダ1のレゾルバ2が配置された側辺のX軸方向の端部に固定されている。ギャップセンサ30,31は、配置された側辺の端部において、スライダ1とプラテン10とのギャップを検出する。レゾルバ2およびギャップセンサ30,31の出力は演算部4”に入力される。
【0076】
演算部4”の構成は前記実施例3と同様である。
演算部4”は、ギャップセンサ30,31の出力に基づいてギャップセンサ30に対するギャップセンサ31の傾斜角度φを算出する。そして、演算部4”は、算出した角度φと、センサ部2a,2bそれぞれのギャップセンサ30,31に対する相対位置に基づいて、センサ部2a,2bのX軸方向の中央に位置する歯の歯先からプラテン10の対向面Sまでの間隔d4’,d5’を求める。これにより、ギャップセンサ30,31によって、間接的にレゾルバ2とプラテン10との間のギャップが検出される。
【0077】
演算部4”は、ギャップd4’,d5’に基づいてセンサ部2a,2bの出力を補正し、補正後のセンサ部2a,2bの出力に基づいてX位置の検出を行う。検出されたX位置は、演算部4”から外部へ出力され、スライダ1のX位置として利用される。また、演算部4”からはスライダ1の傾斜角度φが出力され、スライダ1の姿勢制御に利用される。その他の構成は前記実施例3と同じである。
【0078】
本実施例によれば、実施例3で得られる効果に加え、ギャップセンサ30,31がスライダ1の側辺の端部に配置されているため、ギャップセンサ同士の間隔を広くとることができる。これにより、スライダ1の傾斜角度、すなわちレゾルバ2の傾斜角度φを高い分解能で検出することができる。レゾルバ2とプラテン10との間のギャップをより精度良く算出でき、レゾルバ2の出力を精度良く補正することができる。
【実施例5】
【0079】
図16は、実施例5として、本発明を2次元方向の平面モータに適用した構成を示す図である。
プラテン10上にはエアベアリングを利用してスライダ1が搭載されている。スライダ1は、プラテン10上でX軸方向およびY軸方向に位置制御される。プラテン10とスライダ1のそれぞれの対向面にはX軸方向およびY軸方向に一定ピッチPの格子状に歯10bが形成されており、平面モータを構成している。この平面モータを駆動することによって、スライダ1はプラテン10上の指定されたX位置およびY位置に移動する。なお、本図ではプラテン10の歯10bを一部のみに示している。
【0080】
スライダ1は矩形状をしており、スライダ1の各辺はX軸またはこのX軸に直交するY軸のいずれかに沿うようにプラテン10上に配置されている。
【0081】
スライダ1の各側面の中央部にレゾルバ20〜23が固定されている。スライダ1のX軸と平行な対向辺にレゾルバ20,21が配置され、Y軸と平行な対向辺にレゾルバ22,23が配置されている。レゾルバ20,21はX軸方向の位置を検出し、レゾルバ22,23はY軸方向の位置を検出する。レゾルバ20,21に基づいてスライダ1のX位置の検出を行い、レゾルバ22,23に基づいてスライダ1のY位置の検出を行う。
【0082】
レゾルバ20〜23のそれぞれにギャップセンサ30〜33が設けられている。ギャップセンサ30〜33は静電容量式ギャップセンサであり、プラテン10との間に生じる静電容量を測定することにより、プラテン10までの間隔を測定する。
【0083】
スライダ1の各辺において、前記実施例1におけるレゾルバ2およびギャップセンサ30と同様の処理を行い、各レゾルバの位置検出の精度を高める。
すなわち、ギャップセンサ30によりレゾルバ20に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ31によりレゾルバ21に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ32によりレゾルバ22に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ33によりレゾルバ23に生じた振幅誤差の補正を行う。
【0084】
図17は本実施例における演算部(図16では図示せず)を示す図である。
演算部は、レゾルバ位置算出部400〜403、スライダ姿勢算出部41、スライダ位置・回転角算出部42から構成されている。
レゾルバ20およびギャップセンサ30の出力は、図示しないA/D変換器によりデジタル化され、レゾルバ位置算出部400に入力される。レゾルバ位置算出部40は前記実施例1におけるレゾルバ位置算出部40と同じ構成のものである。レゾルバ位置演算部40は、ギャップセンサ30の出力に基づいてレゾルバ20の振幅誤差を打ち消す補正を行い、レゾルバ20の補正後の出力に基づいてX位置を検出する。
【0085】
同様に、レゾルバ位置演算部401にはレゾルバ21およびギャップセンサ31の出力が入力され、レゾルバ21の補正後の出力に基づいて検出されたX位置が出力される。
レゾルバ位置演算部402にはレゾルバ22およびギャップセンサ32の出力が入力され、レゾルバ22の補正後の出力に基づいて検出されたY位置が出力される。
レゾルバ位置演算部403にはレゾルバ23およびギャップセンサ33の出力が入力され、レゾルバ23の補正後の出力に基づいて検出されたY位置が出力される。
【0086】
レゾルバ位置演算部400,401から出力されるX位置およびレゾルバ位置演算部402,403から出力されるY位置は、スライダ位置・回転角算出部42に入力される。スライダ位置・回転角算出部42は、レゾルバ位置演算部400,401からそれぞれ入力されるX位置の平均をとり、スライダ1のX位置とする。また、スライダ位置・回転角算出部42は、レゾルバ位置演算部402,403からそれぞれ入力されるY位置の平均をとり、スライダ1のY位置とする。
さらにスライダ位置・回転角算出部は、レゾルバ位置演算部400,401からのX位置の差分およびレゾルバ位置演算部402,403からのY位置の差分に基づいて、スライダ1のプラテン10上での回転角θを算出する。
【0087】
また、スライダ姿勢算出部41にギャップセンサ30〜33の出力が入力される。スライダ姿勢算出部41は、ギャップセンサ30〜33の出力に基づいて、スライダ1の全体的な傾きや、スライダ1のたわみを算出する。
【0088】
スライダ位置・回転角算出部42で求められたスライダ1の位置、回転角θは、スライダ1を駆動する平面モータにフィードバックされ、位置制御や姿勢制御に利用される。また、スライダ姿勢算出部41で求められたスライダ1の傾きやたわみは、スライダ1のエアベアリングにフィードバックされ、スライダ1の姿勢制御に利用される。
【0089】
なお、レゾルバ位置演算部400〜403、スライダ姿勢算出部41、スライダ位置・回転角算出部42は、プログラムがダウンロードされたCPUなどで構成される。
【0090】
本実施例によれば、実施例1で得られる効果に加え、スライダ1の複数個所に本発明を適用することによって、スライダ1のX位置、Y位置の検出精度を高めることができる。また、スライダ1のX軸周りおよびY軸周りの傾きが求められ、プラテン10に対するスライダ1の姿勢を精度よく制御できる。
【実施例6】
【0091】
図18は本発明の実施例6を示す上面図である。本実施例は、先の実施例5に対して、ギャップセンサの個数および配置を変更したものである。
【0092】
レゾルバ20の両側にはギャップセンサ30,31が固定され、レゾルバ21の両側にはギャップセンサ32,33が固定されている。ギャップセンサ30,32はそれぞれレゾルバ20,21の+X方向に設けられ、ギャップセンサ31,33はそれぞれレゾルバ20,21の−X方向に設けられている。
【0093】
レゾルバ22の両側にはギャップセンサ34,35が固定され、レゾルバ23の両側にはギャップセンサ36,37が固定されている。ギャップセンサ34,36はそれぞれレゾルバ22,23の−Y方向に設けられ、ギャップセンサ35,37はそれぞれレゾルバ20,21の+Y方向に設けられている。
【0094】
スライダ1の各辺において、前記実施例3におけるレゾルバ2およびギャップセンサ30,31と同様の処理を行い、各レゾルバの位置検出の精度を高める。
すなわち、ギャップセンサ30,31によってレゾルバ20に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ32,33によってレゾルバ21に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ34,35によってレゾルバ22に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ36,37によってレゾルバ23に生じた振幅誤差の補正を行う。
【0095】
図19は本実施例における演算部(図18では図示せず)を示す図である。
演算部は、レゾルバ位置算出部400〜403、スライダ姿勢算出部41、スライダ位置・回転角算出部42から構成されている。
レゾルバ20およびギャップセンサ30,31の出力は、図示しないA/D変換器によりデジタル化され、レゾルバ位置演算部400に入力される。レゾルバ位置演算部400は前記実施例3におけるレゾルバ位置演算部40”と同じ構成のものである。レゾルバ位置演算部400は、ギャップセンサ30,31の出力に基づいて、ギャップセンサ30に対するギャップセンサ31の傾斜角度φを求める。そして、角度φおよびレゾルバ20のギャップセンサ30,31に対する相対位置に基づいて、レゾルバ20とプラテン10との間のギャップを算出する。レゾルバ位置演算部400は、算出したギャップに基づいてレゾルバ20の振幅誤差を打ち消す補正を行い、補正後のレゾルバ20に基づいてX位置を検出する。
【0096】
同様に、レゾルバ位置演算部401にはレゾルバ21およびギャップセンサ32,33の出力が入力され、補正後のレゾルバ21の出力に基づいて検出されたX位置が出力される。
レゾルバ位置演算部402にはレゾルバ22およびギャップセンサ34,35の出力が入力され、補正後のレゾルバ22の出力に基づいて検出されたY位置が出力される。
レゾルバ位置演算部403にはレゾルバ23およびギャップセンサ36,37の出力が入力され、補正後のレゾルバ23の出力に基づいて検出されたY位置が出力される。
【0097】
レゾルバ位置演算部400,401から出力されるX位置およびレゾルバ位置演算部402,403から出力されるY位置は、スライダ位置・回転角算出部42に入力される。スライダ位置・回転角算出部42は、レゾルバ位置演算部400,401からそれぞれ入力されるX位置の平均をとり、スライダ1のX位置とする。また、スライダ位置・回転角算出部42は、レゾルバ位置演算部402,403からそれぞれ入力されるY位置の平均をとり、スライダ1のY位置とする。
さらにスライダ位置・回転角算出部は、レゾルバ位置演算部400,401からのX位置の差分およびレゾルバ位置演算部402,403からのY位置の差分に基づいて、スライダ1のプラテン10上での回転角θを算出する。
【0098】
また、スライダ姿勢算出部41にギャップセンサ30〜37の出力が入力される。スライダ姿勢算出部41は、ギャップセンサ30〜37の出力に基づいて、スライダ1の全体的な傾きや、スライダ1のたわみを算出する。
【0099】
スライダ位置・回転角算出部42で求められたスライダ1の位置、回転角θは、スライダ1を駆動する平面モータにフィードバックされ、位置制御や姿勢制御に利用される。また、スライダ姿勢算出部41で求められたスライダ1の傾きやたわみは、スライダ1のエアベアリングにフィードバックされ、スライダ1の姿勢制御に利用される。その他の構成は前記実施例5と同じである。
【0100】
本実施例によれば、実施例5で得られる効果に加え、ギャップセンサの数が多いため、スライダ1の傾きやたわみをより精度良く検出することができる。
【実施例7】
【0101】
図20は本発明の実施例7を示す上面図である。本実施例は、先の実施例5に対して、ギャップセンサの配置を変更したものである。
【0102】
矩形状に形成されたスライダ1の角部にギャップセンサ30〜33が固定されている。ギャップセンサ30はレゾルバ20,22が配置された側辺よりなる角部に配置され、ギャップセンサ31はレゾルバ22,21が配置された側辺よりなる角部に配置され、ギャップセンサ32はレゾルバ21,23が配置された側辺よりなる角部に配置され、ギャップセンサ33はレゾルバ23,20が配置された側辺よりなる角部に配置されている。
【0103】
ギャップセンサ30,31は、スライダ1に配置された角部において、スライダ1とプラテン10との間のギャップを検出する。そして、ギャップセンサ33,30によってレゾルバ20に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ30,31によってレゾルバ22に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ31,32によってレゾルバ21に生じた振幅誤差の補正を行い、ギャップセンサ32,33によってレゾルバ23に生じた振幅誤差の補正を行う。
【0104】
図21は本実施例における演算部(図20では図示せず)を示す図である。
レゾルバ20およびギャップセンサ30,33の出力は、図示しないA/D変換器によりデジタル化され、レゾルバ位置演算部400に入力される。レゾルバ位置演算部400は実施例3におけるレゾルバ位置演算部40”と同じ構成のものである。レゾルバ位置演算部400は、ギャップセンサ30,33の出力に基づいてギャップセンサ30に対するギャップセンサ33の傾斜角度φを求める。なお、ギャップセンサ30,33はそれぞれスライダ1の角部に配置されているため、算出された角度φはプラテン10に対するスライダ1の側辺の傾きそのものである。
【0105】
レゾルバ位置演算部400は、角度φおよびレゾルバ20のギャップセンサ30,33に対する相対位置に基づき、レゾルバ20とプラテン10との間のギャップを算出する。レゾルバ位置演算部400は、算出したギャップに基づいてレゾルバ20の振幅誤差を打ち消す補正を行い、補正後のレゾルバ20に基づいてX位置を検出する。
【0106】
同様に、レゾルバ位置演算部401にはレゾルバ21およびギャップセンサ31,32の出力が入力され、補正後のレゾルバ21の出力に基づいて検出されたX位置が出力される。
レゾルバ位置演算部402にはレゾルバ22およびギャップセンサ30,31の出力が入力され、補正後のレゾルバ22の出力に基づいて検出されたY位置が出力される。
レゾルバ位置演算部403にはレゾルバ23およびギャップセンサ32,33の出力が入力され、補正後のレゾルバ23の出力に基づいて検出されたY位置が出力される。
その他の構成は前記実施例5と同じである。
【0107】
本実施例によれば、実施例5で得られる効果に加え、ギャップセンサ30〜33をスライダ1の各角部に配置したことによって、レゾルバ20〜23のギャップ補正に必要なギャップセンサの個数が少なくて済む。また、ギャップセンサ30〜33がスライダ1の各角部に配置されているため、スライダ1の各側辺の傾きを直接的に算出することができ、スライダ1の傾きをより正確に検出することができる。
【0108】
以上説明したように、本発明によれば、安価で簡易な構成によりスライダの位置検出を安定して行うことができるとともに、設計の自由度の高い位置決め装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】レゾルバによる位置検出の動作原理の説明図である。
【図2】レゾルバの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例1を示す上面図である。
【図4】レゾルバ2とプラテン10とのギャップを示す図である。
【図5】レゾルバ2の検出信号の例を示す図である。
【図6】レゾルバ2とギャップセンサ30の拡大図である。
【図7】実施例1の演算部の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例2を示す上面図である。
【図9】スライダ1の加速と傾きを示す図である。
【図10】レゾルバ2とギャップセンサ30,31の拡大図である。
【図11】実施例2の演算部の構成を示す図である。
【図12】本発明の実施例3を示す上面図である。
【図13】レゾルバ2とギャップセンサ30,31の拡大図である。
【図14】実施例3の演算部の構成を示す図である。
【図15】本発明の実施例4を示す上面図である。
【図16】本発明の実施例5を示す上面図である。
【図17】実施例5の演算部の構成を示す図である。
【図18】本発明の実施例6を示す上面図である。
【図19】実施例6の演算部の構成を示す図である。
【図20】本発明の実施例7を示す上面図である。
【図21】実施例7の演算部の構成を示す図である。
【図22】従来例の位置決め装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0110】
1 スライダ
2,20〜23 レゾルバ
30〜33 ギャップセンサ
4,4’,4” 演算部
40,40’,40” レゾルバ位置算出部
40a 定数決定部
40b 補正部
40c レゾルバ位置変換部
40d ギャップ算出部
41 スライダ姿勢算出部
42 スライダ位置・回転角算出部
10 プラテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX軸およびY軸の少なくとも1軸方向に位置制御されるスライダと、このスライダと対向する面に磁極の歯が形成されて前記スライダと平面モータを構成するプラテンとを備えた位置決め装置において、
前記スライダの前記1軸方向の位置を検出するレゾルバと、
このレゾルバと前記プラテンとの間のギャップを検出するギャップセンサと、
このギャップセンサの出力に基づいて前記レゾルバの出力の振幅を補正する補正部と、
この補正部からの出力を位置情報に変換する位置変換部と、
を備えたことを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記ギャップセンサの出力に応じて前記レゾルバの出力の振幅に乗じる定数を決定することを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
【請求項3】
前記ギャップセンサは、前記レゾルバに隣接して配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記ギャップセンサは、前記レゾルバの前記1軸方向の両側に配置されたことを特徴とする請求項1〜3に記載の位置決め装置。
【請求項5】
前記ギャップセンサは、前記スライダの前記1軸方向の両端部に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置。
【請求項6】
前記ギャップセンサは、前記スライダの角部に配置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置。
【請求項7】
前記ギャップセンサの出力に基づいて前記プラテンに対する前記スライダの姿勢を制御することを特徴とする請求項1〜6に記載の位置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図3】
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【図8】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−8063(P2010−8063A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164246(P2008−164246)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】