説明

位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法

【課題】既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準位置に対する移動体の位置の算出精度の向上を図ること。
【解決手段】車両に設けられ、路側に設置された光ビーコン102から発信された光信号の受光状態に基づいて、光ビーコン102の通信エリアに対する車両の位置関係の変化を検出する。そして、通信エリアに関する情報Hb,Ld,Lnに基づいて、変化が検出されたタイミングにおける通信エリア内の基準点(X,Y)に対する受光部の位置を算出し、算出された算出結果を出力するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、路側に設置された通信機器から発信された光信号を用いて移動体の位置を算出する位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の位置を標定し、標定した位置に応じて車両に対する情報提供・警告・介入制御をおこなう先進安全サービスが注目を集めている。先進安全サービスは、たとえば交差点やカーブなどから所定範囲(たとえば、中心部から100m圏)内に進入した車両に対して、自他車両の位置情報・信号情報・標識情報などを提供し、運転者の不注意・見落としなどによる交通事故を予防するサービスである。
【0003】
先進安全サービスにおいては、車両の位置に適したサービスを提供するために、車両の位置を精度よく標定することが重要である。たとえば車両位置表示サービスにおいては、車両の進行方向における標定誤差が車長の半分程度(2.5m以下)であることが要求される。また、車両が走行している車線を検出する場合、車幅方向における標定誤差は車幅の半分程度(1m以下)であることが要求される。
【0004】
車両の位置を標定する技術としては、たとえば車両が搭載する速度センサやジャイロセンサの出力値を用いた自律航法がある。自律航法は、電波環境(受信感度)の変化に応じて検出精度が変動するGPS(Global Positioning System)とは異なり、車両周囲の環境が検出精度に影響しにくい。自律航法は、たとえば高層ビルが立ち並ぶ都心部など、車両からのGPS衛星の見通しが効かない場所における車両の位置標定に適している。
【0005】
自律航法にしたがって車両の標定を検出する場合、基準となる位置からの移動距離が長くなると、速度センサやジャイロセンサによる出力値の累積誤差が大きくなり、標定精度が低下する。従来は、たとえば光ビーコンが発信した光信号を用いた通信が可能なエリアの境界位置を検出し、境界位置を検出した時点における車両の現在位置を、光ビーコンに既定の境界位置に補正することによって標定精度向上を図るようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1参照。)。また、たとえばUWB(Ultra Wide Band)、磁気マーカ、超音波測位などを利用して車両の位置を標定することによって、標定精度向上を図るようにした技術があった。
【0006】
【特許文献1】特開平11−296793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の技術では、車両の前後移動方向において3.7mの幅を有する光ビーコンの規定通信エリア内において光信号を一様に受信するため、規定通信エリアへの進入時と規定通信エリアからの退出時とでは受信位置に3.7mのずれが生じる。また、光ビーコンの実際の通信エリアは、雨や霧の気象条件、光ビーコンの送信部の汚れなどに起因する受信感度の低下に備え、規定通信エリアよりさらに広く設定されており、先進安全サービスを提供するために目標とする精度(100m程度の走行で誤差が半車両長以下)に遠く及ばないという問題があった。
【0008】
また、上述した特許文献1に記載された技術を用いた場合にも、車高の違いなどに応じて、算出精度にばらつきが生じ、先進安全サービスへ適用するためには、高精度化の余地がある。さらに、上述した従来技術においてUWB・磁気マーカ・超音波測位などを用いた車両の位置標定に際しては、標定のための新たな機器を車両に導入しなくてはならず、導入のための時間や費用など運転者(車両の維持者)が負担するコストが発生するという問題があった。
【0009】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準位置に対する移動体の位置の算出精度の向上を図ることができる位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法は、移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信し、受信された電気信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出し、前記通信範囲に関する情報に基づいて、変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記受光装置の位置を算出し、算出された算出結果を出力することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、光信号の直進性を利用することにより通信範囲の境界を精度よく検出し、移動体に搭載された受光装置の基準位置に対する位置を精度よく算出することができる。
【0012】
また、この発明にかかる位置算出装置は、上記の発明において、前記移動体が前記通信範囲内へ進入したことを前記位置関係の変化として検出するようにしてもよい。この発明によれば、移動体が通信範囲内に進入した時点で、移動体に搭載された受光装置の基準位置に対する位置を算出することができる。これによって、たとえば、算出結果である移動体の位置を、利用者に早期に案内することができる。
【0013】
また、この発明にかかる位置算出装置は、上記の発明において、前記移動体が前記通信範囲から退出したことを前記位置関係の変化として検出するようにしてもよい。この発明によれば、通信機器に近い位置で光信号を受信(受光)することができるので、通信範囲の境界を精度よく検出し、移動体に搭載された受光装置の基準位置に対する位置を精度よく算出することができる。
【0014】
また、この発明にかかる位置算出装置は、上記の発明において、検出結果に基づいて、前記通信機器の設置面に対する前記受光装置の高さを算出するようにしてもよい。この発明によれば、算出された受光装置の高さに基づいて、移動体ごとの基準位置に対する受光装置の位置を算出することができるので、移動体に搭載された受光装置の基準位置に対する位置を、各移動体における受光装置の設置位置(高さ)に応じて高精度に特定することができる。
【0015】
また、この発明にかかる位置算出装置は、上記の発明において、前記各通信機器から発信された光信号の中から前記通信範囲に関する情報を前記通信機器ごとに取得し、取得された情報に基づいて、前記通信範囲内の基準位置に対する前記受光装置の位置を算出するようにしてもよい。
【0016】
この発明によれば、通信機器の設置場所や光信号の発信状況など、各通信機器に特化した情報に基づいて、移動体ごとの基準位置に対する受光装置の位置を算出することができるので、移動体に搭載された受光装置の基準位置に対する位置を、各通信機器の状況に応じて高精度に特定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法によれば、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準位置に対する移動体の位置の算出精度の向上を図ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる距離算出装置、距離算出プログラム、記録媒体および距離算出方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態1)
はじめに、この発明の実施の形態1にかかる位置標定システムについて説明する。この発明の実施の形態1にかかる位置標定システムは、たとえば、車両などの移動体の位置を標定(測位)するシステムであり、先進安全サービスに適用可能である。先進安全サービスは、たとえば、先進安全サービス提供の対象となる車両(以下、適宜「対象車両」という)の運転者の安全運転を支援するサービスである。先進安全サービスには、具体的には、たとえば車両位置表示サービス・信号情報提供サービス・規制情報利用サービスなどがある。
【0020】
車両位置表示サービスは、たとえば対象車両の表示装置に交差点付近の他車位置を表示するサービスである。信号情報提供サービスは、たとえば信号機の設置位置に対する対象車両の位置に応じて、点灯中の信号色情報の提供・停止位置の案内・車両動作への介入制御などをおこなうサービスである。規制情報利用サービスは、たとえばカーブなど見通しがきかない道路などにおいて、進行方向前方の停車車両や低速走行車両の存在を案内するサービスである。このような先進安全サービスにより、対象車両の運転者による安全運転を支援することが可能となる。
【0021】
図1は、この発明の実施の形態1にかかる位置標定システムの概要を示す説明図である。図1において、この発明の実施の形態1にかかる位置標定システム100は、先進安全サービスエリア110内を走行する車両(移動体)101の位置を、光ビーコン(通信機器)102から発信された光信号を用いて標定するシステムである。先進安全サービスエリア110は、先進安全サービスを提供することが可能な領域であり、一般道路上の任意の位置に設けることが可能な領域である。
【0022】
光ビーコン102は、道路の脇など路側に設置され、渋滞情報・リンク旅行時間情報・規制情報・駐車場情報・区間旅行時間情報などの道路交通情報を含む光信号を発信する。光ビーコン102は、光ビーコン102の設置位置に直近の道路(たとえば走行中の道路および当該道路に接続する道路)についての道路交通情報を含む光信号を発信する。道路交通情報は、簡易図形や文字情報の形態であらわされる。
【0023】
また、光ビーコン102は、道路交通情報に加えて光ビーコン102の設置位置や通信エリア(通信範囲)に関する情報を含む光信号を発信する。設置位置に関する情報は、たとえば光ビーコン102の設置位置をあらわす位置座標である。設置位置に関する情報は、たとえば光ビーコン102に直近する交差点などの基準位置の位置座標に対する相対的な座標情報であってもよい。通信エリアに関する情報は、各光ビーコン102が光信号を発信する範囲をあらわす情報であり、通信エリアの境界位置などをあらわす情報である。
【0024】
車両101には、受光装置と、位置算出装置とが搭載されている。受光装置は、光ビーコン102から発信された光信号を受光し、受光した光信号に応じた電気信号を出力する。位置算出装置は、受光装置から出力された電気信号に基づいて車両101の位置を算出する。受光装置は、複数の受光素子が配列された受光部を備えており、受光部における受光状態に応じた電気信号を出力する。受光部および受光装置は、公知の各種の受光素子を用いて構成することが可能であるため、ここでは受光素子の構成については図示および説明を省略する。位置算出装置については詳細を後述する。
【0025】
車両101と光ビーコン102との通信に用いる光信号には、アップリンク(以下、「UL」という)信号およびダウンリンク(以下、「DL」という)信号がある。UL信号は、車両101から光ビーコン102に対して発信する信号であり、たとえば車両101の識別情報である車両IDを含んでいる。DL信号は、光ビーコン102から車両101に対して発信する信号であり、たとえば光ビーコン102の設置位置をあらわす情報などを含んでいる。
【0026】
つぎに、光ビーコン102の通信エリアについて説明する。図2−1および図2−2は、光ビーコン102の通信エリアについて説明する説明図である。図2において、UL信号とDL信号とは通信エリアの大きさが異なっている。図2−1に示すDL信号を用いた通信エリア(DLエリア)201は、図2−2に示すUL信号を用いた通信エリア(ULエリア)202に一部重複している。車両101の前後移動方向において、DLエリア201はULエリア202よりも長い。すなわち、車両101は、光ビーコン102に対してUL信号を発信する距離より長い間、光ビーコン102からDL信号を受信することができる。
【0027】
図3は、光信号について説明する説明図である。図3において、UL信号およびDL信号は、それぞれ、車両101と光ビーコン102とが特定の位置関係にある場合に検出することができる。具体的に、UL信号は車両101がULエリア202内にある場合に車両101より発信されたUL信号を、光ビーコン102により検出することができ、DL信号は車両101がDLエリア(図3における「DL圏」)201内にある場合に光ビーコン102により発信されたDL信号を、車両101により検出することができる。
【0028】
DL信号はDLエリア201内において一定の強度を有する信号である。すなわち、受光装置が一定強度の光信号を受光していることを示す電気信号を出力している間は、当該受光装置(を搭載する車両101)はDLエリア201内にあるといえる。DL信号は、一定強度を有しているため、DLエリア201内であれば、DL信号を受信した時点における信号の立ち上がりを明確に検出することができる。また、DL信号は、一定強度を有していることから、受信できなくなった時点で信号が急激に立ち下がる。
【0029】
図4は、車両101と光ビーコン102から発信される光信号との関係について説明する説明図である。図4において、車両101は、基準点(基準位置)に近付く方向に移動している。基準点は、光ビーコン102の通信エリア内に設けられる任意の地点であり、たとえば光ビーコン102の設置位置の位置座標(X,Y)によってあらわされる。
【0030】
車両101がDLエリア201およびULエリア202への進入境界に到達すると、受光装置が備える受光部に対して、DL信号が入射する。
【0031】
そして、車両101がDLエリア201からの退出境界に到達すると、受光部にはいずれの光信号の入射もなくなる。その後、車両101は基準点を通過する。以降、DLエリア201への進入境界から、DLエリア201からの退出境界までのエリアを、適宜、光ビーコン102の通信エリアとして符号201を付して説明する。
【0032】
車両101が、光ビーコン102の通信エリア201に進入したか否かは、図3に示すDL光信号の受光状態を表す信号強度の立ち上がりを検出することによって検出することができる。光ビーコン102は、光ビーコン102の通信エリア201に対して、DL信号を常に照射している。また、車両101が、光ビーコン102の通信エリア201から退出したか否かは、たとえば図3に示すDL光信号の受光状態を表す信号強度の立ち下がりを検出することによって検出することができる。
【0033】
図4において、Lnは、基準点(X,Y)から、光ビーコン102の通信エリア201の退出境界までの距離をあらわしている。Ldは、基準点(X,Y)から通信エリア201の進入境界までの距離をあらわしている。LnおよびLdは、車両101の前後方向の移動における距離をあらわしている。
【0034】
LnおよびLdは、車両101の位置を算出する時点で既知の値であり、たとえば光ビーコン102から発信される光信号を受信(受光)するごとに、当該光信号の中から抽出することができる。また、LnおよびLdは、たとえば、すべて一律の値とし、車両101に設けられた記憶装置にあらかじめ記憶されている値であってもよい。
【0035】
つぎに、車両101の位置算出方法について説明する。図5は、車両101の位置算出方法について説明する説明図である。図5において、通信エリア201の退出境界に到達した時点における受光部の位置は、通信エリア201の退出境界上にある。本実施の形態においては、車両101の前後移動方向において、基準点(X,Y)から距離Lnだけずれた位置を、通信エリア201の退出境界に到達した時点における車両101の位置として算出する。
【0036】
基準点(X,Y)に対して、どの方向に距離Lnだけずれた位置とするかは、たとえば基準点(X,Y)を通る道路の方向、当該道路の太さ、および当該道路における光ビーコン102の位置、などに基づいて決定する。具体的には、たとえば南北方向に敷設された道路上の交差点より北側に基準点(X,Y)が設けられている場合、当該道路に沿って基準点(X,Y)よりも北側に距離Lnずれた位置を、通信エリア201の退出境界に到達した時点における車両101の位置として算出する。
【0037】
図6は、光ビーコン102の通信エリア201と車高との関係を示す説明図である。図6において、符号101は、たとえばセダンタイプの普通乗用車など、一般的な車両(図6においては「小型車」と記載)をあらわしている。また、符号101’は、たとえばバス・トラック・ダンプなど、車高の高い車両(図6においては「大型車」と記載)をあらわしている。図6から分かるように、通信エリア201の侵入境界に到達した時点における、基準点(X,Y)に対する受光装置内の受光部の位置は、路面に対する受光部の高さによって異なる。
【0038】
図5において、Hcは、鉛直方向における、車両101に搭載された受光部と道路表面との距離、すなわち路面に対する受光部の高さをあらわしている。Hcは、車両101ごとに異なる値である。Hcは、具体的には、上記の小型車と大型車との違いとしてあらわされるように、車両101の高さ(車高)に依存する。Hcは、車高の他に、同じ車両101であっても車両101ごとの受光部の取り付け位置によっても異なるが、車高にもっとも大きく依存する。
【0039】
Hbは、光ビーコン102の高さ寸法をあらわしている。Hbは、鉛直方向における、光ビーコン102と光ビーコン102が光信号を照射する道路表面との距離、すなわち路面に対する光ビーコン102の高さをあらわしている。Hbは、車両101の位置を算出する時点で既知の値であり、たとえば光ビーコン102から発信される光信号を受信(受光)するごとに、当該光信号の中から抽出することができる。また、Hbは、たとえば、すべて一律の値とし、車両101に設けられた記憶装置にあらかじめ記憶されている値であってもよい。
【0040】
Ddは、車両101の前後移動方向において、車両101に搭載された受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の進入境界に到達してから退出境界に到達するまでの距離である。Dnは、車両101の前後移動方向において、車両101に搭載された受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の退出境界に到達する位置から基準点(X,Y)までの距離である。
【0041】
車高を考慮することにより、通信エリア201の退出境界に到達した時点における車両101の実際の位置は、車両101の前後移動方向において、基準点(X,Y)から距離Dnだけずれた位置となる。基準点(X,Y)とLnとが既知であるため、車高をあらわすHcが分かればDnを特定することができる。
【0042】
図5において、Aは光ビーコン102による光信号の発信位置、Bは車両101の前後移動方向において基準点(X,Y)から距離Lnずれた位置、Cは路面上の通信エリア201への進入境界の位置をあらわしている。また、Dは車両101に搭載された受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の退出境界に到達する位置、Eは車両101に搭載された受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の進入境界に到達する位置をあらわしている。三角形ABCと三角形ADEとは相似関係にある。
【0043】
三角形ABCにおいて、底辺となる辺BCの長さおよび高さは既知であり、底辺=Ld−Ln、高さ=Hbである。三角形ADEにおいて、底辺となる辺DE=Ddであり、高さHb−Hcである。Ddは、受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の進入境界に到達してから退出境界に到達するまでの距離であり、実測することが可能な値である。
【0044】
Ddは、たとえば、光ビーコン102から連続して発信される一定サイズのフレームの受信数と光信号の通信速度とに基づいた演算をおこなうことによって取得することができる。また、Ddは、たとえば車両101から車速パルスを検出し、検出された車速パルスに基づいた演算をおこなうことによって取得することができる。Ddは、公知の各種の方法にしたがった演算によって取得可能であるため、ここではDdの取得にかかる具体的な演算方法については説明を省略する。
【0045】
三角形ABCと三角形ADEとが相似関係にあることから、以下の(1)式が成り立つ。
【0046】
Hb:(Hb−Hc)=(Ld−Ln):Dd ・・・(1)
【0047】
(1)式によれば、Hcは以下の(2)式であらわされる。
【0048】
Hc=Hb−[(Hb×Dd)/(Ld−Ln)] ・・・(2)
【0049】
基準点(X,Y)を符号Oであらわし、基準点(X,Y)において路面からHcだけ離れた位置をFとする場合、三角形AOBと三角形AFDとは相似関係にあることから、以下の(3)式が成り立つ。
【0050】
Hb:(Hb−Hc)=Ln:Dn ・・・(3)
【0051】
三角形AOBにおいて、辺AOおよび辺OBは既知であり、辺AO=Hb、辺OB=Lnである。三角形AFDにおいて、辺AF=Hb−Hc、辺DE=Ddである。上記の(2)式よりHcを得ることができ、実測によりDdを得ることが可能であるため、Dnは上記の(3)式より以下の(4)式によってあらわされる。
【0052】
Dn=[Ln(Hb−Hc)]/Hb ・・・(4)
【0053】
上記の演算によって、車両101の前後移動方向において、基準点(X,Y)から距離Dnだけずれた位置を、通信エリア201の退出境界に到達した時点における車両101の位置として、車両101ごとに算出することができる。
【0054】
つぎに、車両システム300のハードウェア構成について説明する。図7は、位置算出装置のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。図7において、位置算出装置は、CPU701と、メモリ702と、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という)703と、ハードディスク(以下、「HD」という)704と、光ディスクドライブ(以下、「光DD」という)705と、光ディスク706と、インターフェイス(以下、「I/F」という)707と、受光装置708と、ジャイロセンサ709と、速度センサ710と、ディスプレイ711と、スピーカ712と、を備えている。各構成部701〜712は、バス713によってそれぞれ接続されている。
【0055】
ここで、CPU701は、車両システム300全体の制御を司る。メモリ702は、ブートプログラムなどのプログラムを記憶するROMやCPU701のワークエリアとして使用されるRAMなどによって実現される。HDD703は、CPU701の制御にしたがってHD704に対するデータのリード/ライトを制御する。HD704は、HDD703の制御で書き込まれたデータを記憶する。HD703は、たとえば地図情報や交通情報などを書き換え可能に記憶する。
【0056】
光DD705は、CPU701の制御にしたがって光ディスク706に対するデータのリード/ライトを制御する。光ディスク706は、光DD705の制御で書き込まれたデータを記憶したり、光ディスク706に記憶されたデータをCPU701に読み取らせたりする。光ディスク706は、光DD705に対して着脱可能な記録媒体である。
【0057】
光ディスク706は、具体的にはたとえばCD−ROM(CD−R、CD−RW)、DVD(Digital Versatile Disk)などである。着脱可能な記録媒体として、光ディスク706以外の記録媒体であってもよい。この場合の着脱可能な記録媒体としては、具体的には、たとえばフレキシブルディスク、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0058】
I/F707は、通信回線を通じてインターネットなどのネットワークに接続され、このネットワークを介して他の装置に接続される。I/F707は、ネットワークと内部のインターフェイス機能を司り、たとえばセンター装置などの外部装置からのデータの入出力を制御する。また、I/F707は、光ビーコン102が発信した光信号を受信(受光)する。
【0059】
ジャイロセンサ709は、車両101の方向変化を計測する。速度センサ710は、車両101の走行距離を検出する。基準となる位置(たとえば初期位置(X,Y))に対する車両101の相対的な位置は、基準となる位置座標と、ジャイロセンサ709で検出した方向と、速度センサ710で検出した走行距離と、を用いて自律航法にしたがった演算をおこなうことによって算出することができる。自律航法にしたがった演算については、公知の技術であるためここではその説明を省略する。
【0060】
ディスプレイ711は、上述した交通情報や、たとえば道路脇などに設置されたカメラが撮影した画像などのデータを表示する。ディスプレイ711は、地図、地図上の自車位置、誘導経路などを表示してもよい。また、ディスプレイ711は、先進安全サービスが提供可能な各種サービスのリストなどを表示してもよい。ディスプレイ711は、車両101の現在位置をあらわす情報(地図画像に重畳表示された自車マークなど)を表示する出力部として機能する。
【0061】
リストに表示された各種の機能は、車両101に設けられた操作部(図示を省略する)の操作によって選択し実行する。操作部は、キーボタン、タッチパネル、リモコンなど、公知の各種操作手段を用いることが可能であり、ここではその説明を省略する。ディスプレイ711は、たとえばTFT液晶ディスプレイなどを採用することができる。なお、TFT液晶ディスプレイをはじめとする各種の液晶ディスプレイについては、公知の技術であるためここではその説明を省略する。
【0062】
スピーカ712は、ボイスコイルと、ボイスコイルの周囲に設けられた磁石と、ボイスコイルに取り付けられたスピーカーコーンと、を備えている。スピーカ712は、CPU701の制御にしたがってボイスコイルへの通電がおこなわれた場合に、磁石によってボイスコイル周辺に作られる磁場を利用して音声を出力する。スピーカ712の構造および音声の出力方法については、公知の技術であるためここではその説明を省略する。
【0063】
つぎに、位置標定システムの機能的構成について説明する。図8は、位置標定システムの機能的構成を示すブロック図である。図8において、位置標定システムは、光ビーコン102が備える投受光器801・データ通信機能部802と、車両101側に設けられた投受光器803・データ通信機能部804・受信データ処理機能部805・境界面検出機能部806・自律測位機能部807・通信エリア長位置補正機能部808・境界面位置検出機能部809・自車位置検出機能部810と、によって構成されている。
【0064】
投受光器801は、車両101に対して光信号を発信(投光)し、車両101側から発信された光信号を受信(受光)する。投受光器801が車両101に対して発信(投光)するのは、上述したDL信号である。データ通信機能部802は、投受光器801を介した車両101との通信を制御する。
【0065】
投受光器803は、光ビーコン102から発信された光信号を受信(受光)し、光ビーコン102に対して光信号を発信(投光)する。投受光器803は、光ビーコン102から発信された光信号を受光する受光部を備えている。データ通信機能部804は、投受光器803を介した光ビーコン102との通信を制御する。受信データ処理機能部805は、光ビーコン102から受信(受信)した光信号の中から、基準点(X,Y)、Ln、Ld、Hbなどをあらわす情報を抽出する。
【0066】
境界面(位置)検出機能部806は、投受光器803における光信号の受光状態に基づいて、受光部が通信エリア201への進入境界あるいは退出境界に到達したことを検出する。本実施の形態においては、境界面検出機能部806によって、光ビーコン102の通信エリア201に対する車両101の位置関係の変化を検出する検出機能が実現される。
【0067】
自律測位機能部807は、ジャイロセンサ709や速度センサ710などからの出力値を取得する。自律測位機能部807は、具体的には、たとえばジャイロセンサ709や速度センサ710およびこれらのセンサからの出力値が入力されるI/Fやフィルタ(いずれも図示を省略する)などによってその機能を実現することができる。
【0068】
通信エリア長位置補正機能部808は、自律測位機能部807が取得した情報に基づいて、受信データ処理機能部805によって光信号の中から取得された、通信エリア201に関するパラメータを補正する。たとえば、距離(Ld−Ln)を、受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の進入境界に到達してから退出境界に到達するまでの距離に補正する。
【0069】
境界面位置検出機能部809は、通信エリア長位置補正機能部808によって補正されたパラメータに基づいて、受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の進入境界および退出境界に到達したことを検出する。自車位置検出機能部810は、受信データ処理機能部805による処理結果、境界面検出機能部806による検出結果、および境界面位置検出機能部809によって検出された境界面の位置に基づいて、車両101の現在位置(自車位置)を検出する。
【0070】
境界面検出機能部806・通信エリア長位置補正機能部808・境界面位置検出機能部809は、具体的には、たとえば、CPU701がメモリ702に記憶されたプログラムを実行することによってその機能を実現することができる。
【0071】
つぎに、位置算出装置が実行する処理手順について説明する。図9は、位置算出装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。図9のフローチャートにおいて、まず、境界位置検出処理を実行する(ステップS901)。ステップS901においては、受光部における光信号の受光状態に基づいて、受光部が通信エリア201の境界位置(進入境界、退出境界)に到達したことを検出する。
【0072】
そして、ステップS901の処理によって検出した境界位置に基づいて、自車位置検出処理をおこない(ステップS902)、検出された自車位置に基づいて自車位置補正処理をおこなう(ステップS903)。その後、自律測位処理をおこなって(ステップS904)、再びステップS901の境界位置検出処理を実行する。
【0073】
図10は、境界位置検出処理手順を示すフローチャートである。図10に示した処理手順は、上述したステップS901において実行される処理である。図10のフローチャートにおいて、まず、受光部における光信号の受光状態に基づいて、受光部に入射する光信号を監視する(ステップS1001)。そして、ステップS1001における監視結果に基づいて、通信エリア201の境界を検出したか否かを判断する(ステップS1002)。
【0074】
ステップS1002において、通信エリア201の境界を検出していない場合(ステップS1002:No)は、ステップS1001に戻り、引き続き信号を監視する。一方、通信エリア201の境界を検出した場合(ステップS1002:Yes)、上述したステップS902の処理へ移行する。
【0075】
図11は、自車位置検出処理手順を示すフローチャートである。図11に示した処理手順は、上述したステップS902において実行される処理である。図11のフローチャートにおいて、まず、I/F707を介して受信(受光)した光信号の中から、基準点(X,Y)に関する情報を取得する(ステップS1101)。また、I/F707を介して受信(受光)した光信号の中から、基準点(X,Y)から通信エリア201の退出境界位置までの距離Lnを取得する(ステップS1102)。ステップS1101およびステップS1102の処理は、ステップS1102の処理を先におこなってからステップS1101の処理をおこなってもよい。
【0076】
そして、ステップS1101およびステップS1102において取得された情報に基づいて、自車位置を算出する(ステップS1103)。その後、上述したステップ903の処理へ移行する。
【0077】
図12は、自車位置補正処理手順を示すフローチャートである。図12に示した処理手順は、上述したステップS903において実行される処理である。図12のフローチャートにおいて、まず、受光部における光信号の受光状態に基づいて、受光部が実際に光ビーコン102の通信エリア201の進入境界に到達してから退出境界に到達するまでの距離(実測の通信エリア長)Ddを取得する(ステップS1201)。
【0078】
つぎに、I/F707を介して受信(受光)した光信号の中から、基準点(X,Y)から通信エリア201の退出境界位置までの距離Ln、および、基準点(X,Y)から通信エリア201の進入境界位置までの距離Ldを取得する(ステップS1202)。そして、ステップS1201において取得したDdと、ステップS1202において取得したLn,Ldに基づいて自車の車高Hcを算出する(ステップS1203)。
【0079】
そして、算出されたHcに基づいてDnを算出し(ステップS1204)、算出されたDnに基づいて自車位置を再計算する(ステップS1205)。その後、上述したステップ904の処理へ移行する。
【0080】
上述したように、この発明の実施の形態によれば、光信号の直進性を利用することにより通信エリア201の境界(進入境界、退出境界)を精度よく検出し、基準点(X,Y)に対する車両101に搭載された受光部の位置を精度よく算出することができる。これによって、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準点(X,Y)に対する車両101(に搭載された受光部)の位置の算出精度の向上を図ることができる。
【0081】
また、この発明の実施の形態によれば、車両101が通信エリア201における退出境界に到達したことを検出しているため、光ビーコン102に近い位置で光信号の受信(受光)状態を判断することができるので、通信エリア201の境界を精度よく検出し、基準点(X,Y)に対する車両101に搭載された受光部の位置を精度よく算出することができる。これによっても、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準点(X,Y)に対する車両101(に搭載された受光部)の位置の算出精度の向上を図ることができる。
【0082】
また、この発明の実施の形態によれば、路面から受光部までの高さHcに基づいて、基準点(X,Y)に対する受光部の位置を車両101ごとに算出することができる。これによって、基準点(X,Y)に対する車両101に搭載された受光部の位置を、車両101ごとの受光部の高さHcに応じて精度よく算出することができる。これによって、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準点(X,Y)に対する車両101(に搭載された受光部)の位置を算出精度の一層の向上を図ることができる。
【0083】
また、この発明の実施の形態によれば、通信エリア201に関する情報(Hb,Ld,Lnなど)を光ビーコン102ごとに取得し、取得された情報に基づいて車両101に搭載された受光部の基準点(X,Y)に対する位置を算出することができる。これによって、光ビーコン102の設置場所や光信号の発信状況など、各光ビーコン102に特化した情報に基づいて、基準点(X,Y)に対する受光部の位置を車両101ごとに精度よく算出することができる。これによって、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準点(X,Y)に対する車両101(に搭載された受光部)の位置の算出精度の向上を図ることができる。
【0084】
上述した実施の形態においては、車両101に搭載された受光部が通信エリア201の退出境界に到達したことを検出し、車両101の位置を算出するようにしたが、車両101の位置を算出するタイミングはこれに限るものではない。たとえば、車両101が通信エリア201内に進入した時点で、車両101に搭載された受光部の基準位置に対する位置を算出することも可能である。この場合、算出された移動体101の位置を、利用者に早期に案内することができる。
【0085】
また、上述した実施の形態においては、水平な路面に対して、当該路面の垂線方向から光信号を発信する場合について説明したが、これに限るものではない。水平方向に対して傾斜している路面であっても、上述した方法と同様にして、車高を考慮した車両101の位置を算出することが可能である。
【0086】
水平方向に対して路面が傾斜している場合、路面が水平な場合と比較して、基準点(X,Y)から通信エリア201の退出境界面までの距離Lnや、基準点(X,Y)から通信エリア201の進入境界面までの距離Ldが異なる。図13および図14は、路面が傾斜している場合の通信エリア201の境界位置について説明する説明図である。
【0087】
図13において符号Gは水平な場合の路面を示しており、図14において符号G’は水平方向に対して傾斜している路面を示している。路面Gに対するLdをLd1とし、路面G’に対するLdをLd2とした場合、Ld2はLd1よりも短くなる。Ld1に対するLd2の割合は、路面Gに対する路面G’の傾斜角度に応じて異なる。また、Ld1に対するLd2の割合は、車両101の前後移動方向において、前方または後方のどちら側に路面が傾斜しているかに応じて異なる。
【0088】
路面Gが、前方が下がるように傾斜している場合、下り傾斜が大きくなるほどLd,Lnは小さくなる。一方、後方が下がるように傾斜している場合、上り傾斜が大きくなるほどLd,Lnは大きくなる。路面Gが傾斜している場合、水平方向に対する傾斜角度が大きいほど大きな測位誤差が発生する。
【0089】
実際の道路上における車両の位置算出において、すべての光ビーコン102に対して一定のLd,Lnを用いた場合には、算出される自車位置と実際の自車位置との誤差が発生する。このため、光ビーコン102ごとにLd,Lnを設定し、設定されたLd,Lnに関する情報を含む光信号を各光ビーコン102が発信するようにする。これによって、光ビーコン102ごとに自車位置を補正することができる。
【0090】
路面Gが傾斜している場合、光ビーコン102ごとのLd,Lnに関する情報に代えて、路面Gの傾斜角度および傾斜方向に関する情報を含む光信号を、各光ビーコン102が発信するようにしてもよい。
【0091】
また、たとえばHD704などの車両101が備えるメモリの記憶容量によっては、当該メモリに、各光ビーコン102の識別情報および各光ビーコン102ごとのLd,Lnをあらわす情報を対応付けて記憶しておくようにしてもよい。この場合、光ビーコン102からは、各光ビーコン102を識別する識別情報を含む光信号を発信させ、該当する光ビーコン102に対応付けられたLd,Lnを用いて自車位置を算出する。
【0092】
各光ビーコン102の識別情報および各光ビーコン102ごとのLd,Lnをあらわす情報は、たとえば日本全国を網羅する情報であってもよいし、関東地方・北海道地方・東京23区などのように所定の範囲内に設置された光ビーコン102に関する情報であってもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施の形態によれば、既設のインフラ設備の有効活用を図りつつ、基準点(X,Y)に対する車両101(に搭載された受光部)の位置の算出精度の向上を図ることができる。
【0094】
なお、本実施の形態で説明した位置算出方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0095】
(付記1)移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信する受信手段と、
前記受信手段による光信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出する検出手段と、
前記通信範囲に関する情報に基づいて、前記検出手段によって変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出する算出手段と、
前記算出手段よって算出された算出結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする位置算出装置。
【0096】
(付記2)前記検出手段は、前記移動体が前記通信範囲内へ進入したことを前記位置関係の変化として検出することを特徴とする付記1に記載の位置算出装置。
【0097】
(付記3)前記検出手段は、前記移動体が前記通信範囲から退出したことを前記位置関係の変化として検出することを特徴とする付記1に記載の位置算出装置。
【0098】
(付記4)前記算出手段は、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記通信機器の設置面に対する前記受光装置の高さを算出することを特徴とする付記1に記載の位置算出装置。
【0099】
(付記5)前記算出手段は、さらに、前記受光装置の高さに基づいて、前記移動体ごとの前記基準位置に対する前記受光装置の位置を算出することを特徴とする付記4に記載の位置算出装置。
【0100】
(付記6)前記各通信機器から発信された光信号の中から前記通信範囲に関する情報を前記通信機器ごとに取得する取得手段を備え、
前記算出手段は、前記取得手段によって取得された情報に基づいて、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の位置算出装置。
【0101】
(付記7)移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信させる受信工程と、
前記受信工程による光信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出させる検出工程と、
前記通信範囲に関する情報に基づいて、前記検出工程において変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出させる算出工程と、
前記算出工程において算出された算出結果を出力させる出力工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする位置算出プログラム。
【0102】
(付記8)付記7に記載の位置算出プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【0103】
(付記9)移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信する受信工程と、
前記受信工程による光信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出する検出工程と、
前記通信範囲に関する情報に基づいて、前記検出工程において変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された算出結果を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする位置算出方法。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明にかかる位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法は、移動体の現在位置を算出する位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法に有用であり、特に、光ビーコンが発信する光信号を用いて車両の位置を検出する位置算出装置、位置算出プログラム、記録媒体および位置算出方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる位置標定システムの概要を示す説明図である。
【図2−1】光ビーコンの通信エリア201について説明する説明図(その1)である。
【図2−2】光ビーコンの通信エリア201について説明する説明図(その2)である。
【図3】光信号について説明する説明図である。
【図4】車両と光ビーコンから発信される光信号との関係について説明する説明図である。
【図5】車両の位置算出方法について説明する説明図である。
【図6】光ビーコンの通信エリア201と車高との関係を示す説明図である。
【図7】位置算出装置のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】位置標定システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図9】位置算出装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図10】境界位置検出処理手順を示すフローチャートである。
【図11】自車位置検出処理手順を示すフローチャートである。
【図12】自車位置補正処理手順を示すフローチャートである。
【図13】路面が傾斜している場合の通信エリア201の境界位置について説明する説明図(その1)である。
【図14】路面が傾斜している場合の通信エリア201の境界位置について説明する説明図(その2)である。
【符号の説明】
【0106】
803 投受光器
804 データ通信機能部
805 受信データ処理機能部
806 境界面検出機能部
807 自律測位機能部
808 通信エリア長位置補正機能部
809 境界面位置検出機能部
810 自車位置検出機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信する受信手段と、
前記受信手段による電気信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出する検出手段と、
前記通信範囲に関する情報に基づいて、前記検出手段によって変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出する算出手段と、
前記算出手段よって算出された算出結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする位置算出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記移動体が前記通信範囲内へ進入したことを前記位置関係の変化として検出することを特徴とする請求項1に記載の位置算出装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記移動体が前記通信範囲から退出したことを前記位置関係の変化として検出することを特徴とする請求項1に記載の位置算出装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記通信機器の設置面に対する前記受光装置の高さを算出することを特徴とする請求項1に記載の位置算出装置。
【請求項5】
前記各通信機器から発信された光信号の中から前記通信範囲に関する情報を前記通信機器ごとに取得する取得手段を備え、
前記算出手段は、前記取得手段によって取得された情報に基づいて、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の位置算出装置。
【請求項6】
移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信させる受信工程と、
前記受信工程による電気信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出させる検出工程と、
前記通信範囲に関する情報に基づいて、前記検出工程において変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出させる算出工程と、
前記算出工程において算出された算出結果を出力させる出力工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする位置算出プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の位置算出プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
移動体に設けられた受光装置から、路側に設置された通信機器から発信された光信号を光電変換した電気信号を受信する受信工程と、
前記受信工程による電気信号の受信状態に基づいて、前記通信機器の通信範囲に対する前記移動体の位置関係の変化を検出する検出工程と、
前記通信範囲に関する情報に基づいて、前記検出工程において変化が検出されたタイミングにおける、前記通信範囲内の基準位置に対する前記移動体の位置を算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された算出結果を出力する出力工程と、
を含むことを特徴とする位置算出方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−26056(P2009−26056A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188269(P2007−188269)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】