説明

低いフッ素含有量の有機金属溶液から超伝導テープを得るための製造方法

本発明は、スペイン特許第2259919号にこれまで説明されている解決手段を出発点として利用して、10%の最大のフッ素含有量を有している有機金属の前駆物質の溶液を得ることに言及する。この変更は、超伝導の分解層の熱処理(熱分解)、および結晶の成長を一段階において実施可能にする。さらに、低いフッ素含有量は毒性および腐食のリスクを低下させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、スペイン特許第2259919号にこれまで説明されている解決手段を出発点として利用して、10%の最大のフッ素含有量を有している有機金属の前駆物質の溶液を得ることに言及する。この変更は、超伝導の分解層の熱処理(熱分解)、および結晶の成長を一段階において実施可能にする。さらに、低いフッ素含有量は、毒性および腐食のリスクを低下させる。
【0002】
〔背景技術〕
高温の超伝導材料は、種々の技術に利用される大きな可能性を有している。しかし、高磁場の条件を含めて高性能の超伝導体(特に損失無く大電流を送り得る超伝導体)を得るための方法論の開発は、必須の条件である。開発された最初の高温の伝導体は、BiSrCaCuO型の相に基づいており、それらは第1世代超伝導体(1G)と呼ばれた。そのような材料の開発は、エピタキシャル超伝導体(または被覆された伝導体)と呼ばれるREBaCu型の材料(REBCO、REは希土類またはイットリウムである)に基づく伝導体の第2世代(2G)の調製のための新しい方法論の開発とともに、大きく改められた。
【0003】
ここ数年において、種々の方法論は、大電流および高温の用途のための多くの分野において大きな可能性を有している、異なる多層構造に基づくエピタキシャル超伝導体を得るために、開発されている。種々の方策は、金属基板上へのエピタキシャル層の真空蒸着の方法論に主に基づくこれらの2G伝導体の調製のために、続けられている。これらの基板は、多結晶の基板におけるイオンビーム蒸着(IBD)によって堆積されている、構造化された酸化物の型板を有し得るか、または熱機械処理(例えば、いわゆるRolling Assisted Biaxial Texturing(RABiT))を介して基板において得られた構造を繰り返している構造化されたバッファ層から構成されている。興味深い他の取り組みは、上記構造化されたバッファ層が、Surface Oxidation Epitaxy(SOE)、または傾斜蒸着による堆積(Inclined Surface Deposition, ISD)によって実現されている場合である。
【0004】
構造化されたこれらの基板が得られた後に、エピタキシャル酸化物の蒸着は、原子拡散および酸化にとってバッファとしての機能を果たす多層構造の形態、ならびに電流が送られるREBCO超伝導層の形態において実施されている。これらの多層構造を調製するために、真空蒸着の技術(蒸着、レーザーアブレーション、スパッタリング)、または有機金属の化学溶液に基づく化学溶液堆積(CSD)が、利用可能である。後者は、低コストのエピタキシャル超伝導体を開発する可能性のために特に興味深い。
【0005】
YBCO超伝導体を成長させるためのトリフルオロ酢酸塩(TFA)前駆物質を使用する可能性の証明は、将来に向けての非常に重要な段階として広く記載されている(A. Gupta, R. Jagannathan, E.I.Cooper, E.A.Giess, J.I.Landman, B.W.Hussey, Superconducting oxide films with high transition temperature prepared from metal trifluoroacetate precursors, Appl. Phys. Lett. 52, 1988, 2077; P. C. Mclntyre, M. J. Cima, and M. F. Ng, Metalorganic deposition of high-J Ba YCu O thin films from trifluoroacetate precursors onto (100) SrTiO3J. Appl. Phys. 68, 1990, 4183)。これらの前駆物質は、有機金属の前駆物質の分解の後における最終生成物として、BaF、YおよびCuOを有しており、そのために低温度において薄いYBCOフィルムを成長可能にするBaCOの形成を阻害している。最近、フィルム製造のために求められる時間の低下および前駆物質の溶液の安定性の増大と同時に、高品質のフィルムの入手を目的とした無水のTFA前駆物質を得るための新しい方法論が、スペイン特許第2259919号および国際公開第2006/103303号に記載されている。
【0006】
現在の目的のうちの1つは、環境的な視点から処理(すなわち、毒性およびエネルギーの両方の視点から、考えられる最少の影響を有している前駆物質の塩および溶媒の使用)を改良することである。従って、前駆物質の塩におけるフッ素の存在を低下させるためのシステム(Dawley, Chem et al.2001; T. Dawley 2002; Xu, Goyal et al 2004; Seleznev and Cima 2005)、および種々の種類の添加剤を使用して熱処理時間を短縮させるためのシステム(T. Dawley 2002; Dawley, Chem et al.2004)が、記載されている。
【0007】
〔発明の説明〕
本発明は、安定化させる有機添加剤を有しており、低いフッ素含有量を有している有機金属の前駆物質の溶液の使用を通して、超伝導材料を得るための方法を提供する。上記方法は、超伝導層の調製のための熱処理における改良が、熱分解および結晶の成長を一段階において実施可能にすることを考慮すると、高品質の超伝導体を容易に得ることを可能にする。さらに、低いフッ素含有量は毒性のリスクを低下させる。本発明の第1の局面は、前駆物質の溶液から、堆積物を含んでいる超伝導材料を得る方法に言及する。当該溶液は、希土類もしくはイットリウムの塩の少なくとも1つ、アルカリ土類金属の塩の少なくとも1つ、および遷移金属の塩の少なくとも1つを含んでいる。上記方法は、上記前駆物質の塩の総重量と比べたフッ素の最大の割合が10重量%であることを特徴とする。これは、最先端において知られる標準的な溶液(イットリウム、バリウムおよび銅のトリフルオロ酢酸塩に基づく)のフッ素含有量と比べて、フッ素含有量の70%の低下を意味する。最小のフッ素含有量は、熱分解される層における初期のバリウムのすべてによってフッ化バリウムが形成される量に対応する量である。好ましい実施形態において、溶液における金属イオンの濃度の総計は、0.5Mから2.5Mの間である。
【0008】
希土類の上記塩は、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される少なくとも1つの元素を好ましく含んでいる。上記塩は、Y、Gd、Eu、Dy、またはそれらの組み合わせのうちのいずれかであることがより好ましい。この希土類またはイットリウムの上記塩の対イオンは、モノフルオロカルボン酸塩、ジフルオロカルボン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フッ素化されていないカルボン酸塩、またはこれらの組み合わせであり得る。希土類またはイットリウムの上記塩は、トリフルオロ酢酸塩であることがより好ましい。好ましい実施形態における上記アルカリ土類金属は、Ba、Sr、Caおよびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択され、より好ましい実施形態において、上記アルカリ土類金属はBaである。より好ましい実施形態において、上記アルカリ土類金属の上記塩はフッ素化されていないカルボン酸塩である。
【0009】
上記遷移金属の上記塩は、Cuの塩であることが好ましく、フッ素化されていないカルボン酸塩であることがより好ましい。
【0010】
好ましい実施形態において、上記溶液は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、ペンタノン、t−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、トリアミド、ヘキサン、メタノール、メチルt−ブチルエーテル、ジクロロメタン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリエチルアミン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される少なくとも1つの溶媒を含んでいる。より好ましい実施形態において、上記溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびこれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される少なくとも1つの溶媒を含んでいる。より好ましい実施形態において、上記溶媒はエタノールである。
【0011】
上記溶液は、炭素鎖によって構成されている少なくとも1つの安定化させる添加剤を好ましく含んでいる。ここで、当該炭素鎖は、重合体鎖の一部を形成するか、単独のか、または組み合わせのアルコール基、アミノ基、エーテル基およびカルボニル基を用いて官能化されている。添加剤がアミノアルコールである場合、添加剤はトリエタノールアミンであることが好ましく、また添加剤が尿素である場合、添加剤はN,N−ジメチル尿素であることが好ましい。安定化させる上記添加剤は、2重量%から20重量%の割合において、上記溶液に最も好ましく添加される。
【0012】
標準的な方法におけるフッ素の存在量の低下は、その低下とともに、毒性および腐蝕性ガスの低下を結果としてもたらしており、上記方法の工業的な応用を容易にしている。
【0013】
初期の溶液における添加剤の存在は、超伝導テープを、環境条件(例えば湿度)に対する影響を受けにくくさせる。結果として、長い保存時間にわたって安定であり、一般に説明されている条件に比べて、より堆積のための環境的な要件が緩和されている。
【0014】
本発明の方法は、分解および堆積生成物の結晶の成長を好ましく包含していることを特徴とする。このような熱処理は、一段階において、より好ましくは70℃から900℃の間の温度において実施される。この処理は、制御された雰囲気の炉において実施されることによってより好ましく特徴付けられ、750℃から820℃の間の温度に対して、7mbarから100mbarの間における水圧および0.1から1mbarの酸素圧を有している、窒素雰囲気において実施される第1の加熱;および300℃から500℃の間の温度、8時間未満の期間にわたる1barの酸素分圧における第2の加熱、続く室温への冷却を包含している。
【0015】
上記方法は、750℃から820℃の温度まで、5℃/分から100℃/分のうちの単一の温度傾斜において行われる。
【0016】
このようにして、超伝導層において行われる出発点の有機金属の塩の分解または熱分解、および続く結晶構造の成長は、一段階において行われる。これは、方法の全体的な簡易化および実行できる大規模な用途のための処理時間の低下を意味する。
【0017】
超伝導材料は、AA’Cu7−xの組成を好ましく有しており、Aは希土類またはY(イットリウム)であり、A’はアルカリ土類金属であり、xは0から1の間である。ここでAは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかからより好ましく選択される。Aはイットリウムであることがより好ましい。A’はBa、Sr、Ca、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかからより好ましく選択される。A’はバリウムであることがより好ましい。
【0018】
上記超伝導材料は、化学式YBaCu7−xを好ましく有しており、xは0から1の間である。
【0019】
好ましい実施形態において、上記溶液は、単結晶性または2軸の構造を有している基板の上に堆積させられ、より好ましい実施形態において、上記基板は、希土類の塩または酸化物;アルカリ土類金属の塩または酸化物;遷移金属の塩または酸化物;ならびにそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される。より好ましい実施形態において、上記基板は、SrTiOの単結晶、LaAlOの単結晶、ジルコニウムの単結晶、安定化ジルコニウム(YSZ)の単結晶、MgOの単結晶、希土類の酸化物の単結晶、および2軸に構造化されている金属のテープから選択される。
【0020】
第2の局面において、本発明は、本発明において上述される方法に従って入手可能な、超伝導材料に言及する。
【0021】
上記超伝導材料は化学式YBaCuを好ましく有している。この材料は、外部の磁界の非存在下(つまり試料自身またはオートフィールドによって生成される磁界を有している)において、77Kにおける2MA/cmから4MA/cmの臨界電流密度をより好ましく有していることを特徴とする。第3の局面において、本発明は、希土類もしくはイットリウムの塩の少なくとも1つ、アルカリ土類金属の塩の少なくとも1つ、および遷移金属の塩の少なくとも1つを含んでおり、これらの塩の溶液における10重量%未満のフッ素含有量を有している溶液に言及する。
【0022】
また、より好ましい実施形態において、これらの塩は、安定化させる添加剤(例えば、上述のような添加剤)を含有している。
【0023】
本発明の第4の局面は、超伝導材料を得るための溶液の使用に言及する。
【0024】
明細書および特許請求の範囲を通して、単語“含んでいる”およびその変化形の使用は、他の技術的特徴点、添加物、構成要素またはステップを除外すると意図されていない。当業者にとって、本発明の目的、利点および特徴は、明細書本文の実施から部分的に、本発明の実施から部分的に得られる。以下の実施例および図面は、説明の目的のために与えられており、本発明の限定として意図されていない。
【0025】
〔図面の簡単な説明〕
図1.標準的な無水の溶液の熱処理。
【0026】
図2.低いフッ素含有量を有している変更された溶液の熱処理。
【0027】
図3.低いフッ素含有量を有している変更された溶液から成長したYBCOの層のSEM画像。
【0028】
〔実施例〕
本発明は、発明者らによって実施されたいくつかの試験によって以下に説明されている。当該試験は、低いフッ素含有量を有している有機金属の前駆物質の溶液の使用を通して、超伝導材料を得るための方法の特異性および有効性を説明している。
【0029】
(実施例1)
Yのトリフルオロ酢酸塩、Baの2,4−ペンタンジオネート塩、およびCuの酢酸塩の50mlの溶液(1.5Mの金属の濃度の総計(1:2:3のY:Ba:Cu比率)を有している)が調製された。これは、減圧した70℃の炉において16時間にわたってあらかじめ乾燥されている5.35g(1.25×10−2モル)のY(TFA)、10.59g(2.5×10−2モル)のBa(acac)、および6.81g(1.75×10−2モル)のCu(AcO)を秤量することによってなされた。上記塩は20mlのメタノールに溶解され、10mL(7.5×10−2モル)のトリエタノールアミン(TEA)は混合物に添加され、メタノールを用いて50mLの最終的な体積に調整した。
【0030】
この溶液は、スピンコーティングの手法によって、5×5mmの面積、0.5mmの厚さ、(100)の配向性のLaAlOの単結晶基板の上に堆積された。つぎに、熱処理は、YBaCu相の形成をさせるために実施された。これは、急速な温度上昇(25℃/分)が790〜815℃の範囲における温度に達するまで適用される炉において実施された。この温度は、180分(最終の30分は乾燥状態)にわたって維持され、それから降下傾斜は2.5℃/分の変化率において室温に達するまで適用された。この場合に、酸素圧は0.2mbarであり、水圧は7mbarであった。窒素について0.012L/分から0.6L/分および酸素について0.006L/分から0.03L/分の間の範囲を有しているガス流は、混合気を製造するために使用される質量流量の制御機器(Bronkhorst High-Tech)によって可能にされているガス流であった。この試料の酸素添加は、炉から当該試料を取り出すことなく同じ乾燥雰囲気を使用して実施された。温度は450℃まで上昇させられ、キャリアガスは1barの圧力における乾燥酸素に変更され、この温度は90分にわたって維持された。つぎに温度降下の傾斜は、室温に達するまで、300℃/時間において実施された。生じた層は、約275nmの厚さであった。
【0031】
上記試料は、X線回折、SEM画像、およびオートフィールド(J=3.6×10A/cm)の、77Kにおける臨界電流の測定によって、特性が決定された。65Kにおいて基板に対して直角に印加された磁界に応じた臨界電流の依存性は、基準値のために測定された。65KおよびH=1Tにおいて、J=0.45×10A/cmであることが分かった。
【0032】
(実施例2)
隔膜タイプのキャップを備えているガラス瓶は、6.60g(7.5×10−2モル)のN,N−ジメチル尿素を用いて充填され、この上から、実施例1のように調製された20mlのYBCOのメタノール溶液が加えられた。混合物は、室温において攪拌され、0.45μmのフィルタを通してろ過された。このように調製された混合物はAr雰囲気において保存された。
【0033】
Y、BaおよびCuの塩のこの溶液(20%のN,N−ジメチル尿素を含有している)は、実施例1に示されている同じ条件において、LaO基板の上に堆積された。堆積された試料の熱処理は、YBaCu相の形成をもたらすために、実施例1に記載されているように実施された。結果として生じた層は200nmの厚さであった。上記試料は走査型電子顕微鏡およびX線回折によって特性が決定された(図3)。
【0034】
(実施例3)
溶媒としてエタノールが使用されたことを除いて、実施例1に記載された同じ方法に従った。
【0035】
Y、BaおよびCuの塩のこの溶液(20%のTEAを含有している)は、実施例1に示されている同じ条件において、LaO基板の上に堆積された。堆積された試料の熱処理は、YBaCu相の形成をもたらすために、実施例1に記載されているように実施された。生じた層は200nmの厚さであった。上記試料は走査型電子顕微鏡およびX線回折によって特性が決定された(図3)。
【0036】
(実施例4)
溶媒としてエタノールが使用され、実施例2に記載された同じ方法に従った。
【0037】
Y、Ba、およびCuの塩のこの溶液(20%のTEAを含有している)は、実施例1に示されている同じ条件の下において、LaO基板の上に堆積された。堆積された試料の熱処理は、YBaCu相の形成をもたらすために、実施例1に記載されているように実施された。生じた層は200nmの厚さであった。上記試料は走査型電子顕微鏡およびX線回折によって特性が決定された(図3)。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】標準的な無水の溶液の熱処理を示す図である。
【図2】低いフッ素含有量を有している変更された溶液の熱処理を示す図である。
【図3】低いフッ素含有量を有している変更された溶液から成長したYBCOの層のSEM画像を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類もしくはイットリウムの塩の少なくとも1つ、アルカリ土類金属の塩の少なくとも1つ、および遷移金属の塩の少なくとも1つを含んでいる前駆物質の溶液からの堆積物を含んでいる超伝導材料を得る方法であって、
上記前駆物質の塩の総重量と比べた重量に基づくフッ素の最大の割合が10%であること特徴とする方法。
【請求項2】
上記溶液における金属イオンの濃度の総計は0.5Mから2.5Mの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
希土類の上記塩は、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される少なくとも1つの元素を含んでいる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記塩は、Y、Gd、Eu、Dy、またはそれらの組み合わせのうちのいずれかである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
希土類またはイットリウムの上記塩は、モノフルオロカルボン酸塩、ジフルオロカルボン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フッ素化されていないカルボン酸塩、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
希土類またはイットリウムの上記塩はトリフルオロ酢酸塩である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記アルカリ土類金属は、Ba、Sr、Ca、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記アルカリ土類金属はBaである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記アルカリ土類金属の上記塩は、フッ素化されていないカルボン酸塩である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
上記遷移金属はCuである、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
上記遷移金属の上記塩は、フッ素化されていないカルボン酸塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記溶液は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、ペンタノン、t−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、トリアミド、ヘキサン、メタノール、メチルt−ブチルエーテル、ジクロロメタン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリエチルアミン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される少なくとも1つの溶媒を含んでいる、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
上記溶液は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびこれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される少なくとも1つの溶媒を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記溶媒はエタノールである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記溶液は、重合体鎖の一部を形成するか、単独のか、または組み合わせのアルコール基、アミノ基、エーテル基およびカルボニル基を用いて官能化されている炭素鎖によって構成されている少なくとも1つの安定化させる添加剤を含んでいる、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
上記添加剤は、アミノアルコール、アミノ酸、尿素、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかを含んでいる一覧から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記アミノアルコールはトリエタノールアミンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記尿素はN,N−ジメチル尿素である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
安定化させる上記添加剤は、2重量%から20重量%の割合において、上記溶液に添加される、請求項15から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
堆積された生成物の分解および結晶成長を包含していることを特徴する請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
上記分解および結晶成長は70℃から900℃の間において行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
上記分解および結晶成長は制御された雰囲気の炉において実施され、
750℃から820℃の間の温度に対して、7mbarから100mbarの間における水蒸気分圧および0.1mbarから1mbarの酸素分圧を有している、窒素雰囲気において実施される第1の加熱;ならびに300℃から500℃の間の温度、8時間未満の期間にわたる1barの酸素分圧における第2の加熱、続く室温への冷却を包含している、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
上記超伝導材料はAA’Cu7−xの組成を有しており、Aは希土類またはYであり、A’はアルカリ土類金属であり、xは0から1の間である、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
Aは、Y、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
AはYである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
A’は、Ba、Sr、Ca、およびそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される、請求項23から25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
A’はBaである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
上記超伝導材料は化学式YBaCu7−xを有しており、xは0から1の間である、請求項23から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
上記溶液は、単結晶性の基板または2軸の構造を有している基板の上に堆積させられる、請求項1から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
上記基板は、希土類の塩または酸化物;アルカリ土類金属の塩または酸化物;遷移金属の塩または酸化物;ならびにそれらの組み合わせのうちのいずれかから選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
上記基板は、SrTiOの単結晶、LaAlOの単結晶、ジルコニウムの単結晶、安定化ジルコニウム(YSZ)の単結晶、MgOの単結晶、希土類の酸化物の単結晶、および2軸に構造化されている金属のテープから選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか1項に記載されている通りに入手可能な、超伝導材料。
【請求項33】
希土類もしくはイットリウムの塩の少なくとも1つ、アルカリ土類金属の塩の少なくとも1つ、および遷移金属の塩の少なくとも1つを含んでおり、これらの塩における10%未満のフッ素含有量を有している、溶液。
【請求項34】
安定化させる添加剤をさらに含んでいる、請求項33に記載の溶液。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか1項に記載の組成物の、超伝導材料を得るための、使用。
【請求項36】
請求項1から35のいずれか1項において記載されるように得ることが可能である化学式YBaCuの、超伝導材料。
【請求項37】
77Kにおける2MA/cmから4MA/cmの臨界電流密度およびオートフィールドを有していることを特徴とする請求項36に記載の超伝導材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−512846(P2013−512846A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541543(P2012−541543)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/ES2010/070798
【国際公開番号】WO2011/067453
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(511000083)
【氏名又は名称原語表記】CONSEJO SUPERIOR DE INVESTIGACIONES CIENTIFICAS(CSIC)
【住所又は居所原語表記】C/Serrano,117,E−28006 Madrid,Spain
【Fターム(参考)】