説明

低い光沢を有するポリオレフィン組成物

(A)重量%で、プロピレンと、エチレン及びCH=CHRのα−オレフィン(ここで、Rは炭素数2〜8のアルキルである)から選択される1種以上のコモノマーとのコポリマー(コポリマーは1〜8%の1種又は複数のコモノマーを含む)10〜50%;(B)コポリマー(b)及び(bII)のブレンド(ここで、コポリマー(b)は18〜40%のエチレンを含み、コポリマー(bII)は55〜85%のエチレンを含み、(b)/(bII)の重量比は0.2〜2である)50〜90%;を含むポリオレフィン組成物であって、組成物中において、コポリマー成分(b)は(A)+(B)の合計重量に対して15%以上の量で存在し、コポリマー成分(b)中のエチレンの含量Cに対するコポリマー成分(bII)中のエチレンの含量CIIの重量比CII/Cは1.8以上であり、(A)+(B)の合計重量に対する、室温(約25℃)においてキシレン中に可溶のフラクションXSの固有粘度(η)は2dL/g以上である、上記組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低い光沢を有する可撓性で弾塑性のポリオレフィン組成物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
場合によっては少量のオレフィンコモノマーを含むプロピレン、次にエチレン/プロピレン又はエチレン/α−オレフィン混合物を逐次共重合することによって、良好な熱可塑性挙動(即ち、熱可塑性ポリマーに関して用いられるものと同じ技術を用いて最終製品に変化させることができる)を保持しながら、弾性特性を有するポリオレフィン組成物を得ることができることが知られている。
【0003】
この目的のためには、一般に、塩化マグネシウム上に担持されたハロゲン化チタン化合物をベースとする触媒が用いられる。
このタイプの組成物に関して実際的な関心が高まっていることを考えると、とりわけポリオレフィンに特有の価値のある特性(例えば、化学的不活性、機械的特性、及び非毒性)のために、かかる組成物の用途を多くの異なる分野に広げるために、当該技術において増大する努力が払われている。
【0004】
ヨーロッパ公開特許出願400333においては、
(A)プロピレンの結晶質ポリマー又はコポリマー10〜60重量部;
(B)室温においてキシレン中に不溶の、エチレンを含むポリマーフラクション10〜40重量部;
(C)室温においてキシレン中に可溶の、エチレン/プロピレンコポリマーフラクション30〜60重量部;
を含む、逐次重合によって得られる弾塑性ポリオレフィン組成物が記載されている。
【0005】
かかる組成物は、可撓性であり、且つ、良好な引張永久歪み値に関係づけられる低い曲げ弾性率値(700MPa未満であり、通常は200MPaよりも高い)によって示される価値のある弾性特性を有するが、特に光沢度値に関して非常に良好な光学特性を有してはいない。他方、光沢度値は、シート押出、熱成形、自動車用スキン層、ブロー成形、フィルムのような用途のためには、押出シートについて測定して好ましくは40未満(これは200MPa以下、好ましくは150MPa以下の曲げ弾性率に関連づけられる)でなければならない。
【0006】
かかる用途において用いる弾塑性ポリオレフィン組成物に関する他の重要な特徴は、引張り特性、特に可能な限り最も高くなければならない破断点伸びによって代表されるものである。
【0007】
米国特許4,910,262及び日本特許公開162621/1983においては、異なるエチレン含量を有する二種類のエチレンに富むコポリマーを含む弾塑性ポリオレフィン組成物が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ここで開示されている特定の成分の組み合わせ(特に実施例の開示を参照)では、かかる特性の良好なバランスを得ることはできない。
したがって、可撓性(即ち、比較的低い曲げ弾性率値を有する)であるが、同時に低い値の光沢及び高い値の破断点伸びも有する弾塑性ポリオレフィン組成物に対する必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる必要性に応えて、本発明は、重量%で(全ての%量は重量基準である)、
(A)プロピレンと、エチレン及びCH=CHRのα−オレフィン(ここで、Rは炭素数2〜8のアルキルである)から選択される1種以上のコモノマーとのコポリマー(コポリマーは1〜8%、好ましくは1〜5%、特に唯一のコモノマーがエチレンである場合には1〜4.5%のコモノマーを含む)10〜50%、好ましくは18〜40%、より好ましくは20〜40%、最も好ましくは20〜35%;
(B)コポリマー(b)及び(bII)のブレンド(ここで、二つのコポリマーは、両方とも、エチレンと、(i)プロピレン、又は(ii)他の1種又は複数のCH=CHRのα−オレフィン(ここで、Rは炭素数2〜8のアルキル基である)、又は(iii)これらの組み合わせと、場合によっては少量のジエンとのコポリマーであり、コポリマー(b)は18〜40%、好ましくは20〜35%のエチレンを含み、コポリマー(bII)は55〜85%、特に55〜80%、好ましくは60〜85%、特に60〜80%、より好ましくは65〜85%、特に65〜80%のエチレンを含み、(b)/(bII)の重量比は0.2〜2、好ましくは0.3〜1.5である)50〜90%、好ましくは60〜82%、より好ましくは60〜80%、最も好ましくは65〜80%;
を含む弾塑性ポリオレフィン組成物であって、組成物中において、コポリマー成分(b)は(A)+(B)の合計重量に対して15%以上、好ましくは20%以上、特に15又は20〜50%の量で存在し、コポリマー成分(b)中のエチレンの含量Cに対するコポリマー成分(bII)中のエチレンの含量CIIの重量比CII/Cは1.8以上、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上、特に4以下であり、(A)+(B)の合計重量に対する、室温(約25℃)においてキシレン中に可溶の(重量)フラクションXSの固有粘度(η)は2dL/g以上、より好ましくは3dL/g以上、特に2又は3〜7dL/gである、上記組成物を提供する。
【0010】
共重合するエチレンの全量は、好ましくは25重量%〜60重量%、より好ましくは25重量%〜55重量%、特に25重量%〜50重量%である。
組成物は、通常、DSCによって測定して、120℃より高く150℃以下、特に135〜145℃の温度において少なくとも一つの溶融ピークを示す。
【0011】
本発明の組成物に関する他の好ましい特徴は、
−1以上、より好ましくは1.1以上、最も好ましくは1.2以上で、上限はより好ましくは2以下である重量比(bII)/(A);
−15%以下、より好ましくは10%以下の光沢値;
−40以下、より好ましくは35以下、特に40又は35〜15のショアD値;
−ASTM−D 1238、条件L(230℃、負荷2.16kg)にしたがって測定して、0.01〜10g/10分、より好ましくは0.05〜5g/10分のMFR値;
−200MPa以下、より好ましくは150MPa以下の曲げ弾性率;
−5〜25MPaの破断点応力;
−400%より高い破断点伸び;
−厚さ1mmのプラークを曲げた際に実質的に白化(ブラシ)がないこと;
−(A)+(B)の合計重量に対して40〜70重量%、より好ましくは45〜65重量%の、室温においてキシレン中に可溶のフラクション(XS)の量;
−両方(B及びXS)とも(A)+(B)の合計重量に対して1.5以下、より好ましくは1.4以下、特に1.5又は1.4〜0.8の、室温(約25℃)においてキシレン中に可溶のフラクションXSに対するコポリマー成分(B)の含量Bの重量比:B/XS;
−90%以上の成分(A)のアイソタクチシティーインデックス(II);
−GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって測定して、Mw/Mn比によって表して3.5以上、より好ましくは4又は4.5以上、特に5以上の成分(A)における分子量分布;
である。
【0012】
上記に記載のGPC測定は、好ましくは1,2,4−トリクロロベンゼン中で行う。詳しくは、70mg/50mL−安定化1,2,4−トリクロロベンゼン(250μg/mL−BHT(CAS登録番号128−37−0))の濃度で試料を調製し;次に、試料を170℃に2.5時間加熱して可溶化し;Waters GPCV2000上で、145℃、1.0mL/分の流速において、同じ安定化溶媒を用いて測定を行う。三つのPolymer Labカラムを直列で用いる(Plgel、20μm混合ALS、300×7.5mm)。
【0013】
本発明の組成物を製造するための重合プロセスは、公知の方法にしたがって、液相中で不活性希釈剤の存在下又は不存在下で、又は気相中で、或いは混合液−気法を用いて、連続又はバッチ式で行うことができる。
【0014】
重合時間及び温度は重要ではなく、有利にはそれぞれ0.5〜5時間及び50℃〜90℃の範囲である。
成分(A)を形成するためのプロピレンの重合は、エチレン、又は1種又は複数のCH=CHRのα−オレフィン(ここで、Rは炭素数2〜8のアルキルである)、例えばブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、及びオクテン−1、或いはこれらの組み合わせの存在下で行う。
【0015】
エチレンと、プロピレン又は他の1種又は複数のα−オレフィン(例は成分(A)に関して上記に示した)又はこれらの組み合わせとを共重合して成分(b)及び(bII)を形成することは、共役又は非共役ジエン、例えばブタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、及びエチリデン−ノルボルネン−1の存在下で行うことができる。
【0016】
存在する場合には、ジエンは、通常、関係する成分(即ち(b)又は(bII))の重量に対して0.5〜10重量%の量である。
特に、組成物は、1以上が成分(A)の合成のためであり、他が成分(b)及び(bII)の合成のためであり、(b)及び(bII)のそれぞれの調製のために少なくとも一つの分離段階を用いる、少なくとも3つの段階で行う逐次重合プロセスによって製造することができる。後段における重合は、前段において得られたポリマー及び用いた触媒の存在下で行う。
【0017】
分子量の調整は、通常用いられる分子量調整剤、例えば水素及びZnEtを用いることによって行う。上述したように、重合は、液相、気相、又は液−気相中で行うことができる。
【0018】
例えば、プロピレンの部分的脱気を除いて中間段階を行うことなく、希釈剤として液体プロピレンを用いる共重合段階で成分(A)を調製し、次の共重合段階において気相中で成分(b)及び(bII)を調製することが可能である。
【0019】
好ましくは、全ての成分(A)、(b)、及び(bII)を、気相中で共重合を行うことによって調製する。成分を調製する順番は重要ではない。
成分(A)を調製するための一つ又は複数の重合段階、及び成分(b)及び(bII)を調製するための一つ又は複数の重合段階における反応温度は、同一であっても異なっていてもよく、通常、40℃〜90℃、好ましくは、成分(A)の調製のためには50〜80℃、成分(b)及び(bII)の調製のためには40〜70℃である。
【0020】
単一段階の圧力は、液体モノマー中で行う場合には、用いる運転温度における液体プロピレンの蒸気圧と競合するものであり、モノマー及び分子量調整剤として用いる水素の過圧、及び場合によっては触媒混合物を給送するために用いる少量の不活性希釈剤の蒸気圧によって変動する。
【0021】
重合圧力は、液相中で行う場合には、圧力計で5〜30気圧であってよい。
3以上の段階での滞留時間は、成分(A)、(b)、及び(bII)の間の所望の比に依存し、通常15分〜8時間である。
【0022】
かかる重合プロセスは、一般に、マグネシウム二ハロゲン化物上に担持された立体特異性チーグラー・ナッタ触媒の存在下で行う。
重合において用いるかかる立体特異性触媒は、
(1)マグネシウム二ハロゲン化物(好ましくは塩化物)上に担持されたチタン化合物及び電子ドナー化合物(内部電子ドナー)を含む固体成分;
(2)アルミニウムアルキル化合物(共触媒);及び場合によっては
(3)電子ドナー化合物(外部電子ドナー);
の反応の生成物を含む。
【0023】
かかる触媒は、好ましくは、90%より高いアイソタクチックインデックスを有するホモポリマーポリプロピレンを製造することができる。
固体触媒成分(1)は、電子ドナーとして、一般に、エーテル、ケトン、ラクトン、N、P、及び/又はS原子を有する化合物、並びに、モノ及びジカルボン酸エステルから選択される化合物を含む。
【0024】
上記に記載の特徴を有する触媒は、特許文献において周知であり、米国特許4,399,054及びヨーロッパ特許45977において記載されている触媒が特に有利である。
かかる電子ドナー化合物の中で、フタル酸エステル及びコハク酸エステルが特に好適である。
【0025】
好適なコハク酸エステルは、式(I):
【0026】
【化1】

【0027】
(式中、基R及びRは、互いに同一か又は異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐鎖の、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり;基R〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、又は、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又分岐鎖の、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり、同じ炭素原子に結合する基R〜Rは一緒に結合して環を形成してもよい)
によって表される。
【0028】
及びRは、好ましくは、C〜Cアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRが、第1級アルキル、特に分岐鎖第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びR基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
【0029】
式(I)によって示される化合物の好ましい群の一つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基であるものである。式(I)の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも二つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又分岐鎖の、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる二つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。更に、水素とは異なる少なくとも二つの基が異なる炭素原子に結合している(即ち、R及びR、又はR及びR)化合物も、特に好ましい。
【0030】
特に適している他の電子ドナーは、公開ヨーロッパ特許出願EP−A−361493及び728769において示されているような1,3−ジエーテルである。
共触媒(2)としては、好ましくは、Al−トリエチル、Al−トリイソブチル、及びAl−トリ−n−ブチルのようなトリアルキルアルミニウム化合物を用いる。
【0031】
外部電子ドナー(Al−アルキル化合物に加える)として用いることのできる電子ドナー化合物(3)は、芳香族酸エステル(例えば安息香酸アルキル)、複素環式化合物(例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン及び2,6−ジイソプロピルピペリジン)、及び特に少なくとも一つのSi−OR結合(Rは炭化水素基である)を含むケイ素化合物を含む。上述の1,3−ジエーテルは、外部ドナーとして用いるのにも好適である。内部ドナーがかかる1,3−ジエーテルの一つである場合には、外部ドナーを省略することができる。
【0032】
触媒は、少量のオレフィンと予備接触させ(予備重合)、触媒を炭化水素溶媒中に懸濁状態で保持し、室温〜60℃の温度で重合し、これによって触媒の重量の0.5〜3倍の量のポリマーを生成させることができる。
【0033】
また、操作を液体モノマー中で行うことができ、この場合には、触媒の重量の1000倍以下の量のポリマーが生成する。
本発明方法において用いることのできる他の触媒は、米国特許5,324,800及びEP−A−0129368において記載されているようなメタロセンタイプの触媒であり、例えば米国特許5,145,819及びEP−A−0485823に記載されているような橋架ビスインデニルメタロセンが特に有利である。好適な他の種類の触媒は、EP−A−0416815(Dow)、EP−A−0420436(Exxon)、EP−A−0671404、EP−A−0643066、及びWO 91/04257に記載されているようないわゆる拘束幾何形状触媒である。これらのメタロセン化合物は、特に、成分(b)及び(bII)を調製するのに用いることができる。
【0034】
本発明の組成物は、また、例えば成核剤、エクステンションオイル、無機充填剤、有機及び無機顔料のような、オレフィンポリマーのために通常用いられる添加剤、充填剤、及び顔料も含むことができる。
【0035】
本発明のポリオレフィン組成物は、特に、シート押出、ブロー成形、及び熱成形分野において、特に、上述したように自動車用スキン層及びフィルムのような使用のための用途が見出される。
【実施例】
【0036】
以下の実施例において本発明の実施及び有利性を開示する。これらの実施例は、例示のみのものであり、いかなるようにも本発明の範囲を限定するものではない。
ポリマー組成物を特徴づけるために以下の分析法を用いる。
【0037】
メルトフローレート:ASTM−D1238、条件L;
(η)固有粘度:テトラヒドロナフタレン中、135℃において測定;
エチレン含量:I.R.分光法;
光沢度:ASTM−D523の方法(1mmの押出シート、60°の角度で測定);
ショアA及びD:ISO 868;
曲げ弾性率:ISO 178(厚さ4mmの圧縮成形プラーク);
破断点応力:ISO 527(1mmの押出シート);
破断点伸び:ISO 527(1mmの押出シート);
引裂抵抗:ISO 6383。
【0038】
キシレン可溶及び不溶フラクション:
冷凍機及び電磁スターラーを取り付けたガラスフラスコ中に、2.5gのポリマー及び250cmのキシレンを導入する。温度を、30分で溶媒の沸点に昇温する。かくして得られる明澄な溶液を、次に還流下に保持し、更に30分間撹拌する。次にフラスコを閉止し、氷水浴中に30分保持し、更に25℃の温度制御水浴中に30分保持する。かくして形成される固体を、迅速濾紙上で濾過する。100cmの濾液を、窒素流下において加熱プレート上で加熱した予め秤量したアルミニウム容器中に注ぎ入れ、蒸発によって溶媒を除去する。次に、容器を、一定重量が得られるまで、真空下、80℃のオーブン内に保持する。次に、室温においてキシレン中に可溶のポリマーの重量%を算出する。
【0039】
室温においてキシレン中に不溶のポリマーの重量%は、ポリマーのアイソタクチシティインデックスと考えられる。この値は、実質的に、定義によればポリプロピレンのアイソタクチシティインデックスを構成する、沸騰n−ヘプタンで抽出することによって測定されるアイソタクチシティインデックスに相当する。
【0040】
実施例1及び比較例1
重合において用いた固体触媒成分は、ヨーロッパ公開特許出願395083の実施例3に記載されている方法と同じようにして調製した、約2.2重量%のチタン及び内部ドナーとしてジイソブチルフタレートを含む、塩化マグネシウム上に担持された高度に立体特異性のチーグラー・ナッタ触媒成分であった。
【0041】
触媒系及び予備重合処理
上記に記載の固体触媒成分を、重合反応器中に導入する前に、約5のTEAL/DCPMS重量比、及びTEAL/固体触媒成分の重量比が5となるような量で、アルミニウムトリエチル(TEAL)及びジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)と、−5℃において5分間接触させた。
【0042】
次に、触媒系を、第1の重合反応器中に導入する前に、液体プロピレン中において、25℃で約30分間懸濁状態で保持することによって、予備重合にかけた。
重合
第1の気相重合反応器中に、予備重合触媒系、水素(分子量調整剤として用いた)、並びに気体状態のプロピレン及びエチレンを、連続的な一定流で供給することによって、プロピレンコポリマー(成分(A))を調製した。
【0043】
第1の反応器内で調製されたポリプロピレンコポリマーを連続流で排出し、未反応のモノマーをパージした後、連続流で、気体状態の水素、エチレン、及びプロピレンの一定量の流れと一緒に、第2の気相重合反応器中に導入した。
【0044】
第2の反応器から生成するポリマーを連続流で排出し、未反応のモノマーをパージした後、連続流で、気体状態の水素、プロピレン、及びエチレンの一定量の流れと一緒に、第3の気相重合反応器中に導入した。
【0045】
第2及び第3の反応器において、プロピレン/エチレンコポリマー(成分(b)及び(bII))が調製された。重合条件、反応物質のモル比、及び得られたコポリマーの組成を、表1に示す。
【0046】
第3の反応器から排出されたポリマー粒子を、蒸気処理にかけて、反応性モノマー及び揮発性物質を除去した後、乾燥した。
二軸押出機Berstorff ZE25(スクリューの長さ/直径比:33)中で、ポリマー粒子を通常の安定剤と混合し、窒素雰囲気下、以下の条件で押出した。
【0047】
回転速度:250rpm;
押出機処理量:6〜20kg/時;
溶融温度:200〜250℃。
【0048】
このようにして押出されたポリマーについて行った測定から、表2に報告するポリマー組成物に関する特性が得られた。比較の目的のために、表2には、逐次重合によって製造し、
(A)約3.5重量%のエチレンを含むプロピレンとエチレンとのランダムコポリマー31重量%;
(B)約27重量%のエチレンを含むプロピレンとエチレンとの弾性コポリマー69重量%;
を含むポリオレフィン組成物(比較例1C)の特性を報告する。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、
(A)プロピレンと、エチレン及びCH=CHRのα−オレフィン(ここで、Rは炭素数2〜8のアルキルである)から選択される1種以上のコモノマーとのコポリマー(コポリマーは1〜8%の1種又は複数のコモノマーを含む)10〜50%;
(B)コポリマー(b)及び(bII)のブレンド(ここで、二つのコポリマーは、両方とも、エチレンと、(i)プロピレン、又は(ii)1種又は複数のCH=CHRのα−オレフィン(ここで、Rは炭素数2〜8のアルキル基である)、又は(iii)これらの組み合わせと、場合によっては少量のジエンとのコポリマーであり、コポリマー(b)は18〜40%のエチレンを含み、コポリマー(bII)は55〜85%のエチレンを含み、(b)/(bII)の重量比は0.2〜2である)50〜90%;
を含むポリオレフィン組成物であって、組成物中において、コポリマー成分(b)は(A)+(B)の合計重量に対して15%以上の量で存在し、コポリマー成分(b)中のエチレンの含量Cに対するコポリマー成分(bII)中のエチレンの含量CIIの重量比CII/Cは1.8以上であり、(A)+(B)の合計重量に対する、室温においてキシレン中に可溶のフラクションXSの固有粘度(η)は2dL/g以上である、上記組成物。
【請求項2】
0.01〜10g/10分のMFR値を有する、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】
200MPa以下の曲げ弾性率値を有する、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項4】
40以下のショアD値を有する、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項5】
成分(A)、(b)、及び(bII)を、第1段階を除いてそれぞれの段階において、前段において形成したポリマー及び用いた触媒の存在下で操作する別の後段において調製する少なくとも三つの逐次段階を含む、請求項1に記載のポリオレフィン組成物を製造するための重合方法。
【請求項6】
請求項1に記載のポリオレフィン組成物を含む製造物品。
【請求項7】
シート、自動車用スキン層、ブロー成形物品若しくはフィルムの形態の、請求項6に記載の製造物品。

【公表番号】特表2009−516758(P2009−516758A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540547(P2008−540547)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067290
【国際公開番号】WO2007/060060
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(506126071)バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (138)
【Fターム(参考)】