説明

低分子量カチオン性コポリマーを含むアイケア化粧品組成物

【課題】低分子量カチオン性コポリマーを含むアイケア化粧品組成物
【解決手段】
30,000ないし300,000の範囲の分子量を有するカチオン性コポリマーと高分子量アルコール、たとえば少なくとも1つの炭素数20ないし炭素数40のアルコール、からなる水溶性組成物、並びに、マスカラやアイライナーといったアイケア化粧品製剤を製造するための、前述の水溶性組成物の使用が記載される。アイケア製剤はアイケア化粧品組成物に対して突出した光沢とともに擦り落としに対する耐久力を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアイライナー及びマスカラといったアイケア化粧品組成物に関する。
さらにとりわけ、低分子量カチオン性コポリマー及び高分子量アルコールからなる、アイケア製品に突出した光沢と擦り落としに対する耐久力を与える、アイケア化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アイケア化粧品組成物とは、濃く、長く、着色し、そして個々の睫毛の輪郭をはっきりさせるといった、魅力ある外観様相を与えることによって目を美しくするための睫毛や瞼に塗布する、着色された組成物である。睫毛に塗布される組成物は一般にマスカラと呼ばれ、一方、眉毛に使用される組成物は一般にアイライナーと呼ばれる。
【0003】
マスカラ及びアイライナー組成物は一般に、一種以上のフィルム形成物、顔料及びビヒクル(該ビヒクルは製品が目の周辺部位に塗布される時にほとんど揮発し、そして、フィルムを固まらせる)からなる。
【0004】
マスカラはケーキ又はブロック、クリーム、ゲル、及び低粘度液体を含む、様々な形態で知られている。
【0005】
ケーキマスカラは最初はこの化粧品の最もポピュラーな形態であった。これらは少なくとも50%の石鹸と石鹸ケーキに混入された顔料とからなった。湿ったブラシを用いて、マスカラは泡立てられることができ、そして睫毛に塗布され、良好で滑らかな塗布になった。これの第一の欠点は、睫毛上のフィルムが至極可溶性であり、にじんだり流れたりしがちでり、目の周辺の肌に製品の移動が伴うことであった。これらの耐水性を改善するためにワックスを配合することによって、ケーキマスカラは当初の石鹸ベース形態を改善した。これはしかしながら通常、滑らかな塗布を犠牲にするものであった。
【0006】
自動アプリケーター、すなわち螺旋状の先端を有する棒、又は棒及びブラシのアプリケーターの出現によって、クリーム及びリキッドマスカラが登場した。クリームマスカラは通常、バニシングクリームのように良好な終了一貫性を備えた、水中でのワックスと顔料の分散液であった。
【0007】
自動アプリケーターとの組合せにより、それらの使用の利便性から、それらは、人気においてケーキマスカラをすぐに勝り、該アプリケーターはケーキベースのアプリケーターよりも使用者の実際のテクニックに寄らなかった。成分の大部分はケーキマスカラの改善形態と類似のものであったため、ほぼ同じ欠点が依然として引き継がれていた。しかしながら、クリーム状の質感であったことから、水分濃度はより優れていた。このことが、磨耗の改善を助けるための天然及び合成フィルム形成物の配合を可能とした。
【0008】
現在、市場には三種の一般的なタイプのマスカラ製剤がある。
1)無水、有機溶媒ベースの懸濁液:これらは防水性ではあるがにじみ防止ではない。これらは石鹸や水では落とせず、ならびに除去するのが非常に難しい。これらはまた、にじみやすい。これらのタイプの製剤は高い油分含有量を有する。目の周辺部位もまた油っぽくなり、こうした観点からこのタイプの製剤は好まれない。
2)油中水型エマルジョン:これらもまた防水性であるがにじみ防止ではない。これらのいくつかは石鹸及び水で除去できる。
3)水中油型エマルジョン:は「水ベース」であり、そして防水性ではないが、これらは
耐水性である。フィルムが十分にフレキシブルである場合、マスカラはまた「フレーク防止」及び「にじみ防止」となることができる。耐水性はエマルジョンポリマー、アクリル、ポリビニルアセテート、ポリウレタンなどの添加によって達成可能である。
【0009】
エマルジョンタイプのマスカラ製剤は基本的に有機溶媒を含まない。
【0010】
現在、市場で見られるアイライナー組成物には3タイプある:
1)ペンシル型:これはその塗布の容易さから最もポピュラーである;
2)無水、ヒドロ−アルコール懸濁液:これらはセルロース誘導体、又は天然ゴムを用いてゲル化される。これらは全く安定であるわけではない。したがって、これらは使用する前に振ることが必要とされる;並びに
3)水中油型(O/W)エマルジョン:これらはO/Wマスカラと類似であるが、より薄く、より液状の製剤である。
【0011】
国際公開第97/26860号パンフレットはコンディショニングシャンプー製剤における従来のポリクオタニウム−7の使用が記載されている。ポリクオタニウム−7は高分子量のカチオン性コポリマーであり、さらに具体的には、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマー、たとえば50質量%/50質量%のコポリマーであり、約500,000以上、たとえば1,000,000以上の典型的な分子量を有す。概して、そのようなポリマーは希釈水溶液、たとえば約7から10質量%溶液として、製造、販売されている。
【0012】
米国特許5,925,337号明細書は、溶媒ベースの、乳化剤を含まない防水性マスカラにおける、従来のポリクオタニウム−7の使用が記載されている。
【特許文献1】国際公開第97/26860号パンフレット
【特許文献2】米国特許5,925,337号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一局面において、本発明は低分子量カチオン性コポリマー及び高分子量アルコールからなるマスカラ及びアイライナー組成物に関する。一実施態様において低分子量カチオン性コポリマーはポリクオタニウム−7であり、並びに、高分子量アルコールはラノリンアルコールである。
【0014】
本発明の組成物は、クリーム、ペースト、及び固体といった、多数の形態にて製作可能である。好ましい組成物の形態はエマルジョンであり、たとえば水中油型エマルジョンである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の組成物は石鹸及び水で除去可能であり、並びに、優れた光沢と磨耗特性を提供する。本発明の組成物はマスカラ製剤、アイライナー製剤及びクリームアイシャドウのような他のアイメークアップ製品に対して優れた性能を提供する。さらに特に、本マスカラは今日の市場における主要ブランドのマスカラよりもさらなる光沢、カール、そして睫毛の分離、並びにボリュームの蓄積を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有し、活性ポリマーの25から50質量%の濃度を有する水溶液の形態であって、該水溶液は25℃において10,000cp(mPa.s)未満の粘性を有する、カチオン性コポリマーは、国際公開02/40622号パンフレットから知れられており、該パンフレットの開示はそっくりそのまま参
照することにより組み込まれている。
【0017】
驚いたことに、30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有するのカチオン性コポリマー、及び高分子量アルコールからなる組成物は、アイライナーやマスカラといったアイケア化粧品組成物に、突出した光沢、及び擦り落としに対する耐久力を与える。
【0018】
とりわけ、本発明は、マスカラ又はアイライナーなどのアイケア化粧品製剤を製造するための、ラノリンアルコールといった少なくとも一種の炭素数20ないし炭素数40のアルコールなどの高分子量アルコールと併せての、前述の30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有する水性カチオン性コポリマー溶液の使用法に関する。
【0019】
高分子量の炭素数20ないし炭素数40のアルコールは、線状、分枝状、又は単環式、若しくは多環式であり得、また、天然又は合成由来であり得る。これらアルコールの2種以上を含む混合物が好まれる。一実施態様において、ラノリンアルコールといった天然由来アルコールの混合物が使用される。
【0020】
ラノリンアルコールは、三種の主要な化学基:脂肪族アルコール、ステロール(たとえばコレステロール)、及びトリメチルステロール(たとえばラノステロール及びデヒドロラノステロール)からなる複雑な混合物である。ラノリンアルコールは概して、約26%の脂肪族アルコール、38%のコレステロール、及び27%のトリメチルステロールを含み、残部は炭化水素及び未確認物質からなる。ラノリンアルコールは市販で広く入手可能である。
【0021】
上記水性カチオン性コポリマー溶液の粘度は、ブロックフィールドRVT粘度計を用いて、10rpmのスピンドル3にて測定される。コポリマーの分子量は従来のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)手法を用いて測定される。
【0022】
水性コポリマー溶液は、好ましくは乾燥質量の30ないし45%の濃度を有する。
【0023】
前述の水性コポリマー溶液は、好ましくは、ブロックフィールドRVT粘度計で測定された、25℃で1000ないし10,000cPの粘度を有する。
【0024】
水溶液は、好ましくは、25ないし90質量%の非イオン性モノマーユニットと10ないし75質量%のカチオン性モノマーユニットの反応生成物であるコポリマーからなり、たとえば50ないし80質量%の非イオン性モノマーユニットと20ないし50質量%のカチオン性モノマーユニット、及び、特に70ないし80質量%の非イオン性モノマーユニットと20ないし30質量%のカチオン性モノマーユニットである。
【0025】
非イオン性モノマーは非イオン性モノマーのいずれでもよく、好ましいモノマーは以下からなる群から選択される、
− 不飽和N−置換アミド、たとえばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクタム、及びN−ビニルピロリドン、
− モノ又はマルチヒドロキシ官能基(群)を有する(メタ)アクリレート、たとえばヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、グリセロールモノアクリレート、及び、トリメチロールプロパンモノアクリレート、
− アクリルアミド及びその誘導体、たとえば、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアクリルアミド、他のN−アルキル又はN−アルコキシ置換されたアクリルアミド、たとえば、N,N−ジメチルアクリルアミド及びアク
リルアミド誘導体。
【0026】
好ましい非イオン性モノマーはアクリルアミド又はその誘導体である。
【0027】
カチオン性モノマーはカチオン性モノマーのいずれでもよく、好ましいカチオン性モノマーは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及び好ましくは、酸付加塩若しくは、好ましくは、四級アンモニウムのアクリレート、及びジアリルジアルキルアンモニウムハライドからなる群から選択される。
【0028】
好ましいアクリレート及びメタクリレートは、ジ−炭素数1ないし炭素数4のアミノエチル(メタ)アクリレートである。好ましいアクリルアミド及び(メタ)アクリルアミドはジ−炭素数1ないし炭素数4のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(DMAE(M)A)及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(DMAP(M)A)であり、酸付加塩及び、好ましくは四級アンモニウム塩としての、それぞれのメタクリレート及びマタクリルアミド化合物が特に好ましい。
【0029】
特に好ましいカチオン性モノマーはジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)である。
【0030】
特に好ましいコポリマーは、70ないし80質量%のアクリルアミド非イオン性モノマーユニットと、20ないし30質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライドカチオン性モノマーユニットの反応生成物からなる。
【0031】
コポリマーは約30,000ないし300,000の分子量を有し、好ましくは約40,000ないし約250,000である。特に好ましい分子量範囲は100,000ないし200,000であり、たとえば約150,000である。
【0032】
水性コポリマー溶液はいずれの値のpHをも有し得、しかしながら、好ましいpH範囲はpH3ないしpH7.5である。最も好ましいpH値は、pHないしpH6.5である。
【0033】
100%活性ポリマーに基づく、コポリマーのカチオン容量は、0.6ないし4.5モル/kgの範囲であり得る。
【0034】
水性コポリマー溶液は、非イオン性及びカチオン性モノマーの共重合に起因するいくらかの未反応モノマー、たとえば20ppm以下を含み得る。
【0035】
水性コポリマー溶液は、さらに、化粧品、薬及び食品において一般に使用されているような防腐剤を含み得る。そのような防腐剤としては、フェノキシエタノール、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、DMDMヒダントイン、イミダゾリジニル尿素、ジアゾジニル尿素、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノンがある。好ましい防腐剤としては、フェノキシエタノール及びp−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル並びにそれらの塩、及びp−ヒドロキシ安息香酸メチルエステルならびにそれらの塩である。
【0036】
30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有し、及び、20ないし50質量%濃度、及び、25℃で10,000未満の粘土を有する、カチオン性コポリマーの水溶液は、既知の重合方法によって、たとえば、国際公開02/40622号パンフレットに教示のような連続付加重合手法によって製造される。
【0037】
一実施態様において、30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有するカチオン性コポリマー及び高分子量アルコールの混合物は、エマルジョンにおいて存在する。
【0038】
エマルジョンは、水滴の形態で他に分散された少なくとも一種の非混和性液体からなる、不均質系であるとみなされる。それは、内相及び外相として知られる、少なくとも二種の別個の相からなる組成物である。「内相」物質(群)は、エマルジョン組成物の他の別個の相中に、小さな水滴又は固体粒子として分散されている。「外相」という用語は、内相が分散されている連続相を指す。ここで使用される「エマルジョン」という用語は、通常の使用温度において内相が固体粒子からなる、分散液を含む。
【0039】
本発明によるアイケア化粧品組成物は、通常、基本的には水である、揮発性液体ビヒクルに加えて、アイライナー及びマスカラといった化粧品において有用であると当業者に既知の追加成分を含む。前述の成分は、少なくとも周囲温度においては不揮発性である様々な物質を含む。多くはそれらの通常状態及び周囲温度において固体又は半固体である。前述の物質は、アイメークアップ組成物に通常配合される、上記に記載された以外の水溶性のフィルム形成ポリマー、ワックス、油脂、オイル、顔料、染料、ガム、樹脂、無機及び有機物質、充填剤、増粘剤、ゲル化剤、及びそれらの混合物を含むが、必ずしもそれらに限定されない。
【0040】
本発明による低分子量カチオン性コポリマー及び高分子量アルコールを含む不揮発性成分は、本組成物の約30%ないし約60%、たとえば約35%ないし約55%、特に約40%ないし約50%を構成する。基本的に水である、揮発性液体ビヒクルは、本発明の組成物の約30%ないし約65%を構成し、たとえば約40%ないし約55%である。
【0041】
水溶性のフィルム形成ポリマーは、セルロース誘導体、及び様々な重合手法によって作られる合成ポリマーからなる群から選択されるポリマーからなる。好ましいセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。本発明において有用である、具体的な水溶性のフィルム形成ポリマーは、アクアロン/ヘラクレス社のナトロソール(Natrosol)250HHR(ヒドロキシエチルセルロース)を含むが、必ずしもそれに限定されるものではない。
水溶性合成ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、たとえばPVP K−30(ISP社)、四級化ポリビニルピロリドン、及び高分子量カチオン性コポリマー、たとえばジアリルジメチルアンモニウムクロライドと典型的に約500,000以上、たとえば1,000,000以上の分子量を有するアクリルアミド(ポリクオタニウム−7)の従来のコポリマー、を含む。後者の例としては、チバスペシャルティケミカルズのサルケア(登録商標:Salcare)SC10及びサルケアSC11等がある。
【0042】
水溶性フィルム形成ポリマーは本発明の組成物の、約2質量%ないし約25質量%、たとえば約3質量%ないし約15質量%、特に約4質量%ないし約10質量%を構成するが、ただし、フィルム形成ポリマーの約10%ないし約100%は本発明による低分子量のカチオン性コポリマーからなるという条件を有する。
【0043】
高分子量アルコールは本発明の組成物の約0.1質量%ないし約10質量%、たとえば約0.2質量%ないし約5質量%、特に約0.3質量%ないし約3質量%を構成する。
【0044】
本発明のアイケア化粧品組成物は、水中油型エマルジョン組成物を含む。
これら組成物は該組成物の内相を形成する親油性物質を必要とする。これら親油性物質は通常、化粧品調剤における使用に対して一般に既知であるワックス及び脂肪である。
【0045】
通常使用される脂肪は、動物、植物及び合成源及びそれら混合物に由来することができる。脂肪は55℃ないし約100℃のどこかである融点を有し、及び、アメリカ標準ASTM D5にしたがって測定される、25℃における約3ないし約40の針入度を有する。好ましくは、本発明において使用のために選択される脂肪は、脂肪酸エステルであり、それは室温で固体であり、結晶構造を示す。本発明における有用な脂肪酸エステルの例としては、高級脂肪酸のグリセリルエステル、たとえばステアリンモノステアレート、パルミチンモノステアレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルトリベヘネート、及びそれらの混合物である。これらが存在する場合、これらは典型的に、本発明の組成物に対して約0.1質量%ないし約10質量%、たとえば約0.2質量%ないし約5質量%、特に約0.3質量%ないし約3質量%のレベルで使用される。
【0046】
ワックスは高分子量の低融点有機混合物又は化合物であると定義され、室温で固体であり、ならびに一般にグリセライドを含まない以外は脂肪及び油と類似の組成である。いくつかは炭化水素であり、他のものは脂肪酸とアルコールのエステルである。本発明で有用なワックスは、動物ワックス、植物ワックス、鉱物ワックス、合成ワックス、石油ワックス、エチレンポリマー、フィッシャートロプシュワックスといった炭化水素タイプ、シリコンワックス、及びそれらの混合物であり、ワックスは55度ないし100℃の融点を有し、アメリカ標準ASTM D5にしたがって測定される、25℃において3ないし40の針入度を有する。
【0047】
本発明で有用である具体的なワックスは、蜜蝋、ラノリンワックス、シュラックワックス(動物ワックス);カルナバ、カンデリラ、シロヤマモモ(植物ワックス);オゾケライト、セレシン(鉱物ワックス)、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス(石油ワックス);ポリエチレン(エチレンポリマー);ポリエチレンホモポリマー(フィッシャートロプシュワックス);炭素数24ないし炭素数45のアルキルメチコン(シリコンワックス);及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましいワックスとしては、蜜蝋、カルナバワックス及びそれらの混合物等である。
【0048】
ワックスは、本発明の組成物において、約5質量%ないし約30質量%、たとえば約6質量%ないし約20質量%、特に約8質量%ないし約15質量%のレベルで典型的に用いられる。
【0049】
本発明のアイケア化粧品組成物の固体成分としては、通常、無機顔料、有機レーキ顔料、真珠光沢顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択された、美容上容認できる顔料を含む。使用する場合、顔料は、製造する予定である色彩と色彩の強度に依存する割合にて存在する。
【0050】
本発明の組成物における顔料のレベルは、約3質量%ないし約20質量%、たとえば約5質量%ないし約15質量%、特に約6質量%ないし約12質量%である。前述の顔料は、所望によりシリコン、パーフルオロ化化合物、レシチン、及びアミノ酸処置といった、当業者に既知の手法で表面処理を施し得る。
【0051】
本発明における有用な無機顔料としては、ルチル又はアナターゼチタニウムジオキサイド(カラーインデックスにおいて、表示Cl 77,897とコードされている);黒酸化鉄、黄酸化鉄、赤並びに茶酸化鉄(表示Cl 77,499、77,492、及び77,491とコードされている);マンガンバイオレット(Cl 77,742);ウルトラマリンブルー(Cl 77,007);酸化クロム(Cl 77,288);クロム水和物(Cl 77,289);及び第二鉄ブルー(Cl 77,510)、及びそれらの混合物からなる群から選択されるもの等がある。黒酸化鉄が特に好まれる。
【0052】
本発明における有用な真珠光沢顔料としては、酸化チタニウム、ビスマス酸塩化物で被覆したマイカのような白色真珠光沢顔料、酸化鉄を有するチタンマイカ、第二鉄ブルー、酸化クロムなどを有するチタンマイカ、上記に言及されたタイプの有機顔料を有するチタンマイカ、及び、ビスマス酸塩化物とその混合物をベースにしたものといった、着色真珠光沢顔料からなる群から選択されるもの等である。
【0053】
乳化剤もまた本発明において、均質な組成物の製造時を補助するため、及び、これらの安定性を改善するために用いられ得る。前述の乳化剤は、石鹸、ホスフェートエステル、エトキシル化アルコール、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪エステル、ポリオールエーテルエステル、グリセロールエステル、スクロース若しくはソルビタンエステル、グルコースエステル、カリウム若しくはDEA−セチルホスフェート、脂肪エステル及びそれらの混合物、からなる群を含むが、それらに限定される必要はない。脂肪酸のアルカノールアミン塩、たとえばトリエタノールアミンステアレートなどが、好まれる。
【0054】
該乳化剤は、概して、本発明の組成物において約1質量%ないし約10質量%、たとえば約2質量%ないし約8質量%のレベルで使用される。
【0055】
本発明のアイケア化粧品組成物の更なる成分は、潜在的に有害な微生物の成長に対して保護するための、一種以上の防腐剤である。本発明においてとりわけ有用な防腐剤は、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、クオタニウム−15、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、EDTA、四級アンモニウム化合物、フェノキシエタノール及びそれらの混合物等である。これら防腐剤は、CTFA化粧品成分辞典,第三版において細部に渡って定義されており、該辞典はここに参照として組み込まれている。
これら防腐剤の中で、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン及びそれらの混合物が、本発明で用いるものとしてとりわけ好まれる。
本発明において用いられる乳化剤の好ましい濃度は、組成物の総量に基づき、約0.01質量%ないし約2質量%、たとえば約0.1質量%ないし約1.2質量%の範囲である。
【0056】
さらに、本発明の組成物における他に所望により含まれる成分は、金属イオン封鎖剤である。金属イオン封鎖剤は、好ましくは、本組成物の総量に基づき、約0.01質量%ない
し約0.1質量%の範囲の濃度で存在する。この組成物において用いられる好ましい金属イオン封鎖剤は、EDTA二ナトリウム、EDTA三ナトリウムである。これら薬剤は、上述のCFTA化粧品成分辞典,第三版において完全に同定されている。これらの中で、EDTA三ナトリウムが、本組成物で用いるものとしてとりわけ好まれる。
【0057】
本発明の化粧品アイケア組成物は、化粧品工業において周知である、従来の混合手法によって製造され得る。以下の実施例にいくつかのこれら手法を説明する。
【実施例】
【0058】
これらの実施例は本発明のある実施態様を記述するものであるが、本発明はそれらに限定されない。本発明の精神及び範囲から離れることなくして、ここになされた開示にしたがって、開示された実施態様に多数の変化をなすことが可能であることが、理解されるべきである。これら実施例はそれゆえに、本発明の範囲を限定することを意図されるものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付された請求項及びそれらと等価なものによってのみ、決定されるものである。これら実施例において示された全ての部は、他に表示がない限り、質量による。全ての部が、他に表示がない限り、現状のあり姿のままで、質量による。
【0059】
実施例1
マスカラエマルジョンの製造:
【表1】

【0060】
手順:
A相の水を混合容器の中に計量投入した。ホモジナイザーを用いて攪拌しながら、ヒドロキシエチルセルロース及びPVPを水の中にばら撒いた。混合物を80から85℃に加熱し、均質化を1時間維持した。それから、A相の残りの成分を水性混合物に加えた。顔料の添加をした後、そのバッチをさらに1時間均質化した。
B相の成分を別容器の中に加え、85℃に加熱した;その後、プロペラを用いて、透明な黄色い溶液が得られるまでよく混合した。その後、B相を上記の均質化と温度を維持しながら、ゆっくりとA相に加えた。
得られた水中油型エマルジョンをその後冷却した。65℃にて、攪拌をブレード攪拌機を用いたサイドスウィープ混合に切り替え、中程度の攪拌をしつつ、混合を続けた。この時点で、C相を加えた。55〜65℃にて、D相を加え、混合物の濃度が濃くなるにつれて、攪拌を減速した。エマルジョンは室温に達するまで混合した。
【0061】
試験結果:
三種のマスカラ製剤はそれぞれ、人工及びヒト睫毛で評価され、現在の市場の主流品と比較された。結果を下に示す。
【表2】

【0062】
実施例2
アイライナーの製造:
黒色アイライナー製剤
【表3】

【0063】
手順
D相を別容器の中で85〜90℃に加熱し、透明溶液が得られるまで攪拌した。A相の水を混合容器の中に計量投入した。ホモジナイザーを用いて攪拌しながら、A相の残りの成分を85〜87℃に加熱しながら加えた。該バッチをその後1時間均質化した。B相をA相に加え、その後C相をD相に加えた。次に、D相を、均質化と温度を15分間維持しつ
つA相に加えた。得られた水中油型エマルジョンを約55℃に冷却した;その後E相をパドルミキサーを用いて中程度の攪拌をしつつ加えた。45℃にてF相を該バッチに加えた。該バッチは30℃に達するまで冷却した。
【0064】
実施例3
マスカラエマルジョンの製造
【表4】

【0065】
手順:
エマルジョンは実施例1の手順によって製造された。
【0066】
試験結果:
2種のマスカラ製剤はそれぞれ、人工及びヒト睫毛で評価され、現在の市場の主流品と比較された。
結果を下に示す。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
30,000ないし300,000の範囲の分子量を有するカチオン性コポリマー、及び、高分子量アルコールからなる組成物。
【請求項2】
該高分子量アルコールは少なくとも一種の炭素数20ないし炭素数40のアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一種の炭素数25ないし炭素数40のアルコールが、線状、分枝状、又は単環式、又は多環式、又はそれらの混合物である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
該高分子量アルコールはラノリンアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
該カチオン性コポリマーは、20ないし90質量%の非イオン性モノマーユニットと10ないし75質量%のカチオン性モノマーユニットの反応生成物であるコポリマーからなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
該非イオン性モノマーユニットは、不飽和N−置換アミド、モノあるいは多価ヒドロキシ官能基(群)を有する(メタ)アクリレート、及びアクリルアミド及びその誘導体からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該カチオン性モノマーユニットは、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、並びにそれらの酸付加塩及び四級アンモニウム塩からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
該コポリマーは、70ないし80質量%のアクリルアミド非イオン性モノマーユニットと20ないし30質量%のジアリルジメチルアンモニウムクロライドカチオン性モニマーユニットの反応生成物からなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
該コポリマーは約40,000ないし250,000の分子量を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
該カチオン性コポリマー及び該高分子量アルコールの混合物はエマルジョンにおいて存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
水中油型エマルジョンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
アイケア化粧品組成物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
マスカラ又はアイライナーである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有するカチオン性コポリマー以外の水溶性フィルム形成ポリマー、ワックス、脂肪、オイル、顔料、色素、ゴム、樹脂、無機並びに有機物質、充填剤、増粘剤、ゲル化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される追加成分を含む、請求項12に記載のアイケア化粧品組成物。
【請求項15】
該水溶性のフィルム形成ポリマーは該組成物の約2質量%ないし約25質量%を構成するが、ただしフィルム形成ポリマーの約10質量%ないし100質量%は30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有するカチオン性コポリマーであることを条件とす
る、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有するカチオン性コポリマー以外の該水溶性のフィルム形成ポリマーは、セルロース誘導体及び合成ポリマーからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
該セルロース誘導体はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
該合成ポリマーはポリビニルピロリドン、四級化ポリビニルピロリドン、及び高分子量カチオン性コポリマーからなる群から選択される、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
該合成ポリマーはジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドとのコポリマーである、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
質量換算で、
約2%ないし約25%の水溶性のフィルム形成ポリマーであって、ただしフィルム形成ポリマーの約10%ないし約100%は30,000ないし300,000の範囲内の分子量を有するカチオン性コポリマーであるもの;
約0.1%ないし約10%の少なくとも一種の炭素数20ないし炭素数40のアルコール;
約5%ないし約30%のワックス;
約0.1%ないし約10%の脂肪、ならびに
約3%ないし約20%の少なくとも一種の顔料、
からなる水中油型エマルジョンである、請求項14に記載のアイケア化粧品組成物。
【請求項21】
請求項1記載の組成物を配合することからなる、アイケア化粧品組成物の特性を改良する方法。


【公表番号】特表2006−516582(P2006−516582A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501663(P2006−501663)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000838
【国際公開番号】WO2004/069212
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】