説明

低圧EGR装置

【課題】低圧EGRバルブ18の通常回動範囲内で故障判定を行うことができる低圧EGR装置を提供する。
【解決手段】連動機構が故障すると、吸気絞り弁20が通常作動時の閉弁方向と反対方向へスプリング30に付勢されて回転し、従動プレート27に設けられるアーム部27aの側面が絞り弁側ストッパ31に当接して停止する。この後、低圧EGRバルブ18が全閉位置から全開位置へ駆動されると、駆動プレート26に設けられたバルブ側ストッパ32が従動プレート27に設けられたアーム部27aに当接することで、低圧EGRバルブ18の回転が機械的に停止する。この低圧EGRバルブ18の回転位置がバルブ角度センサによって検出され、その検出結果がECUに出力される。ECUは、バルブ角度センサによって検出されるバルブ角度が、低圧EGRバルブ18の回転停止位置と一致した時に、故障モードが設定されている判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸排気系に過給機を搭載する内燃機関に適用され、この内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化装置を通過した排気ガスの一部(低圧EGRガス)を過給機のコンプレッサより上流側の吸気通路に再循環させる低圧EGR装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの排気に含まれるNOx(窒素酸化物)を抑制する手段として、排気の一部をEGRガスとして吸気に再循環させるEGR技術が公知である。
このEGR技術は、EGRガスの量を増やすことでNOxの量を減らすことができる反面、EGRガスを過剰に再循環させると、粒子状物質である黒鉛(PM)が発生しやすくなる。これに対し、近年、高圧系と低圧系のEGR装置を組み合わせることで、黒鉛の発生を抑制しつつ、NOxを削減する方式が提案されている。
しかし、低圧系のEGR装置は、排気圧が比較的低い領域から吸気負圧の発生が低い領域にEGRガスを戻すシステムであるため、少量のEGRガスをエンジンに戻すことは可能であるが、多量のEGRガスをエンジンに戻すことは困難である。
【0003】
そこで、特許文献1では、図10に示す様に、低圧EGR通路100との合流部より吸気上流側の吸気通路110に吸気絞り弁120を配置して、多量のEGRガスをエンジンに戻すことが要求される運転領域では、図示矢印で示す様に、吸気絞り弁120を閉じる方向、つまり、吸気負圧が大きくなる方向に吸気絞り弁120の開度を制御する低圧EGR装置が提案されている。
また、同文献1の低圧EGR装置は、低圧EGRバルブ130を駆動するアクチュエータの出力特性をリンク装置により変換して吸気絞り弁120に伝達することで、吸気絞り弁120を駆動する専用のアクチュエータを廃止している。さらに、同文献1には、リンク装置に何らかの不具合が発生して吸気絞り弁120を制御できなくなった場合を想定して、低圧EGRバルブ130の回転角を検出する回転角センサによって吸気絞り弁120の故障を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−32929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される「吸気絞り弁の故障を判定する技術」では、吸気絞り弁120の開度がメカストッパによって規制される最大開度に対応した開度と異なる場合、つまり、低圧EGRバルブ130と一体に回転するカムプレートが通常の作動角範囲から外れた状態となった時に、低圧EGRバルブ130の回転角を検出して吸気絞り弁120が故障していると判定している。しかし、この故障判定方法では、カムプレートの作動角範囲が増大する。つまり、リンク装置が故障すると、スプリングによって閉弁方向へ付勢されている低圧EGRバルブ130が、低圧EGR通路100の開度が最小となる全閉位置を通過して、通常の開弁方向(リンク装置が故障していない時の開弁方向)とは反対方向へ回転するため、低圧EGRバルブ130と一体に回転するカムプレートが通常の作動角範囲から外れることになる。
【0006】
上記の結果、カムプレートの作動角範囲が増大するため、その分の作動スペースを確保する必要があり、リンク装置を含む低圧EGR装置の体格が大きくなってしまう。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、低圧EGRバルブの通常回動範囲内で故障判定を行うことにより、連動機構の作動角範囲が増大することなく、低圧EGR装置を小型化できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1に係る発明)
本発明は、吸排気系に過給機を搭載する内燃機関に適用され、この内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化装置を通過した排気ガスの一部を低圧EGRガスとして過給機のコンプレッサより上流側の吸気通路に再循環させる低圧EGR装置であって、排気浄化装置より下流側の排気通路とコンプレッサより上流側の吸気通路とを接続する低圧EGR通路と、この低圧EGR通路を通って吸気通路へ還流する低圧EGRガスの流量を調整する低圧EGRバルブと、この低圧EGRバルブを駆動するバルブ駆動手段と、排気通路と吸気通路のどちらか一方の通路に配置され、その一方の通路の開度を絞ることで、吸気通路に還流する低圧EGRガスの流量を増加させる絞り弁と、低圧EGRバルブが低圧EGR通路を開く方向へ回転する開弁動作に連動して一方の通路を閉じる方向へ絞り弁を駆動し、且つ、低圧EGRバルブが低圧EGR通路を閉じる方向へ回転する閉弁動作に連動して一方の通路を開く方向へ絞り弁を駆動する連動機構と、絞り弁および低圧EGRバルブの回転を規制して故障モードを設定する故障モード設定手段と、低圧EGRバルブの回転位置によって故障モードが設定されているか否かを判定する故障モード判定手段とを備える。
【0008】
故障モード設定手段は、低圧EGRバルブの開弁動作に連動して絞り弁が一方の通路を閉じる方向へ回転する時の閉弁方向と反対方向へ絞り弁を付勢するスプリングと、このスプリングに付勢されて回転する絞り弁を所定の回転位置に機械的に停止させる絞り弁側ストッパと、絞り弁の停止位置に対応して低圧EGRバルブの回転を機械的に停止させるバルブ側ストッパとを有し、故障モード判定手段は、低圧EGRバルブの回転位置をバルブ角度として検出するバルブ角度センサを有し、低圧EGRバルブの開度が最小となる全閉位置から低圧EGRバルブの開度が最大となる全開位置へ低圧EGRバルブを駆動した時に、バルブ角度センサによって検出されるバルブ角度が、バルブ側ストッパによって回転停止された低圧EGRバルブの回転位置である場合は、故障モードが設定されていると判定することを特徴とする。
【0009】
本発明の低圧EGR装置は、故障モードが設定されると、先ず、絞り弁がスプリングに付勢されて回転する。この時の回転方向は、通常作動時の閉弁方向と反対方向、つまり、低圧EGRバルブの開弁動作に連動して絞り弁が一方の通路を閉じる方向へ回転する時の閉弁方向と反対方向である。スプリングに付勢されて回転する絞り弁は、絞り弁側ストッパにより回転規制されて所定の回転位置に停止する。さらに、絞り弁の停止位置に対応して低圧EGRバルブの回転がバルブ側ストッパによって機械的に停止する。
この後、バルブ駆動手段によって低圧EGRバルブを全閉位置から全開位置へ駆動した時に、バルブ角度センサによって検出されるバルブ角度が、バルブ側ストッパによって回転停止した低圧EGRバルブの回転位置である場合、言い換えると、全開位置でない場合は、故障モードが設定されていると判定する。
上記の様に、低圧EGRバルブを全閉位置から全開位置へ駆動する通常の作動範囲内で故障判定を行うことができるので、連動機構の作動角範囲が増大することはなく、特許文献1の従来技術と比較して、低圧EGR装置の小型化を図ることが可能である。
【0010】
(請求項2に係る発明)
請求項1に記載した低圧EGR装置において、連動機構は、低圧EGRバルブと一体に回転する駆動プレートと、絞り弁と一体に回転する従動プレートと、駆動プレートの回転を従動プレートに伝達するカム手段とで構成され、故障モード設定手段は、カム手段の不具合によって、駆動プレートと従動プレートとの連結が解除された状態となった時に設定されることを特徴とする。
カム手段に何らかの不具合が発生して、駆動プレートと従動プレートとの連結が解除され、駆動プレートと従動プレートがフリーな状態になると、スプリングに付勢されている絞り弁が通常作動時の閉弁方向と反対方向に回転して、絞り弁ストッパによって規制される所定の回転位置に機械的に停止する。この絞り弁の停止位置に対応して低圧EGRバルブの回転がバルブ側ストッパによって機械的に停止するため、低圧EGRバルブを全閉位置から全開位置へ駆動したにも係わらず、バルブ角度センサによって検出されるバルブ角度が、バルブ側ストッパによって回転が停止した低圧EGRバルブの停止位置である場合(全開位置でない場合)は、故障モードが設定されていると判定できる。
【0011】
(請求項3に係る発明)
請求項2に記載した低圧EGR装置において、絞り弁側ストッパは、スプリングに付勢されて絞り弁と一体に回転する従動プレートの回転方向に対向して配置され、絞り弁は、従動プレートが絞り弁側ストッパに当接することで所定の回転位置に停止することを特徴とする。
上記の構成では、絞り弁と一体に回転する従動プレートが絞り弁側ストッパに当接することで、スプリングに付勢された絞り弁を所定の回転位置に停止させることができる。
【0012】
(請求項4に係る発明)
請求項3に記載した低圧EGR装置において、バルブ側ストッパは、従動プレートに対向して設けられ、従動プレートが絞り弁側ストッパに当接して絞り弁が所定の回転位置に停止している状態で、低圧EGRバルブが全閉位置から低圧EGR通路を開く方向へ駆動された時に、バルブ側ストッパが従動プレートに当接することで、低圧EGRバルブの回転が停止することを特徴とする。
上記の構成では、故障モードが設定されると、絞り弁が所定の回転位置に停止するので、駆動プレートに設けられるバルブ側ストッパが従動プレートに当接することで、絞り弁の停止位置に対応して低圧EGRバルブの回転を機械的に停止させることができる。
【0013】
(請求項5に係る発明)
請求項2〜4に記載した何れか一つの低圧EGR装置において、カム手段には、低圧EGRバルブの全開位置での開度ばらつきに対して、絞り弁の全閉位置での開度ばらつきを抑制する不感帯が設定されていることを特徴とする。
カム手段に不感帯が設定されていないと、例えば、低圧EGRバルブの全開位置での開度が小さい方向にばらつきを持った場合に、絞り弁の全閉位置は狙い値より大きい側となるため、低圧EGRバルブの前後での圧力差が狙い値より小さくなる。その結果、低圧EGR量が低下して、エミッションが悪化する。
【0014】
また、絞り弁を吸気通路に配置した構成では、低圧EGRバルブの全開位置での開度が大きい方向にばらつきを持った場合に、絞り弁の全閉位置は狙い値より小さい側となるため、吸気量がより絞られることになる。その結果、燃焼室への吸気量が不足して、エンジン性能が悪化する。
これに対し、本発明では、カム手段に不感帯を設定しているので、低圧EGRバルブの全開位置がばらつきを持った場合でも、絞り弁の全閉位置での開度ばらつきが抑制されるため、エンジン性能の低下およびエミッションの悪化を防止できる。なお、絞り弁の全閉位置とは、絞り弁の開度が最小となる位置であり、絞り弁が一方の通路を全閉する(完全に閉じる)位置と同義ではない。
【0015】
(請求項6に係る発明)
請求項5に記載した低圧EGR装置において、カム手段は、駆動プレートに形成されるカム溝と、従動プレートに設けられ、且つ、駆動プレートの回転に伴ってカム溝内を移動するローラとで構成され、不感帯は、駆動プレートの回転中心から同一長さの円弧によって形成されるカム溝のカムプロフィールによって設定されることを特徴とする。
上記の構成によれば、低圧EGRバルブの全開位置がばらつきを持った場合でも、不感帯を設定するカムプロフィール上ではローラが静止している。つまり、低圧EGRバルブの開度ばらつきの分だけ駆動プレートが回転しても、不感帯を設定するカムプロフィールが駆動プレートの回転中心から同一長さの円弧によって形成されるため、カムプロフィールからローラが駆動力を受けることはなく、ローラを有する従動プレートが回転することはない。よって、低圧EGRバルブの全開位置がばらつきを持った場合でも、絞り弁の全閉位置での開度ばらつきを抑制できるので、絞り弁が配置される一方の通路(排気通路または吸気通路)の流量ばらつきを小さくできる。
【0016】
(請求項7に係る発明)
請求項1〜6に記載した何れか一つの低圧EGR装置において、故障モードが設定された時に、絞り弁側ストッパによって絞り弁の回転が停止する位置は、絞り弁の開度が最小となる全閉位置と、絞り弁の開度が最大となる全開位置との間であることを特徴とする。 上記の構成では、故障モードが設定された時に、絞り弁が全閉位置に停止することはないので、内燃機関の運転状態に大きな影響を生じることはない。一例として、絞り弁の開度が最小となる全閉位置を弁開度0%、絞り弁の開度が最大となる全開位置を弁開度100%と定義した場合、故障モードが設定された時に弁開度50%〜100%の間で絞り弁の回転を停止させることにより、一方の通路の開度を50%以上確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】低圧EGRバルブの全閉位置および吸気絞り弁の全開位置を示す低圧EGRユニットの断面図である(実施例1)。
【図2】低圧EGRバルブの全開位置および吸気絞り弁の全閉位置を示す低圧EGRユニットの断面図である(実施例1)。
【図3】吸気絞り弁の回転が絞り弁側ストッパによって機械的に停止した状態を示す低圧EGRユニットの断面図である。
【図4】低圧EGRバルブの回転がバルブ側ストッパによって機械的に停止した状態を示す低圧EGRユニットの断面図である。
【図5】エンジンの吸排気システムを概略的に示す模式図である。
【図6】低圧EGRバルブの全開位置および吸気絞り弁の全閉位置を示す低圧EGRユニットの断面図である(実施例2)。
【図7】(a)駆動プレートとローラとの位置関係を示す平面図、(b)不感帯を設定したカムプロフィールの拡大図である。
【図8】低圧EGRバルブと吸気絞り弁の開度特性を示すグラフである。
【図9】低圧EGRバルブと吸気絞り弁の開度特性を示すグラフである。
【図10】従来技術に係る低圧EGRバルブと吸気絞り弁とを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
実施例1では、吸排気系に過給機を搭載する内燃機関にEGR装置を適用した一例を説明する。
内燃機関は、例えば、燃料に軽油を使用するディーゼルエンジン、あるいは、ガソリンを使用するガソリンエンジン(以下、内燃機関をエンジン1と呼ぶ)であり、図5に示す様に、吸入空気をエンジン1の気筒内に導入する吸気通路2と、気筒内で燃料の燃焼によって発生した排気ガスを大気に排出する排気通路3とを備える。
過給機は、例えば、エンジン1より排出される排気ガスのエネルギを回転力に変換する排気タービン4と、この排気タービン4と同軸に連結されるコンプレッサ5とを有し、このコンプレッサ5の回転によって吸気を圧縮してエンジン1に供給するターボチャージャである。
【0020】
吸気通路2には、吸気口6aより取り込んだ外気に含まれる砂埃などの異物を取り除くエアクリーナ6、上記のコンプレッサ5、このコンプレッサ5で圧縮された空気を冷却するインタークーラ7、吸気量を調整するスロットルバルブ8を組み込んだスロットルボディ9、および、所定の容積室を形成するサージタンク10等が設けられている。
排気通路3には、上記の排気タービン4、排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を補集するDPF11(ディーゼルパティキュレートフィルターの略)等が設けられている。なお、DPF11は、本発明の排気浄化装置の一例である。
【0021】
次に、EGR装置について説明する。
エンジン1の吸排気系には、高圧EGR装置と低圧EGR装置とが設けられている。
高圧EGR装置は、エンジン1から排出された直後の比較的高温および高圧の排気ガスの一部を高圧EGRガスとして吸気側へ還流させる高圧系の排気還流装置である。
この高圧EGR装置は、図5に示す様に、排気タービン4より排気上流側の排気通路3とスロットルバルブ8より吸気下流側の吸気通路2(本実施例ではサージタンク10)とを接続する高圧EGR通路12と、この高圧EGR通路12を通って吸気側へ還流する高圧EGRガスの流量を調整する高圧EGRバルブ13と、吸気側へ還流する高圧EGRガスを冷却する高圧EGRクーラ14と、この高圧EGRクーラ14をバイパスするバイパスEGR通路15と、高圧EGRガスが高圧EGRクーラ14を経由して吸気側に還流するEGR経路とバイパスEGR通路15を通って吸気側に還流するEGR経路とを切り替えるEGR通路切替弁16とを備える。
【0022】
低圧EGR装置は、比較的低温および低圧の排気ガスの一部を低圧EGRガスとして吸気側へ還流させる低圧系の排気還流装置である。
この低圧EGR装置は、図5に示す様に、排気タービン4より排気下流側(本実施例ではDPF11の排気下流側)の排気通路3とコンプレッサ5より吸気上流側の吸気通路2とを接続する低圧EGR通路17と、この低圧EGR通路17を通って吸気側へ還流する低圧EGRガスの流量を調整する低圧EGRバルブ18と、吸気側へ還流する低圧EGRガスを冷却する低圧EGRクーラ19と、低圧EGRバルブ18が低圧EGR通路17をを開閉する動作に連動して吸気通路2の開度を調整する吸気絞り弁20とを備える。
【0023】
続いて、本発明に係る低圧EGRバルブ18と吸気絞り弁20について説明する。
低圧EGRバルブ18と吸気絞り弁20は、後述する連動機構と共に、低圧EGRユニットUTとして一体的に構成されている。なお、低圧EGRユニットUTには、図1に示す吸気通路2の一部および低圧EGR通路17の一部を含むことができる。
低圧EGRバルブ18は、図1に示す様に、シャフト18aと一体に回転するバタフライバルブであり、吸気通路2に接続される低圧RGR通路17の出口付近に配置される。なお、図1〜図4に示す吸気通路2は、図示左側がエアクリーナ6側、図示右側がエンジン1側である。
この低圧EGRバルブ18は、バルブ開度が最小となる全閉位置(図1に示す位置)と、バルブ開度が最大となる全開位置(図2に示す位置)との間でシャフト18aを中心として回動可能に設けられ、電動アクチュエータ(図示せず)に発生する回転力が動力伝達装置(以下に説明する)を介してシャフト18aに伝達されることで回転する。
【0024】
電動アクチュエータは、例えば、直流モータを使用した本発明のバルブ駆動手段であり、低圧EGRバルブ18の回転位置をバルブ角度として検出するバルブ角度センサ(図示せず)の検出角度が、エンジン1の運転状態に応じて設定される制御目標値と一致するように、電子制御装置であるECU(図示せず)によって直流モータに供給される通電量がフィードバック制御される。
動力伝達装置は、直流モータの回転速度を減速して駆動トルクを増幅する歯車列によって構成される。この歯車列は、直流モータの出力軸に取り付けられるピニオン21と、このピニオン21に噛み合う減速ギヤ22と、この減速ギヤ22と共通の中心軸22aに支持されて減速ギヤ22と一体に回転する小径ギヤ23と、この小径ギヤ23に噛み合うバルブギヤ24とで構成され、このバルブギヤ24が低圧EGRバルブ18のシャフト18aに固定されてシャフト18aと一体に回転する。
【0025】
吸気絞り弁20は、低圧EGRバルブ18と同様に、シャフト20aと一体に回転するバタフライバルブであり、図1に示す様に、低圧RGR通路17から低圧EGRガスが流れ込む吸気通路2のEGRガス流入部(低圧RGR通路17との接続部)に配置される。 この吸気絞り弁20は、以下に説明する連動機構を介して低圧EGRバルブ18に連結され、低圧EGRバルブ18が低圧RGR通路17を開く開弁動作に連動して吸気通路2の開度を絞ることにより、吸気通路2に還流する低圧EGRガスの流量を増加させる働きを行う。
連動機構は、図1に示す様に、スクリュ25によりバルブギヤ24に固定されて低圧EGRバルブ18と一体に回転する駆動プレート26と、吸気絞り弁20のシャフト20aに固定されて吸気絞り弁20と一体に回転する従動プレート27と、駆動プレート26の回転を従動プレート27に伝達するカム手段(以下に説明する)とで構成される。
【0026】
カム手段は、駆動プレート26に形成されたカム溝28と、従動プレート27に取り付けられるローラ29とで構成され、このローラ29がカム溝28に収容されている。
カム溝28は、カムプロフィールが異なる第1のカム面28aと第2のカム面28bとを有している。第1のカム面28aは、低圧EGRバルブ18が図1に示す全閉位置から中間開度(例えば全閉位置と全開位置との略中間位置)まで回転する間、吸気絞り弁20が全開位置(図1に示す位置)に保持されるように、駆動プレート26の回転中心から同一長さの円弧によってカムプロフィールが形成されている。第2のカム面28bは、第1のカム面28aから連続して設けられ、低圧EGRバルブ18が中間開度から図2に示す全開位置まで回転する時に、吸気絞り弁20を全閉位置まで駆動するカムプロフィールが形成されている。
【0027】
ローラ29は、従動プレート27に設けられるアーム部27a(図3参照)にローラ軸29aが固定され、このローラ軸29aの外周に回転自在に嵌合して取り付けられる。
従動プレート27は、外周形状が略円形状に設けられ、径方向の中心部を挿通するシャフト20aに固定されている。ローラ軸29aが固定されるアーム部27aは、従動プレート27の周方向の一部に設けられて、従動プレート27の径方向外側へ突き出ている。また、アーム部27aの先端形状は、一定の曲率を有する円弧状に形成されている。
上記のカム手段は、低圧EGRバルブ18と一体に駆動プレート26が回転すると、駆動プレート26に形成されたカム溝28のカムプロフィールにローラ29が追従しながらカム溝28内を移動することで、駆動プレート26の回転が従動プレート27に伝達されて、従動プレート27と一体に吸気絞り弁20が回転する。
【0028】
本実施例の低圧EGRユニットUTは、連動機構が故障した時に故障モードを設定する故障モード設定手段と、故障モードが設定されているか否かを判定する故障モード判定手段とを備える。故障モードは、連動機構が故障した時、具体的には、ローラ軸29aと共にローラ29が従動プレート27から脱落して駆動プレート26の回転を従動プレート27に伝達できなくなった時、言い換えると、駆動プレート26と従動プレート27がフリーな状態になった時に設定される。
故障モード設定手段は、吸気絞り弁20を付勢するスプリング30と、このスプリング30に付勢されて回転する吸気絞り弁20を所定の回転位置に機械的に停止させる絞り弁側ストッパ31と、吸気絞り弁20の停止位置に対応して低圧EGRバルブ18の回転を機械的に停止させるバルブ側ストッパ32とによって設定される。
【0029】
スプリング30は、低圧EGRバルブ18の開弁動作に連動して吸気絞り弁20が吸気通路2を閉じる方向へ回転する時の閉弁方向、つまり、図1から図2に至る通常作動時の閉弁方向と反対方向(図示時計回転方向)へ吸気絞り弁20を付勢している。
絞り弁側ストッパ31は、例えば、低圧EGRユニットUTのケース33(図1参照)に設けることができ、スプリング30に付勢されて吸気絞り弁20と一体に回転する従動プレート27の回転方向に対向して配置されている。吸気絞り弁20は、図3に示す様に、従動プレート27に設けられたアーム部27aの側面が絞り弁側ストッパ31に当接することによって機械的に回転が規制される。
【0030】
この絞り弁側ストッパ31は、従動プレート27のアーム部27aが当接して回転が規制された時に、吸気絞り弁20が吸気通路2を全閉することはなく、吸気通路2を所定開度だけ開いた状態で停止する位置に設けられる。すなわち、吸気絞り弁20の全閉位置(但し、この全閉位置は図2に示す通常作動時の全閉位置と反対側である)と、吸気絞り弁20の全開位置との間で吸気絞り弁20の回転を停止する位置に設けられている。具体的には、吸気絞り弁20の開度が最小となる全閉位置を弁開度0%、吸気絞り弁20の開度が最大となる全開位置を弁開度100%と定義した場合に、弁開度50%〜100%の間で吸気絞り弁20の回転を停止できる位置に絞り弁側ストッパ31が設けられている。
【0031】
バルブ側ストッパ32は、低圧EGRバルブ18が全閉位置から低圧EGR通路17を開く方向へ駆動された時に、図4に示す様に、従動プレート27に設けられたアーム部27aの先端部に当接することで、低圧EGRバルブ18の回転が機械的に停止する。このバルブ側ストッパ32は、低圧EGRバルブ18の回転が全閉位置と全開位置との間(実施例1では略中間位置)で停止する位置に設けられている。つまり、低圧EGRバルブ18が全開位置から中間位置まで回転した時点で、バルブ側ストッパ32がアーム部27aに当接して低圧EGRバルブ18の回転が停止する。なお、バルブ側ストッパ32は、アーム部27aの先端形状に対応した円弧形状に設けられている。
【0032】
故障モード判定手段は、低圧EGRバルブ18の回転位置(バルブ角度)を検出するバルブ角度センサの検出角度によって故障モードが設定されているか否かを判定する。
バルブ角度センサは、例えば、永久磁石とホールICを用いた周知の非接触式回転角度センサであり、低圧EGRバルブ18のシャフト18aに永久磁石が取り付けられ、その永久磁石に近接してホールICが配設され、ホールICに発生する電気信号がECUへ出力される。
この故障モード判定手段は、低圧EGRバルブ18を全閉位置から全開位置へ駆動した時に、バルブ角度センサによって検出されるバルブ角度が、バルブ側ストッパ32によって回転停止した低圧EGRバルブ18の回転位置である場合に、故障モードが設定されていると判定する。
【0033】
次に、低圧EGR装置の作動を説明する。
a)連動機構が故障していない通常時の作動説明。
低圧EGRバルブ18が全閉位置から全開位置へ駆動されると、連動機構を介して吸気絞り弁20が全開位置から全閉位置へ駆動される。この時、低圧EGRバルブ18が全閉位置から中間位置(例えば、バルブ開度50%)まで回転する間は、駆動プレート26に取り付けられたローラ29が第1のカム面28aに沿って相対移動するため、吸気絞り弁20が回転することはなく、図1に示す全開位置に保持されている。
その後、低圧EGRバルブ18が中間位置から全開位置まで回転すると、ローラ29が第2のカム面28bに追従しながらカム溝28内を移動するため、吸気絞り弁20は全開位置から図2に示す全閉位置へ回転する。これにより、エンジン1の吸気行程で発生する吸気負圧が大きくなるため、多量の低圧EGRガスをエンジン1に戻すことができる。
【0034】
b)連動機構が故障した時の作動説明。
連動機構が故障した場合、つまり、ローラ29がローラ軸29aと共に従動プレート27から脱落して駆動プレート26と従動プレート27とがフリーな状態になると、吸気絞り弁20が通常作動時の閉弁方向と反対方向(時計回転方向と呼ぶ)へスプリング30に付勢されて回転する。時計回転方向へ回転した吸気絞り弁20は、図3に示す様に、従動プレート27に設けられるアーム部27aの側面が絞り弁側ストッパ31に当接することで回転を停止する。
【0035】
この後、低圧EGRバルブ18が全閉位置から全開位置へ駆動されると、図4に示す様に、駆動プレート26に設けられたバルブ側ストッパ32が、従動プレート27に設けられたアーム部27aの先端部に当接することで、低圧EGRバルブ18の回転が機械的に停止する。この低圧EGRバルブ18の回転位置、つまり、バルブ側ストッパ32によって回転が停止した低圧EGRバルブ18のバルブ角度がバルブ角度センサによって検出され、その検出結果がECUに出力される。ECUは、バルブ角度センサで検出された低圧EGRバルブ18のバルブ角度が、バルブ側ストッパ32によって回転が停止した低圧EGRバルブ18の回転位置と一致した時に、故障モードが設定されている判定する。なお、ECUは、故障モードが設定されていると判定した場合に、その旨を乗員に知らせるための警告表示(例えば警告灯を点灯させる)を行う。
【0036】
(実施例1の効果)
実施例1に記載した低圧EGRバルブ18装置は、連動機構が故障した時、すなわち、ローラ29がローラ軸29aと共に従動プレート27から脱落して駆動プレート26と従動プレート27がフリーな状態となった時に、低圧EGRバルブ18を全閉位置から全開位置へ駆動する通常の作動範囲内で故障判定を行うことができる。つまり、故障モードが設定される際に、低圧EGRバルブ18が全閉位置から通常作動時の開弁方向と反対側の開弁方向へ回転することはない。これにより、低圧EGRバルブ18と一体に回転する駆動プレート26の作動角範囲が増大することはないので、通常の作動角範囲を超える余分なスペースを確保する必要はなく、特許文献1に開示された従来技術と比較して、低圧EGRユニットUTの小型化を図ることが可能である。
【0037】
また、故障モードが設定された時に、吸気絞り弁20の回転を機械的に停止させる絞り弁側ストッパ31は、弁開度50%〜100%の間で吸気絞り弁20の回転を停止できる位置に設けられている。これにより、吸気絞り弁20の開度が最小となる全閉位置に吸気絞り弁20が停止することはなく、吸気通路2の開度を50%以上確保できる。この場合、エンジン1に吸入される空気(新気)が著しく減少することはないので、エンジン1の運転状態に大きな影響が生じることはない。
【0038】
(実施例2)
図6は実施例2に係る低圧EGRユニットUTの断面図である。
実施例1に記載した第2のカム面28bは、低圧EGRバルブ18が中間開度から図2に示す全開位置まで回転する時に、吸気絞り弁20を全閉位置まで駆動するカムプロフィールが形成されている。この実施例2では、低圧EGRバルブ18の全開位置での開度ばらつきに対して、吸気絞り弁20の全閉位置での開度ばらつきを抑制する不感帯を第2のカム面28bのカムプロフィールに設定した一例を説明する。
以下の説明おいて、図7(a)に示す様に、低圧EGRバルブ18の全閉位置における回転角度θ0を基準として、低圧EGRバルブ18が全開位置に駆動された時の回転角度をθmとする。また、低圧EGRバルブ18が全開位置に駆動された時に、第2のカム面28b上でローラ29が接触する接触点Aより第1のカム面28a側を閉弁側、接触点Aより反閉弁側を開弁側と定義する。
【0039】
ここで、第2のカム面28bが図7(b)の二点鎖線で示すカムプロフィールを有していると、低圧EGRバルブ18が回転角度θmに対して閉弁側と開弁側とにそれぞれΔθ1、Δθ2の開度ばらつきを持った時に、図8に示す様に、吸気絞り弁20の全閉位置がばらつくことにより、吸気量にばらつきΔQを生じる。なお、図7(b)の二点鎖線で示すカムプロフィールは、第2のカム面28bとローラ29との接触点を通って、閉弁側から開弁側に向かって曲率が次第に小さくなる曲線、つまり、駆動プレート26の回転中心O(図7(a)参照)からの距離が次第に大きくなる(r1<rm<r2)曲線によって形成されている。
【0040】
低圧EGRバルブ18の全開位置がばらつきを持つと、以下の不具合を招く。
a)低圧EGRバルブ18の全開位置が小さい方向にばらつきを持った場合、つまり、低圧EGRバルブ18の全閉位置での回転角度が図7(b)に示すθ1にずれた場合。
吸気絞り弁20の全閉位置は、図8に示す様に、狙い値より大きい側に振れるため、低圧EGRバルブ18の前後での圧力差が狙い値より小さくなる。その結果、吸気側へ還流する低圧EGRガスの流量が低下して、エミッションが悪化する。
b)低圧EGRバルブ18の全開位置が大きい方向にばらつきを持った場合、つまり、低圧EGRバルブ18の全閉位置での回転角度が図7(b)に示すθ2にずれた場合。
吸気絞り弁20の全閉位置は、図8に示す様に、狙い値より小さい側に振れるため、吸気量がより絞られることになる。その結果、燃焼室への吸気量が不足して、エンジン性能が悪化する。
【0041】
これに対し、実施例2に係る第2のカム面28bは、図7(b)の実線で示す様に、少なくともθ1からθ2の間で、駆動プレート26の回転中心Oから同一長さrmの円弧によってカムプロフィールが形成されている。つまり、少なくともθ1からθ2の間では、低圧EGRバルブ18の開度ばらつきに対して、吸気絞り弁20の開度が不感帯となる。このため、低圧EGRバルブ18の全開位置がばらつきを持った場合でも、θ1からθ2の間に形成されるカムプロフィール上ではローラ29が静止している。言い換えると、低圧EGRバルブ18の開度ばらつきの分だけ駆動プレート26が回転しても、θ1からθ2の間に設定されるカムプロフィールが駆動プレート26の回転中心Oから同一長さの円弧によって形成されるため、カムプロフィールからローラ29が駆動力を受けることはなく、ローラ29を有する従動プレート27が回転することはない。よって、低圧EGRバルブ18の全開位置がばらつきを持った場合でも、吸気絞り弁20の全閉位置での開度ばらつきを抑制できる(実質的には吸気絞り弁20の開度ばらつきを無くすことができる)ので、図9に示す様に、吸気量のばらつきΔQを略無くすことができる。その結果、エンジン性能の低下およびエミッションの悪化を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
実施例1、2の低圧EGRユニットUTは、低圧RGR通路17から低圧EGRガスが流れ込む吸気通路2のEGRガス流入部(低圧RGR通路17との接続部)に吸気絞り弁20を配置しているが、低圧RGR通路17との接続部より吸気上流側(図1、図6の左側)の吸気通路2に配置することもできる。また、実施例1、2では、本発明に係る絞り弁として吸気絞り弁20を示しているが、吸気絞り弁20に替えて排気絞り弁に適用することもできる。この排気絞り弁は、例えば、排気通路3と低圧RGR通路17との接続部、あるいは、低圧RGR通路17との接続部より排気下流側の排気通路3に配置され、排気通路3を絞ることで低圧EGRガスの流量を増加させる働きを行う。
【0043】
実施例1では、吸排気系にターボチャージャを搭載したエンジン1に本発明の低圧EGR装置を適用した一例を記載したが、ターボチャージャに限定されるものではなく、例えば、吸気通路2に配置されるコンプレッサ5をエンジン1によって駆動するスーパチャージャを搭載したエンジン1に本発明を適用することもできる。この場合、低圧RGR通路17の上流端(低圧EGRガスの取入口)は、排気浄化装置(実施例1ではDPF11)より下流側の排気通路3に接続される。つまり、排気浄化装置で浄化された排気ガスの一部が低圧EGRガスとして吸気通路2に還流する。
【0044】
実施例1では、故障モードが設定された時に、従動プレート27に設けられたアーム部27aの側面が絞り弁側ストッパ31に当接することで吸気絞り弁20の回転を停止させる構成であるが、例えば、吸気通路2の内部に絞り弁側ストッパ31を配置して、吸気絞り弁20の端部を絞り弁側ストッパ31に直接当接させることで、吸気絞り弁20の回転を停止させる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 エンジン(内燃機関)
2 吸気通路
3 排気通路
4 排気タービン(過給機)
5 コンプレッサ(過給機)
11 DPF(排気浄化装置)
17 低圧RGR通路
18 低圧EGRバルブ
20 吸気絞り弁(絞り弁)
26 駆動プレート(連動機構)
27 従動プレート(連動機構)
27a 従動プレートのアーム部
28 カム溝(カム手段、連動機構)
30 スプリング(故障モード設定手段)
31 絞り弁側ストッパ(故障モード設定手段)
32 バルブ側ストッパ(故障モード設定手段)
UT 低圧EGRユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸排気系に過給機を搭載する内燃機関に適用され、この内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化装置を通過した排気ガスの一部を低圧EGRガスとして前記過給機のコンプレッサより上流側の吸気通路に再循環させる低圧EGR装置であって、
前記排気浄化装置より下流側の前記排気通路と前記コンプレッサより上流側の前記吸気通路とを接続する低圧EGR通路と、
この低圧EGR通路を通って前記吸気通路へ還流する低圧EGRガスの流量を調整する低圧EGRバルブと、
この低圧EGRバルブを駆動するバルブ駆動手段と、
前記排気通路と前記吸気通路のどちらか一方の通路に配置され、その一方の通路の開度を絞ることで、前記吸気通路に還流する低圧EGRガスの流量を増加させる絞り弁と、
前記低圧EGRバルブが前記低圧EGR通路を開く方向へ回転する開弁動作に連動して前記一方の通路を閉じる方向へ前記絞り弁を駆動し、且つ、前記低圧EGRバルブが前記低圧EGR通路を閉じる方向へ回転する閉弁動作に連動して前記一方の通路を開く方向へ前記絞り弁を駆動する連動機構と、
前記絞り弁および前記低圧EGRバルブの回転を規制して故障モードを設定する故障モード設定手段と、
前記低圧EGRバルブの回転位置によって前記故障モードが設定されているか否かを判定する故障モード判定手段とを備え、
前記故障モード設定手段は、
前記低圧EGRバルブの開弁動作に連動して前記絞り弁が前記一方の通路を閉じる方向へ回転する時の閉弁方向と反対方向へ前記絞り弁を付勢するスプリングと、
このスプリングに付勢されて回転する前記絞り弁を前記所定の回転位置に機械的に停止させる絞り弁側ストッパと、
前記絞り弁の停止位置に対応して前記低圧EGRバルブの回転を機械的に停止させるバルブ側ストッパとを有し、
前記故障モード判定手段は、
前記低圧EGRバルブの回転位置をバルブ角度として検出するバルブ角度センサを有し、前記低圧EGRバルブの開度が最小となる全閉位置から前記低圧EGRバルブの開度が最大となる全開位置へ前記低圧EGRバルブを駆動した時に、前記バルブ角度センサによって検出されるバルブ角度が、前記バルブ側ストッパによって回転停止された前記低圧EGRバルブの回転位置である場合は、前記故障モードが設定されていると判定することを特徴とする低圧EGR装置。
【請求項2】
請求項1に記載した低圧EGR装置において、
前記連動機構は、
前記低圧EGRバルブと一体に回転する駆動プレートと、
前記絞り弁と一体に回転する従動プレートと、
前記駆動プレートの回転を前記従動プレートに伝達するカム手段とで構成され、
前記故障モード設定手段は、前記カム手段の不具合によって、前記駆動プレートと前記従動プレートとの連結が解除された状態となった時に設定されることを特徴とする低圧EGR装置。
【請求項3】
請求項2に記載した低圧EGR装置において、
前記絞り弁側ストッパは、前記スプリングに付勢されて前記絞り弁と一体に回転する前記従動プレートの回転方向に対向して配置され、
前記絞り弁は、前記従動プレートが前記絞り弁側ストッパに当接することで前記所定の回転位置に停止することを特徴とする低圧EGR装置。
【請求項4】
請求項3に記載した低圧EGR装置において、
前記バルブ側ストッパは、前記従動プレートに対向して設けられ、
前記従動プレートが前記絞り弁側ストッパに当接して前記絞り弁が前記所定の回転位置に停止している状態で、前記低圧EGRバルブが前記全閉位置から前記低圧EGR通路を開く方向へ駆動された時に、前記バルブ側ストッパが前記従動プレートに当接することで、前記低圧EGRバルブの回転が停止することを特徴とする低圧EGR装置。
【請求項5】
請求項2〜4に記載した何れか一つの低圧EGR装置において、
前記カム手段には、前記低圧EGRバルブの全開位置での開度ばらつきに対して、前記絞り弁の全閉位置での開度ばらつきを抑制する不感帯が設定されていることを特徴とする低圧EGR装置。
【請求項6】
請求項5に記載した低圧EGR装置において、
前記カム手段は、前記駆動プレートに形成されるカム溝と、前記従動プレートに設けられ、且つ、前記駆動プレートの回転に伴って前記カム溝内を移動するローラとで構成され、前記不感帯は、前記駆動プレートの回転中心から同一長さの円弧によって形成される前記カム溝のカムプロフィールによって設定されることを特徴とする低圧EGR装置。
【請求項7】
請求項1〜6に記載した何れか一つの低圧EGR装置において、
前記故障モードが設定された時に、前記絞り弁側ストッパによって前記絞り弁の回転が停止する位置は、前記絞り弁の開度が最小となる全閉位置と、前記絞り弁の開度が最大となる全開位置との間であることを特徴とする低圧EGR装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−237306(P2012−237306A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186262(P2011−186262)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】